(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-08
(45)【発行日】2023-05-16
(54)【発明の名称】重要物管理装置、重要物管理システムおよび重要物管理方法
(51)【国際特許分類】
E05B 19/00 20060101AFI20230509BHJP
【FI】
E05B19/00 E
(21)【出願番号】P 2019222146
(22)【出願日】2019-12-09
【審査請求日】2022-06-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000116079
【氏名又は名称】ローレルバンクマシン株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】500267170
【氏名又は名称】ローレル機械株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】500265501
【氏名又は名称】ローレル精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 夕子
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-129655(JP,A)
【文献】特開2018-76641(JP,A)
【文献】特開2019-138027(JP,A)
【文献】特開2007-332650(JP,A)
【文献】特開2003-303286(JP,A)
【文献】特開2017-227010(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00-85/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作者の認証と管理者による承認とが行われた場合に、当該装置にかかる操作のうちの特定の操作を可能にする重要物管理装置であって、
当該装置にかかる操作の入力を受け入れる操作部と、
前記操作部において管理者により入力された、前記特定の操作を事前に承認することを示す事前承認情報を記憶部に記録する事前承認設定部と、
前記操作部において操作者から前記特定の操作が入力された場合に、前記記憶部に記録された事前承認情報に基づいて事前承認が有効であるか否かを判定し、当該事前承認が有効であると判定した場合は、管理者による新たな承認無しで前記特定の操作を可能にするように制御する制御部と、
を備える重要物管理装置。
【請求項2】
前記操作部において管理者により入力された、前記事前承認を解除することを示す事前承認解除情報を記憶部に記録する事前承認解除部を備え、
前記制御部は、前記操作部において操作者から前記特定の操作が入力された場合に、前記記憶部に記録された前記事前承認解除情報に基づいて事前承認が有効であるか否かを判定し、当該事前承認が有効でないと判定した場合は、管理者による新たな承認が得られた場合に前記特定の操作を可能にするように制御する請求項1に記載の重要物管理装置。
【請求項3】
前記事前承認設定部は、前記事前承認が有効となる条件である有効条件を取得して前記記憶部に記録し、
前記制御部は、前記有効条件に照らし合わせて、前記記憶部が記憶している前記事前承認情報が有効であるか否かの判定を行う
請求項1又は請求項2に記載の重要物管理装置。
【請求項4】
前記事前承認は、複数の前記管理者によってなされる一の承認を含む
請求項1から請求項3の何れか1項に記載の重要物管理装置。
【請求項5】
操作者の認証と管理者による承認とが行われた場合に、当該装置にかかる操作のうちの特定の操作を可能にする重要物管理装置であって、当該装置にかかる操作の入力を受け入れる操作部と、前記操作部において管理者により入力された、前記特定の操作を事前に承認することを示す事前承認情報を記憶部に記録する事前承認設定部と、前記操作部において操作者から前記特定の操作が入力された場合に、前記記憶部に記録された事前承認情報に基づいて事前承認が有効であるか否かを判定し、当該事前承認が有効であると判定した場合は、管理者による新たな承認無しで前記特定の操作を可能にするように制御する制御部と、を備える重要物管理装置と、
前記事前承認を受け入れる端末である役席端末と、
を備える重要物管理システム。
【請求項6】
操作者の認証と管理者による承認とが行われた場合に、当該装置にかかる操作のうちの特定の操作を可能にする重要物管理装置において、
当該重要物管理装置にかかる操作の入力を受け入れるステップと、
前記重要物管理装置において管理者により入力された、前記特定の操作を事前に承認することを示す事前承認情報を記憶部に記録するステップと、
前記重要物管理装置において操作者から前記特定の操作が入力された場合に、前記記憶部に記録された事前承認情報に基づいて事前承認が有効であるか否かを判定し、当該事前承認が有効であると判定した場合は、管理者による新たな承認無しで前記特定の操作を可能にするように制御するステップと、
を有する重要物管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重要物管理装置、重要物管理システムおよび重要物管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、金融機関の係員(オペレータ)が現金処理機において取引を行う際に、現金処理機と接続する役席端末から当該現金処理機の現金の処理を承認する旨の情報を受信して、現金の処理を行う技術が開示されている。
【0003】
特許文献2には、装置本体に鍵を保持する複数の鍵ホルダを着脱可能に管理する鍵管理装置において、選択された鍵ホルダの取り出しに操作者以外の管理者による承認操作が必要な場合に、管理者承認を促すメッセージを表示部に表示させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-303286号公報
【文献】特開2017-227010号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、現金や鍵等の重要物の収納又は取り出しを管理する重要物管理装置において、当該重要物の収納又は取り出しには、操作する係員の認証だけでなく、管理者承認が必要な場合がある。このように管理者承認が必要となる度に、管理者は承認操作を行う必要があった。
【0006】
本発明の目的は、管理者承認が必要な特定の操作であっても、都度管理者が承認する手間を軽減することができる重要物管理装置、重要物管理システムおよび重要物管理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る重要物管理装置は、操作者の認証と管理者による承認とが行われた場合に、当該装置にかかる操作のうちの特定の操作を可能にする重要物管理装置であって、当該装置にかかる操作の入力を受け入れる操作部と、操作部において管理者により入力された、特定の操作を事前に承認することを示す事前承認情報を記憶部に記録する事前承認設定部と、操作部において操作者から特定の操作が入力された場合に、記憶部に記録された事前承認情報に基づいて事前承認が有効であるか否かを判定し、当該事前承認が有効であると判定した場合は、管理者による新たな承認無しで特定の操作を可能にするように制御する制御部と、を備える。
【0008】
本発明に係る重要物管理システムは、操作者の認証と管理者による承認とが行われた場合に、当該装置にかかる操作のうちの特定の操作を可能にする重要物管理装置であって、当該装置にかかる操作の入力を受け入れる操作部と、操作部において管理者により入力された、特定の操作を事前に承認することを示す事前承認情報を記憶部に記録する事前承認設定部と、操作部において操作者から特定の操作が入力された場合に、記憶部に記録された事前承認情報に基づいて事前承認が有効であるか否かを判定し、当該事前承認が有効であると判定した場合は、管理者による新たな承認無しで特定の操作を可能にするように制御する制御部を備える重要物管理装置と、事前承認を受け入れる端末である役席端末と、を備える。
【0009】
本発明に係る重要物管理方法は、操作者の認証と管理者による承認とが行われた場合に、当該装置にかかる操作のうちの特定の操作を可能にする重要物管理装置において、当該装置にかかる操作の入力を受け入れるステップと、前記重要物管理装置において管理者により入力された、特定の操作を事前に承認することを示す事前承認情報を記憶部に記録するステップと、前記重要物管理装置において操作者から特定の操作が入力された場合に、記憶部に記録された事前承認情報に基づいて事前承認が有効であるか否かを判定し、当該事前承認が有効であると判定した場合は、管理者による新たな承認無しで特定の操作を可能にするように制御するステップと、を有する。
【発明の効果】
【0010】
上記態様のうち少なくとも1つの態様によれば、事前承認を行っておくことで、都度の承認が無くても、管理者承認が必要な特定の操作を可能にする。これにより、重要物管理装置、重要物管理システムおよび重要物管理方法は、管理者による承認操作の手間を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】一実施形態に係る重要物管理装置の構成を示す概略ブロック図である。
【
図2】一実施形態に係る事前承認の動作を示すフローチャートである。
【
図3】一実施形態に係る事前承認の動作に係る画面の例である。
【
図4】一実施形態に係る事前承認の解除の動作を示すフローチャートである。
【
図5】一実施形態に係る事前承認の解除の動作に係る画面の例である。
【
図6】一実施形態に係る重要物管理装置の操作者の認証に係る動作の例である。
【
図7】一実施形態に係る重要物管理装置の操作者の認証に係る画面の例である。
【
図8】一実施形態に係る重要物管理装置を示す図である。
【
図9】一実施形態に係る重要物管理装置の操作者の認証に係る画面の例である。
【
図10】一実施形態に係る重要物管理装置の操作者の認証に係る画面の例である。
【
図11】一実施形態に係る重要物管理システムの構成を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
〈第1の実施形態〉
《重要物管理装置の構成》
以下、図面を参照しながら実施形態について詳しく説明する。
図1は、第1の実施形態に係る重要物管理装置100の構成を示す概略ブロック図である。
【0013】
重要物管理装置100は、操作者の認証、若しくは操作者の認証及び管理者承認により、重要物の収納又は取り出し等の重要物の管理に関する操作を可能にする装置である。重要物管理装置100の例としては、金融機関の店舗で用いられる、貨幣処理機、現金管理装置、鍵管理機、カード管理機、釣銭ロッカーおよび重要物保管庫などが挙げられる。
【0014】
重要物の例としては、紙幣、硬貨等の貨幣類や手形・小切手等の有価証券類、鍵、カード、通帳、印鑑などが挙げられる。第1の実施形態に係る重要物管理装置100は、貨幣管理装置(現金バス)であり、重要物として、貨幣類や有価証券類を管理する。
【0015】
第1の実施形態に係る重要物管理装置100は、所定枚数の紙幣を紙帯で帯封した帯封紙幣(小束)や所定枚数の硬貨をシートで包装した包装硬貨(棒金)等の現金を収納する複数段の収納庫と、手形・小切手等の有価証券類等を収納可能なフリー収納庫とを備える。各収納庫は、本体に対して引き出し可能に構成され、収納庫の引き出しを禁止するためのロック機構が設けられる。重要物管理装置100は、操作者の認証を行い、収納又は取り出しを行う小束・棒金の金種および数量等を指定した取引内容を入力することにより、対応する収納庫への小束・棒金の収納および取り出しを可能にする。すなわち、重要物管理装置100は、操作者の認証結果と取引内容に基づいて、いずれの収納庫のロック機構のロックを解除するか否かを決定する。また、各収納庫は、予めいずれの金種の小束または棒金が収納されるか指定金種が決められており、収納庫を閉じると収納庫をロックし、センサにより収納庫内に収納されている指定金種の小束または棒金の数量を計数する。このセンサは、指定金種以外の異金種の小束または棒金の収納を検知したり、小束または棒金のセット不良を検知したりすることができる。なお、異金種検知やセット不良等が発生した場合は、その収納庫のロックを再度解除し、異常がある小束または棒金を正常に収納し直して収納庫を閉じることにより再計数を行う。
【0016】
重要物管理装置100への現金の収納又は取り出し等の操作には、操作者の認証だけでなく、管理者の承認が必要な場合がある。例えば、取り出しする現金の額が一定額以上である場合等である。
【0017】
重要物管理装置100は、記憶部101と、操作部110と、認証部120と、事前承認設定部140と、事前承認解除部150と、制御部160と、表示部170と、を備える。
【0018】
記憶部101は、重要物管理装置100の操作者情報として、操作者ID(オペレータ番号)、操作者の名称、操作者のランク、操作者を認証するための認証データ、取り出し限度額を記憶する。認証データの例としては、操作者ID(オペレータ番号)、任意の暗証番号、操作者に支給されるオペレータカード(磁気カードまたはICカード等)の識別情報、および操作者の生体情報(指紋、指静脈等)などが挙げられる。操作者のランクは、例えば、役席、窓口、渉外等がある。ここでは、ランクが役席である管理者権限を持つ操作者を管理者と呼ぶ。取り出し限度額は、例えば、その操作者が一回の操作で取り出し可能な上限金額が記憶される。ランク毎に取り出し限度額を設定するようにしても良い。
【0019】
また、記憶部101は、自装置にかかる操作履歴を電子ジャーナルに記憶する。操作履歴は、例えば、操作日時、操作者ID、および操作内容を示す操作情報を含む。現金の収納または取り出しを行った場合は、操作情報として、例えば、操作者識別情報と、収納または取り出しにかかる取引種別(入金、出金、両替等)、金種および数量等を含む取引内容が記録される。ここで、管理者による承認が必要な特定の操作が行われた場合は、操作履歴には、承認時刻と、承認者識別情報として、承認操作を行った管理者の操作者ID(オペレータ番号)および操作者の名称が含まれる。また、管理者による承認が必要な特定の操作とは、収納庫を閉じた際の計数にかかる異金種検知やセット不良等の際の再計数操作、装置異常(センサ異常等)が発生した場合にエラー復旧や強制終了させる操作、およびフリー収納庫をオープンする操作等を含む。
【0020】
また、記憶部101は、事前承認に関連付けられた情報である事前承認情報を記憶する。事前承認とは、操作者が管理者による承認操作が必要な特定の操作を行う前に、予め当該操作について1又は複数の管理者に行われる承認をいう。事前承認情報には、例えば、事前承認者識別情報と、事前承認時刻と、有効条件、解除フラグ、解除時刻とが関連付けられている。なお、事前承認情報は有効条件を含めなくても良い。この場合は、事前承認情報は、有効条件を満たすか否かに関わらず事前承認が解除されるまで有効である。
【0021】
事前承認者識別情報とは、例えば、事前承認、または事前承認の解除を行う管理者の操作者ID(オペレータ番号)および操作者の名称である。事前承認時刻は、事前承認に関連付けられた入力がされた時刻である。解除時刻は、事前承認の解除に関連付けられた入力がされた時刻である。有効条件は、事前承認を有効とする時間帯、重要物管理装置100の状態、操作者による収納又は取り出しの回数、操作者の識別情報のうち、少なくとも何れか1つを含む。なお、有効条件には、事前承認を有効とするために必要な管理者の人数が関連付けられても良い。
【0022】
操作部110は、重要物管理装置100の操作者から、操作者を一意に特定するための認証データおよび重要物管理装置100に対する操作内容にかかる操作情報の入力を受け入れる。操作部110は、タッチパネルや、テンキーなどから、データの入力を受け入れる。
【0023】
認証部120は、カードリーダや生体認証ユニットで構成され、操作者からの入力を受け入れて、当該操作者の認証を行う。具体的には、操作部110から入力された操作者の認証データと、記憶部101が記憶している当該操作者の認証データを照らし合わせて、操作者の認証を行う。カードリーダは、磁気カードリーダまたはICカードリーダ等であり、磁気カードによるオペレータカードを磁気カードリーダに挿入、またはICカードによるオペレータカードをICカードリーダにかざすことにより、オペレータカードに記録された情報を読み取り可能である。以下、説明を簡単にするために、オペレータカードは磁気カードであり、カードリーダは磁気カードリーダであるものとする。
【0024】
事前承認設定部140は、事前承認と、事前承認者識別情報と、事前承認時刻と、事前承認有効条件と、を取得する。取得の後に事前承認設定部140は、事前承認情報として、承認者識別情報と、承認時刻と、有効条件とを関連付けたテーブルを記憶部101の電子ジャーナルに記録する。
【0025】
事前承認解除部150は、既に設定された事前承認の解除を取得する。事前承認解除部150による事前承認の取得の後に、事前承認設定部140は、記憶部101が記憶している電子ジャーナルのうち、当該事前承認の解除に係る電子ジャーナルに解除フラグと、解除時刻とを記録する。
【0026】
制御部160は、管理者による承認が必要であると判定した場合に、認証部120が行った認証の内容と記憶部101に記録された有効条件とを照らし合わせて、記憶部101に記憶された事前承認情報が有効であるか否かの判定を行う。上記認証の内容の例としては、認証が行われた時刻、収納又は取り出しの金額、認証が行われた時刻における重要物管理装置100の状態などが挙げられる。具体的には、記憶部101に記録されている複数の事前承認情報のうち、電子ジャーナル上で解除フラグが記録されておらず、認証の内容が、当該事前承認情報に関連付けられた有効条件が満たされているものが存在するか否かを判定する。
【0027】
制御部160は、上記判定の内容に基づいて、現金の収納又は取り出しの可否を制御する。すなわち、制御部160は、認証部120からの操作者の認証を受け入れて、事前承認情報が有効であるか否かの判定結果に基づいて、収納庫の電子ロック機構を制御する。具体的には、制御部160は、現金の収納又は取り出しに管理者の承認が不要であると判定された場合は、認証部120からの操作者の認証を受け入れて、現金の収納又は取り出しを可能にする。また、制御部160は、現金の収納又は取り出しに管理者の承認が必要であると判定された場合には、認証部120からの操作者の認証を受け入れ、且つ管理者の承認又は事前承認情報を受け入れて、現金の収納又は取り出しを可能に制御する。制御部160は、現金の収納又は取り出しに管理者の承認が必要であると判定された場合であっても、事前承認が設定されている場合は、操作者の認証を受け入れて現金の収納又は取り出しを可能に制御する。すなわち、事前承認が設定されている場合は、制御部160は、管理者の新たな承認が無くても操作者の認証を受け入れて、現金の収納又は取り出しを可能に制御する。
【0028】
表示部170は、重要物管理装置100の操作のためのユーザインタフェースである画面を操作者又は管理者に表示する。表示部170の例としては、ディスプレイ装置が挙げられる。
【0029】
《事前承認の動作》
以下、事前承認の動作について説明する。
図2は、事前承認の動作を示すフローチャートである。
図3は、事前承認の動作に係る画面の例である。
【0030】
管理者は、重要物管理装置100の表示部170に表示されたメインメニュー画面から「ユーザー設定」を選択する。これにより、表示部170は、
図3(A)に示すユーザー設定の画面を表示する(ステップS1)。
【0031】
図3(A)のユーザー設定の画面には、「12役席事前認証」メニューが表示される。重要物管理装置100は、管理者から、ユーザー設定画面に表示された「役席事前認証」が選択されると、表示部170は、
図3(B)に示す役席事前認証画面を表示する(ステップS2)。
【0032】
ステップS2で表示された画面において、管理者によってオペレータ番号が入力された場合又はオペレータカードが挿入されて、操作部110がオペレータ番号又はオペレータカードに記録された情報を受け入れると、事前承認設定部140は、入力されたオペレータ番号又はオペレータカードに記録された情報を、記憶部101が記憶しているオペレータ番号又はオペレータカード情報に照らし合わせて、当該入力に係るオペレータが管理者であるか否かを判定する。事前承認設定部140は、管理者であると判定した場合、当該入力又は挿入がされた時刻を承認時刻として取得する。また、事前承認設定部140は、操作部110が受け入れたオペレータ番号又はオペレータカードに記録された情報を、承認者識別情報として取得する(ステップS3)。
【0033】
上記承認操作が複数の管理者によるものと設定されている場合は、ステップS3の後、表示部170は、再度「役席事前承認」画面である
図3(B)の画面を表示する。この場合は、全ての当該複数の管理者によりオペレータ番号が入力された場合又はオペレータカードが挿入された場合、操作部110がオペレータ番号及びオペレータカードに記録された情報を受け入れて、事前承認設定部140は、オペレータ番号及びオペレータカードに記録された情報について、上記同様に判定を行う。その後、事前承認設定部140は、全ての入力に係るオペレータが管理者であると判定された場合には、当該最後の入力又は挿入がされた時刻を事前承認に関連付けられた時刻として承認時刻として取得する。また、事前承認設定部140は、上記において操作部110が受け入れたオペレータ番号及びオペレータカードに記録された情報を、複数の管理者の識別情報を承認者識別情報として取得する。
【0034】
事前承認設定部140は、ステップS3で管理者であると判定することによって取得した事前承認と、承認者識別情報と、承認時刻とを関連付けて事前承認情報として記憶部101の電子ジャーナルに記録する(ステップS4)。
【0035】
ステップS4の後、
図3(B)の画面上にある「事前承認条件設定画面へ」のアイコンが操作者により選択されると、表示部170は、
図3(C)に示す事前承認条件設定画面を管理者に表示する(ステップS5)。
【0036】
ステップS5で表示された画面への管理者の入力をもって、事前承認設定部140が、ステップS3の事前承認に関連付ける有効条件の入力を取得する(ステップS6)。例えば、事前承認条件設定画面には、有効条件(回数、期間、強制解除など)の選択肢が表示される。有効条件の選択肢には、事前に記憶部101に記録している内容を表示して、複数選択可能とする。選択肢としては、例えば、指定時間(有効開始時刻~有効終了時刻)の間、事前承認を有効にする有効条件、指定の取引回数まで事前承認を有効とする有効条件、操作者が変更されるまで(すなわち、同一操作者により複数の取引を連続して行う連続取引を想定して異なるオペレータカードが挿入されるまで)は事前承認を有効とする有効条件などが挙げられる。また、締上処理などの特定の操作が行われるまでは有効としてもよい。また、操作者ごとに異なる有効条件を設定するようにしてもよい。これにより、操作者Aについては事前承認を有効とし、操作者Bについては事前承認を無効とすることができる。
【0037】
事前承認設定部140は、ステップS6で取得した有効条件をステップS4で記憶部101に記録した電子ジャーナルの事前承認情報に記録する(ステップS7)。
【0038】
表示部170は、再び
図3(D)に示すように操作者設定画面を管理者に表示する(ステップS8)。このとき、表示部170は、設定された事前承認の有効条件に基づいて、当該事前承認が有効であるか否かを判定し、有効である場合に、操作者設定画面に、アイコンHを表示する。アイコンHは、管理者により事前承認がなされており、かつ当該事前承認が有効な状態であることを示すものである。なお、他の実施形態では、表示部170は、上記のアイコンHの表示を行わなくても良い。
【0039】
上記の動作により、重要物管理装置100は、管理者から事前承認を取得することができる。これにより、操作者が管理者の承認が必要な場合、上記事前承認を用いることができ、当該承認に係る時間や手間を削減できる。
【0040】
上記の動作の例では、ステップS5からステップS7において、表示部170が有効条件を表示し、事前承認設定部140が有効条件を取得、記録したが、他の実施形態では、これに限られない。例えば、他の実施形態において、重要物管理装置100が有効条件の設定機能を有しない場合、当該ステップS5からステップS7までは行わなくても良い。この場合、
図3(B)の画面における管理者の承認の後、
図3(B)の画面の「実行」のアイコンが選択されることにより、ステップS4と同様に電子ジャーナルに事前承認情報が記録された後に、ステップS8のように
図3(D)の画面が表示される。
【0041】
《事前承認の解除の動作》
以下、事前承認の解除の動作について説明する。
図4は、事前承認の解除の動作を示すフローチャートである。
図5は、事前承認の解除の動作に係る画面の例である。
【0042】
図5(A)の画面のように、重要物管理装置100は、記憶部101が記憶している事前承認情報が有効である場合は、
図5のI部分のようにアイコンHを表示する。この場合、管理者が
図5のJ部分の事前認証解除を選択することで、表示部170は、「役席事前認証解除」画面である
図5(B)の画面を表示する(ステップS11)。
【0043】
ステップS11で表示された画面において、管理者によってオペレータ番号が入力された場合又はオペレータカードが挿入されて操作部110がオペレータ番号又はオペレータカードに記録された情報を受け入れる。その後、事前承認解除部150が当該オペレータ番号又はオペレータカードに記録された情報を記憶部101が記憶している情報に照らし合わせて、当該入力が管理者によるものであると判定した場合、事前承認解除部150は、当該入力又は挿入がされた時刻を解除時刻として取得する。また、事前承認解除部150は、上記において操作部110が受け入れたオペレータ番号又はオペレータカードに記録された情報を、承認者識別情報として取得する(ステップS12)。
【0044】
当該承認操作が複数の管理者によるものと設定されている場合であっても、事前承認の動作の場合と異なり、複数の管理者からの解除は必要とせず、事前承認解除部150は、上記複数の管理者のうち1人による入力をもって、事前承認の解除を取得する。また、事前承認を行った管理者と、当該事前承認の解除を行った管理者が異なっても、事前承認解除部150は、事前承認の解除を取得する。
【0045】
事前承認解除部150は、ステップS12の後に、解除フラグと、承認者識別情報と、解除時刻と、を記憶部101の電子ジャーナルに記録する(ステップS13)。
【0046】
ステップS13により、事前承認の解除は完了すると、表示部170は
図5(C)の画面のように、アイコンの表示と、事前認証解除の表示が無くなった待機画面を表示する(ステップS14)。
【0047】
上記の事前承認の解除の動作の例の以外にも、事前承認は、管理者が明示的に解除する場合のみならず、例えば一定時間間経過した場合や重要物管理装置100の電源がOFFされたときに、自動的に解除されても良い。例えば、事前承認解除部150は、有効条件を満たさなくなった時点で自動承認を自動的に解除するようにしても良い。上記のように自動的に事前承認が解除される場合でも、事前承認解除部150は、記憶部101の電子ジャーナルに、解除フラグと、解除時刻とを記録する。
【0048】
なお、事前承認の解除は、重要物管理装置100のセキュリティを高める作業であるといえる。そのため、緊急時対応として、管理者以外の重要物管理装置100の一般の操作者でも事前承認を解除可能としても良い。緊急時対応としての事前承認の解除を受け付ける場合、事前承認が設定されている機器・機種を問わず、一斉に解除可能としても良い。例えば、重要物管理装置100は、事前承認の解除を取得する場合、緊急時対応の入力を受け入れることにより、重要物管理装置100が設けられているシステム上の全ての重要物管理装置の事前承認を解除しても良い。
【0049】
上記の事前承認の解除の動作により、重要物管理装置100の管理者は、事前承認を解除することができ、重要物管理装置100の事前承認に関わるセキュリティを厳密に管理することができる。
【0050】
《操作者の認証に係る動作》
以下、重要物管理装置100の操作者の認証に係る動作の例を説明する。
図6は、操作者による重要物管理装置100の動作の例を示すフローチャートである。
図7は、操作者による重要物管理装置100の動作に係る画面の例を示す図である。
【0051】
表示部170は、重要物管理装置100の操作者に認証を求める画面を表示する(ステップS21)。事前承認情報が有効である場合は、表示部170は、
図7(E)の画面を表示し、事前承認情報が有効ではない場合又は事前承認情報が存在しない場合は、表示部170は、
図7(A)の画面を表示する。すなわち、表示部170は、事前承認情報が有効である場合に操作者認証画面にアイコンを表示し、事前承認が有効でない場合にアイコンを表示しない。
【0052】
重要物管理装置100の操作者がオペレータ番号及び暗証番号を入力すると、又は、重要物管理装置100の操作者がオペレータカードを挿入すると、操作部110が認証データの入力を受け入れる。認証部120は、操作部110が受け入れた認証データと、記憶部101が記憶している当該操作者の認証データを照らし合わせて、操作者の認証を行う(ステップS23)。認証が完了すると、
図7(H)の画面のようなメインメニュー画面が表示される。
【0053】
図7(H)のメインメニュー画面において、操作者が「3.取出」のアイコンを選択し、操作者が小束棒金の取り出しを選択した場合、表示部170は、操作者が小束棒金の取り出し金額を入力できる取出画面を表示する(ステップS24)。この場合、事前承認が有効である場合は、表示部170は、
図7(F)の画面を表示し、事前承認が有効ではない場合又は事前承認が存在しない場合は、表示部170は、
図7(B)の画面を表示する。
図7(H)のメインメニュー画面において、操作者が「2.受入」アイコンを選択した場合は、表示部170は、現金の収納画面を表示する。
【0054】
ステップS24の取出画面において、操作者が、当該取出金額を入力すると、操作部110が当該取出金額の入力を受け入れる(ステップS25)。例えば、ステップS24の取出画面において操作者が取出金額として「1000000円」を入力した後、「完了」アイコンを選択すると、操作部110が当該「1000000円」の入力を受け入れる。
【0055】
制御部160は、ステップS25で受け入れた取出金額と、記憶部101が記憶している当該操作者の取り出し限度額を照らし合わせて、管理者の承認が必要か否かを判定する(ステップS26)。例えば、制御部160は、ステップS24で受け入れた「1000000円」と、記憶部101が記憶している当該操作者の取り出し限度額を照らし合わせて、管理者の承認が必要か否かを判定する。
【0056】
取出金額が当該操作者の取り出し限度額を超えないため、制御部160が、管理者の承認が必要でないと判定した場合は(ステップS26:NO)、制御部160は、小束棒金の取り出しを可能にするように制御する(ステップS27)。その後、表示部170は、
図7(G)の取出画面を表示する(ステップS28)。
【0057】
他方、取出金額が当該操作者の取り出し限度額を超えるため、制御部160が、管理者の承認が必要であると判定した場合は(ステップS26:YES)、制御部160は、解除フラグが関連付けられていない事前承認情報であって、関連付けられた有効条件が満たされるものが存在するか否かを判定する(ステップS29)。
【0058】
ステップS29において、制御部160が、解除時刻が設定されていない事前承認であって、関連付けられた有効条件が満たされるものが存在すると、判定した場合は(ステップS29:YES)、制御部160は、小束棒金の取り出しを可能にするように制御する(ステップS27)。その後、表示部170は、
図7(G)の取出画面を表示する(ステップS28)。
【0059】
ステップS29において、制御部160が、解除フラグが関連付けられていない事前承認情報が存在しない、又は事前承認情報が当該事前承認情報に有効条件を満たさない事前承認であると、判定した場合は(ステップS29:NO)、表示部170は、管理者の承認を求める「役席認証」画面である
図7(C)の画面を表示する(ステップS30)。
【0060】
管理者がステップS30の画面においてオペレータ番号及び暗証番号を入力し、又はオペレータカードを挿入することにより、重要物管理装置100が管理者の承認を受け入れると(ステップS31)、制御部160は、小束棒金の取り出しを可能にするように制御する(ステップS27)。その後、表示部170は、
図7(G)の取出操作の案内画面(ガイダンス画面)を表示する(ステップS28)。
【0061】
事前承認を受け付けない場合、操作者は、管理者の承認が必要になった場合に管理者を呼び、管理者はその都度対象の装置に出向いて承認を行う必要があった。一方で、上記の動作のうち、事前承認が有効な場合は、管理者の承認が必要な処理であっても、都度管理者が認証する手間を軽減することができる。
【0062】
《作用・効果》
本発明に係る重要物管理装置100は、操作者の認証と管理者による承認とが行われた場合に、当該装置にかかる操作のうちの特定の操作を可能にする重要物管理装置100であって、当該装置にかかる操作の入力を受け入れる操作部110と、操作部110において管理者により入力された、特定の操作を事前に承認することを示す事前承認情報を記憶部101に記録する事前承認設定部140と、操作部において操作者から特定の操作が入力された場合に、記憶部101に記録された事前承認情報に基づいて事前承認が有効であるか否かを判定し、当該事前承認が有効であると判定した場合は、管理者による新たな承認無しで特定の操作を可能にするように制御する制御部160と、を備える。
【0063】
重要物管理装置100は、事前承認を取得して、記録し、当該事前承認により、重要物の入れ出しを可能とする。これにより、重要物管理装置100は、重要物の入れ出しに管理者の承認が必要な場合の、管理者の承認に係る手間を削減することができる。
【0064】
また、重要物管理装置100は、操作部110において管理者により入力された、事前承認を解除することを示す事前承認解除情報を記憶部101に記録する事前承認解除部150を備え、制御部160は、操作部110において操作者から特定の操作が入力された場合に、記憶部101に記録された事前承認解除情報に基づいて事前承認が有効であるか否かを判定し、当該事前承認が有効でないと判定した場合は、管理者による新たな承認が得られた場合に特定の操作を可能にするように制御する。
【0065】
重要物管理装置100は、承認者識別情報と、承認時刻と、解除時刻と、を記憶部101に記録する。これにより、重要物管理装置100の操作者及び管理者は、記憶部101に記録された承認者識別情報と、承認時刻と、解除時刻を確認することができ、重要物管理装置100に係るセキュリティ状況を把握できる。
【0066】
また、重要物管理装置100の事前承認設定部140は、事前承認が有効となる条件である有効条件を取得して記憶部101に記録し、制御部160は、有効条件に照らし合わせて、記憶部101が記憶している事前承認情報が有効であるか否かの判定を行う。
【0067】
重要物管理装置100は、有効条件に基づいて重要物の取り出しを可能とすることができる。これにより、重要物管理装置100は、事前承認により手間を削減しつつ、有効条件により、厳重にセキュリティを管理することができる。
【0068】
また、事前承認は、認証の前の異なる複数の管理者の承認を含む。
【0069】
これにより、重要物管理装置100は、複数の管理者の承認が必要な重要物の入れ出しについても、事前承認を可能とするため、当該事前承認に係る手間を削減することができる。
【0070】
〈第2の実施形態〉
以下、第2の実施形態の重要物管理装置100について説明する。第1の実施形態の重要物管理装置100は、現金管理装置であったが、第2の実施形態の重要物管理装置100は、鍵管理機300である。
図8は、第2の実施形態の重要物管理装置100である鍵管理機300を示す図である。
【0071】
鍵管理機300は、操作者の認証を受けて、鍵が連結されたホルダの取り出しを可能とする装置である。鍵管理機300は、鍵管理機本体310、収納部320、入出力部330を備える。収納部320は、複数のホルダをホルダごとに保持する。収納部320は、開閉可能な前カバー340に覆われる。入出力部330は、収納部320に隣接して設けられる。ディスプレイ装置331とボタン332とカードリーダ333と、を備える。第1の実施形態に係る重要物管理装置100と同じく、第2の実施形態に係る重要物管理装置100である鍵管理機300も、
図1のような構成となる。
【0072】
鍵管理機300への事前承認の動作と、事前承認の解除の動作とは、第1の実施形態に係る重要物管理装置100への事前承認の動作と、事前承認の解除の動作と同様である。
【0073】
《操作者の認証に係る前カバーを開ける動作》
以下、鍵管理機300の操作者の認証に係る前カバー340を開ける動作について説明する。
図10は、鍵管理機の300操作者の認証に係る動作に係る画面の例である。
【0074】
鍵管理機300の前カバー340を開ける操作について、管理者による承認が必要な場合、事前承認情報が有効である場合は、
図9(C)の「SV」の表示のように、待機画面に事前承認のアイコンが表示される。なお、事前承認のアイコンの表示は、行わなくても良い。該当する機器・機種を操作したとき、あるいは、操作者が事前承認を必要とする操作したときのみ、一時的に表示させるようにしても良い。
【0075】
図9(A)、(C)に示すように、操作者が操作部110においてIDコードを入力又はオペレータカードを挿入し、操作者の認証が完了すると、制御部160は、記憶部101が記憶している事前承認情報が有効であるか否かを判定する。
【0076】
図9(B)に示すように、事前承認が解除されている場合は、管理者による承認を求める画面が表示され、管理者の承認が完了しなければ、前カバー340は開かない。操作者は、管理者を呼び、管理者によるIDコードの入力又はオペレータカードの挿入がなされると、
図9の(D)に示すように、前カバー340が開き、操作を続行することができる。
【0077】
図9(D)に示すように、一方、事前承認が有効である場合は、管理者の承認無しで前カバー340が開き、管理者による承認画面が割り込まずに操作者はそのまま処理を続行することができる。
【0078】
《操作者の認証に係るホルダの取り出しの動作》
以下、鍵管理機300の操作者の認証に係るホルダの取り出しの動作について説明する。
図10は、鍵管理機300の操作者の認証に係る動作に係る画面の例である。
【0079】
特定のホルダの取り出しについて、管理者による認証が必要であると設定されているものとする。
図10(C)に示すように、事前承認情報が有効の場合は、待機画面に事前承認のアイコンである「SV」が表示される。
【0080】
操作者が操作部110においてIDコードを入力又はオペレータカードを挿入し、操作者の認証が完了すると、制御部160は、事前承認情報が有効であるか否かを判定する。
【0081】
図10(A)の画面のように事前承認が解除されている場合は、当該操作者がシングル認証で取出し権限を有するホルダ(一般ホルダ)のランプが点滅し、取り出し可能となる。ここで、操作者は、管理者承認が必要なホルダ(承認ホルダ)を取り出す場合は、管理者を呼び、管理者によるIDコードの入力又はオペレータカードの挿入を行う。
図10(B)に示すように、管理者の承認が完了すると、点滅していた一般ホルダのランプは消灯し、取り出し可能な承認ホルダのランプが点滅し、操作者は承認ホルダを取り出すことができる。
【0082】
一方、事前承認情報が有効である場合は、当該操作者がシングル認証で取り出し可能な一般ホルダに加えて、管理者の承認が必要な承認ホルダも点滅し、
図9(B)に示すように取り出し可能になる。このとき、一般ホルダと管理者承認ホルダとを視認可能にするために、ホルダのランプの点滅速度を変えたり、異なる色で点滅させたりしても良い。
【0083】
上記の第2の実施形態に係る重要物管理装置100である鍵管理機300により、第1の実施形態に係る重要物管理装置100と同様の効果を奏するとともに、重要物の取り出し又は収納を管理する各ホルダ(ボックス、保管庫)について一般権限・承認権限を設定可能な重要物管理装置100において、事前承認情報が有効であれば、承認が必要なホルダであっても、都度役席が認証する手間を軽減することができる。また、一般ホルダと承認ホルダとの表示態様を変化させることで、操作者は、いずれのホルダであるかを視認により容易に把握することができる。
【0084】
〈第3の実施形態〉
以下、第3の実施形態の重要物管理システム10について説明する。第3の実施形態の重要物管理システム10が備える重要物管理装置100の構成は、第1の実施形態の重要物管理装置100の構成と同様である。
図11は、重要物管理システム10の構成を示す概略ブロック図である。
【0085】
第3の実施形態の重要物管理システム10は、役席端末200を備えることにより、管理者が役席端末200を用いて事前承認ができ、管理者による承認に係る管理者の手間を削減することができるシステムである。重要物管理システム10は、重要物管理装置100と、役席端末200と、を備える。重要物管理装置100と役席端末200とは、ネットワークを介して互いに接続される。
【0086】
役席端末200は、管理者から事前承認、事前承認の解除、有効条件などの入力を受け入れて、接続されている重要物管理装置100へ事前承認、事前承認の解除、有効条件を示す信号を送信する通信端末である。また、重要物管理装置100の表示部170から信号を受けて、画面を表示する通信端末である。上記の通信端末の例としては、移動帯通信端末と、デスクトップコンピュータが挙げられる。移動体通信端末の例としては、タブレット端末やスマートフォンが挙げられる。
【0087】
図11に示す重要物管理システム10の例では、重要物管理システム10は、重要物管理装置100-1から、重要物管理装置100-nまでのn個(nは自然数)の重要物管理装置100を備え、役席端末200-1から、役席端末200-mまでのm個(mは自然数)の役席端末200を備える。
【0088】
重要物管理装置100は、役席端末200と、有線または無線の通信により接続されている。例えば、
図11に示す例では、それぞれの重要物管理装置100は、全ての役席端末200と接続されている。それぞれの重要物管理装置100が、一部の役席端末200のみと接続されているようにしても良い。
【0089】
《作用・効果》
第3の実施形態に係る重要物管理システム10は、操作者の認証と管理者による承認とが行われた場合に、当該装置にかかる操作のうちの特定の操作を可能にする重要物管理装置100であって、当該装置にかかる操作の入力を受け入れる操作部110と、操作部110において管理者により入力された、特定の操作を事前に承認することを示す事前承認情報を記憶部101に記録する事前承認設定部140と、操作部において操作者から特定の操作が入力された場合に、記憶部101に記録された事前承認情報に基づいて事前承認が有効であるか否かを判定し、当該事前承認が有効であると判定した場合は、管理者による新たな承認無しで特定の操作を可能にするように制御する制御部160を備える重要物管理装置100と、事前承認を受け入れる端末である役席端末200と、を備える。
【0090】
上記の重要物管理システム10により、管理者は役席端末200を用いて事前承認を行うことができ、重要物管理装置100の管理者による承認に係る手間をより削減することができる。
【0091】
〈他の実施形態〉
以上、図面を参照して一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、様々な設計変更等をすることが可能である。
【0092】
入退室管理システム等と連動し、記録されている役席者のうち在席している者や人数を取得できる場合は、次のようにすることもできる。
【0093】
事前承認を設定する機器及び機種について、複数の管理者が記録されている場合に一人でも在席が確認できる場合は、事前承認を設定できない(役席事前承認のメニューが選択できない)ようにする。また、事前承認中において、記録されている管理者のうち一人でも在席が確認されると、自動的に事前承認を解除する。
【0094】
また、入退室管理システムにおいて、管理者が不在となる記録を行ったとき、当該管理者だけが承認できる機器(事前承認がなされていない)が存在する場合に警告を発することで、事前承認の設定し忘れを防止する。
【0095】
さらに、管理者が不在になった際の代行者(権限委譲を行う操作者(一般操作者))を事前に記録しておくことで、代行者も事前承認を可能にし、管理者不在で処理が行えなくなる事を防止する。
【0096】
上記の実施形態に係る重要物管理システム10では、複数の重要物管理装置100が同じ種類の重要物管理装置100を備えるが、異なる種類の重要物管理装置100を備えても良い。例えば、重要物管理システム10は、重要物管理装置100として、複数の現金管理装置と、複数の鍵管理機を備えても良い。
【0097】
本発明は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内でなしうるさまざまな変更、改良が含まれる。
【符号の説明】
【0098】
10…重要物管理システム 100…重要物管理装置 101…記憶部 110…操作部 120…認証部 140…事前承認設定部 150…事前承認解除部 160…制御部 170…表示部 200…役席端末 300…鍵管理機 310…鍵管理機本体 320…収納部 330…入出力部 331…ディスプレイ装置 332…ボタン 333…カードリーダ 340…前カバー