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特許7274006複数の太陽光発電システムを統合するためのシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-02
(45)【発行日】2023-05-15
(54)【発明の名称】複数の太陽光発電システムを統合するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/35 20060101AFI20230508BHJP
【FI】
H02J7/35 B
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2022005226
(22)【出願日】2022-01-17
(65)【公開番号】P2022050643
(43)【公開日】2022-03-30
【審査請求日】2022-01-17
(31)【優先権主張番号】17/153,418
(32)【優先日】2021-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516357421
【氏名又は名称】バイドゥ ユーエスエイ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Baidu USA LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ガオ ティエンイ
【審査官】清水 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特許第6045769(JP,B1)
【文献】特開2016-96647(JP,A)
【文献】特開2012-152093(JP,A)
【文献】特開2018-93661(JP,A)
【文献】特開2004-47875(JP,A)
【文献】特開2012-124188(JP,A)
【文献】特開2014-180130(JP,A)
【文献】特開2017-200360(JP,A)
【文献】国際公開第2019/155507(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/00 - 7/12
H02J 7/34 - 7/36
H02J 13/00
G06Q 50/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の太陽光発電(PV)エネルギー・システムからの電力を管理する方法であって、
PVエネルギー・システムのサブセットの出力を測定することであって、前記PVエネルギー・システムのサブセットの各々が、対応する電流センサを含み、前記PVエネルギー・システムの残りが、電流センサを有さないPVエネルギー・システムを含む、出力を測定することと、
前記PVエネルギー・システムのサブセットの測定された前記出力に基づいて、前記PVエネルギー・システムのうちのすべての総電力を計算することと、
1つまたは複数のストレージ・システムのための充電閾値を決定することと、
データ・センタ内の1つまたは複数のITクラスタの電力閾値を決定することと、
前記総電力が前記充電閾値を超えるか否か、及び前記総電力が前記電力閾値を超えるか否かに応じて、前記1つまたは複数のストレージ・システムを充電するか、または前記1つまたは複数のITクラスタに電力供給するために、複数の前記PVエネルギー・システムからのエネルギーを選択的に利用することと
を備える、方法。
【請求項2】
前記電流センサを有さないPVエネルギー・システムが、前記PVエネルギー・システムのサブセットと同じタイプのPVセルを含み、前記総電力を計算することが、前記PVエネルギー・システムのサブセットの各々の電力レベルを、前記電流センサを有さないPVエネルギー・システムの各々に適用することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記電流センサを有さないPVエネルギー・システムが、前記PVエネルギー・システムのサブセットと同じタイプのPVセルを含み、前記総電力を計算することが、前記PVエネルギー・システムのサブセットのパネルの数で除算された、前記電流センサを有さないPVエネルギー・システムのパネルの数に比例する比を乗算することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記総電力を計算することが、
前記電流センサを有さないPVエネルギー・システムの各々のための重みを数値的に選択することによって、前記電流センサを有さないPVエネルギー・システムの各々について電力レベルを計算すること
を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記総電力を計算することが、
前記電流センサを有さないPVエネルギー・システムの各々のための選択された前記重みの各々に対する、最も高い値および最も低い値に対応する電力レベル計算結果を除外することと、
残りの電力レベル計算結果の平均値を計算することと
をさらに備える、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記総電力を計算することが、
機械学習(ML)ニューラル・ネットワークを使用して、前記電流センサを有さないPVエネルギー・システムの予測の出力電力を計算することと、
前記MLニューラル・ネットワークを使用して計算された前記予測の出力電力に基づいて、前記総電力を計算することと
を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記総電力が、1つまたは複数のストレージ・システムのための前記充電閾値を上回り、1つまたは複数のITクラスタの前記電力閾値を下回り、複数の前記PVエネルギー・システムからのエネルギーが、前記1つまたは複数のストレージ・システムを充電するために利用される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記総電力が、1つまたは複数のストレージ・システムのための前記充電閾値を上回り、1つまたは複数のITクラスタの前記電力閾値を上回り、複数の前記PVエネルギー・システムからのエネルギーが、前記1つまたは複数のITクラスタに電力供給するために利用される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
データ・センタ・システムであって、
複数の太陽光発電(PV)エネルギー・システムと、
各々が、対応する電流センサを含む、複数の前記PVエネルギー・システムのサブセットであって、ここで、前記PVエネルギー・システムの残りが、電流センサを有さないPVエネルギー・システムを含む、複数の前記PVエネルギー・システムのサブセットと、
1つまたは複数のストレージ・システムと、
1つまたは複数のITクラスタと、
少なくとも1つの電力コントローラであって、
電流センサを含む前記PVエネルギー・システムのサブセットの出力を測定することと、
前記PVエネルギー・システムのサブセットの測定された前記出力に基づいて、複数の前記PVエネルギー・システムのうちのすべての総電力を計算することと、
前記1つまたは複数のストレージ・システムのための充電閾値を決定することと、
前記1つまたは複数のITクラスタの電力閾値を決定することと、
前記総電力が前記充電閾値を超えるか否か、及び前記総電力が前記電力閾値を超えるか否かに応じて、前記1つまたは複数のストレージ・システムを充電するか、または前記1つまたは複数のITクラスタに電力供給するために、複数の前記PVエネルギー・システムからのエネルギーを選択的に利用することと
を行うように構成された少なくとも1つの電力コントローラと
を備える、データ・センタ・システム。
【請求項10】
前記電流センサを有さないPVエネルギー・システムが、前記PVエネルギー・システムのサブセットと同じタイプのPVセルを含み、前記少なくとも1つの電力コントローラが、前記PVエネルギー・システムのサブセットの各々の電力レベルを、前記電流センサを有さないPVエネルギー・システムの各々に適用することによって、前記総電力を計算することを行うように構成された、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記電流センサを有さないPVエネルギー・システムが、前記PVエネルギー・システムのサブセットと同じタイプのPVセルを含み、前記少なくとも1つの電力コントローラが、前記PVエネルギー・システムのサブセットのパネルの数で除算された、前記電流センサを有さないPVエネルギー・システムのパネルの数に比例する比を乗算することによって、前記総電力を計算することを行うように構成された、請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
前記電力コントローラは、
1つまたは複数の追加の電流センサを有さないPVエネルギー・システムを受け入れることと、
異なる動作モードですべての前記PVエネルギー・システムを管理し、動作させることであって、前記動作モードが、切断モードと、前記1つまたは複数のストレージ・システムを充電するための充電モードと、前記1つまたは複数のITクラスタに電力供給するための接続モードとを含む、すべての前記PVエネルギー・システムを管理し、動作させることと
を行うようにさらに構成された、請求項9に記載のシステム。
【請求項13】
前記総電力を計算することが、
機械学習(ML)ニューラル・ネットワークを使用して、前記電流センサを有さないPVエネルギー・システムの予測の出力電力を計算することと、
前記MLニューラル・ネットワークを使用して計算された前記予測の出力電力に基づいて、前記総電力を計算することと
を備える、請求項9に記載のシステム。
【請求項14】
前記総電力が、1つまたは複数のストレージ・システムのための前記充電閾値を上回り、1つまたは複数のITクラスタの前記電力閾値を下回り、複数の前記PVエネルギー・システムからのエネルギーが、前記1つまたは複数のストレージ・システムを充電するために利用される、請求項9に記載のシステム。
【請求項15】
前記総電力が、1つまたは複数のストレージ・システムのための前記充電閾値を上回り、1つまたは複数のITクラスタの前記電力閾値を上回り、複数の前記PVエネルギー・システムからのエネルギーが、前記1つまたは複数のITクラスタに電力供給するために利用される、請求項9に記載のシステム。
【請求項16】
データ・センタ内の太陽光発電(PV)電力システムを統合するための方法であって、前記方法は、
前記データ・センタに少なくとも1つの新しいPVエネルギー・システムを追加することであって、前記新しいPVエネルギー・システムが、電流センサを含まない、少なくとも1つの新しいPVエネルギー・システムを追加することと、
少なくとも1つの前記新しいPVエネルギー・システムが、以前にインストールされたPVエネルギー・システムと同じタイプのPVセルを含むかどうかを判断することと、
少なくとも1つの前記新しいPVエネルギー・システムが、前記以前にインストールされたPVエネルギー・システムと同じタイプの前記PVセルを含む場合、前記以前にインストールされたPVエネルギー・システムの各々の電力レベルを、前記新しいPVエネルギー・システムの各々に適用することによって、すべてのPVエネルギー・システムの総電力を計算することと、
少なくとも1つの前記新しいPVエネルギー・システムが、前記以前にインストールされたPVエネルギー・システムと同じタイプの前記PVセルを含まない場合、前記以前にインストールされたPVエネルギー・システムのパネルの数で除算された、前記新しいPVエネルギー・システムのパネルの数に比例する比を乗算することによって、すべてのPVエネルギー・システムの総電力を計算することと
を備える、方法。
【請求項17】
少なくとも1つの前記新しいPVエネルギー・システムが、前記以前にインストールされたエネルギー・システムと同じタイプのPVセルを含まず、
前記総電力を計算することが、
電流センサを有さない少なくとも1つの前記新しいPVシステムの各々のための重みを数値的に選択することによって、電流センサを有さない少なくとも1つの前記新しいPVシステムの各々について電力レベルを計算すること
を備える、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記総電力を計算することが、
少なくとも1つの前記新しいPVシステムの各々のための数値的に選択された前記重みの各々に対する、最も高い値および最も低い値に対応する電力レベル計算結果を除外することと、
残りの電力レベル計算結果の平均値を計算することと
をさらに備える、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記総電力が、1つまたは複数のストレージ・システムのための充電閾値を上回り、1つまたは複数のITクラスタの電力閾値を下回り、すべての前記PVエネルギー・システムからのエネルギーが、前記1つまたは複数のストレージ・システムを充電するために利用される、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記総電力が、1つまたは複数のストレージ・システムのための充電閾値を上回り、1つまたは複数のITクラスタの電力閾値を上回り、すべてのPVエネルギー・システムからのエネルギーが、前記1つまたは複数のITクラスタに電力供給するために利用される、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
コンピュータ上で動作しているときに、請求項1~8または請求項16~20のいずれかに記載の方法を前記コンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[開示の分野]
本開示の実施形態は、概して、データ・センタ電力アーキテクチャに関する。より詳細には、本開示の実施形態は、複数の太陽光発電(PV)ソースからデータ・センタに電力を供給するためのシステムおよび方法に関する。
【0002】
[背景技術]
データ・センタは、IT機器およびサーバを収容するために使用される、ミッション・クリティカルな設備である。ビジネス要件および使用事例のばらつき、計算能力要件のばらつきなどが、IT機器設計の著しいばらつきを生む。データ・センタは、極めて早く拡張しており、それらの総エネルギー消費量も、急速に増大している。大規模なデータ・センタを所有する会社は、毎年、電気に多額の金銭を費やす。それゆえ、電気コストを低減し、データ・センタ内で電力をより効率的に利用することができるシステムに対するニーズが存在する。再生可能電力が、ハイパースケール・データ・センタ所有者からの多くの注目を引きつけ始めた。加えて、実際、環境規制に対応するために、再生可能エネルギーを実装する必要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示の一態様は、複数の太陽光発電(PV)エネルギー・システムからの電力を管理する方法であって、PVエネルギー・システムのサブセットの出力を測定することであって、前記PVエネルギー・システムのサブセットの各々が、対応する電流センサを含み、前記PVエネルギー・システムの残りが、電流センサを有さないPVエネルギー・システムを含む、出力を測定することと、前記PVエネルギー・システムのサブセットの測定された前記出力に基づいて、前記PVエネルギー・システムのうちのすべての総電力を計算することと、1つまたは複数のストレージ・システムのための充電閾値を決定することと、データ・センタ内の1つまたは複数のITクラスタの電力閾値を決定することと、前記1つまたは複数のストレージ・システムを充電するか、または前記1つまたは複数のITクラスタに電力供給するために、複数の前記PVエネルギー・システムからのエネルギーを選択的に利用することとを備える、方法である。
【図面の簡単な説明】
【0004】
本発明の実施形態が、添付図面において、限定ではなく例として、図示されている。添付図面中、同様の参照符は類似の要素を指し示す。
【0005】
図1】本開示の実施形態による、データ・センタにおける電力分配システムの例示的な設計を示す図である。
図2】本開示の実施形態による、データ・センタにおける電力分配システムの別の例示的な設計を示す図である。
図3】本開示の実施形態による、データ・センタにおける電力分配システムの別の例示的な設計を示す図である。
図4】本開示の実施形態による、データ・センタにおける電力分配システムの別の例示的な設計を示す図である。
図5】本開示の実施形態による、データ・センタにおける電力分配システムの別の例示的な設計を示す図である。
図6】本開示の実施形態による、データ・センタ内で電力を分配するための例示的な方法のフロー図である。
図7】本開示の実施形態による、データ・センタ内で電力を分配するための別の例示的な方法のフロー図である。
図8】本開示の実施形態による、データ・センタ内の太陽光発電(PV)電力システムを統合するための例示的な方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本明細書における「一実施形態」または「実施形態」への言及は、実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、または特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれ得ることを意味する。本明細書における様々な場所での「一実施形態では」という句の出現は、必ずしもすべてが同じ実施形態を指すとは限らない。
【0007】
本明細書で提供される実施形態の説明において、「結合された」および「接続された」という用語が、それらの派生語とともに、使用され得る。これらの用語は、互いに同義語として意図されないことを理解されたい。「結合された」は、互いに直接物理的にまたは電気的に接触していることもしていないこともある、2つまたはそれ以上の要素が、互いに協働または作用することを指し示すために使用される。「接続された」は、互いに結合された2つまたはそれ以上の要素の間の通信の確立を指し示すために使用される。さらに、「サーバ」、「クライアント」、および「デバイス」という用語は、サーバ、クライアント、および/またはデバイスのための特定のフォーム・ファクタを具体的に指すのではなく、データ処理システムを概して指すことを意図する。
【0008】
風力タービンおよびソーラー・パネルのような、グリーン・エネルギー・システムは、コストがますます下がり、炭素排出量も少ない。しかしながら、それらの断続的なリソースによってもたらされる電力は、時折、一貫性がなく予測可能でもない。既存のPVシステムは組み合わせられたエネルギー・ストレージ・システムを装備し得るが、これはコストがかかり、運転が複雑であり得る。電力ニーズの増加、ならびに環境規制および電力使用制限の下で拡張するデータ・センタをサポートし続けるために、再生可能エネルギーを実装することが望ましい。
【0009】
本開示の実施形態は、既存のインフラストラクチャへの新しいPVシステムの統合を可能にする。各サブシステムのためのコントローラを使用する代わりに、いくつかの実施形態では、PVサブシステムのうちのすべてを制御し、システムに新しいソーラー・パネルを追加するために、単一のコントローラを利用し得る。
【0010】
実施形態では、PVシステムのうちのすべてが、電流センサを必要とするとは限らない。あらゆるPVサブシステムについて電流センサおよびテスト・ループをセット・アップする代わりに、以前にインストールされた、電流センサを含むPVシステムに基づいて、新たに追加されたPVシステムの電力レベルを予測し得る。このようにして、本開示の実施形態は、既存のPVシステムまたはITクラスタに対するシステム適合を必要とすることなしに、ITクラスタに対して既存のPVシステムをアップグレードするための高度な解決策を提供する。そのような実施形態はまた、IT負荷に従うPVシステムのスケーリングを容易にすることができる。
【0011】
PVシステムなど、再生可能電力システムを、最新のデータ・センタ中に効率的に実装することは、困難であり得る。実施形態によれば、余分なエネルギー・ストレージ・システムをPVシステムに追加する必要なしに太陽エネルギーを利用するために、リアルタイムの太陽出力エネルギーが、システムの動作モードを決定するために考慮される。別の実施形態によれば、既存のITインフラストラクチャが、検出または制御システム上の追加の要件を有することなく、PVシステムを含むようにアップグレードされ得る。本開示の実施形態は、既存のインフラストラクチャに容易にプラグ接続することができるシステムであって、既存のPVシステムおよびITクラスタとの十分な互換性を有するシステムを提供する。加えて、新たに追加されたPVシステム、ならびにシステム全体は、新たにアップグレードされた能力に基づいて、複数のステージで動作させられ得る。いくつかの実施形態では、PVシステム・リアル・タイム電力出力は、PVシステム・アップグレード、PVシステム・デグレード、PVシステム障害、定期的な保守などを含む、複数のシナリオにおいて動的に調節され得る。
【0012】
一実施形態によれば、マルチPVシステムの設計および動作が開示される。例示的なシステム設計、ならびにPVシステムを実装し、動作させ、利用可能な再生可能電力を効率的に利用するための制御フローが開示される。記述を容易にするために、電気的システム・アーキテクチャを含み、サブシステムおよび全システムの間の電気的接続を含む、複数のシステムの高レベル実施形態が提供される。しかしながら、これらの実施形態が本発明の範囲を限定せず、様々な他の実施形態、アーキテクチャ、および設計が使用され得ることを当業者は認識されよう。
【0013】
実施形態では、本明細書で開示されるシステムは、切断モード、接続モード、およびバッテリー充電モードを含む、少なくとも3つの動作モードで動作することができる。新しいPVシステムの統合により、既存のシステムをアップグレードできるようにするために、また、より効率的に再生可能エネルギー・ソースを動作させてデータ・センタに電力を供給するために、各個々の新たに追加されたサブシステムの動作を含む、アップグレード・システムからの太陽エネルギーの検出および推定を可能とするための数学的手法が、以下で開示される。本明細書で開示される実施形態は、簡略化された、コスト効率のよい手段で再生可能電力システムのアップグレードを可能とし得る。本明細書で開示される技法は、たとえば、既存のアーキテクチャと追加のPVシステムとを統合するために使用することができ、追加のPVシステムは、バッテリー・ストレージ・システムを装備してもしなくてもよい。
【0014】
図1は、本開示の実施形態による、データ・センタにおける電力分配システムの例示的な設計を示す。この実施形態では、合計でN個のPVサブシステムがあり、そのうちのいくつかは電流センサを含み、そのうちのいくつかは電流センサを含まない。この実施形態では、システムは、電流センサを有するS個のサブシステムと、電流センサを有さないN-S個のサブシステムとを含む。具体的に、システムは、対応するDC/DC変換器107、電流センサ103、および第1のテスト抵抗105を有する第1のPVシステム101を含む。DC/DC変換器107および第1のテスト抵抗105は、この例示的な実施形態では、スイッチS1およびS2を使用して第1のPVシステム101に選択的に接続される。同様に、第SのPVシステム121は、スイッチS11およびS12を使用してDC/DC変換器127およびテスト抵抗S125に選択的に接続される。また、電流センサS123は、DC/DC変換器127とテスト抵抗S125との間に配置される。この実施形態では、DC/DC変換器107、127、137、147は、使用のための(たとえば、バッテリーを充電するかまたは他の作業負荷に電力供給するための)所定のレベルに、各PVシステムの出力電圧を正規化し、規制するために使用される。
【0015】
この実施形態では、合計N個のPVシステムがあり、N-S個のサブシステムは、電流センサを含まない。N-S個のPVシステムは、第S+1のPVシステム133と第NのPVシステム143とを含む。第S+1のPVシステム133は、DC/DC変換器137に接続され、第NのPVシステム143は、DC/DC変換器147に接続される。実施形態では、DC/DC変換器107、127、137、147の各々は、DCバス102、104、106、108に接続される。いくつかの実施形態では、DCバス102、104、106、108は、同じDCバスであり得る。
【0016】
図1の実施形態では、PVシステムの各々は、DC/DC変換器109、129、139、149およびスイッチS3、S13、S21、S31を介してシステム間DCバス117に選択的に接続される。DC/DC変換器109、129、139、149は、電圧を、システム間DCバス117と同じ電圧に変換するために使用される。
【0017】
各PVシステムは、この実施形態では、対応するストレージ・システムを含む。いくつかの実施形態では、PVシステムは、DCバスに電力供給するためのより集中型のストレージ・システムと共存することができる。各PVシステムに対応するこれらのストレージ・システムは、第1のストレージ・システム110、第Sのストレージ・システム120、第S+1のストレージ・システム130、および第Nのストレージ・システム140を含む。これらのストレージ・システムの各々は、スイッチS4、S14、S22、およびS32を使用してシステム間DCバス117に選択的に接続される。いくつかの実施形態では、第S+1~NのPVシステムの各々は、それ自体の専用ストレージ・システムを必要としないことがあり、PVシステムのうちの2つまたはそれ以上は、ストレージ・システムを共有することができる。
【0018】
図1の実施形態では、N個のクラスタも、システム間DCバス117に選択的に接続される。これらのクラスタは、スイッチS5、S15、S23、S33を使用してシステム間DCバス117に選択的に接続される、第1のクラスタ112、第Sのクラスタ122、第S+1のクラスタ132、および第Nのクラスタ142を含む。実施形態では、システムは、中央コントローラ113およびPVコントローラ115をも含む。PVコントローラ115は、電流センサ103および123からの示度を監視することができ、PVシステム・スイッチS1、S2、S11、およびS12を動作させることができる。コントローラ113は、いくつかの実施形態では、スイッチS3、S4、S5、S13、S14、S15、S21、S22、S23、S31、S32、およびS33を動作させるために使用でき、PVコントローラ115と交信できる。諒解されるように、コントローラ113およびPVコントローラ115は、別個の要素であり得るか、またはいくつかの実施形態では、単一のコントローラに統合され得る。
【0019】
サブシステムが、太陽エネルギーを利用可能なときはいつでも、PVリソースは、システム間DCバス117に接続されることができ、クラスタ112、122、132、142に役立つために、またはストレージ・システム110、120、130、140を充電するために利用され得る。この実施形態におけるスイッチは、少なくとも2つの目的、すなわち、データ・センタITクラスタに電力供給するための電力フローを動作させるためのシステム動作、ならびにモジュラー・システム設計およびサービス/保守考慮を可能とすること、を有する。
【0020】
例示的な動作シナリオは、以下を含む。新たに構築されるシステムについては、第1~Sのサブシステムを最初に統合し、次いで、第S+1~Nのシステムを統合することができる。第S+1~NのPVシステムを有する既存のシステムについては、これらのシステムはエネルギー・ストレージ・システムまたはバッテリーを装備することができ、次いで、第1~Sのシステムを統合して、センサを有するこれらのシステムに全体的な制御が切り換えられ得るようにすることができる。第1~NのPVシステムを含む既存のシステムについては、第1~Sのサブシステムを、本明細書で説明される動作ストラテジーおよび制御技法を実装するように統合または改良することができる。
【0021】
図2は、本開示の実施形態による、データ・センタにおける電力分配システムの別の例示的な設計を示す。この実施形態では、システムは、3つのPVサブシステムを含む。第1のPVシステム101および第2のPVシステム121は、それぞれ、電流センサ103および123に接続される。第1のPVシステム101は、スイッチS1を使用してDC/DC変換器107に選択的に接続され、スイッチS2を使用して第1のテスト抵抗105に選択的に接続される。同様に、第2のPVシステム121は、スイッチS11を使用してDC/DC変換器127に選択的に接続され、スイッチS12を使用して第2のテスト抵抗125に選択的に接続される。システムは、電流センサを有さず、DC/DC変換器137に接続される第3のPVシステム133をも含む。DC/DC変換器107、127、137の各々は、DCバス102、104、106に接続される。これは、このシステム133が、他の2つのPVシステム・センサに基づいて動作させられることを意味する。
【0022】
図2の実施形態では、PVシステムの各々は、DC/DC変換器109、129、139およびスイッチS3、S13、S21を介してシステム間DCバス117に選択的に接続される。DC/DC変換器109、129、139は、電圧を、システム間DCバス117と同じ電圧に変換するために使用される。
【0023】
各PVシステムは、この実施形態では、対応するストレージ・システムと共存する。これらのストレージ・システムは、第1のストレージ・システム110、第2のストレージ・システム120、および第3のストレージ・システム130を含む。これらのストレージ・システムの各々は、スイッチS4、S14、およびS22を使用してシステム間DCバス117に選択的に接続される。実施形態では、このストレージ・システムは、データ・センタ内の専用エネルギー・バックアップ・ユニット、またはユーティリティ電力線において使用される既存のもののいずれかであり得る。
【0024】
図2の実施形態では、3つのクラスタも、システム間DCバス117に選択的に接続される。これらのクラスタは、スイッチS5、S15、S23を使用してシステム間DCバス117に選択的に接続される、第1のクラスタ112、第2のクラスタ122、および第3のクラスタ132を含む。実施形態では、システムは、中央コントローラ113およびPVコントローラ115をも含む。PVコントローラ115は、電流センサ103および123からの示度を監視することができ、PVシステム・スイッチS1、S2、S11、およびS12を動作させることができる。コントローラ113は、いくつかの実施形態では、スイッチS3、S4、S5、S13、S14、S15、S21、S22、およびS23を動作させるために使用でき、PVコントローラ115と交信できる。諒解されるように、中央コントローラ113およびPVコントローラ115は、別個の要素であり得るか、またはいくつかの実施形態では、単一のコントローラに統合され得る。
【0025】
このシステムの3つの例示的な動作モードが、以下で説明され、図3図5中に図示されている。図3は、本開示の実施形態による、切断モードにおける図2の電力分配システムの例示的な設計を示す。この動作モードでは、中央コントローラ113は、PVコントローラ115に信号を送り、PVコントローラ115は、センサ103、123から電流データを取得し、現時点において利用可能な太陽エネルギーがないことを発見する。次いで、この情報は、中央コントローラ113に中継される。これにより、スイッチS3、S4、S5、S13、S14、S15、S21、S22、およびS23は、開いたままであり、スイッチS1、S2、S11、およびS12は閉じられる。
【0026】
図4は、本開示の実施形態による、バッテリー充電モードにおける図2の電力分配システムの例示的な設計を示す。この動作モードでは、中央コントローラ113は、PVコントローラ115に信号を送り、PVコントローラ115は、センサ103、123から電流データを取得し、ストレージ・システムを充電するために利用され得る太陽エネルギーが現在あることを発見する。この情報は、中央コントローラ113に中継され、中央コントローラ113は、第1のストレージ・システム110が、利用可能な太陽エネルギーを受け取ることを決定する。この動作モードでは、スイッチS5、S15、およびS23は、開いており、スイッチS3、S13、およびS21は閉じられ、すべてのPVシステムをシステム間DCバス117に接続する。スイッチS4、S14、およびS22のうちの1つまたは複数が閉じられて、サブシステムのうちの1つまたは複数を充電する。この例示的な実施形態では、S4が、第1のストレージ・システム110を充電するために閉じられ、S14およびS22は開いている。いくつかの実施形態では、充電されるべきストレージ・システムは、バッテリーの状態およびサブシステム内の構成要素の状態を考慮して選択され得る。この実施形態では、検出回路は、スイッチS1、S2、S11、およびS12が閉じられた閉回路のままである。
【0027】
図5は、本開示の実施形態による、接続モードにおける図2の電力分配システムの例示的な設計を示す。この動作モードでは、PVコントローラ115は、センサ103、123から電流データを取得し、利用可能な十分な太陽エネルギーがあると判断する。これにより、スイッチS3、S13、およびS21が閉じられ、PVシステムのうちのすべてをシステム間DCバス117に接続する。ただし、この実施形態では、総太陽エネルギーは、バス接続閾値を超え、したがって、スイッチS4、S14、およびS22は開かれ、S1、S2、S11、S12はS3、S13、およびS21とともに閉じられ、クラスタのうちの1つに太陽エネルギーを供給する。この実施形態では、第1のクラスタ112が、スイッチS5を使用してシステム間DCバス117に接続され、第2のクラスタ122および第3のクラスタ132は、スイッチS15およびS23が開いており、切断されたままである。
【0028】
図6は、本開示の実施形態による、データ・センタ内で電力を分配するための例示的な方法のフロー図である。電力分配方法600は、たとえば、図1図5で説明された電力分配システムを使用して実装され得る。動作601において、方法600は、電流センサを含むPVエネルギー・システムのサブセットの出力を測定する。データ・センタ内で、PVエネルギー・システムの残りは、電流センサを含まない。
【0029】
動作603において、PVエネルギー・システムのうちのすべての総電力が、PVエネルギー・システムのサブセットの測定された出力に基づいて計算される。電流センサを有さないPVエネルギー・システムが、センサを有するPVエネルギー・システムと同じタイプのPVセルを含むいくつかの実施形態では、総電力は、センサを有するPVシステムの各々の電力レベルを、センサを有さないものに適用することによって計算され得る。
【0030】
センサを有さないPVシステムが、センサを有するものと同じタイプではない、いくつかの実施形態では、総電力は、センサを有するPVシステムにおけるパネルの数で除算された、センサを有さないPVシステムのパネルの数に比例する比を乗算することによって計算され得る。いくつかの実施形態では、重みが、センサを有さないPVシステムの各々のためにランダムに選択され得る。ランダムに選択された重みのうち、最も高い値および最も低い値を除外することができ、平均値を、残りの電力レベルのために計算することができる。
【0031】
動作605において、ストレージ・システムのための充電レベル閾値が決定される。動作607において、データ・センタ内のITクラスタのための電力閾値が決定される。
【0032】
動作609において、PVエネルギー・システムからのエネルギーが、ストレージ・システムまたはITクラスタを充電するために選択的に利用される。いくつかの実施形態では、総PV電力が、ストレージ・システムのための充電レベル閾値よりも高いが、ITクラスタのための電力閾値を下回るとき、PV電力は、ストレージ・システムを充電するために利用され得る。総PV電力が、ITクラスタのための電力閾値を上回る場合、PV電力は、ITクラスタのうちの1つまたは複数に電力供給するために利用され得る。
【0033】
図7は、本開示の実施形態による、データ・センタ内で電力を分配するための別の例示的な方法700のフロー図である。電力分配方法700は、たとえば、図1図5で説明された電力分配システムを使用して実装され得る。この実施形態では、2つの閾値、すなわち、充電レベル閾値、およびバス接続閾値(換言すれば、ITクラスタのための電力閾値)が、制御論理において使用される。
【0034】
方法700は、初期動作状態で701において開始する。図2図5で説明されたシステムに関して、すべてのスイッチは、スイッチS2およびS12を除いて、この初期状態において開いている。
【0035】
動作703において、方法700は、利用可能なPV電力があるかどうかを確認するための信号を検出する。信号が存在する場合、PVシステムの出力電流の情報が、動作705において測定される。電流は、スイッチS2およびS12を閉じること、すべての他のスイッチを開くこと、ならびにPVコントローラに、電流センサ103および123における値を測定させることによって測定され得る。
【0036】
動作707において、全システムの太陽エネルギーの総量が計算される。実施形態では、総電力は、以下の式に従って計算することができ、ここで、Ptotalは、現在の全システムの総太陽エネルギーを表し、第1の項は、電流センサを有するサブシステムの太陽エネルギーに対応し、これは、これらのサブシステムの出力が、直接測定可能であることを意味する。
【0037】
【数1】
【0038】
式(1)および(3)において、W(I)は、電流をサブシステムのための電力に移すことができる関数であり、Iは、センサから測定された電流である。式(3)において、δは、あるサブシステムにおけるPVパネルの出力電圧値に比例する。実施形態では、δがテスト抵抗を含む検出回路ならびにPVシステム自体の両方に基づくため、δは異なるシステムに対して調整される必要がある。関数f(αkt)は、センサを有さない他のサブシステムの太陽エネルギー出力を計算するために使用され得る伝達関数であり、PおよびPの偏差に比例し、ここで、Pは、センサを有さないサブシステムの定格電力であり、Pは、センサを有するサブシステムの電力である。センサを有するサブシステムが、センサを有さないものと同じであるか、またはセンサを有さないものと同じ会社によって作られたとき、パネルの数のみが、伝達関数に含まれる。この伝達関数は、同じ環境下での2つのシステムの出力電力の関係を表すものとして理解され得る。そのため、1つのシステムを測定すると、他のものが計算され得る。この伝達関数はまた、実際のシステムに基づいて開発または調整され得る。ここで、以下のセクションにおいて使用され得る方法のうちのいくつかを紹介する。
【0039】
式(4)において、αは定数係数であり、それは、デフォルト値として1として扱われ得る。実施形態では、NおよびNは、それぞれ、第1および第3のPVシステムのパネルの数に対応し、αは、デフォルト値として1に設定され得る定数係数である。定数αおよびαは、システムの精度を調整するために調節され得る。
【0040】
式(1)および(2)において、φは、各サブシステムtの重みとして使用され、重みの合計は1であり、重みは、ランダム・アルゴリズムを使用して計算され得る。センサを有さない1つのサブシステムの出力太陽エネルギーは、いくつかの実施形態では、センサを有するサブシステムによってもたらされる太陽エネルギーの加重和として計算され得る。
【0041】
伝達関数は、材料、パネルの数などに関係し得る、ソーラー・パネルの発電能力に比例する。それらのサブシステムにおけるPVパネルの相違を考慮して、3つの条件が、上記の式(2)~(4)に要約されている。
【0042】
動作709において、総電力が、バッテリー充電閾値を超えるかどうかが判断される。否定される場合、PVシステムは、動作711において、システム間DCバスから切断されるか、またはシステム間DCバスから切断されたまま維持される。動作711において、PVシステムが、初めにシステム間バスに接続されている場合、PVシステムは切断されることができ、PVシステムが接続されていない場合、PVシステムは切断されたままとなる。これは、たとえば、図3中に示されている切断動作モードで実行され得る。
【0043】
総電力が、バッテリー充電閾値を超える場合、PVシステムは、動作713においてシステム間DCバスに接続され得る。これは、スイッチS1、S2、S3、S11、S12、S13、およびS21を閉じて、PVシステムからの電力が、システム間DCバス117に向けられ得るようにすることによって実行することができる。
【0044】
動作715において、総PV電力が、ITクラスタのためのバス接続閾値を超えるかどうかが判断される。否定される場合、動作719において、システム間バスは、PV電力を利用してストレージ・システムを充電するために、ストレージ・システムのうちの1つまたは複数に接続される。この動作モードの例が、図4を参照して上記で説明されている。
【0045】
総PV電力が、バス接続閾値を超える場合、動作717において、PV電力を利用してクラスタに電力供給するために、クラスタのうちの1つまたは複数がシステム間バスに接続される。この動作モードの例が、図5を参照して上記で説明されている。
【0046】
図8は、本開示の実施形態による、データ・センタ内のPV電力システムを統合するための例示的な方法800のフロー図である。方法800は、たとえば、図1図7で説明された電力分配システムを使用して実装され得る。動作801において、電流センサを含まない1つまたは複数の新しいPVサブシステムが、現在のPVエネルギー・システムに追加される。
【0047】
動作803において、方法800は、1つまたは複数の新しいPVシステムが、センサを有する現在のPVシステムと同じタイプのシステムであるかどうかを判断する。それが、同じタイプのPVシステム(たとえば、同じタイプのソーラー・パネルまたは同じ製造業者からのもの)である場合、方法800は動作805を続けて行い、新しいPVシステムの電力が、ソーラー・パネルの数の偏差を使用して計算される。新しいPVシステムの電力は、単純に新しいPVシステムに含まれるパネルの数に基づいて直接計算され得るか、またはセンサを有する、以前のソーラー・パネルの数で除算された、新しいソーラー・パネルの数に比例する比を乗算することによって計算され得る。
【0048】
動作803において、新しいPVシステムが、センサを含む現在のPVシステムと同じタイプではないと判断された場合、方法800は動作807を続けて行い、重みをk回ランダムに選択し、ここで、kは、追加されている新しいPVシステムの数であり、それらの重みについて電力を計算する。
【0049】
動作809において、ランダムに選択された重みの各々についての最も高い結果および最も低い結果は除外され、k-2回の計算結果の平均が生成される。動作811において、システム要件を満たす結果の平均値が、新しいサブシステムの出力電力を決定するために計算される。たとえば、システム要件を満たす結果は、結果のセット全体の平均値からの、より大きな差を有する結果を含んでもよい。2つまたはそれ以上の同一の最も高い結果または最も低い結果がある実施形態では、それらの結果の各々は、システム要件を満たさない。
【0050】
いくつかの実施形態では、本明細書で説明される方法は、新しいサブシステムの予測出力電力を決定または計算するようにトレーニングされた、人工知能(AI)および/または機械学習(ML)ニューラル・ネットワークを用いて使用および実装され得る。たとえば、センサを含むPVシステムについて測定された値、および新しいPVシステムについて計算された重み付けされた電力値(ならびに上記で説明された平均化された計算結果)が、センサを含まない新しいPVシステムによってもたらされる推定の電力、ならびにPVシステムの総電力を計算することができるニューラル・ネットワークを訓練するために使用され得る。別の例として、上記の式中に示されているδ、および伝達関数は、AI技法を用いて実現され得る。
【0051】
上述の詳細な説明のいくつかの部分は、コンピュータ・メモリ内のデータ・ビットに対する動作のアルゴリズムおよび記号表現の観点から提示された。これらのアルゴリズムの説明および表現は、データ処理技術の当業者によって、その作業の要旨を、他の当業者に最も効果的に伝えるために使用される手段である。アルゴリズムは、ここでは、概して、所望の結果につながる首尾一貫した一連の動作であると考えられる。動作は、物理量の物理的操作を必要とするものである。
【0052】
ただし、これらのおよび類似の用語のすべては、適切な物理量に関連付けられるものであり、これらの量に適用される好都合なラベルにすぎないことに留意すべきである。別段に明記されていない限り、上記の考察から明らかなように、説明全体にわたって、以下の特許請求の範囲に記載されたものなど、用語を利用する考察は、コンピュータ・システムのレジスタおよびメモリ内の物理(電子)量として表されるデータを、コンピュータ・システムのメモリまたはレジスあるいは他のそのような情報ストレージ、送信またはディスプレイ・デバイス内の物理量として同様に表される他のデータへと操作及び変換する、コンピュータ・システムまたは類似の電子的コンピューティング・デバイスの動作およびプロセスを指すことを諒解されたい。
【0053】
本発明の実施形態は、本明細書における動作を実行するための装置にも関し得る。そのようなコンピュータ・プログラムは、非一時的コンピュータ可読媒体に記憶される。機械可読媒体は、機械(たとえば、コンピュータ)によって可読な形式で情報を記憶するための任意の機構を含む。たとえば、機械可読(たとえば、コンピュータ可読)媒体は、機械(たとえば、コンピュータ)可読記憶媒体(たとえば、読取り専用メモリ(「ROM」)、ランダム・アクセス・メモリ(「RAM」)、磁気ディスク・ストレージ媒体、光学式記憶媒体、フラッシュ・メモリ・デバイス)を含む。
【0054】
上述の図中に描かれているプロセスまたは方法は、ハードウェア(たとえば、回路、専用の論理回路など)、(たとえば、非一時的コンピュータ可読媒体上に具現化された)ソフトウェア、またはその両方の組合せを備える処理論理回路によって実行され得る。プロセスまたは方法は、いくつかの連続的動作の観点から上記で説明されたが、説明された動作のうちのいくつかは、異なる順序で実行され得ることを諒解されたい。その上、いくつかの動作は、連続的にではなく並列に実行され得る。本明細書で説明される実施形態は、何らの特定のプログラミング言語に準拠して説明されるものではない。本明細書で説明される本発明の実施形態の教示を実装するために、様々なプログラミング言語が使用され得ることが諒解されよう。
本発明の実施形態はまた、コンピュータ上で動作しているときに、上述の図中に描かれているプロセスまたは方法を前記コンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムにも関し得る。
【0055】
本開示の範囲内で、システムに対する様々な調節を行い得ることを、当業者は認識されよう。
【0056】
以下の各節および/または例は、特定の実施形態またはその例に関係する。例における詳細は、1つまたは複数の実施形態のどこでも用い得る。異なる実施形態または例の様々な特徴は、様々な異なる適用例に適するように、含まれているいくつかの特徴および除外されている他の特徴と、様々に組み合わせられ得る。例は、本明細書で説明される実施形態および例による、方法、方法の行為を実行するための手段、機械によって実行されたとき、機械に、方法の行為を実行させる命令を含む少なくとも1つの機械可読媒体、あるいは装置またはシステムなどの主題を含み得る。様々な構成要素は、説明される動作または機能を実行するための手段であり得る。
【0057】
一実施形態は、複数の太陽光発電(PV)エネルギー・システムからの電力を管理する方法を提供する。方法は、PVエネルギー・システムのサブセットの出力を測定することを含み、ここで、PVエネルギー・システムのサブセットの各々は、対応する電流センサを含み、PVエネルギー・システムの残りは、電流センサを有さない。方法はまた、センサを有するPVエネルギー・システムの測定出力に基づいて、PVエネルギー・システムのうちのすべての総電力を計算することを含む。方法はまた、1つまたは複数のストレージ・システムのための充電閾値を決定することと、データ・センタ内の1つまたは複数のITクラスタの電力閾値を決定することとを含む。方法はまた、ストレージ・システムを充電するかまたはITクラスタに電力供給するために、PVエネルギー・システムからのエネルギーを選択的に利用することを含む。一実施形態では、電流センサを有さないPVエネルギー・システムは、センサを有するPVエネルギー・システムと同じタイプのPVセルを含み、総電力を計算することは、センサを有するPVエネルギー・システムの各々の電力レベルを、センサを有さないPVエネルギー・システムの各々に適用することを含む。一実施形態では、電流センサを有さないPVエネルギー・システムは、PVエネルギー・システムのサブセットと同じタイプのPVセルを含み、総電力を計算することは、PVエネルギー・システムのサブセットのパネルの数で除算された、電流センサを有さないPVエネルギー・システムのパネルの数に比例する比を乗算することを含む。一実施形態では、総電力を計算することは、電流センサを有さないPVエネルギー・システムの各々のための重みを数値的に選択することによって、電流センサを有さないPVエネルギー・システムの各々について電力レベルを計算することを含む。一実施形態では、総電力を計算することは、電流センサを有さないPVエネルギー・システムのための重みの各々からの最も高い値および最も低い値に対応する電力レベル計算結果を除外することと、残りの電力レベル計算結果の平均値を計算することとをも含む。一実施形態では、総電力を計算することは、機械学習(ML)ニューラル・ネットワークを利用して、電流センサを有さないPVエネルギー・システムの予測出力電力を計算することと、MLニューラル・ネットワークを使用して計算された予測出力電力に基づいて、総電力を計算することとを含む。一実施形態では、総電力は、1つまたは複数のストレージ・システムのための充電閾値を上回り、1つまたは複数のITクラスタの電力閾値を下回り、複数のPVエネルギー・システムからのエネルギーは、1つまたは複数のストレージ・システムを充電するために利用される。一実施形態では、総電力は、1つまたは複数のストレージ・システムのための充電閾値を上回り、1つまたは複数のITクラスタの電力閾値を上回り、複数のPVエネルギー・システムからのエネルギーは、1つまたは複数のITクラスタに電力供給するために利用される。
【0058】
本開示の別の実施形態は、データ・センタを含む。データ・センタは、多数のPVエネルギー・システム、電流センサを含むPVエネルギー・システムのサブセット、および電流センサを有さないPVエネルギー・システムの残りを含む。データ・センタは、1つまたは複数のストレージ・システムと、1つまたは複数のITクラスタと、少なくとも1つの電力コントローラをも含む。電力コントローラは、電流センサを有するPVエネルギー・システムの出力を測定し、センサを有するPVエネルギー・システムの測定出力に基づいて、PVエネルギー・システムのうちのすべての総電力を計算するように構成される。電力コントローラはまた、1つまたは複数のストレージ・システムのための充電閾値を決定し、1つまたは複数のITクラスタの電力閾値を決定するように構成される。電力コントローラはまた、ストレージ・システムを充電するかまたはITクラスタに電力供給するために、PVエネルギー・システムからのエネルギーを選択的に利用するように構成される。一実施形態では、電流センサを有さないPVエネルギー・システムは、センサを有するPVエネルギー・システムと同じタイプのPVセルを含み、電力コントローラは、センサを有するPVエネルギー・システムの各々の電力レベルを、電流センサを有さないPVエネルギー・システムの各々に適用することによって、総電力を計算するように構成される。一実施形態では、電流センサを有さないPVエネルギー・システムは、電流センサを有するPVエネルギー・システムと同じタイプのPVセルを含み、電力コントローラは、電流センサを有するPVエネルギー・システムのパネルの数で除算された、電流センサを有さないPVシステムのパネルの数に比例する比を乗算することによって、総電力を計算するように構成される。一実施形態では、電力コントローラはまた、電流センサを有さない1つまたは複数の追加のPVエネルギー・システムを受け入れ、異なる動作モードですべてのPVエネルギー・システムを管理し、動作させるように構成され、動作モードは、切断モードと、1つまたは複数のストレージ・システムを充電するための充電モードと、1つまたは複数のITクラスタに電力供給するための接続モードとを含む。一実施形態では、総電力を計算することは、機械学習(ML)ニューラル・ネットワークを使用して、電流センサを有さないPVエネルギー・システムの予測出力電力を計算することと、MLニューラル・ネットワークを使用して計算された予測出力電力に基づいて、総電力を計算することとを含む。一実施形態では、総電力は、1つまたは複数のストレージ・システムのための充電閾値を上回り、1つまたは複数のITクラスタの電力閾値を下回り、複数のPVエネルギー・システムからのエネルギーは、ストレージ・システムを充電するために利用される。一実施形態では、総電力は、1つまたは複数のストレージ・システムのための充電閾値を上回り、1つまたは複数のITクラスタの電力閾値を上回り、複数のPVエネルギー・システムからのエネルギーは、ITクラスタに電力供給するために利用される。
【0059】
本開示の別の実施形態は、データ・センタ内の太陽光発電(PV)電力システムを統合するための方法を含む。方法は、電流センサを含まない少なくとも1つの新しいPVエネルギー・システムを、データ・センタに追加することを含む。方法はまた、新しいPVエネルギー・システムが、以前にインストールされたPVエネルギー・システムと同じタイプのPVセルを含むかどうかを判断することを含む。新しいPVエネルギー・システムが、以前にインストールされたPVエネルギー・システムと同じタイプのPVセルを含む場合、方法は、以前にインストールされたPVエネルギー・システムの各々の電力レベルを、新しいPVエネルギー・システムの各々に適用することによって、すべてのPVエネルギー・システムの総電力を計算することを含む。新しいPVエネルギー・システムが、以前にインストールされたPVエネルギー・システムと同じタイプのPVセルを含まない場合、方法は、以前にインストールされたPVエネルギー・システムのパネルの数で除算された、新しいPVエネルギー・システムのパネルの数に比例する比を乗算することによって、すべてのPVエネルギー・システムの総電力を計算することとを含む。一実施形態では、新しいPVエネルギー・システムは、以前にインストールされたエネルギー・システムと同じタイプのPVセルを含まず、総電力を計算することは、電流センサを有さない新しいPVシステムの各々のための重みを数値的に選択することによって、電流センサを有さない新しいPVシステムの各々について電力レベルを計算することを含む。一実施形態では、総電力を計算することは、新しいPVシステムの各々のための数値的に選択された重みの各々からの最も高い値および最も低い値に対応する電力レベルの計算結果を除外することと、残りの電力レベル計算結果の平均値を計算することとをさらに含む。一実施形態では、総電力は、1つまたは複数のストレージ・システムのための充電閾値を上回り、1つまたは複数のITクラスタの電力閾値を下回り、すべてのPVエネルギー・システムからのエネルギーは、ストレージ・システムを充電するために利用される。一実施形態では、総電力は、1つまたは複数のストレージ・システムのための充電閾値を上回り、1つまたは複数のITクラスタの電力閾値を上回り、すべてのPVエネルギー・システムからのエネルギーは、ITクラスタに電力供給するために利用される。
【0060】
以上の明細書では、本発明は、その特定の実施形態を参照して説明された。ただし、本発明のより広い趣旨および範囲から逸脱することなく、実施形態の様々な改変および変更を行うことができる。したがって、本明細書および図面は、限定的な意味ではなく例示的な意味で考慮されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8