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特許7274476空間的に制御可能なリフレクタ要素を備えた照明装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-08
(45)【発行日】2023-05-16
(54)【発明の名称】空間的に制御可能なリフレクタ要素を備えた照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 41/675 20180101AFI20230509BHJP
   F21S 41/147 20180101ALI20230509BHJP
   F21S 41/153 20180101ALI20230509BHJP
   F21S 41/24 20180101ALI20230509BHJP
   F21S 41/25 20180101ALI20230509BHJP
   F21S 41/365 20180101ALI20230509BHJP
   F21V 7/00 20060101ALI20230509BHJP
   F21V 8/00 20060101ALI20230509BHJP
   F21W 102/14 20180101ALN20230509BHJP
【FI】
F21S41/675
F21S41/147
F21S41/153
F21S41/24
F21S41/25
F21S41/365
F21V7/00 590
F21V8/00 310
F21W102:14
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020526314
(86)(22)【出願日】2018-11-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-04
(86)【国際出願番号】 EP2018080617
(87)【国際公開番号】W WO2019096667
(87)【国際公開日】2019-05-23
【審査請求日】2021-11-02
(31)【優先権主張番号】17201914.3
(32)【優先日】2017-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】517152128
【氏名又は名称】ルミレッズ ホールディング ベーフェー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】スピンガー,ベンノ
(72)【発明者】
【氏名】イスラエル,ケイシー
【審査官】坂口 達紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-072765(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102010023360(DE,A1)
【文献】特開2004-210126(JP,A)
【文献】特表2008-509517(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21K 9/00-9/90
F21S 2/00-45/70
F21V 1/00-15/04
B60Q 1/00-1/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のLED発光素子と、
前記複数のLED発光素子から発せられる光をコリメートするよう構成される複数のコリメータ要素であり、該複数のコリメータ要素の出光面は、第1方向における第1伸長部分と、前記第1方向に垂直な第2方向における第2伸長部分とを備え、前記第2伸長部分は、前記第1伸長部分よりも大きい、前記複数のコリメータ要素と、
少なくとも第1位置と第2位置との間で調整可能な複数のリフレクタ要素を有し、該複数のリフレクタ要素の切り替え方向を備える空間的に制御可能なリフレクタ要素と、
前記複数のコリメータ要素から発せられる光を前記空間的に制御可能なリフレクタ要素に投影するよう構成される第1投影要素と、
第2投影要素と
を有し、
前記複数のリフレクタ要素の前記第1位置で、前記第1投影要素からの光が、投影照射ビームを形成するように前記第2投影要素の方向に反射され、
前記複数のリフレクタ要素の前記第2位置で、前記第1投影要素からの光が、前記投影照射ビームに寄与しないように異なる方向に反射され、
前記第2伸長部分は、前記切り替え方向に平行に配置され
前記切り替え方向は、前記複数のリフレクタ要素が配置される前記空間的に制御可能なリフレクタ要素の面に平行であり、前記複数のリフレクタ要素は夫々、前記切り替え方向に垂直な個々の切り替え軸を中心として回転可能であり、前記第1方向は、前記切り替え軸に平行であり、前記第2方向は、前記切り替え軸に垂直である
照明装置。
【請求項2】
前記複数のLED発光素子は、互いから相隔てられて担体上に配置される、
請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記複数のコリメータ要素は夫々、前記複数のLED発光素子の隣に配置された入光面と、反対側の出光面とを有する、
請求項1又は2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記出光面は、前記入光面よりも大きい、
請求項3に記載の照明装置。
【請求項5】
前記入光面は、矩形であり、前記出光面の第1伸長部分及び第2伸長部分の比率は、前記入光面の第1伸長部分及び第2伸長部分の比率と異なる、
請求項3又は4に記載の照明装置。
【請求項6】
前記複数のコリメータ要素から前記空間的に制御可能なリフレクタ要素へ発せられる光は、前記空間的に制御可能なリフレクタ要素のサイズ、アスペクト比、及び角度方向に適応される、
請求項3乃至5のうちいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項7】
前記複数のコリメータ要素の前記出光面は、互いに直接隣接して配置されて共通出光面を形成する、
請求項3乃至6のうちいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項8】
前記複数のコリメータ要素は、矩形入光面の角から前記出光面の角へ延在する縁部を有する錐台形状である、
請求項3乃至7のうちいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項9】
前記出光面は、凸形状を有する、
請求項3乃至8のうちいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項10】
前記第1投影要素は、少なくとも1つの凹形反射面を有する、
請求項1乃至9のうちいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項11】
前記第2投影要素は、少なくとも1つの投影レンズを有する、
請求項1乃至10のうちいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項12】
前記複数のLED発光素子は、独立して動作可能であるよう電気的に接続される、
請求項1乃至11のうちいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項13】
前記複数のLED発光素子は、間隔を空けられたLED発光素子の少なくとも2つの平行な列を有する配列において配置され、該2つの列は、互いに離して配置される、
請求項1乃至12のうちいずれか一項に記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置及び照射ビーム形成方法に関係がある。より具体的には、本発明は、空間的に制御可能なリフレクタ要素に光を方向づけることによって照射ビームを生成することに関係がある。
【背景技術】
【0002】
空間的に制御されるリフレクタは、例えば、ビデオプロジェクタで、使用される。デジタル・ライト・プロセッシング(digital light processing)(DLP)技術では、半導体チップにマトリクス状に配置された微視的に小さいミラーを備えたデジタル・マイクロミラー・デバイス(digital micromirror device)(DMD)が、空間変調された照射ビームを形成するように急速に再位置合わせされ得る。
【0003】
空間的に制御されるリフレクタの使用はまた、選択的な照射目的のために提案されてきた。米国特許出願公開第2003/0107323(A1)号(特許文献1)には、外装車両ライトを制御するシステムが記載されている。まぶしさ(glare)を防ぐために、車両ライトは、センサのアレイの出力に基づき制御され得る。一実施形態で、制御可能なヘッドランプは、光源と、空間的に制御されるリフレクタとを含む。光源は、ハロゲン源、HID源、又は発光ダイオードLED源のような、自動車使用に適したいかなるタイプのライトであってもよい。空間的に制御されるリフレクタは、複数の切替可能なミラーを含む。ミラーは、オン可能であり、その場合にレンズによって保護されるように入射光線を反射する。オフされるときに、入射光線は、レンズから離れて反射される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許出願公開第2003/0107323(A1)号
【発明の概要】
【0005】
優れた効率を有し、高い光束及び輝度を照射ビームに与える照明装置及び照射ビームの形成方法を提供することが、目的とみなされ得る。
【0006】
これは、請求項1に記載の照明装置、及び請求項14に記載の方法によって対処される。従属請求項は、本発明の好適な実施形態を参照する。
【0007】
本発明者は、空間的に制御可能なリフレクタ要素、特に、マイクロミラー(DMD)要素を照射する光源の要件を検討してきた。高い輝度及び光束を達成するために、単一光源は、有意な熱的課題を提示しながら、極めて高い電力密度を必要とする。単一光源に代えて、本発明者は、複数のLED発光素子から成る分散型光源を提案している。光を効率的に使用し、空間的に制御されたリフレクタ要素の要件に発光特性を適応させるために、本発明者は、コリメータ要素と投影要素との組み合わせを提案している。
【0008】
本発明に従う照明装置は、複数のLED発光素子と、LED発光素子から発せられる光をコリメートするよう構成される複数のコリメータ要素とを有する。「LED素子」との語は、ここでは、発光ダイオード、有機発光ダイオード、レーザーダイオード、などを含む、いかなるタイプの固体状態発光素子も示すために使用される。例えば、発光素子は、単一の発光ダイオード又は密接して配置された複数の発光ダイオード、例えば、既知のRGB LEDであってよい。LED発光素子は、パッケージ化されていてもされていなくてもよく、すなわち、LEDダイのみから成ってよい。好ましいものは、コリメータ要素を除いて追加の光学素子を伴わない平坦な矩形LED発光素子であり、例えば、追加のレンズ、ドームなどがない。LED発光素子は、望ましくは、互いから相隔てられて、例えば、主発光方向(平坦LEDダイの場合に、LEDダイ面に垂直な方向)に垂直な1つ以上の方向に設けられる。例えば、LED素子は、望ましくは、行又は列に沿って少なくとも実質的に(例えば、+/-20%、望ましくは+/-10%)等しい距離で、直線又はマトリクス配置で互いから相隔てられて配置されてよい。
【0009】
複数のLED発光素子の空間的に分散された配置は、熱負荷を分配して、動作中に発生する熱をより良く放散することを可能にするという利点がある。LED発光素子の好適な分布のために、LED発光素子間の距離は、例えば、同じ方向におけるLED素子の幅の少なくとも50%であってよい。望ましくは、LED発光素子は、LED発光素子の幅の少なくとも100%の距離で更に離して間隔を空けられる。
【0010】
コリメータ要素は、LED発光素子から光を受け、それからコリメートされたビームを形成するよう構成される。コリメータ要素は夫々、LED発光素子の主発光方向の周りに配置されたリフレクタ面を有する。コリメータ要素はまた、原理上、内部リフレクタ面を備えた中空であってよい一方で、境界面で全内部反射(total internal reflection)(TIR)に依存する固体コリメータ要素を設けることが望ましい。コリメータ要素は、例えば、シリコーン又はPMMAから作られてよい。
【0011】
本発明に従って、第1投影要素は、コリメータ要素から発せられる光を、空間的に制御可能なリフレクタ要素に投影するよう構成される。第1投影要素は、コリメータ要素からのコリメートされた光を、空間的に制御可能なリフレクタ要素、例えば、DMD要素、の表面上に投影するのに適したいかなるタイプの光学素子であってもよい。これは、原理上、例えば、投影レンズによって達成され得る一方で、少なくとも1つのリフレクタ面を備えたリフレクタが望ましい。望ましくは、リフレクタ面は、凹形状であってよい。第1投影要素は、コリメータ要素のうちの1つ以上の出光面上の第1フォーカスと、空間的に制御可能なリフレクタ要素上の第2フォーカスとを備えてよい。
【0012】
空間的に制御可能なリフレクタ要素は、少なくとも2つの位置の間で調整可能な複数のリフレクタ要素を有する。好適な実施形態では、複数のマイクロミラーを備えたDMDデバイスが設けられてよい。DMD面上に配置されるこれらの微視的なミラーは、第1角度位置と第2角度位置との間で移動可能であるよう個別的にアドレッシングされてよい。
【0013】
2つの位置は、望ましくは、異なった反射角度を提供する。「オン」位置とも呼ばれ得る第1位置で、第位置投影要素から受光された光は、第2投影要素、望ましくは投影レンズの方向に反射される。投影照射ビームは、望ましくは、第1(「オン」)位置にある全てのリフレクタ要素の光から、このようにして形成される。対照的に、リフレクタ要素の第2位置で、第1投影要素からの入射光は、投影照射ビームに寄与しないように異なる方向に反射される。
【0014】
このようにして、本発明に従って、制御可能な照射ビームは、複数のLED発光素子から発せられる光から形成され得る。光はコリメートされ、空間的に制御可能なリフレクタ要素に投影され、そして、個々のリフレクタ要素の位置に応じて、それから、空間的に選択的な形で第2投影要素によって投影される。
【0015】
従って、本発明は、複数のLED発光素子を使用することによって効率的に生成される高い光束及び高い輝度を有する照射ビームを形成することを可能にする。コリメーション及び第1投影要素による投影を通じて、第1投影ビームが形成され、空間的に制御可能なリフレクタ要素に方向づけられてよく、空間的に制御可能なリフレクタ要素のサイズ、アスペクト比、及び角度方向に適応され得る。
【0016】
好適な実施形態では、LED素子は、担体、例えば、印刷回路基板のような平面部材、に配置されてよい。LED素子は、例えば、一直線に、又は共通平面に配置されて、互いから相隔てられて配置されてよい。例えば、LED素子は、間隔を空けられたLED発光素子の少なくとも2つの平行な列を有する配列において配置され、2つの列は、互いに離して配置される。好適な実施形態では、LED素子は、独立して動作可能であるよう接続されてよく、すなわち、それらは、隣接するLED素子の動作状態に依存せずにオン又はオフされ得る。
【0017】
特に好適な実施形態では、本発明は、投影照射ビームの異なる空間的部分を選択的に制御、すなわち、オン又はオフすることを可能にする。一方で、これは、空間的に制御可能なリフレクタ要素を制御することによって達成され得る。他方で、LED発光素子も個別的に制御されてよい。よって、所望の選択的ビーム形状は、例えば、粗構造を得るために、LED発光素子の選択的な1つをオン又はオフされるように個別的に制御することによって、更には、微細構造を得るために、リフレクタ要素の制御を介して粗構造の形状を制御することによって、達成され得る。
【0018】
好適な実施形態では、1つのコリメータ要素が夫々のLED発光素子について設けられてよい。コリメータ要素は夫々、LED発光素子の隣に配置された入光面を有してよい。更に、コリメータ要素は夫々、例えば、入光面の反対側に配置される出光面を有してよい。入光面は、望ましくは平面であってよい。それは更に、LED発光素子の平らな発光面に平行に配置されてよい。発光面及び入光面は、望ましくは、近接近して、例えば、1mm以下の距離で、望ましくは、0.2mm以下の非常に小さい距離で非常に近接近して、配置されてよい。出光面は、例えば、入光面に平行に配置される平らな面であってよい。代替の実施形態では、出光面は、コリメータ要素から第1投影要素への光のより良い伝達を可能にするように凸形状を有してよい。
【0019】
好適な実施形態では、出光面は、入光面よりも大きくてよい。代替的に、又はそれ加えて、出光面は、入光面とは異なるアスペクト比を有してよい。よって、空間的に制御可能なリフレクタ要素への投影に適したアスペクト比を達成することが特に可能である。
【0020】
コリメータ要素は、それらが、例えば、個々の出光面の間にギャップを残しながら、別個の出光面形成するように、配置されてよい一方で、個々のコリメータ要素の出光面は、個々の出光面の間のギャップなしで連続的な共通出光面を形成するように、互いの直ぐ隣に配置されることが望ましい。
【0021】
出光面が連続的であるかどうか、又はギャップが残っているかどうかに関わらず、個々のコリメータ要素の出光面は、第1方向における第1伸長部分と、望ましくは第1方向に垂直な第2方向における第2伸長部分とを有している共通出光面を形成すると考えられてよい。共通出光面のアスペクト比は、第1伸長部分及び第2伸長部分の比率として定義されてよい。また、個々の出光面は、垂直な方向において第1伸長部分及び第2伸長部分を備えてよい。
【0022】
いくつかの実施形態で、個々の出光面の第1伸長部分は、第2伸長部分よりも小さくてよい。個々の出光面から発せられる光は、その場合に、望ましくは、第2の、より大きい伸長部分が、空間的に制御可能なリフレクタ要素の切り替え方向に平行に配置され得るように、空間的に制御可能なリフレクタ要素に投影されてよい。切り替え方向は、空間的に制御可能なリフレクタ要素の複数のリフレクタ要素、例えば、マイクロミラー要素の傾き又は回転角度に垂直な方向として定義されてよい。
【0023】
望ましくは、コリメータ要素は、少なくとも実質的に錐台形状で設けられてよい。矩形、望ましくは正方形の入光面から、錐台形状のコリメータ要素は、平面又は丸みを帯びた、例えば、凸状であってよい出光面まで延在してよい。特に、コリメータ要素の縁部は、入光面から角から出光面まで延在してよい。
【0024】
本発明のこれら及び他の態様は、以降で記載される実施形態から明らかであり、それらを参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】車両ヘッドライトの要素の透視図を示す。
図2図1の要素を断面で示す。
図3図1及び図2のヘッドライトの担体上のLED発光素子及びコリメータ要素を斜視図で示す。
図4図3に示される要素の上面図を示す。
図5】照射ビームを形成するマトリクスの概略図を示す。
図6】車両の前部から発せられる照射ビームの概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、車両ヘッドライトとして機能を果たし得る照明装置10における要素の配置を透視図で示す。図中、要素は、筐体又は取り付け要素なしで、それらの相対配置のみにおいて説明のために示されている。当業者に理解され得るように、全ての要素は、実際の実施形態では、固定されて筐体に収容される。
【0027】
PCB14上のLED素子12(図1には図示されていないが、例えば図3に示される。)は光を生成し、生成された光は、個別のコリメータ要素18から形成されているコリメータ16によってコリメートされる。コリメータ要素18の個別の出光面22から形成されている共通出光面20から発せられるコリメートされた光32は、凹状リフレクタ24によってDMDデバイス28のDMD面26に投影ビームとして34として投影される。
【0028】
それ自体知られている様態で、DMD面26上のマイクロミラー(図示せず。)は、各マイクロミラー要素の個々の位置に応じて、投影された光34を選択的に反射する。多数のマイクロミラーは、ミラー面が面26に対して第1角度で向けられている第1「オン」位置と、マイクロミラーが「オン」位置に対して切り替え軸を中心として回転されて、ミラー面が面26に対して第2角度で向けられる第2「オフ」位置との間で、制御可能に動くことができる。
【0029】
実施形態に従う配置において、DMDデバイス28は切り替え方向Sを備える。すなわち、その上のマイクロミラーは、図2に示されている切り替え方向Sに垂直な個々の切り替え軸を中心として回転可能である。
【0030】
マイクロミラー要素が「オン」位置にある場合に、入射した投影光34は、照射ビーム36として投影されるように投影レンズ30に反射される。全てのマイクロミラー要素が「オフ」位置にある場合に、入射した投影光34は、どこか他の場所に反射され、投影照射ビーム36に寄与しない。
【0031】
LED素子12は、2×4のマトリクス状でPCB14に配置される。LED素子12の配列は、分散型光源を構成する。例におけるLED素子12は、ランベルト(Lambertian)放射体を構成する。LED素子12から発せられる光は、コリメータ16によってコリメートされて、放射角度を狭められたコリメート光ビーム32に形成される。
【0032】
コリメータ16及び個別のコリメータ要素18の形状は、特に図3及び図4からわかる。コリメータ16は、LED素子12の夫々について、例えば、シリコーンから作られた1つのコリメータ要素18を有する。LED素子12は夫々、正方形の発光面を備える。各LED素子12の発光面の直ぐ前に、各々のコリメータ要素18の入光面40が配置され、それにより、優れた光結合が確かにされる。
【0033】
コリメータ要素18は夫々、正方形の入光面40の角から出光面22の角へ延在する縁部42を備えた錐台形状の固体の透明体として形成される。入光面40は平面であり、一方、図示される例における出光面22は、わずかに凸状の形を有している。コリメータ要素18の側面は、コリメータ要素18の固形物から周囲空気への境界面を構成する。よって、側面に対して小さい角度で入射する光の場合に、全内部反射が起こり、それにより、側面は事実上リフレクタ面を構成する。
【0034】
図4からわかるように、出光面22は、凸形状である一方で、長方形を形成する縁部44によって境界され、それにより、出光面22は、実質的に矩形とみなされ得る。出光面22は、入光面40よりも広い面積を有している。コリメータ要素18の形状によって、発光面の形状及びサイズはこのようにして変形される。
【0035】
各コリメータ要素18はまた、入光面40(本例では正方形)から出光面22までアスペクト比を変える。出光面22は、本例では、図4に示されるように、第1の、より小さい幅d1及び第2の、より大きい幅d2を備えた長方形状を有している。よって、出光面22は夫々、アスペクト比d1/d2で非対称である。
【0036】
出光面22から発せられる、結果として得られるコリメート光32において、d1の方向でのビーム発散角(beam divergence)は、d2の方向でよりも大きい。
【0037】
個々の出光面22は、幅L1及び高さL2を有する連続的な共通出光面20を形成するように、縁部44どうしが直接隣接するよう配置される。コリメータ16の共通出光面20のサイズ、特にアスペクト比L1/L2は、LED12の配列、すなわち、LED素子12の行/列の数及び相対間隔並びにコリメータ要素18の形状によって導入されるサイズ/アスペクト比の変化、によって決定される。図示される例では、各行は4つのLED素子12を有する。当業者に理解されるように、別の実施形態では、設けられる行の数は異なってもよく、例えば、1行のみ、又は3行以上であってもよい。更に、行ごとに設けられるLED素子12の数も異なってよく、例えば、5個、6個、又はそれ以上であってもよい。
【0038】
LED素子12は、例えば、0.7mm×0.7mmの発光面40を有してよい。行に沿った間隔は、例えば、隣接したLED素子12どうしの距離が1mmである程度であってよい。行の間隔は、例えば、1.7mmであってよい。好適な例における各出光面22のアスペクト比d1/d2は、例えば、1:1.4であってよい。
【0039】
図示される例では、共通出光面20のアスペクト比L1/L2は、例えば、1.4:1であってよい。図示されるように、出光面20の幅L1は、それに垂直な幅L2よりも大きい。
【0040】
先と同じく、当業者は、共通出光面20のいかなる所望のサイズ及びアスペクト比も、LED発光素子12の数及び配置の適切な選択と、出光面22のサイズ及びアスペクト比による変化とによって達成され得る、と認識するだろう。
【0041】
例において、共通出光面20のサイズ及びアスペクト比は、光34の投影ビームがDMD面26と同じアスペクト比を有するように選択される。倍率は、光34の投影ビームがDMD面26全体をカバーするように選択されてよい。なお、代替の実施形態では、他の倍率が選択されてもよい。
【0042】
DMD面26上のマイクロミラー要素は、共通の切り替え方向Sを備える。すなわち、それらは、切り替え方向Sに垂直な切り替え軸を中心とした回転によって、第1「オン」位置と第2「オフ」位置との間で動かされ得る。DMD面26上で、コリメート光32及び投影ビーム34を一緒に形成する個々の出光面22の、L2の方向に平行である長い方の伸長部分d2が、マイクロミラーの回転中心である切り替え軸に垂直に配置され、個々の出光面22の、L1の方向に平行である短い方の伸長部分d1が、切り替え軸に平行に、すなわち、切り替え方向に垂直に配置されるように、投影ビーム34を形成及び投影することが有利であった。これは、結果的に、切り替え方向でのビーム幅を低減し、夫々の切り替えられたピクセルについて、より高いコントラストを引き起こすことになる。
【0043】
照明装置10の動作中、投影照射ビーム36の特性及び光分布は、2つの異なる手段の組み合わせによって制御されてよい。1つには、LED素子12は、個別的にオン又はオフであるよう制御されてよい。これは、PCB14上のLED素子12へ接続されてその動作を選択的に制御する制御回路(図示せず。)によって、達成されてよい。その上、DMD面26上のマイクロミラー要素は、同じ制御回路によって又は別の回路によって制御されてよく、それにより、マイクロミラー要素は、所望のパターンに従って「オン」又は「オフ」位置に位置づけられる。結果として得られる照射ビーム36は、アクティブにされたLED素子12のパターンと、「オン」又は「オフ」のいずれかの位置にあるDMD面26上のマイクロミラー要素のパターンとの両方の制御に依存する。
【0044】
図5は、平面に投影された照射ビーム36の例を(説明のために簡略化された様態で)示す。図示される例では、照射ビーム36は、個別のコリメータ要素18の投影及び反射される出光面22に、従って、個別のLED素子12に対応して、2×4個の正方形50(破線)のマトリクスとして表される。各正方形50は、次いで、DMD面26上のマイクロミラー要素に対応して、4×4個のピクセル52、54に分けられる。当業者に認識されるように、実際のDMD分解能は、異なる実施形態ごとに有意に異なり得るが、ほとんどの場合に、図5に表されている16×8ピクセルよりも相当に高い。
【0045】
図5において、「オン」位置にあるマイクロミラー要素に対応し、よって、投影照射ビーム36の明るく照らされた領域である、アクティブピクセル54は、白色の正方形として示され、一方、照射ビーム36の暗い、明るく照らされない領域に対応する非アクティブピクセル52は、ハッチングされた表現で示される。
【0046】
照射ビーム36は、例では、暗領域56、58を有する。左上角にある暗領域56は、左上の正方形50に対応する。暗領域56は、全ての対応するマイクロミラー要素を「オフ」位置に動かすように制御することによって達成され得る一方で、代わりにPCB14上の左上のLED素子12を非アクティブにすることが望ましく、それにより、左上のコリメータ要素18の出光面22から光は発せられず、コリメートビーム32及び投影ビーム34の対応する領域はこの形状の暗領域56を既に有する。
【0047】
更に、例となる照射ビーム36は、図5の右側に示されている凹凸のある第2暗領域58を有する。第2暗領域58は、その部分が、4つの正方形50に、それらの正方形を完全にはカバーすることなしに延在している。従って、この分布を達成するために、4つの正方形50に対応するLED素子12は、アクティブであり、DMD要素28のピクセル52、54は、第2暗領域58の所望の形状を達成するように空間的に制御される。
【0048】
図6は、動力車60のフロントヘッドライトにおける照明装置10の使用を概略的に示す。投影照射ビーム36は、例えば、図5の例に対応する光分布を有し、よって、まぶしさを回避するために、例えば、暗領域56、58の中に位置する対面交通のために、暗領域56、58を含むよう制御されてよい。
【0049】
上記の実施形態は、本発明を制限するのではなくむしろ説明し、当業者であれば、特許請求の範囲の適用範囲を逸脱することなしに、多くの代替実施形態を設計することが可能である点が留意されるべきである。
【0050】
特に、LED素子12の数及びPCB14上でのその配置は、例えば、共通出光面20の異なるサイズ又はアスペクト比を得るために、異なるように選択されてよい。また、DMDデバイス28のサイズ及び分解能は、特定の実施形態において必要に応じて異なるように選択されてよい。更に、異なるように成形された、特に、異なるサイズ、形状及びアスペクト比の入光面40及び出光面22を備えたコリメータ要素が、選択されてもよい。
【0051】
上記の例で、投影照射ビーム36の所望の形状は、個別のLED素子12をオン又はオフのいずれかに切り替えることによって達成されたが、一方で、調光された状態でLED素子12の1つ以上を動作させることも可能である。LED素子12の調光は、低下された値への動作電流及び/又は動作電圧の制御によって、あるいは、望ましくは、パルス幅変調によって、達成されてよい。LED素子の調光動作を使用することによって、結果として投影照射ビームにおける対応する領域は、受光量が減る。
【0052】
特許請求の範囲では、いかなる参照符号も、請求項を制限するものと解釈されるべきではない。「~を有する」(“comprising”)との語は、請求項に挙げられている以外の要素又はステップの存在を除外しない。要素の前にある不定冠詞“a”又は“an”は、そのような要素の複数の存在を除外しない。特定の手段が相互に異なる従属請求項で挙げられているという単なる事実は、それらの手段の組み合わせが有利に使用され得ないことを示すものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6