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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-08
(45)【発行日】2023-05-16
(54)【発明の名称】検出装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/146 20060101AFI20230509BHJP
   H01L 31/10 20060101ALI20230509BHJP
【FI】
H01L27/146 C
H01L31/10 G
H01L31/10 A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018240307
(22)【出願日】2018-12-21
(65)【公開番号】P2020102555
(43)【公開日】2020-07-02
【審査請求日】2021-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】多田 正浩
(72)【発明者】
【氏名】内田 真
(72)【発明者】
【氏名】中村 卓
【審査官】柴山 将隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-282303(JP,A)
【文献】特開2012-099801(JP,A)
【文献】国際公開第2005/104234(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/167277(WO,A1)
【文献】特開2002-170945(JP,A)
【文献】特開昭63-074275(JP,A)
【文献】特開2018-019068(JP,A)
【文献】特開2006-270090(JP,A)
【文献】特開2007-201009(JP,A)
【文献】特開2009-200104(JP,A)
【文献】特開2018-142839(JP,A)
【文献】特開2006-003857(JP,A)
【文献】特開2009-244638(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/146
H01L 31/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁基板と、
前記絶縁基板に設けられ、第1方向に延在する複数のゲート線と、
前記絶縁基板に設けられ、前記第1方向と交差する第2方向に延在する複数の信号線と、
複数の前記ゲート線及び複数の前記信号線に接続されたスイッチング素子と、
アモルファスシリコンを含む第1半導体層、アノード電極及びカソード電極を有し、前記スイッチング素子に接続される第1光電変換素子と、
ポリシリコンを含む第2半導体層を有し、前記スイッチング素子に接続される第2光電変換素子と
複数の前記第2光電変換素子の前記第2半導体層の上に設けられた第1層間絶縁膜と、 前記第1層間絶縁膜の上に設けられた第1中継電極及び第2中継電極と、
前記第1中継電極及び前記第2中継電極を覆って前記第1層間絶縁膜の上に設けられた第2層間絶縁膜と、を有し、
前記第2光電変換素子の前記第2半導体層は、前記スイッチング素子が有する第3半導体層と同層に配置され、前記第2半導体層の一端側は、前記第1中継電極により前記第3半導体層と接続され、
前記第1光電変換素子の前記第1半導体層は、離隔して配置された第1部分半導体層及び第2部分半導体層を有し、前記第2層間絶縁膜の上に、前記アノード電極、前記第1部分半導体層及び前記第2部分半導体層、前記カソード電極の順に積層され、
平面視で隣接する前記第1部分半導体層と前記第2部分半導体層との間に位置し、前記アノード電極及び前記第2層間絶縁膜を貫通する第1コンタクトホールが設けられ、
前記第1光電変換素子の前記カソード電極は、前記第1コンタクトホールを通して前記第1中継電極と接続され、
前記第2半導体層の他端側は、前記第2中継電極と接続され、かつ、前記第1光電変換素子の前記アノード電極は、前記第2層間絶縁膜を貫通する第2コンタクトホールを通して前記第2中継電極と接続される
検出装置。
【請求項2】
絶縁基板と、
前記絶縁基板に設けられ、第1方向に延在する複数のゲート線と、
前記絶縁基板に設けられ、前記第1方向と交差する第2方向に延在する複数の信号線と、
複数の前記ゲート線及び複数の前記信号線に接続されたスイッチング素子と、
アモルファスシリコンを含む第1半導体層、アノード電極及びカソード電極を有し、前記スイッチング素子に接続される第1光電変換素子と、
ポリシリコンを含む第2半導体層を有し、前記スイッチング素子に接続される第2光電変換素子と、
複数の前記第2光電変換素子の前記第2半導体層の上に設けられた第1層間絶縁膜と、 前記第1層間絶縁膜の上に設けられた第1中継電極及び第2中継電極と、
前記第1中継電極及び前記第2中継電極を覆って前記第1層間絶縁膜の上に設けられた第2層間絶縁膜と、を有し、
前記第2光電変換素子の前記第2半導体層は、前記スイッチング素子が有する第3半導体層と同層に配置され、前記第2半導体層の一端側は、前記第1中継電極により前記第3半導体層と接続され、
前記第2層間絶縁膜の上に、前記カソード電極、前記第1半導体層、前記アノード電極の順に積層され、
前記第1光電変換素子の前記カソード電極は、前記第2層間絶縁膜を貫通する第1コンタクトホールを通して前記第1中継電極と接続され、
前記第2半導体層の他端側は、前記第2中継電極と接続され、かつ、前記第1光電変換素子の前記アノード電極は、前記第2層間絶縁膜を貫通する第2コンタクトホールを通して前記第2中継電極と接続される
検出装置。
【請求項3】
前記第1光電変換素子及び前記第2光電変換素子は、複数の前記ゲート線と複数の前記信号線とで囲まれた領域に設けられる
請求項1又は請求項2に記載の検出装置。
【請求項4】
前記第1光電変換素子のカソード電極及び前記第2光電変換素子のカソード電極は、前記スイッチング素子に接続される
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項5】
前記第1半導体層は、p型半導体層、i型半導体層及びn型半導体層を含み、
前記絶縁基板に垂直な方向において、前記i型半導体層は、前記p型半導体層と前記n型半導体層との間に設けられる
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項6】
前記第2半導体層は、p領域、i領域及びn領域を含み、
平面視において、前記i領域は、前記p領域と前記n領域との間に設けられる
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項7】
前記スイッチング素子の前記第3半導体層は、ポリシリコンを含
請求項1から請求項のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項8】
平面視で、前記第1光電変換素子は、前記第2光電変換素子と重なって設けられる
請求項1から請求項のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項9】
前記絶縁基板は、複数の前記第1光電変換素子及び複数の前記第2光電変換素子が設けられた検出領域と、前記検出領域と前記絶縁基板の端部との間の周辺領域とを有し、
前記周辺領域には、複数の前記スイッチング素子を駆動する駆動回路が設けられ、
前記駆動回路は、ポリシリコンを含む第4半導体層を有する駆動回路スイッチング素子を含む
請求項1から請求項のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項10】
前記駆動回路は、複数の前記ゲート線を駆動するゲート線駆動回路又は前記信号線と検出回路とを接続する信号線選択回路の少なくとも一方を含む
請求項に記載の検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、個人認証等に用いられる生体センサとして、光学式の生体センサが知られている。生体センサとして、指紋センサ(例えば、特許文献1参照)や静脈センサが知られている。特許文献1に記載されている指紋センサは、フォトダイオード等の光電変換素子が半導体基板上に複数配列されている。光電変換素子は、照射される光量に応じて出力される信号が変化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許出願公開第2018/0012069号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光学式センサを利用した生体センサは、指や掌等の被検出体の指紋の形状に限られず、被検出体の種々の生体情報を検出することが要求されている。例えば、指紋検出と、静脈検出とでは、光の波長や検出感度が異なる。例えば、特許文献1では、感度を有する波長領域が光電変換素子の特性で決定される。このため、指紋や静脈等の複数の異なる生体情報を同一の検出装置で良好に検出することが困難となる場合がある。
【0005】
本発明は、同一のデバイスで種々の生体情報を検出することが可能な検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の検出装置は、絶縁基板と、前記絶縁基板に設けられ、第1方向に延在する複数のゲート線と、前記絶縁基板に設けられ、前記第1方向と交差する第2方向に延在する複数の信号線と、複数の前記ゲート線及び複数の前記信号線に接続されたスイッチング素子と、アモルファスシリコンを含む第1半導体層を有し、前記スイッチング素子に接続される第1光電変換素子と、ポリシリコンを含む第2半導体層を有し、前記スイッチング素子に接続される第2光電変換素子と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1実施形態に係る検出装置を有する照明装置付き検出機器の概略断面構成を示す断面図である。
図2図2は、第1実施形態に係る検出装置を示す平面図である。
図3図3は、第1実施形態に係る検出装置の構成例を示すブロック図である。
図4図4は、検出装置を示す回路図である。
図5図5は、部分検出領域を示す回路図である。
図6図6は、検出装置の動作例を表すタイミング波形図である。
図7図7は、第1実施形態に係る検出装置の部分検出領域を模式的に示す平面図である。
図8図8は、図7のVIII-VIII’断面図である。
図9図9は、第1フォトダイオード及び第2フォトダイオードの、波長と光吸収係数との関係を模式的に示すグラフである。
図10図10は、駆動回路が有するスイッチング素子の概略断面構成を示す断面図である。
図11図11は、第1実施形態の第1変形例に係る検出装置の部分検出領域を模式的に示す平面図である。
図12図12は、図11のXII-XII’断面図である。
図13図13は、第2実施形態に係る部分検出領域を示す回路図である。
図14図14は、第2実施形態に係る検出装置の概略断面構成を示す断面図である。
図15図15は、第3実施形態に係る検出装置の部分検出領域を模式的に示す平面図である。
図16図16は、図15のXVI-XVI’断面図である。
図17図17は、第3実施形態の第2変形例に係る検出装置の部分検出領域を模式的に示す平面図である。
図18図18は、第4実施形態に係る検出装置の概略断面構成を示す断面図である。
図19図19は、第5実施形態に係る検出装置の部分検出領域を示す回路図である。
図20図20は、第5実施形態に係る検出装置の動作例を表すタイミング波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0009】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る検出装置を有する照明装置付き検出機器の概略断面構成を示す断面図である。図1に示すように、照明装置付き検出機器120は、検出装置1と、照明装置121と、カバーガラス122とを有する。検出装置1の表面に垂直な方向において、照明装置121、検出装置1、カバーガラス122の順に積層されている。
【0010】
照明装置121は、光を照射する光照射面121aを有し、光照射面121aから検出装置1に向けて光L1を照射する。照明装置121は、バックライトである。照明装置121は、例えば、検出領域AAに対応する位置に設けられた導光板と、導光板の一方端又は両端に並ぶ複数の光源とを有する、いわゆるサイドライト型のバックライトであってもよい。光源として、例えば、所定の色の光を発する発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode))が用いられる。また、照明装置121は、検出領域AAの直下に設けられた光源(例えば、LED)を有する、いわゆる直下型のバックライトであっても良い。また、照明装置121は、バックライトに限定されず、検出装置1の側方や上方に設けられていてもよく、指Fgの側方や上方から光L1を照射してもよい。
【0011】
検出装置1は、照明装置121の光照射面121aと対向して設けられる。言い換えると、照明装置121とカバーガラス122との間に検出装置1が設けられる。照明装置121から照射された光L1は、検出装置1及びカバーガラス122を透過する。検出装置1は、例えば、光反射型の指紋センサであり、カバーガラス122と空気との界面で反射した光L2を検出することで、指Fgの表面の凹凸(例えば、指紋)を検出できる。又は、検出装置1は、指紋の検出に加え、指Fgの内部で反射した光L2を検出することで、生体に関する情報を検出してもよい。生体に関する情報は、例えば、静脈等の血管像や脈拍、脈波等である。照明装置121からの光L1の色は、検出対象に応じて異ならせてもよい。例えば、指紋検出の場合には、照明装置121は青色又は緑色の光L1を照射し、静脈検出の場合には、照明装置121は赤外光の光L1を照射することができる。
【0012】
カバーガラス122は、検出装置1及び照明装置121を保護するための部材であり、検出装置1及び照明装置121を覆っている。カバーガラス122は、例えばガラス基板である。なお、カバーガラス122はガラス基板に限定されず、樹脂基板等であってもよい。また、カバーガラス122が設けられていなくてもよい。この場合、検出装置1の表面に保護層が設けられ、指Fgは検出装置1の保護層に接する。
【0013】
照明装置付き検出機器120は、照明装置121に換えて表示パネルが設けられていてもよい。表示パネルは、例えば、有機ELディスプレイパネル(OLED: Organic Light Emitting Diode)や無機ELディスプレイ(μ-LED、Mini-LED)であってもよい。或いは、表示パネルは、表示素子として液晶素子を用いた液晶表示パネル(LCD:Liquid Crystal Display)や、表示素子として電気泳動素子を用いた電気泳動型表示パネル(EPD:Electrophoretic Display)であってもよい。この場合であっても、表示パネルから照射された表示光が検出装置1を透過し、指Fgで反射された光L2に基づいて、指Fgの指紋や生体に関する情報を検出することができる。
【0014】
図2は、第1実施形態に係る検出装置を示す平面図である。図3は、第1実施形態に係る検出装置の構成例を示すブロック図である。図2に示すように、検出装置1は、絶縁基板21と、センサ部10と、ゲート線駆動回路15と、信号線選択回路16と、アナログフロントエンド回路(以下、AFE(Analog Front End)と表す)48と、制御回路102と、電源回路103と、を有する。
【0015】
図2に示すように、絶縁基板21には、フレキシブルプリント基板110を介して制御基板101が電気的に接続される。フレキシブルプリント基板110には、AFE48が設けられている。制御基板101には、制御回路102及び電源回路103が設けられている。制御回路102は、例えばFPGA(Field Programmable Gate Array)である。制御回路102は、センサ部10、ゲート線駆動回路15及び信号線選択回路16に制御信号を供給して、センサ部10の検出動作を制御する。電源回路103は、電源信号SVS(図6参照)等の電圧信号をセンサ部10及びゲート線駆動回路15に供給する。
【0016】
絶縁基板21は、検出領域AAと、周辺領域GAとを有する。検出領域AAは、センサ部10が有する複数の第1フォトダイオードPD1及び複数の第2フォトダイオードPD2(図5参照)と重なる領域である。周辺領域GAは、検出領域AAの外側の領域であり、フォトダイオードPDと重ならない領域である。すなわち、周辺領域GAは、検出領域AAの外周と絶縁基板21の端部との間の領域である。ゲート線駆動回路15及び信号線選択回路16は、周辺領域GAに設けられる。
【0017】
図3に示すように、検出装置1は、さらに検出制御部11と検出部40と、を有する。検出制御部11の機能の一部又は全部は、制御回路102に含まれる。また、検出部40のうち、AFE48以外の機能の一部又は全部は、制御回路102に含まれる。
【0018】
センサ部10は、光電変換素子である第1フォトダイオードPD1及び第2フォトダイオードPD2を有する光センサである。センサ部10が有する第1フォトダイオードPD1及び第2フォトダイオードPD2は、照射される光に応じた電気信号を、検出信号Vdetとして信号線選択回路16に出力する。また、センサ部10は、ゲート線駆動回路15から供給されるゲート駆動信号VGCLに従って検出を行う。
【0019】
検出制御部11は、ゲート線駆動回路15、信号線選択回路16及び検出部40にそれぞれ制御信号を供給し、これらの動作を制御する回路である。検出制御部11は、スタート信号STV、クロック信号CK、リセット信号RST1等の各種制御信号をゲート線駆動回路15に供給する。また、検出制御部11は、選択信号SEL等の各種制御信号を信号線選択回路16に供給する。
【0020】
ゲート線駆動回路15は、各種制御信号に基づいて複数のゲート線GCL(図4参照)を駆動する回路である。ゲート線駆動回路15は、複数のゲート線GCLを順次又は同時に選択し、選択されたゲート線GCLにゲート駆動信号VGCLを供給する。これにより、ゲート線駆動回路15は、ゲート線GCLに接続された複数の第1フォトダイオードPD1及び第2フォトダイオードPD2を選択する。
【0021】
信号線選択回路16は、複数の信号線SGL(図4参照)を順次又は同時に選択するスイッチ回路である。信号線選択回路16は、検出制御部11から供給される選択信号SELに基づいて、選択された信号線SGLと、検出回路であるAFE48とを接続する。これにより、信号線選択回路16は、第1フォトダイオードPD1及び第2フォトダイオードPD2の検出信号Vdetを検出部40に出力する。信号線選択回路16は、例えばマルチプレクサである。
【0022】
検出部40は、AFE48と、信号処理部44と、座標抽出部45と、記憶部46と、検出タイミング制御部47と、を備える。検出タイミング制御部47は、検出制御部11から供給される制御信号に基づいて、AFE48と、信号処理部44と、座標抽出部45と、が同期して動作するように制御する。
【0023】
AFE48は、少なくとも検出信号増幅部42及びA/D変換部43の機能を有する信号処理回路である。検出信号増幅部42は、検出信号Vdetを増幅する。A/D変換部43は、検出信号増幅部42から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換する。
【0024】
信号処理部44は、AFE48の出力信号に基づいて、センサ部10に入力された所定の物理量を検出する論理回路である。信号処理部44は、指Fgが検出面に接触又は近接した場合に、AFE48からの信号に基づいて指Fgや掌の表面の凹凸を検出できる。
【0025】
記憶部46は、信号処理部44で演算された信号を一時的に保存する。記憶部46は、例えばRAM(Random Access Memory)、レジスタ回路等であってもよい。
【0026】
座標抽出部45は、信号処理部44において指Fgの接触又は近接が検出されたときに、指Fg等の表面の凹凸の検出座標を求める論理回路である。座標抽出部45は、センサ部10の各第1フォトダイオードPD1及び第2フォトダイオードPD2から出力される検出信号Vdetを組み合わせて、指Fg等の表面の凹凸の形状を示す二次元情報を生成する。なお、座標抽出部45は、検出座標を算出せずにセンサ出力Voとして検出信号Vdetを出力してもよい。
【0027】
次に、検出装置1の回路構成例及び動作例について説明する。図4は、検出装置を示す回路図である。図5は、部分検出領域を示す回路図である。図6は、検出装置の動作例を表すタイミング波形図である。
【0028】
図4に示すように、センサ部10は、マトリクス状に配列された複数の部分検出領域PAAを有する。図5に示すように、部分検出領域PAAは、第1フォトダイオードPD1及び第2フォトダイオードPD2と、容量素子Caと、第1スイッチング素子Trとを含む。第1スイッチング素子Trは、第1フォトダイオードPD1及び第2フォトダイオードPD2に対応して設けられる。第1スイッチング素子Trは、薄膜トランジスタにより構成されるものであり、この例では、nチャネルのMOS(Metal Oxide Semiconductor)型のTFT(Thin Film Transistor)で構成されている。
【0029】
第1スイッチング素子Trのゲートはゲート線GCLに接続される。第1スイッチング素子Trのソースは信号線SGLに接続される。第1スイッチング素子Trのドレインは、第1フォトダイオードPD1のカソード電極34、第2フォトダイオードPD2のカソード電極54及び容量素子Caの一端に接続される。第1フォトダイオードPD1のアノード電極35、第2フォトダイオードPD2のアノード電極55及び容量素子Caの他端は、基準電位、例えばグランド電位に接続される。このように、第1フォトダイオードPD1及び第2フォトダイオードPD2は、第1スイッチング素子Trに、同方向に並列接続される。
【0030】
信号線SGLには、第3スイッチング素子TrS及び第4スイッチング素子TrRが接続される。第3スイッチング素子TrS及び第4スイッチング素子TrRは、第1スイッチング素子Trを駆動する駆動回路を構成する素子である。本実施形態において、駆動回路は、周辺領域GAに設けられたゲート線駆動回路15、信号線選択回路16及びリセット回路17等を含む。第3スイッチング素子TrSは、例えば、pチャネルトランジスタp-TrSとnチャネルトランジスタn-TrSとを組み合わせたCMOS(相補型MOS)トランジスタで構成される。第4スイッチング素子TrRも同様にCMOSトランジスタで構成される。
【0031】
リセット回路17の第4スイッチング素子TrRがオンになると、容量素子Caには、電源回路103から、容量素子Caの初期電位となる基準信号VR1が供給される。これにより、容量素子Caがリセットされる。部分検出領域PAAに光が照射されると、第1フォトダイオードPD1及び第2フォトダイオードPD2にはそれぞれ光量に応じた電流が流れ、これにより容量素子Caに電荷が蓄積される。第1スイッチング素子Trがオンになると、容量素子Caに蓄積された電荷に応じて、信号線SGLに電流が流れる。信号線SGLは、信号線選択回路16の第3スイッチング素子TrSを介してAFE48に接続される。これにより、検出装置1は、部分検出領域PAAごとに、第1フォトダイオードPD1及び第2フォトダイオードPD2に照射される光の光量に応じた信号を検出できる。
【0032】
図4に示すように、ゲート線GCLは、第1方向Dxに延在し、第1方向Dxに配列された複数の部分検出領域PAAと接続される。また、複数のゲート線GCL1、GCL2、…、GCL8は、第2方向Dyに配列され、それぞれゲート線駆動回路15に接続される。なお、以下の説明において、複数のゲート線GCL1、GCL2、…、GCL8を区別して説明する必要がない場合には、単にゲート線GCLと表す。ゲート線GCLの数は8本であるが、あくまで一例であり、ゲート線GCLは、8本以上、例えば256本配列されていてもよい。
【0033】
なお、第1方向Dxは、絶縁基板21と平行な面内の一方向であり、例えば、ゲート線GCLと平行な方向である。また、第2方向Dyは、絶縁基板21と平行な面内の一方向であり、第1方向Dxと直交する方向である。なお、第2方向Dyは、第1方向Dxと直交しないで交差してもよい。第3方向Dzは、第1方向Dx及び第2方向Dyと直交する方向であり、絶縁基板21に垂直な方向である。
【0034】
信号線SGLは、第2方向Dyに延在し、第2方向Dyに配列された複数の部分検出領域PAAに接続される。また、複数の信号線SGL1、SGL2、…、SGL12は、第1方向Dxに配列されて、それぞれ信号線選択回路16及びリセット回路17に接続される。信号線SGLの数は12本であるが、あくまで一例であり、信号線SGLは、12本以上、例えば252本配列されていてもよい。また、図4では、信号線選択回路16とリセット回路17との間にセンサ部10が設けられている。これに限定されず、信号線選択回路16とリセット回路17とは、信号線SGLの同じ方向の端部にそれぞれ接続されていてもよい。
【0035】
ゲート線駆動回路15は、スタート信号STV、クロック信号CK、リセット信号RST1等の各種制御信号を、レベルシフタ151を介して受け取る。ゲート線駆動回路15は、複数の第2スイッチング素子TrG(図示は省略する)を有している。ゲート線駆動回路15は、第2スイッチング素子TrGの動作により、複数のゲート線GCL1、GCL2、…、GCL8を時分割的に順次選択する。ゲート線駆動回路15は、選択されたゲート線GCLを介して、複数の第1スイッチング素子Trにゲート駆動信号VGCLを供給する。これにより、第1方向Dxに配列された複数の部分検出領域PAAが、検出対象として選択される。
【0036】
信号線選択回路16は、複数の選択信号線Lselと、複数の出力信号線Loutと、第3スイッチング素子TrSと、を有する。複数の第3スイッチング素子TrSは、それぞれ複数の信号線SGLに対応して設けられている。6本の信号線SGL1、SGL2、…、SGL6は、共通の出力信号線Lout1に接続される。6本の信号線SGL7、SGL8、…、SGL12は、共通の出力信号線Lout2に接続される。出力信号線Lout1、Lout2は、それぞれAFE48に接続される。
【0037】
ここで、信号線SGL1、SGL2、…、SGL6を第1信号線ブロックとし、信号線SGL7、SGL8、…、SGL12を第2信号線ブロックとする。複数の選択信号線Lselは、1つの信号線ブロックに含まれる第3スイッチング素子TrSのゲートにそれぞれ接続される。また、1本の選択信号線Lselは、複数の信号線ブロックの第3スイッチング素子TrSのゲートに接続される。具体的には、選択信号線Lsel1、Lsel2、…、Lsel6は、信号線SGL1、SGL2、…、SGL6に対応する第3スイッチング素子TrSと接続される。また、選択信号線Lsel1は、信号線SGL1に対応する第3スイッチング素子TrSと、信号線SGL7に対応する第3スイッチング素子TrSと、に接続される。選択信号線Lsel2は、信号線SGL2に対応する第3スイッチング素子TrSと、信号線SGL8に対応する第3スイッチング素子TrSと、に接続される。
【0038】
制御回路102(図2参照)は、レベルシフタ161を介して、選択信号SELを順次選択信号線Lselに供給する。これにより、信号線選択回路16は、第3スイッチング素子TrSの動作により、1つの信号線ブロックにおいて信号線SGLを時分割的に順次選択する。また、信号線選択回路16は、複数の信号線ブロックで同時に1本ずつ信号線SGLを選択する。このような構成により、検出装置1は、AFE48を含むIC(Integrated Circuit)の数、又はICの端子数を少なくすることができる。
【0039】
図4に示すように、リセット回路17は、基準信号線Lvr、リセット信号線Lrst及び第4スイッチング素子TrRを有する。第4スイッチング素子TrRは、複数の信号線SGLに対応して設けられている。基準信号線Lvrは、複数の第4スイッチング素子TrRのソース又はドレインの一方に接続される。リセット信号線Lrstは、複数の第4スイッチング素子TrRのゲートに接続される。
【0040】
制御回路102は、リセット信号RST2を、レベルシフタ171を介してリセット信号線Lrstに供給する。これにより、複数の第4スイッチング素子TrRがオンになり、複数の信号線SGLは基準信号線Lvrと電気的に接続される。電源回路103は、基準信号VR1を基準信号線Lvrに供給する。これにより、複数の部分検出領域PAAに含まれる容量素子Caに基準信号VR1が供給される。
【0041】
図6に示すように、検出装置1は、リセット期間Prst、露光期間Pex及び読み出し期間Pdetを有する。電源回路103は、リセット期間Prst、露光期間Pex及び読み出し期間Pdetに亘って、電源信号SVSを第1フォトダイオードPD1及び第2フォトダイオードPD2に供給する。また、リセット期間Prstが開始する前の時刻に、制御回路102は、高レベル電圧信号の基準信号VR1及びリセット信号RST2を、リセット回路17に供給する。制御回路102は、ゲート線駆動回路15にスタート信号STVを供給し、リセット期間Prstが開始する。
【0042】
リセット期間Prstにおいて、ゲート線駆動回路15は、スタート信号STV、クロック信号CK及びリセット信号RST1に基づいて、順次ゲート線GCLを選択する。ゲート線駆動回路15は、ゲート駆動信号VGCLをゲート線GCLに順次供給する。ゲート駆動信号VGCLは、高レベル電圧VGHと低レベル電圧VGLとを有するパルス状の波形を有する。図6では、256本のゲート線GCLが設けられており、各ゲート線GCLに、ゲート駆動信号VGCL1、…、VGCL256が順次供給される。
【0043】
これにより、リセット期間Prstでは、全ての部分検出領域PAAの容量素子Caは、順次信号線SGLと電気的に接続されて、基準信号VR1が供給される。この結果、容量素子Caの容量がリセットされる。
【0044】
ゲート駆動信号VGCL256がゲート線GCLに供給された後に、露光期間Pexが開始する。なお、各ゲート線GCLに対応する部分検出領域PAAでの、実際の露光期間Pex1、…、Pex256は、開始のタイミング及び終了のタイミングが異なっている。露光期間Pex1、…、Pex256は、それぞれ、リセット期間Prstでゲート駆動信号VGCLが高レベル電圧VGHから低レベル電圧VGLに変化したタイミングで開始される。また、露光期間Pex1、…、Pex256は、それぞれ、読み出し期間Pdetでゲート駆動信号VGCLが低レベル電圧VGLから高レベル電圧VGHに変化したタイミングで終了する。露光期間Pex1、…、Pex256の露光時間の長さは等しい。
【0045】
露光期間Pexでは、各部分検出領域PAAで、第1フォトダイオードPD1及び第2フォトダイオードPD2に照射された光に応じて電流が流れる。この結果、各容量素子Caに電荷が蓄積される。
【0046】
読み出し期間Pdetが開始する前のタイミングで、制御回路102は、リセット信号RST2を低レベル電圧にする。これにより、リセット回路17の動作が停止する。読み出し期間Pdetでは、リセット期間Prstと同様に、ゲート線駆動回路15は、ゲート線GCLにゲート駆動信号VGCL1、…、VGCL256を順次供給する。
【0047】
例えば、ゲート駆動信号VGCL1が高レベル電圧VGHの期間に、制御回路102は、選択信号SEL1、…、SEL6を、信号線選択回路16に順次供給する。これにより、ゲート駆動信号VGCL1により選択された部分検出領域PAAの信号線SGLが順次、又は同時にAFE48に接続される。この結果、検出信号VdetがAFE48に供給される。同様に、各ゲート駆動信号VGCLが高レベル電圧VGHとなる期間ごとに、信号線選択回路16が順次信号線SGLを選択する。これにより、読み出し期間Pdetで、検出装置1は、全ての部分検出領域PAAの検出信号VdetをAFE48に出力することができる。
【0048】
検出装置1は、リセット期間Prst、露光期間Pex及び読み出し期間Pdetを、繰り返し実行して検出を行ってもよい。或いは、検出装置1は、指Fg等が検出面に接触又は近接したことを検出したタイミングで、検出動作を開始してもよい。
【0049】
次に、検出装置1の詳細な構成について説明する。図7は、第1実施形態に係る検出装置の部分検出領域を模式的に示す平面図である。図8は、図7のVIII-VIII’断面図である。なお、図7では、図面を見やすくするために、カソード電極34及びアノード電極35を二点鎖線で示している。
【0050】
なお、以下の説明において、絶縁基板21の表面に垂直な方向において、絶縁基板21から第1フォトダイオードPD1に向かう方向を「上側」又は単に「上」とする。第1フォトダイオードPD1から絶縁基板21に向かう方向を「下側」又は単に「下」とする。また、「平面視」とは、絶縁基板21の表面に垂直な方向から見た場合を示す。
【0051】
図7に示すように、部分検出領域PAAは、複数のゲート線GCLと、複数の信号線SGLとで囲まれた領域である。第1フォトダイオードPD1、第2フォトダイオードPD2及び第1スイッチング素子Trは、部分検出領域PAA、すなわち、複数のゲート線GCLと、複数の信号線SGLとで囲まれた領域に設けられる。第1フォトダイオードPD1及び第2フォトダイオードPD2は、例えば、PIN(Positive Intrinsic Negative Diode)型のフォトダイオードである。
【0052】
第1フォトダイオードPD1は、第1半導体層31と、カソード電極34と、アノード電極35とを含む。第1半導体層31は、第1部分半導体層31aと、第2部分半導体層31bとを含む。第1フォトダイオードPD1の第1部分半導体層31a及び第2部分半導体層31bは、アモルファスシリコン(a-Si)である。第1部分半導体層31a及び第2部分半導体層31bは、第1方向Dxにおいて、間隔SPを有して隣り合って設けられる。カソード電極34及びアノード電極35は、第1部分半導体層31a、第2部分半導体層31b及び間隔SPと重なる領域に亘って連続して設けられる。なお、以下の説明において、第1部分半導体層31a及び第2部分半導体層31bを区別して説明する必要がない場合には、単に第1半導体層31と表す場合がある。
【0053】
第1フォトダイオードPD1は、第2フォトダイオードPD2と重なって設けられる。具体的には、第1フォトダイオードPD1の第1部分半導体層31aは、第2フォトダイオードPD2と重なる。第2フォトダイオードPD2は、第2半導体層51と、カソード電極54と、アノード電極55とを含む。第2半導体層51は、ポリシリコンである。より好ましくは、第2半導体層51は、低温ポリシリコン(以下、LTPS(Low Temperature Polycrystalline Silicone)と表す)である。
【0054】
第2半導体層51は、i領域52a、p領域52b及びn領域52cを有する。平面視で、i領域52aは、p領域52bとn領域52cとの間に配置される。具体的には、第1方向Dxにおいて、p領域52b、i領域52a、n領域52cの順に配置される。n領域52cは、ポリシリコンに不純物がドープされてn+領域を形成する。p領域52bは、ポリシリコンに不純物がドープされてp+領域を形成する。i領域52aは、例えば、ノンドープの真性半導体であり、p領域52b及びn領域52cよりも低い導電性を有する。
【0055】
第2半導体層51と、第1フォトダイオードPD1の第1部分半導体層31aとは、第1中継電極56及び第2中継電極57を介して接続される。本実施形態では、第1中継電極56のうち第2半導体層51と重なる部分が、カソード電極54として機能する。第2中継電極57のうち第2半導体層51と重なる部分が、アノード電極55として機能する。なお、第2半導体層51と、第1フォトダイオードPD1との詳細な接続構成については後述する。
【0056】
第1スイッチング素子Trは、第1フォトダイオードPD1の第2部分半導体層31bと重なる領域に設けられる。第1スイッチング素子Trは、第3半導体層61、ソース電極62、ドレイン電極63及びゲート電極64を有する。第3半導体層61は、第2半導体層51と同様にポリシリコンである。より好ましくは、第3半導体層61は、LTPSである。
【0057】
本実施形態では、第1中継電極56のうち第3半導体層61と重なる部分が、ソース電極62として機能する。信号線SGLのうち第3半導体層61と重なる部分が、ドレイン電極63して機能する。また、ゲート電極64は、ゲート線GCLから第2方向Dyに分岐して第3半導体層61と重なる。本実施形態では、2つのゲート電極64は第3半導体層61と重なって設けられた、いわゆるダブルゲート構造である。
【0058】
第1スイッチング素子Trは、第1中継電極56を介して、第1フォトダイオードPD1のカソード電極34及び第2フォトダイオードPD2のカソード電極54と接続される。また、第1スイッチング素子Trは、信号線SGLとも接続される。
【0059】
より具体的には、図8に示すように、第1スイッチング素子Trは、絶縁基板21に設けられている。絶縁基板21は、例えば透光性を有するガラス基板である。或いは、絶縁基板21は、透光性を有するポリイミド等の樹脂で構成された樹脂基板又は樹脂フィルムであってもよい。検出装置1は、第1フォトダイオードPD1、第2フォトダイオードPD2及び第1スイッチング素子Trが絶縁基板21の上に形成される。このため、例えばシリコン基板などの半導体基板を用いた場合に比べ、検出装置1は、検出領域AAの面積を大きくすることが容易である。
【0060】
絶縁基板21の上に、遮光層67、68が設けられる。アンダーコート膜22は、遮光層67、68を覆って、絶縁基板21の上に設けられる。アンダーコート膜22、ゲート絶縁膜23、第1層間絶縁膜24は、無機絶縁膜であり、シリコン酸化膜(SiO)、シリコン窒化膜(SiN)又はシリコン酸化窒化膜(SiON)等が用いられる。また、各無機絶縁膜は、単層に限定されず積層膜であってもよい。
【0061】
第2半導体層51及び第3半導体層61は、アンダーコート膜22の上に設けられる。つまり、第2フォトダイオードPD2の第2半導体層51及び第1スイッチング素子Trの第3半導体層61は、同層に設けられる。また、第3方向Dzにおいて、第2半導体層51と絶縁基板21との間に遮光層67が設けられる。これにより、照明装置121(図1参照)からの光L1が直接、第2フォトダイオードPD2に照射されることを抑制することができる。また、第3方向Dzにおいて、第3半導体層61と絶縁基板21との間に遮光層68が設けられる。これにより、第1スイッチング素子Trの光リーク電流を抑制することができる。
【0062】
第3半導体層61は、i領域61a、LDD(Lightly Doped Drain)領域61b及びn領域61cを含む。i領域61aは、それぞれゲート電極64と重なる領域に形成される。また、n領域61cは、高濃度不純物領域であり、ソース電極62及びドレイン電極63と接続される領域に形成される。LDD領域61bは、低濃度不純物領域であり、n領域61cとi領域61aとの間、及び2つのi領域61aの間に形成される。
【0063】
ゲート絶縁膜23は、第2半導体層51及び第3半導体層61を覆ってアンダーコート膜22の上に設けられる。ゲート電極64は、ゲート絶縁膜23の上に設けられる。つまり、第1スイッチング素子Trは、第3半導体層61の上側にゲート電極64が設けられた、いわゆるトップゲート構造である。ただし、第1スイッチング素子Trは、ゲート電極64が第3半導体層61の上側及び下側の両方に設けられた、いわゆるデュアルゲート構造であってもよいし、ゲート電極64が第3半導体層61の下側に設けられたボトムゲート構造でもよい。
【0064】
第1層間絶縁膜24は、ゲート電極64を覆ってゲート絶縁膜23の上に設けられる。第1層間絶縁膜24は、第2半導体層51の上側にも設けられる。第1中継電極56、第2中継電極57及び信号線SGLは、第1層間絶縁膜24の上に設けられる。第1スイッチング素子Trにおいて、ソース電極62(第1中継電極56)は、コンタクトホールH8を介して第3半導体層61と接続される。ドレイン電極63(信号線SGL)は、コンタクトホールH7を介して第3半導体層61と接続される。
【0065】
第2フォトダイオードPD2において、カソード電極54(第1中継電極56)は、コンタクトホールH6を介して第2半導体層51のn領域52cと接続される。これにより、第2フォトダイオードPD2のカソード電極54は、第1スイッチング素子Trと接続される。また、アノード電極55(第2中継電極57)は、コンタクトホールH5を介して第2半導体層51のp領域52bと接続される。
【0066】
第2層間絶縁膜25は、第2フォトダイオードPD2及び第1スイッチング素子Trを覆って、第1層間絶縁膜24の上に設けられる。第2層間絶縁膜25は、有機膜であり、各種導電層で形成される凹凸を平坦化する平坦化膜である。なお、第2層間絶縁膜25は、上述した無機材料により形成してもよい。
【0067】
第1フォトダイオードPD1のアノード電極35は、バックプレーン2の第2層間絶縁膜25の上に設けられる。第1フォトダイオードPD1は、アノード電極35、第1部分半導体層31a及び第2部分半導体層31b、カソード電極34の順に積層される。バックプレーン2は、所定の検出領域ごとにセンサを駆動する駆動回路基板である。バックプレーン2は、絶縁基板21と、絶縁基板21に設けられた第1スイッチング素子Tr、第2スイッチング素子TrG及び各種配線等を有する。
【0068】
第1部分半導体層31aは、i型半導体層32a、p型半導体層32b及びn型半導体層32cを含む。第2部分半導体層31bは、i型半導体層33a、p型半導体層33b及びn型半導体層33cを含む。i型半導体層32a、33a、p型半導体層32b、33b及びn型半導体層32c、33cは、光電変換素子の一具体例である。図8では、絶縁基板21の表面に垂直な方向(第3方向Dz)において、i型半導体層32a、33aは、p型半導体層32b、33bとn型半導体層32c、33cとの間に設けられる。本実施形態では、アノード電極35の上に、p型半導体層32b、33b、i型半導体層32a、33a及びn型半導体層32c、33cの順に積層されている。
【0069】
n型半導体層32c、33cは、a-Siに不純物がドープされてn+領域を形成する。p型半導体層32b、33bは、a-Siに不純物がドープされてp+領域を形成する。i型半導体層32a、33aは、例えば、ノンドープの真性半導体であり、n型半導体層32c、33c及びp型半導体層32b、33bよりも低い導電性を有する。
【0070】
カソード電極34及びアノード電極35は、ITO(Indium Tin Oxide)等の透光性を有する導電材料である。カソード電極34は、電源信号SVSを光電変換層に供給するための電極である。アノード電極35は、検出信号Vdetを読み出すための電極である。
【0071】
アノード電極35は、第2層間絶縁膜25の上に設けられる。アノード電極35は、第1部分半導体層31a及び第2部分半導体層31bに亘って連続して設けられる。アノード電極35は、第2層間絶縁膜25に設けられたコンタクトホールH4を介して第2中継電極57と接続される。
【0072】
第1部分半導体層31a及び第2部分半導体層31bを覆って第3層間絶縁膜26が設けられる。第3層間絶縁膜26は有機膜であり、第1部分半導体層31a及び第2部分半導体層31bで形成される凹凸を平坦化する平坦化膜である。カソード電極34は、第3層間絶縁膜26の上に設けられる。カソード電極34は、第1部分半導体層31a及び第2部分半導体層31bの上に連続して設けられる。カソード電極34は、第3層間絶縁膜26に設けられたコンタクトホールH2、H1を介して第1部分半導体層31a及び第2部分半導体層31bと接続される。これにより、第1部分半導体層31a及び第2部分半導体層31bは、アノード電極35とカソード電極34との間に並列に接続され、1つの光電変換素子として機能する。
【0073】
カソード電極34は、第1部分半導体層31aと第2部分半導体層31bとの間隔SPにおいて、コンタクトホールH3を介して第1中継電極56と接続される。コンタクトホールH3は、第2層間絶縁膜25及び第3層間絶縁膜26を第3方向Dzに貫通する貫通孔である。アノード電極35の、コンタクトホールH3と重なる部分には開口35aが設けられており、コンタクトホールH3は開口35aを通って形成される。このような構成により、第1フォトダイオードPD1のカソード電極34及び第2フォトダイオードPD2のカソード電極54が、第1中継電極56を介して第1スイッチング素子Trに接続される。また、第1フォトダイオードPD1のアノード電極35と第2フォトダイオードPD2のアノード電極55とが、第2中継電極57を介して接続される。
【0074】
なお、図5に示す容量素子Caの容量は、間隔SPにおいて、第3層間絶縁膜26を介して対向するアノード電極55とカソード電極34との間に形成される。又は、第1フォトダイオードPD1の周縁の間隔SPaにおいて、第3層間絶縁膜26を介して対向するアノード電極55とカソード電極34との間に形成される。容量素子Caには、露光期間Pexでプラスの電荷が保持される。
【0075】
図9は、第1フォトダイオード及び第2フォトダイオードの、波長と光吸収係数との関係を模式的に示すグラフである。図9の横軸は、波長を示し、縦軸は、光吸収係数を示す。光吸収係数は、物質中を進行する光の、吸収の程度を示す光学定数である。
【0076】
図9に示すように、a-Siを含む第1フォトダイオードPD1は、可視光領域、例えば300nm以上800nm以下の波長領域で良好な光吸収係数を示す。一方、ポリシリコンを含む第2フォトダイオードPD2は、可視光領域から赤外領域を含む領域、例えば500nm以上1100nm以下の波長領域で良好な光吸収係数を示す。言い換えると、第1フォトダイオードPD1は、可視光領域で高い感度を有し、第2フォトダイオードPD2は、第1フォトダイオードPD1とは異なる波長領域である赤色の波長領域から赤外領域で高い感度を有する。
【0077】
本実施形態の検出装置1は、感度波長領域が異なる第1フォトダイオードPD1及び第2フォトダイオードPD2が積層されている。このため、いずれか一方のフォトダイオードを有する構成に比べて、感度を有する波長領域を広げることができる。
【0078】
光L1(図1参照)は、間隔SP及び間隔SPaを通って検出装置1を透過する。指Fgで反射された光L2(図1参照)は、第1フォトダイオードPD1に入射する。また、光L2のうち、第1フォトダイオードPD1に吸収されない波長領域の光は、第1フォトダイオードPD1を透過して第2フォトダイオードPD2に入射する。例えば、指紋検出において、第1フォトダイオードPD1は青色又は緑色の光L2を良好に検出することができる。また、静脈検出において、赤外光の光L2は、第1フォトダイオードPD1に吸収されず、第2フォトダイオードPD2に入射する。これにより、第2フォトダイオードPD2は赤外光の光L2を良好に検出することができる。これにより検出装置1は、同一のデバイス(検出装置1)で、種々の生体に関する情報を検出することができる。
【0079】
また、第1層間絶縁膜24等の絶縁膜の帯電や不純物の影響で、第2フォトダイオードPD2のi領域52aがn型になった場合でも、i領域52aは、第1フォトダイオードPD1のカソード電極34で中性化される。このため、検出装置1は、光感度を向上させることができる。
【0080】
また、第1フォトダイオードPD1及び第2フォトダイオードPD2は、部分検出領域PAA、すなわち、複数のゲート線GCLと複数の信号線SGLとで囲まれた領域に設けられる。これによれば、第1フォトダイオードPD1及び第2フォトダイオードPD2のそれぞれに第1スイッチング素子Tr、ゲート線GCL及び信号線SGLを設けた場合に比べて、スイッチング素子の数及び配線の数を少なくすることができる。したがって、検出装置1は、検出の解像度を向上させることができる。
【0081】
なお、検出装置1は、指Fgの指紋を検出する指紋センサ及び静脈を検出するセンサとして用いられる場合に限定されない。検出装置1は、指Fgや掌の血管像、脈波、脈拍、血中酸素濃度等、種々の生体に関する情報を検出する生体センサとして用いることもできる。
【0082】
図10は、駆動回路が有するスイッチング素子の概略断面構成を示す断面図である。図10は、駆動回路スイッチング素子として信号線選択回路16が有する第3スイッチング素子TrSについて説明する。ただし、図10の説明は、他の駆動回路が有するスイッチング素子にも適用できる。すなわち、ゲート線駆動回路15が有する第2スイッチング素子TrG及びリセット回路17が有する第4スイッチング素子TrRも図10と同様の構成を適用できる。
【0083】
図10に示すように、第3スイッチング素子TrSのnチャネルトランジスタn-TrSは、第4半導体層71、ソース電極72、ドレイン電極73及びゲート電極74を含む。また、pチャネルトランジスタp-TrSは、第5半導体層81、ソース電極82、ドレイン電極83及びゲート電極84を含む。第4半導体層71と絶縁基板21との間には、遮光層75が設けられ、第5半導体層81と絶縁基板21との間には、遮光層85が設けられる。
【0084】
第4半導体層71及び第5半導体層81は、いずれもポリシリコンである。より好ましくは、第4半導体層71及び第5半導体層81は、LTPSである。第4半導体層71は、i領域71a、LDD領域71b及びn領域61cを含む。また、第5半導体層81は、i領域81a及びp領域81bを含む。
【0085】
nチャネルトランジスタn-TrS及びpチャネルトランジスタp-TrSの層構成は、図8に示す第1スイッチング素子Trと同様である。すなわち、第4半導体層71及び第5半導体層81は、図8に示す第2半導体層51及び第3半導体層61と同層に設けられる。ゲート電極74及びゲート電極84は、図8に示すゲート電極64と同層に設けられる。ソース電極72、ドレイン電極73、ソース電極82及びドレイン電極83は、図8に示すソース電極62(第1中継電極56)、ドレイン電極63(信号線SGL)と同層に設けられる。
【0086】
このように、検出領域AAに設けられた第1フォトダイオードPD1及び第1スイッチング素子Trと、周辺領域GAに設けられた第3スイッチング素子TrS等のスイッチング素子が、同じ材料が用いられ同層に設けられる。これにより、検出装置1の製造工程が簡略化され、製造コストを抑制することができる。なお、周辺領域GAに設けられた駆動回路は、CMOSトランジスタに限定されず、nチャネルトランジスタn-TrS又はpチャネルトランジスタp-TrSのいずれか一方で構成されていてもよい。
【0087】
(第1実施形態の第1変形例)
図11は、第1実施形態の第1変形例に係る検出装置の部分検出領域を模式的に示す平面図である。なお、上述した第1実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。図11に示すように、第1変形例では、上述した第1実施形態と比べて、平面視で、第1フォトダイオードPD1が、第2フォトダイオードPD2と隣り合って設けられている構成が異なる。
【0088】
図11に示すように、第1フォトダイオードPD1は、第2方向Dyにおいて、ゲート線GCLと離れて配置される。具体的には、第1フォトダイオードPD1のアノード電極35の一辺35sは、平面視で、ゲート線GCLと第2方向Dyに離れて配置され、アノード電極35の一辺35sとゲート線GCLとの間に間隔SPbが設けられている。一辺35sは、アノード電極35の第1方向Dxに沿った辺のうち、第2フォトダイオードPD2に近い位置の辺である。
【0089】
第2フォトダイオードPD2及び第1スイッチング素子Trは、第2方向Dyに隣り合う第1フォトダイオードPD1とゲート線GCLとの間に設けられる。第1中継電極56及び第2中継電極57は、それぞれ第1フォトダイオードPD1のアノード電極35と重なる部分と、第1フォトダイオードPD1のアノード電極35と重ならない部分とを有する。第1フォトダイオードPD1、第2フォトダイオードPD2及び第1スイッチング素子Trは、第1実施形態と同様に、第1中継電極56及び第2中継電極57を介して接続される。
【0090】
図12に示すように、第2フォトダイオードPD2は、第1フォトダイオードPD1と重ならない領域に設けられる。すなわち、第2フォトダイオードPD2のアノード電極55の上には、第2層間絶縁膜25及び第3層間絶縁膜26が積層される。また、第3方向Dzにおいて、絶縁基板21と第1フォトダイオードPD1との間には、第2半導体層51が設けられていない。
【0091】
このような構成により、指Fgで反射した光L2は、第1フォトダイオードPD1を透過しないで第2フォトダイオードPD2に入射する。このため、第1変形例では、第1実施形態に比べて、第2フォトダイオードPD2に入射する光L2の強度が大きくなるので、第2フォトダイオードPD2の光利用効率が向上する。
【0092】
(第2実施形態)
図13は、第2実施形態に係る部分検出領域を示す回路図である。図14は、第2実施形態に係る検出装置の概略断面構成を示す断面図である。図13に示すように、第1フォトダイオードPD1のアノード電極35及び第2フォトダイオードPD2のアノード電極55が第1スイッチング素子Trに接続される。第1フォトダイオードPD1のカソード電極34及び第2フォトダイオードPD2のカソード電極54は、基準電位、例えばグランド電位に接続される。つまり、第2実施形態では、第1フォトダイオードPD1及び第2フォトダイオードPD2は、第1実施形態とは逆方向に、第1スイッチング素子Trに並列接続される。
【0093】
図14に示すように、第1フォトダイオードPD1のカソード電極34は、第2層間絶縁膜25の上に設けられる。第1フォトダイオードPD1は、カソード電極34、第1部分半導体層31a及び第2部分半導体層31b、アノード電極35の順に積層される。第3方向Dzにおいて、第1部分半導体層31a及び第2部分半導体層31bは、それぞれ、カソード電極34の上に、n型半導体層32c、33c、i型半導体層32a、33a及びp型半導体層32b、33bの順に積層されている。
【0094】
アノード電極35は、第1部分半導体層31a及び第2部分半導体層31bの上に設けられる。また、アノード電極35は、第1部分半導体層31aと第2部分半導体層31bとの間の間隔SPにおいて、コンタクトホールH3を介して第1中継電極56と接続される。この場合、カソード電極34の、コンタクトホールH3と重なる領域に開口34aが形成される。また、カソード電極34は、コンタクトホールH4を介して第2中継電極57と接続される。
【0095】
第2フォトダイオードPD2の第2半導体層51は、第1方向Dxにおいて、n領域52c、i領域52a、p領域52bの順に配置される。第1中継電極56のうち、第2半導体層51と重なる部分がアノード電極55として機能し、第2中継電極57のうち、第2半導体層51と重なる部分がカソード電極54として機能する。アノード電極55(第1中継電極56)は、コンタクトホールH6を介して第2半導体層51のp領域52bと接続される。カソード電極54(第2中継電極57)は、コンタクトホールH5を介して第2半導体層51のn領域52cと接続される。
【0096】
このような構成により、第1フォトダイオードPD1のカソード電極34と第2フォトダイオードPD2のカソード電極54とが、第2中継電極57を介して接続される。また、第1フォトダイオードPD1のアノード電極35及び第2フォトダイオードPD2のアノード電極55が、第1中継電極56を介して第1スイッチング素子Trに接続される。
【0097】
本実施形態では、容量素子Caには、露光期間Pexでマイナスの電荷が保持される。第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、検出装置1は、高い感度を有する波長領域を広げることができる。なお、第2実施形態の平面構成は、図7と同様であるので、図示を省略する。具体的には、図7において、第1フォトダイオードPD1のカソード電極34とアノード電極35とを入れ換え、第2フォトダイオードPD2のカソード電極54及びn領域52cと、アノード電極55とp領域52bとを入れ換えた構成となる。また、第2実施形態においても、第1変形例の構成を適用することができる。
【0098】
(第3実施形態)
図15は、第3実施形態に係る検出装置の部分検出領域を模式的に示す平面図である。図16は、図15のXVI-XVI’断面図である。図15に示すように、第1フォトダイオードPD1は、1つの第1半導体層31を有して構成される。アノード電極35は、第2フォトダイオードPD2と重なる部分の近傍で、カソード電極34の外周よりも外側に張り出した部分を有する。具体的には、カソード電極34の一辺34sは、第2方向Dyにおいて、ゲート線GCLと離れて配置される。アノード電極35の一辺35sは、ゲート線GCLと重なる位置に配置される。アノード電極35は、ゲート線GCLと重なる領域、すなわち、カソード電極34の一辺34sとアノード電極35の一辺35sとの間の領域で、第2中継電極57と接続される。
【0099】
第2フォトダイオードPD2及び第1スイッチング素子Trは、第1フォトダイオードPD1と重なる領域に設けられる。第2フォトダイオードPD2及び第1スイッチング素子Trの平面視での構成は、第1実施形態と同様である。
【0100】
図16に示すように、第1フォトダイオードPD1は、第2層間絶縁膜25の上に、カソード電極34、第1半導体層31、アノード電極35の順に積層される。第1半導体層31は、i型半導体層36a、p型半導体層36b及びn型半導体層36cを含む。第3方向Dzにおいて、カソード電極34の上に、n型半導体層36c、i型半導体層36a、p型半導体層36bの順に積層されている。
【0101】
カソード電極34は、コンタクトホールH3を介して第1中継電極56と接続される。コンタクトホールH3は、第2層間絶縁膜25を第3方向Dzに貫通して形成される。第2中継電極57は、第2半導体層51と重なる領域からゲート線GCLと重なる領域に延在する。言い換えると、第2中継電極57は、第2半導体層51と重なる部分と、ゲート線GCLと重なる部分とを含む。アノード電極35は、コンタクトホールH4を介して、第2中継電極57の、ゲート線GCLと重なる部分に接続される。コンタクトホールH4は、第2層間絶縁膜25及び第3層間絶縁膜26を第3方向Dzに貫通して形成される。なお、第2フォトダイオードPD2の積層構成は、図8に示す第1実施形態と同様である。
【0102】
このような構成により、第1フォトダイオードPD1のカソード電極34及び第2フォトダイオードPD2のカソード電極54が、第1中継電極56を介して第1スイッチング素子Trに接続される。また、第1フォトダイオードPD1のアノード電極35と第2フォトダイオードPD2のアノード電極55とが、第2中継電極57を介して接続される。すなわち、第3実施形態の回路構成は、第1実施形態の図5と同様である。
【0103】
第3実施形態では、第1フォトダイオードPD1が1つの第1半導体層31で構成されており、図8に示す間隔SPを有さない。このため、第1フォトダイオードPD1の光L2を受光できる面積を大きくすることができるので、第1フォトダイオードPD1の光利用効率が向上する。なお、容量素子Caの容量は、図7に示す第1半導体層31の外周と信号線SGLとの間隔SPa等において、対向するカソード電極34とアノード電極35との間に形成される。
【0104】
(第3実施形態の第2変形例)
図17は、第3実施形態の第2変形例に係る検出装置の部分検出領域を模式的に示す平面図である。図17に示すように、第2変形例において、第2フォトダイオードPD2及び第1スイッチング素子Trは、第2方向Dyに隣り合う第1フォトダイオードPD1とゲート線GCLとの間に設けられる。より具体的には、第2フォトダイオードPD2及び第1スイッチング素子Trは、アノード電極35の一辺35sとゲート線GCLとの間に設けられる。
【0105】
アノード電極35は、一辺35sからゲート線GCLに向かう方向に突出する接続部35tを有する。第2中継電極57は、ゲート線GCLに沿って延在する。第2中継電極57の一端側は、コンタクトホールH4を介してアノード電極35の接続部35tと接続される。第2中継電極57の他端側(アノード電極55)は、コンタクトホールH5を介して第2フォトダイオードPD2の第2半導体層51と接続される。
【0106】
第2変形例では、第3実施形態に比べて、第2フォトダイオードPD2に入射する光L2の強度が大きくなるので、第2フォトダイオードPD2の光利用効率が向上する。
【0107】
(第4実施形態)
図18は、第4実施形態に係る検出装置の概略断面構成を示す断面図である。第4実施形態の回路構成は、第2実施形態の図13に示す回路構成と同様であり、第1フォトダイオードPD1のアノード電極35及び第2フォトダイオードPD2のアノード電極55が第1スイッチング素子Trに接続される。第1フォトダイオードPD1のカソード電極34及び第2フォトダイオードPD2のカソード電極54は、基準電位、例えばグランド電位に接続される。つまり、第4実施形態では、第1フォトダイオードPD1及び第2フォトダイオードPD2は、第3実施形態とは逆方向に、第1スイッチング素子Trに並列接続される。
【0108】
図18に示すように、第1フォトダイオードPD1は、第2層間絶縁膜25の上に、アノード電極35、第1半導体層31、カソード電極34の順に積層される。第3方向Dzにおいて、第1半導体層31は、カソード電極34の上に、p型半導体層36b、i型半導体層36a、n型半導体層36cの順に積層されている。
【0109】
アノード電極35は、コンタクトホールH3を介して第1中継電極56と接続される。カソード電極34は、アノード電極35よりも外側に張り出している。カソード電極34の一辺34s側の端部は、アノード電極35と重ならない位置に設けられ、コンタクトホールH4を介して第2中継電極57と接続される。
【0110】
第2フォトダイオードPD2の第2半導体層51は、第1方向Dxにおいて、n領域52c、i領域52a、p領域52bの順に配置される。第1中継電極56のうち、第2半導体層51と重なる部分がアノード電極55として機能し、第2中継電極57のうち、第2半導体層51と重なる部分がカソード電極54として機能する。
【0111】
このような構成により、第1フォトダイオードPD1のカソード電極34と第2フォトダイオードPD2のカソード電極54とが接続される。また、第1フォトダイオードPD1のアノード電極35及び第2フォトダイオードPD2のアノード電極55が第1スイッチング素子Trに接続される。
【0112】
本実施形態では、容量素子Caには、露光期間Pexでマイナスの電荷が保持される。なお、第4実施形態の平面構成は、第3実施形態の図15と同様であるので、図示を省略する。具体的には、図15において、第1フォトダイオードPD1のカソード電極34とアノード電極35とを入れ換え、第2フォトダイオードPD2のカソード電極54及びn領域52cと、アノード電極55とp領域52bとを入れ換えた構成となる。また、第4実施形態においても、第2変形例の構成を適用することができる。
【0113】
(第5実施形態)
図19は、第5実施形態に係る検出装置の部分検出領域を示す回路図である。図20は、第5実施形態に係る検出装置の動作例を表すタイミング波形図である。図19に示すように、第5実施形態では、部分検出領域PAAが容量素子Caを有していない。すなわち、第1スイッチング素子Trのソースは、信号線SGLに接続され、第1スイッチング素子Trのドレインは、第1フォトダイオードPD1のカソード電極34及び第2フォトダイオードPD2のカソード電極54に接続される。なお、第1フォトダイオードPD1及び第2フォトダイオードPD2の接続方向は、第2実施形態と同様であってもよい。
【0114】
第1スイッチング素子Trがオンの期間に、部分検出領域PAAに光が照射されると、第1フォトダイオードPD1及び第2フォトダイオードPD2には光量に応じた電流が流れる。そして、第1フォトダイオードPD1及び第2フォトダイオードPD2から信号線SGLを介してAFE48に電流が流れる。すなわち、第5実施形態では、容量素子Caに電荷を蓄積する時間を省略することができる。
【0115】
図20に示すように、リセット期間Prstにおいて、ゲート線GCL256にゲート駆動信号VGCL256が供給された後、露光期間Pexを省略して、読み出し期間Pdetが開始する。読み出し期間Pdetにおいて、ゲート駆動信号VGCLが各ゲート線GCLに順次供給されると、第1スイッチング素子Trがオンになり、第1フォトダイオードPD1及び第2フォトダイオードPD2が信号線SGLに接続される。第1スイッチング素子Trがオンの期間に第1フォトダイオードPD1及び第2フォトダイオードPD2からAFE48に電流が流れる。言い換えると、読み出し期間Pdetにおいて、高レベル電圧信号のゲート駆動信号VGCLが供給されている期間が、露光期間Pexである。
【0116】
第5実施形態では、容量素子Caを有していないので、部分検出領域PAAの回路構成を簡素化することができる。また、検出領域AAの全領域の検出を迅速に行うことができるので、例えば、脈波等の血管像の時間的な変化を良好に検出することができる。
【0117】
以上、本発明の好適な実施の形態を説明したが、本発明はこのような実施の形態に限定されるものではない。実施の形態で開示された内容はあくまで一例にすぎず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で行われた適宜の変更についても、当然に本発明の技術的範囲に属する。
【符号の説明】
【0118】
1 検出装置
10 センサ部
15 ゲート線駆動回路
16 信号線選択回路
17 リセット回路
21 絶縁基板
24 第1層間絶縁膜
25 第2層間絶縁膜
31 第1半導体層
31a 第1部分半導体層
31b 第2部分半導体層
32a、33a、36a i型半導体層
32b、33b、36b p型半導体層
32c、33c、36c n型半導体層
34、54 カソード電極
35、55 アノード電極
51 第2半導体層
52a i領域
52b p領域
52c n領域
56 第1中継電極
57 第2中継電極
GCL ゲート線
PD1 第1フォトダイオード
PD2 第2フォトダイオード
SGL 信号線
Tr 第1スイッチング素子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20