(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-02
(45)【発行日】2023-05-15
(54)【発明の名称】原稿審査支援方法、装置、プログラム、および辞書システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0241 20230101AFI20230508BHJP
【FI】
G06Q30/0241
(21)【出願番号】P 2021140033
(22)【出願日】2021-08-30
【審査請求日】2021-08-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000153203
【氏名又は名称】株式会社日本経済新聞社
(73)【特許権者】
【識別番号】391021710
【氏名又は名称】株式会社インテック
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】野瀬 広毅
(72)【発明者】
【氏名】寺田 貴誌
(72)【発明者】
【氏名】林 克美
(72)【発明者】
【氏名】鵜浦 賢人
【審査官】藤原 拓也
(56)【参考文献】
【文献】特許第6881559(JP,B1)
【文献】特開2002-183131(JP,A)
【文献】特開平09-212504(JP,A)
【文献】特開平05-054028(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサによって実行される原稿審査支援方法であって、
前記プロセッサが、
審査対象の原稿の内容から、前記原稿が関連するカテゴリを判定するステップと、
この判定結果に基づいて、前記カテゴリごとにあらかじめ準備された複数の辞書の中から、前記判定されたカテゴリの辞書を決定するステップと、
前記原稿の記載を、前記辞書に含まれる用語と比較することによって、前記原稿の記載の妥当性を審査するステップとを実行
し、
前記審査するステップは、
前記決定された辞書と全てのカテゴリに共通して使用される全般辞書との2つの辞書と、前記原稿の記載に含まれるテキストデータとの照合処理を行うステップと、
前記2つの辞書のいずれかに予め登録されている、不適切もしくは留意すべき用語が、前記テキストデータに存在するか否かを検索するステップと、
前記検索の結果に対して、前記2つの辞書の少なくとも何れかに登録されている前記不適切もしくは留意すべき用語に関する解説と、前記解説に関連するコメントとを出力するステップと
を含む、原稿審査支援方法。
【請求項2】
前記コメントは、前記不適切もしくは留意すべき用語に対する代替表現の提示を含む、請求項
1に記載の原稿審査支援方法。
【請求項3】
前記プロセッサが、
前記審査対象の原稿の内容から、前記原稿が関連する
カテゴリを判定するステップの前に、前記審査対象の原稿を選択するステップをさらに実行する、請求項1
または2に記載の原稿審査支援方法。
【請求項4】
前記審査対象の原稿を選択するステップは、紙面に掲載された原稿から、審査対象の原稿を選択するステップを含む、請求項
3に記載の原稿審査支援方法。
【請求項5】
前記審査対象の原稿の内容から、前記原稿が関連する
カテゴリを判定するステップは、前記選択するステップで選択された原稿を、テキストデータに変換し、前記テキストデータの内容から、前記原稿が関連する業種または商品を判定するステップを含み、
前記原稿の記載を、前記辞書に含まれる用語と比較するステップは、前記テキストデータを、前記辞書に含まれる用語と比較するステップを含む、請求項
4に記載の原稿審査支援方法。
【請求項6】
前記プロセッサが、
新たなカテゴリのために、新たな辞書を生成するステップをさらに実行する、請求項1乃至
5のうち何れか1項に記載の原稿審査支援方法。
【請求項7】
前記プロセッサが、
前記複数の辞書のうち関連性の高い2つ以上の辞書を、1つの辞書に統合するステップをさらに実行する、請求項1乃至
6のうち何れか1項に記載の原稿審査支援方法。
【請求項8】
前記プロセッサが、
前記複数の辞書のうち、使用頻度の低い辞書を削除するステップをさらに実行する、請求項1乃至
7のうち何れか1項に記載の原稿審査支援方法。
【請求項9】
前記プロセッサが、
前記複数の辞書のうちの1つの辞書を、複数の辞書に分割するステップをさらに実行する、請求項1乃至
8のうち何れか1項に記載の原稿審査支援方法。
【請求項10】
前記プロセッサが、
蓄積済みの用語の削除、および新たな用語の蓄積により、前記辞書を更新するステップをさらに実行する、請求項1乃至
9のうち何れか1項に記載の原稿審査支援方法。
【請求項11】
前記カテゴリは、業種別または商品別に決定される、請求項1乃至
10のうち何れか1項に記載の原稿審査支援方法。
【請求項12】
原稿審査支援装置であって、
審査対象の原稿の内容から、前記原稿が関連するカテゴリを判定する判定部と、
前記カテゴリごとにあらかじめ準備された複数の辞書と、
前記判定部による判定結果に基づいて、前記カテゴリごとにあらかじめ準備された辞書の中から、前記判定されたカテゴリの辞書を決定する辞書決定部と、
前記原稿の記載を、前記辞書に含まれる用語と比較することによって、前記原稿の記載の妥当性を審査する審査部
と、
全てのカテゴリに共通して使用される全般辞書とを備え、
前記審査部は、
前記決定された辞書と前記全般辞書との2つの辞書と、前記原稿の記載に含まれるテキストデータとの照合処理を行い、
前記2つの辞書のいずれかに予め登録されている、不適切もしくは留意すべき用語が、前記テキストデータに存在するか否かを検索し、
前記検索の結果に対して、前記2つの辞書の少なくとも何れかに登録されている前記不適切もしくは留意すべき用語に関する解説と、前記解説に関連するコメントとを出力する、原稿審査支援装置。
【請求項13】
前記コメントは、前記不適切もしくは留意すべき用語に対する代替表現の提示を含む、請求項
12に記載の原稿審査支援装置。
【請求項14】
前記審査対象の原稿を選択する原稿選択部をさらに備える、請求項
12または13
に記載の原稿審査支援装置。
【請求項15】
前記原稿選択部は、紙面に掲載された原稿から、審査対象の原稿を選択する、請求項
14に記載の原稿審査支援装置。
【請求項16】
前記判定部は、前記選択された原稿を、テキストデータに変換し、前記テキストデータの内容から、前記原稿が関連する
カテゴリを判定し、
前記審査部は、前記テキストデータを、前記辞書に含まれる用語と比較する、請求項
15に記載の原稿審査支援装置。
【請求項17】
新たなカテゴリのために、新たな辞書を生成する辞書生成部をさらに備えた、請求項
12乃至
16のうち何れか1項に記載の原稿審査支援装置。
【請求項18】
前記複数の辞書のうち関連性の高い2つ以上の辞書を、1つの辞書に統合する辞書統合部をさらに備えた、請求項
12乃至
17のうち何れか1項に記載の原稿審査支援装置。
【請求項19】
前記複数の辞書のうち、使用頻度の低い辞書を削除する辞書削除部をさらに備えた、請求項
12乃至
18のうち何れか1項に記載の原稿審査支援装置。
【請求項20】
前記複数の辞書のうちの1つの辞書を、複数の辞書に分割する辞書分割部を備えた、請求項
12乃至
19のうち何れか1項に記載の原稿審査支援装置。
【請求項21】
蓄積済みの用語の削除、および新たな用語の蓄積により、前記辞書を更新する辞書更新部を備えた、請求項
12乃至
20のうち何れか1項に記載の原稿審査支援装置。
【請求項22】
前記カテゴリは、業種別または商品別に決定される、請求項
12乃至
21のうち何れか1項に記載の原稿審査支援装置。
【請求項23】
原稿を審査するためのプログラムであって、
審査対象の原稿の内容から、前記原稿が関連するカテゴリを判定する
判定機能、
この判定結果に基づいて、前記カテゴリごとにあらかじめ準備された複数の辞書の中から、前記原稿の審査に使用する辞書を決定する
決定機能、
前記原稿の記載を、前記辞書に含まれる用語と比較することによって、前記原稿の記載の妥当性を審査する
審査機能
であって、
前記決定された辞書と全てのカテゴリに共通して使用される全般辞書との2つの辞書と、前記原稿の記載に含まれるテキストデータとの照合処理を行う機能と、
前記2つの辞書のいずれかに予め登録されている、不適切もしくは留意すべき用語が、前記テキストデータに存在するか否かを検索する機能と、
前記検索の結果に対して、前記2つの辞書の少なくとも何れかに登録されている前記不適切もしくは留意すべき用語に関する解説と、前記解説に関連するコメントとを出力する機能とを含む、審査機能
を1つまたは複数のプロセッサに実現させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広告原稿などの記載内容の審査を支援する原稿審査支援方法、装置、プログラム、および辞書システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば新聞や雑誌の掲載広告には、商品のみならず、例えば、不動産、医薬品、旅行といった様々な業種にも及ぶ。
【0003】
一方で、過大広告や誇大広告を防ぐために、特に、不動産や、医薬品の分野では、広告内容の適正性が法律で定められている。
【0004】
これら法律では、記載すべき必須項目や、使用不可な表現等が規定されている。
【0005】
したがって、新聞や雑誌が公開される前には、掲載される広告が、法律に則った記載になっているか否かを審査する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、原稿審査をコンピュータにより支援することによって、審査担当者の負担軽減、審査のスピードアップ、および審査精度の向上を図る原稿審査支援方法、装置、プログラム、およびこれらに適用される辞書システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明では、以下のような手段を講じる。
【0009】
すなわち、請求項1の発明は、プロセッサによって実行される原稿審査支援方法であって、前記プロセッサが、審査対象の原稿の内容から、前記原稿が関連するカテゴリを判定するステップと、この判定結果に基づいて、前記カテゴリごとにあらかじめ準備された複数の辞書の中から、前記判定されたカテゴリの辞書を決定するステップと、前記原稿の記載を、前記辞書に含まれる用語と比較することによって、前記原稿の記載の妥当性を審査するステップとを実行する。
【0010】
前記審査するステップは、前記決定された辞書と全てのカテゴリに共通して使用される全般辞書との2つの辞書と、前記原稿の記載に含まれるテキストデータとの照合処理を行うステップと、前記2つの辞書のいずれかに予め登録されている、不適切もしくは留意すべき用語が、前記テキストデータに存在するか否かを検索するステップと、前記検索の結果に対して、前記2つの辞書の少なくとも何れかに登録されている前記不適切もしくは留意すべき用語に関する解説と、前記解説に関連するコメントとを出力するステップとを含む。
【0011】
請求項2の発明は、前記コメントは、前記不適切もしくは留意すべき用語に対する代替表現の提示を含む、請求項1に記載の原稿審査支援方法である。
【0012】
請求項3の発明は、前記プロセッサが、前記審査対象の原稿の内容から、前記原稿が関連するカテゴリを判定するステップの前に、前記審査対象の原稿を選択するステップをさらに実行する、請求項1または2に記載の原稿審査支援方法である。
【0013】
請求項4の発明は、前記審査対象の原稿を選択するステップは、紙面に掲載された原稿から、審査対象の原稿を選択するステップを含む、請求項3に記載の原稿審査支援方法である。
【0014】
請求項5の発明は、前記審査対象の原稿の内容から、前記原稿が関連するカテゴリを判定するステップは、前記選択するステップで選択された原稿を、テキストデータに変換し、前記テキストデータの内容から、前記原稿が関連する業種または商品を判定するステップを含み、前記原稿の記載を、前記辞書に含まれる用語と比較するステップは、前記テキストデータを、前記辞書に含まれる用語と比較するステップを含む、請求項4に記載の原稿審査支援方法である。
【0015】
請求項6の発明は、前記プロセッサが、新たなカテゴリのために、新たな辞書を生成するステップをさらに実行する、請求項1乃至5のうち何れか1項に記載の原稿審査支援方法である。
【0016】
請求項7の発明は、前記プロセッサが、前記複数の辞書のうち関連性の高い2つ以上の辞書を、1つの辞書に統合するステップをさらに実行する、請求項1乃至6のうち何れか1項に記載の原稿審査支援方法である。
【0017】
請求項8の発明は、前記プロセッサが、前記複数の辞書のうち、使用頻度の低い辞書を削除するステップをさらに実行する、請求項1乃至7のうち何れか1項に記載の原稿審査支援方法である。
【0018】
請求項9の発明は、前記プロセッサが、前記複数の辞書のうちの1つの辞書を、複数の辞書に分割するステップをさらに実行する、請求項1乃至8のうち何れか1項に記載の原稿審査支援方法である。
【0019】
請求項10の発明は、前記プロセッサが、蓄積済みの用語の削除、および新たな用語の蓄積により、前記辞書を更新するステップをさらに実行する、請求項1乃至9のうち何れか1項に記載の原稿審査支援方法である。
【0020】
請求項11の発明は、前記カテゴリは、業種別または商品別に決定される、請求項1乃至10のうち何れか1項に記載の原稿審査支援方法である。
【0021】
請求項12の発明は、原稿審査支援装置であって、審査対象の原稿の内容から、前記原稿が関連するカテゴリを判定する判定部と、前記カテゴリごとにあらかじめ準備された複数の辞書と、前記判定部による判定結果に基づいて、前記カテゴリごとにあらかじめ準備された辞書の中から、前記判定されたカテゴリの辞書を決定する辞書決定部と、前記原稿の記載を、前記辞書に含まれる用語と比較することによって、前記原稿の記載の妥当性を審査する審査部とを備える。
【0022】
さらに、全てのカテゴリに共通して使用される全般辞書を備え、前記審査部は、前記決定された辞書と前記全般辞書との2つの辞書と、前記原稿の記載に含まれるテキストデータとの照合処理を行い、前記2つの辞書のいずれかに予め登録されている、不適切もしくは留意すべき用語が、前記テキストデータに存在するか否かを検索し、前記検索の結果に対して、前記2つの辞書の少なくとも何れかに登録されている前記不適切もしくは留意すべき用語に関する解説と、前記解説に関連するコメントとを出力する。
【0023】
請求項13の発明は、前記コメントは、前記不適切もしくは留意すべき用語に対する代替表現の提示を含む、請求項12に記載の原稿審査支援装置である。
【0024】
請求項14の発明は、前記審査対象の原稿を選択する原稿選択部をさらに備える、請求項12または13に記載の原稿審査支援装置である。
【0025】
請求項15の発明は、前記原稿選択部は、紙面に掲載された原稿から、審査対象の原稿を選択する、請求項14に記載の原稿審査支援装置である。
【0026】
請求項16の発明は、前記判定部は、前記選択された原稿を、テキストデータに変換し、前記テキストデータの内容から、前記原稿が関連するカテゴリを判定し、前記審査部は、前記テキストデータを、前記辞書に含まれる用語と比較する、請求項15に記載の原稿審査支援装置である。
【0027】
請求項17の発明は、新たなカテゴリのために、新たな辞書を生成する辞書生成部をさらに備えた、請求項12乃至16のうち何れか1項に記載の原稿審査支援装置である。
【0028】
請求項18の発明は、前記複数の辞書のうち関連性の高い2つ以上の辞書を、1つの辞書に統合する辞書統合部をさらに備えた、請求項12乃至17のうち何れか1項に記載の原稿審査支援装置である。
【0029】
請求項19の発明は、前記複数の辞書のうち、使用頻度の低い辞書を削除する辞書削除部をさらに備えた、請求項12乃至18のうち何れか1項に記載の原稿審査支援装置である。
【0030】
請求項20の発明は、前記複数の辞書のうちの1つの辞書を、複数の辞書に分割する辞書分割部を備えた、請求項12乃至20のうち何れか1項に記載の原稿審査支援装置である。
【0031】
請求項21の発明は、蓄積済みの用語の削除、および新たな用語の蓄積により、前記辞書を更新する辞書更新部を備えた、請求項12乃至20のうち何れか1項に記載の原稿審査支援装置である。
【0032】
請求項22の発明は、前記カテゴリは、業種別または商品別に決定される、請求項12乃至21のうち何れか1項に記載の原稿審査支援装置である。
【0039】
請求項23の発明は、原稿を審査するためのプログラムであって、審査対象の原稿の内容から、前記原稿が関連するカテゴリを判定する判定機能、この判定結果に基づいて、前記カテゴリごとにあらかじめ準備された複数の辞書の中から、前記原稿の審査に使用する辞書を決定する決定機能、前記原稿の記載を、前記辞書に含まれる用語と比較することによって、前記原稿の記載の妥当性を審査する審査機能を1つまたは複数のプロセッサに実現させるためのプログラムである。審査機能は、前記決定された辞書と全てのカテゴリに共通して使用される全般辞書との2つの辞書と、前記原稿の記載に含まれるテキストデータとの照合処理を行う機能と、前記2つの辞書のいずれかに予め登録されている、不適切もしくは留意すべき用語が、前記テキストデータに存在するか否かを検索する機能と、前記検索の結果に対して、前記2つの辞書の少なくとも何れかに登録されている前記不適切もしくは留意すべき用語に関する解説と、前記解説に関連するコメントとを出力する機能とを含む。
【発明の効果】
【0040】
本発明の原稿審査支援方法、装置、プログラム、およびこれらに適用される辞書システムによれば、原稿審査をコンピュータにより支援することによって、審査担当者の負担軽減、審査のスピードアップ、および審査精度の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1A】本発明の実施形態に係る原稿審査支援方法が適用された原稿審査支援装置の電子回路構成例を示すブロック図である。
【
図1B】原稿審査支援装置の記憶装置の構成例を示すブロック図である。
【
図3】テキストデータに変換された原稿広告の一例を示す図である。
【
図4】広告会社から文書データの形態でアップロードされた広告原稿を選択する際における画面の例を示す図である。
【
図5】共通審査結果の一例を示す画面表示例である。
【
図6】個別審査結果の一例を示す画面表示例である。
【
図8】辞書全般データベースの一例を示すデータ構造図である。
【
図9A】本実施形態に係る原稿審査支援装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図9B】本実施形態に係る原稿審査支援装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図9C】本実施形態に係る原稿審査支援装置の動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下に、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照しながら説明する。
【0043】
図1Aは、本発明の実施形態に係る原稿審査支援方法が適用された原稿審査支援装置の電子回路構成例を示すブロック図である。
【0044】
図1Bは、原稿審査支援装置の記憶装置の構成例を示すブロック図である。
【0045】
原稿審査支援装置10は、広告原稿などの記載内容の審査を支援するための装置であり、バス11によって互いに接続されたCPU12、記録媒体読取部14、通信部15、表示画面16、入力部17、メモリ20、および記憶装置40を備えている。このような原稿審査支援装置10は、限定される訳ではないが、PCや、タブレット端末でも実現することができる。
【0046】
通信部15は、例えばインターネットのような通信ネットワーク70を介して、広告会社等の審査依頼者から広告原稿のWebデータや、文書データを受信することができる。また、広告原稿に対してなされた審査結果の文書データを、通信ネットワーク70を介して、審査依頼者等へ送信することができる。
【0047】
表示画面16は、限定される訳ではないが、例えば、液晶ディスプレイのような公知のディスプレイとすることができる。
【0048】
入力部17は、限定される訳ではないが、例えば、キーボード、マウス、およびスキャナを含む。また、音声入力を受け取るためのマイクロフォンを含んでいてもよい。
【0049】
メモリ20は、原稿選択プログラム21、原稿判定プログラム22、辞書決定プログラム23、審査プログラム24、辞書管理プログラム25、辞書生成プログラム26、辞書統合プログラム27、辞書削除プログラム28、辞書分割プログラム29、および辞書更新プログラム30を記憶している。
【0050】
これらプログラム21~30は、メモリ20に予め記憶されていてもよいし、あるいはメモリカード等の外部記録媒体13から記録媒体読取部14を介してメモリ20に読み込まれて記憶されたものであってもよい。これらプログラム21~30は、書き換えできないようになっている。
【0051】
メモリ20には、このような書き換え不可能なエリアの他に、書き換え可能なデータを記憶するエリアとして、書込可能データエリア31が確保されている。
【0052】
CPU12は、コンピュータであって、メモリ20に記憶されている各プログラム21~30に従い回路各部の動作を制御し、ソフトウェアとハードウェアとが協働して、以下に説明するように動作する。
【0053】
記憶装置40は、例えばSSD(Solid State Drive)やHDD(Hard Disk Drive)等からなり、業種判別データベース41、共通辞書データベース42、業種商品別審査用辞書データベース43、必須表記事項データベース44、および審査コメントデータベース45を記憶している。
【0054】
業種判別データベース41は、広告原稿の内容から、業種や商品を判定するための判別キーワード41aを格納している。
【0055】
共通辞書データベース は、全般辞書42a、およびオープンデータによるデータベース42bを格納している。
【0056】
全般辞書42aは、広告原稿の中から要指摘箇所を探索し、修正指示をするために、用語、解説文、および審査コメント等を記憶したデータベースである(後述する
図8参照)。
【0057】
オープンデータによるデータベース42bは、郵便番号・住所・電話番号・駅名など、インターネット等を介して取得したオープンデータが蓄積されたデータベースである。
【0058】
業種商品別審査用辞書データベース43は、業種毎にそれぞれ設けられた複数の審査用辞書430(例えば、不動産辞書431、化粧品辞書432、食品辞書433、旅行辞書434、通販辞書435、出版辞書436、・・・43n(nは、本例では7以上の整数とする)等)を格納している。
【0059】
必須表記事項データベース44は、各業種の商品毎の必須表記事項辞書を格納したデータベースである。例えば、不動産という業種は、新築分譲マンション(販売中)、新築分譲マンション(予告)、共有性リゾート会員権、サービス付き高齢者住宅、有料老人ホーム等の商品を含んでいる。したがって、不動産に対応する必須表記事項辞書だけでも、
図1Bに例示するように、新築分譲マンション(販売中)辞書431a、新築分譲マンション(予告)辞書431b、共有性リゾート会員権辞書431c、サービス付き高齢者住宅辞書431d、有料老人辞書431e等といった必須表記事項辞書が存在する。なお、
図1Bには、一例として不動産に関する必須表記事項辞書しか示していないが、必須表記事項データベース44は、他の業種についても、商品毎に、このような必須表記事項辞書を格納している。
【0060】
審査コメントデータベース45は、後述する審査コメントSCを格納するデータベースである。なお、審査コメントSCを、共通辞書データベース42や、業種商品別審査用辞書データベース43に含めることによって、審査コメントデータベース45を省略することもできる。
【0061】
原稿選択プログラム21は、原稿イメージの中から、例えば広告原稿のような、審査対象の原稿を選択する。審査対象の原稿が、新聞や雑誌の1ページ全体のように、原稿イメージの全体を占めている場合には、原稿選択プログラム21は、その原稿イメージ全体を、審査対象の原稿として選択する。
【0062】
一方、原稿イメージの一部に、審査対象の原稿が含まれている場合には、原稿選択プログラム21は、例えば、AIによるイメージ解析技術を使って、新聞や雑誌等の原稿イメージを細分化し、細分化された原稿イメージの中から、広告原稿を抽出する。
【0063】
【0064】
図2に例示されるように、一般に、広告原稿Kは、縦書きのものもあれば、横書きのものもある。また、段組やレイアウト設計により、OCRエンジンによって解析された順にテキストデータを並べても、文意が通じないことがあり得る。
【0065】
このため、原稿判定プログラム22は、
図2に例示されるような広告原稿Kのレイアウトの解析パターンを機械学習により設定すること等によって、広告原稿Kの縦書き・横書きの判別や、段組みなどのレイアウトを解析する。さらに、この解析結果に基づいて、文意がくみ取りやすい一塊の文章単位(以下、「ユニット」と称する)毎に広告原稿Kの画像を分割し、分割した画像単位毎に、OCRエンジンを使ってテキスト変換を行い、テキストデータを取り出す。そして、ユニットの位置を、広告原稿Kにおける座標情報から判別し、この座標情報に基づいてテキストデータを、文章の流れに沿った順番に配列する。このような配列によって、文意が通るテキストデータを取得することができる。その一例を
図3に示す。
【0066】
図3は、テキストデータに変換された原稿広告の一例を示す図である。
【0067】
なお、上記では、原稿イメージから広告原稿Kを抽出し、広告原稿Kからテキスト変換することによってテキストデータTXを取得する場合について説明した。しかしながら、広告原稿Kは、例えば広告会社のような審査依頼者から、通信ネットワーク70を介して、原稿イメージではなく、文書データの形態で、原稿審査支援装置10へアップロードされる場合もある。
【0068】
図4は、広告会社から文書データの形態でアップロードされた広告原稿を選択する際における画面Aの例を示す図である。
【0069】
画面Aには、リストA1が含まれている。リストA1には、アップロードされた広告原稿の番号が一覧表示されており、審査担当者は、原稿審査支援装置10の入力部17を操作して、リストA1に表示された広告原稿の中から、審査する広告原稿を指定し、さらに、広告原稿に含まれる文書データ一覧A3の中から、テキストデータあるいは、テキスト変換可能なpdfデータを選択し、原稿審査ボタンA2を指定することによって、広告原稿の審査を開始することができる。
【0070】
このように、広告原稿の文書データがアップロードされた場合、原稿審査支援装置10はテキストデータを取得できるので、原稿選択プログラム21による原稿選択処理も、原稿判定プログラム22によるテキストデータ変換処理も不要となる。
【0071】
再び原稿判定プログラム22の説明に戻る。
【0072】
原稿判定プログラム22は、テキストデータTXを、業種判別データベース41に格納された判別キーワード41aと比較し、広告原稿が、どの業種または商品に関連しているのかを判定する。
【0073】
判別キーワード41aには、例えば不動産広告に関しては、「物件概要」、「総敷地面積」、「計画戸数」といった、不動産広告の構成に必要な用語が設定されている。
【0074】
したがって、原稿判定プログラム22は、テキストデータTXに、上述したような不動産広告の構成に必要な用語が複数含まれている場合、広告原稿の業種を、「不動産」と判定する。
【0075】
辞書決定プログラム23は、原稿判定プログラム22による判定結果に基づいて、業種商品別審査用辞書データベース43に格納された辞書431、432、433、434、435、・・・430nの中から、この広告原稿Kの審査に使用する辞書を決定する。例えば、原稿判定プログラム22が、広告原稿の業種を、「不動産」と判定した場合、辞書決定プログラム23は、広告原稿の審査に使用する辞書として、不動産辞書431を決定する。
【0076】
次に、審査プログラム24について説明する。
【0077】
審査プログラム24は、テキストデータTXを、先ず、全般辞書42aと比較する。全般辞書42aには、全カテゴリに共通するNGワード、誤表記例、規則違反例、NGワードに対する代替用語等が登録されている。したがって、審査プログラム24は、テキストデータTXを、全般辞書42aと照合することによって、テキストデータTXに、NGワード、誤表記例、規則違反例等が含まれていないかをチェックする。そして、もしも含まれている場合には、NGワードの指摘、誤表記の指摘、NGワードに対する代替用語の提示、必須項目の記載漏れ等の指摘を行う。このように全般辞書42aとの照合によって行う審査を共通審査と称する。審査プログラム24は、共通審査の結果を、表示画面16からポップアップ表示する。
【0078】
なお、辞書決定プログラム23により、決定した業種商品別審査用辞書データベース43の不動産辞書431も使用した確認作業は以下の通りである。
【0079】
辞書決定プログラム23により、原稿内容が不動産に関するものと判定された場合、審査プログラム24は、不動産辞書431と、全般辞書42aとの2つの辞書と、テキストデータTXの照合処理を行う。審査プログラム24はさらに、2つの辞書のいずれかに予め登録されている、不適切もしくは留意すべき用語が、テキストデータTXに存在するか否かを検索し、検索の結果に対して、2つの辞書の少なくとも何れかに登録されているその用語に関する解説と、審査依頼者に対する審査コメントの文案を、審査担当者に提示する。その文案には不適切と考えられる用語に対する代替表現を示すこともある。審査担当者は文案を加筆修正することも可能である。
【0080】
図5は、共通審査結果の一例を示す画面表示例である。
【0081】
共通審査結果KKには、チェックされた単語(チェックワード)CHごとに、用語解説YKが示されたサマリテーブルSMが表示される。
【0082】
審査担当者は、入力部17を操作することによって、このサマリテーブルSMから、所望のチェックワードCHを選択することによって、サマリテーブルSMの上側に、選択されたチェックワードCHと、それに対応する用語解説YKを表示することができる。
【0083】
これらに基づいて、審査担当者は、必要であれば、入力部17を操作して、審査コメント入力欄SKに、審査依頼者向けの審査コメントを入力することができる。そして、審査担当者は、入力完了後に、入力部17によって、コメント登録ボタンCTを指定することによって、編集後の審査コメントSCを、審査コメントデータベース45に登録する。審査コメントデータベース45に登録された審査コメントSCは、審査依頼者が、PC等の端末から、通信ネットワーク70を介して、原稿審査支援装置10によってアクセスすることによって閲覧できる。
【0084】
また、広告には、業種または商品といった分野に応じて、記載を要する必須項目が定められている。例えば、新築不動産広告では、物件の所在地や交通の利便、総戸数、販売戸数など二十数項目の必須項目がある。したがって、審査プログラム24ではさらに、テキストデータTXを、決定された辞書(例えば、不動産の場合、不動作辞書431)と照合し、さらに、例えば形態素解析やAI技術を使って、必須項目毎に、チェックワードCHの有無をチェックする。このように分野に応じた個別の辞書との照合によって行う審査を個別審査と称する。審査プログラム24は、個別審査の結果を、表示画面16からポップアップ表示する。
【0085】
図6は、個別審査結果の一例を示す画面表示例である。
【0086】
図6に例示する個別審査結果Cは、新築マンションの広告原稿Kに対してなされたものであり、必須項目C1のおのおのについて、広告原稿Kに記載されている対応するチェックワードCHが一覧表示されている。
【0087】
このような個別審査結果Cを参照することによって、審査担当者は、広告原稿Kに、必須項目C1に対応するチェックワードCHが記載されているか否かを把握することができる。
【0088】
チェックワードCHの記載漏れがある場合には、審査プログラム24は、チェックワードの記載漏れがあることを、該当するチェックワードとともに、表示画面16からポップアップで表示してもよい。審査プログラム24は、審査コメントSCや、記載漏れのあったチェックワードCHに基づいて、問題のある記載を項目毎にまとめた指摘リストを作成し、表示画面16からポップアップ表示してもよい。
【0089】
【0090】
このような指摘リストDは、ドキュメントとして出力可能である。また、前述したように、審査依頼者によって閲覧されることも可能である。さらには、審査プログラム24が、指摘リストDを、通信部15から通信ネットワーク70を介して、広告会社等の審査依頼者へ通知することもできる。
【0091】
したがって、審査依頼者は、指摘リストDを参照しながら、広告原稿Kを、効率的に修正することができる。
【0092】
以上説明したように、審査プログラム24は、テキストデータTXと辞書との比較に基づいて広告原稿Kの審査を行う。したがって、審査精度の向上のためには、広告原稿Kにおいて、チェックワードCHの対応付けが容易になるように、必須項目C1は、共通化された表現で記載されていることが好ましい。
【0093】
しかしながら、実際の広告原稿Kでは、各必須項目C1に対応する表現は、すべてが共通化されている訳ではなく、表現が異なる項目もあり得る。このような「表現の揺らぎ」にも対応できるよう、各必須項目C1の表現を網羅した辞書(図示せず)を別途準備し、その辞書もテキストデータTXとの比較に使用することが好ましい。
【0094】
さらに審査プログラム24は、以下のような付加機能を備えることができる。
【0095】
第1の付加機能は、オープンデータの取り込みによる公知情報のチェック機能である。すなわち、郵便番号・住所・電話番号・駅名など、インターネット等を介して取得したオープンデータが蓄積されたオープンデータによるデータベース42bを備え、審査プログラム24は、このオープンデータによるデータベース42を参照して、広告原稿Kにおける必須項目の記載漏れや、誤記載(例えば、郵便番号・住所・電話番号・駅名などの誤りや矛盾)を発見し、その結果を出力したり、正しい記載に修正する。あるいは、推奨される記載を出力する。
【0096】
第2の付加機能は、リンク先の妥当性のチェック機能である。すなわち、審査プログラム24は、広告原稿K内にURLやQRコード(登録商標)の表示がある場合には、URLやQRコードをハイパーリンクとして取り出し、リンク先を表示する。
【0097】
そして、オペレータが、表示されたリンク先へ、自分のPCやスマートフォン等任意の端末を使ってアクセスすることで、正しい内容が表示される真正なリンクであるか、誤った内容または無関係な内容が表示される不正なリンクであるか、あるいは、表示されたリンクがそもそも存在しない架空のリンクであるかを確認することができる。
【0098】
第3の付加機能は、日付曜日の確認機能である。すなわち、審査プログラム24は、広告原稿Kに記載されている日付(年月日)と隣接する曜日表記のテキストデータTXを、カレンダーと照合し、その日付に対して、正しい曜日であるか否かを確認し、正しくない場合は、その内容を出力する。なお、広告原稿Kに記載されている日付に年号が記載されていない場合は、審査作業実施年のカレンダーを用いて確認する。
【0099】
これら付加機能によって出力された内容もまた、共通情報については
図5に例示する共通審査結果KKに、個別情報については
図6に例示する個別審査結果Cに表示され、それに応じて、
図7の指摘リストDに反映される。
【0100】
次に、原稿審査支援装置10における辞書システムについて説明する。
【0101】
辞書管理プログラム25、辞書生成プログラム26、辞書統合プログラム27、辞書削除プログラム28、辞書分割プログラム29、および辞書更新プログラム30は、いずれも記憶装置40に記憶された辞書やデータベース(辞書を含むものも含まないものも含む)の管理に関するプログラムであり、これらプログラムをCPU12と合わせて辞書システムを形成している。
【0102】
辞書管理プログラム25は、辞書生成プログラム26、辞書統合プログラム27、辞書削除プログラム28、辞書分割プログラム29、および辞書更新プログラム30を管理するプログラムであり、具体的には、以下に示す3つの機能を備えている。
【0103】
第1の機能は、テキストデータの蓄積および解析を行う機能である。対象となるテキストデータは、以下の2種類を想定している。
【0104】
第1の種類のテキストデータは、広告原稿KのOCR化によって得られた全てのテキストデータである。
【0105】
第2の種類のテキストデータは、審査担当者が審査依頼者に向けて作成した審査コメントのテキストデータである。さらに、第2の種類のテキストデータは、以下の2つのパターンに分類される。
【0106】
第1のパターンは、辞書(例えば、不動産辞書431)に含まれている用語について登録された審査コメントを、審査担当者が修正し作成したテキストデータである。
【0107】
第2のパターンは、辞書(例えば、不動産辞書431)に含まれていない用語について、審査担当者が修正や注意喚起が必要だと判断した場合の用語と審査コメントのテキストデータである。
【0108】
辞書管理プログラム25は、第1の機能を用いて、第2の種類のテキストデータである審査コメントを解析する場合、審査コメントに対して、形態素解析技術を利用して単語ベースに分解し、単語ごとの使用頻度を解析する。
【0109】
第2の機能は、審査担当者によってなされた辞書処理の作業ログ(辞書の種類や頻度など)を取得し、それを解析する機能である。
【0110】
第3の機能は、審査担当者による辞書(例えば、不動産辞書431、化粧品辞書432、食品辞書433、旅行辞書434、通販辞書435、出版辞書436等)の使用状況を解析する機能である。
【0111】
辞書管理プログラム25によるこれら解析結果は、例えばダッシュボードから表示され、辞書生成プログラム26による新たな辞書(例えば、新たな辞書43x)の生成、辞書統合プログラム27による既存の複数の辞書(例えば、化粧品辞書432と食品辞書433)の統合、辞書削除プログラム28による既存の辞書(例えば、出版辞書436)の削除、辞書分割プログラム29による既存の辞書(例えば、不動産辞書431)の分割を行う際の指標として使用することができる。
【0112】
辞書生成プログラム26は、辞書管理プログラム25による解析結果に基づいて、新たなカテゴリのために、新たな辞書を生成する。
【0113】
具体的には、辞書生成プログラム26は、辞書管理プログラム25による解析結果に基づいて、第1の種類のテキストデータから、辞書登録されていない名詞を抽出し、出現頻度が多い単語と、一定期間中(3カ月、6カ月、1年)の出現頻度を前期間と比較し、増加している単語をそれぞれ選び、出現頻度と出現頻度増加率の高い順に表示する(第1の表示)。次に、第2の種類のテキストデータの中から名詞を選び、出現頻度が多い単語と、一定期間中(3カ月、6カ月、1年)の出現頻度を前期間と比較し、増加している単語をそれぞれ選び、出現頻度と出現頻度増加率の高い順に表示する(第2の表示)。最後に、第1の表示と第2の表示とに共通する単語を、出現頻度と出現頻度増加率の高い順に表示する。そして、表示された単語から新たなカテゴリ設置を決定し、その単語を含む辞書(例えば、辞書43x)を生成し、記憶装置40における業種商品別審査用辞書データベース43に格納する。
【0114】
辞書統合プログラム27は、記憶装置40に記憶されている既存の複数の辞書のうち2つ以上の辞書を、関連性に基づいて統合する。
【0115】
具体的には、辞書統合プログラム27は、辞書管理プログラム25による解析結果のうち、第2の機能による作業ログの解析結果に基づいて、審査対象の広告原稿Kの全体もしくは部分ごとに、複数の辞書使用したケースを抽出し、使用された複数の辞書の組み合わせを得る。そして、その組み合わせを、発生頻度の高い順に表示し、この表示の結果に基づいて、同一審査対象の広告原稿Kに対して、ともに使用される頻度の高い複数の辞書(例えば、化粧品辞書432と食品辞書433)を、作業効率向上のために、1つの辞書に統合する。
【0116】
辞書削除プログラム28は、記憶装置40に記憶されている複数の審査のうち、使用頻度の低い辞書を削除する。
【0117】
例えば、辞書削除プログラム28は、辞書管理プログラム25により解析結果のうち、第2の機能による作業ログの解析結果に基づいて、記憶装置40に記憶されている複数の辞書(例えば、不動産辞書431、化粧品辞書432、食品辞書433、旅行辞書434、通販辞書435、出版辞書436)のうち、一定の使用頻度以下(例えば、全使用に対する5%以下)のものを自動的に削除する。あるいは、自動的に削除するのではなく、使用頻度の低い順に表示し、それを見たオペレータによって指示された辞書を削除するようにしてもよい。なお、このように、いずれかの辞書を削除する場合は、削除される辞書に含まれる用語を、関連性の高い他の辞書に移管する。
【0118】
辞書分割プログラム29は、記憶装置40に記憶されている複数の辞書(例えば、不動産辞書431、化粧品辞書432、食品辞書433、旅行辞書434、通販辞書435、出版辞書436)のうち、審査コメントの表現の書き分けが必要となった1つの辞書(例えば、化粧品辞書432)を、審査担当者による要求に応じて、複数の辞書に分割する。
【0119】
辞書更新プログラム30は、記憶装置40に記憶されている複数の辞書(例えば、不動産辞書431、化粧品辞書432、食品辞書433、旅行辞書434、通販辞書435、出版辞書436)に、新たな用語を蓄積したり、あるいは、既に蓄積済みの用語を削除したりすることにより、辞書の更新を行う。
【0120】
広告原稿Kに含まれる用語の中には、辞書に登録されていない用語も多数あり得る。したがって、辞書更新プログラム30は、例えば、前述した第2の種類のテキストデータから、辞書に登録されていない用語を抽出し、抽出した用語を、品詞ごとに出現頻度の高い順に表示する。そしてその表示結果から、辞書に登録すべき用語を決定したり、辞書に登録済みの用語から、第2の種類のテキストデータに含まれない用語を抽出し、抽出結果に応じて、削除すべき用語を決定する。
【0121】
また、辞書更新プログラム30は、特に、共通辞書データベース42に格納されている全般辞書42aの更新も行う場合、審査担当者によってなされた広告原稿Kに対する修正結果を機械学習し、得られた結果を、全般辞書42aに反映することによって、全般辞書42aの更新を行う。
【0122】
図8は、全般辞書42aの一例を示すデータ構造図である。
【0123】
図8に例示するように、全般辞書42aは、用語J1、ジャンルJ2、解説文J3、参照J4、詳細URLJ5、および審査コメントSCを項目として有している。
【0124】
辞書更新プログラム30は、このような全般辞書42aの更新を行う。
【0125】
次に、本発明の実施形態に係る原稿審査支援方法が適用された原稿審査支援装置の動作例について説明する。
【0126】
図9A、
図9B、
図9Cは、本実施形態に係る原稿審査支援装置の動作例を示すフローチャートである。
【0127】
原稿審査支援装置10は、先ず、審査対象となる広告原稿Kを取得する(S1)。
【0128】
広告原稿Kは、原稿イメージとして提供される場合(S1:原稿)と、文書データの形態で提供される場合(S1:文章)とがある。
【0129】
広告原稿Kが、原稿イメージとして提供された場合(S1:原稿)、原稿選択プログラム21によって、原稿イメージの中から、審査対象とする広告原稿Kが選択される(S2)。
【0130】
これには、例えば、AIによるイメージ解析技術が使用され、新聞や雑誌等の原稿イメージが細分化され、細分化された原稿イメージの中から、広告原稿Kが抽出される。
【0131】
一般に、広告原稿Kは、縦書きのものもあれば、横書きのものもある。また、段組やレイアウト設計により、OCRエンジンによって解析された順にテキストデータを並べても、文意が通じないことがあり得る。
【0132】
このため、原稿判定プログラム22では、
図2に例示されるような広告原稿Kのレイアウトの解析パターンが、機械学習により設定されること等によって、広告原稿Kの縦書き・横書きの判別や、段組みなどのレイアウト解析がなされる(S3)。
【0133】
さらに、このレイアウト解析の結果に基づいて、文意がくみ取りやすい一塊の文章単位であるユニット毎に広告原稿Kの画像が分割され、分割された画像単位毎に、OCRエンジンを使ってテキスト変換が行われ、テキストデータが取り出される(S4)。
【0134】
そして、ユニットの位置が、広告原稿Kにおける座標情報から判別され、この座標情報に基づいて、テキストデータが、文章の流れに沿った順番に配列される。このような配列によって、
図3に例示するように、文意が通るテキストデータが取得される(S5)。
【0135】
一方、ステップS1において、広告原稿Kが、文章データとして提供された場合(S1:文章)、文章データから、テキストデータTXが取得される(S6)。
【0136】
ステップS5およびステップS6で取得されたテキストデータTXは、原稿判定プログラム22によって、業種判別データベース41に格納された判別キーワード41aと比較され、広告原稿Kが、どの業種または商品に関連しているのかが判定される(S7)。
【0137】
さらに、この判定結果に基づいて、辞書決定プログラム23によって、業種商品別審査用辞書データベース43に格納された辞書の中から、この広告原稿Kの審査に使用する辞書が決定される(S8)。
【0138】
次に、テキストデータTXが、審査プログラム24によって、全般辞書42aと比較される。これによって、テキストデータTXに、NGワード、誤表記例、規則違反例等が含まれていないかがチェックされる(S9)。そして、もしも含まれている場合(S10:Yes)には、NGワードの指摘、誤表記の指摘、NGワードに対する代替用語の提示、必須項目の記載漏れ等の指摘がなされる(S11)。これは、例えば、
図5に例示するように、表示画面16からポップアップ表示されることによってなされる。
【0139】
表示された指摘内容に基づいて、審査担当者は、必要であれば、入力部17を操作して、審査コメント入力欄SKに、審査依頼者向けの審査コメントSCを作成し、審査コメントデータベース45に登録できる(S12)。審査コメントデータベース45に登録された審査コメントは、審査依頼者による閲覧が可能である。
【0140】
ステップS12の後、および、ステップS10において、テキストデータTXに、NGワード、誤表記例、規則違反例等が含まれていない場合(S10:No)、審査プログラム24によって、テキストデータTXが、ステップS8で決定された辞書と照合される。さらに、例えば形態素解析やAI技術が使用されることにより、必須項目C1毎に、チェックワードCHの有無がチェックされる(S13)。
【0141】
チェックワードCHの記載漏れがある場合(S14:Yes)には、審査プログラム24によって、チェックワードCHの記載漏れがあることを、該当するチェックワードCHとともにポップアップ表示される(S15)。その後、処理は、ステップS16に進む。
【0142】
一方、ステップS14において、チェックワードCHの記載漏れがない場合(S14:No)もまた、処理は、ステップS16に進む。
【0143】
ステップS16では、ステップS12で作成された審査コメントSCや、ステップS14で判定された記載漏れのチェックワードCHに基づいて、審査プログラム24によって、例えば
図7に示すように、問題のある記載を項目毎にまとめた指摘リストDが作成される(S16)。
【0144】
このように、本発明の実施形態に係る原稿審査支援方法が適用された原稿審査支援装置によれば、広告原稿等の原稿の審査をコンピュータにより支援することによって、審査担当者の負担軽減、審査のスピードアップ、および審査精度の向上を図ることが可能となる。
【0145】
なお、本発明の実施形態に係る原稿審査支援方法が適用された原稿審査支援装置では、テキストデータTXと、記憶装置40に記憶されている様々な辞書やデータベースとの比較に基づいて、広告原稿Kの審査がなされる。したがって、審査精度の向上のためには、これら辞書やデータベース(辞書を含むものも含まないものも含む)の整備およびメンテナンスが重要となる。
【0146】
そこで、原稿審査支援装置10には、辞書やデータベースの整備およびメンテナンスのために、辞書管理プログラム25、辞書生成プログラム26、辞書統合プログラム27、辞書削除プログラム28、辞書分割プログラム29、および辞書更新プログラム30が含まれている。
【0147】
そして、辞書管理プログラム25によって、テキストデータ、審査コメント、および作業ログの解析や、各辞書の使用状況の調査がなされ、これら結果に基づいて、辞書生成プログラム26によって、新たなカテゴリのための新たな辞書が生成され、辞書統合プログラム27によって、複数の辞書が、より少数の辞書に統合され、辞書削除プログラム28によって、使用頻度の低い辞書が削除され、辞書分割プログラム29によって、使用頻度の高い1つの辞書が、複数の辞書に分割され、辞書更新プログラム30によって、辞書に、新たな用語が蓄積されたり、あるいは、既に蓄積済みの用語が削除されて、辞書の更新がなされる。
【0148】
このように、本発明の実施形態に係る原稿審査支援方法が適用された原稿審査支援装置によれば、辞書を生成、統合、削除、分割、および更新する機能を備えているので、法律・法令・基準の変化のみならず、世の中の状況の変化に合わせて、適切な辞書体系を柔軟に構築することができ、もって、将来にわたる審査精度の向上を保証することができる。
【0149】
以上、本発明を実施するための最良の形態について、添付図面を参照しながら説明したが、本発明はかかる構成に限定されない。特許請求の範囲の発明された技術的思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0150】
例えば、上記実施形態では、原稿審査支援装置10が、単一のハードウェアで実現される構成例について説明した。しかしながら、本発明の実施形態に係る原稿審査支援装置10は、単一のハードウェアで実現される構成に限定されず、クラウドのように、複数のサーバを組み合わせて、すなわち、1つまたは複数のプロセッサを使って実現することもでき、このような構成もまた、本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0151】
本発明の原稿審査支援装置は、特に新聞や雑誌のような紙面に掲載される広告の原稿のみならず、一般的な文書に対しても適用可能であり、紙面上の原稿に限定されることなく、Web上に掲載された電子文書による原稿の審査にも適用可能である。
【0152】
本発明を例えば新聞社にて利用した場合、新聞に掲載される広告原稿の審査を担当する審査担当者への審査業務のサポートや教育・育成を効率的に実施できるようになる。
【0153】
特に、新聞社では、近年の人員減にともない、審査担当者に、外部スタッフなど審査スキルの低い担当者の活用も想定しなくてはならない。
【0154】
しかしながら、本発明を適用すれば、業種・商品ごとに審査上の着眼点を示す情報が表示され、要チェック項目については、自動審査が行われ、審査の結果、問題のある箇所については、用語解説や代替案の提示もなされるので、スキルが高くない審査担当者でも、精度の高い審査を実施することが可能となる。
【符号の説明】
【0155】
10 原稿審査支援装置
11 バス
12 CPU
13 外部記録媒体
14 記録媒体読取部
15 通信部
16 表示画面
17 入力部
20 メモリ
21 原稿選択プログラム
22 原稿判定プログラム
23 辞書決定プログラム
24 審査プログラム
25 辞書管理プログラム
26 辞書生成プログラム
27 辞書統合プログラム
28 辞書削除プログラム
29 辞書分割プログラム
30 辞書更新プログラム
31 書込可能データエリア
40 記憶装置
41 業種判別データベース
41a 判別キーワード
42 共通辞書データベース
42a 全般辞書
42b オープンデータによるデータベース
43 業種商品別審査用辞書データベース
44 必須表記事項データベース
45 審査コメントデータベース
70 通信ネットワーク
431 不動産辞書
431a 新築分譲マンション(販売中)辞書
431b 新築分譲マンション(予告)辞書
431c 共有性リゾート会員権辞書
431d サービス付き高齢者住宅辞書
431e 有料老人ホーム辞書
432 化粧品辞書
433 食品辞書
434 旅行辞書
435 通販辞書
436 出版辞書
A 画面
A1 リスト
A2 原稿審査ボタン
A3 文書データ一覧
C 個別審査結果
C1 必須項目
C2 登録ボタン
CH チェックワード
CT コメント登録ボタン
D 指摘リスト
J1 用語
J2 ジャンル
J3 解説文
J4 参照
J5 詳細URL
K 広告原稿
KK 共通審査結果
SC 審査コメント
SK 審査コメント入力欄
SM サマリテーブル
TX テキストデータ
YK 用語解説