(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-02
(45)【発行日】2023-05-15
(54)【発明の名称】伸縮継手
(51)【国際特許分類】
C10G 11/18 20060101AFI20230508BHJP
F16L 27/12 20060101ALI20230508BHJP
【FI】
C10G11/18
F16L27/12 Z
(21)【出願番号】P 2020554131
(86)(22)【出願日】2019-04-02
(86)【国際出願番号】 BR2019050120
(87)【国際公開番号】W WO2019191825
(87)【国際公開日】2019-10-10
【審査請求日】2022-02-10
(31)【優先権主張番号】BR102018006918-7
(32)【優先日】2018-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BR
(73)【特許権者】
【識別番号】591005349
【氏名又は名称】ペトロレオ ブラジレイロ ソシエダ アノニマ - ペトロブラス
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【氏名又は名称】加藤 竜太
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100120684
【氏名又は名称】宮城 三次
(72)【発明者】
【氏名】コエーリョ スキアヴォ,ラファエル
(72)【発明者】
【氏名】フレイレ,パウロ セルジオ
(72)【発明者】
【氏名】パトリシオ ジュニア,ネルソン
(72)【発明者】
【氏名】フレイレ サンデス,エマニュエル
(72)【発明者】
【氏名】アルバニ シケイラ,ダイアナ
【審査官】澤村 茂実
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2007/0236011(US,A1)
【文献】特開平11-006589(JP,A)
【文献】中国実用新案第201697122(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10G 11/18
F16L 27/00-27/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動接触分解装置の分離容器内の2つの管を接続するための伸縮継手であって、
第1の管と、
第2の管と、
を備え、
前記2つの管は、前記第1および前記第2の管と実質的に平行に延びている第1の部分と、前記第1および前記第2の管と実質的に垂直に延びている第2の部分とを備えるスライドリングによって、それらの端部で一緒に接続されてL形状を形成し、
前記第1の管は、その端部に固定された取付座と、フランジ付きリングとを備え、前記フランジ付きリングおよび前記取付座は、前記スライドリングの前記第2の部分を少なくとも部分的に包囲するように構成され、
前記伸縮継手は、前記スライドリングの前記第2の部分と前記取付座との間の第1の空間に配置され、前記スライドリングの前記第2の部分に平行な方向に分配されている、第1の複数のガスケットを備え
、
前記スライドリングと前記第2の管との間に第2の空間が形成され、第2の複数のガスケットが前記第2の空間に設けられ、前記スライドリングの前記第1の部分と平行の方向に分配されており、
前記第1の複数のガスケットは、最高600℃までの温度に耐性を有する材料の周囲に巻き付けられた金属編組のリングを備え、
前記第2の複数のガスケットは、最高600℃までの温度に耐性を有する材料の周囲に巻き付けられた金属編組のリングを備える、
伸縮継手。
【請求項2】
前記スライドリングの前記第1の部分は、前記第2の管の周囲に延びている、請求項1に記載の伸縮継手。
【請求項3】
圧縮エレメントが前記取付座を前記フランジ付きリングに向かって付勢するための力を加えるために設けられる、請求項1
または2に記載の伸縮継手。
【請求項4】
前記圧縮エレメントは1以上のねじを備える、請求項
3に記載の伸縮継手。
【請求項5】
前記フランジ付きリングと前記取付座との間に配置された止め具をさらに備え、前記止め具は、前記第1の複数のガスケットのつぶれ、または前記伸縮継手の半径方向の焼き付きを防ぐように構成される、請求項1乃至
4のいずれか一項に記載の伸縮継手。
【請求項6】
前記止め具は、前記取付座に配置された第1の突起と、前記フランジ付きリングに配置された第2の突起とを備える、請求項
1乃至5のいずれか一項に記載の伸縮継手。
【請求項7】
前記第2の複数のガスケットは、環状空間の全長を満たすために十分な巻き数で連続して配置される、請求項
1乃至
6のいずれか一項に記載の伸縮継手。
【請求項8】
前記巻き数が6以上である、請求項
7に記載の伸縮継手。
【請求項9】
前記
第1の複数のガスケットは、封止座と前記スライドリングとの間の空間を満たすために十分な巻き数で連続して配置されている、請求項1乃至
8のいずれか一項に記載の伸縮継手。
【請求項10】
前記巻き数が2以上である、請求項
9に記載の伸縮継手。
【請求項11】
前記スライドリングは、少なくとも部分的に前記管と同じ材料で構成されている、請求項1乃至
10のいずれか一項に記載の伸縮継手。
【請求項12】
前記第1の管と前記第2の管とが同心である、請求項1乃至
11のいずれか一項に記載の伸縮継手。
【請求項13】
前記スライドリングの前記第1の部分は、使用時に実質的に鉛直であり、前記スライドリングの前記第2の部分は、使用時に実質的に水平である、請求項1乃至
12のいずれか一項に記載の伸縮継手。
【請求項14】
前記第1および前記第2の管は、サイクロン内にある、請求項1乃至
13のいずれか一項に記載の伸縮継手。
【請求項15】
前記第1の管は、前記第2の管より大きな径を有する、請求項1乃至
14のいずれか一項に記載の伸縮継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、石油精製プロセスにおける流動接触分解装置(FCCU)の処理装置に関する。より具体的には、本開示は、流動接触分解装置(FCCU)の分離容器内のサイクロンの対の2つの同心管を接続するために使用される伸縮継手に関する。
【背景技術】
【0002】
伸縮継手は、通常、流動接触分解装置(FCCU)の分離容器内のサイクロンの対の2つの同心管を一緒に接続するために従来技術で用いられる。
【0003】
FCCUに適用するための当該タイプの伸縮継手の様々な構成は、従来技術から知られている。概して、これらの要素は、ガスの通過を防ぎ、リアクタ容器に直接接続されたサイクロンまたは疑似サイクロンと、第1のサイクロンとの間で、構成要素間でガスを通過させることなく、様々な方向に自由な熱膨張差を許容するスライドリングを採用しており、したがって収集管に対してのみ所望の流量を保証する。
【0004】
閉鎖型サイクロンシステムは、分離容器内のコークスの形成を低減し、分離された触媒の次の段階のサイクロンへの持ち越しを防ぐ、FCCUでの気固分離においても知られている。
【0005】
しかし、伸縮継手をスライドリングと併せて使用することによって得られる利得と、疑似サイクロン内の外部収集管を使用することによって得られる利得とを組み合わせて操作を実行可能にするために、継手で形成された環状空間におけるガスと蒸気の通過が可能な限り回避されなければならない。
【0006】
従来技術のいくつかの文書は、上記で引用された問題に対処しており、以下に提示される。
【0007】
ブラジル特許出願公開第BR9901484A号(特許文献1)(ブラジルでPI-9901484-0 B1として公開されている)は、接続管の接続領域において一定の間隔を有する環状部分を保証し、温度差変位への適応を可能にするために、接続管に結合されたスライドリングを備えた伸縮継手を開示している。
【0008】
ブラジル特許第BR0204737B1号(特許文献2)(ブラジルでPI-0204737-3 B1として公開されている)は、サイクロンシステムと、FCCプロセスにおいて固体粒子と気体粒子とを分離するためのプロセスとを開示している。この文書のシステムは、ブラジル特許出願公開第BR9901484A号(特許文献3)に記載されているようなスライドリングを備えた伸縮継手を備える。
【0009】
多くの理由により、引用された2つの文書の封止システムは、伸縮継手に十分な封止を提供せず、ガスの望ましくない通過を可能とするが、これは回避しなければならない。
【0010】
ブラジル特許出願公開第BRPI0506285A号(特許文献4)(ブラジルでPI-0506285-3 A2として公開されている)は、ガスの通過を防ぎ、リアクタ容器に直接接続された疑似サイクロンと、第1のサイクロンとの間に様々な方向での自由な熱膨張差を可能にする、FCCUに適用するためのスライドリングを備えた伸縮継手を開示しており、それらの構成要素間のガスの通過を許容しないことを懸念し、したがって収集管を介してのみプロセスにおける所望の流れを保証している。
【0011】
図1は、L字型のスライドリングを備えたサイクロンの接続管によって形成された伸縮継手について説明する、ブラジル特許出願公開第BRPI0506285A号(特許文献4)で提案されている伸縮継手の構成を示す。この構成では、L字型スライドリングの鉛直部に鉛直ガスケットが採用され、継手の封止能力を高め、この領域でのガス漏れを防止する。
【0012】
しかし、L字型スライドリングの水平部は、この領域を通るガスおよび蒸気の通過を防止するための封止要素を備えていないことが分かり、これは、問題、すなわち使用中のガスおよび蒸気の漏出を生じる場合がある。
【0013】
以下でより詳細に説明されるように、本開示は、実用的かつ効率的な方法で上記の従来技術の問題を解決することを目的とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【文献】ブラジル特許出願公開第BR9901484A号
【文献】ブラジル特許第BR0204737B1号
【文献】ブラジル特許出願公開第BR9901484A号
【文献】ブラジル特許出願公開第BRPI0506285A号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本開示の目的は、2つの接続された要素の向上したまたは完全な封止を提供し、ガスおよび蒸気の漏れを防ぐことを目的とする流動接触分解装置(FCCU)の分離容器内のサイクロンの対の2つの同心管を接続するための伸縮継手を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の目的を達成するために、本開示は、流動接触分解装置の分離容器内の2つの管を接続するための伸縮継手であって、第1の管と、第2の管と、を備え、前記2つの管は、前記第1および前記第2の管と実質的に平行に延びている第1の部分と、前記第1および前記第2の管と実質的に垂直に延びている第2の部分とを備えるスライドリングによって、それらの端部で一緒に接続されてL形状を形成し、前記第1の管は、その端部に固定された取付座と、フランジ付きリングとを備え、前記フランジ付きリングおよび前記取付座は、前記スライドリングの前記第2の部分を少なくとも部分的に包囲するように構成され、前記伸縮継手は、前記スライドリングの前記第2の部分と前記取付座との間の第1の空間に配置され、前記スライドリングの前記第2の部分に平行な方向に分配されている、第1の複数のガスケットを備える伸縮継手を提供する。
【0017】
任意選択として、前記スライドリングの前記第1の部分は、前記第2の管の周囲に延びている。
【0018】
任意選択として、前記スライドリングと前記第2の管との間に第2の空間が形成され、第2の複数のガスケットが前記第2の空間に設けられ、前記スライドリングの前記第1の部分と平行の方向に分配されている。
【0019】
任意選択として、圧縮エレメントが前記取付座を前記フランジ付きリングに向かって付勢するための力を加えるために設けられる。
【0020】
任意選択として、前記圧縮エレメントは1以上のねじを備える。
【0021】
任意選択として、前記フランジ付きリングと前記取付座との間に配置された止め具をさらに備え、前記止め具は、前記第1の複数のガスケットのつぶれ、または前記伸縮継手の半径方向の焼き付きを防ぐように構成される伸縮継手。
【0022】
任意選択として、前記止め具は、前記取付座に配置された第1の突起と、前記フランジ付きリングに配置された第2の突起とを備える。
【0023】
任意選択として、前記第2の複数のガスケットは、最高600℃までの温度に耐性を有する材料の周囲に巻き付けられた金属編組のリングを備える。
【0024】
任意選択として、前記第1の複数のガスケットは、最高600℃までの温度に耐性を有する材料の周囲に巻き付けられた金属編組のリングを備える。
【0025】
任意選択として、前記第2の複数のガスケットは、環状空間の全長を満たすために十分な巻き数で連続して配置される。
【0026】
任意選択として、前記巻き数が6以上である。
【0027】
任意選択として、前記第2の複数のガスケットは、封止座と前記スライドリングとの間の空間を満たすために十分な巻き数で連続して配置されている。
【0028】
任意選択として、前記巻き数が2以上である。
【0029】
任意選択として、前記スライドリングは、少なくとも部分的に前記管と同じ材料で構成されている。
【0030】
任意選択として、前記第1の管と前記第2の管とが同心である。
【0031】
任意選択として、前記スライドリングの前記第1の部分は、使用時に実質的に鉛直であり、前記スライドリングの前記第2の部分は、使用時に実質的に水平である。
【0032】
任意選択として、前記第1および前記第2の管は、サイクロン内にある。
【0033】
任意選択として、前記第1の管は、前記第2の管より大きな径を有する。
【0034】
流動接触分解装置の分離容器内のサイクロンの対の2つの同心管を接続するための双方向伸縮継手もまた開示されており、2つの同心管(2a、2b)が、2つの同心管(2a、2b)と一体となっているL形状のスライドリング(4)によって、それらの端部で一緒に接続されており、スライドリング(4)が鉛直部と水平部とを備え、大径管(2a)がその端部に固定された取付座(11)を備え、スライドリング(4)の水平部を少なくとも部分的に包囲するように構成されるように、フランジ付きリング(13)が想定され、圧縮エレメント(12)がフランジ付きリング(13)に対して取付座(11)を圧縮するための力を加えるように構成され、スライドリング(4)が小径管(2b)を備えた凹部領域内の鉛直環状空間(3a)を備え、鉛直環状空間(3a)は高温に耐性のある特殊な鉛直ガスケット(5a)を備えており、伸縮継手はスライドリング(4)の水平部と取付座(11)との間の空間に配置される高温に耐性のある特殊な水平ガスケット(5b)を備えることを特徴とする。
【0035】
任意選択として、圧縮エレメント(12)はねじを備える。
【0036】
任意選択として、継手はスライドリング(4)と支持座(11)との間に配置される止め具(14)を備え、止め具は水平ガスケット(5b)の押しつぶし、または継手の半径方向の焼き付きを防止するように構成されている。
【0037】
任意選択として、鉛直ガスケット(5a)および水平ガスケット(5b)は、最大600℃の温度に耐性のある材料が挿入された金属編組のリングを備える。
【0038】
任意選択として、鉛直ガスケット(5a)は環状空間(3a)の全長を充填するために十分な巻き数で連続的に配置され、最小の巻き数は6巻きである。水平ガスケット(5b)は、封止座(11)とスライドリング(4)との間の水平空間(3b)を充填するために十分な巻き数で連続的に配置され、最小の巻き数は2巻きである。
【0039】
任意選択として、スライドリング(4)は同心管(2a、2b)のために指定されているものと同等の材料で構成される。
【0040】
以下に提示される詳細な説明は、添付の図およびそれらの各参照番号を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】従来技術から知られている伸縮継手の構成を示す。
【
図2】従来技術から知られているFCCUの分離容器内のサイクロンシステムの概観を示す。
【
図3】従来技術から知られている外部収集管を備えた疑似サイクロンの図を示す。
【
図4】本開示による閉鎖型サイクロンシステムの伸縮継手の詳細を示す。
【発明を実施するための形態】
【0042】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2018年4月5日に出願されたBR 10 2018 006918-7に基づく優先権の利益を主張するものであり、その全体を参照により本明細書中に組み込むものとする。
【0043】
まず、以下に与える説明は、本発明の好ましい実施形態に基づいていることが強調される。しかし、当業者には明らかであるように、本発明は、この特定の実施形態に限定されない。
【0044】
図2は、従来技術から知られているFCCUの分離容器内のサイクロンシステムの概観を示す。
【0045】
図3は、従来技術から知られている外部収集管を含むサイクロン(または疑似サイクロン)の図を示す。当業者には既知の通り、外部収集管7は、FCCUの分離容器6に存在するガスのパージを最適化するために使用される。
【0046】
概して、図示のシステムは、気固分離のためのサイクロンシステム(閉鎖型サイクロンシステムであってもよい)を備える。このようなシステムは分離容器6内のコークスの形成を低減させるFCCUの中で使用される場合があり、分離された触媒の次の段階のサイクロンへの持ち越しを防ぐ。
【0047】
問題のシステムは、外部収集管7が設けられた疑似サイクロン8を備える。管7は、容器内のガス状炭化水素の滞留時間の減少とともに、分離容器6からのガスおよび蒸気のパージを最適化する。結果的に、システムは、分離容器6における過剰亀裂およびコークス形成の反応を防止する。
【0048】
図1、
図2、および
図3に示され、疑似サイクロン8に外部収集管7を備えた分離容器6の内部に配置される伸縮継手1の構成は、異なる径の2つの同心管2a、2bを備え、2つの同心管2a、2bは、それらの端部でスライドリングによって互いに接続される。
【0049】
図4は、本開示による伸縮継手の詳細を示しており、以下の段落で詳細に説明する。伸縮継手はサイクロンシステム、および特に閉鎖型サイクロンシステムの中で使用することができる。
図4は、
図1と比較して、管および継手を通る断面の半分を示していることが理解される。言い換えると、
図4の配置は、図示されていない(すなわち、
図1の点線と同じ位置に反映される)半径方向の反対側に対応する部分を有する。伸縮継手は、2方向(垂直の場合もある)の動きを可能にする、または補うため、双方向伸縮継手として知られている場合がある。
【0050】
本開示によれば、異なる径の2つの管2aおよび2bを備える伸縮継手1が設けられる。図のように、第1の管2aは第2の管2bよりも大きな径を有する。しかし、継手1はまた、逆に、第2の管2bが第1の管2aよりも大きな径を有するように設けられてもよい。流動接触分解装置(FCCU)に取り付けられる場合、第1の管2aおよび第2の管2bは、それらが同心になるように配置されてもよい。言い換えると、それらの縦軸(ゆえに、管自体)が同心であってもよい。継手では、第1の管2aおよび第2の管2bは、L形状のスライドリング4によって、それらの端部で互いに接続される。したがって、継手1はスライドリング4もまた備える。
【0051】
スライドリング4は一体的に形成されてもよい。スライドリング4のL形状は、第1および第2の管の縦軸に実質的に平行に延びる第1の部分を備えることが分かる。使用時、第1の部分は鉛直となる場合があるため、鉛直部と呼ぶことができる。図のように、第1の部分は第2の管2bの周囲に延びている。スライドリング4のL形状はまた、第1および第2の管の縦軸に実質的に垂直に延びる第2の部分を備える。使用時、第2の部分は水平となる場合があるため、水平部と呼ぶことができる。
【0052】
第1の管2aは、図のようにより大径の管であり、その端部に固定された取付座11を備える。
図4に示されるように、取付座11は、第1および第2の管の縦軸に実質的に垂直な方向に延びていてもよい。フランジ付きリング13も設けられる。フランジ付きリング13は、取付座11に隣接して設けられてもよい。フランジ付きリング13は、第1および第2の管の縦軸に実質的に垂直な方向に延びてもよい。フランジ付きリング13および取付座11は、スライドリング4の水平部を少なくとも部分的に包囲するように構成されてもよい。圧縮エレメント12も設けられる。圧縮エレメント12は、フランジ付きリング13に対して取付座11を圧縮する力を加えるように構成されてもよい。圧縮エレメント12は、フランジ付きリング13と取付座11との間に配置されてもよい。
【0053】
第1の空間3bは、スライドリング4の第2の部分と取付座11との間に形成されてもよい。この第1の空間は、その空間が半径方向に細長いため、水平空間または半径方向に延びる空間として知られる場合がある。本開示はまた、スライドリング4の第2の部分と取付座11との間の空間における第1の複数のガスケットの使用を想定している。第1の複数のガスケットは、スライドリングの第2の部分に平行な方向で一列に分配されている。これらのガスケットは、特殊な水平ガスケット5bとして知られている場合がある。第1の複数のガスケットは、高温に耐性がある場合があり、スライドリング4の水平(すなわち、第2の)部分と取付座11との間の空間に配置されてもよい。第1の複数の(水平)ガスケット5bは、スライドリング4と取付座11との間の第2の(すなわち、半径方向に延びる、または水平の)空間3bを封止する機能を有する。第1の複数のガスケットはまた、熱膨張によって引き起こされる、半径方向(すなわち、
図4に示される使用時の水平面)への同心管2a、2bの異なる動きを補償してもよい。
【0054】
スライドリング4は、第1の(すなわち、より小径の)管2bを備えた凹部領域に第2の空間3a(鉛直環状空間と見なされる場合がある)を備える。言い換えると、環状空間3aはスライドリングの第1の部分と第1の管2bとの間に形成されてもよい。これは、使用時に鉛直に、
図4に示す方向に延びるため、鉛直環状空間として知られる場合がある。この特徴は、熱膨張効果によって引き起こされる同心管2a、2bの差動運動を可能にする場合がある。
【0055】
これに加えて、第2の複数のガスケットが、鉛直環状空間(すなわち、第2の空間3a)に設けられてもよい。第2の複数のガスケットは、スライドリングの第1の部分に平行な方向で一列に分配されていてもよい(すなわち、管に平行で、使用時に鉛直となってもよい)。第2の複数のガスケット5aは、(特殊な)鉛直ガスケット5aとして知られる場合がある。第2の複数のガスケットは、高温に耐性がある場合がある。それらは、鉛直環状空間3aに配置され、それゆえに小径管2aとスライドリング4との間に配置されてもよい。鉛直ガスケット5aは、熱膨張によって引き起こされる同心管2a、2bの鉛直方向の差動運動を補う場合がある。
【0056】
いくつかの配列では、圧縮エレメント3bは少なくとも1つのねじ、または複数のねじ12、または取付座11をフランジ付きリング13に向かって付勢するためのいくつかの他のタイプの締結具を備える。これは、フランジ付きリング13を介してスライドリング4と支持座1との間の水平ガスケット5bを圧縮してもよい。
【0057】
いくつかの配列では、伸縮継手1はスライドリング4と取付(すなわち支持)座11との間に配置された止め具14を備える。止め具14は、水平ガスケット5bの押しつぶし、および/あるいは継手の半径方向の焼き付きを防止するように構成されていてもよい。これは、圧縮エレメント12によって加えられる過度の圧力(または付勢力)が原因で発生する場合がある。図示された構成では、止め具は2つの突起14を備え、一方の突起は取付座11に固定され、他方の突起はフランジ付きリング13に固定される。これにより、これらの要素の相互接近が制限され得る(つまり、フランジ付きリングに対する取付座の動きが制限される)。しかし、この特徴が本発明の保護の範囲に対する限定とならないように、他の構成を採用してもよいことが強調される。
【0058】
伸縮継手1は、同心管2a、2bの径の関数として寸法決めされてもよい。スライドリング4の寸法およびアスペクト比(すなわち、幅と、高さと、厚さとの間の関係)もまた、管2a、2bの径の関数として寸法決めされてもよい。このように、本開示の要素の寸法は、その範囲を制限する要因を表さない。
【0059】
本開示によると、鉛直ガスケット5aおよび水平ガスケット5bは、2つの同心管2a、2bとスライドリング4とその支持座11との間の相互接続において生成される空間3a、3bを封止し、弾力性のある材料を挿入した金属編組のリングであってもよい。言い換えると、金属編組は弾力性のある材料の周囲に巻き付けられてもよい。弾力性のある材料は、600℃までの温度に耐性がある場合がある。継手の設計パラメータに応じて、様々なガスケットの材料および/あるいは構成を使用してもよい。ガスケットは、同心管2a、2bの径の関数として寸法決めされてもよい。それらはまた、環状空間3aの関数および/あるいは水平ガスケット5bの圧縮を可能にするためのねじ12の圧力の関数として寸法決めされてもよい。当業者には明らかであるように、鉛直ガスケット3aおよび水平ガスケット3bの寸法は、各用途に従って寸法決めされてもよく、このことは本開示の範囲を限定する要因とならない。
【0060】
説明された構成では、鉛直ガスケット5aは、環状空間3aの全長を満たすために十分な巻き数(または十分な数の個々のガスケット)で連続して配置されてもよい。巻き数は最小6巻きであってもよい。水平ガスケット5bは、封止座11とスライドリング4との間の水平空間3bを満たすために十分な巻き数(または十分な数の個々のガスケット)で連続して配置されている。巻き数は最小2巻きであってもよい。
【0061】
このように、ガスケット5a、5bは、空間3a、3bを通るガスおよび蒸気の通過を最小限に抑える。これにより、分離容器6内のガスおよび蒸気が収集管7の入り口に導かれてもよい。
【0062】
これに加えて、当技術分野で周知されていない方法で、ガスケット5a、5bは、半径方向および縦方向で、同心管2a、2bの差動運動を可能にする。大径の同心管2bとスライドリング4のチューブとの間の空間3a、3bは従来技術で特定されたものよりも大きくてもよいため、これは、伸縮継手1の焼き付きのリスクを減少させる、または最小限に抑え得る。
【0063】
ここで説明されている伸縮継手1の追加の利点は、圧縮エレメント12とフランジ付きリング13とを単に取り外すことによりガスケット5bを交換し、元の操作状況に迅速に戻すために、メンテナンス停止における介入を受けられることである。
【0064】
任意選択として、スライドリング4は同心管2a、2bに指定されているものと同等の(すなわち、同一の、もしくは類似の)材料で構成される。しかし、構成材料は、本開示の伸縮継手1の範囲を限定する要因を示さないことが強調される。
【0065】
このように、L字型スライドリング4および鉛直ガスケット5aと水平ガスケット5bとによる密閉を採用した本明細書に記載の伸縮継手1の構成は、相互接続された部品の動きによって生成されるせん断の機能として、それが適用されるプロセスと直接的な相関関係を維持し、FCCUに適用された際にメンテナンスおよびコークスの除去のための望ましくない停止を回避することは明らかである。
【0066】
そのため、本開示の伸縮継手1は、(
図3に示すような)支柱のないサイクロン8で収集管7を使用することを可能にし、その結果、分離容器6の静止領域(dead region)でのコークスの形成を低減し、閉鎖型サイクロンシステムの操作の信頼性を保証し、FCCUの操作中に機械的な問題が結果として生じるリスクを示す非常に小さな隙間のある継手の使用を回避する。
【0067】
本願の保護の範囲内に含まれる多数の変形が許容される。これは、本発明が上記の特定の構成/実施形態に限定されないという事実を補強する。
【0068】
上述した装置および方法の変形例と、実行可能な異なる変形の組み合わせと、当業者に明らかである本発明の態様の変形とは、請求項の主旨および範囲内にあることが意図される。