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  • 特許-カムフォロアおよびそのズームレンズ 図1
  • 特許-カムフォロアおよびそのズームレンズ 図2
  • 特許-カムフォロアおよびそのズームレンズ 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-08
(45)【発行日】2023-05-16
(54)【発明の名称】カムフォロアおよびそのズームレンズ
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/04 20210101AFI20230509BHJP
【FI】
G02B7/04 D
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020547303
(86)(22)【出願日】2018-11-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-15
(86)【国際出願番号】 EP2018083132
(87)【国際公開番号】W WO2019106143
(87)【国際公開日】2019-06-06
【審査請求日】2021-11-16
(31)【優先権主張番号】17204888.6
(32)【優先日】2017-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】520193264
【氏名又は名称】コペンハーゲン センサー テクノロジー エー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ホイバーグ,ソーレン
【審査官】越河 勉
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-318337(JP,A)
【文献】特開2015-028546(JP,A)
【文献】実開昭59-151209(JP,U)
【文献】特開2010-049082(JP,A)
【文献】特開2016-166960(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0212702(US,A1)
【文献】中国実用新案第201859250(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/02-7/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ズームレンズ用のカムフォロアであって、前記カムフォロアは、前記ズームレンズ内の第1のカム溝内を摺動するように構成された本体を備え前記本体は、4つの側面、上面および底面を含む直方体によって画定され、前記4つの側面のうちの2つの第1の対向する側面は、2つの第1の円筒形セグメントに接続され、その結果、前記2つの第1の円筒形セグメントは、第1の対の表面を画定し、前記第1の対の表面の少なくとも一部は、前記第1のカム溝の側壁と接触するように適合され、前記2つの第1の円筒形セグメントは、第1の曲率半径によって画定され、前記第1の曲率半径は前記上面の中心から前記上面の角部までの距離より大きく、および/または前記第1の曲率半径は前記底面の中心から前記底面の角部までの距離より大きく、前記4つの側面のうちの2つの第2の対向する側面は、2つの第2の円筒形セグメントに接続され、その結果、前記2つの第2の円筒形セグメントは、第2の対の表面を画定し、前記2つの第1の円筒形セグメントは、前記2つの第2の円筒形セグメントとともに、曲線正方形の湾曲した部分を形成する、カムフォロア。
【請求項2】
前記第1の曲率半径は、前記ズームレンズが衝撃を受けた場合に、前記第1の対の表面の少なくとも一方が前記第1のカム溝の側壁の少なくとも一方との接触により変形し、前記第1の曲率半径が前記上面の中心から前記上面の角部までの距離以下であり、および/または前記底面の中心から前記底面の角部までの距離以下である場合よりも急速に、前記表面と第1のカム溝の側壁との接触面積が増加するように選択される、請求項1に記載のカムフォロア。
【請求項3】
前記第1の曲率半径は、R10mm~R100である、請求項1~2のいずれか一項に記載のカムフォロア。
【請求項4】
記第2の対の表面の一方は第1の端面を画定し、前記第1の端面の少なくとも一部は前記第1のカム溝の第1の端壁と接触するように適合され、前記第2の対の表面の他方は第2の端面を画定し、前記第2の端面の少なくとも一部は前記第1のカム溝の第2の端壁と接触するように適合され、前記2つの第2の円筒形セグメントは、第2の曲率半径によって画定され、前記第2の曲率半径は前記上面の中心から前記上面の角部までの距離より大きく、および/または前記第2の曲率半径は前記底面の中心から前記底面の角部までの距離よりも大きい、請求項1~3のいずれか一項に記載のカムフォロア。
【請求項5】
前記第2の曲率半径は、前記ズームレンズが衝撃を受けた場合に、前記第2の対の表面の少なくとも一方が前記第1のカム溝の端壁の少なくとも一方との接触により変形し、前記第2の曲率半径が前記上面の中心から前記上面の角部までの距離以下であり、および/または前記第2の曲率半径が前記底面の中心から前記底面の角部までの距離以下である場合よりも急速に、前記表面と前記第1のカム溝の端壁との接触面積が増加するように選択される、請求項4に記載のカムフォロア。
【請求項6】
前記第1の曲率半径と前記第2の曲率半径は等しい、請求項4~5のいずれか一項に記載のカムフォロア。
【請求項7】
前記第1の対の表面および前記第2の対の表面は、閉面を形成し、前記閉面は、曲線長方形を形成する曲線に追従する、請求項1~6のいずれか一項に記載のカムフォロア。
【請求項8】
前記4つの側面の角部は、共通の曲率半径で丸められる、請求項1~7のいずれか一項に記載のカムフォロア。
【請求項9】
前記共通の曲率半径は、前記ズームレンズが衝撃を受けた場合に、少なくとも1つの角部が前記第1のカム溝の側および端壁のうちの少なくとも一方との接触により変形し、前記角部が曲率を持たない場合よりも急速に、前記角部と前記第1のカム溝の端壁または側壁との接触面積が増加するように選択される、請求項8に記載のカムフォロア。
【請求項10】
前記共通の曲率半径は、R0.1mm~R10mmである、請求項8~9のいずれか一項に記載のカムフォロア。
【請求項11】
前記第1の対の側面は、前記第1のカム溝内で摺動するように適合され、前記第1のカム溝は、直線状である、請求項1~10のいずれか一項に記載のカムフォロア。
【請求項12】
前記本体は、前記直方体内に、前記カムフォロアを前記第1のカム溝内で固定するピンのための中央孔をさらに備える、請求項1~11のいずれか一項に記載のカムフォロア。
【請求項13】
ズームレンズ用カムフォロアセットであって、前記カムフォロアセットは、請求項1に記載のカムフォロアと、第1のカム溝の下方の第2のカム溝内を転動するように構成されたローラと、前記カムフォロアおよび前記ローラを前記ズームレンズ内で並進される光学素子に接続するピンとを備える、カムフォロアセット。
【請求項14】
請求項1に記載のカムフォロアを備える、ズームレンズ。
【請求項15】
請求項13に記載のカムフォロアセットをさらに備える、請求項14に記載のズームレンズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ズームレンズ用のカムフォロアに関し、特に、例えば、ズームレンズが衝撃を受けた場合に、ズームレンズの損傷を低減するために最適化されたカムフォロアに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光学ズームレンズは、移動可能なレンズ枠を有する鏡筒を有している。機構は、カム溝とカムフォロアとを組み合わせて、レンズ枠を駆動させる。典型的には、カム溝は光軸に対して斜めに延在し、カムフォロアはカム溝と係合し、したがって、カムフォロアは自由に摺動し得る。ほとんどのズームレンズでは、レンズ枠および/またはカム溝は、衝撃時に、例えば、ズームレンズが落下した場合に変形する可能性がある。ズームレンズを衝撃から保護するための様々な解決策がある。例えば、ズームレンズは、例えば、カム溝の強度を向上させるために、硬質材料で作製され得る。しかしながら、ズームレンズは、用途に応じて様々な衝撃を受けることがある。いくつかの用途では、ズームレンズは、大きな力を受けるまたは付与するデバイスに結合され得るので、大きな力で揺れるまたは振動することがある。このような状況下では、典型的なズームレンズは損傷を受けることになる。例えば、カム溝は、典型的にはピンに結合されたカムフォロアからの力によって、凹みを生じ得る。このような力を受けると、ピンが凹みを通過するときに、画像が揺れ、円滑なズーム操作を実行することが困難となる。ほとんどの状況において、円滑なズーム操作が望まれる。非常に特殊な状況は、ズームレンズが火器に結合され、火器のボアサイトと位置合わせされる場合である。このような特殊な状況では、ズームレンズ光軸は、ズーミングの間、火器のボアサイトに完全に追従しなければならない。そうでなければ、これは、命に関わる問題となり得る。したがって、高耐衝撃性ズームレンズの需要が高い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、例えば、火器からの衝撃に対して、高耐衝撃性を有するズームレンズを提供することである。
【0004】
本発明は、提示された欠点を解決し、第一に、例えば、火器からの外力を伝達し、カム溝が損傷を受けないように力を分散させることができるカムフォロアを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、第1の態様において、ズームレンズ用のカムフォロアであって、ズームレンズ内の第1のカム溝内を摺動するように構成された本体を備えるカムフォロアに関する。第1の実施形態では、本体は、4つの側面、上面および底面を含む直方体によって画定され、2つの第1の対向する側面は、2つの第1の円筒形セグメントに接続され、その結果、2つの第1の円筒形セグメントは第1の対の表面を画定し、第1の対の表面の少なくとも一部は第1のカム溝の側壁と接触するように適合される。2つの第1の円筒形セグメントは、第1の曲率半径によって画定され得る。すなわち、上面および/または底面に平行な断面は、前記第1の曲率半径によって画定された円の2つの第1の対向する扇形と、前記第2の曲率半径によって画定された円の2つの第2の対向する扇形とを有することによって定義される。側面が交わる本体の角部は、好ましくは丸みを帯びている。好適な実施形態では、第1の曲率半径は、上面の中心から上面の角部までの距離よりも大きく、および/または第1の曲率半径は、底面の中心から底面の角部までの距離よりも大きい。
【0006】
第1の対の表面は、第1のカム溝の側壁と接触するように適合されるので、第1の対向する側面は、ほとんどの実施形態において、第1のカム溝の側壁に対して平行である。
【0007】
カムフォロアの好適な実施形態では、第1の曲率半径は、ズームレンズが衝撃を受けた場合に、第1の対の表面の少なくとも一方が第1のカム溝の側壁の少なくとも一方との接触により変形し、第1の曲率半径が上面の中心から上面の角部までの距離以下であり、および/または底面の中心から底面の角部までの距離以下である場合よりも急速に、前記表面と第1のカム溝の側壁との接触面積が増加するように選択される。
【0008】
円筒形セグメントを有することにより、接触面積は、円筒形セグメントの高さおよび直方体の高さに応じて増加する。
【0009】
第1の曲率半径が上面の中心から上面の角部までの距離と等しい、および/または第1の曲率半径が底面の中心から底面の角部までの距離と等しくなるように、円筒形要素が直方体と合致している場合、衝撃は、ズームレンズ、特に、カム溝に対して深刻な損傷作用をもたらすことになる。
【0010】
したがって、本開示は、衝撃に適応可能であり、さらに高耐衝撃性を有するカムフォロアを提供する。
【0011】
本開示は、第2の態様では、第1の態様に係るカムフォロアと、第1のカム溝の下方の第2のカム溝内を転動するように構成されたローラと、カムフォロアおよびローラをズームレンズ内で並進される光学素子に接続するピンとを備える、ズームレンズ用のカムフォロアセットに関する。
【0012】
最後に、本開示は、第3の態様において、第1の態様に係るカムフォロアを備えるズームレンズに関する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】例示的なカムフォロアの斜視図である。
図2】例示的なカムフォロアの側面図である。
図3】例示的なカムフォロアの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示は、例えば火器からの衝撃に対して、高耐衝撃性を有するズームレンズに関する。ズームレンズの一部は、カム溝およびそのカムフォロアを備える。本発明の第1の態様は、ズームレンズ用のカムフォロアに関する。カムフォロアについて、以下で詳細に説明する。
【0015】
「直方体」という用語は、本明細書では、単語についての標準的な理解において使用される。Wikipediaによれば、直方体は、6つの四辺形面によって境界付けられた凸多面体であり、その多面体グラフは立方体グラフと同じである。長方形は、直方体の一例である。したがって、本開示で使用され得る直方体の例は、長方形直方体、直角直方体、長方形ボックス、長方形六面体、直角長方形角柱、または長方形平行六面体である。長方形直方体において、全ての角度は直角であり、直方体の対向する面は等しい。定義により、これは、直角長方形角柱になる。立方体は、6つの面全てが正方形である正方形直方体の特殊なケースである。
第1の対の表面および第1の曲率半径
【0016】
カムフォロアの一実施形態では、第1の曲率半径は、ズームレンズが衝撃を受けた場合に、第1の対の表面の少なくとも一方が第1のカム溝の側壁の少なくとも一方との接触により変形し、第1の曲率半径が上面の中心から上面の角部までの距離以下であり、および/または底面の中心から底面の角部までの距離以下である場合よりも急速に、前記表面と第1のカム溝の側壁との接触面積が増加するように選択される。
【0017】
カムフォロアの第2の実施形態では、第1の曲率半径は、R10mm~R100、好ましくはR30mm~R80、より好ましくはR40~R60、最も好ましくは約R50である。
第2の対の表面および第2の曲率半径
【0018】
カムフォロアの一実施形態では、2つの第2の対向する側面は、2つの第2の2つの第2の円筒形セグメントに接続され、その結果、2つの第2の円筒形セグメントは第2の対の表面を画定し、第2の対の表面の一方は第1の端面を画定し、前記第1の端面の少なくとも一部は第1のカム溝の第1の端壁と接触するように適合され、第2の対の表面の他方は第2の端面を画定し、前記第2の端面の少なくとも一部は第1のカム溝の第2の端壁と接触するように適合され、2つの第2の円筒形セグメントは、第2の曲率半径によって画定され、第2の曲率半径は上面の中心から上面の角部までの距離より大きく、および/または第2の曲率半径は底面の中心から底面の角部までの距離よりも大きい。
【0019】
カムフォロアの第2の実施形態では、第2の曲率半径は、ズームレンズが衝撃を受けた場合に、第2の対の表面の少なくとも一方が第1のカム溝の前記端壁の少なくとも一方との接触により変形し、第2の曲率半径が上面の中心から上面の角部までの距離以下であり、および/または第2の曲率半径が底面の中心から底面の角部までの距離以下である場合よりも急速に、前記表面と前記第1のカム溝の前記端壁との接触面積が増加するように選択される。
【0020】
カムフォロアの第3の実施形態では、第2の曲率半径は、R10mm~R100、好ましくはR30mm~R80、より好ましくはR40~R60、最も好ましくは約R50である。
【0021】
カムフォロアの好適な実施形態では、第1の曲率半径と第2の曲率半径は等しい。
【0022】
上述の曲率半径により、カム溝の損傷を低減し、さらには回避するための最適形状が得られることが分かっている。
【0023】
カムフォロアの最も好適な実施形態では、第1の対の表面および第2の対の表面は、閉面を形成し、閉面は、曲線長方形を形成する、より好ましくは曲線正方形を形成する閉曲線に追従する。本発明によれば、直方体は、長方形または正方形の曲線を形成する。いくつかの閉曲線が、直方体の長さに沿って形成され得る。直方体は、円筒形セグメントを有する直方体であるので、直方体の長さに沿ったいくつかの曲線は同一である。2つの第1の円筒形セグメントは、2つの第2の円筒形セグメントとともに、曲線長方形または曲線正方形の湾曲した部分を形成する。
【0024】
曲線正方形は、直角で交差する4つの曲線によって形成される平面的な幾何学的図形として定義されるので、連続的区分は、多数の区分の限界において正方形を形成する。このような形状により、カム溝の損傷を低減し、さらには回避するためのさらなる最適形状が得られることが分かっている。
【0025】
上述の説明から理解されるように、カムフォロアは円筒ではない。カムフォロアは、変形した通常の円筒であると説明されることがあり、この場合、曲率半径は、通常の円筒と同一ではない。換言すれば、第1および第2の対の表面の周囲の閉曲線の面積は、閉曲線内に画定される囲み円よりも大きい。
角部
【0026】
カムフォロアの好適な実施形態では、4つの側面の角部は、共通の曲率半径で丸められる。この実施形態では、その形状は、曲線長方形または曲線正方形として定義可能な形状ではなく、むしろ、曲線長方形または曲線正方形の4つの曲線が直角で交差するのではなく湾曲部で互いにつながった、変形した曲線長方形または曲線正方形である。したがって、この実施形態では、カムフォロアは、直角で交差しない8つの曲線を含む。8つの曲線は、共通の円を形成しない。この実施形態から、カムフォロアがカム溝に沿った複数の方向および位置からの耐衝撃性をもたらすことが分かっている。
【0027】
カムフォロアのより好適な実施形態では、共通の曲率半径は、ズームレンズが衝撃を受けた場合に、少なくとも1つの角部が第1のカム溝の側壁または端壁のうちの少なくとも一方との接触により変形し、角部が曲率を持たない場合よりも急速に、前記角部と第1のカム溝の前記端壁または前記側壁との接触面積が増加するように選択される。
【0028】
カムフォロアの最も好適な実施形態では、共通の曲率半径は、R0.1mm~R10mm、より好ましくはR1mm~R2mm、最も好ましくは約R1.5mmである。
【0029】
上述の角部は、カム溝の損傷を低減し、さらには回避するためのさらなる最適形状をもたらすことが分かっている。
材料、寸法および固定具
【0030】
カムフォロアの一実施形態では、本体は、鋼製、好ましくはステンレス鋼製、より好ましくはステンレス鋼316製である。この材料は、衝撃時の変形を改善し、ひいてはカム溝の損傷を低減する剛性または硬度を有する。さらに、この材料は、ズームレンズが水および湿度に曝されるような過酷な環境に対して堅牢である。
【0031】
カムフォロアのいくつかの実施形態では、第1の対の表面間および/または第2の対の表面間の距離は、2mm~40mmである。
【0032】
カムフォロアのいくつかの他の実施形態では、直方体の2つの角部間の距離は、5mm~60mmである。
【0033】
カムフォロアの好適な実施形態では、第1の対の側面は、第1のカム溝内で摺動するように適合され、この場合、第1のカム溝は直線状である。カムフォロアが第1のカム溝の一端から反対端まで、特に円滑に、移動するときに、ズーミングが達成される。好ましくは、カムフォロアは、火器のボアサイトに沿って移動する。
【0034】
カムフォロアの最も好適な実施形態では、カムフォロアの高さは、2mm~40mmである。カムフォロアの高さは、衝撃時のカムフォロアのカム溝への損傷を低減するように選択され得る。カムフォロアの高さが高いほど、カム溝の側面の損傷は小さくなる。これは、カムフォロアの高さに比例して、カム溝の側面のいずれかとの接触面積が大きくなるためである。より具体的には、これは、カムフォロアが高さに沿って直線状であるためである。換言すれば、カムフォロアは、直方体の形状に追従する。換言すれば、カムフォロアは、非円錐状に形成される。本発明者らは、円錐形カムフォロアが、非円錐形カムフォロアと比較して、カムフォロアとカム溝の側面のいずれかとの接触面積がはるかに小さいことに気付いた。したがって、非円錐形カムフォロアは、カム溝に沿った損傷のようなズームレンズの衝撃損傷を低減するのに、より効率的である。
【0035】
カムフォロアのほとんどの実施形態では、本体は、直方体内に、カムフォロアを第1のカム溝内で固定するピンのための中央孔をさらに備える。このことにより、カムフォロアを光学素子に接続することができ、さらに光学素子を安定化させることができる。その結果、最終的には、ピン、ひいてはカムフォロアが移動したときに、光学素子が移動することができるようになる。
ズームレンズ
【0036】
ズームレンズの一実施形態において、ズームレンズは、本発明の第2の態様に係るカムフォロアをさらに備える。
【0037】
ズームレンズの好適な実施形態では、光学素子は、複数のカムセット、最も好ましくは3つのカムセットに接続される。複数のカムセットを有することにより、ズームレンズ内の光学素子のより安定した構成が可能になる。このことは、ズームレンズが、例えば大きな衝撃を受ける場合に、非常に重要である。
【0038】
さらに、ほとんどの実施形態では、ズームレンズは、火器に結合され得る。したがって、このような実施形態では、光学素子が火器のボアサイトに追従することが非常に重要である。複数のカムセットを有することにより、火器のボアサイトに対する光学素子の位置合わせが改善され得る。
【0039】
ズームレンズのほとんどの実施形態では、ズームレンズは、直線状カム溝を備える第1のバレルと、第1のバレルの内側に配置された第2のバレルであって、曲線状カム溝を備える第2のバレルとを備える。この構成は、ズームレンズ内の光学素子を駆動するための直線運動を可能にし得る。直線運動は、ズームレンズが火器の射撃方向に結合され、このことにより、1つの共通方向に沿った射撃およびズーミングが容易になるため、好ましい。
実施例1-斜め方向から見たカムフォロア
【0040】
図1は、本発明に係るズームレンズ2のカムフォロア1の一例を示す斜視図である。図1には、ズームレンズ2の一部のみが示されている。カムフォロア1は、ズームレンズ2内の第1のカム溝4内を摺動するように構成された本体3を備え、本体3は、4つの側面(5a、5b、5c、5d)、上面6、および底面7を含む直方体によって画定される。2つの第1の対向する側面(5aと5c、または5bと5d)は、2つの第1の円筒形セグメント(5aaと5cc、または5bbと5dd)(この図では、2つの第1の円筒形セグメントは側面と区別できない)に接続され、その結果、2つの第1の円筒形セグメント(5aaと5cc、または5bbと5dd)は、第1の対の表面(5aaaと5ccc、または5bbbと5ddd)を画定し、第1の対の表面(5aaaと5ccc、または5bbbと5ddd)の少なくとも一部は第1のカム溝4の側壁7a、7bと接触するように適合される。したがって、この場合、側壁と接触する第1の対の表面は、5bbbと5dddである。2つの第1の円筒形セグメント(したがって5bbと5dd)は、第1の曲率半径によって画定され、第1の曲率半径は、上面6の中心8aから上面6の角部(9a、9b、9c、または9d)までの距離より大きく、および/または第1の曲率半径は、底面7の中心8bから底面7の角部(9a、9b、9c、または9d)までの距離より大きい。
【0041】
さらに、2つの第2の対向する側面(この場合、表面5aと5c)は、2つの第2の2つの第2の円筒形セグメント5aaと5ccに接続され、その結果、2つの第2の円筒形セグメントは、第2の対の表面5aaaと5cccを画定し、第2の対の表面の一方5cccは第1の端面を画定し、前記第1の端面の少なくとも一部は第1のカム溝4の第1の端壁10と接触するように適合され、第2の対の表面の他方5aaは第2の端面を画定し、前記第2の端面の少なくとも一部は第1のカム溝の第2の端壁(ここでは図示せず)と接触するように適合される。2つの第2の円筒形セグメント5aaと5ccは、第2の曲率半径によって画定され、第2の曲率半径は、上面の中心8aから上面6の角部(9a、9b、9c、または9d)までの距離より大きく、および/または第2の曲率半径は、底面7の中心8bから底面の角部(9a、9b、9c、または9d)までの距離より大きい。
【0042】
また、図1から分かるように、上面および底面に接続された4つの側面(5a、5b、5c、および5d)の角部(9a、9b、9c、または9d)は、ひいては、上面および底面の角部も、共通の曲率半径で丸められる。
【0043】
図1にさらに示されているように、第1の対の側面(5bbbと5ddd)は、第1のカム溝4内で摺動するように適合され、第1のカム溝4は、直線状である。
【0044】
本体3は、直方体内に、カムフォロア1を第1のカム溝4内に固定するピン12のための中央孔11をさらに備える。
【0045】
図1はさらに、ズームレンズ2用のカムフォロアセットを示しており、カムフォロアセットは、カムフォロア1と、第1のカム溝4の下方の第2のカム溝14内で転動するように構成されたローラ13と、カムフォロア1およびローラ13をズームレンズ2内で並進される光学素子15に接続するピン12とを備える。
【0046】
全体として、図1は、本発明に係るカムフォロアの実施形態を備える、ズームレンズ2(すなわち、その一部)を示している。ズームレンズ2は、上述のようなカムフォロアセットを備える。
実施例2-横から見たカムフォロア
【0047】
図2は、横から見た、本発明に係るカムフォロアの拡大図である。
【0048】
カムフォロア1は、ズームレンズ2内の第1のカム溝4内を摺動するように構成された本体3を備え、本体3は、4つの側面(5a、5b、5c、5d)、上面6、および底面7を含む直方体によって画定される。2つの第1の対向する側面(5bと5d)は、2つの第1の円筒形セグメント(5bbと5dd)(この図では、2つの第1の円筒形セグメントは側面と区別できない)に接続され、その結果、2つの第1の円筒形セグメント(5bbと5dd)は、第1の対の表面(5bbbと5ddd)を画定し、第1の対の表面(5bbbと5ddd)の少なくとも一部は第1のカム溝4の側壁7a、7bと接触するように適合される。したがって、この場合、側壁と接触する第1の対の表面は、5bbbと5dddである。
【0049】
本体3は、直方体内に、カムフォロア1を第1のカム溝4内に固定するピン12のための中央孔11をさらに備える。したがって、図2はさらに、ズームレンズ2用のカムフォロアセットを示しており、カムフォロアセットは、カムフォロア1と、第1のカム溝4の下方の第2のカム溝14内で転動するように構成されたローラ13と、カムフォロア1およびローラ13をズームレンズ2内で並進される光学素子15に接続するピン12とを備える。
【0050】
全体として、図2は、本発明に係るカムフォロアの実施形態を備える、ズームレンズ2(すなわち、その一部)を示している。ズームレンズ2は、上述のカムフォロアセットを備える。
実施例3-上から見たカムフォロア
【0051】
図3は、上から見た、本発明に係るズームレンズのカムフォロア1の一例を示す。カムフォロア1は、第1のカム溝4(この図には図示されていない)内で摺動するように構成された本体3を備える。
【0052】
本体3は、4つの側面(5a、5b、5c、5d)、上面6、および底面7を含む直方体によって画定される。この図には、上面6のみが示されている。
【0053】
2つの第1の対向する側面(5bと5d)は、2つの第1の円筒形セグメント(5bbと5dd)(この図では、2つの第1の円筒形セグメント(5bbと5dd)は、側面(5bと5d)と区別するために誇張されている)に接続される。2つの第1の円筒形セグメント(5bbと5dd)は、第1の対の表面(5bbbと5ddd)を画定し、第1の対の表面(5bbと5dd)の少なくとも一部は第1のカム溝4の側壁7a、7bと接触するように適合される。
【0054】
2つの第1の円筒形セグメント(5bbと5dd)は、第1の曲率半径R1(5ddに対して半径R1を有する垂線で示されている)によって画定され、第1の曲率半径R1は、上面6の中心8aから、直方体の角部でもあり、さらに4つの表面(5a、5b、5c、および5d)によって画定された正方形の角部でもある上面6の角部(この場合、9c)までの距離dより大きい。距離dは、傾斜した直線によって示されている。図から明らかなように、R1>dである。
【0055】
さらに、2つの第2の対向する側面(この場合、表面5aと5c)は、2つの第2の2つの第2の円筒形セグメント5aaと5ccに接続され、その結果、2つの第2の円筒形セグメントは、第2の対の表面5aaaと5cccを画定し、第2の対の表面の一方5cccは第1の端面を画定し、前記第1の端面の少なくとも一部は第1のカム溝4の第1の端壁10と接触するように適合され(ここでは図示せず)、第2の対の表面の他方5aaaは第2の端面を画定し、前記第2の端面の少なくとも一部は第1のカム溝4の第2の端壁(ここでは図示せず)と接触するように適合される。2つの第2の円筒形セグメント5aaと5ccは、第2の曲率半径R2によって画定され、第2の曲率半径R2は、上面の中心8aから上面6の角部(この場合、9d)までの距離dより大きい。
【0056】
また、図3から分かるように、上面および底面に接続された4つの側面(5a、5b、5c、および5d)の角部(9a、9b、9c、または9d)は、ひいては上面および底面の角部も、共通の曲率半径で丸められる。
【0057】
本発明のさらなる詳細は、以下の項目に記載されている。
項目
【0058】
(項目1)ズームレンズ用のカムフォロアであって、カムフォロアは、ズームレンズ内の第1のカム溝内を摺動するように構成された本体であって、4つの側面、上面および底面を含む直方体によって画定された本体を備え、2つの第1の対向する側面は、2つの第1の円筒形セグメントに接続され、その結果、2つの第1の円筒形セグメントは、第1の対の表面を画定し、第1の対の表面の少なくとも一部は、第1のカム溝の側壁と接触するように適合され、2つの第1の円筒形セグメントは、第1の曲率半径によって画定され、第1の曲率半径は上面の中心から上面の角部までの距離より大きく、および/または第1の曲率半径は底面の中心から底面の角部までの距離より大きい、カムフォロア。
【0059】
(項目2)ズームレンズ用のカムフォロアであって、カムフォロアは、ズームレンズ内の第1のカム溝内を摺動するように構成された本体であって、上面、底面、および2つの対の丸みを帯びた側面と含む本体を備え、対の丸みを帯びた側面の少なくとも一方の少なくとも一部は、第1のカム溝の側壁と接触するように適合され、本体の上面および/または底面に平行な本体の断面は、扇形である丸みを帯びた側面の各々によって画定され、第1の対の側面は、第1の曲率半径を有し、第2の対の側面は、第2の曲率半径を有し、第1の曲率半径は上面の中心から上面の角部までの距離より大きく、および/または第1の曲率半径は底面の中心から底面の角部までの距離より大きい、カムフォロア。
【0060】
(項目3)第1の曲率半径は、ズームレンズが衝撃を受けた場合に、第1の対の表面の少なくとも一方が第1のカム溝の側壁の少なくとも一方との接触により変形し、第1の曲率半径が上面の中心から上面の角部までの距離以下であり、および/または底面の中心から底面の角部までの距離以下である場合よりも急速に、前記表面と第1のカム溝の側壁との接触面積が増加するように選択される、項目1~項目2のいずれかに記載のカムフォロア。
【0061】
(項目4)第1の曲率半径は、R10mm~R100、好ましくはR30mm~R80、より好ましくはR40~R60、最も好ましくは約R50である、項目1~項目3のいずれかに記載のカムフォロア。
【0062】
(項目5)2つの第2の対向する側面は、2つの第2の2つの第2の円筒形セグメントに接続され、その結果、2つの第2の円筒形セグメントは第2の対の表面を画定し、第2の対の表面の一方は第1の端面を画定し、前記第1の端面の少なくとも一部は第1のカム溝の第1の端壁と接触するように適合され、第2の対の表面の他方は第2の端面を画定し、前記第2の端面の少なくとも一部は第1のカム溝の第2の端壁と接触するように適合され、2つの第2の円筒形セグメントは、第2の曲率半径によって画定され、第2の曲率半径は上面の中心から上面の角部までの距離より大きく、および/または第2の曲率半径は底面の中心から底面の角部までの距離よりも大きい、項目1~項目4のいずれかに記載のカムフォロア。
【0063】
(項目6)第2の曲率半径は、ズームレンズが衝撃を受けた場合に、第2の対の表面の少なくとも一方が第1のカム溝の前記端壁の少なくとも一方との接触により変形し、第2の曲率半径が上面の中心から上面の角部までの距離以下であり、および/または第2の曲率半径が底面の中心から底面の角部までの距離以下である場合よりも急速に、前記表面と第1のカム溝の前記端壁との接触面積が増加するように選択される、項目5に記載のカムフォロア。
【0064】
(項目7)第2の曲率半径は、R10mm~R100、好ましくはR30mm~R80、より好ましくはR40~R60、最も好ましくは約R50である、項目5~項目6のいずれかに記載のカムフォロア。
【0065】
(項目8)第1の曲率半径と第2の曲率半径は等しい、項目5~項目7のいずれかに記載のカムフォロア。
【0066】
(項目9)第1の対の表面および第2の対の表面は、閉面を形成し、閉面は、曲線長方形を形成する、より好ましくは曲線正方形を形成する曲線に追従する、項目1~項目8のいずれかに記載のカムフォロア。
【0067】
(項目10)4つの側面の角部は、共通の曲率半径で丸められる、項目1~項目9のいずれかに記載のカムフォロア。
【0068】
(項目11)共通の曲率半径は、ズームレンズが衝撃を受けた場合に、少なくとも1つの角部が第1のカム溝の側壁または端壁のうちの少なくとも一方との接触により変形し、角部が曲率を持たない場合よりも急速に、前記角部と第1のカム溝の前記端壁または前記側壁との接触面積が増加するように選択される、項目10に記載のカムフォロア。
【0069】
(項目12)共通の曲率半径は、R0.1mm~R10mm、より好ましくはR1mm~R2mm、最も好ましくは約R1.5mmである、項目10~項目11のいずれかに記載のカムフォロア。
【0070】
(項目13)本体は、鋼製、好ましくはステンレス鋼製、より好ましくはステンレス鋼316製である、項目1~項目12のいずれかに記載のカムフォロア。
【0071】
(項目14)第1の対の表面間および/または第2の対の表面間の距離は、2mm~40mmである、項目1~項目13のいずれかに記載のカムフォロア。
【0072】
(項目15)直方体の2つの角部間の距離は、5mm~60mmである、項目1~項目14のいずれかに記載のカムフォロア。
【0073】
(項目16)第1の対の側面は、第1のカム溝内で摺動するように適合され、第1のカム溝は直線状である、項目1~項目15のいずれかに記載のカムフォロア。
【0074】
(項目17)本体は、直方体内に、カムフォロアを第1のカム溝内で固定するピンのための中央孔をさらに備える、項目1~項目16のいずれかに記載のカムフォロア。
【0075】
(項目18)ズームレンズ用カムフォロアセットであって、項目1に記載のカムフォロアと、第1のカム溝の下方の第2のカム溝内を転動するように構成されたローラと、カムフォロアおよびローラをズームレンズ内で並進される光学素子に接続するピンとを備える、カムフォロアセット。
【0076】
(項目19)項目1~項目18のいずれかに記載のカムフォロアを備える、ズームレンズ。
【0077】
(項目20)項目18に記載のカムフォロアセットをさらに備える、項目19に記載のズームレンズ。
【0078】
(項目21)光学素子は、複数のカムセット、最も好ましくは3つのカムセットに接続される、項目19に記載のズームレンズ。
【0079】
(項目22)ズームレンズは、直線状カム溝を備える第1のバレルと、第1のバレルの内側に配置された第2のバレルであって、曲線状カム溝を備える第2のバレルとを備える、項目19~項目21のいずれかに記載のズームレンズ。
図1
図2
図3