(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-08
(45)【発行日】2023-05-16
(54)【発明の名称】着座姿勢判定装置、椅子、着座姿勢判定方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
A47C 7/62 20060101AFI20230509BHJP
【FI】
A47C7/62 Z
(21)【出願番号】P 2018208469
(22)【出願日】2018-11-05
【審査請求日】2021-11-04
(31)【優先権主張番号】P 2018065205
(32)【優先日】2018-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成29年11月8日(水)に、オカムラグランドフェア2017、ホテルニューオータニ、ガーデンコート3階、オカムラガーデンコートショールームにて、出願人は、本願の発明に関する着座姿勢判定装置、椅子、方法、プログラムを公開した。
(73)【特許権者】
【識別番号】504143441
【氏名又は名称】国立大学法人 奈良先端科学技術大学院大学
(73)【特許権者】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(72)【発明者】
【氏名】荒川 豊
(72)【発明者】
【氏名】水本 旭洋
(72)【発明者】
【氏名】音田 恭宏
(72)【発明者】
【氏名】菅田 唯仁
(72)【発明者】
【氏名】佐野 友哉
(72)【発明者】
【氏名】小花 光広
(72)【発明者】
【氏名】上西 基弘
(72)【発明者】
【氏名】中島 千尋
【審査官】望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-087237(JP,A)
【文献】特開2003-070596(JP,A)
【文献】特開平03-080808(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 7/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着座姿勢情報が記憶される記憶部と、
椅子に着座している着座者
が、前記記憶部に登録された基本姿勢で着座していないと判定した場合に、前記記憶部に登録された低座・後傾姿勢と、前傾姿勢と、半立位姿勢とのうち、いずれの姿勢であるかを判定する着座姿勢判定部と、
前記着座者の前記着座姿勢判定部が判定した前記着座姿勢での経過時間が第1経過時間閾値経過したか否かを判定する経過時間判定部と、
前記経過時間判定部が、前記着座姿勢での前記経過時間が前記第1経過時間閾値経過したと判定した場合に、前記着座者の身体に変化が生じていることを示す情報を作成する作成部と、
を備え
、
前記着座姿勢情報は、所定のセンサーの圧力の計測結果で表される、着座姿勢判定装置。
【請求項2】
着座姿勢情報が記憶される記憶部と、
椅子に着座している着座者
が、前記記憶部に登録された基本姿勢で着座していないと判定した場合に、前記記憶部に登録された低座・後傾姿勢と、前傾姿勢と、半立位姿勢とのうち、いずれの姿勢であるかを判定する着座姿勢判定部と、
前記着座者の前記着座姿勢判定部が判定した前記着座姿勢での経過時間が第1経過時間閾値経過したか否かを判定する経過時間判定部と、
前記経過時間判定部が、前記着座姿勢での前記経過時間が前記第1経過時間閾値経過したと判定した場合に、前記着座姿勢の変更を促す情報を作成する作成部と、
を備え
、
前記着座姿勢情報は、所定のセンサーの圧力の計測結果で表される、着座姿勢判定装置。
【請求項3】
前記経過時間判定部は、前記着座姿勢判定部が判定した前記着座姿勢での経過時間が前記第1経過時間閾値よりも長い第2経過時間閾値経過したか否かを判定し、
前記作成部は、前記経過時間判定部が、前記着座姿勢での前記経過時間が前記第2経過時間閾値経過したと判定した場合に、前記着座姿勢の終了を促す情報を作成する、請求項1又は請求項2に記載の着座姿勢判定装置。
【請求項4】
前記椅子の背凭れの上部に配設され、圧力を計測する第1センサーが計測した結果である第1圧力計測値と、前記背凭れの下部と前記椅子の座体の後部との少なくとも一方に配設され、圧力を計測する第2センサーが計測した結果である第2圧力計測値と、前記座体の前側面部に配設され、圧力を計測する第3センサーが計測した結果である第3圧力計測値との少なくとも一つを取得する取得部
を備え、
前記着座姿勢判定部は、前記取得部が取得した前記第1圧力計測値と前記第2圧力計測値と前記第3圧力計測値との少なくとも一つに基づいて、前記椅子に着座した前記着座者の着座姿勢を判定する、請求項1から請求項2のいずれか一項に記載の着座姿勢判定装置。
【請求項5】
前記着座姿勢判定部は、前記着座者の着座姿勢が、前傾姿勢であると判定し、
前記作成部は、前記経過時間判定部が、前記前傾姿勢での前記経過時間が前記第1経過時間閾値経過したと判定した場合に、前記椅子を前傾姿勢にすることを促す情報を作成する、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の着座姿勢判定装置。
【請求項6】
前記着座姿勢判定部は、前記着座者の着座姿勢が、最大後傾姿勢且つ座高を下げていると判定し、
前記作成部は、前記経過時間判定部が、前記最大後傾姿勢且つ座高を下げている状態での前記経過時間が前記第1経過時間閾値経過したと判定した場合に、低座・後傾姿勢への変更を促す情報を作成する、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の着座姿勢判定装置。
【請求項7】
前記作成部は、机の高さの変更を促す情報を作成する、請求項5又は請求項6に記載の着座姿勢判定装置。
【請求項8】
座面の高さと、座面の前後位置とのいずれか一方又は両方に基づいて、机の高さを導出
する導出部
を備え、
前記作成部は、前記導出部が導出した前記机の前記高さに基づいて、机の高さの変更を促す情報を作成する、請求項7に記載の着座姿勢判定装置。
【請求項9】
支持構造体と、
前記支持構造体に支持される座体と、
前記支持構造体、又は前記座体の少なくとも一方に支持される背凭れと、
着座姿勢情報が記憶される記憶部と、
前記座体に着座している着座者
が、前記記憶部に登録された基本姿勢で着座していないと判定した場合に、前記記憶部に登録された低座・後傾姿勢と、前傾姿勢と、半立位姿勢とのうち、いずれの姿勢であるかを判定する着座姿勢判定部と、
前記着座者の前記着座姿勢判定部が判定した前記着座姿勢での経過時間が第1経過時間閾値経過したか否かを判定する経過時間判定部と、
前記経過時間判定部が、前記着座姿勢での前記経過時間が前記第1経過時間閾値経過したと判定した場合に、前記着座姿勢の変更を促す情報を作成する作成部と、
を備え
、
前記着座姿勢情報は、所定のセンサーの圧力の計測結果で表される、椅子。
【請求項10】
椅子に着座している着座者
が、着座姿勢情報が記憶される記憶部に登録された基本姿勢で着座していないと判定した場合に、前記記憶部に登録された低座・後傾姿勢と、前傾姿勢と、半立位姿勢とのうち、いずれの姿勢であるかを判定するステップと、
前記着座者の前記着座姿勢を判定するステップで判定した前記着座姿勢での経過時間が第1経過時間閾値経過したか否かを判定するステップと、
前記第1経過時間閾値経過したか否かを判定するステップで、前記着座姿勢での前記経過時間が前記第1経過時間閾値経過したと判定した場合に、前記着座姿勢の変更を促す情報を作成するするステップと、
を有
し、
前記着座姿勢情報は、所定のセンサーの圧力の計測結果で表される、コンピュータが実行する着座姿勢判定方法。
【請求項11】
コンピュータに、
椅子に着座している着座者
が、着座姿勢情報が記憶される記憶部に登録された基本姿勢で着座していないと判定した場合に、前記記憶部に登録された低座・後傾姿勢と、前傾姿勢と、半立位姿勢とのうち、いずれの姿勢であるかを判定するステップと、
前記着座者の前記着座姿勢を判定するステップで判定した前記着座姿勢での経過時間が第1経過時間閾値経過したか否かを判定するステップと、
前記第1経過時間閾値経過したか否かを判定するステップで、前記着座姿勢での前記経過時間が前記第1経過時間閾値経過したと判定した場合に、前記着座姿勢の変更を促す情報を作成するステップと、
を実行させ
、
前記着座姿勢情報は、所定のセンサーの圧力の計測結果で表される、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、着座姿勢判定装置、椅子、着座姿勢判定方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
着座姿勢を判定する技術に関して、着座者固有の着座姿勢がもたらす情報を、シート形状を定める際の判断要素とすることで着座者に負担のかかりにくいシート形状を定める技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。この技術は、着座者の背凭れ支持面形状を変形可能とされたシートバックと、該シートバックの支持面部位の裏面側に配設され、空気の出し入れにより支持面形状を変化させる複数個の空気袋と、該複数個の空気袋への空気の出し入れを制御する制御手段とを有する車両用シートであって、制御手段は、着座前状態において複数個の各空気袋に空気が導入されて各空気袋を予め定められた所定の空気袋状態に設定可能であり、該状態において着座した際の空気袋内の空気の変化状態に応じて各空気袋への空気の出し入れを行うことで当該着座者固有の着座姿勢状態に対応した背凭れ支持面形状とするように制御する。
【0003】
また、シート着座者の個性に適した矯正内容にてシート着座者の身体状態を矯正する技術が知られている(例えば、特許文献2参照)。この技術は、シート着座者の身体状態を矯正するために動作する動作部と、シート着座者の識別情報を取得する識別情報取得部と、シート着座者の着座状態に関する指標の現在値を測定する測定部と、身体状態の矯正内容を示す矯正プランを記憶しているプラン記憶部と、現在値に応じた矯正プランをプラン記憶部から読み出してシート着座者に対して提示する提示部と、動作部を制御して姿勢を矯正する処理を実行する処理実行部と、を有する。プラン記憶部は、提示部が提示した矯正プランを、矯正プラン提示時のシート着座者の識別情報と関連付けて記憶している。処理実行部は、シート着座者の識別情報に関連付けられた矯正プランをプラン記憶部から読み出し、その矯正プランが示す矯正内容に従って姿勢を矯正する処理を実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-118030号公報
【文献】特開2017-81194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
着座者が最適位置からずれた状態へ至る原因は様々である。このため、最適位置からずれた状態から最適位置への調整が自動的に作動すると、着座者自身の感覚により認知される着座感との間に齟齬が生じることが想定される。たとえば、背中への疲労感はそれほど大きくない場合に、背凭れ内エアバッグの内圧が増大し、過度に圧迫感を感じてしまうことが想定される。
特に、事務用椅子の場合は、執務空間のフリーアドレス化の推進に伴い、ある着座者が使用する椅子が、日や時間帯によって異なる場合がある。この場合、前の使用者にとって好適に調整されたままの椅子に着座することになるが、この位置を基準姿勢として、新たな着座者の最適状態が判定されることから、着座者自身の感覚により認知される着座感との間に齟齬が生じやすい。
上記事情に鑑み、本発明は、着座者の感覚に応じて、姿勢を好適状態へ変更できる着座姿勢判定装置、椅子、着座姿勢判定方法、およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、着座姿勢判定装置は、椅子に着座している着座者の着座姿勢を判定する着座姿勢判定部と、前記着座者の前記着座姿勢判定部が判定した前記着座姿勢での経過時間が第1経過時間閾値経過したか否かを判定する経過時間判定部と、前記経過時間判定部が、前記着座姿勢での前記経過時間が前記第1経過時間閾値経過したと判定した場合に、前記着座者の身体に変化が生じていることを示す情報を作成する作成部と、を備える。
本発明の第2の態様によれば、着座姿勢判定装置は、椅子に着座している着座者の着座姿勢を判定する着座姿勢判定部と、前記着座者の前記着座姿勢判定部が判定した前記着座姿勢での経過時間が第1経過時間閾値経過したか否かを判定する経過時間判定部と、前記経過時間判定部が、前記着座姿勢での前記経過時間が前記第1経過時間閾値経過したと判定した場合に、前記着座姿勢の変更を促す情報を作成する作成部と、を備える。
【0007】
上述の着座姿勢判定装置によれば、前記経過時間判定部は、前記着座姿勢判定部が判定した前記着座姿勢での経過時間が前記第1経過時間閾値よりも長い第2経過時間閾値経過したか否かを判定し、前記作成部は、前記経過時間判定部が、前記着座姿勢での前記経過時間が前記第2経過時間閾値経過したと判定した場合に、前記着座姿勢の終了を促す情報を作成するようにしてもよい。
【0008】
上述の着座姿勢判定装置によれば、前記椅子の背凭れの上部に配設され、圧力を計測する第1センサーが計測した結果である第1圧力計測値と、前記背凭れの下部と前記椅子の座体の後部との少なくとも一方に配設され、圧力を計測する第2センサーが計測した結果である第2圧力計測値と、前記座体の前側面部に配設され、圧力を計測する第3センサーが計測した結果である第3圧力計測値との少なくとも一つを取得する取得部を備え、前記着座姿勢判定部は、前記取得部が取得した前記第1圧力計測値と前記第2圧力計測値と前記第3圧力計測値との少なくとも一つに基づいて、前記椅子に着座した前記着座者の着座姿勢を判定してもよい。
【0009】
上述の着座姿勢判定装置によれば、前記着座姿勢判定部は、前記着座者の着座姿勢が、前傾姿勢であると判定し、前記作成部は、前記経過時間判定部が、前記前傾姿勢での前記経過時間が前記第1経過時間閾値経過したと判定した場合に、前記椅子を前傾姿勢にすることを促す情報を作成してもよい。
【0010】
上述の着座姿勢判定装置によれば、前記着座姿勢判定部は、前記着座者の着座姿勢が、最大後傾姿勢且つ座高を下げていると判定し、前記作成部は、前記経過時間判定部が、前記最大後傾姿勢且つ座高を下げている状態での前記経過時間が前記第1経過時間閾値経過したと判定した場合に、低座・後傾姿勢への変更を促す情報を作成してもよい。
上述の着座姿勢判定装置によれば、前記作成部は、机の高さの変更を促す情報を作成してもよい。
上述の着座姿勢判定装置によれば、座面の高さと、座面の前後位置とのいずれか一方又は両方に基づいて、机の高さを導出する導出部を備え、前記作成部は、前記導出部が導出した前記机の前記高さに基づいて、机の高さの変更を促す情報を作成してもよい。
【0011】
本発明の第2の態様によれば、椅子は、支持構造体と、前記支持構造体に支持される座体と、前記支持構造体、又は前記座体の少なくとも一方に支持される背凭れと、前記座体に着座している着座者の着座姿勢を判定する着座姿勢判定部と、前記着座者の前記着座姿勢判定部が判定した前記着座姿勢での経過時間が第1経過時間閾値経過したか否かを判定する経過時間判定部と、前記経過時間判定部が、前記着座姿勢での前記経過時間が前記第1経過時間閾値経過したと判定した場合に、前記着座姿勢の変更を促す情報を作成する作成部と、を備える。
【0012】
本発明の第3の態様によれば、コンピュータが実行する着座姿勢判定方法は、椅子に着座している着座者の着座姿勢を判定するステップと、前記着座者の前記着座姿勢を判定するステップで判定した前記着座姿勢での経過時間が第1経過時間閾値経過したか否かを判定するステップと、前記第1経過時間閾値経過したか否かを判定するステップで、前記着座姿勢での前記経過時間が前記第1経過時間閾値経過したと判定した場合に、前記着座姿勢の変更を促す情報を作成するするステップと、を有する。
【0013】
本発明の第4の態様によれば、コンピュータに、椅子に着座している着座者の着座姿勢を判定するステップと、前記着座者の前記着座姿勢を判定するステップで判定した前記着座姿勢での経過時間が第1経過時間閾値経過したか否かを判定するステップと、前記第1経過時間閾値経過したか否かを判定するステップで、前記着座姿勢での前記経過時間が前記第1経過時間閾値経過したと判定した場合に、前記着座姿勢の変更を促す情報を作成するするステップとを実行させるプログラムである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の実施形態によれば、着座者の感覚に応じて、姿勢を好適状態へ変更できる着座姿勢判定装置、椅子、着座姿勢判定方法、およびプログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施形態の着座姿勢判定システムの一例を示す図である。
【
図2】実施形態の着座姿勢判定システムの椅子の平面図の一例を示す図である。
【
図3】実施形態の着座姿勢判定システムの椅子の背面図の一例を示す図である。
【
図4】実施形態の着座姿勢判定システムの椅子の背面側斜視図の一例を示す図である。
【
図5】第1の実施形態の着座姿勢判定システムに含まれる着座姿勢判定装置と椅子との一例を示すブロック図である。
【
図7】第1の実施形態の着座姿勢判定システムの動作の一例を示すフローチャートである。
【
図8】第2の実施形態の着座姿勢判定システムに含まれる着座姿勢判定装置と椅子との一例を示すブロック図である。
【
図9】第2の実施形態の着座姿勢判定システムの動作の一例を示すフローチャートである。
【
図10】第3の実施形態の着座姿勢判定システムに含まれる着座姿勢判定装置と椅子と机との一例を示すブロック図である。
【
図11】第3の実施形態の着座姿勢判定システムの動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本実施形態の着座姿勢判定装置、椅子、着座姿勢判定方法、およびプログラムを、図面を参照しつつ説明する。以下で説明する実施形態は一例に過ぎず、本発明が適用される実施形態は、以下の実施形態に限られない。
なお、実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有するものは同一符号を用い、繰り返しの説明は省略する。
また、本願でいう「XXに基づく」とは、「少なくともXXに基づく」ことを意味し、XXに加えて別の要素に基づく場合も含む。また、「XXに基づく」とは、XXを直接に用いる場合に限定されず、XXに対して演算や加工が行われたものに基づく場合も含む。「XX」は、任意の要素(例えば、任意の情報)である。
【0017】
(第1の実施形態)
(着座姿勢判定システム)
図1は、実施形態の着座姿勢判定システムの一例を示す図である。
第1の実施形態の着座姿勢判定システム10aは、着座姿勢判定装置100と、椅子200とを備える。
着座姿勢判定装置100と、椅子200との間は、インターネットなどのネットワーク50を介して、有線又は無線で接続される。本実施形態では、着座姿勢判定装置100と、椅子200との間が、無線で接続される場合について説明を続ける。
着座姿勢判定装置100と、椅子200との設置場所の一例は、オフィスである。
【0018】
椅子200に座る者(以下「着座者」という)は、椅子200に着座する。以下の説明においては、椅子200に正規姿勢で着座した人の正面が向く図中矢印FRの指す向きを「前」と呼び、それと逆側の向きを「後」と呼ぶものとする。また、「上」,「下」と「左」,「右」については、椅子200に正規姿勢で着座した人の上方の図中矢印UPの指す向きを「上」、それと逆側の向きを「下」と呼び、椅子200に正規姿勢で着座した人の左側の図中矢印LHの指す向きを「左」、それと逆側の向きを「右」と呼ぶものとする。
【0019】
椅子200は、支持構造体210と、支持構造体210に支持される座体220と、支持構造体210と座体220との少なくとも一方に支持される背凭れ230とを備える。
さらに、椅子200は、背凭れ230の上部に配設され、圧力を計測するセンサー(センサー11-センサー13)と、背凭れ230の下部に配設され、圧力を計測するセンサー(センサー8-センサー10、センサー14、センサー15)とを備える。また、椅子200は、座体220の後部に配設され、圧力を計測するセンサー(センサー5-センサー7)と、座体220の前部に配設され、圧力を計測するセンサー(センサー2-センサー4)と、座体220の前側面部に配設され、圧力を計測するセンサー(センサー0-センサー1)とを備える。センサー0-センサー15については、後述する。
【0020】
着座者は、着座姿勢判定装置100を操作することによって、着座姿勢の判定を開始する。着座姿勢の判定が開始される場合、着座姿勢判定装置100は、椅子200へ、計測要求を送信する。椅子200は計測制御部を備え、計測制御部は、着座姿勢判定装置100が送信した計測要求を受信し、受信した計測要求を、各センサー(センサー0-センサー15)へ出力する。
各センサー(センサー0-センサー15)は計測要求を取得し、受信した計測要求にしたがって、圧力を計測する。各センサーは、圧力の計測結果を、計測制御部へ出力する。計測制御部は、各センサーが出力した圧力の計測結果を取得し、取得したセンサー0-センサー15の各々の計測結果を含む計測応答を作成し、作成した計測応答を、着座姿勢判定装置100へ送信する。
着座姿勢判定装置100は、椅子200が送信した計測応答を受信し、受信した計測応答に含まれる各センサーの圧力の計測結果に基づいて、着座者の着座姿勢を判定する。着座姿勢判定装置100は、判定した着座姿勢での経過時間を計測する。着座姿勢判定装置100は、着座姿勢での経過時間に基づいて、椅子200の調節を指示する情報や、着座者の姿勢を変更する情報を作成し、作成した椅子200の調節を指示する情報や、着座者の姿勢を変更する情報を、着座者へ通知する。
【0021】
以下、着座姿勢判定システム10aを構成する椅子200と、着座姿勢判定装置100とについて、詳細に説明する。
(椅子200)
図1に示すように、本実施形態の椅子200は、フロア上に載置される脚部2と、脚部2の上端に設置されるボックス状の支基3と、着座者が着座する座体220と、支基3の上面に取り付けられ、座体220を前後スライド可能に支持する座受部材5と、座体220に着座した着座者の背中を支持する背凭れ230と、背凭れ230を背後から支える支持構造体210と、背凭れ230の受面構成部20の湾曲形状を変更する湾曲形状変更手段8aと、を有する。
【0022】
脚部2は、キャスタ9a付きの多岐脚9と、多岐脚9の中央部より起立し昇降機構であるガススプリングを内蔵する脚柱10と、を有し、脚柱10の上端部に支基3が水平方向に回転可能に取り付けられている。支基3には、脚柱10の昇降調整機構と支持構造体210の傾動調整機構が内蔵されている。支持構造体210は、側面視略L字形状を有し、その前部下端が支基3内の傾動調整機構に連結されている。
なお、
図1中、符号11は、支基3上における支持構造体210の枢支軸であり、符号12は、支基3の側面に突設された傾動調整機構の操作ノブである。
【0023】
座体220は、骨格部を成す座板13と、座板13の上部に取り付けられる座本体14と、を有する。座本体14は、詳細な図示は省略するが、座板13の外周縁部に取り付けられる座枠(不図示)と、座板13の上面に設置されるウレタン等から成るクッション材(不図示)と、座枠に張設されてクッション材の上方側を覆うシート表皮材15と、を有する。
【0024】
図2は、実施形態の着座姿勢判定システムの椅子の平面図の一例を示す図である。
図3は、実施形態の着座姿勢判定システムの椅子の背面図の一例を示す図である。
図4は、実施形態の着座姿勢判定システムの椅子の背面側斜視図の一例を示す図である。
背凭れ230は、
図2に示すように、着座者と接して荷重を受ける受面構成部20を有する。受面構成部20は、
図2に示す平面視で、後方に凸となる湾曲形状を有する。本実施形態の受面構成部20は、樹脂成型された背凭れ板21(
図4参照)と、背凭れ板21の前面に設置されるクッション材(不図示)と、背凭れ板21に張設されてクッション材を覆うシート表皮材22と、によって形成されている。
背凭れ230は、
図3に示す背面視で、四隅が丸みを帯びた略長方形状とされている。また、背凭れ230は、
図1に示すように、前方に屈曲する突出部23を有する。本実施形態の背凭れ230は、
図1に示す側面視で、前方に凸の屈曲形状を有している。突出部23の頂点は、着座者の腰に対応する位置に形成されている。すなわち、突出部23は、
図1に示す側面視で、背凭れ230の下端部よりもやや上方の部分が前方に突出するように、適所で屈曲した形状を有している。
【0025】
支持構造体210は、
図1に示すように、背凭れ230を背後から支えるものである。支持構造体210は、背凭れ230よりも剛性が高く、背凭れ230で受けた着座者の荷重を支える強度部材である。支持構造体210は、樹脂成型されており、厚み大きさや補強リブの配置等により、背凭れ230よりも剛性が高く構成されている。支持構造体210は、
図3に示す背面視で、背凭れ230の外形と略同じ外形を有する枠部30を有する。枠部30は、背面側に大きく開口する開口部31を有している。
支持構造体210は、
図1に示すように、背凭れ230の突出部23に対応する位置に、前方に屈曲する突出部32を有する。すなわち、突出部32は、
図1に示す側面視で、枠部30の下端部よりもやや上方の部分が前方に突出するように、適所で屈曲した形状を有している。この突出部32には、後述する湾曲形状変更手段8aの操作部材52が配置されるようになっている。支持構造体210は、枠部30の下端部から前方に延出する連結部33を有する。連結部33は、支基3内の傾動調整機構に連結されている。
【0026】
図3に示すように、背凭れ230には、その上部にセンサー11-センサー13が配設されている。センサー11-センサー13の各々の一例は、圧力センサーである。
図3に示される例では、センサー11-センサー13の各々は、椅子200の背凭れ230の前方の面(着座者が着座した場合に背中が接する面)の幅方向に、右から左へ並べて配設される。
また、背凭れ230には、その下部にセンサー8-センサー10とセンサー14とセンサー15とが配設されている。センサー8-センサー10、センサー14、センサー15の各々の一例は、圧力センサーである。
図3に示される例では、センサー8-センサー10、センサー14、センサー15の各々は、椅子200の背凭れ230の前方の面(着座者が着座した場合に背中が接する面)の幅方向に、右から左へ、センサー8、センサー14、センサー9、センサー15、センサー10の順の並べて配設される。
【0027】
図2に示すように、座体220には、その後部にセンサー5-センサー7が配設されている。センサー5-センサー7の各々の一例は、圧力センサーである。
図2に示される例では、センサー5-センサー7の各々は、椅子200の座体220の座面の上面(着座者が着座した場合に臀部が接する面)の後方に、右から左へ、幅方向に並べて配設される。
また、座体220には、その前部にセンサー2-センサー4が配設されている。センサー2-センサー4の各々の一例は、圧力センサーである。
図2に示される例では、センサー2-センサー4の各々は、椅子200の座体220の座面の上面(着座者が着座した場合に臀部が接する面)の前方に、右から左へ、幅方向に並べて配設される。
【0028】
また、座体220には、その前側面部にセンサー0-センサー1が配設されている。センサー0-センサー1の各々の一例は、圧力センサーである。
図2に示される例では、センサー0-センサー2の各々は、矩形形状であり、椅子200の座体220の前側面部に、右から左へ、幅方向に並べて配設される。
背凭れ230の下部にセンサー8-センサー10とセンサー14とセンサー15とが配設され、座体220の後部にセンサー5-センサー7が配設されるため、上下方向に離間する着座者の臀部と背中の下部との双方から入力される荷重を確実に検知することができる。
【0029】
図5は、第1の実施形態の着座姿勢判定システムに含まれる着座姿勢判定装置と椅子との一例を示すブロック図である。
椅子200は、前述したように、支持構造体210と、座体220と、背凭れ230とを備える。
座体220には、センサー0-センサー7が配設されている。背凭れ230には、センサー8-センサー15が配設されている。支持構造体210には、計測制御部212が取り付けられている。
【0030】
計測制御部212は、通信部214と、情報処理部216と、入出力I/F218とを備える。
通信部214は、通信モジュールによって実現される。通信部214は、ネットワーク50を介して、外部の通信装置と通信する。通信部214は、例えば無線LAN(Local Area Network)、ブルートゥース(Bluetooth)(登録商標)、Wi-SUN(Wireless Smart Utility Network)、特定小電力無線、BLE(Bluetooth Low Energy)、EnOcean、LPWA(Low Power Wide Area)、又はLTE(Long Term Evolution)(登録商標)などの通信方式で通信してもよい。また、着座姿勢判定装置100と椅子200とが有線接続される場合には、通信部214は、有線LANで通信してもよい。
具体的には、通信部214は、着座姿勢判定装置100が送信した計測要求を受信し、受信した計測要求を情報処理部216へ出力する。通信部214は、計測要求に対して、情報処理部216が出力した計測応答を取得し、取得した計測応答を、着座姿勢判定装置100へ送信する。
【0031】
情報処理部216は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサが内部に記憶されたプログラムを実行することにより実現される機能部(以下、ソフトウェア機能部と称する)である。なお、情報処理部216の全部または一部は、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、またはFPGA(Field-Programmable Gate Array)などのハードウェアにより実現されてもよく、ソフトウェア機能部とハードウェアとの組み合わせによって実現されてもよい。
情報処理部216は、通信部214が出力した計測要求を取得し、取得した計測要求に基づいて、センサーに圧力を計測させる制御信号を作成する。情報処理部216は、入出力I/F218から、計測要求に含まれるセンサーIDに該当するセンサーへ、作成した制御信号を出力する。
情報処理部216は、センサーIDに該当するセンサーへ出力した制御信号に対して、該当するセンサーが送信した計測結果を取得し、取得した計測結果を含む計測応答を作成し、作成した計測応答を通信部214へ出力する。計測応答には、センサーIDと計測結果とが関連付けられている。
入出力I/F218は、センサー0-センサー15の各々と有線で接続され、情報処理部216が出力した制御信号を、センサー0-センサー15の各々へ出力する。また、入出力I/F218は、制御信号に対して、センサー0-センサー15の各々が出力した計測結果を、情報処理部216へ出力する。
センサー0-センサー15の各々への給電について説明する。センサー0-センサー15の各々へは、以下の(1)-(4)によって給電される。
(1)センサー0-センサー15の各々が有線接続され、入出力I/F218の部分や、その他の場所に設置された蓄電体(バッテリ)により、センサー0-センサー15の各々が給電される。
(2)センサー0-センサー15の各々が有線接続され、センサー0-センサー15の各々に蓄電体が配置される。入出力I/F218の部分や、その他の場所より、センサー0-センサー15の各々に設置された蓄電体に給電される。
(3)センサー0-センサー15の各々が無線接続され、センサー0-センサー15の各々に蓄電体が設置される。センサー0-センサー15の各々に設置された蓄電体に、ワイヤレス給電などの手段により給電される。また、センサー0-センサー15の各々に設置された蓄電体が、新たな蓄電体に交換されてもよい。
(4)センサー0-センサー15の各々が無線接続され、センサー0-センサー15の各々にワイヤレス給電の受電部が設置される。センサー0-センサー15の各々に設置されたワイヤレス給電の受電部に、入出力I/F218の部分や、その他の場所に設置されたワイヤレス給電送電部より給電する。
また、センサー0-センサー15の各々が、入出力I/F218と接続されてもよい。この場合、計測制御部212は、椅子200の外側にあってもよい。
【0032】
(着座姿勢判定装置100)
図5を参照して、着座姿勢判定装置100について説明する。
着座姿勢判定装置100は、パーソナルコンピュータ、サーバ、スマートフォン、タブレットコンピュータ又は産業用コンピュータ等の装置によって実現される。
着座姿勢判定装置100は、例えば、通信部110と、情報処理部130と、記憶部140と、操作部150と、表示部160とを備える。
通信部110は、通信モジュールによって実現される。通信部110はネットワーク50を介して、外部の通信装置と通信する。通信部110は、例えば無線LAN、ブルートゥース(登録商標)、Wi-SUN、特定小電力無線、BLE、EnOcean、LPWA、又はLTE(登録商標)などの通信方式で通信してもよい。また、着座姿勢判定装置100と椅子200とが有線で接続される場合には、通信部110は、有線LANで通信してもよい。
通信部110は、情報処理部130が出力した計測要求を、椅子200へ送信する。また、通信部110は、計測要求に対して、椅子200が送信した計測応答を受信し、受信した計測応答を、情報処理部130へ出力する。
【0033】
記憶部140は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ、またはこれらのうち複数が組み合わされたハイブリッド型記憶装置などにより実現される。記憶部140の一部または全部は、着座姿勢判定装置100の一部として設けられる場合に代えて、NAS(Network Attached Storage)や外部のストレージサーバなど、着座姿勢判定装置100のプロセッサがネットワーク50を介してアクセス可能な外部装置により実現されてもよい。記憶部140には、情報処理部130により実行されるプログラム141と、アプリ142とが記憶される。また、記憶部140には、着座姿勢情報143が記憶される。
アプリ142は、着座姿勢判定装置100に、着座姿勢の判定を開始させる場合に、計測要求を作成させ、作成させた計測要求を、椅子200へ送信させる。アプリ142は、着座姿勢判定装置100に、計測要求に対する計測応答を受信させ、受信させた計測応答に含まれる計測結果に基づいて、椅子200に着座した着座者の着座姿勢を判定させる。アプリ142は、着座姿勢判定装置100に、着座姿勢での経過時間を計測させる。アプリ142は、着座姿勢判定装置100に、着座姿勢での経過時間に応じて、所定の動作を促す画面を作成させ、作成させた所定の動作を促す画面を表示部160に表示させる。
【0034】
着座姿勢情報143は、センサー0-センサー15のうち、所定のセンサーの圧力の計測結果が記憶される。ここで、着座姿勢情報143に記憶されるセンサーの圧力の計測結果の一例は、以下の手順で取得される。(1)登録したい姿勢で被験者に座ってもらう。(2)その時のセンサー0-センサー15の各々の計測結果を記録する。(3)(1)-(2)を色々な体格の被験者で行う。(4)記録されたセンサー0-センサー15の各々の計測結果で、被験者にかかわらず、相関値が所定の閾値以上であるセンサーのセンサーIDと計測結果とを登録する。
例えば、基本姿勢の座体の高さを登録する場合に、以下の手順で取得されてもよい。(1)座体の高さが低い場合と適切な場合と高い場合とでデータを取得する。(2)正規化などの統計処理を行う。これによって、体格差による圧力値のバラつきを無くす。(3)相関関係を導出する。ここでは、膝裏センサーの合計値との相関が強い場合について説明を続ける。(4)膝裏センサーの合計値を導出することで、座高さを判定する。つまり、理論的に姿勢とセンサーの計測結果との関係性に基づいて、推定しているのではなく、統計処理した結果から判定する。ここでは、閾値を定める場合について説明したが、機械学習によって姿勢を推定するようにしてもよい。
着座姿勢情報143は、登録された計測結果に基づいて、着座者が、登録したい姿勢であるか否かが判定される。本実施形態では、一例として、センサー2の計測結果とセンサー4の計測結果とが記憶される。
【0035】
操作部150は、入力デバイスを備え、ユーザの操作を受け付ける。この入力デバイスには、キーボード等の文字情報を入力するデバイス、マウス、タッチパネル等のポインティングデバイス、釦、ダイヤル、ジョイスティック、タッチセンサ、タッチパッド等が含まれる。
表示部160は、CPUなどのプロセッサによって制御され、画像、GUI(Graphical User Interface)などを表示する。この一例では、操作部150は、タッチパネルである。
【0036】
情報処理部130は、例えば、CPUなどのプロセッサが記憶部140に格納されたプログラム141やアプリ142を実行することにより実現されるソフトウェア機能部である。なお、情報処理部130の全部または一部は、LSI、ASIC、またはFPGAなどのハードウェアにより実現されてもよく、ソフトウェア機能部とハードウェアとの組み合わせによって実現されてもよい。
情報処理部130は、例えば、取得部132と、着座姿勢判定部134と、経過時間判定部135と、作成部136とを備える。
【0037】
取得部132は、通信部110が出力した計測応答を取得し、取得した計測応答を、着座姿勢判定部134へ出力する。
着座姿勢判定部134は、取得部132が出力した計測応答を取得し、取得した計測応答に含まれるセンサーIDと計測結果との関連付けに基づいて、着座者の着座姿勢を判定し、判定した着座者の着座姿勢に基づいて、着座者が好ましい姿勢で着座しているか否かを判定する。ここで、好ましい姿勢の一例は、座体220の高さに関しては、ひざが直角に曲がる高さを目安に、足を前後に動かしても足裏が床に接するように調節されていることである。また、好ましい姿勢の一例は、座体220の位置に関しては、座った時にひざ裏に少し隙間ができ、太ももが圧迫されない位置になることである。また、好ましい姿勢の一例は、背凭れ230に関しては、腰部をしっかりホールドし、背骨の自然なS字カーブを保つように調節されていることである。以下、好ましい姿勢を、「基本姿勢」という。
【0038】
図6は、姿勢の一例を示す図である。
図6に示される例では、姿勢の一例として、(1)低座・後傾姿勢と、(2)基本姿勢と、(3)前傾姿勢と、(4)半立位姿勢と、(5)立位姿勢とが示されている。
(1)低座・後傾姿勢は、長時間のリラックスと集中力をキープできる姿勢である。(2)基本姿勢は、働く姿勢の基本形である。(3)前傾姿勢は、前のめりを防いで、腹部の圧迫感を解放できる姿勢である。(4)半立位姿勢は、立つと座るとの中間の姿勢である。(5)立位姿勢は、気分転換や、スタートアップのための姿勢である。
着座姿勢判定部134は、着座者が、基本姿勢で着座していないと判定した場合に、低座・後傾姿勢と、前傾姿勢と、半立位姿勢とのうち、いずれの姿勢であるかを判定する。
着座姿勢判定部134は、着座者の着座姿勢の判定結果を、経過時間判定部135へ出力する。
着座姿勢判定部134は、センサー0-センサー15のうち、所定のセンサーの計測結果を、定期的に取得する。着座姿勢判定部134は、所定のセンサーの計測結果を定期的に取得する場合に、その所定のセンサーのセンサーIDを含む計測要求を定期的に作成し、作成した計測要求を、通信部110へ出力する。着座姿勢判定部134は、通信部110が出力した計測応答を定期的に取得し、取得した計測応答に含まれるセンサーIDと計測結果との関連付けに基づいて、着座者の着座姿勢を判定する。着座姿勢判定部134は、着座姿勢の判定結果を、経過時間判定部135へ出力する。
具体的には、着座姿勢判定部134は、センサー11-センサー13の計測結果を取得し、取得したセンサー11-センサー13の計測結果の全てが零である場合に、背凭れ230から着座者の背中が離れているため、着座者が、前傾姿勢で着座していると判定する。
【0039】
着座姿勢判定部134は、センサー8-センサー10とセンサー14とセンサー15の計測結果を取得し、取得したセンサー8-センサー10とセンサー14とセンサー15の計測結果の全てが零である場合には、座体220の奥まで座れていないと判断できるため、着座者が、後傾姿勢で着座していると判定する。
着座姿勢判定部134は、センサー8-センサー15の各々の計測結果を取得し、取得したセンサー8-センサー15各々の計測結果の全てが、記憶部140の着座姿勢情報143に記憶されているセンサー8-センサー15の各々の計測結果よりも大きい場合には、着座者が、後傾姿勢で着座していると判定する。さらに、着座姿勢判定部134は、リクライニング角度と座体220の高さを示す情報と取得し、リクライニング角度が所定の角度以上の角度であり、且つ座体220の高さが所定の高さより低い場合には、着座者が、最大後傾姿勢で着座していると判定する。
【0040】
着座姿勢判定部134は、センサー2-センサー7の計測結果とセンサー14の計測結果とセンサー15の計測結果とを取得し、取得したセンサー2-センサー7の計測結果とセンサー14の計測結果とセンサー15の計測結果とのうち、計測結果が最大となる値で、センサー2の計測結果とセンサー4の計測結果を正規化する。
着座姿勢判定部134は、センサー2の計測結果を正規化した値とセンサー4の計測結果を正規化した値とを合計した値である第1合計値を導出する。また、着座姿勢判定部134は、記憶部140の着座姿勢情報143に記憶されているセンサー2の計測結果とセンサー4の計測結果とを合計した値である第2合計値を導出する。着座姿勢判定部134は、第1合計値が第2合計値よりも高く、且つセンサー11の計測結果-センサー13の計測結果の全てが零である場合には、着座者が、前傾姿勢で着座していると判定する。
【0041】
経過時間判定部135は、着座姿勢判定部134が出力した着座姿勢の判定結果を取得し、取得した着座姿勢の判定結果に基づいて、その着座姿勢での経過時間を導出する。経過時間判定部135は、取得した着座姿勢での経過時間が第1経過時間閾値以上となった場合には、着座姿勢を示す情報と第1経過時間閾値以上となったことを示す情報とを含む時間経過情報を作成し、作成した時間経過情報を、作成部136へ出力する。さらに、経過時間判定部135は、取得した着座姿勢での経過時間が第1経過時間閾値以上である第2時間閾値以上となった場合には、着座姿勢を示す情報と第2時間閾値以上となったことを示す情報とを含む時間経過情報を作成し、作成した時間経過情報を、作成部136へ出力する。
また、経過時間判定部135は、取得した低位・後傾姿勢、基本姿勢、前傾姿勢、半立位姿勢などの着座での経過時間が第2の時間閾値以上となった場合には、着座を示す情報と第2時間閾値以上となったことを示す情報とを含む時間経過情報を作成し、作成した時間経過情報を、作成部136へ出力する。ここで、第2時間閾値は、第1経過時間閾値よりも長い時間である。
【0042】
作成部136は、経過時間判定部135が出力した時間経過情報を取得し、取得した時間経過情報に含まれる情報に基づいて、着座者の身体に変化が生じていることを表した画面や、着座姿勢の変更を促すことを表した画面を作成し、作成した画面を、表示部160に表示する。
具体的には、作成部136は、取得した時間経過情報に前傾姿勢を示す情報と第1経過時間閾値以上となったことを示す情報とが含まれる場合には、着座者の身体に変化が生じていることを表した画面を作成し、作成した画面を表示部160に表示する。このように構成することによって、例えば、表示部160を見た人に対して、着座者の同一姿勢での着座時間が長いことによって、着座者が集中しているので、話しかけることを禁止することを働きかけることができる。
また、作成部136は、取得した時間経過情報に前傾姿勢を示す情報と第1経過時間閾値以上となったことを示す情報とが含まれる場合には、椅子200を前傾姿勢にすることを案内する画面を作成し、作成した画面を表示部160に表示する。その後、椅子200が前傾姿勢になった場合、作成部136は、基本姿勢になるように案内する画面を作成し、作成した画面を表示部160に表示する。
また、作成部136は、取得した時間経過情報に最大後傾姿勢を示す情報と第1経過時間閾値以上となったことを示す情報とが含まれ、且つ椅子200の座高を下げていると判定した場合には、低座・後傾姿勢で作業をしていると判定し、低座・後傾姿勢の取れる集中ブースへ案内する画面を作成し、作成した画面を表示部160に表示する。そのままの椅子200で作業を継続してもよいが、低座後傾にした場合に机上面角度を変えられるような机の方がより体への負担が減り、効率が良くなるため、低座後傾が可能な席、ブース等へと案内する。また、低座・後傾姿勢を取ることを適切に補助できる製品の紹介等も行ってもよい。
また、作成部136は、取得した時間経過情報に基本姿勢を示す情報と第1経過時間閾値以上となったことを示す情報とが含まれる場合には、姿勢変化を案内する画面を作成し、作成した画面を表示部160に表示する。
また、作成部136は、取得した時間経過情報に基本姿勢を示す情報と第1経過時間閾値以上となったことを示す情報とが含まれる場合には、姿勢変化を案内する画面を作成し、作成した画面を表示部160に表示する。
また、作成部136は、取得した時間経過情報に着座を示す情報と第2時間閾値以上となったことを示す情報とが含まれる場合には、姿勢変化を案内する画面を作成し、作成した画面を表示部160に表示する。
【0043】
(着座姿勢判定システムの動作)
図7を参照して、着座姿勢判定システムの動作について、説明する。
図7は、第1の実施形態の着座姿勢判定システムの動作の一例を示すフローチャートである。
(ステップS1)
着座者が、椅子200に基本姿勢で着座している。着座姿勢判定部134は、センサー0-センサー15のうち、所定のセンサーの計測結果を、定期的に取得する。着座姿勢判定部134は、通信部110が出力した計測応答を定期的に取得し、取得した計測応答に含まれるセンサーIDと計測結果との関連付けに基づいて、着座者の着座姿勢を判定する。着座姿勢判定部134は、着座姿勢の判定結果を、経過時間判定部135へ出力する。
(ステップS2)
経過時間判定部135は、取得した着座姿勢での経過時間が第1経過時間閾値以上となった場合には、着座姿勢を示す情報と第1経過時間閾値以上となったことを示す情報とを含む時間経過情報を作成し、作成した時間経過情報を、作成部136へ出力する。
作成部136は、取得した時間経過情報に前傾姿勢を示す情報が含まれるか否かを判定することによって、前傾姿勢が第1経過時間閾値以上継続したか否かを判定する。
(ステップS3)
作成部136は、取得した時間経過情報に前傾姿勢を示す情報が含まれると判定した場合、椅子200を前傾姿勢にすることを案内する画面を作成し、作成した画面を表示部160に表示する。
(ステップS4)
着座者は、椅子200を前傾姿勢に変更する。作成部136は、着座者が前傾姿勢で着座していることを示す情報を取得する。
(ステップS5)
作成部136は、基本姿勢になるように案内する画面を作成し、作成した画面を表示部160に表示する。
【0044】
(ステップS6)
作成部136は、取得した時間経過情報に前傾姿勢を示す情報が含まれないと判定した場合、取得した時間経過情報に最大後傾姿勢を示す情報が含まれるか否かを判定することによって、最大後傾姿勢が第1経過時間閾値以上継続したか否かを判定する。
(ステップS7)
作成部136は、取得した時間経過情報に最大後傾姿勢を示す情報が含まれると判定した場合、座高を下げているか否かを判定する。ここでは、座高を下げている場合について説明を続ける。
(ステップS8)
作成部136は、低座・後傾姿勢の取れる集中ブースへ案内する画面を作成し、作成した画面を表示部160に表示する。
(ステップS9)
作成部136は、取得した時間経過情報に最大後傾姿勢を示す情報が含まれないと判定した場合、取得した時間経過情報に基本姿勢を示す情報が含まれるか否かを判定することによって、基本姿勢が第1経過時間閾値以上継続したか否かを判定する。
(ステップS10)
作成部136は、取得した時間経過情報に基本姿勢を示す情報が含まれると判定した場合、姿勢変化を案内する画面を作成し、作成した画面を表示部160に表示する。
【0045】
(ステップS11)
作成部136は、取得した時間経過情報に基本姿勢を示す情報が含まれないと判定した場合、取得した時間経過情報に着座を示す情報が含まれるか否かを判定することによって、着座が第2時間閾値以上継続したか否かを判定する。着座を示す情報が含まれないと判定した場合、ステップS11に移行する。
(ステップS12)
作成部136は、取得した時間経過情報に着座を示す情報が含まれると判定した場合、立ち作業を案内する画面を作成し、作成した画面を表示部160に表示する。
図7に示すフローチャートにおいて、ステップS2-ステップS5と、ステップS6-ステップS8、ステップS9-ステップS10と、ステップS11-ステップS12とは、その順序を入れ替えてもよい。
【0046】
前述した実施形態では、背凭れ230の上部に、センサー11-センサー13の3個のセンサーが配設されている場合について説明したが、この例に限られない。例えば、背凭れ230の上部に1個-2個のセンサーが配設されてもよいし、4個以上のセンサーが配設されてもよい。
前述した実施形態では、背凭れ230の下部に、センサー8-センサー10とセンサー14とセンサー15との5個のセンサーが配設されている場合について説明したが、この例に限られない。例えば、背凭れ230の下部に1個-4個のセンサーが配設されてもよいし、6個以上のセンサーが配設されてもよい。
前述した実施形態では、座体220の後部に、センサー5-センサー7の3個のセンサーが配設されている場合について説明したが、この例に限られない。例えば、座体220の後部に1個-2個のセンサーが配設されてもよいし、4個以上のセンサーが配設されてもよい。
前述した実施形態では、座体220の前部に、センサー2-センサー4の3個のセンサーが配設されている場合について説明したが、この例に限られない。例えば、座体220の前部に1個-2個のセンサーが配設されてもよいし、4個以上のセンサーが配設されてもよい。
【0047】
前述した実施形態では、座体220の前側面部に、センサー0-センサー1の2個のセンサーが配設されている場合について説明したが、この例に限られない。例えば、座体220の前側面部に1個のセンサーが配設されてもよいし、3個以上のセンサーが配設されてもよい。
前述した実施形態では、背凭れ230の下部と座面の後方とにセンサーが配設される場合について説明したが、この例に限られない。例えば、背凭れ230の下部と座面の後方とのいずれか一方にセンサーが配設されていればよい。
【0048】
実施形態の着座姿勢判定システムによれば、着座姿勢判定装置は、椅子に着座している着座者の着座姿勢を判定する着座姿勢判定部と、着座者の着座姿勢判定部が判定した着座姿勢での経過時間が第1経過時間閾値経過したか否かを判定する経過時間判定部と、経過時間判定部が、着座姿勢での前記経過時間が第1経過時間閾値経過したと判定した場合に、着座姿勢の変更を促す情報(画面)を作成する作成部とを備える。
このように構成することによって、着座姿勢の変更を、自動的にではなく、着座者へ促すことができる。着座者自身が感覚にしたがって必要な操作だけを行うことができるため、最適位置と着座者自身の感覚により認知される着座感との間の齟齬を低減できる。
また、経過時間判定部は、着座姿勢判定部が判定した着座姿勢での経過時間が前記第1経過時間閾値よりも長い第2経過時間閾値経過したか否かを判定し、作成部は、経過時間判定部が、着座姿勢での経過時間が第2経過時間閾値経過したと判定した場合に、着座姿勢の終了を促す情報を作成する。
このように構成することによって、着座姿勢の終了を、自動的にではなく、着座者へ促すことができる。着座者自身が感覚にしたがって必要な操作だけを行うことができるため、最適位置と着座者自身の感覚により認知される着座感との間の齟齬を低減できる。
【0049】
また、椅子の背凭れの上部に配設され、圧力を計測する第1センサーが計測した結果である第1圧力計測値と、背凭れの下部と椅子の座体の後部との少なくとも一方に配設され、圧力を計測する第2センサーが計測した結果である第2圧力計測値と、座体の前側面部に配設され、圧力を計測する第3センサーが計測した結果である第3圧力計測値との少なくとも一つを取得する取得部を備え、着座姿勢判定部は、取得部が取得した第1圧力計測値と第2圧力計測値と第3圧力計測値との少なくとも一つに基づいて、椅子に着座した着座者の着座姿勢を判定する。
このように構成することによって、センサーが、着座者の腰まわりを支持する部位に加え、背凭れの上部と、座体の前側面に配設される。このように構成することによって、着座者の身体の広い範囲を、センサーによってカバーできるため、着座姿勢の判定精度を向上できる。また、座体の前側面に配設されたセンサーによって、着座者の膝裏の圧力を検知できるため、着座姿勢を総合的に判定できる。
また、着座姿勢判定部は、着座者の着座姿勢が、前傾姿勢であると判定し、作成部は、経過時間判定部が、前傾姿勢での経過時間が第1経過時間閾値経過したと判定した場合に、椅子を前傾姿勢にすることを促す情報を作成する。
このように構成することによって、椅子を前傾姿勢にした状態で、基本姿勢(背、腰がしっかりと椅子に支えられている状態)を取れるように指示できる。
また、着座姿勢判定部は、着座者の着座姿勢が、最大後傾姿勢且つ座高を下げていると判定し、作成部は、経過時間判定部が、最大後傾姿勢且つ座高を下げている状態での経過時間が第1経過時間閾値経過したと判定した場合に、低座・後傾姿勢への変更を促す情報を作成する。
このように構成することによって、体への負担がへり、効率が良くなる低座後傾への変更を促すことができる。
【0050】
(第2の実施形態)
第2の実施形態の着座姿勢判定システムは、
図1を適用できる。ただし、着座姿勢判定装置100の代わりに、着座姿勢判定装置100aを備える。
(着座姿勢判定装置100a)
図8を参照して、着座姿勢判定装置100aについて説明する。
図8は、第2の実施形態の着座姿勢判定システムに含まれる着座姿勢判定装置と椅子との一例を示すブロック図である。
着座姿勢判定装置100aは、パーソナルコンピュータ、サーバ、スマートフォン、タブレットコンピュータ又は産業用コンピュータ等の装置によって実現される。
着座姿勢判定装置100aは、例えば、通信部110と、情報処理部130aと、記憶部140aと、操作部150と、表示部160とを備える。
【0051】
記憶部140aは、例えば、RAM、ROM、HDD、フラッシュメモリ、またはこれらのうち複数が組み合わされたハイブリッド型記憶装置などにより実現される。記憶部140aの一部または全部は、着座姿勢判定装置100aの一部として設けられる場合に代えて、NASや外部のストレージサーバなど、着座姿勢判定装置100aのプロセッサがネットワーク50を介してアクセス可能な外部装置により実現されてもよい。記憶部140aには、情報処理部130aにより実行されるプログラム141と、アプリ142aとが記憶される。また、記憶部140aは、着座姿勢情報143が記憶される。
【0052】
アプリ142aは、着座姿勢判定装置100aに、着座姿勢の判定を開始させる場合に、計測要求を作成させ、作成させた計測要求を、椅子200へ送信させる。アプリ142aは、着座姿勢判定装置100aに、計測要求に対する計測応答を受信させ、受信させた計測応答に含まれる計測結果に基づいて、椅子200に着座した着座者の着座姿勢を判定させる。アプリ142aは、着座姿勢判定装置100aに、着座者が基本姿勢で着座している状態で、第1経過時間閾値経過した場合に、姿勢変化を案内させる。また、アプリ142aは、着座姿勢判定装置100aに、着座者が好ましくない姿勢で着座している状態で、第1経過時間閾値経過した場合に、姿勢変化を案内させる。
【0053】
情報処理部130aは、例えば、CPUなどのプロセッサが記憶部140に格納されたプログラム141やアプリ142aを実行することにより実現されるソフトウェア機能部である。なお、情報処理部130aの全部または一部は、LSI、ASIC、またはFPGAなどのハードウェアにより実現されてもよく、ソフトウェア機能部とハードウェアとの組み合わせによって実現されてもよい。
情報処理部130aは、例えば、取得部132と、着座姿勢判定部134aと、経過時間判定部135aと、作成部136aとを備える。
【0054】
取得部132は、通信部110が出力した計測応答を取得し、取得した計測応答を、着座姿勢判定部134aへ出力する。
着座姿勢判定部134aは、着座姿勢判定部134を適用できる。ただし、着座姿勢判定部134aは、取得部132が出力した計測応答を取得し、取得した計測応答に含まれるセンサーIDと計測結果との関連付けに基づいて、着座者の着座姿勢を判定し、判定した着座者の着座姿勢に基づいて、着座者が好ましい姿勢で着座しているか否かを判定する。具体的には、着座姿勢判定部134aは、記憶部140aの着座姿勢情報143に含まれるセンサーの圧力の計測結果の各々と、取得したセンサーIDに関連付けられた計測結果各々との差が計測結果閾値以下である場合には着座者が好ましいい姿勢で着座していると判定し、閾値よりも大きい場合には着座者が好ましい姿勢で着座していないと判定する。
着座姿勢判定部134aは、着座者の着座姿勢の判定結果を、経過時間判定部135aへ出力する。
【0055】
経過時間判定部135aは、着座姿勢判定部134aが出力した着座姿勢の判定結果を取得し、取得した着座姿勢の判定結果に基づいて、その着座姿勢での経過時間を導出する。経過時間判定部135aは、取得した着座姿勢での経過時間が第1経過時間閾値以上となった場合には、着座姿勢を示す情報と第1経過時間閾値以上となったことを示す情報とを含む時間経過情報を作成し、作成した時間経過情報を、作成部136aへ出力する。
作成部136aは、経過時間判定部135aが出力した時間経過情報を取得し、取得した時間経過情報に含まれる情報に基づいて、着座姿勢の変更を促すことを表した画面を作成し、作成した画面を、表示部160に表示する。
具体的には、作成部136aは、取得した時間経過情報に基本姿勢を示す情報と第1経過時間閾値以上となったことを示す情報とが含まれる場合には、姿勢変化を案内する画面を作成し、作成した画面を表示部160に表示する。
また、作成部136は、取得した時間経過情報に好ましくない姿勢を示す情報と第1経過時間閾値以上となったことを示す情報とが含まれる場合には、着座姿勢の変更を促すことを表した画面を作成し、作成した画面を、表示部160に表示する。
【0056】
(着座姿勢判定システムの動作)
図9を参照して、着座姿勢判定システムの動作について、説明する。
図9は、第2の実施形態の着座姿勢判定システムの動作の一例を示すフローチャートである。
(ステップS21)
着座者が、椅子200に着座している。
(ステップS22)
着座姿勢判定部134aは、センサー0-センサー15のうち、所定のセンサーの計測結果を、定期的に取得している。着座姿勢判定部134aは、通信部110が出力した計測応答を定期的に取得し、取得した計測応答に含まれるセンサーIDと計測結果との関連付けに基づいて、着座者が好ましい姿勢で着座しているか否かを判定する。
(ステップS23)
着座者が好ましい姿勢で着座していないと判定した場合(ステップS22:NO)、着座姿勢判定部134aは、着座姿勢の判定結果を、経過時間判定部135aへ出力する。経過時間判定部135aは、取得した着座姿勢での経過時間が第1経過時間閾値以上となった場合には、着座姿勢を示す情報と第1経過時間閾値以上となったことを示す情報とを含む時間経過情報を作成し、作成した時間経過情報を、作成部136aへ出力する。
作成部136aは、取得した時間経過情報に好ましくない姿勢を示す情報が含まれる場合に、好ましくない姿勢が第1経過時間閾値以上継続したと判定する。作成部136aは、取得した時間経過情報に好ましくない姿勢を示す情報が含まれると判定し、姿勢変化を案内する画面を作成し、作成した画面を表示部160に表示する。
(ステップS24)
着座者が好ましい姿勢で着座していると判定した場合(ステップS22:YES)、着座姿勢判定部134aは、センサー0-センサー15のうち、所定のセンサーの計測結果を、定期的に取得している。着座姿勢判定部134aは、通信部110が出力した計測応答を定期的に取得し、取得した計測応答に含まれるセンサーIDと計測結果との関連付けに基づいて、着座者が好ましくない姿勢で着座しているか否かを判定する。
【0057】
(ステップS25)
着座者が好ましくない姿勢で着座していない、つまり着座者が好ましい姿勢で着座していると判定した場合(ステップS24:NO)、着座姿勢判定部134aは、着座姿勢の判定結果を、経過時間判定部135aへ出力する。経過時間判定部135aは、取得した着座姿勢での経過時間が第1経過時間閾値以上となった場合には、着座姿勢を示す情報と第1経過時間閾値以上となったことを示す情報とを含む時間経過情報を作成し、作成した時間経過情報を、作成部136aへ出力する。
作成部136aは、取得した時間経過情報に好ましい姿勢を示す情報が含まれる場合に、好ましい姿勢が第1経過時間閾値以上継続したと判定する。作成部136aは、取得した時間経過情報に好ましい姿勢を示す情報が含まれると判定し、姿勢変化を案内する画面を作成し、作成した画面を表示部160に表示する。
(ステップS26)
着座者が好ましくない姿勢で着座していると判定した場合(ステップS26:YES)、着座姿勢判定部134aは、着座姿勢の判定結果を、経過時間判定部135aへ出力する。経過時間判定部135aは、取得した着座姿勢での経過時間が第1経過時間閾値以上となった場合には、着座姿勢を示す情報と第1経過時間閾値以上となったことを示す情報とを含む時間経過情報を作成し、作成した時間経過情報を、作成部136aへ出力する。
作成部136aは、取得した時間経過情報に好ましい姿勢を示す情報が含まれる場合に、好ましい姿勢が第1経過時間閾値以上継続したと判定する。作成部136aは、取得した時間経過情報に好ましい姿勢を示す情報が含まれると判定し、姿勢変化を案内する画面を作成し、作成した画面を表示部160に表示する。
図9に示されるフローチャートにおいて、ステップS22-ステップS23の処理と、ステップS24-ステップS26とを入れ替えてもよい。
前述した第2の実施形態では、基本姿勢と好ましくない姿勢にかかわらず、姿勢変化を案内するまでの経過時間が同じである場合について説明したが、この限りでない。例えば、基本姿勢で姿勢変化を案内するまでの時間を、好ましくない姿勢で姿勢変化を案内するまでの時間よりも長くしてもよいし、短くしてもよい。
【0058】
実施形態の着座姿勢判定システムによれば、着座姿勢判定装置は、椅子に着座している着座者の着座姿勢を判定する着座姿勢判定部と、着座者の着座姿勢判定部が判定した着座姿勢での経過時間が第1経過時間閾値経過したか否かを判定する経過時間判定部と、経過時間判定部が、着座姿勢での前記経過時間が第1経過時間閾値経過したと判定した場合に、着座姿勢の変更を促す情報を作成する作成部とを備える。
このように構成することによって、着座姿勢の変更を、自動的にではなく、着座者へ促すことができる。着座者自身が感覚にしたがって必要な操作だけを行うことができるため、最適位置と着座者自身の感覚により認知される着座感との間の齟齬を低減できる。
また、椅子の背凭れの上部に配設され、圧力を計測する第1センサーが計測した結果である第1圧力計測値と、背凭れの下部と椅子の座体の後部との少なくとも一方に配設され、圧力を計測する第2センサーが計測した結果である第2圧力計測値と、座体の前側面部に配設され、圧力を計測する第3センサーが計測した結果である第3圧力計測値との少なくとも一つを取得する取得部を備え、着座姿勢判定部は、取得部が取得した第1圧力計測値と第2圧力計測値と第3圧力計測値との少なくとも一つに基づいて、椅子に着座した着座者の着座姿勢を判定する。
このように構成することによって、センサーが、着座者の腰まわりを支持する部位に加え、背凭れの上部と、座体の前側面に配設される。このように構成することによって、着座者の身体の広い範囲を、センサーによってカバーできるため、着座姿勢の判定精度を向上できる。また、座体の前側面に配設されたセンサーによって、着座者の膝裏の圧力を検知できるため、着座姿勢を総合的に判定できる。
【0059】
(第3の実施形態)
第3の実施形態の着座姿勢判定システムは、体格に合わせて椅子の調整を推奨することに加えて、体格に合わせて机の高さを推奨する。第3の実施形態の着座姿勢判定システムは、
図1を適用できる。ただし、着座姿勢判定装置100の代わりに、着座姿勢判定装置100bを備え、さらに、机300を備える。
(着座姿勢判定システム)
図10は、第3の実施形態の着座姿勢判定システムに含まれる着座姿勢判定装置と椅子と机との一例を示すブロック図である。
(机300)
机300は、通信部314と、情報処理部316と、センサー318とを備える。
通信部314は、通信モジュールによって実現される。通信部314は、ネットワーク50を介して、外部の通信装置と通信する。通信部314は、例えば無線LAN、ブルートゥース、Wi-SUN、特定小電力無線、BLE、EnOcean、LPWA、又はLTEなどの通信方式で通信してもよい。また、着座姿勢判定装置100bと机300とが有線接続される場合には、通信部314は、有線LANで通信してもよい。
具体的には、通信部314は、着座姿勢判定装置100bが送信した計測要求を受信し、受信した計測要求を情報処理部316へ出力する。通信部314は、計測要求に対して、情報処理部316が出力した計測応答を取得し、取得した計測応答を、着座姿勢判定装置100bへ送信する。
情報処理部316は、例えば、CPUなどのプロセッサが内部に記憶されたプログラムを実行することにより実現されるソフトウェア機能部である。なお、情報処理部316の全部または一部は、LSI、ASIC、またはFPGAなどのハードウェアにより実現されてもよく、ソフトウェア機能部とハードウェアとの組み合わせによって実現されてもよい。
情報処理部316は、通信部314が出力した計測要求を取得し、取得した計測要求に基づいて、センサー318に机300の天板の高さを計測させる制御信号を作成する。情報処理部316は、センサー318へ、作成した制御信号を出力する。
情報処理部316は、センサー318へ出力した制御信号に対して、センサー318が送信した計測結果を取得し、取得した計測結果を含む計測応答を作成し、作成した計測応答を通信部314へ出力する。計測応答には、センサーIDと計測結果とが関連付けられている。
センサー318は、机300の天板の高さを計測できる位置に設置されている。センサー318は、情報処理部316が出力した制御信号を取得し、取得した制御信号にしたがって、机300の天板の高さを計測する。センサー318は、机300の天板の高さの計測結果を、情報処理部310bへ出力する。情報処理部310bは、センサー318が出力した机300の天板の高さの計測結果を取得し、取得した机の天板の高さの計測結果を含む計測応答を作成し、作成した計測応答を、通信部314へ出力する。
(着座姿勢判定装置100b)
着座姿勢判定装置100bは、パーソナルコンピュータ、サーバ、スマートフォン、タブレットコンピュータ又は産業用コンピュータ等の装置によって実現される。
着座姿勢判定装置100bは、例えば、通信部110と、情報処理部130bと、記憶部140bと、操作部150と、表示部160とを備える。
通信部110は、情報処理部130bが出力した計測要求を、椅子200と机300とへ送信する。また、通信部110は、計測要求に対して、椅子200と机300とが送信した計測応答を受信し、受信した計測応答を、情報処理部130bへ出力する。
【0060】
記憶部140bは、例えば、RAM、ROM、HDD、フラッシュメモリ、またはこれらのうち複数が組み合わされたハイブリッド型記憶装置などにより実現される。記憶部140bの一部または全部は、着座姿勢判定装置100bの一部として設けられる場合に代えて、NASや外部のストレージサーバなど、着座姿勢判定装置100bのプロセッサがネットワーク50を介してアクセス可能な外部装置により実現されてもよい。記憶部140bには、情報処理部130bにより実行されるプログラム141と、アプリ142bとが記憶される。また、記憶部140bは、着座姿勢情報143が記憶される。
【0061】
アプリ142bは、着座姿勢判定装置100bに、着座姿勢の判定を開始させる場合に、計測要求を作成させ、作成させた計測要求を、椅子200と机300とへ送信させる。アプリ142bは、着座姿勢判定装置100bに、計測要求に対する計測応答を受信させ、受信させた計測応答に含まれる計測結果に基づいて、椅子200に着座した着座者の着座姿勢を判定させる。アプリ142bは、着座姿勢判定装置100に、着座姿勢での経過時間を計測させる。アプリ142bは、着座姿勢判定装置100に、着座姿勢での経過時間に応じて、所定の動作を促す画面を作成させ、作成させた所定の動作を促す画面を表示部160に表示させる。アプリ142bは、促した所定の動作と、机300の天板の高さとに応じて、机300の高さを変更することを促す画面を作成させ、作成させた机300の高さを変更することを促す画面を表示部160に表示させる。
【0062】
情報処理部130bは、例えば、CPUなどのプロセッサが記憶部140bに格納されたプログラム141やアプリ142bを実行することにより実現されるソフトウェア機能部である。なお、情報処理部130bの全部または一部は、LSI、ASIC、またはFPGAなどのハードウェアにより実現されてもよく、ソフトウェア機能部とハードウェアとの組み合わせによって実現されてもよい。
情報処理部130bは、例えば、取得部132と、着座姿勢判定部134bと、経過時間判定部135と、作成部136bと、導出部137とを備える。
【0063】
着座姿勢判定部134bは、前述した着座姿勢判定部134を適用できる。ただし、着座姿勢判定部134bは、センサー318の計測結果を、定期的に取得する。着座姿勢判定部134bは、センサー318の計測結果を定期的に取得する場合に、そのセンサー318のセンサーIDを含む計測要求を定期的に作成し、作成した計測要求を、通信部110へ出力する。着座姿勢判定部134bは、通信部110が出力した計測応答を定期的に取得し、取得した計測応答に含まれるセンサーIDと計測結果との関連付けに基づいて、机300の天板の高さを把握する。
作成部136bは、経過時間判定部135が出力した時間経過情報を取得し、取得した時間経過情報に含まれる情報に基づいて、着座者の身体に変化が生じていることを表した画面や、着座姿勢の変更を促すことを表した画面を作成し、作成した画面を、表示部160に表示する。
作成部136bは、前傾姿勢と、低座後傾姿勢とのいずれかへ着座姿勢の変更を促すことを表した画面を作成した場合に、導出部137に、推奨する机300の高さの導出を要求することを示す情報(以下「机の高さ導出要求情報」という)を出力する。作成部136bは、導出部137に出力した机の高さ導出要求情報に対して、導出部137が出力した推奨する机の高さを示す情報を取得する。作成部136bは、着座姿勢判定部134bから机300の天板の高さの計測結果を取得する。作成部136bは、取得した推奨する机の高さを示す情報と、机300の天板の高さの計測結果を示す情報とに基づいて、机300の高さを変更することを促す画面を作成し、作成した机300の高さを変更することを促す画面を、表示部160に表示する。
【0064】
例えば、作成部136bは、取得した時間経過情報に前傾姿勢を示す情報と第1経過時間閾値以上となったことを示す情報とが含まれる場合には、椅子200を前傾姿勢にすることを案内する画面を作成し、作成した画面を表示部160に表示する。その後、作成部136bは、机の高さを変更することを促す画面を作成し、作成した机の高さを変更することを促す画面を、表示部160に表示する。
また、作成部136bは、取得した時間経過情報に最大後傾姿勢を示す情報と第1経過時間閾値以上となったことを示す情報とが含まれ、且つ椅子200の座高を下げていると判定した場合には、椅子200を低座・後傾姿勢にすることを案内する画面を作成し、作成した画面を表示部160に表示する。その後、作成部136bは、机の高さを変更することを促す画面を作成し、作成した机の高さを変更することを促す画面を、表示部160に表示する。
作成部136bは、推奨する机の高さが、机300の天板の高さの計測結果より高い場合には、机300の高さを高くすることを促す画面を作成し、作成した机300の高さを高くすることを促す画面を、表示部160に表示する。作成部136bは、推奨する机の高さが、机300の天板の高さの計測結果よりも低い場合には、机300の高さを低くすることを促す画面を作成し、作成した机300の高さを低くすることを促す画面を、表示部160に表示する。
また、作成部136bは、取得した時間経過情報に基本姿勢を示す情報と第1経過時間閾値以上となったことを示す情報とが含まれる場合には、姿勢変化を案内する画面を作成し、作成した画面を表示部160に表示する。
また、作成部136bは、取得した時間経過情報に着座を示す情報と第2時間閾値以上となったことを示す情報とが含まれる場合には、姿勢変化を案内する画面を作成し、作成した画面を表示部160に表示する。
【0065】
導出部137は、作成部136bが出力した机の高さ導出要求情報を取得し、取得した机の高さ導出要求情報に基づいて、推奨する机の高さを導出する。導出部137は、推奨する机の高さを導出する際に、推奨差尺を導出する。差尺とは、机300の天板までの高さと、椅子200の座面までの高さとの差である。ここで、推奨差尺の導出に一例について説明する。以下の式(1)から式(3)を仮定する。
座面の高さ[cm]=着座者の身長[cm]×0.23 (1)
着座者の座高[cm]=着座者の身長[cm]×0.54 (2)
差尺[cm]=着座者の座高[cm]/3 (3)
式(1)の座面の高さは、着座者が素足であると仮定した場合の値である。このため、着座者が靴を履いている場合には、座面の高さから、靴底の厚さだけ減算する。この靴底の厚さを調整値A[cm]とする。調整値Aは、靴底の厚さに基づいて、0[cm]~3[cm]などの範囲を持って設定される。調整値Aは、高さの好みを考慮して、幅を大きくするため、下限値は小数点以下切捨て、上限値は小数点以下切上を行い、幅を持って提示してもよい。着座者の体格によって大まかに机300の高さは決まるが、実際にはその高さから、着座者の作業内容や使っているPC、高さの好みによって変わってくる。例えば、着座者が、ノートPCを使用している場合には画面が低い為、姿勢を保つために、机300は少し高くするのが好ましい。また、着座者が、書き作業を行っている場合には、上からのぞみ込みたいために、机300は少し低く設定した方が好ましい。式(1)~式(3)より、推奨差尺は、式(4)で、表される。
推奨差尺[cm]=((座面の高さ-A)/0.23)×0.54/3 (4)
導出部137は、作成部136bが出力した差尺導出要求情報を取得した場合に、着座姿勢判定部134から、座体220の座面の高さを示す情報を取得し、取得した座体220の座面の高さを示す情報に、導出した推奨差尺を加えることによって、推奨する机の高さを導出する。導出部137は、導出した推奨する机の高さを示す情報を、作成部136bに出力する。
【0066】
(着座姿勢判定システムの動作)
図11を参照して、着座姿勢判定システムの動作について、説明する。
図11は、第3の実施形態の着座姿勢判定システムの動作の一例を示すフローチャートである。
(ステップS31)
着座者が、椅子200に基本姿勢で着座している。着座姿勢判定部134は、センサー0-センサー15のうち、所定のセンサーの計測結果と、センサー318の計測結果とを、定期的に取得する。着座姿勢判定部134bは、通信部110が出力した計測応答を定期的に取得し、取得した計測応答に含まれるセンサーIDと計測結果との関連付けに基づいて、着座者の着座姿勢と、机300の天板の高さとを判定する。着座姿勢判定部134は、着座姿勢の判定結果を、経過時間判定部135へ出力する。
(ステップS32)
経過時間判定部135は、取得した着座姿勢での経過時間が第1経過時間閾値以上となった場合には、着座姿勢を示す情報と第1経過時間閾値以上となったことを示す情報とを含む時間経過情報を作成し、作成した時間経過情報を、作成部136bへ出力する。
作成部136bは、取得した時間経過情報に前傾姿勢を示す情報が含まれるか否かを判定することによって、前傾姿勢が第1経過時間閾値以上継続したか否かを判定する。
(ステップS33)
作成部136bは、取得した時間経過情報に前傾姿勢を示す情報が含まれると判定した場合に、椅子200を前傾姿勢にすることを案内する画面を作成し、作成した画面を表示部160に表示する。
(ステップS34)
作成部136bは、前傾姿勢にすることを案内する画面を作成した場合に、導出部137に、机の高さ導出要求情報を出力する。導出部137は、作成部136bが出力した机の高さ導出要求情報を取得し、取得した机の高さ導出要求情報に基づいて、推奨する机の高さを導出する。導出部137は、導出した推奨する机の高さを示す情報を、作成部136bに出力する。作成部136bは、導出部137が出力した推奨する机の高さを示す情報を取得する。作成部136bは、着座姿勢判定部134bから、机300の天板の高さを示す情報を取得する。作成部136bは、取得した推奨する机の高さを示す情報と、机の天板の高さを示す情報とに基づいて、机の高さを変更することを促す画面を作成し、作成した机の高さを変更することを促す画面を、表示部160に表示する。
【0067】
(ステップS35)
作成部136bは、取得した時間経過情報に前傾姿勢を示す情報が含まれないと判定した場合、取得した時間経過情報に最大後傾姿勢を示す情報が含まれるか否かを判定することによって、最大後傾姿勢が第1経過時間閾値以上継続したか否かを判定する。
(ステップS36)
作成部136bは、取得した時間経過情報に最大後傾姿勢を示す情報が含まれると判定した場合、椅子200を低座後傾姿勢にすることを案内する画面を作成し、作成した画面を表示部160に表示する。
(ステップS37)
作成部136bは、低座後傾姿勢にすることを案内する画面を作成した場合に、導出部137に、机の高さ導出要求情報を出力する。導出部137は、作成部136bが出力した机の高さ導出要求情報を取得し、取得した机の高さ導出要求情報に基づいて、推奨する机の高さを導出する。導出部137は、導出した推奨する机の高さを示す情報を、作成部136bに出力する。作成部136bは、導出部137が出力した推奨する机の高さを示す情報を取得する。作成部136bは、着座姿勢判定部134bから、机300の天板の高さを示す情報を取得する。作成部136bは、取得した推奨する机の高さを示す情報と、机の天板の高さを示す情報とに基づいて、机の高さを変更することを促す画面を作成し、作成した机の高さを変更することを促す画面を、表示部160に表示する。
(ステップS38)
作成部136bは、取得した時間経過情報に最大後傾姿勢を示す情報が含まれないと判定した場合、取得した時間経過情報に基本姿勢を示す情報が含まれるか否かを判定することによって、基本姿勢が第1経過時間閾値以上継続したか否かを判定する。
(ステップS39)
作成部136bは、取得した時間経過情報に基本姿勢を示す情報が含まれると判定した場合、姿勢変化を案内する画面を作成し、作成した画面を表示部160に表示する。
【0068】
(ステップS40)
作成部136bは、取得した時間経過情報に基本姿勢を示す情報が含まれないと判定した場合、取得した時間経過情報に着座を示す情報が含まれるか否かを判定することによって、着座が第2時間閾値以上継続したか否かを判定する。着座を示す情報が含まれないと判定した場合、ステップS40に移行する。
(ステップS41)
作成部136bは、取得した時間経過情報に着座を示す情報が含まれると判定した場合、立ち作業を案内する画面を作成し、作成した画面を表示部160に表示する。
図11に示すフローチャートにおいて、ステップS32-ステップS34と、ステップS35-ステップS37と、ステップS38-ステップS39と、ステップS40-ステップS41とは、その順序を入れ替えてもよい。
前述した第3の実施形態では、椅子200を前傾姿勢にすることを案内した場合と、椅子200を低座後傾姿勢にすることを案内した場合に、机の高さを変更することを案内する場合について説明したが、この限りでない。例えば、半立位姿勢、立位姿勢などの前傾姿勢と、低座後傾姿勢とは異なる姿勢にすることを案内した場合にも、机の高さを変更することを案内してもよい。
前述した第3の実施形態では、着座姿勢判定装置100bが、椅子200の座面の高さから、着座者の体格を推定する場合について説明したが、この限りでない。例えば、着座姿勢判定装置100bは、座面の高さと、座面の奥行きなどの前後位置とのいずれか一方又は両方の結果に基づいて、着座者の体格を推定してもよい。例えば、座面が前方にある場合には、着座者の大腿部が短い、すなわち、身長が小さいと想定されるため、机の天板の高さを低くするのが好ましく、座面が後方にある場合には、着座者の大腿部が長い、すなわち、身長が大きいと想定されるため、机の天板の高さを高くするのが好ましい。このように構成することによって、ヒールなどの靴底の厚さの違いで生じるおそれがある範囲誤差を吸収できる。
前述した第3の実施形態では、着座姿勢判定装置100bが、椅子200と机300とが送信した計測応答を受信する場合について説明したが、この例に限られない。例えば、椅子200と机300とが、クラウドサーバ(図示なし)へ、計測応答を、定期的に、または、計測値に変化があったときに送信してもよい。クラウドサーバは、椅子200と、机300とが送信した計測応答を受信し、受信した計測応答を記憶することによって、データを最新の状態にしておく。着座姿勢判定装置100bは、計測応答を取得する場合に、クラウドサーバから取得する。
【0069】
実施形態の着座姿勢判定システムによれば、着座姿勢判定装置は、椅子に着座している着座者の着座姿勢が、前傾姿勢であると判定する着座姿勢判定部と、着座者の着座姿勢判定部が判定した前傾姿勢での経過時間が第1経過時間閾値経過したか否かを判定する経過時間判定部と、経過時間判定部が、前傾姿勢での経過時間が第1経過時間閾値経過したと判定した場合に、椅子を前傾姿勢にすることを促す情報と机の高さの変更を促す情報とを作成する作成部とを備える。
また、着座姿勢判定装置は、椅子に着座している着座者の着座姿勢が、後傾姿勢であると判定する着座姿勢判定部と、着座者の着座姿勢判定部が判定した後傾姿勢での経過時間が第1経過時間閾値経過したか否かを判定する経過時間判定部と、経過時間判定部が、後傾姿勢での経過時間が第1経過時間閾値経過したと判定した場合に、椅子を前傾姿勢にすることを促す情報と机の高さの変更を促す情報とを作成する作成部とを備える。
さらに、着座姿勢判定装置は、座面の高さと、座面の前後位置とのいずれか一方又は両方に基づいて、机の高さを導出する導出部を備え、作成部は、導出部が導出した机の高さに基づいて、机の高さの変更を促す情報を作成してもよい。
よい姿勢で仕事をするためには机の高さも重要である。椅子の座面の高さが設定されれば、着座者の大まかな体格を推定することができる。このため、椅子の座面の高さを設定することによって推定される着座者の体格に合わせて、机の高さ推奨することによって、着座者により良い姿勢をとることを促すことができる。
【0070】
以上、実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組合せを行うことができる。これら実施形態は、発明の範囲や要旨に含まれると同時に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
なお、上述した着座姿勢判定装置100、椅子200の計測制御部212、着座姿勢判定装置100a、着座姿勢判定装置100b、机300の情報処理部316は、コンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、各機能ブロックの機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録する。この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、CPUが実行することで実現してもよい。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OS(Operating System)や周辺機器などのハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROMなどの可搬媒体のことをいう。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」は、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスクなどの記憶装置を含む。
【0071】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、短時間の間、動的にプログラムを保持するものを含んでいてもよい。短時間の間、動的にプログラムを保持するものは、例えば、インターネットなどのネットワークや電話回線などの通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線である。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」には、サーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。また、上記プログラムは、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。また、上記プログラムは、プログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。プログラマブルロジックデバイスは、例えば、FPGA(Field Programmable Gate Array)である。
【0072】
なお、上述の着座姿勢判定装置100、椅子200の計測制御部212、着座姿勢判定装置100a、着座姿勢判定装置100b、机300の情報処理部316は内部にコンピュータを有している。そして、上述した着座姿勢判定装置100、椅子200の計測制御部212の各処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。
ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリなどをいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしてもよい。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。
さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【符号の説明】
【0073】
8a…湾曲形状変更手段、10a…着座姿勢判定システム、20…受面構成部、23…突出部、41…移動端部、50…ネットワーク、52…操作部材、100、100a、100b…着座姿勢判定装置、110…通信部、130、130a、130b…情報処理部、132…取得部、134、134a、134b…着座姿勢判定部、135、135a…経過時間判定部、136、136a、136b…作成部、137…導出部、140、140a、140b…記憶部、141…プログラム、142,142a、142b…アプリ、143…着座姿勢情報、150…操作部、160…表示部、200…椅子、210…支持構造体、212…計測制御部、214…通信部、216…情報処理部、218…入出力I/F、220…座体、230…背凭れ、0~15…センサー、300…机、314…通信部、316…情報処理部、318…センサー