(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-02
(45)【発行日】2023-05-15
(54)【発明の名称】自由空間光通信のための2ミラー追跡システム
(51)【国際特許分類】
H04B 10/112 20130101AFI20230508BHJP
H04B 10/075 20130101ALI20230508BHJP
G02B 26/10 20060101ALI20230508BHJP
【FI】
H04B10/112
H04B10/075
G02B26/10 104Z
(21)【出願番号】P 2021532181
(86)(22)【出願日】2020-01-21
(86)【国際出願番号】 US2020014365
(87)【国際公開番号】W WO2020154263
(87)【国際公開日】2020-07-30
【審査請求日】2021-08-04
(32)【優先日】2019-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】516326438
【氏名又は名称】エックス デベロップメント エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100126480
【氏名又は名称】佐藤 睦
(72)【発明者】
【氏名】チョンカ,ポール
(72)【発明者】
【氏名】ウランダー,クラウス
(72)【発明者】
【氏名】エルクメン,バリス
【審査官】浦口 幸宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-363669(JP,A)
【文献】特開平10-233738(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/112
H04B 10/075
G02B 26/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光信号を送信および受信するためのシステムであって、
通信デバイスの第1のミラーと、
前記第1のミラーの指向方向を制御するように構成されている第1のミラーアクチュエータと、
前記通信デバイスの第2のミラーと、
前記第2のミラーの指向方向を制御するように構成されている第2のミラーアクチュエータと、
前記第1のミラーアクチュエータおよび前記第2のミラーアクチュエータに動作可能に結合されている1つ以上のプロセッサと、を含み、前記1つ以上のプロセッサが、
前記第2のミラーアクチュエータに指示して、前記通信デバイスのカバレッジエリアの複数のゾーンのうち第1のゾーン内の信号を追跡するように、前記第2のミラーを移動させることであって、前記複数のゾーンにおける各ゾーンは、前記複数のゾーンの他のゾーンの少なくとも一つと隣接している、前記第2のミラーを移動することと、
前記第1のゾーン内の前記信号を追跡している間、前記第1のミラーを第1の角度で静止した状態に維持することと、
前記信号が前記第1のゾーンの縁に到達すると、前記第1のミラーアクチュエータに指示して、前記信号が前記複数のゾーンの第2のゾーンに移動するように、前記第1のミラーを前記信号の移動方向の第2の角度に移動させることと、
前記第1のミラーを前記第2の角度に移動させながら、前記第2のミラーアクチュエータに指示して、前記第2のミラーをデフォルト角度に移動させることと、
前記複数のゾーンのうちの前記第2のゾーン内の信号を追跡するように、前記第2のミラーを移動させることと、
前記第2のゾーン内の前記信号を追跡している間、前記第1のミラーを前記第2の角度で静止した状態に維持することと、を行うように構成されている、システム。
【請求項2】
前記第1のミラーアクチュエータへの電源を切ることによって、前記第1のミラーが、前記第1の角度で静止した状態に維持される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1のミラーアクチュエータへの電源を切る前に、前記第1のミラーアクチュエータを使用して前記第1のミラーを前記第1の角度でロックすることによって、前記第1のミラーが、前記第1の角度で静止した状態に維持される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記通信デバイスの前記カバレッジエリアが、前記第1のミラーの可動範囲と、前記第2のミラーの可動範囲とを組み合わせることによって決定される、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記複数のゾーンの各ゾーンの面積が、前記第2のミラーの可動範囲のパーセンテージである、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記第2の角度が、前記第1の角度からの設定された間隔である、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1のミラーアクチュエータが、前記第1のミラーの前記指向方向を複数の所定の角度に制御するように構成され、前記複数の所定の角度が、前記第1の角度および前記第2の角度を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記1つ以上のプロセッサが、前記信号に従って、
第2の信号を第2の通信デバイスに送信することによって、または
前記通信デバイスの指向方向を調整することによって、
前記通信デバイスを動作させるようにさらに構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記通信デバイスをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
光信号を送信および受信する方法であって、
1つ以上のプロセッサによって、第2のミラーアクチュエータを制御して、通信デバイスのカバレッジエリアの複数のゾーンのうち第1のゾーン内の信号を追跡するように、前記通信デバイスの第2のミラーを移動させることであって、前記複数のゾーンにおける各ゾーンは、前記複数のゾーンの他のゾーンの少なくとも一つと隣接している、前記第2のミラーを移動することと、
前記第1のゾーン内の前記信号を追跡している間、前記通信デバイスの第1のミラーを第1の角度で静止した状態に維持することと、
前記信号が前記第1のゾーンの縁に到達すると、前記1つ以上のプロセッサが、第1のミラーアクチュエータを制御して、前記信号が前記複数のゾーンの第2のゾーンに移動するように、前記第1のミラーを前記信号の移動方向の第2の角度に移動させることと、
前記1つ以上のプロセッサが、前記第1のミラーアクチュエータを制御して、前記第1のミラーを前記第2の角度に移動させながら、第2のミラーアクチュエータを制御して、前記第2のミラーをデフォルト角度に移動させることと、
前記第2のミラーアクチュエータを制御して、前記複数のゾーンのうちの前記第2のゾーン内の信号を追跡するように、前記第2のミラーを移動させることと、
前記第2のゾーン内の前記信号を追跡している間、前記第1のミラーを前記第2の角度で静止した状態に維持することと、を含む、方法。
【請求項11】
前記第1のミラーを前記第1の角度で静止した状態に維持することが、前記第1のミラーアクチュエータへの電源を切ることを含む、請求項
10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1のミラーを前記第1の角度で静止した状態に維持することが、前記第1のミラーアクチュエータへの電源を切る前に、前記第1のミラーアクチュエータを使用して前記第1のミラーを前記第1の角度でロックすることを含む、請求項
10に記載の方法。
【請求項13】
前記1つ以上のプロセッサによって、前記第1のミラーの可動範囲と、前記第2のミラーの可動範囲とを組み合わせることにより、前記通信デバイスの前記カバレッジエリアを決定することをさらに含む、請求項
10に記載の方法。
【請求項14】
前記方法が、前記1つ以上のプロセッサによって、前記複数のゾーンの各ゾーンの面積を、前記第2のミラーの可動範囲のパーセンテージに基づいて決定することをさらに含む、請求項
10に記載の方法。
【請求項15】
前記第2の角度が、前記第1の角度からの設定された間隔である、請求項
10に記載の方法。
【請求項16】
前記第1のミラーを移動させることが、複数の所定の角度から前記第2の角度を選択することを含み、前記複数の所定の角度が、前記第1の角度および前記第2の角度を含む、請求項
10に記載の方法。
【請求項17】
前記1つ以上のプロセッサによって、前記信号に従って、
第2の信号を第2の通信デバイスに送信することによって、または
前記通信デバイスの指向方向を調整することによって、
前記通信デバイスを動作させることをさらに含む、請求項
10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年1月24日に出願された米国出願第16/256,406号の利益を主張し、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
通信端末は、自由空間光通信(FSOC)リンクを通じて、光信号を送信および受信し得る。これを達成するために、そのような端末は、一般に、取得および追跡システムを使用して、光ビームを互いに向けて指向することによって光リンクを確立する。例えば、送信端末は、ビーコンレーザーを使用して受信端末を照射し得る一方、受信端末は、位置センサーを使用して送信端末の位置を特定し、ビーコンレーザーを監視し得る。ステアリング機構は、互いに向かって指向するように、および取得が確立されると、指向を追跡するように、端末を操作し得る。光信号が正しく受信されることを確実にするために、高い指向精度が必要になる場合がある。
【発明の概要】
【0003】
本開示の態様は、光信号を送信および受信するためのシステムを提供する。システムは、通信デバイスの第1のミラーと、第1のミラーの指向方向を制御するように構成されている第1のミラーアクチュエータと、通信デバイスの第2のミラーと、第2のミラーの指向方向を制御するように構成されている第2のミラーアクチュエータと、第1のミラーアクチュエータおよび第2のミラーアクチュエータに動作可能に結合されている1つ以上のプロセッサと、を含み、これらの1つ以上のプロセッサは、第2のミラーアクチュエータに指示して、通信デバイスのカバレッジエリア内のゾーン内の信号を追跡するように、第2のミラーを移動させることと、ゾーン内の信号を追跡している間、第1のミラーを第1の角度で静止した状態に維持することと、信号がゾーンの縁に到達すると、第1のミラーアクチュエータに指示して、第1のミラーを信号の移動方向の第2の角度に移動させることと、第1のミラーを第2の角度に移動させながら、第2のミラーアクチュエータに指示して、第2のミラーをデフォルト角度に移動させることと、を行うように構成されている。
【0004】
一例では、第1のミラーは、第1のミラーアクチュエータへの電源を切ることによって、第1の角度で静止した状態に維持される。別の例では、第1のミラーは、第1のミラーアクチュエータへの電源を切る前に、第1のミラーアクチュエータを使用して第1のミラーを第1の角度でロックすることによって、第1の角度で静止した状態に維持される。さらなる例では、通信デバイスのカバレッジエリアは、第1のミラーの可動範囲と、第2のミラーの可動範囲とを組み合わせることによって決定される。
【0005】
さらに別の例では、このゾーンは、カバレッジエリア内の複数のゾーンにおける第1のゾーンであり、複数のゾーンの各ゾーンの面積は、第2のミラーの可動範囲のパーセンテージである。この例では、1つ以上のプロセッサはまた、複数のゾーンのうちの第2のゾーン内の信号を追跡するように第2のミラーを移動させ、第2のゾーン内の信号を追跡している間、第1のミラーを第2の角度で静止した状態に維持するようにも構成される。
【0006】
さらにさらなる例では、第2の角度は、第1の角度からの設定された間隔である。別の例では、第1のミラーアクチュエータは、第1のミラーの指向方向を複数の所定の角度に制御するように構成されている。この例では、複数の所定の角度は、第1の角度および第2の角度を含む。さらに別の例では、1つ以上のプロセッサはまた、第2の信号を第2の通信デバイスに送信することか、または通信デバイスの指向方向を調整することによって、信号に従って、通信デバイスを動作させるようにも構成されている。さらなる例では、システムは、通信デバイスも含む。
【0007】
本開示の他の態様は、光信号を送信および受信するためのシステムを提供する。システムは、通信デバイスの第1のミラーと、第1のミラーの指向方向を制御するように構成されている第1のミラーアクチュエータと、通信デバイスの第2のミラーと、第2のミラーの指向方向を制御するように構成されている第2のミラーアクチュエータと、第1のミラーアクチュエータおよび第2のミラーアクチュエータに動作可能に結合されている1つ以上のプロセッサと、を含む。これらの1つ以上のプロセッサは、第2のミラーアクチュエータに指示して、信号を追跡するように、第2のミラーをデフォルト角度から第1の方向に移動させることと、第2のミラーが第1の方向に移動された後、第1のミラーアクチュエータに指示して、第1のミラーを第1の方向に移動させることと、第1のミラーを第1の方向に移動させながら、第2のミラーアクチュエータに指示して、第2のミラーを第1の方向とは反対の第2の方向に移動させることと、を行うように構成されている。
【0008】
本開示のさらなる態様は、光信号を送信および受信するための方法を提供する。方法は、1つ以上のプロセッサによって、第2のミラーアクチュエータを制御して、通信デバイスのカバレッジエリア内のゾーン内の信号を追跡するように、通信デバイスの第2のミラーを移動させることと、ゾーン内の信号を追跡している間、通信デバイスの第1のミラーを第1の角度で静止した状態に維持することと、信号がゾーンの縁に到達すると、1つ以上のプロセッサが、第1のミラーアクチュエータを制御して、第1のミラーを信号の移動方向の第2の角度に移動させることと、1つ以上のプロセッサが、第2のミラーアクチュエータを制御して、第2のミラーをデフォルト角度に移動させる一方、第1のミラーアクチュエータを制御して、第1のミラーを第2の角度に移動させることと、を含む。
【0009】
一例では、第1のミラーを第1の角度で静止した状態に維持することは、第1のミラーアクチュエータへの電源を切ることを含む。別の例では、第1のミラーを第1の角度で静止した状態に維持することは、第1のミラーアクチュエータへの電源を切る前に、第1のミラーアクチュエータを使用して第1のミラーを第1の角度でロックすることを含む。さらなる例では、方法はまた、1つ以上のプロセッサによって、第1のミラーの可動範囲と、第2のミラーの可動範囲とを組み合わせることにより、通信デバイスのカバレッジエリアを決定することを含む。
【0010】
さらに別の例では、このゾーンは、カバレッジエリア内の複数のゾーンにおける第1のゾーンである。この例では、方法はまた、1つ以上のプロセッサによって、複数のゾーンの各ゾーンの面積を、第2のミラーの可動範囲のパーセンテージに基づいて決定することを含む。また、この例では、方法はまた、1つ以上のプロセッサが、第2のミラーアクチュエータを制御して、複数のゾーンのうちの第2のゾーン内の信号を追跡するように第2のミラーを移動させることと、第2のゾーン内の信号を追跡している間、第1のミラーを第2の角度で静止した状態に維持すること、を含む。
【0011】
さらにさらなる例では、第2の角度は、第1の角度からの設定された間隔である。別の例では、第1のミラーを移動させることは、複数の所定の角度から第2の角度を選択することを含み、複数の所定の角度は、第1の角度および第2の角度を含む。さらに別の例では、方法はまた、1つ以上のプロセッサによって、第2の信号を第2の通信デバイスに送信することか、または通信デバイスの指向方向を調整することにより、信号に従って、通信デバイスを動作させることも含む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本開示の態様による、第1の通信デバイスおよび第2の通信デバイスのブロック
図100である。
【
図2】本開示の態様による、ステアリング機構のブロック
図200である。
【
図3A】本開示の態様による、第1の視野からの、
図2のステアリング機構の絵図である。
【
図3B】本開示の態様による、第2の視野からの、
図2のステアリング機構の絵図である。
【
図4】本開示の態様による、ネットワーク400の絵図である。
【
図6】本開示の態様による、操作方法を示すグラフ600である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
概要
本技術は、光信号を正確に指向または追跡するように構成されている2つ以上のステアリングミラーを含む自由空間光通信システムに関する。2つ以上のステアリングミラーは、少なくとも第1のミラーおよび第2のミラー、または光学部品の別の組み合わせを含み得る。FSOCシステムは、ステアリングミラーの各々の指向方向を制御するように構成されている2つ以上のアクチュエータを含む。例えば、第1のアクチュエータは、第1の軸および第2の軸に沿って、第1のミラーの指向方向を制御するように構成され得、第2のアクチュエータは、第3の軸および第4の軸に沿って、第2のミラーの指向方向を制御するように構成され得る。第1のミラーの指向方向と、第2のミラーの指向方向との組み合わせが、FSOCシステムの指向方向をもたらす。
【0014】
動作中、第1のミラーは、大きな角度外乱または低周波外乱を調整するように制御され得、第2のミラーは、小さな角度外乱または高周波外乱を調整するように制御され得る。第1のミラーは、電源の有無にかかわらず静止した状態に保持され得る一方、第2のミラーは、ゾーン内に調整される。第2のミラーがゾーンの縁に到達すると、第1のミラーが、調整され得る。代替的に、2つ以上のステアリングミラーと組み合わせて、または2つ以上のステアリングミラーの代わりに、他のタイプの光学部品が利用されてもよい。
【0015】
上記の特徴が、光信号を正確に指向および追跡するFSOCシステムを提供する。さらに、これらの特徴は、アクチュエータを作動させるための全体的なコストを低減し得、システムの寿命および性能を拡張し得る。さらに、システムの電力節減も達成され得る。
【0016】
例示的なシステム
図1は、例えば、自由空間光通信(FSOC)システムなどのシステムの一部として、第2の通信端末の第2の通信デバイス122と1つ以上のリンクを形成するように構成されている第1の通信端末の第1の通信デバイス102のブロック
図100である。例えば、第1の通信デバイス102は、1つ以上のプロセッサ104と、メモリ106と、送信機112と、受信機114と、ステアリング機構116と、を含む。
【0017】
1つ以上のプロセッサ104は、市販されているCPUなど任意の従来のプロセッサであってもよい。代替的に、1つ以上のプロセッサは、特定用途向け集積回路(ASIC)またはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などの他のハードウェアベースプロセッサなどの専用装置であってもよい。
図1は、1つ以上のプロセッサ104およびメモリ106を、同じブロック内にあるものとして、機能的に示しているが、これらの1つ以上のプロセッサ104およびメモリ106は、実際には、同じ物理的筐体内に収容されていても、いなくてもよい複数のプロセッサおよびメモリを含み得る。よって、プロセッサまたはコンピュータへの言及は、並列して動作しても、しなくてもよいプロセッサまたはコンピュータもしくはメモリの集合への言及を含むことが理解されるであろう。
【0018】
メモリ106は、1つ以上のプロセッサ104によって実行され得るデータ108および命令110を含む、1つ以上のプロセッサ104によってアクセス可能な情報を記憶し得る。メモリは、ハードドライブ、メモリカード、ROM、RAM、DVD、または他の光ディスクなどのコンピュータ可読媒体、ならびに他の書き込み可能および読み取り専用メモリを含む、プロセッサによってアクセス可能な情報を記憶することができる任意の種類のメモリであってもよい。システムおよび方法は、上記の様々な組み合わせを含んでもよく、それによって、データ108および命令110の様々な部分が、様々な種類の媒体に記憶される。メモリ106など、各通信デバイスのメモリには、信号を追跡するために決定された1つ以上のオフセットなどの較正情報が記憶され得る。
【0019】
データ108は、命令110に従って、1つ以上のプロセッサ104によって検索、記憶、または修正され得る。例えば、本技術は、いかなる特定のデータ構造によっても限定されないが、データ108は、コンピュータレジスタ内で、複数の異なるフィールドおよびレコードを有するテーブル、XMLドキュメント、またはフラットファイルとしてリレーショナルデータベース内に記憶され得る。
【0020】
命令110は、1つ以上のプロセッサ104によって直接的に(マシンコードなど)または間接的に(スクリプトなど)実行される任意の命令の組であってもよい。例えば、命令110は、コンピュータ可読媒体上にコンピュータコードとして記憶され得る。その点において、「命令」および「プログラム」という用語は、本明細書では、区別なく使用され得る。命令110は、1つ以上のプロセッサ104による直接処理のためにオブジェクトコード形式で記憶されてもよく、もしくは要求に応じて解釈されるか、または事前にコンパイルされる独立したソースコードモジュールのスクリプトまたはコレクションを含む、任意の他のコンピュータ言語で記憶され得る。命令110の機能、方法、およびルーチンは、以下でさらに詳細に説明される。
【0021】
1つ以上のプロセッサ104は、送信機112および受信機114と通信する。送信機112および受信機114は、第1の通信デバイス102内の送受信機配置の一部であり得る。したがって、1つ以上のプロセッサ104は、送信機112を介して、信号でデータを送信するように構成され得、また、受信機114を介して、信号で通信およびデータを受信するようにも構成され得る。受信された信号は、通信およびデータを抽出するために、1つ以上のプロセッサ104によって処理され得る。
【0022】
送信機112は、ある通信デバイスが別の通信デバイスの位置を特定することを可能にするビーコンビーム20、ならびに通信リンク22を介して通信信号を出力するように構成され得る。通信信号は、例えば、無線周波信号または光信号など、自由空間を伝って移動するように構成された信号であり得る。場合によっては、送信機は、ビーコンビームを送信するように構成されている別個のビーコン送信機と、光通信ビームを送信するように構成されている1つ以上の通信リンク送信機と、を含む。代替的に、送信機112は、ビーコンビームおよび通信信号の両方を出力するように構成されている1つの送信機を含み得る。ビーコンビーム20は、通信リンク22で使用される光通信ビームよりも大きな立体角を空間に照射し得、ビーコンビームを受信する通信デバイスが、ビーコンビームをより適切に位置特定することを可能にする。例えば、ビーコン信号を運ぶビーコンビームは、平方ミリラジアンのオーダーの角度領域をカバーし得、通信信号を運ぶ光通信ビームは、平方ミリラジアンの100分の1のオーダーの角度領域をカバーし得る。
【0023】
図1に示されるように、第1の通信デバイス102の送信機112は、ビーコンビーム20aを出力して、ビーコンビーム20aを受信する第2の通信デバイス122と通信リンク22aを確立するように構成されている。第1の通信デバイス102は、ビーコンビーム20aより狭い立体角を有し、通信信号24を運ぶ光通信ビーム(図示せず)と同一直線上にビーコンビーム20aを整列させ得る。したがって、第2の通信デバイス122がビーコンビーム20aを受信すると、第2の通信デバイス122は、第1の通信デバイス102と見通し線リンクを確立するか、または第1の通信デバイスと整列することができる。その結果、第1の通信デバイス102から第2の通信デバイス122への光通信ビーム(図示せず)の送信を可能にする通信リンク22aが確立され得る。
【0024】
受信機114は、光ファイバーと、光ビームを検出するように構成された追跡システムと、を含み得る。追跡システムは、少なくとも追跡センサーを含み得る。さらに、追跡システムは、レンズ、ミラー、または受信された光ビームの一部を追跡センサーにそらし、受信された光ビームの残りの部分が光ファイバーと結合することを可能にするように構成されている他のシステムも含み得る。追跡センサーとしては、以下に限定されないが、位置検知形検出器(PSD)、電荷結合素子(CCD)カメラ、焦点面アレイ、光検出器、クワッドセル検出器アレイ、またはCMOSセンサーが挙げられ得る。追跡センサーは、追跡センサーにおける信号位置を検出し、光電効果を使用して、受信された光ビームを電気信号に変換するように構成されている。追跡システムは、受信された光ビームを追跡することができ、ステアリング機構116に、シンチレーションおよび/またはプラットフォームの動きによる外乱を相殺するように指示するために使用され得る。
【0025】
さらに、1つ以上のプロセッサ104は、送信機112、受信機114、および/または光ビームの指向方向を調整するために、ステアリング機構116と通信する。
図2に示されるように、ステアリング機構116は、第1のミラー202と、第2のミラー204と、第1のミラーを制御するように構成されている第1のアクチュエータ212と、第2のミラーを制御するように構成されている第2のアクチュエータ214と、を含む。第1のミラー202は、第1の視野を有し得、第2のミラー204は、第1の視野より小さい第2の視野を有し得る。第1のミラー202は、粗指向ミラーであり得、第2のミラー204は、高速ステアリングミラーであり得る。第1のミラーおよび第2のミラーは、MEMS2軸ミラー、2軸ボイスコイルミラー、またはピエゾ電子2軸ミラーであり得る。第1のミラー202は、例えば、10cmの短径と、15cmの長径とを有する楕円形ミラーであり得る。第2のミラー204は、例えば、1mmの直径を有する円形ミラーであり得る。第1のアクチュエータ212は、第1の軸および第2の軸に沿って、第1のミラー202の指向方向を制御するように構成され得、第2のアクチュエータ214は、第3の軸および第4の軸に沿って、第2のミラー204の指向方向を制御するように構成され得る。指向方向は、光がステアリングミラーから移動する方向である。例えば、第1のアクチュエータ212または第2のアクチュエータ214は、対応するステアリングミラーを物理的に回転またはシフトするように構成され得る。
【0026】
他の例では、第1のミラー202および/または第2のミラー204ではなく、2つ以上の光学部品の異なる組み合わせがFSOCシステムに含まれ、2つ以上のアクチュエータによって制御され得る。例えば、FSOCシステムは、第2のミラー204の視野と同じか、それよりも小さい視野を有する第3のミラーと、第3のミラーを制御するように構成されている第3のアクチュエータと、を含み得る。別の実装例では、2つ以上の光学部品のうちの光学部品は、2つ以上のミラーを含むミラーシステムであり得、1つ以上のレンズ、1つ以上のプリズム、1つ以上のウェッジ、または調整可能な液晶光学系などの1つ以上の変形可能な光学系が、FSOCシステムに含まれて、2つ以上のアクチュエータによって制御され得る。2つ以上のアクチュエータは、異なるタイプの光学部品のための異なる要素を含み得る。例えば、アクチュエータは、リスレープリズムなどの光学部品を回転させて、光学部品の指向方向を調整するように構成され得る。アクチュエータの要素としては、電気モータ、空気圧モータ、ギアボックス、トランスミッション、リンク機構、静電アクチュエータ、ポンプ、および/またはステアラブルクリスタル(steerable crystal)が挙げられ得る。
【0027】
図3Aおよび3Bに示される例示的なシステムでは、第1のミラー202は、光学望遠鏡304の遠位端302に位置付けられており、第2のミラー204は、光学望遠鏡304の近位端306に位置付けられている。第1のミラーアクチュエータ212は、第1のミラー202の後部に位置付けられており、第2のミラーアクチュエータ214は、第2のミラー204の後部に位置付けられている。光学望遠鏡304の遠位端302は、近位端306よりも広くてもよい。遠位端302は、平面308を画定し、近位端306は、平面308に平行な平面310を画定する。
図3Aは、第1のミラー202および第1のミラーアクチュエータ212の側面プロファイルを示す、例示的なシステムの第1のビューを示す。
図3Aに示されるように、第1のミラー202は、遠位端302の平面308に対して第1のデフォルト角度312にある。第2のミラー204および第2のミラーアクチュエータ214は、第1のビューでは、受信機114の光検出器313の背後に隠れている。
図3Bは、光学望遠鏡304の中心軸からの第1のビューから90°回転した、例示的なシステムの第2のビューを示す。
図3Bに示されるように、第2のミラー204は、近位端306の平面310に対して第2のデフォルト角度314にある。
【0028】
第1のミラー202が第1のデフォルト角度312にあり、第2のミラー204が第2のデフォルト角度314にあるとき、例示的なシステムは、第1の通信デバイス102からの発信光信号を第2のミラー204で受信するように構成されている。発信光信号は、ビーコンビーム316および/または通信ビーム318を含む。第2のミラー204は、発信光信号を、光学望遠鏡304を通して第1のミラー202に向けて反射するように構成されており、第1のミラー202は、次に、発信光信号を軸320に沿って自由空間を通して反射する。
図3Aに示されるように、ビーコンビーム316および/または通信ビーム318は、第1のミラー202から送信されるとき、軸320を中心とする。この同じ構成において、第1のミラー202は、ビーコンビームおよび/または通信ビームを含む入力光信号を受信し、入力光信号を光学望遠鏡304を通して第2のミラー204に向けて反射するように構成されており、第2のミラー204は、次に、入力光信号を、残りの第1の通信デバイス102を通して反射する。
【0029】
第1のミラーアクチュエータ212は、第1のミラー202を第1のデフォルト角度312とは異なる角度で傾けるように構成され得、第2のミラーアクチュエータ214は、第2のミラー204を第2のデフォルト角度314とは異なる角度で傾けるように構成され得る。第1のミラー202および/または第2のミラー204の角度の変更により、第1の通信デバイス102の指向方向が調整され得る。指向方向の調整は、第1の通信デバイス102と、第2の通信デバイス122との間の通信リンク22などの取得および接続リンクを確立するために行われ得る。さらに、この調整は、送信機からの光の送信および/または受信機での光の受信を最適化し得る。いくつかの実装例では、1つ以上のプロセッサ104は、ステアリング機構116が、第2の通信デバイス122から通信リンク22bを介して受信された光信号など、送信側通信デバイスから通信リンクを介して受信された光信号に基づいて指向方向を調整するための閉ループ制御を提供し得る。
【0030】
図1に戻ると、第2の通信デバイス122は、1つ以上のプロセッサ124と、メモリ126と、送信機132と、受信機134と、ステアリング機構136と、を含む。1つ以上のプロセッサ124は、上で説明される1つ以上のプロセッサ104と同様であってもよい。メモリ126は、データ128と、プロセッサ124によって実行され得る命令130とを含む、1つ以上のプロセッサ124によってアクセス可能な情報を記憶し得る。メモリ126、データ128、および命令130は、上で説明されるメモリ106、データ108、および命令110と同様に構成され得る。さらに、第2の通信デバイス122の送信機132、受信機134、およびステアリング機構136は、上述の送信機112、受信機114、およびステアリング機構116と同様であり得る。
【0031】
送信機112と同様に、送信機132は、光通信ビームおよびビーコンビームの両方を出力するように構成され得る。例えば、第2の通信デバイス122の送信機132は、ビーコンビーム20bを出力して、ビーコンビーム20bを受信する第1の通信デバイス102と通信リンク22bを確立し得る。第2の通信デバイス122は、ビーコンビームより狭い立体角を有し、別の通信信号を運ぶ光通信ビーム(図示せず)と同一直線上にビーコンビーム20bを整列させることができる。したがって、第1の通信デバイス102がビーコンビーム20aを受信すると、第1の通信デバイス102は、第2の通信デバイス122と見通し線を確立するか、または第2の通信デバイスと整列することができる。その結果、第2の通信デバイス122から第1の通信デバイス102への光通信ビーム(図示せず)の送信を可能にする通信リンク22bが確立され得る。
【0032】
受信機114と同様に、受信機134は、光ファイバーと、受信機114に関して上述したのと同じまたは類似の特徴を有する光ビームを検出するように構成された追跡システムと、を含む。さらに、追跡システムは、レンズ、ミラー、または受信された光ビームの一部を追跡センサーにそらし、受信された光ビームの残りの部分が光ファイバーと結合することを可能にするように構成されている他のシステムも含み得る。受信機134の追跡システムは、受信された光ビームを追跡するように構成されており、ステアリング機構136に、シンチレーションおよび/またはプラットフォームの動きによる外乱を相殺するように指示するために使用され得る。
【0033】
1つ以上のプロセッサ124は、ステアリング機構116に関して上述したように、送信機132、受信機134、および/または光ビームの指向方向を調整するために、ステアリング機構136と通信する。指向方向の調整は、第1の通信デバイス102と、第2の通信デバイス122との間の通信リンク22などの取得および接続リンクを確立するために行われ得る。さらに、1つ以上のプロセッサ124は、ステアリング機構136が、第1の通信デバイス102から通信リンク22aを介して受信された光ビームなど、送信側通信デバイスから通信リンクを介して受信された光ビームに基づいて、指向方向を調整するための閉ループ制御を提供し得る。
【0034】
図1に示されるように、第1および第2の通信デバイスの送信機および受信機が整列されると、第1の通信デバイス102と、第2の通信デバイス122との間に通信リンク22aおよび22bが形成され得る。通信リンク22aを使用して、1つ以上のプロセッサ104は、通信信号を第2の通信デバイス122に送信し得る。通信リンク22bを使用して、1つ以上のプロセッサ124は、通信信号を第1の通信デバイス102に送信し得る。いくつかの例では、第1および第2の通信デバイス102、122の間に1つの通信リンク22を確立すれば十分であり、これにより、2つのデバイス間のデータの双方向送信が可能になる。これらの例における通信リンク22は、FSOCリンクである。他の実装例では、通信リンク22のうちの1つ以上が、無線周波通信リンク、または自由空間を通って移動することが可能な他のタイプの通信リンクであり得る。
【0035】
図4に示されるように、第1の通信デバイス102および第2の通信デバイス122などの複数の通信デバイスが、複数の通信端末間に複数の通信リンク(矢印として示されている)を形成するように構成され得、それにより、ネットワーク400を形成し得る。ネットワーク400は、クライアントデバイス410および412と、サーバデバイス414と、通信デバイス102、122、420、422、および424と、を含み得る。クライアントデバイス410、412、サーバデバイス414、および通信デバイス420、422、ならびに424の各々は、1つ以上のプロセッサと、メモリと、送信機と、受信機と、上述のものと同様のステアリング機構と、を含み得る。送信機および受信機を使用して、ネットワーク400内の各通信デバイスは、矢印で示されるように、別の通信デバイスと少なくとも1つの通信リンクを形成し得る。通信リンクは、光周波数、無線周波数、他の周波数、または異なる周波数帯域の組み合わせに対するものであり得る。
図4では、通信デバイス102は、クライアントデバイス410および通信デバイス122、420、ならびに422との通信リンクを有して示されている。通信デバイス122は、通信デバイス102、420、422、および424との通信リンクを有して示されている。
【0036】
図4に示されるネットワーク400は、単なる例示であり、いくつかの実装例では、ネットワーク400は、追加のまたは異なる通信端末を含み得る。ネットワーク400は、複数の通信デバイスが複数の地上通信端末上にある地上ネットワークであり得る。他の実装例では、ネットワーク400は、気球、小型軟式飛行船もしくは他の飛行船、飛行機、無人航空機(UAV)、衛星であり得る1つ以上の高高度プラットフォーム(HAP)、または任意の他の形態の高高度プラットフォーム、もしくは他のタイプの移動可能もしくは固定通信端末を含み得る。いくつかの実装例では、ネットワーク400は、携帯電話、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、ウェアラブルデバイス、またはタブレットコンピュータなどのクライアントデバイスのためのアクセスネットワークとして機能し得る。ネットワーク400はまた、インターネットなどのより大きなネットワークに接続され得、より大きなコンピュータネットワーク上に格納された、またはより大きなコンピュータネットワークを通じて提供されるリソースへのアクセスをクライアントデバイスに提供するように構成され得る。
【0037】
例示的な方法
第1の通信デバイス102の1つ以上のプロセッサ104は、第1の通信デバイス102で受信された光信号を追跡するように、第1のミラー202および第2のミラー204を制御するように構成され得る。第1の実施形態では、第2のミラー204は、ゾーン内の光信号を追跡するように移動され得る一方、第1のミラー202は、第2のミラー204がゾーンの縁に到達するまで、静止した状態に維持され得る。第2の実施形態では、第1の方向の光信号を追跡するように、第2のミラー204がそのデフォルト角度から離れた後に、第1のミラー202が、第1の方向に移動され得る。
【0038】
図5には、第1の実施形態による、第1の通信デバイス102の1つ以上のプロセッサ104によって実行され得る流れ
図500が示されている。
図5は、ブロックを特定の順序で示しているが、順序は変更されてもよく、複数の動作が、同時に実行されてもよい。また、動作が追加または省略されてもよい。
【0039】
ブロック502で、1つ以上のプロセッサ104は、第2のミラーアクチュエータ214を使用して、第1の通信デバイス102のカバレッジエリア内の第1のゾーン内の光信号を追跡するように、第2のミラー204を移動させ得る。第1の通信デバイス102のカバレッジエリアは、第1のミラー202および第2のミラー204が、カバーするように回転され得る立体角である。言い換えれば、第1の通信デバイス102のカバレッジエリアは、第1のミラー202のカバレッジエリアと、第2のミラー204のカバレッジエリアとの組み合わせである。第1の通信デバイス102のカバレッジエリアは、複数のゾーンに分割され得る。各ゾーンは、例えば、第2のミラーのカバレッジエリアの50%、または100%未満の別のパーセンテージであり得る。例えば、第1の軸に沿った可動範囲に着目すると、第1のミラー202は、180°の全範囲に対して-90°~90°の可動範囲を有し得、第2のミラー204は、60°の全可動範囲に対して-30°~30°の可動範囲を有し得る。したがって、第1の通信デバイス102の第1の軸に沿った全可動範囲は、240°の全可動範囲に対して-120°~120°であり得る。この例では、各ゾーンは30°であり、これは、第2のミラーの第1の軸に沿った可動範囲の50%である。この例では、合計8つのゾーンが存在し得る。他の例は、より多いまたはより少ないゾーンを有し得る。
【0040】
さらに、ブロック504で、光信号が第1のゾーン内で追跡される間、1つ以上のプロセッサ104は、第1のミラー202を第1の角度で静止した状態に維持し得る。第2のミラーがゾーン内を移動される間、第1のミラーアクチュエータ212を使用して、第1のミラー202を第1の角度で静止した状態に、電源なしで、保持することができる。例えば、第2のミラー204がゾーン内で移動される間、1つ以上のプロセッサ104は、第1のミラーアクチュエータ212を使用して、第1のミラー202を第1の角度にロックすることができる。第1のミラー202が第1の角度にロックされた後、第1のミラーアクチュエータ212への電源が切られ得る。第1の軸に沿った第1の角度は、例えば、0°、15°、または第1のミラーのカバレッジエリア内の他の角度であり得る。
【0041】
図6は、第1の軸に沿った経時的な、第1の通信デバイス102で受信された光信号、第1のミラー202、および第2のミラー204の例示的な角度を示したグラフ600を示す。0°は、第1のミラー202または第2のミラー204のそれぞれのデフォルト角度を表す。第2のミラーの可動範囲602は、0°軸周りの陰影領域として示されている。複数のゾーンのうちの3つのゾーンが、ゾーン604、606、および608として示されており、その各々が、第2のミラーの可動範囲の約50%である。負の可動範囲のゾーンも存在するが、図示を簡略化するために省略されている。追跡された光信号、第2のミラー204、および第1のミラー202の経時的な角度位置が、グラフ600に、それぞれ線610(実線)、612(破線)、および614(一点鎖線)として示されている。
図6に示されるように、1つ以上のプロセッサ104は当初、第1のミラー202が第1の角度θ1すなわち15°でロックされている間に、第2のミラー204を0°~約15°の間を移動させることによって、時間t0~t1の間の光信号の位置を追跡する。
【0042】
ブロック506で、光信号がゾーンの縁に到達したら、1つ以上のプロセッサ104は、第1のミラーアクチュエータ212を使用して、第1のミラー202を第1の角度とは異なる第2の角度に移動させ得る。第2の角度は、第1の角度から光信号が移動する方向にある。また、第2の角度は、30°など、第1の角度からの設定された間隔であり得る。いくつかの実装例では、1つ以上のプロセッサ104は、第1のミラー202の複数の所定の角度を有し得る。
図6に示されるように、光信号は、時間t1においてゾーン604の上縁に到達し、ゾーン606内に移動する。時間t1において、1つ以上のプロセッサ104は、第1のミラー202を第1の角度θ1から第2の角度θ2、すなわち45°に移動させる。第1のミラー202が第2の角度に移動されると、1つ以上のプロセッサ104は、第1のミラー202を第2の角度で所定の位置にロックすることなどによって、電源なしで、第1のミラー202を第2の角度に保持し得る。
【0043】
ブロック508で、第1のミラー202が第1の角度から第2の角度に移動されると、1つ以上のプロセッサは、第2のミラーの指向方向をリセットするために、第2のミラー204を、第2のミラーのデフォルト角度すなわちゼロ角度に移動させ得る。第2のミラー204は、第1のミラー202とは反対方向に移動され得る。
図6に示されるように、第1のミラー202が、時間t1~時間t2で、第1の角度θ1から第2の角度θ2に移動されると、第2のミラー204は、約15°の作動角度から、第2のミラーのデフォルト角度に戻される。
【0044】
複数のゾーンのうちの所与のゾーン内にあるときに、ブロック504および506のプロセスが実行され得る。複数のゾーンのうちの2つのゾーン間の移行中に、ブロック508のプロセスが実行され得る。
図6の例に示されるように、時間t2~t3の間に、光信号が、ゾーン606内で追跡される。時間t2~t3の間、第1のミラー202が第2の角度θ2に保持される一方、第2のミラー204は、0°~30°の間で回転される。時間t3において、光信号は、ゾーン606の上縁に到達し、ゾーン608内に移動する。したがって、時間t3~時間t4で、第1のミラー202は、第2の角度θ2から第3の角度θ3、すなわち75°に移行される一方、第2のミラー204は、第2のミラーのデフォルト角度に回転して戻される。時間t4~時間t5で、第1のミラー202が第3の角度θ3に保持される一方、第2のミラー204は、-15°~30°の間で回転されて、ゾーン608内の光信号を追跡する。時間t5で、光信号は、ゾーン608の下縁で追跡され、ゾーン606内に戻る。したがって、時間t5~t6の間に、第1のミラー202は、第3の角度θ3から第2の角度θ2に戻され、第2のミラー204は、デフォルト角度に戻される。時間t6~t7の間に、第2のミラー204を0°~-30°の間で移動させることによって、光信号が、ゾーン606内で追跡される。時間t7で、光信号は、ゾーン606の下縁で追跡され、ゾーン604内に移動する。したがって、時間t7で、第1のミラー202は、第2の角度θ2から第1の角度θ1に向けて戻される。第1のミラー202が、時間t7~t8の間に第1の角度θ1に移行されると、第2のミラー204は、デフォルトの角度に戻される。
【0045】
ブロック510で、1つ以上のプロセッサ104は、受信された光信号に従って、第1の通信デバイス102を動作させ得る。例えば、1つ以上のプロセッサ104は、受信された光信号に従って、ネットワーク400を介して光信号をさらに送信し得る。1つ以上のプロセッサは、追加的または代替的に、ジンバルを制御することなどによって、第1の通信デバイス102の指向方向を調整し得る。
【0046】
代替的に、1つ以上のプロセッサ104は、第2のミラーアクチュエータ214を使用して、第1の通信デバイス102のカバレッジエリアではなく、第2のミラー204のカバレッジエリア内の第1のゾーン内の光信号を追跡するように、第2のミラー204を移動させることができる。この例では、第1のゾーンは、50%、または75%、または100%未満の別のパーセンテージなど、第2のミラー204のカバレッジの全エリアのパーセンテージとして定義され得る。ゾーンと、カバレッジの全エリアとが同心である場合がある。第1の軸に沿った例では、第2のミラーは、第1の軸の周りを-30°~30°移動するように構成され得る。ゾーンは全可動範囲の50%であり得、したがって-15°~15°であり得る。1つ以上のプロセッサ104は、ブロック504で上述したように、第1のミラー202を静止した状態に維持し得る。1つ以上のプロセッサは、第2のミラー204がゾーンの縁においてある角度に移動されたことを検出し、第1のミラー202を移動させて、第2のミラー204のゾーンをその角度に心合わせすることができる。換言すれば、第2のミラー204のデフォルト角度がその角度に沿って指向されるように、第1のミラー202が、その角度に移動され得る。別の例では、第1のミラー202を移動して、第2のミラー204のゾーンを、10秒以上または以下などの以前の時間フレームにおける複数の指向方向の平均指向方向に心合わせすることができる。第1のミラー202が移動されると、第2のミラー204もデフォルト角度に移動されて、第2のミラーの指向方向をリセットすることができる。
【0047】
図7は、第1の通信デバイス102の1つ以上のプロセッサ104によって実行され得る、第2の実施形態による流れ
図700を示す。
図7は、ブロックを特定の順序で示しているが、順序は変更されてもよく、複数の動作が、同時に実行されてもよい。また、動作が追加または省略されてもよい。
【0048】
ブロック702で、1つ以上のプロセッサ104は、光信号を追跡するように、第2のミラーアクチュエータ214を使用して、第2のミラー204をデフォルト角度から第1の方向に移動させる。いくつかの例では、1つ以上のプロセッサ104は、第2のミラー204が閾値角度を超えて第1の方向に移動したことをさらに判定し得る。ブロック704で、第2のミラー204が第1の方向に移動された後に、1つ以上のプロセッサ104は、第1のミラー202を第1の方向に移動させ得る。第1のミラー202は、第2のミラーが閾値角度を超えて第1の方向に移動された後に、移動され得る。ブロック706で、第1のミラー202を第1の方向に移動させると同時に、1つ以上のプロセッサ104は、第2のミラー204を第1の方向とは反対の第2の方向に移動させて、第2のミラー204のデフォルト角度に向けて戻し得る。次に、プロセスが繰り返されて、光信号を継続的に追跡し得る。ブロック708で、1つ以上のプロセッサ104は、ブロック510で説明されたように、受信された光信号に従って、第1の通信デバイスを動作させ得る。
【0049】
第2の実施形態の別の例では、1つ以上のプロセッサ104は、第1の期間にわたって、第2のミラー204を複数の方向に移動させ得る。1つ以上のプロセッサ104は、複数の方向を平均して、第1の期間の第1の方向を決定し得る。第1の期間は、例えば、10秒以上であっても、10秒以下であってもよい。次に、1つ以上のプロセッサ104は、第1の期間後に、第1のミラー202を決定された第1の方向に移動させ、第2のミラー204を、第2のミラーのデフォルト角度に向かって戻させ得る。
【0050】
上述の通信デバイス102の動作は、受信信号を追跡するのではなく、送信光信号の指向方向を制御する目的で追加的または代替的に利用され得る。この実装例では、1つ以上のプロセッサ104は、通信デバイス122などのリモート通信デバイスから信号を受信し得、受信された信号は、リモート通信デバイスの追跡センサー上での送信された光信号の位置を示す。次に、追跡センサーの中心が、送信された光信号に対して移動するにつれて、通信デバイス102の第1のミラー202および第2のミラー204が移動され得る。言い換えれば、第1のミラー202および第2のミラー204は、受信された光信号ではなく、追跡センサーの中心を追跡するように移動され得る。
【0051】
上記の特徴が、光信号を正確に指向および追跡するFSOCシステムを提供する。さらに、これらの特徴は、アクチュエータを操作するための全体的なコストを低減し得、システムの寿命および性能を拡張し得る。さらに、システムの電力節減も達成され得る。
【0052】
特段の記述がない限り、前述の代替的な例は、相互に排他的ではないが、独自の有益点を達成するために様々な組み合わせで実施され得る。上で考察される特徴のこれらおよび他の変形および組み合わせは、特許請求の範囲によって定義される主題から逸脱することなく利用することができるので、実施形態の前述の説明は、特許請求の範囲によって定義される主題の限定としてではなく、例示としてみなされるべきである。加えて、本明細書に記載された実施例、ならびに「など」、「含む」などと表現された語句の提供は、特許請求の範囲の主題を特定の実施例に限定するものと解釈されるべきではなく、むしろ、実施例は、多くの可能な実施形態のうちの1つだけを例示することが意図される。さらに、異なる図面中の同じ参照番号は、同じまたは類似の要素を特定することができる。