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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-02
(45)【発行日】2023-05-15
(54)【発明の名称】アンテナ装置
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/02 20060101AFI20230508BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20230508BHJP
   H01Q 1/22 20060101ALI20230508BHJP
   H01L 23/427 20060101ALI20230508BHJP
   F28D 15/02 20060101ALI20230508BHJP
   H01Q 1/42 20060101ALN20230508BHJP
   H01Q 23/00 20060101ALN20230508BHJP
【FI】
H01Q1/02
H05K7/20 B
H05K7/20 N
H05K7/20 R
H01Q1/22 Z
H01L23/46 B
F28D15/02 L
F28D15/02 102A
H01Q1/42
H01Q23/00
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022515838
(86)(22)【出願日】2020-09-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-16
(86)【国際出願番号】 KR2020012602
(87)【国際公開番号】W WO2021054755
(87)【国際公開日】2021-03-25
【審査請求日】2022-03-10
(31)【優先権主張番号】10-2019-0115590
(32)【優先日】2019-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0120021
(32)【優先日】2020-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】508112782
【氏名又は名称】ケーエムダブリュ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】弁理士法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キョ スン ジ
(72)【発明者】
【氏名】へー ヨン キム
(72)【発明者】
【氏名】ヨウン ジュン チェ
【審査官】白井 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-099753(JP,A)
【文献】特表2017-502555(JP,A)
【文献】特表2015-528214(JP,A)
【文献】特開2018-073912(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/188205(US,A1)
【文献】米国特許第05732765(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/02
H05K 7/20
H01Q 1/22
H01L 23/427
F28D 15/02
H01Q 1/42
H01Q 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発熱素子が背面に実装された第1基板を収容固定するメインハウジングと、
前記メインハウジングの背面側に着脱可能に結合され、所定の冷媒が充填されかつ、前記冷媒が前記発熱素子から熱を受けて外側へいくほど分散流動するように形成されたパターン流動路に沿って外側に移動しながら前記熱を放熱する少なくとも1つ以上のU(ユー)字状放熱群体と、
前記U字状放熱群体の前記メインハウジングの背面に対する着脱を媒介すると同時に、前記発熱素子から前記U字状放熱群体に熱を捕集伝達する少なくとも1つ以上の熱捕集媒介固定部とを含む、アンテナ装置。
【請求項2】
前記U字状放熱群体は、
前記メインハウジングの背面側下部に備えられた下側放熱部と、
前記メインハウジングの背面側上部に備えられた上側放熱部とを含む、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記複数の発熱素子は、第1発熱素子および第2発熱素子を含み、
前記第1発熱素子は、PA(Power Amplifier)素子であり、前記第2発熱素子は、RFIC用半導体素子またはLNA(Low Noise Amplifier)素子である、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記下側放熱部および前記上側放熱部の間に相当する前記第1基板の背面側に実装された複数の第3発熱素子から発生した熱を放熱する中間放熱群体をさらに含む、請求項2に記載のアンテナ装置。
【請求項5】
前記中間放熱群体は、
前記第3発熱素子の発熱部位に設けられて、前記第3発熱素子から熱を吸収捕集する熱捕集部と、
一端は前記熱捕集部と熱接触し、他端は前記メインハウジングの後方側に備えられたマウンティング兼用放熱部に熱接触するヒートパイプで備えられた熱伝達部とを含む、請求項4に記載のアンテナ装置。
【請求項6】
前記複数の第3発熱素子の発熱量は、少なくとも前記複数の発熱素子の発熱量より大きい、請求項4に記載のアンテナ装置。
【請求項7】
前記U字状放熱群体は、
U字形状の断面を有するように折曲げられかつ、前記冷媒が充填されるように内側に前記パターン流動路が凸加工された内側放熱板と、
U字形状の断面を有するように折曲げられかつ、前記内側放熱板の外側に接合される外側放熱板とを含む、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項8】
前記内側放熱板と前記外側放熱板は、前記パターン流動路に充填された前記冷媒が漏れないように閉鎖接合される、請求項7に記載のアンテナ装置。
【請求項9】
前記パターン流動路は、
前記U字形状の断面のうち連結部位に備えられ、前記熱捕集媒介固定部から熱を受ける熱収容パターン部と、
前記熱収容パターン部と連通して形成され、前記熱収容パターン部から伝達される熱を発散するように前記U字形状の断面の両端部位にそれぞれ形成された放熱パターン部とを含む、請求項7に記載のアンテナ装置。
【請求項10】
前記熱収容パターン部は、前記U字形状の断面の両端部位にそれぞれ形成された前記放熱パターン部を相互連結するように複数の直線形態に形成され、
前記放熱パターン部は、前記複数の直線形態に形成された前記複数の熱収容パターン部の先端と全部連通しかつ、外側へいくほど放熱面積が増加するように形成された、請求項9に記載のアンテナ装置。
【請求項11】
前記放熱パターン部は、
前記内側放熱板と前記外側放熱板とが相互接合されかつ、円形または多角形形状に接合される接合面と、
前記内側放熱板と前記外側放熱板とが相互離隔しかつ、前記接合面の間または前記接合面の外側に前記冷媒が流動する冷媒流動路とを含む、請求項9に記載のアンテナ装置。
【請求項12】
前記熱捕集媒介固定部は、
前記熱収容パターン部の一部が収容されるようにU字形状の型合わせ溝を有する、請求項9に記載のアンテナ装置。
【請求項13】
前記U字状放熱群体は、相互熱境界層の干渉が行われないギャップ距離(Gaps)および高さ(Height)を有するU字形状の断面を有する複数の単位放熱体で備えられた、請求項1に記載のアンテナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ装置(ANTENNA APPARATUS)に関し、より詳しくは、発熱素子から発生した熱の上昇気流の形成による熱集中現象を最大限に抑制し、発熱源から後方に迅速な放熱を誘導するアンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信技術、例えば、MIMO(Multiple-Input Multiple-Output)技術は、複数のアンテナを用いてデータの伝送容量を画期的に増加させる技術であって、送信機ではそれぞれの送信アンテナを介して互いに異なるデータを伝送し、受信機では適切な信号処理により送信データを区分するSpatial multiplexing手法である。
【0003】
したがって、送受信アンテナの個数を同時に増加させることによりチャネル容量が増加してより多くのデータを伝送可能にする。例えば、アンテナ数を10個に増加させると、現在の単一アンテナシステムに比べて同じ周波数帯域を用いて約10倍のチャネル容量を確保する。このようなMIMO技術が適用された送受信装置の場合、アンテナの個数が増えるに伴い、送信機(Transmitter)とフィルタ(Filter)の個数も一緒に増加する。
【0004】
このような送信機およびフィルタの個数の増加によって発熱素子も増加する問題点があり、MIMO技術は、アンテナ装置の性能低下を防止するために、複数の発熱素子から発生する熱を効果的に放熱させる放熱構造に関する研究が先行する。
【0005】
しかし、従来のアンテナ装置は、多数の部品数増加の問題および部品相互間の干渉を回避するために上下に長く複数の発熱素子が配置されることから、その全体的な外形も上下に長く配置され、下部の発熱素子から発生した熱が上側で熱集中して均一なアンテナ性能の維持を妨げる問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、放熱性能が向上したアンテナ装置を提供することである。
【0007】
また、本発明の他の目的は、同一の仕様および諸元の発熱素子の放熱に対応する独立したU字状放熱群体および中間放熱群体を設けかつ、熱の上昇気流による熱集中現象が最小に抑制できるアンテナ装置を提供することである。
【0008】
さらに、本発明のさらに他の目的は、メインハウジングの背面を介して放出される放熱性能を高めて、発熱素子の性能減少が低下するのを防止するアンテナ装置を提供することである。
【0009】
本発明の技術的課題は以上に言及した技術的課題に制限されず、言及されていないさらに他の技術的課題は以下の記載から当業者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によるアンテナ装置の一実施例は、複数の発熱素子が背面に実装された第1基板を収容固定するメインハウジングと、前記メインハウジングの背面側に着脱可能に結合され、所定の冷媒が充填されかつ、前記冷媒が前記発熱素子から熱を受けて外側へいくほど分散流動するように形成されたパターン流動路に沿って外側に移動しながら前記熱を放熱する少なくとも1つ以上のU(ユー)字状放熱群体と、前記U字状放熱群体の前記メインハウジングの背面に対する着脱を媒介すると同時に、前記発熱素子から前記U字状放熱群体に熱を捕集伝達する少なくとも1つ以上の熱捕集媒介固定部とを含む。
【0011】
ここで、前記U字状放熱群体は、前記メインハウジングの背面側下部に備えられた下側放熱部と、前記メインハウジングの背面側上部に備えられた上側放熱部とを含むことができる。
【0012】
また、前記複数の発熱素子は、第1発熱素子および第2発熱素子を含み、前記第1発熱素子Pは、PA(Power Amplifier)素子であり、前記第2発熱素子Sは、RFIC用半導体素子またはLNA(Low Noise Amplifier)素子であってもよい。
【0013】
また、前記下側放熱部および前記上側放熱部の間に相当する前記第1基板の背面側に実装された複数の第3発熱素子から発生した熱を放熱する中間放熱群体をさらに含むことができる。
【0014】
また、前記中間放熱群体は、前記第3発熱素子の発熱部位に設けられて、前記第3発熱素子から熱を吸収捕集する熱捕集部と、一端は前記熱捕集部と熱接触し、他端は前記メインハウジングの後方側に備えられたマウンティング兼用放熱部に熱接触するヒートパイプで備えられた熱伝達部とを含むことができる。
【0015】
また、前記複数の第3発熱素子の発熱量は、少なくとも前記複数の発熱素子の発熱量より大きい。
【0016】
また、前記U字状放熱群体は、U字形状の断面を有するように折曲げられかつ、前記冷媒が充填されるように内側に前記パターン流動路が凸加工された内側放熱板と、U字形状の断面を有するように折曲げられかつ、前記内側放熱板の外側に接合される外側放熱板とを含むことができる。
【0017】
また、前記内側放熱板と前記外側放熱板は、前記パターン流動路に充填された前記冷媒が漏れないように閉鎖接合される。
【0018】
また、前記パターン流動路は、前記U字形状の断面のうち連結部位に備えられ、前記熱捕集媒介固定部から熱を受ける熱収容パターン部と、前記熱収容パターン部と連通して形成され、前記熱収容パターン部から伝達される熱を発散するように前記U字形状の断面の両端部位にそれぞれ形成された放熱パターン部とを含むことができる。
【0019】
また、前記熱収容パターン部は、前記U字形状の断面の両端部位にそれぞれ形成された前記放熱パターン部を相互連結するように複数の直線形態に形成され、前記放熱パターン部は、前記複数の直線形態に形成された前記複数の熱収容パターン部の先端と全部連通しかつ、外側へいくほど放熱面積が増加するように形成される。
【0020】
また、前記放熱パターン部は、前記内側放熱板と前記外側放熱板とが相互接合されかつ、円形または多角形形状に接合される接合面と、前記内側放熱板と前記外側放熱板とが相互離隔しかつ、前記接合面の間または前記接合面の外側に前記冷媒が流動する冷媒流動路とを含むことができる。
【0021】
また、前記熱捕集媒介固定部は、前記熱収容パターン部の一部が収容されるようにU字形状の型合わせ溝を有することができる。
【0022】
また、前記U字状放熱群体は、相互熱境界層の干渉が行われないギャップ距離(Gaps)および高さ(Height)を有するU字形状の断面を有する複数の単位放熱体で備えられる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によるアンテナ装置の一実施例によれば、発熱素子ごとに独立したU字状放熱群体および中間放熱群体を介して効果的に放熱させるとともに、上下に長く形成されたメインハウジングの背面で熱の上昇気流による熱集中現象を最小化することにより、部品の性能低下が発生するのを防止できる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1A】本発明の一実施例によるアンテナ装置の前面の外観を示す斜視図である。
図1B】本発明の一実施例によるアンテナ装置の背面の外観を示す斜視図である。
図2図1Aの分解斜視図である。
図3図1Bの分解斜視図である。
図4図2の構成のうちメインハウジングと第2基板との結合関係を示す分解斜視図である。
図5A図2の構成のうち中間放熱群体のメインハウジングの背面に対する設置の様子を示す前面側分解斜視図である。
図5B図2の構成のうち中間放熱群体のメインハウジングの背面に対する設置の様子を示す背面側分解斜視図である。
図6】本発明の一実施例によるアンテナ装置の断面図およびその一部拡大図である。
図7】本発明の一実施例によるアンテナ装置の構成のうち単位放熱体を示す斜視図である。
図8図7の構成のうち内側放熱板の展開図である。
図9図7の分解斜視図である。
図10図7のA-A線に沿った切開斜視図である。
図11】本発明の一実施例によるアンテナ装置の効果を証明するための複数の発熱素子および複数のU字状放熱群体の配置関係を示す断面図および背面図である。
図12図11の「B」部分を拡大した拡大図である。
図13】本発明の一実施例によるアンテナ装置の構成のうち熱捕集媒介固定部による放熱速度を示すシミュレーション図である。
図14】本発明の一実施例によるアンテナ装置の構成のうち熱捕集媒介固定部による熱伝達の様子を示すシミュレーション図である。
図15】本発明の一実施例によるアンテナ装置の構成のうち単位放熱体の最適な高さ設計のための熱伝達シミュレーション図である。
図16】本発明の一実施例によるアンテナ装置の構成のうち単位放熱体の最適なギャップ距離設計のための熱伝達シミュレーション図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明によるアンテナ装置の実施例を、添付した図面を参照して詳細に説明する。
各図面の構成要素に参照符号を付すにあたり、同一の構成要素については、たとえ他の図面上に表示されてもできるだけ同一の符号を有するようにしていることに留意しなければならない。また、本発明の実施例を説明するにあたり、かかる公知の構成または機能に関する具体的な説明が本発明の実施例に対する理解を妨げると判断された場合、その詳細な説明は省略する。
【0026】
本発明の実施例の構成要素を説明するにあたり、第1、第2、A、B、(a)、(b)などの用語を使うことができる。このような用語はその構成要素を他の構成要素と区別するためのものに過ぎず、その用語によって当該構成要素の本質や順番または手順などが限定されない。また、他に定義されない限り、技術的または科学的な用語を含む、ここで使われるすべての用語は、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。一般的に使われる辞書に定義されているような用語は、関連技術の文脈上有する意味と一致する意味を有すると解釈されなければならず、本出願において明らかに定義しない限り、理想的または過度に形式的な意味で解釈されない。
【0027】
図1Aおよび図1Bは、本発明の一実施例によるアンテナ装置の前面の外観および背面の外観を示す斜視図であり、図2は、図1Aの分解斜視図であり、図3は、図1Bの分解斜視図であり、図4は、図2の構成のうちメインハウジングと第2基板との結合関係を示す分解斜視図である。
【0028】
本発明の一実施例によるアンテナ装置1は、図1A図3に示すように、前方に開口した収容空間を形成し、略上下方向に長くて薄い前後収容幅を有する直方体形状に形成されたメインハウジング20と、メインハウジング20の収容空間の内側に収容されたPAU(パワー増幅器、Power Amplifier Unit)およびDTU(デジタル送受信ユニット、Digital Transceving Unit)用基板としてクラムシェル(Clamshell)28を介在して複数のMBF(Multi Band Filter)素子24が前面に実装され、複数の第1発熱素子P、複数の第2発熱素子Sおよび複数の第3発熱素子Fが背面に実装された第1基板23と、複数のアンテナ素子22が実装された第2基板21とを含む。
【0029】
一般的に、第1基板23は、メインボードと称され、第2基板21は、アンテナボードと称される。第1発熱素子Pおよび第2発熱素子Sは、出力電力が異なる素子であって、第1発熱素子Pは、PA(Power Amplifier)素子であり、第2発熱素子Sは、RFIC用半導体素子またはLNA(Low Noise Amplifier)素子であってもよい。第1発熱素子PであるPA素子は、高周波電力増幅器の主要発熱部品であるトランジスタであって出力電力が大きいRF素子であり、第2発熱素子SであるRFIC用半導体素子またはLNA(Low Noise Amplifier)素子に比べて発熱量が大きい。
【0030】
第2発熱素子Sより発熱量が大きい第1発熱素子Pは、後述するメインハウジング20の熱接触部29に第2発熱素子Sよりも近く配置されるように設計することができ、それによって第1発熱素子Pで発生した熱は、熱接触部29との直接表面熱接触により容易に熱伝導されて、メインハウジング20の背面側に設けられたU字状放熱群体100を介して放熱される。
【0031】
一方、本実施例によるアンテナ装置1は、メインハウジング20の収容空間を遮蔽しかつ、電磁波が貫通する材質で備えられて、メインハウジング20の前方側に固定されるレドーム10と、メインハウジング20の後方に着脱可能に備えられて、上述した第1発熱素子Pおよび第2発熱素子Sから発生する熱を外部に放熱するU字状放熱群体100とをさらに含むことができる。
【0032】
これとともに、上述した第1基板23および第2基板21とは分離されて設けられかつ、メインハウジング20の背面側に着脱可能に設けられるPSUハウジング31を含む電源部をさらに含むことができる。PSUハウジング31の内部には、実質的に電源を上述した第1発熱素子P~第3発熱素子Fに供給する複数のPSU(パワーサプライユニット、Power Supply Unit)素子34が実装されたPSU用基板33が内蔵され、PSUハウジング31の外側には、独立して複数のPSU素子34から発熱する熱を放熱する複数のPSU放熱フィン32が備えられる。PSUハウジング31は、PSU用基板33が内蔵されるPSU収容空間を遮蔽しながらメインハウジング20との境界を区画するPSUカバー35をさらに含むことができる。
【0033】
一般的に、アンテナ装置1の場合、周波数形態で出力および入力される信号の送受信の役割を果たすアンテナ素子22のような部品素子は、レドーム10の近傍に位置した第2基板21の前面に実装され、発熱を伴う第1発熱素子P~第3発熱素子FおよびPSUユニット素子34のような部品素子は、メインハウジング20の背面側に放熱が行われるように、通常、第1基板23に実装されるか、第1基板23に近接して実装される。このために、通常のアンテナ装置1の場合には、後方側の外観を構成するメインハウジング20の背面側に複数の放熱フィンがメインハウジング20と一体に形成される。
【0034】
本発明の一実施例によるアンテナ装置1の構成のうちU字状放熱群体100および中間放熱群体240は、上述した通常のアンテナ装置1の複数の放熱フィンとは異なり、メインハウジング20に対して着脱可能に備えられる。したがって、第2基板21側に実装される第1発熱素子P、第2発熱素子Sおよび第3発熱素子Fの位置および発熱量によって異なる形態のU字状放熱群体100および中間放熱群体240の設置位置および形状設計が可能なため、放熱性能を最大化できるというメリットを有する。
【0035】
より詳しくは、本発明の一実施例によるアンテナ装置1は、図1A図3に示すように、複数の第1発熱素子Pおよび複数の第2発熱素子Sがそれぞれ離隔分散されて背面に実装された第1基板23を収容固定するメインハウジング20と、メインハウジング20の背面側に着脱可能に結合され、所定の冷媒が充填されかつ、冷媒が第1発熱素子Pおよび第2発熱素子Sから熱を受けて外側へいくほど分散流動するように形成されたパターン流動路109に沿って外側に移動しながら熱を放熱する少なくとも1つ以上のU字状放熱群体100とを含む。
【0036】
本発明の一実施例によるアンテナ装置1において、第3発熱素子Fが第1基板23の背面の中間部位に実装配置され、第1発熱素子Pおよび第2発熱素子Sが第3発熱素子Fを挟んで上側および下側に分散実装されるので、U字状放熱群体100も、メインハウジング20の背面の上側および下側にそれぞれ2つの群体として設けられる。上側と下側にそれぞれ設けられたU字状放熱群体100の間の空間には後述する中間放熱群体240が位置することができる。
【0037】
ここで、U字状放熱群体100は、メインハウジング20の背面に対する着脱を媒介すると同時に、第1発熱素子Pおよび第2発熱素子SからU字状放熱群体100に熱を捕集伝達する少なくとも1つ以上の熱捕集媒介固定部27によってメインハウジング20の背面に着脱可能である。メインハウジング20の背面側には、第1発熱素子Pおよび第2発熱素子Sが後方側に露出するように備えられた複数の露出孔(図示せず)が形成される。
【0038】
しかし、必ずしも複数の露出孔が形成される必要はなく、メインハウジング20自体が金属材質の熱伝導性材質であることから、第1発熱素子Pおよび第2発熱素子Sがメインハウジング20の内側面に直接表面熱接触する構造で備えられれば十分である。
【0039】
すなわち、図4を参照すれば、第2基板21の背面側には、第1発熱素子Pおよび第2発熱素子Sが後方に突出して複数箇所実装配置され、メインハウジング20の内側面には、第1発熱素子Pおよび第2発熱素子Sの実装位置に対応する位置に前方に突出してそれぞれ第1発熱素子Pおよび第2発熱素子Sの背面に直接表面熱接触するように配置された熱接触部29がメインハウジング20と一体に形成される。したがって、第1発熱素子Pおよび第2発熱素子Sから発生した熱は、熱接触部29との直接表面熱接触により熱伝導されて、メインハウジング20の背面側に設けられたU字状放熱群体100を介して非常に高い放熱性能を維持しながら能動的に後方放熱される。これに関する具体的な説明は、後でより詳しく説明する。
【0040】
これとともに、本発明の一実施例によるアンテナ装置1は、図3に示すように、メインハウジング20の背面側に相当する第1基板23の背面部位に、相対的に第1発熱素子Pおよび第2発熱素子Sより発熱量が高いFPGA(Field Programable Gate Array)素子で備えられる第3発熱素子Fから発生した熱を外部に放熱させる中間放熱群体240をさらに含むことができる。
【0041】
図5Aおよび図5Bは、図2の構成のうち中間放熱群体のメインハウジングの背面に対する設置の様子を示す前面側分解斜視図および背面側分解斜視図である。
【0042】
本発明の一実施例によるアンテナ装置1は、上述したU字状放熱群体100のほかに、第3発熱素子Fの専用放熱のために中間放熱群体240をさらに含む。すなわち、本発明の一実施例によるアンテナ装置1は、第3発熱素子Fから発生した熱を上述したU字状放熱群体100を介してもメインハウジング20の後方放熱が十分に可能であるが、メインハウジング20での不均一な熱の発生による放熱性能の低下を防止するために、第3発熱素子Fから発生した熱のみを専用で後方放熱させるために中間放熱群体240を設ける。
【0043】
中間放熱群体240は、図5Aおよび図5Bに示すように、第3発熱素子Fの発熱部位に設けられて、第3発熱素子Fから熱を吸収捕集する熱捕集部241と、一端は熱捕集部241と熱接触し、他端は後方側に備えられたマウンティング兼用放熱部210に熱接触する熱伝達部243とを含むことができる。
【0044】
熱伝達部243は、複数のヒートパイプで備えられる。ヒートパイプは、内部に冷媒が充填される形態であって、一側から所定の熱が供給されると、内部の冷媒が気化して他側に移動し、他側で放熱されながら液化した後、再度一側に移動して気化することを繰り返し行う閉鎖型熱交換器の一種である。すなわち、中間放熱群体240は、第1発熱素子Pおよび第2発熱素子Sに比べて発熱量が相対的に大きい第3発熱素子Fの発熱部位から、上述したU字状放熱群体100とは独立して熱を受けてメインハウジング20の後方側に放熱するための構成である。
【0045】
熱捕集部241は、図5Aおよび図5Bに示すように、複数のヒートパイプで備えられた熱伝達部243の一端部をメインハウジング20の背面に複数の溝形状に形成されたパイプ収容部(図面符号表記せず)側に熱接触結合させる役割を果たすと同時に、熱伝達部243の一端部を介して伝達される熱を1次放熱させる役割を果たす。
【0046】
このために、熱捕集部241は、複数のヒートパイプで備えられた熱伝達部243の一端部をパイプ収容部側に密着結合させる前端結合プレート241aと、前端結合プレート241aから後方に所定長さ延びかつ、上下垂直方向に配列された複数の放熱フィン形状に形成された中間放熱フィン242とを含むことができる。中間放熱フィン242は、熱伝達部243の一端部(前端部)と他端部(後端部)との間に配置されて、前端結合プレート241aを介して伝達される熱を直接外気に放熱する役割を果たす。
【0047】
マウンティング兼用放熱部210は、図示しないが、支柱ポールに連結されたアンテナ装置1用クランピング機構へのアンテナ装置1の結合を媒介する役割を果たす。より詳しくは、マウンティング兼用放熱部210は、メインハウジング20の左右両側に固定される一対の固定板部215と、一対の固定板部215の後方部を相互連結し、複数の放熱フィンが左右に離隔して形成されたマウンティング放熱フィン部220とを含むことができる。
【0048】
ここで、中間放熱群体240の構成のうち熱伝達部243の他端部は、マウンティング兼用放熱部210のマウンティング放熱フィン部220側の内部(すなわち、前面部)に形成されたパイプ載置部230に後端結合プレート243aを介在して熱接触するように連結される。後端結合プレート243aは、先に説明した前端結合プレート241aと同じく、複数のヒートパイプで備えられた熱伝達部243の後端部をパイプ載置部230に密着結合させる役割を果たす。マウンティング兼用放熱部210のマウンティング放熱フィン部220は、上述したU字状放熱群体100よりメインハウジング20の背面側からより後方側に位置するので、相対的に発熱量が大きい第3発熱素子Fから発生した熱がその他の第1発熱素子Pおよび第2発熱素子Sの発熱による熱の混合(mixing)が防止されながら容易に外部放熱が可能であることから、メインハウジング20内部の熱分布がU字状放熱群体100のみを備えた場合よりも均一になるという利点を有する。
【0049】
一方、U字状放熱群体100は、上述のように、第3発熱素子Fが備えられたメインハウジング20の背面中間を基準としてメインハウジング20の背面側下部に備えられた下側放熱部120と、メインハウジング20の背面側上部に備えられた上側放熱部110とを含むことができる。このように、U字状放熱群体100は、下側放熱部120と上側放熱部110とに区分したのは、上述した第3発熱素子Fがメインハウジング20の背面側に位置した第1基板23の中間部分に位置した結果であり、もし第3発熱素子Fがメインハウジング20の中間部分ではなく下側または上側に位置した場合には、U字状放熱群体100は、上述した下側放熱部120および上側放熱部110の区分なしに単一の放熱部で形成されることも可能であることは当然といえる。
【0050】
本発明の一実施例によるアンテナ装置1では、図5Aおよび図5Bに示すように、第1発熱素子Pおよび第2発熱素子Sは、メインハウジング20の背面側のうち中間部分を除いた下部側および上部側に相当する部位に位置し、中間部分には第3発熱素子Fが位置すると限定して説明する。
【0051】
これとともに、第1発熱素子Pは、相対的に第2発熱素子Sに比べて発熱量が大きい部品素子に限定し、第1発熱素子Pの周辺に複数の第2発熱素子Sが広く分散配置されたと限定して説明する。ただし、このような第1発熱素子Pおよび第2発熱素子Sの位置設計は、単に本発明の一実施例において後述する図11図16の試験結果を導出するためのものに過ぎず、必ずしもこのような位置設計によって本発明の権利範囲が限定されてはならない。
【0052】
図6は、本発明の一実施例によるアンテナ装置の断面図およびその一部拡大図であり、図7は、本発明の一実施例によるアンテナ装置の構成のうち単位放熱体を示す斜視図であり、図8は、図7の構成のうち内側放熱板の展開図であり、図9は、図7の分解斜視図であり、図10は、図7のA-A線に沿った切開斜視図である。
【0053】
本発明によるアンテナ装置1の一実施例において、U字状放熱群体100は、複数の単位放熱体100Uで備えられて、それぞれメインハウジング20の背面側に上下長手方向に長く結合されかつ、メインハウジング20の左右方向にそれぞれ所定距離離隔したギャップ距離(Gaps)を有するように配置される。
【0054】
複数の単位放熱体100Uは、図6図10に示すように、英文字U(ユー)字形状の断面を有するように折曲げられかつ、冷媒が充填されるようにU(ユー)字形状の内側にパターン流動路109が凸加工された内側放熱板102と、英文字U(ユー)字形状の断面を有するように折曲げられかつ、内側放熱板102の外側に接合される外側放熱板101とを含むことができる。
【0055】
より詳しくは、図6に示すように、複数の単位放熱体100UのうちU字形状の開口した両端部位は、メインハウジング20の背面側から後方側(図6の図面上上側)に向かって開口させるとともに、U字形状の連結部位は、メインハウジング20の背面側に備えられた熱捕集媒介固定部27に型合わされるように着脱可能である。このために、熱捕集媒介固定部27は、外側放熱板101のU字折曲部分の外側面が完全接触する形状に予め加工形成されることが好ましい。
【0056】
したがって、単位放熱体100Uの構成のうちU字形状の連結部位は、第1発熱素子Pまたは第2発熱素子Sからメインハウジング20を介在する間接熱接触により熱を捕集および伝達する機能を行う部分であり(後述する熱収容パターン部108参照)、単位放熱体100Uの構成のうちU字形状の開口した両端部位は、U字形状の連結部位を介して伝達される熱を最終的に放熱する機能を行う部分である(後述する放熱パターン部105、106参照)。
【0057】
本発明の一実施例において、単位放熱体100Uのうちパターン流動路109が凸加工された構成は、内側放熱板102であり、外側放熱板101は、パターン流動路109が凸加工された内側放熱板102の外側に接合されるように備えられると限定しているが、逆に、外側放熱板101が外側にパターン流動路109が凸加工形成され、内側放熱板102が外側放熱板101の内側に接合される実施例の実現も可能であろう。
【0058】
単位放熱体100Uのパターン流動路109に充填される冷媒は、上述した中間放熱群体240の熱伝達部243であるヒートパイプと類似の冷媒であってもよい。すなわち、閉鎖されたパターン流動路109に充填された後、後述する熱収容パターン部108から所定の熱を受けると気化して、放熱パターン部105、106側に移動して放熱できる相変化可能な熱伝達媒体であってもよい。
【0059】
内側放熱板102と外側放熱板101は、パターン流動路109に充填された冷媒が漏れないように閉鎖接合されることが好ましい。一旦充填された冷媒は再充填なしに再使用可能である。冷媒の相変化を誘導するために、別の駆動力を形成する圧縮機のような駆動要素を必要としない。
【0060】
図7に示すように、内側放熱板102と外側放熱板101との間に形成されたパターン流動路109に冷媒が充填可能にパターン流動路109に連結され、内側放熱板102および外側放熱板101の長手方向の一側端部に所定長さ延びた一対の冷媒充填口103、104が、上述したパターン流動路109の形成方法と同様の方式で加工形成される。一対の冷媒充填口103、104は、冷媒が充填された後には相互接合されることにより、充填された冷媒がパターン流動路109上で閉鎖された状態で漏れない。
【0061】
一方、パターン流動路109は、図8および図9に示すように、単位放熱体100UのU字形状の断面のうち連結部位に備えられ、熱捕集媒介固定部27から熱を受ける熱収容パターン部108と、熱収容パターン部108と連通して形成され、熱収容パターン部108から伝達される熱を発散するようにU字形状の断面の両端部位にそれぞれ形成された放熱パターン部105、106とを含むことができる。
【0062】
熱収容パターン部108は、U字形状の断面の両端部位にそれぞれ形成された放熱パターン部105、106を相互連結するように複数の直線形態に形成される。このような熱収容パターン部108は、単位放熱体のU字形状の湾曲部位を連結するように備えられることから、内部に充填された冷媒が後述する熱捕集媒介固定部27に型合わされて容易に熱を捕集および伝達することができる。
【0063】
より詳しくは、図8および図9に示すように、熱捕集媒介固定部27の外側面に熱収容パターン部108に相当する部位が型合わされるように締結ねじのような締結部材を用いて独立して締結可能である。このために、単位放熱体100Uの内側放熱板102および外側放熱板101には、熱収容パターン部108の間を貫通するように形成されて締結部材が締結される複数のねじ締結孔107が形成される。
【0064】
放熱パターン部105、106は、複数の直線形態に形成された複数の熱収容パターン部108の先端と全部連通しかつ、外側へいくほど放熱面積が増加するように形成される。このような放熱パターン部105、106は、内側放熱板102と外側放熱板101とが相互接合されかつ、円形または多角形の形状に接合される接合面105と、内側放熱板102と外側放熱板101とが相互離隔しかつ、接合面105の間または接合面105の外側に冷媒が流動する冷媒流動路106とを含むことができる。本発明の一実施例では、接合面105が多角形の形状に形成されかつ、図5図8に示すように、ヘキサゴン(hexagon、六角形)形状に形成されるものとして採用している。しかし、この形状によって本発明の権利範囲が限定されてはならない。
【0065】
本発明の一実施例において、放熱パターン部105、106の構成のうち接合面105がヘキサゴン形状を取ると限定して説明しているが、多角形または円形に形成できることはもちろん、内部に充填された冷媒の相変化に関与する温度条件を満たすすべての形状の採用が可能であることは当然といえる。
【0066】
熱収容パターン部108は、図10に示すように、内側放熱板102と外側放熱板101との間に非常に微細な間隔を有するように形成されることから、所定の熱が伝達されると、熱収容パターン部108に充填された冷媒の気化が円滑に行われ、気化した冷媒は放熱パターン部105、106側に移動する。
【0067】
冷媒流動路106は、複数のヘキサゴン形状の接合面105の個数に関係なく、内部に充填された冷媒が断絶なく流動可能に連結された形態に形成される。ここで、冷媒流動路106は、単位放熱体100Uの長手方向の一側最外郭および長手方向の他側最外郭に位置した熱収容パターン部108の端部から放熱パターン部105、106の端部側へいくほど次第に単位放熱体100の長手方向の両側に長さが延びる形状に形成されることが好ましい。これは、放熱パターン部105、106の構成のうち冷媒流動路106の面積を増加させて熱伝達面積に増加させるためである。
【0068】
熱収容パターン部108から気化して冷媒流動路106に流動した冷媒は、冷媒流動路106上で外気と熱交換しながら凝縮されて再度液化することにより、熱収容パターン部108側に移動することを繰り返す。
【0069】
一方、U字状放熱群体100は、図6に示すように、熱捕集媒介固定部27を介在してメインハウジング20の背面側に着脱可能に結合できる。熱捕集媒介固定部27は、メインハウジング20の背面側にメインハウジング20と一体に加工形成できることはもちろん、別途に製造されてメインハウジング20の背面側に結合されるように備えられることも可能である。
【0070】
熱捕集媒介固定部27は、図6に示すように、上述したU字形状の断面を有する熱収容パターン部108側の湾曲部位の外側面の一部が収容されるようにメインハウジング20に向かって凹んでU字形状の型合わせ溝が溝加工形成される。したがって、熱収容パターン部108の一部が型合わせ溝によって熱接触する時、より多くの面積の熱接触が行われるので、熱伝達率が向上できる。熱収容パターン部108側が収容される型合わせ溝の高さ(熱捕集媒介固定部27の平らな面から型合わせ溝の端部までの離隔距離をいう)の設定は、後述する実験データによって多様な大きさに決定可能である。
【0071】
図11は、本発明の一実施例によるアンテナ装置の効果を証明するための複数の発熱素子および複数のU字状放熱群体の配置関係を示す断面図および背面図であり、図12は、図11の「B」部分を拡大した拡大図である。
【0072】
本発明によるアンテナ装置1の一実施例では、図11および図12に示すように、U字状放熱群体100による実験的効果を証明するために、第1基板23の背面上に第1発熱素子Pの4個をそれぞれ上側に2個および下側に2個が相互左右方向に所定距離離隔するように配置した後、第2発熱素子Sの7個を上側の第1発熱素子Pと下側の第1発熱素子Pとの間である中間部分に左右方向に所定距離離隔して配置する。
【0073】
U字状放熱群体100の各単位放熱体間の隔離距離は、ギャップ距離(Gaps)と定義し、単位放熱体のU字形状の断面の内側底面から開口した両端までの隔離距離は、高さ(Height)と定義することとし、約摂氏45℃の自然対流状態で所定の発熱が行われた状態の熱の流れを観察して所定の試験データを導出した。
【0074】
これは、U字状放熱群体100の各単位放熱体間の隔離距離であるギャップ距離(Gaps)とその高さ(Height)の最適値を設計するためのものである。しかし、本試験データは、単にギャップ距離(Gaps)およびその高さ(Height)の関係の原理を定義しようとするものに過ぎず、その試験データによって限定されるものではない。すなわち、メインハウジング20の全体大きさおよび第1発熱素子Pと第2発熱素子Sの個数と相互隔離距離などによって試験データは完全に異なる結果値を示し得るからである。
【0075】
図13は、本発明の一実施例によるアンテナ装置の構成のうち熱捕集媒介固定部による放熱速度を示すシミュレーション図であり、図14は、本発明の一実施例によるアンテナ装置の構成のうち熱捕集媒介固定部による熱伝達の様子を示すシミュレーション図であり、図15は、本発明の一実施例によるアンテナ装置の構成のうち単位放熱体の最適な高さ設計のための熱伝達シミュレーション図であり、図16は、本発明の一実施例によるアンテナ装置の構成のうち単位放熱体の最適なギャップ距離設計のための熱伝達シミュレーション図である。
【0076】
図13を参照すれば、U字状放熱群体100が備えられた第1発熱素子Pおよび第2発熱素子S周辺の熱の流れは、非常に均一な熱の流れ速度(Velocity)を有することが確認される。したがって、仮に周辺の第3発熱素子のような発熱部品が存在する場合にも別途に影響されないことを確認することができる。
【0077】
図14および下記表1を参照すれば、熱捕集媒介固定部27が備えられた場合とそうでない場合との差を確認することができる。すなわち、熱捕集媒介固定部27が備えられた場合には、そうでない場合より約-0.4℃~-3.4℃の範囲の温度差を示す。これは、熱捕集媒介固定部27を備えてより広い熱伝達面積を確保した状態で、複数の単位放熱体に均一に熱を伝達することにより、放熱性能を向上させることが分かる指標である。
【0078】
【表1】
【0079】
一方、図15を参照すれば、単位放熱体100Uの高さ(Height)は、70mm以上かつ90mm以下の時、熱干渉が発生せずに放熱がうまく行われることを、シミュレーション値を通して確認することができた。例えば、単位放熱体100Uの高さが60mmの場合と単位放熱体100Uの高さが100mm以上の場合には、図15に示すように、周辺の単位放熱体100Uと相互熱干渉が発生することにより、放熱性能を低下させることを確認することができた。図16を参照すれば、単位放熱体100U間のギャップ距離(Gaps)は、8mm以上かつ12mm以下の時、相互熱干渉が発生しないことが分かった。すなわち、単位放熱体100U間のギャップ距離(Gaps)が5mm以下の場合と、15mm以上の場合には、図16に示すように、相互間の熱干渉が発生して放熱性能が低下することを確認することができた。
【0080】
しかし、このような試験データは、製造されるアンテナ装置1の仕様に応じて異なる設計指標を提供するものに過ぎず、単位放熱体100U間のギャップ距離(Gaps)および高さ(Height)による放熱性能の差が発生することを示すことにその意義がある。単位放熱体100U間のギャップ距離(Gaps)および高さ(Height)の設計エラーは、上下に長く配置されたアンテナ装置1の複数の第1発熱素子P、第2発熱素子Sおよび第3発熱素子Fから発生した熱による上昇気流によって一定部分で熱集中現象が行われるので、本発明によるアンテナ装置1の一実施例は、上述した熱集中現象を事前に防止して放熱性能の減少を予防するという利点も作り出すことができる。
【0081】
すなわち、上記のように構成される本発明によるアンテナ装置1の一実施例によれば、単位放熱体100Uのギャップ距離(Gaps)および高さ(Height)を相互間の熱干渉が防止される最適な設計によって備えることにより、アンテナ装置1の放熱性能を向上させることができることはもちろん、第3発熱素子Fのように周辺の第1発熱素子Pおよび第2発熱素子Sより相対的に発熱量が大きい部品素子の発熱による上昇気流に影響されることを最小化できるという利点を提供する。
【0082】
以上、本発明によるアンテナ装置の一実施例を、添付した図面を参照して詳細に説明した。しかし、本発明の実施例が必ずしも上述した一実施例によって限定されるものではなく、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者による多様な変形および均等な範囲での実施が可能であることは当然といえる。そのため、本発明の真の権利範囲は後述する特許請求の範囲によって定められる。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明は、発熱素子ごとに独立したU字状放熱群体および中間放熱群体を介して効果的に放熱させるとともに、上下に長く形成されたメインハウジングの背面で熱の上昇気流による熱集中現象を最小化することにより、部品の性能低下が発生するのを防止できるアンテナ装置を提供する。
【符号の説明】
【0084】
1:アンテナ装置 10:レドーム
20:メインハウジング 21:第2基板
22:アンテナ素子 23:第1基板
24:MBF素子 27:熱捕集媒介固定部
30:電源部 31:PSUハウジング
32:PSU放熱フィン 33:PSU用基板
34:PSU素子 100:U字状放熱群体
101:外側放熱板 102:内側放熱板
103、104:冷媒充填口 105:放熱パターン部、接合面
106:放熱パターン部、冷媒流動路 107:ねじ締結孔
108:熱収容パターン部 110:上側放熱部
120:下側放熱部 210:マウンティング兼用放熱部
215:固定板部 220:マウンティング放熱フィン部
240:中間放熱群体 241:熱捕集部
243:熱伝達部 P:第1発熱素子
S:第2発熱素子 F:第3発熱素子
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16