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特許7274480曲面ミラーを成形する真空成形装置、システム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-08
(45)【発行日】2023-05-16
(54)【発明の名称】曲面ミラーを成形する真空成形装置、システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/01 20060101AFI20230509BHJP
   B60K 35/00 20060101ALI20230509BHJP
   G02B 5/10 20060101ALI20230509BHJP
   C03B 23/035 20060101ALI20230509BHJP
【FI】
G02B27/01
B60K35/00 A
G02B5/10 C
C03B23/035
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020529421
(86)(22)【出願日】2018-11-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-15
(86)【国際出願番号】 KR2018015088
(87)【国際公開番号】W WO2019108015
(87)【国際公開日】2019-06-06
【審査請求日】2021-11-30
(31)【優先権主張番号】62/592,588
(32)【優先日】2017-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100123652
【弁理士】
【氏名又は名称】坂野 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ギュボン
(72)【発明者】
【氏名】ホン,ソンファ
(72)【発明者】
【氏名】チ,ホンクン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジョンファ
(72)【発明者】
【氏名】イ,インス
【審査官】山本 吾一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/208967(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0111403(KR,A)
【文献】特開2016-037446(JP,A)
【文献】特開平10-218630(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0081428(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03B 23/00
B60K 35/00
G02B 5/00
B29C
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドアップディスプレイ(HUD)のための曲面ミラーを成形する方法において、
第1の大面積面と、前記第1の大面積面と対向する第2の大面積面と、前記第1の大面積面及び前記第2の大面積面を接続する小面積面とを含むミラープリフォームを提供するステップであって、前記ミラープリフォームは、中心部分と前記中心部分を包囲する周縁部分とを有する、ステップと、
前記第2の大面積面に面する凹面を有する型上且つ、前記小面積面の少なくとも一部を包囲するように前記ミラープリフォームがその中に配置される空間を画定する、ハウジング内に前記ミラープリフォームを配置するステップであって、前記型は、前記周縁部分の下の前記凹面の周縁部に沿って溝型真空ラインを含む、ステップと、
前記凹面に前記ミラープリフォームを沿わせるために前記溝型真空ラインを介して前記空間に真空圧を提供するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記ハウジング内に前記ミラープリフォームを配置するステップは、最初に前記型上に前記ミラープリフォームを配置し、且つその後、前記型の上に且つ前記ミラープリフォームの周囲に前記ハウジングを位置決めするステップを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記小面積面は、第1の長手方向側面及び第2の長手方向側面と、第1の横方向側面及び第2の横方向側面とを含み、
前記ハウジングは、前記ミラープリフォームの前記第1の長手方向側面及び前記第2の長手方向側面と密に沿う第1の長手方向側面及び第2の長手方向側面を含み、且つ前記ミラープリフォームの前記第1の横方向側面及び前記第2の横方向側面と密に沿う第1の横方向側面及び第2の横方向側面も含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記溝型真空ラインは、前記ミラープリフォームの中心部分に接触しないことを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記凹面は、非球面であることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
ヘッドアップディスプレイ(HUD)の曲面ミラーを成形する成形装置において、
ミラープリフォームを湾曲形状に造形するための凹面を含む型と、
前記凹面の周縁部に配置された溝型真空ラインであって、前記凹面と前記ミラープリフォームとの間の領域空間に真空圧を供給するように構成されている溝真空ラインと、
造形中、前記ミラープリフォームを包囲するように前記型の上に配置されるハウジングであって、前記ミラープリフォームが前記型上に配置されると、前記凹面から少なくとも前記ミラープリフォームの高さまで延在する実質的に垂直な面を含み、前記垂直面は、前記空間の周縁部を包囲する、ハウジングと
を含み、前記ハウジングは、前記溝型真空ラインの少なくとも一部に沿って前記凹面と前記ハウジングの底部との間に間隙があるように、前記型の少なくとも1つの側部において前記溝型真空ラインの上に張り出すことを特徴とする成形装置。
【請求項7】
前記間隙は、前記ミラープリフォームの厚さより小さいことを特徴とする、請求項6に記載の成形装置。
【請求項8】
前記ハウジングの長手方向壁は、第1の長手方向側面及び第2の長手方向側面と前記凹面との間並びに第1の横方向側面及び第2の横方向側面と前記凹面との間の空間の一部における真空の漏れを防止することを特徴とする、請求項6又は7に記載の成形装置。
【請求項9】
前記型の前記凹面は、前記型の長手方向に延びる、第1の曲率に対する第1の曲率半径と、前記型の横方向に延びる、第2の曲率に対する第2の曲率半径とを含み、前記第2の曲率半径は、前記第1の曲率半径より大きいことを特徴とする、請求項6~8のいずれか一項に記載の成形装置。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、米国特許法第119条の下で、2017年11月30日に出願された米国仮特許出願第62/592,588号の優先権の利益を主張し、この出願の内容は、依拠され、且つその全体が参照により本明細書に援用される。
【技術分野】
【0002】
本開示は、曲面ミラーを成形する真空成形装置、システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ヘッドアップディスプレイ(HUD)システムは、ユーザが自らの主要な視界から視線をそらすことなく情報を見ることができるように、透明面上に視覚的情報を投影する。HUDシステムは、通常、ミラーを使用して画像を反射し、透明面上に投影する。HUDシステムに対する1つの応用は、自動車、飛行機、船
舶及び他の車両等の交通機関にある。例えば、車両の操縦者又は運転者が前方の視線を維持しながら、且つ表示画面に向かって下を見るか又は目をそらす必要なしに、車両の運転に関する情報を見ることができるように車両においてHUDシステムを使用することができる。したがって、HUDシステムは、車両操縦者が安全な運転の視点から目をそらす必要性を最小限にすることにより、安全性を向上させると考えられる。
【0004】
しかしながら、HUDシステムは、投影画像において光学品質が不十分となることが多く、それにより投影画像に望ましくない審美的品質がもたらされる可能性がある。不十分な光学品質により、HUDシステムの安全性がさらに低下する可能性があり、それは、ぼやけた又は不明瞭な投影画像により、ユーザが投影情報を読むか又は理解することがより困難になる可能性があり、その結果、ユーザによる情報の処理時間が長くなり、その情報に基づくユーザの反応時間が遅れ、ユーザの注意散漫が増大するためである。光学品質の低下は、HUDシステムで使用される最適状態に及ばないミラーからもたらされる可能性があり、そうしたミラーは、多くの場合、ミラーの不適切な造形又はミラープリフォームの湾曲中にミラー内に導入される欠陥からもたらされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、改善された光学品質を有するHUDシステム、特にHUDシステムのための改善されたミラー並びにこうしたミラーを成形する改善されたシステム、装置方法が依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のいくつかの実施形態では、ヘッドアップディスプレイ(HUD)のための曲面ミラーを成形する方法が提供される。本方法は、第1の大面積面と、第1の大面積面と対向する第2の大面積面と、第1の大面積面及び第2の大面積面を接続する小面積面とを含むミラープリフォームを提供するステップであって、ミラープリフォームは、中心部分と中心部分を包囲する周縁部分とを有する、ステップを含む。本方法は、第2の大面積面に面する凹面を有する型上に且つ小面積面の少なくとも一部を包囲するハウジング内にミラープリフォームを配置するステップであって、空間は、凹面と第2の大面積面との間に画定され、空間の外周部は、ハウジングによって境界が定められ、型は、周縁部分の下の凹面の周縁部に沿って溝型真空ラインを含む、ステップも含む。本方法は、凹面にミラープリフォームを沿わせるために溝型真空ラインを介して空間に真空圧を提供するステップをさらに含む。ミラープリフォームの中心部分は、HUDのユーザによって見られる画像を反射するように構成された曲面ミラーの有効領域を含むことができる。湾曲面に沿わせる前にミラープリフォームが2次元状態にあるとき、小面積面とハウジングとの間で測定される距離aは、0mmより大きく且つ2mmより小さいことができる。さらに、ミラープリフォームは、湾曲面に沿わされると、溝型真空ラインの外側に、少なくとも約0.5mmであり、且つ3mm以下であり得る距離cだけ延在する。
【0007】
本開示のさらなる実施形態では、ヘッドアップディスプレイ(HUD)の曲面ミラーを成形する成形装置が提供される。本装置は、ミラープリフォームを非球面ミラーに造形するために非球面形状を有する湾曲面を含む下型と、湾曲面の周縁部分に配置された溝型真空ラインとを含む。溝型真空ラインは、湾曲面とミラープリフォームとの間の領域空間に真空圧を供給するように構成されている。本装置は、造形中、ミラープリフォームを包囲するように型の上に配置されるハウジングをさらに含み、ハウジングは、ミラープリフォームが下型上に配置されると、湾曲面から少なくともミラープリフォームの高さまで延在する実質的に垂直な面を含み、垂直面は、空間の周縁部を包囲する。ハウジングは、下型上に配置されると、ミラープリフォームを包囲し、且つ溝型真空ラインを包囲するようなサイズであり、溝型真空ラインは、ミラープリフォームの周縁部分の下方に配置される。
【0008】
本開示のさらなる実施形態では、ヘッドアップディスプレイ(HUD)システムのための3次元ミラーを成形する方法であって、第1の大面積面と、第1の大面積面と対向する第2の大面積面と、第1の大面積面及び第2の大面積面を接続する小面積面とを有するミラープリフォームを提供するステップを含む方法が提供される。小面積面は、互いに対向する第1の長手方向側面及び第2の長手方向側面と、長手方向側面を接続する第1の横方向側面及び第2の横方向側面とを含む。本方法は、凹面を有する型上にミラープリフォームを、第2の大面積面が凹面に面するように配置するステップであって、型は、型の周縁部に沿って湾曲面に形成された1つ又は複数の開口部を有する、ステップと、型上にハウジングを、ハウジングの実質的に垂直な壁がミラープリフォームの小面積面を包囲するように配置するステップであって、ハウジングは、開口部の少なくとも一部に沿って湾曲面とハウジングの底部との間に間隙があるように、型の少なくとも1つの側部において開口部の上に張り出す、ステップとを含む。本方法は、凹面にミラープリフォームを沿わせるように開口部に真空を供給するステップをさらに含む。
【0009】
本開示のいくつかのさらなる実施形態では、ヘッドアップディスプレイ(HUD)の曲面ミラーを成形する成形装置が提供される。本成形装置は、ミラープリフォームを湾曲形状に造形するための凹面を含む型と、湾曲面の周縁部に配置された溝型真空ラインであって、湾曲面とミラープリフォームとの間の領域空間に真空圧を供給するように構成されている溝形真空ラインと、造形中、ミラープリフォームを包囲するように型の上に配置されるハウジングであって、ミラープリフォームが下型上に配置されると、湾曲面から少なくともミラープリフォームの高さまで延在する実質的に垂直な面を含み、垂直面は、空間の周縁部を包囲する、ハウジングとを含む。ハウジングは、開口部の少なくとも一部に沿って湾曲面とハウジングの底部との間に間隙があるように、型の少なくとも1つの側部において溝型真空ラインの上に張り出す。
【0010】
請求項に係る主題のさらなる特徴及び利点は、続く詳細な説明に示されており、一部にはその説明から当業者に容易に明らかとなるか、又は続く詳細な説明、特許請求の範囲とともに添付図面を含む、本明細書に記載するような請求項に係る主題を実施することにより理解されるであろう。
【0011】
上述した概要及び以下の詳細な説明の両方は、本開示の実施形態を提示し、請求項に係る主題の性質及び特徴を理解するための概要又は枠組を提供するように意図されていることが理解されるべきである。添付の図面は、本開示のさらなる理解を提供するように意図されており、本明細書に組み込まれ且つその一部を構成する。図面は、さまざまな実施形態を例示し、本記載と併せて、請求項に係る主題の原理及び動作を説明する役割を果たす。
【0012】
例示の目的で、現在好ましい図面に示す形態があるが、本明細書で開示及び考察される実施形態は、図示する厳密な構成及び手段に限定されないことが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本開示のいくつかの実施形態による、車両におけるHUDシステムの図である。
図2】いくつかの実施形態による、図1のHUDシステムを使用しているときの自動車運転者の視点の図である。
図3】本開示のいくつかの実施形態によるいくつかのHUDシステムで使用されるコンバイナの写真である。
図4】いくつかの実施形態による、図3に示すものと同様のコンバイナとともにHUDシステムを使用しているときの自動車運転者の視点の図である。
図5】いくつかの実施形態による、2Dミラープリフォームと、2Dミラープリフォームから成形された結果として得られる非球面ミラーとの平面図である。
図6】曲げ型上の2Dミラープリフォームの等角図である。
図7】線A-Aの視点からの図6の部分断面図である。
図8】線B-Bの視点からの図6の部分断面図である。
図9】3D成形ステップを受ける前の2Dプリフォームに対応する2D基準面及び成形ステップを受けた後の3Dミラーの概略図である。
図10】いくつかの実施形態によるHUDシステムのための非球面ミラーの等角概略図である。
図11】成形型上の2Dミラープリフォームの等角図であり、プリフォームの縁部と型との間の間隙を示す。
図12】成形中の成形型とプリフォームの縁部との間の間隙の断面概略図である。
図13A】いくつかの実施形態による、溝型真空孔を備えた真空型の等角図である。
図13B】いくつかの実施形態による、溝型真空孔を備えた真空型の平面図である。
図14A図13A及び図13Bの真空型の詳細な上面図である。
図14B図13A及び図13Bの真空型の詳細な底面図である。
図15A】いくつかの実施形態によるハウジングアセンブリの等角図である。
図15B】いくつかの実施形態によるハウジングアセンブリの等角図である。
図16A】いくつかの実施形態による、成形型上の図15Bの矩形ミラープリフォームの長辺縁部の断面図である。
図16B】いくつかの実施形態による、成形型上の図15Bの矩形ミラープリフォームの短辺縁部の断面図である。
図17A】いくつかの実施形態による、成形型に沿わせる前の成形型上のミラープリフォームの縁部の断面図を示す。
図17B】いくつかの実施形態による、成形型に沿わせた後の成形型上のミラープリフォームの縁部の断面図を示す。
図18A】従来の技法によって成形された上部ミラー及び結果としてもたらされるエッジ歪みを含む曲面ミラー例の写真である。
図18B】本開示の実施形態によって成形され、且つ改善されたエッジ光学的特性を有する下部ミラーを含む曲面ミラー例の写真である。
図19A】本開示の別の実施形態による成形されたミラー基板、成形型及びハウジングの等角部分断面図である。
図19B】線C-Cによって示す視点からの図19Aの部分断面の側面図である。
図20図19A及び図19Bのミラープリフォーム、ハウジング及び型の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の説明では、図面に示すいくつかの図を通して、同様の参照番号は、同様の又は対応する部分を示す。別段の定めがない限り、「上」、「底」、「外向き」、「内向き」等の用語は、便宜上の語であり、限定的な用語として解釈されるべきではないことも理解される。さらに、ある群が要素及びその組合せの群の少なくとも1つを含むものとして記載されている場合には常に、その群は、個々に又は互いに組み合わせてのいずれかで、任意の数の記載されているそれらの要素を含むか、本質的にそれらの要素からなるか、又はそれらの要素からなり得ることが理解される。
【0015】
同様に、ある群が要素又は要素の組合せの群の少なくとも1つのからなるものと記載されている場合には常に、その群は、個々に又は互いに組み合わせてのいずれかで、任意の数の記載されているそれらの要素からなり得ることが理解される。別段の定めがない限り、値の範囲が記載される場合、それは、その範囲の上限及び下限を含む。本明細書で用いる、不定冠詞「1つの(a)」及び「1つの(an)」並びに対応する定冠詞「その」は、別段の定めがない限り、「少なくとも1つ」又は「1つ又は複数」を意味する。
【0016】
本開示の以下の説明は、それを実現する教示及びその最良の現在既知の実施形態として提供する。当業者であれば、本開示の有益な結果を依然として得ながら、本明細書に記載する実施形態に対する多くの変更形態がなされ得ることを理解するであろう。本開示の所望の利益のいくつかは、他の特徴を利用することなく、本開示の特徴のいくつかを選択することによって得ることができることも明らかになるであろう。したがって、当業者であれば、本開示の多くの変更形態及び適合形態が可能であり、特定の状況では望ましい可能性さえもあり、本開示の一部であることを認識するであろう。したがって、以下の説明は、本開示の原理を限定するのではなく、例示するものとして提供されるものである。
【0017】
当業者であれば、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本明細書に記載する例示的な実施形態に対する多くの変更形態が可能であることを理解するであろう。したがって、本記載は、与えられる例に限定されるように意図されておらず、且つそのように解釈されるべきではないが、添付の特許請求の範囲及びその均等物によって提供される保護の全範囲が与えられるべきである。さらに、本開示の特徴のいくつかを、他の特徴の対応する使用なしで使用することができる。したがって、例示的な又は実例となる実施形態の以下の説明は、本開示の原理を限定するのではなく、例示する目的で提供され、本開示の原理に対する変更形態及びそれらの置換形態を含むことができる。
【0018】
HUDシステムは、ユーザの安全性及び便宜の改善のために多様なタイプの情報を提供するために使用することができる。例えば、交通機関では、車両計器又はナビゲーション等、車両の運転に関連する情報を運転者の正面の領域に投影することができる。これは、車両速度、燃料残量、空調設定、エンターテイメント設定、ターンバイターンナビゲーションインジケータ、推定到着時間及び速度、交通渋滞又は危険な状態に関する警報に関するリアルタイム情報を含むことができる。情報は、テキスト、記号、絵、映像、アニメーション及び1つ又は複数の色として提示することができる。これらは、単に例であり、本開示の実施形態は、これらの例に限定されるように意図されていない。
【0019】
本開示のいくつかの実施形態では、HUDシステムは、画像生成装置と、画像生成装置からの画像を、ユーザに容易に可視である領域に仕向けるか又は投影する1つ又は複数の光学部品とを含むことができる。画像生成装置としては、陰極線管(CRT)ディスプレイ、発光ダイオード(LED)ディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)アセンブリ、レーザ投影システム又は当業者に既知である他のタイプのディスプレイを挙げることができる。HUDシステムは、これらのディスプレイによって作成された画像を生成するコンピュータ又はプロセッサも含むことができる。光学部品は、例えば、レンズ、ビームスプリッタ、ミラー及びコンバイナの何らかの組合せを含むことができる。HUDシステムの部品の組合せは、コリメート光を生成するように構成することができ、コリメート光は、ユーザの視野内にあるコンバイナ上に投影することができ、それにより、ユーザは、投影画像と通常の視野とを同時に見ることができる。例えば、車両応用では、コンバイナは、フロントガラス若しくは車両に組み込まれる別個の部品又は運転者若しくは同乗者がコンバイナの透明面上で投影画像を見ることができる場所において車両に取り付けることができる携帯型部品であり得る。ミラーは、湾曲基板上に反射コーティングを含むことができる。湾曲基板は、球面、非球面、フレネル形状及び/又は回折性であり得る。1つの好ましい実施形態では、ミラーは、凹状の非球面上に反射面又はコーティングを有する。
【0020】
図1は、本開示のいくつかの実施形態によるHUDシステム100の一例を示す。HUDシステム100は、自動車で示されているが、実施形態は、さまざまな車両又は非車両応用で使用することができる。運転者Dは、車両VのハンドルW上に手を置いているように示されている。HUDシステム100は、車両Vのダッシュボード110内に組み込まれており、プログラマブルグラフィカルユニット(PGU)102を含み、PGU102は、PGU102からの信号に基づいて画像を作成するように構成された画像源103に接続されている。PGU102は、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体に動作可能に接続されたプロセッサを含むことができ、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、実行されると、HUDシステム100によって表示すべき画像を画像源103によって生成するためのデータを生成及び/又は供給する命令を含む。その画像は、平面ミラー104によって曲面ミラー106に向かって反射される。曲面ミラー106から、その画像は、フロントガラス108に向かって且つフロントガラス108の投影領域112上に投影される。HUDシステム100は、投影領域112が、車両Vを運転している間、運転者Dの通常の視線の範囲内にあるように構成することができる。例えば、投影領域112は、投影画像が運転者の視点から見えるように道路上に重ね合わされるように位置決めすることができる。このシナリオの一例を図2の図に示す。
【0021】
投影領域112は、図1及び図2ではフロントガラス108に位置しているが、図3及び図4は、投影領域212の場所のためにコンバイナ208が使用される代替実施形態を示す。コンバイナ208は、車両のダッシュボード210に組み込むことができるか、又はダッシュボード210の頂部に位置決めされる携帯型の若しくは別個の部品であり得る。
【0022】
当業者であれば、HUDシステムにおける部品の基本構成を理解すると思われるため、本開示の実施形態は、HUDシステムの光学部品の1つ又は複数の特定の構成に限定されない。本開示は、主に、HUDシステムで使用される曲面ミラー並びにこうしたミラーを成形するシステム及び方法に関する。特に、実施形態は、2次元(2D)ミラープリフォームからこうした3次元(3D)ミラーを成形するシステム及び方法に関する。図5は、本明細書において考察するシステム及び方法を使用して3Dミラー302を成形するために使用することができる2Dミラープリフォーム300の一例を示す。
【0023】
3Dミラーを成形するために好都合に使用されるさまざまなシステム及び方法がある。しかしながら、本開示の著者らは、HUDシステムで使用される曲面ミラーを成形する設計及び方法に改善が必要であると理解した。画像が曲面ミラーによって反射される際の画質の劣化を防止するために、ミラーは、高水準の形状精度及び表面粗さを有するべきである。例えば、50μm未満の形状精度及び3nm未満の表面粗さ(Ra)が望ましい。HUDシステムのためのミラーで発生する特定のタイプの光学歪みは、エッジ歪みと称され、これは、ミラーの縁部又はその近くで反射する光の光学歪みである。既存のHUDシステムでは、ミラーの製造又は造形中、ミラーに光学的に衝撃を与える不具合が導入される可能性がある。これらの不具合としては、ミラーの製造時に機器又は加熱によって引き起こされる不均一な表面又は圧痕等のアーチファクト又はミラーの曲率、特にミラーの縁部又はその近くの曲率における不具合を挙げることができる。
【0024】
3D形状のミラー又はミラー基板を成形する最も一般的な方法は、2つのカテゴリ、すなわちプレス法及び真空成形法に分けることができる。しかしながら、プレス法及び真空成形法の両方に不都合がある可能性がある。プレス法では、ガラス基板等の基板を物理的な力によってプレスするために上型及び下型が使用される。例えば、2Dガラスプリフォームが2つの型間に配置された状態で上型を下型に押し込むことができ、型の一方又は両方の上の表面の形状に従ってガラスプリフォームが成形される。その結果、成形されたガラス基板の凹面及び凸面の両方に型の圧痕が残る可能性があり、それは、その後、研磨する必要がある。さらに、上型及び下型の輪郭のずれにより、上型及び下型の輪郭を正確に一致させることが困難であり、したがって成形されたガラス基板に対する正確な形状を達成することが困難である可能性がある。例えば、非球面ミラー輪郭に対する仕様は、±25μm未満であり得るが、機械加工後の型の輪郭のずれは、通常、30~50μmである。
【0025】
真空成形法では、単一型(例えば、下型)が使用される可能性があり、そこでは、型の表面に真空孔が形成される。例えば、図6に示すように、型310の成形面312上又はその上方に平坦(2D)ガラスシート又は2Dプリフォーム300が配置され、プリフォーム300は、複数のガイドピン313によって型310に位置合わせされる。型の湾曲(3D)面にミラープリフォームを沿わせるために、成形面312全体にわたって分散されている複数の真空孔314を介して真空圧が供給される。成形面312は、3Dミラーの所望の形状に造形される。図7は、線A-Aによって示す視点からの図を示し、図8は、線B-Bの視点からの図を示す。しかしながら、成形されたガラス基板の表面上における真空孔マークの形成を回避することは困難である。これらの真空孔マーク又は製造アーチファクトは、基板又は完成したミラーの光学性能を損なう可能性があり、それは、特に真空孔314が成形面312全体にわたって分散されており、したがって完成したミラーの有効領域にアーチファクトが存在するためである。また、型310の多くの真空孔314にわたって一定の真空圧を得ることは困難であり、それにより成形面312にわたって圧力差が生じ、したがって完成した3Dミラーが所望の形状から逸脱する可能性がある。さらに、典型的な真空成形法は、プレス法と比較して高い成形温度が必要である可能性がある。成形温度が高いことは、表面品質に影響を与え、窪み、ピット及び圧痕等の欠陥を形成する可能性がある。真空成形は、真空成形により3D形状に成形する前に所望のサイズに予め切断される基板であるミラープリフォームにおいて又は真空成形によって3D形状に成形された後に所望のサイズに切断される過大ガラスシートにおいて実施することができる。プリフォームベースの真空成形及び過大ガラスベースの真空成形の両方にいくらかの利点及び欠点がある。
【0026】
過大ガラスベースの成形には、例えば、縁部切断による優れた縁部品質及びより低い成形温度による優れた表面粗さを達成するという利点がある。しかしながら、過大ガラスベースの成形では、成形後にガラスを切断する追加のステップが必要であり、成形後の刈込みガラス又は無駄なガラスのためにガラス利用率が低く、切断後に縁部研磨及び/又は面取りが必要であり、最終的に完成した製品は、プリフォームベースの成形で成形されたものと同じサイズであり得るが、より大型の機器が必要である。
【0027】
他方では、プリフォームベースの真空成形では、真空成形後にミラー基板を切断する必要がなく、無駄なガラス又はカレットガラスの生成が低減する。さらに、プリフォームベースの成形は、より単純なプロセスであり、より費用効果が高い可能性がある。しかしながら、プリフォームベースの真空成形法では、ガラスプリフォームの1つ又は複数の縁部における真空漏れにより、少なくとも一部にはプリフォームと型との間の真空漏れにより、ガラスシートの表面全体にわたって比較的均一な真空圧を加えることが困難であるか又は不可能であった。例えば、成形されたガラスが単一の曲率半径を有するべきである場合、プリフォームの短辺縁部は、成形が完了するまで型表面との接触を維持する可能性があるが、真空は、プリフォームの長辺縁部に沿って漏れる。より複雑な曲率又は非球面型表面(及び非球面成形基板)の場合、4つの角部等、ガラスシートの別個の箇所のみが成形を通して型表面と接触する可能性があり、その結果、ガラス基板のすべての縁部に沿って真空漏れがもたらされる。また、非球面ミラーを成形するために、ミラー又はミラー基板の角部が欠けるか又は破損する可能性があり、これは、ミラー基板の角部のみが型と接触し、外力(例えば、真空圧、型押圧力)が加えられ、したがって基板の4つの角部に圧力が集中する場合に発生する。成形面が非球面ではなく単一の曲率半径を有する場合等、場合により、プリフォームの短辺縁部は、成形が完了するまで成形面とより適切に接触したままである可能性があるが、プリフォームの長辺縁部に沿って真空漏れが発生する可能性がある。これらの間隙又は真空圧の漏れにより、ミラー又はプリフォームの表面全体に比較的均一な真空圧を提供することが困難又は不可能になる。したがって、型表面上にガラスをより完全に沿わせるために、且つ欠けを低減させるように角部の近くの応力を低減させるためにより高い成形温度(基板のより低い粘度)が使用される。しかしながら、上述したように、温度が高いことにより、ガラス基板の表面劣化及び光学性能の低下が引き起こされる。より高い温度であっても、ミラーのエッジ歪みが発生する。
【0028】
本開示の背景にいる研究者らは、真空ベースの成形法を使用して成形されたミラーを改善するシステム、装置及び方法を発見した。いくつかの好ましい実施形態では、これらの技法は、プリフォームベースの成形法に対して特に適している可能性がある。しかしながら、いくつかの実施形態は、プリフォームベースの成形法を使用して作製されるミラー、概して真空ベースの方法にさえも限定されない。本開示の実施形態によって対処する問題のいくつかは、成形されたミラーの有効領域に残るエッジ歪み及び製造アーチファクトの問題である。上述したように、真空成形法を使用する場合、均一な真空及びミラー基板を型に均一に沿わせることを達成することが困難である可能性がある。基板の縁部又はその近くでミラー基板を所望の形状に合致させることは、特に困難である可能性があり、それによりエッジ歪みが引き起こされ、縁部の近くでミラーによって反射される画像の品質が劣化する。さらに、より十分な合致を達成する典型的な戦略(例えば、成形中のより強力な真空圧及びより高い温度)により、完成品に望ましくないアーチファクト及び不具合がもたらされる。したがって、本開示の実施形態は、縁部及び有効領域における等、改善された光学性能を有するミラー及び/又はミラー基板を提供し、且つそうしたミラーを成形する成形装置及び方法を含む。
【0029】
HUDシステムにおけるミラーは、一般に、非球面反射面を有し、それは、ミラー基板の非球面の表面に形成される反射コーティングを含むことができる。上述したように且つ図9に示すように、2Dミラープリフォーム420から3Dミラー400を成形することができる。矩形プリフォームとして、ミラープリフォーム420は、長辺縁部402及び短辺縁部404を有する。3Dミラーを成形する際、長辺縁部402及び短辺縁部404は、成形型に沿うように曲がる。結果として得られる3Dミラーの所望の形状によって決まるような成形型の形状に基づき、対向する短辺縁部404間の直線距離が低減し、短辺縁部間の低減の大きさが長辺縁部間の低減の大きさと異なる可能性がある。非球面又は非球面形状の面は、複数の曲率半径を有する。例えば図9及び図10に示すような四辺ミラーの場合、非球面は、4つの縁部の各々に沿って異なる曲率半径を有する。したがって、図10に示すように、ミラー400は、第1の縁部に沿った曲率半径Raと、第2の縁部に沿った曲率半径Rbと、第3の縁部に沿った曲率半径Rcと、第4の縁部に沿った曲率半径Rdとを有する非球面形状である反射面408を有する。面408は、非球面形状であるため、Ra≠Rb≠Rc≠Rdである。さらに、Rb及びRdは、Ra及びRcより小さい可能性がある。短辺縁部と比較して長辺縁部の曲率が異なるため、長辺縁部の曲率半径Rb、Rdの方が小さく、短辺縁部の曲率半径Ra、Rcの方が大きいことに起因して、成形による短辺縁部404間の距離の変化は、対向する長辺縁部402間の距離のいかなる低減よりも大きい可能性がある。これにより、下記のように、短辺縁部に沿った真空圧の漏れを防止することの方がより困難となる可能性がある。図10は、ミラー400の4つの角部を接続する2次元平面406に対して量j~nを変化させることにより、湾曲面408上の異なる点がどのように変位したかも示す。いくつかの実施形態では、j≠k≠l≠mである。1つの例では、変位j~nは、以下:j=7.73、k=6.32、l=6.52、m=1.31及びn=1.31に等しいことができ、ここで、変位は、単位なしの相対的な大きさで与えられているが、変位a~eの単位は、ミラーのサイズ及び用途に応じてミリメートルであり得る。2次元平面406は、2Dプリフォームの対向する長辺縁部間の短軸408と、2Dプリフォームの対向する短辺縁部間の長軸410とを含む。
【0030】
図11に示すように、2Dミラープリフォーム420が成形型430上に配置されるとき、プリフォーム420を成形面432に沿わせる前にミラープリフォーム420の角部のみが成形型430と接触することができる。したがって、ミラープリフォーム420と成形面432との間に間隙が残る。特に、ミラープリフォーム420の短辺縁部422との間に間隙434が残り、ミラープリフォーム420の長辺縁部424との間に間隙436が残る。プリフォーム420を成形面432に沿わせるステップ中、間隙434及び436が開放したままである程度まで、成形面432における真空孔からの真空吸引の幾分かが損なわれる。これにより、ミラープリフォーム420を成形面432に沿わせることが最適状態に及ばず、したがって3Dミラーの所望の形状に達成しない可能性がある。
【0031】
図12は、図11の2Dミラープリフォーム420を成形型430に沿わせるステップ中又はそのステップ後の3Dミラー420’の縁部の断面図を示す。1つ又は複数の内部真空孔438の近くで、成形面432と3Dミラー420’の内側部分との間は、十分な合致があり得るが、3Dミラー420’の縁部の近くに間隙434’が残る可能性がある。図10に示すように、曲がりの形状及び他の成形要因に起因する間隙434’の結果として真空吸引が損なわれる可能性があるため、真空孔439が縁部の近くに位置する場合でも、間隙434’が残る可能性がある。その結果、縁部の近くで3Dミラー420’の所望の曲率が達成されない。真空成形によって成形される3Dミラーの形状にわたって正確な制御を維持しながら、他の望ましくない製造によって引き起こされる欠陥を防止するという点での上述した課題により、本開示の研究者らは、3Dミラーの改善を達成することができるシステム、装置及び方法を開発した。特に、これらのシステム、装置及び方法により、完成したミラーの有効領域における真空孔圧痕等の製造欠陥をもたらすことなく、2Dプリフォームの真空成形を使用して3Dミラーの縁部又はその近くにおける吸引及び成形の改善が可能になる。
【0032】
図13A及び図13Bは、本開示のいくつかの実施形態による改善された成形型450を示す。型450は、成形面452の外周部に沿って形成された溝型真空ライン454を備えた凹状成形面452を含む。溝型真空ラインをよりよく理解するために、図14A及び図14Bは、図13A及び図13BにおいてDによって囲まれる型450の1つの角部のそれぞれ詳細な上面図及び底面図を示す。溝型真空ライン454は、成形(上)面452の周縁部全体に沿って機械加工される。いくつかの実施形態では、真空孔455、456は、図14Bに示すように、型450の裏側に穴あけされる。しかしながら、これらの孔455、456は、成形面452まで型を貫通せず、代わりに成形面452内に機械加工される溝型真空ライン454と合流した後に成形面452の下で終端する。溝型真空ライン454は、成形面452の外周部のみにあり、成形されたミラーの有効領域と接触することになる成形面452の領域にはないため、完成したミラーの有効領域内に導入される真空孔に基づく製造アーチファクトはない。
【0033】
いくつかの実施形態では、図15Aに示すように、2Dプリフォームを3D成形面に沿わせるステップ中、ハウジング500を使用することができる。ハウジング500は、真空型に沿わせるステップ中、ミラープリフォームの1つ又は複数の縁部又はその近くに位置決めされるように構成された側壁又は封止面を備えたリングのような形状を形成する。図15Aにおいて、型500は、短辺壁502及び長辺壁504を含み、それらは、組み合わせてリングのような形状を形成し、中央にプリフォームを収容するようなサイズ及び形状である空間がある。
【0034】
図15Bに、成形型530上に位置決めされたハウジング500を示す。ハウジング500は、型530の成形面の外周部を包囲し、ミラープリフォーム520が成形のために配置される空間を画定する。ハウジング500は、対向する短辺壁502、503と、対向する長辺壁504、505とを含む。ハウジング500は、溝型真空ライン534があるミラープリフォーム520の縁部における真空漏れを最小限にするように作用する。ハウジング500は、必ずしも真空性能を向上させるためにミラープリフォーム520に接する必要はない。実際には、いくつかの実施形態では、ハウジング500とプリフォーム520との間に物理的な接触がないことが有利である可能性があり、そのため、プリフォーム520は、完成品に悪影響を与える可能性があるハウジング500からの摩擦力なしに移動することができる。ハウジング500の内壁間の隙間は、いくつかの実施形態では、例えば0.5mm以下であり得る。しかしながら、この隙間は、ガラス系プリフォーム520及びハウジング500の熱膨張係数に基づいて調整することができる。
【0035】
図16A及び図16Bは、図15Bのプリフォーム520、型520及びハウジング500のそれぞれ長辺縁部及び短辺縁部の断面図を示す。具体的には、図16Aは、図15Bにおいて線C-Cによって示す視点からの断面図を示し、図16Bは、図15Bにおいて線D-Dによって示す視点からの断面図を示す。図16Aにおける長辺縁部の場合、成形中の(矢印によって示す)沈下の方向は、実質的に垂直であり、そのため、長辺縁部は、実質的にハウジング500の壁505から離れる方向に移動しない。したがって、成形面552における真空孔534が露出するか又は真空圧を損なう危険性が低い。
【0036】
他方では、短辺縁部の(図16Bにおいて矢印によって示す)沈下の方向は、垂直成分及び水平成分を有する可能性がある。水平移動又は収縮により、短辺縁部がハウジング530の壁503から引き離され、短辺縁部の近くの真空圧が低下する恐れがある。距離x’は、プリフォーム520の短辺縁部における壁503と真空孔534との間の距離である。距離x’は、成形中、真空圧が縁部の近くで維持されるように真空孔534がプリフォーム520によって覆いをとられないことを確実にするために十分に大きくなければならない。
【0037】
図17Aは、成形前のプリフォーム520と成形後の成形形状520’とを示す。型530と、ハウジング500と、溝型真空ライン534の場所とは、成形形状520’が溝型真空ライン534に距離cだけオーバーラップするように設計されるべきである。距離cは、いくつかの好ましい実施形態では、少なくとも0.5mmであるか、又は0mmより大きいが、3.0mmより小さいか、又は0.5mm~3mmであり得る。特に、図17Bに示すように、型530と、ハウジング500と、溝型真空ライン534の場所とは、ハウジング500の壁とプリフォーム520の縁部との間の距離aと、2Dプリフォーム520の縁部と成形形状520’の縁部との間の距離bとがあるように設計することができる。距離bは、成形によるガラス縁間の「収縮」の結果であり、例えばガラス組成及び成形条件によって決まる。したがって、図16Bの距離x’は、a、b及びcの合計、すなわちx’=a+b+cによって表すことができる。
【0038】
図18A及び図18Bは、2つのミラー例の写真である。図18Aでは、ミラーは、従来の真空成形技法に従って成形されており、顕著なエッジ歪みがもたらされた。対照的に、図18Bのミラーは、上述したシステム及び方法に従って成形され、エッジ歪みの顕著な改善を示した。
【0039】
いくつかのさらなる実施形態では、ハウジングの位置に対して溝型真空ラインの場所及び形状を変更することができる。上述したように、真空孔は、完成品に製造アーチファクト又は欠陥をもたらす可能性がある。一般に、真空孔は、ガラスに対して垂直方向に型表面上で機械加工される。したがって、成形後にガラスの表面に孔マークが生成される。上述した実施形態は、完成したミラーの有効領域に対応する成形面の領域に真空孔が形成されないために改善である。しかしながら、本開示のいくつかの実施形態により、溝型真空ラインを使用する場合でも望ましくないアーチファクトの変化をさらに低減させることができる。図19A及び図19Bは、1つのこうした実施形態を示す。
【0040】
図19Aは、図15Bに示すものと同様の成形品620’、ハウジング600及び型630の部分断面図を示す。しかしながら、型630は、短辺縁部に沿って、上述した実施形態と同様の場所に溝型真空ライン634を有するが、型630の長辺縁部に沿った溝型真空ライン635は、ハウジング600の内壁に対してずれている。特に、図19Bに示すように、プリフォーム620の長辺縁に沿ったハウジング600の内壁は、溝型真空ライン635上に張り出し、この長辺縁に沿ったハウジング600の内壁の底部は、成形面652に触れていない。したがって、真空がかけられると、空気流又は吸引は、ハウジング600の張り出している壁の下に、その後、長辺縁部に沿って溝型真空ライン635を通して下方に向けられる。ハウジング600の内壁の底部と成形面652との間の間隙の高さは、成形面652にプリフォームを沿わせるときに吸引が損なわれないようにプリフォームの厚さより小さい。このハウジング構造を通して、ガラスに対して作用する真空流の方向は、垂直方向から平行方向(すなわちガラスの表面又は成形面に対して平行)に変化する。したがって、ガラス面上の真空孔マークを気にすることなく湾曲面を成形することができる。
【0041】
好ましい実施形態では、図19A及び図19Bに示すハウジング600の張り出している内壁は、型630の長辺に使用されるが、短辺に使用されない。これは、上述したように、プリフォームが、沿わせるステップ中にハウジングから離れるように移動する可能性が高いためである。したがって、張出しハウジングが短辺縁部に使用される場合、成形形状の短辺縁部とハウジングとの間に間隙が開くことになるため、沿わせるステップ中に吸引が損なわれる可能性がある。したがって、図20の平面図では、型602における溝型真空ライン634は、ハウジング608から離間されているように見えるが、ハウジング608が真空ラインに張り出すため、長辺縁部に沿って真空ラインが見えない。真空ライン634は、例えば、ハウジングから1~2mm又は0.5mm~3mmであり得る。それにも関わらず、完成品においてライン634によって形成されるいかなる真空アーチファクトも、ミラーの有効領域に衝撃を与える可能性が低い。
【0042】
本開示の実施形態によれば、必要な形状精度及び良好な表面品質を達成し、過大ガラス成形法の追加の廃物及び費用なしに過大ガラス成形と同じか又はそれより良好な性能で真空成形を実施することができる。成形品質に関して、本開示の実施形態による2Dプリフォームを使用する場合、有効ガラス領域に対応する成形面の領域に真空孔がないことにより、有効ガラス領域における真空孔圧痕なしに、真空成形を通して必要な成形品質を確保することができる。さらに、2Dプリフォームを使用しても、過大ガラス真空成形と同様のエッジ品質を得ることができる。これらの利点は、機器及び型のサイズを不必要に増大させること又は廃物を発生させ、新たな欠陥をもたらす可能性がある、成形後に基板を切断すること等、過大ベースの成形において直面する問題なしに可能である。
【0043】
反射面は、スパッタリング、蒸着(例えば、CVD、PVD)、めっき又は当業者に既知である反射面をコーティング又は供給する他の方法を介して成形品上に形成することができる。反射面は、例えば、1種又は複数の金属、金属/セラミック酸化物、金属/セラミック合金を含むことができる。反射コーティングは、アルミニウム又は銀を含むことができる。反射面は、基板を湾曲又は非球面形状に成形した後に3D成形された基板上に形成される。しかしながら、実施形態は、この順序に限定されず、反射面を有する2Dプリフォームから3Dミラーを成形することができることが企図される。
【0044】
ガラス系基板は、3.0mm以下、約0.5mm~約3.0mm、約0.5mm~約1.0mm又は約1.0mm~約3.0mmの厚さを有する。
【0045】
HUDシステムにおけるミラーのための好適なガラス基板は、非強化ガラスシートであり得るか、又は強化ガラスシートでもあり得る。ガラスシート(強化であっても非強化であっても)としては、ソーダ石灰ガラス、アルミノケイ酸塩、アルミノホウケイ酸塩又はアルカリアルミノケイ酸塩ガラスを挙げることができる。任意選択的に、ガラスシートは、熱的に強化され得る。非強化ガラスシートとしてソーダ石灰ガラスが使用される実施形態では、従来の装飾材料及び方法(例えば、ガラスフリットエナメル及びスクリーン印刷)を使用することができる。
【0046】
好適なガラス基板は、イオン交換プロセスによって化学的に強化することができる。このプロセスでは、典型的には、所定の期間にわたって溶融塩浴内にガラスシートを浸漬することにより、ガラスシートの表面又はその近くのイオンが塩浴からのより大きい金属イオンと交換される。1つの実施形態では、溶融塩浴の温度は、約430℃であり、所定の期間は、約8時間である。ガラス内により大きいイオンを組み込むことにより、表面近くの領域に圧縮応力を引き起こすことによってシートが強化される。圧縮応力を平衡させるために、ガラスの中心領域内に対応する引張応力が誘導される。
【0047】
ガラス基板を成形するために好適である例示的なイオン交換可能ガラスは、ソーダ石灰ガラス、アルカリアルミノケイ酸塩ガラス又はアルカリアルミノホウケイ酸塩ガラスであるが、他のガラス組成が企図される。本明細書で用いる「イオン交換可能」は、ガラスが、ガラスの表面又はその近くに位置する陽イオンを、よりサイズが大きいか又は小さいかのいずれかである同じ原子価の陽イオンと交換できることを意味する。1つの例示的なガラス組成は、SiO、B及びNaOを含み、ここで、(SiO+B)≧66モル%及びNaO≧9モル%である。一実施形態では、ガラスシートは、6重量%の酸化アルミニウムを含む。さらなる実施形態では、ガラスシートは、1種又は複数のアルカリ土類酸化物を含み、アルカリ土類酸化物の含有量は、少なくとも5重量%である。好適なガラス組成物は、いくつかの実施形態では、KO、MgO及びCaOの少なくとも1つをさらに含む。特定の実施形態では、ガラスは、61~75モル%のSiO、7~15モル%のAl、0~12モル%のB、9~21モル%のNaO、0~4モル%のKO、0~7モル%のMgO及び0~3モル%のCaOを含むことができる。
【0048】
ガラス基板を成形するために好適なさらに例示的なガラス組成物は、60~70モル%のSiO、6~14モル%のAl、0~15モル%のB、0~15モル%のLiO、0~20モル%のNaO、0~10モル%のKO、0~8モル%のMgO、0~10モル%のCaO、0~5モル%のZrO、0~1モル%のSnO、0~1モル%のCeO、50ppm未満のAs及び50ppm未満のSbを含み、ここで、12モル%≦(LiO+NaO+KO)≦20モル%及び0モル%≦(MgO+CaO)≦10モル%である。
【0049】
さらなる例示的なガラス組成物は、63.5~66.5モル%のSiO、8~12モル%のAl、0~3モル%のB、0~5モル%のLiO、8~18モル%のNaO、0~5モル%のKO、1~7モル%のMgO、0~2.5モル%のCaO、0~3モル%のZrO、0.05~0.25モル%のSnO、0.05~0.5モル%のCeO、50ppm未満のAs及び50ppm未満のSbを含み、ここで、14モル%≦(LiO+NaO+KO)≦18モル%及び2モル%≦(MgO+CaO)≦7モル%である。
【0050】
特定の実施形態では、アルカリアルミノケイ酸塩ガラスは、アルミナと、少なくとも1種のアルカリ金属と、いくつかの実施形態では50モル%を超えるSiO、他の実施形態では少なくとも58モル%のSiO、さらに他の実施形態では、少なくとも60モル%のSiOとを含み、ここで、比は、
【0051】
【数1】
【0052】
であり、この比において、成分は、モル%で表されており、改質剤は、アルカリ金属酸化物である。このガラスは、特定の実施形態では、58~72モル%のSiO、9~17モル%のAl、2~12モル%のB、8~16モル%のNaO及び0~4モル%のKOを含むか、本質的にそれらからなるか、又はそれらからなり、比は、
【0053】
【数2】
【0054】
である。
【0055】
別の実施形態では、アルカリアルミノケイ酸塩ガラスは、61~75モル%のSiO、7~15モル%のAl、0~12モル%のB、9~21モル%のNaO、0~4モル%のKO、0~7モル%のMgO及び0~3モル%のCaOを含むか、本質的にそれらからなるか、又はそれらからなる。
【0056】
さらに別の実施形態では、アルカリアルミノケイ酸塩ガラス基板は、60~70モル%のSiO、6~14モル%のAl、0~15モル%のB、0~15モル%のLiO、0~20モル%のNaO、0~10モル%のKO、0~8モル%のMgO、0~10モル%のCaO、0~5モル%のZrO、0~1モル%のSnO、0~1モル%のCeO、50ppm未満のAs及び50ppm未満のSbを含むか、本質的にそれらからなるか、又はそれらからなり、ここで、12モル%≦LiO+NaO+KO≦20モル%及び0モル%≦MgO+CaO≦10モル%である。
【0057】
さらに別の実施形態では、アルカリアルミノケイ酸塩ガラスは、64~68モル%のSiO、12~16モル%のNaO、8~12モル%のAl、0~3モル%のB、2~5モル%のKO、4~6モル%のMgO及び0~5モル%のCaOを含むか、本質的にそれらからなるか、又はそれらからなり、ここで、66モル%≦SiO+B+CaO≦69モル%、NaO+KO+B+MgO+CaO+SrO>10モル%、5モル%≦MgO+CaO+SrO≦8モル%、(NaO+B)-Al≦2モル%、2モル%≦NaO-Al≦6モル%及び4モル%≦(NaO+KO)-Al≦10モル%である。
【0058】
化学強化ガラス及び非化学強化ガラスは、いくつかの実施形態では、NaSO、NaCl、NaF、NaBr、KSO、KCl、KF、KBr及びSnOを含む群から選択される0~2モル%の少なくとも1種の清澄剤とバッチ処理することができる。
【0059】
1つの例示的な実施形態では、化学強化ガラスにおけるナトリウムイオンは、溶融浴からのカリウムイオンと置き換えることができるが、ルビジウム又はセシウム等、より大きい原子半径を有する他のアルカリ金属イオンが、ガラスにおけるより小さいアルカリ金属イオンに取って代わることができる。特定の実施形態によれば、ガラス中のより小さいアルカリ金属イオンは、Agイオンと置き換えることができる。同様に、イオン交換プロセスにおいて、限定されないが、硫酸塩、ハロゲン化物等の他のアルカリ金属塩を使用することができる。
【0060】
ガラス網目構造が緩和し得る温度未満の温度でより小さいイオンをより大きいイオンと交換することにより、ガラスの表面にわたり、応力プロファイルをもたらすイオンの分布が生じる。入ってくるイオンの体積の方が大きいことにより、ガラスの表面に圧縮応力(CS)、ガラスの中央に張力(中央応力、すなわちCT)が生じる。この圧縮応力は、以下の関係式:
【0061】
【数3】
【0062】
により中央張力に関連付けられ、式中、tは、ガラスシートの全厚さであり、DOLは、層深さとも称される交換深さである。
【0063】
さまざまな実施形態によれば、イオン交換ガラスを含むガラス基板は、低重量、高耐衝撃性及び改善された音響減衰を含む多くの所望の特性を有することができる。一実施形態では、化学強化ガラスシートは、少なくとも300MPa、例えば少なくとも400、450、500、550、600、650、700、750又は800MPaの表面圧縮応力、少なくとも約20μm(例えば、少なくとも約20、25、30、35、40、45又は50μm)の層深さ及び/又は40MPaを超える(例えば、40、45又は50MPaを超える)が、100MPa未満(例えば、100、95、90、85、80、75、70、65、60又は55MPa未満)の中央張力を有することができる。
【0064】
化学強化ガラスシートの弾性率は、約60GPa~85GPa(例えば、60、65、70、75、80又は85GPa)の範囲であり得る。ポリマー中間層とともにガラス系積層体で使用される場合、ガラスシート及びポリマー中間層の弾性率は、結果として得られるガラス積層構造体の機械的特性(例えば、たわみ及び強度)と音響性能(例えば、透過損失)との両方に影響を与える可能性がある。
【0065】
好適なガラス基板は、熱強化プロセス又はアニーリングプロセスによって熱的に強化することができる。熱的に強化されたガラスシートの厚さは、約2mm未満又は約1mm未満であり得る。
【0066】
例示的なガラスシート成形法には、それぞれダウンドロー法の例である溶融延伸及びスロット延伸プロセス並びにフロートプロセスが含まれる。これらの方法を使用して、強化ガラスシート及び非強化ガラスシートの両方を成形することができる。溶融延伸プロセスは、溶融ガラス原材料を受け入れる流路を有する延伸タンクを使用する。流路は、流路の両側に流路の長さに沿って上部が開いている堰を有する。流路が溶融材料で充満すると、溶融ガラスが堰から溢れ出る。重力により、この溶融ガラスは、延伸タンクの外面を流れ落ちる。これらの外面は、下方に且つ内向きに延在し、その結果、延伸タンクの下方の縁部において一緒になる。2つの流動ガラス表面は、この端縁において一緒になって融合し、単一の流動シートを形成する。溶融延伸方法は、流路を流れる2つのガラスフィルムが互いに融合するため、結果として得られるガラスシートのいずれの外面も装置のいずれの部品とも接触しないという利点を提供する。したがって、溶融延伸ガラスシートの表面特性は、こうした接触によって影響を受けない。
【0067】
スロット延伸法は、溶融延伸法と異なる。ここでは、溶融原料ガラスが延伸タンクに提供される。延伸タンクの底部がノズルを備えた開放スロットを有し、ノズルは、スロットの長さを伸長する。溶融ガラスは、スロット/ノズルを通して流れ、連続シートとして下向きに且つアニーリング領域内に延伸される。スロット延伸プロセスは、2つのシートが互いに融合されるのではなく、単一シートのみがスロットを通して延伸されるため、溶融延伸プロセスより薄いシートを提供することができる。
【0068】
ダウンドロープロセスは、比較的無垢な表面を有する均一な厚さのガラスシートを製造する。ガラス表面の強度は、表面傷の量及び大きさによって制御されるため、接触が最小であった無垢表面は、より高い初期強度を有する。この高強度ガラスが化学的に強化されると、結果として得られる強度は、ラップ仕上げ及び研磨された表面の強度より高い可能性がある。ダウンドローガラスは、約2mm未満の厚さまで延伸することができる。さらに、ダウンドローガラスは、コストがかかる研削及び研磨を行わずにその最終用途において使用され得る非常に平坦な平滑面を有する。
【0069】
フロートガラス法では、平滑面及び均一な厚さを特徴とし得るガラスシートは、溶融金属、典型的には錫の床上に溶融ガラスを浮遊させることによって作製される。例示的なプロセスでは、溶融錫床の表面上に供給される溶融ガラスが浮遊リボンを形成する。ガラスリボンが錫槽に沿って流れる際、中実ガラスシートを錫からローラ上に持ち上げることができるまで温度を徐々に低下させる。槽から離れると、ガラスシートをさらに冷却してアニールし、内部応力を低下させる。
【0070】
いくつかの実施形態では、本明細書で考察した実施形態の例示的なガラス基板は、ヘッドアップディスプレイ(HUD)システムを有する車両(自動車、飛行機等)に採用することができる。いくつかの実施形態により溶融成形されたガラスの透明度は、フロートプロセスによって成形されたガラスより優れている可能性があり、それにより、より良い運転体験が与えられるとともに安全性が改善され、それは、情報がより容易に読むことができ且つ注意散漫を低減させ得るためである。非限定的なHUDシステムは、プロジェクタユニット、コンバイナ及びビデオ生成コンピュータを含むことができる。例示的なHUDにおけるこの投影ユニットは、限定されないが、焦点にディスプレイがある凸レンズ又は凹面鏡を有する光コリメータ(例えば、光導波路、走査型レーザ、LED、CRT、ビデオ撮像等)であり得る。この投影ユニットは、所望の画像を生成するために採用することができる。いくつかの実施形態において、HUDシステムは、投影ユニットからの投影画像を向け直して、視野又は投影画像を変化又は変更するためのコンバイナ又はビームスプリッタも含むことができる。いくつかのコンバイナは、そこに投影された単色光を反射しながら、他の波長の光を透過させる特別なコーティングを含むことができる。さらなる実施形態では、コンバイナは、投影ユニットからの画像の焦点を再び合わせるために湾曲している場合もある。任意の例示的なHUDシステムは、投影ユニットと、適用可能な車両システムとの間のインタフェースを提供する処理システムも含むことができ、そこからデータを受信、操作、監視及び/又は表示することができる。いくつかの処理システムは、投影ユニットにより表示される像及び記号を生成するためにも使用することができる。
【0071】
こうしたHUDシステムを使用して、HUDシステムからの画像をガラス系ミラー基板の内側に面する表面上に投影することにより、情報(例えば、数字、画像、方向、言葉又はその他)の表示を作成することができる。その後、ミラーは、運転者の視野に入るように画像を向け直すことができる。
【0072】
したがって、いくつかの実施形態による例示的なガラス基板は、ミラーのための薄い無垢な表面を提供することができる。いくつかの実施形態では、溶融延伸されたGorilla Glassをガラス基板として使用することができる。こうしたガラスは、フロートプロセスによって製造された従来のガラス(例えば、ソーダ石灰ガラス)に特有のいかなるフロート線も含まない。
【0073】
本開示の実施形態によるHUDは、本明細書に記載した例示的なガラス基板を利用して、自動車、航空機、合成視野システム及び/又はマスクディスプレイ(例えば、ゴーグル、マスク、ヘルメット等のヘッドマウントディスプレイ)において採用することができる。こうしたHUDシステムは、ガラス積層構造体を通して運転者の正面に重大な情報(速度、燃料、温度、方向指示、ナビゲーション、警告メッセージ等)を投影することができる。
【0074】
いくつかの実施形態によれば、本明細書に記載したHUDシステムは、曲率半径、屈折率及び入射角に対する公称HUDシステムパラメータ(例えば、曲率半径R=8301mm、供給源までの距離R=1000mm、屈折率n=1.52及び入射角θ=62.08°)を使用することができる。
【0075】
本開示の態様1は、ヘッドアップディスプレイ(HUD)のための曲面ミラーを成形する方法であって、第1の大面積面と、第1の大面積面と対向する第2の大面積面と、第1の大面積面及び第2の大面積面を接続する小面積面とを含むミラープリフォームを提供するステップであって、ミラープリフォームは、中心部分と中心部分を包囲する周縁部分とを有する、ステップと、第2の大面積面に面する凹面を有する型上に且つ小面積面の少なくとも一部を包囲するハウジング内にミラープリフォームを配置するステップであって、空間は、凹面と第2の大面積面との間に画定され、空間の外周部は、ハウジングによって境界が定められ、型は、周縁部分の下の凹面の周縁部に沿って溝型真空ラインを含む、ステップと、凹面にミラープリフォームを沿わせるために溝型真空ラインを介して空間に真空圧を提供するステップとを含む方法に関する。
【0076】
本開示の態様2は、ハウジング内にミラープリフォームを配置するステップが、最初に型上にミラープリフォームを配置し、且つその後、型の上に且つミラープリフォームの周囲にハウジングを位置決めするステップを含む、態様1の方法に関する。
【0077】
本開示の態様3は、小面積面が、第1の長手方向側面及び第2の長手方向側面と、第1の横方向側面及び第2の横方向側面とを含み、ハウジングが、ミラープリフォームの第1の長手方向側面及び第2の長手方向側面と密に沿う第1の長手方向側面及び第2の長手方向側面を含み、且つミラープリフォームの第1の横方向側面及び第2の横方向側面と密に沿う第1の横方向側面及び第2の横方向側面も含む、態様1又は態様2の方法に関する。
【0078】
本開示の態様4は、ミラープリフォームの中心部分が、HUDのユーザによって見られる画像を反射するように構成された曲面ミラーの有効領域を含む、態様1~3のいずれかの方法に関する。
【0079】
本開示の態様5は、ミラープリフォームの中心部分が反射面を含む、態様1~4のいずれかの方法に関する。
【0080】
本開示の態様6は、凹面が非球面である、態様1~5のいずれかの方法に関する。
【0081】
本開示の態様7は、凹面に沿わせる前にミラープリフォームが2次元状態にあるとき、小面積面とハウジングとの間で測定される距離aが0mmより大きく且つ2mmより小さい、態様1~6のいずれかの方法に関する。
【0082】
本開示の態様8は、小面積面の正面が、沿わせる前の第1の位置から、沿わせた後の第2の位置まで、ハウジングから離れる方向に移動し、正面が、第1の位置から第2の位置まで距離bだけ移動する、態様1~7のいずれかの方法に関する。
【0083】
本開示の態様9は、ミラープリフォームが、凹面に沿わされると、溝型真空ラインの外側に、少なくとも約0.5mmである距離cだけ延在する、態様1~8のいずれかの方法に関する。
【0084】
本開示の態様10は、ミラープリフォームが、凹面に沿わされると、溝型真空ラインの外側に、3mm以下である距離cだけ延在する、態様1~9のいずれかの方法に関する。
【0085】
本開示の態様22は、溝型真空ラインが、ハウジングから距離xにあり、ここで、x=a+b+cである、態様9又は態様10の方法に関する。
【0086】
本開示の態様12は、溝型真空ラインの幅が1.0mm以下である、態様1~11のいずれかの方法に関する。
【0087】
本開示の態様13は、溝型真空ラインの幅が0.3mm以上である、態様1~12のいずれかの方法に関する。
【0088】
本開示の態様14は、溝型真空ラインの深さが、凹面における型の厚さの半分以下である、態様1~13のいずれかの方法に関する。
【0089】
本開示の態様15は、曲面ミラーの有効領域にいかなる真空吸引アーチファクトも残すことなく曲面ミラーを成形するステップをさらに含む、態様1~14のいずれかの方法に関する。
【0090】
本開示の態様16は、ミラープリフォームを沿わせた後、第1の大面積面に反射面を提供するステップをさらに含む、態様1~15のいずれかの方法に関する。
【0091】
本開示の態様17は、曲面ミラーであって、態様1~16のいずれかの方法に従って成形される曲面ミラーに関する。
【0092】
本開示の態様18は、ヘッドアップディスプレイ(HUD)の曲面ミラーを成形する成形装置であって、ミラープリフォームを非球面ミラーに造形するために非球面形状を有する湾曲面を含む下型と、湾曲面の周縁部分に配置された溝型真空ラインであって、湾曲面とミラープリフォームとの間の領域空間に真空圧を供給するように構成されている溝型真空ラインと、造形中、ミラープリフォームを包囲するように型の上に配置されるハウジングであって、ミラープリフォームが下型上に配置されると、湾曲面から少なくともミラープリフォームの高さまで延在する実質的に垂直な面を含み、垂直面は、空間の周縁部を包囲する、ハウジングとを含み、ハウジングは、下型上に配置されると、ミラープリフォームを包囲し、且つ溝型真空ラインを包囲するようなサイズであり、溝型真空ラインは、ミラープリフォームの周縁部分の下方に配置される、成形装置に関する。
【0093】
本開示の態様19は、溝型真空ラインに真空を供給するように構成された圧力調節システムをさらに含む、態様18の成形装置に関する。
【0094】
本開示の態様20は、ミラープリフォームが湾曲面に沿うように造形されると、実質的に垂直な面から溝型真空ラインまでの距離が、実質的に垂直な面からミラープリフォームまでの距離より大きい、態様18又は態様19の成形装置に関する。
【0095】
本開示の態様21は、ミラープリフォームが、湾曲面に沿わされると、溝型真空ラインの外側に、少なくとも約0.5mmの距離cだけ延在する、態様18~20のいずれかの成形装置に関する。
【0096】
本開示の態様22は、ミラープリフォームが、湾曲面に沿わされると、溝型真空ラインの外側に、3mm以下の距離cだけ延在する、態様18~21のいずれかの成形装置に関する。
【0097】
本開示の態様23は、ミラープリフォームの縁部とハウジングとの間の距離aが2mm以下である、態様18~22のいずれかの成形装置に関する。
【0098】
本開示の態様24は、ミラープリフォームの縁部とハウジングとの間の距離aが0mmより大きく且つ2mmより小さい、態様18~23のいずれかの成形装置に関する。
【0099】
本開示の態様25は、溝型真空ラインの幅が約0.3mm~1.0mmである、態様18~24のいずれかの成形装置に関する。
【0100】
本開示の態様26は、溝型ラインの深さが、下型の厚さの半分未満である、態様18~25のいずれかの成形装置に関する。
【0101】
本開示の態様27は、ヘッドアップディスプレイ(HUD)システムのための3次元ミラーを成形する方法であって、第1の大面積面と、第1の大面積面と対向する第2の大面積面と、第1の大面積面及び第2の大面積面を接続する小面積面とを有するミラープリフォームであって、小面積面は、互いに対向する第1の長手方向側面及び第2の長手方向側面と、長手方向側面を接続する第1の横方向側面及び第2の横方向側面とを含む、ミラープリフォームを提供するステップと、凹面を有する型上にミラープリフォームを、第2の大面積面が凹面に面するように配置するステップであって、型は、型の周縁部に沿って凹面に形成された1つ又は複数の開口部を有する、ステップと、型上にハウジングを、ハウジングの実質的に垂直な壁がミラープリフォームの小面積面を包囲するように配置するステップであって、ハウジングは、開口部の少なくとも一部に沿って凹面とハウジングの底部との間に間隙があるように、型の少なくとも1つの側部において開口部の上に張り出す、ステップと、凹面にミラープリフォームを沿わせるように開口部に真空を供給するステップとを含む方法に関する。
【0102】
本開示の態様28は、間隙がミラープリフォームの厚さより小さい、態様27の方法に関する。
【0103】
本開示の態様29は、ハウジングの長手方向壁が、第1の長手方向側面及び第2の長手方向側面と凹面との間並びに第1の横方向側面及び第2の横方向側面と凹面との間の空間の一部における真空の漏れを防止する、態様27又は態様28の方法に関する。
【0104】
本開示の態様30は、型の凹面が、型の長手方向に延びる、第1の曲率に対する第1の曲率半径と、型の横方向に延びる、第2の曲率に対する第2の曲率半径とを含み、第2の曲率半径が第1の曲率半径より大きい、態様27~29のいずれかの方法に関する。
【0105】
本開示の態様31は、凹面が、沿わせるステップ中、ミラープリフォームの第1の長手方向側面と第2の長手方向側面との間の距離がミラープリフォームの第1の横方向側面と第2の横方向側面との間の距離より小さく低減するような形状である、態様27~30のいずれかの方法に関する。
【0106】
本開示の態様32は、ハウジングの横方向壁が、第1の横方向側面と凹面との間及び第2の横方向側面と凹面との間の間隙の一部における真空の漏れを防止する、態様27~31のいずれかの方法に関する。
【0107】
本開示の態様33は、ハウジングと小面積面との間の隙間が約0.5mm未満である、態様27~32のいずれかの方法に関する。
【0108】
本開示の態様34は、第1の横方向側面及び第2の横方向側面の少なくとも一方の湾曲形状が単一の曲率半径を含む、態様27~33のいずれかの方法に関する。
【0109】
本開示の態様35は、第1の横方向側面及び第2の横方向側面の少なくとも一方の湾曲形状がスプライン曲線を含む、態様27~34のいずれかの方法に関する。
【0110】
本開示の態様36は、3次元ミラーが、HUDシステムのための3次元ミラーが、凹状の形状である第1の大面積面と、第1の大面積面に対向する第2の大面積面と、第1の大面積面及び第2の大面積面を接続する小面積面とを有するように第2の大面積面を沿わせた後に切断されず、小面積面がガラスプリフォームの小面積面に対応する、態様27~35のいずれかの方法に関する。
【0111】
本開示の態様37は、第1の大面積面の少なくとも一部が反射面である、態様27~36のいずれかの方法に関する。
【0112】
本開示の態様38は、反射面が、第1の大面積面上に配置された金属層を含む、態様37の方法に関する。
【0113】
本開示の態様39は、金属層がアルミニウムを含む、態様38の方法に関する。
【0114】
本開示の態様40は、型の凹面に第2の大面積面を沿わせるステップが、ミラープリフォームのガラス転移温度未満の温度で実施される、態様27~39のいずれかの方法に関する。
【0115】
本開示の態様41は、温度がミラープリフォームのガラス転移温度より約5℃~30℃低い、態様40の方法に関する。
【0116】
本開示の態様42は、温度がミラープリフォームのガラス転移温度より約10℃~20℃低い、態様41の方法に関する。
【0117】
本開示の態様43は、凹面に第2の大面積面を沿わせるステップ後、第1の大面積面上に反射面を形成するステップをさらに含む、態様27~42のいずれかの方法に関する。
【0118】
本開示の態様44は、ヘッドアップディスプレイ(HUD)の曲面ミラーを成形する成形装置であって、ミラープリフォームを湾曲形状に造形するための凹面を含む型と、凹面の周縁部に配置された溝型真空ラインであって、凹面とミラープリフォームとの間の領域空間に真空圧を供給するように構成されている溝形真空ラインと、造形中、ミラープリフォームを包囲するように型の上に配置されるハウジングであって、ミラープリフォームが型上に配置されると、凹面から少なくともミラープリフォームの高さまで延在する実質的に垂直な面を含み、垂直面は、空間の周縁部を包囲する、ハウジングとを含み、ハウジングは、開口部の少なくとも一部に沿って凹面とハウジングの底部との間に間隙があるように、型の少なくとも1つの側部において溝型真空ラインの上に張り出す、成形装置に関する。
【0119】
本開示の態様45は、間隙が、ミラープリフォームの厚さより小さいことを特徴とする、態様44の成形装置に関する。
【0120】
本開示の態様46は、ハウジングの長手方向壁が、第1の長手方向側面及び第2の長手方向側面と凹面との間並びに第1の横方向側面及び第2の横方向側面と凹面との間の空間の一部における真空の漏れを防止する、態様44又は態様45の成形装置に関する。
【0121】
本開示の態様47は、型の凹面が、型の長手方向に延びる、第1の曲率に対する第1の曲率半径と、型の横方向に延びる、第2の曲率に対する第2の曲率半径とを含み、第2の曲率半径が第1の曲率半径より大きい、態様44~46のいずれかの成形装置に関する。
【0122】
本開示の態様48は、ハウジングと小面積面との間の隙間が約0.5mm未満である、態様44~47のいずれかの成形装置に関する。
【0123】
本記載は、多くの詳細を含み得るが、これらは、それらの範囲の限定として解釈されるべきではなく、むしろ特定の実施形態に特異的であり得る特徴の説明として解釈されるべきである。別個の実施形態に関連してここまで記載したいくつかの特徴は、単一の実施形態における組合せにおいても実施することができる。逆に、単一の実施形態に関連して記載したさまざまな特徴は、複数の実施形態において別個に又は任意の好適な部分的組合せにおいても実施することができる。さらに、特徴は、いくつかの組合せにおいて作用するものとして上述している場合があり、そのようなものとして最初に特許請求することも可能であるが、場合により、特許請求される組合せからの1つ又は複数の特徴をこの組合せから削除することができ、特許請求される組合せは、部分的組合せ又は部分的組合せの変形形態に向けることができる。
【0124】
同様に、動作は、図面又は図において特定の順序で示すが、これは、望ましい結果を達成するために、こうした動作が、示されている特定の順序若しくは連続した順序で実施されること又は図示するすべての動作を実施すべきであることを必要とするものとして理解されるべきではない。いくつかの状況において、マルチタスク処理及び並列処理が有利であり得る。
【0125】
本明細書において、「約」1つの特定の値から且つ/又は「約」別の特定の値までとして範囲を表現することができる。こうした範囲が表現される場合、例は、1つの特定の値から且つ/又は他の特定の値までを含む。同様に、値が先行詞「約」の使用により近似値として表現されている場合、特定の値は、別の態様を形成することが理解されるであろう。範囲の各々の端点は、他方の端点と関連して及び他方の端点とは無関係の両方で重要であることもさらに理解されるであろう。
【0126】
本明細書における記載は、特定の方法で機能するように「構成」又は「適合」されている本開示の構成要素を指すことに留意されたい。この点で、こうした構成要素は、特定の特性を具体化するように又は特定の様式で機能するように「構成」又は「適合」されており、ここで、こうした記載は、意図する使用の記載とは対照的に構造的な記載である。より具体的には、本明細書における構成要素が「構成」又は「適合」されている様式に対する言及は、その構成要素の既存の物理的状態を示し、それ自体、その構成要素の構造的特徴の明確な記載として解釈されるべきである。
【0127】
図に例示するさまざまな構成及び実施形態によって示すように、ヘッドアップディスプレイのためのさまざまなガラス系構造体について説明した。
【0128】
本開示の好ましい実施形態について説明したが、説明した実施形態は、単なる例示であり、本発明の範囲は、本明細書を熟読することにより当業者に当然のように想到される均等物、多くの変形形態及び変更形態の全範囲が与えられる場合、添付の特許請求の範囲によってのみ定義されるべきであることが理解されるべきである。
【0129】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0130】
実施形態1
ヘッドアップディスプレイ(HUD)のための曲面ミラーを成形する方法において、
第1の大面積面と、前記第1の大面積面と対向する第2の大面積面と、前記第1の大面積面及び前記第2の大面積面を接続する小面積面とを含むミラープリフォームを提供するステップであって、前記ミラープリフォームは、中心部分と前記中心部分を包囲する周縁部分とを有する、ステップと、
前記第2の大面積面に面する凹面を有する型上に且つ前記小面積面の少なくとも一部を包囲するハウジング内に前記ミラープリフォームを配置するステップであって、空間は、前記凹面と前記第2の大面積面との間に画定され、前記空間の外周部は、前記ハウジングによって境界が定められ、前記型は、前記周縁部分の下の前記凹面の周縁部に沿って溝型真空ラインを含む、ステップと、
前記凹面に前記ミラープリフォームを沿わせるために前記溝型真空ラインを介して前記空間に真空圧を提供するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【0131】
実施形態2
前記ハウジング内に前記ミラープリフォームを配置するステップは、最初に前記型上に前記ミラープリフォームを配置し、且つその後、前記型の上に且つ前記ミラープリフォームの周囲に前記ハウジングを位置決めするステップを含むことを特徴とする、実施形態1に記載の方法。
【0132】
実施形態3
前記小面積面は、第1の長手方向側面及び第2の長手方向側面と、第1の横方向側面及び第2の横方向側面とを含み、
前記ハウジングは、前記ミラープリフォームの前記第1の長手方向側面及び前記第2の長手方向側面と密に沿う第1の長手方向側面及び第2の長手方向側面を含み、且つ前記ミラープリフォームの前記第1の横方向側面及び前記第2の横方向側面と密に沿う第1の横方向側面及び第2の横方向側面も含むことを特徴とする、実施形態1又は2に記載の方法。
【0133】
実施形態4
前記ミラープリフォームの前記中心部分は、前記HUDのユーザによって見られる画像を反射するように構成された前記曲面ミラーの有効領域を含むことを特徴とする、実施形態1~3のいずれか一項に記載の方法。
【0134】
実施形態5
前記ミラープリフォームの前記中心部分は、反射面を含むことを特徴とする、実施形態1~4のいずれか一項に記載の方法。
【0135】
実施形態6
前記凹面は、非球面であることを特徴とする、実施形態1~5のいずれか一項に記載の方法。
【0136】
実施形態7
前記凹面に沿わせる前に前記ミラープリフォームが2次元状態にあるとき、前記小面積面と前記ハウジングとの間で測定される距離aは、0mmより大きく且つ2mmより小さいことを特徴とする、実施形態1~6のいずれか一項に記載の方法。
【0137】
実施形態8
前記小面積面の正面は、沿わせる前の第1の位置から、沿わせた後の第2の位置まで、前記ハウジングから離れる方向に移動し、前記正面は、前記第1の位置から前記第2の位置まで距離bだけ移動することを特徴とする、実施形態1~7のいずれか一項に記載の方法。
【0138】
実施形態9
前記ミラープリフォームは、前記凹面に沿わされると、前記溝型真空ラインの外側に、少なくとも約0.5mmである距離cだけ延在することを特徴とする、実施形態1~8のいずれか一項に記載の方法。
【0139】
実施形態10
前記ミラープリフォームは、前記凹面に沿わされると、前記溝型真空ラインの外側に、3mm以下である距離cだけ延在することを特徴とする、実施形態1~9のいずれか一項に記載の方法。
【0140】
実施形態11
前記溝型真空ラインは、前記ハウジングから距離xにあり、ここで、x=a+b+cであることを特徴とする、実施形態9又は10に記載の方法。
【0141】
実施形態12
前記溝型真空ラインの幅は、1.0mm以下であることを特徴とする、実施形態1~11のいずれか一項に記載の方法。
【0142】
実施形態13
前記溝型真空ラインの幅は、0.3mm以上であることを特徴とする、実施形態1~12のいずれか一項に記載の方法。
【0143】
実施形態14
前記溝型真空ラインの深さは、前記凹面における前記型の厚さの半分以下であることを特徴とする、実施形態1~13のいずれか一項に記載の方法。
【0144】
実施形態15
前記曲面ミラーの前記有効領域にいかなる真空吸引アーチファクトも残すことなく前記曲面ミラーを成形するステップをさらに含むことを特徴とする、実施形態1~14のいずれか一項に記載の方法。
【0145】
実施形態16
前記ミラープリフォームを沿わせた後、前記第1の大面積面に反射面を提供するステップをさらに含むことを特徴とする、実施形態1~15のいずれか一項に記載の方法。
【0146】
実施形態17
曲面ミラーにおいて、実施形態1~16のいずれか一項に記載の方法に従って成形されることを特徴とする曲面ミラー。
【0147】
実施形態18
ヘッドアップディスプレイ(HUD)の曲面ミラーを成形する成形装置において、
ミラープリフォームを非球面ミラーに造形するために非球面形状を有する湾曲面を含む下型と、
前記湾曲面の周縁部分に配置された溝型真空ラインであって、前記湾曲面と前記ミラープリフォームとの間の領域空間に真空圧を供給するように構成されている溝型真空ラインと、
造形中、前記ミラープリフォームを包囲するように前記型の上に配置されるハウジングであって、前記ミラープリフォームが前記下型上に配置されると、前記湾曲面から少なくとも前記ミラープリフォームの高さまで延在する実質的に垂直な面を含み、前記垂直面は、前記空間の周縁部を包囲する、ハウジングと
を含み、前記ハウジングは、前記下型上に配置されると、前記ミラープリフォームを包囲し、且つ前記溝型真空ラインを包囲するようなサイズであり、前記溝型真空ラインは、前記ミラープリフォームの周縁部分の下方に配置されることを特徴とする成形装置。
【0148】
実施形態19
前記溝型真空ラインに真空を供給するように構成された圧力調節システムをさらに含むことを特徴とする、実施形態18に記載の成形装置。
【0149】
実施形態20
前記ミラープリフォームが前記湾曲面に沿うように造形されると、前記実質的に垂直な面から前記溝型真空ラインまでの距離は、前記実質的に垂直な面から前記ミラープリフォームまでの距離より大きいことを特徴とする、実施形態18又は19に記載の成形装置。
【0150】
実施形態21
前記ミラープリフォームは、前記湾曲面に沿わされると、前記溝型真空ラインの外側に、少なくとも約0.5mmの距離cだけ延在することを特徴とする、実施形態18~20のいずれか一項に記載の成形装置。
【0151】
実施形態22
前記ミラープリフォームは、前記湾曲面に沿わされると、前記溝型真空ラインの外側に、3mm以下の距離cだけ延在することを特徴とする、実施形態18~21のいずれか一項に記載の成形装置。
【0152】
実施形態23
前記ミラープリフォームの縁部と前記ハウジングとの間の距離aは、2mm以下であることを特徴とする、実施形態18~22のいずれか一項に記載の成形装置。
【0153】
実施形態24
前記ミラープリフォームの縁部と前記ハウジングとの間の距離aは、0mmより大きく且つ2mmより小さいことを特徴とする、実施形態18~23のいずれか一項に記載の成形装置。
【0154】
実施形態25
前記溝型真空ラインの幅は、約0.3mm~1.0mmであることを特徴とする、実施形態18~24のいずれか一項に記載の成形装置。
【0155】
実施形態26
前記溝型ラインの深さは、前記下型の厚さの半分未満であることを特徴とする、実施形態18~25のいずれか一項に記載の成形装置。
【0156】
実施形態27
ヘッドアップディスプレイ(HUD)システムのための3次元ミラーを成形する方法において、
第1の大面積面と、前記第1の大面積面と対向する第2の大面積面と、前記第1の大面積面及び前記第2の大面積面を接続する小面積面とを有するミラープリフォームであって、前記小面積面は、互いに対向する第1の長手方向側面及び第2の長手方向側面と、前記長手方向側面を接続する第1の横方向側面及び第2の横方向側面とを含む、ミラープリフォームを提供するステップと、
凹面を有する型上に前記ミラープリフォームを、前記第2の大面積面が前記凹面に面するように配置するステップであって、前記型は、前記型の周縁部に沿って前記凹面に形成された1つ又は複数の開口部を有する、ステップと、
前記型上にハウジングを、ハウジングの実質的に垂直な壁が前記ミラープリフォームの前記小面積面を包囲するように配置するステップであって、前記ハウジングは、前記開口部の少なくとも一部に沿って前記凹面と前記ハウジングの底部との間に間隙があるように、前記型の少なくとも1つの側部において前記開口部の上に張り出す、ステップと、
前記凹面に前記ミラープリフォームを沿わせるように前記開口部に真空を供給するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【0157】
実施形態28
前記間隙は、前記ミラープリフォームの厚さより小さいことを特徴とする、実施形態27に記載の方法。
【0158】
実施形態29
前記ハウジングの長手方向壁は、前記第1の長手方向側面及び前記第2の長手方向側面と前記凹面との間並びに前記第1の横方向側面及び前記第2の横方向側面と前記凹面との間の空間の一部における前記真空の漏れを防止することを特徴とする、実施形態27又は28に記載の方法。
【0159】
実施形態30
前記型の前記凹面は、前記型の長手方向に延びる、第1の曲率に対する第1の曲率半径と、前記型の横方向に延びる、第2の曲率に対する第2の曲率半径とを含み、前記第2の曲率半径は、前記第1の曲率半径より大きいことを特徴とする、実施形態27~29のいずれか一項に記載の方法。
【0160】
実施形態31
前記凹面は、沿わせるステップ中、前記ミラープリフォームの前記第1の長手方向側面と前記第2の長手方向側面との間の距離が前記ミラープリフォームの前記第1の横方向側面と前記第2の横方向側面との間の距離より小さく低減するような形状であることを特徴とする、実施形態27~30のいずれか一項に記載の方法。
【0161】
実施形態32
前記ハウジングの横方向壁は、前記第1の横方向側面と前記凹面との間及び前記第2の横方向側面と前記凹面との間の前記間隙の一部における前記真空の漏れを防止することを特徴とする、実施形態27~31のいずれか一項に記載の方法。
【0162】
実施形態33
前記ハウジングと前記小面積面との間の隙間は、約0.5mm未満であることを特徴とする、実施形態27~32のいずれか一項に記載の方法。
【0163】
実施形態34
前記第1の横方向側面及び前記第2の横方向側面の少なくとも一方の前記湾曲形状は、単一の曲率半径を含むことを特徴とする、実施形態27~33のいずれか一項に記載の方法。
【0164】
実施形態35
前記第1の横方向側面及び前記第2の横方向側面の少なくとも一方の前記湾曲形状は、スプライン曲線を含むことを特徴とする、実施形態27~34のいずれか一項に記載の方法。
【0165】
実施形態36
前記3次元ミラーは、前記HUDシステムのための前記3次元ミラーが、凹状の形状である第1の大面積面と、前記第1の大面積面に対向する第2の大面積面と、前記第1の大面積面及び前記第2の大面積面を接続する小面積面とを有するように前記第2の大面積面を沿わせた後に切断されず、前記小面積面は、前記ガラスプリフォームの前記小面積面に対応することを特徴とする、実施形態27~35のいずれか一項に記載の方法。
【0166】
実施形態37
前記第1の大面積面の少なくとも一部は、反射面であることを特徴とする、実施形態27~36のいずれか一項に記載の方法。
【0167】
実施形態38
前記反射面は、前記第1の大面積面上に配置された金属層を含むことを特徴とする、実施形態37に記載の方法。
【0168】
実施形態39
前記金属層は、アルミニウムを含むことを特徴とする、実施形態38に記載の方法。
【0169】
実施形態40
前記型の前記凹面に前記第2の大面積面を沿わせる前記ステップは、前記ミラープリフォームのガラス転移温度未満の温度で実施されることを特徴とする、実施形態27~39のいずれか一項に記載の方法。
【0170】
実施形態41
前記温度は、前記ミラープリフォームの前記ガラス転移温度より約5℃~30℃低いことを特徴とする、実施形態40に記載の方法。
【0171】
実施形態42
前記温度は、前記ミラープリフォームの前記ガラス転移温度より約10℃~20℃低いことを特徴とする、実施形態41に記載の方法。
【0172】
実施形態43
前記凹面に前記第2の大面積面を沿わせる前記ステップ後、前記第1の大面積面上に反射面を形成するステップをさらに含むことを特徴とする、実施形態27~42のいずれか一項に記載の方法。
【0173】
実施形態44
ヘッドアップディスプレイ(HUD)の曲面ミラーを成形する成形装置において、
ミラープリフォームを湾曲形状に造形するための凹面を含む型と、
前記凹面の周縁部に配置された溝型真空ラインであって、前記凹面と前記ミラープリフォームとの間の領域空間に真空圧を供給するように構成されている溝形真空ラインと、
造形中、前記ミラープリフォームを包囲するように前記型の上に配置されるハウジングであって、前記ミラープリフォームが前記型上に配置されると、前記凹面から少なくとも前記ミラープリフォームの高さまで延在する実質的に垂直な面を含み、前記垂直面は、前記空間の周縁部を包囲する、ハウジングと
を含み、前記ハウジングは、開口部の少なくとも一部に沿って前記凹面と前記ハウジングの底部との間に間隙があるように、前記型の少なくとも1つの側部において前記溝型真空ラインの上に張り出すことを特徴とする成形装置。
【0174】
実施形態45
前記間隙は、前記ミラープリフォームの厚さより小さいことを特徴とする、実施形態44に記載の成形装置。
【0175】
実施形態46
前記ハウジングの長手方向壁は、第1の長手方向側面及び第2の長手方向側面と前記凹面との間並びに第1の横方向側面及び第2の横方向側面と前記凹面との間の空間の一部における真空の漏れを防止することを特徴とする、実施形態44又は45に記載の成形装置。
【0176】
実施形態47
前記型の前記凹面は、前記型の長手方向に延びる、第1の曲率に対する第1の曲率半径と、前記型の横方向に延びる、第2の曲率に対する第2の曲率半径とを含み、前記第2の曲率半径は、前記第1の曲率半径より大きいことを特徴とする、実施形態44~46のいずれか一項に記載の成形装置。
【0177】
実施形態48
前記ハウジングと小面積面との間の隙間は、約0.5mm未満であることを特徴とする、実施形態44~47のいずれか一項に記載の成形装置。
図1
図2
図3
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図5
図6
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図9
図10
図11
図12
図13a
図13b
図14A
図14B
図15a
図15b
図16A
図16B
図17A
図17B
図18A
図18B
図19A
図19B
図20