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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-08
(45)【発行日】2023-05-16
(54)【発明の名称】エネルギー伝達システム
(51)【国際特許分類】
   B60B 9/14 20060101AFI20230509BHJP
【FI】
B60B9/14
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020543714
(86)(22)【出願日】2018-10-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-01-07
(86)【国際出願番号】 EP2018079328
(87)【国際公開番号】W WO2019081664
(87)【国際公開日】2019-05-02
【審査請求日】2021-10-13
(31)【優先権主張番号】1717612.4
(32)【優先日】2017-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】520143465
【氏名又は名称】スーパー ホイール システム リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】チャン,カム シン
【審査官】村山 禎恒
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2007/088627(WO,A1)
【文献】特開2013-002426(JP,A)
【文献】特開2007-162842(JP,A)
【文献】特開2012-086744(JP,A)
【文献】米国特許第04240483(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60B 1/00-11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側ハブ;外側ハブ;前記内側ハブを前記外側ハブに回転可能に接続するトルク継手;リム;前記外側ハブを前記リムに接続するスポークの配列;前記内側ハブに固定されたアクチュエータ;前記外側ハブにヒンジ式に取り付けられ、それぞれが前記アクチュエータと係合するレバーアームの配列;および、各レバーアームと前記スポークのそれぞれとの間に捕捉されたばねを備えるエネルギー伝達システム。
【請求項2】
各レバーアームに関連付けられた弾性変形可能なストッパであって、前記アクチュエータによる前記レバーアームの様々な変位段階中に前記レバーアームによって係合および圧縮されるように前記アクチュエータ上に配置された弾性変形可能なストッパを備える、請求項1に記載のエネルギー伝達システム。
【請求項3】
前記アクチュエータが、前記内側ハブから延在するフランジであって、前記それぞれのレバーアームの一部が内部に捕捉される開口部の配列を有するフランジを備える、請求項1または2に記載のエネルギー伝達システム。
【請求項4】
各開口部が、実質的に円周方向に延びるスロットを含む、請求項3に記載のエネルギー伝達システム。
【請求項5】
各レバーアームが、前記アクチュエータと係合する当接部を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のエネルギー伝達システム。
【請求項6】
各当接部が、前記アクチュエータと係合される支持部を含む、請求項5に記載のエネルギー伝達システム。
【請求項7】
前記アクチュエータが、互いに離間した関係で前記内側ハブに固定され、前記内側ハブから半径方向外方に延びる一対のフランジを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のエネルギー伝達システム。
【請求項8】
前記外側ハブが一対のフランジの間に配置される、請求書7に記載のエネルギー伝達システム。
【請求項9】
各レバーアームが、第1の脚と、そこから延びる第2の脚とを含む実質的にL字形であり、前記レバーアームは、前記第1の脚の第1の端部またはその近くで前記外側ハブにヒンジ式に取り付けられ、前記レバーアームは、前記第1の脚の前記第1の端部の遠位の位置で前記アクチュエータと係合する、請求項1~8のいずれか一項に記載のエネルギー伝達システム。
【請求項10】
前記ばねが、前記それぞれのスポークと前記レバーアームの前記第2の脚との間に捕捉される、請求書9に記載のエネルギー伝達システム。
【請求項11】
前記ばねが圧縮ばねを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のエネルギー伝達システム。
【請求項12】
前記各ばねが、前記内側ハブが前記外側ハブ内で吊り下げられて支持されるように前記それぞれのレバーアームを付勢して前記アクチュエータと接触するように配置される、請求項1~11のいずれか一項に記載のエネルギー伝達システム。
【請求項13】
前記外側ハブが、互いに平行に離間した関係にある一対の環状プレートを含む、請求項1~12のいずれか一項に記載のエネルギー伝達システム。
【請求項14】
前記トルク継手が、前記外側ハブに対する前記内側ハブの半径方向の移動、および前記内側ハブと前記外側ハブの間のトルクの同時伝達を可能にするように適合される、請求項1~13のいずれか一項に記載のエネルギー伝達システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギー伝達システムに関し、これは、特に好ましい実施形態では、車両、具体的にはしかし非排他的に非電動式車両で使用するための、および最も具体的には自転車で使用するためのエネルギー効率の良いホイールの形態であり、このエネルギー伝達システムは、車両上の人の重さによって加えられる負荷の形のポテンシャルエネルギーを、ホイールに加えられる駆動トルクの形の運動エネルギーに変換するように動作可能である。
【背景技術】
【0002】
交通手段として自転車に乗ることはますます人気が高まっている。これは、道路の車の交通量が大幅に増加し、移動時間が増えたことに加えて、自転車に乗ることに関連する健康上の利点に対する意識、および全体的により健康的な生活様式に対する意識が高まったためである。
【0003】
交通手段としての自転車の使用の増加により、これらの新しい通勤者の多様なニーズを満たすために市場に出回る自転車の種類が増加している。例えば、電動自転車またはハイブリッド自転車は、特に通勤時間が長く、したがって、サイクリストが提供する動力を増強できるまたはそれに取って代わることができる車載電気モータが提供する補助を望むサイクリストのニーズを満たすために、ますます人気が高まっている。これらの電動自転車は、体の健康レベルが低下している可能性があるが、それにもかかわらず、上記の理由のために、または体の健康レベルを上げるための努力の一環として、自転車での移動を望むサイクリストにも好まれている。
【0004】
電動自転車は前述のような多くの利点があることに加えて、排出物がゼロである、したがって環境にやさしい交通手段である一方、予定される旅行のためにバッテリが適切に充電されていることを確実にする必要があり、これは多くの場合、特に往復旅行の復路区間では不可能であり、この場合、バッテリ容量は往路区間から低下しているだろう。適切な充電場所が常に利用できるとは限らず、いずれにしても、電動自転車のバッテリは容量が限られているため、自転車の走行距離は限定的であり、これにより自転車は特定の旅行には適さなくなる可能性がある。現代のほとんどの電動自転車は、例えばバッテリが完全に放電された場合、従来の方法で乗ることができるが、バッテリ、モータ、および関連構成要素の追加重量により、従来の自転車よりも操縦が難しくなる。
【0005】
したがって、本発明の目的は、車両に動力を供給するのに必要な乗り手の労力を軽減するために、人の重さから生じる負荷の一部を、ホイールを駆動するために加えられるトルクに変換できる車両ホイールを提供することである。
【発明の概要】
【0006】
本発明によれば、内側ハブ;外側ハブ;内側ハブを外側ハブに回転可能に接続するトルク継手;リム;外側ハブをリムに接続するスポークの配列;内側ハブに固定されたアクチュエータ;外側ハブにヒンジ式に取り付けられ、それぞれがアクチュエータと係合するレバーアームの配列;および、各レバーアームとスポークのそれぞれとの間に捕捉されたばねを備えるエネルギー伝達システムが提供される。
【0007】
好ましくは、エネルギー伝達システムは、各レバーアームに関連付けられた弾性変形可能なストッパであって、アクチュエータによるレバーアームの様々な変位段階中にレバーアームによって係合および圧縮されるようにアクチュエータ上に配置された弾性変形可能なストッパを備える。
【0008】
好ましくは、アクチュエータは、内側ハブから延在するフランジであって、それぞれのレバーアームの一部が内部に捕捉される開口部の配列を有するフランジを備える。
【0009】
好ましくは、各開口部は、実質的に円周方向に延びるスロットを含む。
【0010】
好ましくは、各レバーアームは、アクチュエータと係合する当接部を含む。
【0011】
好ましくは、各当接部は、アクチュエータと係合される支持部を含む。
【0012】
好ましくは、アクチュエータは、互いに離間した関係で内側ハブに固定され、内側ハブから半径方向外方に延びる一対のフランジを含む。
【0013】
好ましくは、外側ハブは、一対のフランジの間に配置される。
【0014】
好ましくは、各レバーアームは、第1の脚と、そこから延びる第2の脚とを含む実質的にL字形であり、レバーアームは、第1の脚の第1の端部またはその近くで外側ハブにヒンジ式に取り付けられ、レバーアームは、第1の脚の第1の端部の遠位の位置でアクチュエータと係合する。
【0015】
好ましくは、ばねは、それぞれのスポークとレバーアームの第2の脚との間に捕捉される。
【0016】
好ましくは、ばねは圧縮ばねを含む。
【0017】
好ましくは、各ばねは、内側ハブが外側ハブ内で吊り下げられて支持されるようにそれぞれのレバーアームを付勢してアクチュエータと接触するように配置される。
【0018】
好ましくは、外側ハブは、互いに平行に離間した関係にある一対の環状プレートを含む。
【0019】
好ましくは、トルク継手は、外側ハブに対する内側ハブの半径方向の移動、および内側ハブと外側ハブの間のトルクの同時伝達を可能にするように適合される。
【0020】
好ましくは、トルク継手は、内側ハブおよび外側ハブに重なる環状トルクディスクであって、一対の直径方向に対向する第1の半径方向に延びるガイド経路、および、第1のガイド経路に垂直に配置された、一対の直径方向に対向する第2の半径方向に延びるガイド経路を含む環状トルクディスク;内側ハブに固定され、内側および外側ハブに対して適所にトルクディスクを保持するようにトルクディスクに重なるエンドキャップ;外側ハブから一対の第1のガイド経路内に延び、それに沿って変位可能な一対の第1のガイド、およびエンドキャップから一対の第2のガイド経路内に延び、それに沿って変位可能な一対の第2のガイドを含む。
【0021】
好ましくは、エネルギー伝達システムは、ホイールの各面にトルク継手を含む。
【0022】
好ましくは、アクチュエータは、エンドキャップまたは各エンドキャップを画定する。
【0023】
好ましくは、エネルギー伝達システムは、内側ハブを通って軸方向に延びる車軸を含む。
【0024】
好ましくは、エネルギー伝達システムはホイールを含む。
【0025】
好ましくは、エネルギー伝達システムは自転車ホイールを含む。
【0026】
本明細書で使用するとき、「偏心的に結合された」という用語は、2つの回転構成部品が、同時回転を容易にする一方で互いに対する偏心変位も可能である方法で互いに固定されることを意味することを意図する。
【0027】
次に添付図面を参照して本発明を記載する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の実施形態による、自転車ホイールの形態であり、その駆動側から示されるエネルギー伝達システムの斜視図を示す。
図2図1に示される自転車ホイールの側面図を示す。
図3図1および2に示される自転車ホイールの端面図を示す。
図4】自転車ホイールの中央部分の断面端面図を示す。
図5】自転車ホイールの非駆動側からの分解斜視図を示し、ホイールの一部を形成するハブは、明確にするために省略されている。
図6図1~5に示す自転車ホイールの一部を形成する外側ハブおよび接続されたスポークの片側の斜視図を示す。
図7】本発明の自転車ホイールの主要な作動部品の選択範囲の側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
ここで添付の図面を参照すると、自転車(図示せず)またはそれに類するものなどの人力車両に特定の用途を有する、全体的に10として示される車両ホイールの形態のエネルギー伝達システムが示されており、ホイール10は、後述するように、車両の乗り手および/または乗員の重さによって生成される負荷の一部の形のポテンシャルエネルギーを、車両ホイール10に適用される駆動トルクの形の運動エネルギーに変換することにより、車両の効率を高めるように適合されている。
【0030】
このようにして、例えば自転車を漕ぐことにより、車両に動力を供給する際に乗り手が必要とする労力を減らすこと、または乗り手の一定の労力に対して車両が移動する速度を上げることが可能である。しかしながら、本エネルギー伝達システムは、例えば発電等のために、ポテンシャルエネルギーを運動エネルギーに変換するための代替の用途を有し得ることが理解されるべきである。
【0031】
ホイール10は、構成および動作が実質的に従来型である内側ハブ12を備え、内側ハブ12は通常、車軸(図示せず)上で内側ハブ12を支持するために、軸受け(図示せず)の配列を収容し、この車軸は内側ハブ12から取り外し可能であってもなくてもよい。使用中、この車軸は、フレーム内の従来の一対のドロップアウトを介して、または任意の他の適切な手段によって、ホイール10を自転車のフレーム(図示せず)に固定するために使用される。内側ハブ12はまた、ホイール10が自転車ホイール10の形態である場合、クランク(図示せず)またはそれに類するものの従来のセットを介して駆動力が乗り手からホイール10に伝達されることを可能にするために、1つまたは複数の歯車が固定され得る従来型のフリーハブ(図示せず)またはフリーホイール(図示せず)を含むが、電気自転車やいわゆる「eバイク」で今や一般的になっているように、自転車のホイール10に動力を供給するために、または乗り手によってクランクで生み出された動力に対して電動アシストを提供するために、モータまたはそれに類するものを提供することもできる。大部分の自転車では、自転車ドライブトレインとして知られる上記の駆動構成要素は、自転車に着座する乗り手の視点から見て自転車の右側に位置する。したがって、自転車のこの側、特に後輪のこの側は「駆動」側として知られ、一方で反対側は「非駆動」側として知られている。
【0032】
ホイール10はさらに、内側ハブ12を取り囲む外側ハブ14を含み、これに対して内側ハブ12は半径方向に変位可能であるが、内側ハブ12と外側ハブ14は、以下でより詳細に記載するように、それら2つの部品が、互いに対して同心または偏心して配置されているかどうかに関係なく同時に回転するようにトルクが外側ハブ14と内側ハブ12との間で伝達されることを可能にする方法で結合される。
【0033】
ホイール10はまた、使用時にチューブおよびタイヤ(図示せず)を従来の方法で取り付けることができる実質的に従来型のリム16を備え、リム16は、剛性スポーク18の配列によって外側ハブ14に固定される。従来の自転車スポークとは異なり、スポーク18は、数はより少ないが、再び以下で詳細に記載するように、リム16へのトルクの伝達において、そして最終的には車両ホイール10が位置する地面への駆動力の伝達において重要な構造部品であるため、サイズおよび強度はより大きい。スポーク18は、中実または中空であり得、金属、例えばアルミニウム合金等などの任意の適切な材料から形成され得、その場合、外側ハブ14およびリム16の両方に溶接または他の方法で固定され得る。あるいは、リム16、スポーク18、および外側ハブ14は、金属または炭素繊維等の複合材料から単一の部品として成形することができ、これにより適切なレベルの強度および剛性を維持しながらホイール10の重量が大幅に削減される。もちろん、以下の記載から、任意の他の適切な材料または材料の組み合わせを選択して、ホイール10のこれらの構成要素を形成できることが理解されよう。
【0034】
図示の実施形態では、ホイール10は8つのスポーク18を備えるが、この数は、例えば、使用中にホイール10が負担する荷重に応じて増減できることが理解されよう。ホイール10は、内側ハブ12に固定され、内側ハブ12から半径方向外方に延び、両側に1つずつある一対の環状フランジ20の形態のアクチュエータをさらに含む。環状フランジ20は、別個の構成要素として提供され、内側ハブ12にボルト締めまたは他の方法で固定されてもよく、または内側ハブ12のメインシェルの一部を形成し、そこから半径方向外向きに延びる一体型フランジ20として提供されてもよい。フランジ20のそれぞれは、円周方向に延びるスロット22の配列の形態の開口部を含み、スロット22の数はスポーク18の数に対応し、したがって、図示の実施形態では8つのスロット22が設けられる。各スロット22は、以下に記載する理由により、それぞれのフランジ22に湾曲した開口部またはスロット22を画定するように、円周経路をたどるのが好ましい。
【0035】
ホイール10は、スポーク18およびスロット22のそれぞれに関連付けられたレバーアーム24の円周方向に配置された配列をさらに含み、その第1の端部26は、以下でより詳細に記載するように外側ハブ14に回動可能に取り付けられる。レバーアーム24は、実質的にL字形であり、L字形レバーアーム24のエルボーは、一対の当接部27を介して一対のフランジ20に結合または係合され、一方の当接部は、各スロット22の中に延びるように、したがってその内部に捕捉されるようにレバーアーム24のエルボー領域の両側から横方向外側に突出している。各レバーアーム24のエルボーは、第1の端部24によって定められる支点から最も遠い点を表し、したがって、以下に記載するように、てこの効果を最も効率的に利用する。当接部27は、好ましくは、スロット22の幅よりもわずかに小さい直径を有する支持部27によって画定される。したがって、使用中、各支持部27は、それぞれのフランジ20のスロット22の1つに捕捉されて、支持部27が、各レバーアーム24と一対のフランジ20との間の接続点における摩擦を最小限にしながらスロット22内を長手方向に移動することを可能にする。スロット22は、実質的に円周方向に延び、支持部27の直径よりも長さが長く、後述するように、ホイール10の動作中、スロット22に沿った支持部27の前記移動を可能にする。スロット22の長さは、様々な要因によって、特にレバーアーム24が外側ハブ14上で回動するときに支持部27が経験する運動の弧、したがってレバーアーム24自体の寸法によって決定される。
【0036】
実質的にホイール10の半径方向に延在し、隣接するスポーク18の対の間に位置するレバーアーム24の第2の端部28は、第2の端部28と、隣接するスポーク18の一方との間に捕捉される圧縮ばね30に固定される。ばね30は、レバーアーム24をスポーク18から離れるように付勢するように、したがって、スロット22の上縁に対して半径方向外側にフォロワ27を引くように構成され、スロット22は後述するように、支持部27の動き、ひいては支持部27が構成部品であるレバーアーム24の動きを制限するようにカムの面と同様に作用する。
【0037】
特に図4を参照すると、レバーアーム24を収容するために、外側ハブ14は、好ましくは、互いに平行に離間した関係にある一対の環状プレート32として形成され、プレート32間の空間は、レバーアーム24の配列を収容する。したがって、レバーアーム24の第1の端部26は、例えば、一対のプレート32の間で軸方向に延びる適切なピンまたはスピンドル(図示せず)上で、外側ハブ14を形成する一対の環状プレート32の間で回動可能に捕捉される。環状プレート32のそれぞれは、それぞれの支持部27を支持する支持スピンドル(図示せず)がそのそれぞれを通って延びる半径方向に延びる開口部33の配列を備えている。一対のフランジ20は環状プレート32の外側に位置し、したがって支持部27は開口部33を通過し、それぞれが開口部33の1つと重なるスロット22に捕捉される。開口部33は、スロット22に沿った支持部27の少量の動きに対応する形状および寸法である。開口部33の形状、位置および向きは、図5および6でより明確に見ることができる。図5は、ホイール10の非駆動側の分解図を示し、明確にするために、内側ハブ12および駆動側構成要素は省略されている。図6は、スポーク18および外側ハブ14の非駆動側プレート32を示す。使用中、レバーアーム24の配列は、外側ハブ14を形成する一対のプレート32の間に部分的に捕捉され、各レバーアーム24の第2の端部28は、隣接するスポーク18の間に画定されたギャップを通って半径方向外側に突出する。
【0038】
したがって、無負荷状態(自転車に乗り手がいない状態)では、ばね30のそれぞれは、それぞれのレバーアーム24をそれぞれのスポーク18から離れるように付勢するように、したがって、支持部27をそれぞれのスロット22の半径方向外側縁部に対して半径方向外側に引くように作用し、その結果、一対の環状フランジ20はその全周の周りに等しく負荷を受けることが理解される。その結果、ホイール10の負荷が除去されると、ホイール10に加えられる外部負荷がない場合、外側ハブ14は内側ハブ12の周りに実質的に同心に保持される。したがって、外側ハブ14および接続されたリム16は、レバーアーム24、ばね30および環状フランジ20の円形配列によって、内側ハブ12上で本質的に浮いている。この無負荷状態では、各支持部27は、それぞれのスロット22の長さに沿ったほぼ中間に位置する。
【0039】
特に図7を参照すると、ホイール10に負荷が加えられると、例えば、ホイール10が取り付けられている自転車に乗り手が着座すると、乗り手の重さは、特に、既知の方法で車軸(図示せず)を介して自転車フレームに固定される内側ハブ12を介してホイール10に下向きに作用する。この重さベースの負荷は、重力の影響下で実質的に垂直方向に下向きに作用し、内側ハブ12を下方に押し、この間、スポーク18を介してリム16にしっかりと接続されている、したがってホイール10が位置する地面によって支持されている外側ハブ14はその垂直位置に固定されたままである。
【0040】
内側ハブ12が外側ハブ14に対して下方に移動すると、内側ハブ12に固定された一対のフランジ20も下方に移動し、その結果、内側ハブ12と外側ハブ14との間に相対移動が生じる。したがって、内側ハブ12の下半分は、外側ハブ14の下半分に向かって移動するが、内側ハブ12の上半分は、外側ハブ14の上半分から離れるように移動する。この相対移動中、支持部27は、内側ハブ12のフランジ20のスロット22に捕捉されたままであり、支持部27はレバーアーム24を介して外側ハブ14に接続されている。その結果、半径方向内側に作用する力がフランジ20によって、ホイール10の上部領域に沿って位置する支持部27に加えられる一方、半径方向外側に作用する力が、ホイール10の下部領域に沿って位置する支持部27に加えられる。これらの力は、内側ハブ12および外側ハブ14の間の最大相対変位が生じるホイール10の上部および底部位置に向かって、したがって支持部27のいわゆる12時と6時の位置で最大である。上部領域に沿って、力は12時と3時の位置の間で徐々に減少し、以下でより詳細に記載するように、3時と9時の位置の間では力は本質的に加えられない。
【0041】
これにより、ホイール10の上部周りのこれらのレバーアーム24は、加えられた力の方向に半径方向内向きに回転し、スポーク18に対してばね30を圧縮するように第2の端部28を関連するスポーク18に向かって変位させ、その結果、ばね30が反力をスポーク18に加える。この反力は、外側ハブ14の中心軸に対して接線方向に、かつそれから離れて作用し、スポーク18、リム16および外側ハブ14を含むホイール10の外側部分を回転させるように作用し、したがって、使用時にホイール10を駆動する働きをするトルクをホイール10のこの外側部分に効果的に加え、人の重さの一部を効果的に前進運動または駆動力に効果的に変換する。レバーアーム24の回転変位により、それぞれの支持部27が、ホイール10の駆動側から見たときに反時計回り方向にそれぞれのスロット22の左端に向かって変位する。ばね30によって生成された反力に対する抵抗またはバックストップを提供して、各スポーク18を介してリム16に加えられた回転またはトルクに反力が伝達されることを保証するために、各スロット22は、ホイール10の駆動側から見た場合にスロット22の左側に据えられたゴム製バンパ34の形態の弾性変形可能なストッパを組み込む。バンパ34は、スロット22がほぼ12時の位置にあるときに、支持部27によって最初に接触されるように配置され、かつそのような寸法であり、反力が外側ハブ14と内側ハブ12との間に作用することを確実にする。各スロット22および支持部27が3時の位置に向かって回転するにつれ、支持部27はバンパ34の方向にスロット22に沿ってさらなる変位を経験し、バンパ34はこの変位を可能にする一方で、ばね30によって生成された反力がスポーク18を介して方向付けられてホイール10を駆動することを確実にする抵抗を提供する。3時の位置の後、支持部27は、バンパ34から離れて接触から外れ、スロット22の中心に向かって戻り始め、それぞれのばね30を弛緩するようにレバーアーム24を回動させ、したがって、バンパ34によって提供される抵抗は、ばね30によって生成されてリム16に伝達される反力がないので、もはや必要ない。3時の位置と6時の位置の間で、支持部27は、スロット22の中心点に移動する。バンパ34のサイズおよび形状は、必要に応じて変えることができ、また、例えば、支持部27のさらなる変位に対する必要な抵抗を提供するばね等の形態であることもできることを理解されたい。
【0042】
関連する車両(図示せず)の前進移動中にホイール10が回転するとき、スロット22のそれぞれは、フランジ20が内側ハブ12と共に回転するにつれて6時の位置から上方に最上位置に順次回転し、この際それぞれのレバーアーム24は、関連するばね30を回転および圧縮するように強いられ、したがって接続されたスポーク18に力を加える。この力は、9時の位置から、ばね30が最大の圧縮を経験する12時の位置まで徐々に増加し、その後、ホイールが12時から3時の位置に移動するときに、スポーク18を介して再び伝達されて、ホイール10を駆動する。このようにして、トルクは、主に12時と3時の位置の間で、ホイール10の外側部分に連続的に加えられ、ホイール10の上部は地面と接触しておらず、したがってホイール10の下部のように外側ハブ14と地面の間に捕捉されない。この力をホイール10の最下部でスポーク18に加えると、自由に回転するホイールの上部に加えられるトルクとは対照的に、スポーク18に対して横方向の力が働くだろう。
【0043】
各スロット22が最上位置から時計回りに回転して最下位置すなわちいわゆる6時の位置に入ると、フランジ20と外側ハブ14の間の相対位置が変わり、スロット22は支持部27を半径方向外側に押し、したがって、最下位置すなわち6時の位置にあるレバーアーム24は、関連するスポーク18から離れるように第2の端部28を回動し、その結果、この最下位置でスポーク18に対して力が加えられないように、ばね30の弛緩がもたらされる。スポーク18に加えられる力は、最上位置すなわち12時の位置における最大の力から、最下位置すなわち6時の位置における力のない状態まで徐々に減少し、最大の反力は12時と3時の位置の間で存在することが理解されよう。
【0044】
トルクはスポーク18を介してリム16に加えられ、およびホイール10のこの外側部分は内側ハブ12にしっかりと接続されていないため、内側ハブ12と外側ハブ14をねじり結合し、ホイールのこれら2つの部分が互いに対して回転しないことを確実にする必要がある。互いに対する回転はホイール10を動作不能にするであろう。ホイール10のこれらの2つの部分間のトルク継手はまた、乗り手によって車両ドライブトレイン(図示せず)を介して内側ハブ12から外側ハブ14まで、およびそこからスポーク18およびリム16を経由して地面まで加えられるような従来のトルク伝達を容易し、関連する車両の前進移動をもたらすために必要である。
【0045】
したがって、ホイール10は、好ましくはホイール10の各側にトルク継手を含み、このトルク継手はトルクディスク36を含み、トルクディスク36は、フランジ20と、外側ハブ14のそれぞれの環状プレート32によって定められるホイール10の側面との間にトルクディスク36を捕捉または挟むためにエンドキャップを効果的に画定するそれぞれのフランジ20によってホイール10のそれぞれの側に対して適所に保持される。トルクディスク36は、半径方向に延びる第1のガイド経路38の対向ペアと、垂直に配置された半径方向に延びる第2のガイド経路40の対向ペアとを含む。トルク継手はさらに、外側ハブ14に固定され、外側ハブ14から外側に突出し、第1のガイド経路38内に捕捉された、第1のガイド42の対応するペアに加えて、フランジ20に固定され、フランジ20から外側に突出し、第2のガイド経路40内に捕捉された第2のガイド44のペアをさらに含む。ガイド経路38、40およびガイド42、44は、ホイール10が無負荷状態になり、したがって、外側ハブ14が内側ハブ12の周りに同心円状に配置されると、ガイド42、44がそれぞれのガイド経路38、40に沿ったほぼ中間に配置されるように配置される。この配置は、内側ハブ12と外側ハブ14との間の偏心結合または移動を可能にする一方、ホイール10のこれらの2つの部分の間でトルクを伝達する能力を保持する。
【0046】
このようにして、リム16、スポーク18および外側ハブ14によって定められるホイール10の外側部分は、レバーアーム24およびばね30によって内側ハブ12の周りに吊り下げられ、したがって、負荷がかかると、内側ハブ12の周りに偏心的に配置されるが、それにもかかわらずトルクは、内側ハブ12と外側ハブ14の間で伝達され得る。トルクディスク36は本質的に内側ハブ12と外側ハブ14の間で浮遊し、ガイド経路38、40は、トルクディスク36の半径方向移動を可能にする一方、第1および第2のガイド42、44を介して、2つの平行であるが同軸ではない回転ハブ12、14間のトルクの伝達も実行する。ホイール10の回転中、トルクディスク36は、内側ハブ12からのトルクをフランジ20および第2のガイド44を経由して外側ハブ14へ第1のガイド42を経由して伝達する。各トルクディスク36は、ホイール10の回転中に円軌道を辿り、トルクディスク36の中心点は、入力と出力、つまり内側ハブ12と外側ハブ14の中間点の周りで円軌道を辿る。トルクディスク36は、内側ハブ12と接触することなくこの軌道運動を促すために、拡大された中央開口部を備える。内側ハブ12、外側ハブ14およびトルクディスク36の偏心位置が図7に示されている。
【0047】
カバープレート46が、好ましくはホイール10の両側に設けられて、それぞれのフランジ20に重なって、したがってスロット22および支持部27を両方の審美的理由から閉塞し、損傷を及ぼす物品または破片またはそれらに類するものの進入に対して動作構成要素をある程度保護する。
【0048】
ばね30のばね定数は、例えば自転車の乗り手の重さによって決定されるような、ホイール10によって支えられる負荷の重さに応じて、最適な性能を得るために調整を必要とする場合があることが理解されよう。したがって、各ばね30は、各ばね30のばね定数を増加または減少させるために、適切な工具または手のいずれかで手動で調整され得る調整可能なテンショナ(図示せず)を備え得る。レバーアーム24の寸法は、前述のように車両ホイール10の適切な動作を提供するために、必要に応じて変更できることも理解されたい。
【0049】
したがって、本発明の車両ホイール10の形態のエネルギー伝達システムは、運転者の重さの一部を、車両ホイール10に加えられるトルクに変換することによって、人力車両の運転者によって提供される従来の動力を補う手段を提供する。
【0050】
本発明は、本明細書に記載された実施形態に限定されず、本発明の範囲から逸脱することなく修正または変更することができる。例えば、本発明によるエネルギー伝達システムは、ポテンシャルエネルギーを電気等に変換するために、またはシステムの動きに直接関連しない内部駆動構成要素等の変位の実行または支援のために使用され得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7