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特許7274415ウイルス感染症および他の疾患を処置するためのピリミジンプロドラッグ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-08
(45)【発行日】2023-05-16
(54)【発明の名称】ウイルス感染症および他の疾患を処置するためのピリミジンプロドラッグ
(51)【国際特許分類】
   C07D 239/48 20060101AFI20230509BHJP
   A61K 31/675 20060101ALI20230509BHJP
   A61K 31/505 20060101ALI20230509BHJP
   C07D 405/12 20060101ALI20230509BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20230509BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20230509BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20230509BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20230509BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230509BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230509BHJP
   C07F 9/24 20060101ALI20230509BHJP
【FI】
C07D239/48 CSP
A61K31/675
A61K31/505
C07D405/12
A61K31/506
A61P31/12
A61P37/02
A61P37/04
A61P35/00
A61P43/00 123
C07F9/24 H
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019517045
(86)(22)【出願日】2017-09-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-10-24
(86)【国際出願番号】 EP2017074600
(87)【国際公開番号】W WO2018060317
(87)【国際公開日】2018-04-05
【審査請求日】2020-09-28
(31)【優先権主張番号】16191568.1
(32)【優先日】2016-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】510020022
【氏名又は名称】ヤンセン・サイエンシズ・アイルランド・アンリミテッド・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100093676
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100135943
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 規樹
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】エムシー ゴーワン,デイヴィッド,クレイグ
(72)【発明者】
【氏名】ハーシュケ,フローレンス,マリー
(72)【発明者】
【氏名】ストゥープス,バート,ヘンリ,テレジア
(72)【発明者】
【氏名】エンブレッヒツ,ウェルナー,コンスタント,ヨハン
(72)【発明者】
【氏名】ボレケンス,ジャック,アルマン,アンリ
(72)【発明者】
【氏名】ギーユモン,ジェローム,エミール,ジョルジュ
(72)【発明者】
【氏名】ラボワッソン,ピエール,ジャン-マリー,ベルナール
(72)【発明者】
【氏名】ヨンカーズ,ティム,ヒューゴ,マリア
(72)【発明者】
【氏名】カルムス,ローラン,ジャック,エミール
【審査官】大木 みのり
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-534559(JP,A)
【文献】特表2014-512360(JP,A)
【文献】特表2015-535839(JP,A)
【文献】特表2002-537262(JP,A)
【文献】特表2008-509909(JP,A)
【文献】McGowan, D. et al.,novel Pyrimidine Toll-like Receptor 7 and 8 Dual Agonists to Treat Hepatitis B Virus,Journal of Medicinal Chemistry,2016年08月11日,vol.59, no.17,pp.7936-7949
【文献】REGISTRY(STN)[online],2016年05月04日,[検索日 2021.06.25]CAS登録番号 1879204-53-1
【文献】REGISTRY(STN)[online],2016年02月29日,[検索日 2021.06.25]CAS登録番号 1876064-47-9
【文献】REGISTRY(STN)[online],2016年02月25日,[検索日 2021.06.25]CAS登録番号 1873916-13-2
【文献】REGISTRY(STN)[online],2016年02月24日,[検索日 2021.06.25]CAS登録番号 1872713-26-2
【文献】REGISTRY(STN)[online],2016年02月19日,[検索日 2021.06.25]CAS登録番号 1870739-04-0
【文献】REGISTRY(STN)[online],2016年02月15日,[検索日 2021.06.25]CAS登録番号 1866538-96-6
【文献】REGISTRY(STN)[online],2016年02月05日,[検索日 2021.06.25]CAS登録番号 1860747-76-7
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
A61P
C07F
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

[式中、
1Aは、水素、C1~3アルキル、複素環、またはR1Aが結合している窒素と一緒に形成されたホスホロアミデートから選択され、
1Bは、水素、C1~3アルキル、複素環、またはR1Bが結合している窒素と一緒に形成されたホスホロアミデートから選択され、
は、ヒドロキシル基で置換されている、C1~8アルキルである]
の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物であって、
ただし、前記化合物は、R1AおよびR1Bの両方が水素である化合物を除く、化合物、またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物。
【請求項2】
1Aおよび/またはR1Bがメチルであり、Rがヒドロキシル基で置換されているC-アルキルである、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物。
【請求項3】
請求項1または2に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物を、1種または複数種の薬学的に許容可能な添加剤、希釈剤または担体とともに含む医薬組成物。
【請求項4】
薬剤として使用するための、請求項1または2に記載の式(I)の化合物、もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または請求項3に記載の、前記式(I)の化合物、もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物を含む医薬組成物。
【請求項5】
以下からなる群より選択される化合物:
【化2】

またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物。
【請求項6】
請求項に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物を、1種または複数種の薬学的に許容可能な添加剤、希釈剤または担体とともに含む医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピリミジンプロドラッグ誘導体、ならびにウイルス感染症、免疫異常およびがんの処置における、またはワクチンアジュバントとしての、前記ピリミジンプロドラッグ誘導体の使用であって、それにより、ヘルパーT1(Th1)免疫応答の誘導が望まれる使用に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、慢性B型肝炎(HBV)の処置において、感染した器官内で、ウイルスに特異的な疲弊したCD8T細胞を再活性化するためのTh1応答は、きわめて有益となるであろう(Science 1999,284,825-829;J.Virol.2003,77,68-76)。このような応答は、特にToll様受容体(TLR)、例えば、TLR3、4、7、8および9などを刺激することにより、自然免疫系によって誘導される(Clin.Transl.Immunol.2016,5(5):e85)。TLR8アゴニストは、ヒト細胞における最強のTh1応答の1つを、IL-12p70の分泌、ならびにCD40またはOX40Lの各活性化マーカーの上方制御、および間接的にはIFNγの上方制御によって誘導し(J Immunol.2006,176(12):7438-46;Hum Immunol.2011 Jan;72(1):24-31;J Leukoc Biol.2012,91(1):105-17)、このことは、慢性HBVを処置するためのTLR8アゴニストのex vivoでの潜在能力を示している(PLoS Pathog.2013,9,e1003208;J.Exp.Med.2014,211,2047-2059;PLoS Path.2013,9,e1003490;PLoS Pathog.2014,10,e1004210)。
【0003】
唯一のTLR8アゴニストは、皮下注射により投与されるものであり、現在、がんに適用するために開発中である(Clin.Cancer Res.2014,20,3683;Cancer Immunol.Immunother.2013,62,1347;国際公開第2012/045089号パンフレット。米国特許出願公開第20080234251号明細書、米国特許出願公開第20100029585号明細書も参照されたい)。したがって、慢性HBVなどの感染症を処置するための経口投与可能なTLR8アゴニストが強く求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明によれば、式(I)
【化1】


[式中、
1Aは、水素、置換または非置換のC1~3アルキル、複素環、または置換もしくは非置換のホスホロアミデートから選択され、
1Bは、水素、置換または非置換のC1~3アルキル、複素環、または置換もしくは非置換のホスホロアミデートから選択され
は、任意選択的にヒドロキシル基で置換されている、C1~8アルキルである]
の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物もしくは多形体(ただし、前記化合物は、R 1A およびR 1B の両方が水素である化合物を除く)が提供される。
【0005】
本発明は、医薬化合物のプロドラッグ組成物に関する。本医薬化合物は、50%以下のバイオアベイラビリティおよび100~1000ダルトンの範囲の分子量を特徴とする。また、前記プロドラッグを個体に経口投与するステップを含む、個体に医薬化合物を送達する方法も記載される。プロドラッグ部分は医薬化合物に結合しており、この修飾により、TLR8アゴニストの潜在能力を減弱することが可能になる。プロドラッグは、肝臓の部位の手前または肝臓の部位で、酵素により切断されて医薬化合物をもたらし、このため、医薬化合物は肝臓の手前でのTLR8の活性化作用を制限しながら個体に送達される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の実施形態では、本発明は、R1Aおよび/またはR1Bが、置換または非置換のホスホロアミデートであり、Rが、C1~6アルキルであり、好ましくはヒドロキシル基で置換されている、式(I)の化合物を提供する。
【0007】
第2の実施形態では、本発明は、R1Aおよび/またはR1Bがメチルであり、Rがヒドロキシル基で置換されているC-アルキルである、式(I)の化合物を提供する。
【0008】
任意の立体化学形態の式(I)の化合物、およびその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物または多形体は、医薬品として、特にインターフェロンの誘導物質として活性を有する。
【0009】
したがって、さらなる態様において、本発明は、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物もしくは多形体を、1種または複数種の薬学的に許容可能な添加剤、希釈剤または担体とともに含む医薬組成物を提供する。
【0010】
さらに、本発明による式(I)の化合物、もしくはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物もしくは多形体、または前記式(I)の化合物、もしくはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物もしくは多形体を含む医薬組成物は、薬剤として使用することができる。
【0011】
本発明の別の態様は、式(I)の化合物、もしくはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物もしくは多形体、または前記式(I)の化合物、もしくはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物もしくは多形体を含む前記医薬組成物が、インターフェロンの誘導が関与する障害の処置に相応に使用され得ることである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
「アルキル」という用語は、特定の数の炭素原子を含有する直鎖状または分枝鎖状の飽和脂肪族炭化水素を指す。
【0013】
「複素環」は、飽和または部分的に飽和した分子を指し、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジオキサンまたは他の環状エーテルを含む。窒素を含有する複素環としては、例えば、アゼチジン、モルホリン、ピペリジン、ピペラジンおよびピロリジンなどが挙げられる。他の複素環としては、例えば、チオモルホリン、ジオキソリニルおよび環状スルホンが挙げられる。
【0014】
式(I)の化合物の薬学的に許容可能な塩としては、その酸付加塩および塩基塩が挙げられる。好適な酸付加塩は、非毒性塩を形成する酸から形成される。好適な塩基塩は、非毒性塩を形成する塩基から形成される。
【0015】
本発明の化合物はまた、非溶媒和形態および溶媒和形態で存在してもよい。本明細書では「溶媒和物」という用語は、本発明の化合物と、1種または複数種の薬学的に許容可能な溶媒分子、例えば、エタノールとを含む分子複合体を表すために使用される。
【0016】
「多形体」という用語は、本発明の化合物が2つ以上の形態または結晶構造で存在できることを指す。
【0017】
本発明の化合物は、結晶質または非晶質の製品として投与されてもよい。それらは、沈澱、結晶化、凍結乾燥、噴霧乾燥または蒸発乾燥などの方法によって、例えば、固体プラグ、粉末またはフィルムとして得ることができる。それらは、単独で、または本発明の1種または複数種の他の化合物と組み合わせて、もしくは1種または複数種の他の薬物と組み合わせて投与されてもよい。一般に、それらは、1種または複数種の薬学的に許容可能な添加剤を伴う製剤として投与されることになる。本明細書では「添加剤」という用語は、本発明の化合物以外の任意の成分を表すために使用される。添加剤の選択は、特定の投与方式、溶解性および安定性への添加剤の影響ならびに剤形の性質などの要因に大きく左右される。
【0018】
本発明の化合物またはその任意のサブグループは、投与目的のために様々な医薬品形態へ製剤化され得る。適切な組成物として、全身投与薬物用に通常使用されるすべての組成物を挙げることができる。本発明の医薬組成物を調製するために、活性成分として、特定の化合物の有効量が、任意選択的に付加塩形態で、薬学的に許容可能な担体と組み合わされて均質混合物にされ、この担体は、投与に所望される製剤の形態に応じて多種多様な形態をとり得る。これらの医薬組成物は、例えば、経口、経直腸または経皮投与に好適な単一の剤形であることが望ましい。例えば、組成物を経口剤形に調製する際に、例えば、懸濁剤、シロップ剤、エリキシル剤、乳剤および液剤などの経口液体製剤の場合には、水、グリコール類、油およびアルコールなど;または散剤、丸剤、カプセル剤および錠剤の場合には、デンプン、糖、カオリン、希釈剤、滑沢剤、結合剤および崩壊剤などの固体担体など、通常の医薬媒体のいずれでも使用することができる。錠剤およびカプセル剤は、その投与が容易であるため、最も有利な経口単位剤形であり、その場合、固体医薬担体が当然使用される。使用の直前に液状形態に変換することができる固形製剤もまた含まれる。経皮投与に好適な組成物の場合、担体は、任意選択的に浸透促進剤および/または好適な湿潤剤を、任意選択的に少ない割合の任意の性質の好適な添加物と組み合わせて含み、これらの添加物は、有意な有害作用を皮膚に及ぼすものではない。前記添加物は、皮膚への投与を容易にすることができ、および/または所望の組成物を調製するのに役立ち得る。これらの組成物は、様々な方法で、例えば、経皮貼付剤として、スポット・オン剤として、軟膏剤として投与することができる。本発明の化合物はまた、吸入または吹送による投与のために当該技術分野において使用される方法および製剤を用いて、吸入または吹送によって投与することもできる。したがって、一般に、本発明の化合物は、溶液、懸濁液または乾燥粉末の形態で肺に投与することができる。
【0019】
投与を容易にし、投与量を均一にするために、前述の医薬組成物を単位剤形に製剤化することはとりわけ有利である。本明細書で使用される単位剤形とは、単位投与量として好適である物理的に個別の単位を指し、各単位は、必要な医薬担体と共同して所望の治療効果を生じるように計算された所定量の活性成分を含有する。そのような単位剤形の例は、錠剤(分割錠剤またはコーティング錠剤を含む)、カプセル剤、丸剤、粉末パケット、ウエハー、坐剤、注射液または懸濁剤など、およびそれらの分離複合剤である。
【0020】
感染症の処置の当業者は、本明細書で以下に示される試験結果から有効量を決定することができるであろう。一般に、有効な1日量は、0.01mg/kg体重~50mg/kg体重、より好ましくは0.1mg/kg体重~10mg/kg体重であろうと考えられる。必要な用量を2、3、または4以上のサブ用量として、一日の間に適切な間隔をおいて投与することが適切な場合がある。前記サブ用量は、例えば、単位剤形当たり1~1000mg、特に5~200mgの活性成分を含有する単位剤形として製剤化され得る。
【0021】
正確な投与量および投与頻度は、当業者に周知のとおり、使用される式(I)の特定の化合物、処置される特定の病態、処置される病態の重症度、特定の患者の年齢、体重および全身的な身体状態、ならびに個体が摂取している場合がある他の薬に依存する。さらに、有効量は、処置された対象の応答に応じて、および/または本発明の化合物を処方する医師の評価に応じて、減少または増加してもよいことは明らかである。したがって、上記の有効量の範囲は指針であるに過ぎず、本発明の範囲または使用をいかなる程度であれ限定するものではない。
【実施例
【0022】
実験の部
2および3の調製
【化2】

密閉容器中で、クロロリン酸ジエチル(0.3mL、2.08mmol)を、1(1の合成については国際公開第2012/136834号パンフレットを参照)(0.5g、2.08mmol)のCHCl(20mL)中懸濁液に、室温で5分間滴加し、次いで、EtN(0.38mL、2.71mmol)を滴加した。反応混合物を55℃まで加熱した。減圧下で溶媒を除去した。粗製物を逆相クロマトグラフィーにより精製した。最初の精製(95%[0.1%HCOOH]-5%[CHCN:CHOH 1:1]で開始し、0%[0.1%HCOOH]-100%[CHCN:CHOH 1:1で終了)。2番目の精製(81%[25mM NHHCO]-19%[100%CHCN]で開始し、45%[25mM NHHCO]-55%[100%CHCN]で終了。最良の画分をプールし、溶媒を除去して化合物を得た:
2,LC-MS ES m/z=377.1;Rt.2.01min,方法A.[α] 23 +7.6(c 0.64,MeOH).mp 161.4℃.H NMR(300MHz,CDOD)δ ppm 0.91(m,3H),1.26-1.43(m,10H),1.57(m,1H),1.67(m,1H),3.60(d,J=5.1Hz,2H),3.82(s,3H),4.13(m,4H),4.24(m,1H),7.41(s,1H).
3,LC-MS ES m/z=513.0;Rt.2.49min,方法A.[α] 23 +32.1(c 0.29,MeOH).H NMR(300MHz,CDOD)δ ppm 0.91(m,3H),1.22-1.44(m,16H),1.68(m,2H),3.83(s,3H),3.98-4.24(m,10H),4.41(m,1H),7.46(s,1H).
【0023】
5の調製
【化3】

ジメチルアミン(6.67mL、132.8mmol)とヨウ化銅(I)(19.28mg、0.13mmol)との水溶液を、(R)-2-((2-クロロ-5-メトキシピリミジン-4-イル)アミノ)ヘキサン-1-オール(合成については国際公開第2012/136834号パンフレットを参照)(500mg、1.92mmol)の1,4-ジオキサン(5mL)中溶液に、スチール反応器中で添加した。反応混合物を160℃まで終夜加熱した。反応生成物を冷却し、充填したCeliteで濾過し、溶媒を蒸発乾固して粗製物を得、これをシリカゲルのカラムクロマトグラフィーにより精製して、(R)-2-((2-(ジメチルアミノ)-5-メトキシピリミジン-4-イル)アミノ)ヘキサン-1-オール(250mg、0.93mol)を得た。LC-MS ES m/z=269.1;Rt:2.00min,方法A.H NMR(300MHz,CDOD)δ 0.90(m,3H),1.25-1.47(m,4H),1.58(m,1H),1.67(m,1H),3.05(s,6H),3.61(m,2H),3.77(s,3H),4.21(m,1H),7.35(br s,1H).[α] 23 -8.25(c 0.64,CHOH).mp 86.1℃
【0024】
6の調製
【化4】

合物6は、メチルアミンを使用したことを除いては5を調製する手順と類似の手順で調製した。LC-MS ES m/z=255.1;Rt:1.85min,方法A.H NMR(300MHz,CDOD)δ ppm 0.91(m,3H),1.26-1.44(m,4H),1.56(m,1H),1.66(m,1H),2.81(s,3H),3.60(m,2H),3.76(s,3H),4.18(m,1H),7.32(br s,1H).[α] 23 +1.8(c 0.59,CHOH).mp 86.1℃
【0025】
8の調製
【化5】

工程1。7の調製。TBDMSCl(7.53g、49.9mmol)を、1(10.0g、41.6mmol)とEtN(11.6mL、83.2mmol)とのDMF(120mL)中溶液に添加した。この混合物を室温で70時間撹拌した。EtOAcと、NaHCOの10%水溶液とをこの溶液に注ぎ入れた。層を分離し、有機層をブラインで洗浄した(2回)。有機層をMgSOで脱水し、固体を濾過により除去し、濾液の溶媒を減圧下で除去して橙色油状物を得、シリカカラムクロマトグラフィーにより、次の勾配(CHClが100%から90%へ、CHOH(NHの5%水溶液を含む)が0から10%へ)を使用して精製し、7を無色油状物として得た。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ ppm 0.01(s,6H),0.80-0.88(m,12H),1.17-1.34(m,4H),1.45(m,1H),1.61(m,1H),2.48-2.52(m,12H),3.49(dd,J=10.00,6.50Hz,1H),3.58(dd,J=10.00,4.70Hz),3.66(s,3H),4.09(m,1H),5.44(s,2H),5.84(d,J=9.09Hz,1H),7.37(s,1H).LC-MS ES m/z=355.1,Rt:3.76,方法:B).[α] 20 +53.33(c 0.3,DMF).
【0026】
工程2。N下にて、ビス(2-オキソ-3-オキサゾリジニル)ホスフィン酸クロリド(1.05g、4.11mmol)を、((ヒドロキシホスホリル)ビス(オキシ))ビス(メチレン)ビス(2,2-ジメチルプロパノエート)(1.61g、4.93mmol)とDIPEA(2.83mL、16.4mmol)との無水2-メチルテトラヒドロフラン/DMF(20mL/14.5mL)中溶液に少しずつ添加した。この混合物を室温で2時間撹拌した。
【0027】
工程3。次いで、7(729mg、2.06mmol)の無水2-メチルテトラヒドロフラン(17mL)中溶液を添加し、この混合物を室温で2時間撹拌した。反応混合物をEtOAcおよび水で希釈し、有機層をブラインで洗浄し(2回)、MgSOで脱水し、固体を濾過により除去し、濾液の溶媒を減圧下で除去し、次いで、シリカカラムクロマトグラフィーにより、移動相の勾配(ヘプタン/EtOAc(80/20から0/100へ))を使用して精製し、290mgの8を無色油状物として得た。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ ppm 0.84(t,J=6.82Hz,3H),1.12(s,18H),1.18-1.34(m,4H),1.41-1.65(m,2H),3.42(m,2H),3.74(s,3H),4.03(m,1H),4.61(t,J=5.56Hz,1H),5.60(m,4H),6.44(s,1H),7.45(s,1H),8.77(m,1H).LC-MS ES m/z=547.6,Rt:3.02,方法:B
【0028】
(2R)-2-((5-メトキシ-2-((テトラヒドロフラン-2-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)アミノ)ヘキサン-1-オール(9)の調製
【化6】

シュレンクフラスコ中で、DOWEX(商標)50WX2(100-200メッシュ)樹脂(1スパチュラ)を、1(4g、11.3mmol)と2,3-ジヒドロフラン(1031μL、13.5mmol、1.2当量)との無水ジクロロエタン(99mL)中混合物に室温で添加した。この混合物を80℃で20時間撹拌した。追加の2,3-ジヒドロフラン(688μL、9.03mmol、0.8当量)を添加し、この混合物を80℃で20時間撹拌した。抽出をCHClおよび水で行い、層を分離した。有機層をMgSOで脱水し、濾過し、溶媒を減圧下で除去して、表題化合物を得た。
H NMR(400MHz,DMSO-d)δ ppm 0.84(t,J=6.57Hz,3H),1.18-1.33(m,4H),1.46(m,1H),1.58(m,1H),1.74(m,2H),1.96(m,2H),3.41(m,2H),3.61(m,1H),3.64-3.73(m,4H),4.04(m,1H),4.65(t,J=5.31Hz,1H),5.73(m,1H),6.00(d,J=9.09Hz,1H),6.54(m,1H),7.42(s,1H).LC-MS ES m/z=311.3,Rt:2.30,方法:B)
【0029】
(2R)-2-((5-メトキシ-2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)アミノ)ヘキサン-1-オール(10)の調製
【化7】

化合物10は、3,4-ジヒドロ-2H-ピランを使用したことを除いては、9を調製する手順に従って調製した。
H NMR(400MHz,DMSO-d)δ ppm 0.85(m,3H),1.17-1.66(m,12H),1.82(br d,J=4.55Hz,1H),3.35-3.50(m,3H),3.70(s,3H),3.77(m,1H),4.02(m,1H),4.66(m,1H),5.01(m,1H),6.02(d,J=8.59Hz,1H),6.46(t,J=10.11Hz,1H),7.43(m,1H).LC-MS ES m/z=325.1,Rt:2.45,方法:B)
【0030】
分析方法。
【0031】
【表1】
【0032】
裏付けとなるADMEデータ。
固有クリアランス(CLint)。CLintは、ラットおよびヒトの肝ミクロソームで測定した。インキュベートは、37℃、化合物の濃度1μM、およびミクロソームのタンパク質濃度1mg/mLで行った。間隔をおきながら60分まで連続サンプルを取り、化合物の濃度を分析して、その固有クリアランス速度を決定した。化合物を、ラットおよびヒトの肝細胞(10細胞/mL)中、1μMで、0、10、20、40、60および120分間インキュベートした。間隔をおきながら120分まで連続サンプルを取り、化合物の濃度を分析して、その固有クリアランス速度を決定した。
【0033】
in vitroでの透過性および排出。in vitroでの透過性およびP-糖タンパク質(P-gp)により輸送される潜在能力は、ヒトMDR1(P-糖タンパク質)をトランスフェクトしたMDCK細胞株を使用して決定した。化合物を、MDCK-MDR1細胞のコンフルエントな単層の頂端側(A)または基底側(B)に添加した。GF120918の非存在下および存在下でのA→B方向における、およびGF120918の非存在下でのB→A方向における透過性を、特定のLC-MS/MS法を使用して、膜の反対側に試験化合物が現れるのをモニターすることにより、測定した。排出比(efflux ratio)(B→A-GF120918/A→B-GF120918)を計算して、試験化合物がP-gpの基質であるかどうかを決定した。
【0034】
血漿安定性。血漿安定性を、ラットおよびヒトの血漿の中で37℃にて7時間または24時間測定する。化合物を1μMでインキュベートする。インキュベートは、24ウェルプレート中で手作業にて行い、様々な時点で連続サンプル(100μL)を取ってからアセトニトリルでクエンチする。
【0035】
サンプルは、LC-MS/MS(内部標準なし)により分析した。各時点の残存パーセンテージをt=0試料の平均ピーク面積に対して計算する。それらのデータから半減期(t1/2、単位は時間)を計算する。
【0036】
SGF安定性およびFASSIF安定性。ペプシンの存在下、模擬胃液(SGF)中で、ならびにパンクレアチンおよびエステラーゼを添加した絶食時模擬腸液(FASSIF)中で、プロドラッグの安定性を測定した。試験化合物はin vitroで2時間までインキュベートし、サンプルを様々な時点で採取した。サンプルは、LC-MS/MSにより親化合物の消滅について分析した。各時点の残存パーセンテージをt=0試料の平均ピーク面積に対して計算する。それらのデータから半減期(t1/2、単位は時間)を計算する。
【0037】
ラットにおける薬物動態。プロドラッグは、水溶液を使用し、5mg/kg当量の用量でSDラットに経口投与した。血漿サンプルを様々な時点で採取し、親およびプロドラッグの濃度を、LC-MS/MSを使用して分析した。PKパラメーターを、Phoenix WinNonlin 6.3を使用して計算した。Cmax(ng/mL)およびAUC(0-last)(ng.h/mL)を、プロドラッグおよび親の両方について決定した。
【0038】
【表2】
【0039】
【表3】
【0040】
【表4】
【0041】
【表5】


本発明は、以下の態様を包含し得る。
[1]
式(I)
【化8】


[式中、
1Aは、水素、置換または非置換のC1~3アルキル、複素環、または置換もしくは非置換のホスホロアミデートから選択され、
1Bは、水素、置換または非置換のC1~3アルキル、複素環、または置換もしくは非置換のホスホロアミデートから選択され
は、任意選択的にヒドロキシル基で置換されている、C1~8アルキルである]
の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物もしくは多形体であって、
ただし、前記化合物は、R 1A およびR 1B の両方が水素である化合物を除く、化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物もしくは多形体
[2]
1Aおよび/またはR1Bが、置換または非置換のホスホロアミデートであり、Rが、C1~6アルキルであり、好ましくはヒドロキシル基で置換されている、上記[1]に記載の化合物。
[3]
1Aおよび/またはR1Bがメチルであり、Rがヒドロキシル基で置換されているC-アルキルである、上記[1]に記載の化合物。
[4]
上記[1]~[3]のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物もしくは多形体を、1種または複数種の薬学的に許容可能な添加剤、希釈剤または担体とともに含む医薬組成物。
[5]
薬剤として使用するための、上記[1]~[3]のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、もしくはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物もしくは多形体、または上記[4]に記載の、前記式(I)の化合物、もしくはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物もしくは多形体を含む医薬組成物。
[6]
インターフェロンの誘導が関与する障害の処置に使用するための、上記[1]~[3]のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、もしくはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物もしくは多形体、または上記[4]に記載の、前記式(I)の化合物、もしくはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物もしくは多形体を含む医薬組成物。