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特許7273952電池セル、前記電池セルが適用される電池および電子機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-02
(45)【発行日】2023-05-15
(54)【発明の名称】電池セル、前記電池セルが適用される電池および電子機器
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/581 20210101AFI20230508BHJP
   H01M 10/04 20060101ALI20230508BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20230508BHJP
   H01M 10/0587 20100101ALI20230508BHJP
   H01M 50/586 20210101ALI20230508BHJP
   H01M 50/531 20210101ALI20230508BHJP
   H01M 50/595 20210101ALN20230508BHJP
【FI】
H01M50/581
H01M10/04 W
H01M10/052
H01M10/0587
H01M50/586
H01M50/531
H01M50/595
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021517415
(86)(22)【出願日】2020-05-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-26
(86)【国際出願番号】 CN2020091384
(87)【国際公開番号】W WO2021232312
(87)【国際公開日】2021-11-25
【審査請求日】2021-03-26
(73)【特許権者】
【識別番号】513054978
【氏名又は名称】寧徳新能源科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】Ningde Amperex Technology Limited
【住所又は居所原語表記】No.1 Xingang Road, Zhangwan Town, Jiaocheng District, Ningde City, Fujian Province, 352100, People’s Republic of China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】王 攀
(72)【発明者】
【氏名】雷 廷玲
(72)【発明者】
【氏名】龍 海
(72)【発明者】
【氏名】劉 慧君
【審査官】上野 文城
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第209045679(CN,U)
【文献】特開2003-086233(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109755461(CN,A)
【文献】国際公開第2019/189866(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第101286576(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第109244475(CN,A)
【文献】特開2012-238512(JP,A)
【文献】国際公開第2011/062065(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/581
H01M 10/04
H01M 10/052
H01M 10/0587
H01M 50/584 - 597
H01M 50/531
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の極片、第2の極片及び絶縁テープを含み、
前記第1の極片は、第1の集電体と、第1のコーティング層と、第1の活性層とを含み、前記第1のコーティング層は、前記第1の集電体と第1の活性層との間に設けられて熱膨張材を含み、
電池セルの最外周の極片が前記第1の極片となるように、前記第1の極片と、第2の極片とが間隔をあけて巻回して設けられ、記第1の極片は、巻き終わり端である第1端部をさらに含み、前記第1の集電体の前記第1端部における前記電池セルの内部へ向かう表面には、前記第1の活性層が設けられ、
前記絶縁テープは、第1のサブ絶縁テープを含み、前記第1のサブ絶縁テープは、前記電池セルの最も外側に位置する前記第1の集電体の前記第1の活性層から離れた表面に設けられ
前記電池セルは、第1の端面と、前記第1の端面に接続された第1の弧面領域とを含み、
前記第1の端部は、前記第1の弧面領域に設けられていることを特徴とする電池セル。
【請求項2】
前記第1のコーティング層は、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン-六フッ化プロピレンの共重合体、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、ポリビニルエーテル、ポリメチルメタクリレート、ポリ四フッ化エチレン、ポリ六フッ化アクリル、スチレン-ブタジエンゴムから選択される1つと、これらの組み合わせからなることを特徴とする請求項1に記載の電池セル。
【請求項3】
前記第2の極片は、第2の端部を含む第2の集電体および第2の活性層を含み、
つ、前記第1の極片が前記第1の弧面領域上に位置する長さが前記第1の弧面領域の弧長の半分よりも小さく、
前記第2の端部は、前記第1の弧面領域に設けられ、かつ、前記第2の極片が前記第1の弧面領域上に位置する長さが前記第1の弧面領域の弧長の半分よりも小さく、
前記第2の集電体における前記第2端部に位置する表面には、前記第2の活性層が設けられており、
前記第1の端部から前記第1の端面までの距離は、前記第2の端部から前記第1の端面までの距離よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の電池セル。
【請求項4】
前記絶縁テープは、前記第1の端部及び前記第2の端部を覆う第2のサブ絶縁テープを更に含み、前記第2のサブ絶縁テープは、前記第1のサブ絶縁テープに接触していることを特徴とする請求項3に記載の電池セル。
【請求項5】
前記第1の極片と前記第2の極片との間に設けられた隔離膜をさらに備え、前記隔離膜の一端から前記第1の端面までの距離は、前記第2の端部から前記第1の端面までの距離よりも小さいことを特徴とする請求項3に記載の電池セル。
【請求項6】
前記第1の極片は、第3の端部を更に含み、前記第2の極片は、第4の端部を更に含み、
前記第3の端部及び前記第4の端部は、いずれも巻き始め端であり、
前記電池セルは、前記第3の端部及び前記第4の端部に設けられたタブを更に備えることを特徴とする請求項3に記載の電池セル。
【請求項7】
前記第3の端部に位置する前記第1の集電体の表面には、前記第1の活性層が設けられておらず、前記第4の端部に位置する表面には、前記第2の活性層が設けられておらず、
前記絶縁テープは、第3のサブ絶縁テープおよび第4のサブ絶縁テープをさらに含み、
前記第1の集電体は、前記第3の端部に位置する表面に、前記第3のサブ絶縁テープが設けられ、
前記第3のサブ絶縁テープは、接続領域が設けられており、
前記タブの少なくとも一部は、前記接続領域に設けられており、
前記第4のサブ絶縁テープは、前記接続領域の両側に対称に設けられていることを特徴とする請求項6に記載の電池セル。
【請求項8】
前記電池セルは、さらに、タブを備え、
前記第1の極片は、第1の空箔領域を含み、前記第2の極片は、第2の空箔領域を含み、前記第1の空箔領域に位置する第1の集電体は、前記第1の活性層に覆われず、前記第2の空箔領域に位置する第2の集電体は、前記第2の活性層に覆われず、前記タブは、前記第1の空箔領域及び前記第2の空箔領域に設けられていることを特徴とする請求項3に記載の電池セル。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の電池セルを備えることを特徴とする電池。
【請求項10】
請求項9に記載の電池を備えることを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、エネルギー貯蔵技術分野に関し、特に、電池セル、電池セルが適用される電池及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一般に、ジェリーロール型の電池は、終了時に電池セルの外層の尾部に部分的に素地アルミニウム箔が存在する(すなわち、箔片はいずれの両面にも活物質コート層が塗布されていない)。電池セルの尾部の空アルミニウム箔と電池セルの尾部のコート層縁には、通常、グリーンゴムが1本ずつ貼り付けられ、この構成により、陽極コート層のエッジのリチウムデンドライトによる短絡リスクを低減することができる。しかし、電池セルの尾部に存在する余分な素地アルミニウム箔、及びその尾部のコート層縁に存在するグリーンゴムは、電池セルの一定体積を占め、電池セルのエネルギー密度を低下させる。一方、一般にリチウムイオン電池は、ネイル試験では、試験用鋼針が陰極を挿通して陽極に至る過程で、陰極アルミニウム箔の破損縁が、鋼針行の押出力を受け、陽極には極めて接触しやすく短絡する、発熱速度が急速に上昇し、かつ放熱速度よりもはるかに大きい。熱が蓄積されると、そのまま熱暴走や発火のリスクが問題となる。また、かかる電池セルは、重量物の衝撃が加わると、アルミニウム製フィルム外殻は、一般に優れた延性を有しているため、破断したり、完全に破断したりすることがないが、電池セル自体に破断が生じ、破砕によるチッピング、特に外周の空アルミニウム箔によるチッピングが外殻の包み込みによって拘束される場合には、電池セルの破砕された極片に接触し、短絡発熱、ひいては、爆発などのイベントが生じてしまう。
【0003】
上記課題を解決するために、新たな電池セル構造を如何にして提供するかは、当業者が考慮する必要があります。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術において、電池セルの尾部にある空アルミニウム箔が電池セルの面積を占めことにより電池セルのエネルギー密度を低下させ、陽極の終了による電池セルの短絡リスクの上昇を招くおそれがあり、及び短絡が発生した後に熱暴走が生じやすくなる発火の問題を解決するためです。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本願の実施例は、第1の極片、第2の極片及び絶縁テープを含む電池セルを提供する。前記第1の極片は、第1の集電体と、第1のコーティング層と、前記第1の活性層とを含み、前記第1のコーティング層は、前記第1の集電体と第1の活性層との間に設けられて熱膨張材を含み、前記第1の極片と、第2の極片とが間隔をあけて巻回して設けられ、前記電池セルの最外周の極片が前記第1の極片として設けられ、前記第1の極片は、巻き終わり端である第1端部をさらに含み、前記第1の集電体の前記第1端部における前記電池セルの内部に位置する表面には、前記第1の活性層が設けられ、前記絶縁テープは、第1のサブ絶縁テープを含み、前記第1のサブ絶縁テープは、前記電池セルの最も外側に位置する前記第1の集電体の前記第1の活性層から離れた表面に設けられている。また、本願の実施例は、上述した電池セルが適用される電池および電子機器を提供する。
【0006】
ある実施例において、前記第1のコーティング層は、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン-六フッ化プロピレンの共重合体、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、ポリビニルエーテル、ポリメチルメタクリレート、ポリ四フッ化エチレン、ポリ六フッ化アクリル、スチレン-ブタジエンゴムから選択される1つと、これらの組み合わせからなる。
【0007】
ある実施例において、前記第2の極片は、第2の端部を含む第2の集電体および第2の活性層を含み、前記電池セルは、第1の端面と、前記第1の端面に接続された第1の弧面領域とを含み、前記第1の端部は、前記第1の弧面領域に設けられ、かつ、前記第1の極片が前記第1の弧面領域上に位置する長さが前記第1の弧面領域の弧長の半分よりも小さく、前記第2の端部は、前記第2弧面領域に設けられ、かつ、前記第2の極片が前記第1の弧面領域上に位置する長さが前記第1の弧面領域の弧長の半分よりも小さく、前記第2の集電体における前記第2端部に位置する表面には、前記第2の活性層が設けられており、前記第1の端部から前記第1の端面までの距離は、前記第2の端部から前記第1の端面までの距離よりも大きい。
【0008】
ある実施例において、前記絶縁テープは、前記第1の端部及び前記第2の端部を覆う第2のサブ絶縁テープを更に含み、前記第2のサブ絶縁テープは、前記第1のサブ絶縁テープに接触している。
【0009】
ある実施例において、前記第1の極片と前記第2の極片との間に設けられた隔離膜をさらに備え、前記隔離膜の一端から前記第1の端面までの距離は、前記第2の端部から前記第1の端面までの距離よりも小さい。
【0010】
ある実施例において、前記第1の極片は、第3の端部を更に含み、前記第2の極片は、第4の端部を更に含み、前記第3の端部及び前記第4の端部は、いずれも巻き始め端であり、前記電池セルは、前記第3の端部及び前記第4の端部に設けられたタブを更に備える。
【0011】
ある実施例において、前記第3の端部に位置する前記第1の集電体の表面には、前記第1の活性層が設けられておらず、前記第4の端部に位置する表面には、前記第2の活性層が設けられておらず、前記絶縁テープは、第3のサブ絶縁テープおよび第4のサブ絶縁テープをさらに含み、前記第1の集電体は、前記第3の端部に位置する表面に、前記第3のサブ絶縁テープが設けられ、前記第3のサブ絶縁テープは、接続領域が設けられており、前記タブの少なくとも一部は、前記接続領域に設けられており、前記第4のサブ絶縁テープは、前記接続領域の両側に対称に設けられている。
【0012】
ある実施例において、前記電池セルは、さらに、タブを備え、前記第1の極片は、第1の空箔領域を含み、前記第2の極片は、第2の空箔領域を含み、前記第1の空箔領域に位置する第1の集電体は、前記第1の活性層に覆われず、前記第2空箔領域に位置する第2の集電体は、前記第2の活性層に覆われず、前記タブは、前記第1の空箔領域及び前記第2の空箔領域に設けられている。
【0013】
前記記載の電池セルを備える電池である。
【0014】
前記記載の電池を備える電子機器である。
【0015】
本願が開示する電池セルは、従来技術に比べ、電池セルの最外周の極片が、片面に活性層が設けられた第1の集電体終了であり、空箔領域設計がなく、リチウムイオン電池のエネルギー密度を高めるとともに、消耗材用量も低減される。電池セルの最外周の片面に活性層が設けられた第1の集電体の光箔表面に第1のサブ絶縁テープを設けることにより、電池セルと外部との接触による短絡が回避され、電池セルの安全性能を向上させることができる。第1の集電体および第1の活性層の間に第1のコーティング層を設けることにより、短絡が発生したときに、第1のコーティング層が速やかに膨張して第1の集電体と他の接触物とを分離させることができ、激しい熱暴走の発生が回避される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本願の第1の実施例に係る電池セルの平面模式図である。
図2】本願の第1の実施例に係る電池セルの断面構造模式図である。
図3】本願の第1の実施例における第1の極片の一部断面模式図である。
図4】本願の第2の実施例に係る電池セルの平面模式図である。
図5】本願の第2の実施例に係る電池セルの断面構造模式図である。
図6】本願の第2の実施例における第1の極片の一部断面模式図である。
図7】本願の第3の実施例に係る電池の平面模式図である。
図8】本願の第4の実施例に係る電子機器の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本願の内容をさらに詳細に説明する。図面には、本願明細書の例示的な実施例が示されている。ただし、本願は様々な形態で実施されることが可能であり、ここで説明した実施例に限られると解釈されるべきではない。これらの例示的実施例は、本願を徹底かつ完全なものとし、かつ本願の範囲を当業者に十分に伝えるためにある。類似の符号は、同一又は類似の組品を示す。
【0018】
本明細書で使用される用語は、本明細書に限定されることなく、特定の例示的な実施例の目的を記述するためにのみ使用される。本明細書で使用されるように、文脈が他に明確に示されていない限り、単一の数の形式は「一」であり、「一つ」および「該」は複数の形式も含むことが意図されている。また、本明細書で使用する場合、「含む」および/または「含む」、または「含む」および/または「含む」、または「持つ」および/または「持つ」、整数、ステップ、動作、コンポーネントおよび/またはコンポーネントを含むが、1つまたは複数の他の特徴、領域、整数、ステップ、動作、コンポーネントコンポーネントおよび/またはそのグループを存在させ、または追加することを除外するものではない。
【0019】
さらに定義されない限り、本明細書で使用されるすべての用語(技術および科学用語を含む)は、本願の属する分野の一般技術者が一般的に理解するものと同じ意味を持つ。または、本明細書で明示的に定義されていない限り、一般辞書で定義されているような用語は、関連技術と本出願の内容との意味が一致すると解釈されるべきであり、理想化またはより正式な意味として解釈されないであろう。以下、図面を参照しながら実施例について説明する。なお、図を参照して描画されるコンポーネントは必ずしもスケールに従って表示されない。また、同一又は類似のコンポーネントには、同一又は類似の符号または類似する技術用語を付して示されている。
【0020】
以下、図面を参照して、本願の具体的な実施例についてさらに詳述する。
【0021】
【第1の実施例】
【0022】
図1および図3に示すように、本願の第1の実施例は、電池セル10を提供する。電池セル10は、第1の極片11、第2の極片12及び隔離膜13を含み、第1の極片11及び第2の極片12は間隔を空けて積層配置され、隔離膜13は、第1の極片11及び第2の極片12の間に設けられている。ある実施例では、第1の極片11及び第2の極片12は、タッピング方式で設けてもよい。本実施例では、第1の極片11及び第2の極片12は巻回して設けられ、電池セル10は、巻針14をさらに含み、第1の極片11、隔離膜13及び第2の極片12は、順に間隔を空けて設けられ、巻針14を囲むように巻回設置される。
【0023】
第1の極片11は、第1の集電体110と、第1のコーティング層115と、第1の活性層119とを含み、第1のコーティング層115は、第1の集電体110と第1の活性層119との間に設けられ、第1のコーティング層115は、熱膨張材を含む。第1の極片11は、第1の端部111および第3の端部113を含み、第1の端部111および第3の端部113は、それぞれ、第1の極片11の両端に位置しており、ある実施例では、第1の端部111は、電池セル10の外側に設けられており、第3の端部113は、電池セル10内に設けられており、第1の集電体110は、第1の端部111のうち、電池セル10内部の表面に向かって第1の活性層119が設けられている。ある実施例では、第1の端部111は巻き終わり端であり、第3の端部113は巻き始め端である。
【0024】
第1のコーティング層115は、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン-六フッ化プロピレンの共重合体、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、ポリビニルエーテル、ポリメチルメタクリレート、ポリ四フッ化エチレン、ポリ六フッ化アクリル、スチレン-ブタジエンゴムから選択される1つと、これらの組み合わせからなる。第1のコーティング層115は、極めて高い熱膨張係数を備えており、第1の極片11及び第2の極片12が接触することによる電池セル10が短絡すると、短絡領域に一定の熱が発生し、第1のコーティング層115は、熱を受けて急速に膨張して第1の極片11の第1の集電体110と第2の極片12とを離間させ、短絡領域が断線接続、すなわち、第1の集電体110が他の素子と電気的に接触しないように急激な短絡が発生しない。
【0025】
第2の極片12は、第2の集電体120および第2の活性層129を含み、第2の活性層129は、第2の集電体120表面に設けられている。第2の極片12は、第2の端部122および第4の端部124を含み、第2の端部122および第4の端部124は、それぞれ、第2の極片12の両端に位置し、ある実施例では、第2の端部122は、電池セル10の外側に設けられ、第4の端部124は、電池セル10内に設けられている。ある実施例では、第2の端部122は巻き終わり端であり、第4の端部124は巻き始め端である。
【0026】
ある実施例では、電池セル10が巻回式電池セルであり、電池セル10の最外周の極片は、第1の極片11であり、前記電池セルの最外周の極片に設けられた第1の集電体110において、電池セル10の内部へ向かう表面に第1の活性層119が設けられており、第1の集電体110は、電池セル10の最外周の極片に設けられる表面に、第1の活性層119が設けられていない。すなわち、電池セル10の最外周に位置する第1の極片11の内面には、第2の極片12上の第2の活性層129に対応するように第1の活性層119が設けられており、電池セル10の最外周に位置する第1の極片11の外面は、活性層の無い空箔設計となっており、この構成は、電池セル10のエネルギー密度を高める一方で、消耗材用の材料を低減するとともに、電池セル10の安全性能を向上させることができる。上記電池セル10の最外周は、電池に直接向かう包装袋の1周である。
【0027】
電池セル10は、第1の端面101と、第1の端面101に接続された第1の弧面領域102と、を備え、第1の端面101は、電池セル10の弧形側面が最も突出した点を含み、かつ電池セル10の厚さ方向に延びる面であり、第1の弧面領域102は、電池セル10の側面が弧形に設けられた面である。ある実施例では、第1の端部111および第2の端部122は、第1の端面101に近接して第1の弧面領域102に設けられる。
【0028】
ある実施例では、第1の端部111は、第1の弧面領域102に設けられ、第1の極片11が第1の弧面領域102に位置する長さが、第1の弧面領域102の弧長の半分よりも小さい。第2の端部122は、第1の弧面領域102に設けられ、第2の極片12が第1の弧面領域102に位置する長さが第1の弧面領域102の弧長の半分よりも小さい。
【0029】
第1の端部111および第2の端部122は、第1の弧面領域102に設けられ、すなわち、電池セル10の第1の極片11および第2の極片12の終了カットが、電池セル10の「R角」に位置して、この構成は、電池セル10の側面を支持し、電池セル10の平坦度及び全体ストレス耐性を向上することができる一方、第1の弧面領域102に設けられた第1の端部111および第2の端部122は、他の領域に設けられた圧力よりも小さく、第1の極片11および第2の極片12のカット端のバリが、隔離膜13をより突き刺さえにくく、電池セル10における短絡壊点を効果的に低減し、電池セル10が循環する消費エネルギーを低減し、電池性能を向上させることができる。
【0030】
ある実施例では、第1の端部111は、第1の端部111の最も外側に設けられた頂部密封の領域116を含み、頂部密封の領域116に位置する第1の集電体が対向する2つの表面のそれぞれには、第1のサブ絶縁テープ151が設けられ、第1の極片11のうち第1の活性層119が設けられる領域は、第2の活性層129に対応する。第1の端面101に垂直な方向において、第1の端部111のうち第1の活性層119が設けられる領域と頂部密封の領域116との境界から第2の端部122までの距離L1の範囲は、2mmよりも大きく、第1の端部111と第2の端部122との間の距離L3は、2mmよりも大きい。ある実施例では、第1の極片11が陰極、第2の極片12が陽極である。
【0031】
隔離膜13は、隔離膜13の両端にそれぞれ位置する第5の端部135及び第6の端部136を備え、第5の端部135は、電池セル10の外側に設けられ、第6の端部136は、電池セル10内に設けられ、巻針14に巻回されている。ある実施例では、隔離膜13は、電池セル10の外側における終了部の長さが第1の極片11及び第2の極片12よりも長く、少なくとも2つの第5の端部135が1つの第2の端部122を包み、第1の端面101に垂直な方向において、第5の端部135と第2の端部122との間の距離L3が4mmよりも大きい。
【0032】
電池セル10は、第1のサブ絶縁テープ151及び第2のサブ絶縁テープ152を含む絶縁テープ15を備え、絶縁テープ15は、有機絶縁材料、例えば、グリーンゲル、ホットメルトなどであってもよい。第1のサブ絶縁テープ151は、電池セル10の最も外側に位置する第1の集電体110の第1の活性層119から離れた表面に設けられ、すなわち、電池セル10における最も外側の極片の第1の集電体110は、第1の活性層119が設けられていない空箔領域に、第1のサブ絶縁テープ151が設けられており、第1のサブ絶縁テープ151は、余分な空間を占めずに、電池セル10の安全性を効果的に向上させることができる。第2のサブ絶縁テープ152は、第1の端部111および第2の端部122を覆い、第1のサブ絶縁テープ151に接触し、第2のサブ絶縁テープ152は、第1のサブ絶縁テープ151の第1の端部111から離れた部分を覆う。第1のサブ絶縁テープ151及び第2のサブ絶縁テープ152は、第1の端部111及び第2の端部122(極片カット端)の両側に設けられており、さらに、第1の端部111及び第2の端部122の、バリが隔離膜13又は電池セル10外部の包装袋に刺通されて液漏れ及び短絡が防止される。
【0033】
また、電池セル10は、第1のタブ17および第2のタブ18を含み得るタブ16をさらに備え、第1のタブ16は、第1の極片11と電気的に接続され、具体的には、第1のタブ16が第1の集電体110によって延伸形成され、第2のタブ18が第2の極片12に電気的に接続され、具体的には、第2のタブ18が第2の集電体120によって延伸形成される。
【0034】
ある実施例において、絶縁テープ15は、第3の端部113に設けられた第3のサブ絶縁テープ153と、第4のサブ絶縁テープ154とを含み、第3のサブ絶縁テープ153は、接続領域117を含み、前記接続領域117における第1集電体110が露出した。接続領域117には第1のタブ17が設けられ、接続領域117の第1のタブ17の両側に第4のサブ絶縁テープ154が設けられることにより、第1のタブ17を保護する。
【0035】
【第2の実施例】
【0036】
本願第2の実施例は、図4および図6に示すように、電池セル20を提供する。電池セル20は、第1の極片21、第2の極片22および隔離膜23を含み、第1の極片21および第2の極片22は間隔をあけて積層配置され、隔離膜23は、第1の極片21および第2の極片22の間に設けられている。ある実施例では、第1の極片21および第2の極片22は、タッピング方式で設けてもよい。本実施例では、第1の極片21及び第2の極片22は巻回して設けられ、電池セル20は、巻針24をさらに含み、第1の極片21、隔離膜23及び第2の極片22は、順に間隔を空けて設けられ、巻針24を囲むように巻回設置される。
【0037】
第1の極片21は、第1の集電体210と、第1のコーティング層215と、第1の活性層219とを含み、第1のコーティング層215は、第1の集電体210と第1の活性層219との間に設けられ、第1のコーティング層215は、熱膨張材を含む。第1の極片21は、第1の端部211及び第3の端部213を含み、第1の端部211及び第3の端部213は、それぞれ第1の極片21の両端に位置しており、ある実施例では、第1の端部211は、電池セル20の外側に設けられており、第3の端部213は、電池セル20内に設けられており、第1の集電体210は、第1の端部211のうち、電池セル20内部の表面に向かって第1の活性層219が設けられている。
【0038】
ある実施例では、第1の端部211は巻き終わり端であり、第3の端部213は巻き始め端である。
【0039】
第1のコーティング層215は、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン-六フッ化プロピレンの共重合体、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、ポリビニルエーテル、ポリメチルメタクリレート、ポリ四フッ化エチレン、ポリ六フッ化アクリル、スチレン-ブタジエンゴムから選択される1つと、これらの組み合わせからなる。
【0040】
第1のコーティング層215は、極めて高い熱膨張係数を備えており、第1の極片21及び第2の極片22が接触することにより電池セル20が短絡すると、短絡領域に一定の熱が発生し、第1のコーティング層215は、熱を受けて急速に膨張して第1の極片21の第1の集電体210と第2の極片とを離間させ、短絡領域接続を切り離し、すなわち、第1の集電体210が他の素子と電気的に接触しないようにし、これにより、激しい短絡の発生を断ち切る。
【0041】
第2の極片22は、第2の集電体220および第2の活性層229を含み、第2の活性層229は、第2の集電体220の表面に設けられている。第2の極片22は、第2の端部222および第4の端部224を含み、第2の端部222及び第4の端部224は、それぞれ第2の極片22の両端に位置しており、ある実施例では、第2の端部222は電池セル20の外側に設けられ、第4の端部224は、電池セル20内に設けられている。ある実施例では、第2の端部222は巻き終わり端であり、第4の端部224は巻き始め端である。
【0042】
ある実施例では、電池セル20が巻回式電池セルであり、電池セル20の最外周の極片は第1の極片21であり、前記電池セルの最外周の極片に設けられた第1の集電体210において、電池セル20の内部へ向かう表面に第1の活性層219が設けられており、第1の集電体210は、電池セル20の最外周の極片に設けられる表面に、第1の活性層219が設けられていない。すなわち、電池セル20の最外周に位置する第1の極片21の内面には、第2の極片22上の第2の活性層229に対応するように第1の活性層219が設けられており、電池セル20の最外周に位置する第1の極片21の外面は、空箔設計となっており、この構成は、電池セル20のエネルギー密度を高める一方で、消耗材用の材料を低減するとともに、電池セル20の安全性能を向上させることができる。上記電池セル20の最外周は、電池に直接向かう包装袋の1周である。
【0043】
電池セル20は、第1の端面201と、第1の端面201に接続された第1の弧面領域202とを備え、第1の端面201は、電池セル20の弧形側面が最も突出した点を含み、かつ電池セル20の厚さ方向に延びる面であり、第1の弧面領域202は、電池セル20の側面が弧形に設けられた面である。
【0044】
ある実施例では、第1の端部211および第2の端部222は、第1の端面201に近接して第1の弧面領域202に設けられる。
【0045】
ある実施例では、第1の端部211は、第1の弧面領域202に設けられ、第1の極片21が第1の弧面領域202に位置する長さが、第1の弧面領域202の弧長の半分よりも小さい。第2の端部222は、第1の弧面領域202に設けられ、第2の極片22が第1の弧面領域202に位置する長さが第1の弧面領域202の弧長の半分よりも小さい。
【0046】
第1の端部211および第2の端部222は、第1の弧面領域202に設けられ、すなわち、電池セル20の第1の極片21および第2の極片22の終了カットが、電池セル20の「R角」に位置して、この構成は、電池セル20の側面を支持し、電池セル20の平坦度及び全体ストレス耐性を向上させることができる一方、第1の弧面領域202に設けられた第1の端部211および第2の端部222は、他の領域に設けられた場合よりも、受ける圧力がより小さく、第1の極片21および第2の極片22のカット端のバリが隔離膜23を突き刺すことをより困難にし、電池セル20における短絡欠点を効果的に低減し、電池セル20が循環する消費エネルギーを低減し、電池性能を向上させることができる。
【0047】
第1の端面201に垂直な方向において、第1の端部211から第1の端面201までの距離は、第2の端部222から第1の端面201までの距離よりも大きい。第1の端部211と第2の端部222との間の距離はL1であり、L1は2mmよりも大きい。ある実施例では、第1の極片21が陰極、第2の極片22が陽極である。
【0048】
隔離膜23は、隔離膜23の両端にそれぞれ位置する第5の端部235および第6の端部236を含み、第5の端部235は、電池セル20の外側に設けられ、第6の端部236は、電池セル20内に設けられ、巻針24に巻回されている。ある実施例では、隔離膜23は、電池セル20の外側における終了部の長さが第1の極片21および第2の極片22よりも長く、少なくとも2つの第5の端部235が1つの第2の端部222を包み、第1の端面201に垂直な方向において、第5の端部235と第2の端部222との間の距離L3が4mmよりも大きい。
【0049】
電池セル20は、第1のサブ絶縁テープ251および第2のサブ絶縁テープ252を含む絶縁テープ25をさらに備え、絶縁テープ25は、有機絶縁材料、例えば、グリーンゲル、ホットメルトなどであってもよい。第1のサブ絶縁テープ251は、電池セル20の最も外側に位置する第1の集電体210の第1の活性層219から離れた表面に設けられ、すなわち、電池セル20における最も外側の極片の第1の集電体210は、第1の活性層219が設けられていない空箔領域に、第1のサブ絶縁テープ251が設けられており、第1のサブ絶縁テープ251は、余分な空間を占めずに、電池セル20の安全性を効果的に向上させることができる。第2のサブ絶縁テープ252は、第1の端部211および第2の端部222を覆い、第1のサブ絶縁テープ251に接触し、第2のサブ絶縁テープ252は、第1のサブ絶縁テープ251の第1の端部211から離れた部分を覆う。第1のサブ絶縁テープ251および第2のサブ絶縁テープ252は、第1の端部211および第2の端部222(極片カット端)の両側に設けられており、さらに、第1の端部211および第2の端部222の、バリが隔離膜13又は電池セル10外部の包装袋を刺通することを防止し、これにより、液漏れ及び短絡を防止する。
【0050】
また、電池セル20は、第1のタブ27および第2のタブ28を含み得るタブ26をさらに備え、第1のタブ26は、第1の極片21と電気的に接続され、具体的には、第1のタブ26が第1の集電体210によって延伸形成され、第2のタブ28が第2の極片22に電気的に接続され、具体的には、第2のタブ28が第2の集電体220によって延伸形成される。
【0051】
ある実施例において、第1の極片21は、第1の空箔領域218を含み、第2の極片22は、第2の空箔領域228を含む。第1の空箔領域218に位置する第1の集電体210は、第1の活性層219によって覆われておらず、第1の空箔領域218は、上記電池セル20の内周に位置している。第2の空箔領域228に位置する第2の集電体220は、第2の活性層229によって覆われておらず、第2の空箔領域228は、上記電池セル20内周に位置している。
【0052】
絶縁テープ25は、第6のサブ絶縁テープ256及び第7のサブ絶縁テープ257をさらに含む。第1のタブ27が第1の空箔領域218に設けられ、第6のサブ絶縁テープ256が第1のタブ27の両側に対称に設けられる。第2のタブ28は第2の空箔領域228に設けられ、第7のサブ絶縁テープ257は第2のタブ28の両側に対称に設けられている。
【0053】
【第3の実施例】
【0054】
図7に示すように、本願の第3実施例による電池1の平面模式図である。電池1は、梱包袋及び梱包袋に包まれた電池セル30を含み、電池セル30は、第1の実施例又は第2の実施例のいずれかに記載した電池セルであってもよい。
【0055】
【第4の実施例】
【0056】
図8に示すように、本願の第4の実施例による電子機器100の斜視模式図である。
【0057】
また、本体105と、本体105内に設けられた電池1とを備える電子機器100が提供され、電池1は、第1の実施例または第2の実施例に係る電池セルを含む。
【0058】
図8においては、電子機器100のみが携帯電話を例にとり、他の実施例では、当該電子機器100は、ウェアラブル機器、ドローン、パソコン、スマート家電、産業用コントローラ、エネルギー貯蔵装置、電動工具、または電気自動車などであってもよい。
【0059】
以上、本願の具体的な実施例について図面を参照して説明した。しかし、本願の精神と範囲を逸脱することなく、本願の具体的な実施例に対して種々の変更や置き換えが可能であることは、当業者には理解できるであろう。これらの変更及び置換は、いずれも本願に限定される範囲内に収まる。
【符号の説明】
【0060】
電子機器100
本体105
電池1
電池セル10、20、30
第1の極片11、21
第1の集電体110、210
第1の活性層119、219
第1のコーティング層115、215
頂部密封の領域116
第1の空箔領域218
第1の端部111、211
第3の端部113、213
接続領域117
第2の極片12、22
第2の集電体120、220
第2の活性層129、229
第2の空箔領域228
第2の端部122、222
第4の端部124、224
隔離膜13、23
第5の端部135、235
第6の端部136、236
絶縁テープ15、25
第1のサブ絶縁テープ151、251
第2のサブ絶縁テープ152、252
第3のサブ絶縁テープ153
第4のサブ絶縁テープ154
第6のサブ絶縁テープ256
第7のサブ絶縁テープ257
タブ16、26
第1のタブ17、27
第2のタブ18、28
第1の端面101、201
第1の弧面領域102、202
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8