(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-08
(45)【発行日】2023-05-16
(54)【発明の名称】回転機システム
(51)【国際特許分類】
H02P 21/16 20160101AFI20230509BHJP
【FI】
H02P21/16
(21)【出願番号】P 2021533113
(86)(22)【出願日】2020-07-17
(86)【国際出願番号】 JP2020027891
(87)【国際公開番号】W WO2021010469
(87)【国際公開日】2021-01-21
【審査請求日】2021-11-22
(31)【優先権主張番号】P 2019132822
(32)【優先日】2019-07-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】502340996
【氏名又は名称】学校法人法政大学
(73)【特許権者】
【識別番号】519262342
【氏名又は名称】zenmotor株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安田 彰
(72)【発明者】
【氏名】澤田 昭彦
【審査官】若林 治男
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-167901(JP,A)
【文献】特開2010-114987(JP,A)
【文献】特開2015-033272(JP,A)
【文献】国際公開第2018/207719(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/073264(WO,A1)
【文献】特開2010-273531(JP,A)
【文献】特表2021-505122(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 21/16
H02P 9/00
H02P 9/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の相のそれぞれに
、個別に導通するか導通しないかを選択できるように電気的に分離された複数のコイルを備える回転機と、
前記回転機の運転方向を駆動方向又は制動方向に決定する運転方向決定手段と、
前記運転方向決定手段により決定された前記運転方向が前記駆動方向の場合、駆動運転指令値に基づいて、各相の
導通するコイル数を決定する駆動用コイル数決定手段と、
各相の前記複数のコイルから前記駆動用コイル数決定手段により決定された前記コイル数の前記コイルを選択する駆動用コイル選択手段と、
前記駆動用コイル選択手段により選択された前記コイルを導通して、前記回転機を駆動制御する駆動制御手段と、
前記運転方向決定手段により決定された前記運転方向が前記制動方向の場合、制動運転指令値に基づいて、前記回転機を制動制御する制動制御手段と
を備えたことを特徴とする回転機システム。
【請求項2】
前記駆動制御手段により前記駆動制御をするために前記コイルの導通を制御するための駆動用回路、及び、前記制動制御手段により前記制動制御をするために前記コイルの導通を制御するための制動用回路は、共通の回路であること
を特徴とする請求項1に記載の回転機システム。
【請求項3】
前記駆動用コイル数決定手段は、前記駆動運転指令値に含まれる駆動トルク指令値に基づいて、各相の前記コイル数を決定し、
前記駆動制御手段は、前記駆動用コイル数決定手段により決定された前記コイル数の前記コイルを導通して、前記回転機の
駆動トルクが前記駆動トルク指令値に従うように前記駆動制御をすること
を特徴とする請求項1に記載の回転機システム。
【請求項4】
前記運転方向決定手段により決定された前記運転方向が前記制動方向の場合、制動運転指令値に基づいて、各相の
導通するコイル数を決定する制動用コイル数決定手段と、
各相の前記複数のコイルから前記制動用コイル数決定手段により決定された前記コイル数の前記コイルを選択する制動用コイル選択手段とを備え、
前記制動制御手段は、前記制動用コイル選択手段により選択された前記コイルを導通して、前記制動制御をすること
を特徴とする請求項1に記載の回転機システム。
【請求項5】
前記制動用コイル数決定手段は、前記制動運転指令値に含まれる制動トルク指令値に基づいて、各相の前記コイル数を決定し、
前記制動制御手段は、前記回転機の
制動トルクが前記制動トルク指令値に従うように前記制動制御をすること
を特徴とする請求項4に記載の回転機システム。
【請求項6】
前記回転機は、電動機であり、
前記制動制御手段は、前記電動機を回生させる回生制御をすること
を特徴とする請求項1に記載の回転機システム。
【請求項7】
前記回転機は、発電機であり、
前記駆動制御手段は、前記発電機を発電させる発電制御をすること
を特徴とする請求項1に記載の回転機システム。
【請求項8】
前記制動制御手段は、全ての前記コイルから回生電力を発生させること
を特徴とする請求項6に記載の回転機システム。
【請求項9】
前記電動機から発生した回生電力を直流電力に変換する整流回路
を備えたことを特徴とする請求項8に記載の回転機システム。
【請求項10】
前記電動機による回生電力を昇圧する昇圧回路
を備えたことを特徴とする請求項6に記載の回転機システム。
【請求項11】
前記運転方向決定手段により決定された前記運転方向が前記制動方向の場合、制動運転指令値に基づいて、各相の
導通するコイル数を決定する制動用コイル数決定手段と、
各相の前記複数のコイルから前記制動用コイル数決定手段により決定された前記コイル数の前記コイルを選択する制動用コイル選択手段とを備え、
前記制動制御手段は、前記制動用コイル選択手段により選択された前記コイルを導通して、前記電動機による回生電力を昇圧すること
を特徴とする請求項6に記載の回転機システム。
【請求項12】
前記制動用コイル数決定手段は、前記制動運転指令値に基づいて、ΔΣ変調により、各相の前記コイル数を決定すること
を特徴とする請求項11に記載の回転機システム。
【請求項13】
前記制動用コイル選択手段は、ノイズシェーピング・ダイナミック・エレメント・マッチング法により、各相の前記コイル数の前記コイルを選択すること
を特徴とする請求項11に記載の回転機システム。
【請求項14】
前記回転機のそれぞれのコイルの故障を検出する故障コイル検出手段を備え、
前記駆動用コイル選択手段は、前記故障コイル検出手段により故障が検出されたコイルを選択しないこと
を特徴とする請求項1に記載の回転機システム。
【請求項15】
前記回転機のそれぞれのコイルの故障を検出する故障コイル検出手段を備え、
前記駆動用コイル選択手段は、前記故障コイル検出手段により故障が検出されたコイルの代わりに1以上のコイルを新たに選択することで、前記故障が検出されたコイルが発生させる磁束を補償すること
を特徴とする請求項14に記載の回転機システム。
【請求項16】
前記回転機の全ての前記コイルが複数のグループに分けられ、各グループは、全ての相のコイルを含み、前記コイルを導通するために各グループに設けられる電源
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の回転機システム。
【請求項17】
前記回転機の相毎に前記コイルが複数のグループに分けられ、前記コイルを導通するために各グループに設けられる電源
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の回転機システム。
【請求項18】
前記回転機の全ての前記コイルが複数のグループに分けられ、各グループは、全ての相のコイルを含み、前記駆動制御手段により前記駆動制御をするために前記コイルの導通を制御するための各グループに設けられる駆動用回路
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の回転機システム。
【請求項19】
前記回転機の相毎に前記コイルが複数のグループに分けられ、前記駆動制御手段により前記駆動制御をするために前記コイルの導通を制御するための各グループに設けられる駆動用回路
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の回転機システム。
【請求項20】
前記コイルを導通するために設けられる電源と、
前記電源と別に設けられ、前記回転機による回生電力を充電する回生用電源と
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の回転機システム。
【請求項21】
前記コイルを導通するために設けられる複数の電源と、
前記複数の電源のうち前記コイルを導通するための電源を選択するように切り換える切換手段と
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の回転機システム。
【請求項22】
複数の相のそれぞれに
、個別に導通するか導通しないかを選択できるように電気的に分離された複数のコイルを備える回転機を制御する回転機制御装置であって、
前記回転機の運転方向を駆動方向又は制動方向に決定する運転方向決定手段と、
前記運転方向決定手段により決定された前記運転方向が前記駆動方向の場合、駆動運転指令値に基づいて、各相の
導通するコイル数を決定する駆動用コイル数決定手段と、
各相の前記複数のコイルから前記駆動用コイル数決定手段により決定された前記コイル数の前記コイルを選択する駆動用コイル選択手段と、
前記駆動用コイル選択手段により選択された前記コイルを導通して、前記回転機を駆動制御する駆動制御手段と、
前記運転方向決定手段により決定された前記運転方向が前記制動方向の場合、制動運転指令値に基づいて、前記回転機を制動制御する制動制御手段と
を備えたことを特徴とする回転機制御装置。
【請求項23】
複数の相のそれぞれに
、個別に導通するか導通しないかを選択できるように電気的に分離された複数のコイルを備える回転機を制御する回転機制御方法であって、
前記回転機の運転方向を駆動方向又は制動方向に決定し、
決定した前記運転方向が前記駆動方向の場合、駆動運転指令値に基づいて、各相の
導通するコイル数を決定し、
各相の前記複数のコイルから、決定した前記コイル数の前記コイルを選択し、
選択した前記コイルを導通して、前記回転機を駆動制御し、
決定した前記運転方向が前記制動方向の場合、制動運転指令値に基づいて、前記回転機を制動制御すること
を含むことを特徴とする回転機制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本発明の実施形態は、複数の相のそれぞれに複数のコイルを備える回転機を制御する回転機システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各相に複数のコイルを備えるモータを駆動する駆動用インバータが知られている。例えば、ΔΣ変調器を用いて制御することが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、同期機を駆動するインバータで、力行と回生を1つのインバータで実現し、力行と回生を適時指定することが開示されている(例えば、特許文献3参照)。また、単相インバータを直列接続して1相分を構成し、中性点にバッテリを接続して、回生することが開示されている(例えば、特許文献4参照)。
しかしながら、各相に複数のコイルを備える回転機(モータ等)を制動方向に制御することについては知られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5947287号公報
【文献】米国特許第5872532号明細書
【文献】特開2016-167901号公報
【文献】特開2005-184974号公報
【発明の概要】
【0005】
本発明の実施形態の目的は、各相に複数のコイルを備える回転機を制動方向に制御する回転機システムを提供することにある。
本発明の観点に従った回転機システムは、複数の相のそれぞれに、個別に導通するか導通しないかを選択できるように電気的に分離された複数のコイルを備える回転機と、前記回転機の運転方向を駆動方向又は制動方向に決定する運転方向決定手段と、前記運転方向決定手段により決定された前記運転方向が前記駆動方向の場合、駆動運転指令値に基づいて、各相の導通するコイル数を決定する駆動用コイル数決定手段と、各相の前記複数のコイルから前記駆動用コイル数決定手段により決定された前記コイル数の前記コイルを選択する駆動用コイル選択手段と、前記駆動用コイル選択手段により選択された前記コイルを導通して、前記回転機を駆動制御する駆動制御手段と、前記運転方向決定手段により決定された前記運転方向が前記制動方向の場合、制動運転指令値に基づいて、前記回転機を制動制御する制動制御手段とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る回転機システムの構成を示す構成図。
【
図2】第1の実施形態に係るコイル選択器の構成を示す構成図。
【
図3】第1の実施形態に係る駆動用スイッチ回路の構成を示す回路図。
【
図4】第1の実施形態に係る回生用スイッチ回路の構成を示す回路図。
【
図5】第1の実施形態に係る回生用スイッチ回路の変形例の構成を示す回路図。
【
図6】本発明の第2の実施形態に係るスイッチ回路の構成を示す回路図。
【
図7】本発明の第3の実施形態に係るスイッチ回路の構成を示す回路図。
【
図8】本発明の第4の実施形態に係る昇圧回路の構成を示す回路図。
【
図9】本発明の第5の実施形態に係る回生用制御回路の構成を示す回路図。
【
図10】本発明の第6の実施形態に係る駆動用制御回路の構成を示す回路図。
【
図11】第6の実施形態に係るコイル選択部の構成を示す構成図。
【
図12】第6の実施形態に係るベクトル量子化器を図式化した概略図。
【
図13】本発明の第7の実施形態に係る回転機の構成を示す構成図。
【
図14】第7の実施形態に係る回転機システムにおける分割回路の構成を示す簡略図。
【
図15】本発明の第8の実施形態に係る回転機システムにおける分割回路の構成を示す簡略図。
【
図16】本発明の第9の実施形態に係る回転機システムにおける分割回路の構成を示す簡略図。
【
図17】本発明の第10の実施形態に係る回転機システムにおける分割回路の構成を示す簡略図。
【
図18】本発明の第11の実施形態に係る回転機システムの構成を示す簡略図。
【
図19】第11の実施形態に係る切換器の構成を示す回路図。
【
図20】本発明の第12の実施形態に係る回転機システムの構成を示す簡略図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る回転機システム10の構成を示す構成図である。なお、図面における同一部分には同一符号を付して、適宜説明を省略する。
【0008】
回転機システム10は、回転機1及び制御装置2を備える。
ここでは、回転機1は、主に3相交流モータとして説明するが、これに限らない。回転機1は、2以上の相のそれぞれに2以上のコイルが設けられ、これらのコイルが個別に導通されるように構成されていれば、どのような回転機でもよい。したがって、回転機1は、直流モータ、交流モータ、同期モータ、又は、誘導モータ等、いずれに分類されるモータでもよい。また、固定子にコイルがあるモータ(例えば、ブラシレスモータ)の方が、構成を容易にし易いため、製造コスト等の観点から望ましいが、回転子にコイルがあるモータ(例えば、ブラシ付きモータ)でもよい。さらに、回転機1は、電動機に限らず、発電機でもよい。この場合、発電機は、駆動運転することにより、発電が行われる。
【0009】
回転機1は、回転子11、6つの固定子鉄心12u1,12u2,12v1,12v2,12w1,12w2、6つのU相コイル13u1,13u2,13u3,13u4,13u5,13u6、6つのV相コイル13v1,13v2,13v3,13v4,13v5,13v6、及び、6つのW相コイル13w1,13w2,13w3,13w4,13w5,13w6を備える。ここでは、全てのコイル13v1~13v6は、同じ巻数であるものとして説明する。したがって、製造上のバラつき又は配線の長さなどの個体差を除けば、原則として、全てのコイル13v1~13v6は、回転機1に同じ電圧を印加する。
【0010】
U相固定子は、2つのU相固定子鉄心12u1,12u2及び6つのU相コイル13u1~13u6で構成される。V相固定子は、2つのV相固定子鉄心12v1,12v2及び6つのV相コイル13v1~13v6で構成される。W相固定子は、2つのW相固定子鉄心12w1,12w2及び6つのW相コイル13w1~13w6で構成される。
【0011】
各相の2つの固定子鉄心12u1~12w2は、互いに対向し、2つの固定子鉄心2u1~12w2の間に回転子11が位置するように設けられる。各固定子鉄心12u1~12w2には、互いに電気的に接続されていない3つのコイル13u1~13w6が巻かれる。
【0012】
制御装置2は、回転機1を駆動方向又は回生方向(制動方向)に運転するための制御をする装置である。制御装置2は、各コイル13u1~13w6と配線で接続される。制御装置2は、各コイル13u1~13w6を個別に導通させることで、回転機1を制御する。
【0013】
制御装置2は、メイン制御部21、駆動用制御回路22、回生用制御回路23、及び、6つのスイッチ回路24u1,24u2,24v1,24v2,24w1,24w2を備える。
【0014】
メイン制御部21は、回転機1を制御するための運転指令値Cm及び回転機1からのフィードバック信号Sfbに基づいて、回転機1の運転方向を駆動方向又は回生方向のいずれか一方に決定する。決定した運転方向が駆動方向の場合、メイン制御部21は、回転機1を駆動方向に制御するための駆動運転指令値Scdを生成して、駆動用制御回路22に出力する。決定した運転方向が回生方向の場合、メイン制御部21は、回転機1を回生方向に制御するための回生運転指令値Scrを生成して、回生用制御回路23に出力する。
【0015】
運転指令値Cmは、制御装置2に設定されていてもよいし、操作者又は上位制御系など外部から入力されてもよい。フィードバック信号Sfbは、例えば、回転子11の位置情報又は各コイル13u1~13w6に印加されている電気量(電圧又は電流等)を示す信号など、どのような情報を示すものでもよい。
【0016】
駆動用制御回路22は、メイン制御部21から受信する駆動運転指令値Scdに基づいて、導通させるコイル13u1~13w6を選択する。例えば、駆動運転指令値Scdに、トルク指令値又は回転速度指令値が含まれている場合、駆動用制御回路22は、トルク指令値又は回転速度指令値に従って回転機1を駆動するように、導通させるコイル13u1~13w6を選択する。駆動用制御回路22は、選択したコイル13u1~13w6の導通を制御するための駆動用スイッチ制御信号Sd1,Sd2,Sd3,Sd4,Sd5,Sd6を各スイッチ回路24u1~24w2に送信する。駆動用スイッチ制御信号Sd1~Sd6には、導通させるコイル13u1~13w6を所定の電圧方向(正電圧又は負電圧)に印加するための情報が含まれる。
【0017】
駆動用制御回路22によるコイル13u1~13w6の選択は、次のように行う。
駆動用制御回路22は、駆動運転指令値Scdに基づいて、導通させるコイルの相毎の個数を決定する。導通させるコイルの数は、原則として、回転機1の出力が大きくなるほど多くなる。回転機1に流す駆動電流を増加させる場合、導通させるコイルの数を増加することで、駆動電流が増加する。具体的には、回転機1の各相に印加する電圧の振幅が大きいほど、導通させるコイルの相毎の数を大きくする。駆動用制御回路22は、相毎の数を決定後、相毎に導通させるコイル13u1~13w6を選択する。
【0018】
例えば、駆動用制御回路22によるコイルの数の決定方法は、以下のように行う。
駆動用制御回路22は、駆動運転指令値Scdに基づいて、回転機1に流す駆動電流(トルク電流等)を決定する。駆動用制御回路22は、決定した駆動電流を回転機1に流すために、回転機1の各相に印加する電圧を求める。駆動用制御回路22は、求めた電圧を各相に印加するために必要なコイルの相毎の数を決定する。
【0019】
例えば、各相に印加する電圧からコイルの相毎の数を求めるために、ΔΣ変調をするためのΔΣ変調器を用いる。具体的には、相毎に、印加する電圧を示すアナログ信号をΔΣ変調器に入力する。ΔΣ変調器は、入力された信号に対応して、-6から6までの整数値を示すデジタル信号を出力する。ここで、上限値及び下限値の絶対値である「6」は、各相に設けられたコイルの数である。ΔΣ変調器から出力されたデジタル信号が示す数値は、絶対値がその相の導通させるコイルの数を示し、符号がコイルの印加方向を示す。
【0020】
なお、ΔΣ変調に限らず、PWM(パルス幅変調)又はPFM(パルス周波数変調)などの他のPDM(パルス密度変調)を用いてもよいし、さらに、電気量(電圧等)を示すアナログ信号を、コイルの数を示すようなデジタル信号に変換できれば、PDMに限らない。
【0021】
駆動用制御回路22は、各相のコイルの数を決定後、相毎に、個数分のコイル13u1~13w6を選択する。コイル13u1~13w6の選択方法は、どのように行ってもよいが、全てのコイル13u1~13w6の使用頻度が均等になるようなアルゴリズムが望ましい。このような選択方法により、各コイル13u1~13w6の構成の違い(例えば、コイルの位置による配線の長さ等)又は個々の製造上のバラつきなどがあっても、これらの違いを平均化した状態で回転機1を運転することができる。また、各コイル13u1~13w6に対応するスイッチング素子等の機器類についても、使用頻度による劣化を均等にすることができる。例えば、コイル13u1~13w6の選択方法は、以下のように行う。
【0022】
なお、駆動用制御回路22は、各コイル13u1~13w6が故障しているか否かを監視し、故障したコイルを選択しないようにしてもよい。具体的には、各コイル13u1~13w6に流れる電流を監視し、各コイル13u1~13w6の故障を検出する。例えば、あるコイルに流れる電流が設定された閾値を超えた場合、そのコイルが短絡故障であることを検出する。また、あるコイルに電流が流れる制御がされている状態で、そのコイルに電流が流れていない場合、そのコイルがオープン故障であることを検出する。さらに、これらと異なるタイプの故障を検出してもよい。各コイル13u1~13w6の故障検出は、例えば、制御装置2の起動時に行うが、随時行ってもよいし、任意のタイミングで行ってもよい。また、選択中のコイルの故障を検出した場合は、代わりとなる故障していないコイルを新たに1つ以上選択するようにしてもよい。これにより、故障したコイルが発生させていた磁束を補償することができる。
【0023】
以降において、各コイル13u1~13w6を監視し、故障を検出したコイルを選択しないようにする構成又は機能については、駆動用制御回路22による制御時に限らず、回生用制御回路23を含め、どの実施形態のどの部分によるコイル13u1~13w6を選択する制御に加えてもよい。
【0024】
図2は、本実施形態に係るコイル選択器3の構成を示す構成図である。
コイル選択器3は、NSDEM(ノイズシェーピング・ダイナミック・エレメント・マッチング法)を採用した選択器である。ベクトル選択器31及び6つの重み付ループフィルタ32a,32b,32c,32d,32e,32fが相毎に設けられた構成である。重み付ループフィルタ32a~32fは、各相に設けられたコイル13u1~13w6の個数分設けられる。コイル選択器3の各相の構成は同様であるため、以降では、主にU相の構成について説明する。
【0025】
ベクトル選択器31は、個数Ncを示す情報が入力されると、各コイル13u1~13u6に対応する選択情報に基づいて、優先順位の高い順に個数Nc分のコイル13u1~13u6を選択する。ベクトル選択器31は、選択したコイル13u1~13u6を導通させるために対応するスイッチング素子をオンするためのコイル選択信号を出力するとともに、選択したコイル13u1~13u6に対応する重み付ループフィルタ32a~32fに選択されたことを示す信号を出力する。
【0026】
重み付ループフィルタ32a~32fは、選択された回数及び過去に選択されてからの経過時間に基づいて、各コイル13u1~13u6の選択される優先順位を決定するための選択情報を生成する。具体的には、選択情報は、選択された回数が少ないほど又は過去に選択されてからの経過時間が長いほど選択され易くなるようにする。
【0027】
例えば、重み付ループフィルタ32a~32fは、カウンタ及び積分器などにより構成される。積分器は、入力されてからの経過時間が増加するほど大きい値を出力する。したがって、積分器から出力される値が大きいほど、選択情報は、選択され難くなるように優先順位を低くする。また、カウンタは、選択された回数を示す。したがって、カウンタの値が大きいほど、選択情報は選択され難くなるように優先順位を低くする。重み付ループフィルタ32a~32fは、選択情報を出力信号としてベクトル選択器31に出力する。
【0028】
このようにして求められた優先順位に基づいて、ベクトル選択器31は、導通させるU相のコイル13u1~13u6の選択を行う。これにより、ベクトル選択器31は、NSDEMによる選択が行われる。
【0029】
回生用制御回路23は、メイン制御部21から受信した回生運転指令値Scrに基づいて、導通させるコイル13u1~13w6を選択する。例えば、回生運転指令値Scrに、制動トルクを制御するための制動トルク指令値が含まれている場合、回生用制御回路23は、制動トルク指令値に従って回転機1を回生運転するように、導通させるコイル13u1~13w6を選択する。回生用制御回路23における各相のコイルの数の決定方法及び各相のコイル13u1~13w6の選択方法は、駆動用制御回路22と同様である。したがって、ΔΣ変調器によりコイルの数を決定してもよいし、NSDEMによりコイルを選択してもよい。なお、回生用制御回路23は、常に、全てのコイル13u1~13w6を、導通させるようにしてもよい。
【0030】
回生用制御回路23は、選択したコイル13u1~13w6の導通を制御するための回生用スイッチ制御信号Sr1,Sr2,Sr3,Sr4,Sr5,Sr6を各スイッチ回路24u1~24w2に送信する。回生用スイッチ制御信号Sr1~Sr6には、導通させるコイル13u1~13w6を所定の電圧方向(正電圧又は負電圧)に発生させるための情報が含まれる。なお、電圧方向は、常に一定方向(例えば正電圧)でもよい。
【0031】
スイッチ回路24u1~24w2は、各固定子(各固定子鉄心12u1~12w2)に対応するように設けられる。各スイッチ回路24u1~24w2の構成は同様であるため、ここでは、1つのスイッチ回路24u1の構成について説明する。
【0032】
スイッチ回路24u1は、駆動用スイッチ回路241及び回生用スイッチ回路242を備える。
図3は、本実施形態に係る駆動用スイッチ回路241の構成を示す回路図である。
駆動用スイッチ回路241は、2つの三相ブリッジ回路C1d,C2d及び駆動用電源Bdを備える。2つの三相ブリッジ回路C1d,C2dは、駆動用電源Bdに対して並列に接続される。なお、駆動用電源Bdは、スイッチ回路24u1~24w2毎に設けられてもよいし、全てのスイッチ回路24u1~24w2で共通に設けられてもよい。
【0033】
第1三相ブリッジ回路C1dは、6つのスイッチング素子S11p,S11n,S21p,S21n,S31p,S31nで構成される。正極側スイッチング素子S11p,S21p,S31pは、それぞれ負極側スイッチング素子S11n,S21n,S31nと対になる。対になる2つのスイッチング素子S11p~S31nは、それぞれ直列に接続される。直列に接続された3組のスイッチング素子S11p~S31nは、それぞれ駆動用電源Bdと並列に接続される。直列に接続された3組のスイッチング素子S11p~S31nのそれぞれの接続点は、3つのコイル13u1~13u3のそれぞれの一方の端子に接続される。
【0034】
第2三相ブリッジ回路C2dは、6つのスイッチング素子S12p,S12n,S22p,S22n,S32p,S32nで構成される。スイッチング素子S12p~S32nは、第1三相ブリッジ回路C1dと同様の構成である。直列に接続された3組のスイッチング素子S12p~S32nのそれぞれの接続点は、3つのコイル13u1~13u3のそれぞれの第1三相ブリッジ回路C1dと接続された端子と異なる他方の端子に接続される。
【0035】
第1三相ブリッジ回路C1dのオンするスイッチング素子S11p~S31nと第2三相ブリッジ回路C2dのオンするスイッチング素子S12p~S32nとの組合せにより、3つのコイル13u1~13u3に、駆動用電源Bdからの直流電圧を個別に正方向又は負方向に印加する。例えば、U相第1コイル13u1に正方向の電圧を印加する場合、第1三相ブリッジ回路C1dの正極側スイッチング素子S11pと第2三相ブリッジ回路C2dの負極側スイッチング素子S12nをオンする。U相第1コイル13u1に負方向の電圧を印加する場合、第1三相ブリッジ回路C1dの負極側スイッチング素子S11nと第2三相ブリッジ回路C2dの正極側スイッチング素子S12pをオンする。なお、電圧を印加する方向については、どちらを正方向又は負方向としてもよい。
【0036】
図4は、本実施形態に係る回生用スイッチ回路242の構成を示す回路図である。
回生用スイッチ回路242は、2つの三相ブリッジ回路C1r,C2r及び回生用電源Brを備える。
【0037】
2つの三相ブリッジ回路C1r,C2rは、回生用電源Brに対して並列に接続される。回生用電源Brは、スイッチ回路24u1~24w2毎に設けられてもよいし、全てのスイッチ回路24u1~24w2で共通に設けられてもよい。回生用電源Brは、例えば2次電池であるが、回転機1からの回生電力により動作する負荷でもよい。三相ブリッジ回路C1r,C2rの構成については、駆動用スイッチ回路241の三相ブリッジ回路C1d,C2dと同様である。
【0038】
図5は、本実施形態に係る回生用スイッチ回路242aの変形例の構成を示す回路図である。本実施形態において、
図4に示す回生用スイッチ回路242の代わりに、回生用スイッチ回路242aを設けてもよい。
【0039】
変形例の回生用スイッチ回路242aは、
図4に示す回生用スイッチ回路242において、全てのスイッチング素子S11p~S31n,S12p~S32nをダイオードDdに置き換えた構成である。即ち、回生用スイッチ回路242aは、交流電力を直流電力に変換する整流回路である。
【0040】
回転機1の運転方向が制動方向と判断された場合、スイッチ等により、回生用スイッチ回路242aが各コイル13u1~13u3に電気的に接続される。各相において同様の構成にすることで、制動運転時に、全てのコイル13u1~13w6が導通する。したがって、全てのコイル13u1~13w6を使用して、回生電力が発生する。これにより、各コイル13u1~13w6の電流負担が軽減され、回生電力の損失が軽減される。
【0041】
本実施形態によれば、回転機1を駆動方向と制動方向のそれぞれに制御する構成を設けることで、駆動方向と制動方向のいずれにも制御することができる。
【0042】
(第2の実施形態)
図6は、本発明の第2の実施形態に係るスイッチ回路243の構成を示す回路図である。
スイッチ回路243は、第1の実施形態に係る駆動用スイッチ回路241と回生用スイッチ回路242を共通の回路とした構成である。具体的には、スイッチ回路243は、第1の実施形態に係る駆動用スイッチ回路241に、回生用電源Brを追加し、駆動用電源Bd及び回生用電源Brのそれぞれの両端(正極端子及び負極端子)に電源を切り替えるための4つのスイッチSvd1,Svd2,Svr1,Svr2を追加したものである。
【0043】
回転機1の運転方向が駆動方向と判断された場合、駆動用電源Bdの両端に設けられたスイッチSvd1,Svd2がオンされ、回生用電源Brの両端に設けられたスイッチSvr1,Svr2がオフされる。回転機1の運転方向が回生方向と判断された場合、駆動用電源Bdの両端に設けられたスイッチSvd1,Svd2がオフされ、回生用電源Brの両端に設けられたスイッチSvr1,Svr2がオンされる。
【0044】
なお、4つのスイッチSvd1~Svr2は、制御装置2において、どのように制御されてもよい。例えば、4つのスイッチSvd1~Svr2は、スイッチング素子として、メイン制御部21からの制御信号により、オン又はオフの操作が行われてもよい。
【0045】
本実施形態によれば、第1の実施形態において、駆動用スイッチ回路241及び回生用スイッチ回路242の代わりに、スイッチ回路243を設けることで、第1の実施形態による作用効果に加え、制御装置2の小型化又は製造コストの低減をすることができる。
【0046】
(第3の実施形態)
図7は、本発明の第3の実施形態に係るスイッチ回路24u1Aの構成を示す回路図である。
図7では、スイッチ回路24u1Aの3相分の構成のうち1相分の構成(1つのコイル13u1に対応する構成)について示す。ここでは、1相分の構成について主に説明し、3相分の構成は同様に構成されるものとする。
【0047】
本実施形態は、第1の実施形態において、スイッチ回路24u1を
図7に示すスイッチ回路24u1Aに代えたものである。その他の点は、第1の実施形態と同様である。
【0048】
スイッチ回路24u1Aは、駆動用スイッチ回路241A、回生用スイッチ回路242A、及び、切替回路244を備える。
【0049】
駆動用スイッチ回路241Aは、4つのスイッチング素子S1pA,S1nA,S2pA,S2nA、2つのプリドライバPrd1,Prd2、及び、駆動用電源Bdを備える。
【0050】
スイッチング素子S1pA~S2nAは、逆並列に接続されたダイオードを含む半導体素子である。4つのスイッチング素子S1pA~S2nAは、対になる2組がそれぞれ直列に接続され、2組の直列に接続されたスイッチング素子S1pA~S2nAが並列に接続された構成である。
【0051】
プリドライバPrd1,Prd2は、駆動用制御回路22からの駆動用スイッチ制御信号Sd1に基づいて、それぞれ2つのスイッチング素子S1pA~S2nAをオン又はオフにする制御を行う。なお、プリドライバPrd1,Prd2は、各スイッチング素子S1pA~S2nAに対応するように4つ設けられてもよい。
【0052】
駆動用電源Bdは、並列に接続された2組の直列に接続されたスイッチング素子S1pA~S2nAと並列に接続される。2組の直列に接続されたスイッチング素子S1pA~S2nAのそれぞれの両端に電圧を印加するように接続される。2組の直列に接続されたスイッチング素子S1pA~S2nAのそれぞれの接続点の間にコイル13u1が接続される。
【0053】
回生用スイッチ回路242Aは、4つのスイッチング素子S1pA,S1nA,S2pA,S2nA、2つのプリドライバPrr1,Prr2、及び、回生用電源Brを備える。
【0054】
スイッチング素子S1pA~S2nA及び回生用電源Brの構成については、駆動用スイッチ回路241Aと同様である。
【0055】
プリドライバPrr1,Prr2は、回生用制御回路23からの回生用スイッチ制御信号Sr1に基づいて、それぞれ各2つのスイッチング素子S1pA~S2nAをオン又はオフにする制御を行う。その他の点は、駆動用スイッチ回路241AのプリドライバPrd1,Prd2と同様である。
【0056】
切替回路244は、駆動用スイッチ回路241Aと回生用スイッチ回路242Aとを切り替えるための回路である。切替回路244は、2つのスイッチング素子Sch1,Sch2で構成される。各スイッチング素子Sch1,Sch2は、回生用スイッチ回路242Aの2組の直列に接続されたスイッチング素子S1pA~S2nAのそれぞれの接続点とコイル13u1の両端の2つの端子のそれぞれの間に位置するように設けられる。駆動用スイッチ回路241Aの2組の直列に接続されたスイッチング素子S1pA~S2nAのそれぞれの接続点は、切替回路244を介さずに、コイル13u1の両端と直接接続される。
【0057】
回転機1が駆動方向の運転をする場合は、2つのスイッチング素子Sch1,Sch2はオフされる。回転機1が回生方向の運転をする場合は、2つのスイッチング素子Sch1,Sch2はオンされる。
【0058】
本実施形態によれば、第1の実施形態による作用効果に加え、スイッチ回路24u1Aを設けることで、駆動用スイッチ回路241Aと回生用スイッチ回路242Aを容易に切り替えることができる。
【0059】
また、駆動用スイッチ回路241Aと回生用スイッチ回路242Aとを切り替えるための切替回路244を設けることで、半導体内部の寄生的なダイオードの影響を抑制することができる。
【0060】
(第4の実施形態)
図8は、本発明の第4の実施形態に係る昇圧回路25の構成を示す回路図である。
本実施形態は、第1の実施形態に昇圧回路25を追加した構成である。その他の点は、第1の実施形態と同様である。
【0061】
昇圧回路25は、スイッチ回路24u1の回生用スイッチ回路242と回生用電源Brとの間に設けられる。回生用電源Brが全てのスイッチ回路24u1~24w2で共通の場合、昇圧回路25は、各スイッチ回路24u1~24w2に設けられてもよいし、全てのスイッチ回路24u1~24w2に共通で設けられてもよい。
【0062】
昇圧回路25は、回生用スイッチ回路242からの回生電力を回生用電源Brに適した電圧に昇圧する。昇圧回路25は、予め決められた電圧に昇圧してもよいし、回生用制御回路23などの外部からの指令値に基づいて昇圧してもよい。また、昇圧回路25は、降圧もできる回路でもよい。さらに、昇圧回路25の具体的な回路構成は、どのようなものでもよい。
【0063】
本実施形態によれば、第1の実施形態による作用効果に加え、昇圧回路25を設けることで、回生電力を効率良く回生用電源Brに供給することができる。
【0064】
(第5の実施形態)
図9は、本発明の第5の実施形態に係る回生用制御回路23Aの構成を示す回路図である。
本実施形態は、第4の実施形態において、昇圧回路25の代わりに回生用制御回路23Aを設けたものである。その他の点は、第4の実施形態と同様である。
【0065】
回生用制御回路23Aは、第1の実施形態に係る回生用制御回路23と基本的な構成は同じであるため、ここでは、第1の実施形態と異なる部分について主に説明する。
【0066】
回生用制御回路23Aは、ΔΣ変調器231及びNSDEM選択部232を備える。
ΔΣ変調器231には、制動トルク指令値が含まれる回生運転指令値Scr及び回生用電源Brに印加される電圧値Vbrが入力される。ΔΣ変調器231は、回転機1が制動トルク指令値に従うように運転され、電圧値Vbrが所定の電圧値になるように、ΔΣ変調により導通させるコイルの相毎の数を決定する。ΔΣ変調器231は、決定したコイルの相毎の数をNSDEM選択部232に送信する。ΔΣ変調によるコイルの相毎の数の決定方法は、第1の実施形態と同様である。電圧値Vbrを制御するための所定の電圧値は、予め決められた電圧値でもよいし、回生用制御回路23などの外部からの指令値として与えられてもよい。
【0067】
NSDEM選択部232は、ΔΣ変調器231により決定されたコイルの相毎の数に基づいて、NSDEMにより相毎に導通させるコイル13u1~13w6を選択する。NSDEMによるコイル13u1~13w6の選択方法は、第1の実施形態と同様である。NSDEM選択部232は、選択したコイル13u1~13w6の導通を制御するための回生用スイッチ制御信号Sr1~Sr6を各スイッチ回路24u1~24w2に送信する。
【0068】
本実施形態によれば、回生用制御回路23Aを設けることで、第4の実施形態に係る昇圧回路25を設けなくても、第4の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0069】
(第6の実施形態)
図10は、本発明の第6の実施形態に係る駆動用制御回路22Aの構成を示す回路図である。
本実施形態は、第1の実施形態において、駆動用制御回路22を駆動用制御回路22Aに代えたものである。その他の点は、第1の実施形態と同様である。
【0070】
駆動用制御回路22Aは、速度演算部221、3相/αβ座標変換部222、αβ/dq座標変換部223、速度制御部224、d軸電流制御部225、q軸電流制御部226、dq/αβ座標変換部227、及び、コイル選択部228を備える。
【0071】
速度演算部221は、回転機1から回転角度(回転位相)θを受信する。回転角度θは、角度センサによる計測値でもよいし、センサレス制御における推測値でもよい。速度演算部221は、回転角度θに基づいて、回転速度ωを演算する。速度演算部221は、演算した回転速度ωを速度制御部224に出力する。なお、回転機1には、レゾルバ等の回転速度ωを検出するセンサが設けられてもよい。この場合、速度演算部221は、センサから受信した回転速度ωをそのまま利用してもよい。
【0072】
3相/αβ座標変換部222は、回転機1に駆動電流として流れる3相の交流電流値Iu,Iv,Iwを受信する。3相の電流値Iu,Iv,Iwは、どのように測定されてもよい。3相/αβ座標変換部222は、受信した3相の電流値Iu,Iv,Iwをαβ軸座標系の2相の電流値Iα,Iβに変換する。3相/αβ座標変換部222は、求めた2相の電流値Iα,Iβをαβ/dq座標変換部223に出力する。
【0073】
αβ/dq座標変換部223は、回転角度θ及び3相/αβ座標変換部222により演算された2相の電流値Iα,Iβを受信する。αβ/dq座標変換部223は、回転角度θに基づいて、2相の電流値Iα,Iβを回転座標系のdq軸電流値Id,Iqに変換する。αβ/dq座標変換部223は、求めたd軸電流値Idをd軸電流制御部225に出力し、求めたq軸電流値Iqをq軸電流制御部226に出力する。
【0074】
速度制御部224は、メイン制御部21から出力された駆動運転指令値Scdに含まれる回転速度指令値ω*及び速度演算部221により演算された回転速度ωを受信する。速度制御部224は、回転速度ωが回転速度指令値ω*に追従するように、q軸電流値指令値Iq*を演算する。速度制御部224は、演算したq軸電流値指令値Iq*をq軸電流制御部226に出力する。
【0075】
d軸電流制御部225は、d軸電流指令値Id*及びαβ/dq座標変換部223により演算されたd軸電流値Idを受信する。d軸電流指令値Id*は、駆動運転指令値Scdに含まれていてもよいし、予め決められた値でもよい。d軸電流制御部225は、d軸電流値Idがd軸電流指令値Id*に追従するように、d軸電圧指令値Vd*を演算する。d軸電流制御部225は、演算したd軸電圧指令値Vd*をdq/αβ座標変換部227に出力する。
【0076】
q軸電流制御部226は、速度制御部224により演算されたq軸電流指令値Iq*及びαβ/dq座標変換部223により演算されたq軸電流値Iqを受信する。q軸電流制御部226は、q軸電流値Iqがq軸電流指令値Iq*に追従するように、q軸電圧指令値Vq*を演算する。q軸電流制御部226は、演算したq軸電圧指令値Vq*をdq/αβ座標変換部227に出力する。
【0077】
dq/αβ座標変換部227は、回転角度θ、d軸電流制御部225により演算されたd軸電圧指令値Vd*、及び、q軸電流制御部226により演算されたq軸電圧指令値Vq*を受信する。dq/αβ座標変換部227は、回転角度θに基づいて、dq軸電圧指令値Vd*,Vq*をαβ軸座標系の2相の電圧指令値Vα*,Vβ*に変換する。
【0078】
コイル選択部228は、dq/αβ座標変換部227により演算されたαβ軸電圧指令値Vα*,Vβ*を受信する。例えば、αβ軸電圧指令値Vα*,Vβ*は、正弦波で表される交流電圧を示す指令値である。コイル選択部228は、αβ軸電圧指令値Vα*,Vβ*に基づいて、相毎に導通させるコイル13u1~13w6を選択し、各コイル13u1~13w6の電圧の印加方向を決定する。コイル選択部228は、決定した内容に基づいて、駆動用スイッチ制御信号Sd1~Sd6を生成し、対応するスイッチ回路24u1~24w2に送信する。
【0079】
図11は、本実施形態に係るコイル選択部228の構成を示す構成図である。
図12は、本実施形態に係るベクトル量子化器55を図式化した概略図である。
コイル選択部228は、4つの積分器53α,53β,54α,54β、4つの減算器51、4つの計数器52、及び、ベクトル量子化器55を備える。例えば、各積分器53α~54βの積分の式は、H(z)=z^(-1)/(1-Z^(-1))で表される。
【0080】
各減算器51のマイナス側には、それぞれ計数器52を介して、ベクトル量子化器55により決定されるα軸電圧値Vα又はβ軸電圧値Vβがフィードバック値として入力される。
【0081】
減算器51によりα軸電圧指令値Vα*からα軸電圧値Vαが減算された差分は、α軸1段目積分器53αに入力される。α軸1段目積分器53αは、入力された差分を積分して、求めた積分値を出力する。
【0082】
減算器51によりα軸1段目積分器53αから出力された積分値からα軸電圧値Vαが減算された差分は、α軸2段目積分器54αに入力される。α軸2段目積分器54αは、入力された差分を積分して、求めた積分値をα軸値αとしてベクトル量子化器55に出力する。
【0083】
減算器51によりβ軸電圧指令値Vβ*からβ軸電圧値Vβが減算された差分は、β軸1段目積分器53βに入力される。β軸1段目積分器53βは、入力された差分を積分して、求めた積分値を出力する。
【0084】
減算器51によりβ軸1段目積分器53βから出力された積分値からβ軸電圧値Vβが減算された差分は、β軸2段目積分器54βに入力される。β軸2段目積分器54βは、入力された差分を積分して、求めた積分値をβ軸値βとしてベクトル量子化器55に出力する。
図11のH(z)に係るフィルタ部分は、H(z)を3段にしても良いし、さらに任意の伝達関数としてもよい。例えば、H(z)にバンドパス特性のものを用いることにより、特定の周波数の特性を改善することが可能となる。
【0085】
ここでは、α軸値α及びβ軸値βをそれぞれ2段階で積分して求めたが、1段階の積分で求めてもよい。即ち、2段目積分器54α,54βは設けずに、1段目積分器53α,53βにより求められた積分値をα軸値α及びβ軸値βとしてベクトル量子化器55に出力してもよい。
【0086】
ベクトル量子化器55は、入力されたα軸値α及びβ軸値βに基づいて、導通させるコイル13u1~13w6の選択及び選択されたコイル13u1~13w6の電圧の印加方向を決定する。
【0087】
ベクトル量子化器55には、
図12に示すように、ハニカム構造のように細分化された領域で区分けされたαβ軸座標が予め設定される。ここでは、細分化された領域は、小さい6角形で示され、0から126までの通し番号が割り振られた127通りの領域に区分けされている。領域毎に、導通させるコイル13u1~13w6の相毎の数及び電圧の印加方向が決められている。例えば、αβ軸座標の全体の領域を示す大きい6角形状の各頂点に位置する領域は、コイル13u1~13w6を相毎に6個全て正方向又は負方向に電圧を印加する場合に該当する。
【0088】
ベクトル量子化器55は、入力されたα軸値α及びβ軸値βが細分化されたどの領域に属するかを判断する。ベクトル量子化器55は、判断した領域に基づいて、導通させるコイル13u1~13w6及び電圧の印加方向を決定する。ベクトル量子化器55は、決定した内容に基づいて、駆動用スイッチ制御信号Sd1~Sd6を生成し、各スイッチ回路24u1~24w2にそれぞれ送信する。また、ベクトル量子化器55は、判断した領域に対応するα軸電圧値Vα及びβ軸電圧値Vβをフィードバック値としてそれぞれ各減算器51に出力する。
【0089】
本実施形態によれば、第1の実施形態による作用効果に加え、ベクトル量子化器55を用いることで、dq軸回転座標系によるベクトル制御により、回転機1のトルク及び磁束を制御することができる。
【0090】
(第7の実施形態)
図13は、本発明の第7の実施形態に係る回転機1Bの構成を示す構成図である。
図14は、本実施形態に係る回転機システム10Bにおける分割回路G1~Gmの構成を示す簡略図である。
【0091】
図14では、スイッチ回路24B1~24Bmと、電源Bt1~Btm又はコイル13u11~13w2mとの接続線を簡略化して1つの線で示しているが、実際には、他の実施形態(例えば、
図3又は
図4)と同様に、正極側と負極側(極性側と基準側)の2つの配線で接続される。また、電源には、制御器及び充電器が必要に応じて含まれる。以降の図においても、同様に簡略化して示す。
【0092】
回転機システム10Bは、第1の実施形態に係る回転機システム10において、スイッチ回路24u1~24w2及び回転機1による構成を、分割回路G1~Gmによる構成に代えたものである。その他の点は、第1の実施形態と同様である。
【0093】
回転機1Bは、第1の実施形態に係る回転機1において、各固定子鉄心12u1~12w2には、m個のコイル13u11~13w2mが設けられる。全てのコイル13u11~13w2mは、第1の実施形態と同様に、個体差を除けば、回転機1Bに同じ電圧を印加する。その他の点は、第1の実施形態に係る回転機1と同様である。ここでは、回転機1Bは、6つの固定子(3相×2)を備えた構成について説明するが、固定子は、いくつ備えてもよい。例えば、固定子は、回転機1Bに印加される電気の相の倍数の数設けられる。
【0094】
U相第1固定子鉄心12u1には、m個のU相第1コイル13u11,13u12,…,13u1mが設けられる。U相第2固定子鉄心12u2には、m個のU相第2コイル13u21,13u22,…,13u2mが設けられる。V相第1固定子鉄心12v1には、m個のV相第1コイル13v11,13v12,…,13v1mが設けられる。V相第2固定子鉄心12v2には、m個のV相第2コイル13v21,13v22,…,13v2mが設けられる。W相第1固定子鉄心12w1には、m個のW相第1コイル13w11,13w12,…,13w1mが設けられる。W相第2固定子鉄心12w2には、m個のW相第2コイル13w21,13w22,…,13w2mが設けられる。
【0095】
分割回路G1~Gmは、回転機システム10Bの障害に対する耐性を高めるために、回転機システム10Bの主要な電気回路をグループ分けするように分割した回路である。ここでは、分割回路G1~Gmの数は、各固定子に設けられたコイル13u11~13w2mの数と同じm個として説明するが、2つ以上であれば、いくつでもよい。
【0096】
分割回路G1,G2,…,Gmは、それぞれ、1つの電源Bt1,Bt2,…,Btm、1つのスイッチ回路24B1,24B2,…,24Bm、及び、6つのコイル13u11~13w21,13u12~13w22,…,13u1m~13w2mを備える。各分割回路G1~Gmに含まれる6つのコイル13u11~13w2mは、6つの固定子のそれぞれから1つずつ選択されたコイルである。
【0097】
なお、各分割回路G1~Gmは、全ての固定子(又は相)のコイル13u11~13w2mが少なくとも1つ含まれていれば、いくつ含まれてもよい。また、各分割回路G1~Gmは、電源Bt1~Btm、及び、スイッチ回路24B1~24Bmを、1つ以上であれば、いくつ設けてもよい。
【0098】
m個のスイッチ回路24B1~24Bmは、自身が属する分割回路G1~Gmの固定子のコイル13u11~13w2mの導通を制御するための回路である。例えば、各スイッチ回路24B1~24Bmは、第1の実施形態に係る駆動用スイッチ回路241又は回生用スイッチ回路242と同様の構成である。なお、スイッチ回路24B1~24Bmは、第2の実施形態に係るスイッチ回路243と同様に、駆動用と回生用で兼用する共通にした回路としてもよいし、その他の実施形態に係るスイッチ回路と同様に構成してもよい。
【0099】
m個の電源Bt1~Btmは、自身が属する分割回路G1~Gmの固定子のコイル13u11~13w2mに、スイッチ回路24B1~24Bmを介して接続される。これにより、電源Bt1~Btmは、回転機1Bの駆動時に、コイル13u11~13w2mを導通するための電力を供給し、回転機1Bの回生時に、コイル13u11~13w2mからの回生電力により蓄電される。電源Bt1~Btmは、第1の実施形態に係る駆動用電源Bd又は回生用電源Brと同様に構成される。電源Bt1~Btmは、スイッチ回路24B1~24Bmに合わせて設けられる。例えば、スイッチ回路24B1~24Bmを、第2の実施形態に係るスイッチ回路243のように、駆動用と回生用を兼用する回路とした場合、電源Bt1~Btmは、各スイッチ回路24B1~24Bmにおいて、駆動用と回生用のそれぞれ少なくとも1つが設けられる。
【0100】
次に、制御装置2Bによる回転機システム10Bの制御について説明する。
制御装置2Bは、通常時は、
図1に示す第1の実施形態に係る制御装置2と同様に、スイッチ回路24B1~24Bmにスイッチ制御信号を送信して、駆動制御又は回生制御を行う。ここでは、主に、第1の実施形態に係る制御装置2と異なる点について説明する。
【0101】
制御装置2Bは、各分割回路G1~Gmの電源Bt1~Btmの監視及び制御をする。電源Bt1~Btmのいずれか1つが故障した場合、制御装置2Bは、故障した電源Bt1~Btmが属する分割回路G1~Gmを除外して、回転機システム10Bの運転を継続するように制御する。例えば、制御装置2Bは、故障した電源Bt1~Btmが属する分割回路G1~Gmのコイル13u11~13w2mを除外して、導通させるコイルを選択する。このとき、除外対象のコイル13u11~13w2mをスイッチ等により電気的に切断してもよい。
【0102】
なお、1つの分割回路G1~Gmに複数の電源Bt1~Btmが設けられている場合、制御装置2Bは、1つの分割回路G1~Gmの複数又は全ての電源Bt1~Btmが故障した場合に、その分割回路G1~Gmを運転対象から除外するようにしてもよい。また、制御装置2Bは、各分割回路G1~Gmを構成する電源Bt1~Btm以外の機器類の故障についても、電源Bt1~Btmと同様に、故障した機器類の属する分割回路G1~Gmを運転対象から除外するようにしてもよい。
【0103】
本実施形態によれば、第1の実施形態による作用効果に加え、以下の作用効果を得ることができる。
少なくとも1つの電源Bt1~Btm、及び、全ての固定子(又は相)のそれぞれの少なくとも1つのコイル13u11~13w2mが含まれるように、回転機システム10Bの電気回路を分割した分割回路G1~Gmを設けることで、回転機システム10Bの障害(例えば、電源Bt1~Btmの故障)に対する耐性を高めることができる。具体的には、少なくとも1つの分割回路G1~Gmが正常であれば、回転機1Bの全ての固定子(又は相)に電圧を印加することができる。
【0104】
(第8の実施形態)
図15は、本発明の第8の実施形態に係る回転機システム10Cにおける分割回路G1C~G12Cの構成を示す簡略図である。
【0105】
回転機システム10Cは、
図14に示す第7の実施形態に係る回転機システム10Bにおいて、コイル13u11~13w2mのグループ分けを変更し、変更したグループ分けに対応するように、分割回路G1C~G12Cを設け、制御装置2Bを制御装置2Cに代えたものである。その他の点は、第7の実施形態と同様である。
【0106】
分割回路G1C~G12Cは、固定子毎に2つにグループ分けされたコイル13u11~13w2mのそれぞれに対応するように設けられる。例えば、各固定子に設けられたコイル13u11~13w2mの個数mが偶数の場合、コイル13u11~13w2mをm/2個ずつにグループ分けする。個数mが奇数の場合、一方のグループをm/2を切り上げた個数とし、もう一方のグループをm/2を切り捨てた個数とする。
【0107】
なお、ここでは、コイル13u11~13w2mを固定子毎にグループ分けをしたが、相毎にグループ分けをしてもよい。以降では、固定子毎にグループ分けした場合について主に説明するが、相毎にグループ分けした場合についても同様である。固定子毎のコイル13u11~13w2mのグループ分けは、3つ以上にグループ分けしてもよい。また、グループ分けした各グループには、コイル13u11~13w2mをいくつ含めてもよいが、各グループのコイル13u11~13w2mの個数を同数又は互いに近い数字にすることで、各グループを均等に扱い易くなる。これにより、回転機システム10Cは、どの分割回路G1C~G12Cが停止しても、停止時の制御を同等に行うことができる。
【0108】
以降では、コイル13u11~13w2mを、固定子毎に、a個と(m-a)個の2つのグループに分け、a<m、b=a+1であるものとして説明する。
【0109】
分割回路G1C,G2C,…,G12Cは、それぞれ、1つの電源Bt1,Bt2,…,Bt12、1つのスイッチ回路24C1,24C2,…,24C12、及び、固定子毎に2つにグループ分けされたうちの1つのグループのコイル13u11~13w2mを備える。なお、各分割回路G1C~G12Cは、電源Bt1~Bt12をいくつ設けてもよい。また、スイッチ回路24C1~24C12は、2つ以上の分割回路G1C~G12Cと共通の回路に形成されてもよい。
【0110】
2つの分割回路G1C,G2Cは、それぞれ、U相第1コイル13u11~13u1a,13u1b~13u1mを含む。2つの分割回路G3C,G4Cは、それぞれ、U相第2コイル13u21~13u2a,13u2b~13u2mを含む。2つの分割回路G5C,G6Cは、それぞれ、V相第1コイル13v11~13v1a,13v1b~13v1mを含む。2つの分割回路G7C,G8Cは、それぞれ、V相第2コイル13v21~13v2a,13v2b~13v2mを含む。2つの分割回路G9C,G10Cは、それぞれ、W相第1コイル13w11~13w1a,13w1b~13w1mを含む。2つの分割回路G11C,G12Cは、それぞれ、W相第2コイル13w21~13w2a,13w2b~13w2mを含む。
【0111】
スイッチ回路24C1~24C12は、第7の実施形態に係るスイッチ回路24B1~24Bmと同様に、自身が属する分割回路G1C~G12Cの固定子のコイル13u11~13w2mの導通を制御するための回路である。スイッチ回路24C1~24C12は、制御対象のコイル13u11~13w2mが異なる点以外は、第7の実施形態に係るスイッチ回路24B1~24Bmと同様である。
【0112】
12個の電源Bt1~Bt12は、第7の実施形態と同様に、自身が属する分割回路G1C~G12Cの固定子のコイル13u11~13w2mに、スイッチ回路24C1~24C12を介して接続される。
【0113】
制御装置2Cは、各分割回路G1C~G12Cの電源Bt1~Bt12の監視及び制御をする。その他の点は、制御装置2Cは、第7の実施形態に係る制御装置2Bと同様である。
【0114】
本実施形態によれば、第1の実施形態による作用効果に加え、以下の作用効果を得ることができる。
少なくとも1つの電源Bt1~Bt12、及び、固定子毎(又は相毎)にグループ分けされた1つのグループのコイル13u11~13w2mが含まれるように、回転機システム10Cの電気回路を分割した分割回路G1C~G12Cを設けることで、回転機システム10Cの障害(例えば、電源Bt1~Bt12の故障)に対する耐性を高めることができる。
【0115】
具体的には、任意の分割回路G1~Gmを停止させても、停止させた分割回路G1~Gmと同一の固定子(又は同相)のコイル13u11~13w2mを含む他の分割回路G1~Gmにより、その固定子(又はその相)に電圧を印加することができる。これにより、任意の分割回路G1~Gmが停止しても、代替となる分割回路G1~Gmが固定子(又は相)に電圧を印加することにより、回転機システム10Cは、回転機1Bにバランスの取れた電力を供給することができる。
【0116】
(第9の実施形態)
図16は、本発明の第9の実施形態に係る回転機システム10Dにおける分割回路G1D~GmDの構成を示す簡略図である。
【0117】
回転機システム10Dは、
図14に示す第7の実施形態に係る回転機システム10Bにおいて、分割回路G1~Gmから電源Bt1~電源Btmを取り除いた分割回路G1D~GmDを設け、切換器CH及び2つの電源Btm,Btsを追加し、制御装置2Bを制御装置2Dに代えたものである。その他の点は、第7の実施形態と同様である。
【0118】
2つの電源Btm,Btsは、切換器CHを介して、全ての分割回路G1D~GmDのスイッチ回路24B1~24Bmに接続される。なお、2つの電源Btm,Btsは、別々に独立した電源装置でもよいし、1つの電源装置に実装された2つのセルでもよい。その他の点は、電源Btm,Btsは、第7の実施形態に係る電源Bt1~Btmと同様である。
【0119】
切換器CHは、回転機1Bの制御に使用する電源として、2つの電源Btm,Btsのいずれかを選択する回路である。切換器CHは、2つの電源Btm,Btsを切り換えて、いずれか一方の電源Btm,Btsをスイッチ回路24B1~24Bmに接続する。切換器CHは、制御装置2D、電源Btm,Btsに実装された制御器、又は、これらの両方からの切換指令(切換信号)により、いずれか一方の電源Btm,Btsを選択して接続する。
【0120】
次に、2つの電源Btm,Btsの運用方法の一例を説明する。
【0121】
通常時、切換器CHは、メイン電源Btmを選択する。これにより、メイン電源Btmは、各スイッチ回路24B1~24Bmを介して、コイル13u11~13w2mと接続される。このとき、サブ電源Btsは、待機状態であり、充電をしていてもよい。
【0122】
メイン電源Btmを停止させる場合、切換器CHは、メイン電源Btmからサブ電源Btsに切り換える。これにより、サブ電源Btsは、各スイッチ回路24B1~24Bmを介して、コイル13u11~13w2mと接続される。例えば、メイン電源Btmを停止させる場合とは、メイン電源Btmの異常を検出した場合、蓄電量(充電率)が閾値を下回った場合、又は、点検等により人為的にメイン電源Btmを停止させる場合である。切換器CHは、メイン電源Btmの監視による異常検出又は蓄電量不足の検出により、検出信号を受信して自動的に切り換えられてもよいし、操作員により手動で切り換えられてもよい。
【0123】
本実施形態によれば、第1の実施形態による作用効果に加え、以下の作用効果を得ることができる。
全ての分割回路G1D~GmDで用いる電源Btm,Btsを共通にすることで、電源の数を減らしながら、第7の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。具体的には、少なくとも1つの分割回路G1D~GmDが正常であれば、回転機1Bの全ての固定子に電圧を印加することができる。また、2つの電源Btm,Btsを設けることで、電源Btm,Btsの異常等に対する回転機システム10Dの運転継続性を高めることができる。
【0124】
本実施形態では、2つの電源Btm,Btsを設けたが、3つ以上の電源を設けてもよい。また、2つの電源の役割を、通常時に使用するメイン電源Btmと、メイン電源Btmの停止時に使用するサブ電源Btsとしたが、これに限らない。2つの電源を同等に使用してもよいし、2つの電源間で、メインとサブの関係が運用中に入れ替わってもよい。さらに、2つの電源間で切換器CHを介さずに直接充放電をして、2つの電源のそれぞれの蓄電量が調整できるようにしてもよい。また、2つの電源で、電力を供給してもよい。3つ以上の電源についても同様である。
【0125】
本実施形態では、第7の実施形態に係る回転機システム10Bに基づいて、電源を共通にした構成を説明したが、第8の実施形態に係る回転機システム10Cに基づいて、同様に構成してもよい。即ち、
図15に示す回転機システム10Cにおいて、分割回路G1C~G12Cから電源Bt1~電源Bt12を取り除き、切換器CH及び2つの電源Btm,Btsを追加して、本実施形態と同様に構成することができる。これにより、電源の数を減らしながら、第8の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0126】
(第10の実施形態)
図17は、本発明の第10の実施形態に係る回転機システム10Eにおける分割回路G1E~GmEの構成を示す簡略図である。
【0127】
回転機システム10Eは、
図14に示す第7の実施形態に係る回転機システム10Bにおいて、分割回路G1~Gmを分割回路G1E~GmEに代え、制御装置2Bを制御装置2Eに代えたものである。分割回路G1E~GmEは、第7の実施形態に係る分割回路G1~Gmにおいて、それぞれ、1つの電源Bt1~電源Btmを取り除き、代わりに、2つの電源Btm1,Bts1~Btmm,Btsm及び切換器CH1~CHmを追加したものである。その他の点は、第7の実施形態と同様である。
【0128】
2つの電源Btm1,Bts1~Btmm,Btsmは、各分割回路G1E~GmEに設けられた点以外は、第9の実施形態に係る2つの電源Btm,Btsと同様である。例えば、2つの電源Btm1,Bts1~Btmm,Btsmは、メイン電源Btm1~Btmmとサブ電源Bts1~Btsmとして設けられる。通常時は、メイン電源Btm1~Btmmが使用され、メイン電源Btm1~Btmmの停止時にサブ電源Bts1~Btsmが使用される。
【0129】
切換器CH1~CHmは、各分割回路G1E~GmEに設けられた点以外は、第9の実施形態に係る切換器CHと同様である。したがって、切換器CH1~CHmの切換条件についても、第9の実施形態と同様である。例えば、切換器CH1~CHmは、メイン電源Btm1~Btmmの異常又は蓄電量不足の検出により、自動的にサブ電源Bts1~Btsmに切り換えられてもよいし、操作員により手動で切り換えられてもよい。
【0130】
本実施形態によれば、第7の実施形態による作用効果に加え、各分割回路G1E~GmEに複数の電源Btm1,Bts1~Btmm,Btsmを設けることで、電源Btm1,Bts1~Btmm,Btsmの異常等に対する回転機システム10Eの運転継続性を第7の実施形態によりも高めることができる。
【0131】
本実施形態では、各分割回路G1E~GmEに、2つの電源Btm1,Bts1~Btmm,Btsmを設けたが、3つ以上の電源を設けてもよい。3つ以上の電源の役割については、第9の実施形態と同様に任意に設定してもよい。
【0132】
本実施形態では、第7の実施形態に係る回転機システム10Bに基づく構成について説明したが、第8の実施形態に係る回転機システム10Cに基づいて、同様に構成してもよい。即ち、
図15に示す回転機システム10Cにおいて、各分割回路G1C~G12Cに、複数の電源を設けて、本実施形態と同様に構成することができる。これにより、回転機システム10Eの運転継続性を高めながら、第8の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0133】
(第11の実施形態)
図18は、本発明の第11の実施形態に係る回転機システム10Fの構成を示す簡略図である。
【0134】
回転機システム10Fは、回転機1B、2つの電源Bt1,Bt2、切換器61、電源側電圧コンバータ62、回生用電源63、回転機側電圧コンバータ64、回生用スイッチ回路65、駆動用スイッチ回路66、及び、ワイヤレス受電部WRを備える。その他の点は、第1の実施形態と同様である。ここでは、第1の実施形態を基本構成とした構成について主に説明するが、その他の実施形態を基本構成としてもよい。
【0135】
電源側電圧コンバータ62、回生用電源63、回転機側電圧コンバータ64、及び、回生用スイッチ回路65は、回転機1Bの回生時に主に使用される制動系回路を構成する。駆動用スイッチ回路66は、回転機1Bの駆動時に主に使用される駆動系回路を構成する。
【0136】
回転機システム10Fは、
図13に示す第7の実施形態に係る回転機1Bを採用した構成について説明するが、第1の実施形態と同様に、どのような回転機を用いてもよい。また、2つの電源Bt1,Bt2は、同等に使用される構成について説明するが、
図16に示す第9の実施形態に係る電源Btm,Btsのように、メインとサブの関係を持たせてもよいし、その他のどのように運用してもよい。
【0137】
回生用スイッチ回路65及び駆動用スイッチ回路66は、それぞれ、第1の実施形態に係る回生用スイッチ回路242及び駆動用スイッチ回路241と同様の構成である。なお、回生用スイッチ回路65及び駆動用スイッチ回路66は、第2の実施形態に係るスイッチ回路243と同様に、駆動用と回生用を兼用する回路としてもよいし、その他の実施形態に係るスイッチ回路と同様に構成してもよい。
【0138】
なお、
図18では、回生用スイッチ回路65及び駆動用スイッチ回路66は、回転機1Bの全てのコイル13u11~13w2mと接続された構成を示しているが、第1の実施形態のように、1つの固定子のコイルが接続されていてもよいし、第7の実施形態から第10の実施形態のように、グループ分けされた1つのグループのコイルが接続されてもよいし、これら以外の一部のコイルが接続されてもよい。この場合、全てのコイル13u11~13w2mに対応するように、複数の回生用スイッチ回路65及び複数の駆動用スイッチ回路66が設けられる。
【0139】
回生用スイッチ回路65は、回転機1Bの回生電力を電源Bt1,Bt2側に送るように動作する。回転機側電圧コンバータ64は、回生電力により回生用電源63が充電されるように、回生用スイッチ回路65からの回生電力を直流電力に変換して、電圧を昇圧又は降圧する。例えば、回生用電源63は、電気二重層キャパシタである。回生用電源63は、2つの電源Bt1,Bt2よりも応答性が早く充放電可能な電源であれば、キャパシタ又は2次電池等どのような電源でもよい。電源側電圧コンバータ62は、回生用電源63からの放電エネルギーを切換器61に供給するように、回生用電源63からの電圧を昇圧又は降圧する。
【0140】
駆動用スイッチ回路66は、切換器61を介して、電源Bt1,Bt2から供給される電力を、自身に接続されているコイル13u11~13w2mを導通させるように供給する。これにより、回転機1Bは駆動運転を行う。
【0141】
なお、回転機1Bの駆動時(力行時)に、制動系回路が使用されてもよいし、回転機1Bの回生時に、駆動系回路が使用されてもよい。例えば、制動系回路は、回転機1Bの駆動中に、回生用電源63により電源Bt1,Bt2を充電してもよい。
【0142】
切換器61は、回転機1Bの制御に使用する電源として、2つの電源Bt1,Bt2のいずれかを選択する回路である。切換器61は、第9の実施形態に係る切換器CHと同様の機能及び構成を備える。また、切換器61は、回転機1Bの制御状態に応じて、選択された電源Bt1,Bt2を制動系回路又は駆動系回路に接続する。
【0143】
切換器61には、ワイヤレス受電部WRが接続される。例えば、回転機1Bが停止している場合、切換器61は、ワイヤレス受電部WRを回転機1B側の回路に接続する。ワイヤレス受電部WRは、回転機1B側から受電した電力に関する電力情報をワイヤレスにより外部に送信する。ワイヤレス受電部WRから送信された電力情報により、停止している回転機1Bの状態を監視する。
【0144】
なお、切換器61は、ワイヤレス受電部WRが接続されていなくてもよいし、ワイヤレス受電部WRを接続する機能を有していなくてもよい。また、ワイヤレス受電部WRの代わりに、同等の機能を備える有線の受電部を設けてもよい。
【0145】
図19は、本実施形態に係る切換器61の構成を示す回路図である。ここで説明する切換器61を含めた構成は、一例であり、これに限らず、どのように構成されてもよい。
【0146】
2つの電源Bt1,Bt2は、1つの電源装置70に実装される。2つの電源Bt1,Bt2は、互いに充放電して、それぞれの蓄電量を調整する。電源装置70には、バッテリ・マネジメント・システム(BTS)71が実装される。BTS71は、各電源Bt1,Bt2の蓄電量に応じて、切換器61に各種信号を送信する。
【0147】
切換器61は、第1切換スイッチ611、第2切換スイッチ612、第3切換スイッチ613、電流センサ614、及び、スイッチ615を備える。なお、スイッチ615は、設けなくてもよい。
【0148】
ここで、Q1は、第1電源Bt1の蓄電量を表し、Q2は、第2電源Bt2の蓄電量を表し、Irは、制動系回路から切換器61に流れる電流量を表し、Iaは、第3切換スイッチ613に設定された切換条件の電流の閾値を表すものとする。
【0149】
第1切換スイッチ611は、駆動系回路に電力を供給するため電源として、2つの電源Bt1,Bt2のいずれか一方を選択するスイッチである。第1切換スイッチ611の一方の入力端子は、第1電源Bt1からの放電電力が入力されるように、第1電源Bt1と接続される。第1切換スイッチ611の他方の入力端子は、第2電源Bt2からの放電電力が入力されるように、第2電源Bt2と接続される。第1切換スイッチ611の出力端子は、駆動系回路と接続される。
【0150】
第1切換スイッチ611は、BTS71から入力される信号に基づいて、切り換えを行う。第1電源Bt1の蓄電量が第2電源Bt2の蓄電量よりも多い場合(Q1>Q2)、第1切換スイッチ611は、第1電源Bt1を選択する。第1電源Bt1の蓄電量が第2電源Bt2の蓄電量よりも少ない場合(Q1<Q2)、第1切換スイッチ611は、第2電源Bt2を選択する。これにより、蓄電量が多い方の電源Bt1,Bt2が選択され、選択された電源Bt1,Bt2からの放電電力が駆動系回路に供給される。
【0151】
第2切換スイッチ612は、制動系回路からの電力により充電する電源として、2つの電源Bt1,Bt2のいずれか一方を選択するスイッチである。第2切換スイッチ612の一方の出力端子は、制動系回路からの電力が第1電源Bt1に入力されるように、第1電源Bt1と接続される。第2切換スイッチ612の他方の出力端子は、制動系回路からの電力が第2電源Bt2に入力されるように、第2電源Bt2と接続される。第2切換スイッチ612の入力端子は、制動系回路と接続される。
【0152】
第2切換スイッチ612は、BTS71から入力される信号に基づいて、切り換えを行う。第1電源Bt1の蓄電量が第2電源Bt2の蓄電量よりも少ない場合(Q1<Q2)、第2切換スイッチ612は、第1電源Bt1を選択する。第1電源Bt1の蓄電量が第2電源Bt2の蓄電量よりも多い場合(Q1>Q2)、第1切換スイッチ612は、第2電源Bt2を選択する。これにより、蓄電量が少ない方の電源Bt1,Bt2が選択され、選択された電源Bt1,Bt2を充電するように、制動系回路から電力が供給される。
【0153】
電流センサ614は、制動系回路から入力される電流量Irを検出するセンサである。電流センサ614は、検出した電流量Irを第3切換スイッチ613に出力する。
【0154】
第3切換スイッチ613は、制動系回路からの電力を供給する経路として、電源Bt1,Bt2に供給する経路又は駆動系回路のいずれかを一方を選択するスイッチである。第3切換スイッチ613の一方の出力端子は、第2切換スイッチ612の入力端子に接続される。第3切換スイッチ613の他方の出力端子は、駆動系回路に接続される。第3切換スイッチ613の入力端子は、制動系回路に接続される。
【0155】
第3切換スイッチ613は、電流センサ614からの検出信号に基づいて、切り換えを行う。制動系回路からの電流量が閾値よりも少ない場合(Ia<Ir)、第3切換スイッチ613は、電源Bt1,Bt2に供給する経路を選択する。制動系回路からの電流量が閾値よりも多い場合(Ia>Ir)、第3切換スイッチ613は、駆動系回路を選択する。これにより、制動系回路からの過剰な電流による電源Bt1,Bt2の損傷を防ぐ。
【0156】
具体的には、過剰な電流が制動系回路から入力された場合、駆動系回路を介してループ回路が形成され、回転機1Bのコイル13u11~13w2mで放電する。これにより、電源Bt1,Bt2は、過充電又は過電流等から保護される。なお、閾値Irは、電源Bt1,Bt2の蓄電量等に応じて変化する可変値でもよい。
【0157】
スイッチ615は、制動系回路とワイヤレス受電部WRとの接続を行うスイッチである。スイッチ615の一方の端子は、第2切換スイッチ612の入力端子と第3切換スイッチ613の一方の出力端子とを接続する経路に接続される。スイッチ615の他方の端子は、ワイヤレス受電部WRと接続するための端子に接続される。回転機1Bが運転中は、スイッチ615は、経路を電気的に切り離している。回転機1Bが停止すると、スイッチ615は、電気的に経路が形成されるように、接点を接続する。これにより、停止中の回転機1Bからの電力がワイヤレス受電部WRに伝わるように、経路が形成される。
【0158】
本実施形態によれば、第1の実施形態による作用効果に加え、制動系回路に回生用電源63を電源Bt1,Bt2とは別に設けることで、回転機システム10Fの電力効率を向上させることができる。
【0159】
(第12の実施形態)
図20は、本発明の第12の実施形態に係る回転機システム10Gの構成を示す簡略図である。
【0160】
回転機システム10Gは、
図18に示す第11の実施形態に係る回転機システム10Fにおいて、回生用スイッチ回路65及び駆動用スイッチ回路66の代わりにスイッチ回路65Gを設け、切換器67を追加したものである。その他の点は、第11の実施形態と同様である。
【0161】
切換器67は、駆動系回路と制動系回路のいずれかを選択して、スイッチ回路65Gに接続する回路である。回転機1Bを駆動制御する場合、切換器67は、駆動系回路を選択する。回転機1Bを制動制御する場合、切換器67は、制動系回路を選択する。例えば、切換器67は、
図1に示す第1の実施形態に係るメイン制御部21からの指令により切り換えられる。なお、切換器67の切り換えは、自動で行われてもよいし、手動で行われてもよいし、その他のどのような方法で行われてもよい。
【0162】
スイッチ回路65Gは、駆動用と回生用で兼用するスイッチ回路である。例えば、スイッチ回路65Gは、
図2に示す第2の実施形態に係るスイッチ回路と同様に構成される。
図20では、スイッチ回路65Gには、回転機1Bの全てのコイル13u11~13w2mと接続された構成を示しているが、第11の実施形態と同様に、複数に分けられた一部のコイル13u11~13w2mが接続されてもよい。この場合、全てのコイル13u11~13w2mに対応するように、複数のスイッチ回路65Gが設けられる。
【0163】
本実施形態によれば、駆動用と回生用で兼用するスイッチ回路65Gを設けることで、回転機システム10Gの全体のコストを低減して、第11の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0164】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、構成要素を削除、付加又は変更等をしてもよい。また、複数の実施形態について構成要素を組合せ又は交換等をすることで、新たな実施形態としてもよい。このような実施形態が上述した実施形態と直接的に異なるものであっても、本発明と同様の趣旨のものは、本発明の実施形態として説明したものとして、その説明を省略している。