(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-08
(45)【発行日】2023-05-16
(54)【発明の名称】物品取得ゲーム機
(51)【国際特許分類】
A63F 9/30 20060101AFI20230509BHJP
【FI】
A63F9/30 502C
(21)【出願番号】P 2019043906
(22)【出願日】2019-03-11
【審査請求日】2021-12-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000132471
【氏名又は名称】株式会社セガ
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100080953
【氏名又は名称】田中 克郎
(72)【発明者】
【氏名】廣田 進
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 宗興
【審査官】前地 純一郎
(56)【参考文献】
【文献】特許第3477273(JP,B2)
【文献】特開2018-157540(JP,A)
【文献】特開2017-129844(JP,A)
【文献】特開2016-163057(JP,A)
【文献】登録実用新案第3193182(JP,U)
【文献】登録実用新案第3008131(JP,U)
【文献】特開2003-135843(JP,A)
【文献】特開2005-034249(JP,A)
【文献】特開平07-213732(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 9/00- 9/20
A63F 9/26-11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サテライト端末または情報処理端末と、物品取得ゲーム機が通信ネットワークを介して接続された物品取得ゲームシステムであって、
前記サテライト端末または前記情報処理端末の表示装置には、前記通信ネットワークを介して接続された1以上の選択可能な物品取得ゲーム機が表示されると共に、プレイヤの操作によってプレイする物品取得ゲーム機が決定され、
前記物品取得ゲーム機は、
開閉動作によって物品を掴むためのアームと、
前記アームが取り付けられ、
前記プレイヤの操作に応じて移動可能なアーム移動手段と、
前記アーム移動手段の、前記アームによって囲まれる領域に設けられたカメラと、
前記カメラの周囲に、前記アームの可動域を干渉しないように設けられた障壁
と、
前記アーム移動手段を囲む筐体の側面に、前記筐体の内部からは前記筐体の外側が見えないように設けられた背景パネルと、を備える、物品取得ゲーム
システム。
【請求項2】
前記アーム移動手段の、前記アームの内側に設けられた照明装置を備
え、
前記照明装置は、前記アームと前記カメラの間であって、前記アームに囲まれる領域に設けられている、請求項1に記載の物品取得ゲーム
システム。
【請求項3】
前記サテライト端末または情報処理端末の表示装置には、前記カメラによって撮影された前記筐体の内部を上から見下ろした映像が表示され、
前記アーム移動手段は、前記プレイヤの操作に応じて移動し、
前記カメラによって撮影された映像の中には、前記アームの下降時の目標位置を示すマークが表示される、請求項1または2に記載の物品取得ゲームシステム。
【請求項4】
前記障壁
となる構造物は、前記カメラを囲むように設けられた
透明ドーム、柱状、筒状または円錐状の複数の突起
物、および金属製のワイヤーフレームのいずれかである、請求項
1から3のいずれか1項に記載の物品取得ゲーム
システム。
【請求項5】
前記サテライト端末には、景品の獲得が検出された際、景品交換券を発券する景品交換券発券プリンタが設けられている、請求項1から4のいずれか1項に記載の物品取得ゲームシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品取得ゲーム機に関する。
【背景技術】
【0002】
クレーンゲームなどの物品取得ゲームは、ゲームセンターや商業施設などにおけるアーケードゲームとしてだけではなく、オンラインでクレーンを遠隔操作するオンラインゲームとしても人気がある。クレーンゲームにおける演出の例として、例えば、特許文献1には、景品掴持手段の下部に設けられたカメラによって、景品掴持手段の下方の映像を撮影できるクレーン型の景品取得遊戯装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された装置では、景品掴持手段によって景品(物品)を抱え込んだ際には、構造上、景品がカメラのレンズ部分を覆ってしまい、景品や周囲の映像をうまく撮影することができなかった。
【0005】
そこで、本発明は、アームで物品を抱え込んだ際にも、物品や周囲の映像を鮮明に映し出すことが出来るクレーンゲーム機を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る物品取得ゲーム機は、開閉動作によって物品を掴むためのアームと、前記アームが取り付けられ、プレイヤの操作に応じて移動可能なアーム移動手段と、前記アーム移動手段の、前記アームによって囲まれる領域に設けられたカメラと、前記カメラの周囲に、前記アームの可動域を干渉しないように設けられた障壁と、を備えたものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、アームで物品を抱え込んだ際にも、物品や周囲の映像を鮮明に映し出すことが出来るクレーンゲーム機を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施の形態による、クレーンゲーム機10を含むクレーンゲームシステム1の概観を示す図。
【
図2】本発明の実施の形態による、アーム移動手段14とアーム15を斜め下の方向から見た図。
【
図3】本発明の実施の形態による、クレーンゲームシステム1によるクレーンゲームの流れのフローチャート。
【
図4】本発明の実施の形態による、サテライト端末20の表示装置22に表示される映像を例示する図。
【
図5】本発明の実施の形態による、アーム15で景品を掴んでいる状態を示す図。
【
図6】本発明の実施の形態による、透明ドーム18の代替手段を例示する図。
【
図7】本発明の実施の形態による、下降した状態のアーム移動手段14を示す図。
【
図8】本発明の実施の形態による、上昇した状態のアーム移動手段14を示す図。
【
図9】本発明の実施の形態による、内側の側面に背景パネル40が設けられた筐体11を示す図。
【
図10】本発明の実施の形態による、筐体11の前面の背景パネル40を開放した状態を示す図。
【
図11】本発明の実施の形態による、アーム15によって景品が掴まれた際の魚眼レンズを用いたカメラ17による映像を例示する図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、本発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。
実施の形態
本実施形態では、物品取得ゲーム機の例として、オンラインでクレーンの遠隔操作を行うクレーンゲーム機を例に説明する。なお、本発明は、オンラインのクレーンゲーム機に限らず、クレーンゲーム機本体に設けられた操作手段を用いてクレーンを動かすクレーンゲーム機にも適用することができる。
【0010】
図1は、本発明の実施の形態によるクレーンゲーム機(物品取得ゲーム機)10を含むクレーンゲームシステム1の概観を示す図である。
図1に示すように、クレーンゲームシステム1は、ゲーム運営会社の倉庫等に設置されたクレーンゲーム機10と、ゲームセンターなどのアミューズメント施設や、ショッピングモールなどの商業施設等に設置されたサテライト端末20を備えている。クレーンゲーム機10とサテライト端末20は、通信ネットワークを介して接続されている。通信ネットワークは、例えば、インターネット、LAN、専用線、電話回線、企業内ネットワーク、移動体通信網、ブルートゥース(登録商標)、WiFi(Wireless Fidelity)、その他の通信回線、それらの組み合わせ等のいずれであってもよく、有線であるか無線であるかを問わない。なお、クレーンゲーム機10とサテライト端末20は、サーバ等を経由して接続されていてもよい。また、
図1にはサテライト端末20が1台のみ図示されているが、サテライト端末20は複数設置されていてもよい。
【0011】
クレーンゲーム機10は、筐体11、景品載置台12、景品排出口13、アーム移動手段14、アーム15、制御装置16を備えている。
【0012】
景品載置台12には1つ以上の景品(物品)が載置されている。景品載置台12に載せられた景品がアーム15によって掴まれ、景品排出口13を通って排出されると、景品排出口13に設けられたセンサ等によって景品の獲得が検出される。
【0013】
アーム移動手段14は、筐体11の上部に設けられたレール等に沿って、前後左右(水平方向)に移動することができる。また、アーム移動手段14は、昇降機構によって、上下(垂直方向)に移動することができる。
【0014】
アーム15は、アーム移動手段14の景品に向かう移動が完了すると、閉動作を行って景品を掴む動作をする。アーム移動手段14が景品排出口13の上に移動すると、アーム15は開動作をする。アーム15はフック状の1本でも、2本でも4本以上でもよいし、複数のショベルが開閉する構造であってもよい。
【0015】
図2は、アーム移動手段14とアーム15を斜め下の方向から見た図である。
図2に示すように、アーム移動手段14のアーム15が取り付けられた面の中央付近、アーム15に囲まれる領域に、カメラ17が設けられている。カメラ17は魚眼レンズを備えている。また、カメラ17は、透明ドーム(障壁)18で覆われている。透明ドーム18は、アーム15の可動域(アーム15の最も開いた状態と最も閉じた状態の間の領域)を干渉しないように設けられているため、アーム15が景品を掴むために閉じる際にもアーム15の動きは妨げられない。
ここでカメラ17の魚眼レンズは透明ドーム18により保護されており、しかもレンズ面から透明ドーム18まではある程度の距離が保たれており、アーム15によりぬいぐるみ等の景品を深く抱え込んだ場合に、例えば透明ドーム18の底部に触れる状態に外側から覆うような状態になっても、ぬいぐるみの大きさから透明ドーム18の周壁部分には食い込まないようになっている。したがってカメラ17の魚眼レンズでは約180度の範囲の視界が得られるので、アーム15がぬいぐるみを掴んで抱え込んでも透明ドーム18の底部を含む下側を覆うだけであり、透明ドーム18の周壁部分から視界が得られ、筐体の内部の周囲の映像が得られるのである。このように透明ドーム18は、カメラ17の周囲にある程度の距離を有し、しかもアーム15の可動域にかからないように設けてある。
【0016】
また、アーム15の内側には、透明ドーム18を取り囲むように、円環状の照明装置19が設けられている。なお、照明装置19は、
図2に示すようにカメラ17とアーム15の間に設けられていてもよいし、アーム15のカメラ17と向かい合う面に取り付けられていてもよい。また、照明装置19は、カメラ17と透明ドーム18の間(透明ドーム18の内側)に設けられていてもよい。
【0017】
制御装置16は、CPU、ROMやRAM等のメモリ、入出力インタフェースや通信インタフェース等を備えている。また、ハードディスクドライブ等の記憶装置を備えていてもよい。制御装置16は、CPUがROM等に格納されたプログラムを実行することにより各種機能を実現する。制御装置16は、例えば、プレイヤがサテライト端末20を介して行った操作に基づいてアーム移動手段14を移動したり、カメラ17によって撮影された筐体11内部の映像をサテライト端末20に送信したりする。
【0018】
サテライト端末20は、筐体21、表示装置22、操作盤23、景品交換券発券プリンタ24、制御装置25を備えている。
【0019】
表示装置22は、クレーンゲーム機10のカメラ17によって撮影された映像等を表示するための装置であり、例えば液晶ディスプレイにより構成される。
【0020】
操作盤23には、アーム移動手段14を前後左右に移動させる操作を行うためのレバーLや、アーム移動手段14を下降させる操作を行うためのボタンB、コイン(現金)を投入するためのコイン投入口Cなどが設けられている。
【0021】
景品交換券発券プリンタ24は、景品の獲得が検出された際、獲得した景品との交換券を発券するためのプリンタである。プレイヤが景品交換券にプリントされたコード等をスマートフォン等で読み取り、景品の発送先住所等を入力して配送してもらう。また、プレイヤは、景品交換所等にて、発券された交換券を、獲得した景品と同一の景品と交換することができるようにしてもよい。
【0022】
制御装置25は、CPU、ROMやRAM等のメモリ、入出力インタフェースや通信インタフェース等を備えている。また、ハードディスクドライブ等の記憶装置を備えていてもよい。制御装置25は、CPUがROM等に格納されたプログラムを実行することにより各種機能を実現する。制御装置25は、例えば、プレイヤが操作盤23のレバーやボタンを介して行った操作の情報をクレーンゲーム機10に送信したり、クレーンゲーム機10から受信したカメラ17の撮影映像を表示装置22に表示したりする。
【0023】
次に、
図3のフローチャートを用いて、クレーンゲームシステム1によるクレーンゲームの流れについて説明する。
ゲーム開始前は、表示装置22にプレイヤが選択可能な複数のクレーンゲーム機10からのカメラ映像がサムネイル状に、あるいは切り替わりながら表示されている。プレイヤは、これらのカメラ映像の中から自分のプレイしたいクレーンゲーム機10のカメラ映像を見ることができる。プレイヤは、プレイするクレーンゲーム機10を操作盤23のレバーやボタンを操作して決定することができる。プレイ可能なクレーンゲーム機10が1台のみの場合は、常に同一のクレーンゲーム機10からのカメラ映像が表示される。ゲーム開始前は、アーム移動手段14は、景品排出口13の真上位置でアーム14を閉じた姿勢で静止している。
【0024】
ゲーム開始前はクレーンゲーム機10からサテライト端末20にカメラ17によって撮影された映像が送信され(ステップS101)、サテライト端末20の表示装置22に映像が表示される(ステップS102)。
【0025】
プレイヤは、サテライト端末20のコイン投入口Cあるいは電子マネー受信機に電子マネーをかざすことで、ゲーム代金が支払わられると、ゲーム開始となり表示装置22の映像を見ながら、レバーLを操作してアーム移動手段14を移動させる(ステップS103)。
プレイヤは、アーム15が筐体11内の景品Pを掴むことが出来る位置に来るように、アーム移動手段14を移動させる。レバーLの操作信号はクレーンゲーム機10に送信され、制御装置16は、受信した操作信号に基づいてアーム移動手段14を移動させる。
【0026】
図4は、表示装置22に表示される映像を例示する図である。
図4に示すように、筐体11の内部を上から見下ろした映像が表示される。また、カメラ17は、筐体11の内部の略全体を含む映像を撮影することができる。アーム移動手段14の下降前は、アーム15が閉じていることで、下降時の目標位置がアームの先端位置で示される。カメラ17には魚眼レンズや超広角レンズ、広角レンズを備えることが望ましい。これにより筐体内部の周囲が広く見渡せることができる。
【0027】
閉じたアームの先端で下降目標の位置が決まり、プレイヤがボタンBを操作すると、ボタンBの操作信号がクレーンゲーム機10に送信され、制御装置16は、受信した操作信号に基づいてアーム15を開き、アーム移動手段14を下降させる(ステップS104)。アーム移動手段14の下降が終了すると、制御装置16はアーム15を閉じる(ステップS105)。この時、アーム15の位置がよければ、アーム15で景品Pを掴むことが出来る。上記説明ではアーム移動手段14が下降する前はアーム15が閉じていることで、下降目標位置を示すとしているが、カメラ映像の中に目標位置を示すマークをCGで表示してもよい。
【0028】
アーム15が閉じる動作が終了すると、制御装置16の制御によってアーム移動手段14が上昇し、上昇が終了すると、アーム移動手段14が景品排出口13の上まで移動する(ステップS106)。アーム移動手段14が景品排出口13の上まで移動すると、制御装置16の制御によってアーム15が開く(ステップS107)。この時、アーム15によって景品Pを掴んでいると、景品排出口13から景品Pが排出され、景品Pの獲得が検出される。
【0029】
景品Pの獲得が検出されると(ステップS108:YES)、サテライト端末20に景品の獲得が花火の打ち上げやファンファーレ等の映像と音によって通知され(ステップS109)、サテライト端末20の景品交換券発券プリンタ24から交換券が出力される(ステップS110)。
【0030】
アーム15によって景品Pを掴むことができると、
図5に示すように景品Pとカメラ17のレンズの距離が非常に近くなる。しかし本実施形態では、透明ドーム18がカメラ17を覆うように設けられているため、透明ドーム18が、景品Pがカメラ17に近づくことへの障壁となって景品Pとカメラ17のレンズの距離を一定以上に保つことが出来る。このため、アーム15で抱え込まれた景品Pによってカメラ17のレンズの視界が塞がれ、景品Pや筐体11内部の周囲の映像が映らなくなってしまうことを避けることができる。
【0031】
本実施形態では、景品Pとカメラ17のレンズの距離を一定以上に保つための障壁として透明ドーム18をアーム18の可動域を干渉しないように設けているが、障壁となる構造物は透明ドーム18に限られない。例えば、
図6に示すように、カメラ17の周囲に突起物30を配置してもよい。突起物30の形状は
図6に示すような柱状であってもよいし、筒状、円錐状等であってもよい。突起物30の高さはカメラのレンズ画角が納まっており、突起物間の隙間から筐体内が映ることが必要となる。また、金属製のワイヤーフレームなど、カメラ17による撮影に支障がない構造物であればよい。この場合、ぬいぐるみ等がアームによって深く抱え込まれても、カメラ17で撮影される映像が広角度で撮影されることで、突起物の隙間からクレーンゲーム機の筐体内部を映すことができることが肝要である。これにより
図11に示すように背面パネル40に付された背景Sが映しこまれることで、プレイヤは景品を抱えてアーム移動手段が動いているのが把握できるのである。
【0032】
また、アーム15で掴まれた景品Pには、照明装置19によって光が当てられる。照明装置19はアーム15とカメラ17の間に設けられているため、照明装置19による照明はアーム15によって遮られず、映像にアーム15の影が映りこむことを避けることができる。なお、照明装置19の形状は本実施形態のような円環状に限られず、例えば、カメラ17に対して非対称な形状であってもよいが、アーム15で囲まれる領域にほぼ全方向から光が均等に当たる形状であることが望ましい。
【0033】
上記の実施形態では、アーム15で掴まれた景品Pが景品排出口13に落下して景品Pが検出されると、サテライト端末20の景品交換券発券プリンタ24から景品交換券が発券される。景品排出口13に景品Pが落下したことは係員に通知され、係員が当該クレーンゲーム機10から景品Pを回収し、プレイヤが指定した発送先住所等に発送する手配をする。なお、獲得された景品の回収とプレイヤに引き渡すための手配の方法はこれに限られない。例えば、アーム15で掴まれた景品Pを景品排出口13から落下させる代わりに、景品載置台12よりも高い位置に設けられた景品獲得位置に落下させ、景品獲得位置に落下したしたことが検出されたら、サテライト端末20に通知して景品交換券を発券するようにしてもよい。さらに、景品獲得位置に落下した景品が景品載置台12に自然に戻るように、景品獲得位置から景品載置台12に向かう斜面等の戻構造を設けておくことにより、係員が景品の回収や補充などの作業を行わなくても、次のゲームに備えることが可能となる。この場合、プレイヤには、獲得した景品と同様の新品の景品が発送される。
【0034】
(揺れ防止機能)
本実施形態において、アーム移動手段14が筐体11の上部に設けられたレールに沿って水平方向に移動する際、慣性力によって揺れが発生し、アーム移動手段14に取り付けられたカメラ17による映像にも揺れが生じる。この結果、サテライト端末20の表示装置22で映像を見ながら景品を狙うプレイヤには不便が生じ、不快感を与えてしまう。以下、このようなアーム移動手段14の揺れを防止する機能について説明する。
【0035】
図7は、下降した状態のアーム移動手段14を示す図である。
図7に示すように、アーム移動手段14の昇降機構31の上部(筐体11のレールとの接続部)に、凸状の嵌合部材32を設け、昇降機構31の下部(アーム15との接続部)に、凹状の嵌合部材33を設ける。
図8は、上昇した状態のアーム移動手段14を示す図である。
図8に示すように、アーム移動手段14が完全に上昇すると、凸状の嵌合部材32と凹状の嵌合部材33が嵌合する。これにより、上昇した状態で水平方向に移動した際、アーム移動手段14が揺れるのを防止することができ、カメラ17による映像の揺れも抑えることができる。
【0036】
なお、上記の例では、昇降機構31の上部に凸状の部材、下部に凹状の部材を設けているが、上部に凹状、下部に凸状の部材を設けるようにしてもよい。
【0037】
(背景映像)
本発明によるクレーンゲーム機10では、カメラ17の周囲に透明ドーム18(障壁)を設けたことで、アーム15が景品を掴んだ状態でも、カメラ17の視界が確保され、筐体11の側面も映すことができる。この際、筐体11の側面に背景パネルを設けることで、カメラ17の映像に、筐体11の側面の背景画像を写すことが出来る。
【0038】
図9は、側面に背景パネル40が設けられた筐体11を示す図である。
図9に示すように、筐体11の側面(前後左右)に、それぞれ背景パネル40が設けられている。背景パネル40は、筐体11の柱に設けられたレール(溝)にはめ込むことで取り付けることができる。各背景パネル40は、筐体11の内側の面にドット印刷が施されており、筐体11の内部からは筐体11の外側が見えないようになっているが、外からは内部を見ることができる。
【0039】
クレーンゲーム機10の例えば正面のパネルをハーフミラーとし、筐体内は照明により明るく照らし、クレーンゲーム機10の外部である設置した倉庫等の照明を下げておくことで、カメラ17で撮影された映像はクレーンゲーム機10の内部のみが映り、クレーンゲーム機10の外部にいるメンテナンス要員は、ハーフミラーのパネル介してクレーンゲーム機10の内部の様子を観察することができるようにしてもよい。
【0040】
また、
図10に示すように、前面部分のパネル40は2分割されており、下側のパネルを筐体11の柱に設けられたレールに沿って上方へスライドすることにより、景品の補充時などに筐体11を開けることができる。
【0041】
背景パネル40は、筐体11の柱のレールから簡単に取り外しができるため、定期的に交換するようにしてもよい。例えば、季節ごとに違う図柄のパネルに交換してもよいし、景品に合わせて交換するようにしてもよい。なお、背景パネル40の筐体11への取り付け方法は、上記のものに限られない。例えば、筐体11の天井から、フックで吊り下げるなどの方法でもよい。
【0042】
また、背景パネル40の代わりにパネル状のモニターを設け、モニターに画像を表示するようにしてもよい。
【0043】
図11は、アーム15によって景品Pが掴まれた際の魚眼レンズを介したカメラ17による映像を例示する図である。
図11に示すように、アーム15によって抱え込まれた景品Pの周囲に、筐体11の側面に設けられた背景パネル40の画像が背景Sとして映っている。このように、映像に背景Sが映し出されることにより、アーム移動手段14が移動すると背景Sも変化するため、映像を見ているプレイヤは、アーム移動手段14の動きを確認しやすくなる。
【0044】
以上のように、本実施形態によれば、アーム移動手段14のアーム15が取り付けられた面の中央付近、アーム15に囲まれる領域にカメラ17を設けると共に、カメラ17を透明ドーム18で覆うようにした。これにより、アーム15で景品を掴んだ際にも、景品とカメラ17のレンズの間に一定以上の距離が保たれるので、カメラ17によって景品や筐体11内の映像を鮮明に映し出すことが出来る。
【0045】
また、カメラ17とアーム15の間に、照明装置19を設けるようにしたので、カメラ17による映像にアーム15の影が映りこむことを避けることができる。なお、上記実施形態ではカメラ17のレンズとして魚眼レンズを用いているが、用いるレンズはこれに限られない。例えば、超広角レンズや、広角レンズなど、アーム15が景品Pを掴んで移動する際に、カメラ17によって、景品Pだけではなく周囲の筐体内が見渡せる映像が得られるレンズが好ましい。これにより、アーム移動手段14が正常に動いていることをカメラ映像から知ることができる。
【0046】
また、アーム移動手段14の昇降機構31に、アーム移動手段14が上がりきった際に互いに嵌合する凸状の嵌合部材32と凹状の嵌合部材33を設けるようにしたので、上昇したアーム移動手段14が水平方向に移動する際に揺れの発生を防止し、カメラ17の映像が揺れることを抑えることができる。これにより、プレイヤが映像を見ながら景品を狙いやすくなり、映像の揺れに不快感を持つことなくゲームを楽しむことができる。
【0047】
また、筐体11の側面に背景パネル40を設けることにより、カメラ17の映像に背景パネル40の画像が映るので、プレイヤは、背景画像の変化によって、アーム移動手段14の動きを認識することができる。
【0048】
また、背景パネル40は定期的に交換できるようにしたので、季節や景品の内容に合わせた演出を行うことができる。
【0049】
なお、本実施形態では、サテライト端末20を用いてクレーンを操作するオンラインのクレーンゲーム機10を例にあげているが、スマートフォンやパーソナルコンピュータなどの情報処理端末を介して操作する例にも適用することができる。また、オンラインに限らず、クレーンゲーム機本体の操作手段を用いてクレーンを動かす場合にも適用することができる。この場合には、筐体などに設けられたディスプレイに、カメラの映像を表示することにより、筐体の外にいるプレイヤの視点とは異なる視点からの映像を提供することができる。
【0050】
また、本発明はクレーンゲーム以外にも適用可能である。例えば、景品が筐体の壁面の掛止部に固定され、アーム(複数のショベルでアーム状に挟み込むものを含む)を水平方向に操作して景品を掴み、景品獲得位置に搬送する機構のものにも適用できる。さらに、魚釣りゲームやメダルゲームなど、アームの動作により物品を取得するあらゆるゲームに適用することができる。上記実施例ではアームは3本としたが、1本のフック状になったものでは、物品側にリング等の引っかける構造を有するタグなどが付いていれば、フックを動かす開閉動作を行いリングに引っかけて物品を掴むことができる。この場合の開閉動作とはフックを引っかける動作である。
【0051】
1…クレーンゲームシステム、10…クレーンゲーム機、11…筐体、12…景品載置台、13…景品排出口、14…アーム移動手段、15…アーム、16…制御装置、17…カメラ、18…透明ドーム、19…照明装置、20…サテライト端末、21…筐体、22…表示装置、23…操作盤、24…景品交換券発券プリンタ、25…制御装置、31…昇降機構、32…凸状の嵌合部材、33…凹状の嵌合部材、40…背景パネル