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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-02
(45)【発行日】2023-05-15
(54)【発明の名称】ハンドカバー、及びそれを含む衣服
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/08 20060101AFI20230508BHJP
   A41D 19/015 20060101ALI20230508BHJP
   A41D 27/10 20060101ALI20230508BHJP
【FI】
A41D13/08 102
A41D19/015 210A
A41D27/10 E
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021135073
(22)【出願日】2021-08-20
(65)【公開番号】P2023029015
(43)【公開日】2023-03-03
【審査請求日】2022-03-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000005935
【氏名又は名称】美津濃株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】弁理士法人池内アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】田中 正浩
(72)【発明者】
【氏名】河村 篤
(72)【発明者】
【氏名】松浦 健悟
(72)【発明者】
【氏名】山本 友紀
【審査官】冨江 耕太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-50667(JP,A)
【文献】特開昭48-79057(JP,A)
【文献】米国特許第2567489(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D13/08、19/00-19/04、27/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドカバー本体、及び前記ハンドカバー本体に設けられた帯部材を含み、
前記ハンドカバー本体は、少なくとも手首、手の甲及び手の平を覆い、親指開口部を有する筒状であり、
前記帯部材は、長手方向の両端部が前記ハンドカバー本体に固定され、幅方向の両端部は自由端部となっており、
前記帯部材は、幅方向の自由端部にて裏返すことで、手の甲及び手の平のそれぞれを覆うことができ、
前記帯部材には滑り止め部が設けられており、
前記帯部材が手の甲を覆う場合、前記滑り止め部は前記帯部材の裏面に位置し、前記帯部材が手の平を覆う場合、前記滑り止め部は前記帯部材の表面に位置することを特徴とする、ハンドカバー。
【請求項2】
前記滑り止め部は、樹脂で構成されている、請求項1に記載のハンドカバー。
【請求項3】
前記樹脂は、シリコーン樹脂、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマー、ゴム系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、及びアクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体及びアクリル系樹脂からなる群から選ばれる1種以上の樹脂である、請求項2に記載のハンドカバー。
【請求項4】
前記帯部材において、滑り止め部の面積率は15~85%である、請求項1~3のいずれかに記載のハンドカバー。
【請求項5】
前記ハンドカバー本体は、指を覆わないフィンガーレスー型である、請求項1~4のいずれかに記載のハンドカバー。
【請求項6】
衣服本体及びハンドカバーを含む衣服であって、
前記ハンドカバーは、ハンドカバー本体、及び前記ハンドカバー本体に設けられた帯部材を含み、
前記ハンドカバー本体は、少なくとも手首、手の甲及び手の平を覆い、親指開口部を有する筒状であり、
前記ハンドカバー本体の手首側の根元部は、衣服本体の袖口に固定されており、
前記帯部材は、長手方向の両端部が前記ハンドカバー本体に固定され、幅方向の両端部は自由端部となっており、
前記帯部材は、幅方向の自由端部にて裏返すことで、手の甲及び手の平のそれぞれを覆うことができ、
前記帯部材には滑り止め部が設けられており、
前記帯部材が手の甲を覆う場合、前記滑り止め部は前記帯部材の裏面に位置し、前記帯部材が手の平を覆う場合、前記滑り止め部は前記帯部材の表面に位置することを特徴とする、衣服。
【請求項7】
前記滑り止め部は、樹脂で構成されている、請求項6に記載の衣服。
【請求項8】
前記樹脂は、シリコーン樹脂、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマー、ゴム系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、及びアクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体及びアクリル系樹脂からなる群から選ばれる1種以上の樹脂である、請求項7に記載の衣服。
【請求項9】
前記帯部材において、滑り止め部の面積率は15~85%である、請求項6~8のいずれかに記載の衣服。
【請求項10】
前記ハンドカバー本体は、指を覆わないフィンガーレスー型である、請求項6~9のいずれかに記載の衣服。
【請求項11】
前記衣服は、さらに脱着可能なポケットを一つ以上含み、
前記脱着可能なポケットは、衣服本体に設けられた第1脱着具と、ポケットに設けられた第2脱着具を介して、前記衣服本体に脱着可能に取り付けられており、
前記脱着可能なポケットは、表地及び裏地にて袋状に形成されており、袋の内部空間は、鉛直方向の仕切りにて表側の第1収容部及び裏側の第2収容部に分割されており、
前記第2収容部には、折り畳んだ状態のバッグが収納されている、請求項6~10のいずれかに記載の衣服。
【請求項12】
前記脱着可能なポケットにおいて、前記仕切りの上端は袋の内部空間から突き出ており、前記仕切りの上端の表側には第2脱着具が設けられており、前記仕切りの上端の裏側には折り畳んだ状態のバッグが連結されている、請求項11に記載の衣服。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷物を持つ時に手の平にかかる負担を軽減できるハンドカバー、及びそれを含む衣服に関する。
【背景技術】
【0002】
防水、防寒や日焼け防止のために、手袋を着用すること、或いは、上着に手袋を設けることや上着の袖口を二重袖口にすることがある。例えば、特許文献1には、防水性素材の上着本体の両袖口端部に対し、防水性素材製手袋の基端部を気密に連結した手袋を具えた防水性上着が記載されている。また、特許文献2には、外袖の裏面に内袖の根元部を縫製された上着の二重袖口構造において、内袖を先細りの裁頭円錐型に造形するとともに、その円錐綿面に親指導出口を開口させることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開昭60-32320号公報
【文献】実用新案登録第3125285号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1及び2では、手袋や二重袖口によって防水、防寒や日焼け防止を良好にしているものの、他の機能については検討されていない。
【0005】
本発明は、従来とは異なる発想で、荷物を持つ時に手の平にかかる負担を軽減できるハンドカバー、及びそれを含む衣服を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ハンドカバー本体、及び前記ハンドカバー本体に設けられた帯部材を含み、前記ハンドカバー本体は、少なくとも手首、手の甲及び手の平を覆い、親指開口部を有する筒状であり、前記帯部材は、長手方向の両端部が前記ハンドカバー本体に固定され、幅方向の両端部は自由端部となっており、前記帯部材は、幅方向の自由端部にて裏返すことで、手の甲及び手の平のそれぞれを覆うことができ、前記帯部材には滑り止め部が設けられており、前記帯部材が手の甲を覆う場合、前記滑り止め部は前記帯部材の裏面に位置し、前記帯部材が手の平を覆う場合、前記滑り止め部は前記帯部材の表面に位置することを特徴とするハンドカバーに関する。
【0007】
本発明は、また、衣服本体及びハンドカバーを含む衣服であって、前記ハンドカバーは、ハンドカバー本体、及び前記ハンドカバー本体に設けられた帯部材を含み、前記ハンドカバー本体は、少なくとも手首、手の甲及び手の平を覆い、親指開口部を有する筒状であり、前記ハンドカバー本体の手首側の根元部は、衣服本体の袖口に固定されており、前記帯部材は、長手方向の両端部が前記ハンドカバー本体に固定され、幅方向の両端部は自由端部となっており、前記帯部材は、幅方向の自由端部にて裏返すことで、手の甲及び手の平のそれぞれを覆うことができ、前記帯部材には滑り止め部が設けられており、前記帯部材が手の甲を覆う場合、前記滑り止め部は前記帯部材の裏面に位置し、前記帯部材が手の平を覆う場合、前記滑り止め部は前記帯部材の表面に位置することを特徴とする衣服に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、荷物を持つ時に手の平にかかる負担を軽減でき、該軽減効果の耐久性が高いハンドカバー、及びそれを含む衣服を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一例のハンドカバー(左手)の模式的斜視図である。
図2】本発明の一例のハンドカバー(左手)の模式的斜視図である。
図3】本発明の一例のハンドカバー(左手)の模式的断面図である。
図4】本発明の一例のハンドカバーの手の甲側における着用状態を説明する部分的模式図である。
図5】本発明の一例のハンドカバーにおける帯部材の裏返しを説明する部分的模式図である。
図6】本発明の一例のハンドカバーの手の平側における着用状態を説明する部分的模式図である。
図7】本発明の一例の衣服の模式的正面図である。
図8】同衣服の模式的背面図である。
図9】本発明の他の一例の衣服の模式的正面図である。
図10】同衣服の模式的背面図である。
図11】一例の脱着可能なポケットの模式的正面図である。
図12】同模式的背面図である。
図13】同模式的部分斜視図である。
図14】同模式的斜視図である。
図15】ポケットの裏側の第2収容部に収納されていた折り畳んだ状態のバッグを第2収容部から取り出して広げる手順の説明図である。
図16】広げた状態のバッグの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(ハンドカバー)
本発明者らは、荷物、特に重い荷物を持つ時の手の平にかかる負担を軽減することについて、検討を重ねた。その結果、本発明の第1の実施形態のハンドカバーにおいて、少なくとも手首、手の甲及び手の平を覆い、親指開口部を有する筒状のハンドカバー本体に、長手方向の両端部がハンドカバー本体に固定され、幅方向の両端部は自由端部となっている帯部材を設け、該帯部材に、手の甲を覆う場合は帯部材の裏面に位置し、手の平を覆う場合は帯部材の表面に位置するような滑り止め部を設けることで、荷物、特に重い荷物を持つ時の手の平にかかる負担を軽減し得ることを見出した。上述のように、帯部材を幅方向の自由端部にて裏返すことができる構成にし、荷物を持つ時等の必要な場合のみに滑り止め部を露出することで、滑り止め部の使用耐久性が高くなり、荷物を持つ時に手の平にかかる負担を軽減する効果の耐久性も高くなる。また、滑り止め部により、堅い蓋を開けやすくなる。また、滑り止め部により、物を持ちやすく、握りやすくなる。本明細書において、表面は外部に露出される側を意味し、裏面は外部に露出されない側を意味する。
【0011】
本発明の第1の実施形態のハンドカバーにおいて、少なくとも手首、手の甲及び手の平を覆い、親指開口部を有するハンドカバー本体にて防水、防寒又は日焼け防止効果を奏し、リバーシブルの帯部材における滑り止め部にて物を持つ時に手の平にかかる負担を軽減することができる。
【0012】
前記滑り止め部は、特に限定されないが、例えば、簡便性及び荷物による負担を軽減する効果をより向上させる観点から、樹脂で構成することが好ましい。樹脂としては、特に限定されず、例えば、弾性を有するものを用いることができる。弾性を有する樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマー、ゴム系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、及びアクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体及びアクリル系樹脂等が挙げられる。前記樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0013】
前記帯部材において、荷物による負担を軽減する効果を高める観点から、滑り止め部の面積率は15%以上であることが好ましく、20%以上であることがより好ましい、30%以上であることがさらに好ましく、40%以上であることがさらにより好ましく、50%以上であることが特に好ましい。また、滑り止め部の面積率は100%でもよいが、コストの観点から、滑り止め部の面積率は95%以下であることが好ましく、90%以下であることがより好ましく、85%以下であることがさらに好ましく、80%以下であることがさらにより好ましい。前記帯部材における滑り止め部の面積率とは、滑り止め部が配置されている部位において、帯部材の面積に対する滑り止め部の面積の割合を示すものである。
【0014】
前記滑り止め部は、例えば、これらの樹脂材料を流動可能な状態(例えば、液状)でプリント加工により塗布し、加熱し、硬化させることで形成することができる。より具体的には、シリコーン樹脂等を転写プリントすることで滑り止め部を設けることができる。
【0015】
前記帯部材は、荷物を持つ時に手の平にかかる負担をより効果的に軽減する観点から、手の平に位置する際、少なくとも指尖球を覆う領域に配置されていることが好ましく、滑り止め部材が少なくとも指尖球を覆う領域に配置されていることがより好ましい。帯部材は、例えば、手の長さ方向のサイズが4~8cmであってもよい。
【0016】
前記ハンドカバー本体は、少なくとも手首、手の甲及び手の平を覆うものであればよい。手指の動きを良好にする観点から、指は覆わないフィンガーレスー型であってもよい。また、必要に応じて、人差し指、中指、薬指及び小指の一部又は全部を覆うものであってもよい。また、必要に応じて、腕の一部又は全部を覆うものであってもよい。前記ハンドカバー本体は、生地の長手方向の両端部を縫製して筒状にし、親指開口部を設けたものでもよいが、丸編みにてシームなしの筒状にし、親指開口部を設けたものであってもよい。
【0017】
帯部材は、特に限定されないが、帯部材の裏返しを容易にする観点から、伸縮性生地で構成することができる。ハンドカバー本体も、特に限定されないが、伸縮性生地で構成してもよい。伸縮性生地としては、手指の動きや裏返しを容易にする観点から、例えば、手の幅方向(周囲方向)及び/又は手の長さ方向の伸長率が5%以上、好ましくは10%以上、より好ましくは15%以上である生地を用いることができる。前記伸縮性生地は、特に限定されないが、例えば、荷物を持つ時に手の平にかかる負担をより効果的に軽減する観点から、手の幅方向(周囲方向)及び/又は手の長さ方向の伸長率が50%以下であることが望ましい。
【0018】
本発明の1以上の実施形態において、生地の伸長率は、JIS L 1096 8.14.1 A法に基づいて、荷重17.6N、引張速度200mm/minの条件下で測定する。
【0019】
ハンドカバー本体及び帯部材は、織物及び編物等の生地を適宜用いることができる。前記織物としては、例えば、平織、斜文織、朱子織、変化平織、変化斜文織、変化朱子織、変わり織、紋織、片重ね織、二重組織、多重組織、経パイル織、緯パイル織、絡み織などが挙げられる。前記編物としては、例えば丸編、緯編、経編(トリコット編、ラッセル編を含む)、パイル編、平編、天竺編、リブ編、スムース編(両面編)、ゴム編、パール編、デンビー組織、コード組織、アトラス組織、鎖組織、挿入組織などが挙げられる。柔軟性の観点から、編物を好適に用いることができる。前記生地を構成する繊維としては、特に限定されず、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル繊維、ポリエチレン繊維等のポリオレフィン繊維、ポリウレタン繊維、ポリアミド繊維、アセテート繊維、コットン繊維、レーヨン繊維、エチレンビニルアルコール繊維、ナイロン繊維などを用いることができる。前記生地の目付は、特に限定されないが、例えば、80~600g/m2であってもよい。
【0020】
(衣服)
本発明の第2の実施形態の衣服は、衣服本体と上述したハンドカバーを含み、ハンドカバー本体の手首側の根元部を衣服本体の袖口に固定することで、手の甲を覆う場合は帯部材の裏面に位置し、手の平を覆う場合は帯部材の表面に位置するような滑り止め部にて、荷物、特に重い荷物を持つ時の手の平にかかる負担を軽減し得る。このように、帯部材を幅方向の自由端部にて裏返すことができる構成にし、荷物を持つ時等の必要な場合のみに滑り止め部を露出することで、滑り止め部の使用耐久性が高くなり、荷物を持つ時に手の平にかかる負担を軽減する効果の耐久性も高くなる。また、滑り止め部により、堅い蓋を開けやすくなる。また、滑り止め部により、物を持ちやすく、握りやすくなる。ハンドカバー本体の手首側の根元部を衣服本体の袖口の端部に直接繋げて固定してもよいが、好ましい形態において、ハンドカバー本体の手首側の根元部を衣服本体の袖口の裏面(場合によっては、袖口の裏地)に固定し、二重袖口構造にすることで、ハンドカバーによるの防水、防寒又は日焼け防止などの効果を向上させるとともに、荷物、特に重い荷物を持つ時の手の平にかかる負担を軽減し得る。
【0021】
前記衣服は、ハンドカバーを設けることができる袖部を有するものであればよく、例えば、上半身に着用する上衣であってもよく、全身に着用するつなぎ服でよい。防寒、防水及び日焼け防止等の観点から、外衣であることが望ましい。
【0022】
上衣としては、特に限定されず、例えば、シャツ、セータ、ブレザ、ジャケット、ブルゾン(ジャンパとも称される)、パーカー等が挙げられる。前記衣服は、コートであってもよい。
【0023】
前記衣服本体は、前身頃、後身頃、袖部、及び襟部を含むものであってもよく、該上衣はさらにフード部を含んでもよい。
【0024】
本発明の更なる好ましい第3の実施形態において、衣服は、衣服本体及び上述したハンドカバーに加えて、脱着可能なポケットを一つ以上含む。該好ましい実施形態では、表地及び裏地にて袋状に形成し、袋の内部空間を鉛直方向の仕切りにて表側の第1収容部及び裏側の第2収容部に分割し、第2収容部に折り畳んだ状態のバッグを収納したポケットを、衣服本体に設けられた第1脱着具と、ポケットに設けられた第2脱着具を介して、衣服本体に脱着可能に取り付けることで、衣服本体に取り付けた状態ではポケットとして機能し、衣服本体から取り外した状態ではバッグとして機能させている。
ポケットをバッグとして用いる場合、帯部材を手の平を覆うようにし、滑り止め部を帯部材の表面に位置するようにすることで、バッグを持つ時の手の平にかかる負担を軽減することができる。
【0025】
前記脱着可能なポケットは一つ以上であればよく、特に限定されないが、2つ以上の複数であってもよい。前記衣服は、ポケットを脱着しやすい観点から、外衣であることが望ましい。前記脱着可能なポケットは、前記衣服本体の左右の胸部のそれぞれに脱着可能に取り付けられていてもよく、前記衣服本体の後身頃の腰部に左右対称的に脱着可能に取り付けられていてもよい。前記衣服本体は、脱着可能なポケットに加えて、さらに脱着不可能なポケットを含んでもよい。
【0026】
第1脱着具及び第2脱着具は、互いに脱着可能に連結することができるものであればよく、例えば、ファスナー、面ファスナー、及びスナップボタン(ドットボタンとも称される)等で構成することができる。使用耐久性、洗濯耐久性、及び取扱性等の観点から、第1脱着具及び第2脱着具は、スナップボタンであることが好ましく、ブロック型スナップボタンであることがより好ましい。
【0027】
第2脱着具は、ポケットを衣服本体に脱着可能に取り付けることができればよく、その配置や個数は特に限定されない。衣服本体に取り付けた際の固定性及び取り外す際の取扱性を高める観点から、ポケットの上端及び下端の両方に設けることが好ましい。
【0028】
バッグは、折り畳んで第2収容部に収納し得るものであればよく、特に限定されない。例えば、トート型でもよく、リュック型でもよい。バッグを構成する表地及び裏地には、例えば、薄手の布地を用いることができ、具体的には、例えば、目付が30~150g/m2の編物や織物を用いることができる。前記織物としては、特に限定されず、一重織り組織でもよく、二重織り組織でもよい。例えば、平織、斜文織、朱子織、変化平織、変化斜文織、変化朱子織、変わり織、紋織、片重ね織、二重組織、多重組織、経パイル織、緯パイル織、絡み織などが挙げられる。前記布地を構成する繊維としては、特に限定されず、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル繊維、ポリエチレン繊維等のポリオレフィン繊維、ポリウレタン繊維、ポリアミド繊維、アセテート繊維、コットン繊維、レーヨン繊維、エチレンビニルアルコール繊維、ナイロン繊維などを用いることができる。前記布地は、ポリウレタンコーティング等にて撥水加工されたものでもよい。
【0029】
前記仕切りは、袋の内部空間を分割することができるものであればよく、特に限定されない。例えば、織物で構成することができる。前記織物としては、特に限定されず、一重織り組織でもよく、二重織り組織でもよい。例えば、平織、斜文織(綾織り又はツイルとも称される)、朱子織、変化平織、変化斜文織、変化朱子織、変わり織、紋織、片重ね織、二重組織、多重組織、経パイル織、緯パイル織、絡み織などが挙げられる。平織としては、例えばタフタを用いてもよい。また、前記仕切りは、メッシュ等の編物で構成してもよい。前記織物や編物を構成する繊維としては、特に限定されず、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル繊維、ポリエチレン繊維等のポリオレフィン繊維、ポリウレタン繊維、ポリアミド繊維、アセテート繊維、コットン繊維、レーヨン繊維、エチレンビニルアルコール繊維、ナイロン繊維などを用いることができる。前記織物や編物は、例えば、目付が30~150g/m2であってもよい。
【0030】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。本発明は、図面に示した実施形態に限定されない。
【0031】
図1~6は、本発明の第1の実施形態のハンドカバーの一例に関する。図1は帯部材が手の甲側に位置する場合に対応する一例のハンドカバー(左手)の模式的斜視図であり、図2は帯部材が手の平側に位置する場合に対応する一例のハンドカバー(右手)の模式的斜視図である。図3は、帯部材が手の甲側に位置する場合に対応する一例のハンドカバー(左手)の断面図である。図4は、手の甲側におけるハンドカバーの着用状態を説明する部分的模式図である。図5は、同ハンドカバーにおける帯部材の裏返しを説明する部分的模式図である。図6は、手の平側におけるハンドカバーの着用状態を説明する部分的模式図である。
【0032】
該実施形態のハンドカバー3は、ハンドカバー本体4及び帯部材5を含む。ハンドカバー本体4は、手首、手の甲及び手の平を覆い、親指開口部41を有する筒状である。該実施形態では、ハンドカバー本体4は、手指の動きを良好にする観点から、指を覆わないフィンガーレスー型となっているが、必要に応じて、人差し指、中指、薬指及び小指の一部又は全部を覆うものであってもよい。また、ハンドカバー本体4は、腕の一部又は全部を覆うものであってもよい。
【0033】
帯部材5において、長手方向の両端部51はハンドカバー本体4に縫製にて固定され固定端部となり、幅方向の両端部52は自由端部となっている。帯部材5は、幅方向の自由端部52にて裏返すことで、手の甲及び手の平のそれぞれを覆うことができる。具体的には、図4に示すように帯部材5は手10の甲を覆っており、図5に示すように、手10を握り、帯部材5の幅方向の自由端部52を図5の矢印方向に裏返すことで、図6に示すように帯部材5は手10の平を覆うことになる。帯部材5には滑り止め部53が設けられており、手の甲を覆う場合、滑り止め部53は帯部材5の裏面に位置し、手の平を覆う場合、滑り止め部53は帯部材5の表面に位置する。
【0034】
図7及び8は、本発明の第2の実施形態の衣服の一例に関する。図7は、本発明の一例の衣服の模式的正面図である。図8は、同衣服の模式的背面図である。図7及び8において、ハンドカバーについては斜視的に示している。該実施形態において、第1の実施形態と同じ構成は同じ符号で示している。
【0035】
該実施形態の衣服1は、衣服本体2及びハンドカバー3を含み、上半身を覆う上衣である。衣服本体2は、前身頃11、後身頃12、袖部13、襟部14及びフード部15を含む。該実施形態において、襟部14及びフード部15は一体化されているが、一体化されていなくてもよい。なお、フード部15を含まなくてもよい。左右の前身頃11は開閉部材16にて開閉可能に結合してもよい。開閉部材16としては、例えば、ファスナー、面ファスター及びスナップボタン等を用いることができる。該実施形態において、衣服本体2は、また、腹部に左右対称的配置されている脱着不可能なポケット17を有するが、有しなくともよい。
【0036】
ハンドカバー3は、ハンドカバー本体4及び帯部材5を含む。ハンドカバー本体4は、手首、手の甲及び手の平を覆い、親指開口部41を有する筒状である。該実施形態では、ハンドカバー本体4は、手指の動きを良好にする観点から、指の根元部までを覆うフィンガーレスー型となっているが、必要に応じて、人差し指、中指、薬指及び小指の一部又は全部を覆うものであってもよい。ハンドカバー本体4の手首側の根元部42は、衣服本体2の袖口の裏面に縫製にて固定されている。衣服本体2の袖部13が裏地を有する場合、ハンドカバー本体4の手首側の根元部42は裏地に縫製にて固定されてもよい。ハンドカバー本体4の手首側の根元部42の固定箇所は、特に限定されないが、例えば、手指の動きを良好にするとともに手首から肘にかけて温める観点から、袖口の端部から1~20cm離れていてもよい。
【0037】
該実施形態の衣服の場合も、図3に示すように、帯部材5において、長手方向の両端部51はハンドカバー本体4に縫製にて固定され固定端部となり、幅方向の両端部52は自由端部となっている。帯部材5は、幅方向の自由端部52にて裏返すことで、手の甲及び手の平のそれぞれを覆うことができる。具体的には、図4に示すように帯部材5は手10の甲を覆っており、図5に示すように、手10を握り、帯部材5の幅方向の自由端部52を矢印方向に裏返すことで、図6に示すように帯部材5は手10の平を覆うことになる。帯部材5には滑り止め部53が設けられており、手の甲を覆う場合、滑り止め部53は帯部材5の裏面に位置し、手の平を覆う場合、滑り止め部53は帯部材5の表面に位置する。図7及び8において、左手は帯部材5が手の甲を覆う場合に対応し、右手は帯部材5が手の平を覆う場合に対応する。
【0038】
図9~16は、本発明の第3の実施形態の衣服の一例に関する。該実施形態において、第2の実施形態と同じ構成は同じ符号で示している。
【0039】
図9は本発明の一例の衣服の模式的正面図である。図10は、同衣服の模式的背面図である。図11は、同衣服に用いた一例のポケットの模式的正面図であり、図12は同ポケットの模式的背面図であり、図13は同ポケットの模式的部分斜視図であり、図14は同ポケットの模式的斜視図である。図15はポケットの裏側の第2収容部に収納されていた折り畳んだ状態のバッグを第2収容部から取り出して広げる手順の説明図である。図16は広げた状態のバッグの斜視図である。
【0040】
該実施形態の衣服100は、上半身を覆う上衣である。衣服100は、衣服本体102及びハンドカバー3を含む。衣服本体102は、前身頃11、後身頃12、袖部13、襟部14及びフード部15を含む。左右の前身頃11は開閉部材16にて開閉可能に結合してもよい。該実施形態において、襟部14及びフード部15は一体化されているが、一体化されていなくてもよい。なお、フード部15を含まなくてもよい。開閉部材16としては、例えば、ファスナー、面ファスター及びスナップボタン等を用いることができる。該実施形態において、衣服本体102は、また、腹部に左右対称的配置されている脱着不可能なポケット17を有するが、有しなくともよい。ハンドカバー本体4の手首側の根元部42は、衣服本体102の袖口の裏面に縫製にて固定されている。衣服本体102の袖部13が裏地を有する場合、ハンドカバー本体4の手首側の根元部42は裏地に縫製にて固定されてもよい。ハンドカバー本体4の手首側の根元部42の固定箇所は、手指の動きを良好にするとともに手首から肘にかけて温める観点から、袖口の端部から1~20cm離れていてもよい。ハンドカバー3については、図1~10において、説明しており、ここでは、説明を省略する。
【0041】
図9に示されているように、衣服本体102の胸部にはポケット103が脱着可能に取り付けられている。具体的には、ポケット103は、衣服本体102の胸部に設けられている第1脱着具110と、ポケット103に設けられている第2脱着具120を介して、衣服本体102に取り付けられている。図9は、右胸部のポケット103は衣服本体102に取り付けられている状態、左胸部のポケットは衣服本体102から取り外されている状態を示している。
【0042】
図10に示されているように、衣服本体102の後身頃12の腰部には左右対称的にポケット103が脱着可能に取り付けられている。具体的には、ポケット103は、衣服本体102の後身頃12の腰部に設けられている第1脱着具110と、ポケット103に設けられている第2脱着具120を介して、裏側、具体的には裏地122が衣服本体102に接するように、衣服本体102に取り付けられている。図10において、左腰部のポケット103は衣服本体102に取り付けられている状態、右腰部のポケットは衣服本体102から取り外されている状態を示している。
【0043】
第1脱着具110及び第2脱着具120は、ブロック型スナップボタンで構成することができる。ブロック型スナップボタン付きのテープを所定箇所に取り付けることで、第1脱着具110及び第2脱着具120を設けることができる。これにより、第1脱着具110及び第2脱着具120の結合が容易であるうえ、使用耐久性及び洗濯耐久性にも優れる。
【0044】
第1脱着具110は、汚れを抑制する観点から、衣服本体102のポケット103を取り付ける箇所に設けられているフラシ130の裏側に配置されていることが望ましい。
【0045】
図11図14に示されているように、ポケット103は、表地121及び裏地122にて袋状に形成されており、袋の内部空間は、鉛直方向の仕切り123にて表面側の第1収容部124及び裏側の第2収容部125に分割されている。第2収容部125には、バッグ126が収納されている。該実施形態において、裏地122の鉛直方向の高さは、表地121の鉛直方向の高さより高いが、裏地122の鉛直方向の高さは、表地121の鉛直方向の高さと同じであってもよく、裏地122の鉛直方向の高さは、表地121の鉛直方向の高さより低くてもよい。
【0046】
仕切り123の上端は袋の内部空間から突き出ており、仕切り123の上端の表側には第2脱着具120が設けられている。仕切り123の上端の裏側には、折り畳んだ状態のバッグ126が縫製にて連結されている。ポケット103において、表地121の下端、具体的には表地121の下部の両角にも第2脱着具120が設けられている。具体的には、仕切り123の上端の表側及び表地121の下部の両角にブロック型スナップボタン付きのテープを縫製にて取り付けることで、第2脱着具120を設けることができる。このように、ポケット103の上端及び下端に第2脱着具120を設けることで、ポケット103を衣服本体102に取り付けた際の固定性が良好になる。
【0047】
第2脱着具120の下部には、第1収容部の蓋127が設けられており、開閉部材128にて表地121に開閉可能に結合している。該実施形態において、開閉部材128としては、スナップボタンを用いている。開閉部材128としては、ファスナーや面ファスナーを用いてもよい。
【0048】
衣服本体102から取り外したポケット103はエコバッグとして用いることができる。具体的には、図15において、矢印で示す順番で、ポケット103の裏側の第2収容部に収納していたバッグ126を引き出し、広げることで、図16に示すようにトート型のエコバッグとなる。
【0049】
前記衣服本体の素材は特に限定されず、種類や目的などに応じて織物及び編物等の生地を適宜用いることができる。前記織物としては、特に限定されず、一重織り組織でもよく、二重織り組織でもよい。例えば、平織、斜文織、朱子織、変化平織、変化斜文織、変化朱子織、変わり織、紋織、片重ね織、二重組織、多重組織、経パイル織、緯パイル織、絡み織などが挙げられる。前記生地を構成する繊維としては、特に限定されず、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル繊維、ポリエチレン繊維等のポリオレフィン繊維、ポリウレタン繊維、ポリアミド繊維、アセテート繊維、コットン繊維、レーヨン繊維、エチレンビニルアルコール繊維、ナイロン繊維などを用いることができる。前記生地は、撥水加工されたものでもよい。前記生地の目付は、特に限定されないが、例えば、30~800g/m2であってもよい。
【0050】
一例として、衣服本体を、ポリエステル繊維100%の平織(目付30~800g/m2)であり、裏面がポリウレタンコーティングされた生地で構成し、ハンドカバー本体及び帯部材をポリエステル繊維100%の天竺(目付80~600g/m2、手の長さ方向伸長率10%、手の幅方向伸長率10%)で構成し、滑り止め部をシリコーン樹脂で構成し、ポケットをポリエステル繊維100%の平織(目付30~800g/m2)で構成し、仕切りをポリエステル繊維100%の平織(目付30~150m2)で構成することができる。
【0051】
前記衣服は、特に限定されず、日常生活用でもよく、作業用でもよく、及びスポーツ用でもよい。
【符号の説明】
【0052】
1、100 衣服
2、102 衣服本体
3 ハンドカバー
4 ハンドカバー本体
5 帯部材
10 手
11 前身頃
12 後身頃
13 袖部
14 襟部
15 フード部
16 (前身頃の)開閉部材
17 ポケット
41 親指開口部
42 ハンドカバー本体の手首側の根元部
51 (帯部材の)固定端部
52 (帯部材の)自由端部
53 滑り止め部
103 (脱着可能な)ポケット
110 第1脱着具
120 第2脱着具
121 (ポケットの)表地
122 (ポケットの)裏地
123 (ポケットの)仕切り
124 第1収容部
125 第2収容部
126 バッグ(エコバッグ)
127 (第1収容部の)蓋
128 (蓋の)開閉部材
130 フラシ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16