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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-08
(45)【発行日】2023-05-16
(54)【発明の名称】灰皿
(51)【国際特許分類】
   A24F 19/00 20060101AFI20230509BHJP
   B60N 3/12 20060101ALN20230509BHJP
【FI】
A24F19/00 F
A24F19/00 J
B60N3/12
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018220438
(22)【出願日】2018-11-26
(65)【公開番号】P2020080734
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-11-24
(73)【特許権者】
【識別番号】318016331
【氏名又は名称】仲谷 正樹
(74)【代理人】
【識別番号】100095614
【弁理士】
【氏名又は名称】越川 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】仲谷 正樹
【審査官】松井 裕典
(56)【参考文献】
【文献】実開昭52-129688(JP,U)
【文献】登録実用新案第3092072(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第106235408(CN,A)
【文献】特開平09-098764(JP,A)
【文献】特開2002-253194(JP,A)
【文献】実開平06-024499(JP,U)
【文献】中国実用新案第202514587(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2008/0236063(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 19/00
B65F 1/00 - 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
煙草の灰又は吸い殻を投入可能な投入部と、
前記灰又は吸い殻を収容可能とされた有底筒状の収容部と、
前記収容部の上部と投入部とを連通する筒状部材から成るとともに、前記投入部に投入された灰又は吸い殻を通過させて前記収容部に導入可能な導入部と、
を具備し、前記収容部の前記導入部との連通部以外が蓋部材で封止されて密閉された灰皿において、
前記導入部に取り付けられ、前記導入部を通過した灰又は吸い殻を鉛直方向に対して所定角度傾斜した所定の方向に案内して前記収容部内に落下させる吸い殻案内部と、
前記収容部内に取り付けられ、前記収容部内の吸い殻から上方に向かう煙を所定の方向に案内する煙案内部と、
を備えるとともに、
前記煙案内部は、
前記収容部の上下方向に延びた軸状の立設部と、
前記立設部の上部に一体形成され、側面が傾斜して上方に向かって上り勾配とされることにより上方に向かう煙を傾斜方向に案内し得る勾配部と、
を具備し、前記収容部の底部の吸い殻から生じた煙が前記勾配部で所定の方向に案内された後、前記勾配部の上端と前記収容部の内壁面との間の位置であって前記蓋部材まで至らない位置で折り返して下方に向かって流れ、当該収容部の底部の吸い殻に至るよう前記煙案内部による煙の案内方向が設定され、且つ、前記吸い殻案内部による灰又は吸い殻の案内方向と前記煙案内部による煙の案内方向とを互いに異ならせたことを特徴とする灰皿。
【請求項2】
前記吸い殻案内部による灰又は吸い殻の案内方向及び前記煙案内部による煙の案内方向は、鉛直方向に対して所定角度傾斜した方向とされたことを特徴とする請求項1記載の灰皿。
【請求項3】
前記勾配部の上部に球状の半球部が形成されたことを特徴とする請求項1記載の灰皿。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、煙草の灰や吸い殻を投入可能な灰皿に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近時の社会的な喫煙環境により、喫煙者は所定の決められた場所で喫煙することが求められており、通常、建物内における喫煙室や屋外の喫煙場所など非喫煙者から隔絶された場所や離れた場所での喫煙が必要とされている。このような喫煙場所には、通常、煙草の灰や吸い殻を投入可能な灰皿が設置されており、例えば特許文献1にて開示されているように、灰皿本体に吸い投入パイプを有した灰皿が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実用新案登録第3092072号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の灰皿においては、吸い殻を投入するための投入パイプが煙草の径より若干大きい径とされていて灰皿本体内の煙が外部に漏れ難い構成とされているものの、投入パイプの径を小さな寸法に設定する必要があるため、投入した吸い殻が投入パイプに詰まってしまう虞があるとともに、投入パイプから煙が漏れるのを防止する効果は十分ではない。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、投入した吸い殻が詰まってしまうのを抑制することができるとともに、吸い殻の煙が外部に漏れてしまうのをより確実に防止することができる灰皿を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、煙草の灰又は吸い殻を投入可能な投入部と、前記灰又は吸い殻を収容可能とされた有底筒状の収容部と、前記収容部の上部と投入部とを連通する筒状部材から成るとともに、前記投入部に投入された灰又は吸い殻を通過させて前記収容部に導入可能な導入部とを具備し、前記収容部の前記導入部との連通部以外が蓋部材で封止されて密閉された灰皿において、前記導入部に取り付けられ、前記導入部を通過した灰又は吸い殻を鉛直方向に対して所定角度傾斜した所定の方向に案内して前記収容部内に落下させる吸い殻案内部と、前記収容部内に取り付けられ、前記収容部内の吸い殻から上方に向かう煙を所定の方向に案内する煙案内部とを備えるとともに、前記煙案内部は、前記収容部の上下方向に延びた軸状の立設部と、前記立設部の上部に一体形成され、側面が傾斜して上方に向かって上り勾配とされることにより上方に向かう煙を傾斜方向に案内し得る勾配部とを具備し、前記収容部の底部の吸い殻から生じた煙が前記勾配部で所定の方向に案内された後、前記勾配部の上端と前記収容部の内壁面との間の位置であって前記蓋部材まで至らない位置で折り返して下方に向かって流れ、当該収容部の底部の吸い殻に至るよう前記煙案内部による煙の案内方向が設定され、且つ、前記吸い殻案内部による灰又は吸い殻の案内方向と前記煙案内部による煙の案内方向とを互いに異ならせたことを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の灰皿において、前記吸い殻案内部による灰又は吸い殻の案内方向及び前記煙案内部による煙の案内方向は、鉛直方向に対して所定角度傾斜した方向とされたことを特徴とする。
【0009】
請求項記載の発明は、請求項記載の灰皿において、前記勾配部の上部に球状の半球部が形成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、吸い殻案内部による灰又は吸い殻の案内方向と煙案内部による煙の案内方向とを互いに異ならせたので、導入部の径を大きく設定することができ、投入した吸い殻が詰まってしまうのを抑制することができるとともに、導入部の径の大きさに関わらず、煙案内部で案内された煙が吸い殻案内部を介して導入部に至ってしまうのを抑制でき、収容部内に収容された吸い殻の煙が外部に漏れてしまうのをより確実に防止することができる。
また、煙案内部は、収容部の上下方向に延びた軸状の立設部と、立設部の上部に一体形成され、側面が傾斜して上方に向かって上り勾配とされることにより上方に向かう煙を傾斜方向に案内し得る勾配部とを具備したので、収容部内の煙の案内を確実且つ円滑に行わせることができる。
さらに、収容部の底部の吸い殻から生じた煙が勾配部で所定の方向に案内された後、下方に向かって流れ、当該収容部の底部の吸い殻に至るよう煙案内部による煙の案内方向が設定されたので、煙中に含まれる二酸化炭素等の不活性成分が収容部の底面にある吸い殻に戻らせて消火を促すことができる。
【0012】
請求項2の発明によれば、吸い殻案内部による灰又は吸い殻の案内方向及び煙案内部による煙の案内方向は、鉛直方向に対して所定角度傾斜した方向とされたので、煙案内部で案内された煙が吸い殻案内部を介して導入部に至ってしまうのを抑制しつつ収容部内に落下する吸い殻の勢いを低減させて収容部内における煙の流れを乱してしまうのを抑制することができる。
【0014】
請求項の発明によれば、勾配部の上部に球状の半球部が形成されたので、勾配部による煙の案内を妨げてしまうのを回避しつつ煙案内部の上部に灰や吸い殻の一部が付着してしまうのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係る灰皿が適用される喫煙車両の車内を側方から見た模式図
図2】同喫煙車両の車内を上方から見た模式図
図3】同喫煙車両の車内の前方から後方を見た模式図
図4】同喫煙車両の車内の後方から前方を見た模式図
図5】本実施形態に係る灰皿を示す全体模式図
図6】同灰皿における煙案内部による煙の案内方向及び吸い殻案内部による吸い殻の案内方向を示す模式図
図7】同灰皿における投入部を示す上面図及び側面図
図8】同灰皿における導入部を示す上面図及び側面図
図9】同灰皿における吸い殻案内部を示す側面図及び背面図
図10】同灰皿における収容部を示す上面図及び側面図
図11】同灰皿における煙案内部を示す上面図及び側面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態に係る灰皿は、複数の喫煙者が車内で喫煙可能な喫煙車両に適用されたもので、当該喫煙車両は、図1~4に示すように、車内空間が車内前方の仕切壁W1及び後方の仕切壁W2にて仕切られることにより形成された喫煙空間2と、集塵空間3と、運転席空間4とを有する。なお、本実施形態に係る喫煙車両1は、左右の前輪T1及び左右の後輪T2を有した自動車(マイクロバス、大型バス若しくはトレーラ等含む)から成るものとされているが他の形態の車両から成るものであってもよい。
【0018】
運転席空間4は、運転席4a及び助手席4bが配設された車両の前方に位置する空間から成り、仕切壁W1によって喫煙空間2と仕切られている。そして、運転席4aに着座した運転手により喫煙車両1が運転可能とされており、喫煙空間を提供すべき任意場所まで走行可能とされている。なお、運転席空間4は、仕切壁W1にて車両後方の喫煙空間2とは仕切られており、当該喫煙空間2内の煙が運転席空間4に流れ込まないよう構成されているとともに、当該仕切壁W1に形成された監視窓E(図4参照)によって喫煙空間2内の様子を目視し得るようになっている。
【0019】
喫煙空間2は、車内前方の仕切壁W1と後方の仕切壁W2との間に形成されるとともに、喫煙者の出入り口5が所定位置に形成され、灰皿7が複数配設されて喫煙可能な空間から成る。本実施形態の出入り口5は、喫煙空間2における車両前方側の位置に形成されるとともに、喫煙しようとする者が開閉扉6を開閉して車内と外部との間を出入り自在とされている。
【0020】
喫煙空間2内の灰皿7は、車両の前後方向に延設しつつ車室の両側(左右の床面)にそれぞれ固定された灰皿台8に複数取り付けられており、喫煙空間2内の喫煙者が煙草の灰や吸い殻をそれぞれの灰皿7に投入可能とされている。また、喫煙空間2には、灰皿7の上方位置で延設されたダクトD1が取り付けられている。かかるダクトD1は、図1、2に示すように、車両の前後方向に延設しつつ車室の両側(左右天井面)にそれぞれ固定された配管から成り、灰皿7に対応する位置に煙草の煙を吸引可能な吸引口Daが形成されている。
【0021】
そして、ダクトD1は、それぞれ集塵空間3まで延設されており、吸引口Daで吸引された煙が集塵空間3まで流れるようになっている。また、喫煙空間2と集塵空間3とを仕切る仕切壁W2には、図3に示すように、煙草の煙を吸引可能な吸引孔Hが形成されており、喫煙空間2内の煙が吸引孔Hを介して集塵空間3まで流れるようになっている。
【0022】
これらダクトD1及び吸引孔Hは、それぞれ集塵空間3内に配設されたダクトD2に接続されるとともに、当該ダクトD2が集塵空間3内の集塵手段11に接続されている。すなわち、ダクトD1及び吸引孔D2は、ダクトD2を介して集塵手段11と連結されており、喫煙空間2内の煙草の煙が集塵手段11に導入されるようになっている。また、ダクトD2には、ブロワ等の負圧発生手段Pが接続されており、当該負圧発生手段Pを駆動することにより、ダクトD1の吸引口Da及び吸引孔D2に吸引力を発生させるよう構成されている。
【0023】
集塵空間3は、仕切壁W2にて仕切られ喫煙空間2に対して車両後方に位置する空間から成り、喫煙により発生する煙草の煙中の粒子を捕捉して除去可能な集塵手段11、集塵手段11を通過した空気を清浄化する清浄機12、及び集塵手段11に電力を供給するための2次電池13等が設置されている。2次電池13は、集塵手段11及び清浄機12に電力を供給し得る電源から成り、放電及び充電が可能なバッテリ(鉛蓄電池等)にて構成されている。
【0024】
集塵手段11は、既述のように、ダクトD2と接続されて喫煙空間2内の煙が導入されるとともに、例えば導入された煙に対して電圧を印加して帯電させ、煙中の粒子(特に、有害成分を含む粒子)を電気的に吸着して取り除くことが可能とされている。また、清浄機12は、例えば活性炭等を有し、集塵手段11から排出された空気が当該活性炭中を通過することにより清浄化されるよう構成されている。
【0025】
そして、集塵手段11及び清浄機12にて清浄化された空気は、ダクトD3にて車外に放出されるようになっている。このように、本実施形態に係る喫煙車両によれば、喫煙空間2内の煙草の煙を集塵空間3に流入させて集塵手段11及び清浄機12にて当該煙中の粒子(有害成分を含む粒子)を捕捉及び除去することができ、清浄化された空気を車外に放出することができる。
【0026】
なお、本実施形態に係る喫煙車両1は、喫煙空間2内の室温を調整するための空調手段9が当該喫煙空間2に配設されるとともに、空調手段9は、喫煙空間2の出入り口5から集塵空間3に向かう方向に送風可能とされている。具体的には、空調手段9は、仕切壁W1に取り付けられたエアコン(エアーコンディショナー)から成り、冷気や暖気を伴った空気を車両後方(集塵空間3側)に向かって送風することにより喫煙空間2内の室温を調整し得るようになっている。
【0027】
また、喫煙空間2の出入り口5には、空気を噴出してエアカーテンを形成するエアカーテン形成手段10が配設されるとともに、当該エアカーテン形成手段10は、喫煙空間2の出入り口5から集塵空間3に向かう方向に空気を噴出してエアカーテンを形成可能とされている。すなわち、出入り口5をエアカーテンで覆うことにより、開閉扉6が開いた状態において喫煙空間2の煙が車外に流出するのを防止することができるとともに、エアカーテンが集塵空間3(車両後方)に向かう方向に噴出した空気にて形成されるので、喫煙空間2内の煙を集塵空間3に向かって流動させることができる。
【0028】
ここで、本実施形態に係る灰皿7は、上記の如き喫煙車両の灰皿台8に設置されたもので、図5~11に示すように、ホッパ状に形成された投入部7aと、管状に形成された導入部7bと、屈曲形成された吸い殻案内部7cと、円筒状に形成された収容部7dと、収容部7dを封止する蓋部7eと、収容部7d内に固定された煙案内部7fとを有して構成されている。
【0029】
投入部7aは、灰皿台8において上方に開口して取り付けられて喫煙により生じた灰や吸い殻を投入可能とされたもので、図7に示すように、上方に開口しつつ下方に向かって縮径した開口部7aaと、開口部7aaの下部から下方に向かって延設された延設部7abとを有して形成されている。かかる投入部7aの延設部7abは、開口部7aaに投入された煙草の灰や吸い殻を下方に落下させるよう構成されている。
【0030】
導入部7bは、図8に示すように、上下がそれぞれ開口した筒状部材から成り、投入部7aの延設部7abに接続されるものである。かかる導入部7bは、収容部7dの上部と投入部7aとを連通するとともに、投入部7aに投入された灰又は吸い殻を通過させて収容部7dに導入可能とされている。なお、投入部7aの延設部7abと導入部7bの上部とは、接着剤等にて固定されつつ封止されており、接続部から煙が逃げないようになっている。本実施形態に係る導入部7bは、煙草の吸い殻が3~4本通過できる径とされているが、径の大きさは任意設定することができる。
【0031】
収容部7dは、図10に示すように、上方が開口した有底の円筒状部材から成り、投入部7aに投入された灰や吸い殻を収容し得るよう構成されている。かかる収容部7dは、その上部開口と導入部7bとの間を封止し得る蓋部7eが取り付けられており、収容部7d内に収容された吸い殻から生じた煙が収容部7dの上部開口と導入部7bとの間から外部に漏れ出ないようになっている。
【0032】
すなわち、本実施形態に係る収容部7dは、その導入部7bとの連通部以外が蓋部7eにて密閉されており、収容部7dの上部開口から煙が漏れるのを防止している。なお、本実施形態に係る蓋部7eは、収容部7dの上部に対して脱着可能とされており、収容部7dから取り外すことにより、内部に溜まった煙草の灰や吸い殻を取り出して廃棄可能とされている。
【0033】
吸い殻案内部7cは、導入部7bに取り付けられ、導入部7bを通過した灰又は吸い殻を所定の方向βに案内して収容部7d内に落下させるもので、図9に示すように、導入部7bの下部に接続される接続部7caと、この接続部7caの下部から所定角度傾斜した方向に延設された延設部7cbとを有して構成されている。かかる吸い殻案内部7cは、延設部7cbによって、導入部7bを通過した灰又は吸い殻を所定の方向βに案内して下方に滑り落とし、収容部7d内に落下させるよう構成されている。なお、本実施形態に係る吸い殻案内部7cは、アルミ板を曲げ加工して構成されているが、他の材質から成るものとしてもよい。
【0034】
吸い殻案内部7fは、収容部7d内に取り付けられ、収容部7d内の吸い殻から上方に向かう煙を所定の方向αに案内するもので、図11に示すように、収容部7dの軸方向に延びた立設部n1と、立設部n1の上部に一体形成された勾配部n2と、勾配部n2の上部に形成された半球部n3とを有して構成されている。立設部n1は、収容部7bの底部から上方に向かって立設された軸状の部位から成り、その長さ寸法を調整することにより、その上部に形成される勾配部n2の高さ位置を容易に設定し得るようになっている。
【0035】
勾配部n2は、その側面が上方に向かって緩やかに傾斜(上方に向かって上り勾配)して形成されており、収容部7dの底部から立ち上る煙を側面の傾斜面にて案内し、導入部7bに至るのを抑制し得るようになっている。そして、消火されない煙草の吸い殻が投入部7aに投入されて収容部7dの底部まで落下して収容されると、そこから立ち上る煙は、煙案内部7fの立設部n1の延設方向に沿って上方に流れ、勾配部n2の側面の傾斜面にて案内された後、下方に流れる(図5中の矢印で示す方向に流れる)こととなる。これにより、煙中に含まれる二酸化炭素等の不活性成分が収容部7dの底面にある煙草の吸い殻に至ることとなり、消火が促されることとなる。
【0036】
ここで、本実施形態に係る灰皿7は、図5、6に示すように、吸い殻案内部7cによる灰又は吸い殻の案内方向βと煙案内部7fによる煙の案内方向αとを互いに異ならせるよう設定されている。より具体的には、吸い殻案内部7cによる灰又は吸い殻の案内方向β及び煙案内部7fによる煙の案内方向αは、鉛直方向(図5、6中上下方向)に対して所定角度傾斜した方向とされるとともに、それら案内方向α及び案内方向βが互いに異なるようになっている。
【0037】
上記実施形態によれば、吸い殻案内部7cによる灰又は吸い殻の案内方向βと煙案内部7fによる煙の案内方向αとを互いに異ならせたので、導入部7bの径を大きく設定することができ、投入した吸い殻が詰まってしまうのを抑制することができるとともに、導入部7bの径の大きさに関わらず、煙案内部7fで案内された煙が吸い殻案内部7cを介して導入部7bに至ってしまうのを抑制でき、収容部7d内に収容された吸い殻の煙が外部に漏れてしまうのをより確実に防止することができる。
【0038】
また、吸い殻案内部7cによる灰又は吸い殻の案内方向β及び煙案内部7fによる煙の案内方向αは、鉛直方向に対して所定角度傾斜した方向とされたので、煙案内部7fで案内された煙が吸い殻案内部7cを介して導入部7bに至ってしまうのを抑制しつつ収容部7d内に落下する吸い殻の勢いを低減させて収容部7d内における煙の流れを乱してしまうのを抑制することができる。
【0039】
さらに、本実施形態に係る煙案内部7fは、収容部7dの上下方向に延びた軸状の立設部n1と、立設部n1の上部に一体形成され、側面が傾斜して上方に向かって上り勾配とされることにより上方に向かう煙を傾斜方向に案内し得る勾配部n2とを具備したので、収容部7d内の煙の案内を確実且つ円滑に行わせることができる。特に、本実施形態によれば、勾配部n2の上部に球状の半球部n3が形成されたので、勾配部n2による煙の案内を妨げてしまうのを回避しつつ煙案内部7fの上部に灰や吸い殻の一部が付着してしまうのを防止することができる。
【0040】
またさらに、収容部7dの底部の吸い殻から生じた煙が勾配部n2で所定の方向に案内された後、下方に向かって流れ、当該収容部7dの底部の吸い殻に至るよう煙案内部7fによる煙の案内方向αが設定されたので、煙中に含まれる二酸化炭素等の不活性成分が収容部7dの底面にある吸い殻に戻らせて消火を促すことができる。
【0041】
なお、本実施形態に適用された喫煙車両1によれば、喫煙者の出入り口5が所定位置に形成され、灰皿7が複数配設されて喫煙可能な空間から成る喫煙空間2と、喫煙により発生する煙草の煙中の粒子を捕捉して除去可能な集塵手段11、清浄機12及び集塵手段11に電力を供給するための2次電池13が設置された空間から成る集塵空間3とを有し、喫煙空間2内の煙草の煙を集塵空間3に流入させて集塵手段11及び清浄機12で当該煙中の粒子を捕捉及び除去し得るので、必要な場所に容易且つ迅速に喫煙場所を提供することができるとともに、多数の喫煙者が喫煙しても周囲に煙草の煙が放散してしまうのを防止することができる。
【0042】
また、喫煙空間2には、灰皿7の上方位置で延設され、集塵空間3の集塵手段11に連結されたダクトD1が取り付けられるとともに、ダクトD1は、灰皿7に対応する位置に煙草の煙を吸引可能な吸引口Daが形成されたので、喫煙空間2内の煙草の煙を確実に吸引して集塵空間3に送り込むことができる。さらに、喫煙空間2内の室温を調整するための空調手段9が当該喫煙空間2に配設されるとともに、空調手段9は、喫煙空間2の出入り口5から集塵空間3に向かう方向に送風可能とされたので、空調手段9の送風を利用して煙草の煙を集塵空間3側に案内させることができるとともに、喫煙空間2の出入り口5から煙草の煙が外部に逃げてしまうのを抑制することができる。
【0043】
またさらに、喫煙空間2の出入り口5には、空気を噴出してエアカーテンを形成するエアカーテン形成手段10が配設されるとともに、当該エアカーテン形成手段10は、喫煙空間2の出入り口5から集塵空間に向かう方向に空気を噴出可能とされたので、エアカーテンを利用して煙草の煙を集塵空間3側に案内させることができるとともに、喫煙空間2の出入り口5から煙草の煙が外部に逃げてしまうのをエアカーテンによってより確実に抑制することができる。
【0044】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば喫煙車両に設置されるものではなく、屋外の喫煙場所や建物内の喫煙室等に設置された灰皿であってもよい。また、灰皿7の投入部7aは、必ずしも下方に向かって縮径したホッパ形状のものに限らず、収容部7dも円筒状のものに限らない。さらに、煙案内部7fは、吸い殻から上方に向かう煙を所定の方向に案内するものであれば足り、本実施形態の如く勾配部n2とは相違するものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0045】
導入部に取り付けられ、導入部を通過した灰又は吸い殻を所定の方向に案内して収容部内に落下させる吸い殻案内部と、収容部内に取り付けられ、収容部内の吸い殻から上方に向かう煙を所定の方向に案内する煙案内部とを備えるとともに、吸い殻案内部による灰又は吸い殻の案内方向と煙案内部による煙の案内方向とを互いに異ならせた灰皿であれば、外観形状が異なるもの或いは他の機能が付加されたもの等にも適用することができる。
【符号の説明】
【0046】
1 喫煙車両
2 喫煙空間
3 集塵空間
4 運転席空間
5 出入り口
6 開閉扉
7 灰皿
7a 投入部
7b 導入部
7c 吸い殻案内部
7d 収容部
7e 蓋部
7f 煙案内部
8 灰皿台
9 空調手段
10 エアカーテン形成手段
11 集塵手段
12 清浄機
13 二次電池
P 負圧発生手段
T1 前輪
T2 後輪
W1、W2 仕切壁
H 吸引孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11