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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-08
(45)【発行日】2023-05-16
(54)【発明の名称】冷蔵ショーケース
(51)【国際特許分類】
   F25D 21/14 20060101AFI20230509BHJP
   A47F 3/04 20060101ALI20230509BHJP
   F25D 23/00 20060101ALI20230509BHJP
【FI】
F25D21/14 P
A47F3/04 B
F25D23/00 302J
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020152883
(22)【出願日】2020-09-11
(65)【公開番号】P2022047138
(43)【公開日】2022-03-24
【審査請求日】2022-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000239585
【氏名又は名称】フクシマガリレイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148138
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡
(72)【発明者】
【氏名】藤丸 猛士
【審査官】西山 真二
(56)【参考文献】
【文献】特開平2-93278(JP,A)
【文献】特開平2-93279(JP,A)
【文献】実開昭57-81385(JP,U)
【文献】特開2008-111609(JP,A)
【文献】特開2005-308247(JP,A)
【文献】実開平2-106573(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47F 3/04
F25D 21/14
F25D 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部に商品が収納される商品展示室(2)、下部に蒸発器(15)と蒸発器ファン(16)とが収容された熱交換室(3)を備える本体ケース(1)と、
本体ケース(1)の内部を商品展示室(2)と熱交換室(3)とに区分する底壁(20)と、
底壁(20)の前方側に設けられて、商品展示室(2)内の庫内空気を熱交換室(3)内に吸い込む吸込口(21)と、
底壁(20)の後方側に設けられて、蒸発器(15)により生成された冷却空気を商品展示室(2)に向かって吹き出す冷気吹出口(22)と、
蒸発器(15)と冷気吹出口(22)との間の冷気通路(25)の底部に段落ち状に凹み形成されて、蒸発器(15)のドレン水を受け止める排水溝(26)と、
排水溝(26)に配置されてドレン水を含浸保持する吸水体(27)と、
を備え、
吸水体(27)の上端が、蒸発器(15)の後面に形成された冷気送出口(15a)の下端よりも下方側に位置していることを特徴とする冷蔵ショーケース。
【請求項2】
排水溝(26)の上面が、左右方向の溝側端に向かって下り傾斜する傾斜壁(29)で形成されており、この傾斜壁(29)の上面に吸水体(27)が配置されており、
排水溝(26)の傾斜下端部に、排水溝(26)に沿って流下したドレン水を本体ケース(1)の底部へ流下させるドレン穴(30)が配置されている、請求項1に記載の冷蔵ショーケース。
【請求項3】
吸水体(27)の前後幅(L1)が、排水溝(26)の前後幅(L2)より小さく設定されており、
吸水体(27)は排水溝(26)の後縁に沿って配置されており、吸水体(27)の前縁と排水溝(26)の前縁との間の溝底にドレン水の流下を促す排水壁(32)が露出されている、請求項1または2に記載の冷蔵ショーケース。
【請求項4】
吸水体(27)が横長四角形状の複数個の単位吸水体(27a)を隣接配置して構成されており、
隣接する単位吸水体(27a)の間に、ドレン水の流動を許す隙間(E)が形成されている請求項2または3に記載の冷蔵ショーケース。
【請求項5】
単位吸水体(27a)が、抗菌加工および防臭加工が施された不織布製の吸水シート(35)と、吸水シート(35)を保形する保形枠(36)とで構成されている請求項4に記載の冷蔵ショーケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーキ、調理済み食品、肉類などを展示販売する対面販売用の冷蔵ショーケースに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のショーケースでは、蒸発器で冷却された冷気を、熱交換室と商品展示室との間で循環させて、商品展示室の内部を低温の状態に維持する。そのため、循環空気が蒸発器を通過する際に、循環空気に含まれた水分が蒸発器の放熱フィンや冷媒管に接触して液化され、その分だけ商品展示室の湿度が低下し、陳列棚上の展示商品が乾燥するおそれがある。こうした、商品展示室における湿度低下を防ぐために、特許文献1のショーケースでは、蒸発器を収容する熱交換室の底面部に、蒸発器のドレン水(結露水や除霜水)を吸収する吸水体(吸水部材)を設け、吸水体に吸収されたドレン水を循環空気で蒸散させて、商品展示室の湿度が低下するのを防止している。吸水体は、多孔質成形体、詳しくは、粒径が5~800μmの熱反応型フェノール系高機能熱硬化性樹脂(例えばユニチカ株式会社製のユニベックス)を、50~160℃で焼結して製造された、多数の気孔(気孔率35%程度)を持つ親水性の焼結成形体からなる。吸水体は熱交換室の底壁の全面にわたって敷詰められている。
【0003】
本出願人も同様の加湿構造を備えた冷蔵ショーケースを先に提案している(特許文献2)。この特許文献2の冷蔵ショーケースでは、蒸発器の下部に結露水を受けるドレンパンを設け、このドレンパンに浸漬した吸水体を、蒸発器から物品収納室(商品展示室)の間の空気供給路に面して配置している。吸水体は、発泡プラスチックシートで四角形状に形成されており、4辺部のうちのひとつの辺部のみが、ドレンパン内のドレン水に浸漬されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平02-93278号公報
【文献】実開平02-106573号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のショーケースによれば、蒸発器から滴下するドレン水を吸水体で吸収し、吸水体に吸収されたドレン水を循環空気で蒸散させて、商品展示室の湿度が低下するのを防止できる。しかし、吸水体が熱交換室の底壁の全面にわたって敷詰められており、より多くの除霜水を吸水体に含浸させることができるものの、蒸発器から吹出された循環空気の大半が吸水体に吹付けられるため、必要以上にドレン水が蒸散されて商品展示室の湿度が一気に上昇しやすい。逆に、吸水体における含水量が低下すると、商品展示室の湿度が一気に低下する。このように、特許文献1の構成では、安定的に吸水体に由来する蒸散作用が得られない点に改良の余地があった。
【0006】
特許文献2の冷蔵ショーケースにおいても同様であり、四角形状に形成された吸水体は、4辺部のうちのひとつの辺部のみがドレン水に浸漬させてあるだけであり、さらに、蒸発器から吹出された循環空気の殆どが吸水体に吹付けられるため、吸水体の上半部側が常に乾燥した状態になって蒸散作用が発揮されないおそれがあり、安定的に吸水体に由来する蒸散作用が得られない点に改良の余地があった。
【0007】
本発明の目的は、蒸発器を収容する熱交換室の底面部に、蒸発器のドレン水を吸収する吸水体が設けられた冷蔵ショーケースにおいて、当該吸水体に由来するドレン水の蒸散作用がより安定的に発揮されるようにして、商品展示室の湿度変動を抑えることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の冷蔵ショーケースは、上部に商品が収納される商品展示室2、下部に蒸発器15と蒸発器ファン16とが収容された熱交換室3を備える本体ケース1と、本体ケース1の内部を商品展示室2と熱交換室3とに区分する底壁20と、底壁20の前方側に設けられて、商品展示室2内の庫内空気を熱交換室3内に吸い込む吸込口21と、底壁20の後方側に設けられて、蒸発器15により生成された冷却空気を商品展示室2に向かって吹き出す冷気吹出口22と、蒸発器15と冷気吹出口22との間の冷気通路25の底部に段落ち状に凹み形成されて、蒸発器15のドレン水を受け止める排水溝26と、排水溝26に配置されてドレン水を含浸保持する吸水体27とを備える。そして、吸水体27の上端が、蒸発器15の後面に形成された冷気送出口15aの下端よりも下方側に位置していることを特徴とする。
【0009】
排水溝26の上面が、左右方向の溝側端に向かって下り傾斜する傾斜壁29で形成されており、この傾斜壁29の上面に吸水体27が配置されており、排水溝26の傾斜下端部に、排水溝26に沿って流下したドレン水を本体ケース1の底部へ流下させるドレン穴30が配置されている。
【0010】
吸水体27の前後幅L1が、排水溝26の前後幅L2より小さく設定されており、吸水体27の前縁と、排水溝26の前縁の間の溝底にドレン水の流下を促す排水壁32が露出されている。
【0011】
吸水体27が横長四角形状の複数個の単位吸水体27aを隣接配置して構成されており、隣接する単位吸水体27aの間に、ドレン水の流動を許す隙間Eが形成されている。
【0012】
単位吸水体27aが、抗菌加工および防臭加工が施された不織布製の吸水シート35と、吸水シート35を保形する保形枠36とで構成されている。
【発明の効果】
【0013】
本発明においては、底壁20の後方側に、蒸発器15により生成された冷却空気を商品展示室2に向かって吹き出す冷気吹出口22を形成し、これら蒸発器15と冷気吹出口22との間の冷気通路25の底部にドレン水を受け止める排水溝26を段落ち状に凹み形成し、この排水溝26にドレン水を含浸保持する吸水体27を配置する。さらに、本発明においては、吸水体27の上端を、蒸発器15の後面に形成された冷気送出口15aの下端よりも下方側に位置させる。このように吸水体27の上端を、蒸発器15の後面に形成された冷気送出口15aの下端よりも下方側に位置させていると、蒸発器15により生成されて冷気送出口15aより送出される冷却空気が、吸水体27に直接的に吹き付けられることを防ぐことができるので、吸水体27の蒸散作用が過剰となること、或いは吸水体27が乾燥して蒸散作用を発揮できなくなることを効果的に防ぐことができる。以上より、本発明によれば、吸水体27に由来する蒸散作用をより安定的に発揮させることができるので、商品展示室2の湿度変動を抑えることができる。
【0014】
排水溝26の上面が左右方向の溝側端に向かって下り傾斜する傾斜壁29で形成され、この傾斜壁29の上面に吸水体27が配置されるとともに、排水溝26の傾斜下端部に、排水溝26に沿って流下したドレン水を本体ケース1の底部へ流下させるドレン穴30が配置されていると、余分なドレン水を傾斜壁29に沿って流下させ、ドレン穴30から本体ケース1の底部へ排出することにより、吸水体27にドレン水が過剰に含浸されるのを防ぐことができる。したがって、吸水体27の含浸度合いを適度なものにして、適度の水分を含んだ冷却空気を商品展示室2に送給できる。また、特に除霜運転時には結露水に比べて大量の除霜水が排水溝26に流下するが、その場合でも、これら除霜水を傾斜壁29に沿って流下させることにより、余分な除霜水をドレン穴30から確実に排出することができる。
【0015】
吸水体27の前後幅L1が排水溝26の前後幅L2より小さく設定され、吸水体27の前縁と、排水溝26の前縁の間の溝底にドレン水の流下を促す排水壁32が露出されていると、排水溝26に流下したドレン水の一部を排水壁32に沿って速やかに流下させることができるので、吸水体27にドレン水が過剰に含浸されるのをさらに確実に防ぐことができる。したがって、特に除霜運転時のドレン水をさらに速やかに排水できる。
【0016】
横長四角形状の複数個の単位吸水体27aを隣接配置して吸水体27が構成され、隣接する単位吸水体27aの間に、ドレン水の流動を許す隙間Eが形成されていると、例えば吸水体27に食品くずが付着するなどで汚れた場合であっても、該当する単位吸水体27aのみを交換すればよく、メンテナンスの手間を少なくすることができる。また、隣接する単位吸水体27aの間に隙間Eが形成されているので、傾斜壁29や排水壁32に沿って流下するドレン水の一部を隙間Eに流入させて、傾斜下部側に位置する単位吸水体27aに効率的に含浸させることができる。
【0017】
単位吸水体27aが、抗菌加工および防臭加工が施された不織布製の吸水シート35と、吸水シート35を保形する保形枠36で構成されていると、吸水シート35にカビが発生し、あるいは雑菌が繁殖するのを防止して、単位吸水体27aを長期にわたって衛生的な状態に保持できる。また、自己保形性に欠ける吸水シート35を保形枠36で保形するので、吸水シート35の表面面積を常に一定にして、一定量のドレン水を含浸保持することができるうえ、吸水シート35の蒸散作用を一定にできる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施例に係る冷蔵ショーケースの要部の縦断側面図である。
図2】冷蔵ショーケースの縦断側面図である。
図3】熱交換室の横断平面図である。
図4図3におけるA-A線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(実施例)
本発明に係る冷蔵ショーケースの実施例を図1ないし図4に示す。本実施例における前後、左右、上下とは、図2および図3に示す交差矢印と、矢印の近傍の前後、左右、上下の表記に従う。図2に示すように冷蔵ショーケースは、横長の断熱箱からなる本体ケース1を有し、本体ケース1の内部に商品展示室2と熱交換室3が区画され、熱交換室3の下側に機械室4が区画されている。商品展示室2の前面は湾曲する複層構造の透明なガラス壁5で覆われており、後面の商品出入口6にはスライド開閉可能なドア7が配置されている。商品展示室2の内部には、展示商品を載置する展示棚8が設けられ、商品展示室2の上壁には照明器具9が配置されている。
【0020】
商品展示室2の内部を冷却する冷却ユニット11は、機械室4の内部に配置される圧縮機12、凝縮器13、および凝縮器ファン14と、熱交換室3の内部に配置される蒸発器15および蒸発器ファン16などで構成される。商品展示室2と熱交換室3は、商品展示室2の底面の断熱壁(底壁)20で区分されており、同壁20の前縁に沿って循環空気の吸込口21が開口され、同壁20の後縁に沿ってルーバー構造の冷気吹出口22が設けられている。熱交換室3の底壁3aは、本体ケース1の後端側へ向かって下り傾斜されている。
【0021】
蒸発器ファン16の送風作用で商品展示室2から熱交換室3に導入された庫内空気は、蒸発器ファン16で加圧されたのち、蒸発器15を通過する間に冷却されて冷却空気とされて冷気吹出口22から商品展示室2へ吹出される。図3に示すように、蒸発器15は横長直方体状に形成されており、その前面側に設けた区分壁23に4個の蒸発器ファン16が配置されている。機械室4の前部には、複層構造のガラス壁5の間に曇止め空気を送給する曇止めファン17が配置されている。機械室4においては、後壁から導入された空気が凝縮器ファン14で加圧されたのち凝縮器13を通過する間に熱を奪い、前壁のルーバー構造24から床面に向かって排出される。
【0022】
蒸発器15と冷気吹出口22の間の冷気通路25の底部には、蒸発器15で発生した結露水や除霜水などのドレン水を受止める排水溝26が段落ち状に凹み形成されて、同溝26の溝内にドレン水を含浸保持する吸水体27が配置されている。熱交換室3の底壁3aの後端部には、排水溝26に向かって下り傾斜する流下壁28が形成されている。排水溝26は、それぞれ左右方向に位置する溝側端に向かって緩やかに下り傾斜する左右の傾斜壁29・29で山形に形成されており、各傾斜壁29・29に吸水体27が配置されている。排水溝26の傾斜下端部には、ドレン水を本体ケース1の底部の排水トラップ(図示していない)へ流下させるドレン穴30が開口され、その下部にドレン管が接続されている(図3参照)。各傾斜壁29・29が隣接する溝頂部31は排水溝26の左右中央に位置しており、各傾斜壁29・29に流下したドレン水は、左右のドレン穴30へ向かって流下案内される。図1に示すように、ドア7を案内支持するガイドレールには、ドア7から流下する結露水を排水溝26に排出するドアドレン管33が配置されている。
【0023】
吸水体27は横長四角形状の複数個の単位吸水体27aで構成されており、この実施例では各傾斜壁29・29に単位吸水体27aを2個ずつ隣接配置して吸水体27としている。単位吸水体27aは抗菌加工および防臭加工が施された不織布シートで形成した吸水シート35と、同シート35を保形する保形枠36とで構成される。保形枠36は金属製の薄板やワイヤー、あるいはプラスチック成型品で形成される。図1に示すように、吸水体27の前後幅L1は、排水溝26の前後幅L2より小さく設定されており、左右の吸水体27を排水溝26の後縁に沿って配置したとき、吸水体27の前縁と排水溝26の前縁の間の溝底には、ドレン水の流下を促す排水壁32が露出している。排水壁32は傾斜壁29の一部分である。また、各傾斜壁29・29に設けた吸水体27の上端は、蒸発器15の後面の冷気送出口15aの下端部より下側に配置されており、冷気送出口15aから吹出された冷却空気は吸水体27に直接的に吹付けられることがないようにしている。さらに、各傾斜壁29・29に隣接配置した単位吸水体27aの間には、ドレン水の流動を許す隙間Eが形成されるようにしている。
【0024】
冷蔵ショーケースを使用する場合には、展示棚8に商品が載置されたトレーの一群を陳列し、冷却ユニット11を作動させて、蒸発器15で冷却された冷却空気を商品展示室2に送給し、商品展示室2の内部温度を所定の温度状態(例えば4℃)に維持する。庫内空気が商品展示室2と熱交換室3の間を繰返し循環する間に、冷却空気に含まれている水分が蒸発器15の冷媒管やフィンに接触することで液化されて結露し、熱交換室3の底壁3aに滴下する。また、底壁3aに受止められた結露水は傾斜する底壁3aに沿って流下し、流下壁28から排水溝26へと排水される。排水溝26に排水された結露水は、各傾斜壁29の排水壁32に沿って流動するが、その一部は各単位吸水体27aに接触して含浸される。このとき、溝頂部31寄りで排水溝26に排水された結露水は、傾斜上部側の単位吸水体27aの前縁に沿って流下しながら単位吸水体27aに含浸される。同様に、溝頂部31から離れた位置で排水溝26に排水された結露水は、傾斜下部側の単位吸水体27aの前縁に沿って流下しながら単位吸水体27aに含浸される。さらに、一定時間おきに除霜運転を行うことで、大量の除霜水が排水溝26に排水されるので、各単位吸水体27aには十分な量の除霜水が含浸されるが、除霜水の量は結露水の量に比べて十分に多いので、除霜水の一部は隙間E内に流動して傾斜下部側の単位吸水体27aに含浸される。単位吸水体27aに含浸されなかった除霜水はドレン穴30から排出される。
【0025】
以上のように、本実施例の冷蔵ショーケースによれば、吸水体27の上端を、蒸発器15の後面に形成された冷気送出口15aの下端よりも下方側に位置させたので、蒸発器15により生成されて冷気送出口15aより送出される冷却空気が、吸水体27に直接的に吹き付けられることを防ぐことができる。これによれば、吸水体27の蒸散作用が過剰となること、或いは吸水体27が乾燥して蒸散作用を発揮できなくなることを効果的に防ぐことができるので、商品展示室2の湿度が過度に上昇すること、或いは商品展示室2の湿度が一気に低下することを防ぐことができる。したがって、この冷蔵ショーケースによれば、吸水体27に由来する蒸散作用をより安定的に発揮させることができるので、商品展示室2の湿度変動を抑えることができる。
【0026】
排水溝26の上面を左右方向の溝側端に向かって下り傾斜する傾斜壁29で形成し、この傾斜壁29の上面に吸水体27を配置するとともに、排水溝26の傾斜下端部に、排水溝26に沿って流下したドレン水を本体ケース1の底部へ流下させるドレン穴30を配置したので、余分なドレン水を傾斜壁29に沿って流下させ、ドレン穴30から本体ケース1の底部へ排出させることにより、吸水体27にドレン水が過剰に含浸されることを防ぐことができる。したがって、吸水体27の含浸度合いを適度なものにして、適度の水分を含んだ冷却空気を商品展示室2に送給できる。とくに、除霜運転時には結露水に比べて大量の除霜水が排水溝26に流下するが、その場合でも余分な除霜水を傾斜壁29に沿って流下させて、ドレン穴30から確実に排出することができる。
【0027】
吸水体27の前後幅L1を排水溝26の前後幅L2より小さく設定し、吸水体27の前縁と、排水溝26の前縁の間の溝底にドレン水の流下を促す排水壁32を露出させたので、排水溝26に流下したドレン水の一部を排水壁32に沿って速やかに流下させることができる。これにより吸水体27にドレン水が過剰に含浸されるのをさらに確実に防ぐことができるので、特に除霜運転時のドレン水をさらに速やかに排水できる。
【0028】
横長四角形状の複数個の単位吸水体27aを隣接配置して吸水体27が構成され、隣接する単位吸水体27aの間に、ドレン水の流動を許す隙間Eが形成されていると、例えば吸水体27に食品くずが付着するなどで汚れた場合であっても、該当する単位吸水体27aのみを交換すればよく、メンテナンスの手間を少なくすることができる。また、隣接する単位吸水体27aの間に隙間Eが形成されているので、傾斜壁29や排水壁32に沿って流下するドレン水の一部を隙間Eに流入させて、傾斜下部側に位置する単位吸水体27aに効率的に含浸させることができる。
【0029】
単位吸水体27aを、抗菌加工および防臭加工が施された不織布製の吸水シート35と、吸水シート35を保形する保形枠36とで構成したので、吸水シート35にカビが発生し、あるいは雑菌が繁殖するのを防止して、単位吸水体27aを長期にわたって衛生的な状態に保持できる。また、自己保形性に欠ける吸水シート35を保形枠36で保形するので、吸水シート35の表面面積を常に一定にして、一定量のドレン水を含浸保持することができるうえ、吸水シート35の蒸散作用を一定にできる。
【0030】
上記の実施例では、排水溝26を一対の傾斜壁29で山形に形成したが、その必要はなく、排水溝26の中央部に向かって下り傾斜する一対の傾斜壁29で谷形に形成することができる。その場合には、排水溝26の中央部に1個のドレン穴30を設ければよいので、その分だけ排水構造を簡素化できる。また、冷蔵ショーケースの左右幅が小さい場合には、排水溝26の一側端から他側端に向かって下り傾斜する傾斜壁29を設けて、排水溝26を形成してもよい。
【0031】
上記以外に、吸水体27は各傾斜壁29に3個以上配置してもよい。単位吸水体27aは、横長四角形状に形成する以外に横長の平行四辺形や台形に形成することができる。
【符号の説明】
【0032】
1 本体ケース
2 商品展示室
3 熱交換室
11 冷却ユニット
15 蒸発器
15a 蒸発器の冷気送出口
16 蒸発器ファン
20 底壁(断熱壁)
21 吸込口
22 冷気吹出口
25 冷気通路
26 排水溝
27 吸水体
27a 単位吸水体
29 傾斜壁
30 ドレン穴
32 排水壁
35 吸水シート
36 保形枠
L1 吸水体の前後幅
L2 排水溝の前後幅
E 単位吸水体の隣接隙間
図1
図2
図3
図4