(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-08
(45)【発行日】2023-05-16
(54)【発明の名称】寄生虫の寄生を治療するためのモキシデクチンを含有する組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/365 20060101AFI20230509BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20230509BHJP
A61K 47/14 20170101ALI20230509BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20230509BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20230509BHJP
A61P 33/00 20060101ALI20230509BHJP
【FI】
A61K31/365
A61K47/10
A61K47/14
A61K47/38
A61K9/08
A61P33/00 171
(21)【出願番号】P 2020528262
(86)(22)【出願日】2018-11-23
(86)【国際出願番号】 EP2018082437
(87)【国際公開番号】W WO2019101961
(87)【国際公開日】2019-05-31
【審査請求日】2021-10-22
(32)【優先日】2017-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】519003572
【氏名又は名称】セバ・サンテ・アニマル
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】フロランス・ギムベルトー
(72)【発明者】
【氏名】ハマディ・カランブー
【審査官】榎本 佳予子
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第102133173(CN,A)
【文献】特表2014-504586(JP,A)
【文献】特表2009-504778(JP,A)
【文献】Donato Traversa et al.,Efficacy of a single administration of a spot-on solution containing imidacloprid 10%/moxidectin 2.5% in eliminating Dirofilaria repens microfilariae in naturally infected dogs,Veterinary Parasitology,2011年02月22日,vol. 179,107-112,https://doi.org/10.1016/j.vetpar.2011.02.018
【文献】Antonio Frangipane di Regalbono et al.,Microfilaricidal efficacy of a single administration of Advocate(R) (Bayer Animal Health) in dogs naturally infected with Dirofilaria immitis or Dirofilaria repens,Veterinary Parasitology,2016年06月16日,vol.226,30-34,https://doi.org/10.1016/j.vetpar.2016.06.024
【文献】Thomas J. Nolan et al.,Macrocyclic Lactones in the Treatment and Control of Parasitism in Small Companion Animals,Current Pharmaceutical Biotechnology,2010年10月30日,vol.13, No.6,1078-1094,https://doi.org/10.2174/138920112800399167
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K31/00-33/44
A61K9/00-9/72
A61K47/00-47/69
A61P1/00-43/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非ヒト哺乳動物における寄生虫の寄生を予防および/または治療するための、モキシデクチンまたはその塩を含み、並びに、さらにベンジルアルコールと中鎖トリグリセリドとの溶剤混合物、及び、エチル
セルロースであるフィルム形成剤を含む動物用組成物または薬学的組成物であって、3~7か月ごとに局所投与されることを特徴とする、動物用組成物または薬学的組成物。
【請求項2】
非ヒト哺乳動物における寄生虫の寄生を予防および/または治療するための、モキシデクチンまたはその塩を唯一の有効成分として含み、並びに、さらにベンジルアルコールと中鎖トリグリセリドとの溶剤混合物、及び、エチル
セルロースであるフィルム形成剤を含む動物用組成物または薬学的組成物であって、3~7か月ごとに局所投与されることを特徴とする、動物用組成物または薬学的組成物。
【請求項3】
モキシデクチンが、1~4w/v%で構成された濃度を有する、請求項1または2に記載の動物用組成物または薬学的組成物。
【請求項4】
フィルム形成剤エチル
セルロースが、0.1%~2%w/vの間の濃度である、請求項1~3のいずれか一項に記載の動物用組成物または薬学的組成物。
【請求項5】
ベンジルアルコールと中鎖トリグリセリドとの溶剤混合物が、95.5%w/v~98.99%w/vの量で存在する、請求項1~4のいずれか一項に記載の動物用組成物または薬学的組成物。
【請求項6】
前記非ヒト哺乳動物がイヌなどのペットである、請求項1~5のいずれか一項に記載の動物用組成物または薬学的組成物。
【請求項7】
前記寄生虫の寄生が線虫によって生じる、請求項1~6のいずれか一項に記載の動物用組成物または薬学的組成物。
【請求項8】
前記線虫がdirofilaria immitisである、請求項7に記載の動物用組成物または薬学的組成物。
【請求項9】
前記寄生虫の寄生が耳ダニによって生じる、請求項1~8のいずれか一項に記載の動物用組成物または薬学的組成物。
【請求項10】
前記組成物が3~6か月ごとに投与される、請求項1~9のいずれか一項に記載の動物用組成物または薬学的組成物。
【請求項11】
前記組成物の局所投与がラインオン投与である、請求項1~10のいずれか一項に記載の動物用組成物または薬学的組成物。
【請求項12】
前記組成物の局所投与がスポットオン投与である、請求項1~11のいずれか一項に記載の動物用組成物または薬学的組成物。
【請求項13】
前記組成物が、酸化防止剤としてブチルヒドロキシトルエンをさらに含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の動物用組成物または薬学的組成物。
【請求項14】
前記組成物が、
・約3w/v%のモキシデクチンと、
・約1w/v%のエチルセルロースと、
・約0.05w/v%のBHTと、
・約32w/v%の中鎖TGと、
・合計量を1mLにするベンジルアルコールと、を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の動物用組成物または薬学的組成物。
【請求項15】
前記モキシデクチンが、約1.5mg/kg体重~3.5mg/kg体重で含まれる量で投与される、請求項1~14のいずれか一項に記載の動物用組成物または薬学的組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組成物が3~9か月ごとに局所投与されることを特徴とする、非ヒト哺乳動物における寄生虫の寄生を予防および/または治療する上での使用のためのモキシデクチンまたはその塩を含む動物用組成物または薬学的組成物に関する。
【0002】
本発明はまた、非ヒト哺乳動物に、モキシデクチンまたはその塩を含む動物用組成物または薬学的組成物を3~9か月ごとに局所投与することを含む、該非ヒト哺乳動物における寄生虫の寄生の治療および/または予防の方法に関する。
【背景技術】
【0003】
非ヒト哺乳動物、例えば、イヌ、子イヌ、ネコ、子ネコ、ウサギ、フェレット、ウマ、およびブタなどのコンパニオンアニマルは、血液を摂取する寄生虫の寄生、したがってこれらの寄生虫によって引き起こされる感染症にしばしば罹りやすい。これらの寄生虫は、マダニ、ノミ、疥癬、シラミ/シラミ卵、ハエ、カなどの外部寄生虫、または内部寄生虫であることがある。その上、これらの寄生虫のうちのいくつかは、扁虫(または扁形動物)、鉤虫、鞭虫または回虫(または線虫)などの内部寄生虫の中間宿主である。
【0004】
より具体的には、心糸状虫は寄生虫回虫(特にdirofilaria immitis)であり、宿主から宿主へとカ(中間宿主)に刺されて伝播する。決定的で最も影響を受ける宿主はイヌであるが、ネコ、オオカミ、コヨーテ、キツネ、フェレット、アシカ、ならびにさらにはウシおよびヒトにさえも感染する可能性がある。心糸状虫は、5大陸で発見されている。
【0005】
寄生虫は、その生活環の成体の生殖期に主に宿主の右心室に宿り、右心室で何年も生存することができるので、一般的に「心糸状虫」と呼ばれる。心糸状虫感染症は結果として、宿主に重篤な疾患、すなわち、イヌ糸状虫症、より正確には心糸状虫症を生じることがある。
【0006】
感染した動物をカが刺すと、ミクロフィラリアと呼ばれる心糸状虫の幼虫がカの体内に入る。2週間以内に、ミクロフィラリアはカの内部で感染性の幼虫に成長し、これらの感染性の幼虫は、カが再び刺すと他の動物に伝染する可能性がある。
【0007】
この咬合を介してイヌの血液系に入ると、幼虫は成長し(マクロフィラリア)、イヌの心臓へ移動し、そこで成熟して繁殖する。摂取されたミクロフィラリアがカの中で感染性の幼虫に成熟すると、イヌ糸状虫の生活環が完成する。イヌでは幼虫が成虫に成長するまでに約180日かかるのに対し、心糸状虫の生活環はおよそ6か月である。
【0008】
Dirofilaria immitisは、平均径1mmで、オスの成虫で長さ20cm(12~20cm)にまで達し、メスの成虫で長さ31cm(25~31cm)にまで達する白色の糸状の回虫として現れる。
【0009】
心糸状虫は主として、寄生虫量が少ない(50匹未満)イヌの肺動脈において認められる。寄生虫量が多い(50匹超)寄生では、寄生虫は、右心室、右心房、および場合によっては大静脈に到達することがある。初期の反応には、小肺動脈の膨張および凝血が含まれる。イヌの心臓の肺動脈および右心室に心糸状虫が物理的に存在し、その結果として組織が破壊されると、呼吸器系および循環器系の問題が発生し、該問題は、ストレスまたは激しい運動の条件下では致命的となる可能性がある。肺高血圧および右側心不全は結果として、うっ血性心不全を生じることがある。
【0010】
かなりの程度まで血流を詰まらせるにはたくさんの心糸状虫が必要であるので、心糸状虫は臨床徴候を生じる前に最長2~3年間心臓内部に存在する可能性がある。疾患が進行するにつれ、肺組織が破壊されて咳が悪化する可能性がある一方で、器官の血流が低減して肝臓および腎臓が損傷する可能性がある。治療せずに放置すると、心糸状虫症により結果として死亡することがある。ヒトはまた、異常な宿主として感染することがある。しかし、ヒトに導入されたほとんどの感染性幼虫は死亡する。
【0011】
安全で非常に有効かつ便利な予防戦略は過去20年間利用可能であったが、dirofilaria immitisによる心糸状虫症は、イヌおよび他の哺乳動物(ネコ、ウシ、ヒト、モルモット、およびフェレット)において、世界の多くの地域で重度の損傷および死亡さえ引き起こし続けている。その上、寄生虫および媒介カは、これまで報告されてきていない地域へと伝播し続けている。
【0012】
現在、臨床的に感染させたイヌに対する治癒的治療において2つのヒ素誘導体のみが利用可能である。1つ目は、重度の副作用を伴う旧薬であるチアセタルサミド(Caparsolate(登録商標)、Abbott Laboratories製)であり、2つ目は、副作用がより少ないより最近の薬物であるメラルソミン二塩酸塩(Immiticide(登録商標)、Merial製)である。予防的化学療法については、2つの選択肢がイヌの心糸状虫症を予防することができ、すなわち、ジエチルカルバマジンクエン酸塩の毎日の投与、または大環状ラクトンの毎月の投与である。
【0013】
同様に、疥癬(ニキビダニ属、サルコプテス属、ミミヒゼンダニ属、・・・)は、有効な治療法がごくわずかしかなく、感染した動物を頻繁に治療しなければならないので、制御/殺滅することが困難である。例えば、耳ダニは、動物およびヒトの耳に生息するダニである。イヌおよびネコの耳ダニ感染症は、片方または両方の耳に激しいかゆみを生じ、罹患した耳に擦過傷のきっかけとなる可能性がある。異常に濃い色の耳垢(ear wax)/耳垢(cerumen)も生じることがある。耳ダニと関係する最も一般的な病変は、後肢の鉤爪による皮膚の剥削によって生じる、耳の後ろまたは基部の開放創または結痂性皮膚創傷である。この病変はしばしば、皮膚の常在菌から感染し、かさぶたになるので、耳ダニの一般的な提示は、片方または両方の耳の後ろまたは基部に現れるこのような創傷である。最も一般的な耳ダニ治療は現在、動物の皮膚に局所的に適用することができる月1回の製剤として投与される抗寄生虫薬セラメクチン、またはイベルメクチンを使用する。
【0014】
このような内部寄生虫および外部寄生虫の制御は、ヒトおよび動物の健康処方の重要な側面として長く認識されてきた。寄生を制御するためにいくつかの代替策が使用されているが、該代替策は、活動の限られた範囲、反復療法の必要性(服薬遵守の欠如)、およびいくつかのまれな場合では、特にカルバマート、有機リン化合物またはピレスロイドの使用にともなう寄生虫による耐性を含む、多くの問題を被っている。そのため、新たな効果的な治療法を開発することが非常に重要である。
【0015】
このような寄生虫を治療するために多くの治療法が市販されてきた。例えば、イベルメクチン(Heartgard(登録商標)、Merial製)を含有する咀嚼錠は、感染後の1か月間(30日間)、心糸状虫の幼生(Dirofilaria immitis)の組織期(tissue stage)を排除することによって、イヌ心糸状虫症を予防するために市販されてきた(最低で体重1キログラムあたり6.0マイクログラム)。しかし、治療には2つの制限がある。1か月に1回しか使用することができず、それゆえ、1か月しか効果がなく、経口薬である。肝臓または胃液により分解され、効き目が遅く、および薬物と相互作用する。
【0016】
別の例として、単回用量の投与後6か月間、ジロフィラリアに対する持続的な保護を提供する、皮下注射されたモキシデクチン含浸脂質ミクロスフェアの緩効性製剤は、ZoetisからMoxidectin SR(登録商標)、ProHeart6(登録商標)またはGuardian SR(登録商標)という名称で市販されてきた。緩効性製剤には多くの欠点があり、獣医による一般診療で複雑な調製および使用を必要とする懸濁剤であること、ならびに注射可能な製品であるので、注射器で獣医が投与しなければならず、局所的な耐性の問題を最終的に誘発する可能性があることである。さらに、この製品は、安全性関連の問題のため、2004年9月に米国市場から自主的に取り除かれており、現在、リスクを最小限にしかつ配分を制限されたプログラムの下でFDAにより再度承認されている。
【0017】
イミダクロプリドおよびモキシデクチンの組成物は、イヌ糸状虫症を予防するために、Bayerによって市販されており(Advocate(登録商標)またはAdvantage Multi(登録商標))、局所的に適用されるが、イミダクロプリドは、いくつかの動物(例えば、鳥類)に対して毒性がある可能性があり、製品は数か月間は毎月投与される必要があり、投与を忘れてはならず、これは制限的である。Advantage Multi(登録商標)の注意書きには、多くの欠点が詳述されている。「心糸状虫症の予防のために、Advantage Multi(登録商標)for Dogsは、1か月おきに投与されるべきである。AdvantageMulti(登録商標)for Dogsは、年間を通じて投与することができ、または最低でも、カへの最初の予期される曝露の1か月前に開始すべきであり、かつカへの最後の曝露の1か月後まで、月1回の間隔で継続すべきである。投薬を忘れ、投薬間隔が30日間を超えた場合、Advantage Multi(登録商標)for Dogsをすぐに投与して、月間投薬スケジュールを再開する。心糸状虫予防プログラムで別の心糸状虫予防製品を置き換えるとき、Advantage Multi for Dogsを用いた初回治療は、前薬の最後の投薬から1か月以内に付与すべきである。その上、Bowman D.et al.(Parasites & Vectors(2016)9:12)は、イヌが最後の月1回の治療後28日間で感染したとき、予防の有効性が100%であったことを確認している。イヌがAdvantage Multi(登録商標)の継続投与を処方どおりに受けると、心糸状虫感染は、数回の月ごとの投与後に月1回の投薬間隔じゅう予防されることになる。
【0018】
セラメクチンスポットオンは、Dirofilaria immitisによって生じる心糸状虫症を予防し、かつ耳ダニ(Otodectes cynotis)寄生を治療および制御するために、Zoetisによって市販されている(Revolution(登録商標))。推奨される最低用量は、体重1ポンドあたり2.7mg(6mg/kg)のセラメクチンである。繰り返すが、この製品は、月1回適用されなければならないので、制約的である。
【0019】
US2013231371は、約0.25%~約60%(w/w)のピレスロイドと約0.01%~約10%(w/w)の大環状ラクトンとを含むスポットオン殺虫性組成物に関する。組成物は4週間ごとに適用される。
【0020】
WO2016161369は、寄生虫感染の治療または予防として使用される1つのデプシペプチドおよび1つの大環状ラクトンからなる組成物を説明しており、寄生虫感染は、大環状ラクトン単独での治療または予防に耐性のある寄生虫を含み、寄生虫は、Dirofilaria immitisである。環状デプシペプチドおよび大環状ラクトンの投与は、月1回の間隔で5回である。この特許出願によると、モキシデクチンを単独で使用しても、Dirofilaria immitisを予防することはできない。その上、該出願は、近年、有効性の欠如の症例数の増加が報告されてきており、その中で、イヌが大環状ラクトン薬の予防投薬量を月1回服用しているにもかかわらず、成心糸状虫感染症を発症していることと、Dirofilaria immitisが心糸状虫予防薬に対して耐性を生じてきたことを推測する心糸状虫予防薬を服用しながら、心糸状虫の抗原を検査したイヌが陽性である症例数が増えていることとを明示している。
【0021】
既存の製品および最新の開発品の主たる弱点は、効果の欠如、投与様式(スポットオン)による長時間作用型の有効性がないことであり、スポットオン組成物の必須の月1回の適用は、少なくとも4か月間繰り返されて、内部寄生および外部寄生両用の殺虫剤でありかつ心糸状虫を予防する長時間作業型組成物を生じる。長時間作用型の製品は注射可能であり、スポットオン製品ではない。
【0022】
実際、先行技術文献はいずれも、非ヒト哺乳動物における内部寄生虫(より具体的には心糸状虫)および耳ダニ寄生を治療および/または予防するのに有用であるモキシデクチンまたはその塩を含み、長時間作用型であり(少なくとも3か月)、容易に局所に適用され単回適用で十分であり、動物における長期毒性問題を最小限にするために、薬物の血漿濃度が最適化されている、本発明による組成物を開示していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0023】
【文献】US2013231371
【文献】WO2016161369
【非特許文献】
【0024】
【文献】Bowman D.et al.(Parasites & Vectors(2016)9:12)
【発明の概要】
【0025】
結果として、スポットオン組成物を月1回適用して心糸状虫を治療するか、または長時間作用型製品を注射することを推奨することを含む上述の問題を克服して、内部寄生虫および耳ダニに対する殺滅効果を高めた組成物を製造し、イヌ糸状虫症を根絶し、より予測可能な性能を提供するために、当技術分野では、より低い最大血漿濃度での吸収およびバイオアベイラビリティを改善した新たな組成物および新たな治療方法が必要である。
【0026】
それゆえ、本発明は、ワーム(回虫、鉤虫、心糸状虫、条虫および鞭虫)のような内部寄生虫を予防するモキシデクチンを含む組成物の新規の使用を提供することを目的としており、該組成物は、投与が非常に容易であり(スポットオンまたはラインオン)、独特な局所適用により、長期間にわたって有効な血漿濃度を維持することができる。
【0027】
本発明によるモキシデクチンを含む組成物の使用は、先行技術と比較して数多くの利点を有する。該組成物は、安全で、毒性がなく、化学的に安定しており、十分に承認されている。Dirofilaria immitisおよび耳ダニの治療および/または予防に必要な有効成分は1つだけであり、既存の製品とは異なり、2つの有効成分(またはそれより多数)の相乗関係は必要とされない。それゆえ、製剤は製造が容易である。組成物の使用による関連する局所的臨床徴候(赤色の斑点なし、脱毛なし、かゆみなし、剥離なし、限定された美容効果・・・)も、組成物の使用による全身レベルの否定的な臨床徴候(生化学的性質/生物学的性質)もないが、非ヒト哺乳動物による許容され得る局所的なおよび全身レベルの耐性がある。
【0028】
この種の「ワンショット処方」は、有効成分、賦形剤、投与形態、および濃度を慎重に選択することによって、毛皮にいかなる固形付着物もなく良好な安定性および良好な展延性を達成するために最適化されてきた。
【0029】
推奨物または先行技術の製品とは異なり、本発明による組成物の単回の局所適用のみが、有効性について数か月間有用である。本組成物は、モキシデクチンの皮膚浸透性が良好である(市販の製品よりも高い)。
【0030】
その上、本発明による組成物の使用は、血漿/組織脂肪におけるモキシデクチンの半減期が長いこと、および十分に吸収され、十分に分配されることを可能にする。それゆえ、本使用は、ワームなどの内部寄生虫に対して非常に効果があり、身体によって十分に代謝され、十分に排除される(生体分解性、生体吸収性)。
【0031】
本発明で使用される組成物はまた、すぐに使用できる。動物用医薬品として該組成物を使用することは容易である。動物の体重により、利用者は、いかなる懸濁剤または液剤も調整する必要がないばかりか、注射器から便利な量の薬物を測定/計算して抽出する必要もなく、この故に、本組成物は、動物の飼い主によって単回適用で容易に局所的に塗布することができ、獣医による塗布はもはや不要である。注射によるリスク(感染)もない。本組成物は、すぐに使えるスポットオン/ラインオンの組成物である。結果として、用量誤差のリスクはない。すぐに使えるピペットにより、薬用量投与計画は完全に制御され、結果として、治療の遵守はより良好となる。本組成物は、注射可能な既存の製品の長時間作用する効果と局所用製品の投与しやすさを兼ね備えている。
【0032】
その上、本発明による組成物の使用により、哺乳動物、特にイヌおよびネコにおいて良好な薬物動態情報を取得することができ、消化管および呼吸器の線虫に対して極めて有効であることができる。
【0033】
その上、局所(スポットオン、ラインオン)投与は、組成物の効果を高める。毎月の経口投与よりも良好に予防する(Blagburn,2011)。より具体的には、「ラインオン」適用によって、有効成分の拡散の制御が可能となる。本組成物は、動物のしぼ(grain)に対して外部から投与され、継続的に適用される。
【0034】
本発明者らは、驚くべきことに、先行技術の結論とは異なり、そのように頻繁な毎月の適用が、効果的な血漿濃度を達成するのに有用ではないことを発見した。本出願による組成物の使用は、少なくとも3か月間有効である。その上、動物に薬物が蓄積せず、それゆえ、毒性および生態毒性(環境にやさしい)が低減する。
【0035】
それゆえ、本発明によって解決される課題は、非ヒト哺乳動物、より具体的には心糸状虫および耳ダニにおける寄生虫の寄生を治療および/または予防するために容易に局所的に適用および使用され、長時間作用し、既存の市販の製品よりも有効性が高く、効果的な血漿濃度を少なくとも3か月間またはそれより長く可能にする動物用または薬学的組成物の投与を含む治療の新たな方法を提供することである。
【0036】
第一の態様において、本発明の目的は、組成物が3~9か月ごとに局所投与されることを特徴とする、非ヒト哺乳動物における寄生虫の寄生を予防および/または治療する上での使用のための、モキシデクチンまたはその塩を含む動物用組成物または薬学的組成物を提供することである。本明細書で定義するような動物用組成物または薬学的組成物は、長時間作用型組成物と見なすことができる。
【0037】
本発明のさらなる目的は、非ヒト哺乳動物における寄生虫の寄生の治療および/または予防の方法であって、3~9か月ごとに該非ヒト哺乳動物にモキシデクチンまたはその塩を含む動物用組成物または薬学的組成物を局所投与することを含む方法である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】本発明による組成物(製剤1)の薬物動態情報を、0.17mg/kgの用量で投与された注射可能製品Proheart6(登録商標)の薬物動態情報と比較して示すグラフである(実施例7を参照されたい)。
【
図2】ビーグル犬における本発明による組成物(製剤7~10)の単回局所後に観察された血漿濃度-時間情報を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0039】
第1の態様では、本発明は、組成物が3~9か月ごとに局所投与されることを特徴とする、非ヒト哺乳動物における寄生虫の寄生を予防および/または治療する上での使用のための、モキシデクチンまたはその塩を含む動物用組成物または薬学的組成物に関する。
【0040】
本発明の文脈内で、「薬学的組成物」は、疾患を治療および/または診断および/または治癒および/または予防するために使用される薬物を含有する組成物を指す。さらに、薬物とは、ヒトの疾患(複数可)を治療および/もしくは予防する特性を有するものとして提示された何らかの物質もしくは物質の組み合わせ(組成物)であるか、あるいは、薬理学的作用、免疫学的作用、もしくは代謝作用を及ぼすことによって、生理学的機能を回復、修正、または変更する目的か、または医学的診断を下す目的でのいずれかで、ヒトにおいて使用され得るまたは投与され得る何らかの物質あるいは物質の組み合わせである(指令2004/27/ECによる)。
【0041】
FDA用語集によると、本発明の文脈内で「薬学的組成物」はまた、概して、必ずしも他の有効成分または非有効成分と関係していない薬物物質を含有する最終剤形である「薬物製品」を指す。
薬物とは、公認の薬局方または処方書によって認められた物質、疾患の診断、治癒、緩和、治療、または予防における使用を企図した物質、身体の構造または何らかの機能に影響を及ぼすことを企図した物質(食品以外)、医薬品の構成要素としての使用を企図した物質として定義されるが、装置または装置の構成要素、部品もしくは付属品として定義されない(生物製剤はこの定義内に含まれており、概して同じ法律および規制の対象であるが、相違点は、それらの製造プロセス、すなわち、化学プロセス対生物学的プロセスに関して存在している)。
【0042】
本発明によると、「動物用」という用語は、「薬学的」と同じ定義を有するが、動物(非ヒトを意味する)に適応している。「動物」は、ヒトを除く動物界のいかなる構成員のいかなる生活期も意味する。より精確には、本発明による「動物用薬物」(または医薬品もしくは組成物)は、動物における疾患または異常な身体状態もしくは精神状態あるいはこれらの症状の診断、治療、制御、根絶、緩和または予防において、使用に適したものとして使用され、または製造、販売、もしくは提示されるか、あるいは動物における何らかの身体機能、精神機能または有機的機能を回復させ、修正し、制御し、または変更する、何らかの物質または物質の混合物を意味する。
【0043】
本明細書で使用する場合、「含む」という用語は、他の有効(複数可)成分(複数可)および何らかの他の賦形剤の存在を含むことができる。「含む」という用語はまた、「からなる」を表すこともでき、逆も真である。
【0044】
別の実施形態では、本発明による使用のための動物用組成物または薬学的組成物は、モキシデクチンまたはその塩を唯一の有効成分として含む。そのことは、本発明の組成物がモキシデクチンまたはその塩であるただ1つの有効成分を含み、それにより有効成分の組み合わせを含んでいないことを意味する。したがって、本発明の目的は、組成物が3~9か月ごとに局所的に投与されることを特徴とする、非ヒト哺乳動物における寄生虫の寄生を予防および/または治療する上での使用のための、モキシデクチンまたはその塩を唯一の有効成分として含む動物用組成物または薬学的組成物である。さらなる目的は、組成物が3~9か月ごとに局所的に投与されることを特徴とする、非ヒト哺乳動物における寄生虫の寄生を予防および/または治療する上での使用のための、モキシデクチンまたはその塩からなる有効成分を含む動物用組成物または薬学的組成物である。
【0045】
モキシデクチンは大環状ラクトンであり、大環状ラクトンは構造上関連する分子の2つの群に分類される。すなわち、ミルベマイシンおよびアベルメクチン(イベルメクチン、ドラメクチン、アバメクチン、エプリノメクチンおよびセラメクチン)である。第1の動物用大環状ラクトンであるイベルメクチンは、1981年に抗寄生虫薬として導入され、線虫および節足動物に対するその驚異的な有効性により、寄生虫の制御が新たなレベルに入った。心糸状虫(L3幼生およびL4幼生)は、大環状ラクトンに特に感受性がある。
【0046】
しかしながら、MDR-1欠乏症に罹患しているイヌのある特定の種が大環状ラクトンの毒性作用に対して非常に影響されやすいことは早期に発見された。周知の感受性のある品種はコリー犬である。それゆえ、コリー犬および関連するイヌの最大耐量は、許容され得る治療用量範囲を決定する。
【0047】
より具体的には、イベルメクチンは、安全マージンが狭い。それゆえ、イベルメクチンの使用は、心糸状虫の予防に制限される(経口については6μg/kgまたは局所的には80μg/kg)。週1回の間隔で、4回適用された場合、ミルベマイシンオキシムも、フランス心糸状虫(Angiostrongylus vasorum)の制御に使用される。モキシデクチンは、心糸状虫の予防に経口適用され(3μg/kg)、消化管および呼吸器の線虫の制御のために局所的に適用される。局所適用は、コリー犬で安全である。モキシデクチンは、消化管および呼吸器の線虫(成体、未成熟成体、およびL4期)に対して極めて有効である。推奨される毎月の適用は、呼吸器の線虫に対しても有効である。
【0048】
モキシデクチン(またはミルベマイシンB)は、構造式(ミルベマイシンB、cas n°11350706-5、分子量639.8g・mol
-1)を有する。
【化1】
より具体的には、本発明による使用のために、モキシデクチンまたはその塩の量は、組成物全体の量の1.0~4%重量/容積(%w/v)で、特に1.5~3.5%w/v、特に2.0~3.5%w/v、特に2.0~3.0%w/v、特に2.5~3.0%w/vで構成される。より好ましくは、モキシデクチンは2.0~3.5%w/vの濃度であり、より好ましくはモキシデクチンは組成物全体の2.5%w/vの量で、さらにより好ましくは3.0%w/vの量で存在する。
【0049】
本発明の文脈内で、%重量/容積または%w/vとは、組成物全体の容積(100mL)で除した構成要素の質量(g)として定義される質量濃度である。例えば、25mg/mLは2.5%w/vに相当する。
【0050】
モキシデクチンという用語は、その薬学的に許容される塩も含む。塩は、塩酸塩、臭化水素酸塩、りん酸塩、硝酸塩硫酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、トルエンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、またはこれらの混合物およびそれらに類するものであることができる。
【0051】
さらに、本発明による使用のための組成物は、薬学的に許容される量で次の他の賦形剤のうちのいずれかをさらに含んでもよい。例えば、フィルム形成剤、溶剤、酸化防止剤、流動剤、潤滑剤、希釈剤、防腐剤、結晶化阻害剤、コロイド、接着剤、増粘剤、チキソトロープ剤、浸透剤、安定剤、可溶化剤、流動化剤、錯化剤、ビタミン、ミネラル、殺菌剤、またはこれらの組み合わせなどの1つ以上。より一般的には、有効成分は、製剤開発の通常の技術に対応する何らかの液状助剤と組み合わせることができる。より好ましくは、本発明による組成物は、溶剤および酸化防止剤などの賦形剤をさらに含む。
【0052】
賦形剤または補助物質は、薬局方によると、活性物質ではない何らかの薬物構成要素(アジュバント、安定剤、希釈剤、酸化防止剤、抗菌防腐剤・・・)を指す。
【0053】
溶剤(極性、無極性、プロトン性、非プロトン性)は、ベンジルアルコール、イソプロピルアルコール、中鎖トリグリセリド(6~12個の炭素原子の鎖を有する)、炭酸プロピレン、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(DPGME、Dowanol(登録商標))、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N-オクチル-2-ピロリドン(NOP)、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、トランスクトールPまたはHP(登録商標)(2-(2-エトキシエトキシ)エタノールまたは高度に精製されたジエチレングリコールモノエチルエーテル)、アセトン、2-ブタノン、3-メチル-2-ブタノン、シクロヘキサノン、アセトニトリル、キシレン、クロロベンゼン、塩化メチレン、クロロホルムトリクロロエタン、ベンズアルデヒドエチレンクロリド、スルホラン、メチルtert-ブチルエーテル、ジブチルエーテル、酢酸エチル、酢酸プロピルメタクリラート、酢酸アミル、酢酸プロピル、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAC)、プロピレンジエチルカーボネート、エチレンカーボネート、アセトニトリル、トリエチルアミン、ピリジン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、ギ酸および酢酸などのカルボン酸、第一級アミンおよび第二級アミン、プロピレンアルキルエーテル、エチレンアルキルエーテル、ポリグリコールアルキルエーテル、ジポリグリコールアリル、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ならびにこれらの混合物から選択することができる。好ましい溶剤は、ベンジルアルコール、イソプロピルアルコール、中鎖トリグリセリド、炭酸プロピレン、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、およびこれらの混合物である。溶剤または溶剤の混合物は、組成物全体の95.5%w/v~98.99%w/vの量で存在し、より好ましくは組成物全体の96.95%w/v~97.45%w/vの量で存在する。
【0054】
本発明によると、炭酸プロピレンおよびDPGMEの量は、組成物の約15%~20%w/vを構成する。炭酸プロピレンの好ましい量は16%w/vである。DPGMEの好ましい量は20%w/vである。ベンジルアルコールおよびイソプロピルアルコールの量は、約75.5%w/v~83.99%w/vを構成する。中鎖トリグリセリドの量は、組成物の10%~40%w/v、好ましくは16%~32%w/v、より好ましくは16%または32%w/vである。
【0055】
酸化防止剤は、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール(ブチルヒドロキシトルエンまたはBHT)、ビタミンE(DL-α-トコフェロール、E307)、ビタミンEリン酸、ビタミンA、アスコルビン酸(ビタミンC)、ビタミンB12、ポリフェノール、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、没食子酸プロピル、トコフェロール、アスコルビン酸、クエン酸、ジ-α-トコフェリルリン酸、β-カロテン、カロテン、カロテノイド、フラボノイド、硫酸化合物、L-システイン、チオジプロピオン酸、チオ乳酸、モノチオグリセロール、没食子酸プロピルメタ二亜硫酸ナトリウム、ナトリウムホルムアルデヒド、スルホキシラートアセタート、およびこれらの混合物から選択することができる。好ましい酸化防止剤は、BHTである。酸化防止剤(複数)/酸化防止剤(単数)は、組成物の0.001~0.5%の量で存在し、より好ましくは0.05%w/vの量で存在する。
【0056】
より好ましくは、酸化防止剤はBHTであり、溶剤はベンジルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸プロピレン、中鎖トリグリセリドおよび/またはDPGMEである。
【0057】
より好ましくは、本発明による使用のために、フィルム形成剤は、ポリビニルピロリドンおよびその誘導体、多糖、セルロースおよびエチルセルロースなどのセルロース誘導体、ゴム、ポリビニルアルコール、アクリルポリマーおよびコポリマー、ポリアクリルアミド、ならびにこれらの混合物から選択される。フィルム形成剤は、組成物の0~2%w/vを構成する量で存在し、より好ましくは1%w/vの量で存在する。
【0058】
防腐剤は、p-ヒドロキシ安息香酸メチル、p-ヒドロキシ安息香酸エチル、フェノール、ソルビン酸、クレゾールおよびクロロクレゾール、ならびにこれらの混合物から選択することができる。
【0059】
例示的な増粘剤には、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、およびこれらの混合物が含まれる。
【0060】
例示的な錯化剤には、EDTAおよびその塩、リン酸塩、硝酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、ならびにこれらの混合物が含まれる。
【0061】
例示的な殺菌剤としては、p-オキシ安息香酸メチル、p-オキシ安息香酸プロピル、PHBエステル、クロロブタノール、ベンジルアルコール、ブタノール、ブタン-1,3-ジオール、クロロヘキシジン塩、安息香酸およびその塩、ソルビン酸、ならびにこれらの混合物が挙げられる。
【0062】
本明細書に開示されるような賦形剤は、1つまたはいくつかの区分に分類することができる。例えば、エチルセルロースなどのフィルム形成剤はまた、増粘剤と見なすことができる。
【0063】
好ましいフィルム形成剤および/または増粘剤は、エチルセルロース、好ましくは等級7、20、または100のエチルセルロースである。等級7のエチルセルロースは、6~8mPa・秒からなる粘度を有する。等級20のエチルセルロースは18~22mPa・秒からなる粘度を有する。等級100のエチルセルロースは、90~100mPa・秒からなる粘度を有する。好ましい実施形態では、エチルセルロースの量は、組成物の0.1%~2%w/v、好ましくは0.5%~1.5%w/v、より好ましくは1.0%w/vである。
【0064】
本発明による使用のための好ましい動物用組成物または薬学的組成物は、次のものを含む。
・約3w/v%のモキシデクチン、
・約1w/v%のエチルセルロース、
・約0.05w/v%のBHT、
・約32w/v%の中鎖TG、および
・合計量1mLのベンジルアルコール。
【0065】
非常に特定の実施形態では、使用するための組成物は、外部寄生虫または内部寄生虫制御剤、抗生物質、非ステロイド性抗炎症薬のような1つ以上の追加の活性物質をさらに含むことができる。
【0066】
活性物質とは、医薬品を調製するために使用することを企図した何らかの物質を指し、医薬品の製造に使用するとき、この医薬品の活性物質となり、このような物質は、疾患の診断、治癒、減弱、治療、もしくは予防のための薬理学的活性もしくは別の直接的な効果を与えることを、または身体の構造および機能に効果を生じることを企図している(薬局方で定義のとおり)。
【0067】
外部寄生虫薬の例としては、有機塩素、有機リン、ホルムアミジン、アミジン、カルバマート、ピレスロイド(シペルメトリン、デルタメトリン、ルメトリン、ペルメトリン、シフルトリン、フルメトリン、メトフルトリン、モムフルオロトリン)、ピレトリン、フェニルピラゾール(フィプロニル、ピリプロール)、ベンゾイル尿素、ネオニコチノイド(ジノテフラン、イミダクロプリド、ニテンピラム)、オキサジアジン、スピノシン(スピノサド、スピネトラム)、イソキサゾリン(アフォキソラネル、フルララネル、ロチラネル、サロラネル)、コリンエステラーゼ阻害薬、昆虫成長調節薬(フルアズロン、メトプレン、ピリプロキシフェン、トリフルムロン、ルフェヌロン、ノバルロン、クロルフルアズロン、ヒドロプレン)、およびこれらに類するもの、またはそれらの混合物が挙げられ得る。
【0068】
内部寄生虫薬の例としては、ベンズイミダゾール(エンベンダゾール、オクスフェンダゾール、アルベンダゾール、トリクラベンダゾール)、イミダゾチアゾール(レバミソール、テトラミソール)、ピリミジン(ピランテル、ピランテル酒石酸塩)、イソキノリン(プラジカンテル、エプシプランテル)、サリチルアニリド(クロサンテル、ニクロサミド、オキシクロザニド、ラフォキサニド)、テトラヒドロピリミジン、アミノ-アセトニトリル誘導体、デプシペプチド、スピロインドール、大環状ラクトン(イベルメクチン、セラメクチン・・・)およびこれらに類するもの、またはそれらの混合物が挙げられ得る。好ましい内部寄生虫薬は、イベルメクチンまたはセラメクチンである。
【0069】
本発明によると、非ヒト哺乳動物は、コンパニオンアニマル、またはペット、または何らかの飼いならされた動物を指し、いかなる制限もなく、イヌ、子イヌ、ネコ、子ネコ、ウサギ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ウシ、スナネズミ、ウマ、マウス、フェレット、ハムスター、ウマ、およびこれらに類するものが含まれる。好ましい実施形態では、非ヒト哺乳動物は、イヌなど、またはネコなどのペットであり、より好ましくはイヌである。イヌは、小型犬、中型犬、または大型犬とすることができる。
【0070】
本明細書で使用する場合、「予防および/または治療すること」は、寄生虫の寄生を制御、低減、進行遅延、根絶、治癒および/または回避することを含む。
【0071】
特定の実施形態では、本組成物は、3~6か月ごと、より好ましくは3~9か月ごと、より好ましくは4~9か月ごと、より好ましくは5~9か月ごと、より好ましくは6~9か月ごと、より好ましくは6~8か月ごと、より好ましくは3か月ごと、より好ましくは4か月ごと、より好ましくは5か月ごと、より好ましくは6か月ごと、より好ましくは7か月ごと、より好ましくは8か月ごとおよびより好ましくは9か月ごとに投与され、より精確には局所投与される。本組成物は、3、6か月またはそれより長い、最長9か月の有効性がある。本明細書で使用する場合、「有効性」は、疾患を治療および/または予防するための活性物質の治療的有効量を指す。イヌの有効な薬用量(ピペット容積)の例は次のとおりである。
30mg/mLのモキシデクチンについては、ピペット(ピペット容積)で次のとおりである。
・超小型犬(4kg以下):0.4mL、
・小型犬(4kg超~10kg):1mL、
・中型犬(10kg超~25kg):2.5mL、
・大型犬(25kg超~40kg):4mL、
・超大型犬(40kg超~60kg):6mL、
・極超大型犬75kg超(165ポンド超:7.5mL。
【0072】
20mg/mLのモキシデクチンについては、ピペット(ピペット容積)で次のとおりである。
・超小型犬(4kg以下):0.5mL、
・小型犬(4kg超~10kg):1.25mL、
・中型犬(10kg超~25kg):3.125mL、
・大型犬(25kg超~40kg):5mL、
・超大型犬(40kg超~60kg):7.5mL、
・極超大型犬75kg超(165ポンド超):11.25mL。
【0073】
本発明によると、本組成物は、3~9か月ごとに局所投与されることが企図されている。特定の実施形態によると、本組成物は、時刻T0で非ヒト哺乳動物に単回用量で投与され、次に、時刻T1で少なくとも3、4、5、6、7、8または9か月後に再び投与される。特に、治療は3か月ごと、4か月ごと、5か月ごと、6か月ごと、7か月ごと、8か月ごと、または9か月ごとに繰り返すことができる。この実施形態によると、「ごと」という用語は、繰り返される治療を意味する。
【0074】
別の特定の実施形態では、本組成物は、時刻T0で非ヒト哺乳動物に単回用量で投与され、後で繰り返されない。この特定の実施形態によると、「ごと」という用語は、本組成物が最長3、4、5、6、7、8、および好ましくは最長9か月間有効である独特の治療を意味する。したがって、本発明はまた、非ヒト哺乳動物における寄生虫の寄生を予防および/または治療する上での使用のための、好ましくは唯一の有効成分としてモキシデクチンまたはその塩を含む、本明細書に開示される動物用組成物または薬学的組成物に関する。好ましくは、動物用組成物または薬学的組成物は、3、4、5、6、7、8、または9か月間の長期作用型組成物である。
【0075】
好ましい実施形態では、2.5mg/kgのモキシデクチンを投与された動物の血漿濃度は、少なくとも3か月間、もしくは3か月間、少なくとも6か月間、もしくは6か月間、または少なくとも7か月間、もしくは7か月間、または少なくとも8か月間、もしくは8か月間、または少なくとも9か月間、もしくは9か月間、0.025ng/mL超である。
【0076】
本出願の特定の実施形態では、モキシデクチンは、1.5mg/kg体重(BW)~15mg/kgBW、特に1.5mg/kg体重(BW)~3.5mg/kgBW、より具体的には、2.5mg/kgBW、さらにより好ましくは、3.0mg/kgBWを含む量で投与される。
【0077】
本発明による使用のための組成物は、液状溶剤、半液状溶剤、懸濁剤、ペースト剤、クリーム剤、フォーム剤、軟膏、またはゲル剤の形態である。本組成物は、スポットオン経路、より特にはラインオン投与によって局所的に投与される。製品の喪失のリスクを制限し、モキシデクチンの皮膚吸収を強化するために、ラインオン適用が好ましい。
【0078】
本明細書の「投与される」、より精確には「ラインオン」は、本組成物が動物の皮膚上に、尾部の付け根から脊椎に沿って肩甲骨まで、または背中の中央から脊椎に沿って肩甲骨まで、またはそれより短めで適用されることを意味する。「ラインオン」適用の長さは、例えば、30cm、または20cm、または15cm、または10cm、または5cmであり得、好ましい長さは10cmである。組成物は、動物の体重および/または大きさに適合した単位用量として製剤され、全用量が動物に適用される。ラインオン適用法により、動物の皮膚を経て拡散したモキシデクチンの量は、既知であり、制御されている。
【0079】
本発明によると、寄生虫の寄生は、ワームによって、特に、線虫(内部寄生虫)、および/またはダニ(外部寄生虫)によって、より特には、dirofilaria immitis、および/または耳ダニによって生じる。
【0080】
本発明による実施形態では、外部寄生虫はダニである。ネコのダニは、ニキビダニ科、キュウセンダニ科、ヒセンダニ科、ツメダニ科、サシダニ科、および/またはツツガムシ科に属する。
・Demodex属:cati
・Otodectes属:cynotis
・Notoedres属:cati
・Sarcoptes属:scabiei
・Cheyletiella属:blakei、parasitovorax
・Dermanyssus属:gallinae
・Neotrombicula属:autumnalis
好ましいダニは、Otodectes属(耳ダニ)である。
【0081】
ネコおよびイヌのダニは、ミナミケモノハジラミ科、ツメダニ科、キュウセンダニ科、ヒセンダニ科、ニキビダニ科、サシダニ科および/またはツツガムシ科に属する。
・Cheyletiella属:yasguri
・Otodectes属:cyanoti
・Sarcoptes属:scabiei
・Notoedres属:cati
・Demodex属:canis
・Dermanyssus属:gallinae
・Neotrombicula属:autumnalis。
好ましいダニはOtodectes属(耳ダニ)である。
【0082】
本発明による組成物はまた、心糸状虫とは別に、内部寄生虫、より特には鉤虫、扁虫、条虫、鞭虫、より特には消化管線虫、心肺線虫に対して治療するために使用することができる。
【0083】
本発明の一実施形態では、内部寄生虫は、循環器系における線虫および/または吸虫である。ネコのワームは、住血吸虫科および/または糸状虫科に属する。
・Schistosoma属:japonicum、rodhaini
・Dirofilaria属:immitis
・Brugia属:pahangi、malayi
好ましい循環器系ワームは、Dirofilaria属(immitis:心糸状虫)である。
【0084】
イヌのワームは、住血吸虫科、擬円形線虫上科、および/または糸状虫科に属する。
・Angiostrongylus属:vasorum
・Schistosoma属:japonicum、spindale、incognitum、
・Heterobilharzia属:americana
・Dirofilaria属:immitis
・Brugia属:pahangi、malayi。
好ましい循環器系ワームは、Dirofilaria属(immitis:心糸状虫)である。
【0085】
本発明の別の実施形態では、内部寄生虫は、小腸内の線虫、条虫、吸虫および/または蠕虫である。ネコのワームは、回虫上科、鉤虫科、桿線虫上科、裂頭条虫科、Dilepididae、テニア科、裂頭条虫科、中擬条虫科、Diplistomatidae、異形吸虫科、棘口吸虫科、Pliganthorynchidaeおよび/または毛頭虫上科に属する。
・Toxoscaris属:leonina
・Toxocara属:mystax、malayensis
・Ancylostoma属:braziliense、ceylanicum、tibaeforme
・Uncinaria属:stenocephala
・Strongyloides属:stercocoralis、planiceps、felis、tumefaciens
・Diphyllobothrium属:latum、caninum
・Echinococcus属:multilocularis、oligarthrus
・Spirometra属:masoni、mansonoides、erinacei
・Taenia属:taeniaeformis
・Mesocestoides属:lineatus
・Alaria属:alata、minessotae、marcianae
・Heterophyes属:heterophyes、nocens
・Metagonimus属:yokogawai
・Apophallus属:donicum、mulhingi
・Cryptocotyle属:lingua
・Echinochasmus属:perfoliatus
・Euparyphium属:melis
・Nanophyetus属:salmincola
・Macracanthorhynchus属:hirudinaceus、catalinum
・Onicola属:campanulatus
・Trichinella属:serrata、vulpis、campanula。
【0086】
イヌのワームは、回虫上科、鉤虫科、桿線虫上科、Diphyllobotrhiidae、Dilepididae、テニア科、裂頭条虫科、中擬条虫科、Diplistomatidae、異形吸虫科、棘口吸虫科、Pliganthorynchidaeおよび/または毛頭虫上科に属する。
・Toxocara属:canis、leonina
・Ancylostoma属:caninum、braziliense、ceylanicum
・Uncinaria属:stenocephala
・Strongyloides属:stercoralis
・Diphyllobothrium属:latum、caninum
・Echinococcus属:granulosus、quinus、orteleppi、multilocularis、vogeli
・Spirometra属:masoni、mansonoides
・Taenia属:hydatigena、multiceps、ovis、pisiformis、serialis、crassiceps
・Mesocestoides属:lineatus
・Alaria属:alata、americana、canis、michiganensis
・Heterophyes属:heterophyes、nocens
・Metagonimus属:yokogawai
・Apophallus属:donicum、mulhingi
・Cryptocotyle属:lingua
・Echinochasmus属:perfoliatus、ilocanum
・Nanophyetus属:salmincola。
【0087】
本発明の別の実施形態では、ネコおよびイヌの内部寄生虫は、皮下組織における線虫である:Dirofilariae属:repens。
【0088】
本出願では、各属には関係する種がすべて含まれる。
【0089】
好ましい実施形態では、寄生虫の寄生は、イヌ糸状虫症である。
【0090】
本発明のより好ましい実施形態は、イヌまたはネコなどの非ヒト哺乳動物における寄生虫の寄生、好ましくはイヌ糸状虫症を予防および/または治療する上での使用のための、モキシデクチンまたはその塩を好ましくは唯一の有効成分として含む動物用組成物または薬学的組成物に関し、組成物は、該非ヒト哺乳動物において単回用量で3~9か月ごとに、好ましくは3~6か月ごとに、より好ましくは3か月ごとに局所的に投与されることを特徴とする。好ましくは、モキシデクチンまたはその塩の量は、1.5mg/kg~3.5mg/kgBW、より好ましくは約3mg/kgBWが含まれる。
【0091】
本発明の別の目的は、非ヒト哺乳動物における寄生虫の寄生の治療および/または予防の方法であって、該非ヒト哺乳動物にモキシデクチンまたはその塩を含む動物用組成物または薬学的組成物を3~9か月ごとに局所投与することを含む。
【0092】
本発明のより好ましい実施形態は、イヌまたはネコにおけるイヌ糸状虫症を予防および/または治療するための方法であって、モキシデクチンまたはその塩を、好ましくは唯一の有効成分として、1.5mg/kg~3.5mg/kgBW、より好ましくは約3mg/kg BWを含む量で含む組成物を、該イヌまたはネコに3~9か月ごとに、好ましくは3~6か月ごとに、より好ましくは3か月ごとに単回用量で局所的に投与することを含む。
【0093】
本発明の別の目的は、組成物が非ヒト哺乳動物に3~9か月ごとに局所投与される、該非ヒト哺乳動物における寄生虫の寄生を予防および/または治療するための動物用組成物または薬学的組成物の製造のための、モキシデクチンまたはその塩の使用である。
【0094】
本発明のより好ましい実施形態は、イヌまたはネコにおけるイヌ糸状虫症を予防および/または治療するための動物用組成物または薬学的組成物の製造のための、好ましくは唯一の有効成分としてのモキシデクチンまたはその塩の使用であって、該組成物は、1.5mg/kg~3.5mg/kgBW、より好ましくは約3mg/kgBWを含む量のモキシデクチンを含み、該組成物は、単回用量で3~9か月ごとに、好ましくは3~6か月ごとに、より好ましくは3か月ごとに該イヌまたはネコに局所投与される。
【0095】
本発明の別の目的は、アプリケータ先端を装備したピペット内で、先に説明した組成物を含む、非ヒト哺乳動物における寄生虫を予防および/または治療する上で有用なキットである。ピペットは、0.4mL、1mL、2.5mL、4mLおよび6mLの5つの薬用量を有することが可能である。
【0096】
組成物の使用について先に説明した実施形態はすべて、以下に説明されるとおり、治療の方法および該組成物を含むキットにも適用される。
【0097】
本明細書において以下に説明されているのは、実施例、すなわち本発明による組成物の調製およびそれらの使用である。これらの実施例は例示的であって、決して制限するものではない。
【実施例】
【0098】
実施例1:製剤1
製造容器内で、以下に示す組成によるモキシデクチン溶液を調製した。撹拌の下で、一部のベンジルアルコール、ブチルヒドロキシルトルエン(BHT)、炭酸プロピレンおよびモキシデクチンを添加した。次に、容積をベンジルアルコールで合計量にした。
【表1】
【0099】
実施例2:製剤2
製造容器内で、以下に示す組成によるモキシデクチン溶液を調製した。攪拌の下で、一部のイソプロピルアルコール、BHT、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(DPGME)およびモキシデクチンを添加した。次に、容積をイソプロピルアルコールで合計量にした。
【表2】
【0100】
実施例3:製剤3
実施例1と同じプロセスを使用した。
【表3】
【0101】
実施例4:製剤4
実施例2と同じプロセスを使用した。
【表4】
【0102】
実施例5:製剤5
製造容器内に、以下に示す組成によるモキシデクチン溶液を調製した。撹拌の下で、一部のベンジルアルコール、ブチルヒドロキシルトルエン、炭酸プロピレン、ポリビニルピロリドンおよびモキシデクチンを添加した。次に、容積をベンジルアルコールで合計量にした。
【表5】
【0103】
実施例6:製剤6
製造容器内で、以下に示す組成によるモキシデクチン溶液を調製した。撹拌の下で、一部のイソプロピルアルコール、ブチルヒドロキシルトルエン、DPGME、ポリビニルピロリドンおよびモキシデクチンを添加した。次に、イソプロピルアルコールで容積を合計量にした。
【表6】
【0104】
実施例7:製剤7
製造容器内で、以下に示す組成によるモキシデクチン溶液が調製された。撹拌の下で、一部のベンジルアルコール、ブチルヒドロキシルトルエン(BHT)、中鎖トリグリセリドおよびエチルセルロースを添加した。溶液が均質になったとき、モキシデクチンを添加した。次に、容積をベンジルアルコールで合計量にした。
【表7】
【0105】
実施例8:製剤8
製造容器内で、以下に示す組成によるモキシデクチン溶液を調製した。撹拌の下で、一部のベンジルアルコール、ブチルヒドロキシルトルエン(BHT)、中鎖トリグリセリド、PEG-35ひまし油、およびモキシデクチンを添加した。次に、容積はベンジルアルコールで合計量にした。
【表8】
【0106】
実施例9:製剤9
製造容器内で、以下に示す組成によるモキシデクチン溶液を調製した。撹拌の下で、一部のベンジルアルコール、ブチルヒドロキシルトルエン(BHT)、中鎖トリグリセリドおよびエチルセルロースを添加した。溶液が均質になったとき、モキシデクチンを添加した。次に、容積をベンジルアルコールで合計量にした。
【表9】
【0107】
実施例10:製剤10
製造容器内で、以下に示す組成によるモキシデクチン溶液を調製した。撹拌の下で、一部のベンジルアルコール、ブチルヒドロキシルトルエン(BHT)、中鎖トリグリセリドおよびエチルセルロースを添加した。溶液が均質になったとき、モキシデクチンおよびPEG-35ひまし油を添加した。次に、容積をベンジルアルコールで合計量にした。
【表10】
【0108】
実施例11:イヌの薬物動態(
図1を参照されたい)
製剤1の試料を、3mg/kgのモキシデクチン用量でビーグル犬3匹に投与した。薬物動態情報を、0.17mg/kgの用量で投与する注射可能な製品Proheart 6(登録商標)と比較した。平均血漿情報は、腸内ワームの根絶に適した5ng/mlを上回る最大濃度(Cmax)と、6か月間の心糸状虫予防を可能にするProheart(登録商標)6と類似のまたはそれを上回る血漿持続性を呈する。
独特な局所適用の後、モキシデクチンに感受性のあるほとんどの内部寄生虫を標的にすることができる。
【0109】
実施例12:イヌの薬物動態(
図2を参照されたい)
実施例7~10に説明する局所製剤A106、A73、A107およびA108をイヌで検査した。ビーグル犬8匹からなる群を、各製剤の単回用量(0.1ml/kg)で処置し、薬物動態用に血液を採取した。局所製剤は十分に許容された。吸収は迅速で、持続し、有意であった。Proheartと類似の持続的な血中濃度(実施例1および
図1)が、処置後210日を超えて観察された。