(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-08
(45)【発行日】2023-05-16
(54)【発明の名称】温度調整装置、対象物への温度処理の方法、及び、冷凍物製造方法
(51)【国際特許分類】
F25D 17/02 20060101AFI20230509BHJP
A23L 3/36 20060101ALI20230509BHJP
F25D 13/00 20060101ALI20230509BHJP
【FI】
F25D17/02 301
A23L3/36 Z
F25D13/00 B
(21)【出願番号】P 2019114455
(22)【出願日】2019-06-20
【審査請求日】2022-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】504139846
【氏名又は名称】下田 一喜
(73)【特許権者】
【識別番号】501376338
【氏名又は名称】株式会社エイディーディー
(74)【代理人】
【識別番号】100135828
【氏名又は名称】飯島 康弘
(72)【発明者】
【氏名】下田 一喜
(72)【発明者】
【氏名】下田 裕人
(72)【発明者】
【氏名】鳥越 健太
【審査官】庭月野 恭
(56)【参考文献】
【文献】実開昭55-015593(JP,U)
【文献】実開平01-178569(JP,U)
【文献】特開2007-309556(JP,A)
【文献】特開2005-172255(JP,A)
【文献】特開2009-183157(JP,A)
【文献】実開昭53-043273(JP,U)
【文献】実開昭62-128759(JP,U)
【文献】特開平08-313141(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 13/00
F25D 17/02
A23L 3/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を貯留する貯留部を有する容器と、
前記貯留部の壁部に沿って延びて前記貯留部を囲んでいる流路と、
前記流路に冷媒を供給するチラーと、
前記貯留部に気体を送り込むことによって、前記液体中に泡を発生させる泡発生部と、
を有
し、
前記泡発生部は、前記液体に浸される浸水部を有し、
前記浸水部は、前記貯留部の底部側に位置するとともに、平面視において、第1方向における前記貯留部の中央側にて前記第1方向に交差する第2方向に延びており、
前記浸水部には、前記第2方向における複数の位置に、前記浸水部の外部に前記気体を放出可能な複数の貫通穴があけられている
温度調整装置。
【請求項2】
前記泡発生部は、前記気体を放出する本体部と、この本体部に接続されると共に前記浸水部に前記気体を導入する導入部と、を有し、
前記導入部は、前記本体部に対し脱着可能な脱着部を介して、前記本体部に接続されている
請求項
1記載の温度調整装置。
【請求項3】
前記脱着部は、前記容器の外部に配置されている
請求項
2記載の温度調整装置。
【請求項4】
前記泡発生部は、前記貯留部に送り込む前記気体の量を調整可能な気体調整部を有している
請求項1~請求項
3のいずれか1項記載の温度調整装置。
【請求項5】
請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の温度調整装置を用いる温度処理の方法であって、
前記液体に対象物を浸漬するステップと、
前記冷媒を用いて前記液体の温度を変化させるステップと、
前記液体中に、
前記気体を送り込むことによって
前記泡を発生させるステップと、
を有する
対象物への温度処理の方法。
【請求項6】
前記液体は、塩水である
請求項
5記載の対象物への温度処理の方法。
【請求項7】
前記冷媒を用いて、前記液体の温度
を-51℃~-5℃に保つ
請求項
5又は請求項
6記載の対象物への温度処理の方法。
【請求項8】
前記対象物は、食品である
請求項
5~請求項
7のいずれか1項記載の対象物への温度処理の方法。
【請求項9】
前記泡の径は、0.1mmよりも大きい
請求項
5~請求項
8のいずれか1項記載の対象物への温度処理の方法。
【請求項10】
請求項
5~請求項
9のいずれか1項記載の対象物への温度処理の方法を用いることによって冷凍物を製造する冷凍物製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物が浸漬される液体の温度を調整する温度調整装置、対象物を液体に浸漬することによる対象物への温度処理の方法、及び、同調整方法を用いた冷凍物製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、食品等の対象物を液体に浸漬させ、対象物を凍結させる方法が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
対象物が浸漬される液体の温度をより均一にすることができる技術を提供すること。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明にかかる温度調整装置は、液体を貯留する貯留部を有する容器と、この容器に冷媒を供給するチラーと、前記貯留部に気体を送り込むことによって、前記液体中に泡を発生させる泡発生部と、を有している。
【0006】
本発明にかかる対象物への温度処理の方法は、液体に対象物を浸漬するステップと、冷媒を用いて前記液体の温度を変化させるステップと、前記液体中に、気体を送り込むことによって泡を発生させるステップと、を有している。
【0007】
本発明にかかる冷凍物製造方法は、上記にいう対象物への温度処理の方法を用いることによって冷凍物を製造する。
【0008】
上記構成によれば、対象物が浸漬される液体の温度をより均一にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】
図1に示されたチラーの構造を示す図である。
【
図3】
図3(a)は、
図1に示されたIIIa-IIIa線断面図であり、
図3(b)は、
図3(a)に示されたIIIb拡大図である。
【
図4】
図3(a)に示された浸水部及び導入部を示す図である。
【
図5】
図1に示された液体の温度を調整することによって、冷凍物を製造する方法について説明する図である。
【
図6】
図1に示された液体の温度を調整することによって、冷凍物を解凍する方法について説明する図である。
【
図7】
図6(a)は、
図3(a)に示された泡発生部から泡が放出された状態を示した図であり、
図6(b)は、
図3(a)に示された泡発生部から放出された泡が移動する状態を示した図であり、
図6(c)は、
図3(a)に示された泡発生部から放出された泡が液体の外部に達する状態を示した図である。
【
図8】
図8(a)は、
図3(a)に示された浸水部及び導入部の第1変形例を示す図であり、
図8(b)は、
図8(a)におけるVIIIb-VIIIb線断面図である。
【
図9】
図3(a)に示された浸水部及び導入部の第2変形例を示す図である。
【
図10】第2実施形態における容器及び泡発生部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の実施形態を添付図を用いて以下説明する。尚、説明中、左右とはチラーの左側に容器が配置された状態を基準として左右をいい、前後とはチラーの左側に配置された容器を正面にした状態を基準に奥側を後方として前後をいう。また、図中、Leは左、Riは右、Frは前、Rrは後、Upは上、Dnは下を示している。尚、参照する各図面は模式的に示したものであり、細部が省略されていることもある。。
【0011】
本発明の説明にあたり、詳細な説明中に、前後左右、及び上下等の方向を表す表現が所々に用いられている。これらの表現は、図との関係で便宜的に用いられるものであって、本発明を限定する意図を有しない。
【0012】
[実施形態]
(温度調整装置)
図1を参照する。
図1には、食品(以下、対象物Obと呼ぶ。)が浸漬される液体Liが貯留された温度調整装置10が示されている。例えば、温度調整装置10は、液体Liを冷却したり、液体Liを温めたりする。1つの態様として、温度調整装置10に冷却された液体Liに対象物Obを浸漬することで、対象物を凍結させることができる。これにより、凍結した状態の冷凍物を各地に搬送されることができる。鮮度を保ったまま、対象物Obを各地に届けることができる。搬送先において、対象物Obを解凍することができる。
【0013】
温度調整装置10は、冷媒を用いて液体Liを冷却し、対象物Obを凍結(冷却)する。または、温度調整装置10は、冷媒を用いて液体Liを温め、凍結した対象物Obを解凍する。以下、液体Li及び冷媒の説明をし、その後、温度調整装置10の構造についての説明をする。発明の理解を容易にするために、これらの説明は、対象物Obが凍結される場合に着目して行う。対象物を解凍する場合については、温度調整装置10の構造の説明を終えた後に行う。
【0014】
(液体)
例えば、温度調整装置10は、対象物Obが浸漬される液体Liを冷却することができる。冷却された液体Liに対象物が浸漬されると、例えば、対象物Obは凍結される。尚、対象物Obは、ビニール等に覆われた状態で液体Liに浸漬されてもよいし、直接液体Liに浸漬されてもよい。
【0015】
温度調整装置10に用いられる液体Liは、対象物Obが凍結する温度よりも凝固点が低い液体である。液体Liとしては、塩(食塩)が水(H2O)に溶解した塩水、アルコール、及び、このアルコールを含む水溶液等を挙げることができる。上記にいう塩は、広義に解釈される。塩は、正塩、塩基性塩及び酸性塩の何れの塩であってもよい。
【0016】
正塩としては、例えば、NaCL、CaCL2、Na2CO3、CH3COONa、NH2COONa、CuSO4及びNH4Cl等が挙げられる。塩基性塩としては、例えば、MgCl(OH)及びMgCl2・Mg(OH)2等が挙げられる。酸性塩としては、例えば、NaHCO3、NaHSO4、Na2HPO4及びNaH2PO4等が挙げられる。
【0017】
液体Liが塩水である場合、塩水に含まれる塩は、海水に含まれる成分、又は、これら海水に含まれる成分から選ばれたものの混合物とすることができる。海水に含まれる成分(塩)としては、例えば、NaCl、MgCl2(にがり)MgSO4、CaSO4、KCl及びCaCl2等が挙げられる。これらの成分は、過剰摂取は別として、食品衛生法において健康に害を及ぼす添加物ではない、ということができる。これらの成分の中からNaClを選択し、対象物Obを直接液体Liに浸漬することもできる。
【0018】
塩水の塩分濃度は、例えば、海水の塩分濃度(約3.5%)よりも高い。塩水の塩分濃度は、例えば、5%以上であってもよいし、10%以上であってもよいし、15%以上であってもよいし、20%以上であってもよいし。塩水の塩分濃度は、30%以下であってもよい。所定の濃度まで塩分濃度を高くすることで、塩水の凝固点を下げることができる。上記塩分濃度は、対象物Obが入れられる前の塩分濃度であってもよいし、対象物Obが塩水に入れられた後の塩分濃度であってもよい。塩分濃度は、液体Li中に含まれる塩の質量を、液体Li中の水及び塩の合計質量で除算することにより計算できる。
【0019】
液体Liがアルコールである場合、液体Liは、例えば、エタノール、プロピレングリコール及びグリセリン等である。
【0020】
(冷媒)
冷媒は、例えば、温度調整装置10(後述するチラー30)によって圧縮、凝縮及び膨張をされ、液体Liを冷却するものである。冷媒としては、例えば、フロン、アルゴン又はクリプトン等のガス、又は、これらを適宜な比率で混合したガスが挙げられる。冷媒は、温度調整装置10によって、その温度が任意に変化する。例えば、冷媒の温度は、-40℃~-20℃に変化するし、0℃~10℃にも変化する。
【0021】
図1及び
図2を参照する。温度調整装置10は、液体Liを貯留する容器20と、この容器20に供給される冷媒を送出するチラー30と、このチラー30に接続されると共に内部に冷媒が流れる供給部11と、容器20内に一部が位置すると共に容器20内に気体を送り込み液体Li中に泡を発生させる泡発生部60と、容器20に固定され容器20に貯留される液体Liの温度を検出する第1温度センサ12と、この第1温度センサ12が検出した液体Liの温度に基づいてチラー30を制御する制御部13と、を有している。
【0022】
(容器)
図1及び
図3(a)を参照する。
図1に示す容器20は、立方形状を呈している。但し、容器20は、任意である。容器20は、例えば、円柱形状を呈していてもよい。
図3(a)に示す容器20には、対象物Obを凍結させる液体Li(凍結液)が貯留されている。容器20には上部を開口する開口部20aが設けられ、この開口部20aから対象物Obを液体Li中に入れることができる。
【0023】
図3(a)に示す例において、容器20には、周方向に亘って何重にも巻かれた供給部11が固定されている。容器20は、供給部11と接触しており、供給部11から供給される冷媒に冷却される。これにより、容器20に貯留された液体Liが冷却される。容器20の材質は、伝熱性が高いものとすることができる。伝熱性の高い材質としては、例えば、金属が挙げられる。金属としては、アルミニウム、鉄、ステンレス、銅、又はこれらを含む合金等が挙げられる。尚、耐錆性の観点から、容器20の材質にステンレスを採用してもよい。
【0024】
図3(a)を参照する。
図3(a)に示す容器20は、底部21と、この底部21から上方に延びる壁部22と、を有している。更に、容器20は、液体Liが貯留されている貯留部23を有している。
【0025】
貯留部23は、容器20の内側を構成すると共に、壁部22及び底部21の表面の一部を含んでいる。貯留部23の容積は、対象物Obの大きさ、及び/又は、対象物Obの数量等に応じて、適宜設定することができる。貯留部23の容積は、例えば、20L以上でもよいし、100L以上でもよいし、200L以上でもよいし、400L以上でもよいし、1000L以上でもよい。貯留部23の容積は、20L以下でもよい。
【0026】
貯留部23の表面粗さは、容器20における外表面の表面粗さよりも大きくてもよいし、容器における外表面の表面粗さよりも小さくてもよい。例えば、貯留部23の表面粗さが大きいと、容器20と液体Liとの接触面積が大きくなる。これにより、冷媒による液体Liの冷却速度を早めることができる。
【0027】
(チラー)
図1及び
図2を参照する。
図1に示すチラー30は、供給部11を介して容器20に冷媒を供給する。チラー30から送出された冷媒が容器20に供給されると、容器20に貯留された液体Liが冷却される。
図1に示す例において、冷媒は、チラー30から送出され、供給部11が延びる方向(矢印の方向)に沿って流れ、再びチラー30に戻る。この温度調整装置10においては、冷媒が送出されてからチラー30に戻るまでに、コイル状に巻き付いて固定された供給部11と容器20との間で熱交換が行われ、この熱交換によって液体Liが冷却される。
【0028】
チラー30が送出する、冷媒の量及び冷媒の温度は、適宜設定することができる。第1温度センサ12によって得られる液体Liの温度に応じて、冷媒の量及び冷媒の温度を変えることもできる。例えば、チラー30は、液体Liの温度が高い(例えば、2℃)時に、冷たい冷媒を多く送出し、これにより液体Liが冷却されたら(例えば、液体Liの温度が-51℃~-5℃になったら)、液体Liの温度が維持されるよう、供給する冷媒の温度を液体Liの温度と同一にしてもよい。
【0029】
チラー30から送出された冷媒は、再びチラー30に戻り、チラー30によって冷却される。冷却された冷媒は、チラー30から送出され、供給部11を介して容器20に供給される。これを繰り返すことにより、チラー30は、液体Liを所望の温度にすると共に、この温度を保つことができる。
【0030】
図2を参照する。
図2に示すチラー30は、立方形状を呈するチラーケース31と、このチラーケース31に収納され内部に冷媒が流れる流路50と、を有している。チラーケース31は、冷媒が流れる流路50を覆っている。チラー30を外方から見た場合、視認者は、流路50を視認することができない。これにより、チラー30の作動中(例えば、チラー30から冷媒が送出されている際)に、流路50に触れる虞を抑制することができる。
【0031】
図2に示す例において、チラーケース31は、外部から流路50を流れる冷媒を視認可能なサイトグラス31aを有している。サイトグラス31aは、例えば、チラーケース31の表面に開口した開口部に透明なガラス等が嵌め込まれた部位である。このサイトグラス31aを覗き込むことにより、流路50を流れる冷媒を視認することができる。
図2に示すチラー30では、後述するドライヤ35と膨張弁36とに挟まれた、主流路51の部位を流れる冷媒を視認可能である。
【0032】
図2に示す例において、流路50は、冷媒が流れる主流路51と、この主流路51に接続され冷媒の温度を調整可能なホット流路52と、主流路51に接続され冷媒の温度及び圧力を調整可能な自冷流路53と、主流路51に接続され主流路51内を減圧可能な圧力流路54と、を有している。以下、主流路51、ホット流路52、自冷流路53及び圧力流路54を、この順で説明する。
【0033】
(主流路)
図1及び
図2を参照する。主流路51は、冷媒を送出する送出口51aと、この送出口51aから送出された冷媒を内部に導入する導入口51bと、を有している。送出口51aは、供給部11の一端に接続されている。導入口51bは、供給部11の他端に接続されている。これにより、送出口51aから送出された冷媒は、供給部11を介して液体Liと熱交換をし、導入口51bから主流路51に戻ることができる。
【0034】
図2に示す例において、主流路51には、導入口51bから導入された冷媒が流入する第1アキュムレータ32と、この第1アキュムレータから送出された冷媒を圧縮する圧縮機33と、この圧縮機33に圧縮された冷媒を凝縮する凝縮器34と、この凝縮器34によって凝縮された冷媒から水分を除去するドライヤ35と、このドライヤ35を通過した冷媒を膨張させる膨張弁36と、この膨張弁36の開閉を制御するサーモスタット37と、を有している。凝縮器34とドライヤ35との間には、凝縮器34に凝縮された冷媒の温度を検出する第2温度センサ38が配置されている。
【0035】
第1アキュムレータ32は、主流路51を流れる冷媒を一時的に留めると共に、冷媒を液体と気体とに分離する。分離された気体の冷媒は、第1アキュムレータ32から送出され圧縮機33に流入する。導入口51bと圧縮機33との間に第1アキュムレータ32が配置されることにより、圧縮機33に液体の冷媒が流れることを抑制することができる。これにより、圧縮機33に加わる負荷を軽減することができる。
【0036】
圧縮機33は、第1アキュムレータ32から送出された冷媒(気体の冷媒)を圧縮すると共に、圧縮した冷媒を送出する。圧縮機33に圧縮されることにより、冷媒は、高温・高圧になる。圧縮機33の種類は、例えば、ターボ型の圧縮機であってもよいし、容積形圧縮機であってもよい。尚、圧縮機33が加える圧縮の強さは、任意に設定することができる。
【0037】
図2に示す例において、凝縮器34は、冷媒が流れるラジエータ34aと、このラジエータ34aに向かって風を送るファン34bと、を有している。冷媒は、ラジエータを流れる際に外気と熱交換し、冷やされて液体になる。言い換えると、凝縮器34は、圧縮機33を通過した冷媒を凝縮して冷やす機器である、ということもできる。熱交換によって暖められた外気は、ファン34bからの送風によりチラーケース31の外部に排出される。
【0038】
膨張弁36は、冷媒(液体の冷媒)を膨張させる。冷媒が膨張されることにより、冷媒は、気化して低温・低圧になる。言い換えると、膨張弁36は、凝縮器34を通過した冷媒を膨張させると共に冷却する機器である、ということもできる。
【0039】
図1及び
図2を参照する。サーモスタット37は、第2温度センサ38が検出した冷媒の温度に基づいて、チラー30から送出される冷媒が所望の温度になるよう、膨張弁36の開閉度合いを調整する。例えば、膨張弁36を大きく開けられると、膨張弁36による冷媒の膨張が大きくなり、冷媒をより低温に冷却することができる。例えば、膨張弁36を小さく開けられると、膨張弁36による冷媒の膨張が小さくなり、冷媒の冷却を弱めることができる。上記にいう「所望の温度」は、第1温度センサ12が検出した液体Liの温度に基づいて、制御部13が算出してもよい。更には、「所望の温度」は、制御部13を介して入力された液体Liの温度に基づいて、サーモスタット37が算出してもよい。算出された所望の温度は、例えば、制御部13に記録されてもよいし、サーモスタット37に記録されてもよいし、制御部13及びサーモスタット37に記憶されてもよい。
【0040】
更に、サーモスタット37は、例えば、主流路51からホット流路52に流れる冷媒の量を調整する。具体的な説明は、後述するホット流路52の説明の際に行う。主流路51からホット流路52に流れる冷媒の量が調整されることによって、チラー30から送出される冷媒の温度を調整することができる。
【0041】
(ホット流路)
1つの態様として、ホット流路52の一端は、主流路51における、圧縮機33と凝縮器34との間に接続されている。この時、ホット流路52の他端は、主流路51における、膨張弁36と送出口51aとの間に接続されている。ホット流路52には、開閉することによって冷媒の流れを調整可能なホット弁が設けられている。ホット弁41を開くことにより、一端から他端に向かって、ホット流路52内を冷媒が流れる。つまり、ホット流路52の一端から高温・高圧の冷媒をホット流路52内に流入させ、この高温・高圧の冷媒をホット流路52の他端に接続された主流路51(膨張弁36と送出口51aとに挟まれる部位)に導入することができる。これにより、チラー30から送出される冷媒の温度を調整することができる。例えば、サーモスタット37は、膨張弁36と共に、このホット弁41の開閉を調整する。これにより、ホット流路52に流れる冷媒の量が調整され、
膨張弁36と共に、チラー30から送出される冷媒が所望の温度に調整することができる。ホット弁41を大きく開閉することによって、チラー30から送出される冷媒の温度を上げてもよいし、ホット弁41を小さく開閉することによって、チラー30から送出される冷媒の温度を僅かに上げてもよい。
【0042】
(自冷流路)
1つの態様において、自冷流路53の一端は、主流路51における、凝縮器34と膨張弁36との間に接続されている。この時、自冷流路53の他端は、主流路51における、導入口51bと第1アキュムレータ32との間に接続されている。自冷流路53には、開閉することによって冷媒の流れを調整する自冷弁42が設けられている。例えば、自冷弁42を開くことにより、一端から他端に向かって、自冷流路53内に冷媒を流すことができる。これにより、凝縮器34と膨張弁36との間で滞留している冷媒を再び圧縮機33に流入させ、冷媒の流れを円滑にすることができる。結果、凝縮器34と膨張弁36との間に加わる、滞留による主流路51への負荷を軽減することができる。
【0043】
自冷流路53には、冷媒の流れる量を調整する自冷膨張弁43が設けられている。自冷膨張弁43は、冷媒の流れ方向において、自冷弁42より下流側に配置されている。
【0044】
(圧力流路)
1つの態様において、圧力流路54の一端は、主流路51における、凝縮器34と膨張弁36との間に接続されている。この時、圧力流路54の他端は、主流路51における、導入口51bと第1アキュムレータ32との間に接続されている。自冷流路53には、冷媒を貯留する冷媒貯留部44と、この冷媒貯留部44に流入する冷媒の圧力を検出する第1圧力計45と、が設けられている。
【0045】
図2に示す冷媒貯留部44は、流入した冷媒を貯留すると共に貯留した冷媒を送出可能な第2アキュムレータ44aと、この第2アキュムレータ44aへの冷媒の流入を開閉によって調整する第1開閉弁44bと、第2アキュムレータ44aから送出された冷媒を開閉によって主流路51に流入させる第2開閉弁44cと、を有している。
【0046】
図2に示す第1圧力計45は、圧力流路54内における、圧力流路54の一端から第1開閉弁44bまでの部位(以下、第1地点54aとも呼ぶ。)の圧力を検出する。更に、第1圧力計45は、圧力流路54内における、第2開閉弁44cから圧力流路54の他端までの部位(以下、第2地点54bとも呼ぶ。)の圧力を検出する。
【0047】
例えば、第1地点54aと第2地点54bとの圧力の差が大きくなり、この圧力の差が境界の値を上回ると、第2アキュムレータ44aに冷媒が流入する。これにより、主流路51内(凝縮器34から膨張弁36までの間)の圧力を下げることができる。例えば、第1地点54aと第2地点54bとの圧力の差が小さくなり、この圧力の差が境界の値を下回ると、第1アキュムレータ32への冷媒の流入が抑制される。上記境界の値は、任意に設定することができる。
【0048】
(供給部)
供給部11の一端は、チラー30の送出口51aに接続されている。供給部11の他端は、チラー30の導入口51bに接続されている。
図3(a)を併せて参照する。
図3(a)に示すように、供給部11は、内部に冷媒が流れるよう、一端(送出口51a)から他端(導入口51b)に亘って内部に通路が形成されている。例えば、供給部11は、伝熱性の高い材質からなる。伝熱性の高い材質としては、例えば、金属である。金属としては、アルミニウム、鉄、ステンレス、銅、又はこれらを含む合金等が挙げられる。尚、耐錆性の観点から、容器20の材質にはステンレスを採用してもよい。
【0049】
図1に示す例において、供給部11は、容器20の外表面に沿って、らせん状に延び、容器20の外表面(側面)に巻き付いたように固定されている。供給部11におけるらせん状の部位は、例えば、その全部が容器20の外表面に接触している。これにより、容器20に貯留された液体Liは、供給部11内を流れる冷媒と効率的な熱交換を行うことができる。尚、容器20への供給部11の巻き付き方は任意である。供給部11は、例えば、容器20の外表面に沿って渦巻き状又はミアンダ状に沿って延び、容器20に外表面 に接触した状態で固定されていてもよい。または、これららせん状、渦巻き状及びミアンダ状の組み合わせであってもよい。供給部11は、容器20の上面及び下面にも接触していてもよい。
【0050】
供給部11における外径及び内径は、適宜設定することができる。更に、供給部11は、供給部11が延びる方向に垂直な断面において、例えば、矩形の枠形状を呈していてもよいし、円形の枠形状を呈していてもよいし、楕円の枠形状を呈していてもよいし、三角の枠形状を呈していてもよい。例えば、供給部11の断面が矩形又は三角の枠形状を呈していることにより、容器20との接触面積を増やすことができる。
【0051】
(泡発生部)
図3(a)を参照する。
図3(a)に示す泡発生部60の先端側は、容器20の開口部20aから貯留された液体Li中に挿入されている。泡発生部60には、先端側に向かって、内部を空気(気体)が流れる通路が形成されている。泡発生部60は、例えば、内部を流れる空気を液体Li(貯留部23)中に放出する(送り込む)ことによって、液体Li中に浮力を有する泡を発生させる。尚、泡発生部60が液体Li中に送り込む気体は、任意に設定することができ、空気以外の気体(例えば、不活性ガス(例えば、窒素)又は酸素)であってもよい。空気の温度は、任意であり、冷却された空気であってもよいし、外気の温度と同一であってもよい。
【0052】
図3(a)に示す例において、泡発生部60は、空気を放出する本体部70と、この本体部70に接続され本体部70から放出された空気が内部を流れる導入部63と、この導入部63を通った空気が内部を流れると共に少なくとも一部が液体Li中に浸水している浸水部80と、を有している。
【0053】
本体部70は、本体部ケース71と、この本体部ケース71に収納され本体部ケース71から空気を外部に送り出すポンプ72と、このポンプ72から送り出される空気の量を調整する気体調整部73と、本体部ケース71に接続されポンプ72が送り出した空気が流れる第1接続部74と、この第1接続部74に接続された第2接続部75と、を有している。本体部70は、導入部63を介して浸水部80に空気を導入する。
【0054】
本体部ケース71には、例えば、内部に外気を導入可能な第1開口71aと、この第1開口71aから導入された空気が通る第2開口71bと、があけられている。ポンプ72は、浸水部80が位置する箇所における液体Liの水圧よりも、本体部ケース71の内部に導入された空気の圧力を大きくし、この空気を第2開口71bから外部(第1接続部74a)に放出する。
【0055】
ポンプ72は、駆動源としてモータを有している。ポンプ72は、駆動源であるモータが回転することにより駆動し、第1開口71aから導入された空気を本体部ケース71の外部に放出する。本体部ケース71内の空気は、第2開口71bから放出される。気体調整部73は、例えば、ポンプ72が有するモータに印可される電圧及び周波数を変化させるインバータを含んでいる。気体調整部73は、例えば、インバータを制御することにより、第2開口71b(浸水部80)から放出される空気の量を調整する。尚、手動によって気体調整部73に含まれるインバータを調整し、浸水部80から放出される空気の量を調整することもできる。
図3(a)に示す例において、気体調整部73は、本体部ケース71内に収納されている。但し、その他の態様において、気体調整部73は、一部が本体部ケース71の外部に露出していてもよいし、その全部が本体部ケース71の外部に位置していてもよい。
【0056】
図3(a)に示す第1接続部74は、容器20の外表面に沿って上下に延びると共に、下端が第2開口71bに挿入され、上端が第2接続部75に接続されている。第1接続部74には、本体部70から放出された空気Gaが流れる第1接続部通路74aが形成されている。第1接続部74の材質は、任意に設定することができる。例えば、第1接続部74の材質は、金属であってもよいし、セラミックであってもよいし、ゴム又は樹脂等であってもよい。尚、第1接続部74が延びる方向に垂直な断面における、第1接続部74の形状は任意である。例えば、第1接続部74は、第1接続部74が延びる方向に垂直な断面において、円形の枠形状を呈している。
【0057】
図3(a)に示す第2接続部75には、第1接続部74を通過した空気Gaが流れる第2接続部通路75aが形成されている。第2接続部75が延びる方向に垂直な断面における、第2接続部75の形状は任意である。例えば、第2接続部75は、第2接続部75が延びる方向に垂直な断面において、円形の枠形状を呈している。第2接続部75の材質は、任意に設定することができる。例えば、第2接続部75の材質は、金属等からなる。第2接続部通路75aの内径は、第1接続部通路74aの内径と共に、任意に設定可能である。
【0058】
更に、第2接続部75には、第2接続部通路75aを通る空気の流れを開閉によって調整する通路開閉弁75bと、第2接続部通路75a内を流れる空気の圧力を検出する第2圧力計75cと、が設けられている。通路開閉弁75b及び第2圧力計75cは、それぞれ公知の開閉弁及び圧力計を用いることができる。通路開閉弁75bは、手動式の開閉弁であってもよいし、信号入力により開閉される駆動式の開閉弁であってもよい。第2接続部75と第1接続部74との接続部分には、空気の漏れを防ぐシールが設けられていてもよい。
【0059】
(泡発生部を構成する導入部)
図3(a)及び
図4を参照する。
図3(a)に示す導入部63は、容器20の内面に沿って上下に延びており、その下端側に浸水部80が接続されている。
図3(b)を併せて参照する。導入部63には、本体部70に対し脱着可能な脱着部63aと、浸水部80を接続可能(連結可能)な被連結部63bと、が設けられている。導入部63は、脱着部63aを介して本体部70に接続されている。
図3(a)に示す例において、脱着部63aは、容器20(液体Li)の外部に配置されている。より詳細には、脱着部63aは、容器20の上方に配置されている。1つの態様として、脱着部63aは、導入部63の端部に形成されたねじであり、第2接続部75に螺合されている。この場合、脱着部63aは、雄ねじ形状を呈していてもよいし、雌ねじ形状を呈していてもよい。脱着部63aは、空気の漏れを防ぐシールを介して第2接続部75に接続されていてもよい。被連結部63bは、例えば、導入部63にあけられた雌ねじ穴である。但し、被連結部63bは、例えば、導入部63の外表面から突出する、略筒状を呈する雄ねじであってもよい。尚、脱着部63aは、第2接続部75に嵌合又は挿入されることによって、取り付けられる構造を呈していてもよい。
【0060】
図3(a)及び
図4のみを参照する。導入部63には、上端から下端に亘って、本体部70から送られた空気が流れる導入部通路63cが形成されている。導入部63は、例えば、導入部63が延びる方向に垂直な断面において、円形の枠形状を呈していてもよいし、楕円の枠形状を呈していてもよいし、矩形の枠形状を呈していてもよいし、三角の枠形状を呈していてもよい。尚、導入部通路63cの内径は、第1~第2接続部74、75の内径と共に、貯留された液体Li中に送り込む空気の量に応じて、任意に設定することができる。
【0061】
導入部63の材質は、任意に設定することができる。導入部63の材質としては、例えば、金属、セラミック及び樹脂等が挙げられる。金属としては、例えば、アルミニウム、鉄、ステンレス、銅、又はこれらを含む合金等が挙げられる。導入部63の材質を金属とした場合、耐錆性の観点から、ステンレスを採用してもよい。
【0062】
樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリカーボネイト樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリプロピレン樹脂、超高分子ポリエチレン、ポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトン、フェノール樹脂、ユニレート等を挙げることができる。ところで、少なくとも一部が液体Li中に浸かる導入部63は、その材質が耐寒性に富んでいることが求められる。このため、導入部63は、例えば、-30℃よりも低い温度に耐えうる耐寒性を有している。
【0063】
図3(a)に示す導入部63は、容器20の壁部22に固定された固定部材Fiによって支持されている。固定部材Fiは、例えば、ステンレス等の金属からなる固定金具である。
【0064】
(泡発生部を構成する浸水部)
図4を参照する。浸水部80の形状は、任意に設定することができる。
図4に示す浸水部80は、棒状を呈し、一端(左側の端部)から他端(右側の端部)に亘る長さを有している。但し、浸水部80は、棒状以外にも、例えば、左右方向に延びる中途位置において複数に分岐する形状を呈していてもよい。
【0065】
浸水部80は、例えば、浸水部80が延びる方向に垂直な断面において、矩形の枠形状を呈している。その他の態様として、浸水部80は、例えば、浸水部80が延びる方向に垂直な断面において、円形の枠形状を呈していてもよいし、楕円の枠形状を呈していてもよいし、三角の枠形状を呈していてもよい。
【0066】
浸水部80の材質は、任意に設定することができる。浸水部80の材質としては、例えば、金属、セラミック及び樹脂等が挙げられる。金属としては、例えば、アルミニウム、鉄、ステンレス、銅、又はこれらを含む合金等が挙げられる。浸水部80の材質を金属とした場合、耐錆性の観点から、ステンレスを採用してもよい。
【0067】
樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリカーボネイト樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリプロピレン樹脂、超高分子ポリエチレン、ポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトン、フェノール樹脂、ユニレート等を挙げることができる。ところで、少なくとも一部が液体Li中に浸かる浸水部80は、例えば、その材質が耐寒性に富んでいることが求められる。このため、浸水部80は、例えば、-30℃よりも低い温度に耐えうる耐寒性を有している。
【0068】
図4に示す例において、浸水部80は、導入部63から導入された気体Gaを放出する浸水部主部81と、この浸水部主部81の端面から突出すると共に被連結部63bに接続された浸水部連結部82と、を有している。
図4に示す例において、浸水部主部81は、浸水部80の大部分を占めている。
【0069】
浸水部80は、被連結部63bから取り外し可能であると共に、被連結部63bに螺合された浸水部連結部82を有している。
図4に示す浸水部連結部82は、ねじ穴である被連結部63bに螺合された、筒形状を呈する雄ねじである。浸水部連結部82と被連結部63bとの間には、液体Liが入り込むことを抑制するシールを設けてもよい。尚、浸水部80の導入部63への接続方法は、適宜に設定可能である。例えば、浸水部80(浸水部連結部82)は、導入部63と溶接によって接合されていてもよい。
【0070】
図4に示す浸水部80には、浸水部80の一端(浸水部連結部82の端面)から他端(浸水部主部81における浸水部連結部82とは反対側の端面)に向かって浸水部通路83が形成されている。浸水部通路83は、浸水部連結部82の端面に開口している。浸水部通路83には、本体部70から放出され浸水部通路83を通過した空気が流れる。更に、
図4に示す浸水部80(浸水部主部81)には、浸水部80の外表面から浸水部通路83までを貫通する貫通穴84が複数あけられている。貫通穴84は、浸水部通路83を流れる空気を浸水部80の外部に放出可能な穴である。尚、貫通穴84は、浸水部80の上面以外にも、例えば、浸水部の側面及び/又は浸水部80の下面にあけられていてもよい。
【0071】
浸水部主部81にあけられる貫通穴84の数、及び、これら貫通穴84の径は、任意に設定することができる。例えば、浸水部主部81にあけられる貫通穴84の数は、2以上であってもよいし、5以上であってもよいし、10以上であってもよいし、20以上であってもよいし、50以上であってもよい。または、浸水部主部81にあけられる貫通穴84の数は、1つのみであってもよい。浸水部主部81にあけられた複数の貫通穴の径は、それぞれが同一の大きさであってもよいし、それぞれが異なった大きさであってもよい。尚、浸水部主部81にあけられた複数の貫通穴は、穴径が異なる2種類の貫通穴84、84から構成されていてもよい。貫通穴84の径は、例えば、0.1mm以上であってもよいし、0.5mm以上であってもよいし、1mm以上であってもよいし、2mm以上であってもよいし、5mm以上であってもよい。貫通穴84の径は、1mm以下であってもよい。更に、貫通穴84は、内側から外側に向かって広がる形状を呈していてもよい。これにより、浸水部80を製造する際に、先端が尖った回転体を押しつけることによって容易に貫通穴84をあけることができる。これにより、生産効率の向上を図ることができる。
【0072】
図5を参照する。
図5に示す貫通穴84は、平面視において、円形状を呈している。但し、貫通穴84は、平面視において、楕円形状を呈していてもよいし、矩形状を呈していてもよいし、三角形状を呈していてもよいし、五角形以上の多角形状を呈していてもよい。貫通穴84の形状は、任意である。
【0073】
図3(a)及び
図4を参照する。浸水部主部81にあけられた貫通穴84が複数である場合、隣り合う貫通穴84と貫通穴84とのピッチは、任意に設定することができる。例えば、上記ピッチL1は、貫通穴84の径より長くてもよいし、貫通穴84の径より短くてもよいし、貫通穴84の径と同一の大きさであってもよい。例えば、ピッチL1を長くすることによって、それぞれの貫通穴84、84から放出された泡が一体化(目視で確認した際に一体化したように見える泡を含む。)することを抑制できる。例えば、ピッチL1を短くすることによって、それぞれの貫通穴84、84から放出された泡を一体化させることができる。これにより、大きな泡を液体Li中に発生させることができる。
【0074】
浸水部主部81にあけられた貫通穴84の全部を見て、これらの隣り合う貫通穴84、84のピッチL1は、浸水部主部81における一端(左側の端部)から他端(右側の端部)までに亘って、それぞれが同一であってもよいし、それぞれが異なっていてもよい。これらのピッチが異なっている場合、これらのピッチは、浸水部主部81における一端から他端に向かって、小さくなっていてもよい。これにより、圧力が低くなりがちの他端側において、液体Li中に放出する空気の量を増やすことができる。または、浸水部主部81における一端から他端までに亘って、泡発生部60が発生させる泡の量の均一化を図ることができる。
【0075】
また、浸水部主部81にあけられた貫通穴84の全部を見て、これらの隣り合う貫通穴84、84のピッチL1は、浸水部主部81における一端と他端との中間位置において、最も短くなっていてもよい。これにより、浸水部主部81の中間位置から放出される空気の量を増やすことができる。結果、容器20の中心に放出される泡の量を増やすことができ、中心において上方に移動する泡によって液体Li中に浸漬した対象物Ob(
図1参照)を容器20の中心から遠ざけることができる。これにより、例えば、対象物Obが複数容器20に入れられている場合、対象物Obのそれぞれが接触することを軽減させることができる。
【0076】
図3(a)を参照する。
図3(a)に示す浸水部80は、上下方向(容器20の深さ方向)における容器20の中間位置よりも、つまり、容器20の底部21側に配置されている。容器20の上部から浸水部80までの距離をD1とし、浸水部80から容器20の底部21までの距離をD2とした場合、D1>D2となる。尚、浸水部80は、底部21に当接していてもよいし、底部21に当接していなくてもよい。
図3(a)に示す浸水部80は、底部21に固定された固定部材Fiによって支持されている。固定部材Fiは、例えば、ステンレス等の金属からなる固定金具である。
【0077】
(第1温度センサ)
図1を参照する。第1温度センサ12は、例えば、熱電対、測温抵抗体又はサーミスタ等を含む検出部(図示せず)を有している。検出部は、液体Liに浸かっている。
図1に示す例において、第1温度センサ12は、上下方向における容器20の中間位置よりも上方に位置し、一部が液体Liから出ている。但し、例えば、第1温度センサ12は、上下方向における液体Liの中間位置よりも下方に位置し、全部が液体Liに浸かっていてもよい。
【0078】
(制御部)
制御部13は、例えば、CPU、RAM、ROM及び外部記憶装置等を含んでいる。ROM及び/又は外部記憶装置に記録されているプログラムがCPUによって実行されることで、制御部13は、様々な制御を行う。
図2を併せて参照する。1つの態様として、制御部13は、例えば、サーモスタット37を含むチラー30を構成する各機器(例えば、主流路51、ホット流路52、自冷流路53及び圧力流路54に設けられた機器)を制御し、第1温度センサ12から検出される液体Liの温度が目標の値になるよう、チラー30から送出される冷媒の温度及び/又は冷媒の量を変化させる。例えば、第1温度センサ12から検出される液体Liの温度が目標の値よりも高い場合、制御部13は、チラー30から送出される冷媒の温度を下げる。例えば、第1温度センサ12から検出される液体Liの温度が目標の値よりも低い場合、制御部13は、チラー30から送出される冷媒の温度を上げる。例えば、第1温度センサ12から検出される液体Liの温度が目標の値(例えば、-51℃~-5℃)に到達した場合、制御部13は、液体Liの温度が目標の値に保たれるよう、チラー30から送出される冷媒の温度及び/又は冷媒の量を制御する。
【0079】
尚、上記にいう液体Liの目標温度は、液体Liの種類(成分)に応じて、任意に設定することができる。1つの態様として、液体Liが主成分としてNaClを含む水溶液(例えば、添加された塩基物中においてNaClが90%以上占める水溶液)である場合、液体Liの目標温度を-21℃~-5℃に設定してもよい。1つの態様として、液体Liが主成分としてMgCl2を含む水溶液(例えば、添加された塩基物中においてMgCl2が90%以上占める水溶液)である場合、液体Liの目標温度を-35℃~-10℃に設定してもよい。1つの態様として、液体Liが主成分としてCaCl2を含む水溶液(例えば、添加された塩基物中においてCaCl2が90%以上占める水溶液)である場合、例えば、液体Liの目標温度を-51℃~-15℃に設定してもよい。1つの態様として、液体Liが主成分としてNaCl、MgCl2及びCaCl2から選ばれる2以上の塩基物を含む水溶液(例えば、主成分とする塩基物がそれぞれ30%以上を占めている水溶液)である場合、液体Liの目標温度を-45℃~-21℃に設定してもよいし、液体Liの目標温度を-24℃~-18℃に設定してもよい。尚、液体Liが主成分として上記以外の塩基物を含んでいる場合においても、液体Liの目標温度を上記同様の範囲に設定することができる。
【0080】
次に対象物を液体に浸漬させ冷凍物を製造する方法について説明する。
【0081】
図1及び
図5を参照する。
図5には、対象物Obを液体Liに浸漬させることによって、冷凍物を作る方法100(冷凍物製造方法100)が示されている。対象物Obは、容器20に貯留された液体Li中に浸漬される。液体準備ステップ101では、対象物Obが浸漬される液体Liを容器20(貯留部23)に入れる。液体Liは、例えば、塩水(1つの態様として、NaClを含む水溶液)であり、第1温度センサ12が液体Liの温度を検出可能な位置まで入れる。尚、液体Liが塩水であることにより、対象物Obを直接液体Liに浸漬することができる。
【0082】
図3(a)を併せて参照する。液体準備ステップ101では、容器20に、浸水部80の少なくとも一部が浸される量の液体Liを入れる。具体的には、浸水部80にあけられた貫通穴84が液体Li中に漬かる位置まで、容器20内に液体Liを入れる。これにより、液体準備ステップ101が終了し、冷媒供給ステップ102に入る。
【0083】
冷媒供給ステップ102(冷媒を用いて液体の温度を変化させるステップ)では、液体Liが所望の温度に調整されるよう目標の温度を設定する。対象物Obを短時間(例えば、6分以内)で凍結させるため、例えば、目標の温度を-51℃~-5℃に設定する。対象物Obを短時間で凍結することが可能な温度に設定することにより、例えば、対象物Obの鮮度を保つことができる。目標の温度を設定したら、チラー30を稼働させ、チラー30の送出口51aから容器20に冷媒を供給する。尚、冷媒は、後述する液温調整ステップ103及び対象物凍結ステップ104においても供給し続ける。冷媒の供給を開始したら、液温調整ステップ103に入る。
【0084】
図3(a)及び
図5を参照する。液温調整ステップ103(液体Li中に、気体を送り込むことによって泡を発生させるステップ)では、泡発生部60を稼働させ、液体Li中に空気を送り込むことにより泡を発生させる。液体Li中に泡を発生させ、液体Li全体の温度をより均一にする。その後、対象物凍結ステップ104に入る。上記で述べた通り、対象物凍結ステップ104に入った後も、泡発生部60を稼働させた状態を保ち、液体Li全体の温度を常に調整する。尚、液温調整ステップ103を行うタイミングは、冷媒の供給によって液体Liが冷却された後(例えば、目標の温度に到達後)であってもよいし、冷媒の供給がされ始めた直後であって液体Liが冷却されてない時であってもよい。
【0085】
図1及び
図5を参照する。対象物凍結ステップ104では、液温調整ステップ103で調整された液体Li中に対象物Obを入れ、対象物Obを凍結させる。対象物Obは、例えば、ビニール等で封止されて液体Li中に入れられてもよいし、生身の状態で直接液体Li中に入れられてもよい。
図1に示す例において、対象物Obである生牡蠣が、網状の箱に入れられ液体Li中に浸漬されている。対象物Obは、例えば、1分~6分程で凍結する。対象物Obが凍結したら、冷凍物が完成する。これにより、対象物凍結ステップ104が終了する。
【0086】
次に凍結した対象物を解凍する方法について説明をする。
【0087】
図1及び
図6を参照する。
図6には、凍結した対象物を液体Liに浸漬させることによって、冷凍物を解凍する方法110が示されている。これまでは、対象物Obを液体Li中に浸漬することにより対象物Obを凍結する説明について説明してきた。しかしながら、本発明においては、凍結した対象物Obを解凍することもできる。以下、対象物Obの解凍方法について述べる。対象物Obは、温度調整装置10における容器20に貯留された液体Liに浸漬され解凍される。上記液体準備ステップ101(
図5参照)と同様に、液体準備ステップ111では、対象物Obが浸漬される液体Liを容器20に入れる。本液体準備ステップ111は、対象物Obを凍結する場合の液体準備ステップ101と重複する部分が多いため省略する。
【0088】
冷媒供給ステップ112で設定される液体Liの所望の温度は、凍結した対象物Obを解凍可能な温度である。温度の設定は、対象物Obへの負荷、及び、対象物Obを解凍するために必要な時間を考慮して行う。対象物Obの種類によって解凍時間が異なるものの、例えば、対象物Obをゆっくり解凍したい場合は、温度を1~6℃の範囲で設定されてもよいし、対象物Obをより早く解凍したい場合は、温度を6℃以上で設定されてもよい。尚、冷媒は、後述する液温調整ステップ113及び対象物解凍ステップ114においても供給し続ける。冷媒の供給を開始したら、液温調整ステップ113に入る。液温調整ステップ113は、
図5における液温調整ステップ103と重複する部分が多いため、説明を省略する。
【0089】
対象物解凍ステップ114(液体Liに対象物を浸漬するステップ)では、液温調整ステップ113で調整された液体Li中に対象物Obを入れ、対象物Obを解凍させる。対象物Obは、例えば、ビニール等で封止されて液体Li中に入れられてもよいし、生身の状態で直接液体Li中に入れられてもよい。対象物Obが解凍されたら、解凍物が完成する。これにより、対象物解凍ステップ114が終了する。尚、対象物解凍ステップ114が終了するまで、液温調整ステップ113における泡発生部60の稼働は維持されている。これにより、例えば、対象物Obにおける表面まわりの液体Liの温度をより均一にすることができる。
【0090】
図1及び
図2を参照する。上記冷媒供給ステップ112においては、対象物Obを凍結する場合と同様に、冷媒は、送出口51aから送出され容器20に供給されてもよい。つまり、導入口51bから導入された冷媒は、圧縮機33、凝縮器34及び膨張弁36をこの順に流れ、送出口51aから送出されてもよい。但し、その他の態様において、上記冷媒供給ステップ112においては、冷媒は、送出口51aから導入され、膨張弁36、凝縮器34及び圧縮機33をこの順に流れ、導入口51bから送出されてもよい。
【0091】
次に本発明の作用について説明する。
【0092】
図7(a)を参照する。温度調整装置10は、容器20に貯留された液体Li中に気体(例えば、空気)を送り込む装置である。温度調整装置10は、気体Gaを放出する本体部70(
図3(a)参照)を有している。この本体部70から放出された気体Gaは、導入部63に形成された導入部通路63cを通り、浸水部80に形成された浸水部通路83に流れ込む。浸水部通路83に流れ込んだ気体Gaは、例えば、浸水部80の一端から他端に向かって形成された浸水部通路83を流れる。その後、気体Gaは、浸水部80にあけられた貫通穴84から浸水部80の外部に放出され、液体Li中に泡Gaとして放出される。
【0093】
図7(b)を参照する。泡発生部60から発生した泡Gaは、浮力を有し、浮力の方向に向かって上昇する。泡が上昇することによって、液体Liが攪拌される。ところで、泡Gaの上昇する先には、液体Li中に浸漬された対象物Obが存在する。このため、時として、泡Gaは、対象物Obに接触し、下方に付勢される。しかしながら、泡Gaは、液体Li中で浮力を有しており、下方に付勢されても更に上昇する。
【0094】
図7(c)を参照する。泡発生部60から発生した泡Gaは、やがて貯留された液体Liの水面に到達する。これにより、液体Liは、容器20における底部21から上部までに亘って攪拌される。
【0095】
図7を参照する。温度調整装置10は、貯留部23に気体Gaを送り込むことによって、液体Li中に泡Gaを発生させる泡発生部60を有している。このため、泡発生部60は、貯留部23に液体Liが貯留されると、貯留された液体Li中に浮力を有する泡Gaを発生させる(放出する)ことができる。泡発生部60から発生した泡Gaは、浮力を有し、浮力の方向に向かって移動する。これにより、貯留された液体Liは攪拌される。更に、液体Li中に対象物Obが浸漬されている状態において、泡Gaは、対象物Obに付勢されても、浮力の方向に向かって移動し、液体Liの外部に達することができる。結果、泡発生部60によって、液体Liにおける広範囲の領域を攪拌することができる。即ち、対象物Obが浸漬される液体Liの温度をより均一にすることができる、温度調整装置10を提供することができる。
【0096】
図3(a)及び
図4を参照する。浸水部80には、浸水部80の外部に気体Ga(
図7(a)参照)を放出可能な貫通穴84があけられている。浸水部80に貫通穴84があけられていることにより、泡発生部60は、浸水部80内に気体Gaを送り込み、送り込んだ気体Gaを貫通穴84から外部に放出することができる。これにより、上記のような簡単な構造の泡発生部60によって、貯留された液体Liを攪拌することができる。即ち、安価な温度調整装置10を提供することができる。
【0097】
泡発生部60は、本体部70に接続されると共に浸水部80に気体Gaを導入する導入部63を有している。更に、導入部63は、本体部70に対し脱着可能な脱着部63aを介して、本体部70に接続されている。脱着部63aが設けられていることにより、導入部63は、浸水部80と共に、本体部70から脱着可能である。これにより、例えば、長期間の使用によって、導入部63及び/又は浸水部80の取り替えや清掃の必要が生じた場合でも、導入部63及び浸水部80を一体として本体部70から取り外し、これらの取り替えや清掃を行うことができる。メンテナンスが容易な温度調整装置10を提供することができる。
【0098】
加えて、導入部63が脱着部63aを有していることにより、浸水部80と共に導入部63を取り外し、別の浸水部80を容易に取り付けることができる。これにより、浸水部80における貫通穴84の穴径を容易に変更することができる。結果、対象物Obにおける、大きさ、量、性質等に適した量の泡を容易に発生させることができる。
【0099】
脱着部63aは、容器20の外部に配置されている。脱着部63aが容器20の外部に配置されていることにより、容器20に液体Liが貯留されても、液体Liに脱着部63aが浸かることが抑制される。結果、本体部70が液体Liに浸かることが抑制される。即ち、液体Liから本体部70に加わる負荷を抑制することができる。
【0100】
加えて、脱着部63aが容器20の外部に配置されていることにより、液体Li中に浸かる浸水部80及び導入部63のみを、本体部70から取り外し洗うことができる。
【0101】
浸水部80は、容器20の深さ方向における容器20の中間位置よりも、容器20の底面側に配置されている。浸水部80が容器20の底面21側に配置されていることにより、液体Liのより水深側から泡Gaを発生させることができる。これにより、広範囲に亘って液体Liを攪拌することができる。結果、対象物Obが浸漬される液体Liの温度を更に均一にできる、温度調整装置10を提供することができる。
【0102】
加えて、浸水部80が容器20の底面21側に配置されることにより、液体Li中により多くの対象物Obを浸漬することができるようになる。即ち、大量の対象物Obの凍結及び/又は解凍を、少ない台数の温度調整装置10で処理することができる。結果、より生産性の高い温度調整装置10を提供することができる。
【0103】
図1及び
図3(a)を参照する。泡発生部60から液体Li中に送り込まれる気体Gaの量は調整可能である。例えば、浸漬される対象物Obの強度が弱い場合、発生する泡の量を調整して、対象物Obに加わる負荷を軽減することができる。例えば、浸漬される対象物Obの強度が強い場合、発生する泡の量を調整して、より液体Liを攪拌することができる。即ち、容器20の大きさ、貯留される液体Liの量、浸漬される対象物Obの種類、及び、浸漬される対象物Obの量等に応じて、発生する泡Gaの量の調整ができる温度調整装置10を提供することができる。
【0104】
図5及び
図6を参照する。対象物Obへの温度処理の方法は、液体Li中に、気体を送り込むことにより泡Gaを発生させるステップ(液温調整ステップ103、113)を有している。これにより、液体Liは、冷媒が供給され温度変化すると共に、容器20内において攪拌される。これにより、液体Liの温度は、より均一になる。結果、対象物Obを、任意の箇所において、温度がより均一な液体Liに浸漬することができる。即ち、浸漬される箇所が異なることによって生じる、対象物Obへの温度による処理条件の異なりを抑制することができる。
【0105】
液体Liは、塩水である。液体Liが塩水であることにより、例えば、対象物Obが浸漬される液体Liを海水の成分と近いものとすることができる。これにより、例えば、海産物等の対象物Obを直接液体Liに浸漬することができる。
【0106】
温度処理の方法では、冷媒を用いて、液体の温度-51℃~-5℃に保つ。これにより、対象物の浸漬後においても液体Liの温度が-51℃~-5℃に保たれ、浸漬した対象物Obを早く凍結することができる。
【0107】
浸漬される対象物Obは、食品である。これにより、食品を凍結させたり、凍結した食品を解凍させたりすることができる。結果、鮮度(保存状態)が保たれた食品を各地に搬送することができる。
図7を参照する。泡Gaの径は、0.1mmよりも大きい。これにより、液体Liに占める泡Gaの割合が大きくなる。結果、貯留された液体Liをより攪拌することができる。
【0108】
図5を参照する。冷凍物製造方法100は、上記にいう対象物Ob(
図1参照)への温度処理の方法を用いて冷凍物を製造する。これにより、任意の箇所において、温度がより均一な液体Liに対象物Obを浸漬させ、冷凍物を製造することができる。
【0109】
[第1変形例]
図8(a)を参照する。
図8(a)には、第1変形例における導入部63A及び浸水部80Aが示されている。第1変形例における導入部63Aは、第1実施形態の導入部63(
図4参照)との関係で、全体の形状が異なっている。第1変形例における浸水部80Aは、第1実施形態の浸水部80(
図4参照)との関係で、形状及び接続位置が異なっている。その他の基本的な構造については、第1実施形態における温度調整装置10と共通する。第1実施形態と共通する部分については、符号を流用すると共に詳細な説明を省略する。
【0110】
(導入部)
図3(a)を併せて参照する。
図8(a)に示す導入部63A(導入部63Aの全体の形状)は、略L字形状を呈している。
図8(a)に示す例において、導入部63Aは、一端(上端)が第2接続部75に接続され下方に向かって延びている第1部位64Aと、この第1部位64Aの他端(下端)側に位置すると共に第1部位64Aと一体的に形成された第2部位65Aと、を有している。更に、導入部63Aには、第1部位64A及び第2部位65Aに沿って延び、本体部70から放出された気体(空気)が通る導入部通路63cが形成されている。尚、第1部い64Aと第2部位65Aとは、連続している。
【0111】
図8(a)に示す第1部位64Aは、第2接続部75から容器20の壁部22に沿って延びている。
図8(a)に示す第2部位65Aは、容器20の底部21に沿って左右方向に延びている。第2部位65Aの左側の端部は、第1部位64Aの下端の近傍付近における部位と繋がっている。
【0112】
第1部位64Aは、第1部位64Aが延びる方向に垂直な断面において、例えば、円形の枠形状を呈していてもよいし、楕円の枠形状を呈していてもよいし、矩形の枠形状を呈していてもよいし、三角の枠形状を呈していてもよい。第2部位65Aが延びる方向に垂直な第2部位65Aにおける断面の形状は、第1部位64Aが延びる方向に垂直な第1部位64Aにおける断面の形状と、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0113】
更に、
図8(a)に示す第2部位65Aには、複数の浸水部80B、80B、80B(
図9では3つ)を接続可能な、被連結部63Abが複数形成されている。これらの被連結部63Abは、例えば、第2部位65Aの外表面に開口する雌ねじ穴である。
【0114】
(浸水部)
図8(a)に示す第2部位65Aには、複数の浸水部80B、80B、80Bが接続されている。
図8に示す浸水部80Aは、下部から上部に向かって外径が大きくなっている。導入部63Bに接続される浸水部80の数は、任意である。導入部63Bに接続される浸水部80の数は、1つであってもよいし、2つであってもよいし、4つ以上であってもよい。
【0115】
図8(a)に示す例にいおて、浸水部80Aは、導入部63Aから導入される気体Gaを外部に放出する浸水部主部81Aと、この浸水部主部81Aから導入部63Aに向かって突出し導入部63Aに螺合されている浸水部連結部82Aと、を有している。
【0116】
図8(a)及び
図8(b)を参照する。略箱形状を呈する浸水部主部81Aには、導入部63Aの下端面に開口し、この開口から浸水部主部81Aの内部まで延びている浸水部通路83Aが形成されている。
図8(b)に示す浸水部通路83Aは、導入部63Aの開口から上方に向かって内径が大きくなっている。
【0117】
図8(a)に示す浸水部主部81Aには、浸水部主部81Aの外表面から浸水部通路83Aまでを貫通する貫通穴84Aが複数あけられている。浸水部主部81Aにあけられた複数の貫通穴は、それぞれ浸水部通路83Aを流れる空気を浸水部80Aの外部に放出可能な穴である。尚、貫通穴84Aは、それぞれ径の大きさが同一であってもよいし、それぞれ径の大きさが異なっていてもよい。更には、
図8(a)に示す浸水部80Aのそれぞれは、互いに浸水部主部81Aにあけられた貫通穴84Aの径が異なっていてもよい。貫通穴84Aの径の大きさは、任意に設定することができる。
【0118】
[第2変形例]
図9を参照する。
図9には、第2変形例における本体部70B、導入部63B及び浸水部80Bが示されている。第2変形例では、第1接続部74B、第2接続部75B、導入部63B及び浸水部80Bがそれぞれ2つ設けられている。また、2つの浸水部80B、80Bには、それぞれ径が異なる貫通穴84B、84Bがあけられている。その他の基本的な構造については、第1実施形態における温度調整装置10と共通する。第1実施形態と共通する部分については、符号を流用すると共に詳細な説明を省略する。
【0119】
(泡発生部)
図3(a)を併せて参照する。泡発生部60Bは、気体を放出する本体部70Bと、この本体部70Bに接続され本体部70Bから放出された空気が内部を流れる複数(2つ)の導入部63B、63Bと、これら複数(2つ)の導入部63B、63Bを通った空気が内部を流れると共に少なくとも一部が液体Li中に浸水している複数(2つ)の浸水部80B、80Bと、を有している。
【0120】
(本体部)
図9に示す例において、本体部70Bは、本体部ケース71Bと、この本体部ケース71Bに収納され本体部ケース71Bから空気を外部に送り出すポンプ72Bと、このポンプ72Bから送り出される空気の量を調整する気体調整部73Bと、本体部ケース71Bに接続されポンプ72Bが送り出した空気が流れる複数(2つ)の第1接続部74B、74Bと、これら第1接続部74B、74Bに接続された複数(2つ)の第2接続部75B、75Bと、を有している。
【0121】
図9に示す例において、本体部ケース71Bには、第1開口71Baから導入された空気が通る複数(2つ)の第2開口71Bb、71Bbがあけられている。これら2つの第2開口71Bb、71Bbには、それぞれ第1接続部74B、74Bが接続されている。これにより、ポンプ72Bから送り出された空気は、第2開口71Bb、71Bbを通り第1接続部74B、74B内に流れる。
【0122】
気体調整部73Bは、例えば、ポンプ72Bから送り出され、第1接続部74B、74Bのそれぞれに流れる空気の量を調整する。例えば、気体調整部73Bは、一方の第1接続部74B内のみに空気が流れるようポンプ72Bから送り出される空気の量を調整することもできる。1つの態様として、気体調整部73Bには2つのインバータが含まれており、それぞれのインバータを介して、それぞれの第1接続部74B、74Bに流れる空気の量が調整される。
【0123】
(導入部)
2つの導入部63B、63Bは、それぞれ第2接続部75B、75Bに脱着可能な脱着部63a、63a(
図3参照)を有している。それぞれの脱着部63a、63aは、容器20(液体Li)の外部に配置されている。脱着部63aは、例えば、導入部63Bの端部に形成されたねじであり、第2接続部75Bに螺合されている。
【0124】
(浸水部)
図8に示す泡発生部60Bは、2つの導入部63B、63Bのそれぞれに接続された2つの浸水部80B、80Bを有している。これらの浸水部80B、80Bには、互いに穴径が異なる貫通穴84B、84Bがあけられている。一方の浸水部80Bにあけられた貫通穴84Bの穴径は、他方の浸水部80Bにあけられた貫通穴84Bの穴径よりも大きい。一方の貫通穴84の穴径をAとし、他方の貫通穴84の穴径をBとした場合、A>Bとなっている。これにより、例えば、2つの浸水部80B、80Bの間において、気体を放出する浸水部80Bの切り替えを行うことで、発生する泡の径を変えることができる。具体的には、穴径が大きな貫通穴84Bがあけられた浸水部80Bから気体が放出されるよう切り替えると、径が大きな泡を発生させることができる。一方、径が小さな貫通穴84Bがあけられた浸水部80Bから気体が放出されるよう切り替えると、径が小さな泡を発生させることができる。これにより、液体Liに浸漬される対象物Obが変化した場合でも、浸水部80Bの交換が不要となり、生産性を向上させることができる。
【0125】
隣り合う2つの大きな貫通穴84B、84B間の距離をL2とし、隣り合う2つの小さな貫通穴84B、84B間の距離をL3とした場合、L2とL3との関係は、L2=L3となっていてもよいし、L2>L3となっていてもよいし、L2<L3となっていてもよい。
【0126】
尚、
図9においては、2つの浸水部80B、80Bが1つの泡発生部60Bに設けられている例について説明した。しかしながら、1つの泡発生部60Bに設けられる浸水部80Bの数は、3つ以上であってもよい。この場合には、浸水部80Bの数に応じて、第1接続部74B、第2接続部75B及び導入部63B等の数も増やすことができる。例えば、気体調整部73Bが含むインバータの数についても同様である。
【0127】
[第2実施形態]
図10を参照する。
図10には、第2実施形態における温度調整装置10Cが示されている。第2実施形態における温度調整装置10Cでは、貯留される液体Liの容器20Cの材質、形状等が異なっている。その他の基本的な構造については、第1実施形態における温度調整装置10と共通する。第1実施形態と共通する部分については、符号を流用すると共に詳細な説明を省略する。
【0128】
(温度調整装置)
図1及び
図10を参照する。温度調整装置10Cは、液体Liが貯留される容器20Cと、この容器20Cに接続されチラー30から送出された冷媒を容器20Cに供給する供給部11Cと、を含んでいる。
【0129】
(容器)
図10を参照する。
図10に示す例において、容器20Cは、底部21と、この底部21から上方に延びる壁部22と、この壁部22の外表面から外方に向かって突出する突出部24Cと、これら底部21、壁部22及び突出部24Cの外表面を覆っているカバー部25Cと、を有している。
【0130】
底部21、壁部22及び突出部24Cは、それぞれ伝熱性の高い材質からなる。伝熱性の高い材質とは、例えば、金属である。金属としては、例えば、アルミニウム、鉄、ステンレス、銅、又はこれらを含む合金等が挙げられる。
【0131】
突出部24Cは、例えば、壁部22の外表面から外方に向かって突出している。突出部24Cの内部には、壁部22の外表面を周方向に沿って、らせん状に延びる容器内流路24Caが形成されている。但し、その他の態様において、容器内流路24Caは、壁部22の外表面を周方向に沿って、渦巻き状に延びていてもよいし、ミアンダ状に延びていてもよい。又は、これらの組み合わせによって延びていてもよい。容器内流路24Caは、容器内流路24Caが延びる方向に垂直な容器20Cの断面において、例えば、円形状を呈していてもよいし、楕円形状を呈していてもよいし、矩形状を呈していてもよいし、三角形状を呈していてもよい。
【0132】
カバー部25Cは、伝熱性の低い材質からなる。伝熱性の低い材質としては、例えば、セラミック及び発泡プラスチック(発泡スチロール)等を挙げることができる。カバー部25Cは、容器20C内に貯留された液体Liと外気との間で熱交換がされることを抑制する。
【0133】
(供給部)
図1を併せて参照する。供給部11Cは、冷媒が流れる容器内流路24Caにおける、入り口及び出口に接続されている。これにより、チラー30から送出された冷媒は、供給部11Cを介して容器内流路24Caに導入され、再びチラー30に戻ることができる。
【0134】
尚、本発明における、温度調整装置、対象物への温度処理の方法、及び、冷凍物製造方法は、上記に述べた実施形態及び変形例に限定されない。以下、温度調整装置、対象物への温度処理の方法、及び、冷凍物製造方法における、形態が変形された例を幾つか紹介する。
【0135】
例えば、実施形態においては、導入部及び浸水部は、それぞれが別部品であるとして説明した。しかしながら、導入部及び浸水部は、それぞれが連続すると共に一体的に形成されており、互いに分離できない一体品であってもよい。
【0136】
例えば、第1実施形態においては、制御部がチラー(チラーケース)の外部に配置されている例をもって本発明の説明をした。しかしながら、本発明における、制御部は、チラーの内部に配置されていてもよい。尚、制御部がチラーの内部に配置されている場合、制御部13及びサーモスタットは、それぞれが一体的に形成され、互いを区別できない状態であってもよい。
【0137】
例えば、実施形態においては、液体は、泡発生部から発生する泡のみによって攪拌される例を説明した。しかしながら、液体は、泡発生部から発生する泡、及び、プロペラ等を含む攪拌装置の併用によって攪拌されてもよい。更に、実施形態においては、液体は、貯留部に貯留された状態で冷却される例について説明した。しかしながら、液体は、貯留部以外の部位で冷却されてもよい。
【0138】
例えば、第1実施形態においては、液体に浸漬される対象物が食品である例をもって本発明の説明をした。しかしながら、本発明における、液体に浸漬される対象物は、食品に限定されない。例えば、食品以外の対象物としては、人体から取り出した細胞、又は、細菌類等を挙げることができる。
【0139】
また、チラーの構造は、実施形態に示した構造に限定されない。例えば、チラーは、主要な構成な構成が圧縮機、凝縮器及び膨張弁である。このため、チラー30に含まれる、圧縮機、凝縮器及び膨張弁以外の部位については、配置を変更することもできるし、適宜省略することもできる。更には、チラーを構成する要素に新たな部品を追加することもできる。
【0140】
更に、チラーは、例えば、圧縮機、凝縮器及び膨張弁を通過した冷媒(一次冷媒)によって、他の冷媒(二次冷媒)を冷却し、この二次冷媒を容器に供給してもよい。上記二次冷媒は、例えば、一次冷媒と同一のものであってもよいし、一次冷媒と異なるもの(例えば、冷却水)であってもよい。
【符号の説明】
【0141】
10、10A、10B、10C…温度調整装置
30…チラー
60、60A、60B…泡発生部
63、63C…導入部
63a…脱着部
70、70C…本体部
80、80A、80B…浸水部
84、84A、84B…貫通穴
100…冷凍物製造方法
102…冷媒供給ステップ
103…液温調整ステップ
104…対象物凍結ステップ
112…冷媒供給ステップ
113…液温調整ステップ
114…対象物解凍ステップ
Ga…気体(泡)
Li…液体
Ob…対象物