(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-08
(45)【発行日】2023-05-16
(54)【発明の名称】フィルタプリーツのための周期的放射対称構成
(51)【国際特許分類】
B01D 29/07 20060101AFI20230509BHJP
B01D 46/52 20060101ALI20230509BHJP
B01D 39/16 20060101ALI20230509BHJP
【FI】
B01D29/06 510Z
B01D46/52 C
B01D39/16 A
B01D39/16 C
(21)【出願番号】P 2020530964
(86)(22)【出願日】2018-12-06
(86)【国際出願番号】 US2018064176
(87)【国際公開番号】W WO2019118260
(87)【国際公開日】2019-06-20
【審査請求日】2021-12-01
(32)【優先日】2017-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591163214
【氏名又は名称】ドナルドソン カンパニー,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【氏名又は名称】木村 秀二
(72)【発明者】
【氏名】サヴストーム, ジェイコブ カーティス
【審査官】瀧 恭子
(56)【参考文献】
【文献】実開昭61-015021(JP,U)
【文献】独国特許発明第04345130(DE,C2)
【文献】特開2001-104716(JP,A)
【文献】実開昭62-083522(JP,U)
【文献】ソ連国特許発明第00436668(SU,A)
【文献】特開2009-136733(JP,A)
【文献】実開昭52-125170(JP,U)
【文献】特開平10-244104(JP,A)
【文献】特表2006-512187(JP,A)
【文献】米国特許第2627350(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 24/00-35/04;35/08-37/08
B01D 27/00-27/12;33/00-33/40
B01D 29/00-29/48
B01D 46/00-46/90
B01D 39/00-41/04
F02M 35/00-35/16
F02M 37/00-37/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒フィルタエレメントであって、
中心縦軸と、
前記中心縦軸の周囲で繰り返されるパターンに配置された、半径方向に延びる複数のプリーツを含む濾材と、
を含み、
前記濾材の円筒外周は、前記半径方向に延びる複数のプリーツの各々のプリーツ外側先端により画定され、
半径方向に延びるプリーツの各パターンは、
第一の長さを有し、プリーツ外側先端から前記中心縦軸に向かって、及びプリーツ内側先端まで半径方向に延びる2つの辺を有する主プリーツであって、前記主プリーツの前記プリーツ内側先端は、前記プリーツ外側先端から前記中心縦軸に向かう半径方向の距離の少なくとも75%の位置に配置される主プリーツと、
前記主プリーツから離間された副プリーツであって、プリーツ外側先端から前記中心縦軸に向かって、及びプリーツ内側先端まで半径方向に延びる2つの辺を含み、前記副プリーツの前記辺は前記主プリーツの前記辺の前記第一の長さより短い第二の長さを含むような副プリーツと、
前記主プリーツと前記副プリーツとの間に位置付けられ、前記主プリーツの前記辺の前記第一の長さと前記副プリーツの前記辺の前記第二の長さとの間の第三の長さを有する2つの辺を含む少なくとも1つの第一の中間プリーツ
を含む第一の中間プリーツ群であって、前記主プリーツから前記副プリーツへと長さが減少する前記第一の中間プリーツ群と、
前記副プリーツと、隣接するプリーツパターンの前記主プリーツとの間に位置付けられ、前記副プリーツの前記辺の前記第二の長さと前記隣接するプリーツパターンの前記主プリーツの前記辺の前記第一の長さとの間の第四の長さを有する2つの辺を含む少なくとも1つの第二の中間プリーツ
を含む第二の中間プリーツ群であって、前記副プリーツから前記隣接するプリーツパターンの前記主プリーツへと長さが増大する前記第二の中間プリーツ群と、
を含む円筒フィルタエレメント。
【請求項2】
前記繰り返されるプリーツパターンは、前記円筒フィルタエレメントの円周の周りに少なくとも3つの繰返しパターンを含む、請求項1に記載の円筒フィルタエレメント。
【請求項3】
各プリーツパターンは、前記フィルタエレメントの高さに沿って延びる開放領域を画定する、請求項1または2に記載の円筒フィルタエレメント。
【請求項4】
各プリーツパターンの前記開放領域は、前記副プリーツの前記プリーツ内側先端、前記中間プリーツの各々の内側先端、及び2つの隣接する主プリーツの一部により画定される、請求項3に記載の円筒フィルタエレメント。
【請求項5】
円筒フィルタエレメントであって、
中心縦軸と、
前記中心縦軸の周囲で繰り返されるパターンに配置される半径方向に延びる複数のプリーツを含む濾材と、を含み、前記プリーツの各々はプリーツ内側先端を含み、各パターンの前記プリーツ内側先端は、前記フィルタエレメントの高さに沿って延びる開放領域を画定し、各プリーツパターンは、主プリーツから副プリーツへと長さが減少する第一の中間プリーツ群と、前記副プリーツから隣接するプリーツパターンの主プリーツへと長さが増大する第二の中間プリーツ群と、を含
み、各副プリーツは、プリーツ外側先端から前記中心縦軸に向かって半径方向に延びる、
円筒フィルタエレメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2017年12月14日に出願された米国仮特許出願第62/598,692号の優先権と利益を主張するものであり、参照によりその内容全体をそのまま本願に援用する。
【0002】
本発明はフィルタに関し、より詳しくは、フィルタアセンブリで使用するために円筒形の構成に配置されたプリーツ型フィルタエレメントに関する。
【背景技術】
【0003】
流体フィルタは、液体又は気体から汚染物質を取り除いて、エンジン等の下流の構成要素の損傷を防止するためによく使用される。濾過システムは一般に、流入する汚染流体が流路に沿って移動して、最終的にフィルタ材料に行き当たるように構成される。流体がフィルタ材料を通過する際、十分な量の汚染物質がフィルタ材料により捕捉され、フィルタから出る流体は結果的な流体の特定の用途にとって十分に清浄であると考えられる。
【0004】
異なる用途に使用するために、様々なフィルタ構成が利用可能である。比較的簡単な構成では、フィルタ材料の1枚の平らなシートが流路内に位置付けられ、それによって汚染流体はフィルタ材料の「汚染」側から「清浄」側へと流れ、平らなフィルタシートは特に、特定の大きさ及び/又は組成の汚染物質を捕捉するフィルタ材料で設計される。濾過能力をさらに高めるために、フィルタ材料をプリーツ状にして、同じ空間内で使用される濾材の量を増やすことが一般的である。特に、濾材をアコーディオン式に折り畳んで、材料の幅にわたり複数のプリーツを作ることができる。これらの構成のプリーツは典型的に、濾材パックの幅にわたり同じ又は同様の高さのプリーツを含む。
【0005】
特定の開口に嵌るようにする、及び/又はある体積中に提供されるフィルタ材料の量をさらに増大させるために、プリーツ型フィルタ材料はプリーツが、例えばその周囲にプリーツ材料が巻き付けられる中心コア領域から半径方向に延びる円筒形の構成に配置することもできる。このような構成では、汚染流体は円筒の側面から濾材パックの中に入り、プリーツ型濾材を通って流れ、その後、中心コア領域を通ってフィルタから出ることができる。このような円筒形という形状により、中心コア領域に近いプリーツ内側先端は、円筒形の外側に近いプリーツ外側先端よりきつく詰められた状態となる。このような配置におけるコアの相対大きさは、ある空間内に提供できるフィルタ材料の量の特定において重要なパラメータである。プリーツ同士の間隔がより広くなる外周部分をさらに利用するために、円筒形のフィルタエレメントには、フィルタの外周からプリーツ間に半径方向に内側に中心コアまで延びる、長さの異なるプリーツが提供されてきた。このような配置が提示する1つの課題は、より短いプリーツが、フィルタがもともと製造されたときの構成から中心コア領域に向かって、又はそれ以外に移動する傾向があることである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の構成は多くの濾過用途にとって十分であり得るが、ある濾過空間内で利用可能なプリーツ型材料の量をさらに増大させながら、その所望の構成を保持することのできるフィルタ材料のプリーツ構成を提供することが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、円筒形のフィルタエレメントのための、ある体積中に含められる濾材を増大させながら、他の有利な特性も提供するような複数のプリーツ構成が提供される。これらのフィルタエレメントはエンジン及び工業用液体の応用、バルクフィルトレーション、又は単位体積当たりの濾材量の増大が望ましいあらゆる液体用途において使用できる。フィルタエレメントの構成は、エレメントの円周に沿ってあるパターンでプリーツ高さの異なるプリーツ形シート材料を含み、各プリーツは隣接する、より短いプリーツによって、プリーツがなるべくたるまないように支持される。これと同じ構成のプリーツにより、ある体積に対してより大きい濾材領域で、内部入口/出口通路の数が増え、また、プリーツの深さに関係なく、入口/出口通路の速度を制御できる。
【0008】
本発明の特定の実施形態において、このプリーツ構成により、均一な大きさのプリーツの同様の構成の場合より濾材をほぼ50%増やすことができる。1つの実施形態において、プリーツは円周に沿って繰返しパターンで配置され、そのパターンの中の各インスタンスは、エレメントの直径のほぼ50%である長い、すなわち主プリーツから始まり、ずっと短い長さへと漸減し、この場合、材料を折り畳むことに関する製造限界が最小プリーツ高さを特定する要因となり得る。パターン全体を通じたプリーツ高さとプリーツ間隔の減少の性格は、一連の入口/出口流路を作るように設計され、これは概して花弁又はファンのブレードに似た、対応する開口を有する開放エンドキャップと協働する。パターン内のプリーツ高さの連続は、所望の入口/出口流路領域を作るように設計又は「調整」できる。特定の実施形態により、各パターンの主プリーツは、相互に、又は円筒フィルタエレメントの中心の(例えば、その中心縦軸の)グルーヘッドに結合して、濾過中の流体流を妨害せずに、濾材をさらに支持することができる。
【0009】
ある実施形態によれば、円筒フィルタエレメントが提供され、これは中心縦軸と、中心縦軸の周囲で繰り返すパターンに配置される、半径方向に延びる複数のプリーツを含む濾材と、を含む。濾材の円筒外周は、半径方向に延びる複数のプリーツの各々のプリーツ外側先端により画定され、各プリーツパターンは、第一の長さを有し、円筒外周におけるプリーツ外側先端から中心縦軸におけるプリーツ内側先端へと半径方向に延びる主プリーツと、主プリーツから離間された副プリーツであって、第一の長さより短い第二の長さを含み、円筒外周におけるプリーツ外側先端からプリーツ内側先端へと中心縦軸に向かって半径方向に延びる副プリーツと、主プリーツと副プリーツとの間に配置され、主プリーツの第一の長さと副プリーツの第二の長さとの間の長さを有する少なくとも1つの第一の中間プリーツと、副プリーツと、隣接するプリーツパターンの主プリーツとの間に位置付けられ、副プリーツの第二の長さと隣接するプリーツパターンの主プリーツの第一の長さとの間の長さを有する少なくとも1つの第二の中間プリーツと、を含む。
【0010】
他の実施形態において、円筒フィルタエレメントが提供され、これは中心縦軸と、中心縦軸の周囲で繰り返すパターンに配置される、半径方向に延びる複数のプリーツを含む濾材と、を含む。プリーツの各々はプリーツ内側先端を含み、各プリーツパターンのプリーツ内側先端はフィルタエレメントの高さに沿って延びる開放領域を画定し、各プリーツパターンは、主プリーツから副プリーツへと長さが減少する第一の中間プリーツ群と、副プリーツから隣接するプリーツパターンの主プリーツへと長さが増大する第二の中間プリーツ群と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明を添付の図面に関してさらに説明するが、幾つかの図面を通じて同様の構造は同様の番号が付され、図は下記のとおりである。
【0012】
【
図1】濾過工程中の例示的な流体流路の表現を含む、本発明のプリーツ型フィルタのある実施形態の斜視図である。
【
図2】
図1のプリーツ型フィルタの上面略図である。
【
図3】本発明のプリーツ型フィルタのある実施形態の上面略図である。
【
図4】本発明のプリーツ型フィルタのある実施形態の上面略図である。
【
図5】本発明のプリーツ型フィルタのある実施形態の上面略図である。
【
図6】本発明のプリーツ型フィルタのある実施形態の上面略図である。
【
図7】エンドキャップを含む本発明のプリーツ型フィルタアセンブリのある実施形態の斜視図である。
【
図8】
図7のプリーツ型フィルタアセンブリの底面斜視図である。
【
図9】エンドキャップを含む本発明のプリーツ型フィルタアセンブリのある実施形態の斜視図である。
【
図10】
図9のプリーツ型フィルタアセンブリの底面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
ここで、幾つかの図面を通じて構成要素に同様の番号が表示されている図面、最初に
図1を参照すると、本発明の円筒フィルタ10の斜視図が、濾過工程中の流体流の例示的な方向を示す矢印と共に示されている。図のように、フィルタ10は中心縦軸14の周囲に円筒構成に配置されたプリーツ型フィルタ材料12を含み、材料はその円周に沿って特定の回数だけ繰り返すパターンで配置された、長さの異なるプリーツを含む。この実施形態では、流体は矢印16により示されるようにその側面又は外周からフィルタ10に入り、複数の開口(後述する)を通って矢印18により概して示される方向に出る。流体は代替的に、図に示されているものとは反対方向に向けられてもよく、及び/又は流体はフィルタに向かって、及び/又はそこから、中心軸14に平行及び垂直以外の角度で移動できる。
【0014】
説明及び図面のように、本発明のフィルタ構成は円形の端形状を有する円筒として提供されている。しかしながら、フィルタエレメントは円筒以外の形状、例えば少なくともわずかに楕円又は長円形状、レートストラック型の形状、又はその他の規則的若しくは不規則的形状とすることもできると理解されたい。さらに、各種の構成は縦軸14に垂直に延びる平面に関して対称とすることができ、又は構成は非対称とすることもできる。
【0015】
プリーツ型フィルタ材料12は、多くの異なる材料、例えば不織布材料シート(例えば、メルトブロー式材料)又は微孔膜(例えば、ナイロン、ポリ(テトラフルオロエチレン)(PTFE)、ポリプロピレン、ポリエチレン、その他)から選択できる。プリーツ型フィルタ材料12は、複数回折り畳んで所望のパターンを作ることができ、したがって折り返して折り畳まれたパターンを保持できる厚さで提供されるシートとして提供できる。
【0016】
本明細書中で使用される「プリーツ」という用語は一般に、その先端部が「山」において円筒フィルタの外周上で出会う2つの隣接する辺を含むフィルタ材料のV字形構成を指す。これらの辺の各々はまた、外周から半径方向に内側に離間されて、V字形構成の、「谷」においてフィルタ外周の内側の部分を画定する基端部も含む。さらに、V字形と記載されているが、V字形の先端又は突端には少なくともわずかに丸みをつけることができ、先端の半径は折り畳み方法及び使用されるツールのほか、フィルタ材料の厚さに応じる。フィルタ材料のこれらの山と谷の様々な配置について、後により詳しく説明する。
【0017】
さらに
図2を参照すると、
図1の円筒フィルタ10の上面図が示されている。フィルタ材料12は、プリーツ28から始まるパターンに配置され、これは第一の辺29とそれに隣接する第二の辺30を含み、これらはV字の交差点31で出会い、その谷折り部、すなわち「谷」は縦軸14に、又はその付近に位置付けられる。この領域では濾過材料が比較的密集した量であることから、2つの辺間の間隔は、特に折り線付近で、ほとんどなくてよい。本発明のある実施形態において、第一の辺29と第二の辺30は縦軸14に向かって円筒フィルタ10の半径の75%~100%の範囲の距離だけ延び、図の実施形態は、この長さが円筒の外周から中心軸14までの半径方向距離の90%より多く延びるように示している。したがって、プリーツ28はパターンの最長の、すなわち「主」プリーツと呼ぶことができる。ある実施形態において、プリーツ28の辺29、30は、ほぼ同じ長さであり、このプリーツは辺29、30間の間隔を二分する半径方向平面(図示せず)に関して対称と考えられるが、辺29、30の一方は任意選択により、このプリーツ28の他方の辺より短くすることもできる。
【0018】
するとプリーツのパターンは時計回り方向に、隣接する、又は「副」プリーツ32へと続き、これは円筒の外周におけるその先端部から中心軸14に向かって延びる辺33を含む。本発明によれば、辺33の長さはそのパターンの中の前のプリーツ28の長さより少なくともわずかに短い。プリーツ32はまた、V字の交差点35で辺33と出会う辺34を含み、その谷折り部、すなわち「谷」は前のプリーツ28のV字の交差点31より中心軸14からさらに離れている。プリーツ28の辺に関して述べたように、辺34は辺33とほぼ同じ長さを有することができるが、辺34は辺33よりわずかに短くすることも可能である。
【0019】
このパターンは円筒フィルタ10の周囲で時計回り方向にプリーツ28及び32に関して述べたものと、パターン内の徐々に小さくなる各プリーツがそのパターンの中の前のプリーツの辺より少なくともわずかに短い辺を含み、それらの先端部はすべて円筒の外周に位置付けられるという点で同様の進み方で続く。この特定の実施形態において、例示的パターンは、プリーツ36に隣接し、少なくともその一方の辺がプリーツ36の辺より短いプリーツ40、プリーツ40に隣接し、その少なくとも一方の辺がプリーツ40の辺より短いプリーツ44、プリーツ44に隣接し、その少なくとも一方の辺がプリーツ44の辺より短いプリーツ48、プリーツ48に隣接し、その少なくとも一方の辺がプリーツ48の辺より短いプリーツ52、及びプリーツ52に隣接し、その少なくとも一方の辺がプリーツ52の辺より短いプリーツ56を含む。この実施形態において、プリーツ56はパターンの中の最も短い2つの辺57、58を含み、これらの辺が同じ長さであるとき、プリーツ56は辺57、58間の間隔を二分する半径方向の平面59に関して対称であると考えられる。
【0020】
前述のように、プリーツパターンは、まず主プリーツ28から最短の副プリーツ56まで長さが順次減少する複数のプリーツを含む。プリーツパターンの継続において、パターンは、最短のプリーツ56から、次のプリーツパターンの最初のプリーツである主プリーツへと長さが順次増大する複数のプリーツを含む。特に、プリーツ52’は、プリーツ56に隣接し、副プリーツ56の辺より少なくともわずかに長い少なくとも1つの辺を含む。プリーツ52’はプリーツ52の辺と同じ又は同様の長さの辺を有することができ、それによってパターンのこの部分について、半径方向の平面59に関する対称が提供される。代替的に、プリーツ52’の辺はプリーツ52の辺とは異なる長さを有することができ、それによってパターンは半径方向の平面59に関して対称ではなくなる。
【0021】
パターンは時計回り方向に、プリーツ56及び52’に関して上述したものと、その連続の中の漸進的な各副プリーツがそのパターンの中の前のプリーツの辺より少なくともわずかに長い辺を有し、それらの先端部は円筒の外周に位置付けられるという点で同様の進み方で続く。図のパターンは、半径方向の平面59に関する対称を提供し、したがって、プリーツ48’、44’、40’、36’、及び32’を含み、これらはそれぞれそれらの鏡像関係にある相手のプリーツ48、44、40、36、32と同じ又は同様の長さの辺を有する。パターンは、プリーツ32’で終わると考えることができ、プリーツ32’に隣接する次のプリーツは、円筒フィルタ10の周囲の次の繰返しパターンの連続の開始点となる別の主プリーツである。図示され、説明されているように、この特定のパターンは14のプリーツを含むが、特定のパターンの中ではこれより多い、又は少ないプリーツも使用できると理解されたい。さらに、フィルタの円周に沿ったプリーツパターンの全てが、そのフィルタの他のパターンと同じ又は異なる数のプリーツを有することが可能であることも想定される。
【0022】
図2に関して図示され、説明されているパターンでは、流路又は開口60はパターンの各プリーツのプリーツ内側先端により画定される。各パターンのプリーツの数は、
図2に示されるものと同様で、プリーツ長さの連続的な増加及び減少が
図2のそれと比例的に同様である場合、各流路60は楕円、ペダル、又は図のように目の形状を有する。しかしながら、パターン内のプリーツ数と大きさは、大きく変えることもでき、それによって各流路60の形状は図のものとは異なる可能性がある。例えば、図の実施形態より多い、又は少ないプリーツを提供でき、及び/又は隣接するプリーツの高さの差の量は、図のものより大きく、又は小さくすることができ、これはプリーツ内側先端により作られるものより段差の大きいジグザグの、又はスムーズなパターンを提供できる。
【0023】
図2の実施形態は、上述のパターンの5回の繰返しを含み、これはしたがって、5つの主プリーツを含み、5つの流路又は開口60を提供する。主プリーツの各々は円筒の半径の少なくとも75%だけ延び、この実施形態において、主プリーツは中心軸14までの半径方向距離の90%より大きい範囲にわたって延びる。主プリーツのプリーツ内側先端は、中心軸14(図示せず)に沿って延びる細い芯に接着、又はそれ以外に取り付けることができ、又はプリーツ内側先端がほとんど中心軸14まで延びる場合、プリーツ内側先端は円筒の高さに沿ってグルーヘッドで相互に接着させることができる。芯が提供される場合、これは中実又は中空とすることができ、一般に、これらのフィルタ内に提供される濾材を最大にするためにできるだけ小さい径を有する。使用される何れの芯も丸とすることも、又は異なる形状とすることができ、芯の形状はフィルタの外周形状とマッチすることができ、又は異なる形状を有することができる。
【0024】
次に、
図3を参照すると、円筒フィルタ110のためのプリーツ型材料の他のパターンが示され、これは中心縦軸114の周囲にあるパターンで配置されたプリーツ型フィルタ材料112からなる。このパターンもまた、プリーツ128から始まり、これはV字の交差点で出会う辺を含み、谷折り部、すなわち「谷」は中心軸114に、又はその付近に位置付けられる。このパターンの辺は縦軸114に向かって円筒の半径の75%~100%の範囲の距離だけ延び、図の実施形態は、この長さが円筒の外周から中心縦軸までの距離全体(すなわち、半径方向の距離の約100%)にわたって延びるように示している。プリーツ128はしたがって、パターンの最長の、すなわち「主」プリーツと呼ぶことができる。この実施形態において、グルーヘッド170が中心軸114に沿って示され、これは各パターン内の最長の、すなわち主プリーツを固定するために使用される。ある実施形態において、プリーツ128を構成する辺は同じ長さを有し、それによってプリーツはその辺間の間隔を二分する半径方向の平面(図示せず)に関して対称と考えられるが、
図2の実施形態と同様に、辺の一方は任意選択により、このプリーツ128のもう一方の辺より短くすることができる。
【0025】
円筒フィルタ110のためのプリーツパターンは、その円周に沿って継続し、連続内の漸進的な各副プリーツは、そのパターン内の前のプリーツの辺より少なくともわずかに短い辺を含み、最終的にそのパターンの最短のプリーツに至る。フィルタ110の円周に沿ったこの繰返しパターンでは、6つの流路又は開口160が各プリーツの連続のプリーツ内側先端により画定される。図のように、流路160はここでも、概して楕円又は目の形状である。
【0026】
図4は、円筒フィルタ210の円周に沿って提供された繰返しパターンの数のまた別の変形型を示しており、この図は4つの楕円又は目の形状の開口又は流路260を有する実施形態を提供する。図のように、円筒フィルタ210に使用されるフィルタ材料の密度は、
図1~3において提供されるフィルタ材料の密度より低い。同様に、
図5の円筒フィルタ310の実施形態は、3つの楕円又は目の形状の開口又は流路360を提供し、それによってこの構造は
図1~4の構成よりはるか低い密度のフィルタ材料を有する。最後に、
図6は、中心軸414の両側に配置された2つの流路460を含むフィルタ410の実施形態を示す。これらの流路460を2つのみ有し、その一方でフィルタの安定な組立状態を提供する形状によって、これらの流路460は形状がより円形である。
【0027】
円筒フィルタ10は、一方又は両方の端でエンドキャップにより閉じることができ、これは、フィルタが取り付けられることになる装置と係合するように設計でき、したがって、このような係合のための様々なフランジ又はその他の特徴部を含むことができる。各エンドキャップはプリーツ型フィルタ材料に何れの所望の方法で取り付けることもでき、これは例えば接着剤、エポキシ樹脂、熱溶着若しくは超音波溶接、機械的固定具、及び/又は取付け技術の組合せである。
【0028】
エンドキャップを含む1つの例示的な実施形態によるフィルタアセンブリ500が
図7及び8に示されている。フィルタアセンブリ500は、前述のフィルタ構成と一致する方法で配置されたフィルタ材料を有するフィルタパック502を含む。この特定の例では、プリーツ型フィルタ材料は、その周囲に沿って5回繰り返して5つの流路又は開口504を提供するパターンを有する。フィルタの一方の端において、第一のエンドキャップ506が提供され、これは中央開口508を有し、物質はそこを通って流れることができる。この開口508は円形の開口として示されているが、開口508は異なる形状を有することもでき、及び/又は図示されたものより大きく、若しくは小さくすることができる。エンドキャップ506には内側リップ又はフランジが設けられ、フィルタパック502のプリーツ外側先端がそこに当たるように位置付けられることになる。エンドキャップ506は、プリーツを所望の構成に固定するためにプリーツ先端に接着、溶接、又はそれ以外に取り付けられてよい。フィルタアセンブリ500は、フィルタパック502の第一のエンドキャップ506と反対の端に第二のエンドキャップ510をさらに含む。エンドキャップ510は、物質が流れることのできない、穴のない端面を有し、それによって物質の流れはエンドキャップ506の開口508を通るように案内される。第一のエンドキャップ506と同様に、第二のエンドキャップ510は、フィルタパック502のプリーツ先端に接着、溶接、又はそれ以外に取り付けられてよい。
【0029】
エンドキャップを含む他の例示的構成のフィルタアセンブリ600が
図9及び10に示されている。フィルタアセンブリ600は、前述のプリーツ型フィルタ構成と一致する方法で配置されるフィルタ材料を有するフィルタパック602を含む。この特定の例において、プリーツ型フィルタ材料は、その円周に沿って5回繰り返されて、5つの流路又は開口を提供するパターンを有する。第一のエンドキャップ606が一方の端に提供され、これは5つの開口608を含み、その各々がフィルタパック602の5つの流路又は開口のうちの1つに対応する。開口608は流路の形状と概して一致するように花弁又は目の形状に示されているが、開口608は異なる形状を有することができ、及び/又は図示されたものより大きく、若しくは小さくすることもできる。エンドキャップ606には内側リップ又はフランジが設けられ、フィルタパック602のプリーツ外側先端がそこに当たるように位置付けられることになる。エンドキャップ606は、プリーツを所望の構成に固定するためにプリーツ先端に接着、溶接、又はそれ以外に取り付けられてよい。フィルタアセンブリ600は、フィルタパック602の第一のエンドキャップ606とは反対の端に第二のエンドキャップ610をさらに含む。エンドキャップ610は、物質が流れることのできない、穴のない端面を有し、それによって物質の流れはエンドキャップ606の開口608を通るように案内される。第一のエンドキャップ606と同様に、第二のエンドキャップ610はフィルタパック602のプリーツ先端に接着、溶接、又はそれ以外に取り付けられてよい。
【0030】
フィルタ構成は、製造後、フィルタ構成のためのさらなる支持を提供するためのその他の特徴部を含んでいてよい。例えば、1つ又は複数のグルーストリップ、ゴムバンド、又はその他の特徴物をプリーツ型フィルタ材料の外周の全部または一部に沿って、その両端間の1つ又は複数の箇所において巻き付けることができる。他の例として、フィルタは少なくとも2つの主プリーツの内側先端を接続する接着剤を含んでいてよい。円筒フィルタ材料はまた、その高さの全体又は一部に沿って延びる外側管部材の中に位置付けることもできる。
【0031】
以上、本発明をその幾つかの実施形態に関して説明した。本明細書で明示した何れの特許又は特許出願もその開示全体が参照により本願に援用される。上記の詳細な説明及び例は、理解を明瞭にするためにのみ示されている。そこから不必要な限定はないと理解される。当業者にとっては、記載されている実施形態において、発明の範囲から逸脱せずに多くの変更を加えることができることが明らかであろう。それゆえ、本発明の範囲は、本明細書に記載された構造によってではなく、特許請求の範囲の文言によって説明されている構造及びこれらの構造の均等物によってのみ限定されるべきである。