(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-02
(45)【発行日】2023-05-15
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/06 20120101AFI20230508BHJP
【FI】
G06Q20/06 300
(21)【出願番号】P 2022208038
(22)【出願日】2022-12-26
【審査請求日】2022-12-26
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519110124
【氏名又は名称】PayPay株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100181124
【氏名又は名称】沖田 壮男
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】末永 君慧
【審査官】青柳 光代
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-86590(JP,A)
【文献】特開2021-192260(JP,A)
【文献】特開2014-235567(JP,A)
【文献】特開2019-117455(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子決済サービスを利用する第1利用者の第1利用者端末装置から、前記電子決済サービスの決済に所定期間中に利用可能な金額枠を、前記電子決済サービスを利用する一以上の第2利用者の電子決済サービスアカウントに付与することの指定を受け付けるインターフェース部と、
受け付けた前記指定に基づいて、前記金額枠を前記電子決済サービスアカウントに付与する決済処理部と、を備え、
前記決済処理部は、前記金額枠が前記電子決済サービスアカウントに付与された場合、前記第1利用者端末装置の前記電子決済サービスにおける利用可能枠のうち、前記金額枠に相当する金額の利用を制限する、
情報処理装置。
【請求項2】
前記決済処理部は、前記電子決済サービスアカウントに紐づく第2利用者端末装置による前記金額枠を利用した電子決済が実行された場合、前記利用制限を受けた前記利用可能枠から、前記電子決済に係る決済金額を減算する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記決済処理部は、前記電子決済サービスアカウントに紐づく第2利用者端末装置による前記金額枠を利用した電子決済が実行された場合、前記利用制限を受けた前記利用可能枠から前記電子決済に係る決済金額を減算し、減算された前記決済金額を前記第2利用者端末装置の前記電子決済サービスにおける利用可能枠に加算し、加算された前記利用可能枠から前記決済金額を減算することによって前記電子決済を完了させる、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記電子決済サービスの決済に所定期間中に利用可能な金額枠は、前記電子決済サービスにおける電子決済に使用可能な電子マネーの残高を利用した金額枠である、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記電子決済サービスの決済に所定期間中に利用可能な金額枠は、前記電子決済サービスにおける後払い決済の与信枠を利用した金額枠である、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記インターフェース部は、前記金額枠を、所定スケジュールにしたがって前記電子決済サービスアカウントに付与することの指定を受け付ける、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記決済処理部は、前記電子決済サービスアカウントに紐づく第2利用者端末装置による前記金額枠を利用した電子決済の履歴を記憶部に記憶させ、
前記インターフェース部は、前記第1利用者端末装置に前記履歴の一部または全部を前記第1利用者端末装置に閲覧可能にする、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記履歴は、前記金額枠を利用した電子決済の決済日時、決済店舗、前記決済店舗の業種、決済金額のうちの少なくとも一つを含む、
請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記インターフェース部は、前記指定を受け付けた際に、前記第1利用者端末装置による設定に基づいて、前記第1利用者端末装置に閲覧可能にする前記履歴の範囲を設定する、
請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記インターフェース部は、前記第1利用者端末装置から、前記金額枠と合わせて、前記金額枠を利用した電子決済の利用制限に関する指定を更に受け付け、
前記決済処理部は、前記利用制限をかけて、前記電子決済サービスアカウントに紐づく第2利用者端末装置に前記金額枠を利用した電子決済を実行させる、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記利用制限は、前記金額枠を利用した電子決済の利用可能日時、利用可能店舗、前記利用可能店舗の業種、利用可能金額のうちの少なくとも一つを含む、
請求項10に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記インターフェース部は、前記第2利用者端末装置から、前記利用制限を少なくとも一時的に解除するための要求を更に受け付け、
前記決済処理部は、前記第1利用者端末装置が前記要求を許可したことに応じて、前記利用制限を少なくとも一時的に解除する、
請求項10に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記決済処理部は、前記所定期間が経過した後、前記金額枠から前記所定期間中に利用された利用金額を減算した残高金額に相当する金額の利用に関する制限を、前記第1利用者端末装置の前記利用可能枠から解除する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項14】
前記決済処理部は、前記所定期間が経過した後、前記金額枠から前記所定期間中に利用された利用金額を減算した残高金額に相当する金額を、前記電子決済サービスアカウントに紐づく第2利用者端末装置の前記電子決済サービスにおける利用可能枠に加算する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項15】
前記決済処理部は、前記所定期間中に、前記金額枠から利用金額を減算した残高金額が閾値未満となり、かつ前記残高金額を利用した電子決済に不足金額が発生した場合、前記不足金額に相当する金額分、前記第1利用者端末装置の利用可能枠から引き落とすことによって、前記残高金額を利用した電子決済を完了させる、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項16】
コンピュータが、
電子決済サービスを利用する第1利用者の第1利用者端末装置から、前記電子決済サービスの決済に所定期間中に利用可能な金額枠を、前記電子決済サービスを利用する一以上の第2利用者の電子決済サービスアカウントに付与することの指定を受け付け、
受け付けた前記指定に基づいて、前記金額枠を前記電子決済サービスアカウントに付与し、
前記金額枠が前記電子決済サービスアカウントに付与された場合、前記第1利用者端末装置の前記電子決済サービスにおける利用可能枠のうち、前記金額枠に相当する金額の利用を制限する、
情報処理方法。
【請求項17】
コンピュータに、
電子決済サービスを利用する第1利用者の第1利用者端末装置から、前記電子決済サービスの決済に所定期間中に利用可能な金額枠を、前記電子決済サービスを利用する一以上の第2利用者の電子決済サービスアカウントに付与することの指定を受け付けさせ、
受け付けた前記指定に基づいて、前記金額枠を前記電子決済サービスアカウントに付与させ、
前記金額枠が前記電子決済サービスアカウントに付与された場合、前記第1利用者端末装置の前記電子決済サービスにおける利用可能枠のうち、前記金額枠に相当する金額の利用を制限させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、個人間における電子マネーの送金を実現する技術が知られている。例えば、特許文献1には、個人間の送受金において、送信先のユーザが、送金元が選択した決済サービスとは異なるサービスで、送金先のユーザが受け取りを可能とする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術は、同じ電子決済サービスの枠内で暫定的な共有金額枠を設定するものでは無いため、受け取った側の利用状況の監視などの種々の拡張的サービスを提供することができない場合がある。このため、電子決済サービスの利用者にとっての利便性が十分でない場合がある。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、電子決済サービスの利用者にとっての利便性を向上させることができる情報処理装置、情報処理方法、およびプログラムを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、電子決済サービスを利用する第1利用者の第1利用者端末装置から、前記電子決済サービスの決済に所定期間中に利用可能な金額枠を、前記電子決済サービスを利用する一以上の第2利用者の電子決済サービスアカウントに付与することの指定を受け付けるインターフェース部と、受け付けた前記指定に基づいて、前記金額枠を前記電子決済サービスアカウントに付与する決済処理部と、を備え、前記決済処理部は、前記金額枠が前記電子決済サービスアカウントに付与された場合、前記第1利用者端末装置の前記電子決済サービスにおける利用可能枠のうち、前記金額枠に相当する金額の利用を制限する、情報処理装置。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、電子決済サービスの利用者にとっての利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】電子決済サービスが実現されるための構成の一例を示す図である。
【
図2】電子決済の大まかな流れを例示したシーケンス図(その1)である。
【
図3】電子決済の大まかな流れを例示したシーケンス図(その2)である。
【
図4】第1実施形態に係る決済サーバ100の構成図である。
【
図5】利用者情報172の内容の一例を示す図である。
【
図6】共有ウォレットを用いた電子決済の大まかな流れを例示したシーケンス図である。
【
図7】共有ウォレットを設定した第1利用者端末装置10Aおよび第2利用者端末装置10Bに表示される決済画面の一例を示す図である。
【
図8】共有ウォレット設定情報176の内容の一例を示す図である。
【
図9】共有ウォレット履歴情報178の内容の一例を示す図である。
【
図10】第1利用者端末装置10Aに表示される共有ウォレット決済の履歴情報の一例を示す図である。
【
図11】第1利用者端末装置10Aに通知される共有ウォレット決済の詳細情報の一例を示す図である。
【
図12】第1利用者端末装置10Aに問い合わせされる利用制限解除通知の一例を示す図である。
【
図13】第1利用者端末装置10Aに問い合わせされる設定情報変更通知の一例を示す図である。
【
図14】共有ウォレット決済に不足金額が発生した場合に第2利用者端末装置10Bに表示される画面の一例を示す図である。
【
図15】共有ウォレットの残高金額のチャージを要求するために第2利用者端末装置10Bに表示される画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照し、本発明の情報処理装置、情報処理方法、およびプログラムの実施形態について説明する。後述する利用者端末装置に搭載されるアプリケーションプログラムと、決済サーバとは協働して電子決済サービスを提供する。以下の説明ではアプリケーションプログラムを決済アプリと称する。電子決済サービスは、店舗における商品やサービスの購買に係る決済をサポートするサービスである。店舗とは、例えば、現実空間に存在する物理的な店舗(実店舗)であるが、電子商取引の仮想店舗を含んでもよい。仮想店舗は、電子決済サービスの運営者とは異なる主体によって提供されるものを含んでもよい。その場合、仮想店舗における買い物の決済の際に、電子決済サービスのインターフェース画面に遷移するように制御される。電子決済サービスにおいて、店舗は、例えば加盟店(ブランド)に属するものとして扱われ、店舗において購買行動が行われた際の決済などの処理は、主として利用者と加盟店の間で行われる。これに代えて、決済などの処理が利用者と店舗との間で行われてもよい。
【0010】
[電子決済サービス]
図1は、電子決済サービスが実現されるための構成の一例を示す図である。電子決済サービスは、決済サーバ100を中心として実現される。決済サーバ100は、例えば、一以上の利用者端末装置10、一以上の第1店舗端末装置50、及び一以上の第2店舗端末装置70のそれぞれとネットワークNWを介して通信する。ネットワークNWは、例えば、インターネット、LAN(Local Area Network)、無線基地局、プロバイダ装置などを含む。
【0011】
利用者端末装置10は、例えば、スマートフォンやタブレット端末等の可搬型端末装置である。利用者端末装置10は、少なくとも、光学読取機能、通信機能、表示機能、入力受付機能、プログラム実行機能を有するコンピュータ装置である。以下の説明では、これらの機能を実現するための構成をそれぞれカメラ、通信装置、タッチパネル、CPU(Central Processing Unit)等と称する。利用者端末装置10では、CPU等のプロセッサにより決済アプリ20が実行されることで、決済サーバ100と連携して電子決済サービスを利用者に提供するように動作する。決済アプリ20は、例えば、アプリケーションストアから利用者端末装置10にインストールされ、カメラ、通信装置、タッチパネルなどを制御する。本実施形態において、一以上の利用者端末装置10は、電子決済サービスの第1利用者(例えば、親)が保持する第1利用者端末装置10Aと、電子決済サービスの第2利用者(例えば、子)が保持する第2利用者端末装置10Bとを含むものとする。
【0012】
第1店舗端末装置50は、例えば、店舗に設置される。第1店舗端末装置50は、少なくとも、商品価格取得機能、光学読取機能、プログラム実行機能、通信機能を有するコンピュータ装置である。第1店舗端末装置50は、いわゆるPOS(Point of Sale)装置を含み、POS装置によって商品価格取得機能や光学読取機能を実現してもよい。店舗コード画像60は、店舗に置かれ、QRコード(登録商標)等のコード画像が紙やプラスチックの媒体に印刷されたものである。なお、店舗コード画像60は、店舗に置かれたディスプレイ(スマートフォンなどの端末装置のディスプレイでもよい)によって表示されてもよい。
【0013】
第2店舗端末装置70は、加盟店の運営者によって使用される。第2店舗端末装置70は、スマートフォンやタブレット端末、パーソナルコンピュータ等である。第2店舗端末装置70では、加盟店向けインターフェース72が動作する。加盟店向けインターフェース72は、加盟店向けアプリであってもよいし、ブラウザであってもよい。加盟店向けインターフェース72は、加盟店の運営者によるクーポンの設定等を受け付け、決済サーバ100に送信する。スマートフォンである第2店舗端末装置70は、加盟店向けアプリを実行することで、店舗コード画像に相当するコード画像を表示したり、利用者端末装置10が表示するコード画像を読み取ったりする機能を有する。
【0014】
決済サーバ100は、利用者端末装置10または第1店舗端末装置50から受信した決済情報に基づいて電子決済を実現する。第1店舗端末装置50は、POS装置と加盟店サーバを含む場合があり、その場合、POS装置から加盟店サーバを介して決済情報が決済サーバ100に送信される。以下の説明では、これを特に区別せず、第1店舗端末装置50から決済情報が送信されるものとする。
【0015】
図2および
図3は、電子決済の大まかな流れを例示したシーケンス図である。電子決済には、パターン1とパターン2の二つが存在してよい。
【0016】
図2に示すパターン1(以下、ユーザスキャンと称する)の場合、決済アプリ20が起動した状態の利用者端末装置10が、光学読取機能によって店舗コード画像60をデコードする(S1)。店舗コード画像60には、店舗URL(Uniform Resource Locator)の情報が含まれている。この店舗URLは、電子決済サービスのドメインに対して店舗を識別可能な情報が付加されたものであり、決済サーバ100において加盟店IDや店舗ID等との対応付けがなされている(後述)。決済アプリ20は、店舗URLとアカウントIDを含む第1決済情報を決済サーバ100に送信する(S2)。決済サーバ100は、店舗URLに対応する加盟店ID、店舗IDから、店舗情報(後述)を検索して加盟店名と店舗名の情報を取得し(S3)、決済アプリ20に送信する(S4)。利用者は、加盟店名や店舗名が表示された画面において、決済金額を利用者端末装置10に入力する(S5)。そして、利用者端末装置10は、少なくとも決済金額を含む第2決済情報を生成し、決済サーバ100に送信する(S6)。決済サーバ100は、受信した第2決済情報に基づいて電子決済を行う(S7)。そして、決済サーバ100は、決済完了通知(決済完了画面を表示するための情報)を決済アプリ20に送信し(S8)、決済アプリ20は決済完了画面を表示する(S9)。なお、店舗コード画像60が店舗に置かれたディスプレイによって表示される場合、店舗コード画像60には、店舗URLだけでなく決済金額の情報が含まれる場合がある。この場合、利用者が決済金額を入力する手順が省略され、第1決済情報に決済金額の情報が含められて決済サーバ100に送信される。加盟店名や店舗名の情報は、決済完了画面に含めて表示されてよい。
【0017】
図3に示すパターン2(以下、ストアスキャンと称する)の場合、決済アプリ20の起動時、決済アプリ20において支払う操作が行われたとき、自動更新のタイミング(例えば1分おき)になったとき、およびその他のタイミングで、決済アプリ20はワンタイムコードの発行要求を決済サーバ100に送信する(S11)。決済サーバ100はワンタイムコードを生成し(S12)、決済アプリ20に送信する(S13)。決済アプリ20は、ワンタイムコードに基づいて生成した、QRコードやバーコード等のコード画像を表示する(S14)。利用者は利用者端末装置10の表示面を第1店舗端末装置50に翳し(提示し)、第1店舗端末装置50は、光学読取機能によってコード画像をデコードし、ワンタイムコード等を取得する(S15)。そして、第1店舗端末装置50は、ワンタイムコード、決済金額、加盟店ID、店舗ID等を含む決済情報を生成し、決済サーバ100に送信する(S16)。決済金額の情報は、予めバーコード読み取りや手入力等によって取得されている。決済サーバ100は、受信した情報に基づいて、ワンタイムコードに対応する利用者を特定し、電子決済を行う(S17)。そして、決済サーバ100は、決済完了通知を決済アプリ20に送信し(S18)、決済アプリ20は決済完了画面を表示する(S19)。
【0018】
なお、上記のいずれか一方のみのパターンで電子決済が行われてもよい。また、
図2で説明した「アカウントID」は、利用者の識別情報として用いられ得る他の情報(例えば電話番号)であってもよい。また、ストアスキャンにおいてワンタイムコードの発行が省略され、決済アプリ20は、利用者のアカウントIDに基づいて生成したコード画像を表示してもよい。その場合、決済サーバ100は、ワンタイムコードに対応する利用者を特定するのに代えて、アカウントIDに対応する利用者を特定する。
【0019】
[決済サーバ]
図4は、第1実施形態に係る決済サーバ100の構成図である。決済サーバ100は、例えば、通信部110と、インターフェース部120と、決済コンテンツ提供部130と、決済処理部140と、を備える。通信部110および記憶部170以外の構成要素は、例えば、CPUなどのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予めHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることで記憶装置にインストールされてもよい。
【0020】
記憶部170は、HDDやフラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)などである。記憶部170は、決済サーバ100がネットワークを介してアクセス可能なNAS(Network Attached Storage)装置であってもよい。記憶部170には、利用者情報172、決済コンテンツ情報174、共有ウォレット設定情報176、共有ウォレット履歴情報178などの情報が格納される。
【0021】
通信部110は、ネットワークNWに接続するための通信インターフェースである。通信部110は、例えばネットワークインターフェースカードである。インターフェース部120は、通信部110を制御して、利用者端末装置10と、第1店舗端末装置50と、第2店舗端末装置70との間で情報の授受を行う。
【0022】
決済コンテンツ提供部130は、例えば、Webサーバの機能を有し、電子決済サービスの各種画面を表示するための情報(コンテンツ)を利用者端末装置10に提供する。決済コンテンツ提供部130は、決済コンテンツ情報174から適宜、必要なコンテンツを読み出して利用者端末装置10に提供する。利用者端末装置10は、決済アプリ20によってコンテンツが再生された状態で利用者による各種入力を受け付け、前述した決済情報などを決済サーバ100に送信する。
【0023】
決済処理部140は、利用者端末装置10または第1店舗端末装置50により送信された決済情報に基づいて、決済処理を行う。決済処理部140は、後述する利用者情報172および共有ウォレット設定情報176を参照しながら決済処理を行う。
【0024】
図5は、利用者情報172の内容の一例を示す図である。利用者情報172は、利用者の登録情報の一例である。利用者情報172は、例えば、利用者URL、アカウントID、電話番号、パスワードの他、メールアドレス、利用者ID、氏名・住所・生年月日、登録日、チャージ残高、後払い設定、後払い枠、後払い利用額、後払い利用可能額、決済方法設定、銀行口座、クレジットカード番号、チャージ履歴情報、決済履歴情報などの情報が対応付けられたものである。利用者URLは、利用者間の送金処理に使用される。電子決済サービスへの新規登録時には、電話番号およびパスワードの登録が必須となる。アカウントIDは、決済サーバ100によって利用者に発行されるものであり、利用者IDは、利用者が任意に設定できる(設定しなくてもよい)IDである。メールアドレス、および氏名・住所・生年月日も同様に、利用者が任意に設定できる(設定しなくてもよい)情報である。登録日とは利用者が電子決済サービスに登録した日(アカウントを作成した日)である。以下、これらの情報が対応付けられた利用者のインスタンス(電子決済口座)のことをアカウントと称する。
【0025】
チャージ残高は、利用者が予めアカウントに送金することで設定された電子マネーの残高を示す情報である。送金の手段としては、指定業者(銀行)のATM(Automatic Teller Machine)からの送金、登録された銀行口座からの送金などがある。後払い設定は、後払いによる電子決済を可能とするための設定が済んでいるか否かを示す情報であり、「済」と「未」のいずれかに設定される。後払い枠は月ごとに利用可能な後払いの限度額であり、後払い利用額は、当月に既に利用された後払いの金額であり、後払い利用可能額は、後払い枠から後払い利用額を差し引いて求められる、当月に利用可能な後払いの金額である。図では後払い枠を一つだけ示しているが、実際には更に日ごとの上限額などが存在し、それらの低い方が後払い枠に設定されてよい。決済方法設定は、その時点において利用者がチャージ残高による電子決済を行うのか、後払いによる決済を行うのか、共有ウォレットによる電子決済を行うのかを示す設定情報である。銀行口座とクレジットカード番号のそれぞれは、電子決済サービスに入金可能な銀行口座またはクレジットカード番号の情報(口座番号、カード番号)である。チャージ履歴情報は、利用者が予め電子決済サービスに送金してチャージ残高を増加させた履歴である。決済履歴情報は、利用者が行った決済の内訳(日時、購買行動が行われた店舗の店舗ID、決済金額、決済方法など)を、決済ごとに示す情報である。共有ウォレット設定情報176および共有ウォレット履歴情報178については後述する。
【0026】
[電子決済]
決済処理部140は、利用者端末装置10または第1店舗端末装置50から決済情報が取得されると、利用者情報172を参照して当該利用者の「決済方法設定」を取得する。決済処理部140は、「決済方法設定」が「チャージ残高」に設定されている利用者に関して、以下のように電子決済を行う。決済処理部140は、例えば、利用者IDに対応付けて管理しているチャージ残高を減少させ、加盟店の売上金の項目値を増加させることで、電子決済を行う。加盟店の売上金の項目値は、例えば、それ自体が電子マネーとして使用されるものでは無く、加盟店と電子決済サービスとの取り決めに応じたサイクルで、売上金の項目値に対応する金額が銀行口座に送金される。
【0027】
決済処理部140は、「決済方法設定」が「後払い」に設定されている利用者に関して、以下のように電子決済を行う。後払いとは、電子決済サービスの運営者とは別主体であるクレジットカード会社との連携による「クレジット払い」とは別枠で設定されるものであり、電子決済サービスの運営者または運営者の子会社などの関係者が与信者となって、後払い枠(与信枠)の範囲内でチャージ残高に依存しない電子決済を許容するものである。なお後払いサービスを受けるために、電子決済サービスの運営者が提供するクレジットカードの取得が要求されてよい。後払いで利用された金額は、一か月分まとめて翌月の支払日に、例えば銀行口座からの引き落としによって決済される。この場合、決済処理部140は、後払い利用額に決済金額を加算し、後払い利用可能額から同額を差し引くことで暫定決済を行い、締め日になると上記のように当月分の決済を翌月の支払い日に引き落とすための処理を行う。なお暫定決済の時点で決済金額が後払い利用可能額を超える場合は、エラー通知が決済アプリ20に返信される。
【0028】
決済処理部140は、「決済方法設定」が「共有ウォレット」に設定されている利用者に関して、以下のように電子決済を行う。共有ウォレットとは、電子決済サービスの第1利用者が、所定期間中(例えば、1ヶ月)に利用可能な金額枠を、所定スケジュール(例えば、毎月27日)に従って電子決済サービスの第2利用者に送金(共有)することによって、当該第2利用者による電子決済を可能とする決済方法を意味する。この場合、「利用可能な金額枠」とは、上述したチャージ残高であってもよいし、後払い枠であってもよい。本実施形態では、説明の便宜上、「利用可能な金額枠」がチャージ残高であるものとするが、以下の説明は、「利用可能な金額枠」が後払い枠である場合にも同様に適用される。
【0029】
図6は、共有ウォレットを用いた電子決済の大まかな流れを例示したシーケンス図である。まず、第1利用者は、第1利用者端末装置10Aを用いて、所定期間中に利用可能な金額枠を、所定スケジュールに従って電子決済サービスの第2利用者に送金するための共有ウォレット設定を行う(S21)。第1利用者が共有ウォレット設定を行うと、決済サーバ100は、第1利用者端末装置10Aのチャージ残高のうち、設定された送金金額に相当する金額分の使用をロック(禁止)する(S22)。同時に、決済サーバ100は、第2利用者端末装置10Bに、設定された送金金額に相当する金額分、共有ウォレットの使用を許可する(S23)。
【0030】
次に、第2利用者は、第2利用者端末装置10Bを用いて、決済画面において共有ウォレットの利用を選択し、電子決済を実行する旨の通知を決済金額と合わせて第1利用者端末装置10A(この場合、決済サーバ100を介した通知であってもよい)に送信する(S24)。第1利用者端末装置10Aは、それに応じて、決済金額に相当する金額分、第2利用者端末装置10Bに送金を行う(S25)。第2利用者端末装置10Bは、送金を受領すると、送金金額をチャージ残高に加算して、チャージ残高決済を行う(S26)。共有ウォレットを利用した電子決済が完了すると、決済サーバ100は、ロックされた第1利用者端末装置10Aのチャージ残高から、決済金額分を減算する(S27)。これにより、共有ウォレットを利用した電子決済が完了する。
【0031】
なお、上記のS24における第2利用者端末装置10Bから第1利用者端末装置10Aに送信される通知は、それぞれの端末における内部処理としての通知であってもよいし、内部処理と合わせて第1利用者端末装置10Aの画面上に表示され、第1利用者によって確認されるものであってもよい。通知が第1利用者端末装置10Aの画面上に表示される場合、第1利用者による承認(例えば、第1利用者端末装置10A上で承認ボタンを押下すること)に応じて、S25以降の処理が実行されるものであってもよい。
【0032】
さらに、上記のS25における送金処理は省略されてもよく、S24において通知を受けた第1利用者端末装置10Aは、決済金額に相当する金額分、ロックされた第1利用者端末装置10Aのチャージ残高からそのまま減算することによって(換言すると、第1利用者端末装置10A自体がチャージ残高決済を行うことによって)共有ウォレット決済を完了させてもよい。
【0033】
さらに、上記のS27における、ロックされた第1利用者端末装置10Aのチャージ残高から決済金額分を減算する処理は、S24とS25との間に実行されてもよいし、S25と同時に実行されてもよいし、S25とS26との間に実行されてもよい。すなわち、これらの場合、第1利用者端末装置10Aのチャージ残高から決済金額が最初に減算されたのちに、第2利用者端末装置10Bに送金され、送金された第2利用者端末装置10Bのチャージ残高から決済金額が減算されることとなる。
【0034】
図7は、共有ウォレットを設定した第1利用者端末装置10Aおよび第2利用者端末装置10Bに表示される決済画面の一例を示す図である。
図7は、第1利用者端末装置10Aを送金元とし、第2利用者端末装置10Bを送金先とする共有ウォレットが設定され、
図6のS24において、第2利用者が決済画面において共有ウォレットの利用を選択した状況を表している。
図7において、符号A1は、支払い金額の入力フォームを表し、符号A2は、支払い方法の選択フォームを表し、符号B1は支払いボタンを表す。すなわち、
図7の右部に示す画面において、第2利用者が支払いボタンB1を押下すると、
図6のS24において、第2利用者端末装置10Bは、共有ウォレットを利用した電子決済を実行する旨の通知を決済金額と合わせて第1利用者端末装置10Aに送信することとなる。
【0035】
図7の左部に示す通り、第1利用者端末装置10Aの決済画面には、チャージ残高(
図7では14000円)のうち、共有ウォレットの設定金額(
図7では3000円)に相当する金額がロックされている旨、表示される。すなわち、この場合、第1利用者は、第1利用者端末装置10Aを用いて、チャージ残高から設定金額を減算した金額(
図7では11000円)に相当するチャージ残高決済を実行することができる。このような構成により、第1利用者は、自身のチャージ残高決済に使用可能な金額を正確に把握することができるとともに、チャージ残高の一部をロックすることにより、第2利用者による共有ウォレット決済が失敗することを防止することができる。
【0036】
一方、
図7の右部に示す通り、第2利用者端末装置10Bの決済画面には、支払い方法の選択フォームとして、共有ウォレットが表示される。第2利用者は、共有ウォレットを選択して、支払い金額を入力フォームA1に入力し、支払いボタンB1を押下することによって、共有ウォレットを利用した電子決済を実行することができる。共有ウォレットを利用した電子決済が完了すると、第1利用者端末装置10Aのチャージ残高から決済金額に相当する金額が減算されるとともに、チャージ残高からロックされていた金額も同様に減算される。例えば、
図7に示す状況の場合、第1利用者端末装置10Aのチャージ残高14000円およびロック金額3000円から決済金額500円が減算されて、チャージ残高13500円およびロック金額2500円となる。さらに、第2利用者端末装置10Bによる共有ウォレットの利用可能額も3000円から決済金額500円が減算されて、2500円となる。
【0037】
[共有ウォレット情報の記憶]
記憶部170は、共有ウォレットに関する情報として、共有ウォレットの設定に関する情報である共有ウォレット設定情報176と、共有ウォレットを利用した電子決済の履歴に関する情報である共有ウォレット履歴情報178を記憶する。
図8は、共有ウォレット設定情報176の内容の一例を示す図である。共有ウォレット設定情報176は、例えば、共有ウォレットを識別するための共有ウォレットIDに対して、設定日、送金元、送金先、送金金額、残高金額、決済上限金額、送金スケジュール、利用可能期間、利用可能時間、利用可能店舗業種、履歴閲覧権限、余剰残高設定などの情報が対応付けられたものである。
【0038】
設定日は、第1利用者端末装置10Aによって共有ウォレットが設定された日付を表す情報である。設定日は、さらに例えば、共有ウォレットが設定された時間情報を含んでもよい。送金元は、共有ウォレットによって送金を行う第1利用者端末装置10Aの識別情報(例えば、アカウントID)である。送金先は、共有ウォレットによって送金を受ける第2利用者端末装置10Bの識別情報(例えば、アカウントID)である。送金金額は、送金元から送金先に送る金額を表す情報である。送金金額は、第1利用者が、第1利用者端末装置10A上で共有ウォレットを設定する際に任意の値を入力し、インターフェース部120がそれを受け付けるものである。残高金額は、送金金額から、実際に第2利用者が共有ウォレット決済を行った金額を減算した金額を表す情報である。決済上限金額は、一回の共有ウォレット決済において引き落とし可能な決済金額の上限値を表す情報である。決済上限金額は、第1利用者が、第1利用者端末装置10A上で共有ウォレットを設定する際に任意の値を入力し、インターフェース部120がそれを受け付けるものである。例えば、第1利用者が親であり、第2利用者が未成年者である子である場合、第1利用者は、決済上限金額を設定することにより、第2利用者の健全な金銭感覚を養うことができる。
【0039】
送金スケジュールは、送金元から送金先に送金を行うタイミングを表す情報である。送金スケジュールは、第1利用者が、第1利用者端末装置10A上で共有ウォレットを設定する際に任意のスケジュール(毎月、毎週、数日ごと等)を入力し、インターフェース部120がそれを受け付けるものである。このとき、例えば、毎月27日など、デフォルトのスケジュールが設定されていてもよい。利用可能期間は、送金された金額を用いて共有ウォレットによる電子決済が可能な期間を表す情報である。利用可能期間は、通常、送金スケジュールに対応した期間(例えば、送金スケジュールが毎月であれば一ヵ月)に設定されるが、第1利用者は、第1利用者端末装置10A上で共有ウォレットを設定する際に任意の期間(例えば、送金スケジュールが毎月であっても2週間など)を設定してもよい。
【0040】
利用可能時間は、共有ウォレットによる電子決済を利用可能な時間帯を表す情報である。利用可能時間は、第1利用者が、第1利用者端末装置10A上で共有ウォレットを設定する際に任意の時間帯を入力し、インターフェース部120がそれを受け付けるものである。利用可能店舗業種は、共有ウォレットによる電子決済を利用可能な店舗の業種を表す情報である。利用可能店舗業種は、第1利用者が、第1利用者端末装置10A上で共有ウォレットを設定する際に任意の業種を選択し、インターフェース部120がそれを受け付けるものである。代替的に、またはこれに加えて、共有ウォレットによる電子決済の利用を禁止する利用禁止店舗業種を選択可能としてもよい。また、例えば、利用可能店舗又は利用禁止店舗を直接的に指定可能としてもよい。例えば、第1利用者が親であり、第2利用者が未成年者である子である場合、第1利用者は、共有ウォレット決済を利用可能な店舗を制限することにより、第2利用者の健全な金銭感覚を養うことができる。
【0041】
履歴閲覧権限は、共有ウォレット履歴情報178に記憶される決済履歴情報の情報項目のうち、送金者である第1利用者が閲覧可能な情報項目を表す。例えば、履歴閲覧権限が決済金額および決済時間に設定されている場合、第1利用者は、第2利用者による共有ウォレット決済の履歴情報のうち、決済金額および決済時間を閲覧することができる(一方、決済店舗の閲覧は禁止される)。履歴閲覧権限は、第1利用者又は第2利用者が、第1利用者端末装置10A上で共有ウォレットを設定する際に設定可能なものであってもよいし、第1利用者と第2利用者の合意に基づいて設定可能なものであってもよい。また、例えば、履歴閲覧権限は、閲覧可能とする情報項目の設定のみに限定されず、情報項目を閲覧可能とする条件を設定可能なものであってもよい。例えば、決済金額が所定金額(例えば、1000円)以上である電子決済についてのみ、第1利用者が当該電子決済の履歴を閲覧可能としてもよい。このように、第1利用者に対して履歴閲覧権限を設定することにより、第1利用者は、第2利用者による共有ウォレット決済の利用状況を把握し、監督することができる。
【0042】
余剰残高設定は、共有ウォレットの利用可能期間が終了した際に余った利用可能金額(残高金額)の処理方法を表す情報である。余剰残高設定は、第1利用者が、第1利用者端末装置10A上で共有ウォレットを設定する際に処理方法を選択し、インターフェース部120がそれを受け付けるものである。例えば、余剰残高設定が「送金元にチャージ」に設定されている場合、第1利用者のチャージ残高はそのままにロック金額が解除される(すなわち、第1利用者は、チャージ残高全額をチャージ残高決済に利用可能となる)。一方、余剰残高設定が「送金元にチャージ」に設定されている場合、第1利用者のチャージ残高から、ロック金額に相当する金額が第2利用者端末装置10Bに送金され、第2利用者端末装置10Bのチャージ残高に加算される。その場合、第2利用者端末装置10Bは、通常のチャージ残高決済によって、加算されたチャージ残高を電子決済に使用することができる。また、例えば、余剰残高設定は、「送金元にチャージ」又は「送金先にチャージ」の2パターンに限定されず、より詳細な条件を設定可能なものであってもよい。例えば、残高金額が所定金額以下(又は以上)の場合にのみ、「送金元にチャージ」又は「送金先にチャージ」されるものであってもよい。
【0043】
なお、上記の共有ウォレット設定情報176の各項目は、第2利用者が第2利用者端末装置10B上で設定するものであってもよいし、第1利用者と第2利用者の合意に基づいて(例えば、第1利用者が第1利用者端末装置10A上で設定した内容に対して、第2利用者が第2利用者端末装置10B上で許可ボタンを押下することによって)、設定されるものであってもよい。
【0044】
図9は、共有ウォレット履歴情報178の内容の一例を示す図である。共有ウォレット履歴情報178は、例えば、決済日時に対して、共有ウォレットID、利用者(アカウントID)、決済金額、決済店舗などの情報が対応付けられたものである。決済処理部140は、第2利用者端末装置10Bによる共有ウォレットを利用した電子決済が完了すると、これら決済日時と、決済金額と、決済店舗などの情報を、アカウントIDに紐づけて、時系列に共有ウォレット履歴情報178に記憶する。
【0045】
[共有ウォレット決済に係る様々な機能]
以下、
図10から
図15を参照して、共有ウォレット決済に係る様々な機能について説明する。まず、一つの機能として、インターフェース部120は、共有ウォレット設定情報176に設定された履歴閲覧権限と、共有ウォレット履歴情報178とに基づいて、送金者の履歴閲覧権限に応じた共有ウォレット決済の履歴情報を第1利用者端末装置10Aに表示させてもよい。
【0046】
図10は、第1利用者端末装置10Aに表示される共有ウォレット決済の履歴情報の一例を示す図である。
図10の左部に示す通り、例えば、決済アプリ20Aは、第1利用者自身による電子決済の履歴を表示するためのボタンB2と、第1利用者が共有ウォレットを提供する第2利用者による共有ウォレット決済の履歴を表示するためのボタンB3を表示させる。
図10の左部に示した状態において、第1利用者がボタンB3をクリックすると、インターフェース部120は、共有ウォレット設定情報176を参照して、第1利用者の履歴閲覧権限を取得し、取得した履歴閲覧権限に応じた共有ウォレット履歴情報178を第1利用者端末装置10Aに表示される。例えば、共有ウォレット設定情報176の一行目に設定された履歴閲覧権限の場合、第1利用者は、決済金額と決済時間に関する閲覧権限を有するものの、店舗名に関する閲覧権限を有さない。そのため、インターフェース部120は、決済金額と決済時間のみを含む決済履歴情報を第1利用者端末装置10Aに表示される。
【0047】
なお、
図10では、一例として、第1利用者が、第1利用者端末装置10A上で、第1利用者自身の決済履歴情報と、第2利用者の共有ウォレット決済の履歴情報のうちの一方を選択し、閲覧する例について説明しているが、本発明は、そのような構成に限定されない。例えば、決済アプリ20Aは、第1利用者の決済履歴情報と第2利用者の共有ウォレット決済の履歴情報の双方を合わせて表示させ、第1利用者の選択に応じてフィルタリングを行うことによって、いずれか一方の履歴情報のみを表示させてもよい。この場合、フィルタリングは、いずれか一方の履歴情報のみを表示させることに加えて、双方の履歴情報を表示させた上で、決済金額、日時、店舗業種などの項目によってフィルタリングするものであってもよい。
【0048】
さらに、別の機能として、インターフェース部120は、決済処理部140によって第2利用者の共有ウォレット決済が処理された場合、当該決済の詳細情報を第1利用者端末装置10Aに通知してもよい。この場合、インターフェース部120は、第1利用者端末装置10Aにプッシュ通知を行ってもよいし、決済アプリ20Aのトップページに詳細情報を表示させてもよい。
【0049】
図11は、第1利用者端末装置10Aに通知される共有ウォレット決済の詳細情報の一例を示す図である。
図11に示す通り、決済処理部140によって第2利用者の共有ウォレット決済が処理された場合、インターフェース部120は、共有ウォレット決済の決済金額、店舗名、日時などの詳細情報を第1利用者端末装置10Aに通知する。このとき、インターフェース部120は、共有ウォレット設定情報176を参照して、第1利用者の履歴閲覧権限を取得し、履歴閲覧権限が設定された情報項目のみ第1利用者端末装置10Aに通知してもよい。例えば、
図11に示す例の場合、第1利用者は店舗名に関する閲覧権限を有さないため、インターフェース部120は、店舗名を第1利用者端末装置10Aに通知せず、決済金額と日時情報のみを通知している。
【0050】
さらに、別の機能として、インターフェース部120は、第2利用者が共有ウォレット設定情報176に設定された利用制限に反する共有ウォレット決済を実行しようと試みた場合や、利用制限に反する共有ウォレット決済を実行するための要求を行った場合、第1利用者端末装置10Aに問い合わせを行い、第1利用者による許可を受信したことに応じて、当該利用制限を少なくとも一時的に解除してもよい。
【0051】
図12は、第1利用者端末装置10Aに問い合わせされる利用制限解除通知の一例を示す図である。
図12に示す通り、例えば、第2利用者が共有ウォレット設定情報176に設定された決済上限金額を超過する共有ウォレット決済を実行しようと試みた場合、インターフェース部120は、第1利用者端末装置10Aに、当該共有ウォレット決済の実行を許可するか否かを問い合わせる。例えば、第1利用者が許可ボタンB4を押下すると、決済処理部140は、第2利用者による共有ウォレット決済を処理する一方、第1利用者が非許可ボタンB5を押下すると、決済処理部140は、第2利用者による共有ウォレット決済を処理しない。これにより、第2利用者による適切な共有ウォレットの使用を監督することができるとともに、例えば、第2利用者端末装置10Bが盗難されたこと等に起因して違法な決済が実行された際に、そのような決済の実行を検知および防止することができる。
【0052】
なお、
図12は、共有ウォレット設定情報176に設定された決済上限金額を超過する共有ウォレット決済が実行される場合を表しているが、より一般的に、共有ウォレット設定情報176に設定された利用制限に反する共有ウォレット決済が実行される際には、インターフェース部120は、第1利用者端末装置10Aに、当該共有ウォレット決済の実行を許可するか否かを問い合わせてもよい。例えば、第2利用者が共有ウォレット設定情報176に設定された利用可能時間外や利用可能店舗業種(又は利用可能店舗)外における共有ウォレット決済を実行しようと試みた場合、インターフェース部120は、第1利用者端末装置10Aに、当該共有ウォレット決済の実行を許可するか否かを問い合わせてもよい。
【0053】
さらに、
図12では、一例として、第2利用者によって利用制限に反する共有ウォレット決済が実行される際に問い合わせを行う例について説明しているが、本発明は、そのような構成に限定されない。例えば、第2利用者は、決済を行わない通常時においても、決済アプリ20B上で、利用制限に反する共有ウォレット決済を一時的に許可することを依頼するリクエスト情報を入力し、第2利用者端末装置10Bは、入力されたリクエスト情報を第1利用者端末装置10Aに送信してもよい。その後、第1利用者は、受信したリクエスト情報を第1利用者端末装置10A上で確認して許可を行った場合、決済処理部140は、一時的に第2利用者端末装置10Bによる共有ウォレット決済を許可してもよい。その場合、共有ウォレット決済が許可される期間および金額は、第2利用者がリクエスト情報として指定可能なものであってもよいし、リクエストを受けた第1利用者が第1利用者端末装置10A上で指定可能なものであってもよい。
【0054】
さらに、別の機能として、インターフェース部120は、第2利用者端末装置10Bに、共有ウォレット設定情報176の内容を変更するためのインターフェース画面を提供して第2利用者による入力を受け付け、第1利用者が当該変更内容を許可した場合には、共有ウォレット設定情報176の内容を変更してもよい。
【0055】
図13は、第1利用者端末装置10Aに問い合わせされる設定情報変更通知の一例を示す図である。
図13に示す通り、例えば、第2利用者が共有ウォレット設定情報176に設定された利用可能時間を変更しようと試みた場合、インターフェース部120は、第1利用者端末装置10Aに、当該利用可能時間の変更を許可するか否かを問い合わせる。例えば、第1利用者が許可ボタンB6を押下すると、インターフェース部120は、利用可能時間の変更を受け付けて共有ウォレット設定情報176を更新する一方、第1利用者が非許可ボタンB7を押下すると、インターフェース部120は、利用可能時間の変更を受け付けて共有ウォレット設定情報176を更新しない。これにより、第2利用者による適切な共有ウォレットの使用を監督することができる。
【0056】
なお、
図13は、共有ウォレット設定情報176に設定された利用可能時間の変更を受け付ける場合を表しているが、より一般的に、インターフェース部120は、共有ウォレット設定情報176に設定された設定内容の変更を受け付けてもよい。例えば、第2利用者が共有ウォレット設定情報176に設定された決済上限金額や利用可能店舗業種(又は利用可能店舗)の変更を試みた場合、インターフェース部120は、第1利用者端末装置10Aに、当該変更を許可するか否かを問い合わせてもよい。
【0057】
さらに、別の機能として、決済処理部140は、共有ウォレット決済の残高金額が閾値未満となり、かつ当該残高金額を利用した共有ウォレット決済に不足金額が発生した場合、不足金額に相当する金額分、第1利用者端末装置10Aのチャージ残高から引き落とすことによって、共有ウォレット決済を完了させてもよい。これにより、共有ウォレット決済の残高金額に端数が発生した場合であっても、第2利用者は、送金された送金金額を無駄なく利用することができる。
【0058】
図14は、共有ウォレット決済に不足金額が発生した場合に第2利用者端末装置10Bに表示される画面の一例を示す図である。
図14に示す通り、例えば、共有ウォレット決済の残高金額が閾値(例えば、500円)未満となった場合、インターフェース部120は、第2利用者端末装置10Bに、閾値までの金額に相当する共有ウォレット決済が可能である旨の情報を表示させる。第2利用者が、この情報に基づいて、例えば、支払い金額500円を入力して、支払いボタンB1を押下した場合、決済処理部140は、共有ウォレットの残高金額240円を引き落とすとともに、不足金額500円-240円=260円に相当する金額分、第1利用者端末装置10Aのチャージ残高から引き落とす(補てんする)ことによって、共有ウォレット決済を完了させる。
【0059】
なお、上記の補てん処理の実行有無および閾値の値は、第1利用者が、第1利用者端末装置10A上で設定可能なものであってもよい。その場合、インターフェース部120は、設定された補てん処理の実行有無および閾値の値を共有ウォレット設定情報176に記憶し、第2利用者端末装置10Bによる決済時に、共有ウォレット設定情報176を参照して、設定された補てん処理の実行有無および閾値の値に応じた処理を実行する。
【0060】
さらに、別の機能として、インターフェース部120は、共有ウォレットの残高金額が閾値未満となった場合、第1利用者端末装置10Aに残高金額のチャージを要求するためのインターフェース画面を第2利用者端末装置10Bに提供してもよい。これにより、定期的な送金金額では決済不可能な物品やサービスを購入する必要が発生した際にも、利用者にとっての利便性を向上させることができる。
【0061】
図15は、共有ウォレットの残高金額のチャージを要求するために第2利用者端末装置10Bに表示される画面の一例を示す図である。
図15に示す通り、例えば、共有ウォレット決済の残高金額が閾値(例えば、500円)未満となった場合、インターフェース部120は、第1利用者端末装置10Aに残高金額のチャージを要求するためのリクエストボタンB8を第2利用者端末装置10Bに表示させる。このとき、第2利用者は、リクエストボタンB8を押下して、要求金額を入力し、第2利用者端末装置10Bは、入力された要求金額を第1利用者端末装置10Aに送信する。第1利用者は、第1利用者端末装置10A上で要求金額を確認し、許可を行った場合には、第1利用者端末装置10Aのチャージ残高から、要求金額に相当する金額分、共有ウォレットの残高金額に加算される。なお、
図15は、第2利用者端末装置10Bの決済画面において、残高金額のチャージを要求する場合を表しているが、本発明はそのような構成に限定されず、例えば、共有ウォレット決済の残高金額が閾値未満となった場合、インターフェース部120は、第1利用者端末装置10A又は第2利用者端末装置10Bにプッシュ通知を行い、いずれかの端末装置から残高金額のチャージリクエストを行ってもよい。
【0062】
なお、上記の実施形態では、説明の便宜上、インターフェース部120と決済処理部140が主に共有ウォレット決済に係る処理を実行するものとして説明したが、決済サーバ100に含まれる任意のソフトウェア機能部が、共有ウォレット決済に係る処理を行ってもよいし、インターフェース部120と決済処理部140の機能は、適宜、決済アプリ20に実装されるものであってもよい。
【0063】
以上の通り説明した本実施形態によれば、電子決済サービスを利用する第1利用者の第1利用者端末装置から、電子決済サービスの決済に所定期間中に利用可能な金額枠を、所定スケジュールに従って電子決済サービスを利用する一以上の第2利用者の第2利用者端末装置に付与することの指定を受け付け、受け付けた指定に基づいて、金額枠を第2利用者端末装置に付与し、金額枠が第2利用者端末装置に付与された場合、第1利用者端末装置の電子決済サービスにおける利用可能枠のうち、金額枠に相当する金額の利用を制限する。これにより、電子決済サービスの利用者にとっての利便性を向上させることができる。
【0064】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0065】
10 利用者端末装置
20 決済アプリ
50 第1店舗端末装置
70 第2店舗端末装置
100 決済サーバ
110 通信部
120 インターフェース部
130 決済コンテンツ提供部
140 決済処理部
170 記憶部
【要約】
【課題】電子決済サービスの利用者にとっての利便性を向上すること。
【解決手段】電子決済サービスを利用する第1利用者の第1利用者端末装置から、前記電子決済サービスの決済に所定期間中に利用可能な金額枠を、前記電子決済サービスを利用する一以上の第2利用者の電子決済サービスアカウントに付与することの指定を受け付けるインターフェース部と、受け付けた前記指定に基づいて、前記金額枠を前記電子決済サービスアカウントに付与する決済処理部と、を備え、前記決済処理部は、前記金額枠が前記電子決済サービスアカウントに付与された場合、前記第1利用者端末装置の前記電子決済サービスにおける利用可能枠のうち、前記金額枠に相当する金額の利用を制限する、情報処理装置。
【選択図】
図4