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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-08
(45)【発行日】2023-05-16
(54)【発明の名称】車両用サブフレーム
(51)【国際特許分類】
   B62D 21/00 20060101AFI20230509BHJP
【FI】
B62D21/00 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019068075
(22)【出願日】2019-03-29
(65)【公開番号】P2020164094
(43)【公開日】2020-10-08
【審査請求日】2022-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】592037790
【氏名又は名称】株式会社エフテック
(74)【代理人】
【識別番号】100145023
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 学
(74)【代理人】
【識別番号】100105887
【弁理士】
【氏名又は名称】来山 幹雄
(74)【代理人】
【識別番号】100182028
【弁理士】
【氏名又は名称】多原 伸宜
(72)【発明者】
【氏名】川井 徹
(72)【発明者】
【氏名】池田 涼
(72)【発明者】
【氏名】藺牟田 幸嗣
(72)【発明者】
【氏名】氏江 涼太
【審査官】長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0300136(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102005038182(DE,A1)
【文献】特開2016-150685(JP,A)
【文献】実開平03-091282(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 21/00
B60G 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に装着される車両用サブフレームであって、
前記車体の前後方向に各々延在しながら前記車体の幅方向で互いに対向して配設される第1のサイドメンバ及び第2のサイドメンバと、
前記幅方向に延在して配設されると共に、前記第1のサイドメンバ及び前記第2のサイドメンバを連結するクロスメンバと、
前記クロスメンバから前記車体の後方側に離間しながら前記幅方向に延在して配設されると共に、前記第1のサイドメンバ及び前記第2のサイドメンバを連結する連結部材と、を備え、
前記連結部材は、前記第1のサイドメンバに対して、前記前後方向で互いに離間して前記第1のサイドメンバに設定された左前連結部及び左後連結部で連結されると共に、前記第2のサイドメンバに対して、前記前後方向で互いに離間して前記第2のサイドメンバに設定された右前連結部及び右後連結部で連結され、
前記第1のサイドメンバは、車両用サブフレームが前記車体に取り付けられるために左前取付部及び前記左前取付部の前記後方側で左後取付け部を有すると共に、前記前後方向において、前記左前連結部及び前記左後連結部の間に設定された第1の脆弱部を有し、
前記第2のサイドメンバは、車両用サブフレームが前記車体に取り付けられるために右前取付部及び前記右前取付部の前記後方側で右後取付け部を有すると共に、前記前後方向において、前記右前連結部及び前記右後連結部の間に設定された第2の脆弱部を有し、
前記連結部材は、前記第1のサイドメンバ及び前記第2のサイドメンバの間で交差する交差部を有して、前記交差部で第3の脆弱部を有すると共に、前記第1の脆弱部、前記第2の脆弱部及び前記第3の脆弱部は、前記前後方向における配設位置が互いに等しく設定され、
前記第1の脆弱部は、前記第1のサイドメンバの上壁部に配設されると共に、前記車体の下方に向かって凹む凹部であり、前記第1のサイドメンバにおいて、前記第1の脆弱部が配設された部分は、前記左前取付部に前記後方側から接続し、
前記第2の脆弱部は、前記第2のサイドメンバの上壁部に配設されると共に、前記下方に向かって凹む凹部であり、前記第2のサイドメンバにおいて、前記第2の脆弱部が配設された部分は、前記右前取付部に前記後方側から接続し、
前記左前連結部は、前記第1のサイドメンバにおいて、前記第1の脆弱部が配設された前記部分が前記左前取付部に接続する前記上壁部に溶接されて接続されると共に、前記右前連結部は、前記第2のサイドメンバにおいて、前記第2の脆弱部が配設された前記部分が前記右前取付部に接続する前記上壁部に溶接されて接続され、前記第3の脆弱部は、前記交差部の中心点を含むように設定される車両用サブフレーム。
【請求項2】
前記第1のサイドメンバは、更に、前記左前連結部に対して、前記車体の前方側に第4の脆弱部を有すると共に、前記左後連結部に対して、前記後方側に第5の脆弱部を有し、
前記第2のサイドメンバは、更に、前記右前連結部に対して、前記前方側に第6の脆弱部を有すると共に、前記右後連結部に対して、前記後方側に第7の脆弱部を有する請求項に記載の車両用サブフレーム。
【請求項3】
前記第3の脆弱部は、前記下方に向かって凹む凹部で形成する請求項に記載の車両用サブフレーム
【請求項4】
前記連結部材は、前記サイドメンバから前記交差部に向かうにつれ、前記下方に傾斜する請求項に記載の車両用サブフレーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用サブフレームに関し、特に、各種補機を含む駆動源やシャーシ系等の構成部品を支持して自動車等の車両に装着される車両用サブフレームに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車等の車両に装着されるサブフレームにおいては、それが装着される車両の典型的には前面衝突時において、その変形が積極的に許容される部位とそうではない部位とを考慮しながら、その衝突時に車両が受ける運動エネルギの一部を吸収するためにそれが所望の変形モードで変形すること、つまり所要の衝突性能を発揮することが求められている。
【0003】
また、かかるサブフレームに対しては、内燃機関や電動モータといった駆動源や駆動源関連部品、サスペンションアームやスタビライザ等のサスペンション関連部品、ステアリングギヤボックス等のステアリング関連部品及びエンジン・トランスミッション系のマウント関連部品といった種々の外力印加部品が装着されるようになっている。
【0004】
そのため、かかるサブフレームに対しては、その生産性等を向上させながら、その強度や剛性をより増大させた態様で車両の車体に装着されることが求められている。
【0005】
かかる状況下で、特許文献1は、自動車用のサブフレームに関し、安価かつ軽量で、運転時及び衝突時に好適な機械的特性を有するサブフレームを実現することを企図し、2つの長手メンバ11と、クロスメンバ12と長手メンバ11間で延在する単一シェルのスティフナ13と、を備え、スティフナ13は、2つの長手ストラット20と、2つの横手ストラット21と、を備えて、これらで矩形状の外側フレームを構成し、2つの長手ストラット20には、所定の曲げ点26が各々形成された構成を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】欧州特許出願公開第2477875号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、本発明者の検討によれば、特許文献1の構成においては、2つの長手ストラット20に所定の曲げ点26を各々形成するものであるため、スティフナ13の構成自体が大がかりなものとなってしかも煩雑であり、この点で改良の余地がある。
【0008】
また、特許文献1は、衝突性能を考慮した2つの長手メンバ11やそれらへのスティフナ13の装着についての詳細な構成について、何等開示や示唆するものではない。
【0009】
本発明は、以上の検討を経てなされたもので、強度及び剛性を高めることができると共に、所要の衝突性能を発揮することができる車両用サブフレームを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以上の目的を達成すべく、本発明の第1の局面は、車体に装着される車両用サブフレームであって、前記車体の前後方向に各々延在しながら前記車体の幅方向で互いに対向して配設される第1のサイドメンバ及び第2のサイドメンバと、前記幅方向に延在して配設されると共に、前記第1のサイドメンバ及び前記第2のサイドメンバを連結するクロスメンバと、前記クロスメンバから前記車体の後方側に離間しながら前記幅方向に延在して配設されると共に、前記第1のサイドメンバ及び前記第2のサイドメンバを連結する連結部材と、を備え、前記連結部材は、前記第1のサイドメンバに対して、前記前後方向で互いに離間して前記第1のサイドメンバに設定された左前連結部及び左後連結部で連結されると共に、前記第2のサイドメンバに対して、前記前後方向で互いに離間して前記第2のサイドメンバに設定された右前連結部及び右後連結部で連結され、前記第1のサイドメンバは、車両用サブフレームが前記車体に取り付けられるために左前取付部及び前記左前取付部の前記後方側で左後取付け部を有すると共に、前記前後方向において、前記左前連結部及び前記左後連結部の間に設定された第1の脆弱部を有し、前記第2のサイドメンバは、車両用サブフレームが前記車体に取り付けられるために右前取付部及び前記右前取付部の前記後方側で右後取付け部を有すると共に、前記前後方向において、前記右前連結部及び前記右後連結部の間に設定された第2の脆弱部を有し、前記連結部材は、前記第1のサイドメンバ及び前記第2のサイドメンバの間で交差する交差部を有して、前記交差部で第3の脆弱部を有すると共に、前記第1の脆弱部、前記第2の脆弱部及び前記第3の脆弱部は、前記前後方向における配設位置が互いに等しく設定され、前記第1の脆弱部は、前記第1のサイドメンバの上壁部に配設されると共に、前記車体の下方に向かって凹む凹部であり、前記第1のサイドメンバにおいて、前記第1の脆弱部が配設された部分は、前記左前取付部に前記後方側から接続し、前記第2の脆弱部は、前記第2のサイドメンバの上壁部に配設されると共に、前記下方に向かって凹む凹部であり、前記第2のサイドメンバにおいて、前記第2の脆弱部が配設された部分は、前記右前取付部に前記後方側から接続し、前記左前連結部は、前記第1のサイドメンバにおいて、前記第1の脆弱部が配設された前記部分が前記左前取付部に接続する前記上壁部に溶接されて接続されると共に、前記右前連結部は、前記第2のサイドメンバにおいて、前記第2の脆弱部が配設された前記部分が前記右前取付部に接続する前記上壁部に溶接されて接続され、前記第3の脆弱部は、前記交差部の中心点を含むように設定される車両用サブフレームである。
【0013】
また、本発明は、かかる第の局面に加え、前記第1のサイドメンバは、更に、前記左前連結部に対して、前記車体の前方側に第4の脆弱部を有すると共に、前記左後連結部に対して、前記後方側に第5の脆弱部を有し、前記第2のサイドメンバは、更に、前記右前連結部に対して、前記前方側に第6の脆弱部を有すると共に、前記右後連結部に対して、前記後方側に第7の脆弱部を有することを第の局面とする。
【0014】
また、本発明は、かかる第の局面に加え、前記第3の脆弱部は、前記下方に凹む凹部で形成することを第の局面とする。
【0015】
また、本発明は、かかる第の局面に加え、前記連結部材は、前記サイドメンバから前記交差部に向かうにつれ、前記下方に傾斜することを第の局面とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の第1の局面における構成によれば、車両用サブフレームが、車体の前後方向に各々延在しながら車体の幅方向で互いに対向して配設される第1のサイドメンバ及び第2のサイドメンバと、幅方向に延在して配設されると共に、第1のサイドメンバ及び第2のサイドメンバを連結するクロスメンバと、クロスメンバから車体の後方側に離間しながら幅方向に延在して配設されると共に、第1のサイドメンバ及び第2のサイドメンバを連結する連結部材と、を備え、連結部材が、第1のサイドメンバに対して、前後方向で互いに離間して第1のサイドメンバに設定された左前連結部及び左後連結部で連結されると共に、第2のサイドメンバに対して、前後方向で互いに離間して第2のサイドメンバに設定された右前連結部及び右後連結部で連結され、第1のサイドメンバは、車両用サブフレームが車体に取り付けられるために左前取付部及び左前取付部の後方側で左後取付け部を有すると共に、前後方向において、左前連結部及び左後連結部の間に設定された第1の脆弱部を有し、第2のサイドメンバは、車両用サブフレームが車体に取り付けられるために右前取付部及び右前取付部の後方側で右後取付け部を有すると共に、前後方向において、右前連結部及び右後連結部の間に設定された第2の脆弱部を有し、連結部材は、第1のサイドメンバ及び第2のサイドメンバの間で交差する交差部を有して、交差部で第3の脆弱部を有すると共に、第1の脆弱部、第2の脆弱部及び第3の脆弱部は、前後方向における配設位置が互いに等しく設定され、第1の脆弱部は、第1のサイドメンバの上壁部に配設されると共に、車体の下方に向かって凹む凹部であり、第1のサイドメンバにおいて、第1の脆弱部が配設された部分は、左前取付部に後方側から接続し、第2の脆弱部は、第2のサイドメンバの上壁部に配設されると共に、下方に向かって凹む凹部であり、第2のサイドメンバにおいて、第2の脆弱部が配設された部分は、右前取付部に後方側から接続し、左前連結部は、第1のサイドメンバにおいて、第1の脆弱部が配設された部分が左前取付部に接続する上壁部に溶接されて接続されると共に、右前連結部は、第2のサイドメンバにおいて、第2の脆弱部が配設された部分が右前取付部に接続する上壁部に溶接されて接続され、第3の脆弱部は、交差部の中心点を含むように設定されるものであるため、連結部材で車両用サブフレームの強度及び剛性を高めることができると共に、連結部材の連結部に対して第1の脆弱部及び第2の脆弱部を適切に配置して車両用サブフレームに所要の衝突性能を発揮させることができる。また、かかる本発明の第1の局面における構成によれば、連結部材を斜交い構造のものとして車両用サブフレームの強度及び剛性を高めることができると共に、連結部材が第1の脆弱部及び第2の脆弱部の変形モードに不要な影響を与えることがないように連結部材の第3の脆弱部を配置してそれらの変形を許容し車両用サブフレームに所要の衝突性能を発揮させることができる。また、かかる本発明の第1の局面における構成によれば、車両の衝突時に、第1の脆弱部及び第2の脆弱部が変形する際に併せて第3の脆弱部も変形し、これらの変形のタイミングを実質同等なものとして車両用サブフレームに所要の衝突性能を発揮させることができる。
【0019】
また、本発明の第の局面における構成によれば、1のサイドメンバが、更に、左前連結部に対して、車体の前方側に第4の脆弱部を有すると共に、左後連結部に対して、後方側に第5の脆弱部を有し、第2のサイドメンバが、更に、右前連結部に対して、前方側に
第6の脆弱部を有すると共に、右後連結部に対して、後方側に第7の脆弱部を有するものであるため、第5の脆弱部及び第6の脆弱部で第1の脆弱部及び第2の脆弱部の変形を補助的に促進して車両用サブフレームに所要の衝突性能を発揮させることができる。
【0020】
また、本発明の第の局面における構成によれば、第3の脆弱部が、下方に凹む凹部で形成するため、連結部材を斜交い構造のものとして車両用サブフレームの強度及び剛性を高めることができると共に、より効果的に連結部材が第1の脆弱部及び第2の脆弱部の変形モードに不要な影響を与えることがないように連結部材の第3の脆弱部を配置してそれらの変形を許容し車両用サブフレームに所要の衝突性能を発揮させることができる。
【0021】
また、本発明の第の局面における構成によれば、連結部材が、サイドメンバから交差部に向かうにつれて下方に傾斜するため、連結部材を斜交い構造のものとして車両用サブフレームの強度及び剛性を高めることができると共に、より効果的に連結部材が第1の脆弱部及び第2の脆弱部の変形モードに不要な影響を与えることがないように連結部材の第3の脆弱部を配置してそれらの変形を許容し車両用サブフレームに所要の衝突性能を発揮させることができる。また、連結部材が下方に傾斜しているため車両用サブフレームの上方に空間を確保することができ、周辺部材のレイアウト性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、本発明の実施形態における車両用サブフレームの構成を示す平面図である。
図2図2は、本実施形態における車両用サブフレームの構成を示す底面図である。
図3図3は、本実施形態における車両用サブフレームの構成を示す左側面図である。
図4図4は、図1における各断面を示し、図4(a)は、図1のA-A断面図、図4(b)は、図1のB-B断面図、及び図4(c)は、図1のC-C断面図である。
図5図5は、本実施形態における車両用サブフレームの衝突時における構成を模式的に示す部分左側面図である。
図6図6は、本発明の実施形態の第1の変形例における車両用サブフレームの構成を示す左側面図であり、位置的には図3に相当する。
図7図7は、本発明の実施形態の第2の変形例における車両用サブフレームの構成を示す断面図であり、位置的には図4(a)に相当する。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図1から図5を適宜参照して、本発明の実施形態における車両用サブフレームにつき詳細に説明する。なお、図中、x軸、y軸及びz軸は、3軸直交座標系を成す。また、x軸の正方向が車体の左方向であり、y軸の正方向が車体の前方向であり、かつ、z軸の正方向が車体の上方向である。また、x軸の方向を幅方向又は横方向、y軸の方向を前後方向及びz軸の方向を上下方向と呼ぶことがある。
【0024】
図1から図3は、各々、本実施形態における車両用サブフレームの構成を示す平面図、底面図及び左側面図である。図4(a)は、図1のA-A断面図、図4(b)は、図1のB-B断面図、及び図4(c)は、図1のC-C断面図であり、何れもy軸及びz軸が成すy-z平面に平行な平面で切った縦断面図である。また、図5は、本実施形態における車両用サブフレームの衝突時における構成を模式的に示す部分左側面図である。なお、図3及び図5では、説明の便宜上、車両用サブフレームの右側の構成要素の一部を括弧書きの符号で必要に応じて右側の構成要素の符号に併せて示している。
【0025】
図1から図4に主として示すように、サブフレーム1は、いずれも図示を省略するが、自動車等の車両のフロントエンジンベイを画成するフロントサイドフレーム等の車体に装着されながら、サスペンションアーム等を支持するものである。かかるサブフレーム1は、典型的には、y-z平面と平行な平面であって車体の幅方向の中央を前後方向に走る中央線を通る平面に対して、左右対称(面対称)な形状を有する。
【0026】
サブフレーム1においては、いずれも詳細は後述するが、車体に装着される部位として、第1車体取付部A1、第2車体取付部A2、第3車体取付部A3及び第4車体取付部A4の4カ所が設定され、サスペンションアームを支持する部位として、第1支持部S1、第2支持部S2、第3支持部S3及び第4支持部S4の4カ所が設定されている。
【0027】
具体的には、サブフレーム1は、主として、幅方向に延在して配設されるクロスメンバ10と、クロスメンバ10に連結されると共に、前後方向に延在しながら幅方向で互いに対向して配設される一対のサイドメンバである左サイドメンバ110及び右サイドメンバ210と、左サイドメンバ110の左側部に配設される左支持部材120と、右サイドメンバ210の右側部に配設される右支持部材220と、クロスメンバ10の後方向の側に配設されると共に、左サイドメンバ110及び右サイドメンバ210に連結される連結部材300と、を備える。これらの部材は、各々、典型的には鋼板等の一枚の平板部材をプレス成形して得られるものであり、互いの重ね合わされた部分や突き合わされた部分が対応して当接された状態でアーク溶接等で溶接されて一体化されることにより、サブフレーム1は、基本的には閉断面形状を呈している。なお、これらの部材は、各々必要に応じ、筒部材、鋳造部材及び合成樹脂の成形部材に置換することも可能であり、かかる場合の部材間の結合の形態は、ボルト、ナット等を用いた機械的なもの、接着剤等を用いた接着的なもの、及び部材間の界面領域の物性的な変化を利用した接合的なものに置換することも可能である。
【0028】
クロスメンバ10は、幅方向に延在する横上部材12と、横上部材12の下方向の側でそれに対向しながら幅方向に延在して配設されると共に、横上部材12と典型的にはアーク溶接等で溶接されることにより一体化された横下部材22と、を備える。
【0029】
詳しくは、横上部材12は、クロスメンバ10の上方向及び前方向の側を塞ぐ板部材であり、上壁部14及び前縦壁部16を有する。上壁部14及び前縦壁部16は、幅方向における横上部材12の全長にわたって設けられて、クロスメンバ10の上方向及び前方向の側を対応して塞いでいる。
【0030】
横下部材22は、クロスメンバ10の下方向の側及び前方向の側を塞ぐ板部材であり、底壁部24及び前縦壁部26を有する。底壁部24及び前縦壁部26は、幅方向における横下部材22の全長にわたって設けられて、クロスメンバ10の下方向の側及び前方向の側を対応して塞いでいる。横上部材12の上壁部14の後端部及び横下部材22の底壁部24の後端部は、典型的にはアーク溶接等で対応して溶接されると共に、横上部材12の前縦壁部16の下端部及び横下部材22の前縦壁部26の上端部は、典型的にはアーク溶接等で対応して溶接されている。横上部材12の上壁部14の後端部及び横下部材22の底壁部24の後端部は、特に、サブフレーム1の強度及び剛性を高めながら、クロスメンバ10、左サイドメンバ110及び右サイドメンバ210で囲われたサブフレーム1の内側領域の容積を拡大する等の観点からは、上面視で前方に凹の凹形状を呈することが好ましい。
【0031】
左サイドメンバ110は、基本的に上方向に凸の凸形状を呈しながら左側を前後方向に延在する板部材である左上部材112と、左上部材112の下方向の側でそれに対向して配設されると共に基本的に下方向に凸の凸形状を呈して前後方向に延在する板部材である左下部材152と、を備える。これらの左上部材112及び左下部材152は、典型的にはアーク溶接等で対応して溶接されて一体化されている。
【0032】
詳しくは、左上部材112は、左サイドメンバ110の上方向の側及び幅方向の両側を塞ぐ板部材であり、上壁部113、外壁部114及び内壁部115を有する。上壁部113、外壁部114及び内壁部115は、前後方向における左上部材112の全長にわたって設けられて、左上部材112の上方向の側、幅方向の外側及び幅方向の内側を対応して塞いでいる。
【0033】
上壁部113は、左上部材112の前端部116及び後端部117の間で、上壁部113を貫通する貫通孔132、134、135、137及び139、並びに上壁部113が下方向に向かって陥設された凹部140を有する。
【0034】
貫通孔132、134及び135には、サブフレーム1を車体に取り付けるための図示を省略する取付ブラケットの装着用のボルト等の締結部材が挿通される。また、これらの貫通孔の個数は、必要に応じ、3個未満であっても4個以上であってもよいが、かかる取付ブラケットの支持剛性を向上する等の観点からは、それらの少なくとも一つ(図中では、最も前方に配置された貫通孔132のみ)は、上壁部113のみならず左支持部材120をも貫通していることが好ましい。
【0035】
貫通孔137は、貫通孔132、134及び135の後方の側に配置され、貫通孔137には、図示を省略する左側サスペンション部材の内側のリアピボット部を装着して支持するための図示を省略する取付ブラケットの装着用のボルト等の締結部材が挿通される。また、貫通孔139は、貫通孔139には、貫通孔137の後方の側に配置され、サブフレーム1を車体に取り付けるためのボルト等の締結部材が挿通される。
【0036】
凹部140では、左サイドメンバ110をx-z平面に平行な面で切った縦断面の面積が減じられており、凹部140は、典型的には車両の前面衝突時に前端部116に印加される撃力により、主として下方向に向かって折れ曲がるような所要の変形モードで変形する脆弱部として機能する。また、かかる凹部140は、典型的には、左サイドメンバ110をy-z平面に平行な面で切った縦断面では、頂点が下方を向いた三角形状を呈し、貫通孔132、134、135、137及び139に干渉しない位置(図中では、前後方向において、貫通孔137及び139の間の位置)に配置されている。
【0037】
上壁部113及び外壁部114には、これらに典型的にはアーク溶接等で対応して溶接されて一体化された左支持部材120が配設される。左支持部材120は、前後方向で対向する前支持壁部122及び後支持壁部124を有する。前支持壁部122及び後支持壁部124は、図示を省略する左側サスペンション部材の内側のフロントピボット部を装着して支持するための支持部である。前支持壁部122は、図示を省略する貫通孔を有し、後支持壁部124は、前支持壁部122の貫通孔に対応して、図示を省略する貫通孔及びナット126を有する。これらの対向する貫通孔を介し、ナット126には左側サスペンション部材の内側のフロントピボット部を装着するためのボルト等の締結部材が締結される。
【0038】
上壁部113及び内壁部115には、クロスメンバ10の横上部材12の上壁部14及び前縦壁部16が典型的にはアーク溶接等で対応して溶接され、クロスメンバ10及び左サイドメンバ110は、一体化されている。左支持部材120の前支持壁部122及び後支持壁部124の支持剛性を向上する等の観点からは、前支持壁部122及び後支持壁部124とクロスメンバ10の横上部材12の上壁部14とは、上壁部113及び内壁部115を介して、幅方向において互いに対向することが好ましい。また、サブフレーム1を車体に取り付けるための図示を省略する取付ブラケットの支持剛性を向上する等の観点からは、横上部材12の上壁部14の後端部をより後方の側に延在させて、貫通孔132、134及び135の少なくとも一つとクロスメンバ10の横上部材12の上壁部14とが、幅方向において互いに対向していてもよい。
【0039】
左下部材152は、左サイドメンバ110の下方向の側及び幅方向の両側を塞ぐ板部材であり、底壁部153、外壁部154及び内壁部155を有する。底壁部153、外壁部154及び内壁部155は、前後方向における左下部材152の全長にわたって設けられて、左下部材152の下方向の側、幅方向の外側及び幅方向の内側を対応して塞いでいる。
【0040】
底壁部153は、左下部材152の前端部157及び後端部158の間で、底壁部153を貫通する貫通孔172、174、175、177及び179を有する。また、底壁部153は、必要に応じて、左下部材152の前端部157及び後端部158の間で、底壁部153が下方向に向かって突設された凸部180、底壁部153が上方向に向かって陥設された前凹部181及び後凹部182を有していてもよい。
【0041】
貫通孔172、174、175、177及び179は、左上部材112の貫通孔132、134、135、137及び139に対して下方の側で対向するもので、貫通孔172、174及び175には、貫通孔132、134及び135に適用されるボルト等の締結部材が挿通される。貫通孔177は、貫通孔172、174及び175の後方の側に配置され、貫通孔177には、貫通孔137に適用されるボルト等の締結部材が挿通される。また、貫通孔179は、貫通孔177の後方の側に配置され、貫通孔179には、貫通孔139に適用されるボルト等の締結部材が挿通される。なお、左上部材112の貫通孔132、134、135、137及び139と、左下部材152の貫通孔172、174、175、177及び179との間には、対応して、金属製等のカラー部材が介在していてもよい。
【0042】
凸部180、並びに凸部180を前後方向に挟んでその前方向の側及びその後方向の側に対応して配置された前凹部181及び後凹部182は、左上部材112の凹部140の脆弱部としての機能を補助するもので、左上部材112の凹部140が、典型的には車両の前面衝突時に前端部116に印加される撃力により、主として下方向に向かって折れ曲がるような所要の変形モードで変形する際に、いずれも、その変形を促進するように変形することにより、凸部180は、凹部140と共に脆弱部として機能し、前凹部181は、凹部140及び凸部180からなる脆弱部よりも前方の側に配置される前脆弱部として機能し、後凹部182は、凹部140及び凸部180からなる脆弱部よりも後方の側に配置される後脆弱部として機能する。つまり、典型的には車両の前面衝突時に前端部157に印加される撃力により、凸部180は、主として下方向に向かって折れ曲がるような所要の変形モードで変形し、前凹部181及び後凹部182は、各々主として上方向に向かって折れ曲がるような所要の変形モードで変形する。ここで、かかる凸部180は、典型的には、左サイドメンバ110をy-z平面に平行な面で切った縦断面では、頂点が下方を向いた三角形状を呈して、左上部材112の凹部140の下方でそれと対向して配置されればよい。また、前凹部181は、貫通孔174及び175の後方の側であって凸部180の前方の側、及び後凹部182は、凸部180の後方の側であって貫通孔177の前方の側に各々配置されて、典型的には、左サイドメンバ110をy-z平面に平行な面で切った縦断面では、頂点が上方を向いた三角形状を呈すればよい。
【0043】
底壁部153及び外壁部154には、左上部材112の左支持部材120の下方の側に配設されて、左支持部材120、底壁部153及び外壁部154に典型的にはアーク溶接等で対応して溶接されて一体化されると共に、左支持部材120を補強する左補強部材156が配設される。
【0044】
底壁部153及び内壁部155には、クロスメンバ10の横下部材22の底壁部24及び前縦壁部26が典型的にはアーク溶接等で対応して溶接され、クロスメンバ10及び左サイドメンバ110は、一体化されている。また、サブフレーム1を車体に取り付けるための図示を省略する取付ブラケットの支持剛性を向上する等の観点からは、横下部材22の底壁部24の後端部をより後方の側に延在させて、貫通孔172、174及び175の少なくとも一つとクロスメンバ10の横下部材22の底壁部24とが、幅方向において互いに対向していてもよい。
【0045】
左サイドメンバ110の右側でそれと幅方向で対向して配設される右サイドメンバ210に関連する構成は、左サイドメンバ110に関連する構成に対して、y-z平面と平行な平面であって車体の幅方向の中央を前後方向に走る中央線を通る平面に対して、基本的に左右対称なものであるため、その詳細な説明は省略するが、左サイドメンバ110の左上部材112、その上壁部113、外壁部114、内壁部115、前端部116、後端部117、左支持部材120、前支持壁部122、後支持壁部124、ナット126、貫通孔132、134、135、137、139及び凹部140、並びに左サイドメンバ110の左下部材152、その底壁部153、外壁部154、内壁部155、左補強部材156、前端部157、後端部158、貫通孔172、174、175、177、179、凸部180、前凹部181及び後凹部182に対応して、右サイドメンバ210の右上部材212、その上壁部213、外壁部214、内壁部215、前端部216、後端部217、右支持部材220、前支持壁部222、後支持壁部224、ナット226、貫通孔232、234、235、237、239及び凹部240、並びに右サイドメンバ210の右下部材252、その底壁部253、外壁部254、内壁部255、右補強部材256、前端部257、後端部258、貫通孔272、274、275、277、279、凸部280、前凹部281及び後凹部282を有する。なお、左サイドメンバ110及び右サイドメンバ210の前後の端部116、157、216、257、117、158、217及び258は、必要に応じて、上壁部113及び213又は底壁部153及び253を対応して曲げ加工する等して塞いでもよい。
【0046】
連結部材300は、クロスメンバ10の後方の側で、左サイドメンバ110及び右サイドメンバ210間を延在してこれらを連結するように、典型的には、左サイドメンバ110の左上部材112の上壁部113に対して、第1連結部B1及びその後方の側に配置された第3連結部B3で、典型的にはアーク溶接等で対応して溶接されると共に、右サイドメンバ210の右上部材212の上壁部213に対して、第2連結部B2及びその後方の側に配置された第4連結部B4で、典型的にはアーク溶接等で対応して溶接される。また、典型的には車両の前面衝突時に脆弱部として各々機能するように左上部材112の上壁部113に設けられた凹部140及び右上部材212の上壁部213に設けられた凹部240に起因する変形モードに不要な影響を与えないように、第1連結部B1及び第3連結部B3は、凹部140を挟んで、凹部140の前方の側及び凹部140の後方の側に対応して配置され、第2連結部B2及び第4連結部B4は、凹部240を挟んで、凹部240の前方の側及び凹部240の後方の側に対応して配置される。この際、図中では、前後方向で、左上部材112について、貫通孔134及び135の後方の側に順に前方から後方に向かって、第1連結部B1、貫通孔137、凹部140、第3連結部B3及び貫通孔139が配置され、左下部材152について、貫通孔174及び175の後方の側に順に前方から後方に向かって、前凹部181、第1連結部B1(左上部材112に配置)、貫通孔177、凸部180、第3連結部B3(左上部材112に配置)、後凹部182及び貫通孔179が配置され、右上部材212について、貫通孔234及び235の後方の側に順に前方から後方に向かって、第2連結部B2、貫通孔237、凹部240、第4連結部B4及び貫通孔239が配置され、並びに、右下部材252について、貫通孔274及び275の後方の側に順に前方から後方に向かって、前凹部281、第2連結部B2(右上部材212に配置)、貫通孔277、凸部280、第4連結部B4(右上部材212に配置)、後凹部282及び貫通孔279が配置されることになる。
【0047】
ここで、連結部材300は、例えば一枚の平板母材をプレス成形等で成形した一枚ものの板部材であってもよいが、左サイドメンバ110及び右サイドメンバ210間の支持剛性の向上、連結部材300の軽量化、及びその母材の歩留まりの向上等を総合的に考慮すると、左上部材112の上壁部113と右上部材212の上壁部213との間の幅方向の中央に交差部Cを画成しながら、上面視で交差部Cを中心とした斜交い形状を呈する個別の板部材のプレス成形品である第1連結部材310及び第2連結部材320を組み合わせて有する構成としてもよいが、サスペンションアームからの入力に対する剛性向上等の観点からは、交差部Cから前方側と後方側とで別個の板部材からなるプレス成型品を組み合わせて構成してもよく、その際は各々の板部材が接合される接合部位と凹部140及び240とがX軸方向から見て前後方向で重複する位置に設定されることが好ましい。
【0048】
第1連結部材310は、第2連結部B2及び第3連結部B3間を延在する板状の本体部311と、交差部Cの右方向の側で本体部311から起立して互いに離間する方向に張り出した一対のフランジ部312及び313と、交差部Cの左方向の側で本体部311から起立して互いに離間する方向に張り出した一対のフランジ部315及び316と、を有する。第2連結部材320は、第1連結部B1及び第4連結部B4間を延在する板状の本体部321と、交差部Cの左方向の側で本体部321から起立して互いに離間する方向に張り出した一対のフランジ部322及び323と、交差部Cの右方向の側で本体部321から起立して互いに離間する方向に張り出した一対のフランジ部325及び326と、を有する。また、第1連結部材310及び第2連結部材320は、交差部Cで本体部311及び本体部321が互いに上下に重ねられて、典型的にはアーク溶接等で対応して溶接されて一体化される。なお、第1連結部材310及び第2連結部材320には、軽量化用の複数の貫通孔hが設けられていてもよい。
【0049】
また、第1連結部材310及び第2連結部材320には、典型的には車両の前面衝突時に、左サイドメンバ110及び右サイドメンバ210を介して撃力が印加されるため、左サイドメンバ110の左上部材112の上壁部113に設けられて脆弱部として機能する凹部140及び右サイドメンバ210の右上部材212の上壁部213に設けられて脆弱部として機能する凹部240に主として起因する左サイドメンバ110及び右サイドメンバ210の変形モードに不要な影響を与えることがないように、交差部Cで、双方のフランジ312、313、315、316、322、323、325、326を対応して接続することなく分断して、交差部Cをフランジ非設置部とすると共に、双方の本体部311及び321を対応して貫通する貫通孔317及び327を配置して、脆弱部とすることが好ましい。かかる交差部Cにおける脆弱部は、フランジ非設置部並びに貫通孔317及び327の少なくとも一方を含むものであってもかまわず、その脆弱部の位置としては、上面視での交差部Cの中心点Oでもってそれを代表して示してもよい。また、この際、第1連結部材310及び第2連結部材320の交差部Cの脆弱部の中心点Oの前後方向における位置は、左上部材112の上壁部113の凹部140及び右上部材212の上壁部213の凹部240の各々の前後方向の位置と一致させることが好ましい。かかる場合、凹部140、凹部240及び上面視での交差部Cの脆弱部の中心点Oは、幅方向に平行な直線状で整列する。
【0050】
以上の構成において、更に図5をも参照すると、典型的には車両の前面衝突時に、左サイドメンバ110について、左上部材112の前端部116及び左下部材152の前端部157に撃力Fが印加されると、左上部材112の凹部140は、連結部材300による不要な影響を受けることなく、主として下方向に向かって折れ曲がるような所要の変形モードで変形する。この際、左サイドメンバ110について、左下部材152の凸部180が設けられている場合には、主として下方向に向かって折れ曲がるような所要の変形モードで変形して、左上部材112の凹部140の変形を促進するように変形する。また、連結部材300の交差部Cに脆弱部が設けられている場合には、この脆弱部も潰れ変形等の変形を起こすので、左上部材112の凹部140は、連結部材300による不要な影響をより受けることなく、主として下方向に向かって折れ曲がるような所要の変形モードで変形する。また更に、左サイドメンバ110について、左下部材152の前凹部181及び後凹部182が設けられている場合には、前凹部181及び後凹部182は、各々主として上方向に向かって折れ曲がるような所要の変形モードで変形して、左上部材112の凹部140の変形を促進するように変形する。なお、かかる変形の態様は、典型的には車両の前面衝突時に、右サイドメンバ210について、右上部材212の前端部216及び右下部材252の前端部257に撃力Fが印加される場合も同様である。
【0051】
また、以上の構成において、サブフレーム1が車体に装着される各種部位の内、左前の第1車体取付部A1としては、左サイドメンバ110の左上部材112に設けられた貫通孔132、134及び135、左サイドメンバ110の左下部材152に設けられた貫通孔172、174及び175並びにこれらに対応して設けられて図示を省略するカラー部材が相当し、右前の第2車体取付部A2としては、右サイドメンバ210の右上部材212に設けられた貫通孔232、234及び235、右サイドメンバ210の右下部材252に設けられた貫通孔272、274及び275並びにこれらに対応して設けられて図示を省略するカラー部材が相当し、左後の第3車体取付部A3としては、左サイドメンバ110の左上部材112に設けられた貫通孔139、左サイドメンバ110の左下部材152に設けられた貫通孔179及びこれらに対応して設けられて図示を省略するカラー部材が相当し、右後の第4車体取付部A4としては、右サイドメンバ210の右上部材212に設けられた貫通孔239、右サイドメンバ210の右下部材252に設けられた貫通孔279及びこれらに対応して設けられて図示を省略するカラー部材が相当する。なお、これらの部位は、いずれも典型的にはボルト等の締結部材を用いる締結用の部位である。また、これらの部位としては、サブフレームマウント部材を介在させないリジット構造を採用した例を想定しているが、サブフレームマウント部材を介在させたフローティング構造を採用するものであってもかまわない。また、第1車体取付部A1及び第2車体取付部A2では、いずれも図示を省略するが、取付けブラケットが各々締結されることを想定している。
【0052】
また、サブフレーム1がサスペンションアームの内側のピボット部を各々支持する各種部位の内、左前の第1支持部S1としては、左支持部材120の前支持壁部122及び後支持壁部124が相当し、右前の第2支持部S2としては、右支持部材220の前支持壁部222及び後支持壁部224が相当し、左後ろの第3支持部S3としては、左サイドメンバ110の左上部材112に設けられた貫通孔137、左サイドメンバ110の左下部材152に設けられた貫通孔177及びこれらに対応して設けられて図示を省略するカラー部材が相当し、右後ろの第4支持部S4としては、右サイドメンバ210の右上部材212に設けられた貫通孔237、右サイドメンバ210の右下部材252に設けられた貫通孔277及びこれらに対応して設けられて図示を省略するカラー部材が相当する。なお、これらの部位は、いずれも典型的にはボルト等の締結部材を用いる締結用の部位である。また、これらの部位に適用されるサスペンションアームとして、L型ロアアームを採用する例を想定しているが、A型ロアアームや2本のI型ロアアームを採用するものであってもかまわない。また、左前の第1支持部S1及び右前の第2支持部S2では、図示を省略するインシュレータブッシュ部材の内筒が各々締結される例を想定し、左後ろの第3支持部S3及び右後ろの第4支持部S4では、いずれも図示を省略するが、取付けブラケットが各々締結されて、かかるブラケットにインシュレータブッシュ部材が装着される例を想定している。
【0053】
以上の本実施形態においては、車両用サブフレーム1が、車体の前後方向に各々延在しながら車体の幅方向で互いに対向して配設される第1のサイドメンバ110及び第2のサイドメンバ210と、幅方向に延在して配設されると共に、第1のサイドメンバ110及び第2のサイドメンバ210を連結するクロスメンバ10と、クロスメンバ10から後方側に離間しながら幅方向に延在して配設されると共に、第1のサイドメンバ110及び第2のサイドメンバ210を連結する連結部材300と、を備え、連結部材300が、第1のサイドメンバに対して、前後方向で互いに離間して第1のサイドメンバ110に設定された左前連結部B1及び左後連結部B3で連結されると共に、第2のサイドメンバ210に対して、前後方向で互いに離間して第2のサイドメンバ210に設定された右前連結部B2及び右後連結部B4で連結され、第1のサイドメンバ110は、前後方向において、左前連結部B1及び左後連結部B3の間に設定された第1の脆弱部140を有し、第2のサイドメンバ210は、前後方向において、右前連結部B2及び右後連結部B4の間に設定された第2の脆弱部240を有するものであるため、連結部材300で車両用サブフレーム1の強度及び剛性を高めることができると共に、連結部材300の連結部B1からB4に対して第1の脆弱部140及び第2の脆弱部240を適切に配置して車両用サブフレーム1に所要の衝突性能を発揮させることができる。
【0054】
また、本実施形態においては、連結部材300が、第1のサイドメンバ110及び第2のサイドメンバ210の間で交差する交差部Cを有すると共に、交差部Cで第3の脆弱部を有するものであるため、連結部材300を斜交い構造のものとして車両用サブフレーム1の強度及び剛性を高めることができると共に、連結部材300が第1の脆弱部140及び第2の脆弱部240の変形モードに不要な影響を与えることがないように連結部材300の第3の脆弱部を配置してそれらの変形を許容し車両用サブフレームに所要の衝突性能を発揮させることができる。
【0055】
また、本実施形態においては、第1の脆弱部140、第2の脆弱部240及び交差部Cの第3の脆弱部が、前後方向における配設位置が互いに等しく設定されたものであるため、車両の衝突時に、第1の脆弱部140及び第2の脆弱部240が変形する際に併せて交差部Cの第3の脆弱部も変形し、これらの変形のタイミングを実質同等なものとして車両用サブフレーム1に所要の衝突性能を発揮させることができる。
【0056】
また、本実施形態においては、第1のサイドメンバ110が、更に、左前連結部B1に対して、前方側に第4の脆弱部181を有すると共に、左後連結部B3に対して、後方側に第5の脆弱部182を有し、第2のサイドメンバ210が、更に、右前連結部B2に対して、前方側に第6の脆弱部281を有すると共に、右後連結部B4に対して、後方側に第7の脆弱部282を有するものであるため、第4の脆弱部181、第5の脆弱部182、第6の脆弱部281及び第7の脆弱部282で第1の脆弱部140及び第2の脆弱部240の変形を補助的に促進して車両用サブフレーム1に所要の衝突性能を発揮させることができる。
【0057】
また、本実施形態の車両用サブフレーム1では、種々の変形例が考えられるが、まず、図6に示す第1の変形例における車両用サブフレーム1’においては、連結部材300’の構成が、前述してきた車両用サブフレーム1の連結部材300の構成と異なることが主たる相違点であり、残余の構成は同様である。
【0058】
図6は、本変形例における車両用サブフレーム1’の構成を示す左側面図であり、位置的には図3に相当する。
【0059】
具体的には、図6に示すように、連結部材300’は、左サイドメンバ110及び右サイドメンバ210の各々の傾斜度合に対応して、第1連結部B1及び第2連結部B2から交差部Cに各々向かうに連れて、下方向の側に傾斜する形状を有すると共に、第3連結部B3及び第4連結部B4から交差部Cに各々向かうに連れて、下方向の側に傾斜する形状を有し、残余の構成は、連結部材300の構成と同様である。これにより、連結部材300’を斜交い構造のものとして車両用サブフレーム1’の強度及び剛性を高めることができると共に、より効果的に連結部材300’が左サイドメンバ110の左上部材112の上壁部113に設けられた凹部140及び右サイドメンバ210の右上部材212の上壁部213に設けられた凹部240が脆弱部として各々機能する際の変形モードに不要な影響を与えることがないように連結部材300’の交差部Cの脆弱部を配置して、それらの変形を許容して車両用サブフレーム1’に所要の衝突性能を発揮させることができる。また、連結部材300’が下方向の側に傾斜しているため、車両用サブフレーム1’の上方向の側に空間を確保することができ、周辺部材のレイアウト性を向上することも可能となる。
【0060】
また、図7に示す第2の変形例における車両用サブフレーム1’’においては、連結部材300’’の構成が、前述してきた車両用サブフレーム1、1’の連結部材300、300’の構成と異なることが主たる相違点であり、残余の構成は同様である。
【0061】
図7は、本変形例における車両用サブフレーム1’’の構成を示す断面図であり、位置的には図4(a)に相当する。
【0062】
具体的には、図7に示すように、連結部材300’’は、交差部Cにおいて、貫通孔317及び327が設けられる代わりに、第1連結部材310’’の本体部311’’が第2連結部材320’’の本体部321’’から上方向の側に離間してハット断面を形成し、かつ交差部Cにおける前後方向の中間部で、幅方向にわたって、本体部311’’が下方向の側に凹んだ凹部318’’を脆弱部として有し、残余の構成は、連結部材300、300‘の構成と同様である。これにより、連結部材300’’を斜交い構造のものとして車両用サブフレーム1’’の強度及び剛性を高めることができると共に、より効果的に連結部材300’’が左サイドメンバ110の左上部材112の上壁部113に設けられた凹部140及び右サイドメンバ210の右上部材212の上壁部213に設けられた凹部240が脆弱部として各々機能する際の変形モードに不要な影響を与えることがないように連結部材300’’の交差部Cの脆弱部を配置して、それらの変形を許容して車両用サブフレーム1’’に所要の衝突性能を発揮させることができる。
【0063】
なお、本発明は、部材の種類、形状、配置、個数などは前述の実施形態に限定されるものではなく、その構成要素を同等の作用効果を奏するものに適宜置換する等、発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることはもちろんである。
【産業上の利用可能性】
【0064】
以上のように、本発明においては、強度及び剛性を高めることができると共に、所要の衝突性能を発揮することができる車両用サブフレームを提供することができるものであるため、その汎用普遍的な性格から広範に車両等の移動体のサブフレームの分野に適用され得るものと期待される。
【符号の説明】
【0065】
1、1’、1’’…サブフレーム
10…クロスメンバ
12…横上部材
14…上壁部
16…前縦壁部
22…横下部材
24…底壁部
26…前縦壁部
110…左サイドメンバ
112…左上部材
113…上壁部
114…外壁部
115…内壁部
116…前端部
117…後端部
120…左支持部材
122…前支持壁部
124…後支持壁部
126…ナット
132、134、135、137、139…貫通孔
140…凹部
152…左下部材
153…底壁部
154…外壁部
155…内壁部
156…左補強部材
157…前端部
158…後端部
172、174、175、177、179…貫通孔
180…凸部
181…前凹部
182…後凹部
210…右サイドメンバ
212…右上部材
213…上壁部
214…外壁部
215…内壁部
216…前端部
217…後端部
220…右支持部材
222…前支持壁部
224…後支持壁部
226…ナット
232、234、235、237、239…貫通孔
240…凹部
252…右下部材
253…底壁部
254…外壁部
255…内壁部
256…左補強部材
257…前端部
258…後端部
272、274、275、277、279…貫通孔
280…凸部
281…前凹部
282…後凹部
300、300’、300’’…連結部材
310、310’、310’’…第1連結部材
311、311’’…本体部
312、313、315、316…フランジ部
317…貫通孔
318’’…凹部
320、320’、320’’…第2連結部材
321、321’’…本体部
322、323、325、326…フランジ部
327…貫通孔
h…貫通孔
C…交差部
A1…第1車体取付部
A2…第2車体取付部
A3…第3車体取付部
A4…第4車体取付部
S1…第1支持部
S2…第2支持部
S3…第3支持部
S4…第4支持部
B1…第1連結部
B2…第2連結部
B3…第3連結部
B4…第4連結部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7