(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-08
(45)【発行日】2023-05-16
(54)【発明の名称】気密性検査装置
(51)【国際特許分類】
G01M 3/32 20060101AFI20230509BHJP
【FI】
G01M3/32 A
G01M3/32 B
(21)【出願番号】P 2019096997
(22)【出願日】2019-05-23
【審査請求日】2022-02-17
(73)【特許権者】
【識別番号】390019035
【氏名又は名称】株式会社フクダ
(74)【代理人】
【識別番号】100085556
【氏名又は名称】渡辺 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100115211
【氏名又は名称】原田 三十義
(74)【代理人】
【識別番号】100153800
【氏名又は名称】青野 哲巳
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 孝彰
(72)【発明者】
【氏名】白井 隆介
(72)【発明者】
【氏名】原 努
【審査官】奥野 尭也
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-191203(JP,A)
【文献】特開2008-309698(JP,A)
【文献】特開平11-304633(JP,A)
【文献】特表2014-533825(JP,A)
【文献】特開平04-095840(JP,A)
【文献】特開平03-144335(JP,A)
【文献】特開2000-121481(JP,A)
【文献】特開平06-331487(JP,A)
【文献】特開2013-019868(JP,A)
【文献】特開2007-327849(JP,A)
【文献】特開2003-106930(JP,A)
【文献】特開2008-020422(JP,A)
【文献】特開2007-024600(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 3/26- 3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象となるワークを収容するためのチャンバーを有するワークホルダを備え、上記チャンバーは、直線状に水平に延びて上記ワークホルダを貫通し、その両端が上記ワークホルダの両側面に開口しており、
さらに、
上記ワークホルダの両側面に当接して上記チャンバーの両端の開口をそれぞれ封止することにより、上記チャンバーを密封する第1、第2封止体と、
上記第1、第2封止体をそれぞれ上記ワークホルダに対して接近、離間する方向に
水平移動させる第1、第2駆動手段と、
密封状態の上記チャンバーにテスト圧を供給するテスト圧供給手段と、
上記チャンバー内のワークの気密性を検査するために、上記チャンバー内の圧力の変化を監視する圧力検出手段と、
検査後のワークを排出するための排出手段と、
を備え、上記排出手段は、
押圧ロッドと、
上記押圧ロッドを上記チャンバーの一方の開口から上記チャンバー内に水平に挿入させることにより、上記チャンバー内のワークを上記チャンバーの他方の開口から押し出す駆動部と、
を有することを特徴とする気密性検査装置。
【請求項2】
さらに移動機構を備え、この移動機構は上記ワークホルダを、初期位置から、上記チャンバーにワークを搬入する搬入ステージ、上記気密性の検査を行う検査ステージ、上記ワークを上記チャンバーから搬出する搬出ステージへと順に移動させて上記初期位置へと戻すように循環させ、
上記第1、第2封止体と上記第1、第2駆動手段が上記検査ステージに配置され、上記排出手段が上記搬出ステージに配置されていることを特徴とする請求項1に記載の気密性検査装置。
【請求項3】
上記テスト圧供給手段と上記圧力検出手段が、上記第2封止体に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の気密性検査装置。
【請求項4】
上記ワークホルダは上記チャンバーを複数有しており、上記複数のチャンバー毎に上記テスト圧供給手段および上記圧力検出手段が装備されており、
上記第1、第2封止体の各々は、上記複数のチャンバーの対応する開口に共通の1つの封止体により構成されており、対応する開口を一度に封止することを特徴とする請求項2に記載の気密性検査装置。
【請求項5】
上記ワークホルダが複数装備され、
さらに移動機構を備え、この移動機構は上記複数のワークホルダを、初期位置から、上記チャンバーにワークを搬入する搬入ステージ、上記気密性の検査を行う検査ステージ、上記ワークを上記チャンバーから搬出する搬出ステージへと順に移動させて上記初期位置へと戻すように循環させ、
上記初期位置、上記搬入ステージ、上記検査ステージおよび上記搬出ステージが垂直面上に配置されていることを特徴とする請求項
1に記載の気密性検査装置。
【請求項6】
上記チャンバーは上記ワークホルダに垂直方向に等ピッチで複数形成されており、
上記移動機構は上記ワークホルダの移動方向が逆の第1、第2垂直移動部を含み、上記第1垂直移動部に上記搬入ステージが配置され、上記第2垂直移動部に上記搬出ステージが配置されており、
上記搬入ステージにおいて、上記第1垂直移動部によりワークホルダを上記チャンバーのピッチと等しい移動量で間欠的に移動させ、所定位置でワークを上記チャンバーに搬入し、
上記搬出ステージにおいて、上記第2垂直移動部によりワークホルダを上記チャンバーのピッチと等しい移動量で間欠的に移動させ、所定位置でワークを上記チャンバーから搬出することを特徴とする請求項5に記載の気密性検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークの気密性を検査する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1、2に開示されているように、開閉可能なワークカプセルにワークを収容して密封し、ワークカプセル内にテスト圧を供給して、その圧力変動を監視することにより、ワークの密封性を検査する装置は知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-149076号公報
【文献】特許5271096号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1、2に記載された装置では、検査後のワークをワークカプセルから搬出する作業が煩雑であるため、改良の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、気密性検査装置において、
検査対象となるワークを収容するためのチャンバーを有するワークホルダを備え、上記チャンバーは、直線状に水平に延びて上記ワークホルダを貫通し、その両端が上記ワークホルダの両側面に開口しており、
さらに、上記チャンバーの両端の開口をそれぞれ封止することにより、上記チャンバーを密封する第1、第2封止体と、上記第1、第2封止体をそれぞれ上記ワークホルダに対して接近、離間する方向に移動する第1、第2駆動手段と、密封状態の上記チャンバーにテスト圧を供給するテスト圧供給手段と、上記チャンバー内のワークの気密性を検査するために、上記チャンバー内の圧力の変化を監視する圧力検出手段と、を備えたことを特徴とする。
【0006】
上記構成によれば、気密性検査後にチャンバーに収容されたワークに一方の開口から力を付与して他方の開口から排出することが可能であり、搬出作業を効率良く行うことができる。
【0007】
好ましくは、さらに、検査後のワークを排出するための排出手段を備え、上記排出手段は、押圧ロッドと、上記押圧ロッドを上記チャンバーの一方の開口から上記チャンバー内に挿入することにより、上記チャンバー内のワークを上記チャンバーの他方の開口から押し出す駆動部と、を有する。
上記構成によれば、押圧ロッドを用いることにより、確実にワークをチャンバーから排出することができる。
【0008】
好ましくは、上記ワークホルダは上記チャンバーを複数有しており、上記複数のチャンバー毎に上記テスト圧供給手段および上記圧力検出手段が装備されている。
上記構成によれば、1つのワークホルダで一度に複数のワークの気密性を検査できるので、検査の効率を向上させることができる。
【0009】
好ましくは、上記一対の封止体の各々は、上記複数のチャンバーの対応する開口に共通の1つの封止体により構成されており、対応する開口を一度に封止する。
上記構成によれば、封止構造を簡略化することができる。
【0010】
好ましくは、上記ワークホルダが複数装備され、さらに移動機構を備え、この移動機構は上記複数のワークホルダを、初期位置から、上記チャンバーにワークを搬入する搬入ステージ、上記気密性の検査を行う検査ステージ、上記ワークを上記チャンバーから搬出する搬出ステージへと順に移動させて上記初期位置へと戻すように循環させ、上記初期位置、上記搬入ステージ、上記検査ステージおよび上記搬出ステージが垂直面上に配置されている。
上記構成によれば、装置の設置面積を大幅に減じることができる。
【0011】
好ましくは、上記チャンバーは上記ワークホルダに垂直方向に等ピッチで複数形成されており、上記移動機構は上記ワークホルダの移動方向が逆の第1、第2垂直移動部を含み、上記第1垂直移動部に上記搬入ステージが配置され、上記第2垂直移動部に上記搬出ステージが配置されており、上記搬入ステージにおいて、上記第1垂直移動部によりワークホルダを上記チャンバーのピッチと等しい移動量で間欠的に移動させ、所定位置でワークを上記チャンバーに搬入し、上記搬出ステージにおいて、上記第2垂直移動部によりワークホルダを上記チャンバーのピッチと等しい移動量で間欠的に移動させ、所定位置でワークを上記チャンバーから搬出する。
上記構成によれば、搬入、搬出作業をより円滑に行なうことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、気密性検査後のワークの排出作業を効率良く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係る気密性検査装置の全体を示す正面図である。
【
図2】(A)は上記気密性検査装置で用いられるワークホルダの断面図、(B)は同ワークホルダの側面図である。
【
図3】上記気密性検査装置における検査ステージの構成を示す正面図である。
【
図4】上記検査ステージの構成の一部をなす検査ユニットの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態に係る気密性検査装置について、図面を参照しながら説明する。本実施形態で検査対象となるワークは、PTP包装(一次包装)された錠剤を袋でピロー包装(二次包装)した医薬品であり、細長い形状を有している。このピロー包装に溶着不良、破れ、ピンホール等の欠陥があると、大気中の湿気や酸素が袋内に入り込み、PTP包装された錠剤の経年劣化を早めてしまう。そのため、ピロー包装の欠陥の有無を本装置で検査するのである。なお、本実施形態の検査装置は、ピロー包装された医薬品に限らず、種々の商品を検査対象のワークとすることができるが、特に細長い形状のワークの検査に適している。
【0015】
図1に示すように、気密性検査装置は、5つ(複数)のワークホルダ10と、これらワークホルダ10を、初期位置(例えば
図1の左下隅の位置)から搬入ステージS1と検査ステージS2と排出ステージS3を順に経て初期位置に戻るように循環させる移動機構Mと、を備えている。
【0016】
図2に示すように、ワークホルダ10は直方体形状をなし、互いに平行をなす平坦かつ垂直の一対のシール面11,12(両側面)を有するとともに、シール面11,12と直角をなして水平に直線状に延びワークホルダ10を貫通する互いに平行な8つ(複数)のチャンバー15を有している。チャンバー15の両端はシール面11,12に開口している。これら両端の開口には図において符号15a,15bを付す。8つのチャンバー15は等間隔をなして横に2列、縦に4列をなして配置されている。各チャンバー15には後述するようにワークW(想像線で示す)が収容されるようになっている。
【0017】
シール面11,12には、チャンバー15の開口15a,15bを囲う溝が形成されており、これら溝にゴム製のシールリング16が嵌め込まれている。なお、チャンバー15における一方の開口15aの近傍部は開口15aに向かって広がるテーパ部15cとなっている。
【0018】
図1に示すように、各ワークホルダ10の上端には上側チャック受部18が設けられ、下端には下側チャック受部19が設けられ、背面には背側チャック受部(図示しない)が設けられている。
【0019】
図1に示すように、移動機構Mは、1つの垂直面に沿って配置された左側垂直移動部20(第1垂直移動部)と上側水平移動部30と右側垂直移動部40(第2垂直移動部)と下側水平移動部50を備えており、起立した状態で設置されている。そのため、広い面積を必要とせずに設置することができる。
【0020】
左側垂直移動部20は、ワークホルダ10を上方へ移動させるためのものであり、この移動の過程でワークホルダ10を、最下位位置(初期位置)から、中間位置の搬入ステージS1と最上位位置の検査ステージS2に順に運ぶようになっている。
【0021】
左側垂直移動部20は、2本のガイドレール21と、各ガイドレール21に沿って移動する自走式のスライダ22とを有している。
図1では一方のスライダ22は検査ステージS2にあり後述する封止体62に隠れている。
2つのスライダ22は、チャック(図示しない)を有し、このチャックがワークホルダ10の背側チャック受部を掴んだ状態でワークホルダ10を交互に上方へ運ぶようになっている。
【0022】
上側水平移動部30は、水平ガイド31と、この水平ガイド31に沿って水平移動する自走式の第1スライダ32と、この第1スライダ32に設けられた垂直ガイド33と、この垂直ガイド33に沿って垂直移動する自走式の第2スライダ34とを有している。第2スライダ34の下端にはチャック35が設けられている。
【0023】
上記第2スライダ34は、左側垂直移動部20の最上位位置の検査ステージS2にあるワークホルダ10の上側チャック受部18をチャック35で掴み、ワークホルダ10を上方に運ぶ。この後、第1スライダ32によりワークホルダ10を右方向に水平に運び、さらに第2スライダ34によりワークホルダ10を下方に向けて右側垂直移動部40の最上位位置まで運ぶ。
【0024】
右側垂直移動部40は、ワークホルダ10を下方へ移動させるためのものであり、この移動の途中で、ワークホルダ10を搬出ステージS3に運ぶようになっている。
右側垂直移動部40は左側垂直移動部20と同様に、2本のガイドレール41と、各ガイドレール41に沿って移動する自走式のスライダ42とを有している。
2つのスライダ42は、チャック(図示しない)を有し、このチャックがワークホルダ10の背側チャック受部を掴んだ状態でワークホルダ10を交互に下方へ運ぶ。
【0025】
下側水平移動部50は、水平ガイド51と、この水平ガイド51に沿って水平移動する自走式のスライダ52とを有している。スライダ52の上端にはチャック55が設けられている。
スライダ52は、右側垂直移動部40の最下位位置にあるワークホルダ10の下側チャック受部19をチャック55で掴み、左方向に水平に移動することにより、ワークホルダ10を左側垂直移動部20の最下位位置(初期位置)まで運ぶ。
【0026】
上記のようにして5つのワークホルダ10は、1つの垂直面上を循環し、左側垂直移動部20の最下位位置(初期位置)から、
図1において時計回り方向に運ばれ、搬入ステージS1、検査ステージS2および搬出ステージS3を経て初期位置に戻るようになっている。
【0027】
上記搬入ステージS1には、搬入コンベア101(
図1においてその上面のみを想像線で示す)が配置されている。搬入コンベア101から送られてきたワークWを、図示しない挿入治具を用いて、ワークホルダ10のチャンバー15の一方の開口端15aからチャンバー15内に挿入する。この際、スライダ22は、チャンバー15の縦列のピッチ分だけ間欠的にワークホルダ10を上方へ移動する。これにより、4列のチャンバー15は次々と同一高さの挿入位置に送られるので、搬入作業を円滑に行うことができる。また、一方の開口15aはテーパ部15cにより広くなっているので、ワークWの搬入作業をより一層円滑に行なうことができる。
【0028】
ワークホルダ10は、搬入ステージS1から検査ステージS2まで、チャンバー15の両端開口15a,15bが開放された状態で運ばれるが、チャンバー15は水平であるのでワークWの収容状態を維持することができる。
【0029】
図1、
図3に示すように、上記検査ステージS2には、ワークホルダ10の一方のシール面11と対向する平板形状の封止体61(第1封止体)と、他方のシール面12と対向する直方体形状の封止体62(第2封止体)と、封止体61をシール面11に対して接近・離間する方向に水平移動させるエアシリンダ63(第1駆動手段)と、封止体62をシール面12に対して接近・離間する方向に水平移動させるエアシリンダ64(第2駆動手段)と、を備えている。
封止体61は、8つのチャンバー15の開口15aに対する共通の封止体として1つ配置されている。封止体62は、8つのチャンバー15の開口15bに対する共通の封止体として1つ配置されている。
【0030】
エアシリンダ63により封止体61の平坦な面がワークホルダ10の一方のシール面11に押し付けられることにより、8つのチャンバー15の開口15aが一度に封止され、エアシリンダ64により封止体62の平坦な面がワークホルダ10の他方のシール面12に押し付けられることにより、8つのチャンバー15の開口15bが一度に封止される。
なお、一方の封止体61には8つの突起61aが形成されている。これら突起61aは、上記チャンバー15内に入り込みチャンバー15の実容積を減じることにより、後述する検査精度を高める役割を担う。突起61aのサイズは、ワークWの大きさに応じて変更することができる。
【0031】
図1、
図3に示すように、封止体62の正面には、検査ユニット70が取り付けられている。
図3、
図4に示すように、検査ユニット70は、上記封止体62に固定されるベース板70aと、このベース板70aに取り付けられた8組の部品群70bとを有している。
各部品群70bは、3つの開閉弁71,72,73と、タンク74と、圧力センサ75(圧力検出手段)とを備えている。
【0032】
図5に示すように、封止体62およびベース板70aには、チャンバー15毎に、外部の共通の圧力源76をチャンバー15に連ねる主通路77が形成されている。この主通路77に上記開閉弁71,72,73と、タンク74と、圧力センサ75が接続されている。なお、本実施形態では圧力源76は、圧力レギュレータ(図示しない)を備えており、負圧(真空圧)供給と正圧供給に切り替えることができる。
【0033】
開閉弁71は圧力源76とタンク74との間に介在されており、通常は開き位置にあり、後述の密封性検査開始前には圧力源76からタンク74に所定の負圧が供給されるようになっている。圧力センサ75によりタンク74が上記所定の負圧(以下、タンク圧と言う)に達したことを検出したら、開閉弁71が閉じられ、後述の密封性検査の準備状態となる。開閉弁72はタンク74とチャンバー15との間に介在され、通常は閉じ位置にありタンク74とチャンバー15との間を遮断している。開閉弁73は通常は開き位置にありチャンバー15を大気に開放している。
【0034】
封止体61,62によりチャンバー15が封止される際、チャンバー15が開閉弁73を介して大気に開放されているので、チャンバー15内の圧力は上昇せず大気圧に維持される。
上記チャンバー15の封止後に開閉弁73を閉じ、その後で開閉弁72を開く。これにより、タンク74の所定のタンク圧がチャンバー15に供給される。
【0035】
圧力センサ75の検出圧は、開閉弁72が閉じられた状態ではタンク圧であるが、開閉弁72が開くと、チャンバー15の内容積および開閉弁72からチャンバー15までの主通路77の内容積に応じた圧力分だけタンク圧より上昇し、ワークWに欠陥が無ければ(ワークWのピロー包装の密封性に異常がなければ)、テスト圧になる。
上記説明から明らかなように、主通路77と開閉弁71,72,73とタンク74により、テスト圧供給回路70x(テスト圧供給手段)が構成される。
【0036】
ワークWのピロー包装の密封性に異常がなければ、圧力センサ75の検出圧は上記テスト圧に維持される。しかし、ピロー包装に欠陥があると、ピロー包装内の空気がチャンバー15に漏れるため、圧力センサ75の検出圧はテスト圧より高くなる。欠陥が大きい場合には、検出圧は一気にテスト圧を越え、欠陥が微小である場合には、テスト圧から時間の経過とともに徐々に高くなる。
図示しないコントローラでは、開閉弁72が開いてから所定時間経過後の上記検出圧の上昇分が閾値未満であればワークWを良品と判定し、閾値を超えていれば不良品と判定する。
【0037】
上記判定後に、開閉弁72の開き状態、開閉弁73の閉じ状態を維持したまま、開閉弁71だけを開き、圧力源76の供給圧力を正圧に切り替える。これにより、テスト圧供給回路70x内の真空破壊を実行する。その後でシリンダ63,64を駆動して封止体61.62をワークホルダ10から離す。上記のように真空破壊をすることにより、短い待機時間で封止体61,62をワークホルダ10から離す動作を実行することができる。
次に開閉弁72を閉じ、開閉弁73を開き、その後で、圧力源76からの供給圧を負圧に切り替え、タンク74を所定の負圧に戻すことにより、検査工程が終了する。
上述したように、1つのワークホルダ10で8つのワークWの気密性検査を一度に行えるので、検査作業の効率を高めることができる。
【0038】
なお、ワークホルダ10を検査ステージS2まで搬送したスライダ22は、封止体61,62がワークホルダ10のチャンバー15を密封しワークホルダ10を挟持した後、ワークホルダ10の背側チャック受部へのチャック状態を解除して下方に移動して初期位置に戻り、下側水平移動部50により運ばれてくるワークホルダ10をチャックして、上方へ運ぶ準備をする。ワークホルダ10は、検査工程のある期間では、封止体61,62だけで保持された状態になる。
【0039】
上述したように封止体61,62をワークホルダ10から離す前に、上側水平移動部30の第2スライダ34のチャック35がワークホルダ10の上側チャック受部18を掴むことにより、ワークホルダ10を保持する。封止体61,62をワークホルダ10から離した後に、ワークホルダ10を前述したように右側垂直移動部40まで運ぶ。
【0040】
上述したように1つのワークホルダ10が検査ステージS2において静止状態で気密性検査を受けている最中に、その真下にある次のワークホルダ10は、搬入ステージS1において上方に間欠移動され、そのチャンバー15にワークWが搬入される。そのため、検査ステージS2において、ワークホルダ10の気密性検査が終了した時点では、次のワーク10は気密性検査を受ける準備がほぼ完了している。
【0041】
ワークホルダ10は、検査ステージS2から搬出ステージS3まで、チャンバー15の両端開口15a,15bが開放された状態で運ばれるが、チャンバー15は水平状態にあるので、ワークWの安定した収容状態を維持できる。
【0042】
右側垂直移動部40の搬出ステージS3には、横に並んだ2つのエアシリンダ80(排出手段)と搬出コンベア102(その上面のみを想像線で示す)が、右側垂直移動部40を挟んで配置されている。2つのエアシリンダ80は水平に配置され、シリンダ部81(駆動部)と、シリンダ部81から延びる押圧ロッド82とを有している。2つのエアシリンダ80の押圧ロッド82は、ワークホルダ10の横に並んだ2つのチャンバー15とほぼ一直線上に配置されている。
【0043】
エアシリンダ80が作動すると、押圧ロッド82がチャンバー15の一方の開口端15aからチャンバー15の長手方向に沿って挿入され、ワークWを他方の開口端15bから押し出す。押し出されたワークWは排出コンベア102で次の工程へと搬送される。
このようにチャンバー15の両端が開口されているので、エアシリンダ80により効率良くワークWを搬出することができる。
【0044】
搬出ステージS3では、ワークホルダ10はスライダ42によりチャンバー15の縦列のピッチ分だけ間欠的に下方に移動し、ワークホルダ10が静止する度に、上記排出作業が実行される。このように4列のチャンバー15は次々と同一高さの排出位置に送られるので排出作業を円滑に行うことができる。
【0045】
本発明は、前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改変をなすことができる。例えば、排出手段としてエア圧をチャンバーの一方の開口から供給し、チャンバー内のワークを他方の開口から排出してもよい。
テスト圧は正圧でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、ピロー包装の医薬品等のワークの気密性検査に適用できる。
【符号の説明】
【0047】
10 ワークホルダ
11,12 シール面(両側面)
15 チャンバー
15a,15b チャンバーの開口
20 左側垂直移動部(第1垂直移動部)
40 右側垂直移動部(第2垂直移動部)
61 第1封止体
62 第2封止体
63 エアシリンダ(第1駆動手段)
64 エアシリンダ(第2駆動手段)
70x テスト圧供給回路(テスト圧供給手段)
75 圧力センサ(圧力検出手段)
80 エアシリンダ(排出手段)
81 シリンダ部(駆動部)
82 押圧ロッド
M 移動機構
S1 搬入ステージ
S2 検査ステージ
S3 搬出ステージ