(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-08
(45)【発行日】2023-05-16
(54)【発明の名称】差動コントローラ
(51)【国際特許分類】
H02M 3/155 20060101AFI20230509BHJP
G05F 1/56 20060101ALI20230509BHJP
【FI】
H02M3/155 H
G05F1/56 310C
G05F1/56 310X
(21)【出願番号】P 2019115760
(22)【出願日】2019-06-21
【審査請求日】2022-03-16
(32)【優先日】2018-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519383544
【氏名又は名称】アナログ・ディヴァイシス・インターナショナル・アンリミテッド・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】チャオ, ヒオ レオン
【審査官】東 昌秋
(56)【参考文献】
【文献】特許第4184970(JP,B2)
【文献】国際公開第2018/026578(WO,A1)
【文献】特開2013-501487(JP,A)
【文献】国際公開第2017/41144(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/155
G05F 1/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
差動コントローラであって、
第1のレギュレータ入力で第1のレギュレータ制御信号を受信し、第1のレギュレータ出力に第1のレギュレータ出力信号を生成するように構成されている第1のレギュレータと、
第2のレギュレータ入力で第2のレギュレータ制御信号を受信し、第2のレギュレータ出力に第2のレギュレータ出力信号を生成するように構成されている第2のレギュレータと、
前記第1のレギュレータ出力と前記第2のレギュレータ出力との間の負荷の状態に基づいて帰還信号を生成するように構成されている帰還センサと、
前記帰還信号と設定電圧とを使用して前記第1のレギュレータ制御信号を生成するように構成されている第1の増幅器と、
前記第1のレギュレータ制御信号とコモンモード制御電圧とを使用して前記第2のレギュレータ制御信号を生成するように構成されている第2の増幅器と、を備え、前記第1のレギュレータ出力および前記第2のレギュレータ出力は、少なくとも一部において前記コモンモード制御電圧に基づいている、差動コントローラ。
【請求項2】
前記帰還センサが電流センサを備え、前記帰還信号が前記負荷における負荷電流に基づいている、請求項1に記載の差動コントローラ。
【請求項3】
前記第1の増幅器の第1の増幅器出力と前記コモンモード制御電圧との間に連結された補償ネットワークをさらに備える、請求項1に記載の差動コントローラ。
【請求項4】
前記負荷が誘導性構成要素を備え、前記負荷が負荷極周波数で極を含み、前記補償ネットワークが前記負荷極周波数で零点を含む、請求項3に記載の差動コントローラ。
【請求項5】
閉位置および開位置を有するソフトスタートスイッチをさらに備え、前記ソフトスタートスイッチが前記閉位置にあるとき、前記ソフトスタートスイッチが前記補償ネットワークを短絡する、請求項3に記載の差動コントローラ。
【請求項6】
電源電圧を使用して前記コモンモード制御電圧を生成するように構成されているコモンモード増幅器をさらに備える、請求項1に記載の差動コントローラ。
【請求項7】
前記第2のレギュレータ制御信号が、前記第1のレギュレータ制御信号と前記コモンモード制御電圧との間の差に比例する、請求項1に記載の差動コントローラ。
【請求項8】
前記第1のレギュレータがバックコンバータを備える、請求項1に記載の差動コントローラ。
【請求項9】
電源電圧とコモンモード基準電圧とを使用して前記コモンモード制御電圧を生成するように構成されているコモンモード増幅器をさらに備え、前記コモンモード基準電圧が、前記バックコンバータの基準電圧に比例する、請求項8に記載の差動コントローラ。
【請求項10】
前記第1のレギュレータが第1のレギュレータ帰還ネットワークを備え、前記第1のレギュレータ制御信号が前記第1のレギュレータ帰還ネットワークに提供される、請求項1に記載の差動コントローラ。
【請求項11】
前記第1のレギュレータがリニアレギュレータを備える、請求項1に記載の差動コントローラ。
【請求項12】
前記第1のレギュレータ制御信号と前記第2のレギュレータ制御信号との間の差動電圧を最大値にクランプするように構成されているクランプ回路をさらに備える、請求項1に記載の差動コントローラ。
【請求項13】
前記帰還センサが電圧センサを備え、前記帰還信号が負荷電圧を指示する、請求項1に記載の差動コントローラ。
【請求項14】
第1のレギュレータと第2のレギュレータを備える差動コントローラを用いて負荷を制御する方法であって、
帰還センサによって、帰還信号を生成するための負荷状態を感知することであって、前記負荷状態は、前記負荷に関連付けられ、前記負荷が、前記第1のレギュレータの第1のレギュレータ出力と前記第2のレギュレータの第2のレギュレータ出力との間にあることと、
第1の増幅器によって、前記帰還信号と設定電圧とを使用して、前記第1のレギュレータのための第1のレギュレータ制御信号を生成することと、
第2の増幅器によって、前記第1のレギュレータ制御信号とコモンモード制御電圧とを使用して前記第2のレギュレータのための第2のレギュレータ制御信号を生成することと、前記第1のレギュレータ出力および前記第2のレギュレータ出力が、少なくとも一部において前記コモンモード制御電圧に基づくこととを、含む方法。
【請求項15】
前記帰還センサが電流センサを備え、前記帰還信号が前記負荷における負荷電流を指示する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
電源電圧とコモンモード基準電圧を使用して前記コモンモード制御電圧を生成することをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記電源電圧の増加に応答して、前記コモンモード制御電圧を増加させることと、
前記コモンモード制御電圧の前記増加に応答して、前記第1のレギュレータ制御信号を修正して第1のレギュレータ出力信号の電圧を増加させることと、
前記コモンモード制御電圧の前記増加に応答して、前記第2のレギュレータ制御信号を修正して第2のレギュレータ出力信号の電圧を増加させること、をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
電源電圧の減少に応答して、前記コモンモード制御電圧を減少させることと、
前記コモンモード制御電圧の前記減少に応答して、前記第1のレギュレータ制御信号を修正して第1のレギュレータ出力信号の電圧を減少させることと、
前記コモンモード制御電圧の前記減少に応答して、前記第2のレギュレータ制御信号を修正して第2のレギュレータ出力信号の電圧を減少させること、をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
差動コントローラであって、
第1のレギュレータ入力において受信された第1のレギュレータ制御信号に少なくとも一部分において基づいて、第1のレギュレータ出力において第1のレギュレータ出力信号を生成するための手段と、
第2のレギュレータ入力において受信された第2のレギュレータ制御信号に少なくとも一部分において基づいて、第2のレギュレータ出力において第2のレギュレータ出力信号を生成するための手段と、
前記第1のレギュレータ出力と前記第2のレギュレータ出力との間の負荷における状態に基づいて帰還信号を生成するための手段と、
前記帰還信号と設定電圧を使用して前記第1のレギュレータ制御信号を生成するための手段と、
前記第1のレギュレータ制御信号とコモンモード制御電圧を使用して前記第2のレギュレータ制御信号を生成するための手段、を含み、前記第1のレギュレータ出力および前記第2のレギュレータ出力が、少なくとも一部分において前記コモンモード制御電圧に基づいている、差動コントローラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、概して、限定するものではないが、集積回路または集積回路のセットなどの回路に関し、特に、限定するものではないが、差動コントローラ回路に関する。
【背景技術】
【0002】
コントローラ回路は、電気モータ、電灯、電気ディスプレイなどの電気負荷を駆動するために使用される。差動コントローラは、負荷の電流または電圧を制御するための2つのシングルエンドレギュレータを含む。負荷の正極および負極端子は、グランドなどの基準電圧に対して変化することができる。2つのそれぞれのレギュレータの出力は互いに追跡して負荷に所望の電流または電圧を生み出す。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本明細書に記載の様々な例は、第1のレギュレータと第2のレギュレータとを備える差動コントローラを対象にしている。第1のレギュレータは、第1のレギュレータ入力で第1のレギュレータ制御信号を受信し、第1のレギュレータ出力に第1のレギュレータ出力信号を生成する。第2のレギュレータは、第2のレギュレータ入力で第2のレギュレータ制御信号を受信し、第2のレギュレータ出力に第2のレギュレータ出力信号を生成する。負荷は、第1のレギュレータ出力と第2のレギュレータ出力との間に電気的に連結されている。負荷電流および電圧は、第1のレギュレータ出力と第2のレギュレータ出力との間の差に基づいている。
【0004】
それぞれのレギュレータの制御信号は別々に生成さる。例えば、電流センサは、負荷における負荷電流を表現する負荷電流信号を生成する。第1の増幅器は、負荷電流信号と制御信号とを使用して第1のレギュレータ制御を生成するように構成される。第2の増幅器は、第1のレギュレータ入力電圧とコモンモード電圧とを使用して第2のレギュレータ制御信号を生成するように構成される。
本願明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
差動コントローラであって、
第1のレギュレータ入力で第1のレギュレータ制御信号を受信し、第1のレギュレータ出力に第1のレギュレータ出力信号を生成するように構成されている第1のレギュレータと、
第2のレギュレータ入力で第2のレギュレータ制御信号を受信し、第2のレギュレータ出力に第2のレギュレータ出力信号を生成するように構成されている第2のレギュレータと、
上記第1のレギュレータ出力と上記第2のレギュレータ出力との間の負荷の状態に基づいて帰還信号を生成するように構成されている帰還センサと、
上記帰還信号と設定電圧とを使用して上記第1のレギュレータ制御信号を生成するように構成されている第1の増幅器と、
上記第1のレギュレータ制御信号とコモンモード制御電圧とを使用して上記第2のレギュレータ制御信号を生成するように構成されている第2の増幅器と、を備え、上記第1のレギュレータ出力および上記第2のレギュレータ出力は、少なくとも一部において上記コモンモード制御電圧に基づいている、差動コントローラ。
(項目2)
上記帰還センサが電流センサを備え、上記帰還信号が上記負荷における負荷電流に基づいている、上記項目に記載の差動コントローラ。
(項目3)
上記第1の増幅器の第1の増幅器出力と上記コモンモード制御電圧との間に連結された補償ネットワークをさらに備える、上記項目のいずれかに記載の差動コントローラ。
(項目4)
上記負荷が誘導性構成要素を備え、上記負荷が負荷極周波数で極を含み、上記補償ネットワークが上記負荷極周波数で零点を含む、上記項目のいずれかに記載の差動コントローラ。
(項目5)
閉位置および開位置を有するソフトスタートスイッチをさらに備え、上記ソフトスタートスイッチが上記閉位置にあるとき、上記ソフトスタートスイッチが上記補償ネットワークを短絡する、上記項目のいずれかに記載の差動コントローラ。
(項目6)
電源電圧を使用して上記コモンモード制御電圧を生成するように構成されているコモンモード増幅器をさらに備える、上記項目のいずれかに記載の差動コントローラ。
(項目7)
上記第2のレギュレータ制御信号が、上記第1のレギュレータ制御信号と上記コモンモード制御電圧との間の差に比例する、上記項目のいずれかに記載の差動コントローラ。
(項目8)
上記第1のレギュレータがバックコンバータを備える、上記項目のいずれかに記載の差動コントローラ。
(項目9)
電源電圧とコモンモード基準電圧とを使用して上記コモンモード制御電圧を生成するように構成されているコモンモード増幅器をさらに備え、上記コモンモード基準電圧が、上記バックコンバータの基準電圧に比例する、上記項目のいずれかに記載の差動コントローラ。
(項目10)
上記第1のレギュレータが第1のレギュレータ帰還ネットワークを備え、上記第1のレギュレータ制御信号が上記第1のレギュレータ帰還ネットワークに提供される、上記項目のいずれかに記載の差動コントローラ。
(項目11)
上記第1のレギュレータがリニアレギュレータを備える、上記項目のいずれかに記載の差動コントローラ。
(項目12)
上記第1のレギュレータ制御信号と上記第2のレギュレータ制御信号との間の差動電圧を最大値にクランプするように構成されているクランプ回路をさらに備える、上記項目のいずれかに記載の差動コントローラ。
(項目13)
上記帰還センサが電圧センサを備え、上記帰還信号が負荷電圧を指示する、上記項目のいずれかに記載の差動コントローラ。
(項目14)
第1のレギュレータと第2のレギュレータを備える差動コントローラを用いて負荷を制御する方法であって、
帰還センサによって、帰還信号を生成するための負荷状態を感知することであって、上記負荷状態は、上記負荷に関連付けられ、上記負荷が、上記第1のレギュレータの第1のレギュレータ出力と上記第2のレギュレータの第2のレギュレータ出力との間にあることと、
第1の増幅器によって、上記帰還信号と設定電圧とを使用して、上記第1のレギュレータのための第1のレギュレータ制御信号を生成することと、
第2の増幅器によって、上記第1のレギュレータ制御信号とコモンモード制御電圧とを使用して上記第2のレギュレータのための第2のレギュレータ制御信号を生成することと、上記第1のレギュレータ出力および上記第2のレギュレータ出力が、少なくとも一部において上記コモンモード制御電圧に基づくこととを、含む方法。
(項目15)
上記帰還センサが電流センサを備え、上記帰還信号が上記負荷における負荷電流を指示する、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目16)
電源電圧とコモンモード基準電圧を使用して上記コモンモード制御電圧を生成することをさらに含む、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目17)
上記電源電圧の増加に応答して、上記コモンモード制御電圧を増加させることと、
上記コモンモード制御電圧の上記増加に応答して、上記第1のレギュレータ制御信号を修正して第1のレギュレータ出力信号の電圧を増加させることと、
上記コモンモード制御電圧の上記増加に応答して、上記第2のレギュレータ制御信号を修正して第2のレギュレータ出力信号の電圧を増加させること、をさらに含む、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目18)
電源電圧の減少に応答して、上記コモンモード制御電圧を減少させることと、
上記コモンモード制御電圧の上記減少に応答して、上記第1のレギュレータ制御信号を修正して第1のレギュレータ出力信号の電圧を減少させることと、
上記コモンモード制御電圧の上記減少に応答して、上記第2のレギュレータ制御信号を修正して第2のレギュレータ出力信号の電圧を減少させること、をさらに含む、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目19)
差動コントローラであって、
第1のレギュレータ入力において受信された第1のレギュレータ制御信号に少なくとも一部分において基づいて、第1のレギュレータ出力において第1のレギュレータ出力信号を生成するための手段と、
第2のレギュレータ入力において受信された第2のレギュレータ制御信号に少なくとも一部分において基づいて、第2のレギュレータ出力において第2のレギュレータ出力信号を生成するための手段と、
上記第1のレギュレータ出力と上記第2のレギュレータ出力との間の負荷における状態に基づいて帰還信号を生成するための手段と、
上記帰還信号と設定電圧を使用して上記第1のレギュレータ制御信号を生成するための手段と、
上記第1のレギュレータ制御信号とコモンモード制御電圧を使用して上記第2のレギュレータ制御信号を生成するための手段、を含み、上記第1のレギュレータ出力および上記第2のレギュレータ出力が、少なくとも一部分において上記コモンモード制御電圧に基づいている、差動コントローラ。
(摘要)
本明細書に記載の様々な例は、第1のレギュレータと第2のレギュレータとを備える差動コントローラを対象にしている。第1のレギュレータは、第1のレギュレータ制御信号を受信し、第1のレギュレータ出力信号を生成する。第2のレギュレータは、第2のレギュレータ制御信号を受信し、第2のレギュレータ出力信号を生成する。負荷は、第1のレギュレータ出力と第2のレギュレータ出力との間に電気的に連結されている。負荷電流および電圧は、第1のレギュレータ出力と第2のレギュレータ出力との間の差に基づいている。電流センサは、負荷における負荷電流を表現する負荷電流信号を生成する。第1の増幅器は、負荷電流信号と制御信号を使用して第1のレギュレータ制御を生成する。第2の増幅器は、第1のレギュレータ入力電圧とコモンモード電圧を使用して第2のレギュレータ制御信号を生成する。
【0005】
図面において、それらは必ずしも縮尺通りに描かれておらず、同様の数字は異なる図において類似の構成要素を表すことがある。図面は、概して、例として、しかし限定するものではなく、本明細書で考察される様々な実施形態を説明している。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、差動コントローラの一例を示す概略図である。
【
図2】
図2は、差動コントローラの別の例を示す概略図である。
【
図3-1】
図3A~3Gは、設定電圧VSETの変化および電源電圧の過渡変化に対する
図2の差動コントローラのシミュレーションの応答を例示する一連の時間整列プロットを示す。
【
図3-2】
図3A~3Gは、設定電圧VSETの変化および電源電圧の過渡変化に対する
図2の差動コントローラのシミュレーションの応答を例示する一連の時間整列プロットを示す。
【
図3G】
図3A~3Gは、設定電圧VSETの変化および電源電圧の過渡変化に対する
図2の差動コントローラのシミュレーションの応答を例示する一連の時間整列プロットを示す。
【
図4-1】
図4A~4Gは、ある時間範囲にわたる
図3A~3Gの時間整列プロットを示し、設定電圧VSETの変化に対する
図2の差動コントローラのシミュレーションの応答についてさらなる詳細を例示している。
【
図4-2】
図4A~4Gは、ある時間範囲にわたる
図3A~3Gの時間整列プロットを示し、設定電圧VSETの変化に対する
図2の差動コントローラのシミュレーションの応答についてさらなる詳細を例示している。
【
図4-3】
図4A~4Gは、ある時間範囲にわたる
図3A~3Gの時間整列プロットを示し、設定電圧VSETの変化に対する
図2の差動コントローラのシミュレーションの応答についてさらなる詳細を例示している。
【
図5A】
図5A~5Gは、ある時間範囲にわたる
図3A~3Gの時間整列プロットを示し、設定電圧VSETの変化後の整定に対する
図2の差動コントローラのシミュレーションの応答についてさらに詳細に例示している。
【
図5-2】
図5A~5Gは、ある時間範囲にわたる
図3A~3Gの時間整列プロットを示し、設定電圧VSETの変化後の整定に対する
図2の差動コントローラのシミュレーションの応答についてさらに詳細に例示している。
【
図5-3】
図5A~5Gは、ある時間範囲にわたる
図3A~3Gの時間整列プロットを示し、設定電圧VSETの変化後の整定に対する
図2の差動コントローラのシミュレーションの応答についてさらに詳細に例示している。
【
図6-1】
図6A~6Gは、ある時間範囲にわたる
図3A~3Gの時間整列プロットを示し、電源電圧の変化に対する
図2の差動コントローラのシミュレーションの応答についてさらに詳細に例示している。
【
図6-2】
図6A~6Gは、ある時間範囲にわたる
図3A~3Gの時間整列プロットを示し、電源電圧の変化に対する
図2の差動コントローラのシミュレーションの応答についてさらに詳細に例示している。
【
図6G】
図6A~6Gは、ある時間範囲にわたる
図3A~3Gの時間整列プロットを示し、電源電圧の変化に対する
図2の差動コントローラのシミュレーションの応答についてさらに詳細に例示している。
【
図7】
図7は、制御信号を電圧モードバックコントローラの基準電圧入力に提供するように構成されている
図2の差動コントローラの別の例を示す概略図である。
【
図8】
図8は、電圧制限機能および起動制御を有するように構成されている
図2の差動コントローラの別の例を示す概略図である。
【
図9】
図9は、電圧帰還を有する
図1の差動コントローラの一例を示す概略図である。
【
図10】
図10は、本明細書に記載の差動コントローラを使用してステッピングモータを駆動する例示的な構成を示す概略図である。
【
図11】
図11は、差動コントローラを使用して熱電冷却または加熱デバイス(TEC)を駆動する例示的な構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書に記載の様々な例は、別々の入力を有する第1および第2のレギュレータを含む差動コントローラを対象にしている。多くの既存の差動コントローラでは、第1および第2のレギュレータの出力は相補的である。すなわち、一方のレギュレータへの入力は、他方のレギュレータへの入力の補完あるいは反対である。この構成は、例えば、起動時および電源電圧またはコモンモード電圧が変化する場合に、差動コントローラの動作に不連続性を生じさせる可能性がある。これは、例えば、電源電圧のノイズが多い環境において、および/またはコモンモード電圧を変化させることが望ましい場合には、差動コントローラを制限する。
【0008】
本明細書に記載の差動コントローラは、例えば、別々に生成される別々の入力を有する第1および第2のレギュレータを提供することによって、これらおよび他の課題に少なくとも部分的に対処する。例えば、差動コントローラのそれぞれのレギュレータへの入力は、差動コントローラ出力からの帰還に基づいて別々に生成することができる。例えば、差動コントローラによって生成された負荷電流を表現する負荷電流信号に基づいて第1のレギュレータ入力を生成することができる。第2のレギュレータ入力は、第1のコンバータ入力およびコモンモード電圧に基づいて生成することができる。このようにして、様々なコンバータ出力は、ノイズおよび負荷に関連した不規則性に反応して別々に上下し得る。このように構成されているレギュレータを有する差動コントローラはまた、電源電圧またはコモンモード電圧の変化に対してより連続的に応答し得る。
【0009】
いくつかの例では、第1および第2のコンバータへの入力は、コンデンサ、インダクタなどの能動部品を1つ以上含む補償ネットワークによって関連付けられている。補償ネットワークは、コモンモード電圧の変化に応答して第1のコンバータへの入力を変化させ、また負荷電流に応答して第2のコンバータ入力を変化させ得る。いくつかの例では、補償ネットワークはまた、システムに零点を加えるように構成される。補償ネットワークによって提供される零点は、負荷によってシステムに追加された極を相殺するように位置決めさせることができる。例えば、直流(DC)モータなどの誘導負荷は、システム帯域幅内の周波数にあり得る極を追加する。
【0010】
図1は、差動コントローラ100の一例を示す概略図である。差動コントローラ100は、負荷106を駆動する第1のレギュレータ102と第2のレギュレータ104とを備える。レギュレータ102、104は、例えば、1つ以上のスイッチングレギュレータ、1つ以上のリニアレギュレータなどのような任意の適切な種類のレギュレータであるか、またはそれらを含み得る。例えば、電力消費を低減することが望ましい用途では、レギュレータ102、104は、バックコンバータなどのスイッチングレギュレータを用いて構成され得る。電力消費が設計上の関心事ほど重要ではない用途では、レギュレータ102、104は、例えば1つ以上の増幅器などのリニアレギュレータを用いて実装することができる。
【0011】
図1の例では、レギュレータ102、104は、レギュレータ102、104の出力にそれぞれの出力信号ROUT1、ROUT2を生成する。出力信号ROUT1およびROUT2は、それぞれのレギュレータ102、105の制御入力に提供されるそれぞれの制御信号CIN1、CIN2に依存する。
図1の例では、出力信号ROUT1、ROUT2の電圧は、制御信号CIN1、CIN2に対して位相がずれている(例えば、逆位相)。例えば、制御信号CIN1またはCIN2の電圧の増加は、対応する出力信号ROUT1またはROUT2の電圧の減少をもたらす。同様に、制御信号CIN1またはCIN2の電圧の減少は、対応する出力信号ROUT1またはROUT2の電圧の増加をもたらす。同相制御信号および出力を有する構成もまた企図され、同相制御信号および出力を有する例示的な差動コントローラが
図7および
図8にそれぞれ説明されている。
【0012】
レギュレータ102、104は、出力を制御信号CIN1およびCIN2によって設定された所望の電圧に調整するためにローカル帰還ネットワーク122、124を含み得る。例えば、ローカル帰還ネットワーク122は、第1の制御信号CIN1から第1のレギュレータ出力信号ROUT1へ所望の低周波閉ループ利得を提供するように構成され得る。同様に、ローカル帰還ネットワーク124は、第2の制御信号CIN2から第2のレギュレータ出力信号ROUT1へ所望の低周波閉ループ利得を提供するように構成され得る。レギュレータ102、104のそれぞれの低周波、閉ループ利得は、用途に応じて同じでも異なってもよい。
図1の例では、制御信号CIN1、CIN2は、帰還ネットワーク122、124とは別にレギュレータに提供されている。他の例では、例えば、
図2に例示するように、制御信号はそれぞれのレギュレータの帰還ネットワークに提供されている。
【0013】
負荷106は、第1のレギュレータ出力と第2のレギュレータ出力との間に電気的に連結されている。差動コントローラ100の出力は、負荷106の両端間にあり、
図1の例では、電流センス抵抗126の両端にもある。Ibによって与えられる負荷電流およびVbによって与えられる負荷電圧は、第1のレギュレータ出力信号ROUT1と第2のレギュレータ出力信号ROUT2との間の差に基づく。負荷106は、誘導性、抵抗性、容量性、またはそれらの組み合わせであり得る。いくつかの例では、負荷106は、誘導構成要素および抵抗構成要素を含む電気モータであるかまたはそれを含む。負荷電圧Vbは、第1のレギュレータ出力信号ROUT1および第2のレギュレータ出力信号ROUT2の電圧間の差である(またはそれに関連する)。
【0014】
帰還センサ111は負荷106の状態を感知して帰還信号を生成する。
図1の例では、帰還センサ111は、負荷と直列に設けられた電流センス抵抗106と電流センス増幅器112とを備える電流センサを含む。電流センス増幅器の出力は、この例では、本明細書で説明するように、設定電圧VSETに基づいて負荷電流Ibを調整するための帰還信号として使用される負荷電流信号IMONである。他の例では、差動コントローラは、例えば、以下の
図9に示すように、設定電圧VSETに基づいて負荷電圧Vbを調整するように構成される。
【0015】
具体的に
図1の例を参照すると、電流センス抵抗126が負荷106と直列に設けられているので、電流センス抵抗126を介して降下する電圧は負荷電流Ibに比例する。電流センス増幅器112は、電流センス抵抗126の両端の電圧降下を増幅して負荷電流信号IMONを生成するように構成されている。電流センス抵抗126の両端の電圧降下と同様に、電流信号IMONは、負荷電流Ibに比例する電圧を有する。いくつかの例では、電流センス増幅器112は、ゼロ電流出力が0V以外の電圧になるようにオフセット電圧を含む。
【0016】
負荷電流信号IMONは、トランスコンダクタンス増幅器114(例えば、その非反転入力)に提供される。トランスコンダクタンス増幅器114は、負荷電流信号IMONを、VSETと表記された差動コントローラ100の設定電圧と比較する。設定電圧VSETは、トランスコンダクタンス増幅器114の反転入力に提供され得る。(制御信号CIN1、CIN2が出力信号ROUT1、ROUT2と同相である例では、設定電圧VSETは、
図7および8でそれぞれ説明するように、トランスコンダクタンス増幅器114の非反転入力に提供され得る。)
トランスコンダクタンス増幅器114は、例えば、負荷電流信号IMONと設定電圧VSETとの間の差に応じて、トランスコンダクタンス増幅器114によってソースされるかまたはシンクされる電流を生成する。例えば、IMONがVSETより大きいとき、トランスコンダクタンス増幅器114はその出力に電流をソースする。負荷電流信号IMONがVSETよりも小さいとき、トランスコンダクタンス増幅器114はその出力から電流をシンクする。トランスコンダクタンス増幅器114の出力における電圧VCPは、第1のレギュレータ制御信号CIN1として第1のレギュレータ102に提供される。
図1の例では、電圧VCPは、制御信号CIN1として第1のレギュレータ102に提供される前に、ユニティ利得のバッファ116によって整えられる。このようにして、設定電圧VSETは、負荷電流Ibが設定電圧VSETを追跡するように、差動コントローラ100に入力を提供する。
【0017】
第2のレギュレータ104の制御CIN2は、第1のレギュレータ制御信号CIN1およびコモンモード制御電圧VCMCに基づいて生成される。例えば、反転利得増幅器118は、反転入力で第1のレギュレータ制御信号CIN1を受信し、非反転入力でコモンモード制御電圧VCMCを受信する。コモンモード制御電圧VCMCは、差動コントローラ100の所望のコモンモード出力電圧を設定する信号(例えば電圧)である。いくつかの例では、コモンモード制御電圧VCMCは、レギュレータ制御入力CIN1およびCIN2のコモンモード電圧に等しい。
【0018】
コモンモード出力電圧は、第1のレギュレータ出力信号ROUT1および第2のレギュレータ出力信号ROUT2の平均電圧である。第1のレギュレータ出力信号ROUT1が10Vであり、第2のレギュレータ出力信号ROUT2が2Vである例を考える。差動出力電圧Vbは8V、コモンモード出力電圧は6Vになる。
【0019】
図1の差動コントローラ100では、コモンモード出力電圧はコモンモード制御電圧VCMCによって設定される。図に示されるように、第2のレギュレータ入力CIN2は、コモンモード制御電圧VCMCに加えられる第1のコントローラ入力CIN1の反転から生成される。コモンモード出力電圧が一定のままである実装形態では、コモンモード制御電圧VCMCも一定であってもおよび/または可変であってもよい。
図2に関してより詳細に説明されるいくつかの例では、コモンモード制御電圧VCMCは、電源電圧を追跡するように修正される。これにより、コモンモード出力電圧もまた電源電圧を追跡する。このようにして、差動コントローラ100は、差動コントローラ100の出力に影響を及ぼすことなくコモンモード制御電圧VCMCを修正することによって電源電圧の変化に応答する。
【0020】
図1の例では、差動コントローラ100はまた、トランスコンダクタンス増幅器114の出力電圧VCPをコモンモード制御電圧VCMCに連結する補償ネットワーク120を含む。
図1の例では、補償ネットワーク120は、トランスコンダクタンス増幅器114の出力電圧VCPとコモンモード制御電圧VCMCとの間に位置決めされている。いくつかの例では、補償ネットワーク120は、2つの極と1つの零点を有するタイプ2補償ネットワークである。本明細書に記載のように、補償ネットワーク120は、負荷106の帯域内極を相殺するように零点を位置決めするように構成され得る。2つの極については、低周波極がシステムループの支配極を設定する。高周波極は、意図したシステムループ帯域幅の外側に位置決めされる。補償ネットワーク120は、必ずしもタイプ2補償ネットワークとは限らない。例えば、補償ネットワーク120は、タイプ1補償ネットワークまたは他の適切な補償ネットワークであってもよい。例えば、補償ネットワーク120をタイプ1補償として構成することは、負荷が抵抗性である例において有用であり得る。
【0021】
起動時に、負荷電流は最初ゼロになり、負荷電流信号IMONを設定電圧VSETよりも低く駆動する。トランスコンダクタンス増幅器114は、負荷電流を増加させるために第1のコンバータ出力信号ROUT1の電圧をより高く調整する第1のコンバータ制御信号CIN1を提供しながら電流をシンクする。第2のコンバータ制御信号CIN2は、負荷電流を増加させるために第2のコンバータ出力信号ROUT2の電圧をより低く調整するように増幅器118によって設定される。
【0022】
図2は、差動コントローラ200の別の例を示す概略図である。この例では、差動コントローラ200のレギュレータは2つの電圧モードバックコンバータ202、204を含む。バックコンバータ202は、第1のコンバータ制御信号V1を受信し、第1のコンバータ出力電圧V3を生成する。バックコンバータ204は、第2のコンバータ制御信号V2を受信し、第2のコンバータ出力電圧V4を生成する。差動コントローラ200の差動出力電圧Vbは、負荷206および電流センス抵抗RSNSにわたって現れる。
図2の例では、負荷206は、等価直列抵抗ESRおよび負荷インダクタンスLloadを含む。例えば、負荷206は、DC電気モータであるか、またはそれを含み得る。
【0023】
バックコンバータ202は、電源電圧VSとグランドとの間に直列に接続されたハイサイドデバイスM1およびローサイドデバイスM2を備える電力段230を含む。ハイおよびローサイドデバイスの両方に共通の端子SW1はインダクタL1に接続されている。インダクタL1はまた、バックコンバータ202の出力フィルタを形成するために出力コンデンサC2に接続されている。第1のコンバータ出力信号V3は出力コンデンサC2の両端に現れる。ハイサイドデバイスM1およびローサイドデバイスM2は、デバイスM1、M2の状態に応じて、スイッチノードSW1から電源電圧VSへあるいはグランドへ低インピーダンス経路を提供するスイッチとして作動する。ハイサイドデバイスM1およびローサイドデバイスM2は、例えば電界効果トランジスタ(FET)、バイポーラ接合トランジスタ(BJT)などのような任意の適切なスイッチングデバイスであり得、またはそれらを含み得る。
【0024】
デバイスM1、M2の状態は、バックドライバ238と組み合わせた電圧モードバックコントローラ234によって制御される。例えば、マサチューセッツ州ノーウッドのアナログ・デバイセズ社から入手可能なLTC3861‐1製品を含む、任意の適切な電圧モードバックコントローラが使用され得る。電圧モードバックコンバータ234は、入力として基準電圧REF1および帰還電圧FB1を受信し、出力としてパルス幅変調(PWM)制御信号PWM1を生成する。制御信号PWM1はドライバ238に提供され、ドライバ238は、ハイおよびローサイドデバイスM1、M2に提供される対応するスイッチング信号Tg1、Bg1を生成する。例えば、マサチューセッツ州ノーウッドのアナログ・デバイセズ社から入手可能なLTC4449製品を含む任意の適切なドライバが使用され得る。これは、バックコンバータ202のための制御構成の一例にすぎない。例えばシングルチップソリューションを含めて、デバイスM1、M2を駆動するための他の構成が使用されてもよい。
【0025】
図2の例では、基準電圧REF1は、例えば電源電圧VSおよび/または内部基準電圧から導出し得る電圧源VR1によって駆動される。
図2の例では、バックコンバータ202用の帰還電圧FB1は、タイプ3補償ネットワーク242を含むコンバータ帰還経路によって提供される。タイプ3補償ネットワークは、抵抗R12、R11、RFB1a、RFB1bおよびコンデンサC11、C12、C13を含む。補償ネットワーク242は、LCからの2つの極を相殺するために、インダクタL1およびコンデンサC2のLCタンクのあたりに2つの零点を生み出す。これにより、バックコンバータ202がより良好な位相マージンで動作することが可能になる。いくつかの例では、他の種類の補償ネットワークを使用し得る。例えば、
図2に示すタイプ3ネットワークの代わりに、タイプ2補償を使用して、帰還電圧FB1をバックコントローラ234に提供してもよい。
【0026】
バックコンバータ204は、バックコンバータ202と同様の様態で構成されている。例えば、バックコンバータ204は、ハイサイドデバイスM3とローサイドデバイスM4とを含む電力段232を備える。デバイスM3およびM4の両方に共通の端子SW2は、バックコンバータ204のインダクタL2およびコンデンサC3に連結されている。電圧モードバックコントローラ236は、パルス幅変調出力信号PWM2を生成する。ドライバ240は、出力信号PWM2をデバイスM3、M4のための適切なスイッチング信号Tg2、Bg2に変換する。電圧モードバックコントローラ236はまた、電圧源VR2によって駆動される基準電圧REF2と、タイプ3補償ネットワーク244を介して提供される帰還電圧FB2とを受信する。補償ネットワーク244は、抵抗R21、R22、RFB2a、RFB2b、およびコンデンサC21、C22、C23を含む。
【0027】
図2の構成では、コンバータ出力信号V3およびV4は、それぞれの補償ネットワーク242、244の基部でそれぞれの制御信号V1およびV2によって制御される。例えば、定常状態では、バックコンバータ202、204の帰還電圧FB1、FB2はそれぞれの基準電圧REF1、REF2に等しい。バックコンバータ202、204の低周波閉ループ利得は、それぞれの帰還抵抗の比によって決定される。例えば、バックコンバータ202の低周波閉ループ利得は、以下の式[1]によって与えられる。
【0028】
【0029】
同様に、バックコンバータ204の低周波閉ループ利得は、以下の式[2]によって与えられる。
【0030】
【0031】
この例において、バックコンバータ202、204に対する閉ループ利得の‐3dB周波数は、fUG/AO_BUCKにほぼ等しく、ここでfUGは閉ループ利得のユニティ利得周波数であり、AO_BUCKは低周波閉ループ利得である。いくつかの例では、2つのバックコンバータ202、204は同じ過渡応答を有するように構成される。これは、(i)等しい抵抗RFB1aおよびRFB2aを使用する、(ii)等しい抵抗RFB1bおよびRFB2bを使用する、(iii)基準電圧REF1およびREF2を互いに等しく設定することによって達成し得る。
【0032】
図2において、電流センサは、電流センス抵抗RSNSと電流センス増幅器A1とを含む。電流センス抵抗RSNSは、電流センス抵抗RSNSの電流が負荷電流と等しくなるように負荷206と直列に接続されている。電流センス増幅器A1は、電流センス抵抗RSNSの両端に接続されている。したがって、電流センス増幅器A1の出力における負荷電流信号IMONは、電流センス抵抗RSNSの両端の電圧降下に比例し、かつ負荷電流に比例する。いくつかの例では、電流センス増幅器A1はDCオフセットを持たせて構成される。電流センス増幅器A1は任意の適切な利得を有し得る。いくつかの例では、電流センス増幅器A1の利得A
0_IMONは、負荷電流信号IMONが最大予想負荷電流で電流センス増幅器A1を飽和させないように選択される。
【0033】
負荷電圧Vbから負荷電流信号IMONまでの低周波電圧利得は、以下の式[3]によって与えられ得る。
【0034】
【0035】
式[3]によって示されるように、負荷Lloadのインダクタンスは低周波極を追加する。低周波極位置pLoad(負荷極周波数)は、負荷インダクタンスLload、直列抵抗RSNSおよびESRに関連し、以下の式[4]で与えられる。
【0036】
【0037】
様々な例において、この極の比較的低い周波数は、それがシステム帯域幅内にあることを引き起こし得る。極がシステム帯域幅内にあるとき、補償がないと、差動コントローラ200内で不安定になる可能性がある。いくつかの例では、負荷インダクタンスLloadによって追加された極は、本明細書に記載のように、補償ネットワーク246によって相殺される。電流センス増幅器A1もまた、少なくとも1つの極を有し得る。しかしながら、様々な例において、電流センス増幅器A1は、その極または複数の極をシステム帯域幅の外側に位置決めするように選択される。したがって、電流センス増幅器A1の1つの極または複数の極は、差動コントローラ200に大きな影響を有し得ない。
【0038】
負荷電流信号IMONはトランスコンダクタンス増幅器GM1に提供され、トランスコンダクタンス増幅器GM1は設定電圧VSETも受信する。この例では、VSETは電圧源VR4によって駆動される。差動コントローラ200がDCモータを駆動する例では、設定電圧VSETは、マイクロコントローラまたは他のシステム構成要素によって提供され得、モータの所望の速度に比例し得る。
【0039】
トランスコンダクタンス増幅器GM1は、設定電圧VSETと負荷電流信号IMONとの間の差に比例する出力電流を作り出す。この構成では、負荷電流信号IMONはトランスコンダクタンス増幅器GM1の非反転入力に提供され、設定電圧VSETはトランスコンダクタンス増幅器GM1の反転入力に提供される。トランスコンダクタンス増幅器GM1は、負荷電流信号IMONと設定電圧VSETとの間の比較に応じて電流をシンクまたはソースする。
【0040】
補償ネットワーク246が、トランスコンダクタンス増幅器GM1の出力とコモンモード制御電圧VCMCとの間に接続されている。トランスコンダクタンス増幅器GM1の出力における電圧VCPは、トランスコンダクタンス増幅器GM1および補償ネットワークによってシンクまたはソースされる電流に依存し得る。コモンモード制御電圧VCMCが一定であるとき、負荷電流信号IMONから電圧VCPまでの小信号利得は以下の式[5]によって与えられる。
【0041】
【0042】
式[5]において、gm1はトランスコンダクタンス増幅器GM1のトランスコンダクタンスであり、roはトランスコンダクタンス増幅器GM1の小信号出力インピーダンスである。抵抗Rz並びにコンデンサCcおよびCc2は補償ネットワーク246の一部である。式[5]は、1つの零点と2つの極を有しており、補償ネットワーク246がタイプ2補償ネットワークであることを示している。
【0043】
差動コントローラ200のループ利得は、以下の式[6a]および[6b]によって与えられるように、システムのループの周りの利得を考慮することによって見つけることができる。
【0044】
【0045】
式[6a]および[6b]は、差動コントローラ200が3つの極と1つの零点を有することを示している。零点は、以下の式[7]によって与えられる周波数fz1に位置する。
【0046】
【0047】
補償ネットワーク246の抵抗RzおよびコンデンサCcの値は、負荷インダクタンスに関連付けられた極の周波数でシステム零点を置くように選択され得る(上記の式[4])。これにより、例示の差動コントローラ200には2つの極が残る。支配極は、コンデンサCcおよびトランスコンダクタンス増幅器GM1の小信号出力インピーダンスroに関連付けられている。二次極は、抵抗RzおよびコンデンサC2に関連付けられている。
【0048】
バックコンバータ202、204の閉ループ‐3db周波数は、差動コントローラ200のシステムクロスオーバー周波数を超えてもよく、二次極周波数より大きくてもよい。いくつかの例では、差動コントローラ200が45度を超える位相マージンを有することになる場合、二次極の位置は、ユニティ利得周波数またはそれより大きい周波数に置かれ得る。差動コントローラ200が単極ロールオフを有するとき、システムループユニティ利得周波数は、DCループ利得に支配極の周波数を掛けたものに等しく、以下の式[8]によって与えられる。
【0049】
【0050】
差動コントローラ200は、それぞれ制御信号V1、V2を生成する増幅器A3、A4を含む。増幅器A3は、制御信号V1が電圧VCPに等しくなるように、ユニティ利得バッファとして構成され得る。増幅器A4は、‐Ry/Rxに等しい閉ループ利得を有する反転増幅器として構成され得る。制御信号V1とV2との間の電圧差は、VCPとVCMCとの間の電圧差に依存し、次式によって与えられる。
【0051】
【0052】
増幅器A4の利得が1である場合(例えば、Ry=Rx)、制御信号V1およびV2のコモンモード電圧はコモンモード制御電圧VCMCに等しい。制御信号V1の電圧がコモンモード制御電圧VCMCより高いとき、V2は同じ量だけVCMCより低い。抵抗Ryと抵抗Rxの値が等しいとき、VCPの変化はV1およびV2の差動電圧を変えるが、制御信号V1およびV2のコモンモード電圧は同じままでVCMCに等しい。この特別な条件は、コントローラが、差動およびコモンモード出力電圧にわたって独立した制御を有することを可能にする。いくつかの例では、抵抗RyおよびRxの値は異なってもよい。RyがRxに等しくないとき、制御信号V1およびV2のコモンモード電圧はVCP電圧と共に変化する。増幅器A3およびA4は、A3およびA4によって導入される任意の極がシステム帯域幅を超えるように構成されてもよく、したがって、増幅器A3およびA4は、システムループに大きな影響を有し得ない。
【0053】
差動コントローラ200の負荷電流は、負荷電流信号IMONと設定電圧VSETを等しくなるように駆動する負帰還を用いて設定電圧VSETを追跡する。例えば、トランスコンダクタンス増幅器GM1は、トランスコンダクタンス増幅器GM1の出力で電流をシンクまたはソースすることによって負帰還を通して負荷電流信号IMONと設定電圧VSETとを等しく駆動する。
【0054】
この構成では、負荷電流信号IMONが設定電圧VSETよりも高いとき、トランスコンダクタンス増幅器GM1は電流をソースし、それが電圧VCPを増加させる。VCPが上昇するとき、第1のコンバータ制御信号V1が増加し、同時に第2のコンバータ制御信号V2が減少する。式[3]および式[4]から、制御信号V1およびV2が増加すると、コンバータ出力信号V3およびV4は減少する。したがって、制御信号V1の増加および制御信号V2の減少は、コンバータ出力電圧V3を下降させ、コンバータ出力電圧V4を上昇させる。これにより出力電圧Vbが低下し、それによって負荷電流が減少し、電流センス抵抗RSNSの両端の電圧降下の減少に至る。これは、負荷電流信号IMONと設定電圧VSETが等しくなるまで負荷電流信号IMONを下降させる。
【0055】
この構成例では、ゼロ電流レベルより高い負荷電流信号IMONは、負荷電流がV3からV4に流れていることを表し、ゼロ電流レベルより低い負荷電流信号IMONは、負荷電流がV4からV3に流れていることを表し得る。(ゼロ電流レベルは、負荷電流がゼロのときに生じるIMONレベル(例えば、電圧)である。これは、ゼロボルトであり得、または増幅器A1がオフセットを有する場合、異なる値であり得る。)負荷電流信号IMONがゼロ電流レベルにあるとき、負荷電流はゼロであり、コンバータ出力信号V3およびV4の定常状態電圧は等しく、コモンモード出力電圧にある。コンバータ出力信号V3およびV4の電圧が同じである場合、制御信号V1、V2は同じであり、これは電圧VCPがコモンモード制御電圧VCMCに等しいことを意味する。
【0056】
いくつかの例では、図のように、オプションのクランプダイオード248がVCPとVCMCとの間に連結されて、VCPとVCMCとの間の差を1ダイオード未満、例えば0.7Vに制限する。クランプダイオード248が存在する場合、それはVCPとVCMCとの間の最大差動電圧を制限し得る。これはまた、バックコンバータ202、204の最大差動出力をクランプする。バックコンバータ202、204の最大差動出力をクランプすることは、バックコンバータ202、204が電源電圧VSのレールにぶつかるのを防ぎ得る。電源電圧VSにぶつかると、バックコンバータ202、204を開ループで実行し、LCタンク周波数でリンギングさせ得る。
図2はダイオードを使用した特定のクランプ回路を示しているが、他のクランプ回路を使用することもできる。例えば、クランプ回路は、2つの直列ダイオードを使用してVCPおよびVCMCを2ダイオード電圧未満にクランプするなどの他の方法で実装することができる。
【0057】
設定電圧VSETがゼロ電流負荷電流信号IMONより上にバイアスされるとき、定常状態負荷電流は正方向に流れている。負荷電流は、第1のバックコンバータ202によってソースされ、第2のバックコンバータ204によってシンクされる。それに応じて、第1のコンバータ出力電圧V3は第2のコンバータ出力電圧V4より大きい。
図2の構成では、これは、第1のコンバータ制御信号V1が第2のコンバータ制御信号V2よりも低いことを意味する(上記の式[3]と[4]を参照)。それに応じて、トランスコンダクタンス増幅器の出力電圧VCPは、コモンモード制御電圧VCMCよりも低い。定常状態では、トランスコンダクタンス増幅器GM1はゼロアンペアを出力し、コンデンサCcおよびCc2にわたる電圧降下はVCPとVCMCとの間の差に等しい。
【0058】
コモンモード出力電圧は一定値に設定されてもよいが、いくつかの例では、コモンモード出力電圧は可変である。
図2の例示的差動コントローラ200では、コモンモード出力電圧は、コモンモード増幅器A2によって駆動されるVCMC電圧に依存する。増幅器A2は反転ゲイン増幅器として構成されており、その出力は電源電圧VSによって変化する。この例では、電源電圧VSが増加するとき、VCMCは減少する。VCPは補償ネットワーク246を介してVCMCに連結されているので、VCMCが減少すると、VCPも減少する。トランスコンダクタンス増幅器GM1は、VCPがVCMCと共に自由に動くことを可能にするために高い出力インピーダンスを有するように選択され得る。システムが定常状態にあり、入力電圧がより高いレベルに変化すると仮定してみよう。理想的には、コンバータ出力信号V3とV4は、負荷電流が変化しないように保つために同じ差動出力電圧を維持しながら新しいコモンモード出力電圧に移動する必要がある。コントローラの出力電圧Vbが過渡期間を通して同じに保たれるべきである場合、制御信号V1とV2の間の電圧差は過渡期間を通して同じままであり、それはVCPとVCMCとの間の電圧差は変化しないことを意味する。コモンモード出力電圧が新しい値に遷移すると、VCPとVCMCの両方の電圧が同じ量だけ一緒に下がる。式[9]によれば、VCMCは変化するが電圧差VCP‐VCMCが変化しない場合、電圧差V1‐V2は変化しないままである。本明細書に記載のように、これは、電源電圧の過渡変化および電源電圧VSに対する他の変化に応じて差動コントローラ200をより堅牢にする。
【0059】
コモンモード増幅器A2は、電源電圧VSと電圧源VR3によって駆動されるコモンモード基準電圧REF3からコモンモード制御電圧VCMCを生成する。コモンモード増幅器A2の利得は、抵抗RCM1およびRCM2によって決定され、以下の式[10]によって与えられる。
【0060】
【0061】
この構成では、コモンモード制御電圧VCMCは、電源電圧VSが変化するにつれて差動コントローラ200の動作中に変化する。いくつかの例では、コモンモード出力電圧は、負荷にわたる差動出力電圧範囲を最大にするために電源電圧VSの半分に位置決めされ得る。
【0062】
これは、式[1]のV3にVS/2を、V1にVCMCを代入することによってなされ得る。VS/2でのコモンモード出力電圧に対する抵抗比RCM2/RCM1と基準電圧REF3は、以下の式[11]と[12]によって与えられる。
【0063】
【0064】
【0065】
図に示されるように、電源電圧VSの増加は、コモンモード制御電圧VCMCを減少させ、それはコンバータ出力信号V3およびV4を上昇させる。
【0066】
図2におけるVCPとVCMCとの間の補償ネットワークは、コモンモード出力電圧が変化したときに差動コントローラがより良好な過渡応答を有することを可能にする。差動コントローラ200が定常状態にあり、電源の過渡変化が電源電圧VSをより高いレベルに変化させる例を考えてみよう。差動コントローラ200は、同じ差動出力電圧Vbを維持しながら、新しいコモンモード出力電圧に移動することによって応答し得る。電源電圧VSが上昇するとき、コモンモード増幅器A2はコモンモード制御電圧VCMCを低下させる。トランスコンダクタンス増幅器の出力電圧VCPは、補償ネットワーク246を介してコモンモード制御電圧VCMCに連結されるので、VCPはVCMCの減少に等しい量だけ下がる。VCPとVCMCとの間の連結は、トランスコンダクタンス増幅器GM1がVCPを駆動することなく、VCPが新しい位置に遷移することを可能にし得る。
【0067】
コモンモード制御電圧VCMCおよびトランスコンダクタンス出力電圧VCPの相補的な減少は、電源電圧VSの増加に比例した量だけ制御信号V1、V2を低下させる。VCMCとVCPは同じ量だけ減少するので、制御信号V1とV2の間の差は一定のままである。したがって、コンバータ出力信号V3、V4は両方とも上昇するが、コンバータ出力信号V3、V4間の差(例えば、差動出力電圧Vb)は同じままである。
【0068】
図2の差動コントローラ200は、マサチューセッツ州ノーウッドのアナログ・デバイセズ社から入手可能なシミュレータLTSpiceを使用してシミュレートされた。シミュレータにおいて、トランスコンダクタンス増幅器GM1は、マサチューセッツ州ノーウッドのアナログ・デバイセズ社から入手可能なLT1228製品を利用して実装された。トランスコンダクタンス増幅器GM1のトランスコンダクタンスは、適切な分圧器およびダイオード回路を使用して500uSに設定された。2つの電圧モードバックコントローラ234、236は、マサチューセッツ州ノーウッドのアナログ・デバイセズ社から入手可能なLTC3861‐1製品の一例を用いてシミュレートされた。LTC3861-1製品は2チャネルのPWM出力を提供する。それぞれの基準電圧REF1、REF2は、LTC3861-1製品の固定0.6V内部基準によって提供された。LTC3861-1のPWM出力は、PWM1およびPWM2信号をバックドライバ238、240に提供する。バックドライバ238、240は、マサチューセッツ州、ノーウッドのアナログ・デバイセズ社から入手可能なLTC4449NチャネルMOSFETドライバ製品を使用してシミュレートされた。負荷206は、ESRを表す2Ωの抵抗と直列の、Lloadを表す10mHのインダクタによってモデル化された。
【0069】
電流センス抵抗RSNSは15mΩとしてモデル化された。電流センス増幅器A1は、両方ともマサチューセッツ州、ノーウッドのアナログ・デバイセズ社から入手可能な、LTC6104電流センス増幅器製品とLT1004-2.5電圧基準製品を用いてシミュレートされた。LTC6104は、電流センス抵抗RSNSの両端の電圧に比例する出力電流を生成する。LT1004は、ゼロ負荷電流IMON電圧を提供するためのシャントレギュレータを形成した2.5Vツェナーダイオードを内蔵する。シミュレートした例では、電流センス抵抗RSNSの両端の電圧からの利得は、約36.6V/Vでシミュレートされた。増幅器A2、A3、およびA4は、マサチューセッツ州、ノーウッドのアナログ・デバイセズ社から入手可能な製品LT1802を使用してシミュレートされた。
【0070】
図3A~3Gは、設定電圧VSETの変化および電源電圧VSの過渡変化に対する、上述の差動コントローラ200のシミュレーションの応答を例示する一連の時間整列プロット302、304、306、308、310、312、314を示す。プロット302(
図3A)は、第1のバックコンバータ202のインダクタL1の電流(曲線316)についての電流対時間、および第2のバックコンバータ204のインダクタL2の電流(曲線318)についての電流対時間を示す。プロット304(
図3B)は、電源電圧VSについての電圧対時間を示す(曲線320)。プロット306(
図3C)は、負荷電流についての電流対時間を示す(曲線322)。プロット308(
図3D)は、トランスコンダクタンス増幅器出力電圧VCP(曲線324)およびコモンモード制御電圧VCMC(曲線326)についての電圧対時間を示す。プロット310(
図3E)は、コモンモード制御電圧VCMC(曲線326)、第1のコンバータ制御信号V1(曲線328)、および第2のコンバータ制御信号(曲線330)についての電圧対時間を示す。プロット312(
図3F)は、設定電圧VSET(曲線332)および負荷電流信号IMON(曲線334)についての電圧対時間を示す。プロット314(
図3G)は、第1のコンバータ出力V3(曲線336)および第2のコンバータ出力V4(曲線338)についての電圧対時間を示す。
【0071】
設定電圧VSETの変化は約580usで発生する。
図4は、ある時間範囲にわたる
図3A~3Gの時間整列プロット302、304、306、308、310、312、314を示し、設定電圧VSETの変化に対する上述の差動コントローラ200のシミュレーションの応答についてさらに詳細を例示している。プロット302は、
図4Aに示されている。プロット304は、
図4Bに示されている。プロット306は、
図4Cに示されている。プロット308は、
図4Dに示されている。プロット310は、
図4Eに示されている。プロット312は、
図4Fに示されている。プロット314は、
図4Gに示されている。
【0072】
約580usで、負荷電流(プロット306の曲線322)は約56mAに落ち着いており、負荷電流信号IMON(プロット312の曲線334)は設定電圧VSET(プロット312の曲線332)に等しくなるように調整されている。約600usで、設定電圧VSETが2.5Vから3.06Vに遷移し、より高い負荷電流を命令している。これは、設定電圧VSETと負荷電流信号IMONとの間に分岐をもたらす。それに応じて、トランスコンダクタンス増幅器GM1は、その出力電圧VCPを下げて負荷206の両端の電圧を増加させる。トランスコンダクタンス出力電圧VCPがコモンモード制御電圧VCMCの1ダイオード下にクランプされる例では、VCMCの変化(プロット308およびプロット310の曲線326)、第1のコンバータ入力V1(プロット310の曲線328)および第2のコンバータ入力V2(プロット310の曲線328)は、設定電圧VSETの変化に間に合うように発生する。コンバータV3(プロット314の曲線336)およびV4(プロット314の曲線338)の出力は、制御信号V1およびV2の変化に応答してより遅い速度で立ち上がる。第1のコンバータ出力V3は11.9Vに落ち着き、第2のコンバータ出力は3.1Vに落ち着く。ここで、コモンモード出力電圧は7.5Vで、電源電圧15Vの半分である。負荷電流(プロット306の曲線322)も同様に立ち上がる。
【0073】
約1.95msまでに、負荷電流は調整レベルまで立ち上がり、負荷電流信号IMONは設定電圧VSETに近づく。これは、
図5A~5Gにさらに詳細に示されており、それは
図3A~3Gの時間整列プロット302、304、306、308、310、312、314をある時間範囲にわたって示し、設定電圧VSETの変化後の整定における差動コントローラ200のシミュレーションの応答についてさらに詳細を例示している。プロット302は、
図5Aに示されている。プロット304は、
図5Bに示されている。プロット306は、
図5Cに示されている。プロット308は、
図5Dに示されている。プロット310は、
図5Eに示されている。プロット312は、
図5Fに示されている。プロット314は、
図5Gに示されている。
【0074】
図に示すように、IMONとVSETとの間の差が小さくなり、VCPの増加によって差動出力電圧を減少させている。VCPが上昇するにつれて、制御信号V1とV2が一緒になり、コンバータ出力V3、V4間の差も小さくなる。支配極は負荷インダクタによって設定され、コントローラは負荷電流信号(MON)に応答してはるかに速く動作しているため、負荷電流はオーバーシュートすることなく新しいレベルに落ち着く。
【0075】
約2.3msで、電源電圧の過渡変化により、電源電圧VINを15Vから24Vに変化させる。
図6は、ある時間範囲にわたる
図3の時間整列プロット302、304、306、308、310、312、314を示し、電源電圧VINの変化に対する上述の差動コントローラ200のシミュレーションの応答についてさらに詳細を例示している。コモンモード増幅器A2は、電源電圧VINの変化に応じてコモンモード制御電圧VCMCを下げる。VCMCが減少すると、それは補償ネットワーク246を介してVCPを引き下げる。VCMCとVCPとの間のこの連結は、差動出力電圧Vbを維持しながらコモンモード出力電圧を変化させるのを可能にする。VCMCとVCPの下方変化に応答して、コンバータ出力V3、V4は一緒に上昇して12Vの新しいコモンモード出力電圧になり、それは新しい電源電圧を2で割った値である。
【0076】
シミュレートした実装において、トランスコンダクタンス増幅器GM1は、適切な制御電圧VCP、VCM、V1、V2を提供するために負の電源レールを利用している。バックコンバータ202、204の基準電圧REF1、REF2が0.6Vでシミュレートされ、かつ、シミュレートされるとき、バックコンバータ202、204の閉ループ利得は、制御信号V1、V2がグランドにある時とき、コンバータ出力V3、V4を正の電源レールに到達させるのに十分高くなかったので、負の電源レールが使用された。入力電圧がより低い場合、またはより高い内部基準がREF1、REF2に使用される場合、コンバータの出力V3、V4は、グランドより上の制御信号V1、V2を使って正の電源レールとすることができる。また、いくつかの例では、より高い閉ループ利得は負の電源レールを不要にするかもしれない、しかしながら、閉ループ利得が高いと、-3dB周波数も低くなり、それは、同じ位相マージンに対してシステム帯域幅を低減する。
【0077】
図7は、電圧モードバックコントローラ234、236の基準電圧入力ピンREF1、REF2に制御信号V1およびV2を提供するように構成されている
図2の差動コントローラ200の別の例を示す概略図である。したがって、V1を提供する増幅器A3の出力は、電圧モードバックコントローラ234への第1の基準入力に直接接続されている。同様に、V2を提供する増幅器A4の出力は、電圧モードバックコントローラ236に直接提供されている。この例では、バックコンバータ202’、204’は、グランドに接続された補償ネットワーク242’、244’と共に構成されている。バック基準電圧入力ピンREF1、REF2は、それぞれ増幅器A3、A4によって駆動されて、制御信号V1、V2を提供する。
【0078】
制御信号V1、V2が、基準電圧入力ピンREF1、REF2に提供されている場合、制御信号V1、V2とコンバータ出力V3、V4とは同相である。すなわち、コンバータ入力V1、V2の増加は、対応するコンバータ出力V3、V4の増加を引き起こす。同様に、コンバータ入力V1、V2の減少は、対応するコンバータ出力V3、V4の減少を引き起こす。このため、トランスコンダクタンス増幅器GM1の接続は、
図2に対して反転している。例えば、負荷電流信号IMONは非反転入力に提供され、設定電圧VSETは反転入力に提供される。いくつかの例では、GM1の入力を反転する代わりに、他の変更がループを閉じるためになされてもよい。例えば、REF1およびREF2入力ピンにおける信号は、それぞれA4およびA3によって提供されてもよい。代わりに、増幅器A1への入力は、
図2および
図7に示されるものに対して交換されてもよい。
【0079】
図2に対する変更は、コモンモード増幅器A2にも加えられている。図に示されるように、A2は、ユニティ利得構成で提供されている。抵抗RCM1およびRCM2は、電源電圧VSとグランドとの間に接続されている。これは、RCM1とRCM2の比に基づいてコモンモード制御電圧VCMCが電源電圧VSに比例するように、分圧器を提供する。この構成例では、電源電圧VINが上昇すると、コモンモード制御電圧VCMCも上昇し、それは制御信号V1、V2およびコンバータ出力V3、V4もまた増加させる。
【0080】
コンバータ入力V1からV3への第1のバックコンバータ202’の低周波閉ループ利得は、以下の式[13]によって与えられる。
【0081】
【0082】
同様に、第2のバックコンバータ204’の低周波閉ループ利得は、以下の式[14]によって与えられる。
【0083】
【0084】
いくつかの例では、この様態でバックコンバータ202’、204’の基準電圧を制御すると、信号VCP、VCMC、V1、およびV2の電圧は、ゼロボルトに留まるか、あるいはゼロボルトより大きくなり、それは差動コントローラ200が負電源なしで動作することを可能にし得る。
【0085】
図8は、電圧制限機能および起動制御を有するように構成されている
図2の差動コントローラ200の別の例を示す概略図である。
図8の例では、差動コントローラ200は、
図7に関して説明したように、コンバータ基準入力ピンREF1、REF2に提供される制御信号V1、V2を用いて実装されているが、
図8に関して説明される電圧制限および起動制御機能はまた、
図2に示される構成のような代替の構成でも実装することができる。
【0086】
図8の例は、上述のように、電圧VCPおよび/または電圧V1をクランプするダイオードクランプ回路250を含む。図に示されるように、コモンモード増幅器A2(
図7)に関連付けられた分圧器の抵抗RCM2は、2つの抵抗RCM2aおよびRCM2bに置き換えられている。両方の抵抗RCM2a、RCM2bに共通の端子は、ユニティ利得バッファとして構成されている増幅器A5に接続されている。増幅器A5は正の制限電圧VLIMPを生成する。増幅器A5の出力、VLIMP、は、ダイオードD2のカソードおよび抵抗Raを駆動する。増幅器A6、抵抗Ra、および抵抗Rbは、負の制限電圧VLIMNを生成する反転オペアンプを形成する。A6の出力、VLIMN、は、ダイオードD1のアノードに接続する。D2のアノードおよびD1のカソードは一緒に結ばれ、トランスコンダクタンスアンプの出力VCPに接続される。抵抗RaおよびRbは、反転オペアンプA6の利得が1になるように値が等しくてもよい。電圧VLIMPは、コモンモード制御電圧VCMCより高くてもよく、電圧差は電源電圧VSに比例し得る。電圧VLIMNは、コモンモード制御電圧VCMCからVLIMPとVCMCとの間の電圧差を引いたものに等しくてよい。
【0087】
VSが増加すると、VLIMPも増加し、VLIMPとVLIMNの差が増加する。トランスコンダクタンスアンプGM1が電流をソースし、電圧VCPがVLIMPとダイオードを足したものを超えようとすると、D2がオンになり、VCPがそれ以上増加しないようにクランプする。トランスコンダクタンスアンプGM1が電流をシンクし、電圧VCPがVLIMNからダイオード降下分を引いた値を下回ろうとすると、ダイオードD1がオンになり、VCPがそれ以上下がらないようにクランプする。この構成では、システムの最大差動出力電圧は、電源電圧VSに比例するようにクランプされる。
【0088】
いくつかの例では、ダイオードD1およびD2は、VCPではなく制御信号V1に接続され得る。例えば、ダイオードD1のカソードとダイオードD2のアノードは、VCPではなくコンバータ入力V1に接続され得る。この構成では、増幅器A3は、増幅器A5およびA6よりも弱い駆動力で構成され、それによりD1またはD2のいずれかがオンになったときに増幅器A5およびA6がV1を制御するようにし得る。例えば、A3の出力電流能力は制限されてもよく、それによりD1またはD2のどちらかがオンになると、アンプA5およびA6とがA3を支配し、V1を制御する。
【0089】
また、
図8の例では、ソフトスタートスイッチM5が補償ネットワーク246’に追加されてシステムの起動およびシャットダウン方法を制御する。ソフトスタートスイッチM5は、電界効果トランジスタ(FET)でも、バイポーラ接合トランジスタ(BJT)でも、任意の他の適切なスイッチングデバイスでもよい。システム起動中、コンバータ出力電圧V3およびV4は0Vである。ソフトスタート制御信号はM5を閉位置に命令し、VCPをVCMCに短絡する。VCPがVCMCに短絡されると、V1とV2との間の電圧差は0Vであり、システム出力(Vb)はゼロボルトである。コンバータ出力V3、V4は、起動中VCMCの電圧によって決められるコモンモード出力電圧まで一緒に上昇し得る。コンバータ出力V3、V4がVCMCによって設定された所望のコモンモード出力電圧に達すると、ソフトスタート制御信号はソフトスタートスイッチM5を開位置に命令する。ソフトスタートスイッチM5が開位置にあるとき、トランスコンダクタンス増幅器GM1はその出力電圧VCPの制御を取り戻す。シャットダウン中は、このシーケンスが逆に起こり得る。例えば、ソフトスタート命令信号はソフトスタートスイッチM5を閉位置に命令し、差動出力電圧Vbをゼロにする。その後、両方のコンバータ出力V3、V4はコモンモード出力電圧からグランドに立ち下がる。
【0090】
図9は、電圧帰還を有する
図1の差動コントローラ100の一例を示す概略図である。
図9の構成では、帰還センサ111は電圧センサ130を備える。電圧センサ130は、負荷電圧Vbに比例する負荷電圧信号を生成する。例えば、負荷電圧信号は負荷電圧Vb以下であり得る。電流センスアンプ112は、負荷電圧Vbに比例する負荷電圧信号VMONを生成する電圧センスアンプ132と置き換えられている。負荷電圧信号VMONはトランスコンダクタンス増幅器114に提供され、トランスコンダクタンス増幅器114は、
図1に関して上述したようにVCPを生成するように動作する。このようにして、設定電圧VSETは、出力電圧VbをVSETによって指示される値に駆動するレギュレータ制御信号CIN1、CIN2の値を選択するために使用される。
【0091】
図10は、ステッピングモータを1002駆動するために本明細書に記載の差動コントローラを使用する例示的な構成1000を示す概略図である。2つの差動コントローラ1004、1006が示されている。差動コントローラ1004、1006は、本明細書に記載の差動コントローラ100、200のうちのいずれか、またはそれらの変形の例であり得る。差動コントローラ1004は、設定電圧VSET1を受信し、ステッピングモータ1002の第1の巻線1008に提供される負荷電流ILOAD1を生成する。差動コントローラ1006は、設定電圧VSET2を受信し、ステッピングモータ1002の第2の巻線1010に提供される負荷電流ILOAD2を生成する。
【0092】
ステッピングモータ1002は個別のステップで移動し、各ステップはステッピングモータ1002を全回転の一部だけ回転させることができる。ステッピングモータ1002は個別のステップで移動するので、特にステッピングモータ1002が低速で回転するとき、および/またはステップサイズが大きいとき、その動きは滑らかではない可能性がある。いくつかの例では、構成1000はマイクロステッピング技法を実装する。マイクロステッピング技法を使用して、モータ巻線1008、1010への電流を制御することによってステップの一部であるステッピングモータ1002の回転を達成する。本明細書に記載の差動コントローラ1004、1006を使用し、負荷電流ILOAD1、ILOAD2の精度を向上させ得、ステッピングモータ1002の動作におけるマイクロステッピングを容易にする。
【0093】
図11は、熱電冷却または加熱デバイス(TEC)1106を駆動するために差動コントローラ1102を使用する例示的な構成1100を示す図である。差動コントローラ1102は、本明細書に記載の差動コントローラ100、200のうちのいずれかであるか、またはそれらの変形であるか、あるいはそれらを含み得る。差動コントローラ1102の精度向上は、TECのより正確な熱制御を可能にし得る。
【0094】
差動コントローラは、温度センサ1110から温度帰還信号TSを受信する。温度帰還信号TSは、差動コントローラ1102用の設定電圧VSETを導出するか、または導出するために使用され得る。差動コントローラ1102は、TEC1106に提供される負荷電流ILOADを生成する。
【0095】
TEC1106は、負荷電流ILOADに基づいて加熱および/または冷却が発生する。いくつかの例では、TEC1106は、ヒートシンク1108および熱負荷1104と熱伝達している。熱負荷1104は、加熱または冷却されるべき任意のデバイスまたは構成要素であり得る。いくつかの例では、熱負荷1104は、光トランシーバ、光増幅器などのような光デバイスを含む。いくつかの例では、TEC1106は、ペルチェ効果に従って動作して、デバイスの一方の側から他方の側へ熱を移動させる。例えば、熱負荷1104を冷却する場合、TEC1106は熱負荷1104からヒートシンク1108に熱を移動させる。熱負荷1104を加熱する場合、TEC1106はヒートシンク1108から熱負荷1104へ熱を移動させる。TEC1106によって移動される熱量およびその熱が移動される方向は、差動コントローラによって提供される負荷電流ILOADに基づいている。
【0096】
付加的な実施例:
実施例1は、差動コントローラであって、第1のレギュレータ入力で第1のレギュレータ制御信号を受信し、第1のレギュレータ出力に第1のレギュレータ出力信号を生成するように構成されている第1のレギュレータと、第2のレギュレータ入力で第2のレギュレータ制御信号を受信し、第2のレギュレータ出力に第2のレギュレータ出力信号を生成するように構成されている第2のレギュレータと、第1のレギュレータ出力と第2のレギュレータ出力との間の負荷を表現する帰還信号を生成するように構成されている帰還センサと、帰還信号と設定電圧とを使用して第1のレギュレータ制御信号を生成するように構成されている第1の増幅器と、第1のレギュレータ制御信号とコモンモード制御電圧とを使用して第2のレギュレータ制御信号を生成するように構成されている第2の増幅器と、を備え、第1のレギュレータ出力および第2のレギュレータ出力は、少なくとも一部分においてコモンモード制御電圧に基づいている、差動コントローラ。
【0097】
実施例2では、実施例1の主題は、帰還センサが電流センサを備え、帰還信号が負荷における負荷電流を表現する、ことを任意で含む。
【0098】
実施例3において、実施例1~2のうちの任意の1つ以上の主題は、第1の増幅器の第1の増幅器出力とコモンモード制御電圧との間に連結された補償ネットワークを任意で含む。
【0099】
実施例4において、実施例3の主題は、負荷が誘導性構成要素を備え、負荷が負荷極周波数で極を含み、補償ネットワークが負荷極周波数で零点を含む、ことを任意で含む。
【0100】
実施例5において、実施例3~4のうちの任意の1つ以上の主題は、閉位置および開位置を有するソフトスタートスイッチを任意で含み、ソフトスタートスイッチが閉位置にあるとき、ソフトスタートスイッチは補償ネットワークを短絡する。
【0101】
実施例6において、実施例1~5のうちの任意の1つ以上の主題は、電源電圧を使用してコモンモード制御電圧を生成するように構成されているコモンモード増幅器を任意で含む。
【0102】
実施例7において、実施例1~6のうちの任意の1つ以上の主題は、第2のレギュレータ制御信号が、第1のレギュレータ制御信号とコモンモード制御電圧との間の差に比例することを任意で含む。
【0103】
実施例8において、実施例1~7のうちの任意の1つ以上の主題は、第1のレギュレータがバックコンバータを備えることを任意で含む。
【0104】
実施例9において、実施例8の主題は、電源電圧とコモンモード基準電圧とを使用してコモンモード制御電圧を生成するように構成されているコモンモード増幅器を任意で含み、コモンモード基準電圧は、バックコンバータの基準電圧に比例する。
【0105】
実施例10において、実施例1~9のうちの任意の1つ以上の主題は、第1のレギュレータが第1のレギュレータ帰還ネットワークを備え、制御信号が第1のレギュレータ帰還ネットワークに提供される、ことを任意で含む。
【0106】
実施例11において、実施例1~10のうちの任意の1つ以上の主題は、第1のレギュレータがリニアレギュレータを備えることを任意で含む。
【0107】
実施例12において、実施例1~11のうちの任意の1つ以上の主題は、第1のレギュレータ制御信号と第2のレギュレータ制御信号との間の差動電圧を最大値にクランプするように構成されているクランプ回路を任意で含む。
【0108】
実施例13において、実施例1~12のうちの任意の1つ以上の主題は、帰還センサが電流センサを備え、帰還信号が負荷における負荷電流を指示する、ことを任意で含む。
【0109】
実施例14において、実施例1~13のうちの任意の1つ以上の主題は、帰還センサが電圧センサを備え、帰還信号が負荷電圧を指示する、ことを任意で含む。
【0110】
実施例15は、第1のレギュレータと第2のレギュレータとを備える差動コントローラを用いて負荷を制御する方法であって、前記方法は、帰還センサによって、帰還信号を生成するための負荷状態を感知することと、第1の増幅器によって、帰還信号と設定電圧とを使用して、第1のレギュレータのための第1のレギュレータ制御信号を生成することと、第2の増幅器によって、第1のレギュレータ制御信号とコモンモード制御電圧とを使用して第2のレギュレータのための第2のレギュレータ制御信号を生成することと、を含み、第1のレギュレータ出力および第2のレギュレータ出力が、少なくとも一部分においてコモンモード制御電圧に基づく、方法。
【0111】
実施例16において、実施例15の主題は、帰還センサが電流センサを含み、帰還信号が負荷における負荷電流を指示する、ことを任意で含む。
【0112】
実施例17において、実施例15~16のうちの任意の1つ以上の主題は、電源電圧とコモンモード基準電圧とを使用してコモンモード制御電圧を生成することを任意で含む。
【0113】
実施例18において、実施例17の主題は、電源電圧の増加に応答して、コモンモード制御電圧を増加させることと、コモンモード制御電圧の増加に応答して、第1のレギュレータ制御信号を修正して第1のレギュレータ出力信号の電圧を増加させることと、コモンモード制御電圧の増加に応答して、第2のレギュレータ制御信号を修正して第2のレギュレータ出力信号の電圧を増加させることと、を任意で含む。
【0114】
実施例19において、実施例15~18のうちの任意の1つ以上の主題は、電源電圧の減少に応答して、コモンモード制御電圧を減少させることと、コモンモード制御電圧の減少に応答して、第1のレギュレータ制御信号を修正して第1のレギュレータ出力信号の電圧を減少させることと、コモンモード制御電圧の減少に応答して、第2のレギュレータ制御信号を修正して第2のレギュレータ出力信号の電圧を減少させることと、を任意で含む。
【0115】
実施例20は、差動コントローラであって、第1のレギュレータ入力において受信された第1のレギュレータ制御信号の少なくとも一部分に基づいて、第1のレギュレータ出力において第1のレギュレータ出力信号を生成する手段と、第2のレギュレータ入力において受信された第2のレギュレータ制御信号の少なくとも一部分に基づいて、第2のレギュレータ出力において第2のレギュレータ出力信号を生成する手段と、第1のレギュレータ出力と第2のレギュレータ出力との間の負荷における状態を表現する帰還信号を生成するための手段と、帰還信号と設定電圧とを使用して第1のレギュレータ制御信号を生成するための手段と、第1のレギュレータ制御信号とコモンモード制御電圧とを使用して第2のレギュレータ制御信号を生成するための手段と、を含み、第1のレギュレータ出力および第2のレギュレータ出力が、少なくとも一部分においてコモンモード制御電圧に基づいている、差動コントローラ。
【0116】
上記の詳細な説明は、詳細な説明の一部を形成する添付の図面への参照を含む。図面は、例示として、本発明の主題が実施され得る特定の実施形態を示す。これらの実施形態は、本明細書では「実施例」とも呼ばれる。そのような実施例は、図示または記載されたものに加えて要素を含むことができる。しかしながら、本発明者らはまた、図示または記載されている要素のみが提供されている例を企図している。さらに、本発明者らはまた、特定の実施例(またはその1つ以上の態様)、あるいは本明細書に図示または説明した他の実施例(またはその1つ以上の態様)のどちらかに関して、図示または説明した要素(またはその1つ以上の態様)の任意の組合せまたは置換を使用した実施例も企図する。
【0117】
本文書と参照によりそのように組み入れられているあらゆる文書との間で矛盾する用法がある場合には、本文書における用法が支配する。
【0118】
本文書では、特許文書で一般的であるように、「1つの(a)」または「1つの(an)」はという用語は、他の事例または「少なくとも1つ」または「1つ以上」の使用法とは無関係に1つ以上を含むように使用される。本文書では、「または(or)」という用語は、非排他的な「または」を指すために使用され、「AまたはB」は、特に明記しない限り、「AであるがBではない」「BであるがAではない」および「AおよびB」を含む。本文書では、「含む(including)」および「その中で(in which)」という用語は、それぞれの用語「備える(comprising)」および「その中で(wherein)」の平易な英語と同意義で使用されている。また、添付の特許請求の範囲において、「含む(including)」および「備える(comprising)」という用語は、無制限を意味する、すなわち、請求項においてそのような用語の後に列挙されたものに加えて要素を含むシステム、デバイス、物品、構成、式、またはプロセスは、依然としてその請求項の範囲内にあると見なされる。さらに、添付の特許請求の範囲において、「第1」、「第2」、および「第3」などの用語は、単にラベルとして使用されており、それらの対象に数値的要件を課すことを意図しない。
【0119】
「平行」、「垂直」、「円形」、または「正方形」などの幾何学的用語は、文脈がそうでないと示さない限り、絶対的な数学的正確さを要求することを意図しない。代わりに、そのような幾何学的用語は、製造または同等の機能による変更を許容する。例えば、要素が「円形」または「ほぼ円形」として説明されている場合、正確に円形ではない構成要素(例えば、わずかに楕円形または多面多角形であるもの)もこの描写に包含される。
【0120】
「回路」という用語は、専用のハードウェア回路、汎用マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、または他のプロセッサ回路を含むことができ、ファームウェアやソフトウェアなどを使用して、汎用回路から特殊回路まで構造的に構成され得る。
【0121】
本明細書で考察される任意の1つ以上の技法(たとえば、方法論)は、機械上で実行され得る。様々な実施形態において、機械は独立型デバイスとして動作してもよく、または他の機械に接続(例えば、ネットワーク接続)されてもよい。ネットワーク配備では、機械は、サーバ-クライアントネットワーク環境において、サーバ機械、クライアント機械、またはその両方の処理能力内で動作し得る。一例において、機械は、ピアツーピア(P2P)(または他の分散型)ネットワーク環境においてピア機械として作動し得る。機械は、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレットPC、セットトップボックス(STB)、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、携帯電話、ウェブ機器、ネットワークルータ、スイッチまたはブリッジ、あるいはその機械によって取られる動作を指定する(順次またはその他の)命令を実行できる任意の機械であり得る。さらに、単一の機械のみが例示されていても、「機械」という用語は、クラウドコンピューティング、ソフトウェア・アズ・ア・サービス(SaaS)、その他のコンピュータクラスタ構成など、本明細書で考察される方法論のうちの任意の1つ以上を実行するために一組(または複数組)の命令を個別にまたは一緒に実行する任意の機械の集合も含むものとする。
【0122】
本明細書で説明されるように、実施例は、論理、またはいくつかの構成要素、あるいはメカニズムを含むか、またはそれらによって動作し得る。回路セットは、ハードウェア(例えば、単純な回路、ゲート、論理など)を含む有形物で実装された回路の集合である。回線セット部材は、時間の経過とともに柔軟性があり、基盤となるハードウェアの変更があり得る。回路セットは、単独でまたは組み合わせて、動作時に特定の動作を実行し得る部材を含む。一例において、回路セットのハードウェアは、特定の動作を実行するように不変に設計されてもよい(例えば、ハードワイヤード)。一例では、回路セットのハードウェアは、特定の動作の命令を符号化するために物理的に変更される(例えば、磁気的、電気的、不変質量粒子の可動配置など)コンピュータ可読媒体を含む可変接続された物理的構成要素(例えば、実行ユニット、トランジスタ、単純な回路など)を含んでもよい。物理的構成要素を接続する際に、ハードウェア構成物の潜在的な電気的特性が、例えば、絶縁体から導体へ、またはその逆に変化する。命令は、組み込みハードウェア(例えば、実行ユニットまたはローディングメカニズム)が、動作時に特定の動作の一部を実行するために可変接続を介してハードウェア内に回路セット部材を作成することを可能にし得る。したがって、コンピュータ可読媒体は、デバイスが動作しているときに回路セット部材の他の構成要素と通信可能になるように連結される。一例において、物理的構成要素のうちのいずれかは、複数の回路セットのうちの複数の部材内で使用され得る。例えば、動作中、実行ユニットは、ある時点で第1の回路セットの第1の回路で使用され、異なる時間に、第1の回路セット内の第2の回路によって、または第2の回路セット内の第3の回路によって再利用され得る。
【0123】
本明細書に記載のシステムおよび方法の特定の実装形態は、ハードウェアプロセッサ(例えば、中央処理ユニット(CPU)、グラフィック処理ユニット(GPU)、ハードウェアプロセッサコア、またはそれらの任意の組み合わせ)、メインメモリ、およびスタティックメモリの使用を含み、それらのうちのいくつかまたはすべては、相互リンク(例えば、バス)を介して互いに通信し得る、機械(例えば、コンピュータシステム)の使用を含み得る。機械は、ディスプレイユニット、英数字入力デバイス(例えばキーボード)、およびユーザインターフェース(UI)ナビゲーションデバイス(例えばマウス)をさらに含み得る。一例では、ディスプレイユニット、入力デバイスおよびUIナビゲーションデバイスはタッチスクリーンディスプレイであってもよい。機械は、記憶デバイス(例えば、駆動ユニット)、信号生成デバイス(例えば、スピーカー)、ネットワークインターフェースデバイス、および全地球測位システム(GPS)センサ、コンパス、加速度計、または他のセンサなどの1つ以上のセンサを付加的に含み得る。機械は、1つ以上の周辺機器(例えば、プリンタ、カードリーダなど)と通信または制御するための、シリアル(例えば、ユニバーサルシリアルバス(USB)、パラレル、または他の有線または無線(例えば、赤外線(IR)、近距離無線通信(NFC)など)接続のような出力コントローラを含み得る。
【0124】
記憶デバイスは、本明細書に記載の技法または機能のうちの任意の1つ以上によって実施または利用される一組以上のデータ構造または命令(例えば、ソフトウェア)を記憶する機械可読媒体を含み得る。命令はまた、完全にまたは少なくとも部分的に、メインメモリ内、スタティックメモリ内、または機械によるその実行中にハードウェアプロセッサ内に存在してもよい。一例では、ハードウェアプロセッサ、メインメモリ、スタティックメモリ、または記憶デバイスのうちの1つまたは任意の組合せが、機械可読媒体を構成し得る。
【0125】
機械可読媒体は単一の媒体を含むことができるが、「機械可読媒体」という用語は、1つ以上の命令を記憶するように構成されている単一の媒体または複数の媒体(例えば、集中型または分散型データベース、および/または関連するキャッシュおよびサーバ)を含み得る。
【0126】
「機械可読媒体」という用語は、機械による実行のための命令を記憶、符号化、または搬送することができる任意の媒体を含み得、それは、本開示の技法のうちの任意の1つ以上を機械に実行させ、あるいはそれは、そのような命令によって使用されるか、または関連付けられたデータ構造を記憶、符号化、または搬送することができる。非限定的な機械可読媒体の例は、ソリッドステートメモリ、ならびに光および磁気媒体を含み得る。一例では、大容量機械可読媒体は、不変(例えば、静止)質量を有する複数の粒子を備えた機械可読媒体を含む。したがって、大容量機械可読媒体は一時的な伝搬信号ではない。大容量機械可読媒体の具体例には、半導体メモリデバイス(例えば、電気的プログラマブル読み取り専用メモリ(EPROM)、電気的消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EEPROM))およびフラッシュメモリデバイスなどの不揮発性メモリ、内蔵ハードディスクやリムーバブルディスクなどの磁気ディスク、光磁気ディスク、並びにCD-ROMやDVD-ROMディスクが含まれ得る。
【0127】
命令はさらに、いくつかの転送プロトコル(例えば、フレームリレー、インターネットプロトコル(IP)、伝送制御プロトコル(TCP)、ユーザデータグラムプロトコル(UDP)、ハイパーテキスト転送プロトコル(HTTP)など)のうちのいずれか1つを利用するネットワークインターフェースデバイス経由で伝送媒体を使用して通信ネットワークを介して送信または受信され得る。例示的な通信ネットワークは、とりわけ、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、パケットデータネットワーク(例えばインターネット)、携帯電話ネットワーク(例えばセルラーネットワーク)、単純従来型電話(POTS)ネットワーク、および無線データネットワーク(例えば、Wi‐Fi(登録商標)として知られる米国電気電子学会(IEEE)802.11規格ファミリー、WiMax(登録商標)として知られるIEEE802.16規格ファミリー)、IEEE802.15.4規格ファミリー、ピアツーピア(P2P)ネットワークを含み得る。一例では、ネットワークインターフェースデバイスは、通信ネットワークに接続するための1つ以上の物理的ジャック(たとえば、イーサネット(登録商標)、同軸、または電話ジャック)または1つ以上のアンテナを含み得る。一例では、ネットワークインターフェースデバイスは、単入力多出力(SIMO)、多入力多出力(MIMO)、または多入力単出力(MISO)技法のうちの少なくとも1つを使用して無線通信するための複数のアンテナを含み得る。「伝送媒体」という用語は、機械による実行のための命令を記憶、符号化、または搬送することができる任意の無形媒体を含むように扱われ、かつ、そのようなソフトウェアの通信を容易にするために、デジタルまたはアナログ通信信号、あるいは他の無形媒体を含む。
【0128】
本明細書に記載の方法例は、少なくとも一部において、機械またはコンピュータ実装であり得る。いくつかの実施例は、上記の実施例に記載されたような方法を実行するために電子デバイスを構成するように動作可能な命令で符号化されたコンピュータ可読媒体または機械可読媒体を含むことができる。そのような方法の実装は、マイクロコード、アセンブリ言語コード、高水準言語コードなどのコードを含むことができる。そのようなコードは、様々な方法を実行するためのコンピュータ可読命令を含むことができる。コードはコンピュータプログラム製品の一部を形成し得る。さらに、一例では、コードは、実行中または他のときなどに、1つ以上の揮発性、非一時的、または不揮発性の有形コンピュータ可読媒体に明白に記憶することができる。これらの有形コンピュータ可読媒体の例は、ハードディスク、リムーバブル磁気ディスク、リムーバブル光ディスク(例えば、コンパクトディスクおよびデジタルビデオディスク)、磁気カセット、メモリカードまたはスティック、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)などを含むことができるが、これらに限定されない。
【0129】
上記の説明は例示的であり、限定的ではない。例えば、上述の実施例(またはその1つ以上の態様)は、互いに組み合わせて使用され得る。上記の説明を検討した上で、他の実施形態は当業者などによって使用され得る。読者が技術的開示の性質を迅速に確認できるように、要約が、37C.F.R.§1.72(b)を遵守するために提供される。それは、特許請求の範囲または意味を解釈または限定するために使用されることはないという理解のもとに提出されている。また、上記の詳細な説明において、開示を合理化するために様々な特徴は一緒にグループ化され得る。これは、請求されていない開示された特徴がいかなる請求にも不可欠であることを意図していると解釈されるべきではない。むしろ、発明の主題は、特定の開示された実施形態の全ての特徴の中にあるわけではない。そのため、各請求項は別々の実施形態として独立しながら、添付の特許請求の範囲は、実施例または実施形態として詳細な説明に組み込まれ、かつ、そのような実施形態は、様々な組み合わせまたは順列で互いに組み合わせ可能であることが企図されている。そのような特許請求の範囲が権利を有するものと等価の全範囲と併せて、本発明の主題の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照して決定されるべきである。