(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-08
(45)【発行日】2023-05-16
(54)【発明の名称】ページング手順のためのユーザ機器、基地局、および方法
(51)【国際特許分類】
H04W 68/00 20090101AFI20230509BHJP
H04W 48/18 20090101ALI20230509BHJP
H04W 74/08 20090101ALI20230509BHJP
H04W 76/10 20180101ALI20230509BHJP
【FI】
H04W68/00
H04W48/18
H04W74/08
H04W76/10
(21)【出願番号】P 2020530610
(86)(22)【出願日】2019-01-11
(86)【国際出願番号】 EP2019050664
(87)【国際公開番号】W WO2019138060
(87)【国際公開日】2019-07-18
【審査請求日】2021-12-21
(32)【優先日】2018-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】514136668
【氏名又は名称】パナソニック インテレクチュアル プロパティ コーポレーション オブ アメリカ
【氏名又は名称原語表記】Panasonic Intellectual Property Corporation of America
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シヴァヴァキーサー シヴァパサリンガム
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 秀俊
(72)【発明者】
【氏名】バムリ アンキット
(72)【発明者】
【氏名】ゴンザレス ダビド
(72)【発明者】
【氏名】コウ ティアン ミン ベンジャミン
【審査官】鈴木 重幸
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/098442(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/135859(WO,A1)
【文献】Sequans Communications,Cell reselection upon incoming service request[online],3GPP TSG RAN WG2 adhoc_2018_01_NR R2-1801176,Internet<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_AHs/2018_01_NR/Docs/R2-1801176.zip>,2018年01月11日
【文献】CATT,Stage 2 TP for handling of DL signallings in RRC_INACTIVE state[online],3GPP TSG RAN WG3 #97 R3-172793,Internet<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG3_Iu/TSGR3_97/Docs/R3-172793.zip>,2017年08月11日
【文献】ZTE,Open issues for cIoT optimization[online], 3GPP TSG-RAN WG2#94 R2-164320,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_94/Docs/R2-164320.zip>,2016年05月21日
【文献】Ericsson,Size of MSG3 in NR[online],3GPP TSG RAN WG2 adhoc_2018_01_NR R2-1800381,Internet<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_AHs/2018_01_NR/Docs/R2-1801162.zip>,2018年01月11日
【文献】Panasonic,Slice Indication at Service Request - Why Efficient Mechanism is required?[online],3GPP TSG RAN WG2 adhoc_2018_01_NR R2-1800372,Internet<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_AHs/2018_01_NR/Docs/R2-1800372.zip>,2018年01月12日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1,4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ機器であって、
受信機であって、動作時、前記ユーザ機器が位置している移動通信システムの無線セル、を制御する基地局から、ページングメッセージを受信する、前記受信機と、
プロセッサであって、動作時、複数のネットワークスライスのうち、前記ページングメッセージが関連する少なくとも1つのネットワークスライスを、前記受信されたページングメッセージに基づいて求める、前記プロセッサと、
送信機であって、動作時、前記求められた少なくとも1つのネットワークスライスに関する識別情報を含むデータ送信準備メッセージを、前記基地局に送信する、前記送信機、
を備え、
前記データ送信準備メッセージが、前記ユーザ機器と前記基地局との間で実行されるランダムアクセス手順の一部として前記ユーザ機器によって前記基地局に送信される接続要求である、
ユーザ機器。
【請求項2】
前記少なくとも1つのネットワークスライスを求めるステップが、以下、すなわち、
・ 前記ページングメッセージに含まれる、前記少なくとも1つのネットワークスライスのネットワークスライス識別情報、
・ 前記ページングメッセージを受信する際に前記ユーザ機器によって使用されるタイミングおよび/または周波数リソース、
・ 前記ページングメッセージを受信する際に前記ユーザ機器によって使用される無線リソースのヌメロロジー方式、
のうちの1つまたは組合せに基づいて実行される、
請求項1に記載のユーザ機器。
【請求項3】
前記複数のネットワークスライスそれぞれにネットワークスライスIDが関連付けられており、前記ネットワークスライスIDが、前記移動通信システム内で一義的である、および/または、前記基地局によって制御される前記無線セル内で一義的である、および/または、前記ユーザ機器に対して一義的である、請求項1または請求項2に記載のユーザ機器。
【請求項4】
前記複数のネットワークスライスが、特定のネットワーク能力および特定のネットワーク特性を有する異なる論理ネットワークを提供し、
各ネットワークスライスが、互いに一義的に関連付けられている、無線セルに関連する部分およびコアネットワークに関連する部分、を備えている、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のユーザ機器。
【請求項5】
ページングを実行する方法であって、以下のステップ、すなわち、
ユーザ機器が位置している移動通信システムの無線セル、を制御する基地局から、ページングメッセージを受信するステップと、
複数のネットワークスライスのうち、前記ページングメッセージが関連する少なくとも1つのネットワークスライスを、前記受信されたページングメッセージに基づいて求めるステップ
と、
前記求められた少なくとも1つのネットワークスライスに関する識別情報を含むデータ送信準備メッセージを、前記基地局に送信するステップと、
が前記ユーザ機器によって実行さ
れ、
前記データ送信準備メッセージが、前記ユーザ機器と前記基地局との間で実行されるランダムアクセス手順の一部として前記ユーザ機器によって前記基地局に送信される接続要求である、
方法。
【請求項6】
基地局であって、
送信機であって、動作時、前記基地局によって制御される移動通信システムの無線セル、内に位置しているユーザ機器にページングメッセージを送信し、したがって前記ユーザ機器が、複数のネットワークスライスのうち、前記ページングメッセージが関連する少なくとも1つのネットワークスライスを、受信された前記ページングメッセージに基づいて求めることができる、前記送信機
と、
受信機であって、動作時、前記求められた少なくとも1つのネットワークスライスに関する識別情報を含むデータ送信準備メッセージを、前記ユーザ機器から受信する、前記受信機、
を備
え、
前記データ送信準備メッセージが、前記ユーザ機器と前記基地局との間で実行されるランダムアクセス手順の一部として前記基地局が前記ユーザ機器から受信する接続要求である、基地局。
【請求項7】
前記ページングメッセージを送信するステップが、以下のステップ、すなわち、
・ 前記少なくとも1つのネットワークスライスのネットワークスライス識別情報を前記ページングメッセージに含めるステップ、
・ 前記ページングメッセージを送信する際のタイミングおよび/または周波数リソースを、前記少なくとも1つのネットワークスライスに基づいて決定して使用するステップ、
・ 前記ページングメッセージを送信する際の無線リソースのヌメロロジー方式を、前記少なくとも1つのネットワークスライスに基づいて決定して使用するステップ、
のうちの1つまたは組合せを含む、
請求項
6に記載の基地局。
【請求項8】
受信機であって、動作時、別のページングメッセージが関連する前記少なくとも1つのネットワークスライスの識別情報を含む、前記別のページングメッセージを、コアネットワークエンティティから受信し、前記ページングメッセージを前記ユーザ機器に送信するステップが、前記別のページングメッセージを受信することに応えて実行される、前記受信機、
および/または、
送信機であって、動作時、前記少なくとも1つのネットワークスライスの前記識別情報を、それぞれの前記無線セル内の前記ユーザ機器をページングするための要求と一緒に、1基または複数の別の基地局に送信する、前記送信機、
をさらに備えている、請求項
6または請求項
7に記載の基地局。
【請求項9】
ユーザ機器であって、
受信機であって、動作時、前記ユーザ機器が位置している移動通信システムの無線セル、を制御する基地局から、複数のネットワークスライスに関する情報を受信し、前記情報が、各ネットワークスライスについて、それぞれの前記ネットワークスライスを識別する短縮されたネットワークスライスIDを少なくとも含み、さらに、前記短縮されたネットワークスライスIDと、前記移動通信システム内で前記ネットワークスライスを一義的に識別する完全なネットワークスライスIDとの間のマッピング、を定義するマッピング情報、を含む、前記受信機と、
プロセッサであって、動作時、前記複数のネットワークスライスのうちの少なくとも1つと、対応する完全なネットワークスライスIDとを求め、動作時、対応する少なくとも1つの短縮されたネットワークスライスIDを、前記受信されたマッピング情報に基づいてさらに求める、前記プロセッサと、
送信機であって、動作時、前記求められた少なくとも1つの短縮されたネットワークスライスIDを含むデータ送信準備メッセージを、前記基地局に送信する、前記送信機
と、
を備
え、
前記データ送信準備メッセージが、前記ユーザ機器と前記基地局との間で実行されるランダムアクセス手順の一部として前記ユーザ機器によって前記基地局に送信される接続要求もしくは再開要求である、ユーザ機器。
【請求項10】
前記短縮されたネットワークスライスIDが、前記完全なネットワークスライスIDの一部である、例えば前記完全なネットワークスライスIDの4個の最下位ビットである、請求項
9に記載のユーザ機器。
【請求項11】
前記複数のネットワークスライスに関する前記情報を、前記無線セル内で前記基地局によってブロードキャストされるシステム情報を介して前記ユーザ機器によって受信することができ、前記システム情報が、前記ユーザ機器による要求に応えて前記無線セル内で前記基地局によって送信される、および/または、
前記複数のネットワークスライスに関する前記情報を、前記基地局から送信されかつ前記ユーザ機器にアドレッシングされている専用メッセージの中で、前記ユーザ機器によって受信することができる、
請求項
9から請求項
10のいずれか1項に記載のユーザ機器。
【請求項12】
前記受信機が、動作時、前記完全なネットワークスライスIDと、前記複数のネットワークスライスの1つとの間のマッピングを定義するさらなるマッピング情報を、前記基地局から受信する、請求項
9から請求項
11のいずれか1項に記載のユーザ機器。
【請求項13】
前記短縮されたネットワークスライスIDが、前記基地局によって制御される前記無線セル内で前記ネットワークスライスを一義的に識別するように定義され、前記マッピング情報が、前記無線セルに固有であり、かつ前記無線セル内の複数のユーザ機器によって使用され得る、
および/または、
前記短縮されたネットワークスライスIDが、各ユーザ機器に対して前記ネットワークスライスを一義的に識別するように定義され、前記マッピング情報が、それぞれの前記ユーザ機器に固有であり、かつそれぞれの前記ユーザ機器によってのみ使用され得る、
請求項
9から請求項
12のいずれか1項に記載のユーザ機器。
【請求項14】
ユーザ機器によって実行される以下のステップ、すなわち、
前記ユーザ機器が位置している移動通信システムの無線セル、を制御する基地局から、複数のネットワークスライスに関する情報を受信するステップであって、前記情報が、各ネットワークスライスについて、それぞれの前記ネットワークスライスを識別する短縮されたネットワークスライスIDを少なくとも含み、さらに、前記短縮されたネットワークスライスIDと、前記移動通信システム内で前記ネットワークスライスを一義的に識別する完全なネットワークスライスIDとの間のマッピング、を定義するマッピング情報、を含む、ステップと、
前記複数のネットワークスライスのうちの少なくとも1つと、対応する完全なネットワークスライスIDとを求めるステップと、
対応する少なくとも1つの短縮されたネットワークスライスIDを、前記受信されたマッピング情報に基づいて求めるステップと、
前記求められた少なくとも1つの短縮されたネットワークスライスIDを含むデータ送信準備メッセージを、前記基地局に送信するステップと、
を含
み、
前記データ送信準備メッセージが、前記ユーザ機器と前記基地局との間で実行されるランダムアクセス手順の一部として前記ユーザ機器によって前記基地局に送信される接続要求もしくは再開要求である、方法。
【請求項15】
基地局であって、
送信機であって、動作時、前記基地局によって制御される移動通信システムの無線セル、内に位置しているユーザ機器に、複数のネットワークスライスに関する情報を送信し、前記情報が、各ネットワークスライスについて、それぞれの前記ネットワークスライスを識別する短縮されたネットワークスライスIDを少なくとも含み、さらに、前記短縮されたネットワークスライスIDと、前記移動通信システム内で前記ネットワークスライスを一義的に識別する完全なネットワークスライスIDとの間のマッピング、を定義するマッピング情報、を含む、前記送信機と、
受信機であって、動作時、求められた少なくとも1つの前記短縮されたネットワークスライスIDを含むデータ送信準備メッセージを、前記ユーザ機器から受信する、前記受信機と、
を備
え、
前記データ送信準備メッセージが、前記ユーザ機器と前記基地局との間で実行されるランダムアクセス手順の一部として前記ユーザ機器によって前記基地局に送信される接続要求もしくは再開要求である、
基地局。
【請求項16】
プロセッサであって、動作時、各ネットワークスライスの前記短縮されたネットワークスライスIDを定義し、さらに、前記短縮されたネットワークスライスIDと前記完全なネットワークスライスIDとの間のマッピングを定義する前記マッピング情報、を定義する、前記プロセッサ、
をさらに備えている、請求項
15に記載の基地局。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、通信システム(3GPP通信システムなど)における方法、装置、および項目を対象としている。
【背景技術】
【0002】
現在、第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP:the 3rd Generation Partnership Project)は、次世代のセルラー技術(第5世代(5G)とも称される)の技術仕様の次のリリース(リリース15)に取り組んでいる。3GPPの技術仕様グループ(TSG:Technical Specification Group)の無線アクセスネットワーク(RAN:Radio Access network)会合#71(2016年3月、Gothenburg)において、RAN1、RAN2、RAN3、およびRAN4が関与する、5Gの最初の検討項目「Study on New Radio Access Technology(新しい無線アクセス技術に関する検討)」が承認され、5Gの最初の標準規格を定義するリリース15の作業項目になるものと予測される。この検討項目の目的は、RANの要件の検討時に定義されたように、最大100GHzの周波数範囲で動作し、かつ広範なユースケースをサポートする「新無線(NR:New Radio)」アクセス技術(RAT)を開発することである(例えば非特許文献1(www.3gpp.orgで入手可能であり、現在のバージョン14.3.0)を参照)。
【0003】
1つの目的は、非特許文献1に定義されているすべての使用シナリオ、要件、および配置シナリオに対処し、少なくとも、高度モバイルブロードバンド(eMBB:enhanced mobile broadband)、超高信頼・低遅延通信(URLLC:ultra-reliable low-latency communications)、大規模マシンタイプ通信(mMTC:massive machine type communication)を含む、単一の技術的枠組みを提供することである。例えば、eMBBの配置シナリオには、屋内のホットスポット、密集都市部、郊外、都市部、および高速が含まれうる。URLLCの配置シナリオには、産業制御システム、モバイル健康管理(遠隔モニタリング、診断、および治療)、車両のリアルタイム制御、スマートグリッドの広域監視・制御システムが含まれうる。mMTCには、スマートウェアラブルやセンサネットワークなど遅延の影響が小さいデータ伝送による多数の装置を使用するシナリオが含まれうる。eMBBサービスおよびURLLCサービスは、いずれも極めて広い帯域幅が要求される点において類似しているが、URLLCサービスは、極めて小さいレイテンシ(待ち時間)(latency)が要求される点において異なる。
【0004】
第2の目的は、前方互換性を達成することである。ロングタームエボリューション(LTE、LTE-A)セルラーシステムへの後方互換性は要求されず、これにより、まったく新しいシステムの設計および/または新規の特徴の導入が促進される。
【0005】
物理層の基本的な信号波形は、OFDMに基づいており、非直交波形およびマルチアクセスがサポートされる可能性がある。例えば、OFDMに加えての追加機能(DFT-S-OFDM、および/または、DFT-S-OFDMのバリエーションなど)、および/または、フィルタリング/ウインドウ化、がさらに考慮されている。LTEでは、ダウンリンク送信の波形としてサイクリックプレフィックス(CP)ベースのOFDMが使用され、アップリンク送信の波形としてDFT-S-OFDMが使用されている。NR(新無線)における設計目標の1つは、ダウンリンク、アップリンク、およびサイドリンクのための、できる限り共通の波形を模索することである。
【0006】
上に挙げた目的を達成するため、波形に加えて、いくつかの基本フレーム構造およびチャネル符号化方式が開発される。検討では、上に挙げた目的を達成するために、無線プロトコルの構造およびアーキテクチャに関する要求事項についての共通の認識も模索される。さらには、上に挙げた目的を満たすために新しいRAT(無線アクセス技術)を可能にするうえで必要である技術的機能(同じ連続する周波数ブロックにおいて、複数の異なるサービスおよびユースケースのトラフィックを効率的に多重化することを含む)が検討される。
【0007】
既存のセルラーネットワークのアーキテクチャは、比較的一体的な構造であり、ユーザ装置へのモバイルトラフィックを容易にするトランスポートネットワークを有する。これらのアーキテクチャは、性能およびスケーラビリティの幅広い要件をサポートするうえで十分にフレキシブルではないことがある。
【0008】
5G NRによって要求される多様な要件を満たすための機能として現在活発に検討されている1つのコンセプトは、「ネットワークスライシング(network slicing)」である。ネットワークスライシングのコンセプトは、5Gネットワークを複数の仮想ネットワークに論理的に分割することを可能にし、したがって、いくつかのユースケースを同時にアクティブにすることを可能にするうえでの高い柔軟性レベルを提供する目的で、特定のアプリケーションに対処してネットワークサービスが効率的にサポートされるように各スライスを最適化することができる。複数の異なるネットワークスライスにより、各ネットワークスライスにおいて特定の要件を満たすようにネットワークの要素および機能を容易に設定・構成して再利用することが可能になる。5Gにおけるネットワークスライシングの実施は、コアネットワークおよび無線アクセスネットワーク(RAN)を含むエンドツーエンドの機能であるように検討されている。各ネットワークスライスが、自身のネットワークアーキテクチャ、エンジニアリングメカニズム、およびネットワークプロビジョニングを有することができる。
【0009】
3GPPの第5世代システムのNRの標準化は始まったばかりであるため、特に、ネットワークスライシング、およびネットワークスライシングの実施方法に関して、いくつかの課題が不明確なままである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【文献】3GPP TR 38.913 “Study on Scenarios and Requirements for Next Generation Access Technologies”
【文献】Technical Report TR 38.804 v14.0.0
【文献】TS 38.300 v.15.0.0
【文献】3GPP TR 38.801 v14.0.0
【文献】3GPP TS 38.211 v15.0.0
【文献】TR 38.804 v14.0.0
【文献】3GPP TS 36.321. v14.1.0
【文献】TS 23.401 v15.2.0
【文献】TS 36.300 v15.0.0
【文献】TS 36.331 v15.0.1
【文献】3GPP TS 23.501 v15.0.0
【文献】TS 38.801
【文献】TS 36.213 v14.5.0
【文献】TS 36.304 v14.5.0
【文献】TS 38.413 v0.5.0
【文献】TS 36.413 v14.4.0
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
非限定的かつ例示的な一実施形態は、複数の異なるエンティティ(UE、gNB)が関与する改良されたページング手順と、AS(アクセス層)接続およびNAS(非アクセス層)サービス要求手順を提供することを容易にする。
【0012】
一般的な第1の一態様においては、本明細書に開示されている技術は、ユーザ機器であって、ユーザ機器が位置している移動通信システムの無線セル、を制御する基地局から、ページングメッセージを受信する受信機、を備えたユーザ機器、を提供する。本UEのプロセッサは、複数のネットワークスライスのうち、ページングメッセージが関連する少なくとも1つのネットワークスライスを、受信されたページングメッセージに基づいて求める。
【0013】
一般的な第2の一態様においては、本明細書に開示されている技術は、UEによって実行される以下のステップを含む方法、を提供する。ユーザ機器が位置している移動通信システムの無線セル、を制御する基地局から、ページングメッセージを受信する。複数のネットワークスライスのうち、ページングメッセージが関連する少なくとも1つのネットワークスライスを、受信されたページングメッセージに基づいて求める。
【0014】
一般的な第3の一態様においては、本明細書に開示されている技術は、基地局であって、基地局によって制御される移動通信システムの無線セル、内に位置しているユーザ機器にページングメッセージを送信する送信機、を備えており、したがってユーザ機器が、複数のネットワークスライスのうち、ページングメッセージが関連する少なくとも1つのネットワークスライスを、受信されたページングメッセージに基づいて求めることができる、基地局、を提供する。
【0015】
なお、一般的な実施形態または特定の実施形態は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム、記憶媒体、またはこれらの任意の選択的な組合せとして、実施できることに留意されたい。開示されている実施形態のさらなる恩恵および利点は、本明細書および図面から明らかであろう。これらの恩恵および/または利点は、本明細書および図面のさまざまな実施形態および特徴によって個別に得ることができ、ただしこのような恩恵および/または利点の1つまたは複数を得るために、これらの特徴すべてを設ける必要はない。
【0016】
以下では、例示的な実施形態について、添付の図面を参照しながらさらに詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】3GPP NRシステムの例示的なアーキテクチャを示している。
【
図2】LTE eNB、gNB、およびUEの、例示的なユーザプレーンおよび制御プレーンのアーキテクチャを示している。
【
図3】さまざまなサブキャリア間隔15kHz、30kHz、および60kHzと、結果としてのシンボル持続時間とを示している。
【
図4】競合ベースのRACH手順を実行するときにeNBとUEの間で交換されるメッセージを示している。
【
図5】競合のないRACH手順を実行するときにeNBとUEの間で交換されるメッセージを示している。
【
図6】UEおよびeNBの例示的な単純化された構造を示している。
【
図7】UEがgNB1に接続されており、それぞれ異なるgNBによって制御される隣接セルを有する、単純なシナリオを示している。
【
図8】第1の実施形態の1つのバリエーションに係る、UEおよび基地局の挙動のシーケンス図である。
【
図9】第1の実施形態の1つのバリエーションに係る、改良されたページング手順のメッセージ図である。
【
図10】第1の実施形態の異なるバリエーションに係る、改良されたRACH手順のメッセージ図である。
【
図11】第1の実施形態の異なるバリエーションに係る、改良されたRACH手順のメッセージ図である。
【
図12】第2の実施形態の1つのバリエーションに係る、スライスに固有な可能なアドミッション制御を示したメッセージ図である。
【
図13】第2の実施形態の1つのバリエーションに係る、UEおよび基地局の挙動のシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[本開示の基礎]
[5G NRシステムのアーキテクチャおよびプロトコルスタック]
背景技術のセクションで説明したように、3GPPは、最大100GHzの周波数範囲で動作する新しい無線アクセス技術(NR)の開発を含む、第5世代のセルラー技術(簡潔に5Gと呼ばれる)のための次のリリースに取り組んでいる。3GPPは、緊急な市場のニーズと、より長期的な要求事項の両方を適切な時期に満たしながら、NRシステムを成功裏に標準化するために必要な技術要素を明らかにして開発しなければならない。これを達成する目的で、検討項目「New Radio Access Technology(新しい無線アクセス技術)」では、無線インタフェースおよび無線ネットワークアーキテクチャを進化させることが考慮されている。結果および合意事項は、非特許文献2にまとめられている。
【0019】
特に、全体的なシステムアーキテクチャに関して暫定的な合意がなされた。NG-RAN(次世代-無線アクセスネットワーク)はgNBから構成され、これらのgNBは、UEに向かうNG-無線アクセスユーザプレーンプロトコル(SDAP/PDCP/RLC/MAC/PHY)および制御プレーンプロトコル(RRC)を終端させる。gNBは、Xnインタフェースによって互いに相互接続されている。さらにgNBは、次世代(NG:Next Generation)インタフェースによってNGC(次世代コア:Next Generation Core)に接続され、より具体的には、NG-CインタフェースによってAMF(アクセスおよびモビリティ管理機能:Access and Mobility Management Function)に接続され、NG-UインタフェースによってUPF(ユーザプレーン機能:User Plane Function)に接続される。NG-RANのアーキテクチャは、非特許文献3の4節に基づいて
図1に示してある。
【0020】
例えば非特許文献4に反映されているように、さまざまな異なる配置シナリオが、サポートされるように現在検討されている。この文献には、例えば、非中央集中型の配置シナリオ(非特許文献4の5.2節)(中央集中型の配置は5.4節に記載されている)が提示されており、このシナリオでは5G NRをサポートする基地局を配置することができる。
図2は、例示的な非中央集中型の配置シナリオを示しており、この非特許文献4の
図5.2.-1に基づいているが、LTE eNBとユーザ機器(UE)をさらに示しており、ユーザ機器(UE)は、gNBおよびLTE eNBの両方に接続されている。前述したようにNR 5Gの新しいeNBは、例示的にgNBと称することができる。
【0021】
eLTE eNB(非特許文献4に例示的に定義されている)は、eNBの進化型であり、EPC(進化型パケットコア(Evolved Packet Core))およびNGC(次世代コア(Next Generation Core))への接続性をサポートする。
【0022】
NR(新無線)におけるユーザプレーンプロトコルスタックは、現在、非特許文献3の4.4.1節に定義されている。PDCP(パケットデータコンバージェンスプロトコル:Packet Data Convergence Protocol)サブレイヤ、RLC(無線リンク制御:Radio Link Control)サブレイヤ、およびMAC(媒体アクセス制御:Medium Access Control)サブレイヤは、ネットワーク側ではgNBにおいて終端する。これに加えて、非特許文献3の6.5節に記載されているように、PDCPの上に、新しいアクセス層(AS)サブレイヤ(SDAP:サービスデータアダプテーションプロトコル:Service Data Adaptation Protocol)が導入される。NR(新無線)における制御プレーンプロトコルスタックは、非特許文献3の4.4.2節に定義されている。レイヤ2の機能の概要は、非特許文献3の6節に記載されている。PDCPサブレイヤ、RLCサブレイヤ、およびMACサブレイヤの機能は、それぞれ非特許文献3の6.4節、6.3節、および6.2節にリストされている。RRC層の機能は、非特許文献3の7節にリストされている。上に挙げた節は、非特許文献3の中の節である。
【0023】
5Gシステム用に例示的に想定されているNRの新しいレイヤ(層)は、LTE(-A)通信システムにおいて現在使用されているユーザプレーンのレイヤ(層)構造に基づく。しかしながら、NRのレイヤ(層)の細部すべてに関して、現時点では最終的な合意に達していないことに留意されたい。
【0024】
非特許文献1に記載されているように、NRのユースケース/配置シナリオとしては、高度モバイルブロードバンド(eMBB)、超高信頼・低遅延通信(URLLC)、大規模マシンタイプ通信(mMTC)が挙げられ、これらのサービスは、データレート、レイテンシ、およびカバレッジに関する要件が多様である。例えばeMBBでは、IMT-Advancedによって提供されるデータレートの3倍のオーダーのピークデータレート(ダウンリンクが20Gbps、アップリンクが10Gbps)およびユーザ側で認識されるデータレートがサポートされることが期待される。一方でURLLCの場合には、厳しい要件として、極めて低いレイテンシ(ユーザプレーンのレイテンシについてはアップリンクおよびダウンリンクそれぞれが0.5ms)および高い信頼性(1ms以内で1~10-5)が課せられる。さらにmMTCでは、高い接続密度(都市環境における1,000,000個のデバイス/km2)、過酷な環境における広いカバレッジ、デバイスコストを下げるための極めて長寿命のバッテリ(15年)が要求される。
【0025】
したがって、あるユースケースに適したOFDMのヌメロロジー(numerology)(例えば、サブキャリア間隔、OFDMシンボル持続時間、サイクリックプレフィックス(CP)持続時間、スケジューリング間隔あたりのシンボル数)が、別のユースケースでは良好に機能しないことがある。例えば、低レイテンシのサービスでは、mMTCサービスよりも短いシンボル持続時間(したがってより大きいサブキャリア間隔)、および/または、スケジューリング間隔(TTIとも称される)あたりの少ないシンボル、が要求されることがある。さらには、チャネルの遅延スプレッドが大きい配置シナリオでは、遅延スプレッドが短いシナリオよりも長いサイクリックプレフィックス(CP)持続時間が要求される。したがって、同程度のサイクリックプレフィックス(CP)オーバーヘッドを維持するため、サブキャリア間隔を最適化するべきである。3GPP RAN1#84bis会合(2016年4月、釜山)において、NRでは2つ以上のサブキャリア間隔の値がサポートされる必要があることが合意された。これらサブキャリア間隔の値は、サブキャリア間隔の特定の値にNを乗じた値から導かれる(Nは整数)。RAN1会合のRAN1#85(2016年5月、南京)では、実用的な想定として、15kHzのサブキャリア間隔を含むLTEベースのヌメロロジーが、NRのヌメロロジーの基本設計であるという結論に達した。倍率Nについては、NRのヌメロロジーの基本設計の想定としてN=2
nが決定された。今後の会合では、ヌメロロジーのより低い候補値が選択される可能性もある。したがって現在のところ、15kHz、30kHz、60kHz、...のサブキャリア間隔が検討されている。
図3は、3つの異なるサブキャリア間隔(15kHz、30kHz、60kHz)および対応するシンボル持続時間を例示的に示している。シンボル持続時間T
uおよびサブキャリア間隔Δfは、式Δf=1/T
uによって直接関係している。LTEシステムの場合と同様に、1個のOFDM/SC-FDMAシンボルの長さに対して1つのサブキャリアから構成される最小リソース単位を表すのに、用語「リソースエレメント」を使用することができる。
【0026】
新しい無線システム5G-NRでは、各ヌメロロジーおよびキャリアごとに、アップリンクおよびダウンリンクそれぞれにおいて、サブキャリアとOFDMシンボルのリソースグリッドが定義される。リソースグリッド内の各要素は、リソースエレメントと呼ばれ、周波数領域における周波数インデックスと時間領域におけるシンボル位置とに基づいて識別される。非特許文献5から明らかであるように、いくつかの定義がすでになされている。
【0027】
[RACH手順]
5G NRにおけるRACH(ランダムアクセスチャネル:Random Access Channel)手順に関しては、最終的な合意には達していない。非特許文献6の9.2節に記載されているように、NRのRACH手順では、LTEにおいて定義されている方法と同じかまたは類似する方法で、競合ベースのランダムアクセスと、競合のないランダムアクセスの両方がサポートされうる。さらに、NRのRACH手順の設計では、LTEと同様に、メッセージ3の柔軟なサイズがサポートされ、ただしサイズは極めて限定される可能性がある。
【0028】
以下では、LTEのRACH手順について、
図4および
図5を参照しながらさらに詳しく説明する。LTEにおける移動端末のアップリンク送信は、移動端末のアップリンク送信が時間同期されている場合にのみスケジューリングすることができる。したがってランダムアクセスチャネル(RACH)手順は、同期していない移動端末(UE)がアップリンク無線アクセスの直交送信を行う機会として重要な役割を果たす。例えば、LTEにおけるランダムアクセスは、アップリンクの同期をまだ獲得していないかまたはアップリンクの同期を失ったユーザ機器においてアップリンクの時間同期を達成するために使用される。ユーザ機器がアップリンクの同期を達成すると、eNodeBはそのユーザ機器のためのアップリンク送信リソースをスケジューリングすることができる。ランダムアクセスに関連する1つのシナリオとして、自身の現在のサービングセルから新しいターゲットセルにハンドオーバーする、RRC_CONNECTED状態にあるユーザ機器が、ターゲットセルにおけるアップリンクの時間同期を達成する目的で、ランダムアクセス手順を実行する。
【0029】
LTEでは、2種類のランダムアクセス手順が提供されており、競合ベース(例えば本質的に衝突のリスクを伴う)または競合なし(非競合ベース)のいずれかでアクセスが許可される。LTEのランダムアクセス手順の詳細な説明は、非特許文献7の5.1節にも記載されている。
【0030】
以下では、LTEにおける競合ベースのランダムアクセス手順について、
図4に関連してさらに詳しく説明する。この手順は4つの「ステップ」から構成される。最初に、ユーザ機器は、ランダムアクセスプリアンブル(例えばRACH手順のメッセージ1)を物理ランダムアクセスチャネル(PRACH:Physical Random Access Channel)でeNodeBに送信する。eNodeBは、RACHプリアンブルを検出した後、プリアンブルが検出された時間-周波数スロットを識別する(ランダムアクセス)RA-RNTIによってPDCCH上でアドレッシングされたPDSCH(物理ダウンリンク共有チャネル:Physical Downlink Shared Channel)で、ランダムアクセス応答(RAR:Random Access Response)メッセージ(RACH手順のメッセージ2)を送信する。複数のユーザ機器が同じPRACHリソースにおいて同じRACHプリアンブルを送信していた場合(衝突とも称する)、これらのユーザ機器は同じランダムアクセス応答メッセージを受信する。このRARメッセージは、検出されたRACHプリアンブルと、以降のアップリンク送信を同期させるためのタイミングアライメントコマンド(TAコマンド)と、スケジューリングされた最初の送信を送るための最初のアップリンクリソース割当て(グラント)と、T-CRNTI(一時的なセル無線ネットワーク一時識別子:Temporary Cell Radio Network Temporary Identifier)の割当て、を伝えることができる。eNodeBは、RACH手順が終了するまでは、RACHプリアンブルが検出された(1基または複数の)移動端末をアドレッシングする目的にこのT-CRNTIを使用し、なぜならeNodeBはこの時点では移動端末の「真の」識別情報をまだ認識していないためである。
【0031】
ユーザ機器は、所与の時間窓(eNodeBによって設定される)の中で、PDCCHを監視してランダムアクセス応答メッセージを受信する。ユーザ機器は、eNodeBから受信したRARメッセージに応えて、スケジューリングされた最初のアップリンク送信を、そのランダムアクセス応答の中のグラントによって割り当てられた無線リソースで送信する。このスケジューリングされたアップリンク送信は、例えばRRC接続要求、RRC再開要求、あるいはバッファ状態報告など実際のランダムアクセス手順メッセージを伝える。
【0032】
RACH手順の最初のメッセージにおいてプリアンブルの衝突が起きた(例えば複数のユーザ機器が同じPRACHリソースで同じプリアンブルを送信した)場合、衝突しているユーザ機器は、ランダムアクセス応答の中で同じT-CRNTIを受信し、RACH手順の第3のステップにおいてそれぞれのスケジューリングされた送信を送るときに、同じアップリンクリソースにおいて衝突する。1基のユーザ機器からのスケジューリングされた送信がeNodeBによって正常に復号される場合、他の(1基または複数の)ユーザ機器においては競合は解決していないままである。このタイプの競合を解決するため、eNodeBは、そのC-RNTIまたは一時的なC-RNTIにアドレッシングされた競合解決メッセージ(第4のメッセージ)を送信する。これによりRACH手順が完了する。
【0033】
図5は、3GPP LTEの競合のないランダムアクセス手順を示しており、競合ベースのランダムアクセス手順と比べて簡易化されている。最初のステップにおいて、eNodeBは、衝突の(例えば複数のユーザ機器が同じプリアンブルを送信する)危険がないように、ランダムアクセスに使用するためのプリアンブルをユーザ機器に提供する。したがって次いでユーザ機器は、eNodeBによってシグナリングされたプリアンブルを、PRACHリソースでアップリンクにおいて送信する。競合のないランダムアクセスの場合、複数のUEが同じプリアンブルを送信するケースが回避されるため、競合のないランダムアクセス手順は、本質的に、ランダムアクセス応答がUEによって正常に受信された後に完了する。
【0034】
したがって、
図4および
図5に関連して上に説明した手順に類似するかまたは同じRACH手順を、今後、5Gの新しい無線技術において採用することができる。しかしながら3GPPは、5G NR用に2ステップのRACH手順も検討しており、この手順では、最初に、メッセージ1(4ステップのRACH手順におけるメッセージ1およびメッセージ3に相当する)を送信する。次いでgNBが、メッセージ2(LTE RACH手順のメッセージ2およびメッセージ4に相当する)で応える。メッセージの交換が少ないため、この2ステップの手順のレイテンシは、4ステップの手順と比較して減少しうる。オプションとして、メッセージ用の無線リソースはネットワークによって設定される。
【0035】
[5G NRにおけるページング手順]
5Gでは、ページングはまだ最終的に決定されていないが、5G NRには2つの異なるページング手順、すなわちRAN(無線アクセスネットワーク)ベースのページング手順と、コアネットワーク(CN)ベースのページング手順が用意されるものと想定される(例えば、いくつかの節でRANページングおよびCNページングについて記載している非特許文献3を参照)。NR 5GにおけるRRCは、非特許文献6の5.5.2節に現在定義されているように、次の3つの状態、すなわちRRC_IDLE(RRCアイドル)、RRC_INACTIVE(RRC非アクティブ)、およびRRC_CONNECTED(RRC接続)をサポートする。新しいRRC状態であるINACTIVE(非アクティブ)は、シグナリング、電力節約、レイテンシなどに関する要件が極めて異なるeMBB(高度モバイルブロードバンド)、mMTC(大規模マシンタイプ通信)、URLLC(超高信頼・低遅延通信)などの幅広いサービスをサポートするうえで有利であるように、5Gの新しい無線技術において定義される。RRC_INACTIVE状態にあるユーザ機器は、RRC_CONNECTED状態への完全な状態遷移を実行する必要なしに、小さいアップリンクデータの送信をサポートすることができる。
【0036】
RRC_INACTIVE状態にあるUEに対しては、RANおよびコアネットワークとの接続(ユーザプレーン接続および制御プレーン接続の両方)を維持することができる。これに加えて、この非アクティブ状態にあるユーザ機器を対象とするページングメカニズム(通知メカニズムとも称される)は、いわゆる無線アクセスネットワーク(RAN)ベースの通知領域(略してRNA)に基づく。無線アクセスネットワークは、ユーザ機器が位置している現在のRNAを認識しているべきであり、ユーザ機器は、自身がさまざまなRNAの間で移動するのをgNBが追跡するように支援することができる。RNAは、UEに固有とすることができる。RNAは、1つのセルまたは複数のセルをカバーすることができる。RNAは、RRC_IDLE状態にあるUEを追跡するために使用されるコアネットワーク領域より小さくすることができる。
【0037】
UEをページングすることは、例えば、UEにダウンリンクデータを提供できるようにする目的で、必要でありうる。ダウンリンクデータは、そのUEによってサポートされている特定のネットワークスライス(詳しくは後からの説明を参照)を指していることがあり、UEが正しく接続して、接続およびサービスを正しく確立できるようにするためには、通信システムのRANおよびコアネットワークにおいてネットワークスライスに関する情報が必要である。
【0038】
[ネットワークスライシング]
背景技術のセクションで言及したように、ネットワークスライシングは、5G NRの多様な要件を満たすうえで重要なコンセプトである。
【0039】
ネットワークスライシング自体は新しいものではなく、なぜならLTEリリース13において類似するコンセプトが定義され、専用コア(Dedicated Core(DECOR))として採用された。専用コアの原理では、それぞれ固有なサービスを供給する目的でコアネットワークを分割することが可能になる。DECORはさらにeDECORに進化し、eDECORでは、UEは自身の専用コアネットワーク(DCN:Dedicated Core Network)IDを提供することができ、このIDによってeNBは、最初のインスタンス自体において適切な専用コアネットワーク要素を選択することができる。この機能によって、eDECORはDECORと区別され、コアのシグナリングを減らすことが可能になる。専用コアネットワークは、例えば非特許文献8からの4.3.25節に記載されている。したがってUEは、非特許文献9(19.2.1.7節におけるNASノード選択機能(NNSF:NAS Node Selection Function)に関して)および非特許文献10(例えば5.3.3.4節におけるRRCConnectionSetupに関して)に記載されているように、RRCConnectionSetupCompleteにDCN-IDを含める。
【0040】
3GPPでは、DCN-IDは、特定の専用コアネットワーク(DCN)を識別するために定義される。DCNが使用されるときには、MME負荷バランシング(MME Load Balancing)機能は、同じDCNに属すMMEの間でのみ実行される。DCNに対するMME負荷バランシングは、非特許文献8の4.3.72節に記載されている。
【0041】
スライシングとeDECORの主たる違いとして、スライシングではリソースのパーティショニングがエンドツーエンドである(すなわちリソースのパーティショニングが、コアネットワークリソースに加えて無線ネットワークリソースにも適用される)のに対して、DECORでは、リソースのパーティショニングはコアネットワークのみに適用される。
【0042】
eDECORの場合、UEがサポートできるサービスタイプは最大で1つであると考えられていた。したがってDCN-IDを含めることは、効率の観点からは問題ではない。一方で3GPPは、RAN2#99において、UEは最大で8つのネットワークスライスを同時にサポートできることと、サポートされるスライスの要件をサポートするようにUEを構成できる(例えば異なるPDUセッションの異なる専用無線ベアラ(DRB:Dedicated Radio Bearer)を適切に設定することによる)ことを決定した。
【0043】
しかしながら、UEが8つのネットワークスライスを同時にサポートできることが3GPP RAN2#99で決定されたことと、S-NSSAIが最大で32ビットをとり得ることが3GPP SA2で定義されたことにより、エアインタフェースにおいて多くのビットを使用して交換する必要が生じる。
【0044】
ネットワークスライシングは、非特許文献11(例えば5.15節、5.18.5節)にも全般的に定義されている。非特許文献11によれば、S-NSSAI(単一ネットワークスライス選択支援情報:Single Network Slice Selection Assistance Information)は、ネットワークスライスを識別し、以下から構成される。
【0045】
・ スライス/サービスタイプ(SST:Slice/Service type): 機能およびサービスに関して予期されるネットワークスライスの挙動を示す。
【0046】
・ スライス区分子(SD:Slice Differentiator): スライス/サービスタイプを補足するオプションの情報であり、同じスライス/サービスタイプの複数のネットワークスライスを区別する。
【0047】
S-NSSAIは、標準の値または標準以外の値を有することができる。PLMNに固有な値を有するS-NSSAIは、その値を割り当てるPLMNのPLMN IDに関連付けられる。S-NSSAIは、そのS-NSSAIが関連付けられているPLMN以外のPLMNでは、アクセス層手順においてUEによって使用されない。
【0048】
NSSAIは、S-NSSAIの集まりである。UEとネットワークの間のシグナリングメッセージにおいて送られるNSSAIには、最大で8つのS-NSSAIを含めることができる。各S-NSSAIは、ネットワークが特定のネットワークスライスインスタンスを選択するのを支援する。
【0049】
同じネットワークスライスインスタンスを、複数の異なるS-NSSAIによって選択することができる。
【0050】
事業者の運用上のニーズまたは配備上のニーズに基づいて、ネットワークスライスインスタンスが1つまたは複数のS-NSSAIに対応することができ、あるいはS-NSSAIの複数のネットワークスライスインスタンスを、同じトラッキングエリアまたは複数の異なるトラッキングエリアに配置することができる。S-NSSAIの複数のネットワークスライスインスタンスが同じトラッキングエリアに配置されているときには、UEをサーブするAMFインスタンスが、そのS-NSSAIの2つ以上のネットワークスライスインスタンスに論理的に属することができ、例えばこのAMFインスタンスを、そのS-NSSAIの複数のネットワークスライスインスタンスに共通とすることができる。あるS-NSSAIがPLMNにおいて2つ以上のネットワークスライスインスタンスによってサポートされているときには、特定のエリア内でその同じS-NSSAIをサポートしているネットワークスライスインスタンスのうち、5.15.5節に定義されているネットワークスライスインスタンス選択手順の結果としての任意のインスタンスが、そのS-NSSAIを使用することが許可されているUEをサーブすることができる。UEは、S-NSSAIに関連付けられると、例えば所与の登録エリアにおいてネットワークスライスインスタンスがもはや有効ではなくなるまで、あるいはUEに許可されているNSSAIが変更されるまで、そのS-NSSAIの同じネットワークスライスインスタンスによってサーブされる。このような場合、5.15.5.2.2節または5.15.5.2.3節に記載されている手順が適用される。
【0051】
5GCは、UEをサーブするための(1つまたは複数の)ネットワークスライスインスタンスと、そのネットワークスライスインスタンスに対応する5GCの制御プレーンネットワーク機能およびユーザプレーンネットワーク機能を選択する責務を担う。
【0052】
(R)AN((無線)アクセスネットワーク)は、5GCが(R)ANに許可NSSAI(Allowed NSSAI)を通知する前には、UEの制御プレーンの接続を処理するためにアクセス層(AS)シグナリングにおいて要求NSSAI(Requested NSSAI)を使用することができる。UEが5G-GUTIを提供するときには、RANはルーティングするのに要求NSSAIを使用しない。
【0053】
UEが正常に登録されると、コアネットワーク(CN)は、許可NSSAI全体を提供することによって(R)ANに通知する。
【0054】
5G NRにおけるネットワークスライシングに関連するいくつかの合意事項は、現時点では非特許文献3の16.3節に記載されている。
【0055】
ネットワークスライスは、それぞれ異なる資源を識別しうるRAN部分とCN部分とから構成することができる。ネットワークスライシングのサポートは、異なるスライスのトラフィックが異なるPDUセッションによって扱われるという原理に依拠する。ネットワークは、スケジューリングすることと、異なるL1/L2構成を提供することによって、異なるネットワークスライスを実現することができる。UEは、ネットワークスライスを選択するための支援情報がNASによって提供されている場合、この情報をRRCメッセージにおいて提供する。ネットワークは多数の(例:数百の)スライスをサポートすることができるが、UEは9以上のスライスを同時にサポートする必要はない。
【0056】
ネットワークスライシングは、各顧客の要件に応じて差別化した扱いを可能にするためのコンセプトである。スライシングを使用することで、移動体通信事業者(MNO)は、顧客を、それぞれが異なるサービス要件を有する異なるテナントタイプに属すものとみなすことが可能であり、サービス要件は、サービスレベル合意(SLA:Service Level Agreement)およびサブスクリプションに基づいて各テナントが使用する資格のあるスライスタイプに関して決めるものである。UEは、自身がどのネットワークスライスおよびネットワークスライスタイプをサブスクライブしているか(これらは5Gコアネットワーク(例えばHSS(ホーム加入者サーバ:Home Subscriber Server)に)格納することができる)について決めるサービスレベル合意(SLA)を有する。
【0057】
この点で、3GPPにおいて利用可能なさまざまな技術仕様書には、若干異なる定義が記載されている。例えば非特許文献11によれば、ネットワークスライスとは、特定のネットワーク能力および特定のネットワーク特性を提供する論理ネットワークであり、ネットワークスライスインスタンスは、配置されるネットワークスライスを形成する一連のネットワーク機能インスタンスおよび必要な資源(例:コンピュータ、記憶装置、ネットワークリソース)である。非特許文献12では、ネットワークスライスとは、事業者によって作成されるネットワークであり、エンドツーエンド範囲で特定の要件を必要とする特定のマーケットシナリオにとって最適化されたソリューションとなるようにカスタマイズされたネットワーク、と定義されている。
【0058】
各ネットワークスライスは、上に挙げた非特許文献11に定義されているように、S-NSSAIによって一意に識別される。NSSAI(ネットワークスライス選択支援情報)は、1つまたは複数のS-NSSAI(単一NSSAI)を含む。
【0059】
NG-RAN(次世代-無線アクセスネットワーク)におけるネットワークスライシングのサポートには、以下の重要な原理が適用される。
【0060】
RANにおけるスライスの認識
- NG-RANは、事前に設定された複数の異なるネットワークスライスのトラフィックの差別化した扱いをサポートする。NG-RANが、NG-RAN機能(例:各スライスを含む一連のネットワーク機能)に関するスライスの有効化をどのようにサポートするかは、実装に依存する。
【0061】
ネットワークスライスのRAN部分の選択
- NG-RANは、UEまたは5GCによって提供される支援情報によってネットワークスライスのRAN部分を選択することをサポートし、この支援情報は、PLMNにおいて事前に設定されたネットワークスライスの1つまたは複数を一義的に識別する。
【0062】
スライスごとのリソース管理
- NG-RANは、スライスごとにサービスレベル合意に従ってポリシーを適用することをサポートする。1つのNG-RANノードが複数のスライスをサポートすることが可能であるべきである。NG-RANは、サポートされる各スライスに、該当するSLAに照らして最良のRRM(無線リソース管理)ポリシーを自由に適用することができるべきである。
【0063】
QoSのサポート
- NG-RANは、スライス内でのQoSの差別化をサポートする。
【0064】
RANによるCNエンティティの選択
- UEは、最初にアタッチする場合、AMFの選択をサポートするための支援情報を提供することができる。NG-RANは、支援情報が利用可能である場合、この情報を用いて最初のNASシグナリングをAMFにルーティングする。NG-RANがこの情報を用いてAMFを選択することができない、またはUEがこのような情報を提供しない場合、NG-RANは、NASシグナリングをデフォルトのAMFに送る。
【0065】
- 以降のアクセスでは、UEは、5GCによってUEに割り当てられる一時IDをNG-RANに提供し、これによりNG-RANは、この一時IDが有効である限りはNASメッセージを適切なAMFにルーティングすることができる(NG-RANは、一時IDに関連付けられるAMFを認識しており、このAMFにアクセスすることができる)。一時IDを提供しない場合、最初にアタッチするための方法が適用される。
【0066】
スライス間のリソースの分離
- NG-RANは、スライス間のリソースの分離をサポートする。NG-RANによるリソース分離は、RRMポリシーおよび保護メカニズム(あるスライスで共有リソースが不足することで別のスライスにおいてサービスレベル合意が守られないことを回避するべきである)によって達成することができる。NG-RANのリソースすべてを特定のスライスに割り当てることが可能であるべきである。NG-RANがリソース分離をどのようにサポートするかは、実装に依存する。
【0067】
スライスの可用性
- いくつかのスライスを、ネットワークの一部のみにおいて利用可能にすることができる。NG-RANが、隣接するセルにおいてサポートされているスライスを認識していることは、接続モードにおける異周波数モビリティにおいて有利でありうる。スライスの可用性は、UEの登録エリア内では変更されないものと想定する。
【0068】
- NG-RANおよび5GCは、所与のエリアにおいて利用可能である、または利用可能ではないスライスを対象とするサービス要求を処理する責務を担う。スライスへのアクセスの許可または拒否は、そのスライスのサポート、リソースの可用性、要求されたサービスのNG-RANによるサポートなどの要因によって決まるようにすることができる。
【0069】
UEを複数のネットワークスライスに同時に関連付けることのサポート
- UEが複数のスライスに同時に関連付けられている場合、1つのシグナリング接続のみが維持され、同一周波数セル再選択では、UEは最良のセルへのキャンプオンをつねに試みる。異周波数セル再選択では、専用の優先順位を使用して、UEがキャンプオンする周波数を制御することができる。
【0070】
スライスの認識の粒度
- NG-RANでは、PDUセッションレベルでのスライスの認識が導入され、これはPDUセッションリソース情報を含むすべてのシグナリングにおいて、PDUセッションに対応するS-NSSAIを示すことによる。
【0071】
ネットワークスライスにアクセスするためのUEの権利の確認
- UEがネットワークスライスにアクセスする権利を有することを確認することは、5GCの責務である。NG-RANが初期コンテキスト設定要求(Initial Context Setup Request)メッセージを受信するより前に、UEがどのスライスへのアクセスを要求しているかの認識に基づいて、NG-RANが何らかの暫定ポリシー/ローカルポリシーを適用できるようにすることができる。初期コンテキストの設定時、リソースが要求されている対象のスライスがNG-RANに通知される。
【0072】
5G NRにおけるネットワークスライシング機能をさらに発展させる3GPPの会合および検討では、さらなる合意がなされており、今後もなされるであろう。いくつかの初期の合意および想定は、ネットワークスライシングをRANに拡張することに関して行われたが、この点において詳細なソリューションはまだ利用可能ではなく、提案もされていない。したがって、RANにおけるネットワークスライシングをどのように実施できるかに関する改良された手順を提供する必要がある。この手順は、アクセス層(AS)に固有な短縮されたネットワークスライスIDの使用を伴う改良されたページング手順および改良された接続手順または再開手順を含むことができる。
【0073】
例えばUEは、NASノード選択機能が動作するように、自身の関心の対象のスライスIDをgNBに示す必要がある。これに対応してgNBは、所与のUEの接続要求およびサービス要求に対してどのコアネットワーク要素を接続するかを決定することができる。
【0074】
さらに、UEが8つのネットワークスライスを同時にサポートする場合、UEが8つのネットワークスライスID(現時点ではS-NSSAI)をgNBに伝える必要がある状況となり、各ネットワークスライスIDは32ビット長であり、したがって合計256ビットである。これは不利であり、なぜならエアインタフェースにおける不足気味のリソースが非効率的に使用されるためである。
【0075】
[本開示の詳細な説明]
以下では、5G移動通信システムを対象に検討されている新しい無線アクセス技術において、上記のニーズを満たすためのUE、基地局、および手順について説明する。さまざまな実装形態およびバリエーションも説明する。以下の詳細な開示内容は、前のセクション「本開示の基礎」の中で説明した検討事項およびその結果によって促進されたものであり、例えば少なくともその一部に基づく。
【0076】
しかしながら全般的には、5Gセルラー通信システムに関して実際に合意されたことはわずかであり、したがって以下では、本開示の基礎をなす原理を明確かつわかりやすく説明することができるように、多くの想定を行わなければならないことに留意されたい。しかしながら、これらの想定は、本開示の範囲を制限することのない単なる例として理解されたい。当業者には、以下の開示の、請求項に記載されている原理を、さまざまなシナリオに、本明細書に明示的に説明されていない方法で適用できることが認識されるであろう。
【0077】
さらに、次の3GPP 5G通信システムのための新しい無線アクセス技術に関連して使用される特定の専門用語は、まだ完全には決定されていないが、以下で使用されている、手順、エンティティ、レイヤ(層)などの用語のいくつかは、LTE/LTE-Aシステムに、または3GPP 5Gの現在の検討項目において使用されている専門用語に、密接に関係している。したがって用語は、3GPPの標準化段階において変更されうるが、本発明の実施形態の機能・動作には影響しない。したがって、本発明およびその保護範囲は、より新しいかまたは最終的に合意された専門用語が存在しない理由で本明細書において例示的に使用されている特定の用語に制限されるべきではなく、本開示の機能・動作および原理の基礎をなす機能およびコンセプトに関して広義に理解されるべきであることが、当業者には認識されるであろう。
【0078】
例えば、「移動局(mobile station)」、「移動ノード(mobile node)」、「ユーザ端末(user terminal)」、または「ユーザ機器(UE)」は、通信ネットワーク内の物理エンティティ(物理ノード)である。1つのノードがいくつかの機能エンティティを有することができる。機能エンティティとは、所定の一連の機能を実施する、および/または、所定の一連の機能を同じノードもしくは別のノードまたはネットワークの別の機能エンティティに提供する、ソフトウェアモジュールまたはハードウェアモジュールを意味する。ノードは、自身を通信機器または通信媒体にアタッチする1つまたは複数のインタフェースを有することができ、ノードはこれらのインタフェースを通じて通信することができる。同様に、ネットワークエンティティは、機能エンティティを通信機器または通信媒体にアタッチする論理インタフェースを有することができ、ネットワークエンティティは論理インタフェースを通じて別の機能エンティティまたは通信相手ノードと通信することができる。
【0079】
用語「基地局」または「無線基地局」は、本明細書においては、通信ネットワーク内の物理エンティティを意味する。基地局は、移動局と同様に、いくつかの機能エンティティを有することができる。機能エンティティとは、所定の一連の機能を実施する、および/または、所定の一連の機能を同じノードもしくは別のノードまたはネットワークの別の機能エンティティに提供する、ソフトウェアモジュールまたはハードウェアモジュールを意味する。物理エンティティは、通信装置に関連するいくつかの制御タスク(スケジューリングおよび設定の1つまたは複数を含む)を実行する。なお、基地局の機能および通信装置の機能を、1つの装置内に統合してもよいことに留意されたい。例えば、移動端末が、他の端末に対して基地局の機能をさらに実施してもよい。LTEにおいて使用されている専門用語はeNB(またはeNodeB)であるが、5G NRにおいて現時点で使用されている専門用語はgNBである。
【0080】
用語「ネットワークスライス」は、異なる特性および異なる要件を有する異なるサービスの提供を容易にするため、ネットワークリソースをどのようにパーティショニングするかのアイディアを意味する。上のセクション[本開示の基礎]の中で言及したように、複数の異なる3GPPグループによって、若干異なる定義がこれまでに提供されている。したがってネットワークスライスとは、特定のネットワーク機能およびネットワーク特性を提供する論理ネットワークとして広義に理解することができる。
【0081】
図6は、ユーザ機器(通信装置とも称される)およびスケジューリング装置(本明細書では例示的に基地局、例えばeLTE eNB(またはng-eNBとも称される)もしくは5G NRにおけるgNB内に位置するものと想定する)の一般的な単純化した例示的なブロック図を示している。UEとeNB/gNBは、それぞれ送受信機を使用して(無線)物理チャネルを通じて互いに通信する。
【0082】
通信装置は、送受信機および処理回路を備えていることができる。送受信機は、受信機および送信機を備えていることができる。処理回路は、1つまたは複数のプロセッサまたは任意のLSIなど、1つまたは複数のハードウェアとすることができる。送受信機と処理回路との間には入力/出力部(またはノード)が存在しており、処理回路は、動作時にこの入力/出力部を通じて送受信機を制御し(例えば受信機および/または送信機を制御し)、受信/送信データを交換することができる。送受信機は、1本または複数のアンテナ、増幅器、RF変調器/復調器などを含むRF(無線周波数)フロントエンドを含むことができる。処理回路は、自身が提供するユーザデータおよび制御データを送信する、および/または、処理回路によってさらに処理されるユーザデータおよび制御データを受信するように、送受信機を制御するなど、制御タスクを実施することができる。さらに処理回路は、判定する、決定する、計算する、測定するなどのプロセスを実行する責務も担うことができる。送信機は、送信するプロセス、および送信に関連する他のプロセスを実行する責務を担うことができる。受信機は、受信するプロセス、および受信に関連する他のプロセスを実行する責務を担うことができる。
【0083】
したがってこの場合、さまざまな実施形態およびそれらのバリエーションの後からの説明から明らかになるように、プロセッサを、ネットワークスライスおよび対応する識別情報(短縮されたネットワークスライスIDや完全なネットワークスライスIDなど)を決定するように例示的に構成することができる。別の例は送信機に関し、送信機は、RACH手順のメッセージを送信することができるように構成されている。反対に、受信機は、基地局からRACH手順のメッセージおよびページングメッセージを受信することができるように構成することができる。
【0084】
以下では、例示的な単純なシナリオを想定する。
図7に示したように、UEが、gNB1によって制御される無線セル1のカバレッジエリア内に位置しているものと想定する。隣接する無線セル2、無線セル3、および無線セル4が存在しており、これらはそれぞれgNB2、gNB3、gNB4によって制御される。
【0085】
[実施形態1]
以下では、ページングが実際にどのネットワークスライスに関連するかをUEが求めることができるように、第1の実施形態の膨大なバリエーションに係る改良されたページング手順、について説明する。ネットワークスライスに関する情報はUEにとって重要であり、なぜならこの情報によってUEは、ページングに適切に応答する(例:接続およびサービスを確立する、または再開する)ために必要である対応する情報を、(gNBおよび/またはコアネットワークを宛先とする)メッセージに含めることが可能になるためである。
【0086】
簡潔に言えば、gNBは、ページングが送信される対象のネットワークスライスをUEがページングメッセージから導くことができるように、ページングメッセージをUEに送信する責務を担う。gNBからUEに送信されるページングメッセージによって、そのページングが対象とするネットワークスライスをUEが求めることができるようにするいくつかの可能な方法が存在する。一般的には、以下に説明するように、ネットワークスライスの対応する識別情報をページングメッセージによって明示的または暗黙的に符号化することができる。
【0087】
例えば、ネットワークスライスの明示的な識別情報を、例えば(gNBからUEに送信される)ページングレコードの一部として、ページングメッセージの中に含めることができる。現在LTEでは、ページングメッセージは、非特許文献10の6.2.2節(5.3.2節も参照)に定義されているように使用されている。5G NRに関しては、確定的なページングメッセージはまだ定義されておらず、したがってさらに説明する目的で、LTEにおいて現在採用されているページングメッセージを例示的に想定する。上に引用した非特許文献10から明らかであるように、LTEでは、ページングメッセージは最大で16個のページングレコードを含むことができ、各レコードは、ページングメッセージ内でページングされるUEを指定する。
【0088】
ネットワークスライスID(この例示的なケースでは、以下で下線を引いた太字のS-NSSAI)を追加的に伝えるため、ページングメッセージのページングレコードを次のように拡張することができる。
【0089】
【0090】
これに代えて、ページングレコード内に明示的な識別情報を提供する代わりに、別の可能な解決策では、ページングメッセージに付随するPDCCH(DCI)の中に識別情報を提供することができる。この点において5G NRについては最終的な合意に達していないが、ページングがLTEに類似して実行されるものと想定することができ、LTEにおけるページングは、CRCがP-RNTIによってスクランブルされたPDCCH(DCI)に基づいて実行される(LTEのページングについては、例えば非特許文献13の7.1節および非特許文献14の7節を参照)。ページングレコードを有する実際のページングメッセージは、PDCCH DCIによって示されるPDSCHで送信される。LTEから明らかであるように、「PDCCHで送信されるP-RNTI」は通常のLTEの場合であり、「MPDCCHで送信されるP-RNTI」はeMTCの場合であり、「NPDCCHで送信されるP-RNTI」はNB-IoTの場合である。5G NRでは例示的に、eMBBは通常のPDCCHを使用することができ、mMTCは別のPDCCHを使用することができ、URLLCは、eMBBと同じ通常のPDCCH、または別のPDCCHを使用することができ、これは今後の検討によって決まる。したがって、ネットワークスライスIDを追加的に伝えるためにPDCCH DCIフォーマットを拡張することができる。
【0091】
別の解決策では、識別情報の明示的なシグナリングを使用する代わりに、複数の異なるネットワークスライスを区別するため、例えばページングメッセージを送信する際に使用される送信パラメータを使用して、識別情報の暗黙的な示唆を提供し、したがってUEは、ページングが対象とするネットワークスライスを識別することができる。
【0092】
この点において使用することのできる送信パラメータはいくつかあり、例えばページングメッセージが送信される時刻(例:サブフレーム、または無線フレーム)、ページングメッセージが送信される周波数(例:周波数サブバンド)、あるいはページングメッセージを送信するのに使用されるOFDMのヌメロロジー(代表的には例えばサブフレーム間隔)などである。どの送信パラメータまたは送信パラメータの組合せが、どのネットワークスライスを符号化するかに関して、UEとgNBは共通の認識を有し、したがってgNBは、対象のネットワークスライスから(1つまたは複数の)送信パラメータを決定することができ、UEは、ページングの送信に使用された(1つまたは複数の)送信パラメータから、そのページングが対象とするネットワークスライスを導くことができる。ネットワークスライスの暗黙的なシグナリングは、例えばgNBからUEに明示的な識別情報を伝えるために必要であるエアインタフェースの無線リソースが非効率的に使用されないことにおいて有利である。
【0093】
異なるネットワークスライスをどのように識別するかの1つの例は、ページングメッセージが送信される周波数に基づく。異なるネットワークスライスは、データの受信および送信に採用される周波数に関して互いに異なっていることができる。これらのネットワークスライスを、例示的に異周波数ネットワークスライス(inter-frequency network slices)と称することができる。したがって各ネットワークスライスを、そのスライスにおいて採用される周波数によって一義的に識別することができ、対象とするネットワークスライスの周波数でページングメッセージを送信することによって、UEは、ページングメッセージの送信に使用された周波数からネットワークスライスを一義的に導くことができる。
【0094】
複数の異なるネットワークスライスがデータの受信および送信に同じ周波数を採用しているときには、周波数に基づく一義的な識別はもはや可能ではない。このようなネットワークスライスを、例示的に同一周波数ネットワークスライス(intra-frequency network slices)と称することができる。同一周波数ネットワークスライスは、別の方法で、例えば同一周波数ネットワークスライスの間で異なる別の送信パラメータ(ページングの時刻など)に基づいて、またはgNBがページングメッセージに含める明示的な識別情報に基づいて、UEによって識別される必要がある。これにより、ページングの対象のネットワークスライスを一義的に識別することが、この場合にも可能である。
【0095】
さらに、ネットワークスライスの識別情報を明示的または暗黙的にシグナリングするためのさまざまな解決策(上の説明を参照)を、任意の適切な方式で組み合わせることもできる。例えば、識別情報の一部をページングメッセージの中に(例:ページングレコードの中に、またはページングメッセージに付随するDCIの中に)明示的に符号化し、その一方で、識別情報の別の部分をページングメッセージに暗黙的に(例えば特定の周波数を使用してページングメッセージを送信することによって)符号化する。
【0096】
いずれの場合も、UEは、ページングメッセージが対象とするネットワークスライスを、受信したページングメッセージに基づいて求めることができる。次いで、後から例示的に説明するように、この情報を使用して、gNBおよびコアネットワークとの接続およびサービスを確立することができる。
【0097】
上の説明では1つのネットワークスライスを考慮するのみであったが、上記および後から説明する実施形態1のバリエーションは、ページングメッセージが2つ以上のネットワークスライスに同時に関連する場合にも適用することができる。この場合には例えば、gNBがさまざまなネットワークスライスの識別情報を明示的および/または暗黙的に符号化し、これに対応してUEは、ページングが関連するさまざまなネットワークスライスを、受信したページングメッセージに基づいて識別する。
【0098】
ここまでの説明では、ページングがgNBによって開始される(RANベースのページング)のか、コアネットワークのエンティティ(AMFなど)によって開始される(コアネットワークベースのページング)のかを考慮することなく、UEとgNBとの間で発生するページングに主として焦点をあててきた。第一に、実施形態1は、RANベースのページングおよびコアネットワークベースのページングの両方に適用可能である。
【0099】
RANベースのページングおよびコアネットワークベースのページングの一般的な特性は、前に説明した。具体的には、RANベースのページングは、無線アクセスネットワーク内で開始され、コアネットワークに透過的である(例えばコアネットワークは、UEが依然として接続モードにあるものと想定する)。したがって例えば、UEに対する責務を担うgNBにコアネットワークからダウンリンクデータが転送される場合には、ページングエリア内でRANベースのページングに従ってそのUEをページングする必要がある。したがって、UEに固有なRAN通知エリア(このエリア内ではINACTIVE状態のUEは更新をトリガーする必要なしにローミングすることができる)内のすべてのgNB(またはページングエリア内のgNBのうち少なくともネットワークスライスを実際にサポートしているgNB)は、UEに到着するように適切なページングメッセージを送信する。
【0100】
コアネットワーク(例:サービングゲートウェイ)からダウンリンクデータを受信したgNBは、そのダウンリンクデータが指している1つまたは複数のネットワークスライスを求める。gNBは、これら1つまたは複数のネットワークスライスの対応する識別情報を決定し、これをRAN通知エリア内の他のgNBに転送し、したがってこれらの他のgNBは、ページング時に、(例えば上述した明示的な解決策および/または暗黙的な解決策のいずれかに従って)この識別情報をUEに提供することができる。gNBは、Xnインタフェースを通じて別のgNBと通信することができ、一例においては、RANベースのページングのためのgNB間の対応するメッセージを、必要な識別情報によって拡張することができる。
【0101】
コアネットワークベースのページングは、前に詳しく説明してあり、AMF(アクセスおよびモビリティ管理機能)によって開始することができ、AMFは、UEに固有なページング要求メッセージをN2インタフェースを介してgNBに送信する。このようなページング要求メッセージの例は、現在、非特許文献15の8.5節(非特許文献16の8.5節にも基づきうる)に定義されており、例えば次のように拡張することができる(表内の下線を引いた太字の最終行を参照)。
【0102】
【0103】
情報要素「スライス情報」は、例えば1つまたは複数のネットワークスライスID(前に紹介したS-NSSAIなど)を含むことができる。
【0104】
ここまで説明した解決策では、ネットワークスライスに関する識別情報が、32ビットのサイズのS-NSSAIであるものと想定してきた。これに対して、実施形態2の膨大なバリエーションでは、エアインタフェースにおける過度なオーバーヘッドを回避するために、ビットがずっと少ない短縮されたネットワークスライスIDを導入する。実施形態1の改良されたページング手順において、完全なネットワークスライスID(例:S-NSSAI)の代わりに短縮されたネットワークスライスIDを(可能な限り)使用するように、実施形態1と実施形態2を組み合わせることができる。
【0105】
例えば、拡張されたページングメッセージの前と同じ例を想定すると、ページングメッセージのページングレコードを、短縮されたネットワークスライスID(ここでは例示的にAS-Slice IDと称する)によって次のように拡張することができる。
【0106】
【0107】
完全なネットワークスライスIDの代わりに短縮されたネットワークスライスIDを使用することで、ページングの対象であるネットワークスライスの明示的なシグナリングおよび暗黙的なシグナリングを容易にすることができ、なぜならページングメッセージの送信に基づいて識別する必要のあるネットワークスライスがずっと少ないためである。送信パラメータを通じて暗黙的に符号化するときのパラメータの変更が少なくてすむ、および/または、明示的にシグナリングする場合にページングメッセージまたはPDCCH DCIに含める必要のあるビット数が少ない。
【0108】
これに対して、gNB間で交換されるメッセージでは、短縮されたスライスIDではなく完全なネットワークスライスID(例:S-NSSAI)を使用することができ、なぜならこの交換はバックボーンを介して行われるためであり、例えばgNBに固有とすることのできる、短縮されたネットワークスライスIDと実際のネットワークスライスとの間のマッピングを、他のgNBが認識していないことがあるためである。この点において、完全なIDを使用しない場合には、短縮されたネットワークスライスIDを使用することができるように、これらのマッピングを他のgNBに通知する必要が生じうる。
【0109】
したがって実施形態1は、上述したさまざまな実装形態のいずれかに係る改良されたページング手順を行うことのできる、適切に構成された(1基または複数の)gNB(基地局)およびUE、を提供する。これらの基地局およびUEは、実施形態1に関与するために必要なタスクおよびステップを実行するために、
図6に例示したユニットを含むことができる。
図8は、実施形態1の例示的な基本的なバリエーションに係るgNB(基地局)およびUEの挙動を示している。この点において基地局(例:その送信機)は、ページングメッセージをUEに送信するように動作し、ページングメッセージには、ページングが対象とするネットワークスライスの識別情報が(例えば暗黙的および/または明示的に)符号化されている。UE(例:その受信機)は、基地局からページングメッセージを受信するように動作する。次いでUE(例:そのプロセッサ)は、ページングメッセージが関連するネットワークスライスを求めることができる。UEは、基地局による識別情報の符号化に応じて、ページングが対象とするネットワークスライスを、明示的または暗黙的な情報に基づいて求めることができる。
【0110】
なお、基地局によるページングは、UEを宛先とするダウンリンクデータによって発生したものと例示的に想定する。
図8に示した実施形態のこの例示的なバリエーションによれば、次に、基地局とUEの間のダウンリンクデータ送信を可能にするために必要な接続およびサービスを準備する目的で、ネットワークスライスに関する情報を使用してデータ送信の準備を行う。この準備は、例えばUEが、前に求めたネットワークスライスの識別情報を含むデータ送信準備メッセージを基地局に送信するステップを含むことができる。このデータ送信準備手順は、AS(アクセス層)およびNAS(非アクセス層)の必要な接続およびサービスを最終的に確立するさらなるステップを含むことができ、ただしこれらのステップは実施形態1においてさほど重要ではないため、
図8および本説明では省いてある。
【0111】
図9は、コアネットワークベースのページングに基づく、実施形態1の1つのバリエーションに係る高レベルのメッセージ交換の図であり、ページングが対象とするネットワークスライスに関する情報を伝えるページング要求メッセージの送信を示している。これに対応して、ネットワークスライスの識別情報も伝えるページングメッセージが、gNBからUEに送信される。
【0112】
さらに、
図10および
図11は、
図8に関連して上述したデータ送信準備メッセージのバリエーションを開示している。特に、ネットワークスライスの識別情報を送信するために使用されるデータ送信準備メッセージは、RACH手順の第3のメッセージ(
図10では例示的にRRCConnectionRequestメッセージ)、またはサービス要求メッセージ(
図11のNASサービス要求メッセージ)とすることができる。
【0113】
別のさらなる解決策によれば、gNBは、ページングされるUEと、このページングが関連する対応するネットワークスライスとの間の関連付け(association)、を格納することができる。例えばページングが、INACTIVE状態にあるUEに対するものと想定すると、gNBは、I-RNTI(リリース14の再開識別子(Resume Identifier)に相当しうる)を使用してUEを識別することができる。したがってgNBは、UEのI-RNTIをページングのネットワークスライスに関連付けることができ、したがって上述したようにネットワークスライスIDを使用してUEをページングする必要がない。そうではなくgNBは、I-RNTIとネットワークスライスとの間の関連付けを格納しておき、UEが接続要求または再開要求を送ったとき、gNBは格納されている関連付けに基づいて適切なコアエンティティを決定することができる。
【0114】
[実施形態2]
以下では、第2の実施形態の膨大なバリエーションに係る、ネットワークスライスの改良された識別について説明する。この改良された識別では、例えば、エアインタフェースを通じてUEによって実行される接続要求手順、再開要求手順、およびサービス要求手順において、恩恵がもたらされる。前に説明したように、5G NRにおけるネットワークスライシングでは、互いに一義的に関連付けられるRANスライスとコアネットワークスライスに分割される。ネットワークスライスID(例:S-NSSAI)は、定義された任意のRANスライスおよびCN(コアネットワーク)スライスを一義的に識別することができる。
【0115】
UEは、最大で8つの異なるRANネットワークスライスを同時にサポートすることができ、したがってRANネットワークスライスそれぞれをgNBに識別させなければならない。
【0116】
実施形態2では、完全なネットワークスライスID(例:S-NSSAI)とは異なり、新規の短縮されたネットワークスライスIDを導入する。実施形態2のバリエーションの1つに係る短縮されたネットワークスライスIDを提供することによって、エアインタフェースにおけるデータのオーバーヘッドを大幅に低減することができる。この短縮されたネットワークスライスIDは、主として、例えば無線アクセスネットワーク(RAN)におけるアクセス層(AS)において使用することができ、したがって以下では例示的にASスライスIDと称する。新規のASスライスIDのビット長は、完全なネットワークスライスIDと比較して短縮されており、ASスライスIDのビット長が短いほど、完全なネットワークスライスIDの代わりに短縮されたネットワークスライスIDを使用することによってエアインタフェースの無線リソースを節約できる量に関して恩恵が大きい。
【0117】
現在、S-NSSAIが32ビットを有することが検討されており、32ビットでは、異なる(RANおよびCN)ネットワークスライスの可能な数は232=4,294,967,296個になり、例えば400万の可能なネットワークスライス(またはネットワークスライスインスタンス)を超える。1つのPLMN内では数百ないし数千のネットワークスライスがサポートされうるが、無線セル内で同時にサポートしなければならないネットワークスライスは大幅に少ないであろう。各UEにおいて同時にサポートされるネットワークスライスはさらに少なく、例えば現時点では最大で8つのネットワークスライスであるが、通常ではUEは2つまたは3つの異なるネットワークスライスのみを同時にサポートすると予測される。さらに、将来の無線セルは、容量の理由でサイズが小さくなる可能性もあり、したがってサポートしなければならないネットワークスライスまたはネットワークスライスタイプはさらに少なくなりうる。実際に区別する必要のある異なるネットワークスライスが少ないほど、それらを区別できるようにする目的で必要な短縮されたネットワークスライスIDは短い。短縮されたネットワークスライスIDは、それぞれの完全なネットワークスライスIDおよびそのネットワークスライスに一義的に対応する。短縮されたスライスIDと完全なスライスIDとの間のマッピングは、無線セルに固有とすることができ、例えば短縮されたスライスIDと完全なスライスIDとの間のマッピングは、1つの無線セル内で有効であるが、それ以外の無線セルの間では異なっていてよい。これに代えて、またはこれに加えて、短縮されたスライスIDと完全なスライスIDとの間のマッピングは、UEに固有とすることもでき、例えばこのマッピングは特定のUE(またはUEのグループ)においてのみ有効であるが、それ以外のUEの間では異なっていてよい。これら2つの方式を組み合わせることもでき、したがってネットワークスライスのうち、(対応する完全なネットワークスライスIDを有する)いくつかのネットワークスライスが、無線セルに固有である短縮されたネットワークスライスIDにマッピングされ、(対応する完全なネットワークスライスIDを有する)他のネットワークスライスが、UEに固有である短縮されたネットワークスライスIDにマッピングされる。
【0118】
実施形態2の膨大なバリエーションの基本的な発想のいくつかの以下の説明を単純にするため、短縮されたスライスIDと完全なスライスIDとの間のマッピングが、無線セルに固有であると例示的に想定する。
【0119】
ASスライスIDと完全なネットワークスライスIDとの間のこのマッピングは、例えば、無線セルを制御するgNBによって定義することができ、gNBは、無線セル内のUEを認識しているエンティティであり、したがって無線セル内で同時にサポートされる必要のあるネットワークスライスおよびその数に関して決定することができる。gNBは、この情報に基づいて、ASスライスIDと、完全なネットワークスライスID(例:実際のネットワークスライス)への対応するマッピングとを定義することができる。
【0120】
短縮されたASスライスIDを定義するための1つの可能な方法の例は、完全なネットワークスライスIDの一部(例:その4個の最下位ビット)を使用することである。
【0121】
gNBは、必要なASスライスIDおよび対応するマッピングを定義した後、これらを自身の無線セル内のUEに通知することができる。したがってgNBは、ASスライスIDと、完全なネットワークスライスIDへの対応するマッピングとを、必要なエンティティに通知する責務を担う。
【0122】
新たに定義されたASスライスIDと、完全なネットワークスライスIDへのASスライスIDのマッピングに関する必要な情報は、さまざまな方法でgNBの無線セル内のUEに提供することができる。例えば、これらの情報を、gNBによって無線セル内でシステム情報としてブロードキャストすることができる。例示的な一実装形態によれば、この点においてシステム情報ブロック1(SIB 1)を使用することができ、これらの情報が含まれるように、例えば次のようにSIB 1を拡張することができる(下線を引いた太字を参照)。
【0123】
【0124】
上の定義「SIZE(x)」において、xは、短縮されたASスライスIDのサイズ(例:3ビット)を示し、これに対してS-NSSIは32ビットのサイズを有する。
【0125】
必要なASスライスIDおよび対応するマッピングの情報を無線セル内の(1基または複数の)UEに提供するためのさらなるオプションは、オンデマンド式のシステム情報とすることができる。5G NRでは、現在、システム情報を一般に最小限のシステム情報とそれ以外のシステム情報とに分割することが考えられている(ただし最終的には合意されていない)。最小限のシステム情報は、定期的にブロードキャストされ、セルに最初にアクセスするために必要な基本的な情報(システムフレーム番号(System Frame Number)、PLMNのリスト、セルID、セルキャンピングパラメータ、RACHパラメータなど)を含む。さらに最小限のシステム情報は、定期的にブロードキャストされるかまたはオンデマンド方式で提供される任意の他のSI(システム情報)を取得するための情報(例:この点において適切なスケジューリング情報)を含むことができる。スケジューリング情報は、例えば、SIBタイプ、有効性情報(validity information)、SIの周期、SIウィンドウ情報を必要に応じて含むことができる。したがってそれ以外のシステム情報は、最小限のシステム情報の中でブロードキャストされないすべての情報(例:セル再選択の隣接セル情報)を網羅する。これらのそれ以外のSI(システム情報)は、専用の方法で(ネットワークによってトリガーされる、またはUEからの要求時に)ブロードキャストまたは提供することができる。
【0126】
したがって、ASスライスIDおよび対応するマッピングの情報は、最小限のシステム情報の中で(例:SIB 1の中で)、またはオンデマンド方式で提供されるそれ以外のシステム情報の一部として、送信することができる。
【0127】
さらなるオプションによれば、ASスライスIDおよび対応するマッピングの情報は、専用シグナリング(例:RRC接続解放(RRC Connection Release)メッセージなどのRRCレイヤのシグナリング)を介してUEに直接送信することができる。このような専用シグナリングは、無線セル内のすべてのUEではなく特定のUEのみにアドレッシングされ、したがってASスライスIDおよび対応するマッピングの情報がUEに固有である場合に最適である。
【0128】
修正されたRRC接続解放メッセージの例を以下に提示する(特に、下線を引いた太字の部分)。
【0129】
RRCConnectionReleaseメッセージ
【0130】
実施形態2のさらなるバリエーションにおいては、gNBが、ASスライスIDと、短いスライスIDと完全なスライスIDとの間の対応するマッピングとに関する情報を、隣接セル(およびそれらのgNB)に、これらのgNBがハンドオーバー目的およびセル(再)選択パラメータのブロードキャストに使用することのできるXnインタフェースを介して提供することもできる。したがってこれらのgNBも、(1つまたは複数の)隣接セルのASスライスIDおよび対応するマッピングの情報を、例えばシステム情報の一部として、またはオンデマンド式のシステム情報として、またはUEにアドレッシングされる専用シグナリング(RRC接続解放メッセージや、このメッセージ内の隣接セルに関連する要素(例:「neighSliceMapInfoList-r9」)など)において、UEに提供することができる。
【0131】
したがってUEには、上述した方法のいずれかに基づいて、ASスライスIDおよび対応するマッピングが通知され、したがってUEは、これらの情報をさらなる動作において使用することができる。例えばネットワークスライスIDの情報は、一般には、データを送信および/または受信できるようにUEがコアネットワークに接続する(または以前の接続を再開する)必要があるときに使用される。RAN(例:gNB)は、接続およびサービスを確立するべき対象のネットワークスライスについてのUEによる指示情報に基づいて、示された(1つまたは複数の)ネットワークスライスに適したコアネットワーク要素を選択することができる。gNBは、短いスライスIDと完全なスライスIDとの間のマッピングに基づいて、受信された短縮されたネットワークスライスIDからネットワークスライスを一義的に導くことができる。
【0132】
例示的に、UE内でトリガーされるデータ(アップリンクデータ)の送信を想定すると、このデータ送信のために準備する手順には、UEのNASレイヤがUEの下位レイヤに、データ送信に使用するべきネットワークスライスに関する指示情報を提供するステップが含まれることがある。NASレイヤは、UE内のレイヤ間通信において完全なネットワークスライスIDを使用することがあり、したがってUEの下位レイヤは、前にgNBから取得したマッピングに基づいて、完全なネットワークスライスIDから、より短いASスライスIDを導く。これにより、後から説明するように、UEとgNBの間で次に実行される接続およびサービスの確立を短いASスライスIDに基づいて実行することができる。
【0133】
ダウンリンクにおいてUE宛のデータが利用可能である理由でUEがページングされるものと例示的に想定すると、ページングが対象とするネットワークスライスに関する情報を、そのUEに提供する必要がある。したがって、この点において実施形態1の上述したバリエーションのいずれかを使用することができ、結果として実施形態1と実施形態2が適切に組み合わされる。実施形態1は、ページングが対象とするネットワークスライスをどのようにUEに通知するかの解決策を提供し、この場合にgNBは、オプションとして、エアインタフェースを介したページングにおいて、完全なネットワークスライスIDの代わりに(実施形態2の)短いASスライスIDを使用することができる。さらにこの場合、UEは、前にgNBから取得したマッピングに基づいて、受信した短いASスライスIDから完全なネットワークスライスIDを(必要時に)求めることができる。
【0134】
上記の例示的なケース(アップリンクまたはダウンリンク)のいずれにおいても、gNBおよびコアネットワークとの接続およびサービスを確立または再開する必要が生じることがあり、その場合には例えば、セクション「本開示の基礎」で概略的に説明したようにUEとgNBとの間でランダムアクセス手順(RACH手順)を実行し、UEからgNBにNASサービス要求メッセージを送信することができる。
【0135】
gNBとのRACH手順を実行するときには、UEは、メッセージ3の一部として、例えばRRC接続要求メッセージの中でASスライスIDを送信することができる。これは
図10に示してあり、
図10は、RRC接続要求メッセージが、短縮されたASスライスIDを含むことを示している。RRC接続要求メッセージの代わりに、UEは、RACH手順の第3のメッセージの中で、ASスライスIDを含むRRC再開要求メッセージを送信することもできる。現在のところ、RACH手順のメッセージ3はサイズがかなり制限されており、多すぎるビットを含めるには不利である。したがって、短縮されたASスライスIDをRACH手順のメッセージ3を使用して送信することは可能でありうるが、完全なネットワークスライスIDをRACH手順のメッセージ3の中で送信することは不可能なことがある。
【0136】
これに代えて、またはこれに加えて、短縮されたASスライスIDを、RACH手順の完了後に送信されるNASサービス要求メッセージの一部として、UEによってgNBに送信することができる。この解決策は、
図11に例示的に示してある。
【0137】
RACH手順のメッセージ3を使用するときには、データ送信準備手順の早い段階で、スライスに固有なアドミッション制御を実行することが可能である。より具体的には、スライスに固有なアドミッション制御は、例えばコアネットワークと情報をやりとりする前にASレベルにおいてgNBによって実行することができる。例えばコアネットワークは、自身のコアネットワークエンティティのいくつかが特定のネットワークスライスにおいてすでに過負荷になっており、それらのコアネットワークエンティティへのそれ以上の接続を拒否しなければならないと判断することがある。したがってコアネットワークは、RAN側での迅速なスライス固有のアドミッション制御を促進するため、特定のネットワークスライスの過負荷通知をgNBに提供する。これに対応してgNBは、UEによって示されたネットワークスライスについて、適切なコアネットワークエンティティへのさらなる接続が可能であるかを、ASスライスIDに基づいて、かつコアネットワークから前に受信した過負荷通知に基づいて、判断する。示された特定のネットワークスライスを対象にUEによって要求された接続が可能ではないとgNBが判断する場合、UEによる接続要求または再開要求をただちに拒否することができる。この点において、gNBはRRC接続拒否メッセージをUEに返すことができる。このスライスに固有なアドミッション制御は、
図12に概念的に示してある。
【0138】
より遅いメッセージ(NASサービス要求メッセージなど)を使用してネットワークスライスの識別情報を伝えるときには、余分なシグナリングおよび時間遅延が生じうる。
【0139】
RACH手順の第3のメッセージの中で2つ以上のネットワークスライスが示される場合、gNBは、5Gコアネットワークにおいてどのネットワークスライスが過負荷であるかに応じて、適切な情報をさらにUEに返すことができ、したがってUEは、要求したネットワークスライスのうちどのネットワークスライスが過負荷であり、どのネットワークスライスが過負荷ではないかを導くことができる。この点において、例示的な一実装形態では、gNBは、過負荷であるネットワークスライスまたは過負荷ではないネットワークスライスのいずれかに関する識別情報(例:短縮されたネットワークスライスID)を、RRC接続確立メッセージまたはRRC接続拒否メッセージに含めることができる。
【0140】
実施形態2の別の例示的な実装形態では、短縮されたネットワークスライスIDがUEに固有であるものと想定する。UEがネットワーク接続を確立するときに、このようなUEに固有なスライス情報がコアネットワークによってgNBに伝えられる場合、gNBは、自身のセル内で使用される、RAN部分のスライスとコアネットワーク部分のスライスとの間のUEに固有なマッピングを、オンデマンド式のシステム情報の一部として、またはSecurityModeCommand(RRCConnectionReconfiguration)時におけるUEに固有な高レベルシグナリングとして、提供することができる。RRC_IDLE状態またはRRC_INACTIVE状態のいずれかであるUEは、サービス要求時に、エアインタフェースにおいてこのUEに固有なビットパターンを使用することができる。
【0141】
実施形態2の特定のバリエーションによれば、短縮されたASスライスIDを定義するときに、使用頻度の高いネットワークスライスが、短縮されるASスライスIDによって識別され、その一方で、使用頻度の低いネットワークスライスは、短縮されたASスライスIDによって識別可能ではなく、完全なネットワークスライスIDによって識別可能である。この特定のバリエーションにおいては、UEは、利用可能なネットワークスライスのいずれか1つ以上を使用することができ、この場合、決定したネットワークスライスに関する識別情報(短縮されたASスライスIDまたは完全なネットワークスライスID)をgNBに伝えることができる。決定したネットワークスライスを短縮されたASスライスIDによって識別することができる場合、UEは、その短縮されたASスライスIDをRACH手順のメッセージ3(例:RRC接続要求メッセージまたはRRC再開要求メッセージ)の中で送信することができる。これに対して、決定したネットワークスライスが完全なネットワークスライスIDによって識別される場合、UEは、その完全なネットワークスライスIDを、NASサービス要求メッセージ(例:RACH手順のメッセージ4の後のメッセージ5)の中で送信することができる(メッセージ3において利用可能な限られたサイズが、送信される完全なネットワークスライスIDの1つまたは複数を含めるには十分ではないものと想定する)。
【0142】
セルに固有なマッピングが使用される場合、ネットワークは、使用頻度の高いスライス、またはレイテンシの影響が大きいサービスのみをアドバタイズする。これらのアドバタイズされるスライスIDは、より短いビット長を使用する。アドバタイズされないスライスは、より長いビット長(例:最大でS-NSSAIのサイズ)を使用する。この場合、1つの可能な方法として、UEは短いIDをメッセージ3の中で送ることができるが、長いIDはメッセージ5の中でのみ送ることができる。これにより、短いIDか長いIDかのフラグを含める必要がない。
【0143】
したがって実施形態2は、上述したさまざまな実装形態のいずれかに係る、ネットワークスライスの改良された識別と、接続およびサービスの改良された確立手順を実行することのできる、適切に構成された(1基または複数の)gNB(基地局)およびUE、を提供する。本基地局および本UEは、実施形態2に関与するために必要なタスクおよびステップを実行するために
図6に例示したユニットを含むことができる。
図13は、実施形態2の例示的な基本的なバリエーションに係る、gNB(基地局)およびUEの挙動を示している。より詳細には、本gNB(例:そのプロセッサ)は、特定の(限られた)数のネットワークスライスの短縮されたネットワークスライスIDと、短縮されたスライスIDと完全なスライスIDとの間の対応するマッピングとを決定することができる。次に、短縮されたネットワークスライスIDおよび対応するマッピングに関する情報が、gNBによって(例:その送信機によって)、(例えばブロードキャストとして、または専用シグナリングを使用して)UEに送信される。UEは、以降にgNBおよびコアネットワークと通信するのにこの情報を使用することができる。したがってUEは、1つまたは複数のネットワークスライスおよび対応する短縮されたASスライスIDを、前にgNBから受信したマッピングに基づいて、(例えばそのプロセッサによって)最終的に(例えばアップリンクでデータを送信できるようにする目的で)求めることができる。
【0144】
続くステップにおいてUEは、(例えばアップリンクデータの送信に)使用するように意図されるネットワークスライスを、(1つまたは複数の)短縮されたネットワークスライスIDを使用してgNBに通知し、これらの短縮されたネットワークスライスIDは、データ送信準備手順の対応するメッセージ(例:RACH手順のメッセージ3、またはNASサービス要求メッセージ)の中で送信することができる。
【0145】
[さらなる態様]
第1の態様によれば、ユーザ機器であって、ユーザ機器が位置している移動通信システムの無線セル、を制御する基地局から、ページングメッセージを受信する受信機、を備えているユーザ機器、を提供する。本UEは、複数のネットワークスライスのうち、ページングメッセージが関連する少なくとも1つのネットワークスライスを、受信されたページングメッセージに基づいて求めるプロセッサ、をさらに備えている。
【0146】
第1の態様に加えて提供される第2の態様によれば、少なくとも1つのネットワークスライスを求めるステップは、以下、すなわち、
・ ページングメッセージに含まれる、少なくとも1つのネットワークスライスのネットワークスライス識別情報、
・ ページングメッセージを受信する際にユーザ機器によって使用されるタイミングおよび/または周波数リソース、
・ ページングメッセージを受信する際にユーザ機器によって使用される無線リソースのヌメロロジー方式、
のうちの1つまたは組合せに基づいて実行される。
【0147】
第1の態様または第2の態様に加えて提供される第3の態様によれば、複数のネットワークスライスそれぞれにネットワークスライスIDが関連付けられており、ネットワークスライスIDは、移動通信システム内で一義的である、および/または、基地局によって制御される無線セル内で一義的である、および/または、ユーザ機器に対して一義的である。
【0148】
第1の態様から第3の態様のいずれか一態様に加えて提供される第4の態様によれば、複数のネットワークスライスは、特定のネットワーク能力および特定のネットワーク特性を有する異なる論理ネットワークを提供する。オプションとして、各ネットワークスライスは、互いに一義的に関連付けられている、無線セルに関連する部分およびコアネットワークに関連する部分、を備えている。
【0149】
第1の態様から第4の態様のいずれか一態様に加えて提供される第5の態様によれば、本UEは送信機を備えており、この送信機は、求められた少なくとも1つのネットワークスライスに関する識別情報を含むデータ送信準備メッセージを、基地局に送信する。オプションとして、データ送信準備メッセージは、ユーザ機器と基地局との間で実行されるランダムアクセス手順の一部としてユーザ機器によって基地局に送信される接続要求である、または、ユーザ機器と基地局との間で実行されるランダムアクセス手順の完了後にユーザ機器によって基地局に送信されるサービス要求である。
【0150】
第6の態様によれば、ページングを実行する方法であって、ユーザ機器によって実行される以下のステップを含む、方法、を提供する。UEは、ユーザ機器が位置している移動通信システムの無線セル、を制御する基地局から、ページングメッセージを受信する。次いでUEは、複数のネットワークスライスのうち、ページングメッセージが関連する少なくとも1つのネットワークスライスを、受信されたページングメッセージに基づいて求める。
【0151】
第7の態様によれば、基地局であって、基地局によって制御される移動通信システムの無線セル、内に位置しているユーザ機器にページングメッセージを送信する送信機、を備えており、したがってユーザ機器が、複数のネットワークスライスのうち、ページングメッセージが関連する少なくとも1つのネットワークスライスを、受信されたページングメッセージに基づいて求めることができる、基地局、を提供する。
【0152】
第7の態様に加えて提供される第8の態様によれば、ページングメッセージを送信するステップは、以下のステップ、すなわち、
・ 少なくとも1つのネットワークスライスのネットワークスライス識別情報をページングメッセージに含めるステップ、
・ ページングメッセージを送信する際のタイミングおよび/または周波数リソースを、少なくとも1つのネットワークスライスに基づいて決定して使用するステップ、
・ ページングメッセージを送信する際の無線リソースのヌメロロジー方式を、少なくとも1つのネットワークスライスに基づいて決定して使用するステップ、
のうちの1つまたは組合せを含む。
【0153】
第7の態様または第8の態様に加えて提供される第9の態様によれば、本基地局は、別のページングメッセージが関連する少なくとも1つのネットワークスライスの識別情報を含む、別のページングメッセージを、コアネットワークエンティティから受信する受信機、をさらに備えている。ページングメッセージをユーザ機器に送信するステップは、その別のページングメッセージを受信することに応えて実行される。これに加えて、またはこれに代えて、本基地局は、少なくとも1つのネットワークスライスの識別情報を、それぞれの無線セル内のユーザ機器をページングするための要求と一緒に、1基または複数の別の基地局に送信する送信機、を備えている。
【0154】
第10の態様によれば、ユーザ機器であって、ユーザ機器が位置している移動通信システムの無線セル、を制御する基地局から、複数のネットワークスライスに関する情報を受信する受信機、を備えているユーザ機器、を提供する。この情報は、各ネットワークスライスについて、それぞれのネットワークスライスを識別する短縮されたネットワークスライスIDを少なくとも含み、さらに、短縮されたネットワークスライスIDと、移動通信システム内でネットワークスライスを一義的に識別する完全なネットワークスライスIDとの間のマッピング、を定義するマッピング情報、を含む。本UEは、複数のネットワークスライスのうちの少なくとも1つと、対応する完全なネットワークスライスIDとを求めるプロセッサ、をさらに備えている。このプロセッサは、対応する少なくとも1つの短縮されたネットワークスライスIDを、受信されたマッピング情報に基づいてさらに求める。本UEは、求められた少なくとも1つの短縮されたネットワークスライスIDを含むデータ送信準備メッセージを、基地局に送信する送信機、をさらに備えている。
【0155】
第10の態様に加えて提供される第11の態様によれば、短縮されたネットワークスライスIDは、完全なネットワークスライスIDの一部である、例えば完全なネットワークスライスIDの4個の最下位ビットである。
【0156】
第10の態様または第11の態様に加えて提供される第12の態様によれば、データ送信準備メッセージは、ユーザ機器と基地局との間で実行されるランダムアクセス手順の一部としてユーザ機器によって基地局に送信される接続要求である、または、ユーザ機器と基地局との間で実行されるランダムアクセス手順の完了後にユーザ機器によって基地局に送信されるサービス要求である。
【0157】
第10の態様から第12の態様のいずれか一態様に加えて提供される第13の態様によれば、複数のネットワークスライスに関する情報は、無線セル内で基地局によってブロードキャストされるシステム情報を介してユーザ機器によって受信することができる。オプションとして、システム情報は、ユーザ機器による要求に応えて無線セル内で基地局によって送信される。これに加えて、またはこれに代えて、複数のネットワークスライスに関する情報は、基地局から送信されかつユーザ機器にアドレッシングされている専用メッセージの中で、ユーザ機器によって受信することができる。
【0158】
第10の態様から第13の態様のいずれか一態様に加えて提供される第14の態様によれば、受信機は、完全なネットワークスライスIDと、複数のネットワークスライスの1つとの間のマッピングを定義するさらなるマッピング情報を、基地局から受信する。
【0159】
第10の態様から第14の態様のいずれか一態様に加えて提供される第15の態様によれば、短縮されたネットワークスライスIDは、基地局によって制御される無線セル内でネットワークスライスを一義的に識別するように定義され、マッピング情報が、無線セルに固有であり、かつ無線セル内の複数のユーザ機器によって使用することができる。これに加えて、またはこれに代えて、短縮されたネットワークスライスIDは、各ユーザ機器に対してネットワークスライスを一義的に識別するように定義され、マッピング情報が、それぞれのユーザ機器に固有であり、かつそれぞれのユーザ機器によってのみ使用することができる。
【0160】
第16の態様によれば、ユーザ機器によって実行される以下のステップを含む方法、を提供する。UEは、ユーザ機器が位置している移動通信システムの無線セル、を制御する基地局から、複数のネットワークスライスに関する情報を受信する。この情報は、各ネットワークスライスについて、それぞれのネットワークスライスを識別する短縮されたネットワークスライスIDを少なくとも含み、さらに、短縮されたネットワークスライスIDと、移動通信システム内でネットワークスライスを一義的に識別する完全なネットワークスライスIDとの間のマッピング、を定義するマッピング情報、を含む。UEは、複数のネットワークスライスのうちの少なくとも1つと、対応する完全なネットワークスライスIDとを求める。UEは、対応する少なくとも1つの短縮されたネットワークスライスIDを、受信されたマッピング情報に基づいて求める。UEは、求められた少なくとも1つの短縮されたネットワークスライスIDを含むデータ送信準備メッセージを、基地局に送信する。
【0161】
第17の態様によれば、基地局であって、基地局によって制御される移動通信システムの無線セル、内に位置しているユーザ機器に、複数のネットワークスライスに関する情報を送信する送信機、を備えている、基地局、を提供する。この情報は、各ネットワークスライスについて、それぞれのネットワークスライスを識別する短縮されたネットワークスライスIDを少なくとも含み、さらに、短縮されたネットワークスライスIDと、移動通信システム内でネットワークスライスを一義的に識別する完全なネットワークスライスIDとの間のマッピング、を定義するマッピング情報、を含む。本基地局は、求められた少なくとも1つの短縮されたネットワークスライスIDを含むデータ送信準備メッセージを、ユーザ機器から受信する。
【0162】
第17の態様に加えて提供される第18の態様によれば、本基地局はプロセッサをさらに備えており、プロセッサは、各ネットワークスライスの短縮されたネットワークスライスIDを定義し、さらに、短縮されたネットワークスライスIDと完全なネットワークスライスIDとの間のマッピングを定義するマッピング情報、を定義する。
【0163】
一実施形態においては、本明細書に開示されている技術は、以下のように送信機と、受信機と、プロセッサとを備えているユーザ機器、を提供する。受信機は、ユーザ機器が位置している移動通信システムの無線セル、を制御する基地局から、複数のネットワークスライスに関する情報を受信し、この情報は、各ネットワークスライスについて、それぞれのネットワークスライスを識別する短縮されたネットワークスライスIDを少なくとも含み、さらに、短縮されたネットワークスライスIDと、移動通信システム内でネットワークスライスを一義的に識別する完全なネットワークスライスIDとの間のマッピング、を定義するマッピング情報、を含む。プロセッサは、複数のネットワークスライスのうちの少なくとも1つと、対応する完全なネットワークスライスIDとを求める。プロセッサは、対応する少なくとも1つの短縮されたネットワークスライスIDを、受信されたマッピング情報に基づいてさらに求める。送信機は、求められた少なくとも1つの短縮されたネットワークスライスIDを含むデータ送信準備メッセージを、基地局に送信する。
【0164】
一実施形態においては、本明細書に開示されている技術は、UEによって実行される以下のステップを含む方法、を提供する。UEは、ユーザ機器が位置している移動通信システムの無線セル、を制御する基地局から、複数のネットワークスライスに関する情報を受信し、この情報は、各ネットワークスライスについて、それぞれのネットワークスライスを識別する短縮されたネットワークスライスIDを少なくとも含み、さらに、短縮されたネットワークスライスIDと、移動通信システム内でネットワークスライスを一義的に識別する完全なネットワークスライスIDとの間のマッピング、を定義するマッピング情報、を含む。UEは、複数のネットワークスライスのうちの少なくとも1つと、対応する完全なネットワークスライスIDとを求め、さらに、対応する少なくとも1つの短縮されたネットワークスライスIDを、受信されたマッピング情報に基づいて求める。UEは、求められた少なくとも1つの短縮されたネットワークスライスIDを含むデータ送信準備メッセージを、基地局に送信する。
【0165】
一実施形態においては、本明細書に開示されている技術は、以下のように送信機と、受信機と、プロセッサとを備えている基地局、を提供する。送信機は、基地局によって制御される移動通信システムの無線セル、内に位置しているユーザ機器に、複数のネットワークスライスに関する情報を送信し、この情報は、各ネットワークスライスについて、それぞれのネットワークスライスを識別する短縮されたネットワークスライスIDを少なくとも含み、さらに、短縮されたネットワークスライスIDと、移動通信システム内でネットワークスライスを一義的に識別する完全なネットワークスライスIDとの間のマッピング、を定義するマッピング情報、を含む。受信機は、求められた少なくとも1つの短縮されたネットワークスライスIDを含むデータ送信準備メッセージを、ユーザ機器から受信する。
【0166】
[ハードウェアおよびソフトウェアによる本開示の実施]
本開示は、ソフトウェアによって、ハードウェアによって、またはハードウェアと協働するソフトウェアによって、実施することができる。上に記載した各実施形態の説明において使用される各機能ブロックは、その一部または全体を、集積回路などのLSIによって実施することができ、各実施形態において説明した各プロセスは、その一部または全体を、同じLSIまたはLSIの組合せによって制御することができる。LSIはチップとして個別に形成することができ、または、機能ブロックの一部またはすべてが含まれるように1個のチップを形成することができる。LSIは、自身に結合されたデータ入出力部を含むことができる。LSIは、本明細書においては、集積度の違いに応じて、IC(集積回路)、システムLSI、スーパーLSI、またはウルトラLSIと称される。しかしながら、集積回路を実施する技術は、LSIに限定されず、専用回路、汎用プロセッサ、または専用プロセッサを使用することによって実現されていてもよい。さらには、LSIの製造後にプログラムすることのできるFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)や、LSI内部に配置されている回路セルの接続および設定を再設定できるリコンフィギャラブルプロセッサを使用してもよい。本開示は、デジタル処理またはアナログ処理として実施することができる。半導体技術または別の派生技術が進歩する結果として将来の集積回路技術がLSIに置き換わる場合、その将来の集積回路技術を使用して機能ブロックを集積化することができる。バイオテクノロジを適用することもできる。
【0167】
さらに、様々な実施形態は、ソフトウェアモジュールによっても実施され得る。これらのソフトウェアモジュールは、プロセッサによって実行される、または、ハードウェアにおいて直接実行される。また、ソフトウェアモジュールとハードウェア実装の組合せも可能である。ソフトウェアモジュールは、任意の種類のコンピュータ可読記憶媒体、例えば、RAMやEPROM、EEPROM、フラッシュメモリ、レジスタ、ハードディスク、CD-ROM、DVDなどに格納され得る。さらには、複数の異なる実施形態の個々の特徴は、個々に、または任意の組合せにおいて、別の実施形態の主題とすることができることに留意されたい。
【0168】
具体的な実施形態に示した本開示には、広義に記載されている本発明の概念または範囲から逸脱することなく、様々な変更および/または修正を行うことができることが、当業者には理解されるであろう。したがって、本明細書に示した実施形態は、あらゆる点において例示的であり、本発明を制限するものではないものとみなされる。