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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-08
(45)【発行日】2023-05-16
(54)【発明の名称】パンツ型使い捨ておむつ
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/551 20060101AFI20230509BHJP
   A61F 13/56 20060101ALI20230509BHJP
【FI】
A61F13/551 100
A61F13/56 220
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019021723
(22)【出願日】2019-02-08
(65)【公開番号】P2020127633
(43)【公開日】2020-08-27
【審査請求日】2021-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中尾 佑馬
(72)【発明者】
【氏名】植田 章之
(72)【発明者】
【氏名】奥田 泰之
【審査官】住永 知毅
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-121931(JP,A)
【文献】特開2013-248169(JP,A)
【文献】特開平09-316406(JP,A)
【文献】特開2001-112818(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/551
A61F 13/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエスト開口部及び一対のレッグ開口部を有し、着用状態において着用者の腹側に配される腹側部、股間部に配される股下部及び背側に配される背側部を備えたパンツ型使い捨ておむつであって、
前記使い捨ておむつの外面に、廃棄用テープが設けられており、
前記廃棄用テープは、前記使い捨ておむつの外面に固定されている固定部と、伸長部と、止着部とが、該廃棄用テープの長手方向に沿ってこの順に配置されているとともに、この順に積層された三つ折り状態になっており、
三つ折り状態になっている前記廃棄用テープは、前記止着部と前記伸長部との間が剥離可能に仮接合されているとともに、前記伸長部と前記固定部との間も剥離可能に仮接合されており、
前記伸長部は、三つ折り状態を解除した展開状態において、前記廃棄用テープの長手方向に伸長可能であり、
前記廃棄用テープは、前記展開状態において、前記伸長部と前記止着部とが重なる第1連結領域、及び前記伸長部と前記固定部とが重なる第2連結領域を有し、
前記第1連結領域及び前記第2連結領域の何れか一方又は双方は、前記伸長部と前記止着部及び前記伸長部と前記固定部の一方又は双方が接合されている、弱接合部及び該弱接合部より剥離強度の高い強接合部を有し、該弱接合部が、該強接合部よりも前記長手方向の中央部側に位置している、パンツ型使い捨ておむつ。
【請求項2】
前記第1連結領域が、前記弱接合部及び前記強接合部を有している、請求項1に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
【請求項3】
前記第1連結領域及び前記第2連結領域が、前記弱接合部及び前記強接合部を有している、請求項1に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
【請求項4】
前記弱接合部において、前記伸長部と前記止着部又は前記固定部とが剥離を開始する引張強度が、前記伸長部が破断する破断強度の30%以上80%以下である、請求項1~3の何れか1項に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
【請求項5】
前記強接合部における接着剤の坪量が、前記弱接合部における接着剤の坪量よりも大きい、請求項1~4の何れか1項に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
【請求項6】
前記弱接合部は、接着剤が塗布された塗布部分と、該接着剤が塗布されていない非塗布部分とを有しており、
前記塗布部分の面積が、前記塗布部分と前記非塗布部分との合計面積に対して10%以上50%以下である、請求項1~5の何れか1項に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
【請求項7】
前記弱接合部に、前記塗布部分がストライプ状に配されている、請求項6に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
【請求項8】
前記弱接合部の面積が、前記強接合部及び前記弱接合部の合計面積に対して5%以上50%未満である、請求項1~7の何れか1項に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄用テープを備えたパンツ型使い捨ておむつに関する。
【背景技術】
【0002】
使い捨ておむつの廃棄を容易に且つ衛生的に行う観点から、使い捨ておむつを丸めた状態に維持し得る廃棄用テープを備えたおむつが知られている。この廃棄用テープとしては、おむつを丸める作業性や、おむつを丸めた状態に維持する観点から、伸長可能な部分を有しているものが提案されている。例えば、本出願人は、先に、基部と該基部に連設された伸長可能な伸長部とを有する止着テープを提案している(特許文献1)。
【0003】
また、廃棄用テープが三つ折りにされた状態で設けられた使い捨ておむつであって、該廃棄用テープの折り畳み部分において対向する部位どうしが剥離可能に接合されているものも知られている。例えば、特許文献2には、一面のみ表面改質処理されたテープ基材をそれぞれ備えた下層、上層、及び中間層を有する後処理テープであって、これら各層の各々は、テープ基材の一面に粘着剤を塗布してなる接着剤塗布面が形成され、該テープ基材の他面に接着剤非塗布面が形成され、且つ第1連結部及び第2連結部により連結されると共に、第1剥離部及び第2剥離部により屈曲状態から伸展状態に変形可能である、後処理テープを備えた紙おむつが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平9-99010号公報
【文献】特開2013-248169号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的に伸長可能な部分を有する廃棄用テープは、使用後のおむつを丸めて廃棄するときに、伸長可能な部分が伸長することにより長さが大きく増加するため、おむつが丸められた状態を、廃棄用テープによって維持しやすくなる。しかし、使用する人の性格や丸めたおむつの状態等の様々な要因によって、廃棄用テープを伸長させる程度に差が生じる。そのため、廃棄用テープを過度に伸長させてしまう場合が生じるが、過度に伸長させてしまうと、廃棄用テープが破断し、おむつを丸めた状態を維持することができなくなる。
【0006】
本発明の課題は、伸長可能な部分を有する廃棄用テープを備えたおむつの改良にあり、詳しくは廃棄用テープが破断し難いパンツ型使い捨ておむつを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ウエスト開口部及び一対のレッグ開口部を有し、着用状態において着用者の腹側に配される腹側部、股間部に配される股下部及び背側に配される背側部を備えたパンツ型使い捨ておむつであって、前記使い捨ておむつの外面に、廃棄用テープが設けられており、前記廃棄用テープは、前記使い捨ておむつの外面に固定されている固定部と、伸長部と、止着部とが、該廃棄用テープの長手方向に沿ってこの順に配置されているとともに、この順に積層された三つ折り状態になっており、三つ折り状態になっている前記廃棄用テープは、前記止着部と前記伸長部との間が剥離可能に仮接合されているとともに、前記伸長部と前記固定部との間も剥離可能に仮接合されており、前記伸長部は、三つ折り状態を解除した展開状態において、前記廃棄用テープの長手方向に伸長可能であり、前記廃棄用テープは、前記展開状態において、前記伸長部と前記止着部とが重なる第1連結領域、及び前記伸長部と前記固定部とが重なる第2連結領域を有し、前記第1連結領域及び前記第2連結領域の何れか一方又は双方は、前記伸長部と前記止着部及び前記伸長部と前記固定部の一方又は双方が接合されている、弱接合部及び該弱接合部より剥離強度の高い強接合部を有し、該弱接合部が、該強接合部よりも前記長手方向の中央部側に位置している、パンツ型使い捨ておむつを提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明のパンツ型使い捨ておむつによれば、廃棄用テープが伸長可能で操作性が良いにもかかわらず、該廃棄用テープが破断しにくい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明のパンツ型使い捨ておむつの一実施形態を示す斜視図である。
図2図2は、図1に示すパンツ型使い捨ておむつの展開且つ伸長状態における肌対向面側を模式的に示す展開平面図である。
図3図3は、図1に示すパンツ型使い捨ておむつの廃棄形態を示す斜視図である。
図4図4は、図1に示すパンツ型使い捨ておむつに設けられた廃棄用テープの構造を示す断面図である。
図5図5(a)は、図1に示す廃棄用テープの三つ折り状態を解除した展開状態を模式的に示す平面図であり、図5(b)は、図5(a)のV-V線模式断面図である。
図6図6は、図1に示すパンツ型使い捨ておむつの廃棄用テープを伸長させる様子を示す斜視図である。
図7図7(a)は、図5に示す廃棄用テープの伸長状態を模式的に示す平面図であり、図7(b)~(d)は、図7(a)に示す伸長状態に至るまでの第1連結領域の変化を示す拡大平面図である。
図8図8(a)は、図4に示す三つ折り状態の廃棄用テープの第1連結領域付近の拡大断面図であり、図8(b)は、同廃棄用テープの第2連結領域付近の拡大断面図である。
図9図9(a)~(d)は、廃棄用テープの連結領域における他の接合態様の例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。図1には、本発明に係るパンツ型使い捨ておむつの一実施形態が示されている。
本実施形態の使い捨ておむつ1(以下、単に「おむつ1」ともいう。)は、図1に示すように、着用者の胴が通されるウエスト開口部1W、及び着用者の下肢が通される一対のレッグ開口部1L,1Lを有するパンツ型の着用物品である。
おむつ1は、吸収体40を内包する吸収性本体4と、吸収性本体4の非肌対向面側に配され、該吸収性本体4を固定している外装体5とを備えている。外装体5は、おむつ1の非肌対向面である、おむつ1の外面を形成している。
【0011】
本明細書において、「肌対向面」は、おむつ1又はその構成部材(例えば表面シート2)における、おむつ1の着用時に着用者の肌側に向けられる面、即ち相対的に着用者の肌に近い側の面であり、「非肌対向面」は、おむつ1又はその構成部材における、おむつ1の着用時に肌側とは反対側(着衣側)に向けられる面、即ち相対的に着用者の肌から遠い側の面である。尚、ここでいう「着用時」は、通常の適正な着用位置、即ち当該おむつ1の正しい着用位置が維持された状態を意味する。
【0012】
おむつ1は、着用時に、着用者の腹側に配される腹側部A、着用者の背側に配される背側部B、及び腹側部Aと背側部Bとの間に位置する股下部Cを備え、腹側部A及び背側部Bの側縁部どうしが、接着剤、ヒートシール、超音波シール等の公知の接合手段によって互いに接合されていることによって、ウエスト開口部1W及び一対のレッグ開口部1L,1Lが形成されている。
【0013】
図2に、展開且つ伸長状態のおむつ1を示す。おむつ1の「展開且つ伸長状態」とは、腹側部A及び背側部Bそれぞれの外装体5の縦方向Xに沿う両側縁部を接合した状態から切り離して展開状態とし、その展開状態のおむつ1を各部の弾性部材を伸長させて設計寸法(弾性部材の影響を一切排除した状態で平面状に広げたときの寸法と同じ)となるまで拡げた状態をいう。
【0014】
おむつ1は、腹側部Aから股下部Cを介して背側部Bに延びる方向に対応する縦方向Xと、該おむつ1を図2に示すように平面状に広げた状態において、該縦方向Xと直交する横方向Yとを有している。縦方向Xは、吸収性本体4の長手方向と一致し、横方向Yは、吸収性本体4の幅方向と一致している。おむつ1は、図2に示すように、おむつ1を横方向Yに2等分して縦方向Xに延びる縦方向中心線CLに対して左右対称に形成されていることが好ましい。
おむつ1の吸収性本体4は、肌対向面側に位置する表面シート2、非肌対向面側に位置する裏面シート(図示せず)、及び両シート2,3間に位置する吸収体40を有している。表面シート2、裏面シート(図示せず)及び吸収体40は、少なくとも股下部Cの全域に位置するとともに、股下部Cから腹側部A及び背側部Bの少なくとも一部にわたって延在している。
【0015】
おむつ1における吸収体40は、液保持性の吸収性コア41と該吸収性コア41の肌対向面側及び非肌対向面側を被覆するコアラップシート42とを含んで構成されている。
またおむつ1は、図2に示すように、縦方向Xに沿う吸収性本体4の両側部それぞれに、該縦方向Xに沿って延びる防漏カフ6,6を備え、防漏カフ6,6は、吸収性本体4の縦方向Xの全長に亘って連続する撥水性のカフ形成用シート61と、カフ形成用シート61の横方向Yの内方側に縦方向Xに伸長状態で固定された1本又は複数本のカフ弾性部材62とを含んで構成されている。防漏カフ6,6は、縦方向Xに延びるカフ固定部(不図示)を介して表面シートに固定されている。防漏カフ6,6は、カフ弾性部材62を有することで、着用時に肌対向面側に起立する。
【0016】
外装体5、吸収性本体4に含まれる表面シート2、裏面シート(図示せず)及び吸収体40、並びに防漏カフ6,6等のおむつ1の構成部材に用いられる材料としては、当該技術分野における各種公知のものを特に制限なく用いることができる。おむつ1は、防漏カフを有しないものであってもよく、吸収体40は、コアラップシートを有しないものであってもよい。
【0017】
おむつ1の背側部Bには、図1に示すように、廃棄用テープ10が設けられている。廃棄用テープ10は、おむつ1の廃棄形態を維持するために用いられるものである。廃棄用テープ10は、おむつ1の背側部Bにおける横方向Yの略中央部に位置している。また廃棄用テープ10は、長手方向がおむつ1の縦方向Xに一致するように設けられている。
【0018】
図3には、おむつ1の廃棄形態が示されている。おむつ1を廃棄するときには、図1に示すおむつ1において腹側部Aが内向きになるように、おむつ1を股下部Cからウエスト開口部1Wに向けて巻き上げていき、図3に示す巻き上げ形態を作る。巻き上げ形態のおむつ1では、背側部Bに設けられている廃棄用テープ10が、巻き上げたおむつ1の外側に露出している。廃棄用テープ10は、長手方向に伸長された後、巻き上げられて廃棄形態となったおむつ1の外周に巻き付けられ、おむつ1を廃棄形態に維持する。
【0019】
廃棄用テープ10は、主として3つの部位から構成されている。具体的には、廃棄用テープ10は、固定部12と、伸長部15と、止着部18とから構成されている。これら3つの部位は、廃棄用テープ10の長手方向X1に沿ってこの順に配置されている。またこれら3つの部位は、この順に積層された三つ折り状態になっている。図4に、三つ折り状態の廃棄用テープ10の断面構造を示す。廃棄用テープ10の長手方向X1において、固定部12と伸長部15とは連設されており、同様に、伸長部15と止着部18とは連設されている。
【0020】
廃棄用テープ10における固定部12は、固定部用シート片13から構成されている。固定部用シート片13は、第1面13a及び第2面13bを有している。三つ折り状態の廃棄用テープ10において固定部用シート片13は、後述する折り返し部13’を除いて、第1面13aが伸長部15と対向し、第2面13bがおむつ1の外面と対向している。また固定部12は、固定部用接着部14を有している。固定部用接着部14は、固定部用シート片13の第2面13bに設けられている。固定部12は、固定部用接着部14によって、おむつ1における背側部Bの外面に固定されている。この固定部用接着部14を介して、廃棄用テープ10は、おむつ1における背側部Bの外面に固定されている。廃棄用テープ10をおむつ1の外面に固定する方法は、ホットメルト型接着剤等の接着剤を用いて、固定部用接着部14を形成する方法、固定部用シート片13を外装体5の外面にヒートシール等により融着させる方法等、公知の方法を用いることができる。
【0021】
廃棄用テープ10における伸長部15は、該廃棄用テープ10に引張力が加わったときに比較的弱い引張力で容易に伸長し、廃棄用テープ10の長さを増加させる部位である。伸長部15は、伸長部用シート片16から構成されている。伸長部用シート片16は、先に述べた固定部用シート片13と同じ長さであってもよく、異なる長さであってもよい。また、伸長部用シート片16は、固定部用シート片13と同じ幅であってもよく、異なる幅であってもよい。伸長部用シート片16は、第1面16a及び第2面16bを有している。三つ折り状態の廃棄用テープ10において伸長部用シート片16は、後述する折り返し部16’を除いて、第1面16aが止着部18と対向し、第2面16bが固定部12と対向している。また伸長部15は伸長部用粘着部17を有している。伸長部用粘着部17は、伸長部用シート片16の第2面16bに設けられている。伸長部用粘着部17は、三つ折り状態となっている廃棄用テープ10における伸長部15と固定部12との間を剥離可能に仮接合するものである。したがって伸長部用粘着部17は、低粘着性の粘着剤から構成されていることが好ましい。伸長部用粘着部17により仮接合されている伸長部15と固定部12との間は、三つ折り状態の廃棄用テープ10を展開状態とする際に容易に剥離される。
【0022】
先に述べた固定部12における固定部用シート片13は、廃棄用テープ10の長手方向X1における一端に、伸長部15側に折り返された折り返し部13’を有している。そして、その折り返し部13’が、伸長部15における伸長部用シート片16の一端側の部分と第2面16bの側で接合されている。これによって、固定部12と伸長部15とは、互いの一部どうしを重ねた状態で直接に連設されている。固定部12と伸長部15とを連設する方法としては、ホットメルト型接着剤等の接着剤、融着等の公知の方法を用いることができる。固定部12と伸長部15とが互いに重なった状態で連結されている部分、より具体的には、固定部用シート片13と伸長部用シート片16とが互いに重なった状態で連結されている部分が、廃棄用テープ10の第2連結領域32である。
【0023】
廃棄用テープ10における止着部18は、おむつ1の外面における任意の位置に止着可能になっており、おむつ1の廃棄形態を廃棄用テープ10で維持するときに、おむつ1の外面に止着される部位である。止着部18は廃棄用テープ10の先端域を形成しており、止着部用シート片19から構成されている。止着部用シート片19は、固定部用シート片13又は伸長部用シート片16と同じ長さであってもよく、異なる長さであってもよい。また、止着部用シート片19は、固定部用シート片13又は伸長部用シート片16と同じ幅であってもよく、異なる幅であってもよい。止着部用シート片19は、第1面19a及び第2面19bを有している。三つ折り状態の廃棄用テープ10において止着部用シート片19は、第2面19bが伸長部15と対向している。また止着部18は止着部用粘着部20を有している。止着部用粘着部20は、止着部用シート片19の第2面19bに設けられている。止着部用粘着部20は、三つ折り状態となっている廃棄用テープ10における止着部18と伸長部15との間を剥離可能に仮接合し、且つ止着部18をおむつ1の外面における任意の位置に止着するものである。止着部用粘着部20の粘着性の程度は、この観点から決定されることが好ましい。止着部用粘着部20により仮接合されている止着部18と伸長部15との間は、三つ折り状態の廃棄用テープ10を展開状態とする際に容易に剥離される。
【0024】
先に述べた伸長部15における伸長部用シート片16は、廃棄用テープ10の長手方向X1における一端に、止着部18側に折り返された折り返し部16’を有している。そして、その折り返し部16’が、止着部18における止着部用シート片19の一端側の部分と第2面19bの側で接合されている。これによって、伸長部15と止着部18とは、互いの一部どうしを重ねた状態で直接に連設されている。伸長部15と止着部18とが互いに重なった状態で連結されている部分、より具体的には、伸長部用シート片16と止着部用シート片19とが互いに重なった状態で連結されている部分が、廃棄用テープ10の第1連結領域31である。
止着部18における止着部用シート片19の他端には、第2面19b側に摘まみ片21が接合されている。摘まみ片21は、止着部用シート片19とは別体のシート片である。
伸長部15と止着部18とを連設する方法、及び止着部用シート片19と摘まみ片21とを連結する方法としては、ホットメルト型接着剤等の接着剤、融着等の公知の方法を用いることができる。
【0025】
以上のとおり3つの部位から構成される廃棄用テープ10は、Z字状に三つ折りされている(図4参照)。また廃棄用テープ10は、三つ折り状態になっている廃棄用テープ10における自由端側、即ち止着部18における摘まみ片21を有する側が、おむつ1におけるウエスト開口部1W側を向くように、おむつ1の背側部Bに取り付けられている。
【0026】
図5(a)及び図5(b)に、三つ折り状態を解除した展開状態の廃棄用テープ10を模式的に示す。ここで、「三つ折り状態を解除した展開状態」とは、廃棄用テープ10の伸長部15と固定部12との間を剥離し、且つ伸長部15と止着部18との間を剥離して、三つ折り状態の廃棄用テープ10を直線状に展開した状態を意味する。以下、「三つ折り状態を解除した展開状態」を単に「展開状態」ともいう。
展開状態において廃棄用テープ10は、図5(a)及び(b)に示すように、伸長部15の一方の端部に止着部18を、該伸長部15の他方の端部に固定部12を有し、止着部18、伸長部15及び固定部12が直線状に並んで配置されている。
伸長部15は、三つ折り状態を解除した展開状態において廃棄用テープ10の長手方向X1に伸長可能である。展開状態において、廃棄用テープ10は、人の力によって引き伸ばすことができる。例えば、止着部18を指等で把持して、廃棄用テープ10の長手方向X1に引き伸ばすことにより、伸長部15を伸長させることができる(図6参照)。
【0027】
本実施形態の廃棄用テープ10は、展開状態において、図5(a)及び(b)に示すように、伸長部15と止着部18とが重なる第1連結領域31と、伸長部15と固定部12とが重なる第2連結領域32とを有している。このように、展開状態の廃棄用テープ10において、伸長部15と該伸長部15に隣接する他の部位とが重なっている領域を連結領域30ともいう。本実施形態の廃棄用テープ10において、伸長部15に隣接する他の部位とは、止着部18又は固定部12である。
なお、図5(b)においては止着部用粘着部20、伸長部用粘着部17、及び固定部用接着部14を省略して図示している。
【0028】
本実施形態のおむつ1における廃棄用テープ10は、第1連結領域31に、伸長部15と伸長部15と重なる止着部18とを接合する接合部として、剥離強度が相異なる弱接合部36と強接合部33とを有しているとともに、第2連結領域32に、伸長部15と固定部12とを接合する接合部として、剥離強度が相異なる弱接合部36と強接合部33とを有している。
弱接合部36は、連結領域30において、強接合部33に比して、相対的に剥離強度が低い部位であり、図5(a)及び(b)に示すように、展開状態において、強接合部33よりも、廃棄用テープ10の長手方向X1の中央部側に位置している。廃棄用テープ10の長手方向X1の中央部側は、伸長部15の中央部側と同義である。
強接合部33は、連結領域30において、弱接合部36に比して相対的に剥離強度が高い部位であり、図5(a)及び(b)に示すように、展開状態において、弱接合部36よりも長手方向X1外方側に位置している。強接合部33は、伸長部と止着部との間又は伸長部と固定部との間が剥離不可能に接合された部分であっても良い。
【0029】
強接合部33及び弱接合部36の剥離強度は、以下のようにして測定される。
弱接合部36の強度測定サンプルを作製する場合は、まず廃棄用テープ10の強接合部33をあらかじめ溶剤ではがす。次いで強接合部33であった部位にタルク等を塗布し再接着しない状態にしてから、剥離強度の測定を実施する。また強接合部33の強度測定サンプルを作製する場合は、廃棄用テープ10の弱接合部36をあらかじめ同様にはがした状態にし、弱接合部36であった部位にタルク等を塗布してから剥離強度の測定を実施する。
剥離強度の測定は、強度測定サンプルの固定部12または止着部18をチャックに挟み、伸長部15をもう片方のチャックに取り付ける。次いでチャックを300mm/minの速度で移動させ、接合部を剥離させる。この時に観察される力の最大値を剥離強度とする。剥離が開始する前に伸長部の伸長が始まった場合には伸長開始時に観察される力の最大値を剥離強度とする。
【0030】
一般的な伸長部を有する廃棄用テープは、伸長部を伸長していくと、伸長部が破断強度を超えて破断してしまうか、伸長部と伸長部に隣接する他の部位との接合部付近に歪みが生じ、ほどなくしてその接合部付近が破断してしまうことがある。
これに対して、本実施形態のおむつ1における廃棄用テープ10においては、伸長部15を有することによって伸長させることができ、おむつ1を廃棄形態とする際の操作性等に優れていながら、第1連結領域31及び第2連結領域32が、強接合部33及び弱接合部36を有すること、特に弱接合部36を、強接合部33よりも長手方向X1の中央部側に有するため、伸長部15の伸長によってテープが破断する前に、第1連結領域31及び第2連結領域32のそれぞれにおいて、弱接合部36の剥離が始まり、弱接合部36が剥離することによって、連結領域30の伸長部15側の端部付近の歪みが緩和される。また弱接合部36が剥離した分だけ伸長部15の長さが長くなる。これにより、廃棄用テープの破断が生じにくくなる。廃棄用テープの伸長に伴う破断を防止する効果は、第1連結領域31及び第2連結領域32の一方のみが、強接合部33及び弱接合部36を有する場合にも奏され得るが、破断防止効果の一層の向上の観点から、第1連結領域31及び第2連結領域32の双方が、強接合部33及び弱接合部36を有することが好ましい。
【0031】
図7(b)~(d)には、廃棄用テープ10が、図5(a)に示すような非伸長状態から、図7(a)に示す伸長状態に至るまでの廃棄用テープ10の第1連結領域の変化の様子が模式的に示されている。
以下、第1連結領域31及び第2連結領域32の一方又は双方が、弱接合部36及び強接合部33を有することによる効果を、第1連結領域31を例にして説明するが、第2連結領域32についても同様の説明が適用される。なお、第1連結領域31における弱接合部36及び強接合部33を、第1弱接合部37及び第1強接合部34ともいい、第2連結領域32における弱接合部36及び強接合部33を、第2弱接合部38及び第2強接合部35ともいう。
【0032】
三つ折り状態の廃棄用テープ10を、図5及び図7(b)に示すように展開状態とした上で、その長手方向X1に引き伸ばすと、図7(c)に示すように、伸長部15が伸長して、第1連結領域31における第1弱接合部37の、伸長部15の長手方向中央部側の端部付近に、引張り力が強く加わる被負荷部aが生じる。第1弱接合部37は、伸長部15の破断強度よりも低く設定された一定の剥離強度を超えると、被負荷部a付近から第1強接合部34側の幅方向Y1の中央部側に向かって、止着部18と伸長部15との間、より具体的には、止着部用シート片19と固定部用シート片13との間の接合部の剥離が進行する。それにより、図7(d)に示すように、第1連結領域31は、第1強接合部34のみで連結されている状態となる。このように、第1弱接合部37が剥離することによって、廃棄用テープ10の破断の契機となりやすい、伸長部用シート片16の被負荷部a付近における破断を防止できる。また、伸長部15は、止着部18と剥離された第1弱接合部37の長さ分だけ、伸長しやすい領域が増加し、廃棄用テープ10を引き延ばせる長さが増加する。このような作用により、廃棄用テープ10の全長が、第1弱接合部37で連結していた剥離部分の分だけ延びる。このような伸長状態を備えるため、本実施形態の廃棄用テープ10は、前記効果を発揮する。
【0033】
廃棄用テープ10は、第1連結領域31及び第2連結領域32のうち、少なくとも第1連結領域31が、前述した構成の弱接合部36及び強接合部33を有することが好ましい。廃棄用テープ10の第1連結領域31が両接合部36、33を有することにより、使用者の持ち手側に位置し、且つ廃棄用テープ10を展開する際に強い力が加わるため切れやすい第1連結領域31において、弱接合部36が外れることで切れにくくなるといった利点がある。
【0034】
本実施形態の廃棄用テープ10は、前述したとおり、第1連結領域31が、弱接合部36である第1弱接合部37及び強接合部33である第1強接合部34を有し、第2連結領域32が、弱接合部36である第2弱接合部38及び強接合部33である第2強接合部35を有している。したがって、廃棄用テープ10は、展開状態において、止着部18側の端部から長手方向X1に沿って順に、第1強接合部34、第1弱接合部37、第2弱接合部38及び第2強接合部35を有している。第1連結領域31は、図8(a)に示すように、三つ折り状態においては、弱接合部36を長手方向X1外方に有し、強接合部33を長手方向X1中央部側に有する。また、第2連結領域32は、図8(b)に示すように、三つ折り状態においても、弱接合部36を長手方向X1中央部側に有し、強接合部33長手方向X1外方に有する。
【0035】
第1強接合部34と第2強接合部35とは、剥離強度が同じであってもよく、異なっていてもよい。第1強接合部34及び第2強接合部35は、それぞれ、第1弱接合部37及び第2弱接合部38のいずれよりも剥離強度が相対的に高いことが好ましい。
第1弱接合部37と第2弱接合部38とは、剥離強度が同じであってもよく、異なっていてもよい。第1弱接合部37と第2弱接合部38は、それぞれ、第1強接合部34及び第2強接合部35のいずれよりも剥離強度が相対的に低いことが好ましい。
【0036】
廃棄用テープ10が破断する前に弱接合部36の剥離を開始することを確実にして、廃棄用テープ10の破断をより確実に防止する観点から、第1連結領域31の弱接合部36において伸長部15と止着部18とが剥離を開始する引張強度、及び第2連結領域32の弱接合部36において伸長部15と固定部12とが剥離を開始する引張強度は、それぞれ、伸長部15の破断強度に対して、好ましくは80%以下、より好ましくは75%以下であり、また好ましくは30%以上、より好ましくは35%以上であり、また好ましくは30%以上80%以下、より好ましくは35%以上75%以下である。
【0037】
弱接合部36が剥離を開始する引張強度及び伸長部が破断する破断強度は、それぞれ以下に示す方法により測定される。
〔弱接合部36が剥離を開始する引張強度〕
上述の弱接合部36の剥離強度の測定方法と同様に、廃棄用テープ10の強接合部33をあらかじめ溶剤ではがした状態にし、強接合部33であった部位にタルク等を塗布した強度測定サンプルを作製してから、引張強度の測定を実施する。
引張強度の測定は、強度測定サンプルの固定部12または止着部18をチャックに挟み、伸長部15をもう片方のチャックに取り付ける。次いでチャックを300mm/minの速度で移動させ、弱接合部36を剥離させる。この時に観察される力の最大値を弱接合部36が剥離を開始する引張強度とする。剥離が開始する前に伸長部の伸長が始まった場合には伸長開始時に観察される力の最大値を該引張強度とする。
〔伸長部15が破断する破断強度〕
まず、サンプルの下準備として廃棄用テープ10の伸長部15のみを切り出してサンプルを準備する。
破断強度の測定は伸長部15の片側をチャックに挟み、伸長部15のもう片方をもう片方のチャックに取り付ける。次いでチャックを300mm/minの速度で移動させ、伸長部15を破断させる。この時に観察される力の最大値を伸長部15が破断する破断強度とする。
【0038】
廃棄用テープ10の製造工程で簡便に弱接合部36と強接合部33を設計できるという観点から、第1連結領域31及び第2連結領域32のいずれについても、弱接合部36と強接合部33とで剥離強度を異ならせる方法としては、弱接合部36と強接合部33とで、伸長部15と該伸長部15と重ねる部材(止着部18又は固定部12)との間に配する接着剤の坪量を異ならせることが好ましい。
【0039】
弱接合部36における接着剤の坪量は、伸長部15が破断する前に弱接合部36の剥離が開始されるようにする観点から、好ましくは0.1g/m以上、さらに好ましくは0.5g/m以上、また好ましくは50g/m以下、さらに好ましくは45g/m以下である。
【0040】
強接合部33における接着剤の坪量は、伸長部15の伸長時に強接合部33が剥がれないようにする観点から、好ましくは10g/m以上、さらに好ましくは20g/m以上、また好ましくは80g/m以下、さらに好ましくは70g/m以下である。
弱接合部36が伸長時に剥離し、強接合部33が伸長時に剥がれないようにする観点から、弱接合部36における接着剤の坪量は、強接合部33における接着剤の坪量に対して、好ましくは1%以上、より好ましくは2.5%以上であり、また好ましくは60%以下、より好ましくは50%以下であり、また好ましくは1%以上60%以下、より好ましくは2.5%以上50%以下である。
【0041】
<坪量の測定方法>
弱接合部36及び強接合部33のそれぞれから、廃棄用テープの幅方向Y1の長さが、廃棄用テープの幅方向Y1の全長(ただし、伸長部と該伸長部と重なる固定部又は止着部とで長さが異なる場合は短い方の長さとする。)と同じで、廃棄用テープの長手方向X1の長さが1mm以上の測定片を切り出し、各測定片に含まれる接着剤の質量を、電子天秤(A&D社製電子天秤GR-300、精度:小数点以下4桁)を用いて測定する。そして、求めた接着剤の質量を測定片の面積で除して、弱接合部36又は強接合部33の坪量とする。測定片に含まれる接着剤の質量は、測定片の質量から接着剤以外の部材の質量を減じて求めても良いし、測定片から接着剤を取り出して測定しても良い。また坪量が低くて1枚での測定が難しい場合は数枚をまとめて測定してもよい。
【0042】
連結領域30における弱接合部36は、接着剤が塗布された塗布部分71と、接着剤が塗布されていない非塗布部分72とを有していてもよい。塗布部分71と非塗布部分72とを有する弱接合部36における塗布部分71の配置としては、多様な配置パターンを採用することができ、特に制限されないが、長手方向X1、幅方向Y1又は長手方向X1及び幅方向Y1に対して傾斜した方向等に、塗布部分71と非塗布部分72とが交互に存在する配置パターンが好ましい。例えば、図9(a)に示すように、幅方向Y1に連続する塗布部分71が、長手方向X1に間欠的に形成されたストライプ状の配置パターンであってもよく、図9(b)に示すように、長手方向X1に連続する塗布部分71が、幅方向Y1に間欠的に形成されたストライプ状の配置パターンであってもよく、図9(c)に示すように、長手方向X1及び幅方向Y1に間欠的に、即ち散点状に塗布されていてもよい。弱接合部36の塗布部分71のパターンが散点状に塗布されているパターンである場合、図9(c)に示すように、複数の塗布部分71が千鳥状に配されていてもよく、複数の連続直線状の塗布部分71が互いに交差するように配された格子状のパターンでもよい。
これらの中でも図9(a)に示すように、幅方向Y1に延びる塗布部分71が、長手方向X1に間欠的にストライプ状に配されている配置パターンが、廃棄用テープがその幅方向Y1に連なった構成の帯状連続体を製造したのち、該帯状連続体を切断して廃棄用テープを製造する際の接着剤の塗工のしやすさの観点から好ましい。
塗布部分71と非塗布部分72とを有する弱接合部36と組み合わせる強接合部33は、図9(a)~図9(c)に示すように、接着剤が、長手方向X1及び幅方向Y1に連続して塗布されていることが好ましいが、それに代えて、塗布部分71と非塗布部分72とを有する強接合部33であって、塗布部分71の面積率が、弱接合部36よりも高いものであっても良い。
【0043】
上述の弱接合部36による破断抑制効果が確実に奏されるとともに、強接合部33によって連結領域30の接合状態が十分に維持されるようにする観点から、塗布部分71と非塗布部分72とを有する弱接合部は、塗布部分71の面積の、塗布部分71の面積と非塗布部分72の面積との合計に対する割合である塗布部分71の面積率が、好ましくは10%以上50%以下、より好ましくは12%以上40%以下、さらに好ましく15%以上35%以下である。他方、強接合部における、接着剤の塗布部分の面積率は、好ましくは50%超100%以下、より好ましくは80%以上100%以下、さらに好ましく90%以上100%以下である。
【0044】
上述の弱接合部36による破断抑制効果が確実に奏されるとともに、強接合部33によって連結領域30の接合状態が十分に維持されるようにする観点から、弱接合部36の面積は、強接合部33及び弱接合部36の合計面積である連結領域30の面積に対して、好ましくは5%以上50%未満、より好ましくは7%以上48%以下、更に好ましくは8%以上45%以下である。
【0045】
同様の観点から、弱接合部36の、長手方向X1の長さL5は、第1連結領域31又は第2連結領域32の同方向の長さL1に対して、好ましくは5%以上、より好ましくは8%以上であり、また好ましくは50%以下、より好ましくは45%以下であり、また好ましくは5%以上50%以下、より好ましくは8%以上45%以下である。
また弱接合部36は、長手方向X1の長さL5が、好ましくは0.2mm以上、より好ましくは0.5mm以上であり、また好ましくは4mm以下、より好ましくは3.5mm以下であり、また好ましくは0.2mm以上4mm以下、より好ましくは0.5mm以上3.5mm以下である。
【0046】
第1連結領域31の長手方向X1の長さは、好ましくは2mm以上、より好ましくは3mm以上であり、また好ましくは10mm以下、より好ましくは8mm以下であり、また好ましくは2mm以上10mm以下、より好ましくは3mm以上8mm以下である。
第2連結領域32の長手方向X1の長さは、好ましくは2mm以上、より好ましくは3mm以上であり、また好ましくは10mm以下、より好ましくは8mm以下であり、また好ましくは2mm以上10mm以下、より好ましくは3mm以上8mm以下である。
【0047】
本実施形態のおむつ1について更に説明すると、おむつ1は、横方向Yに沿って延びる1本又は複数本の弾性部材53,54が、ウエスト開口部1Wの近傍や、ウエスト開口部1Wとレッグ開口部1Lとの間の部位である胴回り部に配されている。また、レッグ開口部1Lには、該開口部1Lに沿って弾性部材52が配されており、該弾性部材52は縦方向Xに沿って延びる部分を有している。これら弾性部材の伸縮によって、おむつ1が着用者の身体にフィットし、おむつ1の装着感が良好になるとともに、排泄物の漏れが効果的に防止される。おむつ1は、上述した弾性部材に加え、防漏カフ6において縦方向Xに伸縮するカフ弾性部材62も有している。このような弾性部材等によって縦方向Xや横方向Y等の所定の方向に伸縮する部分を、以下、伸縮部ともいう。
【0048】
おむつ1の外面には、伸縮部の伸縮性に起因する凹凸が形成されることがあり、このような凹凸が形成された部位に廃棄用テープを配すると、意図せず剥離してしまう虞がある。廃棄用テープ10をおむつ1の外面に確実に固定する観点から、固定部12は、おむつ1の平面視において、伸縮部と重ならない位置に廃棄用テープ10の固定部12が位置していることが好ましい。このような態様として、縦方向Xにおいて、固定部12の股下部C側の端部12aが、縦方向Xに伸縮する伸縮部よりウエスト開口部1Wの開口端50側に位置していることが挙げられる(図2参照)。この場合、固定部12の股下部C側の端部12aは、背側部Bにおいて、カフ弾性部材62の背側部B側の端部及びレッグ開口部に沿って配された弾性部材52の背側部B側の端部よりも、ウエスト開口部1Wの開口端50側に配されている。即ち、縦方向Xにおいて、固定部12の股下部C側の端部12aと背側部Bのウエスト開口端50との間の長さL10は、カフ弾性部材62と該ウエスト開口端50との間の長さL12、及びレッグ開口部に配された弾性部材52と該ウエスト開口端50との間の長さL14に比して短い(図2参照)。
【0049】
廃棄用テープ10とおむつ1の外面との接合をより確実にする観点から、固定部12の股下部C側の端部12aと背側部Bのウエスト開口端50との間の長さをL10(図2参照)とし、カフ弾性部材62と該ウエスト開口端50との間の長さをL12(図2参照)としたとき、L10に対するL12の比率(L12/L10)は、好ましくは1.05以上、より好ましくは1.1以上であり、また好ましくは2.0以下、より好ましくは1.75以下であり、また好ましくは1.05以上2.0以下、より好ましくは1.1以上1.75以下である。
上記と同様の観点から、レッグ開口部1Lに配された弾性部材52と該ウエスト開口端50との間の長さをL14(図2参照)としたとき、L10に対するL14の比率(L14/L10)は、好ましくは1.1以上、より好ましくは1.2以上であり、また好ましくは2.5以下、より好ましくは2.2以下であり、また好ましくは1.1以上2.5以下、より好ましくは1.2以上2.2以下である。
【0050】
おむつの外面に廃棄用テープ10をコンパクトに設け、且つおむつに巻き付ける長さをより確実に確保する観点から、三つ折り状態において、廃棄用テープ10の全長L(図4参照)は、好ましくは30mm以上、より好ましくは35mm以上であり、また好ましくは50mm以下、より好ましくは45mm以下であり、また好ましくは30mm以上50mm以下、より好ましくは35mm以上45mm以下である。三つ折り状態における廃棄用テープ10の全長L(図4参照)は、三つ折り状態における該テープの最大長さである。
【0051】
おむつに巻き付ける長さをより確実に確保する観点から、伸長部15は、好ましくは150mm以上、より好ましくは180mm以上、さらに好ましくは200mm以上に伸長可能である。伸長させた伸長部15の長さは、両端の強接合部33を含まない剥離し伸長した部分の長さである。
また、おむつに巻き付ける作業を容易に行う観点から、伸長部15の最大伸長長さは、好ましくは150mm以上、より好ましくは180mm以上であり、好ましくは250mm以下、より好ましくは240mm以下であり、また好ましくは150mm以上250mm以下、より好ましくは180mm以上240mm以下である。
【0052】
伸長部15の最大伸長長さは、破断するまで伸長させた伸長部15の最大長さであり、以下の方法により測定される。
【0053】
三つ折り状態の廃棄用テープについて、伸長部を固定部から剥離し、三つ折り状態を解除した展開状態にする。次いで、廃棄用テープの長手方向を引張方向に一致させ、引張試験機(例えば株式会社 島津製作所社製、機種「AUTOGRAPH AG-X」)のチャックが伸長部の長手方向の両端部、即ち強接合部33の長手方向X1中央部側の端部に位置するように取り付ける。次いで、300mm/minの速度で引っ張り、引張距離に伴って変化する引張強度を測定する。そして、引張強度が最大値となる引張強度における第1強接合部34と第2強接合部35との間の距離を、伸長部15の最大伸長長さとする。
【0054】
廃棄用テープ10を伸長し易くし、且つ意図せず伸長することを防止する観点から、伸長部15が伸長を開始する引張強度は、好ましくは1.0N以上、より好ましくは3N以上であり、また好ましくは12N以下、より好ましくは6.5N以下であり、また好ましくは1.0N以上12N以下、より好ましくは3N以上6.5N以下である。
「伸長部が伸長を開始する引張強度(N)」は、チャック間距離を10mmとして、伸長部の非接合領域にチャックを取り付ける点以外は、上述の伸長部15の最大伸長長さの測定方法と同様の方法により測定される。この方法により測定される引張強度の曲線において、第一極大点の強度を伸長部が伸長を開始する引張強度(N)とする。第一極大点は、引張距離に伴って変化する引張強度(N)の曲線において、最初に現れる極大点である。第一極大点が明確に判らない場合、また、観察されない場合は伸度30%から70%間の伸長時の最大荷重を第一極大点の強度とみなす。また、引張距離に伴って変化する引張強度の最大値を破断強度とし、該破断強度を示した時点を伸長部の「破断時」とし、破断時の伸度を「伸度100%」とする。
【0055】
伸長部15が伸長可能であるためには、伸長部15を構成するシート片16として、適切な材料を選択すればよい。具体的には、これらシート片16の構成材料として、例えば伸長可能なフィルムを用いることができる。そのようなフィルムとしては、例えば単一層フィルム、及び共押出しフィルムのような多層フィルムが挙げられる。また、伸長可能なフィルムを構成する材料としては、例えば線状低密度ポリエチレンなどのポリオレフィンが好ましい。また、ポリ塩化ビニル、エチレン-酢酸ビニル共重合体及びポリビニルアルコールからなる群から選択される少なくとも1種の材料も好ましい。更に、少なくとも50%、より好ましくは少なくとも70%の永久変形を有する材料を用いることも有利である。
【0056】
固定部12や止着部18を構成するシート片13,19としては、上述したシート片の構成材料と同じものを用いても良く、伸長不可能、即ち塑性変形不可能な任意の材料を用いてもよい。例えば、樹脂性シート(プラスチックシート,フィルム等)、不織布、織布など、従来用いられていた公知のものを特に制限なく用いることができる。なお、固定部用シート片13の構成材料が、伸長可能であったとしても、おむつ1の外面に固定されている部分においては、その伸長性は発現しない状態となっている。
【0057】
伸長部15と固定部12とを剥離可能に仮接合する伸長部用粘着部17や、止着部18と伸長部15とを剥離可能に仮接合する止着部用粘着部20には、例えばゴム系粘着剤及びアクリル系粘着剤が一般的に使用され、好ましくはゴム系粘着剤が使用される。ゴム系粘着剤としては、例えばスチレン-ブタジエンブロック共重合体や水添スチレン-ブタジエンブロック共重合体等の合成ゴム、又はこれら合成ゴムと樹脂とのブレンド等が挙げられる。また、ヒートシール、ホットメルト系粘着剤、メルトブロー状又は繊維状の粘着剤若しくは接着剤等からなる粘着剤を用いてもよい。
【0058】
伸長部用粘着部17は、第1連結領域31を除く、伸長部用シート片16の第1面16aの全面に形成されていてもよい。また、止着部用粘着部20は、第2連結領域32を除く、止着部用シート片19の第2面19bの全面に形成されていてもよい。これら粘着部17,20はそれぞれ間欠的に形成されていてもよい。この場合、上述した粘着剤を間欠的に塗布することにより、これら粘着部17,20を間欠的に形成することができる。
【0059】
おむつ1の外面に設けられる廃棄用テープ10は、伸長部用シート片16の一方の端部側に固定部用シート片13を、伸長部用シート片16の他方の端部側に止着部用シート片19を部分的に積層し、接着剤等の公知の方法を用いてその積層部分を接合して一体化することにより製造することができる。
【0060】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。
例えば、連結領域30における強接合部33と弱接合部36とは、接着剤の坪量が、強接合部33及び弱接合部36のそれぞれにおいて略一定であり、強接合部33と弱接合部36との間に接着剤の坪量が大きく変化する段差があっても良いが、強接合部33から弱接合部36に亘って接着剤の坪量が漸減していても良い。図9(d)に示すように、連結領域30の一端から他端に向かって接着剤の坪量が連続的に変化する場合、連結領域30の長手方向X1の長さを2等分する位置を境界C3として、該境界C3の両側のうち接着剤の坪量が大きい方を強接合部33とし、坪量の小さい方を弱接合部36とする。
【0061】
また前記実施形態では、廃棄用テープ10がおむつ1の背側部Bに設けられていたが、廃棄用テープ10を設ける部位はこれに限られず、例えば腹側部Aや股下部Cであってもよい。
また、前記実施形態では、廃棄用テープ10は、おむつ1の横方向Yにおける略中央部に設けられていたが、廃棄用テープ10を設ける部位はこれに限られず、例えばおむつ1の左右どちらかの側部域に設けられていてもよい。更に前記実施形態では、廃棄用テープ10は、その長手方向X1がおむつ1の縦方向Xに一致するように設けられていたが、廃棄用テープ10の向きはこれに限られず、例えば廃棄用テープ10を、その長手方向X1が、おむつ1の横方向Yに一致するように設けてもよい。
また、前記実施形態では、止着部用シート片19の他端に摘まみ片21が接合されていたが、廃棄用テープ10は、摘まみ片21を具備しなくてもよい。
【0062】
また、本発明のパンツ型使い捨ておむつは、幼児又は成人用のパンツ型使い捨ておむつの他、パンツ型の生理用ナプキン等のパンツ型の他の使い捨て吸収性物品であってもよい。
【0063】
上述した実施形態に関し、本発明は更に以下のパンツ型使い捨て着用物品を開示する。
<1>
ウエスト開口部及び一対のレッグ開口部を有し、着用状態において着用者の腹側に配される腹側部、股間部に配される股下部及び背側に配される背側部を備えたパンツ型使い捨ておむつであって、
前記使い捨ておむつの外面に、廃棄用テープが設けられており、
前記廃棄用テープは、前記使い捨ておむつの外面に固定されている固定部と、伸長部と、止着部とが、該廃棄用テープの長手方向に沿ってこの順に配置されているとともに、この順に積層された三つ折り状態になっており、
三つ折り状態になっている前記廃棄用テープは、前記止着部と前記伸長部との間が剥離可能に仮接合されているとともに、前記伸長部と前記固定部との間も剥離可能に仮接合されており、
前記伸長部は、三つ折り状態を解除した展開状態において、前記廃棄用テープの長手方向に伸長可能であり、
前記廃棄用テープは、前記展開状態において、前記伸長部と前記止着部とが重なる第1連結領域、及び前記伸長部と前記固定部とが重なる第2連結領域を有し、
前記第1連結領域及び前記第2連結領域の何れか一方又は双方は、前記伸長部と前記止着部及び前記伸長部と前記固定部の一方又は双方が接合されている、弱接合部及び該弱接合部より剥離強度の高い強接合部を有し、該弱接合部が、該強接合部よりも前記長手方向の中央部側に位置している、パンツ型使い捨ておむつ。
<2>
前記第1連結領域が、前記弱接合部及び前記強接合部を有している、前記<1>に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
<3>
前記第1連結領域及び前記第2連結領域が、前記弱接合部及び前記強接合部を有している、前記<1>に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
<4>
前記弱接合部において、前記伸長部と前記止着部又は前記固定部とが剥離を開始する引張強度が、前記伸長部が破断する破断強度の80%以下であり、好ましくは30%以上80%以下であり、より好ましくは35%以上75%以下である、前記<1>~<3>の何れか1に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
<5>
前記強接合部における接着剤の坪量が、前記弱接合部における接着剤の坪量より大きい、前記<1>~<4>の何れか1に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
<6>
前記弱接合部における接着剤の坪量が0.1g/m以上50g/m以下であり、好ましくは0.5g/m以上45g/m以下である、前記<5>に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
<7>
前記強接合部における接着剤の坪量が10g/m以上80g/m以下であり、好ましくは20g/m以上70g/m以下である、前記<5>又は<6>に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
<8>
前記弱接合部における接着剤の坪量が、前記強接合部における接着剤の坪量に対して、1%以上60%以下であり、好ましくは2.5%以上50%以下である、<5>~<7>の何れか1に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
<9>
前記弱接合部は、接着剤が塗布された塗布部分と、該接着剤が塗布されていない非塗布部分とを有しており、
前記塗布部分の面積が、前記塗布部分と前記非塗布部分との合計面積に対して10%以上50%以下であり、好ましくは12%以上40%以下であり、より好ましくは15%以上35%以下である、前記<1>~<8>の何れか1に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
<10>
前記弱接合部に、前記塗布部分がストライプ状に配されている、前記<9>に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
<11>
前記弱接合部の面積が、前記強接合部及び前記弱接合部の合計面積に対して5%以上50%未満であり、好ましくは7%以上48%以下、より好ましくは8%以上45%以下である、前記<1>~<10>の何れか1に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
<12>
前記弱接合部の前記長手方向の長さが、前記第1連結領域の前記長手方向の長さに対して、5%以上50%以下であり、好ましくは8%以上45%以下である、前記<1>~<11>の何れか1に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
<13>
前記弱接合部の前記長手方向の長さが、前記第2連結領域の前記長手方向の長さに対して、5%以上50%以下であり、好ましくは8%以上45%以下である、前記<1>~<12>の何れか1に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
<14>
前記第1接合領域の長手方向の長さが、2mm以上10mm以下、より好ましくは3mm以上8mm以下ある、前記<1>~<13>の何れか1に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
<15>
前記第2接合領域の長手方向の長さが、2mm以上10mm以下、より好ましくは3mm以上8mm以下ある、前記<1>~<14>の何れか1に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
<16>
前記廃棄用テープの長手方向の全長は、三つ折り状態において、30mm以上50mm以下であり、好ましくは35mm以上45mm以下である、前記<1>~<15>の何れか1に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
<17>
前記伸長部の長手方向の最大伸長長さは、150mm以上250mm以下であり、好ましくは180mm以上240mm以下である、前記<1>~<16>の何れか1に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
<18>
前記伸長部が伸長を開始する引張強度は、1.0N以上12N以下であり、好ましくは3N以上6.5N以下である、前記<1>~<17>の何れか1に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
【符号の説明】
【0064】
1 パンツ型使い捨ておむつ
2 表面シート
4 吸収性本体
10 廃棄用テープ
12 固定部
13 固定部用シート片
13’固定部用シート片の折り返し部
14 固定部用接着部
15 伸長部
16 伸長部用シート片
16’伸長部用シート片の折り返し部
17 伸長部用粘着部
18 止着部
19 止着部用シート片
20 止着部用粘着部
21 摘まみ片
30 連結領域
31 第1連結領域
32 第2連結領域
33 強接合部
71 接着剤の塗布部分
72 接着剤の非塗布部分
A 腹側部
B 背側部
C 股下部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9