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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-08
(45)【発行日】2023-05-16
(54)【発明の名称】機能水
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/48 20230101AFI20230509BHJP
   A61K 8/19 20060101ALI20230509BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20230509BHJP
   A61K 35/02 20150101ALI20230509BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20230509BHJP
【FI】
C02F1/48 B
A61K8/19
A61Q19/00
A61K35/02
A61P21/00
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018188646
(22)【出願日】2018-10-03
(65)【公開番号】P2020054972
(43)【公開日】2020-04-09
【審査請求日】2021-10-04
(73)【特許権者】
【識別番号】518076975
【氏名又は名称】株式会社Atumist
(74)【代理人】
【識別番号】110002675
【氏名又は名称】弁理士法人ドライト国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100105094
【弁理士】
【氏名又は名称】山▲崎▼ 薫
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 秀男
(72)【発明者】
【氏名】山崎 薫
【審査官】高橋 成典
(56)【参考文献】
【文献】特開昭49-032463(JP,A)
【文献】特開2000-210668(JP,A)
【文献】特開2002-205072(JP,A)
【文献】特許第4022251(JP,B2)
【文献】特開2005-046771(JP,A)
【文献】特開2001-246389(JP,A)
【文献】特開2001-137860(JP,A)
【文献】特開平09-029270(JP,A)
【文献】特開2005-288385(JP,A)
【文献】特開2002-282864(JP,A)
【文献】特開2018-034121(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/46 - 1/48
A61K 35/00 - 35/768
36/06 - 36/068
8/00 - 8/99
A61Q 1/00 - 90/00
A61P 1/00 - 43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンバーターで交流を直流に変換して、前記コンバーターのプラス端子およびマイナス端子の間で直流電圧を印加し、半導体の粒子を含むシリコーンバインダーの固化物で形成される固体に結合される第1導体に、前記コンバーターの前記プラス端子を空気中に開放しながら、前記コンバーターの前記マイナス端子からマイナス電位を印加し、前記第1導体から離れて前記固体に結合される第2導体から作用する電場に曝された水で形成されることを特徴とする機能水。
【請求項2】
請求項1に記載の機能水において、前記半導体の粒子は炭化ケイ素の粉末であることを特徴とする機能水。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水和電子を含む機能水に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は機能水の製造方法を開示する。この製造方法では、水の酸化還元反応に基づき水酸化ドロマイトおよびアルミナの水溶液が生成される。水溶液は強力な還元力を有する。水溶液はマイナス850mVの酸化還元電位を示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-300701号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
酸化還元電子が還元力を示す場合には水溶液中に水素の存在が推認される。したがって、特許文献1に記載の水溶液には電子そのものではなく水素が含まれるものと推測される。水和電子を含む機能水の生成が模索される。
【0005】
本発明は、上記実状に鑑みてなされたもので、新たな製造方法に基づき水和電子を含む機能水を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1側面によれば、コンバーターで交流を直流に変換して、前記コンバーターのプラス端子およびマイナス端子の間で直流電圧を印加し、半導体の粒子を含むシリコーンバインダーの固化物で形成される固体に結合される第1導体に、前記コンバーターの前記マイナス端子からマイナス電位を印加し、前記第1導体から離れて前記固体に結合される第2導体から作用する電場に曝される水で形成される機能水は提供される。
【0007】
機能水は水中に水和電子を含む。電子は第2導体から水に供給される。こうした機能水が肌に噴霧されると、肌の保湿効果が得られる。毛穴の目立ちが解消される。顔面に噴霧されると、良好な化粧乗りが達成される。筋肉の表面に噴霧されると、筋肉の伸張が促進される。
【0008】
前記半導体の粒子は炭化ケイ素の粉末であればよい。炭化ケイ素の採用によれば、電子は第2導体から効率的に水に供給される。機能水の生成にあたってマイナス電位の印加時間は短縮されることができる。機能水は良好に機能を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る機能水の製造装置の構成を概略的に示す概念図である。
図2】機能水の使用方法を概略的に示す概念図である。
図3】検証された機能水の効果を示す図面代用写真である。
図4】検証された機能水の品質を示す図面代用写真である。
図5】固体の製造方法を概略的に示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明する。
【0011】
図1は本発明の一実施形態に係る機能水の製造装置11の構成を概略的に示す。製造装置11は、交流を直流に変換してプラス端子12aおよびマイナス端子12bの間で直流電圧を印加するAC-DCコンバーター12を備える。AC-DCコンバーター12は交流電源13に接続される。交流電源13は例えばコンセントといった商用電源であればよい。交流電源13の電圧は例えば100ボルトであって電源周波数は例えば50Hzまたは60Hzであればよい。AC-DCコンバーター12は直流安定化電源といった形態で提供されることができる。直流電圧の電圧値は例えば500ボルト以上に設定されることが望まれる。
【0012】
製造装置11は第1導体14および第2導体15を備える。第1導体14は、例えばステンレス鋼板といった金属板14aと、例えば銅線といった金属線で構成され、金属板14aに結合される導線14bとで形成される。第1導体14の導線14bはAC-DCコンバーター12のマイナス端子12bに接続される。ここでは、AC-DCコンバーター12のプラス端子12aは開放されることから、第1導体14に電流は流通しない。交流電源13の電力は消費されない。
【0013】
第2導体15は、例えばステンレス鋼板といった金属板15aと、例えば銅線といった金属線で構成され、金属板15aに結合される導線15bとで形成される。第2導体15の導線15bには出力端子17が結合される。出力端子17は例えばステンレス鋼その他の金属材から形成される板材であればよい。
【0014】
製造装置11は貯水槽18を備える。貯水槽18には水が湛えられる。出力端子17は貯水槽18の水中に浸される。出力端子17と水との接触面積はできる限り大きいことが望まれる。出力端子17は貯水槽18から所定の間隔で離される。出力端子17は水に接触するものの貯水槽18には接触しない。
【0015】
貯水槽18は例えばステンレス鋼その他の金属材料で成型されてもよく樹脂その他の非金属材料から成型されてもよい。貯水槽18が金属材料で成形される場合には、貯水槽18は絶縁材上に設置されることが望まれる。水には、例えば地下水や湧き水といったナチュラルウオーター(ナチュラルミネラルウオーター)、添加されたミネラルを含むミネラルウオーター、脱塩処理された海洋深層水、純水、超純水、その他の水が用いられることができる。
【0016】
製造装置11は第1導体14および第2導体15に結合される固体21を備える。第1導体14および第2導体15は相互に離れて配置される。固体21は、半導体の超微粉(微粒子)を含むシリコーンバインダーの固化物で構成される。固化物は柔軟性を有する。半導体には、例えば炭化ケイ素(SiC)や窒化アルミニウム(AlN)、窒化ガリウム(GaN)、酸化亜鉛(ZnO)といった化合物半導体が用いられてもよく、IV族半導体や有機半導体、ダイヤモンド半導体が用いられてもよい。固体21は、マイナス(負)の直流電圧の印加に応じてバンドギャップを超えるエネルギーが作用すると電子の励起を引き起こす。固体21は板形状に形作られて第1導体14の金属板14aおよび第2導体15の金属板15aに挟まれる。ここでは、下から順番に第1導体14の金属板14a、1枚目の固体21、第2導体15の金属板15a、2枚目の固体21および第1導体14の金属板14aが順番に重ねられる。
【0017】
AC-DCコンバーター12に交流電圧が印加されると、AC-DCコンバーター12のマイナス端子12bからマイナス(負)の直流電圧が出力される。第1導体14から固体21にはマイナスの直流電圧が印加される。マイナスの電圧が印加されると、固体21は第2導体15を通じて出力端子17から水に電子を供給する。こうして水中に水和電子を含む機能水は製造される。直流電圧の電圧値が大きければ大きいほど、電子の供給量は増加する。その他、第1導体14および固体21の接触面積や、第2導体15および固体21の接触面積、第1導体14および第2導体15の距離(固体21の厚み)に応じて電子の供給量は変化する。機能水では、印加前の原水に比べて酸化還元電位の数値に関して優位性は観察されない。
【0018】
図2に示されるように、機能水はひとHMの肌に噴霧されることができる。肌に噴霧されると、ひとHMの肌で保湿効果は実現される。毛穴の目立ちが解消される。特に、顔面に噴霧されると、良好な化粧乗りが達成される。噴霧にあたって機能水は例えばスプレーボトル22に封入される。スプレーボトル22はひとHMによって把持される。スプレーボトル22の容器23にはスプレーポンプ24が取り付けられる。スプレーポンプ24は容器23の開口を塞ぐ。スプレーポンプ24のプッシュボタン25がばねの弾性力に抗して押し下げられると、機能水は容器23から管26で吸い上げられてノズルから噴霧される。
【0019】
本発明者は機能水の効果を検証した。効果の検証にあたって、機能水はひとの腰に噴霧された。機能水は、腰の表面に直接的に噴霧されてもよく、腰を覆うシャツに噴霧されて濡れたシャツを通じて腰の表面に接触してもよい。図3に示されるように、(a)機能水の噴霧前に比べて、(b)機能水の噴霧後(すぐ)では腰の筋肉が伸張することが確認された。その他、腰以外であっても筋肉の表面に噴霧されると、筋肉の伸張が促進されることが確認された。
【0020】
本発明者は機能水の品質を検証した。品質の検証にあたって、機能水に2mMolのL-dopa(CAS 59-92-7,Wako,Japan)が添加された。比較対象として超純水に同様にL-dopaが添加された。図4に示されるように、6時間にわたって室温に放置された結果、機能水(b)では超純水(a)に比べて強い度合いで黒色への変色が観察された。
【0021】
固体21の製造にあたって半導体材料の超微粉(微粒子)は利用される。超微粉の平均粒径は例えば0.6μm~2.0μmの間で適宜に設定されればよい。超微粉はシリコーンバインダーに混ぜ込まれる。シリコーンバインダーは硬化剤の反応に従って常温で硬化する。その結果、固体21はゴム質で柔軟性を有することができる。シリコーンバインダーの混合率に応じて柔軟度は調整される。板形状の固体21が第1導体14や第2導体15の金属板14a、15aに挟まれる際に固体21は第1導体14および第2導体15に確実に密着する。密着に応じて固体21と導体14、15との間で電子のやりとりは活発化する。
【0022】
シリコーンバインダーには、炭化ケイ素(SiC)の超微粉に代えて、または、炭化ケイ素の超微粉に加えて、窒化アルミニウム(AlN)の超微粉、ダイヤモンド(C)の超微粉、窒化ガリウム(GaN)の超微粉および酸化亜鉛(ZnO)の超微粉のうち少なくともいずれか1つが混ぜ込まれてもよい。窒化アルミニウム、ダイヤモンド、窒化ガリウムおよび酸化亜鉛は炭化ケイ素よりも大きなバンドギャップを有することから、大量の電子の移動は実現されることができる。
【0023】
図5に示されるように、固体21の製造にあたってハウジング27内に第1導体14の金属板14a、14bおよび第2導体15の金属板15aは設置される。ハウジング27は例えば樹脂材から成型される。第1導体14は例えば1枚の金属板から折り曲げ成形される。ハウジング27のキャビティ28内で金属板14a、14bの板面および金属板15aの板面は等間隔に向き合わせられる。金属板14a、14bはキャビティ28内で背後からキャビティ28の壁面に支持される。金属板14aおよび金属板15aの間に区画される空間29に流動体31は流し込まれる。流動体31はシリコーンバインダーに混ぜ込まれた炭化ケイ素超微粉および硬化剤を含む。硬化剤の働きでシリコーンバインダーが固化すると、固体21は金属板14a、14bの板面および金属板15aの板面に密着する。流動体31は第1導体14および第2導体15の板面に倣うので、密着度は高められる。第1導体14および第2導体15には、ハウジング27の外側に突出する導電性の接続端子が一体に形成される。これら接続端子に導線14b、15bは連結されればよい。
【符号の説明】
【0024】
12…コンバーター(AC-DCコンバーター)、12a…プラス端子、12b…マイナス端子、14…第1導体、15…第2導体、21…固体。
図1
図2
図3
図4
図5