(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-08
(45)【発行日】2023-05-16
(54)【発明の名称】自動光学検査のための光学系
(51)【国際特許分類】
G01N 21/84 20060101AFI20230509BHJP
G01N 21/88 20060101ALI20230509BHJP
G02B 21/06 20060101ALI20230509BHJP
G02B 21/10 20060101ALI20230509BHJP
G02B 17/06 20060101ALI20230509BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20230509BHJP
F21V 8/00 20060101ALI20230509BHJP
H01L 33/00 20100101ALI20230509BHJP
H01S 5/022 20210101ALI20230509BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20230509BHJP
F21Y 115/30 20160101ALN20230509BHJP
【FI】
G01N21/84 E
G01N21/88 Z
G02B21/06
G02B21/10
G02B17/06
F21S2/00 100
F21V8/00 200
H01L33/00 L
H01S5/022
F21Y115:10
F21Y115:30
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019045003
(22)【出願日】2019-03-12
【審査請求日】2022-02-21
(32)【優先日】2018-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501005438
【氏名又は名称】オルボテック リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ナチュム ヨアブ
(72)【発明者】
【氏名】デヴィル ハーノイ
(72)【発明者】
【氏名】ボリス フェルドマン
(72)【発明者】
【氏名】タリ ハーヴィッツ
【審査官】小野寺 麻美子
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-007589(JP,A)
【文献】特開平10-227721(JP,A)
【文献】特表2002-540422(JP,A)
【文献】特表2008-523392(JP,A)
【文献】特開2014-153326(JP,A)
【文献】特開2014-211322(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0024846(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2002/0036750(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84 - G01N 21/958
G01B 11/00 - G01B 11/30
G02B 9/00 - G02B 21/36
G02B 25/00 - G02B 25/04
F21S 2/00
F21V 8/00
H01L 33/00
H01S 5/022
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物の被照明領域から戻された光を検出することによって前記構造物の自動光学検査を行うための光学系であって、前記光学系は、
一次焦点位置および二次焦点位置を定義する半楕円形反射鏡と、
前記半楕円形反射鏡の前記一次焦点位置に配置される回転反射鏡と
を有する走査反射鏡モジュールを備え、前記回転反射鏡は、照明ビームを受け取るように構成され、かつ、前記照明ビームを前記二次焦点位置に配置されている前記構造物の特定の領域を照明すべく方向付けるように構成され、前記回転反射鏡は、第1動作モードおよび第2動作モードのうちの何れか一方で選択的に動作して、前記構造物の前記特定の領域に前記照明ビームを直接反射すること、および、半楕円形経路に沿って配置される反射素子のうちの1つに前記照明ビームを反射することをそれぞれ行うように構成される、光学系。
【請求項2】
前記回転反射鏡は、照明ビームを受け取るように構成され、かつ、前記照明ビームを前記構造物の前記特定の領域に方向付けるように構成されている前記半楕円形反射鏡に向けて、前記照明ビームを方向付けるように構成される、請求項1に記載の光学系。
【請求項3】
前記回転反射鏡の前記第1動作モードおよび前記第2動作モードは、検査の明視野モードおよび暗視野モードにそれぞれ対応するか、または、検査の前記暗視野モードの複数の異なる角度に対応する、請求項1または2に記載の光学系。
【請求項4】
前記半楕円形反射鏡は、半楕円形経路に沿って配置される、離間されている複数の反射素子を含み、前記離間されている複数の反射素子はそれぞれ、反射された前記照明ビームを他とは異なる特定の角度で前記二次焦点位置に向けて反射するように構成される、請求項1から3の何れか一項に記載の光学系。
【請求項5】
前記半楕円形反射鏡は、半楕円形の幾何学的構成を持つ反射面を含み、前記反射面は、反射された前記照明ビームを任意の角度で前記二次焦点位置に向けて反射するように構成される、請求項1から3の何れか一項に記載の光学系。
【請求項6】
前記回転反射鏡は、特定の軸を中心として複数の異なる角度回転することで、反射された前記照明ビームを複数の異なる照明角度で前記半楕円形反射鏡に向けて方向付けるように構成され、かつ動作可能であることから、検査中の前記構造物の走査が実行される、請求項1から5の何れか一項に記載の光学系。
【請求項7】
前記回転反射鏡は、
前記照明ビームを特定の軸を中心として90度の範囲内で可変かつ調節可能
な複数の異なる
角度で方向付けるように構成される、請求項1から6の何れか一項に記載の光学系。
【請求項8】
暗視野モードまたは明視野モードに従って照明されている前記特定の領域から戻された光線を選択的に収集するように構成され、かつ、前記特定の領域におけるマクロ欠陥を示す、対応する画像データを生成するように構成されている、検出モジュールを備える、請求項3から7の何れか一項に記載の光学系。
【請求項9】
照明されている前記特定の領域から光線を収集し、かつ、収集した前記光線を検出モジュールに向けて方向付けるように構成され、かつ動作可能である、反射面を更に備える、請求項1から8の何れか一項に記載の光学系。
【請求項10】
前記
特定の領域が明視野モードに
したがって照明されている場合に、検出された前記光は、前記構造物内の複数の界面から鏡面反射された光成分によって形成される干渉パターンを示し、前記干渉パターンは、前記構造物における屈折マクロ欠陥を示す、請求項3から9の何れか一項に記載の光学系。
【請求項11】
前記
特定の領域が暗視野モードに
したがって照明されている場合に、検出された前記光は、前記構造物の表面からの反射によって形成される回折パタ-ンを示し、前記回折パタ-ンは、回折マクロ欠陥を示す、請求項3から10の何れか一項に記載の光学系。
【請求項12】
前記照明ビームを生成する照明モジュールを更に備え、前記照明モジュールは、光発生曲面を有する、請求項1から11の何れか一項に記載の光学系。
【請求項13】
前記光発生曲面は、実質的に円弧の形状を有する、請求項12に記載の光学系。
【請求項14】
前記光発生曲面は、離間されている複数の照明素子のアレイによって形成されるか、または、連続面である、請求項12または13に記載の光学系。
【請求項15】
前記複数の照明素子は、発光体または導光素子を含む、請求項14に記載の光学系。
【請求項16】
前記複数の照明素子は、LED、レーザ、レーザーダイオード、VCSEL、狭帯域ランプ、ナトリウムランプといったタイプのうちの少なくとも1つの発光体を含む、請求項14または15に記載の光学系。
【請求項17】
前記構造物から戻されたビームを前記検出モジュールに方向付ける収集経路に配置される狭帯域フィルタを更に備えることで、前記光学系の明視野動作モードおよび暗視野動作モードについて、前記構造物の被照明領域から戻された光線の帯域幅を調整する、請求項
8または9に記載の光学系。
【請求項18】
前記第1動作モードと前記第2動作モードとの間の
移行は、一定の時間で実行される、請求項1から1
7の何れか一項に記載の光学系。
【請求項19】
前記一定の時間は、1秒未満である、請求項1
8に記載の光学系。
【請求項20】
請求項1から
19の何れか一項に記載の光学
系を用いてマクロ欠陥検出を実行する検査ステージを備える自動光学検査(AOI)システム。
【請求項21】
前記マクロ欠陥検出を実行する検査ステージの前の少なくとも1つの
マイクロ欠陥検出を実行する検査ステージを含み、少なくとも2つの検査ステージを通過する前記構造物を検査するように構成される、請求項
20に記載のAOIシステム。
【請求項22】
前記構造物の複数の異なる領域において
マイクロ欠陥の走査と同時にマクロ欠陥の走査が実行されるように、前記光学
系を保持し、かつ、前記AOIシステムを通過する前記構造物に対して前記光学系を変位させる、支持面を備える、請求項
20または21に記載のAOIシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここでは、2018年3月12日に出願されたOPTICAL SYSTEM FOR AUTOMATED OPTICAL INSPECTIONと題する米国仮特許出願第62/641,454号を参照する。その開示内容が参照によってここに組み込まれ、その優先権がここで主張される。本発明は、集積回路ウェハおよびフラットパネルディスプレイ(FPD)など、製造中の構造物の自動光学検査のための光学系に関する。
【背景技術】
【0002】
光学マイクロ検査システムは一般に、集積回路ウェハおよびフラットパネルディスプレイなどの電子デバイスの製作において生じ得る微細な欠陥を検出するのに使用されている。係るシステムは通常、検査中の試料の表面全体の大規模な高解像度画像を形成すべく表面にわたって走査する、照明源および撮像デバイスを備える。このシステムは通常、微細な欠陥を検出すべく、約0.5~20μm/画素の解像度で試料の表面を撮像する。
【0003】
多数の繰り返しセルによって定義されるパターンを有するパターン基板、例えば、製造中のフラットパネルディスプレイ基板の検査では、一般に、パターン中の各セルの画像をパターン中の別のセルの画像と比較することによって欠陥が識別される。係る検査システムの例には、Orbotech社が製作するInVision(商標)システムおよびSupervision(商標)システムがある。
【0004】
様々な周知のフラットパネルディスプレイ製造技術が存在する。これらの技術のほとんどが、様々な薄膜および感光性保護フォトレジストコーティングが次々にガラス基板に付与される、多段階のフォトリソグラフィプロセスを含む。薄膜は、特定のプロセス段階に応じて金属または非金属誘電体などであってよい。フラットパネルディスプレイの製造プロセスにおける様々な段階が、大気中の不純物および他の不純物、並びに、プロセス欠陥から受ける影響が極めて大きい。
【0005】
フラットパネルディスプレイの従来検査システムでは、画像の取得に明視野反射照明を使用している。欠陥検出は、特に、パネル上の材料間のコントラストに依存する。しかしながら、パネル材料のうちの幾つかは透明、例えば、ITO(酸化インジウムスズ)であるように設計され、パネル上のこれらの材料と他の材料との間に適切なコントラストを生成するのは非常に困難であり得る。
【0006】
製造欠陥のタイプによってはマクロスケールで生じるものもあり、当技術分野で知られている自動マイクロ検査技術を用いて検出されないかもしれない。係るマクロ欠陥は、特に、製造中のウェハまたはフラットパネル基板の変形、または、プロセスの不均一性の結果として生じ得る。この種の欠陥は、例えば、線などの特徴のわずかな位置ずれ、または、大きなセル集団上の薄膜層の厚みの変化として現れ得る。顕微鏡レベルでは、各セルが依然として参照画像の指定された誤差範囲にあるように見えるかもしれない。しかしながら、マクロ欠陥は依然として、最終製品の性能に影響を及ぼし得る。例えば、フラットパネルディスプレイにおけるこの種の欠陥によって、ディスプレイの輝度が不均一になり得る。
【0007】
当技術分野で知られているマクロ欠陥検出の従来方法は、目に見えるマクロ異常の直接検査、例えば、人間であるオペレータによる目視検査に基づいている。通常、フラットパネルディスプレイの場合は、例えば、表面から回折する光の変化を目視で見つけるべく、複数の異なる照明構成を提供する複数の異なる角度でパネルが照明および観察される。回折特性の変化は、マクロスケールの不均一性を示し得る。この検査方法は不便であり、個々のオペレータのスキルに依存するところが大きい。
【0008】
同特許文献には、大規模な特徴および欠陥を検出するための方法が幾つか記載されている。例えば、本特許出願の譲受人に譲渡されるPCT特許公報WO 00/26645には、製造中のフラットワークピース上のマクロ欠陥を検出するための自動化方法が記載されている。別の例として、本特許出願の譲受人に譲渡されるPCT特許公報WO 04/083901には、パターン基板中のマクロ欠陥を識別するのに使用される自動光学マイクロ検査システムが記載されている。別の例として、米国特許4,589,140には、複数の異なる倍率ながらも実質的には同じ視野による対象物の光学走査から得られるデジタル信号マスク情報を記憶することに基づいたリアルタイム検査の方法および装置が記載されている。対象物の既知または未知の部分を識別すべく、複数の異なる倍率で被検査対象物の走査を実行することによって得られるデジタルマスク情報が、記憶したマスク情報と比較される。更に別の例として、米国特許4,692,943には、プリント基板などの対象物における二次元パターンの光学検査の方法およびシステムが記載されている。一連の画素単位の画像の操作を適用して寸法および間隔を検査することによって、マイクロ検査が実行される。それと同時に、走査された画素をフレームと組み合わせること、および、それらを単一の特性画像情報まで縮小することによって、マクロ検査が実行される。この手法によって、マイクロ欠陥およびマクロ欠陥の両方について、完全に自動化されたリアルタイム検査が可能になると記述されている。
【発明の概要】
【0009】
上記の通り、既存の検査システムは、マクロ欠陥情報を抽出すべく、既存の光学マイクロ検査システムによって生成されるマイクロ検査結果に適用される画像処理方法を提供する。概して、複数の異なるマイクロ検査画像が組み合わされ、マクロ欠陥を検出するためにスケール変更処理段階が実行される。
【0010】
しかしながら、これらの技術はマクロ欠陥ではなくむしろマイクロ欠陥を検出するよう光学的に適合させられるため、マクロ欠陥の検出はデジタル処理で実行される。更に、これらの技術は、回折ムラ、気泡、ストリーク、スジ、表面の不連続性、および、コーティング用輝度向上フィルム(BEF)上の汚染物といったマクロ欠陥を検出するのに必ずしも十分とは限らない。欠陥を大規模に検出するように適合させられている光学系によって取得され得るより多くの情報データが必要である。係る欠陥は、洗浄プロセスの残留物または配向層のラビングプロセスによりポラライザとガラスとの間にたまった粒子(例えば、ダスト)汚染物または繊維汚染物によって引き起こされることが多い。これらの欠陥の存在により、表示デバイスを通して見える光強度ムラが生じ得る。人間の目で見ると、この配光ムラにより、ガラスパネルの欠陥領域と周辺の正常領域との間のコントラスト変化が生じ得る。
【0011】
各欠陥に、暗視野照明または明視野照明の下で現れる特性サインがある。より具体的には、製造中、基板は通常、薄膜でコーティングされる。基板と薄膜との間の界面で光干渉を誘起する明視野照明を用いることによって、基板と薄膜との間の界面において形成される欠陥が検出され得る。基板は次に、基板と薄膜との間の界面における欠陥を示している光干渉を収集するために走査され得る。明視野照明とは、対象物を見ているセンサと関連付けられるレンズに照明源からの光の鏡面反射が入射する照明を指す。更には、基板の表面に形成される周期構造物(三次元構造物)における欠陥が、暗視野照明を用いることによって回折技術により検出され得る。投射光がパターンガラス基板の表面に格子回折を生成する。暗視野照明とは、対象物を見ているセンサと関連付けられるレンズに照明源からの光の鏡面反射が入射しない照明を指す。
【0012】
従って、当技術分野では、幅広い様々な角度にわたり明視野検査チャネルおよび暗視野検査チャネルを用いてマクロ欠陥を識別できる自動光学検査が必要である。更には、共通の自動光学検査ステーションにおいてマイクロ欠陥検出とマクロ欠陥検出とを統合するのが望ましいかもしれない。
【0013】
本発明は、概して人間の目に見えるような比較的大規模なプロセス欠陥の有無について、構造物におけるマクロ欠陥を光学的に検出するための自動光学検査システム/ステーションに関する。このステーションは、スタンドアロン型のものであってもよいし、共通の検査システムを通過する構造物に対して実行される、連続した検査段階の最終段階であってもよい。マクロ欠陥検査ステーションは走査モードで動作し(すなわち、構造物ホルダおよび光学系のうちの両方または一方が他方に対して変位可能なものであり)、光学系と、マクロ欠陥を示している、走査された構造物のデータ画像を生成する検出モジュールとを含む。「マクロ欠陥」という用語は、パターンの複数の隣接セルに影響を及ぼし、かつ、セル単位の検出性または重要性の閾値未満であり得る、比較的大規模なプロセス欠陥を指すのに使用される。単なる例として、FPD基板検査の観点から、マクロ欠陥は、コーティングの堆積ムラ、コーティングの除去ムラ、すすぎ液の残留物、化学物質の残留物、基板に堆積しているフォトレジストの不完全露光、キズ、線、および、基板に埋まっている粒子を含み得る。マクロ欠陥検出は、均一に製造されている表面において不規則な明るさの変化として定義される、ムラ検出を含んでもよい。ムラは通常、見る者に不快感を与える明瞭な輪郭もコントラストもない欠陥に関連する。
【0014】
本発明のある広範な態様によれば、構造物の被照明領域から戻された光を検出することによって構造物の自動光学検査を行うための光学系が提供される。光学系は、一次焦点位置および二次焦点位置を定義する半楕円形反射鏡と、当該半楕円形反射鏡の一次焦点位置に配置される回転反射鏡とを有する走査反射鏡モジュールを備える。回転反射鏡は、照明ビームを受け取るように構成され、かつ、当該照明ビームを二次焦点位置に配置されている構造物の特定の領域を照明すべく方向付けるように構成される。回転反射鏡は更に、第1動作モードおよび第2動作モードのうちの何れか一方で選択的に動作することで、構造物の特定の領域に照明ビームを直接反射すること、および、半楕円形経路に沿って配置される反射素子のうちの1つに照明ビームを反射することをそれぞれ行うように構成される。回転反射鏡の第1動作モードおよび第2動作モードは、検査の明視野モードおよび暗視野モードにそれぞれ対応してもよいし、検査の暗視野モードの複数の異なる角度に対応してもよい。第1動作モードと第2動作モードとの間の選択的な動作は、他の欠陥走査の合間にマクロ欠陥を検出することが可能になる、一定の時間で実行され得る。その時間は1秒未満であってよい。
【0015】
このように、本発明の光学系は、明視野検査チャネルおよび暗視野検査チャネルを含み得る。これらのチャネルは選択的に動作可能であり、共通の照明モジュールおよび共通の検出モジュールを利用する。明視野モードは通常方式および/または斜め方式で実装されてよく、検査は構造物(または構造物の層)の上面および下面から鏡面反射された光成分によって形成される干渉パターンの検出に基づいている。
【0016】
暗視野検査モードについては、様々な異なる角度による構造物の同じ領域の照明、および、対応する複数の異なる回折パタ-ンの検出を利用する。角度走査は、回転反射鏡および半楕円形反射鏡により形成される走査反射鏡モジュールを用いることによって実装される。反射鏡、例えば、同じ回転反射鏡または別の折り畳み可能な反射鏡によって、明視野モードと暗視野モードとの切り替えが実装される。
【0017】
幾つかの実施形態において、回転反射鏡は、照明ビームを受け取るように構成され、かつ、当該照明ビームを構造物の特定の領域に方向付けるように構成されている半楕円形反射鏡に向けて、当該照明ビームを方向付けるように構成される。
【0018】
幾つかの実施形態において、半楕円形反射鏡は、半楕円形経路に沿って配置される、離間されている複数の反射素子を含む。離間されている複数の反射素子はそれぞれ、反射された照明ビームを他とは異なる特定の角度で二次焦点に向けて反射するように構成される。
【0019】
幾つかの実施形態において、半楕円形反射鏡は、半楕円形の幾何学的構成を持つ反射面を含む。反射面は、反射された照明ビームを任意の角度で二次焦点に向けて反射するように構成される。
【0020】
幾つかの実施形態において、回転反射鏡は、特定の軸を中心として複数の異なる角度回転することで、反射された照明ビームを複数の異なる照明角度で半楕円形反射鏡に向けて方向付けるように構成され、かつ動作可能であることから、検査中の構造物の走査が実行される。
【0021】
幾つかの実施形態において、回転反射鏡は、直角までの範囲内で可変かつ調節可能な角度で複数の異なる照明角度を生成するように構成される。
【0022】
幾つかの実施形態において、光学系は更に、暗視野モードまたは明視野モードに従って照明されている特定の領域から戻された光線を選択的に収集するように構成され、かつ、特定の領域におけるマクロ欠陥を示す、対応する画像データを生成するように構成されている、検出モジュールを備える。
【0023】
幾つかの実施形態において、光学系は更に、照明されている特定の領域から光線を収集し、かつ、収集した光線を検出モジュールに向けて方向付けるように構成され、かつ動作可能である、反射面を備える。
【0024】
幾つかの実施形態において、明視野モードに対応する、検出された光は、構造物内の複数の界面から鏡面反射された光成分によって形成される干渉パターンを示し、当該干渉パターンは、構造物内の屈折マクロ欠陥を示す。暗視野モードに対応する、検出された光は、構造物の表面からの反射によって形成される回折パタ-ンを示し、当該回折パタ-ンは、回折マクロ欠陥を示す。
【0025】
幾つかの実施形態において、光学系は更に、照明ビームを生成する照明モジュールを備え、当該照明モジュールは、実質的に円弧の形状を有し得る光発生曲面を備える。これによって、照明モジュールの出力における視野レンズの必要性をなくすことが可能になる。光発生面は、離間されている複数の照明素子のアレイによって形成されてもよいし、連続面であってもよい。照明素子は、発光体または導光素子であってよい。照明素子は、LED、レーザ、レーザーダイオード、VCSEL、または、ナトリウムランプなどの狭帯域ランプといったタイプのうちの少なくとも1つの発光体を含み得る。
【0026】
幾つかの実施形態において、光学系は更に、構造物から戻されたビームを検出モジュールに方向付ける収集経路に配置される狭帯域フィルタを備えることで、システムの明視野動作モードおよび暗視野動作モードについて、構造物の被照明領域から戻された光線の帯域幅を調整する。
【0027】
本発明の別の広範な態様によれば、検出モジュールを介して構造物の被照明領域から戻された光を検出することによって構造物の自動光学検査を行うための照明モジュールが提供される。照明モジュールは、実質的に円弧の形状を有する光発生曲面を備える。光発生面は、離間されている複数の照明素子のアレイによって形成され得る。照明素子は、発光体または導光素子を含み得る。照明素子は、LED、レーザ、レーザーダイオード、VCSEL、または、ナトリウムランプなどの狭帯域ランプといったタイプのうちの少なくとも1つの発光体を含み得る。
【0028】
本発明の別の広範な態様によれば、上で定義された光学系、および、上で定義された照明モジュールのうちの少なくとも一方を用いてマクロ欠陥検出を実行する検査ステージを備える自動光学検査(AOI)システムが提供される。
【0029】
幾つかの実施形態において、AOIシステムは、マクロ欠陥検査ステージの前の少なくとも1つの検査ステージを含む、少なくとも2つの検査ステージを通過する構造物を検査するように構成される。
【0030】
幾つかの実施形態において、AOIシステムは更に、構造物の複数の異なる領域において他の欠陥の走査と同時にマクロ欠陥の走査が実行されるように、光学系および照明モジュールのうちの少なくとも一方を保持し、かつ、検査システムを通過する構造物に対して光学系を変位させる、支持面を備える。
【図面の簡単な説明】
【0031】
本明細書で開示される主題をよりはっきりと理解できるよう、かつ、当該主題が実際にはどのように実行され得るかを例示すべく、ここで、添付図面を参照しながら、単なる非限定的な例として実施形態を説明する。
【0032】
【
図1】本発明の光学系の、簡略化された機能ブロック図である。
【
図2】本発明の走査反射鏡モジュールの、簡略化された概略的なYZ断面図である。
【
図3】本発明の幾つかの実施形態に係る光学系の、簡略化された概略的なYZ断面図である。
【
図4A】本発明の幾つかの実施形態に係る光学系を用いた検査ステージを含む自動光学検査(AOI)システムの概略的なXZ断面図である。
【
図4B】本発明の幾つかの実施形態に係る光学系を用いた検査ステージを含む自動光学検査(AOI)システムの斜視図である。
【
図5】本発明の幾つかの実施形態に係る光発生曲面を有する照明モジュールを概略的に示している。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1を参照する。
図1は、マクロ欠陥情報を抽出すべく、本発明の構造物の被照明領域から戻された光を検出することによって構造物の自動光学検査を行うための光学系100を表したブロック図を示している。光学系100は、一次焦点位置および二次焦点位置(例えば、焦点面)を定義する半楕円形反射鏡104と、当該半楕円形反射鏡104の一次焦点位置(例えば、楕円の第1軸)に配置される回転反射鏡106とを有する走査反射鏡モジュール102を備える。
【0034】
回転反射鏡(例えば、ミラー)106は、照明ビームを受け取ること、および、当該照明ビームを二次焦点位置(例えば、楕円の第2軸)に配置されている構造物の特定の領域に反射するべく、当該照明ビームを直接方向付けることを行うこと、または、当該照明ビームを走査反射鏡モジュール102に向けて半楕円形反射鏡104に反射することによって、照明チャネルにおいて動作するように構成される。回転反射鏡106は、第1動作モードおよび第2動作モードのうちの何れか一方で選択的に動作するように構成される。回転反射鏡の第1動作モードおよび第2動作モードは、検査の明視野モードおよび暗視野モードにそれぞれ対応するか、または、検査の暗視野モードの複数の異なる角度に対応する。
【0035】
実質的明視野照明で照明されると、よりはっきりと視認され得る欠陥があることを理解されたい。選択された角度で構造物に提供される暗視野照明で照明されると、コントラストが高くなることからよりはっきりと視認され得るタイプの欠陥もある。
【0036】
暗視野照明と実質的明視野照明との複数の組み合わせを通常は含む、様々な照明の組み合わせを提供するにあたり、複数の異なる欠陥のコントラストを最大限にし、かつ、ノイズを最小限にすることで、照明構成のうちの少なくとも1つにおいて複数の異なるタイプの欠陥の見易さを向上させることができる。明視野モードが屈折欠陥を検出するように動作可能である一方で、暗視野モードの複数の異なる角度は、回折欠陥を検出するように動作可能である。明視野モードに対応する、検出された光は、構造物内の複数の界面から鏡面反射された光成分によって形成される干渉パターンを示し、当該干渉パターンは、構造物内の屈折マクロ欠陥を示す。暗視野モードに対応する、検出された光は、構造物の表面からの反射によって形成される回折パタ-ンを示し、当該回折パタ-ンは、回折マクロ欠陥を示す。
【0037】
特定の非限定的な例において、回折欠陥は、2D格子の類似物として機能するフラットパネルディスプレイ・セルアレイの乱れ(すなわち、格子の限界寸法の局所的変化)により生じたものを含み得る。この乱れは、セルサイズのわずかな局所的変化、または、線幅のわずかな局所的変化であり得る。異なる格子が好ましい回折角度を有することから、本発明の光学系は、複数の異なる可変かつ調節可能な照明角度における、暗視野検査モードを含む、幾つか(少なくとも2つ)の動作モードを含む。特定の非限定的な例において、暗視野検査モードは、0度から直角までの、離れている6つの暗視野入射角を含み得る。
【0038】
複数の異なる動作モード間の移行は、被検査構造物、および、被検出欠陥のタイプに従って適切なモードを選択するように構成されている制御ユニット(図示せず)によって実行され得る。適切な角度は、構造物のパターン(回折格子)に従って選択され得る。本発明の光学系の構成によって、少なくとも1秒未満(例えば、0.3秒)という非常に短い時間で複数の異なる動作モード間の移行が可能になることに留意されたい。
【0039】
制御ユニットは、必要に応じてROM(リードオンリメモリ)形態で実装され得るソフトウェアコンポーネントを含む。代替的に、ソフトウェアコンポーネントは概して、必要に応じて従来技術を用いて、ハードウェアとして実装され得る。任意の動作モードで構造物の被照明領域から戻された光は、共通の検出モジュール108によって直接収集されるか、または、更なる反射面(図示せず)を介して収集される。検出モジュール108は、センサ(例えば、CMOSなどの領域センサ、または、ラインセンサ)を含み、当該センサは、本発明の光学系100の一部であるかもしれないし、そうでないかもしれない。検出モジュールは、暗視野モードまたは明視野モードに従って照明されている領域から戻された少なくとも1つの光線を収集するように構成され、かつ、特定の領域におけるマクロ欠陥を示す、対応する画像データを生成するように構成される。このように、検出モジュール108は、様々な照明構成の下で構造物の画像を取り込むように構成される。検出モジュール108のセンサは、異なる動作モードの走査を収集するように構成され、同じ走査において幾つかの異なる照明角度を支持する能力を有する。
【0040】
このように、光学系100は、大きな画素サイズ(例えば、約100~400μm)でマクロ欠陥の自動走査を実行して、走査された構造物のマクロ欠陥を示す画像データを提供するように構成される。本発明は、任意の被検査構造物に限定されるわけではない。例えば、欠陥について、被検査構造物は、複数の異なるタイプのプリント回路基板(PCB)、マルチチップモジュール(MCM)、集積回路(IC)、レチクル、および、フラットパネルディスプレイ(FPD)などであってよい。本発明の光学系100は、(例えば、テレビ/携帯電話用の)フラットパネルディスプレイの走査に特に有用である。特定の非限定的な例において、構造物は、一定の波長範囲に対して光学的に透明なパターン構造物、または、フォトレジストマスク層における欠陥を検出するためのフォトレジストパターンが作られた後の金属層であってよい。本明細書に図示および記載されている光学系は、イスラエル、YavneのOrbotech社により市販されているOrbotech Quantum(商標)系の自動光学検査システム(https://www.orbotech.com/products/categories/fpd/automated-optical-inspections)など、現在の技術水準の検査システムと併用すると特に有用である。
【0041】
図2を参照する。
図2は、本発明の走査反射鏡モジュール102の概略的なYZ断面図を示している。走査反射鏡モジュール102は、半楕円形経路に沿って配置される、離間されている複数の反射素子104Aをこの実施形態では有し、かつ、一次焦点面F
1および二次焦点面F
2を共に定義する、半楕円形反射鏡104と、半楕円形反射鏡104の一次焦点面に配置される回転反射鏡106とを有する。回転反射鏡106は、照明源から照明ビームを受け取るように構成され、かつ、当該照明ビームを半楕円形経路に沿って配置される反射素子104Aのうちの1つに反射するように構成される。回転反射鏡106は、特定の軸を中心として複数の異なる角度回転することで、照明ビームを異なる反射素子に向けて方向付ける。代替的に、図には具体的に示されていないが、半楕円形反射鏡は、半楕円形状を有しており、かつ、反射された照明ビームを任意の望ましい角度で二次焦点に向けて反射するように構成されている、1つの反射面を含む。回転反射鏡は、反射された照明ビームを複数の異なる照明角度で反射面に向けて方向付けるように構成され、かつ動作可能であることから、検査中の構造物の走査を実行する。この構成において、複数の異なる角度間の移行は連続的である。半楕円形反射鏡に投射される照明の角度は何れも、被検査構造物に向けて反射される。
【0042】
構造物の走査中、回転反射鏡106は回転して、ある動作モードから別のモードへと順次移行する。回転反射鏡106が特定の角度で位置決めされると、照明ビームは、半楕円形反射鏡104の特定の反射素子または特定の異なる部分104Aに到達する。各動作モードで、回転反射鏡106は、半楕円形反射鏡104の特定の異なる反射素子/部分104Aに当該照明ビームを反射するように、異なる角度で回転する。選択された反射素子/部分104Aは、照明ビームを半楕円の第2軸へと構造物に方向付ける。すなわち、各反射素子/部分が、二次焦点面に照明ビームを集中させるように構成される。このように、半楕円形反射鏡104は、複数の異なる角度で明視野モードまたは暗視野モードで半楕円形反射鏡104の二次焦点面と交差する平面に配置されているパターン構造物の特定の領域を選択的に照明するように構成される。
【0043】
図3を参照する。
図3は、本発明の幾つかの実施形態に係る光学系300の概略的なYZ断面図を示している。図示の通り、回転ミラー106は、照明源310により生成された照明ビームを受け取り、当該照明ビームを半楕円形反射鏡104の特定の反射素子/部分を照明するように方向付ける。複数の異なる動作モードで構造物を検査するために、回転反射鏡106は、回転反射鏡106の複数の異なる角度位置が、概してL
reflで、別様に反射された光線に対応するように、照明源310から伝播する初期光線L
initの光路内の平面に配置されること、および、初期光線L
initの伝播の軸を中心として回転するよう装着されることで、照明ビームを複数の異なる照明角度で複数の異なる反射素子/部分に向けて方向付ける。特定の非限定的な例において、明視野照明の場合、X軸に対する回転ミラー106の回転角度は最大60度である。異なる暗視野照明の場合、X軸に対する回転ミラー106の複数の異なる回転角度は、約30度から60度の範囲にあってよい。
【0044】
幾つかの実施形態において、離間されている複数の反射素子はそれぞれ、照明ビームを他とは異なる特定の角度で二次焦点面に向けて反射するように構成される。この特定の例では、反射素子のうちの1つBFRが明視野モードでのシステム動作における光線方向に使用される一方で、その他の反射素子DFRは暗視野モードでのシステム動作の素子である。代替的に、上記の通り、反射面は、照明ビームを任意の角度で二次焦点面に向けて反射するように構成される。反射面の少なくとも一部が明視野モードでのシステム動作における光線方向に使用される一方で、その他の部分は暗視野モードでのシステム動作に使用される。
【0045】
任意の動作モードで、構造物上の被照明領域Rから戻され、かつ、収集/検出チャネルに沿って伝播する光線は、収集した光線を検出モジュール312に向けて方向付ける反射面314と相互作用する。
【0046】
特定の非限定的な例において、構造物の特定の領域は、数百ミリメートルというx軸寸法に沿った断面を有し得る。この文脈では、構造物のサイズが比較的大きいと、視野の中央と端との間の主光線の角度変化を低く保つために、構造物と検出モジュール312との間の距離を長くする必要があることに留意されたい。この特別な構成によって収集/検出チャネルの光路が折り曲げられるので、光学系のサイズおよび重量が最適化される。検出モジュール312が構造物に対してわずかに傾斜しているので、明視野検査チャネルおよび暗視野検査チャネルの両方について、共通の照明モジュールおよび検出モジュールによる操作が可能になる。反射面314は、検出モジュール312の焦点面が構造物の被照明領域Rとなるように、収集/検出チャネルの光路を折り曲げる特定の位置に収容される。
【0047】
照明モジュール310は、LED、レーザ、レーザーダイオード、ナトリウムランプなどの狭帯域ランプ、もしくはVCSELといった発光体、または、繊維などの導光素子を含み得る。上記の通り、屈折欠陥の検出が干渉効果に基づいていることから、屈折欠陥のコントラストを向上させるために、狭帯域照明が実装され得る。回折効果および干渉効果によるコントラストは、低帯域幅でより良好である。収集/検出チャネルに狭帯域フィルタ(例えば、1~3nm)が存在することによって、干渉効果または回折効果による欠陥コントラストが著しく向上する。狭帯域フィルタは、照明帯域幅を減らし、かつ、欠陥コントラストを高めるように構成される。この構成により、高速走査(最大1500mm/秒)での深い暗視野角度であっても良好な光収支を提供する、F値が比較的低い(例えば、F/0.95)検出モジュールを使用することが可能になる。レーザまたはVSCELの使用によって、係る狭帯域フィルタを用いる必要がなくなる。
【0048】
本発明の光学系は、スタンドアロン型システムとして使用されてもよいし、他の走査欠陥検出を実行する自動光学検査(AOI)システムに組み込まれてもよい。
図4Aを参照する。
図4Aは、本発明の幾つかの実施形態に係るマクロ欠陥検出を実行するための光学系300を用いた検査ステージを含む自動光学検査(AOI)システム400の概略的なXZ断面図を示している。AOIシステム400は、マクロ欠陥検査ステージの前の少なくとも1つの検査ステージを含む、少なくとも2つの検査ステージを通過する構造物を検査する。AOIシステム400は、光学系300を保持し、かつ、検査システムを通過する構造物に対して光学系300を変位させる、支持面410を含み得る。この特定の非限定的な例において、支持面410は、光学系300を変位させてZ軸における走査を行う。
【0049】
幾つかの実施形態において、本発明は、マクロ欠陥検査ステーションの動作を、マイクロ欠陥検査ステーション、および、例えば、高解像度ビデオモニタを用いて欠陥を検出した後にそれらを確認および表示する、検証ステーションと統合することを提供する。この文脈において、
図4Bを参照する。
図4Bは、本発明の幾つかの実施形態に従って構築され、かつ、動作する、走査自動光学検査(AOI)システム500の斜視図を示している。
【0050】
AOIシステム500は、本発明の光学系を用いて本発明の幾つかの実施形態に係るマクロ欠陥検出を実行するための検査ステージを含む。AOIシステム500は、製造段階の完了後、および、構造物を他の製造装置に移す前に、構造物を検査する製造装置の中に提供され得る。この特定の非限定的な例において、光学系は図示されていない。なぜなら、光学系を保持する支持面410の上面図が示されているからである。自動光学検査(AOI)システム500は概して、以下で具体的に説明する場合を除き、イスラエル、YavneのOrbotech社により市販されているSuperVision(商標)自動光学検査システムまたはQuantum(商標)自動光学検査システムと同様であってよい。自動光学検査(AOI)システム500は概して、構造物530がy軸550に沿って移動するように装着される、エアフロートテーブル520などのワークテーブルを含む。AOIシステム500は、画像を分析して欠陥を自動検出するコンピュータ(図示せず)を含んでもよい。光学ブリッジ560が、x軸540に沿って移動するように装着される1つまたは複数の光学ヘッド570を支持し、カメラサブユニットのアレイを含む。光学ヘッド570が構造物の特定の領域R1を検査する一方で、本発明の光学系は構造物の別の領域R2を同時に検査する。特定の非限定的な例において、構造物はY軸において移動し、光学ヘッド570はX軸において走査する。しかしながら、本発明は何れの走査構成にも限定されるものではなく、任意の他の走査オプション実装が適用されてもよい。このように、構造物の複数の異なる領域において他の欠陥の走査と同時にマクロ欠陥の走査が実行され得る。このようにして、マクロ欠陥走査がマイクロ検査走査および検証段階と同時に実行され得る、適切な走査モードが実装される一方で、これらの異なる検査は、構造物の複数の異なる領域に同時に適用される。特定の非限定的な例では、マイクロ検査走査が5回または6回実行される間に、マクロ検査走査が2回実行される。これは構造物の全域を走査するのに十分な走査回数である。マクロ検査走査の時間は、マイクロ検査欠陥に必要な走査の回数によって定義される。
【0051】
AOIシステム500は、欠陥の位置を検証するためのビデオステーションを含んでもよい。特定の非限定的な例において、検証段階は、マイクロ検査走査を通過し、かつ、潜在的なマイクロ欠陥を有するものとしてマークされた、構造物の領域R1の選択的位置に適用される。マクロ検査走査は次に、ビデオステーションを通過した構造物の全域R1に適用される。ビデオおよびマイクロ検査走査は、構造物の第2の領域の選択的位置および第3の連続領域の選択的位置にそれぞれ同時に適用される。
【0052】
AOIシステム500の構成によって、同じシステムおよび同じ走査において組み合わされるマイクロ欠陥およびマクロ欠陥の走査が提供される。更に、上記の通り、本発明の光学系の構成によって、1秒未満での複数の異なる動作モード間の移行が可能になるので、マイクロ検査走査スライスの合間にマクロ検査欠陥の動作モードを変更する能力が提供される。従って、AOIシステム500の新規構成により、同じ走査において回折欠陥および屈折欠陥の両方を示すマクロ画像が提供される。
【0053】
図5を参照する。
図5は、本発明の幾つかの実施形態に係る照明モジュール320の考えられる構成を示している。本発明の新規の照明モジュール320は、光発生曲面322を含む。光発生曲面322は、一定の均一性を有する、検査された構造物に入射する照明ビームを生成するように構成される。照明ビームは、照明経路に沿って投射されてもよいし、特定の面積を有するスポットであってもよい。この特定の非限定的な例において、光発生曲面322は円弧の形状を有する。光発生曲面322は、図示のように離間されている複数の照明素子324のアレイによって形成されるか、または、連続面(図示せず)によって形成される。離間されている複数の照明素子324のアレイによって光発生曲面322が形成される場合は、照明素子324が個別に制御可能であってよい。この新規構成によって、視野レンズの必要性がなくなる。なぜなら、発生面322の幾何学的湾曲形状によって、比較的狭い立体角で照明ビーム全体を方向付けることが可能になるからである。幾何学的湾曲形状の半径は、照明モジュールと検出モジュールとの間の距離によって決まる。このようにして、照明モジュールの円弧の形状により、検出モジュールの撮像レンズの主光線を一致させることが可能になる。