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特許7274334折り畳み式仮設足場の吊り上げ装置及びその吊り上げ方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-08
(45)【発行日】2023-05-16
(54)【発明の名称】折り畳み式仮設足場の吊り上げ装置及びその吊り上げ方法
(51)【国際特許分類】
   E04G 1/34 20060101AFI20230509BHJP
   E04G 21/16 20060101ALI20230509BHJP
【FI】
E04G1/34 A
E04G21/16
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019075701
(22)【出願日】2019-04-11
(65)【公開番号】P2020172805
(43)【公開日】2020-10-22
【審査請求日】2022-01-11
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1)平成30年(2018年)7月18~20日に開催された「メンテナンス・レジリエンス TOKYO 2018」にて配布された「コンセプト足場 IT-50 足場の未来を考える」、及び「メンテナンス・レジリエンス TOKYO 2018 結果報告書」 (2)平成30年(2018年)8月23日に発行された「Iq Express VOL.10」
(73)【特許権者】
【識別番号】592123923
【氏名又は名称】株式会社タカミヤ
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100153006
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 勇三
(74)【代理人】
【識別番号】100095212
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 武
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼宮 一雅
(72)【発明者】
【氏名】星野 克之
(72)【発明者】
【氏名】磯部 凌吾
【審査官】吉村 庄太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-310480(JP,A)
【文献】実開平07-026511(JP,U)
【文献】特開昭61-014363(JP,A)
【文献】特開平08-093104(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 1/34
E04G 21/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
展開されることで上下方向に直列状態となる少なくとも2本の支柱を含んで構成され、これらの支柱の端部の近傍同士が、前記2本の支柱の長さ方向と直交する方向が軸方向となっているピン状部材により回動自在に連結されていることにより、前記2本の支柱が折り畳み及び展開自在になっている折り畳み式仮設足場を吊り上げるための吊り上げ装置であって、
前記2本の支柱のうち、展開されたときに上側となる上側支柱の上方に配設されていて、上昇操作される吊り上げ部材と、この吊り上げ部材と前記上側支柱とを連結するために前記吊り上げ部材と前記上側支柱の間に架け渡され、前記上側支柱を前記吊り上げ部材から吊り下げられた状態にするための架け渡し部材とを含んで構成される折り畳み式仮設足場の吊り上げ装置において、
前記吊り上げ部材には、この吊り上げ部材の上昇により折り畳まれていた前記2本の支柱が展開されて前記上側支柱が立ち上がるときに前記吊り上げ部材の位置を、前記ピン状部材を中心に前記上側支柱が回動する鉛直面内に含まれている水平方向に移動制御させるための制御部材が連結されており、
前記折り畳み式仮設足場は、前記2本の支柱が、互いに直交する2つの水平方向のそれぞれに複数設けられて構成されているとともに、前記吊り上げ部材の位置が前記制御部材によって移動制御される前記水平方向は、前記2つの水平方向のうち、一方の水平方向であり、
前記2つの水平方向のうち、他方の水平方向に互いに隣接配置されている前記2本の支柱には、横架部材が架け渡されているとともに、前記一方の水平方向に互いに隣接配置されている前記横架部材には、作業者が作業を行うために乗ったり歩行したりするための作業布板が架け渡されており、
前記吊り上げ部材の上昇により折り畳まれていたそれぞれの前記2本の支柱が展開されて前記上側支柱が立ち上がるときに、これらの上側支柱に架け渡されている前記横架部材が前記作業布板に対して回動することにより、この作業布板が水平又は略水平の姿勢となることを特徴とする折り畳み式仮設足場の吊り上げ装置。
【請求項2】
請求項1に記載の折り畳み式仮設足場の吊り上げ装置において、前記吊り上げ部材の平面視での全体形状は、展開されたときの前記折り畳み式仮設足場の平面視での全体形状と寸法及び形状が同じ又は略同じになっている四角形状となっており、前記吊り上げ部材に、それぞれの前記2本の支柱ごとに設けられた前記架け渡し部材の上端が連結されていることを特徴とする折り畳み式仮設足場の吊り上げ装置。
【請求項3】
請求項2に記載の折り畳み式仮設足場の吊り上げ装置において、前記吊り上げ部材は、前記一方の水平方向が長さ方向となっている2本のバー部材と、前記他方の水平方向が長さ方向となっていて、前記2本のバー部材の長さ方向の端部同士を連結している2本のバー部材とを含んで構成されたものとなっていることを特徴とする折り畳み式仮設足場の吊り上げ装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載の折り畳み式仮設足場の吊り上げ装置において、前記吊り上げ部材の前記一方の水平方向における互いに反対側の2箇所において、前記制御部材の上端が連結されていることを特徴とする折り畳み式仮設足場の吊り上げ装置。
【請求項5】
請求項4に記載の折り畳み式仮設足場の吊り上げ装置において、前記制御部材の上端は、前記吊り上げ部材における前記他方の水平方向の長さの中央部又は略中央部において、前記吊り上げ部材に連結されていることを特徴とする折り畳み式仮設足場の吊り上げ装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれかに記載の折り畳み式仮設足場の吊り上げ装置において、前記制御部材は、可撓性を有する紐状部材であることを特徴とする折り畳み式仮設足場の吊り上げ装置。
【請求項7】
請求項6に記載の折り畳み式仮設足場の吊り上げ装置において、前記紐状部材は、作業者によって操作されるものとなっていることを特徴とする折り畳み式仮設足場の吊り上げ装置。
【請求項8】
展開されることで上下方向に直列状態となる少なくとも2本の支柱を含んで構成され、これらの支柱の端部の近傍同士が、前記2本の支柱の長さ方向と直交する方向が軸方向となっているピン状部材により回動自在に連結されていることにより、前記2本の支柱が折り畳み及び展開自在になっている折り畳み式仮設足場を吊り上げるための吊り上げ方法であって、
前記2本の支柱のうち、展開されたときに上側となる上側支柱の上方に配設されていて、上昇操作される吊り上げ部材と、この吊り上げ部材と前記上側支柱とを連結するために前記吊り上げ部材と前記上側支柱の間に架け渡され、前記上側支柱を前記吊り上げ部材から吊り下げられた状態にするための架け渡し部材とを含んで構成される吊り上げ装置によって前記折り畳み式仮設足場を吊り上げ、この吊り上げ時に、前記吊り上げ部材に連結されている制御部材により、前記吊り上げ部材の位置を、前記ピン状部材を中心に前記上側支柱が回動する鉛直面内に含まれている水平方向に移動制御させるための吊り上げ方法であり、
前記折り畳み式仮設足場は、前記2本の支柱が、互いに直交する2つの水平方向のそれぞれに複数設けられて構成されているとともに、前記吊り上げ部材の位置が前記制御部材によって移動制御される前記水平方向は、前記2つの水平方向のうち、一方の水平方向であり、
前記折り畳み式仮設足場が前記吊り上げ装置によって吊り上げられる以前に、前記2つの水平方向のうち、他方の水平方向に互いに隣接配置されている前記2本の支柱に横架部材を架け渡し、前記一方の水平方向に互いに隣接配置された前記横架部材に、作業者が作業を行うために乗ったり歩行したりするための作業布板を架け渡すための第1作業工程と、
前記第1作業工程の後に、前記吊り上げ部材を上昇させ、この吊り上げ部材の上昇により折り畳まれていた前記2本の支柱が展開されて前記上側支柱が立ち上がるときに、前記吊り上げ部材の位置を、前記制御部材により、前記一方の水平方向に移動制御するとともに、前記上側支柱に架け渡されている前記横架部材が前記作業布板に対して回動することにより、この作業布板を水平又は略水平の姿勢とするための第2作業工程と、
を含むことを特徴する折り畳み式仮設足場の吊り上げ方法。
【請求項9】
請求項8に記載の折り畳み式仮設足場の吊り上げ方法において、前記吊り上げ部材には、複数の前記制御部材の上端が連結され、これらの制御部材により、前記第2作業工程において、前記吊り上げ部材の位置を、前記一方の水平方向に移動制御することを特徴とする折り畳み式仮設足場の吊り上げ方法。
【請求項10】
請求項9に記載の折り畳み式仮設足場の吊り上げ方法において、複数の前記制御部材は、前記吊り上げ部材の前記一方の水平方向における互いに反対側の2箇所において、前記上端が連結された可撓性を有する2本の部材となっていることを特徴とする折り畳み式仮設足場の吊り上げ方法。
【請求項11】
請求項8~10のいずれかに記載の折り畳み式仮設足場の吊り上げ方法において、前記第2作業工程の後に、前記吊り上げ部材により吊り上げられた前記折り畳み式仮設足場を、この折り畳み式仮設足場を設置すべき箇所に予め配置されているベース体の上方へ移送して、このベース体の上に前記折り畳み式仮設足場を載置するための第3作業工程を実施することを特徴とする折り畳み式仮設足場の吊り上げ方法。
【請求項12】
請求項11に記載の折り畳み式仮設足場の吊り上げ方法において、前記第3作業工程における前記ベース体の上に前記折り畳み式仮設足場を載置する作業は、前記吊り上げ部材及び前記折り畳み式仮設足場を徐々に降ろして前記ベース体の上に前記折り畳み式仮設足場を載置する際に、前記制御部材により、前記吊り上げ部材及び前記折り畳み式仮設足場を前記一方の水平方向に移動制御して行うことを特徴とする折り畳み式仮設足場の吊り上げ方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折り畳み及び展開自在となっている少なくとも2本の支柱を含んで構成された折り畳み式仮設足場を吊り上げて展開させるための吊り上げ装置及びその吊り上げ方法に係り、例えば、建物の建築現場や解体現場、土木作業現場、塗装作業現場等の各種作業現場で用いられる折り畳み式仮設足場に利用できるものである。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1には、折り畳み及び展開自在となっている少なくとも2本の支柱を含んで構成された折り畳み式仮設足場が示されている。建枠が用いられて構成されたこの折り畳み式仮設足場では、作業現場で上下に配設される2個の建枠のそれぞれの構成部材となっている支柱が、作業現場で展開されることで上下方向に直列状態となる上下2本の支柱となっており、これらの支柱の長さ方向の端部の近傍同士が、2本の支柱の長さ方向と直交する方向が軸方向となっているピン状部材を中心に回動自在に連結されていることにより、2本の支柱が折り畳み及び展開自在になっている。
【0003】
また、特許文献1には、上述した少なくとも2本の支柱のうち、展開されたときに上側となる上側支柱の上方に配設されていて、上昇操作される吊り上げ部材と、この吊り上げ部材と上側支柱とを連結するために吊り上げ部材と上側支柱の間に架け渡され、上側支柱を前記吊り上げ部材から吊り下げられた状態にするための架け渡し部材とを含んで構成されている吊り上げ装置が示されており、吊り上げ部材が上昇することにより、架け渡し部材を介して上側支柱が立ち上がって折り畳み式仮設足場が展開されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平9-310480号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上の折り畳み式仮設足場では、吊り上げ部材の上昇操作により、架け渡し部材を介して上側支柱が立ち上がって折り畳み式仮設足場が展開されるとき、この上側支柱は、前記2本の支柱のうちの下側支柱に、これらの支柱の長さ方向と直交する方向が軸方向となっているピン状部材を中心に回動自在に連結されているため、このピン状部材を中心に上側支柱が鉛直面内を回動することになる。このため、折り畳み式仮設足場を吊り上げ部材の上昇によって展開させるときには、このような上側支柱の挙動を考慮して吊り上げ作業を行うことが求められる。
【0006】
本発明の目的は、ピン状部材を中心に上側支柱が鉛直面内を回動することを考慮して、吊り上げ部材の上昇により折り畳み式仮設足場を展開させることができるようになる折り畳み式仮設足場の吊り上げ装置を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る折り畳み式仮設足場の吊り上げ装置は、展開されることで上下方向に直列状態となる少なくとも2本の支柱を含んで構成され、これらの支柱の端部の近傍同士が、前記2本の支柱の長さ方向と直交する方向が軸方向となっているピン状部材により回動自在に連結されていることにより、前記2本の支柱が折り畳み及び展開自在になっている折り畳み式仮設足場を吊り上げるための吊り上げ装置であって、前記2本の支柱のうち、展開されたときに上側となる上側支柱の上方に配設されていて、上昇操作される吊り上げ部材と、この吊り上げ部材と前記上側支柱とを連結するために前記吊り上げ部材と前記上側支柱の間に架け渡され、前記上側支柱を前記吊り上げ部材から吊り下げられた状態にするための架け渡し部材とを含んで構成される折り畳み式仮設足場の吊り上げ装置において、前記吊り上げ部材には、この吊り上げ部材の上昇により折り畳まれていた前記2本の支柱が展開されて前記上側支柱が立ち上がるときに前記吊り上げ部材の位置を、前記ピン状部材を中心に前記上側支柱が回動する鉛直面内に含まれている水平方向に移動制御させるための制御部材が連結されていることを特徴とするものである。
【0008】
このように本発明に係る折り畳み式仮設足場の吊り上げ装置では、吊り上げ部材には、この吊り上げ部材の上昇により折り畳まれていた前記2本の支柱が展開されて上側支柱が立ち上がるときに吊り上げ部材の位置を、前記ピン状部材を中心に上側支柱が回動する鉛直面内に含まれている水平方向に移動制御させるための制御部材が連結されているため、ピン状部材を中心に上側支柱が回動するときに、吊り上げ部材の水平方向の位置を制御部材によって制御できるようになり、これにより、ピン状部材を中心とした上側支柱の挙動に応じて吊り上げ部材の水平方向の位置を適正に調整して、吊り上げ部材の上昇による折り畳み式仮設足場の展開作業を適切に行えるようになる。
【0009】
以上の本発明に係る折り畳み式仮設足場の吊り上げ装置において、吊り上げ部材に連結される制御部材の個数は1個でもよいが、この制御部材を、吊り上げ部材の位置を水平方向における互いに反対側となっている2つの方向に移動制御させるために、吊り上げ部材に2個連結することが好ましい。
【0010】
これによると、2個の制御部材により、吊り上げ部材の位置を水平方向における互いに反対側となっている2つの方向に一層容易かつ確実に移動制御できるようになる。
【0011】
また、このような制御部材は、バー状部材でもよく、あるいは、可撓性を有する紐状部材でもよい。
【0012】
制御部材を可撓性を有する紐状部材とすると、この紐状部材が長寸法のものとなっていても、例えば、不使用時に巻回状態にしておくことができるため、その取り扱い等を容易に行える。
【0013】
また、制御部材を可撓性を有する紐状部材とする場合において、この紐状部材により吊り上げ部材の水平方向の位置を制御して、ピン状部材を中心とした上側支柱の挙動に応じて吊り上げ部材の水平方向の位置を適正に調整できるようにするためには、紐状部材を繰り出し自在に巻き取るためのリールを含んで構成された制御装置を作動させることにより、紐状部材をリールから繰り出したり、リールで巻き取ってもよく、あるいは、紐状部材を作業者が操作するものとし、この作業者が紐状部材を操作することにより、吊り上げ部材の水平方向の位置を制御して、ピン状部材を中心とした上側支柱の挙動に応じて吊り上げ部材の水平方向の位置を適正に調整できるようにしてもよい。
【0014】
後者のように紐状部材を作業者によって操作されるものとすると、本発明に係る吊り上げ装置全体の構造を、少ない部品により簡単な構造として構成できるようになる。
【0015】
また、以上の本発明において、前記2本の支柱で形成される支柱列が、前記水平方向に間隔をあけて複数設けられる場合には、それぞれの支柱列における前記上側支柱を、水平方向の長さを有する前記吊り上げ部材に、上側支柱ごとに設けられた前記架け渡し部材により連結する。これにより、吊り上げ部材が上昇することで、それぞれの支柱列における上側支柱を立ち上がらせることができる。
【0016】
また、前記水平方向が折り畳み式仮設足場の長手方向となっていて、前記2本の支柱で形成される支柱列が、この長手方向と直交する水平方向の幅方向に間隔をあけて複数設けられる場合には、これらの支柱列における前記上側支柱を、前記幅方向の長さを有する吊り上げ部材に、上側支柱ごとに設けられた前記架け渡し部材により連結する。これにより、吊り上げ部材が上昇することで、幅方向に間隔をあけて複数設けられているそれぞれの支柱列における上側支柱を立ち上がらせることができる。
【0017】
そして、このように前記水平方向が折り畳み式仮設足場の長手方向となっていて、前記2本の支柱で形成される支柱列が、この長手方向と直交する水平方向の幅方向に間隔をあけて複数設けられ、これらの支柱列における前記上側支柱を、前記幅方向の長さを有する吊り上げ部材に、上側支柱ごとに設けられた前記架け渡し部材により連結する場合には、前記制御部材を、吊り上げ部材における幅方向の長さの中央部又は略中央部において、吊り上げ部材に連結することが好ましい。
【0018】
これによると、制御部材は、吊り上げ部材における幅方向の長さの中央部又は略中央部において、吊り上げ部材に連結されるため、制御部材により吊り上げ部材の水平方向の位置を制御して、ピン状部材を中心とした上側支柱の挙動に応じて吊り上げ部材の水平方向の位置を適正に調整することを、幅方向に間隔をあけて複数設けられている前記支柱列について、均等又は略均等に実施できるようになる。
【0019】
以上説明した本発明において、展開されることで上下方向に直列状態となる前記少なくとも2本の支柱は、この折り畳み式仮設足場を構成する部材となっているものであれば、この折り畳み式仮設足場を構成する他の部材と折り畳み式仮設足場の組み立て以前に溶接やボルト等で予め結合されていない独立の支柱となっているものでもよく、あるいは、前記少なくとも2本の支柱は、建枠の一部を構成する支柱のように、折り畳み式仮設足場を構成する他の部材と折り畳み式仮設足場の組み立て以前に既に溶接やボルト等で結合されている支柱でもよく、したがって、本発明は建枠を用いる折り畳み式仮設足場にも適用することができる。
【0020】
また、以上説明した本発明に係る折り畳み式仮設足場は、建物の建築現場や解体現場、土木作業現場、塗装作業現場を含む各種の作業現場において用いることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によると、ピン状部材を中心に上側支柱が鉛直面内を回動することを考慮して、吊り上げ部材の上昇により折り畳み式仮設足場を展開させることができるようになるという効果を得られる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、本発明に係る折り畳み式仮設足場を、この折り畳み式仮設足場が展開されたときの状態で示した斜視図である。
図2図2は、折り畳み式仮設足場を構成する第1支柱を示し、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は底面図である。
図3図3は、第1支柱に設けられているロック手段を示し、(A)は第1支柱についての平断面図、(B)はロック手段についての正面図である。
図4図4は、ロック手段のロック部材を第1支柱の内部から見た図である。
図5図5は、図4のS5-S5線断面図である。
図6図6は、ロック部材の操作部を引っ張り操作したときのロック手段を示し、(A)は第1支柱についての平断面図、(B)はロック手段についての正面図である。
図7図7は、第1支柱の長さ方向の一方の端部を示す拡大図である。
図8図8は、折り畳み式仮設足場を構成する第2支柱を示し、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は底面図である。
図9図9は、第2支柱の長さ方向の両方の端部を、第2支柱の一部を省略して示した拡大図である。
図10図10は、第1支柱と第2支柱とを折り畳み状態で連結したときを示す図である。
図11図11は、図10の状態から第2支柱が第1支柱に対して回動して展開されているときを示す図である。
図12図12は、図11の状態から第2支柱の長さ方向の端部の内部に第1支柱の長さ方向の端部が嵌入してこれらの支柱が直列状態となる作動を(A)(B)(C)の順番で示した図である。
図13図13は、上下方向に直列状態となったときの第1支柱と第2支柱の全体を示す図である。
図14図14は、2本の第2支柱を折り畳み状態で連結したときを示す図である。
図15図15は、図14の状態から2本の第2支柱のうち、一方の第2支柱が他方の第2支柱に対して回動して展開されているときを示す図である。
図16図16は、図15の状態から一方の第2支柱の長さ方向の端部の内部に他方の第2支柱の長さ方向の端部が嵌入してこれらの支柱が直列状態となる作動を(A)(B)(C)の順番で示した図である。
図17図17は、上下方向に直列状態となったときの2本の第2支柱の全体を示す図である。
図18図18は、図1の折り畳み式仮設足場に用いられている横架部材を示す図である。
図19図19は、図1の折り畳み式仮設足場に用いられている作業布板を示し、(A)は平面図、(B)は正面図である。
図20図20は、図1の折り畳み式仮設足場に用いられている水平部材とブレース部材からなる複合体を示す正面図である。
図21図21は、1本の第1支柱と2本の第2支柱とからなる支柱列を、これらの支柱を折り畳み状態で連結することで形成したときを示す図である。
図22図22は、図1の折り畳み式仮設足場を、図1及び図20で示されている複合体等を除いて、複数個の支柱列と横架部材と作業布板とにより折り畳み状態で組み立てたときを示す正面図である。
図23図23は、図22で示されている折り畳み状態の仮設足場を示す側面図である。
図24図24は、図22及び図23で示されている折り畳み状態の仮設足場を、作業現場において、吊り上げ部材を含んで構成される吊り上げ装置により吊り上げるための作業の開始時を示す正面図である。
図25図25は、図24のときの折り畳み状態の仮設足場を示す側面図である。
図26図26は、図25及び図26で示されている吊り上げ部材を示し、(A)は平面図、(B)は正面図である。
図27図27は、吊り上げ装置による吊り上げ作業により、折り畳み式仮設足場の最上階層を立ち上げたときを示す正面図である。
図28図28は、図27の吊り上げ作業後に、最上階層に幅木と複合体と横架部材を取り付けたときを示す正面図である。
図29図29は、さらに吊り上げ装置による吊り上げ作業により、折り畳み式仮設足場の中階層を立ち上げたときを示す正面図である。
図30図30は、図29の吊り上げ作業後に、中階層に幅木と複合体と横架部材を取り付けたときを示す正面図である。
図31図31は、吊り上げ装置によるさらなる吊り上げ作業により、折り畳み式仮設足場の最下階層を立ち上げたときを示す正面図である。
図32図32は、図31の吊り上げ作業後に、最下階層に幅木と複合体と横架部材を取り付けたときを示す正面図である。
図33図33は、最下階層まで展開された折り畳み式仮設足場をベース体の上に載置する作業を示す正面図である。
図34図34は、図33ベース体を示し、(A)は正面図、(B)は側面図である。
図35図35は、ベース体を構成する部材となっているジャッキベースを示し、(A)は正面図、(B)は側面図である。
図36図36は、ベース体を構成する部材となっているベース体用支柱を示し、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は底面図である。
図37図37は、ベース体を作業現場で組み立てるために、複数のジャッキベースを作業現場の所定位置に配置する作業を実施したときを示す斜視図である。
図38図38は、図37の作業の後に、それぞれのジャッキベースの上部にベース体用支柱を挿入立設したときを示す斜視図である。
図39図39は、最下階層まで展開された折り畳み式仮設足場をベース体の上に設置した後の状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。図1には、本発明の一実施形態に係る折り畳み式仮設足場1の全体が斜視図として示されており、この折り畳み式仮設足場1は、複数本の支柱、本実施形態では、3本の支柱が上下方向に直列状態に配置されることで形成された支柱列10が用いられて構成されており、この支柱列10の本数は、それぞれが水平方向となっている長手方向Aと幅方向Bとのうち、折り畳み式仮設足場1の長手方向Aには4本であって、この長手方向Aと直交する幅方向Bには2本となっている。また、図1で示されている折り畳み式仮設足場1は、それぞれの支柱列10を形成している上記3本の支柱ごとに階層が形成されたものとなっているため、この折り畳み式仮設足場1は、最下階層となっている1階層と、中階層である2階層と、最上階層となっている3階層とからなる3階建て式のものである。それぞれが幅方向Bに2本ずつ配置された支柱列10のうち、長手方向Aの両端部に配置された2本の支柱列10には、それぞれの階層について、上下3本の横架部材3が、折り畳み式仮設足場1の幅方向Bの強度を大きくするために架け渡され、また、長手方向Aの両端部に配置されている2本の支柱列10を除く、幅方向Bにそれぞれ2本配置されている支柱列10にも、上記3本の横架部材3のうち、最下位の横架部材3と同じ高さ位置において、横架部材3が架け渡されている。
【0024】
これらの横架部材3のうち、長手方向Aに互いに隣接している2本の横架部材3には、作業者が作業を行うために乗ったり歩行したりするための作業布板4が架け渡され、長手方向Aが長さ方向となっているこの作業布板4は、折り畳み式仮設足場1のそれぞれの階層について、長手方向Aには3個、幅方向Bには2個配置されている。
【0025】
また、長手方向Aに互いに隣接している2本の支柱列10には、1本の水平部材5と、X字状にクロス配設された2本のブレース部材6とからなる複合体7が架け渡され、折り畳み式仮設足場1の長手方向Aの強度を大きくし、かつ作業布板4の上に乗った作業者のための手摺りともなっているこの複合体7は、折り畳み式仮設足場1のそれぞれの階層について、折り畳み式仮設足場1における幅方向Bの両側の面に配置されている。
【0026】
なお、本実施形態に係る折り畳み式仮設足場1が建築現場等の作業現場に設置されたときには、図33及び図39等で示されている幅木8が折り畳み式仮設足場1に取り付けられているが、図1では、この幅木8が省略されて折り畳み式仮設足場1が示されている。
【0027】
図1で示されているそれぞれの支柱列10は、図2で示されている1本の第1支柱11と、図8で示されている2本の第2支柱12とにより構成されており、これらの図2及び図8における(A)(B)(C)は、平面図と正面図と底面図である。図2の第1支柱11を説明すると、この第1支柱11は、丸パイプ材で形成された本体13と、この本体13の長さ方向の一方の端部に結合され、本体13よりも外径が小さくなっている連結部材14と、本体13の外周部に、この本体13に長さ方向に等間隔で結合されている4個のフランジ15とを含んで構成されたものとなっており、第1支柱11に接続される前述の横架部材3や複合体7等のための継手部材となっていて、板状となっているこれらのフランジ15には、第1支柱11の長さ方向に貫通した長孔状の開口部15Aが第1支柱11の円周方向に90度間隔で形成されている。
【0028】
第1支柱11の本体13には、連結部材14が設けられている側とは反対側の端部又はこの端部の近傍において、ロック手段16が設けられている。このロック手段16は図3に示されており、図3(A)には、第1支柱11の本体13についての平断面図によってロック手段16が示され、図3(B)には、ロック手段16の正面図が示されている。ロック手段16は、平坦状の基部17Aにおける本体13の直径方向の両端部から2個の脚部17Bが本体13側へ延びていて、これらの脚部17Bの先端部が本体13の外面に結合されている凹形状のベース部材17と、長さ方向が本体13の直径方向となっていて、2個の脚部17Bの間に本体13の直径方向にスライド自在に配置されているピン状のロック部材18とを含んで構成されたものとなっており、このロック部材18の後端部は、ベース部材17のうち、基部17Aに形成された孔からベース部材17の外部に突出している。また、ロック部材18には、このロック部材18に取り付けられたばね受け部材19とベース部材17の基部17Aとの間に配置されたコイルばね20の弾性力が常時作用しているため、ロック部材18は、弾性部材となっているコイルばね20の弾性力により、第1支柱11の内部の方向に常時弾性付勢され、これにより、通常時において、ロック部材18の先部18Aは、第1支柱11の本体13に形成されている孔からこの本体13の内部に突出している。この先部18Aは、後述の説明からわかるように、ロック部材18の係止部となっている。
【0029】
図4には、ロック部材18の先部18Aを第1支柱11の本体13の内部から見た図が示され、図5には、図4のS5-S5線断面図が示されている。ロック部材18のうち、本体13に形成されている孔13Aから本体13の内部に突出している先部18Aには、このロック部材18の先端面18Bの一部を斜めに切断することで形成された傾斜面21が設けられ、この傾斜面21は、先端面18Bからロック部材18の長さ方向に延びるにしたがい、本体13の長さ方向の両端部のうち、ロック手段16が配置されている側の端部の開口部に近づく方向に傾斜している。
【0030】
図3(A)に示されているように、ベース部材17の基部17Aに形成された前記孔からこのベース部材17の外部に突出しているロック部材18の後端部には、ロック部材18をコイルばね20の弾性力に抗して作業者が引っ張り操作することができる操作部22が設けられている。ロック部材18の後端部に溶接等で結合された板材で形成されていて、第1支柱11の本体13の外部に露出して配置されているこの操作部22は、図3(B)に示されているように、ベース部材17から本体13の直径方向にはみ出た幅寸法を有する基部22Aと、この基部22Aにおける本体13の長さ方向の両端部において、基部22Aよりも幅寸法が小さく、かつ本体13側への折り曲げにより本体13側に突出して形成された2個の突出部22Bと、これらの突出部22Bにおける本体13の直径方向の互いに反対側の端部において、さらに本体13側に突出して形成された2個の舌片部22Cとを有するものとなっている。
【0031】
図6には、作業者が、操作部22をコイルばね20の弾性力に抗して引っ張り操作するとともに、この操作部22を、ロック部材18を中心に、図3(B)から左方向に90度近い角度まで回動させる作業を行ったときが示され、図6(A)(B)には、この作業が行われたときの図3(A)(B)と対応する操作部22の状態が示されている。作業者が操作部22をコイルばね20の弾性力に抗して引っ張り操作すると、傾斜面21が形成されているロック部材18の先部18Aの全部又は略全部が本体13の内部から外部へ抜け出し、また、作業者が、操作部22をロック部材18を中心に90度近い角度まで回動させて、手を操作部22から離すと、操作部22の突出部22Bは、ベース部材17の平坦状の基部17Aの外面に当接し、操作部22の舌片部22Cは、ベース部材17の基部17Aにおける本体13の長さ方向の端面に当接する。これにより、ロック部材18を中心とする操作部22のさらなる回動が規制され、また、傾斜面21が形成されているロック部材18の先部18Aの全部又は略全部が、本体13の内部から外部へ抜け出た状態が維持される。
【0032】
また、作業者が操作部22を引っ張り操作して、ロック部材18を中心に上述とは反対側へ90度近い角度まで回動させ、この後に作業者が操作部22から手を離すと、操作部22を含むロック部材18は、弾性部材となっているコイルばね20の弾性力により本体13の内部の方向へスライドするため、ロック部材18は図3で示されている状態に戻り、これにより、傾斜面21が形成されていて、ロック部材18の前述の係止部となっている先部18Aが、本体13の内部に突出する。
【0033】
図7には、図2で示した第1支柱11の本体13の長さ方向の両端部のうち、一方の端部に設けられた連結部材14の拡大図が示されている。第1支柱11の長さ方向の一方の端部を形成しているこの連結部材14には、連結部材14の外面から内部に向かって窪んだ窪み部、あるいは、連結部材14の外面から内部に向かって開口した孔による被係止部23が形成されている。また、連結部材14の先部は、この先部の材料となっている短寸法のパイプ材をスエージ加工等することにより、球面の一部と同じになっている表面14Aが第1支柱11の円周方向に全周に渡って連続して形成されたものとなっている。
【0034】
図7に示されているように、第1支柱11の本体13の長さ方向の両端部のうち、連結部材14が設けられた端部には、これを言い換えると、連結部材14を含む第1支柱11の長さ方向の両端部のうち、連結部材14により形成されている端部の近傍には、連結アーム24が溶接で取り付けられている。板材で形成されているこの連結アーム24は、第1支柱11の長さ方向と角度をなす方向となっていて本体13と直角をなす方向に延び、第1支柱11に一方の端部が結合された基部24Aと、この基部24Aの他方の端部から第1支柱11の長さ方向に延びる成分を有して延出している延出部24Bとを備えたものとなっており、この延出部24Bは、基部24Aの他方の端部から第1支柱11と平行に連結部材14側へ延びている。そして、この延出部24Bの先部には、丸孔による孔25が設けられている。
【0035】
次に、図8で示されている第2支柱12について説明する。この第2支柱12は、第1支柱11の本体13と同じ直径及び同じ長さを有する丸パイプ材で形成された本体26と、この本体26の長さ方向の一方の端部に結合され、本体26よりも外径が小さくなっている連結部材27と、本体26の外周部に、この本体26に長さ方向に、第1支柱11のフランジ15と同じ間隔で結合されている4個のフランジ15とを含んで構成されたものとなっており、第2支柱12に設けられているこれらのフランジ15は、第1支柱11のフランジ15と同じものであるため、第2支柱12に接続される前述の横架部材3や複合体7等のための継手部材となっており、板状となっているこれらのフランジ15には、第2支柱12の長さ方向に貫通した長孔状の開口部15Aが第2支柱12の円周方向に90度間隔で形成されている。
【0036】
また、第2支柱の本体26の長さ方向の両端部のうち、連結部材27が設けられている側とは反対側の端部又はこの端部の近傍には、ロック手段16が配置され、このロック手段16は、第1支柱11に設けられている前述のロック手段16と同じ部材及び同じ構造で構成されたものとなっているため、第2支柱12におけるこのロック手段16も、第2支柱12の長さ方向の両端部を、本体26の一部を省略して示した拡大図となっている図9から分かるように、第2支柱12の直径方向にスライド自在となっているピン状のロック部材18と、このロック部材18に取り付けられたばね受け部材とベース部材17との間に弾性部材として配置され、ロック部材18を第2支柱12の内部の方向に常時弾性付勢しているコイルばねとを含んで構成されたものとなっている。そして、このコイルばねの弾性力により、通常時は第2支柱12の本体26の内部に突出していて、ロック部材18の係止部となっている先部18Aには、傾斜面21が形成され、また、ロック部材18の後端部には、このロック部材18をコイルばねの弾性力に抗して引っ張り操作するための操作部22が第2支柱12の外部に露出して設けられている。
【0037】
なお、この第2支柱12に設けられているロック手段16では、ロック部材18の先部18Aに設けられている傾斜面21が、ロック部材18の先端面18Bからロック部材18の長さ方向に延びるにしたがい、第2支柱12の本体26の長さ方向の両端部のうち、連結部材27が設けられている側とは反対側の端部の開口部に近づく方向に傾斜している。
【0038】
図9に示されているように、第2支柱12に設けられている前述の連結部材27には、第1支柱11の連結部材14と同様に、連結部材27の外面から内部に向かって窪んだ窪み部、あるいは、連結部材27の外面から内部に向かって開口した孔による被係止部28が形成されている。また、連結部材27の先部は、この先部の材料となっている短寸法のパイプ材をスエージ加工等することにより、球面の一部と同じになっている表面27Aが第2支柱12の円周方向に全周に渡って連続して形成されたものとなっている。
【0039】
また、図9に示されているように、第2支柱12の本体26の長さ方向の両端部又は両端部の近傍には、それぞれが板材で形成されている第1連結アーム29と第2連結アーム31とが、第2支柱12の直径方向における互いに反対側に箇所において、溶接で取り付けられている。連結部材27を含む第2支柱12の長さ方向の両端部のうち、ロック手段16が配置された側の端部又はこの端部の近傍に取り付けられている第1連結アーム29は、第2支柱12の長さ方向と角度をなす方向となっていて本体26と直角をなす方向に延び、第2支柱12に一方の端部が、ロック手段16よりも第2支柱12の長さ方向の中央部に近い位置において結合された基部29Aと、この基部29Aの他方の端部から第2支柱12の長さ方向に延びる成分を有して延出している延出部29Bとを備えたものとなっており、この延出部29Bは、基部29Aの他方の端部から第2支柱12と平行にロック手段16側へ延びている。そして、この延出部24Bの先部には、第2支柱12の長さ方向に長い長孔による孔30が設けられている。
【0040】
連結部材27を含む第2支柱12の長さ方向の両端部のうち、連結部材27が配置された側の端部又はこの端部の近傍に取り付けられている第2連結アーム31も、第2支柱12の長さ方向と角度をなす方向となっていて本体26と直角をなす方向に延び、第2支柱12に一方の端部が、連結部材27よりも第2支柱12の長さ方向の中央部に近い位置において結合された基部31Aと、この基部31Aの他方の端部から第2支柱12の長さ方向に延びる成分を有して延出している延出部31Bとを備えたものとなっており、この延出部31Bは、基部31Aの他方の端部から第2支柱12と平行に連結部材27側へ延びている。そして、この延出部29Bの先部には、丸孔による孔32が設けられている。
【0041】
図10には、以上説明した第1支柱11と第2支柱12とを、図1の支柱列10の一部を形成するために、折り畳み状態で連結したときが示されている、この連結は、第1支柱11の連結アーム24と第2支柱12の第1連結アーム29とを用いて行われ、第1支柱11と第2支柱12の直径方向に一部が重ねられたこれらの連結アーム24,29に設けられている孔25,30にピン状部材33を挿入することにより、第1支柱11と第2支柱とが連結されている。両方の支柱11,12の端部の近傍同士を連結するこのピン状部材33は、これらの支柱11,12の長さ方向と直交する方向が軸方向となっているものであるため、これらの支柱11,12はピン状部材33を中心に折り畳み及び展開自在となる。図10では、第1支柱11と第2支柱12とがピン状部材33を中心に折り畳まれて連結されている状態で示されている。なお、ピン状部材33は、例えば、軸部が孔25,30に挿入されたボルトと、このボルトの孔25,30から突出した軸部の端部に螺合されたナットとによるものである。
【0042】
図11は、第2支柱12が第1支柱11に対してピン状部材33を中心に上側へ回動することで展開しているときを示しており、この後における第1支柱11と第2支柱12の状態は、図12(A)(B)(C)に示されている。これらの図12(A)(B)(C)から分かるように、第1支柱11に対して第2支柱12が直列状態になったときには、第1支柱11の長さ方向の端部に設けられている連結部材14は、第2支柱12の丸パイプ材で形成されている本体26の長さ方向の端部の内部に嵌入する。このため、連結部材14は、第2支柱12の本体26の長さ方向の端部の内部に嵌入させるために、第1支柱11の長さ方向の端部に設けられた端部部材となっている。
【0043】
本実施形態では、連結部材14が第2支柱12の本体26の長さ方向の端部の内部に嵌入する途中において、第2支柱12に配置されているロック手段16のロック部材18の先部18Aに形成された傾斜面21は、連結部材14に球面の一部と同じになって形成されている前述の表面14Aに当接し、このため、ロック部材18は、これらの傾斜面21と表面14Aによる案内作用により、前述したコイルばねの弾性力に抗して一旦後退する。この後に、第1支柱11の連結部材14が、第2支柱12の本体26の長さ方向の端部の内部に嵌入すると、図12(C)に示されているように、コイルばねの弾性付勢力で前進したロック部材18の先部18Aは、この先部18Aがロック部材18の係止部となることにより、連結部材14に設けられている前述の被係止部23に係止する。
【0044】
これにより、第1支柱11と第2支柱12は、図13に示されているように、上下方向に直列した展開状態になるとともに、第1支柱11の連結部材14に設けられた被係止部23に、第2支柱12に配置されたロック手段16のロック部材18の先部18Aが係止部となって係止することにより、第1支柱11と第2支柱12は、ロック手段16によるロック作用によって抜け止めされたロック状態となる。
【0045】
また、このように第1支柱11と第2支柱12が、ロック手段16によるロック作用で抜け止めされたロック状態となることは、上述したように、第1支柱11の連結部材14が、第2支柱12の本体26の長さ方向の端部の内部に嵌入する途中において、ロック部材18の傾斜面21が連結部材14の表面14Aに当接することにより、ロック部材18がコイルばねの弾性力に抗して一旦後退し、この後に、コイルばねの弾性付勢力で前進したロック部材18の先部18Aが連結部材14の被係止部23に係止部となって係止することにより行われるため、直列状態に展開された2本の支柱11,12を抜け止めするためにロック状態とすることを、この展開作業時に、作業者によらすに自ずと実現することができる。
【0046】
また、第2支柱12の第1連結アーム29にピン状部材33を挿入するために設けられている孔30は、図9で説明したように第2支柱12の長さ方向に長い長孔となっているため、ピン状部材33を中心として第2支柱12が第1支柱11に対して行う上側への回動が、この第2支柱12が持ち上げられることによって実施されることにより、図12(A)(B)に示されているように、ピン状部材33は、上下方向が長さ方向となる長孔30の下端部に位置することになり、このため、この長孔30の長さ分だけ第1支柱11と第2支柱12の間隔が大きくなる。このため、第2支柱12が第1支柱11に対してピン状部材33を中心に上側へ回動して、第2支柱12の本体26の長さ方向の端部の内部に第1支柱11の連結部材14が嵌入する作動を、第2支柱12の本体26の長さ方向の端部が連結部材14の表面14Aに引っ掛かることなく、円滑に行わせることができる。そして、この後に、第2支柱12が長孔30の長さ分だけ下降することにより、第2支柱12の本体26の長さ方向の端部の内部に第1支柱11の連結部材14を完全に嵌入させることができるため、前述したように、ロック部材18をコイルばねの弾性付勢力で前進させて、このロック部材18の先部18Aを連結部材14の被係止部23に係止部となって係止させることができる。
【0047】
さらに、連結部材14の表面14Aは、前述したように、球面の一部と同じになっているため、第2支柱12の本体26の長さ方向の端部の内部に第1支柱11の連結部材14が嵌入する作動を、この表面14Aによる案内作用により、一層確実に行わせることができる。
【0048】
また、球面の一部と同じになっている連結部材14の表面14Aは、前述したように、第1支柱11の円周方向に全周に渡って連続して形成されたものとなっているため、ピン状部材33の配置位置が第1支柱11と第2支柱12の円周方向のどの位置となっていても、これを言い換えると、第1支柱11の連結アーム24がこの第1支柱11の円周方向のどの位置にあっても、また、第2支柱12の第1連結アーム29がこの第2支柱12の円周方向のどの位置にあっても、第2支柱12の本体26の長さ方向の端部の内部に第1支柱11の連結部材14が嵌入する作動を確実に行わせることができる。すなわち、連結アーム24を第1支柱11の円周方向の任意の位置に取り付けることができ、第1連結アーム29も第2支柱12の円周方向の任意の位置に取り付けることができる。
【0049】
さらに、ロック部材18に、第2支柱12の外部に露出して設けられている前述の操作部22を引っ張り操作すると、ロック部材18はコイルばねの弾性力に抗して後退して、ロック部材18の先部18Aが連結部材14の被係止部23から離脱することにより、第1支柱11と第2支柱12とがロックされて抜け止めされた連結状態が解除されてしまうが、これらの支柱11,12が上下方向に直列した状態となっているときには、図12(C)に示されているように、この操作部22の少なくとも一部は、第1支柱11に取り付けられた連結アーム24と、第2支柱12に取り付けられた第1連結アーム29とによって覆われた状態となっているため、操作部22に想定外の外力等が作用することを防止して、第1支柱11と第2支柱12とがロックされて抜け止めされた連結状態が解除されてしまうことを有効に防止できる。
【0050】
これを詳しく説明すると、第1支柱11に取り付けられた連結アーム24が、前述したように、基部24Aと延出部24BとからなるL字形状となっていて、第1支柱11に取り付けられた第1連結アーム29も、前述したように、基部29Aと延出部29BとからL字形状となっていることにより、操作部22の少なくとも一部は、図12(C)に示されているように、これらの支柱11,12の直径方向では、第2支柱12と、連結アーム24の延出部24B及び第1連結アーム29の延出部29Bとの間に配置されることになり、また、操作部22の少なくとも一部は、第1支柱11と第2支柱12の長さ方向では、連結アーム24の基部24Aと、第1連結アーム29の基部29Aとの間に配置されることになる。このため、これらの連結アーム24,29により操作部22に想定外の外力等が作用することを防止して、第1支柱11と第2支柱12とがロックされて抜け止めされた連結状態が解除されてしまうことを有効に防止できる。
【0051】
図14には、2本の第2支柱12を、すなわち、2本の第2支柱12Aと第2支柱12Bとを、図1の支柱列10の一部を形成するために、折り畳み状態で連結したときが示されている。この連結は、2本の第2支柱12A,12Bのうち、一方の第2支柱12Aの第1連結アーム29と他方の第2支柱12Bの第2連結アーム31とを用いて行われ、これらの連結アーム29,31に設けられている孔30,32に、図10で示したピン状部材33と同様のピン状部材34を挿入することにより、2本の第2支柱12A,12Bが連結されている。両方の第2支柱12A,12Bの端部の近傍同士を連結するこのピン状部材34は、これらの第2支柱12A,12Bの長さ方向と直交する方向が軸方向となっているものであるため、これらの第2支柱12A,12Bはピン状部材34を中心に折り畳み及び展開自在となる。図14では、2本の第2支柱12A,12Bがピン状部材34を中心に折り畳まれて連結されている状態で示されている。
【0052】
図15は、2本の第2支柱12A,12Bのうち、一方の第2支柱12Aが他方の第2支柱12Bに対してピン状部材34を中心に上側へ回動することで展開しているときであり、この後における2本の第2支柱12A,12Bの状態は、図16(A)(B)(C)に示されている。これらの図16(A)(B)(C)から分かるように、これらの2本の第2支柱12A,12Bについても、第2支柱12Bに対して第2支柱12Aが直列状態になったときには、第2支柱12Bの長さ方向の端部に設けられている連結部材27は、第2支柱12Aの丸パイプ材で形成されている本体26の長さ方向の端部の内部に嵌入する。このため、連結部材27は、第2支柱12Aの本体26の長さ方向の端部の内部に嵌入させるために、第2支柱12Bの長さ方向の端部を形成する端部部材となっている。
【0053】
これらの2本の第2支柱12A,12Bについても、この嵌入が行われる途中において、第2支柱12Aに配置されているロック手段16のロック部材18に形成された傾斜面21は、連結部材27に球面の一部と同じになって形成されている前述の表面27Aに当接するため、ロック部材18は、これらの傾斜面21と表面27Aによる案内作用により、前述したコイルばねの弾性力に抗して一旦後退する。そして、この後に、第2支柱12Bの連結部材27が、第2支柱12Aの本体26の長さ方向の端部の内部に嵌入すると、図16(C)に示されているように、コイルばねの弾性付勢力で前進したロック部材18の先部18Aは、この先部18Aがロック部材18の係止部となることにより、連結部材27に設けられている前述の被係止部28に係止する。
【0054】
これにより、2本の第2支柱12A,12Bについても、図17に示されているように、上下方向に直列した展開状態になり、また、第2支柱12Bの連結部材27に設けられた被係止部28に、第2支柱12Aに設けられたロック手段16のロック部材18の先部18Aが係止部となって係止することにより、2本の第2支柱12A,12Bは、ロック手段16によるロック作用で抜け止めされたロック状態となる。
【0055】
また、このように2本の第2支柱12A,12Bが、ロック手段16によるロック作用で抜け止めされたロック状態となることは、これらの2本の第2支柱12A,12Bについても、第2支柱12Bの連結部材27が、第2支柱12Aの本体26の長さ方向の端部の内部に嵌入する途中において、ロック部材18の傾斜面21が連結部材27の表面27Aに当接することにより、ロック部材18がコイルばねの弾性力に抗して一旦後退し、この後に、コイルばねの弾性付勢力で前進したロック部材18の先部18Aが連結部材27に設けられている被係止部28に係止部となって係止することによって行われるため、直列状態に展開された2本の第2支柱12A,12Bを抜け止めするためにロック状態とすることを、この展開作業時に、作業者によらすに自ずと実現することができる。
【0056】
また、第2支柱12Aの第1連結アーム29にピン状部材34を挿入するために設けられている孔30は、第2支柱12Aの長さ方向に長い長孔となっているため、ピン状部材34を中心として第2支柱12Aが第2支柱12Bに対して行う上側への回動が、この第2支柱12Aが持ち上げられることによって実施されることにより、図16(A)(B)に示されているように、ピン状部材34は、上下方向が長さ方向となる長孔30の下端部に位置することになり、このため、この長孔30の長さ分だけ2本の第2支柱12A,12Bの間隔が大きくなる。これにより、第2支柱12Aが第2支柱12Bに対してピン状部材34を中心に上側へ回動して、第2支柱12Aの本体26の長さ方向の端部の内部に第2支柱12Bの連結部材27が嵌入する作動を、本体26の長さ方向の端部が連結部材27の表面27Aに引っ掛かることなく、円滑に行わせることができ、この後に、第2支柱12Aが長孔30の長さ分だけ下降することにより、第2支柱12Aの本体26の長さ方向の端部の内部に第2支柱12Bの連結部材27を完全に嵌入させることができ、また、ロック部材18をコイルばねの弾性付勢力で前進させて、このロック部材18の先部18Aを連結部材27の被係止部28に係止部となって係止させることができる。
【0057】
さらに、連結部材27の表面27Aは、前述したように、球面の一部と同じになっているため、これらの第2支柱12A,12Bについても、第2支柱12Aの本体26の長さ方向の端部の内部に第2支柱12Bの連結部材27が嵌入する作動を、この表面27Aによる案内作用により、一層確実に行わせることができる。
【0058】
また、球面の一部と同じになっている連結部材27の表面27Aは、前述したように、第2支柱12Bの円周方向に全周に渡って連続して形成されたものとなっているため、ピン状部材34の配置位置が2本の第2支柱12A,12Bの円周方向のどの位置となっていても、これを言い換えると、第2支柱12Aの第1連結アーム29がこの第2支柱12Aの円周方向のどの位置にあっても、また、第2支柱12Bの第2連結アーム31がこの第2支柱12Bの円周方向のどの位置にあっても、第2支柱12の本体26の長さ方向の端部の内部に第1支柱11の連結部材14が嵌入する作動を、この連結部材14の表面14Aによる案内作用によって一層確実に行わせることができる。したがって、第1連結アーム29を第2支柱12Aの円周方向の任意位置に取り付けることができ、また、第2連結アーム31も第2支柱12Bの円周方向の任意の位置に取り付けることができる。
【0059】
さらに、ロック部材18に、第2支柱12Aの外部に露出して設けられている前述の操作部22を引っ張り操作すると、ロック部材18はコイルばね20の弾性力に抗して後退して、ロック部材18の先部18Aが連結部材27の被係止部28から離脱することにより、2本の第2支柱12A,12Bがロックされて抜け止めされた連結状態が解除されてしまう。しかし、これらの2本の第2支柱12A,12Bについても、これらの第2支柱12A,12Bが上下方向に直列した状態となっているときには、図16(C)に示されているように、この操作部22の少なくとも一部は、第2支柱12Aに取り付けられた第1連結アーム29と、第2支柱12Bに取り付けられた第2連結アーム31とによって覆われた状態となるため、すなわち、第2支柱12Aに取り付けられた第1連結アーム29が、前述したように、基部29Aと延出部29BとからなるL字形状となっていて、第2支柱12Bに取り付けられた第2連結アーム31も、前述したように、基部31Aと延出部31BとからなるL字形状となっていることにより、操作部22の少なくとも一部は、図16(C)に示されているように、これらの支柱12A,12Bの直径方向では、第2支柱12Aと、第1連結アーム29の延出部29B及び第2連結アーム31の延出部31Bとの間に配置されることになり、また、操作部22の少なくとも一部は、第2支柱12A,12Bの長さ方向では、第1連結アーム29の基部29Aと、第2連結アーム31の基部31Aとの間に配置されることになり、これにより、操作部22の少なくとも一部は、第2支柱12Aに取り付けられた第1連結アーム29と、第2支柱12Bに取り付けられた第2連結アーム31とによって覆われた状態となる。
【0060】
このようにこれらの第2支柱12A,12Bについても、操作部22の少なくとも一部は、2個の連結アーム29,31により覆われることになるため、操作部22に想定外の外力等が作用することを防止して、2本の第2支柱12A,12Bがロックされて抜け止めされた連結状態が解除されてしまうことを有効に防止できる。
【0061】
図18には、図1で示した横架部材3が示されている。この横架部材3は、丸パイプ材で形成された本体40の長さ方向の両端部に、図1の幅方向Bに配置されている2本の第1支柱11のフランジ15や、2本の第2支柱12のフランジ15に接続される接続手段41が取り付けられたものとなっている。これらの接続手段41は、フランジ15を挿入できる本体40の長さ方向に長い溝部42Aが形成された接続部材42と、これらの接続部材42に上下に貫通して形成された孔と、この孔に上から挿入されるくさび部材43とを含んで構成されている。くさび部材43を、接続部材42に上下に貫通して形成された孔に挿入するとともに、図2及び図8示したフランジ15の長孔状の開口部15Aに打圧等で挿入することにより、横架部材3の長さ方向の両端部が第1及び第2支柱11,12のフランジ15にくさび部材43のくさび作用で結合されて、横架部材3は、図1の幅方向Bに配置されている2本の第1支柱11や、2本の第2支柱12に架け渡される。
【0062】
図19には、図1で示した作業布板4が示されている。この作業布板4は、平板状の本体45の長さ方向の両端部にフック部46が設けられたものであり、これらのフック部46は、本体45の幅方向の両側にも設けられている。それぞれのフック部46には、下向きに開口した開口凹部46Aが形成され、これらの開口凹部46Aの内部に横架部材3の本体40が挿入されることにより、作業布板4は、図1で示した長手方向Aに互いに隣接配置される2本の横架部材3に架け渡される。それぞれのフック部46には、これらのフック部46に固定された2個のピン47が遊合挿入された長孔48Aを有するロック部材48が遊動自在に配置されており、開口凹部46Aの内部に横架部材3の本体40を挿入した後に、このロック部材48を遊動させることにより、開口凹部46Aにおける開口端部の一部が閉じられるため、開口凹部46Aの内部から横架部材3の本体40が抜け出すことが阻止される。
【0063】
なお、このようにロック部材48によってフック部46の開口凹部46Aの内部から横架部材3の本体40が抜け出し不能となっても、この本体40は、上述したように丸パイプ材で形成されているため、本体40は開口凹部46A内で回転可能となっており、これを言い換えると、作業布板4は、横架部材3を中心に回転可能となっている。
【0064】
図20には、図1で示した複合体7が示されている。1本の水平部材5と、X字状にクロス配設された2本のブレース部材6とからなるこの複合体7のうち、水平部材5は、細径のパイプ材又は棒材で形成された本体50の長さ方向の両端部にブラケット51が結合されたものになっている。それぞれのブレース部材6の上端部には、ピン52でブラケット51に回動自在に取り付けられたフック部材53が結合され、ピン52を中心に上下に回動自在となっているそれぞれのブレース部材6の下端部には、横向きに開口した凹形状の接続部材54がピン55で回動自在に取り付けられ、これらの接続部材54には、くさび部材56が上下に挿入される孔が設けられている。
【0065】
それぞれのブレース部材6のフック部材53を、図1の長手方向Aに互いに隣接して配置される2本の第1支柱11のフランジ15や、2本の第2支柱12のフランジ15に形成された長孔状の開口部15Aに上から挿入係止し、また、それぞれのブレース部材6の接続部材54を、フック部材53が挿入係止されたフランジ15よりも下位のフランジ15の外側に嵌合し、くさび部材56を接続部材54の孔に上から挿入して、このフランジ15の長孔状の開口部15Aにも打圧等で挿入することにより、2本のブレース部材6の下端部が、2本の第1支柱11のフランジ15や、2本の第2支柱12のフランジ15にくさび部材56のくさび作用で結合され、これにより、複合体7は、図1の長手方向Aに互いに隣接して配置されている2本の第1支柱11や、2本の第2支柱12に架け渡される。
【0066】
図21は、1本の第1支柱11と2本の第2支柱12とを連結することにより、折り畳み状態の支柱列10’を形成したときを示す。この折り畳み状態の支柱列10’は、図14で示されている2本の第2支柱12A,12Bのうち、第2支柱12Bを、図10で示されている第1支柱11と連結されている第2支柱12としたものである。このため、第2支柱12Bの第1連結アーム29の孔30と、第1支柱11の連結アーム24の孔25とにピン状部材33を挿入することにより、第2支柱12Bと第1支柱11とが回動自在に連結されている。
【0067】
この折り畳み状態の支柱列10’では、第2支柱12Aの第1連結アーム29と第2支柱12Bの第2連結アーム31とがピン状部材34で連結されることにより、支柱列10’についての回動自在となった第1関節手段61が、これらの第1連結アーム29と第2連結アーム31とピン状部材34とで構成されている。また、第2支柱12Bの第1連結アーム29と第1支柱11の連結アーム24とがピン状部材33で連結されることにより、支柱列10’の回動自在となった第2関節手段62が、これらの第1連結アーム29と連結アーム24とピン状部材33とで構成されている。また、図8及び図9でも示されているように、第2支柱12の第1連結アーム29と第2連結アーム31とが、互いに第2支柱12の直径方向の反対側に配置されているため、折り畳み状態の支柱列10’は、1本の第1支柱11と2本の第2支柱12A,12Bとが、第1関節手段61及び第2関節手段62により九十九折り(つづらおり)状、これを言い換えると、ジグザグ状に折り曲げられたものとなっている。
【0068】
このような折り畳み状態の支柱列10’は、図1で示した折り畳み式仮設足場1を形成するための主要の要素として、仮設足場用資材や建築用資材等が用意されている資材置き場等において、図22に示されているように、長手方向Aには4個、図23に示されているように、幅方向Bには2個、それぞれ並べられて置かれる。また、幅方向Bに2個置かれた支柱列10’について、1本の第1支柱11と2本の第2支柱12A,12Bにおいて、これらの第1支柱11と第2支柱12A,12Bのそれぞれに4個設けられているフランジ15のうち、図1で示した作業布板4が配置されるフランジ15において、図18の横架部材3を架け渡す作業が行われ、この作業は、長手方向Aに4個配置されているそれぞれの支柱列10’について行われる。これにより、幅方向Bに2個置かれた支柱列10’同士が、横架部材3により連結されることになる。
【0069】
この後に、これらの横架部材3のうち、長手方向Aに互いに隣接している2本の横架部材3に図19の作業布板4を架け渡す作業が行われ、この作業は、支柱列10’における1本の第1支柱11と2本の第2支柱12A,12Bについて行われ、これにより、長手方向Aに4個配置されている支柱列10’のうち、長手方向Aに互いに隣接している2個の支柱列10’同士が、作業布板4により連結されたことになる。
【0070】
なお、以上の作業を、支柱列10’を直列した支柱列10にして行いこの後に、直列した支柱列10を折り畳み状態の支柱列10’に戻してもよい。
【0071】
以上により、上述の資材置き場等において、折り畳み状態の支柱列10’と横架部材3と作業布板4とからなる図22及び図23の組立体58が予め組み立てられ、この組立体58は、輸送車両により、図1の折り畳み式仮設足場1が設置される箇所が設けられている建築等の作業現場に運ばれて、この作業現場に降ろされる。この作業現場には、図24及び図25に示されているように、フック部材60がワイヤー等の紐状部材60Aを介してブームから吊り下げられているクレーン車両が配置されており、このフック部材60からワイヤー等の紐状部材60Bを介して吊り上げ部材63が吊り下げられている。この吊り上げ部材63と、組立体58を構成しているそれぞれの折り畳み状態の支柱列10’における第2支柱12Aとに、ワイヤー、チェーン、ロープ等の可撓性を有する部材となっている架け渡し部材64が架け渡され、これにより、それぞれの折り畳み状態の支柱列10’が吊り上げ部材63に連結されることにより、これらの支柱列10’は、これらの支柱列10’の上方に配設されていて、クレーン車両により上昇操作される吊り上げ部材63から吊り上げられた状態となっている。
【0072】
図26は、吊り上げ部材63を示しており、図26(A)は平面図であって、図26(B)は正面図である。図26(A)に示されているように、吊り上げ部材63の平面視での全体形状は、長手方向Aの長さ寸法と幅方向Bの長さ寸法とを有する枠状の四角形状であり、この四角形状により、吊り上げ部材63の平面視での全体形状は、図1で示されている折り畳み式仮設足場1の平面視での全体形状と寸法及び形状が同じ又は略同じになっている。吊り上げ部材63は、長手方向Aが長さ方向となっている2本のバー材63Aの長さ方向のそれぞれの端部同士を、幅方向Bが長さ方向となっている2本のバー材63Bで結合するとともに、2本のバー材63Aの長さ方向の途中部同士を、バー材63Bと平行に配設された1本又は複数本の、本実施形態では2本の補強バー材63Cにより結合したものとなっている。また、吊り上げ部材63の上面には、上述の紐状部材60Bの下端を連結するための第1連結部材65が取り付けられ、この第1連結部材65は、2本のバー材63Aのそれぞれについて、長手方向Aの間隔をあけて2個設けられているため、吊り上げ部材63は、合計4本の紐状部材60Bにより、図24及び図25で示したフック部材60から吊り下げられている。
【0073】
また、図24及び図25に示されているように、吊り上げ部材63の下面には、上述の架け渡し部材64の上端を連結するための第2連結部材66が取り付けられ、この第2連結部材66は、2本のバー材63Aのそれぞれについて、図1の折り畳み式仮設足場1を構成するために長手方向Aに配置されている図1の支柱列10と同じ又は略同じ間隔で4個設けられ、これらの第2連結部材66のうち、2個の第2連結部材66は、図26(B)に示されているように、吊り上げ部材63の強度を補強するための補強バー材63Cと一致する箇所に設けられている。吊り上げ部材63に合計8個設けられている第2連結部材66のそれぞれには、架け渡し部材64の上端が連結され、これらの架け渡し部材64の下端は、図24及び図25に示されているように、前述した組立体58を構成しているそれぞれの折り畳み状態の支柱列10’において、第2支柱12Aに設けられている第2連結アーム31に連結されている。
【0074】
また、吊り上げ部材63には、図26に示されているように、この吊り上げ部材63における長手方向Aとなっている左右方向の端部を形成している2本のバー材63Bの外側の側面において、第3連結部材67が取り付けられている。吊り上げ部材63に、長手方向Aにおける互いに反対側の箇所において、2個設けられている第3連結部材67には、図24に示されているように、吊り上げ部材63についての長手方向Aの位置を制御するための制御部材となっている制御用紐状部材68の上端が連結され、この制御用紐状部材68は、ワイヤー、チェーン、ロープ等の可撓性を有する部材で形成されており、制御用紐状部材68の上端が連結される第3連結部材67は、吊り上げ部材63における幅方向Bの長さの中央部又は略中央部に設けられているため、制御用紐状部材68は吊り上げ部材63に、図25に示されているように、吊り上げ部材63における幅方向Bの長さの中央部又は略中央部において連結されている。
【0075】
図27には、前述したクレーン車両の作動によりフック部材60を上昇させて吊り上げ部材63を上昇操作した状態が示されている。吊り上げ部材63の上昇により、前述したそれぞれの折り畳み状態の支柱列10’について、架け渡し部材64の下端が連結されている第2支柱12Aは、前述した第1関節手段61を中心に回動することにより、第2支柱12Bよりも上側となった上側支柱となって第2支柱12Bから展開されて立ち上がり、この立ち上がりにより、全部の支柱列10’における第2支柱12Aは、長手方向Aに間隔をあけて配置され、かつ長さ方向が鉛直方向となったものとなるため、長手方向Aに互いに隣接している2本の第2支柱12Aに前述の横架部材3を介して架け渡されているそれぞれの作業布板4は、これらの作業布板4の図19で示したフック部46の開口凹部46Aに挿入されている前述の横架部材3の本体40が開口凹部46A内で回動することにより、第2支柱12Aと直角又は略直角の水平又は略水平の姿勢となる。
【0076】
また、第2支柱12Aが第2支柱12Bよりも上側となった上側支柱となって第1関節手段61を中心に立ち上がるときは、これらの第2支柱12A,12B同士を回動自在に連結していて、第1関節手段61の構成部材となっている図21のピン状部材34は、第2支柱12A,12Bの長さ方向と直交する幅方向Bが軸方向となっているものであるため、第2支柱12Aの上端部は、ピン状部材34を中心に第2支柱12Aが回動する鉛直面内に含まれている長手方向Aに移動することになる。
【0077】
このため、フック部材60及び吊り上げ部材63の上昇により、それぞれの折り畳み状態の支柱列10’における第2支柱12Aを立ち上がらせるときに、図27に示されているように、吊り上げ部材63における長手方向Aの互いに反対側の箇所において、この吊り上げ部材63に第3連結部材67で上端が連結されている2本の制御用紐状部材68のそれぞれを作業者69が手で握り、これらの作業者69が制御用紐状部材68を引っ張ったり、緩めたりする操作を行うことにより、吊り上げ部材63についての長手方向Aの位置を移動制御するための操作を行い、作業者は、この移動制御のための操作を、吊り上げ部材63における長手方向Aの互いに反対側の箇所に2本の制御用紐状部材68が連結されているため、吊り上げ部材63の位置を長手方向Aにおける互いに反対側となっている2つの方向について行うことができる。
【0078】
これにより、第2支柱12Aの上端部が、ピン状部材34を中心に第2支柱12Aが回動する鉛直面内に含まれている長手方向Aに移動しても、吊り上げ部材63の位置が長手方向Aに大きく変動することを2本の制御用紐状部材68により抑えながら、ピン状部材34を中心とした第2支柱12Aの挙動に応じて吊り上げ部材63の長手方向Aの位置を適正に調整することができ、このため、吊り上げ部材63を上昇させることで、折り畳み状態の支柱列10’を展開させるための第2支柱12Aの立ち上がり作業を適切に行える。
【0079】
また、それぞれの制御用紐状部材68は、吊り上げ部材63における幅方向Bの長さの中央部又は略中央部に第3連結部材67で連結されているため、制御用紐状部材68により吊り上げ部材63の長手方向Aの位置を制御して、ピン状部材34を中心とした第2支柱12Aの挙動に応じて吊り上げ部材63の長手方向Aの位置を適正に調整することを、幅方向Bに間隔をあけて2個設けられている折り畳み状態の支柱列10’について、均等又は略均等に実施することができる。
【0080】
図28には、作業者がこの後に行う作業が示されている。この作業は、第2支柱12Bから立ち上がっている4本の第2支柱12Aのうち、長手方向Aの両端に配置されている第2支柱12Aの前述した4個のフランジ15のうち、2個のフランジ15に図18の横架部材3の端部を連結し、この連結を、幅方向Bに2個配置されている支柱列10’におけるそれぞれの第2支柱12Aについて行うことにより、幅方向Bに配置されている2個の支柱列10’の第2支柱12Aに2本の横架部材3を架け渡して、これらの第2支柱12A同士の連結強度を大きくするための作業と、幅方向Bに2個配置されている支柱列10’について、長手方向Aに4個配置されている第2支柱12Aのうち、長手方向Aに互いに隣接している2本の第2支柱12Aに、これらの第2支柱12Aに設けられているフランジ15に図20で示した水平部材5と2本のブレース部材6とからなる複合体7の端部を結合することにより、長手方向Aに互いに隣接している2本の第2支柱12Aに複合体7を架け渡して、これらの第2支柱12A同士の連結強度を大きくするための作業とである。
【0081】
また、幅方向Bに2個配置されている支柱列10’のそれぞれについて、長手方向Aに4個配置されている第2支柱12Aに幅木8を配置する作業も行う。作業は、長手方向Aに4個配置されている第2支柱12Aのうち、長手方向Aの両端に配置されている第2支柱12Aに取り付けられた第1幅木保持部材80と、残りの2本の第2支柱12Aに取り付けられた第2幅木保持部材81とにより、幅木8を保持させて行われる。第1幅木保持部材80は、第2支柱12Aに結合された結合部80Aと、この結合部80Aに固定されていて、平面視の形状が凹形状となっている保持部80Bとを有し、この保持部80Bに幅木8の長さ方向の端部が挿入されることにより、幅木8は、第1幅木保持部材80により保持される。また、第2幅木保持部材81は、第2支柱12Aに結合された結合部81Aと、この結合部81Aに上端が固定されていて、第2支柱12Aと平行して下方へ延びる保持片81Bとを有し、この保持片81Bと第2支柱12Aとで幅木8の長さ方向の途中部が挟まれることより、幅木8は、第2幅木保持部材81と第2支柱12Aとにより保持される。
【0082】
以上の作業を行うことにより、第2支柱12Aにより、図1で説明した3階建て式の折り畳み式仮設足場1における最上階層となっている3階層が出来上がることになる。この3階層は、横架部材3や、作業布板4、複合体7、幅木8が取り付けられたものとなっており、横架部材3と複合体7と幅木8の取付作業は、第2支柱12Aが地上から低い位置にあるとき行われるため、これらの取付作業を作業者は容易に実施することができる。
【0083】
図29には、クレーン車両のフック部材60を図27及び図28のときよりも上昇させて吊り上げ部材63も上昇操作された状態が示されている。この吊り上げ部材63の上昇により、それぞれの支柱列10’における第2支柱12Bが、第2支柱12Aに対しては前述の第1関節手段61を中心に、第1支柱11に対しては前述の第2関節手段62を中心に、それぞれ展開されるため、第2支柱12Bは、第1支柱11から立ち上がり、第2支柱12Bは、第1支柱11よりも上側となった上側支柱となる。また、このように第2支柱12Bが第1支柱11から立ち上がると、この第2支柱12Bは、既に立ち上がっている第2支柱12Aと上下方向に直列した状態になるため、第2支柱12Aに設けられているロック手段16は、このロック手段16を示している図16で説明したように作動する。このとき、フック部材60及び吊り上げ部材63を少し下降させると、第2支柱12Aが、図16で示されている長孔30の長さ分だけ第2支柱12Bに対して下降することにより、図16(C)で説明したように、ロック手段16のロック部材18の先部18Aが、第2支柱12Aの長さ方向の端部の内部に挿入された第2支柱12Bの連結部材27に形成されている被係止部28に係止し、このため、2本の第2支柱12A,12Bは、前述したように、作業者によらずに自ずと直列状態でロックされた状態となる。
【0084】
また、以上のようにして第2支柱12Bが立ち上がると、第2支柱12Aが立ち上がったときと同様にして、長手方向Aに互いに隣接している2本の第2支柱12Bに横架部材3を介して架け渡されているそれぞれの作業布板4は、第2支柱12Bと直角又は略直角の水平又は略水平の姿勢となる。
【0085】
前述したように第2支柱12Aが、図1で説明した3階建て式の折り畳み式仮設足場1における3階層を形成するものになっているのに対し、上述したように立ち上がった第2支柱12Bは、この折り畳み式仮設足場1における2階層を形成するものになっており、この2階層のための第2支柱12Bを立ち上げた後に、作業者は、3階層のときと同様にして、2階層についても、図30に示されているように、2本の横架部材3の架け渡し作業と、複合体7の架け渡し作業と、幅木8を第1及び第2幅木保持部材80,81により保持させる作業とを行う。
【0086】
図31には、クレーン車両のフック部材60を図29及び図30のときよりもさらに上昇させて吊り上げ部材63を上昇操作した状態が示されている。この吊り上げ部材63の上昇により、それぞれの支柱列10’における第1支柱11が、前述した第2関節手段62を中心に第2支柱12Bに対して回動し、これにより、これらの第1支柱11が立ち上がる。また、このように第1支柱11が立ち上がると、この第1支柱11は、既に立ち上がっている第2支柱12Bと上下方向に直列した状態になるため、第2支柱12Bに設けられているロック手段16は、このロック手段16を示している図12で説明したように作動する。このとき、フック部材60及び吊り上げ部材63を少し下降させると、第2支柱12B及び第1支柱11は下降し、この第1支柱11の下端が地面に当接して、第2支柱12Bが、図12で示されている長孔30の長さ分だけ第1支柱11に対して下降することにより、図12(C)で説明したように、ロック手段16のロック部材18の先部18Aが、第2支柱12Bの長さ方向の端部の内部に挿入された第1支柱11の連結部材14に形成されている被係止部23に係止し、このため、第2支柱12Bと第1支柱11は、前述したように、作業者によらずに自ずと直列状態でロックされた状態となる。
【0087】
また、以上のようにしてそれぞれの折り畳み状態の支柱列10’における第1支柱11が立ち上がると、2本の第2支柱12A,12Bが立ち上がったときと同様にして、長手方向Aに互いに隣接している2本の第1支柱11に横架部材3を介して架け渡されているそれぞれの作業布板4は、第1支柱11と直角又は略直角の水平又は略水平の姿勢となる。
【0088】
この第1支柱11は、図1で説明した3階建て式の折り畳み式仮設足場1における1階層を形成するものになっており、この1階層のための第1支柱11を立ち上げた後に、作業者は、3階層及び2階層のときと同様にして、1階層についても、図32に示されているように、2本の横架部材3の架け渡し作業と、複合体7の架け渡し作業と、幅木8を第1及び第2幅木保持部材80,81により保持させる作業とを行う。
【0089】
以上により、1本の第1支柱11と2本の第2支柱12A,12Bとからなる折り畳み状態の支柱列10’が、これらの支柱11,12A,12Bが上下方向に直列した支柱列10となり、これにより、図1で示した折り畳み式仮設足場1が出来上がることになり、このときの仮設足場1は、吊り上げ部材63から架け渡し部材64を介して吊り上げられている。
【0090】
なお、このように仮設足場1を吊り上げ部材63から吊り上げられた状態で形成する作業の途中において、折り畳まれた状態の支柱列10’を形成していた第2支柱12Bの上端部は、前述した第2支柱12Aの上端部と同様にして、2本の第2支柱12A,12Bを連結している第1関節手段61のピン状部材34を中心に第2支柱12Bが回動する鉛直面内に含まれている長手方向Aに移動することになり、また、折り畳まれた状態の支柱列10’を形成していた第1支柱11の上端部も、第2支柱12A,12Bの上端部と同様にして、第2支柱12Bと第1支柱11とを連結している第2関節手段62のピン状部材33を中心に第1支柱11が回動する鉛直面内に含まれている長手方向Aに移動することになる。
【0091】
これらの第2支柱12Bと第1支柱11とがこのような挙動を行っても、前述したように、吊り上げ部材63における長手方向Aの互いに反対側の箇所において、この吊り上げ部材63には、作業者69が握っている2本の制御用紐状部材68が連結されているため、前述した第2支柱12Aのときと同様に、それぞれの作業者69が制御用紐状部材68を引っ張ったり、緩めたりする操作を行うことにより、吊り上げ部材63の位置が長手方向Aに大きく変動することを2本の制御用紐状部材68により抑えることができ、このため、ピン状部材34,33を中心とした第2支柱12Bと第1支柱11の挙動に応じて吊り上げ部材63の長手方向Aの位置を適正に調整することができ、このため、吊り上げ部材63を上昇させることで、折り畳み状態の支柱列10’を展開させるための第2支柱12Bと第1支柱11の立ち上げ作業を適切に行える。また、吊り上げ部材63における長手方向Aの互いに反対側の箇所に2本の制御用紐状部材68が連結されているため、作業者は、吊り上げ部材63の位置を調整する作業を、長手方向Aにおける互いに反対側となっている2つの方向について行うことができる。
【0092】
なお、図28図30及び図32で説明した2本の横架部材3の架け渡し作業は、図22及び図23で示した組立体58を1本の第1支柱11や、2本の第2支柱12A,12B、作業布板4等により形成する作業を行うときに実施してもよい。
【0093】
図33には、クレーン車両の走行により、吊り上げ部材63から吊り上げられた仮設足場1を、前述した作業現場のうち、図1の折り畳み式仮設足場1を設置すべき箇所に予め配置されているベース体70の上方に移送して、このベース体70に上に載置するための作業が示されている。このベース体70は、図34に示されており、図34(A)は正面図、図34(B)は側面図である。ベース体70は、ジャッキベース71と、ベース体用支柱75と、図18で示した横架部材3と、水平部材78と、図20で示した複合体7とからなるものである。なお、水平部材78は、長さ寸法だけが横架部材3と異なるものになっており、後述のとおり、長手方向Aに互いに隣接して配置される2本のベース体用支柱75に架け渡されるものである。
【0094】
図35は、ジャッキベース71を示し、(A)は正面図、(B)は側面図である。ジャッキベース71は、平板状のベース部材72と、このベース部材72に立設固定された雄ねじ棒73と、この雄ねじ棒73の雄ねじに螺合した雌ねじが内周面に形成され、バー状のハンドル74Aによる回転操作によって雄ねじ棒73に沿って昇降する昇降部材74とからなるものである。図36は、ベース体用支柱75を示し、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は底面図である。ベース体用支柱75は、ジャッキベース71の雄ねじ棒73を内部に挿入できる外径を有していて、図2の第1支柱11の本体13及び図8の第2支柱12の本体26と同じ直径を有する丸パイプ材で形成されている本体76と、この本体76の外周部に結合されている4個のフランジ15と、本体76の長さ方向の一方の端部である上端部に結合された連結部材77とからなるものである。ベース体用支柱75のフランジ15は、第1支柱11及び第2支柱12に設けられているフランジ15と同じものであるため、ベース体用支柱75のフランジ15も、ベース体用支柱75の長さ方向に貫通した長孔状の開口部15Aがベース体用支柱75の円周方向に90度間隔で形成されている。また、連結部材77は、第1支柱11の本体13の内部に挿入できる外径を有しており、この連結部材77には、第1支柱11に設けられている図3図6のロック手段16のロック部材18の先部18Aを挿入係止させることができる被係止部77Aが窪み部又は孔等として形成されている。
【0095】
前述した作業現場のうち、図1の折り畳み式仮設足場1を設置すべき箇所にベース体70を配置するためには、最初に、図37に示されているように、この箇所に複数個のジャッキベース71を、本実施形態では8個のジャッキベース71を配置する作業を行い、これらのジャッキベース71の配置間隔を、図1の折り畳み式仮設足場1におけるそれぞれの支柱列10と同じ配置間隔と同じする。この後に、それぞれのジャッキベース71の雄ねじ棒73の外周に、図38に示されているように、ベース体用支柱75の本体76の下端部を挿入する作業を行って、これらの本体76の下面を昇降部材74に当接させ、それぞれのジャッキベース71について、昇降部材74をハンドル74Aにより回転させて昇降部材74を雄ねじ棒73に沿って昇降させることにより、ジャッキベース71が設置される地面の不陸を解消して、それぞれのベース体用支柱75の高さ位置を揃える。
【0096】
次いで、図34に示されているように、長手方向Aに4本配置されているベース体用支柱75のそれぞれについて、互いに隣接している2本のベース体用支柱75に複合体7と水平部材78を架け渡すとともに、幅方向Bに配置されている2本のベース体用支柱75に横架部材3を架け渡す。これにより、ベース体70が出来上がる。
【0097】
このベース体70の上方に、図33から分かるように、クレーン車両の走行により、吊り上げ部材63から吊り上げられた前述の仮設足場1を移動させ、この後に、クレーン車両の作動により、クレーン車両のフック部材60を下降させて、吊り上げ部材63及び仮設足場1を徐々に降ろし、この仮設足場1のそれぞれの支柱列10における第1支柱11の下端部の内部に、すなわち、図2に示されている第1支柱11の本体13の下端部の内部にベース体用支柱75の連結部材77を挿入する。これにより、仮設足場1はベース体70の上に載置され、このときの仮設足場1とベース体70とが図39に示されている。
【0098】
なお、前述した実施形態では、折り畳み式仮設足場1を形成するために、クレーン車両のフック部材60及び吊り上げ部材63の上昇により、それぞれの折り畳み状態の支柱列10’を形成している第2支柱12Bを図29で示されているように立ち上がらせた後に、また、第1支柱11を図31で示されているように立ち上がらせた後に、フック部材60及び吊り上げ部材63を下降させて、図12及び図16で示されている長孔30の長さ分だけ第2支柱12A,12Bを下降させることにより、ロック手段16のロック部材18の先部18Aを連結部材14,27に設けられている被係止部23,28に係止させてロック状態とする作業を行っていたが、この作業を、上述したように吊り上げ部材63及び仮設足場1を徐々に降ろして、それぞれの支柱列10における第1支柱11の下端面をベース体用支柱75の本体76の上端面に当接させ、この後も、フック部材60及び吊り上げ部材63を少し下降させることにより、図12及び図16の長孔30の長さ分だけ第2支柱12A,12Bを下降させることによって実施してもよい。
【0099】
また、上述したように第1支柱11の本体13の下端部の内部にベース体用支柱75の連結部材77を挿入するための作業を行う際に、吊り上げ部材63に、長手方向Aの互いに反対側において、連結されている2本の制御用紐状部材68のそれぞれを作業者69が引っ張ったり緩めたり操作を行うことにより、吊り上げ部材63及び仮設足場1の位置を長手方向Aに適正に移動させ、これにより、第1支柱11の本体13の下端部の内部にベース体用支柱75の連結部材77を挿入するための作業を適切に行ってもよい。
【0100】
また、本実施形態では、上述したように第1支柱11の本体13の下端部の内部にベース体用支柱75の連結部材77が挿入されるときには、図36(A)に示されているように、連結部材77の上端面には面取り部77Bが形成されていて、第1支柱11に設けられている図2及び図3図6のロック手段16のロック部材18には、図5に示されているように、先部18Aにおいて傾斜面21が傾斜されているため、これらの面取り部77Bと傾斜面21との案内作用により、ロック部材18はコイルばね20の弾性力に抗して後退する。そして、第1支柱11の本体13の下端面がベース体用支柱75の本体76の上端面に当接すると、コイルばね20の弾性力により前進したロック部材18の先部18Aが、図36で示されている連結部材77の被係止部77Aに挿入係止し、これにより、第1支柱11は、ベース体用支柱75に対して抜け止めされたロック状態となる。
【0101】
このようにしてベース体70の上に載置されて、このベース体70にロック状態となった仮設足場1の作業布板4の上に作業者が乗ることにより、作業者は、建築等に関する所定の作業を行うことができる。



【0102】
このときの仮設足場1において、1本の第1支柱11と2本の第2支柱12とが上下に直列状態となって形成されているそれぞれの支柱列10には、第1支柱11と2本の第2支柱12とのうち、2本の第2支柱12A,12Bを直列状態で抜け止めするためにロックしているロック手段16と、第2支柱12Bと第1支柱11とを直列状態で抜け止めするためにロックしているロック手段16とが設けられ、これらのロック手段16のロック部材18には、ロック部材18をコイルばね20の弾性力に抗して後退させてロックを解除させる操作部22が設けられているが、前述したように、操作部22の少なくとも一部は、第1支柱11に設けられている連結アーム24や、第2支柱12A,12Bに設けられている第1及び第2連結アーム29,31によって覆われる状態になっているため、操作部22に予想外の外力等が作用することを防止して、ロック手段16によるロックが解除されてしまうことを有効に防止できる。
【0103】
なお、以上説明した本実施形態の折り畳み式仮設足場1における支柱列10は、1本の第1支柱11と2本の第2支柱12A,12Bとからものであったが、2本の第2支柱12A,12Bのうち、上側の第2支柱12Aのさらに上側に第2支柱12を連結することにより、第2支柱12の本数を3本以上としてもよい。また、本実施形態の折り畳み式仮設足場1における支柱列10の本数は、長手方向Aには4本、幅方向Bには2本であったが、支柱列10の本数を、長手方向Aには1本~3本又は5本以上とし、幅方向Bには1又は3本以上としてもよい。
【0104】
また、本実施形態に係る折り畳み式仮設足場1を、上述したように吊り上げ部材63の上昇により展開させて形成しても、それぞれのロック手段16におけるロック部材18を、操作部22によってコイルばね20の弾性力に抗して後退させると、これらのロック部材18の係止部となっている先部18Aを第1支柱11の連結部材14の被係止部23及び第2支柱12の連結部材27の被係止部28から離脱させることができるため、展開された仮設足場1を、初期の折り畳み状態に戻すことができる。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明は、建物の建築現場や解体現場、土木作業現場、塗装作業現場等の各種作業現場で用いられる折り畳み式仮設足場を展開させるための作業に利用することができる。
【符号の説明】
【0106】
1 折り畳み式仮設足場
3 横架部材
4 作業布板
5 水平部材
6 ブレース部材
7 複合体
10 直列状態の支柱列
10’ 折り畳み状態の支柱列
11 第1支柱
12,12A,12B 上側支柱となる第2支柱
24,29,31 連結アーム
25,32 丸孔による孔
30 長孔による孔
33,34 ピン状部材
63 吊り上げ部材
64 架け渡し部材
68 制御部材である制御用紐状部材
69 作業者
A 水平方向である長手方向
B 幅方向
図1
図2
図3
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図5
図6
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