(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-02
(45)【発行日】2023-05-15
(54)【発明の名称】ヒンジ式タワー面を備えた多部品水耕タワー
(51)【国際特許分類】
A01G 31/06 20060101AFI20230508BHJP
【FI】
A01G31/06
(21)【出願番号】P 2020568661
(86)(22)【出願日】2019-02-12
(86)【国際出願番号】 US2019017719
(87)【国際公開番号】W WO2019168668
(87)【国際公開日】2019-09-06
【審査請求日】2021-11-17
(32)【優先日】2018-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-05-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520333192
【氏名又は名称】エムジェイエヌエヌ, エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】MJNN, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100136630
【氏名又は名称】水野 祐啓
(74)【代理人】
【識別番号】100201514
【氏名又は名称】玉井 悦
(72)【発明者】
【氏名】クライン, ブライス
(72)【発明者】
【氏名】フリン, マイケル
(72)【発明者】
【氏名】リー ルー, アレクサンドレ
(72)【発明者】
【氏名】マテーラ, マシュー
(72)【発明者】
【氏名】アブラハム, アレックス
【審査官】田辺 義拓
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第204616518(CN,U)
【文献】特開2013-123437(JP,A)
【文献】国際公開第2017/109279(WO,A1)
【文献】実開昭62-016262(JP,U)
【文献】特開2017-118837(JP,A)
【文献】特開2015-136359(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 31/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャビティー後壁と、当該キャビティー後壁の対向する縁部から延伸する第1及び第2キャビティー側壁とを含むことで第1タワーキャビティー(501)を画定するタワー本体(103)であって、前記第1タワーキャビティーは水/養分混合物の通路(811)を設けるよう構成されたタワー本体(103)と;
第1タワー面プレート(101)であって、当該第1タワー面プレートの縁部分が前記タワー本体(103)の前記第1キャビティー側壁の外側縁部にヒンジ式に結合されており、前記第1タワー面プレート(101)が、前記タワー本体に対して少なくとも第1タワーキャビティー閉位置と第1タワーキャビティー開位置とに、前記のヒンジ式に結合された縁部分を介して配置されるよう構成されており、前記第1タワー面プレートは、複数の第1植物容器切り抜き(105)を含み、当該複数の第1植物容器切り抜きは、複数の第1植物容器を収容するよう構成された、第1タワー面プレートと;
第1留め具(801)であって、前記第1タワー面プレートが前記第1タワーキャビティー閉位置にあるときに、前記第1タワー面プレート(101)を前記タワー本体(103)の前記第2キャビティー側壁の外側縁部に一時的にラッチ固定するよう構成された第1留め具と、を含む、多部品水耕タワー。
【請求項2】
前記多部品水耕タワーが両面式水耕タワーであり、前記タワー本体が、第2タワーキャビティー(501)を画定するように前記キャビティー後壁の前記対向する縁部から延伸する第3及び第4キャビティー側壁を含み、前記多部品水耕タワーが:
第2タワー面プレート(101)であって、当該第2タワー面プレートの縁部分がタワー本体(103)の前記第3キャビティー側壁の外側縁部にヒンジ式に結合されており、前記第2タワー面プレート(101)が、前記タワー本体に対して少なくとも第2タワーキャビティー閉位置と第2タワーキャビティー開位置とに、前記のヒンジ式に結合された縁部分を介して配置されるよう構成されており、前記第2タワー面プレートは、複数の第2植物容器切り抜き(105)を含み、当該複数の第2植物容器切り抜きは、複数の第2植物容器を収容するよう構成された、第2タワー面プレートと;
第2留め具(801)であって、前記第2タワー面プレートが前記第2タワーキャビティー閉位置にあるときに、前記第2タワー面プレート(101)を前記タワー本体(103)の前記第4キャビティー側壁の外側縁部に一時的にラッチ固定するよう構成された第2留め具と、をさらに含む、請求項1に記載の多部品水耕タワー。
【請求項3】
前記第1留め具(801)が第1スナップ嵌め留め具を含む、請求項1又は2に記載の多部品水耕タワー。
【請求項4】
前記第2留め具(801)が第2スナップ嵌め留め具を含む、請求項2又は3に記載の多部品水耕タワー。
【請求項5】
前記第1キャビティーに対応するキャビティー後壁(701)
の第1面に形成された複数の第1垂直隆条(811)と;
前記
第2キャビティーに対応するキャビティー後壁
の第2面に形成された複数の第2垂直隆条(811)と、をさらに含む、請求項2の多部品水耕タワー。
【請求項6】
前記複数の第1垂直隆条(811)のそれぞれが均一の幅を備え、前記複数の第2垂直隆条(811)のそれぞれが均一の幅を備える、請求項5に記載の多部品水耕タワー。
【請求項7】
前記タワー本体の第1側面の全長にわたって形成された第1V字型溝(803)であって、前記第1タワーキャビティー(501)と前記第2タワーキャビティー(501)との間の中央に位置する第1V字型溝と;
前記タワー本体の第2側面の全長にわたって形成された第2V字型溝(803)であって、前記第1タワーキャビティーと前記第2タワーキャビティーとの間の中央に位置する第2V字型溝と、をさらに含む、請求項2に記載の多部品水耕タワー。
【請求項8】
前記第1V字型溝(803)が、前記第1タワーキャビティー(501)に対応する第1側壁部分(809)と、前記第2タワーキャビティー(501)に対応する第2側壁部分(809)とから形成され、
前記第2V字型溝が、前記第1タワーキャビティーに対応する第3側壁部分と、前記第2タワーキャビティーに対応する第4側壁部分とから形成される、請求項7に記載の多部品水耕タワー。
【請求項9】
前記第1タワー面プレート(101)が前記第1タワーキャビティー開位置にあるとき、前記第1
キャビティー側壁は、前記キャビティー後壁に対して外側に張り出しており、前記第1タワー面プレートが前記第1タワーキャビティー開位置にあるとき、前記第2
キャビティー側壁は、前記キャビティー後壁に対して外側に張り出しており;
前記第2タワー面プレート(101)が前記第2タワーキャビティー開位置にあるとき、前記第3
キャビティー側壁は、前記キャビティー後壁に対して外側に張り出しており、前記第2タワー面プレートが前記第2タワーキャビティー開位置にあるとき、前記第4
キャビティー側壁は、前記キャビティー後壁に対して外側に張り出している、請求項2に記載の多部品水耕タワー。
【請求項10】
前記第1タワー面プレート(101)が前記第1タワーキャビティー開位置にあるとき、前記第1
キャビティー側壁(713)は、前記キャビティー後壁(701)に対して概ね100度の角度をなし、前記第1タワー面プレートが前記第1タワーキャビティー開位置にあるとき、前記第2
キャビティー側壁(713)は、前記キャビティー後壁(701)に対して概ね100度の角度をなし、前記第2タワー面プレート(101)が前記第2タワーキャビティー開位置にあるとき、前記第3
キャビティー側壁(713)は、前記キャビティー後壁(701)に対して概ね100度の角度をなし、前記第2タワー面プレートが前記第2タワーキャビティー開位置にあるとき、前記第4
キャビティー側壁(713)は、前記キャビティー後壁(701)に対して概ね100度の角度をなす、請求項9に記載の多部品水耕タワー。
【請求項11】
前記第1タワー面プレート(101)が前記第1タワーキャビティー閉位置にあるとき、前記第1
キャビティー側壁(713)は、前記キャビティー後壁(701)に対して概ね直角をなし、前記第1タワー面プレートが前記第1タワーキャビティー閉位置にあるとき、前記第2
キャビティー側壁(713)は、前記キャビティー後壁(701)に対して概ね直角をなし、前記第2タワー面プレート(101)が前記第2タワーキャビティー閉位置にあるとき、前記第3
キャビティー側壁(713)は、前記キャビティー後壁(701)に対して概ね直角をなし、前記第2タワー面プレートが前記第2タワーキャビティー閉位置にあるとき、前記第4
キャビティー側壁(713)は、前記キャビティー後壁に対して概ね直角をなす、請求項9に記載の多部品水耕タワー。
【請求項12】
前記第1タワー面プレートの前記縁部分が前記タワー本体(103)の前記第1キャビティー側壁の前記外側縁部に取り外し不可能でヒンジ式に結合されている、請求項1乃至11のいずれかに記載の多部品水耕タワー。
【請求項13】
前記第2タワー面プレートの前記縁部分が前記タワー本体(103)の前記第3キャビティー側壁の前記外側縁部に取り外し不可能でヒンジ式に結合されている、請求項2に記載の多部品水耕タワー。
【請求項14】
前記タワー本体の第1縁部分が第1タワー本体ヒンジ部材を含み、
前記第1タワー面プレートの縁部分が第1面プレートヒンジ部材を含み、前記第1タワー面プレートが、前記タワー本体に、前記第1タワー本体ヒンジ部材を介してヒンジ式に結合されている、請求項1に記載の多部品水耕タワー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に水耕栽培システムに関し、より詳細には、植え付けの一貫性が向上し、製造時間及びコストが減少し、タワー特性(例えば、強度、洗浄の容易性、使用効率など)が向上した水耕タワーに関する。
【背景技術】
【0002】
世界人口の継続的な増大と、農業従事に確保された領域が減少し又は単にそうした活動に適さなくなっていることをふまえ、増大し続ける世界人口に食糧を供給する従来の農場の能力に対する負担は大きくなっている。さらに、人口の中心と農業の中心はしばしば同じ場所にはなく、農産物の発送に関わる時間及び費用によって、世界の多くの地域では、裕福な者のみが非加工食品、すなわち生の果物や野菜の適切な供給を受けることができる。さらに、人口の中心地に到達しない果物や野菜は、それらを輸送する距離のため、さらに、今日の生産物の多くが風味や栄養よりも日持ちや生産力を高めるために品種改良されているため、栄養及び風味が低下している可能性が高い。結果的に、殺虫剤を必要とせず、水の消費量も大幅に減少させ、日持ちより栄養及び風味を高めるために品種改良される品種の栽培を可能とする無土壌栽培技法に新たな関心が向けられている。
【0003】
水耕栽培は、水及び栄養素の溶液を用いて植物を栽培する無土壌栽培技法である。植物の根は、典型的には、多くはプラスチックなどの繊維状又は顆粒状物質内に維持されると共に、ウィック、滴下、養分フィルム、又は他の養分送出システムから養分供給を受ける。水耕栽培システムは、屋内施設内に設置されることが多く、人口中心に又はその近くに設置可能となる。さらに、このアプローチは、特別な気候制御(すなわち、気温、湿度、気流、二酸化炭素濃度、光の波長、強度、及び期間など)に加え、優れた害虫及び病害防除を実現するので、外部環境及び/又は土壌条件が従来の農業技法の使用に適していない地域で、屋内水耕栽培農場が成功できるようになる。さらに、水耕栽培及び他の無土壌栽培技法は、特に水平積重ねシステム又は垂直栽培タワーが使われる場合において極めて高い植物密度を達成できる。
【0004】
水耕栽培農業技法は従来の農業技法に比べ幾つかの利点をもたらす一方で、これら技法を大規模に達成するためには、従来の農業技法に関わるコストに比べて1植物当たりのコストが競争力を持つことが必須である。従って、本発明は、植え付け一貫性が向上し、優れたタワー強度を備え、製造時間及びコストが減少し、使用サイクル間での維持管理が簡略化される水耕タワーを提供する。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、(i)第1タワーキャビティーを画定するタワー本体であって、前記第1タワーキャビティーは水/養分混合物の通路を設けるよう構成されており、前記タワー本体の第1縁部分が第1タワー本体ヒンジ部材を含む、タワー本体と;(ii)第1タワー面プレートであって、当該第1タワー面プレートの縁部分が第1面プレートヒンジ部材を含み、前記第1タワー面プレートが、前記タワー本体に、前記第1タワー本体ヒンジ部材及び前記第1面プレートヒンジ部材を介してヒンジ式に結合されており、前記第1タワー面プレートが、前記タワー本体に対して少なくとも第1タワーキャビティー閉位置と第1タワーキャビティー開位置とに配置可能であり、前記第1タワー面プレートが、複数の第1植物容器を収容するよう構成された複数の第1植物容器切り抜きを含む、第1タワー面プレートと;(iii)第1留め具であって、前記第1タワー面プレートが前記第1タワーキャビティー閉位置にあるときに、前記第1タワー面プレートを前記タワー本体に一時的にラッチ固定するよう構成された第1留め具と、からなる多部品水耕タワーを提供する。前記第1留め具は、複数の第1留め具からなるものとしてよい。前記第1留め具は、第1スナップ嵌め留め具からなるものとしてよい。前記タワー本体及び前記第1タワー面プレートは、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、及びアクリロニトリルブタジエンスチレン)から作製でき、白色でよい。
【0006】
前記多部品水耕タワーは両面式の水耕タワーとすることができ、前記タワー本体は、第1タワーキャビィティー及び第2タワーキャビィティーを画定し、前記タワー本体の前記第1縁部分の前記第1本体ヒンジ部材が、前記第1タワーキャビティに対応し、前記タワー本体が、第2縁部分に対応する第2タワー本体ヒンジ部材をさらに含み、前記タワー本体の前記第2縁部分の前記第2タワー本体ヒンジ部材が、前記第2タワーキャビティに対応する。前記両面式水耕タワーは、(i)第2タワー面プレートであって、当該第2タワー面プレートの縁部分が第2面プレートヒンジ部材を含み、前記第2タワー面プレートが、前記タワー本体に、前記第2タワー本体ヒンジ部材及び前記第2面プレートヒンジ部材を介してヒンジ式に結合されており、前記第2タワー面プレートが、前記タワー本体に対して少なくとも第2タワーキャビティー閉位置と第2タワーキャビティー開位置とに配置可能であり、前記第2タワー面プレートが、複数の第2植物容器を収容するよう構成された複数の第2植物容器切り抜きを含む、第2タワー面プレートと;(ii)第2留め具であって、前記第2タワー面プレートが前記第2タワーキャビティー閉位置にあるときに、前記第2タワー面プレートを前記タワー本体に一時的にラッチ固定するよう構成された第2留め具とを含む。前記第2留め具は複数の第2留め具からなるものとしてよい。前記第2留め具は、第2スナップ嵌め留め具からなるものとしてよい。
【0007】
前記多部品水耕タワーが両面式水耕タワーである構成では:(i)前記第1タワーキャビティーは、第1側壁と、第2側壁と、第1キャビティー後壁とからなるものとすることができ、前記第1タワー面プレートが前記第1タワーキャビティー開位置にあるとき、前記第1側壁は、前記第1キャビティー後壁に対して外側に張り出しており、前記第1タワー面プレートが前記第1タワーキャビティー開位置にあるとき、前記第2側壁は、前記第1キャビティー後壁に対して外側に張り出しており、(ii)前記第2タワーキャビティーは、第3側壁と、第4側壁と、第2キャビティー後壁とからなるものとすることができ、前記第2タワー面プレートが前記第2タワーキャビティー開位置にあるとき、前記第3側壁は、前記第2キャビティー後壁に対して外側に張り出しており、前記第2タワー面プレートが前記第2タワーキャビティー開位置にあるとき、前記第4側壁は、前記第2キャビティー後壁に対して外側に張り出している。この構成では、前記第1タワー面プレートが前記第1タワーキャビティー開位置にあるとき、前記第1側壁は、前記第1キャビティー後壁に対して概ね100度の角度をなし;前記第1タワー面プレートが前記第1タワーキャビティー開位置にあるとき、前記第2側壁は、前記第1キャビティー後壁に対して概ね100度の角度をなし;前記第2タワー面プレートが前記第2タワーキャビティー開位置にあるとき、前記第3側壁は、前記第2キャビティー後壁に対して概ね100度の角度をなし;前記第2タワー面プレートが前記第2タワーキャビティー開位置にあるとき、前記第4側壁は、前記第2キャビティー後壁に対して概ね100度の角度をなす。この構成では、前記第1タワー面プレートが前記第1タワーキャビティー閉位置にあるとき、前記第1側壁は、前記第1キャビティー後壁に対して概ね直角をなし;前記第1タワー面プレートが前記第1タワーキャビティー閉位置にあるとき、前記第2側壁は、前記第1キャビティー後壁に対して概ね直角をなし;前記第2タワー面プレートが前記第2タワーキャビティー閉位置にあるとき、前記第3側壁は、前記第2キャビティー後壁に対して概ね直角をなし;前記第2タワー面プレートが前記第2タワーキャビティー閉位置にあるとき、前記第4側壁は、前記第2キャビティー後壁に対して概ね直角をなす。この構成では、第1張力緩和特徴を第1接合部に配置でき、前記第1接合部は、前記第1側壁と前記第1キャビティー後壁との間に形成されており;第2張力緩和特徴は第2接合部に配置でき、前記第2接合部は前記第2側壁と前記第1キャビティー後壁との間に形成されており;第3張力緩和特徴は第3接合部に配置でき、前記第3接合部は前記第1側壁と前記第2側壁との間に形成されており;第4張力緩和特徴は第4接合部に配置でき、前記第4接合部は前記第3側壁と前記第2キャビティー後壁との間に形成されており;第5張力緩和特徴は第5接合部に配置でき、前記第5接合部は前記第4側壁と前記第2キャビティー後壁との間に形成されており;第6張力緩和特徴は第6接合部に配置でき、前記第6接合部は前記第3側壁と前記第4側壁との間に形成されている。
【0008】
前記多部品水耕タワーが両面式水耕タワーである構成では、前記水耕タワーは、(i)前記タワー本体の第1側面の全長にわたって形成された第1V字型溝であって、前記第1タワーキャビィティーと前記第2タワーキャビィティーとの間の中央に位置する第1V字型溝と;(ii)前記タワー本体の第2側面の全長にわたって形成された第2V字型溝であって、前記第1タワーキャビィティーと前記第2タワーキャビィティーとの間の中央に位置する第2V字型溝とを含むことができる。この構成では、前記第1V字型溝が、前記第1タワーキャビティーに対応する第1側壁部分と、前記第2タワーキャビティーに対応する第2側壁部分とから形成でき、前記第2V字型溝は、前記第1タワーキャビティーに対応する第3側壁部分と、前記第2タワーキャビティーに対応する第4側壁部分とから形成できる。この構成では、第1張力緩和特徴は第1接合部に配置でき、前記第1接合部は前記第1側壁と前記第1キャビティー後壁との間に形成されており;第2張力緩和特徴は第2接合部に配置でき、前記第2接合部は前記第2側壁部分と前記第1キャビティー後壁との間に形成されており;第3張力緩和特徴は第3接合部に配置でき、前記第3接合部は前記第1側壁部分と前記第2側壁との間に形成されており;第4張力緩和特徴は第4接合部に配置でき、前記第4接合部は前記第3側壁部分と前記第2キャビティー後壁との間に形成されており;第5張力緩和特徴は第5接合部に配置でき、前記第5接合部は前記第4側壁部分と前記第2キャビティー後壁との間に形成されており;第6張力緩和特徴は第6接合部に配置でき、前記第6接合部は前記第3側壁部分と前記第4側壁との間に形成されている。この構成では、前記第1タワー面プレートが前記第1タワーキャビティー閉位置にあり、且つ前記第2タワー面プレートが前記第2タワーキャビティー閉位置にあるとき、前記第1側壁部分は、前記第2側壁部分に対して90度と110度との間の角度で、好適には概ね102度の角度をなし、前記第1タワー面プレートが前記第1タワーキャビティー閉位置にあり、且つ前記第2タワー面プレートが前記第2タワーキャビティー閉位置にあるとき、前記第3側壁部分は、前記第4側壁部分に対して90度と110度との間の角度で、好適には概ね102度の角度をなす。
【0009】
前記多部品水耕タワーが両面式水耕タワーである構成では、前記第1キャビティー後壁及び前記第2キャビティー後壁は、複数の垂直隆条を含む。前記垂直隆条の幅は均一でよい。
【0010】
本明細書の残り部分及び図面を参照すれば、本発明の本質及び利点をさらに理解できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
添付された図面は、本発明の範囲を限定ではでなく例示のみを目的としていることを理解すべきであり、一定の縮尺になっていると考えるべきではない。さらに、異なる図の同一の参照標識は、同一の構成要素又は類似の機能を備えた構成要素を示すものと理解すべきである。
【
図1】
図1は、ヒンジ式に結合された前面プレートを備えた、代表的な両面式の多部品水耕タワーの透視図を示し、この図は、これら面プレートが閉位置にあることを示す。
【
図2】
図2は、
図1に図示した両面式の多部品水耕タワーの透視図を示し、この図は、これら面プレートが開位置にあることを示す。
【
図3】
図3は、ヒンジ式に結合された前面プレートを備えた代表的な片面式の多部品水耕タワーの透視図を示し、この図は、この面プレートが閉位置にあることを示す。
【
図4】
図4は、
図3に図示した片面式の多部品水耕タワーの透視図を示し、この図は、この面プレートが開位置にあることを示す。
【
図5】
図5は、
図1及び2に示したタワーで使用される二重キャビティータワー本体の断面図である。
【
図6】
図6は、
図1-4に示したタワーで使用される面プレート部材の断面図である。
【
図7】
図7は、
図1及び2に示した多部品タワーアッセンブリーの断面図を示し、この図は、両方の面プレートが開位置にあることを示す。
【
図8】
図8は、
図1及び2に示した多部品タワーアッセンブリーの断面図を示し、この図は、両方の面プレートが閉位置にあることを示す。
【
図9】
図9は、本発明による多部品水耕タワーのヒンジ領域の詳細断面図を示す。
【
図10】
図10は、
図1及び2に示した水耕タワーに対応した両面式の多部品タワー本体の一部の詳細断面図を示し、この図は、キャビティー後壁とキャビティー側壁との交差点を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明において、単数形である「1つの」および「その」は、文脈からそうでないことが明示されてなければ複数形も含むことが意図されている。「包含する」、「包含した」、「含む」及び/又は「含んだ」という語句は、本明細書で使用する際には、記載された特徴、工程段階、動作、要素、及び/又は構成部品の存在を明示するが、1つ以上の他の特徴、工程段階、動作、要素、構成部品、及び/又はそれらのグループの存在若しくは付加を排除するものではない。本明細書において、「及び/又は」という用語及び「/」という記号は、関連付けられ列挙された要素の1つ以上のすべての且つあらゆる可能な組み合わせを含むことを意図している。さらに、様々な段階、計算、又は構成要素を記述するために本明細書では第1、第2などの語句を用いているが、こうした段階、計算、又は構成要素はこれらの語句によって限定されるものではなく、これらの用語はある段階、計算、又は構成要素を他から区別するために用いられているにすぎない。例えば、本発明の範囲から逸脱することなく、第1の計算を第2の計算と呼ぶこともでき、同様に、第1の段階を第2の段階と呼ぶこともでき、同様に、第1の構成要素を第2の構成要素と呼ぶこともできる。
【0013】
図1は、各前面プレート101がタワー本体103にヒンジ式に結合されている代表的な両面式の多部品水耕タワー100の透視図を示す。
図1では、各前面プレート101は閉位置にある。
図2は、両方の面プレート101が開位置にあることを示した同じ水耕タワー100の透視図である。両面構成が好ましいが、本発明は、
図3及び4に示されたタワー300で例示されているような片面構成で使用してもよい。タワー300は、タワー本体301が1つのタワーキャビティーしか含まないことを除けばタワー100と設計は類似している。
【0014】
このタワー設計を例示するため、それぞれのタワー100及び300は、あらゆる目的のためその開示を本明細書に援用する2018年3月2日に提出され、共同譲渡され且つ同時係属中の米国特許出願第15/910,445号に開示された植物容器のような適合する植物容器とともに使用される複数の切り抜き105を含む。しかし、本願で開示された多部品タワー設計は、この特定の植物容器と組み合わせた使用に限定されるものでなく、本明細書で開示された多部品タワー設計は、任意適切な寸法の植物容器と共に使用してよいことは理解すべきである。よって、切り抜き105は、このタワー設計を限定するのではなく例示することのみを意図しており、本発明は、他の切り抜き設計にも同様に適用可能である。こうした植物容器は、タワー面101に超音波溶接、接合、又はそれ以外の方法で取り付ければよいことは理解されるはずである。
【0015】
従来の水耕タワーでは、タワーは単一部品として押出加工される。タワーキャビティーを含めたことで、タワーキャビティー内に含まれる熱の放出に十分な時間を確保するため、この押出工程は比較的低速度で行う必要がある。水耕タワーの本体部分(例えば、両面式本体部分103及び片面式本体部分301)を面プレートとは別に製造することで、押出工程時に発生する熱はタワー本体に閉じ込められることがなくなり、押出工程がより迅速に実行可能となるため、製造コストも下げることができる。さらに、タワー本体を1つ又は複数の面プレートから分離することで、同じ本体部分は、異なる植物容器、異なる切り抜き設計、及び/又は植物間の異なる間隔用に構成可能な多種多様な面プレートと組み合わせて使用できる。この柔軟性が製造コストを引き下げる一方で、最終顧客(すなわち栽培者)に付加価値を提供する。最後に、タワーを本体部分と面部分に分離することで、押出工程時に植物容器切り抜き105の打ち抜きが可能になる。これは、タワーの押出完了後に計算機数値制御(CNC)装置を使用して切り抜き/特徴を製作する従来のアプローチとは時間及びコストの面で顕著な対照を示す。
【0016】
水耕タワーに課せられる物理的要件は、その意図された使用の性質そのものに依存する。設計要件に影響する使用特性の幾つかには、(i)所望のタワー高さ、(ii)単位長さ当たりの植物の数、(iii)成熟時及び収穫前の植物の予想される植物の大きさ、(iv)植物及び対応する容器当たりの予想重量、(v)植物/容器をタワー内外に移動させるのに使用することを意図した手段、(vi) 水/養分送出システムなどが含まれる。本明細書に記載されたタワーは、片面式タワーについては200インチにわたる25ポンドの最小分布荷重を、両面式タワーについては200インチにわたる50ポンドの最小分布荷重を保持するよう設計されている。後述するヒンジ/留め具アセンブリは、前面に平行な200インチ長にわたる25ポンドの剪断荷重、及び前面に直角をなす45ポンドの点力に耐えるよう設計されている。
【0017】
一般に、本明細書に開示されたタワーキャビティーの断面は、1.5インチ×1.5インチ~3インチ×3インチの範囲内とすればよく、「タワーキャビティー」という用語は、タワーの本体の内部でタワー面プレートの背後の領域をいう。好適には、壁の厚さは、0.065~0.075インチの範囲内である。
図1及び2に示したもののような両面式水耕タワーは、2つの背中合わせのキャビティーを備えており、それぞれが上記の寸法の範囲内であることが好ましい。しかし、本発明は、特定の断面又はサイズを備えたタワーキャビティーに限定されるものでなく、本明細書の記載は、本発明の好適な実施形態に基づくものであって、本発明の範囲を限定することを意図したものと理解すべきである。
【0018】
タワーの強度は当該特定のタワーの設計に依存し、それは意図した作物、植え付け及び収穫に使用する手段、意図した水/養分送出システム、所望のタワー間の充填密度などに主として依存する。しかし、一般的な指針として、本発明者等は、充填密度を増加しタワーのコスト全体を引き下げる(一植物当たりのコストに基づいて)ことに加え、この両面式タワーは、タワー剛性を劇的に増大させるという付加的な利点を備えていることを発見した。壁の厚さ又はキャビティーの大きさを変更することなく片面式タワーで同じ剛性を達成するには、あらゆる目的のためその開示を本明細書に援用する2018年3月2日に提出された同時係属中の米国特許出願第15/910,601号に開示されたように、タワーの裏面にフィンを付加すればよい。
【0019】
図5はタワー本体103の断面図を示し、
図6は面プレート101の断面図を示す。
図7及び8は、面プレートが、それぞれ開位置及び閉位置にある状態のタワー100の断面図を示す。本体部分も面プレートも両方とも押出し加工され、切り抜き105などの特徴はその工程時に打ち抜き加工されるのが好ましい。様々な任意材料をタワー製造には使用できるが、好適にはこれら構成要素は、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)など)、より好適には、白色の不透明ABSプラスチックから製作できる。光がタワーに入るのを防ぐ不透明PVC材料を使用すると、藻類が繁茂するのを最小限に抑える一方で、白発色が反射して植物に当たる光の量を増加させる。
【0020】
ヒンジ式前面プレートを使用すると、タワーの維持全般、特にタワー清掃を簡素化できることが本発明者等により発見された。例えば、タワーを清掃するには、面プレートを本体から広く開ければ(すなわち開放すれば)、本体キャビティー501に簡単に到達できる。清掃後に、面プレートは閉じられる。面プレートは清掃工程では常にタワー本体に取り付けられた状態を維持するので、部品の位置合わせを維持することは容易であり、さらに、各面プレートを適切なタワー本体に確実に関連付けることや、両面式タワー本体であれば、各面プレートを確実に特定のタワー本体の適切な側面に適切に関連付けることが容易となる。さらに、面プレートを開放位置にした状態で植え付け及び/又は収穫作業を行う場合、両面構成に関しては、両方の面プレートは開放すれば同時に植え付け且つ/又は収穫が可能なので、一方の側面で植え付け且つ/又は収穫した後でタワーを回転して他方の側面で植え付け且つ/又は収穫する段階を省略できる。
【0021】
図9は、ヒンジの好適な実施形態は詳細な断面図を示す。この実施形態では、面プレート903の端部901は、本体側壁907の湾曲端部内に嵌合し、それを中心に回転するように湾曲且つサイズ決めされている。図示したように、側壁の端部は、2つの同心円表面905A及び905Bを形成するような形状となっている。面プレート端部901は、表面905A及び905Bにより形成された空間を中心に且つその内部で回転する。0.065インチの典型的な壁厚さに関して、タワー本体及び面プレート両方の端部は、組み付け時に弾性変形させる必要がある。いったん組み付けられると、面プレートは非常に大きな力を加えることなく本体から取り外しできなくなるので、植え付け、収穫、及び/又は維持の間に偶発的に分解してしまうおそれを最小限にする。
【0022】
ヒンジ式面プレートの最大開放限界は、ヒンジ式部品すなわち面プレート端部901及びタワー本体の湾曲端部905A/905Bの設計によって決まる。図示した実施形態では、面プレートの端部は、位置909で第2の曲がりを含んでおり、面プレートが全開位置になったときに、面プレート表面911がタワー本体表面913に接触することになる。この好適な実施形態では、この接触点がヒンジの動きを制限し、面プレート101の平面は、この面プレートが全開位置になったときにキャビティー後表面701に概ね直角をなし、より好適には、ヒンジの動きを制限してこの面プレートが全開位置になったときに、面プレートの平面とキャビティー後表面701の平面との間が概ね86度の角度になる。
【0023】
多種多様の留め具のいずれかを使用して、ヒンジが閉じられたときに、面プレート101をタワー本体にラッチ固定(latch)することができる、好適な実施形態では、図示されているように、留め具801はスナップ嵌め留め具からなる。各スナップ嵌め留め具801は、面プレート端部901から遠位位置で面プレート上に形成された第1部分703と、ヒンジ端部905A/905Bの反対側位置でタワー本体の縁部に形成された第2部分705とから構成される。スナップ嵌め留め具には様々な形状を使用できるが、好適な実施形態では、スナップ嵌め留め具部分703は、補完的形状の本体部分705を備えた概ね円柱状である。スナップ嵌め部分703のスロット707によって、固定時に部分703をより容易に圧縮できるようになる。
【0024】
少なくとも1つの好適な実施形態では、各タワーキャビティーの側壁はテーパー状になっているため、植物プラグホルダーが側壁に衝突する(clipping)ことなく、タワー面プレートが開くことができる。好適には、各側壁の張り出し(flare)は概ね10度であり、概ね100度の角度709を形成する。面プレートが閉じられると側壁は内側に引き込まれ、側壁とキャビティー後表面との間の角度すなわち角度711は概ね90度(すなわち、90度±5度)となることに注目されたい。結果的に、面プレートが閉じられると、図示したように、タワーキャビティー501は概ね正方形又は長方形となる。
【0025】
開構成(すなわち
図7)と閉構成(
図8)との断面の差によって、面プレートが閉じられたときにキャビティー側壁が外側に反らないようにする手段を講じるのが好ましい。好適には、
図10に示したように、キャビティー後壁701と各側壁との間の接合部1001は、半径0.012インチの張力緩和特徴を備えている。
【0026】
図示したように、両面式タワーは、タワーの全長にわたり且つタワーの両側に形成された大型の「V」字型溝803を含むことが好ましい。溝803はタワーの側部の中心に配置され、2つのタワーキャビティーを均等に分割している。片面構成(例えば
図3及び4)では、溝の半分(例えば溝303)しか必要ではないことは注目すべきである。両面構成(例えば
図1及び2)を使用している本発明の少なくとも1つの実施形態では、溝803は、概ね0.35インチ(± 0.1インチ)の深さ805を備えている。この実施形態では、側壁部分809間の角度807は好適には90-110度の範囲であり、より好適には102度である。
【0027】
溝803又は片面構成の溝303は、種まき機、収穫機、又は他の装置をタワーに結合させる際に使用できる位置合わせ特徴となる。これは自動化システムでは特に有用な特徴である。溝803又は片側構成の溝303の付加的な利点は、これによってキャビティー後表面701の幅を狭くできることである。水/養分流を表面701に沿って導くことによって水及び養分を水耕タワー内の植物に供給することが好ましいので、この表面の幅を減少させることで、この表面を流れ落ちる水及び養分がタワー内部に保持されている植物に到達する可能性が増大する。
【0028】
本発明の水耕タワーは、特定の水/養分送出システムに限定されない。従って、例えば、開示したタワー内にウィッキングシステムを組み込んでもよい。しかし、上述したように、好適な実施形態では、水/養分混合物はキャビティーの後表面701に向けて送出され、そこで次に下方に流れ、各タワー切り抜きに嵌合された個々の植物容器に入った植物に供給可能となる。タワーキャビティーの背壁に沿った水/養分の流れ制御を助けるため、一連の垂直隆条811が各キャビティー501のキャビティー後壁701に形成されていることが好ましい。この実施形態では、各隆条811は、0.0625インチ幅であって、壁表面から0.012インチ延伸している。他の隆条寸法を用いることも可能であり、これら隆条は表面全体にわたって均一でなくてもよいこと、すなわち、中央の隆条を、壁中心の両側の隆条より広く且つ/又は深くしてもよいことは理解できるはずである。
【0029】
本発明の詳細を理解するための助けとしてシステム及び方法を一般的に説明してきた。幾つかの例では、本発明の側面が不明瞭になることを回避するため、周知の構造体、材料、及び/又は特に動作は詳述されていない。他の例では、本明細書の完全な理解のために具体的な詳細が提示されている。通常の技能を備えた当業者であれば、例えば、特定のシステム又は装置、或いは、状態又は材料又は構成要素に適合させるため、本発明の要旨又は不可欠な特徴から逸脱することなく、本発明を他の具体的な形式で実現できることは理解するはずである。従って、本明細書の開示及び記載は、本発明の範囲を限定することを意図したものでなく、例示することを意図したものである。