(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-08
(45)【発行日】2023-05-16
(54)【発明の名称】塩化カリウムを有する低ナトリウム塩代替物
(51)【国際特許分類】
A23L 27/40 20160101AFI20230509BHJP
A23L 27/00 20160101ALI20230509BHJP
【FI】
A23L27/40
A23L27/00 Z
(21)【出願番号】P 2020515972
(86)(22)【出願日】2018-06-15
(86)【国際出願番号】 US2018037857
(87)【国際公開番号】W WO2019055082
(87)【国際公開日】2019-03-21
【審査請求日】2021-06-15
(32)【優先日】2017-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515137266
【氏名又は名称】エスアンドピー・イングリーディエント・ディベロップメント・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100122644
【氏名又は名称】寺地 拓己
(72)【発明者】
【氏名】ブローフィ,ジェームス・エス
(72)【発明者】
【氏名】デイビス,フランク・イー
(72)【発明者】
【氏名】チグールーパティ,サンバシバ・ラオ
(72)【発明者】
【氏名】トロッター,クリス
【審査官】安田 周史
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-007234(JP,A)
【文献】特表2016-505246(JP,A)
【文献】特開2017-158543(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0044846(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第00124254(EP,A1)
【文献】特表2009-507517(JP,A)
【文献】特表2016-518832(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 27/40
A23L 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水;
塩化カリウム及び塩化ナトリウムを含む塩化物塩;
クエン酸;及び
炭酸マグネシウム、
を含む塩代替物前駆体であって、該塩代替物前駆体のpHは2~4であり、該塩代替物前駆体は、飽和若しくは過飽和の溶液、懸濁液、又はスラリーであってキャリヤーを含まない、前記塩代替物前駆体。
【請求項2】
塩代替物前駆体のpHが3~4であ
る、請求項1に記載の塩代替物前駆体。
【請求項3】
塩代替物前駆体が均質溶液である、請求項1に記載の塩代替物前駆体。
【請求項4】
塩代替物前駆体
が、80重量%未満
の水を含む、請求項1に記載の塩代替物前駆体。
【請求項5】
塩化カリウム及び塩化ナトリウムを含む塩化物塩;
クエン酸;及び
炭酸マグネシウム、
を含む塩代替物であって、該塩代替物は、
少なくとも95重量%の塩化物塩;
最大1重量%の
クエン酸;及び
最大1重量%の
炭酸マグネシウム、
を含む粒子を含む組み合わさった結晶質固体の形態であり、組み合わさった結晶質固体の各粒子は、塩化カリウムから本質的に成る領域
及び塩化ナトリウムから本質的に成る領域を含み、塩代替物はキャリヤーを含まない、前記塩代替物。
【請求項6】
少なくとも98重量%の塩化物塩;
最大1重量%の
クエン酸;及び
最大1重量%の
炭酸マグネシウム、
を含む、請求項5に記載の塩代替物。
【請求項7】
少なくとも99重量%の塩化物塩;
最大0.1重量%のクエン酸;及び
最大0.1重量%の炭酸マグネシウム、
を含む、請求項6に記載の塩代替物。
【請求項8】
塩化物塩が、少なくとも99重量%の塩化カリウムを含む、請求項5に記載の塩代替物。
【請求項9】
塩化物塩が、
1重量%~90重量%の塩化ナトリウム;及び
10重量%~99重量%の塩化カリウム、
を含む、請求項5に記載の塩代替物。
【請求項10】
塩代替物が、少なくとも
0.01重量%の
クエン酸を含む、請求項5に記載の塩代替物。
【請求項11】
少なくとも
0.001重量%の
炭酸マグネシウムを含む、請求項5に記載の塩代替物。
【請求項12】
pH7の水に塩代替物を溶解させることにより形成される水溶液が、pH4~5の溶液を生じ
る、請求項5に記載の塩代替物。
【請求項13】
塩代替物が、実質的に金属味がない、請求項5に記載の塩代替物。
【請求項14】
塩代替物の作製方法であって、該方法は、
水;
塩化カリウム及び塩化ナトリウムを含む塩化物塩;
クエン酸;及び
炭酸マグネシウム、
の混合物を含む塩代替物前駆体を形成し、ここで、該塩代替物前駆体のpHは2~5であり、該塩代替物前駆体は、飽和若しくは過飽和の溶液、懸濁液、又はスラリーであってキャリヤーを含まず;
塩代替物前駆体を遠心分離機に提供し;そして
塩代替物前駆体を遠心分離して、固体の形態である塩代替物及び遠心分離液を生じさせる、
こと含み、塩代替物は、粒子を含む組み合わさった結晶質固体の形態であり、組み合わさった結晶質固体の各粒子は、塩化カリウムから本質的に成る領域
及び塩化ナトリウムから本質的に成る領域を含む、前記方法。
【請求項15】
塩代替物を遠心分離液で洗浄することをさらに含
む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
塩代替物前駆体のpHが2~4である、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
遠心分離機に提供される塩代替物前駆体の温度が115.6℃未満である、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
[0001]本出願は、2017年9月18日に出願された“LOW SODIUM SALT SUBSTITUTE WITH POTASSIUM CHLORIDE”という表題の米国特許出願第62/560117号の優先権を主張するものであり、その全体を本明細書に援用する。
技術分野
[0002]本開示は、塩化カリウムを有する低ナトリウム塩代替物に関する。
【背景技術】
【0002】
[0003]塩、又は塩化ナトリウム(NaCl)は、よく知られている。塩は望ましい風味を食品に付与するが、使用量が多すぎると長期にわたる有害な健康上のリスクをもたらす可能性がある。塩は食料品店で見いだされる惣菜及び他の製品に蔓延しているため、平均的な1日あたりの推奨摂取量を超えている人が多い。ナトリウムの1日あたりの推奨摂取量を超えることは、高血圧の発症における重大なリスク因子であり、心疾患の発生率上昇の原因又は要因である。したがって、医療専門家及び行政機関は、1人あたりの塩消費量を1日あたり約10~12gから1日あたり約6gのレベルまで低下させることを推奨しており、これは、2400mgのナトリウムに相当する。
【0003】
[0004]米国で発行された最新の食事指針では、1日あたり2300mgのナトリウム消費量限度案が提唱されており、米国心臓協会はさらに、1日あたり1500mgのナトリウムというより厳しい限度を提唱している。医学研究所はまた、1日あたり4700mgのカリウム消費量限度を推奨している。典型的には、カリウム消費量はそのレベルの半分未満である。
【0004】
[0005]これら及び他の原因により、市場にはさまざまな塩代替物が存在している。塩代替物の生産へのアプローチの1つは、ナトリウム塩及びカリウム塩又は場合によってはマグネシウム塩をさまざまな割合で組み合わせ、この配合物に多種多様な他の添加剤を加えることを包含する。他の添加剤は、典型的には、カリウムを含有する塩代替物に付随しているカリウムの金属味又は苦味を、遮断又は少なくとも部分的に低減させるために加えられる。しかしながら、塩代替物の異臭により、それらの広範囲におよぶ受容は限定されてきた。
【発明の概要】
【0005】
[0006]第1の一般的観点では、塩代替物前駆体は、水、塩化カリウム、食品グレードの酸、及び固結防止剤の混合物を含む。塩代替物前駆体のpHは2~4であり、塩代替物前駆体は、飽和若しくは過飽和の溶液、懸濁液、又はスラリーである。
【0006】
[0007]第1の一般的観点の実施形態は、以下の特徴の1以上を含むことができる。
[0008]食品グレードの酸はクエン酸であることができる。固結防止剤は、アルミノケイ酸ナトリウム、フェロシアン化ナトリウム、フェロシアン化カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸三カルシウム、及び二酸化ケイ素のうち少なくとも1つを含むことができる。混合物は塩化ナトリウムを含むことができる。いくつかの場合では、塩代替物前駆体は均質溶液である。塩代替物前駆体のpHは、典型的には3~4の範囲にある。塩代替物前駆体は、80重量%未満の水、70重量%未満の水、65重量%未満の水、又は60重量%未満の水を含むことができる。
【0007】
[0009]第2の一般的観点では、塩代替物は、塩化カリウム又はその溶媒和部分、クエン酸又はその溶媒和部分、及び固結防止剤又はその溶媒和部分を含む。塩代替物は少なくとも1重量%のクエン酸を含む。
【0008】
[0010]第2の一般的観点の実施形態は、以下の特徴の1以上を包含することができる。
[0011]塩代替物は、少なくとも96重量%、少なくとも97重量%、少なくとも98重量%、又は99重量%未満の塩化カリウムを含むことができる。塩代替物は、0.1重量%~2重量%の固結防止剤を含むことができる。塩代替物は、0.1重量%~5重量%のクエン酸を含むことができる。塩代替物は塩化ナトリウムを含むことができる。pH7の水に塩代替物を溶解させることにより形成される水溶液は、pH4~5の溶液を生じる。
【0009】
[0012]第3の一般的観点では、塩代替物の作製は、水、塩化カリウム、食品グレードの酸、及び固結防止剤の混合物を含む塩代替物前駆体を形成することを包含する。塩代替物前駆体のpHは2~4であり、塩代替物前駆体は、飽和若しくは過飽和の溶液、懸濁液、又はスラリーであり、塩代替物前駆体の温度は240°F未満である。第3の一般的観点はさらに、塩代替物前駆体を遠心分離機に提供し、塩代替物前駆体を遠心分離して、固体の形態である塩代替物及び遠心分離液(centrate)を生じさせることを包含する。
【0010】
[0013]第3の一般的観点の実施形態は、以下の特徴の1以上を包含することができる。
[0014]塩代替物は均質組成物であることができる。塩代替物は、5重量%未満の水を含むことができる。いくつかの実施形態は、塩代替物を遠心分離液で洗浄し、塩代替物を乾燥させて乾燥塩代替物を生じさせることを包含し、該乾燥塩代替物は1.5重量%未満の水を含む。
【0011】
[0015]第4の一般的観点では、塩代替物前駆体は、水、塩化物塩、食品グレードの酸、及び固結防止剤を含む。塩化物塩は塩化カリウムを含む。塩代替物前駆体のpHは2~4であり、塩代替物前駆体は、飽和若しくは過飽和の溶液、懸濁液、又はスラリーである。
【0012】
[0016]第4の一般的観点の実施形態は、以下の特徴の1以上を包含することができる。
[0017]食品グレードの酸は、酢酸、アスコルビン酸、安息香酸、クエン酸、フマル酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、レモン汁、塩酸、及びリン酸のうち少なくとも1つを含むことができる。固結防止剤は、アルミノケイ酸ナトリウム、フェロシアン化ナトリウム、フェロシアン化カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸三カルシウム、及び二酸化ケイ素のうち少なくとも1つを含むことができる。塩化物塩は、塩化ナトリウムをさらに含むことができる。
【0013】
[0018]塩代替物前駆体は、典型的にはキャリヤーを含まない。塩代替物前駆体のpHは典型的には3~4である。いくつかの場合では、塩代替物前駆体は均質溶液である。水は、塩代替物前駆体の80重量%未満、70重量%未満、50重量%未満、又は25重量未満を構成することができる。
【0014】
[0019]第5の一般的観点では、塩代替物は、塩化物塩、食品グレードの酸、及び固結防止剤を含む。塩代替物は、塩化カリウムを含み、少なくとも95重量%の塩化物塩、最大1重量%の食品グレードの酸、及び最大1重量%の固結防止剤を含む結晶質固体の形態である。
【0015】
[0020]第5の一般的観点の実施形態は、以下の特徴の1以上を包含することができる。
[0021]1つの実施形態では、塩代替物は、少なくとも98重量%の塩化物塩、最大1重量%の食品グレードの酸、及び最大1重量%の固結防止剤を含む。1つの実施形態では、塩代替物は、少なくとも99重量%の塩化物塩、最大0.1重量%の食品グレードの酸、及び最大0.1重量%の固結防止剤を含む。
【0016】
[0022]いくつかの場合では、塩化物塩は、少なくとも99重量%の塩化カリウムを含む。ある場合では、塩化物塩は塩化ナトリウムをさらに含み、塩代替物は、粒子が組み合わさった結晶質固体の形態であり、ここで、組み合わさった結晶質固体の各粒子は、塩化ナトリウムから本質的に成る領域と直接的に接している、塩化カリウムから本質的に成る領域を含む。いくつかの場合では、塩化物塩は、1重量%~90重量%の塩化ナトリウム及び10重量%~99重量%の塩化カリウムを含む。
【0017】
[0023]食品グレードの酸は、酢酸、アスコルビン酸、安息香酸、クエン酸、フマル酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸、レモン汁、塩酸、及びリン酸のうち少なくとも1つを含むことができる。いくつかの場合では、塩代替物は、少なくとも0.01重量%の食品グレードの酸(例えば、0.01重量%~0.5重量%の食品グレードの酸、又は0.01重量%~0.1重量%の食品グレードの酸)を含む。固結防止剤は、典型的には、アルミノケイ酸ナトリウム、フェロシアン化ナトリウム、フェロシアン化カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸三カルシウム、及び二酸化ケイ素のうち少なくとも1つを含む。塩代替物は、少なくとも0.001重量%又は少なくとも0.01重量%の固結防止剤を含むことができる。pH7の水に塩代替物を溶解させることにより形成される水溶液は、pH4~5の溶液を生じる。塩代替物は実質的に金属味がない。
【0018】
[0024]第6の一般的観点では、塩代替物の作製は、塩代替物前駆体を形成し、塩代替物前駆体を遠心分離機に提供し、そして、塩代替物前駆体を遠心分離して、固体の形態である塩代替物及び遠心分離液を生じさせることを包含する。塩代替物前駆体は、水、塩化物塩、食品グレードの酸、及び固結防止剤の混合物を含む。塩化物塩は塩化カリウムを含む。塩代替物前駆体は、飽和若しくは過飽和の溶液、懸濁液、又はスラリーであり、塩代替物前駆体のpHは2~5である。
【0019】
[0025]第6の一般的観点の実施形態は、以下の特徴の1以上を包含することができる。
[0026]塩代替物は、遠心分離液で洗浄することができる。塩化物塩は塩化ナトリウムをさらに含むことができる。塩代替物は、典型的には、粒子を含む組み合わさった結晶質固体の形態であり、組み合わさった結晶質固体の各粒子は、塩化ナトリウムから本質的に成る領域と直接的に接している、塩化カリウムから本質的に成る領域を含む。遠心分離機に提供される塩代替物前駆体の温度は、典型的には240°F未満である。塩代替物前駆体のpHは典型的には2~4である。
【0020】
[0027]本明細書に記載の主題の1以上の実施形態の詳細を、以下の添付図面及び詳細な説明において説明する。主題の他の特徴、観点、及び利点は、詳細な説明、図面、及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【0021】
[0028]本特許又は出願ファイルは、カラーで作成した少なくとも1つの図面を含有する。カラーの図面を含む本特許又は特許出願公報のコピーは、請求し、必要な料金を納付すれば、当局によって提供されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】[0029]
図1は、カリウムを含む塩代替物の調製プロセスを示すフローチャートである。
【
図2】[0030]
図2A及び
図2Bは、それぞれ、実施例1に記載のように調製した塩代替物のエネルギー分散型X線分光法(EDS)の像及び走査型電子顕微鏡法(SEM)の像を示す。
【
図3】[0031]
図3A及び
図3Bは、それぞれ、実施例2に記載のように調製した塩代替物のEDS像及びSEM像を示す。
【
図4】[0032]
図4A及び
図4Bは、比較例1に記載のように調製した比較塩代替物のEDS像及びSEM像を示す。
【発明の詳細な説明】
【0023】
[0033]
図1は、カリウムを含む塩代替物を調製するためのプロセス100を示す。
[0034]102において、塩代替物前駆体を形成する。塩代替物前駆体は、水、塩化物塩、食品グレードの酸、及び固結防止剤を含む。塩化物塩は、塩化カリウムを含み、塩化ナトリウムを含むこともできる。塩代替物前駆体は、水、塩化物塩、食品グレードの酸、及び固結防止剤を含む成分を組み合わせることにより形成することができる。適した食品グレードの酸としては、有機酸及び鉱酸が挙げられる。適した食品グレードの有機酸の例としては、酢酸、アスコルビン酸、安息香酸、クエン酸、フマル酸、乳酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、及び1以上の有機酸を含むレモン汁のような組成物が挙げられる。適した鉱酸の例としては、塩酸及びリン酸が挙げられる。適した固結防止剤としては、アルミノケイ酸ナトリウム、フェロシアン化ナトリウム、フェロシアン化カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸三カルシウム、及び二酸化ケイ素が挙げられる。いくつかの態様では、塩代替物前駆体は、水、塩化カリウム、食品グレードの酸、及び固結防止剤の混合物から成るか、該混合物から本質的に成る。本明細書中で用いる場合、「から本質的に成る」という句は一般に、該句に後続する成分を少なくとも99重量%含む組成物を表す。1つの例では、水、塩化カリウム、食品グレードの酸、及び固結防止剤の混合物から本質的に成る塩代替物前駆体の場合、これらの成分が塩代替物前駆体の少なくとも99重量%を構成する。いくつかの場合では、塩代替物前駆体はナトリウムを含み、該塩代替物前駆体は、塩化ナトリウムを他の塩代替物前駆体成分と組み合わせることにより形成される。いくつかの態様では、塩代替物前駆体は、水、塩化カリウム、塩化ナトリウム、食品グレードの酸、及び固結防止剤の混合物から成るか、該混合物から本質的に成る。いくつかの態様では、塩代替物前駆体はキャリヤーを含まないか、実質的に含まない。本明細書中で用いる場合、「キャリヤー」は一般に、穀物の粉末又はデンプン(小麦粉及び米粉など)、果物の粉末又はデンプン(バナナ粉など)、根菜の粉末又はデンプン(ジャガイモ粉又はタピオカ粉など)、単糖類、二糖類、オリゴ糖類、多糖類(マルトデキストリンなど)、並びに天然及び人工甘味料(ハチミツ、カンショ糖、テンサイ糖、及びステビアなど)を表し、キャリヤーを「実質的に含まない」は、1重量%以下のキャリヤーを表す。塩代替物前駆体は、1以上の追加的成分、例えば1以上の無機塩を含むことができる。適した無機塩の例としては、塩化マグネシウム及び塩化カルシウムが挙げられる。
【0024】
[0035]塩代替物前駆体の形成は、塩代替物前駆体の成分を混合して、均質溶液、又は懸濁固体を含む混合物を生じさせることを包含する。塩代替物前駆体の成分の混合は、塩代替物前駆体の凝固点より高く沸点より低い任意の温度で行うことができる。いくつかの場合では、塩代替物前駆体の成分の混合は、周囲温度~240°Fの温度で行われる。いくつかの例では、塩代替物前駆体の成分の混合は、20°F~240°F、80°F~180°F、又は100°F~160°Fの温度で行われる。
【0025】
[0036]塩代替物前駆体の形成は、典型的には、塩代替物前駆体の成分を加熱することを包含する。塩代替物前駆体は、塩代替物前駆体の沸騰温度まで加熱することができる。いくつかの場合では、塩代替物前駆体は、少なくとも50°F又は少なくとも120°Fの温度まで加熱される。ある場合では、塩代替物前駆体は、少なくとも140°F、少なくとも160°F、又は少なくとも240°Fの温度まで加熱される。塩代替物前駆体は、溶解及び懸濁している固体の全含量が、25重量%~50重量%、20重量%~80重量%、40重量%~80重量%、又は45重量%~75重量%の固形分を達成するのに適した温度まで加熱することができる。
【0026】
[0037]塩代替物前駆体の混合、塩代替物前駆体の加熱、又は塩代替物前駆体の混合及び加熱は、典型的には、均質な溶液、懸濁液、又はスラリーが形成するのに十分な長さの時間にわたり行われる。いくつかの場合では、塩代替物前駆体は、1~100分、10~90分、15分~80分、20分~40分、又は20分~60分の時間にわたり加熱及び混合される。
【0027】
[0038]塩代替物前駆体は、0.1重量%~5重量%、0.1重量%~4重量%、0.1重量%~3重量%、0.1重量%~2重量%、又は0.1重量%~1重量%の食品グレードの酸を含むことができる。いくつかの場合では、塩代替物前駆体は、0.1重量%~5重量%、0.1重量%~4重量%、0.1重量%~3重量%、0.1重量%~2重量%、又は0.1重量%~1重量%の固結防止剤を含む。
【0028】
[0039]塩代替物前駆体のpHは、7未満、6未満、5未満、又は4未満であることができる。いくつかの場合では、塩代替物前駆体のpHは、2~4、2~5、3~6、4~6、3~5、3.5~5.5、3~4、又は4~5である。塩代替物前駆体は、均質溶液でも、懸濁固体を含んでいてもよい。いくつかの場合では、塩代替物前駆体は、飽和又は過飽和溶液である。1つの例では、塩代替物前駆体の固体含量は、飽和点を少なくとも10重量%上回る。塩代替物前駆体は、20重量%~80重量%、40重量%~80重量%、又は45重量%~75重量%の固形分を含むことができる。1つの例では、塩代替物前駆体は、30~45重量%の固形分を含む。塩代替物前駆体は、典型的には80重量%未満の水を含む。いくつかの例では、塩代替物前駆体は、75重量%未満、70重量%未満、65重量%未満、又は60重量%未満の水を含む。いくつかの例では、塩代替物前駆体は5重量%~25重量%の水を含む。
【0029】
[0040]水、塩化カリウム、食品グレードの酸、及び固結防止剤の混合物を含むか、該混合物から成るか、該混合物から本質的に成る塩代替物前駆体の場合、これらの成分の適量は、20重量%~75重量%の水、20重量%~75重量%の塩化カリウム、0.1重量%~5重量%の食品グレードの酸、及び0.1重量%~5重量%の固結防止剤を含む。しかしながら、態様は、本明細書中に開示するさまざまな成分範囲のすべての組合せを包含する。
【0030】
[0041]水、塩化カリウム、塩化ナトリウム、食品グレードの酸、及び固結防止剤の混合物を包含するか、該混合物から成るか、該混合物から本質的に成る塩代替物前駆体の場合、これらの成分の適量は、20重量%~95重量%の水、2重量%~75重量%の塩化カリウム、2重量%~75重量%の塩化ナトリウム、0.1重量%~5重量%の食品グレードの酸、及び0.1重量%~5重量%の固結防止剤を含む。しかしながら、態様は、本明細書中に開示するさまざまな成分範囲のすべての組合せを包含する。
【0031】
[0042]104において、102からの塩代替物前駆体を遠心分離して、遠心分離液及び固体の形態である塩代替物を生じさせる。塩代替物前駆体は、導管を介して継続的又は断続的に遠心分離機に提供することができる。遠心分離機に提供される塩代替物前駆体の温度は、典型的には20°Fより高く、最高240°Fである。いくつかの場合では、塩代替物前駆体は、遠心分離前は周囲温度にある。適した遠心分離機としては、限定されるものではないが、プッシャー型遠心分離機、ディスクスタック型遠心分離機、デカンター型遠心分離機、及びバスケット型遠心分離機が挙げられる。塩代替物は、固体ケークの形態又は粒状形態であることができる。塩代替物は、典型的には少なくとも90重量%の固形分又は少なくとも99重量%の固形分を含む。いくつかの場合では、塩代替物は、90重量%~95重量%の固形分を含む。塩代替物の含水率は、典型的には10重量%未満、5重量%未満、又は2重量%未満である。したがって、水を除去するために加熱することなく、10重量%未満、5重量%未満、又は2重量%未満の水を含む塩代替物を、塩代替物前駆体から調製することができる。
【0032】
[0043]104からの遠心分離液は、典型的には20重量%~50重量%、又は30重量%~40重量%の固形分を有する。遠心分離液のpHは、典型的には2~4又は2~5、例えば2~3又は3~4の範囲にある。
【0033】
[0044]106において、塩代替物を洗浄する。塩代替物の洗浄は、典型的には、水を含み、1以上の他の溶媒を有するか又は有さない洗浄液に塩代替物を接触させることを包含する。洗浄液は1以上の添加剤を含むことができる。いくつかの態様では、洗浄液は、クエン酸など食品グレードの酸を含む。1つの例では、遠心分離液を収集し、洗浄液として用いる。遠心分離液を洗浄液として用いる場合、遠心分離液中に残留する塩代替物前駆体成分を塩代替物に加えることができ、これにより、塩代替物前駆体の成分回収率が上昇する。104の間に形成した塩代替物は、塩代替物を形成させつつ洗浄することができる。すなわち、104及び106を同時に行うことができる。
【0034】
[0045]108において、塩代替物を乾燥して乾燥塩代替物を生じさせる。塩代替物の乾燥は、塩代替物を加熱して、塩代替物の含水率を5重量%未満、4重量%未満、3重量%未満、2重量%未満、又は1重量%未満に低下させることを包含することができる。適した乾燥機の例としては、流動床乾燥機、回転乾燥機、フラッシュ乾燥機、ベルト乾燥機、マイクロ波乾燥機、及び棚型乾燥機が挙げられる。
【0035】
[0046]110において、塩代替物をミル粉砕する。ミル粉砕は、塩代替物の粒子を形成すること、又はその粒子サイズを低減させることを包含する。
[0047]112において、塩代替物を篩い分けする。
【0036】
[0048]114において、塩代替物を包装する。
[0049]塩代替物は結晶質形態である。塩代替物は、塩化物塩、食品グレードの酸、及び固結防止剤を含むか、これらから成るか、これらから本質的に成る。いくつかの場合では、塩代替物は、塩化カリウム又はそのイオン成分(例えばカリウムイオン及び塩化物イオン)、クエン酸又はそのイオン成分(例えばクエン酸塩及び水素イオン)、及び固結防止剤又はそのイオン成分(例えば、固結防止剤のアニオン、カチオン、共役酸、又は共役塩基)を含むか、これらから成るか、これらから本質的に成る化学的に均質な組成物であることができる。いくつかの場合では、塩代替物は、塩化カリウム又はそのイオン成分、塩化ナトリウム又はそのイオン成分(例えばナトリウムイオン及び塩化物イオン)、クエン酸又はそのイオン成分、及び固結防止剤又はそのイオン成分を含むか、これらから成るか、これらから本質的に成る。塩化カリウム及び塩化ナトリウムを含む塩代替物の場合、塩代替物は、典型的には、粒子の形態である組み合わさった結晶質固体であり、各粒子は、塩化ナトリウムから成るか塩化ナトリウムから本質的に成る領域と直接的に接している、塩化カリウムから成るか塩化カリウムから本質的に成る領域を含む。
【0037】
[0050]塩代替物前駆体又は塩代替物の含有物に関して本明細書中で用いる場合、成分は、そのイオン性及び非イオン性形態を包含することが理解される。本明細書中で用いる場合、「塩化カリウム」は、塩化カリウム、カリウムイオン、及び塩化物イオンの任意の組合せを包含することが理解され;「クエン酸」は、クエン酸及びその共役塩基(例えばクエン酸塩)及び水素イオン又はヒドロニウムイオンの任意の組合せを包含することが理解され;「塩化ナトリウム」は、塩化ナトリウム、ナトリウムイオン、及び塩化物イオンの任意の組合せを包含することが理解され;そして「固結防止剤」は、固結防止剤並びにその非イオン性及びイオン性形態、例えばその共役酸、共役塩基、又はその両方の任意の組合せを包含するが理解される。
【0038】
[0051]いくつかの態様では、塩代替物は少なくとも1重量%のクエン酸を含む。1つの例では、塩代替物は0.8重量%~5重量%のクエン酸を含む。いくつかの例では、塩代替物は、0.01重量%~2重量%、0.01重量%~1重量%、0.01重量%~0.5重量%、0.01重量%~0.4重量%、0.01重量%~0.3重量%、0.01重量%~0.2重量%、又は0.01重量%~0.1重量%のクエン酸を含む。いくつかの例では、塩代替物は、少なくとも96重量%、少なくとも98重量%、又は少なくとも99重量%の塩化カリウムを含む。塩代替物は、0.1重量%~1重量%、0.1重量%~2重量%、0.1重量%~3重量%、0.1重量%~4重量%、又は0.1重量%~5重量%の固結防止剤を含むことができる。
【0039】
[0052]いくつかの場合では、塩代替物は、塩化カリウム、食品グレードの酸、固結防止剤、及び塩化ナトリウムを含むか、これらから成るか、これらから本質的に成る。塩代替物は、典型的には、最大1重量%又は最大0.1重量%の食品グレードの酸を含む。本明細書中で用いる場合、「最大」は「含めて最大」を表す。1つの例では、「最大0.1重量%」は0.1重量%以下の値を包含する。塩代替物は、最大0.1重量%、最大0.2重量%、最大0.3重量%、最大0.4重量%、最大0.5重量%、最大1重量%、又は最大2重量%の食品グレードの酸を含むことができる。いくつかの場合では、塩代替物中の食品グレードの酸の量は、塩代替物前駆体中の10%以下又は5%以下の食品グレードの酸である。塩化物塩は、10重量%~99重量%の塩化カリウム及び1重量%~90重量%の塩化ナトリウム、又は20重量%~99重量%の塩化カリウム及び0重量%~80重量%の塩化ナトリウムを含むことができる。塩代替物は、0.1重量%~5重量%の固結防止剤を含むことができる。塩代替物は、典型的には25μm~1000μmの粒子サイズを有する。粒子サイズは、処理条件を改変するか、意図する用途に望ましいサイズを達成するように塩代替物をミル粉砕することにより、調整することができる。塩代替物の密度は、典型的には58ポンド/平方フィート(0.8g/cm2)~72ポンド/平方フィート(1.2g/cm2)である。
【0040】
[0053]塩代替物は、pH7の水に溶解した場合、典型的にはpH2~5、3~5、又は4~5の溶液を生じる。
[0054]いくつかの場合では、
図1の操作の1以上を削除することができる。すなわち、
図1の操作の1以上は任意であり得る。いくつかの例では、110、112、114、又はそれらの任意の組合せを削除することができる。ある場合では、
図1に示す操作の1以上が他の操作と置き換えられるか組み合わせられるか、1以上の操作の順序が入れ替えられるか、2以上の操作が同時又は連続的に行われるか、追加的操作が加えられるか、あるいはその任意の組合せである。
【0041】
[0055]本明細書中に記載の塩代替物は、塩(すなわち塩化ナトリウム)の代替物として、又は塩化ナトリウムに加えて、又は塩化ナトリウムとブレンドして、用いることができる。塩代替物は、実質的に金属味がなく有利である。本明細書中に記載の塩代替物は、食卓塩として、スナック食品や焼いた食品などの加工食品に含めるため、獣鳥肉への味付け用、及び塩が含まれている他の食料品用など、さまざまな用途に用いることができる。
【実施例】
【0042】
[0056]実施例1. 本実施例では、121ガロンの水をバッチ処理タンク(batching tank)に加えた。加える際、水は180.0°Fであった。500ポンドの塩化カリウムを水に加えるとスラリーが生じた。2.5ポンドの炭酸マグネシウムをスラリーに加えた。8.0ポンドのクエン酸をスラリーに加えた。pHを試験すると3.79であった。該スラリーを1時間保持し、その間に温度は110°F~120°Fに低下した。1時間の保持時間の後、500ポンドの塩化ナトリウムをスラリーに加え、pHを再び試験したところ、3.40であった。スラリーの固形分は51.30重量%であった。その後、スラリーをプッシャー型遠心分離機(BP Littleford、モデルS-200遠心分離機)に提供し、乾燥させた。
【0043】
[0057]
図2A及び
図2Bはそれぞれ、実施例1の塩代替物のエネルギー分散型X線分光法(EDS)及び走査型電子顕微鏡法(SEM)の像を示す。塩代替物は、粒子200を含む組み合わさった結晶質固体の形態である。
図2Aにおいて、粒子200の赤色部分202はカリウムに相当し、粒子200の緑色部分204はナトリウムに相当する。このように、粒子200は、塩化カリウムから本質的に成る領域202及び塩化ナトリウムから本質的に成る領域204を包含し、領域202及び204は直接的に接している。
図2A及び
図2Bのスケールバーは、それぞれ100μm及び500μmである。
図2Bの倍率は150倍である。
【0044】
[0058]実施例2. 本実施例では、121ガロンの水をバッチ処理タンクに加えた。加えた際、水は177.4°Fであった。0.005重量%すなわち2.5ポンドの炭酸マグネシウムを含む500ポンドの塩化カリウムを水に加えると、スラリーが生じた。8.0ポンドのクエン酸をスラリーに加えた。pHを試験すると2.98であった。該スラリーを1時間保持し、その間に温度は118°Fに低下した。1時間の保持時間の後、500ポンドの塩化ナトリウムをスラリーに加え、pHを再び試験したところ、2.64であった。スラリーの固形分は53.78重量%であった。その後、スラリーをプッシャー型遠心分離機(BP Littleford、モデルS-200遠心分離機)に提供し、乾燥させた。
【0045】
[0059]
図3A及び
図3Bはそれぞれ、実施例2の塩代替物のEDS及びSEMの像を示す。塩代替物は、粒子200を含む組み合わさった結晶質固体の形態である。
図3Aにおいて、粒子300の赤色部分302はカリウムに相当し、粒子300の緑色部分304はナトリウムに相当する。このように、粒子300は、塩化カリウムから本質的に成る領域302及び塩化ナトリウムから本質的に成る領域304を包含し、領域302及び304は直接的に接している。
図3A及び
図3Bのスケールバーは、それぞれ100μm及び500μmである。
図3Bの倍率は150倍である。
【0046】
[0060]実施例3. 本実施例では、665ポンドの塩化カリウム、3.325ポンドの炭酸マグネシウム、及び6.65ポンドのクエン酸を766ポンドの水中で混合し、120°Fでブレンドして、スラリーを生じさせた。スラリーは46.8%の固形分を含有し、pHは3.25であった。スラリーをタンク撹拌により懸濁液状に保持した。該スラリーを216.2ポンド/分でプッシャー型遠心分離機に供給し、52.2ポンド/分で水分2.5重量%の固体ケークを作り出した。ケークを赤外線加熱炉でさらに乾燥させて、水分率を1重量%未満に低下させた。塩代替物を味見のためにサンプリングしたところ、金属的な後味がほとんど又は全くないクリーンな分析結果が示された。
【0047】
[0061]実施例4. 本実施例では、325ポンドの塩化カリウム、325ポンドの塩化ナトリウム、3.25ポンドの炭酸マグネシウム、及び6.5ポンドのクエン酸を766ポンドの水中で混合し、120°Fでブレンドした。スラリーは46.3重量%の固形分を含有し、pHは3.2であった。スラリーをタンク撹拌により懸濁液状に保持した。プッシャー型遠心分離機へのスラリー供給速度は171.2ポンド/分であり、49ポンド/分で水分2.89%の固体ケークを作り出した。ケークを赤外線加熱炉でさらに乾燥させて、水分率を1重量%未満に低下させた。塩代替物を味見のためにサンプリングしたところ、金属的な後味がほとんど又は全くないクリーンな分析結果が示された。
【0048】
[0062]表1Aに、塩代替物A~Oの調製に用いた成分のほか、塩代替物前駆体、塩代替物、及び遠心分離液の特徴を挙げる。表1において、実施例1及び2はそれぞれ試験D及びEに対応する。表1Bには、塩代替物P~Uの調製に用いた成分のほか、塩代替物前駆体、塩代替物、及び遠心分離液の特徴を挙げる。塩代替物A~Uの調製に用いる手順は、実施例1~4に記載した手順に概して対応する。塩代替物A~Oの場合、塩代替物前駆体を105°F~125°Fで1時間保持した後、遠心分離を行った。塩代替物L1~L3は遠心分離機に提供したスラリーの温度が異なっており、温度はそれぞれ75°F、85°F、及び95°Fであった。塩代替物P1~P9は、遠心分離前のスラリーでの保持時間の長さが異なっていた。塩代替物N、O、及びS中のクエン酸(すなわち、クエン酸+クエン酸塩)の量を3回測定したところ、平均の結果はそれぞれ重量基準で400ppm(0.04重量%)、1003ppm(0.10重量%)、及び684ppm(0.07重量%)であった。
【0049】
【0050】
【0051】
[0063]表2に、100gの塩代替物M及びOのロータップ試験結果(US20~US200メッシュにおける重量基準での粒子サイズ分布)を挙げる。表3には、100gの塩代替物P~Tのロータップ試験結果(US20~US400メッシュにおける重量基準での粒子サイズ分布)を挙げる。
【0052】
【0053】
【0054】
[0064]表4に、100gの塩代替物P~Tのg/cm3及びlb/ft3での平均嵩密度(タッピング有り及びタッピング無し)を挙げる。これらの試料の嵩密度は約60lb/ft3~約80lb/ft3(タッピング有り及びタッピング無し)であり、これは、さまざまなタイプの市販の塩化ナトリウムの報告されている範囲と同様である。
【0055】
【0056】
[0065]比較例1. 水(35ポンド、15.9kg)を、攪拌機及びジャケット付き反応釜で180°F(82℃)まで加熱した。加熱した水に、塩化カリウム(6ポンド、2.7kg)及び塩化ナトリウム(9ポンド、4.1kg)を加え、攪拌し、溶解させた。次ぎに、クエン酸(0.22ポンド、100g)を加え、続いてマルトデキストリン(6ポンド、2.7kg)を少量ずつ徐々に加え、これは、溶液に徐々に溶解していった。配合物のpHを測定すると2.16であった。その後、完成した溶液をステンレス鋼容器に移し、ここから噴霧乾燥機にポンプで送り出した。噴霧乾燥させた配合物をプラスチック製のジッパー付きバッグに包装し、保管した。
【0057】
[0066]
図4A及び
図4Bは、それぞれ比較例1の塩代替物のEDS及びSEMの像を示す。塩代替物は均質粒子400の形態であり、粒子400の赤色部分はカリウムに相当し、粒子400の緑色部分はナトリウムに相当する。粒子400は、塩化カリウムから本質的に成る領域及び塩化ナトリウムから本質的に成る領域を、直接的に接した状態で包含していない。
図4A及び
図4Bのスケールバーは、それぞれ90μm及び200μmである。
図4Bの倍率は150倍である。
【0058】
[0067]いくつかの態様について記載した。それでもなお、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、さまざまな変更を加えてもよいことは理解されるであろう。したがって、他の態様は、以下の特許請求の範囲の範囲に含まれる。
本願は以下の発明を包含する。
[項目1] 水;
塩化カリウムを含む塩化物塩;
食品グレードの酸;及び
固結防止剤、
を含む塩代替物前駆体であって、該塩代替物前駆体のpHは2~4であり、該塩代替物前駆体は、飽和若しくは過飽和の溶液、懸濁液、又はスラリーである、前記塩代替物前駆体。
[項目2] 食品グレードの酸が、酢酸、アスコルビン酸、安息香酸、クエン酸、コハク酸、フマル酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、レモン汁、塩酸、及びリン酸のうち少なくとも1つを含む、項目1に記載の塩代替物前駆体。
[項目3] 固結防止剤が、アルミノケイ酸ナトリウム、フェロシアン化ナトリウム、フェロシアン化カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸三カルシウム、及び二酸化ケイ素のうち少なくとも1つを含む、項目1に記載の塩代替物前駆体。
[項目4] 塩化物塩が、塩化ナトリウムをさらに含む、項目1に記載の塩代替物前駆体。
[項目5] キャリヤーを含まない、項目1に記載の塩代替物前駆体。
[項目6] 塩代替物前駆体のpHが3~4である、項目1に記載の塩代替物前駆体。
[項目7] 均質溶液である、項目1に記載の塩代替物前駆体。
[項目8] 水が塩代替物前駆体の80重量%未満を構成する、項目1に記載の塩代替物前駆体。
[項目9] 水が塩代替物前駆体の70重量%未満を構成する、項目8に記載の塩代替物前駆体。
[項目10] 水が塩代替物前駆体の50重量%未満を構成する、項目9に記載の塩代替物前駆体。
[項目11] 水が塩代替物前駆体の25重量%未満を構成する、項目10に記載の塩代替物前駆体。
[項目12] 塩化カリウムを含む塩化物塩;
食品グレードの酸;及び
固結防止剤、
を含む塩代替物であって、該塩代替物は、
少なくとも95重量%の塩化物塩;
最大1重量%の食品グレードの酸;及び
最大1重量%の固結防止剤、
を含む結晶質固体の形態である、前記塩代替物。
[項目13] 少なくとも98重量%の塩化物塩;
最大1重量%の食品グレードの酸;及び
最大1重量%の固結防止剤、
を含む、項目12に記載の塩代替物。
[項目14] 少なくとも99重量%の塩化物塩;
最大0.1重量%の食品グレードの酸;及び
最大0.1重量%の固結防止剤、
を含む、項目12に記載の塩代替物。
[項目15] 塩化物塩が、少なくとも99重量%の塩化カリウムを含む、項目12に記載の塩代替物。
[項目16] 塩化物塩が、塩化ナトリウムをさらに含み、塩代替物が、粒子を含む組み合わさった結晶質固体の形態であり、組み合わさった結晶質固体の各粒子が、塩化ナトリウムから本質的に成る領域と直接的に接している、塩化カリウムから本質的に成る領域を含む、項目12に記載の塩代替物。
[項目17] 塩化物塩が、
1重量%~90重量%の塩化ナトリウム;及び
10重量%~99重量%の塩化カリウム、
を含む、項目16に記載の塩代替物。
[項目18] 食品グレードの酸が、酢酸、アスコルビン酸、安息香酸、クエン酸、フマル酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸、レモン汁、塩酸、及びリン酸のうち少なくとも1つを含む、項目12に記載の塩代替物。
[項目19] 少なくとも0.01重量%の食品グレードの酸を含む、項目12に記載の塩代替物。
[項目20] 0.01重量%~0.5重量%の食品グレードの酸を含む、項目19に記載の塩代替物。
[項目21] 0.01重量%~0.1重量%の食品グレードの酸を含む、項目20に記載の塩代替物。
[項目22] 固結防止剤が、アルミノケイ酸ナトリウム、フェロシアン化ナトリウム、フェロシアン化カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸三カルシウム、及び二酸化ケイ素のうち少なくとも1つを含む、項目12に記載の塩代替物。
[項目23] 少なくとも0.001重量%の固結防止剤を含む、項目12に記載の塩代替物。
[項目24] 少なくとも0.01重量%の固結防止剤を含む、項目12に記載の塩代替物。
[項目25] pH7の水に塩代替物を溶解させることにより形成される水溶液が、pH4~5の溶液を生じる、項目12に記載の塩代替物。
[項目26] 実質的に金属味がない、項目12に記載の塩代替物。
[項目27] 塩代替物の作製方法であって、該方法は、
水;
塩化カリウムを含む塩化物塩;
食品グレードの酸;及び
固結防止剤、
の混合物を含む塩代替物前駆体を形成し、ここで、該塩代替物前駆体のpHは2~5であり、該塩代替物前駆体は、飽和若しくは過飽和の溶液、懸濁液、又はスラリーであり;
塩代替物前駆体を遠心分離機に提供し;そして
塩代替物前駆体を遠心分離して、固体の形態である塩代替物及び遠心分離液を生じさせる、
こと含む、前記方法。
[項目28] 遠心分離機に提供される塩代替物前駆体の温度が240°F未満である、項目27に記載の方法。
[項目29] 塩代替物を遠心分離液で洗浄することをさらに含む、項目27に記載の方法。
[項目30] 塩代替物前駆体のpHが2~4である、項目27に記載の方法。
[項目31] 塩化物塩が、塩化ナトリウムをさらに含み、塩代替物が、粒子を含む組み合わさった結晶質固体の形態であり、組み合わさった結晶質固体の各粒子が、塩化ナトリウムから本質的に成る領域と直接的に接している、塩化カリウムから本質的に成る領域を含む、項目27に記載の方法。
【符号の説明】
【0059】
100 カリウムを含む塩代替物の調製プロセス
102 塩代替物前駆体の形成段階
104 塩代替物前駆体の加熱段階
106 塩代替物前駆体を遠心分離して、遠心分離液及び固体の形態である塩代替物を生じさせる段階
108 塩代替物を洗浄する段階
110 塩代替物を乾燥する段階
112 塩代替物をミル粉砕する段階
114 塩代替物を篩い分けする段階
116 塩代替物を包装する段階
200 粒子
202 塩化カリウムから本質的に成る領域
204 塩化ナトリウムから本質的に成る領域
300 粒子
302 塩化カリウムから本質的に成る領域
304 塩化ナトリウムから本質的に成る領域
400 粒子