(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-02
(45)【発行日】2023-05-15
(54)【発明の名称】ピラノース置換ピラゾール化合物、その調製方法及び使用
(51)【国際特許分類】
C07H 17/02 20060101AFI20230508BHJP
A61K 31/7056 20060101ALI20230508BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20230508BHJP
【FI】
C07H17/02 CSP
A61K31/7056
A61P3/10
(21)【出願番号】P 2020533194
(86)(22)【出願日】2019-01-17
(86)【国際出願番号】 CN2019072148
(87)【国際公開番号】W WO2019141209
(87)【国際公開日】2019-07-25
【審査請求日】2022-01-06
(31)【優先権主張番号】201810052483.8
(32)【優先日】2018-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】518020370
【氏名又は名称】亜宝薬業集団股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】YABAO PHARMACEUTICAL GROUP CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.43 Fumin Road,Ruicheng County,Yuncheng,Shanxi 044600,China
(73)【特許権者】
【識別番号】518443753
【氏名又は名称】スーチョウ ヤバオ ファーマスーティカル アールアンドディー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】張 斐
(72)【発明者】
【氏名】王 鵬
(72)【発明者】
【氏名】孫 麗麗
(72)【発明者】
【氏名】朱 琳
【審査官】鳥居 福代
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-539099(JP,A)
【文献】特表2015-516419(JP,A)
【文献】国際公開第2014/055297(WO,A1)
【文献】特表2014-510776(JP,A)
【文献】特表2013-508284(JP,A)
【文献】国際公開第2004/014932(WO,A1)
【文献】国際公開第2006/087997(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07H 17/02
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(9c)で表される化合物であって、
【化1】
式中、Pivはピバロイルである、化合物。
【請求項2】
請求項1に記載の式(9c)で表される化合物の調製方法であって、
式(16)で表される化合物またはその塩を、式(17)で表される化合物と反応させて、式(9c)で表される化合物が得られることを含み、
【化2】
ここで、Pivはピバロイルであり、Xは脱離基である、調製方法。
【請求項3】
前記脱離基Xは、ハロゲン、メタンスルホナート、トリフルオロメタンスルホナートまたはp-トルエンスルホナートから選択され、
前記式(16)で表される化合物の塩は、塩酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、またはコハク酸塩から選択され、
前記反応が、塩基性条件下、第1の反応溶媒に行われる、請求項2に記載の調製方法。
【請求項4】
(1)塩基性条件下で、式(16)で表される化合物またはその塩を、第1の反応溶媒に、式(17)で表される化合物と4~5時間反応させ、反応は、温度40~45℃で行われるステップ、及び
(2)反応終了後、温度を下げて、そして、ろ過し、第1の有機溶媒と水を使用して無機塩を溶解して取り除き、第1の貧溶媒を加えて固体を析出させ、ろ過した後、真空乾燥して式(9c)で表される化合物を得るステップを含み、
前記第1の有機溶媒が酢酸エチルであり
、前記第1の貧溶媒がアセトニトリル、メチル-tert-ブチルエーテル、エチルエーテル、n-ヘプタン、n-ヘキサン及びシクロヘキサンからなる群から選択される1種またはそれらの任意の組み合わせであり、
前記(1)において、前記塩基性条件で使用される塩基は、炭酸塩、リン酸塩、炭酸水素塩、およびリン酸水素塩からなる群から選択される1種またはそれらの任意の組み合わせであり、前記第1の反応溶媒は、アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、および酢酸エチルからなる群から選択される1種またはそれらの任意の組み合わせである、
請求項2又は3に記載の調製方法。
【請求項5】
式(10c)で表される中間体化合物またはその塩であって、
【化3】
ここで、Pivはピバロイルであり、
式(10c)で表される化合物の塩がメタンスルホン酸塩またはp-トルエンスルホン酸塩である、中間体化合物またはその塩。
【請求項6】
請求項5に記載の式(10c)で表される中間体化合物またはその塩の調製方法であって、
式(9c)で表される化合物を、酸と反応させて、式(10c)の化合物またはその塩が得られることを含む、調製方法。
【化4】
【請求項7】
(a)第2の反応溶媒に、式(9c)で表される化合物を、酸と2~3時間反応させ、反応は、温度15~20℃で行われ、
前記第2の反応溶媒は酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸メチル、酢酸イソプロピル、ジクロロメタンおよびクロロホルムからなる群から選択される1種またはそれらの任意の組み合わせであり、
前記酸はメタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸およびp-トルエンスルホン酸一水和物からなる群から選択される1種またはそれらの任意の組み合わせで
あること、及び
(b)反応終了後、過剰の酸を塩基で中和し、第2の貧溶媒を加えて固体を析出させ、ろ過した後、真空乾燥して式(10c)で表される化合物またはその塩が得られ、
過剰な酸を中和するための塩基は、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三カリウム、および水酸化ナトリウムからなる群から選択される1種またはそれらの任意の組み合わせであり、前記第2の貧溶媒が、n-ヘプタン、n-ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンからなる群から選択される1種またはそれらの任意の組み合わせで
あること、
を含む、請求項6に記載の調製方法。
【請求項8】
式(1):
【化5】
で表される化合物の調製における、請求項1に記載の式(9c)で表される化合物、又は請求項5に記載の式(10c)で表される化合物またはその塩の使用。
【請求項9】
式(1)で表される化合物の調製方法であって、
(I)塩基性条件下で、式(10c)で表される化合物またはその塩を加水分解または加アルコール分解して、式(11)で表される化合物を得ること
【化6】
、及び
(II)式(11)で表される化合物を、酢酸と反応させ、式(1)で表される化合物を得ること、
【化7】
を含む、調製方法。
【請求項10】
式(10c)で表される化合物またはその塩は、
(III)式(16)で表される化合物またはその塩を、式(17)で表される化合物と反応させて、式(9c)で表される化合物を得ること、ここで、Xは脱離基であり、Pivはピバロイルであり、
【化8】
及び
(IV)式(9c)で表される化合物を酸と反応させて、式(10c)で表される化合物またはその塩を得ること
【化9】
を含む方法により調製される、請求項9に記載の調製方法。
【請求項11】
ステップ(I)において、
塩基性条件下で、式(10c)で表される化合物またはその塩を、加水分解または加アルコール分解し、反応は温度45~50℃で行われ、反応終了後、温度を下げ、そして、ろ過し、式(11)で表される化合物を含む濾液が得られ;
ここで、加水分解は、水を含むエタノール及びメタノールの1種または2種を使用して行われ、
加アルコール分解は、無水エタノール及びメタノールの1種または2種を使用して行われ、
前記塩基性条件下で使用される塩基は、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、DBU、ナトリウムメトキシドおよびナトリウムエトキシドからなる群から選択される1種またはそれらの任意の組み合わせであり;
ステップ(II)において、
得られた式(11)の化合物を含む濾液に、酢酸を加えて、撹拌した後、酢酸エチルと水を滴下し、3~4時間撹拌を続け、反応終了後、ろ過し、リンスし、真空乾燥して式(1)で表される化合物を得る、
請求項9に記載の調製方法。
【請求項12】
ステップ(III)において、
塩基性条件下で、式(16)で表される化合物またはその塩を、第1の反応溶媒に、式(17)で表される化合物と4~5時間反応させ、式(9c)で表される化合物が得られ、反応は温度40~45℃で行われ、
ここで、前記化合物(17)の脱離基Xは、ハロゲン、メタンスルホナート、トリフルオロメタンスルホナートまたはp-トルエンスルホナートから選択され、
前記式(16)で表される化合物の塩は、塩酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、およびコハク酸塩から選択され、
前記塩基性条件下で使用される塩基は、炭酸塩、リン酸塩、重炭酸塩及びリン酸水素塩からなる群から選択される1種またはそれらの任意の組み合わせであり、
前記第1の反応溶媒は、アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、および酢酸エチルからなる群から選択される1種またはそれらの任意の組み合わせであり、
反応終了後、温度を下げ、そして、ろ過して、第1の有機溶媒と水で溶解して、無機塩を取り除き、第1の貧溶媒を加えて固体を析出させ、ろ過した後真空乾燥して式(9c)で表される化合物が得られ、
前記第1の有機溶媒は酢酸エチルであり、
前記第1の貧溶媒は、アセトニトリル、メチルtert-ブチルエーテル、エチルエーテル、n-ヘプタン、n-ヘキサン、シクロヘキサンからなる群から選択される1種またはそれらの任意の組み合わせであり;
ステップ(IV)において、以下のステップを含み、
(a1)第2の反応溶媒に、式(9c)で表される化合物を、酸と2~3時間反応させ、反応は温度15~20℃で行われ、
前記第2の反応溶媒は、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸メチル、酢酸イソプロピル、ジクロロメタンおよびクロロホルムからなる群から選択される1種またはそれらの任意の組み合わせであり、
前記酸は、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸およびp-トルエンスルホン酸一水和物からなる群から選択される1種またはそれらの任意の組み合わせで
あること、
及び
(b1)反応終了後、過剰の酸を塩基で中和し、第2の貧溶媒を加えて固体を析出させ、ろ過した後、真空乾燥して式(10c)で表される化合物またはその塩が得られ、
過剰な酸を中和するための塩基は、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三カリウム、および水酸化ナトリウムからなる群から選択される1種またはそれらの任意の組み合わせであり、前記第2の貧溶媒が、n-ヘプタン、n-ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンからなる群から選択される1種またはそれらの任意の組み合わせで
ある、
請求項10に記載の調製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願の相互参照〕
本願は、2018年1月18日に中国知的財産権局に出願された、「ピラノース置換ピラゾール化合物及びその調製方法」と題された、第201810052483.8号の中国特許出願の優先権を主張し、その全内容は引用により、本願に組み込まれる。
【0002】
本願は、医薬品化学の分野に属し、医薬中間体として使用されるピラノース置換ピラゾール化合物、その調製方法および使用に関する。
【背景技術】
【0003】
糖尿病は、複数の病因による引き起こす慢性高血糖を特徴とする、生涯にわたる代謝性疾患である。長期にわたる高血糖値は、大血管や微小血管の損傷を起こし、心臓、脳、腎臓、末梢神経、目、足などに影響を与える。世界保健機関の統計によると、糖尿病は、合併症が100種類以上と高く、今まで知られている合併症が最も多い疾患であり、かつ発症率も増加する傾向を示す。腎臓は、体内の糖代謝において非常に重要な役割を果たしている。グルコースは、生体内で細胞膜の脂質二重層を自由に通過できず、細胞膜上のグルコーストランスポーターに依存する必要がある。ナトリウム共役型グルコース輸送体(SGLTs)は、グルコースなどの炭水化物の吸収を担うトランスポーターの1つであることが知られている。より具体的に、SGLT1は、グルコースを輸送して、小腸の刷子縁膜を透過させる役割を担う。SGLT1に対する阻害は、小腸内でグルコースの吸収の低下を引き起こすため、糖尿病の治療に用いられる。
【0004】
イーライリリー・アンド・カンパニーは、糖尿病の代替医薬品および治療について、新型のSGLTs阻害剤を開発した。CN105705509には、当該SGLTs阻害剤-ピラゾール化合物が開示される。その構造は、下記式(1)で表される。
【化1】
【0005】
医薬品の製造プロセスは厳しく、医薬品の有効成分の純度は医薬品の品質と安全有効性に直接影響を与えることがよく知られている。合成経路を最適化・簡略化させ、中間体の純度を厳密に制御することは、医薬品の生産を改善し、品質管理と製剤開発を最適化することなどにとって、非常に重要なことである。
【0006】
CN105705509は、式(1)の化合物の合成方法を開示した。その中で、スキーム4において、ステップBにより、中間体である2-{(3E)-4-[3-メチル-4-({5-(プロパン-2-イル))-3-[(2,3,4,6-テトラアセチル-β-D-グルコピラノシル)オキシ]-1H-ピラゾール-4-イル}メチル)フェニル]ブタン-3-エン-1-イル}-2,9-ジアザスピロ[5.5]ウンデカン-9-ギ酸-tert-ブチル(調製例12bで得られた化合物)を黄色の泡沫状として得た(収率68.6%、純度94%)。このステップには、シリカゲルカラムにより精製し、生産性が低く、コストが高く、且つ品質管理性も劣る。スキーム4におけるステップCにより、中間体である2-{(3E)-4-[3-メチル-4-({5-(プロパン-2-イル)-3-[(2,3,4,6-テトラアセチル-β-D-グルコピラノシル)オキシ)-1H-ピラゾール-4-イル}メチル)フェニル]ブタン-3-エン-1-イル}-2,9-ジアザスピロ[5.5]ウンデカン(製造例18で得られた化合物)を黄色固体として得た(純度95.0%)。上記二つのステップで得られた中間体の純度はいずれも比較的に低い。そして、CN105705509の明細書の段落「0141」および「0142」に記載の方法により調製された式(1)の化合物の純度は、96.7%である。得られた最終的な化合物は純度が高くないので、後の医薬品の調製に不利である。
【0007】
そこで、上記プロセスの欠陥に対して、製造プロセスを簡略化し、製品の品質管理を向上するように、式(1)の化合物を合成するための新たな中間体、および式(1)の化合物の新たな合成経路を開発することが急務である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本願が解決しようとする技術的問題は、従来の技術の不備を解消するように、式(1)で表される化合物を合成するための、式(9c)で表される化合物、(10c)で表される化合物またはその塩を含む新たな重要中間体を提供することであり、さらに、本願は、上記中間体の調製方法および式(1)で表される化合物の新たな合成経路も提供する。本願の調製方法によれば、式(9c)で表される化合物が結晶として析出することができ、式(10c)で表される化合物またはその塩が結晶として析出することができる。それにより、中間体の粗生産物の純度を向上させ、式(1)で表される化合物の合成プロセスは大幅に簡略化され、コストが低く、収率が高く、工業生産も容易になる。本願の重要中間体および合成経路によれば、高純度の式(1)で表される化合物を生産することができる。
【0009】
本願の1つの目的は、SGLTs阻害剤である式(1)で表される化合物を合成するための重要中間体を提供する。
【0010】
本願のもう1つの目的は、上記の重要中間体の調製方法を提供する。
【0011】
本願のもう1つの目的は、式(1)で表される化合物の調製における上記の重要中間体の使用を提供する。
【0012】
本願のもう1つの目的は、式(1)で表される化合物の調製方法を提供する。
【0013】
本願の第1の態様は、式(9c)で表される化合物に関する。
【化2】
(ここで、Pivはピバロイル(pivaloyl)である。)
【0014】
本願の他の態様は、式(16)で表される化合物またはその塩を、式(17)で表される化合物と反応させて、式(9c)で表される化合物が得られることを含む式(9c)で表される化合物の調製方法に関する。
【化3】
(ここで、Xは脱離基であり、Pivはピバロイルである。)
【0015】
式(9c)で表される化合物の調製方法における実施形態の一部では、脱離基Xは、ハロゲン、メタンスルホナート、トリフルオロメタンスルホナートまたはp-トルエンスルホナートから選択され、より好ましくはハロゲンである。
【0016】
本明細書で、上記の「ハロゲン」とは、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素などをいう。
【0017】
本明細書で、「Boc」とは、tert-ブトキシカルボニルをいう。
【0018】
式(9c)で表される化合物の調製方法における実施形態の一部では、式(16)で表される化合物の塩は、塩酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、またはコハク酸塩などであることができる。
【0019】
式(9c)で表される化合物の調製方法における実施形態の一部では、反応は、塩基性条件下で第1の反応溶媒に行われる。
【0020】
本願の式(9c)で表される化合物の調製方法における1つの実施形態では、中間体である式(9c)で表される化合物を調製するステップは以下の通りである:
(1)塩基性条件下で、式(16)で表される化合物を、第1の反応溶媒に式(17)で表される化合物と4~5時間反応させ、反応は温度40~45℃で行われ、
(2)反応終了後、温度を下げて、そしてろ過して、第1の有機溶媒と水で得られた固体を溶解、ろ過して、無機塩を取り除き、第1の貧溶媒を加えて固体を析出させ、ろ過した後、真空乾燥し、式(9c)で表される化合物を得た。
【0021】
実施形態の一部では、第1の有機溶媒は酢酸エチルであっても良い。
【0022】
実施形態の一部では、第1の貧溶媒は、アセトニトリル、メチル-tert-ブチルエーテル、エチルエーテル、n-ヘプタン、n-ヘキサン、およびシクロヘキサンからなる群から選択される1種またはそれらの任意の組み合わせであっても良い。
【0023】
上記の式(9c)で表される化合物の調製方法における実施形態の一部では、塩基性条件下で使用される塩基は、炭酸塩、リン酸塩、炭酸水素塩、リン酸水素塩などであっても良い。具体的な実施プロセスにおいて、炭酸塩、リン酸塩、炭酸水素塩、およびリン酸水素塩に対応するカチオンは、アルカリ金属元素から選択されることができる。
【0024】
本願によれば、第1の反応溶媒は特に限定されないが、式(16)および式(17)で表される化合物を溶解できる溶媒が好ましい。
【0025】
一例として、第1の反応溶媒は、極性溶媒から選択される1種、2種または複数種であっても良い。
【0026】
例えば、上記の(9c)で表される化合物の調製方法の実施形態の一部において、第1の反応溶媒は、アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、および酢酸エチルから選択される1種又はそれらの任意の組み合わせであっても良い。
【0027】
本願の別の態様は、式(10c)で表される中間体化合物またはその塩に関する。
【化4】
(ここで、Pivはピバロイルである。)
【0028】
好ましくは、式(10c)で表される化合物の塩は、メタンスルホン酸塩またはp-トルエンスルホン酸塩である。
【0029】
本願の別の態様は、式(10c)で表される化合物またはその塩の調製方法に関し、この方法は、式(9c)で表される化合物を酸と反応させて、式(10c)の化合物またはその塩を得ることを含む。
【化5】
(ここで、Pivはピバロイルである。)
【0030】
本願の式(10c)で表される中間化合物またはその塩の調製方法の1つの実施形態では、
(a)第2の反応溶媒に、式(9c)で表される化合物を、酸と2~3時間反応させ、反応温度が15~20℃であり、
ここで、第2の反応溶媒は酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸メチル、酢酸イソプロピル、ジクロロメタンおよびクロロホルムからなる群から選択される1種またはそれらの任意の組み合わせであり、
酸はメタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸およびp-トルエンスルホン酸一水和物からなる群から選択される1種またはそれらの任意の組み合わせであり、
(b)反応終了後、過剰の酸を塩基で中和し、第2の貧溶媒を加えて固体を析出させ、ろ過した後、真空乾燥して式(10c)で表される化合物またはその塩を得ること、を含む。
【0031】
実施形態の一部では、過剰な酸を中和するための塩基は、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三カリウム、および水酸化ナトリウムからなる群から選択される1種またはそれらの任意の組み合わせである。
【0032】
実施形態の一部では、第2の貧溶媒は、n-ヘプタン、n-ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンからなる群から選択される1種またはそれらの任意の組み合わせである。
【0033】
実施形態の一部では、過剰な酸を中和するための塩基は、水酸化カリウムであり、第2の貧溶媒は、n-ヘプタンである。
【0034】
ステップ(a)の具体的な実施プロセスにおいて、第2の反応溶媒に、酸を分割で添加されてもよい。
【0035】
本願の他の態様は、式(1):
【化6】
で表される化合物の調製における、上記の式(9c)で表される化合物、あるいは上記の式(10c)で表される化合物またはその塩の使用に関する。
【0036】
本願の他の態様は、式(1)で表される化合物の調製方法に関し、この方法が、
(I)塩基性条件下で、式(10c)で表される化合物またはその塩を加水分解または加アルコール分解して、式(11)で表される化合物を得ること、
【化7】
(II)式(11)で表される化合物を酢酸と反応させ、式(1)で表される化合物を得ること、を含む。
【化8】
【0037】
本願の式(1)で表される化合物の調製方法の実施形態の一部において、式(10c)で表される化合物またはその塩は、以下の方法により調製することができる:
(III)式(16)で表される化合物またはその塩を式(17)で表される化合物と反応させて、式(9c)で表される化合物が得られ(ここで、Xは脱離基であり、Pivはピバロイルである。)、
【化9】
(IV)式(9c)で表される化合物を酸と反応させて式(10c)で表される化合物またはその塩を得る。
【化10】
【0038】
本願の式(1)で表される化合物の調製方法の実施形態の一部では、ステップ(I)において、
塩基性条件下で、式(10c)で表される化合物またはその塩を、加水分解または加アルコール分解し、反応は、温度45~50℃で行われ、反応終了後、温度を下げて、そしてろ過し、式(11)で表される化合物を含む濾液が得られ、
ここで、加水分解は、水を含有するエタノール及びメタノールの1種または2種を使用して行われ、加アルコール分解は、無水のエタノール及びメタノールの1種または2種を使用して行われ、塩基性条件下で使用される塩基は、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、DBU(1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]-ウンデカ-7-エン)、ナトリウムメトキシドおよびナトリウムエトキシドからなる群から選択される1種またはそれらの任意の組み合わせであり、
ステップ(II)において、
得られた式(11)の化合物を含む濾液に酢酸を加えて、撹拌後、酢酸エチルと水を滴下し、3~4時間撹拌を続け、反応終了後、ろ過し、リンス、真空乾燥して式(1)で表される化合物を得る。
【0039】
本願の式(1)で表される化合物の調製方法の実施形態の一部では、
ステップ(III)において、
塩基性条件下で、式(16)で表される化合物またはその塩を、第1の反応溶媒に式(17)で表される化合物と4~5時間反応させ、式(9c)で表される化合物が得られ、反応は、温度40~45℃で行われ;
ここで、化合物(17)の脱離基Xは、ハロゲン、メタンスルホナート、トリフルオロメタンスルホナートまたはp-トルエンスルホナートから選択され、
式(16)で表される化合物の塩は、塩酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩から選択され、
塩基性条件下で使用される塩基は、炭酸塩、リン酸塩、炭酸水素塩及びリン酸水素塩からなる群から選択される1種またはそれらの任意の組み合わせであり、
上記の第1の反応溶媒は、アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、および酢酸エチルからなる群から選択される1種またはそれらの任意の組み合わせであり、
反応終了後、温度を下げて、そしてろ過して、第1の有機溶媒と水で得られた固体を溶解、ろ過して無機塩を取り除き、第1の貧溶媒を加えて固体を析出させ、ろ過した後真空乾燥して式(9c)で表される化合物が得られ、
好ましくは、上記の第1の有機溶媒は酢酸エチルであり、
より好ましくは、第1の貧溶媒は、アセトニトリル、メチルtert-ブチルエーテル、エチルエーテル、n-ヘプタン、n-ヘキサン、シクロヘキサンからなる群から選択される1種またはそれらの任意の組み合わせであり、
ステップ(IV)において、以下のステップを含む:
(a1)第2の反応溶媒に、式(9c)で表される化合物を、酸と2~3時間反応させ、反応温度が15~20℃であり、
ここで、上記の第2の反応溶媒は酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸メチル、酢酸イソプロピル、ジクロロメタンおよびクロロホルムからなる群から選択される1種またはそれらの任意の組み合わせであり、
酸はメタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸およびp-トルエンスルホン酸一水和物からなる群から選択される1種またはそれらの任意の組み合わせであり、
(b1)反応終了後、過剰の酸を塩基で中和し、第2の貧溶媒を加えて固体を析出させ、ろ過し、真空乾燥して式(10c)で表される化合物またはその塩を得る。
【0040】
実施形態の一部では、過剰な酸を中和するための塩基は、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三カリウム、および水酸化ナトリウムからなる群から選択される1種またはそれらの任意の組み合わせである。
【0041】
実施形態の一部では、第2の貧溶媒は、n-ヘプタン、n-ヘキサン、シクロヘキサン、及びメチルシクロヘキサンからなる群から選択される1種またはそれらの任意の組み合わせである。
【0042】
実施形態の一部では、過剰な酸を中和するための塩基は、水酸化カリウムであり、第2の貧溶媒は、n-ヘプタンである。
【0043】
ステップ(IV)の具体的な実施プロセスにおいて、第2の反応溶媒に、酸を分割で添加されてもよい。
【0044】
本願の有益な効果は次のとおりである:
1)本願は、新たな式(9c)で表される化合物、新たな式(10c)で表される化合物またはその塩、およびそれらの調製方法を提供する。発明者は、大量の実験を行ってスクリーニングと検証をしたところ、式(9c)で表される化合物でも、式(10c)で表される化合物またはその塩でも、結晶として析出しやすく、元のプロセス(CN105705509A)における製造例12b及び製造例18で得られた化合物と比べて、分離および精製が容易であることを予想せずに見出した。
【0045】
2)本願は、式(1)で表される化合物の、新たな調製方法を提供する。かかる新たな調製方法は、元のプロセスと比べて、製造プロセスが簡略化になり、生産コストが低下になり、製品品質が比較的に向上されて(粗製品の純度は99%以上に達しうる。)、さらに、工業生産も容易になる。
【0046】
3)本願は、式(1)で表される化合物の調製における式(9c)で表される化合物および式(10c)で表される化合物の使用を提供する。式(9c)で表される化合物、式(10c)で表される化合物またはその塩は、より精製しやすいため、薬物の品質管理をより有利に確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
本願の実施例および従来技術の技術案をより明確に説明するために、以下、実施例および従来技術で使用される図面に対して、簡単に説明する。以下の説明における図面は、本願の実施例の一部に関するものに過ぎないことは明らかである。当業者は、独創的な試みをせずに、これらの図面に基づいて他の図面を獲得できる。
【0048】
【
図1】式(9c)で表される化合物の核磁気共鳴スペクトルであり、
【
図2】式(10c)で表される化合物の核磁気共鳴スペクトルであり、
【
図3】式(1)で表される化合物の核磁気共鳴スペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0049】
本願が解決しようとする技術的問題、技術案、および有益な効果をより明確にするために、以下では、具体的な実施例により本願を更に説明する。以下の実施例において、別に断らない限り、上記の試験方法において、具体的な条件は、一般的に、通常の条件または製造業者が推奨する条件に従って実施される。上記の原薬や試薬は、いずれも市販品でありか、又は、公開情報を使用して調製されるものである。上記の百分率、割合または部などは、重量に準して計算される。
【0050】
本願の1つの好ましい実施形態では、式(1)の化合物を調製するための完全な反応経路を以下に示す:
【化11】
上記の経路は、本願の発明の目的に応じて提案された反応経路の1つだけであり、本願を制限するものにならない。
【0051】
その中で、式(16)で表される化合物および式(17)で表される化合物は、いずれも、開示された方法により調製することができる。式(16)および式(17)で表される化合物の具体的な調製プロセスは、ここで余計な記載をしない。
【0052】
実施例1
式(16)で表される化合物626g、アセトニトリル6L、炭酸セシウム840g、及び2,3,4,6-テトラ-O-ピバロイル-α-D-グルコピラノシルブロミド1770g(式(17)で表される化合物)を順次に反応釜に入れ、40℃~45℃に加温し、4~5時間反応させた後、温度を20~25℃まで下げて、ろ過して、アセトニトリルで得られた固体を1回リンスし、酢酸エチル8Lと水10Lでフィルターケーキを溶解した後、溶液を分離し、有機相を約3Lに濃縮し、10Lのアセトニトリルを加え、12時間撹拌し、固体を析出させ、ろ過し、アセトニトリルでフィルターケーキをリンスし、60℃で24時間真空乾燥して、類白色結晶として、式(9c)で表される化合物652gを得た。収率が61%、HPLC純度が98.52%、融点が180.0-182.1℃である。
1HNMR(400MHz,MeOD)(
図1参照):δ7.10(s,1H),7.03(d,J=8.0Hz,1H),6.86(d,J=8.0Hz,1H),6.39(d,J=15.6,1H),6.19-6.12(m,1H),5.59(d,J=8.4Hz,1H),5.40-5.35(t,J=9.6Hz,1H),5.17-5.06(m,2H),4.18-4.14(dd,J=12.4Hz,4.4Hz,1H),4.10-4.06(dd,J=12.4Hz,1.6Hz,1H),3.92-3.89(dd,J=10Hz,2.4Hz,1H),3.64-3.54(dd,J=20Hz,16.8Hz,2H),3.31-3.30(m,4H),2.86-2.79(m,1H),2.37-2.29(m,11H),1.63-1.38(m,17H),1.15-1.05(m,42H)。MS(m/z):1035.7(M+H),1057.6(M+Na)。
【0053】
式(9c)で示されている化合物640gと酢酸エチル6.4Lを順次に反応釜に入れ、温度を15℃~20℃まで下げる。p-トルエンスルホン酸一水和物1176gを分割で添加して、2-3時間反応させる。反応終了後、9%の水酸化カリウム水溶液3.5Lを加え、10分間撹拌して、溶液を分離し、水相を廃棄した。有機相を、3.5Lの9%水酸化カリウム水溶液および3.5Lの3%水酸化カリウム水溶液で順次に洗浄してから、2.5Lに濃縮した。残存物にn-ヘプタン21Lを加えて、添加終了後、12時間撹拌を続け、ろ過し、n-ヘプタンでフィルターケーキをリンスし、このフィルターケーキを、60℃で24時間真空乾燥して、白色結晶として、式(10c)で表される化合物のp-トルエンスルホン酸塩550gを得た。収率が80%、純度が97.59%、融点が168.0~169.2℃である。
1HNMR(400MHz,MeOD)(
図2参照):δ7.72(d,J=7.6Hz,2H),7.24(d,J=8.0Hz,2H),7.10(s,1H),7.03(d,J=8.0Hz,1H),6.86(d,J=8.0Hz,1H),6.39(d,J=15.6,1H),6.19-6.12(m,1H),5.60(d,J=8.0Hz,1H),5.41-5.37(t,J=9.6Hz,1H),5.17-5.06(m,2H),4.18-4.14(dd,J=12.4Hz,4.0Hz,1H),4.10-4.07(d,J=11.6Hz,1H),3.94-3.91(dd,J=7.2Hz,2.8Hz,1H),3.64-3.54(dd,J=20.0Hz,16.8Hz,2H),3.31-3.30(m,4H),2.86-2.79(m,1H),2.49-2.29(m,14H),1.78-1.44(m,8H),1.15-1.05(m,42H)。MS(m/z):935.7(M+H)。
【0054】
水酸化カリウム82.6g、無水エタノール5.5Lおよび式(10c)で表される化合物のp-トルエンスルホン酸塩550gを順次に反応釜に入れて、45~50℃で約4時間撹拌した。温度を20-25℃まで下げ、濾過し、エタノールで固体をリンスし、濾液とリンス液を合わせ、そこに酢酸65gを加え、15min撹拌した。反応液を約1.5Lに減圧濃縮し、酢酸52gをさらに加えた。20min撹拌した後、3%水を含む酢酸エチル4.5Lと精製水160mLを滴下した。滴加終了後、3~4時間撹拌を続け、濾過し、3%水を含む酢酸エチルでフィルターケーキをリンスした。固体を反応釜に移し、500mLの水を加え、18時間撹拌した。ろ過し、水、およびエタノール/酢酸エチル混合溶媒でフィルターケーキを順次にリンスした。フィルターケーキを35-40℃で4時間真空乾燥して、白色固体として、式(1)で表される化合物245gを得た。収率が75%、純度が99.55%である。
1HNMR(400MHz,MeOD)(
図3参照):δ7.11(s,1H),7.05(d,J=7.6Hz,1H),6.89(d,J=8.0Hz,1H),6.39(d,J=16.0,1H),6.20-6.13(dt,J=15.6Hz,6.8Hz,1H),5.03-5.01(m,1H),3.83(d,J=11.2,1H),3.71-3.59(m,3H),3.35-3.30(m,4H),3.09-3.06(t,J=6Hz,4H),2.87-2.77(m,1H),2.49-2.31(m,6H),2.30(s,3H),2.26(s,2H),1.90(s,3H),1.78(m,2H),1.68(m,2H),1.65(m,2H),1.44-1.43(m,2H),1.13(d,J=6.8Hz,3H),1.11(d,J=6.8Hz,3H),MS(m/z):599.5(M+H)。
【0055】
実施例2
式(16)で表される化合物のマレイン酸塩5.00kg、テトラヒドロフラン40L、リン酸三カリウム5.47kg、および2,3,4,6-テトラ-O-ピバロイル-α-D-グルコピラノシルブロミド(式(17)で表される化合物)11.67kgを順次に反応釜に入れて、40~45℃に加温し、4~5時間反応させた後、温度を15~25℃まで下げて、濾過し、テトラヒドロフランで固体を1回リンスした。酢酸エチル36Lおよび水20Lでフィルターケーキを溶解、溶液を分離した。有機相を約18Lに濃縮し、アセトニトリル64Lを加え、15時間撹拌した。ろ過し、アセトニトリルでフィルターケーキをリンスし、60℃で24時間真空乾燥して、類白色結晶として、式(9c)で表される化合物4.50kgを得た。収率が57%、HPLC純度が99.19%である。
【0056】
式(9c)で表される化合物4.45kgおよび酢酸ブチル45Lを順次に反応釜に入れて、温度を15℃~20℃まで下げる。4.13kgのメタンスルホン酸を分割で加え、2~3時間反応させた。9%水酸化カリウム水溶液22Lを加え、10min撹拌して、溶液を分離し、水相を廃棄した。有機相を、10Lの9%、4.5Lの10%および2Lの2.5%水酸化カリウム水溶液で順次に洗浄した後、15Lに濃縮した。残存物にn-ヘプタン68Lを加え、添加終了後、12時間撹拌を続け、ろ過し、n-ヘプタンでフィルターケーキを1回リンスした。固体を60℃で24時間真空乾燥して、白色結晶として、式(10c)で表される化合物のメタンスルホン酸塩4.37kgを得た。収率が99%、純度が97.94%である。
【0057】
水酸化カリウム0.73kg、メタノール43L、および式(10c)で表される化合物4.30kgを、順次に反応釜に入れて、45~50℃で4時間撹拌した。温度を20-25℃まで下げて、ろ過し、ろ液に酢酸0.56kgを加え、15min撹拌した。反応液を約15Lに減圧濃縮し、酢酸0.40gを加えた。10min撹拌した後、3%の水を含む酢酸エチル39Lと精製水1.3Lを滴下した。滴加終了後、約2時間撹拌を続けた。ろ過し、3%の水を含む酢酸エチルでフィルターケーキを一回リンスした。固体を反応釜に移し、水3.5Lを加え、18時間撹拌した。ろ過して、水、およびエタノール/酢酸エチル混合溶媒でフィルターケーキを順次にリンスした。フィルターケーキを35-40℃で真空乾燥して、白色固体として、式(1)で表される化合物(1)1.84kgを得た。収率が67%、純度が99.65%である。
【0058】
これで分かるように、本願は、新たな重要中間体である式(9c)で表される化合物、および式(10c)で表される化合物またはその塩により、調製プロセスを大幅に簡略化した。そして、重要中間体である式(9c)で表される化合物、式(10c)で表される化合物またはその塩は、結晶として析出することができ、精製しやすいため、式(1)で表される化合物の純度が元の調製経路より大幅に向上され(粗製品の純度は99%以上に達しうる。)、製品の品質管理を効果的に達成した。そして、本願の調製方法は、更に、生産サイクルを短縮し、生産コストを低下し、効果的に生産効率を改善し、工業生産には有利である。
【0059】
上記の実施例は、本発明の実質的な内容を説明することのみを意図し、本発明を限定することを意図するものではない。当業者が理解できるように、本発明の趣旨及び原則の範囲内で行われた何れの補正、同等の置換及び改良等も、本発明の請求の範囲内に含まれる。