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特許7274393焦点面位相検知画素センサーを有する撮像アレイ及び撮像アレイにおいて焦点面位相検知を行うための方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-08
(45)【発行日】2023-05-16
(54)【発明の名称】焦点面位相検知画素センサーを有する撮像アレイ及び撮像アレイにおいて焦点面位相検知を行うための方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/146 20060101AFI20230509BHJP
   G02B 3/00 20060101ALI20230509BHJP
   H01L 21/3205 20060101ALI20230509BHJP
   H01L 21/768 20060101ALI20230509BHJP
   H01L 23/532 20060101ALI20230509BHJP
   H01L 23/522 20060101ALI20230509BHJP
【FI】
H01L27/146 D
H01L27/146 A
G02B3/00 A
H01L21/88 N
H01L21/88 S
【請求項の数】 36
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019181245
(22)【出願日】2019-10-01
(65)【公開番号】P2020092254
(43)【公開日】2020-06-11
【審査請求日】2020-04-14
【審判番号】
【審判請求日】2022-05-25
(31)【優先権主張番号】16/150,215
(32)【優先日】2018-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501302980
【氏名又は名称】フォベオン・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラマスワミ、シュリ
【合議体】
【審判長】瀧内 健夫
【審判官】棚田 一也
【審判官】鈴木 聡一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-065268(JP,A)
【文献】特開2016-015431(JP,A)
【文献】特開2006-339339(JP,A)
【文献】特開2008-034699(JP,A)
【文献】特開2016-004882(JP,A)
【文献】特表2010-518629(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/146
H01L 21/768
G02B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に形成された焦点面位相検知画素センサーであって、前記焦点面位相検知画素センサーは、
前記基板の画素センサーエリアに形成された表面画素センサーであって、前記基板に水平な面を、前記画素センサーエリアの中心で直交する二直線で仕切ってできる4つの部分の一つ一つである象限のうち、隣接する一対の象限のみを占有する青色表面画素センサーを有する、表面画素センサーと、
前記基板の表面の上に形成された誘電物質層と、
前記誘電物質層に形成され、前記画素センサーエリアと整列した開口であって、内側の側壁を有する開口と、
前記開口の前記内側の側壁上に形成され、前記基板の前記表面から離間した、反射する内張り層であって、前記反射する内張り層は、可視光を実質的に完全に反射し、前記反射する内張り層の内壁の断面はいずれも、前記画素センサーエリアの断面エリアよりも小さく、前記反射する内張り層の前記内壁の上端は、前記誘電物質層の上面と同一平面内にある、反射する内張り層と、
前記反射する内張り層の内側の前記開口に配設され、前記誘電物質層の前記上面と同一平面内にある上面を有する充填物質であって、可視光に対して実質的に透明な充填物質と、
前記画素センサーエリアの上に配設された第1の金属相互接続層のセグメントと、
前記第1の金属相互接続層に形成された空隙であって、上に前記空隙が位置する前記画素センサーエリアを露出するように位置する空隙と、
前記第1の金属相互接続層の前記空隙の上に配設されたマイクロレンズと、
を備える、焦点面位相検知画素センサー。
【請求項2】
前記基板は、第1の導電型を有するドーパント種をドープされたシリコンの層であり、
前記表面画素センサーは、前記基板の前記表面に形成されたフォトダイオードを備え、
前記フォトダイオードは、前記第1の導電型と反対の第2の導電型を有するドーパント種でドープされたシリコンの領域から形成されるアノードを有する、請求項1に記載の焦点面位相検知画素センサー。
【請求項3】
前記基板に配置され、前記表面画素センサーから絶縁される、少なくとも1つの表面下画素センサーをさらに備え、前記少なくとも1つの表面下画素センサーは前記画素センサーエリアのほぼ全てを占有するエリアを有する、請求項1に記載の焦点面位相検知画素センサー。
【請求項4】
前記少なくとも1つの表面下画素センサーは、
前記基板に配置され、前記表面画素センサーから絶縁される、第1の表面下画素センサーと、
前記基板に配置され、前記第1の表面下画素センサーから絶縁される、第2の表面下画素センサーと、
を備える、請求項3に記載の焦点面位相検知画素センサー。
【請求項5】
前記反射する内張り層は、Al-Cu金属層から形成される、請求項1に記載の焦点面位相検知画素センサー。
【請求項6】
前記充填物質は、ポリマーから形成される、請求項1に記載の焦点面位相検知画素センサー。
【請求項7】
前記充填物質は、誘電物質から形成される、請求項1に記載の焦点面位相検知画素センサー。
【請求項8】
前記誘電物質は、二酸化珪素である、請求項7に記載の焦点面位相検知画素センサー。
【請求項9】
前記反射する内張り層の前記内壁は、それの前記上面におけるより大きな断面エリアから、それの底面におけるより小さな断面エリアへとテーパー状である、請求項1に記載の焦点面位相検知画素センサー。
【請求項10】
前記開口は、所定の誤差の範囲内で前記画素センサーエリアと整列する、請求項1に記載の焦点面位相検知画素センサー。
【請求項11】
前記反射する内張り層の前記内壁は、1%以下の光が画素センサーエリアから外れることを許容するように選択された距離だけ、前記基板の前記表面から離間する、請求項1に記載の焦点面位相検知画素センサー。
【請求項12】
前記空隙の外側端に配設され、光が前記画素センサーエリア内に進むための入口開口を形成する垂直構造をさらに備え、前記垂直構造は、
隣接する表面画素センサーの反射する内張り層の上面の下に位置する前記第1の金属相互接続層の前記セグメントと、
前記隣接する表面画素センサーの前記反射する内張り層の前記上面の上に位置する第2の金属相互接続層のセグメントと、
前記第2の金属相互接続層の前記セグメントの上に位置する第3の金属相互接続層のセグメントと、
前記第1の金属相互接続層の前記セグメントと、前記第2の金属相互接続層の前記セグメントとの間に配設される複数の第1の金属相互接続ビアと、
前記第2の金属相互接続層の前記セグメントと、前記第3の金属相互接続層の前記セグメントとの間に配設される複数の第2の金属相互接続ビアと、
を含み、
前記複数の第1の金属相互接続ビア及び前記複数の第2の金属相互接続ビアは、フレア光が前記垂直構造の何れかを通過することを阻止するために、互いに横方向に位置する、請求項1に記載の焦点面位相検知画素センサー。
【請求項13】
前記複数の第1の金属相互接続ビア及び前記複数の第2の金属相互接続ビアは、列に配置され、隣接する列の金属相互接続ビアは、互いにオフセットされる、請求項12に記載の焦点面位相検知画素センサー。
【請求項14】
前記青色表面画素センサーは、前記画素センサーエリアにおける前記隣接する一対の象限の幅よりも小さい幅を有する、請求項1に記載の焦点面位相検知画素センサー。
【請求項15】
前記青色表面画素センサーは、前記画素センサーエリアにおいて上側の隣接する一対の象限のみを占有する、請求項1に記載の焦点面位相検知画素センサー。
【請求項16】
前記青色表面画素センサーは、前記画素センサーエリアにおいて下側の隣接する一対の象限のみを占有する、請求項1に記載の焦点面位相検知画素センサー。
【請求項17】
前記青色表面画素センサーは、前記画素センサーエリアにおいて左側の隣接する一対の象限のみを占有する、請求項1に記載の焦点面位相検知画素センサー。
【請求項18】
前記青色表面画素センサーは、前記画素センサーエリアにおいて右側の隣接する一対の象限のみを占有する、請求項1に記載の焦点面位相検知画素センサー。
【請求項19】
基板上に形成された画素センサーアレイであって、前記画素センサーアレイは、
複数の表面画素センサーであって、各表面画素センサーは前記基板の表面の画素センサーエリアに形成され、前記表面画素センサーの第1の群は、通常の表面画素センサーであり、各表面画素センサーは前記画素センサーエリアのほぼ全てを占有し、前記表面画素センサーの第2の群は、焦点面位相検知表面画素センサーであって、各表面画素センサーは、前記基板に水平な面を、前記画素センサーエリアの中心で直交する二直線で仕切ってできる4つの部分の一つ一つである象限のうち、隣接する一対の象限のみを占有する青色表面画素センサーを有する、複数の表面画素センサーと、
前記基板の前記表面の上に形成された誘電物質層と、
前記誘電物質層に形成された複数の開口であって、各開口は、前記画素センサーエリアの1つと整列し、各開口は、内側の側壁を有する、複数の開口と、
各開口の前記内側の側壁上に形成され、前記基板の前記表面から離間した、反射する内張り層であって、前記反射する内張り層は、可視光を実質的に完全に反射し、各反射する内張り層の内壁は、前記基板の前記表面から離間し、前記反射する内張り層の内壁の断面はいずれも、前記第1の群及び前記第2の群の両方における前記画素センサーエリアの断面エリアよりも小さく、各反射する内張り層の前記内壁の上端は、前記誘電物質層の上面と同一平面内にある、反射する内張り層と、
前記反射する内張り層の内側の各開口に配設され、前記誘電物質層の前記上面と同一平面内にある上面を有する充填物質であって、可視光に対して実質的に透明な充填物質と、
前記複数の表面画素センサーの上に配設された第1の金属相互接続層のセグメントと、
前記第1の金属相互接続層に形成された複数の空隙であって、上に前記空隙が位置する前記表面画素センサーの前記画素センサーエリアを露出するように位置する空隙と、
前記第1の金属相互接続層の前記セグメントの各空隙の上に配設されたマイクロレンズと、
を備える、画素センサーアレイ。
【請求項20】
前記基板は、第1の導電型を有するドーパント種をドープされたシリコンの層であり、
各通常の表面画素センサー及び各焦点面位相検知表面画素センサーは、前記基板の前記表面に形成されたフォトダイオードを備え、各フォトダイオードは、前記第1の導電型と反対の第2の導電型を有するドーパント種でドープされたシリコンの領域から形成されるアノードを有する、請求項19に記載の画素センサーアレイ。
【請求項21】
前記基板に配設され、各通常の表面画素センサー及び各焦点面位相検知画素センサーから絶縁される、少なくとも1つの表面下画素センサーをさらに備え、前記少なくとも1つの表面下画素センサーは前記画素センサーエリアのほぼ全てを占有するエリアを有する、請求項19に記載の画素センサーアレイ。
【請求項22】
前記少なくとも1つの表面下画素センサーは、
前記基板に配設され、前記表面画素センサーから絶縁される、第1の表面下画素センサーと、
前記基板に配設され、前記第1の表面下画素センサーから絶縁される、第2の表面下画素センサーと、
を備える、請求項21に記載の画素センサーアレイ。
【請求項23】
前記反射する内張り層は、Al-Cu金属層から形成される、請求項19に記載の画素センサーアレイ。
【請求項24】
前記充填物質は、ポリマーから形成される、請求項19に記載の画素センサーアレイ。
【請求項25】
前記充填物質は、誘電物質から形成される、請求項19に記載の画素センサーアレイ。
【請求項26】
前記誘電物質は、二酸化珪素である、請求項25に記載の画素センサーアレイ。
【請求項27】
各反射する内張り層の前記内壁は、それの前記上面におけるより大きな断面エリアから、それの底面におけるより小さな断面エリアへとテーパー状である、請求項19に記載の画素センサーアレイ。
【請求項28】
各開口は、所定の誤差の範囲内で前記表面画素センサーの1つと整列する、請求項19に記載の画素センサーアレイ。
【請求項29】
各反射する内張り層の前記内壁は、1%以下の光が前記画素センサーエリアから外れることを許容するように選択された距離だけ、前記基板の前記表面から離間する、請求項19に記載の画素センサーアレイ。
【請求項30】
画素センサーアレイであって、前記画素センサーアレイは、
各隣接する一対の前記表面画素センサーの間に配設され、光が前記表面画素センサー内に進むための入口開口を形成する垂直構造をさらに備え、各垂直構造は、
前記隣接する一対の前記表面画素センサーの前記反射する内張り層の上面の下に位置する前記第1の金属相互接続層の前記セグメントと、
前記隣接する一対の前記表面画素センサーの前記反射する内張り層の前記上面の上に位置する第2の金属相互接続層のセグメントと、
前記第2の金属相互接続層の前記セグメントの上に位置する第3の金属相互接続層のセグメントと、
前記第1の金属相互接続層の前記セグメントと、前記第2の金属相互接続層の前記セグメントとの間に配設される複数の第1の金属相互接続ビアと、
前記第2の金属相互接続層の前記セグメントと、前記第3の金属相互接続層の前記セグメントとの間に配設される複数の第2の金属相互接続ビアと、
を含み、
前記複数の第1の金属相互接続ビア及び前記複数の第2の金属相互接続ビアは、フレア光が前記垂直構造の何れかを通過することを阻止するために、互いに横方向に位置する、請求項19に記載の画素センサーアレイ。
【請求項31】
前記複数の第1の金属相互接続ビア及び前記複数の第2の金属相互接続ビアは、列に配置され、隣接する列の金属相互接続ビアは、互いにオフセットされる、請求項30に記載の画素センサーアレイ。
【請求項32】
各焦点面位相検知画素センサーの前記青色表面画素センサーは、それの画素センサーエリアにおける前記隣接する一対の象限の幅よりも小さい幅を有する、請求項19に記載の画素センサーアレイ。
【請求項33】
少なくとも1つの焦点面位相検知画素センサーの前記青色表面画素センサーは、それの画素センサーエリアにおける上側の隣接する一対の象限のみを占有する、請求項19に記載の画素センサーアレイ。
【請求項34】
少なくとも1つの焦点面位相検知画素センサーの前記青色表面画素センサーは、それの画素センサーエリアにおける下側の隣接する一対の象限のみを占有する、請求項19に記載の画素センサーアレイ。
【請求項35】
少なくとも1つの焦点面位相検知画素センサーの前記青色表面画素センサーは、それの画素センサーエリアにおける左側の隣接する一対の象限のみを占有する、請求項19に記載の画素センサーアレイ。
【請求項36】
少なくとも1つの焦点面位相検知画素センサーの前記青色表面画素センサーは、それの画素センサーエリアにおける右側の隣接する一対の象限のみを占有する、請求項19に記載の画素センサーアレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像アレイ集積回路に関する。特に、本発明は、焦点面位相検知画素を有する撮像アレイと、そのようなアレイにおいて焦点面位相検知を行うための方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
焦点面位相検知(FPPD)画素を有する撮像アレイは、当該分野において知られている。FPPD画素は、カメラレンズの左側又は右側から光を選択的に収集する。FPPD画素は、常に、互いに隣接する対で置かれる。これらの対は、画素アレイの大部分にわたり(一般的に、アレイの中心の周囲のエリアの約80%にわたり)分布され、その端を空けている。FPPD画素対の密度は、その中心エリア内の画素の数パーセント(1~3)である。
【0003】
撮像アレイにおいてFPPD画素を実現するために使用される最も一般的な方法は、FPPD画素の選択された部分を影にするために、センサーの上に層状に配設された金属層を用いることである。図1Aは、FPPD画素の選択された部分を影にするために、センサーの上に層状に配設された金属層を用いた先行技術のFPPD画素センサー例を示す。図1Aは、右FPPD画素センサー10a及び左FPPD画素センサー10bの断面図である。画素センサー10a及び10bは、当該分野で知られているように、p型半導体基板12に形成されたn型拡散領域である。層間誘電層14は、基板12の表面及び画素センサー10a及び10bの上に形成される。マイクロレンズ16a及び16bは、それぞれ画素センサー10a及び10bの上に形成される。金属セグメント18aは、画素センサー10aの上で形成及び規定され、光が画素センサー10aの左側に入ることを阻止するように位置する。金属セグメント18bは、画素センサー10bの上で形成及び規定され、光が画素センサー10bの右側に入ることを阻止するように位置する。
【0004】
FPPD画素センサーを作るために提案されている別の技術は、FPPD画素の選択された部分の上に不透明シリサイド層を堆積させることである。図1Bは、FPPD画素の選択された部分を影にするために、FPPD画素の選択された部分の上に不透明シリサイド層を用いた先行技術のFPPD画素センサー例を示す。画素センサーの特徴の多くは、図1A及び図1Bにおいて同じであり、同じ参照番号を使用して識別される。
【0005】
図1Bは、右FPPD画素センサー10a及び左FPPD画素センサー10bの断面図である。画素センサー10a及び10bは、当該分野で知られているように、p型半導体基板12に形成されたn型拡散領域である。層間誘電層14は、基板12の表面及び画素センサー10a及び10bの上に形成される。マイクロレンズ16a及び16bは、それぞれ画素センサー10a及び10bの上に形成される。不透明シリサイド層20aは、画素センサー10aを形成する拡散領域の表面上で形成及び規定され、光が画素センサー10aの左側に入ることを阻止するように位置する。不透明シリサイド層20bは、画素センサー10bを形成する拡散領域の表面上で形成及び規定され、光が画素センサー10bの右側に入ることを阻止するように位置する。この技術は、シリサイド層がFPPD画素においてかなりの量の漏れ電流を生じさせるので、満足のいくものではないことが証明されている。
【0006】
デジタルカメラが薄くなるにつれて、撮像アレイにおける個々の画素センサーを照射する光の角度は、表面に対して直角に測定された場合に大きくなる。設計者は、これらの角度に対応するために、幾つかの技術を用いてきた。
【0007】
1つの可能な解決策によれば、アレイを構成する画素センサーは、解像度の低下を犠牲にしてサイズを大きくすることができる。これは、一般に、デジタルカメラの解像度を低下させるのではなく、増加させる傾向から見て、満足のいく解決策であるとは考えられない。
【0008】
携帯電話のカメラセンサーに使用される画素センサーなどの非常に小さな画素センサーでは、「光パイプ」が用いられてきた。これは、内部全反射(TIR)に依存した光ファイバーケーブルに概念的に類似する。したがって、それは、光パイプのコアとしてハイインデックスポリマーの使用を必要とする。この概念は、小さな入射角(側壁に対する急な入射角)には上手く機能するが、それは、入射角が大きくなるにつれて次第に有用ではなくなる。図2に示すある特定の先行技術の光パイプ解決策によれば、レンズの端で内部反射を用いる光パイプは、画素センサーの上に位置する。隣接する画素センサー10a及び10bは、p型基板(又は井戸)12に形成されて示されている。誘電層14は、画素センサー10a及び10bの上に形成される。レンズ16a及び16bは、当該分野で知られているように、誘電層の表面上に形成される。
【0009】
図1A及び1Bに描かれた画素センサーとは異なり、ビアは、それぞれ、画素センサー10a及び10bの上に、かつ画素センサー10a及び10bと整列して誘電層に形成され、共にポリマーで充填されて、高屈折率(例えば、n≒1.6)を有する光パイプ(参照番号18a及び18bで示される)を形成する。内部全反射を提供する物質層(参照番号22によって示される)は、隣接する画素エリア間のレンズ16a及び16bの端に形成される。
【0010】
画素センサー10a及び10bを含んだ画素センサーアレイの表面に向けられた光線の内の2つを参照番号24で象徴的に示す。図1に示すように、光線は、レンズ16a及び16bの境界面で屈折する。光線24はまた、レンズの端で層22から反射して示されている。物質層22の存在がなければ、これらの光線24は、次の隣接する画素へと通じる経路に沿って進み続けるが、反射する物質層22の存在は、これらの光線が入った画素エリア内にこれらの光線を反射し返す。
【0011】
光線24は、レンズからポリマー層18a及び18b内へと下に進み続けるので、これらの光線は、それらが形成される各ポリマー層18a及び18bと誘電層14(約n=1.53の屈折率を有する)との間の境界面(参照番号26a及び26bで示される)によって反射される。この境界面は、100%反射するものではなく、したがって、参照番号28の破線で示される光の一部は、境界面を通過し、2つの隣接する画素を分離する誘電層を通って、隣接する画素センサー内に不所望に入り、望ましくないクロストークを生じさせる。
【0012】
理想的には、小さな画素が、現在の解決策の上記欠点を持たずに、大きな画素と同じ受光角を有することが望ましい。また、比較的大きな角度から受光し、かつFPPD画素を含む光パイプ画素センサーアレイを提供することが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1の態様によれば、画素センサーアレイは、基板に配置された複数の表面画素センサーと、画素センサーの表面の上に形成された誘電物質層と、それぞれが、表面画素センサーの1つと整列し、内側の側壁を有する、誘電層に形成された複数の開口とを含む。内張り層は、各開口の内側の側壁上に形成され、可視光を実質的に完全に反射する。内張り層は、基板の表面から離間し、各表面画素センサーの断面エリアよりも小さい断面エリアを有する。可視光に対して実質的に透明な充填物質は、反射する内張り層の内側に配置され、誘電物質層の上面と同一平面内にある上面を有する。マイクロレンズは、各開口の上面の上に配置される。金属層の配置によって作られるFPPD画素は、互いに隣接した対で置かれ、画素センサーアレイの大部分にわたり分布される。
【0014】
本発明のある態様によれば、画素感知層は、第1の導電型を有するドーパント種をドープされたシリコンの層であり、各表面画素感知素子は、シリコンの層の表面に形成されたフォトダイオードである。各フォトダイオードは、第1の導電型と反対の第2の導電型を有するドーパント種でドープされたシリコンの領域から形成されたアノードを有する。
【0015】
本発明の別の局面によれば、画素センサーアレイは、下の画素感知層に配設され、表面画素感知素子と整列し、表面画素感知素子から絶縁される、少なくとも1つの表面下画素感知素子も含む。ある実施形態例では、第1の表面下画素感知素子は、下の画素感知層に配設され、表面画素感知素子と整列し、表面画素感知素子から絶縁し、第2の表面下画素感知素子は、下の画素感知層に配設され、第1の表面下画素感知素子と整列し、第1の表面下画素感知素子から絶縁される。
【0016】
本発明は、実施形態及び図面を参照して、より詳細に以下に説明される。
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
【0023】
【0024】
【0025】
【0026】
【0027】
【0028】
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1A】撮像アレイにおいてFPPD画素を設けるための先行技術の解決策の1つを描く撮像アレイの一部分の断面図である。
図1B】撮像アレイにおいてFPPD画素を設けるための別の先行技術の解決策を描く撮像アレイの一部分の断面図である。
図2】大きな角度でアレイに入射する光を捕捉するという課題に対する別の先行技術の解決策を描く撮像アレイの一部分の断面図である。
図3A】本発明の一局面による撮像アレイにおいてFPPD画素を設けるための解決策を描く撮像アレイの一部分の断面図である。
図3B】FPPD画素構造に関するバリエーションを示す、図3Aに描かれた撮像アレイの部分の上面図である。
図3C】FPPD画素構造に関するバリエーションを示す、図3Aに描かれた撮像アレイの部分の上面図である。
図3D】本発明の一局面による撮像アレイにおいてFPPD画素センサーを設けるための解決策を描く撮像アレイの一部分の断面図である。
図3E】FPPD画素構造に関するバリエーションを示す、図3Dに描かれた撮像アレイの部分の上面図である。
図3F】FPPD画素構造に関するバリエーションを示す、図3Dに描かれた撮像アレイの部分の上面図である。
図4】本発明による大きな角度でアレイに入射する光を捕捉するという課題に対する解決策を描く撮像アレイの一部分の断面図である。
図5A】本発明の一局面による、大きな角度でアレイに入射する光を捕捉するという課題に対する解決策を描き、画素センサーにおけるフレア光の影響をなくすための構造を図示する撮像アレイの一部分の断面図である。
図5B】本発明の一実施形態による、画素センサーにおけるフレア光の影響をなくすための図5Aに含まれる構造の1つの上面図を示す図である。
図6】垂直色画素センサーを組み入れた、図5Aの撮像アレイに似た撮像アレイの一部分の断面図である。
図7】垂直色画素センサーにおいてFPPD画素センサーを組み入れた、図の撮像アレイに似た撮像アレイの一部分の断面図である。
図8】垂直色画素センサーにおいてFPPD画素センサーを組み入れた、図7の撮像アレイに似た撮像アレイの一部分の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
当業者は、本発明の以下の説明が例示にすぎず、決して限定的なものではないことに気付くであろう。本発明の他の実施形態は、当業者に容易に示唆されるだろう。
【0031】
これより図3A図3B、及び図3Cを参照して、例示的画素センサーアレイの部分30が描かれる。それぞれ本発明の一局面による左/右及び上/下FPPD画素32a及び32bを示す、図3Aは断面図であり、図3B及び図3Cは上面図である。図3A図3B、及び図3Cに描かれた特定の画素センサーは、カリフォルニア州サンノゼのFoveon,Inc.により製造及び販売されるタイプの垂直色画素センサーである。図3A図3B、及び図3Cに示す2つの垂直色画素センサーは共に、p型基板(又は井戸)12に形成され、埋込n型赤色センサー34a及び34b、及び赤色センサー34a及び34bの上に重なる埋込n型緑色センサー36a及び36bを含む。
【0032】
一部の垂直色画素センサーは、単一のn型青色表面画素センサーを含み、他の垂直色画素センサーは、複数の区分を有する複数の青色画素センサーを含むことを当業者は認識するだろう。複数の区分を備えた複数の青色画素センサーを有する垂直色画素センサーの一例は、Foveon,Inc.に与えられた米国特許第7,339,216号明細書に見ることができ、4つのn型青色表面画素センサーを含む。図3A図3B、及び図3Cに示す特定の実施形態における各垂直色画素センサーは、基板又は井戸の異なる深さに配設された2つの表面下(埋込)画素センサー(埋込n型赤色センサー34a及び34b、及び埋込センサー34a及び34bの上に重なる埋込n型緑色センサー36a及び36b)を含むが、各垂直色画素センサーが、単一の埋込画素センサー又は基板若しくは井戸の異なる深さに3つ以上の埋込画素センサーを含む本発明の他の実施形態が企図されることを当業者は認識するだろう。
【0033】
図3A図3B、及び図3Cに描かれた本発明の実施形態における画素センサー32a及び32bは、赤色画素センサー及び緑色画素センサーの面積よりも面積が小さいセンサーを有する4区分青色画素センサーのレイアウトを利用するが、図3B及び図3Cにおいて最も簡単に分かるように、4つの青色画素センサー区分の2つとほぼ同じ面積だけを占有する単一のn型青色表面画素センサーB38(参照番号38a及び38bで参照される)のみを含む。画素センサーエリアは、デカルト座標空間の4つの象限を含むと考えられ(図3B及び図3Cに示される)、左FPPD青色画素センサーは、象限II及びIIIを占有し、右FPPD青色画素センサーは、象限I及びIVを占有し、上FPPD青色画素センサーは、象限I及びIIを占有し、及びFPPD青色画素センサーは、象限III及びIVを占有し得る。
【0034】
本発明の本局面によれば、青色表面画素センサーは、通常画素よりも小さい面積を有し、画素センサーエリアの左部分、右部分、上部分、又は下部分にオフセットされる。図3Bの左側は、左FPPD画素センサーを示し、図3Bの右側は、右FPPD画素センサーを示す。図3Aは、水平方向ではなく、垂直方向の断面であると解釈した場合、図3Cの左側は、上FPPD画素センサーを示し、及び図3Cの右側は、下FPPD画素センサーを示す。デカルト座標空間において、左FPPD青色画素センサーは、象限II及びIIIを占有し、右FPPD青色画素センサーは、象限I及びIVを占有し、上FPPD青色画素センサーは、象限I及びIIを占有し、及びFPPD青色画素センサーは、象限III及びIVを占有する。
【0035】
当業者は、図3A~3Cに示す結果は、左FPPD画素、右FPPD画素、上FPPD画素、又は下FPPD画素が形成されるかに応じて、青色画素センサーを所定の大きさに形成し、青色画素センサーを位置付けるために、画素センサーアレイを作製するためのマスクセットにおいて青色画素センサーインプラントマスクの単純な変更を行うことによって達成することができることを理解するだろう。
【0036】
図3D~3Fに示す類似の実施形態によれば、本発明の別の局面に従って、形成される青色センサー区分の幅は、狭くすることもできる。青色センサーの幅を狭くすることができる量は、最小信号及び信号対雑音比要件によって決定付けられる限界にとって所望の主題である位相差効果の強度に依存する。図3Dは、断面図を示し、図3Eは、左FPPD画素センサー及び右FPPD画素センサーを示し、図3Fは、上FPPD画素センサー及び下FPPD画素センサーを示す。
【0037】
これより図4を参照して、断面図は、基板54上に形成された一対の表面画素センサー52a及び52bを含む本発明のある局面による撮像アレイの部分50を示す。図において、基板は、p型基板として示されており、表面画素センサー52a及び52bは、当該分野で知られているようにフォトダイオードのアノードを形成するp型基板に配設されたn型領域であり、基板は、フォトダイオードのカソードを形成する。当業者は、p型基板が下にある半導体基板に形成されたp井戸でもよいことを認識するだろう。図4に描かれたアレイの部分50は、たった2つの画素センサー52a及び52bを含むが、本発明の原理に従って実際に作製されるアレイは、任意の数の画素センサーを含み得ることも当業者は認識するだろう。表面画素センサー52a及び52bは、Foveon,Inc.によって作製されたX3(登録商標)垂直色センサーなどの垂直色画素センサーにおける青色画素センサーコンポーネントでもよいことも当業者は認識するだろう。不図示の緑色センサー及び赤色センサーは、おそらく、画素センサー52a及び52bの下の基板54のさらに内部に位置するだろう。
【0038】
第1の層間誘電層56は、基板54の表面、及び表面画素センサー52a及び52bを形成するn型領域の上に形成される。ビアは、光パイプ58a及び58bとして機能するように形成される。現在好まれるように、光パイプ58a及び58bは、下端64a及び64bにおける断面エリアよりも、第1の層間誘電層56の上面62と同一平面の上端60a及び60bにおける断面エリアが大きいテーパー状を有する。光パイプ58a及び58bの下端64a及び64bの断面エリアは、画素センサー52a及び52bの断面エリアよりも小さく、画素センサー52a及び52bの上で実質的に中心にある。光パイプ58a及び58bの下端64a及び64bは、基板の上面から離間している。マイクロレンズ66a及び66bは、当該分野で知られているように、光の焦点を画素センサー52a及び52b内に合わせる。
【0039】
概念的には、垂直側壁を設けることは、より単純であるが、それは、幾つかの実用面でのデメリットを有する。最も重大なデメリットは、光パイプの最上部で視野角を限定することであり、これは、より大きな画素サイズを必要とし、及び/又はプロセス制御に非常に厳しい制限を加える。これらのデメリットを鑑みると、テーパーの設計が好ましい。
【0040】
本発明のある態様によれば、光パイプ58a及び58bを形成するテーパーのビアを形成するプロセスは、SiO2をエッチングするためのフッ素(F)、及びエッチングされた側壁を保護するためにエッチングされた側壁上に付着する有機ポリマーを生成する化学物質を含むエッチング化学物質を用いる。フッ素は、ビアの底部をエッチングするが、ポリマーは、エッチングプロセスからビアの側壁を保護するために、側壁上に付着される。時間間隔Δtごとに、SiO2は、距離Δyだけ下方にエッチングされ、厚さΔxを有するポリマーは、側壁上に付着される。F及びポリマーの量を制御することによって、テーパーの度合いが制御される。プロセスは、工場ごとに異なるので、所与のプロセスにおいて所望の度合いのテーパーを達成するために、定期試験が用いられ得る。
【0041】
一般的なプラズマエッチング化学物質は、Fの主要なソースとして機能するCF4と、炭化水素ポリマーCxy…Cxyzの主要なソースであるCHF3と、キャリアガスとして及びイオンソースとして機能するArとを含み得る。
【0042】
光パイプ58a及び58bはそれぞれ、参照番号68a及び68bで示される反射する内張り層に沿う。
【0043】
本発明の光パイプは、2つのやり方の一方で形成され得る。第1の層間誘電層56が二酸化珪素(SiO2)から形成される、本発明のある態様によれば、光パイプのビアは、可視スペクトルにおいて実質的に透明な充填物質で充填され得る。適切な充填物質の例は、SiO2のような誘電物質、又は周囲の第1の二酸化珪素層間誘電層56よりも高い屈折率を有するポリマーを含む。
【0044】
光パイプ58a及び58bの側壁上に良好な反射する表面を形成するために、光パイプの内壁を内張りするために付着される、参照番号で示される反射する内張り層は、可視波長範囲全体にわたり良好な反射を示す必要があり、すなわち、それは、銀色の外観を有することが好ましい。反射する内張り層は、金属の内張り層であり、及び粗い表面は光を散乱することが知られているため滑らかな表面を有することが好ましく、好ましいのは、高鏡面反射を有する表面である。金属層の厚さは、大きな入射角で画素センサー間のクロストークを回避するために光が側壁を貫通することを防止するのに十分であり、また、ピンホール欠陥を回避するために十分な厚さである必要がある。
【0045】
本発明のある態様によれば、メタライゼーション相互接続層としてCMOSプロセスでよく使用されるAl-Cuメタライゼーション物質は、必要とされる特性を有する。タングステンメタライゼーションも現在使用されているが、不十分な反射率をもたらす、鈍い灰色の外観及び容認できないほど大きな表面粗さを有している。
【0046】
750nmの光波長では、10e6の光伝送減衰に対する理論上の最小Al-Cu厚さは、約0.028μmであるが、Al-Cu薄膜の抵抗率はバルク抵抗率よりも高い場合があり、及びこの範囲内の厚さを有する膜はピンホールを有することが知られているため、これは、不十分である可能性がある。Al-Cu膜の最小厚さは、少なくとも約0.14μmである。さらに、プラズマ蒸着(PVD)Al-Cuのステップカバレージは比較的不十分であるので、上端60a及び60bにおいて約0.24μmのスパッタ厚さが現在のところ好ましく、これは、光パイプ58a及び58bの下端64a及び64bにおける約0.14μmの最小厚さをもたらす。
【0047】
ある非限定的実施形態例では、光パイプの上端60a及び60bは、0.8μmの隣接する光パイプ孔間の最小フォトレジスト幅を提供するように選ばれる。4.15μmの画素センサーサイズが想定される、ある例示的実施形態では、これは、4.15-0.8=3.35μmの最上部寸法を与える。
【0048】
テーパーの光パイプ設計では、光パイプの底部は、フォトダイオードの上面の寸法(これは、ある非限定例では、約2.8μm(能動)であると想定される)よりも小さくなければならない。一例として、光パイプの能動エンクロージャーが0.2μmと見なされる場合、底部の幅は、2.8-0.4=2.4μmと決定され得る。
【0049】
光パイプの長さは、光学系設計にとって重要ではなく、それを選ぶかなりの自由が提供される。追加の金属層のためには、より厚さのあるバックエンドオブライン(BEOL)を有することが有利である。ある実施形態例では、層間誘電層56の厚さは、約6μmが選ばれ、これは、層間誘電層56内に4つの金属相互接続層を含めることを可能にする。
【0050】
上記のパラメータを所与として、側壁角は、名目上、約3.6°となる。より厚さのある第1の層間誘電層56は、角度をさらに減少させるが、6μmから7μmへの第1の層間誘電層56の厚さの増大は、側壁角を0.5°減少させるにすぎず(これは、大きなメリットとはならない)、光パイプ58a及び58bを形成するビアのアスペクト比を増加させることを当業者は認識するだろう。
【0051】
ベース層70は、光パイプ58a及び58bの底部を画素センサー52a及び52bの表面から分離するために挿入される。光パイプがシリコン表面まで下方にずっと延在すれば、光学的に有利になるだろう。しかし、これは、シリコンにダメージを及ぼし、過暗電流をもたらし、シリコン内部にまでエッチングし得る。加えて、反射する内張りを作る金属物質が画素センサーの上側の表面と接触する場合、後続のプロセスステップのサーマルバジェットは、金属イオンが画素センサー層内に拡散し、及び画素センサー層に深刻なダメージを与えることを生じさせ、画素センサー52a及び52bを動作不能にする。ベース層は、それぞれ光パイプ58a及び58bの下端64a及び64bの下でエッチングされずに残された第1の層間誘電層からの残留SiO2から成る。
【0052】
ベース層70の厚さが大きすぎる場合、光は、特に大きな角度において、金属の下に逃げ、及び画素センサー52a及び52bの能動エリアから外れることを許容され、光捕捉の効率が低下する。
【0053】
ある実施形態例では、入射角40°では、光パイプに入る光は、最大角55°を有する。ベース層の厚さは、1%以下の光が能動画素センサーエリアから外れることを許容し、能動画素センサーエリアと光パイプとの間の0.1μmの不整列を許容するように選ばれる。能動画素センサーエリアと光パイプとの間の不整列がゼロの場合、光は、能動画素センサーエリアから外れることはなく、0.1μmの不整列の場合、0.6%の光は、能動画素センサーエリアから外れることをシミュレーションは示している。シミュレーション結果に基づいて、ベース層70の約0.1μmの厚さは、満足のいくものであることが分かっている。ベース層70に約0.2μmの厚さが使用された場合、シミュレーション結果は、能動画素センサーエリアと光パイプとの間の不整列がゼロの場合、6.4%の光は、能動画素センサーエリアから外れること、及び0.1μmの不整列の場合、11.7%の光は、能動画素センサーエリアから外れることを示している。
【0054】
第2の層間誘電層72は、第1の層間誘電層56と、反射する内張り層68a及び68bの平坦化最上部と、光パイプ58a及び58bのそれぞれにおける充填物質の最上部との上に配置される。ある実施形態例では、この第2の層間誘電層72は、約2.5μmの厚さを有していてもよく、この厚さでは、2つの金属相互接続層を支持することができる。
【0055】
パッシベーション層74は、第2の層間誘電層72の上面の上に形成され、平坦化層76は、パッシベーション層74の上面の上に形成される。ある実施形態例では、パッシベーション層74の厚さは、約0.3μmであってもよく、平坦化層76の厚さは、約0.4μmであってもよい。これらの層は、例えば、付着された二酸化珪素から形成され得る。
【0056】
図4は、それぞれマイクロレンズ66a及び66bを通って画素センサー52a及び52bに入る複数の光線78a及び78bを示す。マイクロレンズ66a及び66bの焦点距離は、それぞれ光線の焦点が位置80a及び80bに位置するように選ばれる。当業者は、焦点の位置80a及び80bが光パイプ58a及び58b内にあることに気付くだろう。したがって、図に見られるように、焦点80a及び80bを越えて発散する全ての入射光線78a及び78bは、直接的に、又は反射する内張り層68a及び68bから反射した後に、画素センサー52a及び52bに当たる。
【0057】
これより図5A及び図5Bを参照して、2つの図は、本発明のある実施形態による図4のアレイ部分50などの画素センサーアレイにおけるフレア光の影響をなくすための構造を図示する。図5Aは、図4の光パイプ構造などの隣接する一対の光パイプ構造58a及び58bの断面図である。
【0058】
レンズ及びカメラにおけるフレアは、約70°~約75°の範囲内の入射光の入射角を
もたらし得る。従来の光学設計では、画素センサーをフレア光から保護することは不可能であるが、本発明のある態様によれば、フレア光を抑制するために講じることができる対策が幾つか存在する。フレア光の影響は、光パイプ58a及び58bの上端60a及び60bと、下端64a及び64bとの両方で考慮されなければならない。上記の通り、光パイプ58a及び58bの下端64a及び64bでは、フレアは、薄いベース層(すなわち、上述の実施形態例において本明細書に記載した寸法を有する光パイプの場合、約0.1μmの厚さ)を使用することによって最小限に抑えることができる。最大で15%のフレア光が能動画素センサーエリアから外れ得るが、単一の画素センサー52a又は52bにおいて捕捉されるフレア光の量は、光全体のほんの一部であるので、問題とはならないはずである。
【0059】
図5Aに示すように、金属相互接続層セグメント82a、84a、及び86aは、光パイプ58aの左側に垂直構造を形成する。金属相互接続層セグメント82aは、第1の層間誘電層56に形成され、金属相互接続層セグメント84a及び86aは、第2の層間誘電層72に形成される。同様に、金属相互接続層セグメント82b、84b、及び86bは、光パイプ58aと58bとの間に垂直構造を形成する。金属相互接続層セグメント82bは、第1の層間誘電層56に形成され、金属相互接続層セグメント84b及び86bは、第2の層間誘電層72に形成される。金属相互接続層セグメント82c、84c、及び86cは、光パイプ58bの右側に垂直構造を形成する。金属相互接続層セグメント82cは、第1の層間誘電層56に形成され、金属相互接続層セグメント84c及び86cは、第2の層間誘電層72に形成される。
【0060】
金属セグメント84a、84b、及び84c間の孔は、画素センサー52a及び52bのための光受け入れエリアを規定する。図5Aに示す実施形態では、光受け入れエリアは、画素センサー52a及び52bのそれぞれの表面全体にわたり光を受け入れるのに十分な大きさである。表面全体にわたり光を受け入れるように構成された画素センサーは、本明細書では、通常画素センサーと呼ばれる場合がある。
【0061】
金属相互接続層セグメント82a、84a、及び86aは、複数の相互接続ビア、それらの1つは、参照番号88で示される、を使用して全て共に接続される。金属相互接続層セグメント82b、84b、及び86b、及び金属相互接続層セグメント82c、84c、及び86cも、複数の相互接続ビア(それらの1つは、参照番号88で示される)を使用して共に接続される。
【0062】
図5Bは、相互接続ビア88のレイアウトを示す垂直構造の例示的1つの上面図を示す(例示的な例として、金属相互接続セグメント82abc、84abc、又は86abcの1つを使用する)。ビア88は、図5Bの左側から入ってくるとして矢印によって示されるフレア光が、垂直構造の何れかを構成する金属相互接続層セグメントの何れかの間を進むことを効果的に阻止するように、横方向に位置する。光パイプ58aの上の領域から光パイプ58bに入ることを阻止されるフレア光の経路も、図5Aにおいて矢印によって示される。これらの複数の金属シートは、好ましくは、雑音を抑制するために、全てVpixにつながれる。
【0063】
これより図6を参照して、断面図は、図5Aにおける画素センサー52a及び52bのような通常画素センサーとして構成された垂直色画素センサーを用いた画素センサーアレイ80の一部分を示す。図5の画素センサーアレイの部分50と、画素センサーアレイの部分80との唯一の違いは、画素センサーが、それぞれ表面青色画素センサー52a_blue及び52b_blue、埋込緑色画素センサー52a_green及び52b_green、及び埋込赤色画素センサー52a_red及び52b_redを含む点である。図3A図3B、及び図3Cに示す実施形態と同様に、図6に示す特定の実施形態における各垂直色画素センサーは、2つの表面下(埋込)画素センサー(埋込緑色画素センサー52a_green及び52b_green、及び埋込赤色画素センサー52a_red及び52b_red)を含むが、単一の埋込画素センサー又は3つ以上の埋込画素センサーを含む垂直色画素センサーを有する本発明の他の実施形態が企図されることを当業者は認識するだろう。
【0064】
これより図7を参照して、断面図は、それぞれ光パイプ102a及び102bの下に形成された一対の画素センサーを含む画素センサーアレイの部分100を示す。通常画素センサーである代わりに、図7に描かれた画素センサーは、FPPD画素センサーである。アレイ部分100は、大部分の点において、図5Aのアレイ部分50と図6のアレイ部分80に類似する。したがって、図5A図5B、及び図6で使用されたものと同じ参照番号が、図7の部分100の素子を識別するために使用される。図5A図5B、及び図6の画素センサーと、図7の画素センサー102a及び102bとの間の2つの違いは、金属セグメント84aは、右FPPD画素センサーを形成するために破線垂直軸108によって示されるように、青色画素センサー58aの左側をマスクするように光パイプ102aの左側部分の上で右に延在する部分104を含む点である。同様に、金属セグメント84cは、左FPPD画素センサーを形成するために破線垂直軸110によって示されるように、青色画素センサー58bの右側をマスクするように光パイプ102bの右側部分の上で左に延在する部分106を含む。図7に描かれた画素センサーは、分離線108によって示されるように、アレイにおいて互いに隣接して置かれないことを当業者は認識するだろう。図7の断面が水平方向に配向するのではなく垂直方向に配向すると解釈される場合、画素センサー102a及び102bは、上FPPD画素センサー及び下FPPD画素センサーを表す。
【0065】
本発明の別の局面によれば、図3A~3EのFPPD技術は、図6の光パイプ画素センサーに適用され得る。一対の光パイプFPPD画素の例示的実施形態は、図8を参照して示される。図8の例示的実施形態では、金属線セグメント84a、84b、及び84cによって規定される開口は、完全に開かれている。青色表面画素112a_blueの幅を減少させてそれを右にシフトして左FPPD表面画素センサーを形成し、青色表面画素112b_blueの幅を減少させてそれを左にシフトして右FPPD表面画素センサーを形成することによって、FPPD画素が作られる。図8の断面が水平方向に配向するのではなく垂直方向に配向すると見なされる場合には、FPPD画素センサー112a及び112bは、上FPPD画素センサー及び下FPPD画素センサーとなる。
【0066】
本発明の実施形態及び応用例の図示及び説明を行ったが、本明細書の発明概念から逸脱することなく、上述のものよりもさらに多くの変更形態が可能であることが当業者には明らかであろう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲の精神を除き限定されるものではない。
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8