(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-02
(45)【発行日】2023-05-15
(54)【発明の名称】積層装置およびこれに用いる真空積層装置、平面プレス積層装置
(51)【国際特許分類】
B29C 43/58 20060101AFI20230508BHJP
B29C 43/56 20060101ALI20230508BHJP
B29C 43/20 20060101ALI20230508BHJP
【FI】
B29C43/58
B29C43/56
B29C43/20
(21)【出願番号】P 2022115409
(22)【出願日】2022-07-20
【審査請求日】2022-09-16
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】597175673
【氏名又は名称】ニッコー・マテリアルズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079382
【氏名又は名称】西藤 征彦
(74)【代理人】
【識別番号】100123928
【氏名又は名称】井▲崎▼ 愛佳
(74)【代理人】
【識別番号】100136308
【氏名又は名称】西藤 優子
(72)【発明者】
【氏名】本間 善明
(72)【発明者】
【氏名】中山 晶之
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 知己
(72)【発明者】
【氏名】山口 健
(72)【発明者】
【氏名】松本 太平
【審査官】▲高▼橋 理絵
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-028980(JP,A)
【文献】特開2017-001229(JP,A)
【文献】特開2003-103552(JP,A)
【文献】特許第7106242(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 43/00-43/58
H05K 3/46
H01L 21/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材に樹脂を積層して積層体を形成する積層装置であって、
前記積層装置が、前記基材と樹脂とを減圧下で押圧してプレ積層体を形成する真空積層装置と、前記プレ積層体を押圧して積層体を形成する第1の平面プレス積層装置とを備えており、
前記真空積層装置が、対向する一対のプレートブロックを有し、前記一対のプレートブロックの少なくとも一方が他方に対し進退可能に設定され、前記一対のプレートブロック間で前記基材と樹脂とが押圧されるようになっており、
前記進退可能なプレートブロックが、弾性プレス板と緩衝材とを有し、前記緩衝材が、繊維層とゴム層とを有する3層以上の複層体からなり、
前記一対のプレートブロック間における、前記基材と樹脂とに対する押圧力が500mm四方面積あたり
2.5~3.97MPaの範囲に設定されるようになっている積層装置。
【請求項2】
基材に樹脂を積層して積層体を形成する積層装置であって、
前記積層装置が、前記基材と樹脂とを減圧下で押圧してプレ積層体を形成する真空積層装置と、前記プレ積層体を押圧して積層体を形成する第1の平面プレス積層装置とを備えており、
前記真空積層装置が、対向する一対のプレートブロックを有し、前記一対のプレートブロックの少なくとも一方が他方に対し進退可能に設定され、前記一対のプレートブロック間で前記基材と樹脂とが押圧されるようになっており、
前記進退可能なプレートブロックが、弾性プレス板と緩衝材とを有し、前記緩衝材が、繊維層とゴム層とを有する3層以上の複層体からなり、
前記第1の平面プレス積層装置が、対向する一対のプレートブロックを有し、前記一対のプレートブロックの少なくとも一方が他方に対し進退可能に設定され、前記一対のプレートブロック間で前記プレ積層体が押圧されるようになっており、
前記進退可能なプレートブロックが、平面プレス板を有しており、
前記一対のプレートブロック間における、前記プレ積層体に対する押圧力が500mm四方面積あたり
2.5~3.97MPaの範囲に設定されるようになっている積層装置。
【請求項3】
前記真空積層装置のプレートブロックに油圧シリンダが連結され、前記油圧シリンダの作動により前記プレートブロックが進退可能になっており、前記油圧シリンダのシリンダの直径が200mm以上に設定されている請求項1記載の積層装置。
【請求項4】
前記第1の平面プレス積層装置のプレートブロックに油圧シリンダが連結され、前記油圧シリンダの作動により前記プレートブロックが進退可能になっており、前記油圧シリンダのシリンダの直径が200mm以上に設定されている請求項2記載の積層装置。
【請求項5】
さらに、第2の平面プレス積層装置を備え、
前記第2の平面プレス積層装置が、対向する一対のプレートブロックを有し、前記一対のプレートブロックの少なくとも一方が他方に対し進退可能に設定され、第1の平面プレス積層装置による押圧を経由し得られた積層体が、前記一対のプレートブロック間でさらに押圧されるようになっている請求項1~4のいずれか一項に記載の積層装置。
【請求項6】
前記真空積層装置における弾性プレス板がフッ素ゴム、シリコーンゴム、エチレン酢酸ビニル共重合体、アクリルゴム、エピクロロヒドリンゴムからなる群から選ばれた少なくとも一つからなる請求項1~4のいずれか一項に記載の積層装置。
【請求項7】
請求項1または3記載の積層装置に用いられる真空積層装置。
【請求項8】
請求項5記載の積層装置に用いられる真空積層装置。
【請求項9】
請求項2または4記載の積層装置に用いられる第1の平面プレス積層装置。
【請求項10】
請求項5記載の積層装置に用いられる第1の平面プレス積層装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材と樹脂を積層する装置に関し、詳しくは、得られる積層体の基材と樹脂との密着性の向上を図り、平坦性のレベルを高く保ちながら、タクトタイムを短くし、短時間でより多くの積層体を製造することのできる積層装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の小型化、高性能化に伴い、これらに搭載される電子回路基板には、多層化した高密度タイプのプリント基板(いわゆる「ビルドアップ基板」)が多用されている。このビルドアップ基板は、表面に配線等による凹凸を有する基材と、絶縁層としての樹脂とを交互に多段に積層(ラミネート)した積層体として製造されるものであり、その製造には積層装置が用いられる。
【0003】
上記ビルドアップ基板の製造には、凹凸を有する基材に対し、そのすべての凹部内に隙間なく樹脂を充填して基材と樹脂とを密着させること、および基材の凹凸面に樹脂を平坦に積層することが求められ、とりわけその密着性および平坦性レベルを従来よりも厳しい基準で満たすことが求められる。すなわち、樹脂材料の多様化に伴い流動性の低い樹脂が用いられる機会も増えてきており、また、ビルドアップ基板に関しては一層であれば許される表面の凹凸であっても、多層が積層される場合にはその凹凸が積み重なり、積層体として無視できない凹凸となって現われるためである。
【0004】
したがって、得られる積層体の基材と樹脂との密着性および表面の平坦性をより高いレベルで実現するため、様々な提案がなされている。例えば、特許文献1では、積層に用いる樹脂を加熱して、樹脂の柔軟性を高めて基材の凹凸に柔軟に沿うようにして用い、樹脂との密着性を高め、表面を平坦にすることが提案されている。
【0005】
一方、積層装置には、生産効率の点から、積層体を製造するためにかかる時間(タクトタイム)をできるだけ短くすることが求められる。
タクトタイムの短縮を図るためには、例えば、積層に用いる樹脂をより高い温度に加熱して、樹脂フィルムの流動性をより高め、基材の凹部に流し込みやすくすることが考えられる。
【0006】
しかし、樹脂を設定された温度以上の高い温度で加熱すると、その樹脂の熱硬化が始まり、かえって流動性が損なわれてボイドが発生する傾向がみられ、得られる積層体の質が低下するおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明ではこのような背景下において、得られる積層体の基材と樹脂との密着性の向上を図り、しかも、平坦性のレベルをより高めながら、タクトタイムを短くして、短時間でより多くの積層体を製造することのできる積層装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
しかるに、本発明者等はかかる事情に鑑み、積層装置の構成を鋭意検討した。その結果、得られる積層体において、ボイドの発生を抑制し、かつ、積層体表面の平坦性を高めるためには、真空積層装置と平面プレス積層装置とを備える積層装置において、上記真空積層装置および/または平面プレス積層装置における、進退可能なプレートブロックが、弾性プレス板または平面プレス板を有し、上記一対のプレートブロック間における、対象物に対する押圧力が500mm四方面積あたり1.67~3.97MPaの範囲に設定することで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、以下の[1]~[10]の態様を有する。
[1] 基材に樹脂を積層して積層体を形成する積層装置であって、上記積層装置が、上記基材と樹脂とを減圧下で押圧してプレ積層体を形成する真空積層装置と、上記プレ積層体を押圧して積層体を形成する第1の平面プレス積層装置とを備えており、上記真空積層装置が、対向する一対のプレートブロックを有し、上記一対のプレートブロックの少なくとも一方が他方に対し進退可能に設定され、上記一対のプレートブロック間で上記基材と樹脂とが押圧されるようになっており、上記進退可能なプレートブロックが、弾性プレス板とを有しており、上記一対のプレートブロック間における、上記基材と樹脂に対する押圧力が500mm四方面積あたり1.67~3.97MPaの範囲に設定されるようになっている積層装置。
[2] 基材に樹脂を積層して積層体を形成する積層装置であって、上記積層装置が、上記基材と樹脂とを減圧下で押圧してプレ積層体を形成する真空積層装置と、上記プレ積層体を押圧して積層体を形成する第1の平面プレス積層装置とを備えており、上記第1の平面プレス積層装置が、対向する一対のプレートブロックを有し、上記一対のプレートブロックの少なくとも一方が他方に対し進退可能に設定され、上記一対のプレートブロック間で上記プレ積層体が押圧されるようになっており、上記進退可能なプレートブロックが、平面プレス板を有しており、上記一対のプレートブロック間における、上記プレ積層体に対する押圧力が500mm四方面積あたり1.67~3.97MPaの範囲に設定されている積層装置。
[3] 上記真空積層装置のプレートブロックに油圧シリンダが連結され、上記油圧シリンダの作動により上記プレートブロックが進退可能になっており、上記油圧シリンダのシリンダの直径が200mm以上に設定されている[1]記載の積層装置。
[4] 上記第1の平面プレス積層装置のプレートブロックに油圧シリンダが連結され、上記油圧シリンダの作動により上記プレートブロックが進退可能になっており、上記油圧シリンダのシリンダの直径が200mm以上に設定されている[2]記載の積層装置。
[5] さらに、第2の平面プレス積層装置を備え、上記第2の平面プレス積層装置が、対向する一対のプレートブロックを有し、上記一対のプレートブロックの少なくとも一方が他方に対し進退可能に設定され、第1の平面プレス積層装置による押圧を経由し得られた積層体が、上記一対のプレートブロック間でさらに押圧されるようになっている[1]~[4]のいずれかに記載の積層装置。
[6] 上記真空積層装置における弾性プレス板が、フッ素ゴム、シリコーンゴム、エチレン酢酸ビニル共重合体、アクリルゴム、エピクロロヒドリンゴムからなる群から選ばれた少なくとも一つからなる[1]~[4]のいずれかに記載の積層装置。
[7] [1]または[3]記載の積層装置に用いられる真空積層装置であって、対向する一対のプレートブロックを有し、上記一対のプレートブロックの少なくとも一方が他方に対し進退可能に設定され、上記一対のプレートブロック間で上記基材と樹脂とが押圧されるようになっており、上記進退可能なプレートブロックが、弾性プレス板とを有しており、上記一対のプレートブロック間における、上記基材と樹脂とに対する押圧力が500mm四方面積あたり1.67~3.97MPaの範囲に設定されるようになっている真空積層装置。
[8] [5]記載の積層装置に用いられる真空積層装置であって、対向する一対のプレートブロックを有し、上記一対のプレートブロックの少なくとも一方が他方に対し進退可能に設定され、上記一対のプレートブロック間で上記基材と樹脂とが押圧されるようになっており、上記進退可能なプレートブロックが、弾性プレス板を有しており、上記一対のプレートブロック間における、上記基材と樹脂に対する押圧力が500mm四方面積あたり1.67~3.97MPaの範囲に設定されるようになっている真空積層装置。
[9] [2]または[4]記載の積層装置に用いられる第1の平面プレス積層装置であって、上記第1の平面プレス積層装置が、対向する一対のプレートブロックを有し、上記一対のプレートブロックの少なくとも一方が他方に対し進退可能に設定され、上記一対のプレートブロック間で上記プレ積層体が押圧されるようになっており、上記進退可能なプレートブロックが、平面プレス板を有しており、上記一対のプレートブロック間における、上記プレ積層体に対する押圧力が500mm四方面積あたり1.67~3.97MPaの範囲に設定されている第1の平面プレス積層装置。
[10] [5]記載の積層装置に用いられる第1の平面プレス積層装置であって、上記第1の平面プレス積層装置が、対向する一対のプレートブロックを有し、上記一対のプレートブロックの少なくとも一方が他方に対し進退可能に設定され、上記一対のプレートブロック間で上記プレ積層体が押圧されるようになっており、上記進退可能なプレートブロックが、平面プレス板を有しており、上記一対のプレートブロック間における、上記プレ積層体に対する押圧力が500mm四方面積あたり1.67~3.97MPaの範囲に設定されている第1の平面プレス積層装置。
【発明の効果】
【0011】
本発明の積層装置によれば、基材と樹脂との密着性をより高めることができ、ボイドの発生を抑制することができる。また、タクトタイムの短縮を実現するとともに、得られる積層体の平坦性のレベルを高く保つことができる。
そして、本発明の真空積層装置、第1の平面プレス積層装置によれば、既設の積層装置の一部をこれらの装置に置き換えることにより、ボイドの発生が抑制され、平坦性の高い積層体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施の形態に係る積層装置の概略を説明する構成図である。
【
図2】上記積層装置の真空積層装置の説明図である。
【
図3】上記積層装置の第1の平面プレス積層装置の説明図である。
【
図4】上記積層装置における、真空積層装置および第1の平面プレス積層装置での押圧対象物の積層状態の変化を説明する図である。
【
図5】本発明の他の実施の形態に係る積層装置の概略を説明する構成図である。
【
図6】上記積層装置の真空積層装置の説明図である。
【
図7】上記積層装置の第1の平面プレス積層装置の説明図である。
【
図8】上記積層装置における、真空積層装置および第1の平面プレス積層装置での押圧対象物の積層状態の変化を説明する図である。
【
図9】本発明の実施の形態のバリエーションを説明する構成図である。
【
図10】本発明のさらに他の実施の形態に係る積層装置の概略を説明する構成図である。
【
図11】上記積層装置の第2の平面プレス積層装置の説明図である。
【
図12】本発明の実施の形態のバリエーションを説明する構成図である。
【
図13】本発明の実施の形態のバリエーションを説明する構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態の例に基づいて本発明を説明する。ただし、本発明が、次に説明する実施の形態に限定されるものではない。
【0014】
なお、本発明において「X~Y」(X,Yは任意の数字)と表現する場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意とともに、「好ましくはXより大きい」あるいは「好ましくはYより小さい」の意も包含する。
また、「X以上」(Xは任意の数字)あるいは「Y以下」(Yは任意の数字)と表現した場合、「Xより大きいことが好ましい」あるいは「Y未満であることが好ましい」旨の意図も包含する。
さらに、「Xおよび/またはY(X,Yは任意の構成)」とは、XおよびYの少なくとも一方を意味するものであって、Xのみ、Yのみ、XおよびY、の3通りを意味するものである。
【0015】
図1は、本発明の一実施の形態である積層装置を示している。この積層装置は、銅パターン105等の配線等による凹凸が設けられたビルドアップ基板用の基材104に、樹脂106等からなる絶縁層を積層するための装置であり、搬送用フィルム4,4'を一方側から繰り出し、他方側でこれを巻き取ることにより、押圧対象物であるワーク100を順次搬送する搬送装置3,3'を備えている。そして、この搬送用フィルム4,4'の矢印の流れに沿って、真空積層装置1と、第1の平面プレス積層装置2とが、この順に配設されている。
【0016】
上記真空積層装置1は、基材104の両面が、それぞれ銅パターン105の配置により凹凸面に形成され、その凹凸面に樹脂106が載置されたワーク100を押圧することにより、上記樹脂106を上記基材104上の銅パターン105で形成された凹凸に隙間を作ることなく密着追従させた第1のプレ積層体101を形成するための装置である。
上記第1の平面プレス積層装置2は、上記真空積層装置1で形成された第1のプレ積層体101をさらに押圧することにより、上記第1のプレ積層体101表面の凹凸面が平坦化された第1の積層体102を形成するための装置である。
【0017】
ワーク100、第1のプレ積層体101、第1の積層体102は、搬送用フィルム4および4'の間に挟まれて、搬送装置3から搬送装置3’に向かって搬送されるようになっている。そして、搬送装置3は、ワーク100を工程に搬入するための搬入用コンベア7を有している。また、搬送装置3'は、第1の平面プレス積層装置2により平坦化された第1の積層体102を冷却するためのファン6,6'を有している。そして、搬送装置3'において、巻き取られる搬送用フィルム4,4'の間から、完成した第1の積層体102が搬送ラインから取り出されるようになっている。
【0018】
本発明の積層装置が対象とするワーク100において、絶縁層として用いる樹脂106の形状は特に限定するものではなく、薄いフィルム状であってもよいし、粉末状であってもよい。しかし、本発明の積層装置は、従来の積層装置での積層が困難であった粉末状の樹脂、ポリイミドのような高い耐熱性を有し加熱による追従性を期待できない樹脂等を主成分とする樹脂材料や、少ない量の樹脂材料を用いて表面の平坦化を図る場合に対しても、内部にボイドを生じさせることがなく、表面の平坦性に優れる積層体を得ることができることから、これらの粉末状樹脂を用いたワーク100の積層に用いることが好適である。
以下、各装置1~3について詳細に説明する。
【0019】
[真空積層装置1]
上記真空積層装置1は、搬送装置3の搬入用コンベア7と、搬送用フィルム4,4’によって搬送されてきたワーク100を、上側プレートブロック11と下側プレートブロック12との間に位置決めし、減圧状態の空間部26内で上記ワーク100に対して500mm四方面積あたり1.67~3.97MPa以上の力で押圧して、凹凸を有する基材104の凹部内に樹脂106を隙間なく充填し、基材104上に形成された凹凸に沿って樹脂106を密着させることにより、第1のプレ積層体101を形成するものである。
【0020】
上記真空積層装置1の構成をより詳しく説明する。この真空積層装置1は、
図2に示すように、プレス台8の四隅に立設された4本(
図2では、2本しか図示せず)の支柱9と、これら各支柱9にボルト,ナット等の固定部材で固定された上側プレートブロック11と、上記各支柱9に進退(上下移動)可能に取り付けられた下側プレートブロック12等を備えている。この下側プレートブロック12は、ジョイント13を介して油圧シリンダ14に連結されており、この油圧シリンダ14の作動により進退(上下移動)するようになっている。したがって、上記支柱9をプレス台8の四隅に配置することで、上記プレートブロック12の平行を保ったまま進退させることができ、従来よりも強い力で押圧しても、ワーク100全面に均一な押圧ができ、得られる第1のプレ積層体101の厚みばらつきの低減を図ることができる(
図4を参照)。
【0021】
上記上側プレートブロック11には、平板状の上側熱盤16,上側緩衝材17、上側弾性プレス板18が上からこの順に固定されており、下側プレートブロック12には、平板状の下側熱盤20,下側緩衝材21、下側弾性プレス板22が下からこの順に固定されている。
【0022】
上記緩衝材17,21は、押圧時の弾性プレス板18,22の変形に対応して変形することで、上記弾性プレス板18,22をワーク100の凹凸に沿わせた状態で押圧可能にするものである。上記緩衝材17,21の材質、厚み等は、通常、上記弾性プレス板18,22に合わせて適宜選択される。
【0023】
上記緩衝材17,21は、単層であっても複層からなっていてもよく、なかでも3層以上の複層からなることがより好ましく、3~7層からなるものがさらに好ましい。
上記緩衝材17,21を複層とする場合には、より均一な押圧が可能となる点から、繊維とゴム層とを有する複層体からなるものが好ましく用いられ、とりわけ、繊維層/ゴム層/繊維層のように、繊維層が最表面になるように各層が配置された複層体がより好ましい。上記緩衝材17,21は、緩衝効果を調整する等の理由により、複数の緩衝材17,21を上下に重ねて用いてもよい。その場合、上記緩衝材17,21の層数は、重ねられた緩衝材に含まれる層数の合計とする。
【0024】
上記緩衝材17,21の繊維層としては、例えば、化学繊維、ガラス繊維等を布状に織ったものが好適に用いられる。上記繊維としては、例えば、ガラス繊維や、ポリエステル、アラミドやその他の極性硬質素材、ポリエチレン等の非極性硬質素材、ポリエステル系およびナイロン系等の極性軟質素材、オレフィン系等の無極性軟質素材が、ゴムとの接着が容易である点から好ましく用いられ、強度および耐熱性に優れている点から、ポリエステル、ナイロン、アラミドがより好ましく用いられる。
【0025】
上記緩衝材17,21のゴム層としては、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブチルゴム(IIR)、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、ニトリルゴム(NBR)等の硫黄加硫ゴムと、シリコーンゴム(SI)、フッ素ゴム(FKM)、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、ニトリルゴム(HNBR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)等の過酸化物加硫ゴム等があげられる。
なかでも、230℃までの耐熱性を有するものが好ましく、とりわけ、フッ素ゴム、なかでもフッ化ビニリデンゴムが好ましく用いられる。また、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、エピクロルヒドリンゴム(CO,ECO,GECO)等も用いることができる。
これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
なお、本発明においては、ゴムが硬化することを総称して「加硫」とすることとし、架橋によって硬化するものも加硫に含まれる。
【0026】
上記緩衝材17,21の厚みは、特に限定するものではないが、0.1~5mmであることが好ましく、0.2~3mmであることがより好ましい。上記緩衝材17,21が複層体である場合、各層の厚みの合計(総厚み)が上記範囲内にあることが好ましい。
【0027】
上記弾性プレス板18,22は、押圧時にワーク100に当接する部材であり、均一な力でワーク100を押圧できるように、通常、その厚みばらつきは少なければ少ないほどよいとされている。しかし、本発明においては、500mm四方面積あたり1.67~3.97MPaもの強い力で押圧するため、厚みばらつきに起因する不均一な押圧を抑制することができる。そのため、上記弾性プレス板18,22の厚みばらつきは、特に限定するものではなく、例えば、0.25mm以下に設定されていれば十分であり、好ましくは0.2mm以下であり、より好ましくは0.1mm以下、さらに好ましくは0.05mm以下に設定されるものである。
上記厚みばらつきは、複数箇所(この例では5箇所)の厚みをマイクロメーターによって測定し、測定値の最大値と最小値の差を示すものである。
【0028】
上記弾性プレス板18,22としては、表面のショアA硬度(デュロメータ硬さ)が10~80度の範囲にあるものが好ましく、20~70度の範囲にあるものがより好ましく、40~60度の範囲にあるものがさらに好ましい。硬すぎるとワークの表面に現れた凹凸に対応して変形できない傾向があり、柔らかすぎるとワークに対して損失なく押圧することが困難になり、設定値より低い押圧となる傾向がみられる。また、繰り返し使用に対する耐久性が損なわれる傾向がみられる。
また、上記弾性プレス板18,22の厚みは、通常、0.2~20mmであり、好ましくは0.2~10mm、より好ましくは0.5~5mmである。厚過ぎても所定以上の効果が得られない傾向があり、薄すぎるとワークの表面に現れた凹凸に対応して変形できない傾向がある。
【0029】
上記弾性プレス板18,22の材質は、特に限定するものではないが、230℃までの耐熱性を有するものが好ましい。ワーク100に用いる樹脂106の種類によっては、適度の加熱によってタクトタイムをより短縮することができる。
上記弾性プレス板18,22の材質としては、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブチルゴム(IIR)、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、ニトリルゴム(NBR)等の硫黄加硫ゴム、シリコーンゴム(SI)、フッ素ゴム(FKM)、アクリルゴム(ACM)、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、ニトリルゴム(HNBR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)等の過酸化物加硫ゴム等があげられる。
また、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、エピクロルヒドリンゴム(CO,ECO,GECO)等も用いることができる。
これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
【0030】
上記上側熱盤16および下側熱盤20には、その内部に、弾性プレス板18,22を加熱するための加熱部材が適宜の配置で設けられている。しかし、上記熱盤16,20は必須の構成ではない。
すなわち、本発明の積層装置では、過剰な加熱を行わなくても十分な積層ができる。一方で、積層に用いる樹脂106の材質によっては加熱を行うことがタクトタイムの短縮となることがあるため、熱盤16,20を設けることが好ましい。熱盤16,20を設ける場合、上記加熱部材は特に限定するものではないが、例えば、内部に、複数本のシース状ヒーターが配置されたもの等があげられる。
【0031】
また、熱盤16,20を設ける場合、熱盤16,20の温度コントロールを行う温度制御システムを備えることが好ましい。上記温度制御システムを備えると、雰囲気温度に影響されず、一定の温度下で押圧することが可能となるため、押圧ごとの厚みばらつきが生じることを抑制することができる。また、ワーク100を押圧する度に押圧条件を検討したり、変更したりする必要がなくなるため、効率がよい。
上記温度制御システムは、熱盤16,20の温度制御ができる限りどのようなものであってもよいが、例えば、熱盤16,20の温度を測定する温度センサ、コンピュータに接続されたコントローラ等を有し、上記温度センサにより得た温度情報と、予め設定した温度との差異を算出し、設定した温度になるように加熱部材の電源をオンオフするようなものがあげられる。
【0032】
また、上記真空積層装置1は、減圧状態の空間部26(
図1を参照)をつくるための可動真空枠23を備えている。この可動真空枠23は、上側プレートブロック11の下面に気密状に固定された略四角形枠状の上側固定枠部24と、下側プレートブロック12の上面に気密状に固定された可動枠部25とを備えている。
上側固定枠部24には、真空引き用ノズル(図示せず)が連結されており、上下の両プレートブロック11,12を閉じた状態で、この真空引き用ノズルにより、上側固定枠部24と可動枠部25間に形成される密封された空間部26内を真空引きし、この空間部26の圧力を調整する(すなわち、所定圧力の減圧状態とする)ことができる。ワーク100押圧時における上記空間部26の圧力は、0.1~2hPaであることが好ましく、0.2~1hPaであることがより好ましい。
なお、真空引き用ノズルは、上側固定枠部24ではなく、上側プレートブロック11に連結してもよく、さらに複数箇所に設けてもよい。真空引き用ノズルを複数箇所に設けると、より高精度で空間部26の圧力を調整することができる。
【0033】
そして、この実施の形態では、下側プレートブロック12に、下側プレートブロック12を進退させるための油圧シリンダ14が連結され、ワーク100に対して油圧プレスが行われるようになっている。しかし、所定の押圧力を実現できる限りどのような昇降機構を用いてもよい。このような昇降機構としては、例えば、油圧シリンダ14のほか、電動モータ等があげられる。なかでも、小型化しても強い押圧が可能である点で、油圧シリンダ14を用いた油圧プレスが行われることが好ましい。
上記油圧シリンダ14は、そのストローク長さL1が230mm以下に設定されているものが好ましく、150~200mmの範囲に設定されているものがさらに好ましい。油圧シリンダ14のストローク長さが上記範囲内に設定されていると、従来よりも強い押圧力でありながら、従来の積層装置と同程度の装置寸法を実現可能であるため、従来装置との置き換えが可能となり、必要な装置のみを準備すればよいため、配置に余分な費用とスペースを必要とせず好適である。
また、上記油圧シリンダ14は、その径が200mm以上に設定されているものが好ましく、200~270mmの範囲に設定されているものがさらに好ましい。油圧シリンダ14のシリンダ径が上記範囲内に設定されていると、従来よりも強い押圧力を実現しやすくなる傾向がみられる。
【0034】
上記一対のプレートブロック11,12間における、ワーク100(基材104と樹脂106)に対する押圧力は、500mm四方面積あたり1.67~3.97MPaの範囲に設定することが重要であり、なかでも2.0~3.5MPaの範囲にあることが好ましく、2.5~3.5MPaの範囲にあることがより好ましい。なお、本発明に用いる油圧シリンダ14は、通常、1.67MPa未満での押圧を行うことも可能である。
ワーク100に対する押圧力が上記範囲内にあると、ワーク100に当接する部材である弾性プレス板18,22の厚みばらつきの制御を厳密に行わなくても、基材104表面に設けられた銅パターン105による凹凸に、樹脂106をより密着させた状態で追従させることができ、ボイドのない第1のプレ積層体101を短時間で形成することができる。
【0035】
本実施の形態の積層装置には、上記一対のプレートブロック11,12間における押圧力のコントロールを行う押圧制御システムを備えることが好ましい。上記押圧制御システムを備えると、一定の押圧力を有する昇降機構であれば、特に限定されることなく使用できるようになる。また、押圧力を所望の範囲により設定しやすくなるため、例えば、押圧時の温度情報に照らして最適な押圧力を与える等、より高いレベルでの積層を実現することができる。
【0036】
上記押圧制御システムは、上記一対のプレートブロック11,12間における押圧力のコントロールができる限りどのようなものであってもよいが、例えば、油圧シリンダ14の油圧を検知するセンサ、油圧シリンダ14の位置を検知するセンサ、コンピュータに接続されたコントローラ等を有し、上記センサにより得た情報から、予め設定した押圧力を付与するようにコントロールされた油圧ポンプの電磁弁の開閉を制御するものがあげられる。
【0037】
[第1の平面プレス積層装置2]
上記第1の平面プレス積層装置2(
図1に戻る)は、上記真空積層装置1から搬送用フィルム4,4’により搬送されてきた第1のプレ積層体101を上下両プレートブロック27,28間に位置決めし、これら上下両プレートブロック27,28で押圧して第1のプレ積層体101の表面を平滑化し、第1の積層体102とするものである。
この実施の形態では、
図3に示すように、プレス台29に立設された4本(
図3では、2本しか図示せず)の支柱30と、これら各支柱30にボルト,ナット等の固定部材で固定される上側プレートブロック27と、上記各支柱30に上下移動(進退)可能に取り付けられる下側プレートブロック28等を備えている。
この下側プレートブロック28は、ジョイント31を介して油圧シリンダ32に連結されており、この油圧シリンダ32の作動により上下移動される(進退する)ようになっている。
【0038】
上記上下両プレートブロック27,28のうち、上側プレートブロック27は、平板状の上側熱盤34,平板状の上側緩衝材35および上側フレキシブル金属板(平面プレス板)36が上からこの順に固定された構成になっており、下側プレートブロック28は、平板状の下側熱盤38,平板状の下側緩衝材39および下側フレキシブル金属板(平面プレス板)40が下からこの順に固定された構成になっている。
【0039】
上記上側熱盤34および下側熱盤38には、その内部に、フレキシブル金属板36,40を加熱するための加熱部材が適宜の配置で設けられている。しかし、上記熱盤34,38は必須の構成ではない。
すなわち、本発明の積層装置では、加熱を行わなくても十分な積層ができる。一方で、積層に用いる樹脂106の材質によっては加熱を行うことがタクトタイムの短縮となることがある。熱盤34,38を設ける場合、上記加熱部材は特に限定するものではないが、例えば、内部に、複数本のシース状ヒーターが配置されたもの等があげられる。
【0040】
また、熱盤34,38を設ける場合、熱盤34,38の温度コントロールを行う温度制御システムを備えることが好ましい。上記温度制御システムを備えると、雰囲気温度に影響されず、一定の温度下で押圧することが可能となるため、押圧ごとの厚みばらつきが生じることを抑制することができる。また、第1のプレ積層体101を押圧する度に押圧条件を検討したり、変更したりする必要がなくなるため、効率がよい。
上記温度制御システムは、熱盤34,38の温度制御ができる限りどのようなものであってもよいが、例えば、熱盤34,38の温度を測定する温度センサ、コンピュータに接続されたコントローラ等を有し、上記温度センサにより得た温度情報と、予め設定した温度との差異を算出し、設定した温度になるように加熱部材の電源をオンオフするようなものがあげられる。
【0041】
上記緩衝材35,39としては、表面のショアA硬度(デュロメータ硬さ)が60度以上であるものが好ましく、65~75度であることがより好ましい。表面ショアA硬度が上記範囲内であると、押圧後の樹脂106の膜厚がより均一になるためである。
なお、本発明において、ショアA硬度は、JIS K6253に準拠し、タイプAデュロメータを用いて測定されたものである。ショアA硬度は、緩衝材35,39を構成するゴムや合成樹脂等からなる試験片を作製し、各試験片に対して測定されたものでもよい。
【0042】
また、上記緩衝材35,39の厚みは、通常0.2~20mmであり、好ましくは0.2~10mm、より好ましくは0.5~3mmである。緩衝材35,39の厚みが上記範囲内であると、緩衝効果を充分に発揮し、押圧面に均一な力を与えることができるため、第1のプレ積層体101表面の凹凸に追従させた状態で押圧することができる。
なお、上記上側緩衝材35および下側緩衝材39は、互いに厚みが異なっていてもよいし、同じであってもよい。
【0043】
上記緩衝材35,39の材質は、通常、紙、ゴム、合成樹脂、繊維等を用いることができる。なかでもゴムが好ましく、特にフッ素系ゴムが好ましい。フッ素系ゴムとしては、例えば、フッ化ビニリデン系ゴム、含フッ素シリコーンゴム、テトラフルオロエチレン系ゴム、含フッ素ビニルエーテル系ゴム、含フッ素フォスフォニトリル系ゴム、含フッ素アクリレート系ゴム、含フッ素ニトロソメタン系ゴム、含フッ素ポリエステルゴム、含フッ素トリアジンゴム等があげられる。
なお、上記緩衝材35,39は、耐熱性樹脂、ガラス繊維シートや金属箔シート等を内部に含むものであってもよいし、例えば、ゴムと繊維のように異なる材質のものを組み合せたものであってもよい。また、上記上側緩衝材35および下側緩衝材39は、互いに材質が異なっていてもよいし、同じであってもよい。
【0044】
上記平面プレス板として用いられるフレキシブル金属板36,40の厚みは、通常、0.1~10mmであり、好ましくは1~3mmである。フレキシブル金属板36,40の厚みが上記範囲内であると、従来よりも強い押圧力が与えられても機械強度を担保することができ、上記緩衝材35,39が第1のプレ積層体101に追従する際の、上記緩衝材35,39の変形に十分に追従することができる。
【0045】
上記フレキシブル金属板36,40の材質としては、通常、ステンレス、鉄、アルミニウム、アルミニウム合金等が用いられ、なかでも耐錆性に優れる点からステンレスが好ましく用いられる。また、上記フレキシブル金属板36,40の表面がバフ研磨等により鏡面研磨されていると、得られる第1の積層体102の表面をより鏡面に仕上げることができる。
【0046】
そして、この実施の形態では、下側プレートブロック28に油圧シリンダ32が連結されており、上記第1のプレ積層体101に対する押圧力は、通常、500mm四方面積あたり1.6MPa以下であり、0.3~1.6MPaの範囲に設定されることが好ましい。また、油圧シリンダ32に代えてエアーシリンダ、サーボプレス等の別の昇降機構を用いてもよい。
【0047】
上記第1の平面プレス積層装置2による押圧は、大気下で行っても、減圧下で行ってもよい。大気下で行う場合は、タクトタイムを短くすることができ、また、減圧下での押圧を行うための構成を備えなくてもよいため、低コスト化を図ることができる。
一方、減圧下で押圧を行う場合は、上記第1の平面プレス積層装置2に減圧下での押圧を行うための構成を設ける必要があるが、真空環境を利用して、ボイド発生の低減が可能になる他、柔軟性の低い樹脂を用いる場合であっても第1のプレ積層体101表面の凹凸をより平坦化し、得られる積層体の表面の平坦性をより高めることができる。
【0048】
[搬送装置]
搬送装置3,3'(
図1に戻る)は、工程の始点に位置する上下の搬送用フィルム繰出し機55,55'、および、工程にワーク100を搬入するための搬入用コンベア7と、工程の終点に配置された搬送用フィルム巻取り機56,56'、ワーク100等を搬送する搬送用フィルム4,4'を工程各所で支承する複数のガイドローラー等と、を備えている。
【0049】
そして、搬入用コンベア7から所定間隔で工程に供給された枚葉状のワーク100は、各搬送用フィルム繰出し機55,55'から繰り出された上下の搬送用フィルム4,4'の間に、所定の間隔で挟み込まれ、これら搬送用フィルム4,4'の流れ(走行)と同期した状態で、上記各ガイドローラーに案内されながら、真空積層装置1の上下のプレートブロック11,12の間、第1の平面プレス積層装置2の上下のプレートブロック27,28の間と、得られた第1の積層体102を冷却するためのファン6,6'との間を経由する。第1の積層体102が冷却された後、上下の搬送用フィルム4,4'が離型し、第1の積層体102が搬送ラインから取り出されるようになっている。
【0050】
第1の積層体102が取り出された上下の搬送用フィルム4,4'は、それぞれ、搬送用フィルム巻取り機56,56'に巻き取られる。巻き取られた搬送用フィルム4,4'は、通常廃棄されるが、必要に応じて再利用してもよい。
上記搬送装置3,3’を備えていると、積層効率がより高くなり、タクトタイムを短くすることができる。
【0051】
上記の積層装置によると、上記真空積層装置1のプレートブロック11,12が、緩衝材17,21と、弾性プレス板18,22とを有しており、上記弾性プレス板18,22が、厚みばらつきが0.25mm以下に設定されたゴムからなり、上記一対のプレートブロック11,12間における、上記基材104と樹脂106に対する押圧力が500mm四方面積あたり1.67~3.97MPaの範囲に設定されるようになっているため、
図4に示すように、上記真空積層装置1内において、樹脂106の状態が変化して、基材104の凹凸の凹部内に樹脂106を隙間なく充填することができる。その結果、基材104の凹凸に樹脂106が密着追従し、ボイドの発生が抑制された第1のプレ積層体101を得ることができる。なお、
図4において、符号1で示す範囲は、上記真空積層装置1内におけるワーク100の状態変化を示している。
そして、上記ボイドの発生が抑制された第1のプレ積層体101は、第1の平面プレス積層装置2内で、上記第1の平面プレス積層装置2のフレキシブル金属板(平面プレス板)36,40(
図3参照)の平坦面によって、
図4の符号2で示すように、平坦性を保ったまま上記第1のプレ積層体101に押圧されるため、表面の凹凸がさらに消失し、しかも樹脂106のはみ出し量が少ない第1の積層体102を得ることができる。なお、
図4において、符号2で示す範囲は、上記第1の平面プレス積層装置2内における第1のプレ積層体101の状態変化を示している。
【0052】
このように、この実施の形態では、まず、高圧力で押圧して第1のプレ積層体101をボイドの発生を抑制しながら短時間で作製するため、得られる第1の積層体102のボイドの発生を抑制しながら、短時間でより多くの第1の積層体102を製造することができる。このため、樹脂106として、従来のフィルムタイプの樹脂だけでなく、粉末タイプの樹脂であっても、ボイドの発生が抑制され、しかも表面の平坦性のレベルが極めて高い積層を行うことできる。さらに、タクトタイムの短縮化のために、従来、樹脂106をより過剰な高温で加熱する傾向がみられたところ、そのような加熱が必要でないため、樹脂106が熱硬化することなく、流動性を損なわせることがない。
なお、
図4の各図は、いずれも工程および装置を模式的に示したものであり、説明に必要でない部分の記載を省略している。
【0053】
つぎに、本発明の他の実施の形態を
図5に示す。
図5に示す積層装置は、
図1で示す積層装置と同様に、銅パターン105等の配線等による凹凸が設けられたビルドアップ基板用の基材104に、樹脂106からなる絶縁層を積層するための装置であり、搬送用フィルム4,4’を一方側から繰り出し、他方側でこれを巻き取ることによりワーク100を順次搬送する搬送装置3,3’を備えている。
そして、この搬送用フィルム4,4’の矢印の流れに沿って、真空積層装置60と、第1の平面プレス積層装置61とが、この順に配設されている。
【0054】
上記真空積層装置60は、基材104の両面が、それぞれ銅パターン105の配置により凹凸面に形成され、その凹凸面に樹脂が載置されたワーク100に対する押圧力が、通常、500mm四方面積あたり1.67MPa未満に設定されており、減圧下で上記ワーク100を油圧シリンダ62で押圧することにより、上記樹脂106を上記基材104表面の凹凸に隙間を作ることなく密着追従させた第2のプレ積層体107を形成するものである。
上記第1の平面プレス積層装置61は、上記真空積層装置60で形成された第2のプレ積層体107に対する押圧力が500mm四方面積あたり1.67~3.97MPaの範囲に設定され、かつ、進退可能な下側プレートブロック82が、緩衝材92とフレキシブル金属板(平面プレス板)93とを有しているため、上記第2のプレ積層体107を押圧することによって、上記第2のプレ積層体107において、上記基材104の凹凸に沿って樹脂106が充填され、表面に凹凸が表れている場合や、上記基材104の凹部内に樹脂106が十分に充填できていない場合であっても、樹脂106を基材104の凹部の隅々まで充填されて上記第2のプレ積層体107表面の凹凸面が平坦化され、厚みが均一化した第1の積層体102を形成するものである。
なお、
図5において、他の部分は
図1と同様であり、同様の符号を付してその説明を省略する。
以下、各装置について詳細に説明する。
【0055】
[真空積層装置60]
上記真空積層装置60は、
図6に示すように、プレス台63に立設された複数本(
図6では、2本しか図示せず)の支柱64と、これら各支柱64にボルト,ナット等の固定部材で固定された上側プレートブロック65と、上記各支柱64に上下移動可能に取り付けられた下側プレートブロック66等を備えている。この下側プレートブロック66は、ジョイント67を介して油圧シリンダ62に連結されており、この油圧シリンダ62の作動により上下移動するようになっている。
なお、この実施の形態では、下側プレートブロック66に油圧シリンダ62が連結されているが、油圧シリンダ62に代えてエアーシリンダ等の別の昇降機構を用いてもよい。しかし、油圧シリンダ62を用いると、コンパクトでありながら高圧が得られる点で好ましい。
【0056】
上記真空積層装置60の押圧力は、特に限定するものではなく、
図2の真空積層装置1と同様の、500mm四方面積あたり1.67~3.97MPaの範囲に設定されるものであってもよいし、1.67MPa未満であってもよい。
【0057】
上記上側プレートブロック65には、平板状の上側熱盤69,上側緩衝材70、上側弾性プレス板71が上からこの順に固定されており、下側プレートブロック66には、平板状の下側熱盤73,下側緩衝材74、下側弾性プレス板75が下からこの順に固定されている。
【0058】
これら上下の両熱盤69,73には、その内部に、弾性プレス板71,75を加熱するための加熱部材が適宜の配置で設けられている。しかし、上記熱盤69,73は必須の構成ではない。
すなわち、本発明の積層装置では、過剰な加熱を行わなくても十分な積層ができる。一方で、積層に用いる樹脂106の材質によっては加熱を行うことがタクトタイムの短縮となることがあるため、熱盤69,73を設けることが好ましい。熱盤69,73を設ける場合、上記加熱部材は特に限定するものではないが、例えば、内部に、複数本のシース状ヒーターが配置されたもの等があげられる。
上記熱盤69,73は任意の構成であるが、これらを備える場合には、60~180℃になるよう加熱部材により加熱することが好ましく、より好ましくは90~130℃で加熱することである。
【0059】
上記弾性プレス板71,75は、特に限定するものではないが、例えば、
図2に示す真空積層装置1と同様に厚みばらつきが0.25mm以下に設定されたゴムからなるものがあげられる。
【0060】
また、上記真空積層装置60は、可動真空枠76を備えている。この可動真空枠76は、上側プレートブロック65の下面に気密状に固定された略四角形枠状の上側固定枠部77と、下側プレートブロック66の上面に気密状に固定された可動枠部78とを備えている。上側固定枠部77には、真空引き用ノズル(図示せず)が連結されており、上下の両プレートブロック65,66の密封契合時に、この真空引き用ノズルにより、上側固定枠部77と可動枠部78間に形成される密封された空間部79(
図5参照)内を真空引きし、この空間部79の圧力を調整する(すなわち、所定圧力の減圧状態とする)ことができる。なお、真空引き用ノズルは、上側固定枠部77ではなく、上側プレートブロック65に連結してもよく、さらに複数箇所に設けると効率よく空間部79の圧力を調整することができる。
【0061】
[第1の平面プレス積層装置61]
上記第1の平面プレス積層装置61(
図5に戻る)は、上記真空積層装置60から搬送用フィルム4,4'により搬送されてきた第2のプレ積層体107を上下両プレートブロック81,82間に位置決めし、これら上下両プレートブロック81,82で押圧して第2のプレ積層体107の表面を平滑化し、第1の積層体102とするものである。
この実施の形態では、
図7に示すように、プレス台83に立設された4本(
図7では、2本しか図示せず)の支柱84と、これら各支柱84にボルト,ナット等の固定部材で固定される上側プレートブロック81と、上記各支柱84に上下移動(進退)可能に取り付けられる下側プレートブロック82等を備えている。
この下側プレートブロック82は、動力源および油圧ポンプ(油圧ユニット)に連結された油圧シリンダ80を有しており、この油圧シリンダ80の作動によって進退(上下移動)するようになっている。
【0062】
上記上下両プレートブロック81,82のうち、上側プレートブロック81は、平板状の上側熱盤87、平板状の上側緩衝材88、上側フレキシブル金属板89が上からこの順に固定された構成になっており、下側プレートブロック82は、平板状の下側熱盤91、平板状の下側緩衝材92、下側フレキシブル金属板93が下からこの順に固定された構成になっている。
【0063】
上記緩衝材88,92は、押圧時のフレキシブル金属板89,93の変形に対応して変形することで、上記フレキシブル金属板89,93を第2のプレ積層体107の凹凸に沿わせた状態で押圧可能にするものである。上記緩衝材88,92の材質、厚み、厚みばらつきの許容範囲は、通常、上記フレキシブル金属板89,93に合わせて適宜選択される。
【0064】
上記フレキシブル金属板(板状体)89,93の材質としては、通常、ステンレス、鉄、アルミニウム、アルミニウム合金等が用いられ、なかでも耐錆性に優れる点からステンレスが好ましく用いられる。また、上記フレキシブル金属板(板状体)89,93の表面がバフ研磨等により鏡面研磨されていると、第2のプレ積層体107の表面をより鏡面にできるため好ましい。
上記フレキシブル金属板89,93の厚みは、通常、0.2~20mmであり、好ましくは0.2~10mm、より好ましくは0.5~3mmである。上記範囲内に厚みがあると、機械強度を担保しながらフレキシブル性を発揮することができ、上記緩衝材88,92が第2のプレ積層体107に追従する際の、上記緩衝材88,92の変形に充分に追従することができる。
【0065】
これら上下の両熱盤87,91には、その内部に、フレキシブル金属板89,93を加熱するための加熱部材が適宜の配置で設けられている。しかし、上記熱盤87,91は必須の構成ではない。
すなわち、本発明の積層装置では、過剰な加熱を行わなくても十分な積層ができる。一方で、積層に用いる樹脂106の材質によっては加熱を行うことがタクトタイムの短縮となることがあるため、熱盤87,91を設けることが好ましい。熱盤87,91を設ける場合、上記加熱部材は特に限定するものではないが、例えば、内部に、複数本のシース状ヒーターが配置されたもの等があげられる。
【0066】
また、熱盤87,91を設ける場合、熱盤87,91の温度コントロールを行う温度制御システムを備えることが好ましい。上記温度制御システムを用いると、雰囲気温度に影響されず、一定の温度下で押圧することが可能となるため、押圧ごとの厚みばらつきが生じることを抑制することができる。また、押圧の度に押圧条件を検討したり、変更したりする必要がなくなるため効率がよい。
上記温度制御システムは、熱盤87,91の温度制御ができる限りどのようなものであってもよいが、例えば、熱盤87,91の温度を測定する温度センサ、コンピュータに接続されたコントローラ等を有し、上記温度センサにより得た温度情報と、予め設定した温度との差異を算出し、設定した温度になるように加熱部材の電源をオンオフするようなものがあげられる。
【0067】
この実施の形態では、下側プレートブロック82の動力として、油圧ポンプに連結された油圧シリンダ80を用いているが、第2のプレ積層体107に対する押圧力を500mm四方面積あたり1.67MPa以上に設定できるものであれば、油圧ポンプに連結された油圧モータ等の、別の昇降機構を用いてもよい。小型化しても強い押圧が可能である点で、油圧ポンプに連結された油圧シリンダを用いることが好ましい。
上記油圧シリンダ80は、そのストローク長さL2が230mm以下に設定されているものが好ましく、150~200mmの範囲に設定されているものがより好ましい。油圧シリンダ80のストローク長さL2が上記範囲内に設定されていると、従来の積層装置と同程度の装置寸法を実現可能であるため、従来装置との置き換えが可能となり、必要な装置のみを準備すればよいため、配置に余分な費用とスペースを必要とせず好適である。
また、上記油圧シリンダ80は、その径が200mm以上に設定されているものが好ましく、200~270mmの範囲に設定されているものがさらに好ましい。油圧シリンダ80のシリンダ径が上記範囲内に設定されていると、従来よりも強い押圧力を実現しやすくなる傾向がみられる。
【0068】
上記一対のプレートブロック81,82間における、第2のプレ積層体107に対する押圧力は、500mm四方面積あたり1.67~3.97MPaの範囲に設定することが重要であり、なかでも2.0~3.5MPaの範囲にあることが好ましく、2.5~3.5MPaの範囲にあることがより好ましい。なお、本発明に用いる油圧シリンダ80は、通常、500mm四方面積あたり1.67MPa未満での押圧を行うことも可能である。
第2のプレ積層体107に対する押圧力が上記範囲内にあると、上記第2のプレ積層体107において、上記基材104の凹部内に樹脂106が十分に充填できていない場合であっても、樹脂106を基材104の凹部の隅々まで充填できるとともに、上記第2のプレ積層体107表面の凹凸面が平坦化され、厚みが均一化した第1の積層体102を形成することができる。
【0069】
本実施の形態の積層装置には、上記一対のプレートブロック81,82間における押圧力のコントロールを行う押圧制御システムを備えることが好ましい。上記押圧制御システムを備えると、一定の押圧力を有する昇降機構であれば、特に限定されることなく使用できるようになる。また、押圧力を所望の範囲により設定しやすくなるため、例えば、押圧時の温度情報に照らして最適な押圧力を与える等、より高いレベルでの積層を実現することができる。
【0070】
上記押圧制御システムは、上記一対のプレートブロック81,82間における押圧力のコントロールができる限りどのようなものであってもよいが、例えば、油圧ポンプからの油圧を検知するセンサ、油圧シリンダ80の位置を検知するセンサ、コンピュータに接続されたコントローラ等を有し、上記センサにより得た情報から、予め設定した押圧力を付与するようにコントロールされた油圧ポンプ80の電磁弁の開閉を制御するものがあげられる。
【0071】
上記第1の平面プレス積層装置61による押圧は、大気下で行っても、減圧下で行ってもよい。大気下で行う場合は、タクトタイムを短くすることができ、また、減圧下での押圧を行うための構成を備えなくてもよいため、低コスト化を図ることができる。
一方、減圧下で押圧を行う場合は、上記第1の平面プレス積層装置2に減圧下での押圧を行うための構成を設ける必要があるが、真空環境を利用して、ボイド発生の低減が可能になる他、柔軟性の低い樹脂を用いる場合であっても第1のプレ積層体101表面の凹凸をより平坦化し、得られる積層体の表面の平坦性をより高めることができる。
【0072】
上記の積層装置によると、真空積層装置60の進退可能なプレートブロック66が、下側緩衝材74と、下側弾性プレス板75とを有しており、上記下側弾性プレス板75がゴムからなり、上記一対のプレートブロック間において、ワーク100を真空下で押圧するようになっているため、
図8に示すように、上記真空積層装置60内において、樹脂106の状態が変化して、基材104の凹凸に樹脂106が密着追従した第2のプレ積層体107を得ることができる。なお、
図8において、符号60で示す範囲は、上記真空積層装置60内におけるワーク100の状態変化を示している。
そして、上記第2のプレ積層体107は、第1の平面プレス積層装置61内で、
図8の符号2で示すように、上記第1の平面プレス積層装置61のフレキシブル金属板93の平坦面によって、平坦性を保ったまま上記第2のプレ積層体107に、500mm四方面積あたり1.67~3.97MPaの範囲に設定された力で押圧されるため、表面の凹凸がさらに消失し、表面が平坦化して鏡面化され、しかも樹脂106のはみ出し量が少ない第1の積層体102を得ることができる。なお、
図8において、符号61で示す範囲は、上記第1の平面プレス積層装置61内における第2のプレ積層体107の状態変化を示している。
【0073】
このように、この実施の形態では、まず、基材104の凹凸に樹脂106が密着追従した第2のプレ積層体107を作製し、これを高圧力で押圧して第1の積層体102を短時間で作製するため、得られる第1の積層体102の平坦性のレベルを高く保ちながら、タクトタイムが短くなり、短時間でより多くの第1の積層体102を製造することができる。また、仮に、上記第2のプレ積層体107において、上記基材104の凹部内に樹脂106が十分に充填できていない場合であっても、樹脂106を基材104の凹部の隅々まで充填することができる。このため、樹脂106として、従来のフィルムタイプだけでなく、粉末タイプであっても、ボイドの発生が抑制され、しかも表面の平坦性のレベルが極めて高い積層を行うことできる。さらに、タクトタイムの短縮化のために、従来、樹脂106を過剰な加熱を行うことが必要であったところ、そのような加熱が不要となるため、樹脂106の熱硬化による悪影響を受けず、本来の特性を十分に発揮させることができる。
なお、
図8の各図は、いずれも工程および装置を模式的に示したものであり、説明に必要でない部分の記載を省略している。
【0074】
さらに、本発明の積層装置は、例えば、
図9(a),(b)に示すように、真空積層装置1および第1の平面プレス積層装置61のいずれかが特徴的な構成を有しているものであっても、
図9(c)に示すように、真空積層装置1および第1の平面プレス積層装置61の両方が特徴的な構成を有しているものであってもよい(本発明の特徴を有する装置部分を破線で囲っている)。
【0075】
また、本発明の積層装置は、装置全体を新たに製造して得られるものであってもよいし、既存の装置と組み合わせて得られるものであってもよい。
すなわち、
図9(a)~(c)に示す例において、既存の積層装置の真空積層装置および/または第1の平面プレス積層装置に代えて、本発明に用いる部分(破線で囲って示す)を用いるようにしてもよい。
【0076】
さらに、本発明の他の実施の形態を
図10に示す。このものは、
図1に示す積層装置の第1の平面プレス積層装置2の下流に、さらに第2の平面プレス積層装置110を設け、上記第1の平面プレス積層装置2を経由した第1の積層体102を、上記第1の平面プレス積層装置2と異なる条件で上記第2の平面プレス積層装置110で押圧して、さらに凹凸面が平坦化された第2の積層体108を形成するものである。
【0077】
上記第2の平面プレス積層装置110では、
図11に示すように、上側プレートブロック111および下側プレートブロック112の内側(プレス側)には、ヒーターを内蔵する熱盤114,118が取り付けられており、さらにその内側(プレス側)に、金属板(平面プレス板)116,120が配設されている。そして、第1の平面プレス積層装置2を経由して形成された第1の積層体102を、これら金属板(平面プレス板)116,120の間で押圧することにより、第1の積層体102の厚みが均一化され、かつ、表面が鏡面化され、平坦面に形成された第2の積層体108とすることができる。
【0078】
図11に示すように、上記第2の平面プレス積層装置110には、上記プレートブロック111,112の熱盤114,118の内側(プレス側)に、緩衝材が配置されていない。したがって、金属板(板状体)116,120の平坦性をより確実に、第1の積層体102に伝えることができ、表面がより鏡面性のある平坦面に仕上げられた第2の積層体108を得ることができる。
ただし、基材104およびフィルム106等の種類によっては、熱盤114,118と金属板(板状体)116,120との間に緩衝材を設けてもよく、その場合、上記第1の平面プレス積層装置61に用いた緩衝材よりも緩衝効果の小さい緩衝材であることが好ましい。緩衝効果の大小は、通常、緩衝材の材質および厚みによって決定されるが、本発明においては、それ以外に、追従性を緩衝効果の指標のひとつとして用いる。すなわち、追従性の高い緩衝材を、緩衝効果が大きいとすることができる。
【0079】
上記第2の平面プレス積層装置110に緩衝材を設ける場合、表面のショアA硬度が60度以上であるものが好ましく、65~75度であるものがより好ましい。緩衝材の表面ショアA硬度が上記範囲内であると、得られる第2の積層体108の樹脂106の厚みがより均一になる傾向がみられる。
【0080】
また、上記緩衝材を設ける場合、その厚みは、通常0.2~20mmであり、好ましくは0.2~3mm、より好ましくは0.2~1mmである。そして、上記緩衝材が、上記第1の平面プレス積層装置61の緩衝材88,92より緩衝効果の小さいものであると、金属板(平面プレス板)116,120の平坦性をより確実に伝えることができ、表面がより平坦面に形成された第2の積層体108を得ることができる。なお、緩衝材の材質は、第1の平面プレス積層装置61と同様のものを用いることができるが、合成樹脂、および合成樹脂と他の材質とが組み合わせられたものであることが好ましい。
【0081】
上記プレートブロック111,112の内側(プレス側)に取り付けられる金属板(板状体)116,120の厚みは、通常、0.1~10mmであり、好ましくは0.5~7mm、より好ましくは1~5mm、さらに好ましくは2~5mmである。金属板(板状体)116,120の厚みが上記範囲内であると、機械強度に優れるため、第1の積層体102の厚みをより均一化することができ、表面がより平坦面に形成された第2の積層体108とすることができる。また、金属板(板状体)116,120の表面をバフ研磨等により鏡面研磨すると、第2の積層体108の表面を均一な鏡面に仕上げることができるため、より好ましい。
【0082】
上記金属板(板状体)116,120の材質としては、通常、ステンレス、鉄、アルミニウム、アルミニウム合金等が用いられ、耐錆性に優れる点からステンレスが好ましい。
また、上記金属板(板状体)116,120は、フレキシブル性を有していてもよいし、有していなくてもよい。ただし、緩衝材を用いる場合には、その緩衝効果が発揮され過ぎないようにフレキシブル性が少ないものが好ましい。
【0083】
上記下側プレートブロック112の下側の空間には、サーボモータ121等からなる昇降部が設けられている。上記サーボモータ121の回転数は、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)からの指令信号およびフィードバックされたプレートブロック111,112間の距離情報に基づき、サーボアンプ(図示省略)によってコントロールされている。このため、サーボモータ121の回転動作を制御することにより、この下側プレートブロック112を昇降自在に制御することができる。
【0084】
さらに、下側プレートブロック112の下側の空間には、下側プレートブロック112とプレス台29との間の距離を計測するリニアスケール122が配設されている。このリニアスケール122は、プレス台29に固定されたスケール123と、プレートブロック112に取り付けられプレートブロック112に同期して上下移動するエンコーダヘッド124を有しており、上記サーボモータ121の回転動作に伴って昇降する下側プレートブロック112と上側プレートブロック111との距離(間隙)を、間接的に測定している。本発明において、サーボモータとは、サーボ機構を備えたモータを意味し、その用途には制限がない。
【0085】
上記リニアスケール122としては、例えば、磁気ヘッドを有する磁気式や、発光・受光素子を有する光学式等のいずれのタイプのリニアスケール(リニアエンコーダ)等を用いてもよい。さらに、リニアスケール122に代えて、プレートブロック111,112の間隙を、直接的または間接的に、接触または非接触で計測できる他の様式の距離計を用いてもよい。
【0086】
上記リニアスケール122は、下側プレートブロック112と上側プレートブロック111との間隙を直接計測できるように配設することも可能である。しかし、リニアスケール122をプレートブロック111,112の間に配設すると、熱盤114,118から熱の影響を受けるおそれがあり、熱に対する考慮なしでは、正確な間隙を測定することが困難になるおそれがある。このため、リニアスケール122は、熱盤114,118から離れた位置、例えば、この例のように、下側プレートブロック112の下側に配設し、下側プレートブロック112とプレス台29の間の距離を計測するようにし、下側プレートブロック112と上側プレートブロック111との間隙を間接的に計測することが好ましい。
【0087】
上記第2の平面プレス積層装置110は、PLCからの指令信号およびプレートブロック111,112間の距離情報のフィードバックに基づき、サーボモータ121の回転動作を制御するサーボアンプ(図示省略)を備えている。また、プレートブロック111,112の間隙は、PLCに組み込まれた指令信号(押圧間隙制御プログラム)のみに基づくのではなく、リニアスケール122から得られる距離信号を考慮して設定する押圧間隙制御システムにより制御されている。すなわち、PLCからの指令信号により動作するサーボモータ121の回転動作は、リニアスケール122から送られるプレートブロック111,112間の距離情報がフィードバックされることにより制御されている。この例では、PLCからの指令信号によりサーボモータ121を回転させてプレートブロック112を上昇させており、プレートブロック111,112の間隙(リニアスケール122から送られるプレートブロック111,112間の距離情報)が予め設定した値になると、設定した値になったとの情報がPLCに組み込まれた指令信号にフィードバックされ、サーボモータ121の回転が遅くなるまたは停止するようになっている。これにより、プレートブロック112の停止位置をより正確に設定することができ、プレートブロック111,112の間隙をより正確に設定することができる。
【0088】
上記第2の平面プレス積層装置110は、サーボモータ121ではなく、油圧シリンダ等の他の押圧装置を用いてプレスを行ってもよい。また、油圧シリンダによって押圧を行う場合は、押圧力を制御できる制御システムを有することが好ましい。
【0089】
この実施の形態においては、第1の平面プレス積層装置2および第2の平面プレス積層装置110における押圧時の温度、押圧力を、基材104および樹脂106の材質に応じて適宜選択することができる。なかでも、第2の積層体108の仕上がり(平坦性、鏡面性)に優れる点で、第1の平面プレス積層装置2の押圧条件を、第2の平面プレス積層装置110の押圧条件に対し、高温かつ低圧力とすることが好ましい。また、第2の平面プレス積層装置110の押圧時間を、第1の平面プレス積層装置2の押圧時間に対し長くすることが好ましい。
【0090】
上記実施の形態では、
図1の積層装置の下流に第2の平面プレス積層装置110を設けた例を示したが(
図12(a)参照)、
図12(b)に示すように、
図5の積層装置の下流に第2の平面プレス積層装置110を設けてもよい。また、
図13に示すように、真空積層装置1と第1の平面プレス積層装置61とを備えたものに、第2の平面プレス積層装置110を設けてもよい(本発明の特徴を有する部分を破線で囲っている)。
【実施例】
【0091】
本発明を以下の実施例によりさらに説明する。ただし、下記に示す実施例に本発明が限定解釈されるものではない。
なお、例中、「%」とあるのは、質量基準を意味する。
【0092】
[実施例1]
図1に示す積層装置を用いた。
フィルム状(厚み22.5μm)のエポキシ系の樹脂106を、表面に凹凸(銅パターン105)を有する基材104(凸部の厚み18μm、α部の銅パターン残銅率80%、β部の銅パターン残銅率30%、γ部の銅パターン残銅率0%)に載置したワーク100を作製した。上記樹脂106は、高周波向けの低誘電正接の特性を有するものの、加熱による樹脂流動性に難を有している。
真空積層装置1の上側熱盤16、下側熱盤20により空間部26を予め110℃に調整し、吸引開始30秒後の空間部26の圧力を100Pa以下とし、厚み3mmかつ厚みばらつきが0.2mmのシリコーンゴムからなる上側弾性プレス板18および下側弾性プレス板22の間でワーク100を、500mm四方面積あたり2.5MPaで30秒間押圧し、第1のプレ積層体101を作製した。上記真空積層装置1の上側緩衝材17,下側緩衝材21として、いずれも表面に布が配置されるように5層[アラミド繊維(繊維層)/シリコーンゴム(ゴム層)/アラミド繊維(繊維層)/シリコーンゴム(ゴム層)/アラミド繊維(繊維層)]に積層された、厚み2.6mmの積層体を用いた。また、上記真空積層装置1の油圧シリンダ14のシリンダのストローク長さは(200mm)であった。
第1の平面プレス積層装置2において、上側フレキシブル金属板(平面プレス板)36,下側フレキシブル金属板(平面プレス板)40として、厚み2mmのステンレス板状体を用い、上側緩衝材35,下側緩衝材39として、厚み2.5mmのフッ化ビニリデン系ゴム(VDF)を用いた。そして、上側熱盤34,下側熱盤38を120℃に調整し、油圧シリンダ32によって下側プレートブロック28を上昇させ、上側フレキシブル金属板(平面プレス板)36,下側フレキシブル金属板(平面プレス板)40で第1のプレ積層体101を、500mm四方面積あたり0.8MPaの圧力で40秒間加熱プレスし、第1の積層体102を作製した。
【0093】
[実施例2]
図5に示す積層装置を用いた。
実施例1と同じ樹脂106を、表面に凹凸(銅パターン105)を有する基材104(凸部の厚み18μm、α部の銅パターン残銅率80%、β部の銅パターン残銅率30%、γ部の銅パターン残銅率0%)に載置したワーク100を作製した。
真空積層装置60の上側熱盤69、下側熱盤73により空間部79を予め150℃に調整し、吸引開始30秒後の空間部79の圧力を100Pa以下とし、厚み3mmかつ厚みばらつきが0.2mmのシリコーンゴムからなる上側弾性プレス板71および下側弾性プレス板75の間でワーク100を、500mm四方面積あたり1MPaで30秒間押圧し、第2のプレ積層体107を作製した。上記真空積層装置60の上側緩衝材70,下側緩衝材74は、実施例1の真空積層装置1と同じ5層の積層体を用いている。
第1の平面プレス積層装置61において、上側フレキシブル金属板(平面プレス板)89,下側フレキシブル金属板(平面プレス板)93として、厚み2mmのステンレス板状体を用い、上側緩衝材88,下側緩衝材92として、厚み2.5mmのフッ化ビニリデン系ゴム(VDF)を用いた。そして、上側熱盤87,下側熱盤91を120℃に調整し、油圧シリンダ80によって下側プレートブロック82を上昇させ、上側フレキシブル金属板(平面プレス板)89,下側フレキシブル金属板(平面プレス板)93で第2のプレ積層体107を、500mm四方面積あたり2MPaで40秒間押圧し、第1の積層体108を作製した。第1の平面プレス積層装置61の油圧シリンダ80のシリンダのストローク長さは200mmであった。
【0094】
[実施例3]
図10に示す積層装置を用いた。
すなわち、実施例1(
図1)の積層装置の下流に、第2の平面プレス積層装置110を設けた以外は、実施例1と同様にして第2の積層体108を作製した。
第2の平面プレス積層装置110は、緩衝材を備えておらず、熱盤114,118を100℃に調整し、サーボモータ121によって下側プレートブロック112を上昇させ、プレス面の平面度が10μm以内に設定されたステンレス板状体(厚み2mm)からなるフレキシブル金属板(平面プレス板)116,120間の距離が、第2のプレ積層体107の厚みより20μm少なくなるように設定し、40秒間プレスして、第2の積層体108を作製した。
【0095】
[実施例4]
実施例3の第1の平面プレス積層装置2に代えて、実施例2で用いた第1の平面プレス積層装置61を用いた以外は実施例3と同様にして、第2の積層体108を作製した。
【0096】
[実施例5]
実施例4において、ワーク100の押圧時間を10秒間にした以外は実施例4と同様にして第2の積層体108を作製した。
【0097】
[比較例1]
図1に示す積層装置において、真空積層装置1に代えて、
図6に示す真空積層装置60を用いた積層装置を使用し、この真空積層装置60における構成および押圧条件は実施例2と同様にして第1の積層体102を作製した。
すなわち、この比較例1では、真空積層装置60および第1の平面プレス積層装置2のいずれも、プレートブロック間の押圧力が500mm四方面積あたり1.67MPa未満である。
【0098】
実施例1~5、比較例1で得られた第1の積層体102または第2の積層体108について、「ボイド発生の有無」および「厚みのばらつき」を下記に示す指標を用いて評価を行った。
【0099】
[ボイド発生の有無]
各積層体(102または108)に対し、表面側から250倍顕微鏡により観察し、内部にボイドが発生しているか否かを確認した。その結果を後記の表1に併せて示す。
◎(とても良い):ボイドの発生が全くない。
〇(良い):ボイドがごく少数発生しているが、悪影響を受けない。
×(悪い):ボイドが多数発生している。
【0100】
[厚みのばらつき]
各積層体(102または108)の、上記銅パターン(残銅率)が異なる部位(α部、β部、γ部)に対応する箇所の厚みを測定し、最大厚みと最小厚みの差を算出し、その値を下記の指標に当てはめ評価した。その結果を後記の表1に併せて示す。
◎(とても良い):5μm以下。
〇(良い):5μmを超え10μm以下。
△(可):10μmを超え15μm以下。
×(悪い):15μmを超える。
【0101】
【0102】
表1に示すとおり、実施例1は、真空積層装置1の一対のプレートブロック11,12間における押圧力が、500mm四方面積あたり2.5MPaであるため、得られる積層体にはボイドの発生が全く見られなかった。
実施例2においては、真空積層装置1の一対のプレートブロック11,12間における押圧力が、500mm四方面積あたり1.0MPaであるため、実施例1より高温で処理したにもかかわらず、わずかであるがボイドが発生していた。しかし、第1の平面プレス積層装置61の一対のプレートブロック81,82間における押圧力が、500mm四方面積あたり2.0MPaであるため、得られる積層体の厚みのばらつきが少なくなっていた。
そして、実施例3~5では、さらに第2の平面プレス積層装置110を設けているため、得られる積層体の厚みのばらつきがほとんどなく、しかもボイド発生の抑制にも優れていた。とりわけ実施例4、5ではさらに優れた積層体が得られ、厚みばらつき、ボイド発生のいずれも効果的に抑制されていた。
また、実施例5における真空積層装置においては、その押圧時間を従来の1/3程度にまで短縮できていた。
【0103】
これらに対し、比較例1では、真空積層装置60および第1の平面プレス積層装置2のいずれも、プレートブロック間の押圧力が、500mm四方面積あたり1MPa、0.8MPaと、従来どおりであるため、得られる積層体の厚みがばらつき、ボイドの発生もみられた。
【0104】
[実施例6]
つぎに、緩衝材の差異による押圧の均一性を評価するため、まず、実施例1の真空積層装置1を用い、温度110℃、真空時間30秒、押圧力500mm四方面積あたり2.5MPa、押圧時間20秒の条件で下記のワークの押圧を行い、第1のプレ積層体130を作製した。
ワーク:厚み22.5μmのフィルム状のエポキシ系の樹脂が、500mm四方のCuパターン形成済み基板(基板には同一のCuパターンが形成された40mm四方のテストクーポンが11×11の配置で面付されている)上の載置されたもの。
【0105】
[実施例7]
実施例6の真空積層装置1の緩衝材に代えて、厚み2.6mmのシリコーンゴム単層からなる緩衝材を用いた以外は実施例6と同様にして、ワークの押圧を行い、第1のプレ積層体131を作製した。
【0106】
[比較例2]
実施例7の押圧条件を、温度150℃、真空時間30秒、押圧力500mm四方面積あたり1.0MPa、押圧時間30秒に変更した以外は、実施例7と同様にして、ワークの押圧を行い、第1のプレ積層体132を作製した。
【0107】
実施例6,7、比較例2で得られた、真空積層装置1での押圧が終わったワーク(第1のプレ積層体130,131,132)を取り出し、それぞれを外側から250倍顕微鏡により観察し、内部にボイドが発生しているか否かを確認した。その結果を
図14~
図16に示す。これらの図において、枠内の数字は各クーポン内に存在したボイドの数を示している。
【0108】
図14に示すように、実施例6はボイドの発生が全く見られないことから、ワークに対する押圧が均一に行われたことがわかる。また、
図15に示すように、実施例7は部分的にボイドの発生が見られ、ワークに対する押圧が不均一であったことがわかる。ただし、この程度のボイドであれば、例えば、真空積層装置1での押圧時の温度を調整したり、つぎの平面プレス積層装置2における押圧したりすることで無くすことができる。
一方、
図16に示すように、比較例2では、ワークに対する押圧がより不均一となっている。しかも、押圧力が500mm四方面積あたり1.0MPaと従来どおりの押圧となっているため、ボイドの発生数が多く、また、150℃の高温条件で押圧しているため、一旦発生したボイドを温度の調整で低減することができず、つぎの平面プレス積層装置2における押圧でも低減することができないものであった。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本発明は、基材と樹脂とを精密に積層できる積層装置として利用することができる。
【符号の説明】
【0110】
1 真空積層装置
2 第1の平面プレス積層装置
11 プレートブロック
12 プレートブロック
21 緩衝材
22 弾性プレス板
101 第1のプレ積層体
102 第1の積層体
104 基材
106 樹脂
【要約】 (修正有)
【課題】得られる積層体のボイド発生を抑制し、平坦性を高めた積層体を製造可能な積層装置を提供する。
【解決手段】基材104と樹脂106とを減圧下で押圧して第1のプレ積層体101を形成する真空積層装置1と、上記第1のプレ積層体101を押圧して第1の積層体102を形成する第1の平面プレス積層装置2とを備え、上記真空積層装置1が、対向する一対のプレートブロック11,12を有し、上記一対のプレートブロック11,12の少なくとも一方が他方に対し進退可能に設定され、上記一対のプレートブロック11,12間で上記基材104と樹脂106とが押圧されるようになっており、上記進退可能なプレートブロック12が、弾性プレス板を有し、上記一対のプレートブロック11,12間における、上記基材104と樹脂106に対する押圧力が500mm四方面積あたり1.67~3.97MPaの範囲に設定されるようになっている積層装置。
【選択図】
図1