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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-08
(45)【発行日】2023-05-16
(54)【発明の名称】基材リフト機構及びこれを含む反応器
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/205 20060101AFI20230509BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20230509BHJP
   C23C 16/458 20060101ALI20230509BHJP
【FI】
H01L21/205
H01L21/68 N
C23C16/458
【請求項の数】 18
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018134645
(22)【出願日】2018-07-18
(65)【公開番号】P2019036717
(43)【公開日】2019-03-07
【審査請求日】2021-07-05
(31)【優先権主張番号】15/672,096
(32)【優先日】2017-08-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516317045
【氏名又は名称】アーエスエム・イーぺー・ホールディング・ベスローテン・フェンノートシャップ
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100188329
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 義行
(72)【発明者】
【氏名】エリック・ヒル
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ディサント
【審査官】桑原 清
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-135147(JP,A)
【文献】特開2001-126995(JP,A)
【文献】米国特許第07301623(US,B1)
【文献】特開2001-010894(JP,A)
【文献】特開2013-138164(JP,A)
【文献】特表平09-509534(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/205
H01L 21/683
C23C 16/458
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
共通の基材処理及び搬送領域を備える反応器であって、前記反応器は、
反応領域を備える反応チャンバーと、
前記反応領域内に上面を有するサセプタと、
基材リフト機構であって、
少なくとも1つのリフトピンと、
前記少なくとも1つのピンに取り外し可能に係合するリフトピン支持部材と、
前記リフトピン支持部材に連結する可動シャフトと、を備える基材リフト機構と
回転可能なシャフトと、
1つ又は複数のサセプタ支持アーム及び1つ又は複数のサセプタ支持構造体を備え、前記回転可能なシャフトに連結するサセプタ支持体と、を備え、
前記基材リフト機構は、前記少なくとも1つのリフトピンを前記サセプタの垂直幅を貫通し、表面の上に延在させ、
前記1つ又は複数のサセプタ支持アームは、前記1つ又は複数のサセプタ支持構造体のうちの1つのサセプタ支持構造体の径方向外側の位置で、前記少なくとも1つのリフトピンを受け入れる開口部を備え、
前記1つ又は複数のサセプタ支持構造体は、前記サセプタと係合する、反応器。
【請求項2】
前記可動シャフトは、基材搬送プロセス中に5mm~25mmの距離を横切る、請求項1に記載の反応器。
【請求項3】
前記少なくとも1つのリフトピンの長さは、20mm~40mmの範囲である、請求項1に記載の反応器。
【請求項4】
前記少なくとも1つのリフトピンは上面を備え、前記基材リフト機構が前記上面を、前記上面の下から前記表面の上へ、最大22mm延在させる、請求項1に記載の反応器。
【請求項5】
前記サセプタは中心領域及び周辺領域を備え、前記中心領域の垂直幅は前記周辺領域の垂直幅よりも大きい、請求項1に記載の反応器。
【請求項6】
前記周辺領域の前記垂直幅は、3mm~6.5mmの範囲である、請求項5に記載の反応器。
【請求項7】
前記中心領域の前記垂直幅は、6mm~10mmの範囲である、請求項5に記載の反応器。
【請求項8】
前記反応器は、端部を有する少なくとも1つの熱電対を更に備え、前記熱電対は前記可動シャフトを貫通して延在し、前記端部は前記中心領域内の開口部内に受け入れられる、請求項5に記載の反応器。
【請求項9】
前記サセプタは、炭化ケイ素で被覆されるグラファイトを備える、請求項1に記載の反応器。
【請求項10】
記サセプタは、前記サセプタ支持体に連結し、前記回転可能なシャフトの回転運動を前記サセプタへ伝える、請求項1に記載の反応器。
【請求項11】
前記1つ又は複数のサセプタ支持構造体は、SiC、SiC被覆グラファイト、または石英を含む、請求項に記載の反応器。
【請求項12】
前記サセプタは、前記リフトピン支持部材が前記少なくとも1つのリフトピンと係合していない場合に、前記少なくとも1つのリフトピンを保持する、請求項に記載の反応器。
【請求項13】
基材支持アセンブリであって、
サセプタと、
前記サセプタに連結するサセプタ支持体と、
前記サセプタ支持体に連結する回転可能なシャフトと、
リフトピン支持部材と、
前記リフトピン支持部材に連結する1つ又は複数のリフトピンと、
前記リフトピン支持部材に連結する可動シャフトと、
基材搬送プロセスの間、前記可動シャフトを垂直方向に移動させるリフトピン機構と、
基材処理の間、前記サセプタを回転させるサセプタ回転機構と、を備え、
前記サセプタ支持体は、複数のサセプタ支持アーム、及び前記複数の支持アーム各々と連結する又は一体化する1つ又は複数のサセプタ支持構造体を備え、
前記サセプタは、基材搬送中に垂直方向に移動せず
前記サセプタは、前記リフトピン支持部材が前記少なくとも1つのリフトピンと係合していない場合に、前記1つ又は複数のサセプタ支持構造体のうちの1つのサセプタ支持構造体の径方向外側の位置で、前記少なくとも1つのリフトピンを保持する、基材支持アセンブリ。
【請求項14】
前記複数のサセプタ支持アームのうちの少なくとも1つは、リフトピンを受け入れる開口部を備える、請求項13に記載の基材支持アセンブリ。
【請求項15】
前記サセプタは、中心領域及び周辺領域を備え、前記中心領域の垂直幅は前記周辺領域の垂直幅よりも大きい、請求項13に記載の基材支持アセンブリ。
【請求項16】
端部を有する少なくとも1つの熱電対を更に備え、前記熱電対は前記可動シャフトを貫通して延在し、前記端部は前記中心領域の開口部内に受け入れられる、請求項15に記載の基材支持アセンブリ。
【請求項17】
基材を搬送及び処理する方法であって、前記方法は、
基材処理及び基材搬送のための共通領域を備える反応器を提供する工程と、
請求項13に記載の前記基材支持アセンブリを提供する工程と、
基材を前記共通領域へ提供する工程と、
前記1つ又は複数のリフトピンを下方位置に移動させて、前記基材を処理位置に配置する工程と、
前記基材を処理する工程と、
前記1つ又は複数のリフトピンを上方位置に移動する工程と、
前記基材を前記共通領域から除去する工程と、を含む、方法。
【請求項18】
前記基材を除去する前記工程は、処理位置において、前記サセプタの上面の上の開口部を通って、前記共通領域から前記基材を除去する工程を更に含む、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概ね気相プロセスのための装置に関する。より具体的には、本開示の例示的な実施形態は、共通の基材搬送及び処理領域を含む反応器、並びにその中での使用に適した基材リフト機構に関する。
【背景技術】
【0002】
基材、例えば半導体ウェーハを処理する気相反応器は、しばしば反応チャンバー内にサセプタを含む。処理中、1つ又は複数の基材が、ロボットアームを使用して反応チャンバー内及びサセプタ上に配置される。処理後、基材は、ロボットアームを使用してサセプタの表面から、及び反応チャンバー内の開口部から除去される。
【0003】
多くの場合、反応チャンバー内に比較的小さな反応空間又は領域を確保することが望ましい。比較的小さな反応空間は、より効率的な基材処理を可能にする。例えば、比較的小さな反応空間で基材を処理する場合、より大きな反応空間と比較して反応物質の使用をより少なくすることができ、及び/又は比較的小さい反応空間を使用して基材を処理する時間は、より大きな反応空間で基材を処理する時間よりも短くすることができる。サセプタ上への基材の配置とサセプタからの基材の除去を可能にするのと同時に、反応チャンバー内で比較的小さい反応空間を可能にするために、多くの場合、反応チャンバーは、反応チャンバー内に開口部を含み、サセプタ上への基材の配置とサセプタからの基材の除去を可能にする別個のウェーハ搬送領域を含む。
【0004】
基材搬送プロセスの間に、サセプタの垂直幅を貫通し、そして越えて延在するリフトピンが、サセプタの表面上への基材の配置及び表面からの基材の除去を容易にするために時々使用される。このような場合、サセプタが反応チャンバーの基材搬送領域内に存在するように配置(下降)することと、リフトピンをサセプタの表面より上に上昇させることと、基材をリフトピン上に配置することと、リフトピンを下降させて基材をサセプタ上に載置することと、により、基材をサセプタ上に配置することができる。そして、サセプタ及び基材を、基材が反応チャンバーの反応領域内に存在するように、処理位置に移動(上昇)させることができる。
【0005】
このような技術は、基材を反応器内の反応空間内に配置し、反応空間から基材を除去するために比較的良好に機能するが、サセプタ及びリフトピンを移動させる機構は比較的複雑である。更に、このような技術を用いている反応器は、特に基材処理中に、反応領域と基材搬送領域との間で望ましくないガス流をもたらすことがある。望ましくないガス流は、基材搬送領域内で堆積及び/又は反応器の腐食をもたらすことがある。更に、このような反応器の容積は、反応チャンバーの処理/反応領域及び基材搬送領域の両方に対応するために比較的大きい。更に、サセプタを搬送領域に移動させ、リフトピンを移動させる多段階プロセスは、比較的時間がかかる。したがって、基材を搬送及び処理するための改善された機構及び技術が望まれている。
【発明の概要】
【0006】
本開示の様々な実施形態は、基材を処理し、搬送するための改良された方法及び装置を提供する。以下でより詳細に説明するように、様々なシステム及び方法は、反応器内の領域内で基材を処理し、反応器内の同じ領域へ/領域から基材を搬送することができる反応器及び/又は使用方法を提供する。言い換えれば、反応器は、共通の処理領域及び搬送領域を含む反応チャンバーを含むことができる。したがって、反応器全体の容積は比較的小さくてもよく、反応器は複雑ではなく、信頼性が高く、安価であり、並びに短時間に及び/又は安価な方法で基材を維持及び/又は処理がよりし易いということができる。
【0007】
本開示の少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、共通の基材処理領域及び搬送領域を備える反応器は、反応領域を含む反応チャンバーと、反応領域内に上面を有するサセプタと、基材リフト機構とを含む。基材リフト機構は、少なくとも1つのリフトピンと、少なくとも1つのピンと、(例えば、取り外し可能に)連結するように係合するリフトピン支持部材と、リフトピン支持部材に結合する可動シャフトとを含むことができる。基材リフト機構は、少なくとも1つのリフトピンをサセプタ表面上に延在させる。これらの実施形態の様々な態様によれば、可動シャフトは垂直方向に移動する。基材搬送プロセス中に可動シャフト及びリフトピンが移動する距離は、約5mm~約25mm、約10mm~約20mmの範囲、又は約17mmとすることができる。これらの実施形態の更なる態様によれば、サセプタは、中央領域及び周辺領域を含む。中央領域の幅は、周辺領域の幅より厚くすることができる。このような設計は、比較的狭い周変幅を有するサセプタを容易に形成することができ、基材処理と搬送の両方のための共通領域を容易に使用にすることができる。反応器は、回転可能なシャフトと、回転可能なシャフトに連結するサセプタ支持体と、を更に含むことができる。サセプタは、サセプタ支持体に連結し、回転可能なシャフトの回転運動をサセプタに伝える。これらの実施形態の様々な例によれば、反応チャンバーの内外に基材を搬送するための反応チャンバー内の開口部は、サセプタが処理位置にある場合にサセプタの上面の上にある。
【0008】
本開示の少なくとも1つの他の実施形態によれば、基材支持アセンブリは、サセプタ、サセプタに連結するサセプタ支持体、サセプタ支持体に連結する回転可能なシャフト、リフトピン支持部材、リフトピン支持部材に連結する1つ又は複数のリフトピン、リフトピン支持部材に連結する可動シャフト、可動シャフトを垂直方向に移動させるリフトピン機構、及び基材処理中にサセプタを回転させるサセプタ回転機構を含む。基材の搬送プロセス中にサセプタが垂直方向に移動しないように、基材支持アセンブリを構成することができる。これらの実施形態の様々な態様によれば、サセプタ支持体は、複数のサセプタ支持アームと、各々のサセプタ支持アームに連結する1つ又は複数のサセプタ支持構造体とを含む。サセプタアームは、1つ又は複数のリフトピンのうちの1つを受け入れる開口部を備えることができる。サセプタは、上述の及び本明細書の他の部分に記載のサセプタと同じであっても、又は類似していてもよい。
【0009】
本開示の少なくとも1つの更なる例示的な実施形態によれば、基材を搬送及び処理する方法は、基材処理及び基材搬送のための共通領域を備える反応器を提供する工程と、基材支持アセンブリ、例えば上述の及び本明細書の他の部分に記載のアセンブリを提供する工程と、基材を共通領域へ提供する工程と、リフトピンを下方位置に移動させて基材を処理位置に配置する工程と、基材を処理する工程と、リフトピンを上方位置に移動させる工程と、基材を共通領域から除去する工程と、を含む。この方法は、例えば、サセプタが処理位置にある場合に、サセプタの上面の上方に位置する開口部を通して共通領域から基材を除去する工程を含むことができる。
【0010】
前述の発明の概要及び以下の発明を実施するための形態は、例示及び説明のみであり、本開示も特許請求の範囲も限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
詳細な説明及び特許請求の範囲を参照することにより、以下の例示的な図面に関連して考慮すると、本開示の実施形態をより完全に理解することができる。
図1】本開示の例示的な実施形態による反応器を例示する。
図2】本開示の追加の実施形態による基材支持アセンブリの構成要素を例示する。
図3】本開示の例示的な実施形態によるリフト/回転機構を例示する。
図4】同上。
図5】同上。
【0012】
図面内の要素は、簡潔かつ明瞭にするために例示されており、必ずしも縮尺通りに描かれていないことが理解されるであろう。例えば、図面内のいくつかの要素の寸法は、本開示の例示される実施形態の理解を向上させるのを助けるために、他の要素に対して誇張されてもよい。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に提供される方法及び装置の例示的な実施形態の説明は単なる例示であり、例示のみを目的としており、以下の説明は、本開示の範囲も特許請求の範囲も限定することを意図しない。更に、記載された特徴を有する複数の実施形態の列挙は、追加の特徴を有する他の実施形態も、記載された特徴の異なる組み合わせを組み込んだ他の実施形態も排除することを意図しない。
【0014】
本開示に示された任意の範囲は、終点を含む、又は除外することができる。更に、示された変数の任意の値は(それらが「約」で示されているか否かにかかわらず)、正確な値又はおおよその値を指し、等価物を含み、平均値、中央値、代表値、又は大多数等を指してもよい。
【0015】
ここで図1を参照すると、本開示の少なくとも1つの実施形態による反応器100が例示されている。反応器100は、反応領域104と基材リフト機構106とを含む反応チャンバー102を備える。以下でより詳細に説明するように、基材搬送動作中、基材リフト機構106は、反応領域104内のサセプタ118の上面122上へ基材116を容易に配置にして、反応チャンバー102の開口部120を通って基材116を除去することができる。
【0016】
反応チャンバー102を、例えば石英で形成することができ、単一部品、例えばチューブとして形成することができる。一例として、反応チャンバー102内の反応領域104は、約350mm~約450mm(又は~約420mm程度)の幅、約400mm~約800mmの長さ(又は約760mm程度)の長さ、及び約20mm~約40mmの高さ(又は約30mm程度)の高さを有する矩形の断面を有することができる。上述のように、反応チャンバー102は、(例えば、表面122が処理位置にある場合)サセプタ118の上面122の上にある開口部120を備える。
【0017】
反応チャンバー102は、様々な用途、例えばフィルム(例えばエピタキシャル)堆積プロセス、エッチングプロセス、洗浄プロセス等に適することができる。更に、反応器100は、独立して動作する反応器であってもよく、又は類似の若しくは異なる反応チャンバーを含み得るクラスタツールの一部を形成してもよい。
【0018】
基材リフト機構106は、少なくとも1つのリフトピン108、110と、少なくとも1つのピン108、110に係合可能かつ連結可能なリフトピン支持部材112と、リフトピン支持部材に機械的に連結する可動シャフト114とを備える。基材搬送プロセスの間、基材リフト機構106は、少なくとも1つのリフトピン108、110を上昇又は下降させて、基材116を表面122上に配置し、及び/又は基材116を表面122から除去することができる。
【0019】
リフトピン108、110は、任意の適切な材料で形成されることができる。例えば、リフトピン108、110は、炭化ケイ素(SiC)、SiC被覆グラファイト、石英、又はガラス状炭素で形成されることができる。2つのリフトピン108、110が図1に示されているが、反応器100は3つの(例えば、等しく)離間されたリフトピンを備える。本開示の他の実施形態による反応器は、任意の適切な数のリフトピンを備えることができ、一般的に、3つ以上のリフトピンを備える。リフトピン108、110の長さLは、用途に応じて変えることができる。一般的に、リフトピン108、110は、例えば、ロボットアーム(例示せず)から基材116を受け取る場合、又はロボットアームが受け取るように基材116を渡す場合に、リフトピン108、110がサセプタ118の幅Wを貫通し、サセプタ上面122の上に延在することができる長さである。
【0020】
本開示のいくつかの実施形態によれば、リフトピン108、110は、約20~約40mm又は約30mmの長さLを有する。これは、典型的なリフトピンよりもかなり短い長さであり、共通領域、即ち反応領域104内で基材を処理及び搬送することができる。リフトピン108、110は、サセプタ118の一部内に受け入れられる斜面部分124を含むことができる。斜面部分124は、リフトピン108、110がサセプタ118内のビア126内に受け入れられ、所望のレベルに保持されることを可能にする(例えば、リフトピンの上面は、表面122とほぼ平面であってもよく、又は表面122の僅かに下(例えば、数mm以下)にあってもよい)。これにより、例えば、リフトピン支持部材112がリフトピン108、110と係合していない場合に、サセプタ118はリフトピン108、110を保持することができる。リフトピン108、110の上面128、130は、約3~約6mm、又は約4mmの直径を有することができる。搬送プロセス中に基材116への表面損傷を防止又は緩和するために、上面128、130を滑らかな仕上げ(例えば、約0.05~0.2μm以下の粗さ平均)に研磨することができる。
【0021】
リフトピン支持部材112は、リフトピン108、110及び可動シャフト114と係合する。例示の例では、リフトピン支持部材112は、リフトピン108、110に取り外し可能に係合し、可動シャフト114に連結している。これにより、以下でより詳細に説明するように、可動シャフト114は垂直方向にのみ移動することができ(かつ回転できない)、一方サセプタ118は、例えば基材処理中に回転することができる。リフトピン支持部材112を、例えば、SiC被覆グラファイト、石英、又はガラス状カーボンから形成することができる。
【0022】
図2に更に詳細に例示するように、リフトピン支持部材112は、複数のリフトピンアーム202、204を備える。2つのリフトピン支持アームが図2に例示されているが、例示のリフトピン支持部材は3つのリフトピン支持アームを備える。各リフトピン支持アーム202、204は、可動シャフト114と連結する第1の端部206、208と、リフトピン(例えば、リフトピン108、110の1つ又は両方)を受け入れて係合する第2の端部210、212と、を備える。第2の端部210、212は、例えば、リフトピン108、110の1つ又は両方の底部218、220を受け入れるための凹部214、216を備えることができる。リフトピン支持部材112は、例示のように、単一の部材とすることができる。あるいは、リフトピン支持部材は、可動シャフト114に連結する継手に連結する複数のアームを備えることができる。
【0023】
図1は、リフトピン支持部材112がリフトピン108、110と係合し、リフトピン108、110の上面128、130が表面122の上に存在するように、リフトピン108、110がリフトピン支持部材112と係合する場合のリフトピン108、110を例示する。図2は、リフトピン支持部材112がリフトピン108、110から外された場合、即ち、可動シャフト114が図1の可動シャフト114の位置に対して下方位置に移動された場合のリフトピン支持部材112を例示する。図2に例示するように、リフトピン支持部材112がリフトピン108、110から外れると、リフトピン108、110はサセプタ118によって保持され、支持部材112及び/又は可動シャフト114が回転することを必要とせずに、サセプタ118を回転させることができる。
【0024】
可動シャフト114は、中空チューブの形態である。可動シャフト114を、例えば、石英で形成することができる。本開示の例示的な実施形態によれば、可動シャフトは、5~約25mm(又は約17mm)の垂直距離を移動するように構成される。その結果、リフトピン108、110は、約5~約25mm(又は約17mm)移動することができ、リフトピン108は、表面122上、最大約5、10、又は20mmの高さまで延在することができる。
【0025】
サセプタ118を、例えば、SiC又はSiC被覆グラファイトから形成することができる。本開示の様々な実施例によれば、サセプタ118の幅Wは比較的小さく、単一の領域、例えば反応領域104におけるリフトピンを用いた基材の搬送及び処理を可能にする。本開示の様々な実施形態によれば、周辺領域222におけるサセプタ118の幅Wは、サセプタ118の中央領域224におけるサセプタ118の幅よりも小さい。この構成により、サセプタを回転させて他の機能を実行しながら、特に周辺領域において比較的薄いサセプタから、例えば熱電対の端部を保護し、基材116へ及び/又は基材116から所望の熱伝達を提供することができる。一例として、周辺領域222の幅は、約3~約6.5mm(又は約3.8mm)の範囲である。中央領域224の幅は、約6~約10mm(又は~6.4mm)の範囲とすることができる。
【0026】
上述のように、反応器100は、基材処理中に基材116を回転させるように構成することができる。この例示の例では、反応器100は、処理中にサセプタ118、結果として基材116を回転させるための回転可能なシャフト132とサセプタ支持体134とを備える。
【0027】
回転可能なシャフト132を、例えば、石英で形成することができる。回転可能なシャフト132は、サセプタ支持体134に連結して、回転可能なシャフト132の回転運動をサセプタ支持体134に伝えるように構成することができる。一例として、回転可能なシャフト132は、継手148を使用してサセプタ支持体134に連結することができる。
【0028】
図1及び図2に例示するように、サセプタ支持体134は、1つ又は複数の(例えば、複数の)サセプタ支持アーム226、228及び構造体136、138を含む。構造体136、138は、サセプタ118及びサセプタ支持アーム226、228と係合することができる。あるいは、構造体136、138を、サセプタ支持アーム226、228と一体的に形成することができる。サセプタ支持アーム226、228及び構造体136、138は、例えば、SiC、SiC被覆グラファイト、又は石英で形成されることができる。各サセプタ支持アーム226、228に対して1つの構造体136、138が例示されているが、サセプタ支持体134は、各サセプタ支持アーム226、228に対して複数の構造体136、138を含むことができる。本開示の例示的な実施形態によれば、複数のサセプタ支持アーム226、228のうちの少なくとも1つは、リフトピンを受け入れるための開口部140、142を含む。
【0029】
反応器100はまた、熱電対144を備えることができる。熱電対144は、例えば基材処理中にサセプタ118の温度を測定するために使用されることができる。図1に例示するように、熱電対144は、可動シャフト及び回転可能なシャフトを通って延在する端部146を備えることができる。端部146は、サセプタ118の中心領域224内に存在することができる。中心領域224は、熱電対144の端部146に対して追加の放射線遮蔽を提供することができる。
【0030】
本開示の更なる例示的実施形態によれば、基材支持アセンブリ230は、リフトピン108、110を昇降させてサセプタ118を回転させる構成要素を備える。これらの実施形態によれば、基材支持アセンブリ230は、サセプタ118、サセプタ支持体134、回転可能なシャフト132、リフトピン支持部材112、1つ又は複数のリフトピン108、110、可動シャフト114、基材搬送プロセス中に可動シャフトを垂直方向に移動させるリフトピン機構、及び基材処理中にサセプタ118を回転させるサセプタ回転機構を備える。上述のように、本開示の様々な実施例によれば、サセプタ118は、基材搬送中に垂直方向には移動せず、即ち、リフトピンを上昇及び/又は下降する場合、及び/又は基材搬送プロセスの他の工程中に、サセプタ118は垂直方向に移動しない。後述するように、リフトピン機構とサセプタ回転機構とを組み合わせることができる。
【0031】
図3-5は本開示の例示的な実施形態によるリフト/回転機構300を例示する。リフト/回転機構300を用いて、リフトピン(例えば、リフトピン108、110)を昇降させ、サセプタ(例えば、サセプタ118)を回転させることができる。図3は、リフト/回転機構300の背面斜視図を例示し、図4は、リフト/回転機構300の正面斜視図を例示し、図5は、リフト/回転機構300の簡略化した断面図を例示する。
【0032】
図3及び図4を参照すると、例示の例では、リフト/回転機構300は、サセプタロータリーアクチュエータ302、ピンリフトアクチュエータ304、ロータリーシグナルジャンクションブラケット、管状シール308、管状シール支持体310、サセプタ手動アクチュエータ312、熱電対シグナルロータリージャンクション314、及び取り付けブラケット316を含む。
【0033】
サセプタロータリーアクチュエータ302を使用して、サセプタ、例えばサセプタ118に回転運動を与える。一例として、サセプタロータリーアクチュエータ302は、回転可能なシャフト132に回転運動を与えて、例えば基材の処理中に回転駆動歯車512を用いて、サセプタ118を回転させるように構成される。例示的な回転速度は、約5rpm~約150rpm、約10rpm~約50rpmの範囲、又は約35rpmとすることができる。
【0034】
ピンリフトアクチュエータ304は、リフトピン(例えば、リフトピン108、110)を垂直方向に移動するように構成されている。一例として、ピンリフトアクチュエータ304は、ピンリフトキャリッジ502をリニアスライドレール504に沿って垂直に移動させる。キャリッジ502は、(例えば、ピンリフトシャフト取り付けスリーブ506を使用して)可動シャフト114に機械的に連結され、(例えば、リフトピン支持部材112を介して)リフトピンを垂直方向に移動させる。上部ベローズ508及び下部ベローズ510を使用してピンリフトシャフト取り付けスリーブ506及び可動シャフト114を環境から保護することができる。
【0035】
サセプタロータリーアクチュエータ302、ピンリフトリニアアクチュエータ304、及び/又は1つ又は複数の熱電対、例えば熱電対144への信号、及び/又はそれらからの信号の提供を容易にするために、ロータリーシグナルジャンクションボックス306を使用することができる。
【0036】
管状シール308及び管状シール支持体310は、可動シャフト114の周りをシールするために使用される。図5に例示するように、管状シール308は、シール514と、可動シャフト114がシール308に対して移動する場合にシール514を保持する支持プレート516と、を備えることができる。
【0037】
本開示の様々な実施形態によれば、サセプタは基材処理中に垂直に移動しないが、メンテナンス、設置等のためにサセプタを移動させることが望ましい場合がある。このような場合、サセプタ手動アクチュエータ312を用いて、サセプタリフトキャリッジ518を介してサセプタ(例えば、サセプタ118)を垂直方向に手動で移動させることができる。
【0038】
例示の例では、リフト/回転機構300は、下方からロータリーフィードスルー522及びサセプタシャフト取り付けスリーブ524を介して可動シャフト114を取り付けることを可能にする、比較的大きなフィードスルー520(例えば、直径が約20~約50mm又は約34.5mm)を備える。リフト/回転機構300の構成は、基材搬送プロセス中にサセプタを垂直に移動させるリフト/回転機構と比較して、比較的コンパクトである。
【0039】
本開示の追加の実施形態による、基材を搬送及び処理する方法が提供される。この方法は、本明細書で説明するように、反応器、基材支持アセンブリ、及び/又はリフト/回転機構を使用することができる。例示的な方法は、基材処理及び基材搬送のための共通領域を備える反応器を提供する工程と、基材支持アセンブリを提供する工程と、共通領域へ基材を提供する工程と、リフトピンを下方位置へ移動させて基材を処理位置に配置する工程と、基材を処理する工程と、リフトピンを上方位置に移動させる工程と、基材を共通領域から除去する工程と、を含む。基材を除去する工程は、サセプタの上面の上にある反応領域内又は処理領域内の開口部を通して、共通領域から基材を除去する工程を含むことができる。
【0040】
本開示の例示的な実施形態が本明細書に記載されているが、本開示はそれに限定されないことを理解されたい。例えば、装置及び方法は様々な特定の構成要素に関連して記載されているが、本開示は必ずしもこれらの構成に限定されない。本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本明細書に記載の装置及び方法の様々な変更、変形、及び強化を行うことができる。
図1
図2
図3
図4
図5