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特許7274495積層造形装置の少なくとも1個のノズルアセンブリを運動させるための運動システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-08
(45)【発行日】2023-05-16
(54)【発明の名称】積層造形装置の少なくとも1個のノズルアセンブリを運動させるための運動システム
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/232 20170101AFI20230509BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20230509BHJP
   B29C 64/209 20170101ALI20230509BHJP
   B29C 64/245 20170101ALI20230509BHJP
   B29C 64/236 20170101ALI20230509BHJP
【FI】
B29C64/232
B33Y30/00
B29C64/209
B29C64/245
B29C64/236
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2020547463
(86)(22)【出願日】2018-11-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-15
(86)【国際出願番号】 IB2018059486
(87)【国際公開番号】W WO2019106611
(87)【国際公開日】2019-06-06
【審査請求日】2021-11-22
(31)【優先権主張番号】15/828,434
(32)【優先日】2017-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520190193
【氏名又は名称】ベジム,バレント
(74)【代理人】
【識別番号】100086830
【弁理士】
【氏名又は名称】塩入 明
(74)【代理人】
【識別番号】100096046
【弁理士】
【氏名又は名称】塩入 みか
(72)【発明者】
【氏名】ベジム,バレント
(72)【発明者】
【氏名】ウエザリー,ステファン
【審査官】▲高▼橋 理絵
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第207256877(CN,U)
【文献】中国実用新案第206765369(CN,U)
【文献】国際公開第2017/017622(WO,A1)
【文献】特表2003-502184(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00-64/40
B33Y 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層造形装置の少なくとも1個のノズルアセンブリを運動させるための運動システムであって、
第1軸に沿って前後進する第1タワーと、
第1軸に沿って第1タワーの前後進を可能にするベルトアセンブリとを備え、
ベルトアセンブリは、
第1端と第2端を備えるベルトと、
ベルトの第1端を収容するベルト通路と、ベルト通路につながりかつ前記ベルトと係合しベルトの第1端を固定する溝を備え、ベルトを固定すると共に所望の張力を加える、第1ベルトホルダと、
ベルトを駆動するためベルトと相互作用するギアと、
少なくとも2個のベアリングを備え、
ギアの双方にベアリングが1個ずつ配置され、ベルトはギアとベアリングの間を通過し、前記ギアの回転によりベルトが運動し、これによって第1タワーが第1軸に沿って運動する、運動システム。
【請求項2】
孔とネジを有する第1保持プレートをさらに備え、
第1ベルトホルダは、ベルト通路の反対側にネジ孔を備え、
第1ベルトホルダは、第1保持プレートの孔にネジを通し、第1ベルトホルダのネジ孔にネジを締結することにより、第1保持プレートに固定されている、請求項1の運動システム。
【請求項3】
第1保持プレートは、第1ベルトホルダの一部を受け入れる溝を備え、第1ベルトホルダが第1保持プレートに固定された際に、第1保持プレートの孔が溝に連通する、請求項2の運動システム。
【請求項4】
前記ネジの回転によりベルトの張力が調整自在である、請求項2の運動システム。
【請求項5】
溝の軸方向に沿ってベルトをスライドさせることにより、ベルトをベルト通路に固定自在な、請求項1の運動システム。
【請求項6】
ベルトの第2端を固定する第2ベルトホルダをさらに備える、請求項1の運動システム。
【請求項7】
第2ベルトホルダは第1ベルトホルダと同形である、請求項6の運動システム。
【請求項8】
第1ベルトホルダと第2ベルトホルダが第1タワーに固定されている、請求項6の運動システム。
【請求項9】
第1タワーは、第1軸に平行で断面視で三角形状に配置された、第1,第2及び第3の1次ロッドから成る、請求項1の運動システム。
【請求項10】
第1及び第2の1次ロッドが第1の面に有り、かつ第3の1次ロッドが第2の面に有り、第3の1次ロッドから第1の1次ロッドまでの距離が、第3の1次ロッドから第2の1次ロッドまでの距離と異なる、請求項9の運動システム。
【請求項11】
キャリッジシステムをさらに備え、
第1及び第2の1次ロッドはキャリッジシステムを貫通して、キャリッジシステムのガイドロッドとして作用し、
第3の1次ロッドはキャリッジシステムの外部にあって、第1タワーが第1軸に沿って撓むことを防止する支持ロッドとして作用する、請求項9の運動システム。
【請求項12】
第1タワーが第2軸に沿って昇降することを可能にする第2タワーをさらに備え、第2タワーは第2軸に平行な3本の2次ロッドから成り、3本の2次ロッドは断面視で三角形状である、請求項9の運動システム。
【請求項13】
第1及び第2の1次ロッドはキャリッジシステムを貫通して、キャリッジシステムのガイドロッドとして作用し、
第3の1次ロッドはキャリッジシステムの外部にあって、第1タワーが第1軸に沿って撓むことを防止する支持ロッドとして作用し、かつ
3本の2次ロッドがキャリッジシステムを貫通する、請求項12の運動システム。
【請求項14】
ギアを駆動するモータと、
ベルトの第1端を固定する第1保持プレートと、
ベルトの第2端を固定する第2保持プレートと、
両端が第1保持プレート及び第2保持プレートに固定された第1及び第2の1次ロッドと、
第1及び第2の1次ロッドが貫通するキャリッジシステムをさらに備え、
ギアが、キャリッジシステムと、第1保持プレートまたは第2保持プレートの間に、配置されている、請求項1の運動システム。
【請求項15】
ギアは、平面視で、第1の1次ロッドと第2の1次ロッドの間に配置されている、請求項14の運動システム。
【請求項16】
モータは第1の1次ロッドと第2の1次ロッドの間に配置されている、請求項14の運動システム。
【請求項17】
ギアとベルトが近接してベルトを挟み込むように配置され、ベルトがベアリングとギアの間で移動する距離が最小に成っている、請求項1の運動システム。
【請求項18】
積層造形装置のプリントプレートを移動させる運動システムであって、
第3軸に沿って前後進するベースと、
第3軸に沿ってベースの前後進を可能にするベルトアセンブリとを備え、
前記ベルトアセンブリは、
第1端と第2端を備えるベルトと、
ベルトの第1端を収容するベルト通路と、ベルト通路につながりかつ前記ベルトと係合しベルトの第1端を固定する溝を備え、ベルトを固定すると共に所望の張力を加える、第1ベルトホルダと、
ベルトを駆動するため、ベルトと相互作用するギアと、
少なくとも2個のベアリングを備え、
ギアの双方にベアリングが1個ずつ配置され、ベルトはギアとベアリングの間を通過し、前記ギアの回転によりベルトが運動し、これによってベースが第3軸に沿って運動する、運動システム。
【請求項19】
ギアが取り付けられ、かつ少なくとも一対のスルーホールを有する、ベースキャリッジシステムと、
ベースキャリッジシステムのスルーホールを貫通し、第3軸に平行な一対のベースロッドと、
一対のベースロッドに対しほぼ直角で、ベースキャリッジシステムに取り付けられ、ベースキャリッジシステムを支持ロッドに対し固定する少なくとも1本の支持ロッド、をさらに備える、請求項18の運動システム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
特に断らない限り、この欄の記載事項は本願請求項への先行技術ではなく、またこの欄に記載されているからといって先行技術であると自認するものでもない。
【発明の分野】
【0002】
この発明の主題は積層造形装置に関する。より具体的には、ただし限定するものではなく、主題はフィラメントを押し出すこと、プリントプレートにデポジットされた溶融フィラメントを冷却すること、及び積層造形装置の複数の軸に沿っての運動に関する。
【0003】
積層造形はラピッドプロトタイピング、あるいは3D-プリントなどと呼ばれ、試作品の製造から、最終製品の製造まで広範に日常的に用いられている。小売商品から、食品、医療用のインプラントなどに、積層造形は主要な産業で採用されている。
【0004】
産業界は常に安価で良質かつ短時間で製造できる製品を求めている。積層造形はこれらの課題に在来の製造方法に比べ大きく貢献したが、一部の分野で改良が必要である。以下に詳述する。
【0005】
問題の1つは、積層造形装置を一時的にあるいは完全に停止させる際に、ノズル先端で溶融フィラメントが洩れあるいは垂れることである。溶融フィラメントが漏れると製品形状が不完全になり、あるいは製品の仕上げ時間が増える。溶融フィラメントが垂れると、材料が浪費され、材料原価が増加する。これに伴う他の問題として、ノズル先端からの溶融フィラメントの洩れを減らすため、プリントを一時的に停止する際に、フィラメントを大きく後退させる必要があることがある。フィラメントを引き戻し次いで押し出すには時間が掛かり、製造時間を増し、かつ積層造形装置の効率を低下させる。
【0006】
積層造形装置の他の問題として、プリントプレートにデポジットされた溶融フィラメントの冷却が遅くかつ非効率であることがある。プリントプレートへ吹き付けられる冷却空気はあらゆる方向へ流れ、一個所に集中しない。このため溶融フィラマントの冷却は遅く、より多量の冷却空気が必要になる。さらに現状の積層造形装置は、プリントプレート上にデポジットされた溶融フィラメントを冷却する汎用の冷却機構を備えていない。
【0007】
さらに、積層造形装置のノズルアセンブリとプリントプレートの安定性と運動は、プリント品質と製品収率に影響する。例えば、積層造形装置はノズルをロッドアセンブリに沿って運動させ、ロッドは不安定で曲がったり撓んだりしやすい。さらに、ノズルとプリントプレートを運動させるベルトアセンブリは、張力を失いやすい。これらのことはプリント品質を低下させる。
【0008】
上記の点を考慮し、ノズル先端での溶融フィラメントの洩れを抑制し、デポジション後に溶融フィラメントを冷却し、かつ積層造形装置の全体的安定性を改善する技術が必要である。
【発明の概要】
【0009】
積層造形装置の少なくとも1個のノズルアセンブリを運動させる運動システムの例を提供する。運動システムは、第1タワーとベルトアセンブリを備え、第1タワーは第1軸に沿って前後進し、ベルトアセンブリは第1タワーの前後進を可能にする。ベルトアセンブリは、ベルトとギア、及び少なくとも2個のベアリングから成り、ベルトはギアと2個のベアリングとに接触し、ギアの双方に一個ずつベアリングが配置され、ベルトはギアとベアリングに挟まれ、第1タワーに取り付けられている。ギアの回転はベルトを駆動し、これによって第1タワーは第1軸に沿って運動する。
【0010】
積層造形装置の少なくとも1個のノズルアセンブリを運動させる運動システムの、他の例を提供する。運動システムは第1タワー、第2タワー及びキャリッジシステムから成り、第1タワーは第1軸に沿って前後進し、第1タワーは少なくとも3本の一次ロッドから成り、第2タワーは第1タワーを第2軸に沿って昇降させ、少なくとも3本の2次ロッドからなる。キャリッジシステムは、第1タワーを第1軸に沿ってキャリッジシステムに対し前後進させる。キャリッジシステムは、第1タワーを第2軸に沿って第2タワーに対し昇降させる。またャリッジシステムは第2軸に沿って第2タワーに対し昇降する。キャリッジシステムは1次ロッドと2次ロッドが貫通する複数の孔を備えている。
【0011】
積層造形装置の少なくとも1個のノズルアセンブリを運動させる運動システムの、さらに他の例を提供する。運動システムはベースタワーとベルトアセンブリから成り、ベースタワーは第3軸に沿って前後進し、ベルトアセンブリは第3軸に沿ってのベースタワーの前後進を可能にする。ベルトアセンブリは、ベルトと、ギアと、少なくとも2個のベアリングから成る。ベルトはギアと2個のベアリングとに接触し、ギアの双方にベアリングが1個ずつ配置され、ベルトはギアとベアリングの間に挟まれる。ベルトはベースタワーに取り付けられ、ギアが回転するとベルトが運動し、ベースタワーを第3軸に沿って運動させる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
実施例を、添付の図面に限定ではなく例として示し、類似の符号は類似の要素を示す。
【0013】
図1は積層造形装置100の例を示し、スプール104からフィラメント106をシステム102へ供給し、実施例の統合型の冷却システム108により溶融しているフィラメントを冷却し、運動システム112を用いることにより、少なくとも1個のノズルアセンブリ206とプリントプレート528を運動させる。
【0014】
図2Aは実施例でのシステム102の等角投影図で、フィラメント押出アセンブリ202,ノズルホルダ204,及びノズルアセンブリ206を含む。
【0015】
図2Bは実施例でのシステム102の正投影図で、切断線A-Aを示す。
【0016】
図3Aは実施例でのフィラメント押出アセンブリ202の等角投影図である。
【0017】
図3Bは実施例でのフィラメント押出アセンブリ202の断面図で、フィラメント106は省略してある。
【0018】
図3Cは実施例での断面図で、フィラメント押出アセンブリ202へ導入するフィラメント106を示す。
【0019】
図3Dは実施例での断面図で、フィラメント押出アセンブリ202から後退させるフィラメント106を示す。
【0020】
図4は実施例でのフィラメント押出アセンブリ202及びノズルホルダ204の断面図で、突出部402の詳細部を含む。
【0021】
図5Aは実施例でのノズルアセンブリ206の分解図である。
【0022】
図5Bは実施例でのノズルアセンブリ206の分解断面図で、溝512及びシーリング部材514の詳細部を含む。
【0023】
図5Cは実施例でのO-リングシーリング部材514の等角投影図である。
【0024】
図5Dは実施例での冷却室502の分解図である。
【0025】
図5Eは実施例でのフィラメント押出アセンブリ202,ノズルホルダ204,及びノズルアセンブリ206の等角投影図である。
【0026】
図6は実施例でのノズル508の分解図である。
【0027】
図7A及び7Bは、実施例での積層造形装置100内のシステム102を模式的に示す図である。
【0028】
図8は実施例での統合型冷却システム108の等角投影図で、クーラ802、ブロワ804、及びデリバリダクト806を含む。
【0029】
図9Aは実施例でのクーラ802の分解図である。
【0030】
図9Bは実施例でのクーラ802の正投影図で、切断線B-Bを含む。
【0031】
図9Cは実施例でのクーラ802の断面図である。
【0032】
図10A、10Bは、実施例での、バックプレート1004を用い、取付ブロック310に取り付けたクーラ802とブロワ804の分解図である。
【0033】
図10Cは、実施例での、バックプレート1004を用い、取付ブロック310に取り付けたクーラ802とブロワ804の等角投影図である。
【0034】
図10Dは実施例でのブロワ804の等角投影図である。
【0035】
図11Aは実施例でのデリバリダクト806の等角投影図である。
【0036】
図11Bは実施例でのデリバリダクト806の正投影図で、温度センサ1114を含む。
【0037】
図12Aは実施例での冷却ファン808の等角投影図である。
【0038】
図12Bは実施例でのクーラ802、ブロワ804、冷却ファン808、及び配管1204の分解図である。
【0039】
図13は、実施例で、冷却ファン808と配管1204がクーラ802に取り付けられている状態を示す図である。
【0040】
図14Aは、実施例で、カウル1402付きの冷却ファン808と配管1204がクーラ802に取り付けられている状態を示す図である。
【0041】
図14Bは、実施例で、循環ダクト1406がデリバリダクト806に取り付けられている状態を示す図である。
【0042】
図15は、積層造形装置100のプリントプレート528にデポジットされた溶融フィラメント106を冷却し瞬間的に固化させる、実施例での統合型の冷却システム108を例示する図である。
【0043】
図16Aは、実施例での積層造形装置100の等角投影図で、システム102を覆うハウジング112と統合型の冷却システム108を示す。
【0044】
図16Bは他の実施例での積層造形装置1602の等角投影図である。
【0045】
図17は実施例での運動システム112の等角投影図で、第1タワー1702、第2タワー1704,ベルトアセンブリ1802,ベースタワー1706,及びキャリッジシステム1804を含む。
【0046】
図18は実施例での第1タワー1702の分解図である。
【0047】
図19Aは実施例での第1保持プレート534の分解図である。
【0048】
図19Bは実施例での第2保持プレート1808の分解図である。
【0049】
図20は実施例での第2タワー1704の分解図である。
【0050】
図21は実施例での保持プレート2006の分解図である。
【0051】
図22は実施例でのモータ台2008の分解図である。
【0052】
図23Aは実施例でのキャリッジシステム1804の正投影図で、切断線C-C及びD-Dを示す。
【0053】
図23Bは実施例でのキャリッジシステム1804の断面図である。
【0054】
図24Aは実施例でのキャリッジシステム1804の等角投影図である。
【0055】
図24Bは実施例でのキャリッジシステム1804の断面図である。
【0056】
図25は実施例でのキャリッジシステム1804とモータ2302の分解図である。
【0057】
図26は実施例でのキャリッジシステム1804の正投影図である。
【0058】
図27は実施例でのベースタワー1706の分解図である。
【0059】
図28は実施例でのプリントプレート支持ブロック2706の等角投影図である。
【0060】
図29は実施例でのベースキャリッジシステム2702の分解図である。
【0061】
図30は実施例でのベースキャリッジシステム2702とホルダープレート3210の分解図である。
【0062】
図31A及び31Bは、実施例での、ベースキャリッジシステム2702と、支持ロッド3102,及びモータ台2008である。
【0063】
図32は、実施例での、第1タワー1702及びプリントプレート528を運動させるために用いる、ベルトアセンブリ1802の分解図である。
【0064】
図33Aは、実施例での、ノズルホルダ204に取り付けられた第1保持プレート534に取り付けられたベルトホルダ3208の分解図である。
【0065】
図33Bは実施例でのベルトホルダ308の等角投影図である。
【0066】
図34は実施例での第1保持プレート534とノズルホルダ204の分解図である。
【0067】
図35は、実施例での第2保持プレート1808の等角投影図である。
【0068】
図36は、実施例でのプリントプレート支持ブロック2706に取り付けられたベルトホルダ3208の分解図である。
【0069】
図37は、実施例でのベースプレート3702とベースキャリッジシステム2702の分解図である。
【0070】
図38は実施例でのベースプレート3702の等角投影図である。
【0071】
図39は実施例での第1タワー1702の外装アセンブリの分解図である。
【0072】
図40は実施例での第2タワー1704の外装アセンブリの分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0073】
以下の詳細な説明では添付の図面を参照し、図面は開示の一部である。図面は例としての実施例に沿った表示である。これらの例としての実施例(以下単に”実施例”という)を、当業者が本発明を実施できる程度に詳細に説明する。しかしながら、本発明はこのような詳細にとらわれずに実施できることは当業者には自明であろう。本願請求項の範囲から外れずに、実施例を組み合わせ、あるいは他の実施例を用い、構造、論理、及びデザインを変更することができる。
【0074】
この明細書において、単複をしていしない場合、特許文書の一般的な用法に従い、1と複数の双方を含む。この文書において、用語"あるいは"等は非排他的に用い、"AあるいはB"は特に指摘しない限り、”BではなくA”、”AではなくB”の他に、"A及びB"を含む。
【0075】
図1図2A,2B,図8,及び図17に示すように、システム102が積層造形装置100のために設けられている。スプール104からノズル508へフィラメント106を供給し、統合型の冷却システム108が積層造形装置100のプリントプレート528にデポジットされた溶融フィラメント106を冷却するために設けられている。運動システム112が、積層造形装置100のために、少なくとも1個のノズルアセンブリ206とプリントプレート528を運動させるために設けられている。
【0076】
概観
積層造形装置100は、スプール104からフィラメント106をノズルへ供給する機構を備えている。図2Aを参照すると、システム102はフィラメント押出アセンブリ202,ノズルホルダ204,お呼びのズルアセンブリ206を備えていても良い。図4を参照すると、ノズルホルダ204はさらに突出部402を備えていても良く、ノズルホルダ204には突出部402内へ伸びるスルーホール404が設けられている。図5A,Bを参照すると、ノズルアセンブリ206はさらに冷却室502を備えていても良い。ノズルホルダ204のスルーホール404と位置合わせされていても良いスルーホールが510が、冷却室502に設けられていても良い。少なくとも1個のシーリング部材514を収容するように、冷却室502のスルーホール510と同軸に、少なくとも1個の溝512が、冷却室502に設けられていても良い。フィラメント押出アセンブリ202は、フィラメント106を、スプール104から、ノズルホルダ204へ、プッシャアーム302と、ベアリング304及びギア306のアセンブリを用いて(図3B参照)押し出す。ノズルホルダ204の突出部402は、フィラメント押出アセンブリ202から押し出されたフィラメント106を受け取る。フィラメント106は次いでシーリング部材514を介してノズルアセンブリ206へ入り、シーリング部材514はフィラメント106がノズル508へ入る気密な経路を形成する。
【0077】
最初に、統合型の冷却システム108は積層造形装置100のプリントプレートにデポジットされた溶融フィラメント106を冷却する。図8を参照すると、統合型の冷却システム108は、空気を冷却するクーラ802,ブロワ804,およびデリバリダクト806を含んでいても良い。クーラ802は、冷却ダクト904を用いる冷却機構に取り付けても良い(図9A-9C参照)。冷却機構は、冷却ダクト904を用い、クーラ802により規定される、キャビテイ910へ冷たい流体を注入する。クーラ802は、クーラ802内を循環する冷たい流体により、低温に保たれている。ブロワ804は、クーラ802に設けられた開口902から空気を吸引し、空気をデリバリダクト806へ引き渡す。空気はクーラ802と接触することにより冷却される。デリバリダクト806には、複数の通気孔1106(図11A-11B参照)を設けても良い。ブロワ804とデリバリダクト806は、結合ダクト1104で互いに結合しても良い。ブロワ804は、結合ダクト1104を介して、冷却空気を冷却ダクト806へ送気する。冷却空気は複数の通気孔1106を介してデリバリダクト806から出て、積層造形装置100のプリントプレート528にデポジットされた溶融フィラメント106を急冷する。
【0078】
運動システム112を参照すると、このシステムはノズルアセンブリ206とプリントプレート528を運動させる。図17,18に示すように、運動システム112は、少なくともノズルアセンブリ206を運動させるため、第1タワー1702,第2タワー1704,ベルトアセンブリ1802及びキャリッジシステム1804を含む。ベルトアセンブリ1802は第1軸1708に沿って第1タワー1702を前後進させる。図32に示すように、ベルトアセンブリ1802はベルト3202,ギア3204、及び少なくとも2個のベアリング3206を含む。ギア3204とベアリング3206は、ギア3206の両面にベアリング3206が各1個存在するように、配置される。ベルト3202はギア3204及び2個のベアリング3206と接触し、ベルト3202はギア3204とベアリング3206に挟み込まれる。第1タワー1702は、第1軸1708に沿って前後進する3個の1次ロッド1806を備えている。第2タワー1704は、3個の2次ロッド2002(図20参照)を備えている。第2タワー1704は、第1タワー1702が第2軸1710に沿って昇降できるようにする。キャリッジシステム1804は、第1タワー1702が、第1軸1708に沿って、キャリッジシステム1804に対して相対的に、前後進することを可能にし、さらに第1タワー1702が第2タワー1704を第2軸1710に沿って昇降させることを可能にする。キャリッジシステム1804は、1次ロッド1806及び2次ロッド2002が貫通するように、複数の孔2310,2312,2402,2404を備えている。運動システム112は、プリントプレート528を運動させるため、ベースタワー1706とベルトアセンブリ1802を備えている。ベルトアセンブリ1802は、ベースタワー1706が第3軸1712に沿って前後進することを可能にする。
【0079】
フィラメント押出アセンブリ202の詳細
図1図7Bをより詳細に参照すると、実施例では、システム102は複数のフィラメント押出アセンブリ202と、複数のノズルホルダ204,及び複数のノズルアセンブリ206を備えている。
【0080】
図2Bは実施例のシステム102の正投影図で、切断線A-Aを示す。システム102と関連するパーツを以下に詳細に示す。
【0081】
システム102は測長した長さのフィラメント106をスプール104から極めて高速で引き渡し、そのためにフィラメント押出アセンブリ202を用いる。図3Aは、フィラメント106を省略した、フィラメント押出アセンブリ202の等角投影図である。フィラメント押出アセンブリ202は、軸と目ピン314により支持ブロック310に回転可能に取り付けられたプッシャアーム302を含んでいる。フィラメント押出アセンブリ202はさらにベアリング304,ギア306,及びテンションスプリング308を含んでいる。テンションスプリング308は、プッシャアーム302とソケット320内で接触し(図3B )、プッシャアーム302の一端に取り付けられたベアリング304はギア306側へ押される。
【0082】
1例として、フィラメントガイドブロック316を用い、フィラメント106をフィラメント押出アセンブリ202へガイドする。フィラメント106は、フィラメントガイドブロック316内の孔へ挿入される。フィラメントガイドブロック316は、支持ブロック310にネジ止めしても良く、あるいは支持ブロック310に、現在あるいは将来使用可能な適宜の嵌合機構を用いて嵌合しても良い。
【0083】
一例として、プッシャアーム302は、フィラメント押出アセンブリ202への、フィラメント106のロードとアンロードとをより容易にするため、延長面318を備えていても良い。
【0084】
一例として、支持ブロック310に取り付けられたモータ312がギア306を回転させ、それによってベアリング304を回転させても良い。
【0085】
図3Bは、実施例での、切断線A-A(図2B参照)に沿った、フィラメント押出アセンブリ202の断面図である。プッシャアーム302は、ベアリング304とギア306間の通路へつながるスルーホール322を備えている。一例として、スルーホール322は、頭部が広い孔である。この例では、テンションスプリング308からのバネ力により、ベアリング304とギア306は周縁部で互いに接触する。フィラメント106がシステム102に挿入されていない場合、テンションスプリング308はプッシャアーム302を付勢し、ベアリング304をギア306へ向けて押しつける。
【0086】
図3Cは、実施例での、切断線A-A(図2B参照)に沿って、フィラメント押出アセンブリ202へ導入されたフィラメント106の断面を示す。フィラメント106は、328で示す方向に沿って、フィラメントガイドブロック316を用い、フィラメント押出アセンブリ202へ導入される。フィラメント106は次いでプッシャアーム302内のスルーホール322へ導入される。
【0087】
一例として、フィラメント106はベアリング304とギア306が交差する位置まで、フィラメント押出アセンブリ202内へ導入される。モータ312はギア306を時計回りの方向324に沿って回転させる。すると、ギア306はベアリング304を反時計回りの方向326に沿って回転させる。ベアリング304とギア306の回転により、方向328に沿って、ギア306とベアリング304の間で、フィラメント106を押し出す(あるいは引っ張る)。
【0088】
一例として、プッシャアーム302の延長面318は、手動であるいは自動的に方向332に沿って押すことができる。一旦、フィラメント106がベアリング304とギア306の間に置かれると、プッシャアーム302への力を解除し、テンションスプリング308が伸びプッシャアーム302が回転して戻るように付勢し、この結果、フィラメント106はベアリング304とギア306の間に強く挟まれる。
【0089】
ベアリング304とギア306の間を通るようにフィラメント106を供給することにより、有効なプリンティングに必要なフィラメント106の張力の一部が供給される。
【0090】
図3Dは、実施例での、切断線A-A(図2B参照)に沿っての断面図で、フィラメント押出アセンブリ202から後退するフィラメント106の断面を示す。プッシャアーム302の延長面318は、手動あるいは自動で、332で示す方向に押される。これによりベアリング304はギア306から離れ、図示のように、これらの間隔を拡げる。フィラメント106は次いで、330で示す方向に沿って、フィラメント押出アセンブリ202から後退する。
【0091】
ノズルホルダ204
システム102は、ノズルホルダ204を介して、フィラメント106をフィラメント押出アセンブリ202からノズルアセンブリ206へガイドする。図4は、フィラメント押出アセンブリ202及びノズルホルダ204の断面図で、突出部402を拡大して示し、切断線A-A(図2B参照)に沿っての実施例の図である。ノズルホルダ204は突出部402を含み、これはベアリング304とギア306の交差部の直下にある。ノズルホルダ204は突出部402まで伸びるスルーホール404を備えている。ノズルホルダ204はさらに、ノズルアセンブリ206をノズルホルダ204に取り付けるノズル台408を備えている。ノズルホルダ204はさらにスタッドボルト406を備え、テンションスプリング308を支持及び固定する。スタッドボルト406により、バネ張力をマニュアルで調整できる。
【0092】
突出部402により、フィラメント106は適切にノズルホルダ204へガイドされ、次いでノズルアセンブリ206へガイドされる。一例として、突出部402の上端に面取り部410を設け、ベアリング304及びギア306との隙間を極く僅かにする。ノズルホルダ204の突出部402に関し、ノズルホルダ204の突出部402の面取り部410を、ベアリング304とギア306の複合体と組み合わせることにより、フィラメント106を短時間だけ露出させるように、フィラメント押出アセンブリ202がフィラメント106をノズルホルダ204の突出部402へ押し出すことができる。突出部402により、フィラメント106をより容易にかつ切れないように供給できる。例えば、フィラメント押出アセンブリ202からのフィラメント106の出口と、フィラメント106のノズルホルダ204への入口との距離が過大であると、フィラメント106が外力により座屈し切れる可能性がある。これに対して実施例では、フィラメントが切れることを防止し、かつフィラメント106に適切な張力を加える。
【0093】
ノズルアセンブリ206
ノズルアセンブリ206はシステム102の重要部品で、ノズルホルダ204を介し、フィラメント押出アセンブリ302からフィラメント106を受け取り、溶解し、プリントプレート528にフィラメント106をデポジットする。図5Aは、実施例でのノズルアセンブリ206の分解図(フィラメント106を省略)である。
【0094】
実施例では、ノズルアセンブリ206はノズルホルダ204からフィラメント106を受け取る冷却室502を備えている。ノズルアセンブリ206はさらに、フィラメントチューブ504,フィラメントチューブ断熱部506及びノズル508を備えている。
【0095】
図5Bは実施例での、フィラメント106無しでの、ノズルアセンブリ206の分解断面図である。冷却室502はスルーホール510を備え、スルーホール510の軸はノズルホルダ204のスルーホール404の軸と軸合わせされ、フィラメント106をノズル508まで通過させる。冷却室502はさらに、少なくとも1個の溝512をシーリング部材514を収容するために備え、溝は冷却室502のスルーホール510と同軸である。
【0096】
実施例では、ノズルアセンブリ206をノズルホルダ204に固定した際に、ノズルホルダ204と冷却室502との境界に、溝512を設ける。溝512は、冷却室502に孔開け加工され、少なくとも1個のシーリング部材514(図5C参照)を優勝するように所定の深さに設ける。さらに、溝512の直径は、冷却室502に設けたスルーホール510の直径以上の大きさで、前記少なくとも1個のシーリング部材514の外径未満の大きさである。シーリング部材514は、直径が溝512よりも大きく、溝512内に置かれると溝512の表面に密着する。このようにして、シーリング部材514を溝512に密着させる。
【0097】
この実施例では、溝512は2個のシーリング部材514を受け入れる。シーリング部材514は例えば、ノズルアセンブリ206をノズルホルダ204へ取り付け、フィラメント106がノズルホルダ204のスルーホール404と冷却室502のスルーホール510を通る際に、フィラメント106が通る気密な経路が形成されるように、溝512内に収容する。このようにすると、ノズル先端544(図5A参照)に達するまで、フィラメント106に一定の張力が加わり、フィラメント106が弛むことを防止できる。
【0098】
一例として、シーリング部材514は可撓性のある弾性材料で構成されている。例えば、シーリング部材514は図5Cに示すようにO-リングのシールである。
【0099】
冷却室502は好ましくは突出部516を備え、ノズルアセンブリ206をノズルホルダ204のノズル台408にノズルアセンブリ206を取り付ける。突出部516は例えば外面にネジが設けられノズルホルダ204のノズル台408へねじ込まれているが、現在あるいは将来に利用できる嵌め合わせ機構を用いて嵌め合わせても良い。
【0100】
他の例では、冷却室502はフィラメントチューブ504を収容する孔518を備えている。さらに、冷却室502は好ましくは、フィラメントチューブ断熱部506のねじ切り突起522をネジ止めするネジ孔520を備えていても良い。冷却室502はさらに、ねじ切り突起522以外にも、フィラメントチューブ絶縁部504の一部を収容する孔524を備えていても良い。
【0101】
フィラメントチューブ504は、ノズルホルダ204のスルーホール404と同軸にスルーホール526を備え、フィラメント106は通過しノズル508に達する。他の例では、フィラメントチューブ断熱部506はスルーホール528を備えてフィラメントチューブ504を貫通させる。さらにフィラメンチチューブ断熱部506はネジ孔530を備え、ノズル508のねじ切り突出部532をネジ止めする。ノズル508は孔530を備え、フィラメントチューブ504を収容する。さらにズル508にはノズル先端544が設けられ、溶融したフィラメント106がプリントプレート528へ通過する。
【0102】
図5Dは、実施例での冷却室502の分解図である。冷却室502は、冷却流体が流れるように所定深さまで孔開けされた孔536を備えている。孔536は閉じているか、あるいはシール538によりシールされている。さらに冷却室502は他に2個の孔540を備え、2つの孔540の軸は孔536の軸に直交する。2つの孔540は、孔540が孔536に達するまでドリルされ、冷却流体が通過する経路を構成する。各孔540は冷却ダクト542に接続され、冷却ダクトは冷却機構に取り付けられている。冷却機構は、統合型の冷却システムの欄で詳述する。
【0103】
積層造形装置の作動中、ノズル508はフィラメントが溶融する温度に保たれねばならない。ノズル508は熱伝導率が高い黄銅製で、熱をノズルアセンブリ206へ伝える。この熱によりフィラメント106がノズル508に達する前に溶融する可能性が生じるため、これは好ましくない。冷却室502を循環する冷却流体は、フィラメントチューブ504及びフィラメントチューブ断熱部506が熱を受け取らないように熱を吸収し、フィラメントチューブ504及びフィラメントチューブ断熱部506を保冷する。これにより、フィラメントチューブ504内のフィラメント106を固体に保ち、ノズル508に達する前に溶融することを防止する。
【0104】
さらに、冷却室502は多数のひれ550を備えノズルアセンブリ206を冷却する。これにより冷却室502からさらに熱が放散される。
【0105】
図5Eは、実施例での、フィラメント押出アセンブリ202、ノズルホルダ204,及びノズルアセンブリ206の等角投影図である。排気ファン546が取付部ロック310に取り付けられ、冷却室502を冷却する。これにより冷却が促進され、プリンティング性能が向上する。
【0106】
図6は、実施例でのノズル508の分解図である。ノズル508は2個のヒータ602を備え、ノズル508内でフィラメント106を溶解させるに足る熱を発生する。さらに、ノズル508はサーミスタ604を備えていても良い。サーミスタ604はノズル508の温度を検出し、必要に応じて温度を変化させるために用いる。ノズル508は黄銅、青銅等の高熱伝導度材料で構成されている。
【0107】
他の例では、ノズルキャップ608がノズル508を取り囲む。ノズルキャップ608は高温のノズル508から周囲へ熱が伝わることを防止するシールドで、ノズル508を保温する。ノズルキャップ608は、プリントプレート528にデポジットされたフィラメント106を冷却する、冷却空気がノズル508に達することを防止するバリアでもある。他の例では、ノズルキャップ608はノズル508に直接接触することを防止し、積層造形装置100を操作する人への安全手段となる。
【0108】
他の例では、ノズルキャップ608は、冷却室502の下方で、ノズルアセンブリ206を取り囲む。ノズルキャップ608は、ノズル508に2個のネジ614により固定される。ネジ614はノズルキャップ608の孔616を通り、ノズル508の表面に接触し、ノズル508とノズルキャップ608を一体に保つ。ノズルキャップ608はノズル先端544が通過するスルーホール610を備えている。
【0109】
他の例では、ノズル508はさらにワッシャ606を備え、ノズル508とノズルキャップ608の接触面の圧力を均一にする。
【0110】
一例として、フィラメントチューブ504の少なくとも一部が冷却室502に受け入れられ、フィラメントチューブ504の少なくとも他の一部がノズル508に受け入れられる。フィラメント106はフィラメントチューブ504を通過しノズル508に達する。フィラメント106はノズル508で加熱されて溶融する。
【0111】
一例として、フィラメントチューブ504はノズル508に比べ熱伝導率が低く、冷却室502はフィラメントチューブ504よりも熱伝導率が高い。一例として、冷却室502はアルミニウム製で、フィラメントチューブ504及びフィラメントチューブ断熱部506はステンレス製である。さらにノズルは例えば黄銅製である。
【0112】
図7A、7Bは、実施例での、積層造形装置100へフィラメント106を押出かつ後退させるシステム102を例示する。図7Aに示すように、フィラメント106は702で示す方向にシステム102へ挿入される。積層造形装置100のオペレータはモータ312を起動し、ギア306を時計回りに回転させる。これによりベアリング304は反時計方向706に沿って回転する。ベアリング304とギア306の回転は、フィラメント押出アセンブリ202を動作させ、フィラメント106を方向702に沿って押出、ノズルホルダ204の突出部402へ導入する。突出部402はベアリング314とギア306の交差部に近接しているので、フィラメント106は最短の露出時間で、フィラメント押出アセンブリ202から、ノズルホルダ204の突出部402へ運動する。これによりフィラメント106のテンションが保たれ、フィラメント106が垂れることを防止する。モータ312は連続回転し、フィラメント106のノズルアセンブリ206の冷却室502への押出を続ける。フィラメント106はO-リングシール514を通過し、冷却室502の孔510へ押し出される。このように、突出部402を、ベアリング304とギア306の交差部、(ノズルホルダ204の)スルーホール404、O-リングシール514,及び(冷却室502の)孔510に近接して配置すると、フィラメント106の気密な通路が得られる。ノズルアセンブリ206のヒータ602はフィラメント106を溶融させる。溶融したフィラメント106はノズル先端544を通り、プリントプレート528にデポジットされる。
【0113】
プリントプレート528への溶融フィラメント106の積層は、ある時点で、一時的に停止させることがある。例えばシステム102を一点から他の点へ運動させる、あるいは所要の形状が得られた際に、溶融フィラメント106の積層を終了させるためである。例えば図7Bに示すように、システム102が1層716の溶融フィラメント106をプリントプレート528に、点718から点720までデポジットしたとする。システム102が溶融フィラメント106の他の層をデポジットするには、システム102は点720から点718へ復帰する必要がある。この間、効率的にかつ有効にプリントするため、システム102は、プリントプレート528にノズル先端544から溶融フィラメント106が溢れずかつ漏れないように、点720から点718へ復帰する必要がある。システム102は気密にシールされているので、方向708に沿ってフィラメント106を引き戻す。この時、ギア306は反時計方向710に沿って回転し、次いでベアリング304は時計方向712に回転する。システム102は気密なので、引き戻しが必要なフィラメント106の量は僅かでよい。このため、プリント時間が減少し、積層造形装置100の機械効率が向上する。システム102が気密であることは、ノズル先端544からの溶融フィラメント106の洩れや溢れの機会をさらに減少させる。またシステム102が気密であることは、フィラメント106の張力をさらに一定にする。
【0114】
クーラ802
統合型の冷却システム108及び関連部品を詳細に説明する。
【0115】
積層造形装置100の統合型の冷却システム108は、クーラ802を用い、積層造形装置100のプリントプレート528にデポジットされた溶融フィラメント106を、冷却空気により固化させる。図9Aは実施例でのクーラ802の分解図である。クーラ802は、空気が通過する少なくとも1個の開口902を備えている。実施例では、この開口はスルーホール902である。大気は、ブロワ804(ブロワ804の欄で詳述)により開口902へ吸引される。クーラ802は2個の開口906を備え複数の冷却ダクト904を受け入れる。冷却ダクト904は、使用可能な取り付け機構を用いて、ブロワ802に取り付けられる。この実施例では、冷却ダクト904はクーラ802に結合用のチューブ908により取り付けられる。
【0116】
一例として、クーラ802は冷却機構(不図示)に冷却ダクト904により取り付けられる。冷却機構は流体を冷却し、2個の冷却ダクト904の一方を用いて、クーラ802に冷却流体を供給する。冷却機構はさらにクーラ802から他方の冷却ダクト904介して高温の流体を受け入れ、冷却し、冷却ダクト904を用いて送り返す。このように、冷却機構は流体を循環させる。
【0117】
他の例では、冷却機構はクーラ802から受け取った高温流体を排出し、冷たい流体をクーラ802へ循環させる。
【0118】
一例として、冷却機構は、熱電クーラ、蒸発クーラ等の流体冷却用クーラが好ましい。流体はガスあるいは液体で、例えば冷媒、液体窒素などである。
【0119】
図9Bは、実施例での、クーラ802の正投影図で、切断線B-Bを示す。
【0120】
図9Cは、実施例での、切断線B-B(図9Bに図示)に沿っての、クーラ802の断面図である。クーラ802は、低温流体が通過するキャビテイ910を備え、一例ではキャビティ910は孔開けされ、生じた孔914(図9A参照)はストッパ912(図9Aにも図示)により閉じている。
【0121】
一例として、冷却流体はクーラ802のキャビテイ910を循環し、クーラ802から吸熱し、クーラ802を冷却する。一例では、クーラ802はアルミニウムなど効率的に短時間でクーラ802を冷却できる材料で構成されている。
【0122】
ブロワ804
統合型の冷却システム108は、クーラ802の開口から大気を吸引し、ブロワ804を用いて、デリバリダクト806へ循環させる。図10A及び10Bは、実施例での、クーラ802及び、バックプレート1004により取り付け台310へ取り付けられたブロワ804の分解図である。ブロワ804は、ファン1020(図10Dにも図示)を備え、クーラ802を介して大気を吸引し、冷却空気をデリバリダクト806へ送気する。バックプレート1004は、取り付け台310を用いて、ノズルホルダ204へ、ブロワ804とクーラ802を取り付ける。
【0123】
一例では、ブロワ804は、直径方向の両側に、2個の突起1008を備えている。2個の突起1008には各々ネジ孔が設けられている。バックプレート1004にはネジ孔1016が、クーラ804にはネジ孔1024が設けられ、ネジ孔1016,1024は突起1008の軸と軸が平行である。突起1008及びネジ孔1016,1024は、ネジが通るようにされている。バックプレート1004,クーラ802,及びブロワ804は、締結ネジ1006により、一体にされている。
【0124】
一例では、取付部ロック310の各々は、ネジ1010が貫通するように、3個のネジ孔1012を備えている。ノズルホルダ204は、3個の孔1014を2セット備え、孔1014の軸がスルーホール1012の軸と揃うようにしてある。ネジ切りをしたスルーホール1012及び孔1014は、ネジ1010が貫通する。取り付け台310はノズルホルダ204にネジ1010で固定する。
【0125】
一例として、バックプレート1004はさらに2個のねじ部付き貫通孔1018を備え、ネジ1021を通過させる。各取り付け台310は孔1022を備え、孔1022の軸はバックプレート1004のスルーホール1018の何れかと軸が揃っている。バックプレート1004及び取り付け台310は、ネジ1021により取り付けられる。
【0126】
図10Cは、バックプレート1004を用い、実施例に従って組み立てられた、クーラ802と、ノズルホルダ204に取り付けられたブロワ804、及び取り付け台310の、等角投影図である。
【0127】
図10Dは、実施例での、ブロワ804の等角投影図である。ブロワ804はファン1020を備え、大気を吸引する。一例では、ファン1020はクーラ802の開口902を介し、大気をブロワ804内へ吸引する。クーラ802は、その内部を循環する冷却流体に放熱することにより冷却される。クーラ802の開口902を通る大気は、クーラ802へ放熱し、冷却される。冷却空気はブロワ804へ入り、ブロワ804は開口1018を介し、デリバリダクト806へ冷却空気を送気する。大気から吸収した熱は冷却ダクト904を介し冷却流体により運ばれ、冷却機構へ戻る。
【0128】
実施例では、ブロワ804は高熱伝導度材料で構成され、熱はクーラ802へ運ばれるので、空気がブロワ804へ入るとき既に冷却されている。
【0129】
デリバリダクト806
統合型の冷却システム108は、冷却空気を積層造形装置100のプリントプレート528へ冷却空気をデリバリダクト806を用いて供給し、溶融フィラメント106を固化させる。図11Aは実施例でのデリバリダクト806の等角投影図で、デリバリダクト806は結合ダクト1104によりブロワ804へ接続されている。結合ダクト1104はさらに、ブロワ804の開口1018に固定された開口1108を備えている。
【0130】
実施例では、デリバリダクト806は、積層造形装置100のノズルアセンブリ206を外周から取り囲むアーチ状部分1102を備えている。デリバリダクト806は、冷却空気がデリバリダクト806から出ることができるように、複数の通気孔1106を備えている。
【0131】
一例として、溶融フィラメント106がデポジットされる、積層造形装置100のプリントプレート528(理解しやすいように透明表示)のエリアに、複数の通気孔1106からの冷却空気が収束するように、複数の通気孔1106の向きが規定されている。この例では、冷却空気は複数の通気孔1106を方向1112に沿って出、溶融フィラメント106がプリントプレート528上でデポジットされるエリア1110に達する。
【0132】
一例として、デリバリダクト806は、図11Bの正投影図に示すように、温度センサ1114を備えている。温度センサ1114は、通気孔1106を介しデリバリダクト806から出発する冷却空気の温度を測定する。
【0133】
他の例では、積層造形装置100のコントローラ110(図1に示す)は、温度センサ1114により測定された、デリバリダクト806を出て行く、冷却空気の温度を示す信号を受け取る。コントローラ110は冷却機構を制御し、通気孔1106を出る冷却空気の温度を所望値に変更する。
【0134】
一例として、溶融フィラメント106を固化させるプロセスで、冷却空気は吸熱する。しかしながら、溶融フィラメント106から吸熱した後でも、冷却空気の温度は周囲空気の温度よりも遙かに低い。従って、周囲空気全体を冷却する場合に比べ、通気孔1106を出る空気を冷却することにより、電力効率が向上する。
【0135】
このため、一例として、積層造形装置100の統合型の冷却システム108は、図12Aに示すように、吸引ファン808を備え、プリントプレート528へデリバリダクト806により向けられる冷却空気を吸引する。吸引ファン808はクーラ802に隣接して配置され、吸引ファン808の吸引側1202がプリントプレート528に面し、デリバリダクト806によりプリントプレート528に吹き付けられた冷却空気を吸引する。吸引ファン808は、放出側1220から冷却空気を放出する。冷却空気はクーラ802の正面で吸引ファン808から放出されても良く、その近傍でブロワ804が空気を吸引する。そのようにすると、周囲空気を冷却するための負荷が減少する。
【0136】
図12Bは、実施例での、クーラ802,ブロワ804,吸引ファン808,及び導管1204の分解図である。プリントプレート528へ吹き付ける冷却空気を吸引する際に、吸引ファン808は室温の空気も吸引する。従って、導管1204を用い、プリントプレート528へ吹き付けられた冷却空気を吸引ファン808へ向け、冷却効率を高める。
【0137】
導管1204の結合端1208を用い、導管1204を吸引ファン808に取り付ける。導管1204の他端1216はプリントプレート528へ向かって開いている。導管1204の結合端は、ネジ1224を貫通させる孔を有する突起1222を備えている。冷却ファン808は孔1210(図12A参照)を備え、孔1210の軸が突起1222の孔と一直線上に揃うようにしてある。さらにクーラ802は孔1206を備え、孔1206の軸は冷却ファン808の孔1210と直線状に揃うようにしてある。
【0138】
図13は、実施例での、冷却ファン808とクーラ802に取り付けられた導管1204の組立状態を示す図である。冷却ファン808は、ネジ1224を用いクーラ802に取り付けられている。
【0139】
図14Aは、実施例での、カウル1402付きの冷却ファン808、及びクーラ802に取り付けられた導管1204の組立状態を示す図である。カウル1402は、開口1404(図12B参照)を用い、冷却ファン808により吸引された冷却空気を、クーラ802の開口902へ向ける。
【0140】
図14Bは、実施例での、デリバリダクト806に取り付けられたリサイクルダクト1406の組立状態を示す図である。リサイクルダクト1406は、コネクタ1408により、デリバリダクト806のアーチ状部分1102に取り付けられる。コネクタ1408はデリバリダクト806内への挿入部分が開いており、デリバリダクトを流れる冷却空気が一部コネクタ1408を介しリサイクルダクト1406に入る。リサイクルダクト1406は、一端がコネクタ1408に取り付けられ、他端がクーラ802の開口902挿入されている。リサイクルダクト1406を流れる冷却空気は、ブロワ804が吸引できるように、クーラ802の開口へ向けられる。
【0141】
図15は、実施例での、積層造形装置100のプリントプレート528へデポジットされた溶融フィラメント106を冷却し瞬時に固化させる、統合型の冷却システム108を示している。ブロワ804は、クーラ802へ流れるように、周囲空気を吸引する。クーラ802を流れる空気は、クーラ802内を循環する冷却流体により冷却される。ブロワ804は、クーラ802により冷却された空気を、結合ダクト1104を介し、デリバリダクト806へ送気する。冷却空気は通気孔1106からデリバリダクト806を出、通気孔1106はプリントプレート528にデポジットされた溶融フィラメント106の周囲に冷却空気が収束するエリアを形成するように向けられている。この例では、冷却空気は方向1112に沿って通気孔1106を出る。溶融フィラメント106を固化させた後の冷却空気は、導管1204を用い、冷却ファン808により吸引される。
【0142】
図16Aは、実施例での、積層造形装置100の等角投影図である。一例として、積層造形装置100はハウジング112を含み、ハウジング112は剛性があり、システム102と統合型の冷却システム108を含む。
【0143】
図16Bは実施例での積層造形装置1602の等角投影図である。統合型の冷却システム108は、図16Bに示すように、任意の既存のあるいは在来の積層造形装置1602に取り付けることができる。図示した在来の積層造形装置1602は固定のフレーム内をノズルアセンブリ1608が往復する。
【0144】
以上のように、実施例では、統合型の冷却システム108は、既存であるか将来実用化されるかを問わず、任意の積層造形装置に取り付けることができる、汎用のシステムで、積層造形装置によりプリントプレートにデポジットされた溶融フィラメントを冷却する。
【0145】
さらに、既存の積層造形装置は、プリントプレートにデポジットされた溶融フィラメントを冷却する汎用の冷却機構を欠いている。
【0146】
第1タワー1702
少なくとも1個のノズルアセンブリ206とプリントプレート528を運動させる運動システム112、及びその関連部材を詳述する。
【0147】
運動システム112は、第1タワー1702を用い、所望の軸に沿って、少なくともノズルアセンブリ206を運動させる。一例では、y軸、あるいはプリントプレート528の表面に平行な任意の軸である。ここまでに言及したあるいは今後言及する軸の向きは例であり、限定するものではない。一例として、所望の軸即ちy軸を今後第1軸1708と呼ぶ(図17参照)。図18は、実施例での、第1タワー1702の分解図である。第1タワーは、ベルトアセンブリ1802,キャリッジシステム1804,及び少なくとも3個の1次ロッド1806を備えている。3個の1次ロッド1806は、それらの軸が第1軸1708に平行になるように配置され、3個の1次ロッド1806は断面方向に見て三角形状である。3個の1次ロッド1806は、第1保持プレート534及び第2保持プレート1808により位置決めされる。
【0148】
さらに、図17は、積層造形装置100に関する、互いに直交する3軸、即ち第1軸1708,第2軸1710,及び第3軸1712を示す。
【0149】
図19Aは、実施例での、第1保持プレート534の分解図である。第1保持プレート534の前面には、少なくとも3個の孔1902があり、3個の1次ロッド1806の一端を嵌め合わせる。さらに、第1保持プレート534の端面には3個のスルーホール1904があり、これらの軸は3個の孔1902の軸と直角で、3個のスルーホール1902は各々、第1の保持プレート534に設けられた3個の孔1902の各々まで伸びている。3個の1次ロッド1806を3個の孔1902に挿入した際に、3個のピン1906を、第1保持プレート534に設けた3個のスルーホール1904を貫通させ、3個の1次ロッド1806を固定する。
【0150】
図19Bは、実施例での、第2保持プレート1808の分解図である。第2保持プレート1802は、3個の1次ロッド1806の他端を嵌め合わせるため、少なくとも3個の1902を備えている。さらに、第2保持プレート1808の端面には3個のスルーホール1904があり、これらの軸は3個の孔1902の軸と直角で、3個のスルーホール1902は各々、第2の保持プレート1808に設けられた3個の孔1902の各々まで伸びている。3個の1次ロッド1806を3個の孔1902に挿入した際に、3個のピン1906を、第2保持プレート1808に設けた3個のスルーホール1904を貫通させ、3個の1次ロッド1806を固定する。
【0151】
3個の1次ロッド1806は、第1保持プレート534と第2保持プレート1808に設けた孔1902により位置決めされかつ締結される。3個の1次ロッド1806が構成する三角形は第1タワー1702に安定性を付与しかつ第1タワー1702の捻れを防止する。さらに、システム102及び統合型の冷却システム108の合計荷重が第1タワー1702の一端に加わると、第1タワー1702が垂下する可能性がある。第1タワー1702が僅かに垂下しても、積層造形装置100の効率が低下する。3個の1次ロッド1806を三角形に配置することにより、常に3個の1次ロッド1806を平行に保つように安定性を付与し、第1タワー1702の垂下を防止する。
【0152】
他の例では、第1タワー1702は4個以上の1次ロッド1806を備え、これらを第1軸1708に平行に配置し、これらの1次ロッド1806は断面視で三角形を成す。
【0153】
第2タワー1704
運動システム112は、第2タワー1704を用い、所望の軸に沿って、少なくともノズルアセンブリ206を運動させる。一例として、所望の軸はz軸、あるいはプリントプレート528の表面に直交する任意の軸である。以下、説明の便宜上、所望の軸、即ちz軸を、第2の軸1710と呼ぶ。図20は、実施例での、第2タワー1704の分解図である。第2タワー1704は、キャリッジシステム1804,少なくとも3個の2次ロッド2002,及びネジ棒2004を備えている。3個の2次ロッド2002は、軸が第2軸1710に平行になるように配置され、3個の2次ロッド2002は断面視で3角形を成す。3個の2次ロッド2002は、保持プレート2006及びモータ台2008を用いて位置決めされる。
【0154】
図21は、実施例での、保持プレート2006の分解図である。保持プレート2006は少なくとも3個の孔2102を備え、3本の2次ロッド2002の一端を嵌め合わせる。さらに、保持プレート2006は3個のスルーホール2104を端面に備え、3個のスルーホール2104の軸は3個の孔2102の軸と直角で、3個のスルーホール2104は各々、保持プレート2006の3個の孔2102まで伸びている。保持プレート2006に設けられた3個のスルーホール2104を、3個のピン2106が貫通し、3個の2次ロッド2002を3個の孔2102に嵌め合わせた際に、2次ロッド2002を締結する。保持プレート2006はさらに、ネジ棒2004の一端を貫通させるスルーホール2108を備えている。さらに、第2のタワー1704は、保持プレート2006を覆うキャップ2010を備えている。キャップ2010はスルーホール2110を備えて、ネジ棒2004を貫通させる。ナット2112(図20参照)を用いて、ネジ棒2004をキャップ2010にネジ止めする。
【0155】
図22は実施例でのモータ台2008の分解図である。モータ台2008は3個の孔2202を備え、2次ロッド2002の他端を嵌め合わせる。モータ台2008は、キャビティ2204を備え、モータ2206を収容する。さらに、モータ台2008は、モータ2206の内部へ伸びるスルーホール2208を備えている。ネジ棒2004の他端はスルーホール2208を貫通し、モータ2206に結合されている。モータ台2208はさらに4個のスルーホール2210を備え、ネジ2212を貫通させる。モータ2206は孔2214を備え、4個の孔2214の軸は、モータ台2008に設けた4個のスルーホール2210の軸と揃っている。モータ2206は、ネジ2212によりモータ台2008に取り付ける。さらに、モータ台2008は端面に4個のスルーホール2216を備え、ネジ2218を貫通させる。
【0156】
3個の2次ロッド2002は保持プレート2006の孔2102及びモータ台2008の孔2202に取り付け締結される。3個の2次ロッド2002を三角形状に配置したので、第2軸1710回りの捻れによるヨーイングのモーメントが働かない。これにより、第2ロッド2002の捻れが減少し、また1次ロッド1806の捩れも減少する。
【0157】
キャリッジシステム1804
運動システム112は、第1軸1708に沿って第1タワー1702を前後進させ、キャリッジシステム1804を用いて、第1タワー1702により第2タワー1704を第2軸1710に沿って昇降させる。図23Aは実施例でのキャリッジシステム1804の正投影図で、切断線C-C及び切断線D-Dを示す。キャリッジシステム1704はH字型あるいはI字型の構造で、モータ2302を備えている。キャリッジシステム1804の配置では、ウェブ2304が第1軸1712に平行で、2個のフランジ2306が第1軸1708及び第3軸1712に直角である。実施例では、ウェブ2304の一方にL字状の突起2308があり、突起2308は孔2310を備えて、孔2310の軸は第2軸1710に平行である。孔2310はスルーホールでも良い。
【0158】
図23Bは、実施例での、切断線C-C(図23A参照)に沿ったキャリッジシステム1804の断面図である。キャリッジシステム1804のL字状の突起2308は孔2312を備え、孔2312の軸は第1軸1708に平行である。孔2312はスルーホールでも良い。
【0159】
図24Aは、実施例での、キャリッジシステム1804の等角投影図である。キャリッジシステム1804の各フランジ2306は、2個の孔2402を備え、3個の1次ロッド1806の内の2本を貫通させる。さらに、2個のフランジ2306は、各々孔2404を備え、2個の孔2404は孔2402に直角である。3個の2次ロッド2002の内の2本は2個の孔2404を貫通する。第3の2次ロッド2002は突起2308のスルーホール2310を貫通する。
【0160】
図24Bは、実施例での、切断線D-D(図23A参照)に沿った、キャリッジシステム1804の断面図である。キャリッジシステム1804のウェブ2304は孔2406を備え、ネジ棒2004を貫通させる。孔2406はねじ切りした貫通孔である。
【0161】
一例として、キャリッジシステム1804のウェブ2304は突起2408を備え、ねじ切りした貫通孔2406が突起2408内へ伸びるようにする。さらに他の例として、キャリッジシステム1804は、突起2408を覆う四角形のナット(図24A参照)を備える。
【0162】
図25は、実施例での、キャリッジシステム1804の分解図で、モータ2302も示す。キャリッジシステム1804は、8個のブシュ2502を含み、各ブシュ2502は、キャリッジシステム1804の8個のスルーホール2310,2312,2402,2404に挿入する。ブシュ2502により、1次ロッド1804を貫通させるスルーホールと、2次ロッド2002を貫通させるスルーホールを形成する。一例として、キャリッジシステム1804は8個のスルーホール2504を備え、8個のスルーホール2504の軸は、ブシュ2052により構成される8個のスルーホール2310,2312,2402,2404と直角で、8個のスルーホール2504の各々は、ブシュ2502により形成される8個のスルーホール2310,2312,2402,2404まで伸びる。8個のピン2506が8個のスルーホール2504を貫通し、8個のスルーホール2310,2312,2402,2404内で8個のブシュ2502を固定する。
【0163】
一例として、8個のスルーホール2504はねじ切りしたスルーホールで、8個のピン2506はブシュ2502を締め付けるアレンネジで、その結果、ブシュ2502の動きを制限する。
【0164】
図26は実施例でのキャリッジシステム1804の正投影図である。キャリッジシステム1804は、モータ2302をキャリッジシステム1804に取り付けるために凹部2602を備えている。キャリッジシステム1804はネジ2606(図25参照)が貫通する一対の孔2604を備えている。保持プレート3210(ベルトアセンブリ1802の欄で詳述)が、ネジ2606により凹部2602に取り付けられる。
【0165】
一例として、モータ2206はネジ棒2004を回転させ、その結果、ネジ棒2004の回転方向に従って、キャリッジシステム1804が第2軸1710に沿って昇降する。第2軸1710に沿ったキャリッジシステム1804の運動により、第1タワー1702がシステム102及び統合型の冷却システム108と共に、第2軸1710に沿って運動する。ネジ棒2004のキャリッジシステム1804のスルーホール2406内での回転により、キャリッジシステム1804が回転する傾向にある。突起2408を取り囲む四角形のナット2410はキャリッジシステム1804の回転を防止する。
【0166】
一例として、キャリッジシステム1804はピッチ、ローリング、ヨーイングを所定の範囲内に制限し、第1軸1708及び第2軸1710に沿った運動とこれらの軸回りの回転を滑らかにする。
【0167】
一例では、キャリッジシステム1804は光学センサを備え、第1軸1708に沿っての1次ロッド1806の運動を検出する。
【0168】
ベースタワー1706
運動システム112は、ベースタワー1706を用い、所望の軸に沿って、プリントプレート528を運動させる。一例として、所望の軸はx軸、あるいはプリントプレート528の表面に平行で第1軸1708に直角な任意の軸である。簡単のため、所望の軸、即ちx軸を以下では第3軸1712と呼ぶ。図27は、実施例での、ベースタワー1706の分解図である。ベースタワー1706はベルトアセンブリ1802,ベースキャリッジシステム2702,及び少なくとも3個のベースロッド2704を含む。3個のベースロッド2704は、それらの軸が第3軸に平行でかつ第1軸1708に直角になるように配置され、3本のベースロッド2704は断面視で三角形を成す。3本のベースロッド2704は2個のプリントプレート支持ブロック2706により位置決めされて保持される。
【0169】
図28は、実施例での、プリントプレート支持ブロック2706の等角投影図である。各プリントプレート支持ブロック2706は、4本のベースロッド2704を支持するため、4個の孔2802を有する。この例では、4本のベースロッド2704は断面視で三角形状になるように配置されている。プリントプレート支持ブロック2706は複数の孔2806を備え、プリントプレート528を支持する構造体2806を収容する。構造体2804はネジが切られかつバネで付勢したノブで、高さ調整ができ、高速でプリントしている際の衝撃負荷を吸収する。他の例では、構造体2804は磁性ノブで、プリントプレート528は磁気的にプリントプレート支持ブロック2706に取り付けられる。
【0170】
他の例では、ベースロッド2704は、プリントプレート支持ブロック2706の構造体2804と類似の構造で、プリントプレート528を支持する。
【0171】
さらに他の例では、各プリントプレート支持ブロック2706は4個のスルーホールを備え、それらの各軸は孔2802の軸に直角で、4個のスルーホールは各々4個の孔2802まで伸びている。さらに、4個のスルーホールを貫通する4個のピンを用い、4個のベースロッド2704が4個の孔2802に挿入された際に、ベースロッド2704を締結する。
【0172】
図29は、実施例での、ベースキャリッジシステム2702の分解図である。ベースキャリッジシステム2702はH字状のあるいはI字状の構造をしている。ベースキャリッジシステム2702は、ベースキャリッジシステム2702のウェブ2902が第3軸1712に平行で、2個のフランジ2904が第3軸1712に直角になるように、配置されている。ベースキャリッジシステム2702の各フランジ2904は、2個の孔2906を備え、4本のベースロッド2704の2本を貫通させる。
【0173】
一例として、ベースキャリッジシステム2702は4個のブシュ2910を備え、各ブシュ2910はベースキャリッジシステム2702に設けた4個のスルーホール2906に挿入される。ブシュ2910はベースロッド2704が貫通するスルーホールを備えている。
【0174】
一例として、ベースキャリッジシステム2702は4個のスルーホールを備え、4個のスルーホールの軸は、ブシュ2910を貫通するスルーホール2906の軸に直角で、4個のスルーホールは、ブシュ2910を貫通するスルーホール2906にまで伸びる。4個のスルーホールを貫通する4個のピンは、4個のブシュ2910を締結し、その結果、ベースロッド2704を4個のスルーホール2906内に固定する。
【0175】
一例として、4個のスルーホールはネジ付きのスルーホールで、4個のピンはアレンネジであり、スルーホール2906内でブシュ2910を締結し、ブシュ2910の運動を制限する。
【0176】
図30は、実施例での、ベースキャリッジシステム2702及び保持プレート3210の分解図である。ベースキャリッジシステム2702は一対の孔2604を備え、ネジ2606を貫通させる。保持プレート3210(ベルトアセンブリ1802の欄で詳述)は、ネジ2606により、ベースキャリッジシステム2702に取り付けられる。
【0177】
実施例では、ベースキャリッジシステム2702はピッチ、ローリング、ヨーイングの力とモーメントを所定の範囲内に制限し、第3軸1712に沿った運動と軸1712回りの回転を滑らかにする。
【0178】
図31A、31Bは、実施例での、ベースキャリッジシステム2702,支持ロッド3102,及びモータ台2008の分解図である。ベースキャリッジシステム2702はウェブ2706の前面3106に2個の孔3104を備え、2本の支持ロッド3102の一端を取り付ける。モータ台2008も2個の孔3108を備え、モータ台2008上の2個の孔3108の軸が、ベースキャリッジシステム2702の2個の孔3104と同軸になるようにし、支持ロッド3102の他端を固定する。支持ロッド3102は積層造形装置100を安定に保ち、プリントプレート528が第3軸に沿って運動する際の、ベースタワー1706の転倒を防止する。支持ロッドはさらに積層造形装置100の転倒も防止する。
【0179】
ベルトアセンブリ1802
運動システム112は第1タワー1702(及びこれに付随して少なくともノズルアセンブリ206も)及びプリントプレート528を所望の軸に沿って運動させ、このためにベルトアセンブリ1802(第1タワー1702を運動させる第1ベルトアセンブリ1802及びプリントプレート528を運動させる第2ベルトアセンブリ1802)を用いる。図32は、実施例での、第1タワー1702及びプリントプレート528を運動させるベルトアセンブリ1802の分解図である。ベルトアセンブリ1802は、ベルト3202,ギア3204,少なくとも2個のベアリング3206,及び一対のベルトホルダ3208を備えている。なおベルト3202は、ベルトホルダ3208に固定されている。一例として、ベルトホルダ3208は、ベルトを保持すると共に張力を調整する機構であり、ベルトホルダ3208は所定の形状の溝を備えてベルト3202を所定の位置に保持する。これにより、ベルト3202の弛みを除き、ベルト3202には所要の張力が加わる。ギア3204と2個のベアリング3206は、ギア3204の両側に2個のベアリング3206が配置され、互いに外周が接触するように配置される。モータ2302は、4個のネジ3212により、保持プレート3210に固定される。なおモータ2302には、ネジ3212が貫通するように、4個の孔3214を設ける。保持プレート3210は4個のスルーホール3216を備え、これらの軸はモータ2302の孔3214の軸と同一直線上にある。保持プレート3210はギア3204の中心にスルーホール3218を備え、モータ2302に固定される。ベアリング3206は保持プレート3210に2個のピン3220により取り付けられる。保持プレート3210はピン3220を受け入れる2個の孔3222を備え、ベアリング3206はこれにより保持プレート3210に取り付けられる。
【0180】
他の例では、保持プレート3210はネジ2606が貫通する他のスルーホール3224を複数備えている。保持プレート3210のスルーホール3224の軸は、ベースキャリッジシステム2702及びキャリッジシステム1804の一対の孔2604の軸と、同一直線上にある。保持プレート3210の一部はキャリッジシステム1804の凹部2602内に配置されている。ネジ2606は、保持プレート3210をキャリッジシステム1804及びベースキャリッジシステム2702に固定する。
【0181】
図33Aは、実施例での、第1保持プレート534に取り付けられたベルトホルダ3208,及びノズルホルダ204に取り付けられた第1保持プレート534の分解図である。実施例では、ベルト3202はベルトホルダ3208に取り付けられる。ベルトホルダ3208の一方は第1保持プレート534に、他方は第2保持プレート1808に、ネジ3202により取り付けられる。ベルトホルダ3208は一対の孔3304(図33B参照)を備え、ネジ3302を貫通させる。第1保持プレート534の前面に溝3306を設けて、ベルトホルダ3208を嵌め合わせ、他に一対のスルーホール3308を設け、スルーホール3308はベルトホルダ3208の孔3304と同軸にし、ネジ3302を挿入する。ベルトホルダ3208は第1保持プレート534の前面の溝3306に嵌合し、ネジ3302により締結する。ノズルホルダ204は一対の突起3310を備え、さらに4個のネジ3314を係止する4個の孔3312を備えている。
【0182】
図33Bは実施例でのベルトホルダ3208の等角投影図である。ベルトホルダはネジ3302を通す孔3304を備えている。
【0183】
図34は、実施例での第1保持プレート534とノズルホルダ204の分解図である。一例として、第1保持プレート534の背面3402の長手方向に沿って溝3404があり、ノズルホルダ204の一対の突起3310が第1保持プレート534の溝3404に係合する。
【0184】
第1保持プレート534は4個のスルーホール3406を備えて、ネジ3314を通す。第1保持プレート534の4個のスルーホール3406の軸は、ノズルホルダ204の孔3312の軸と同一直線上にある。ノズルホルダ204を第1保持プレート534に以下のように取り付ける。ノズルホルダ204の一対の突起3310を第1保持プレート534の溝3404に嵌め合わせ、ネジ3314は第1保持プレート534のスルーホール3406を通し、ノズルホルダ204の孔3312に固定する。
【0185】
図35は、実施例での、第2保持プレート1808の等角投影図である。第2保持プレート1808は溝3306と、ネジ3302を通す2個のスルーホール3308を備えている。ベルトホルダ3208は第2保持プレート1808に取り付けられ、かつネジ3302を係止する2個の孔3304を備えている。ベルトホルダ3208は第2保持プレート1808に取り付けられ、第2保持プレート1808の溝3306に嵌合され、ネジ3302は第2保持プレート1808のスルーホール3308を貫通し、ベルトホルダ3208の孔3304にネジ止めされる。
【0186】
図36は、実施例での、プリントプレート支持ブロック2706に取り付けられたベルトホルダ3208の分解図である。ベルトホルダ3208は、ネジ3604を通す一対のスルーホール3602を備えている。プリントプレート支持ブロック2706は一対の孔3606を備え、孔3606の軸はベルトホルダ3208のスルーホール3602の孔と同軸である。ベルトホルダ3208は、ネジ3604を用い、プリントプレート支持ブロック2706に取り付けられる。
【0187】
一例として、2つ述べるトホルダ3208は、ネジ3604により、2個のプリントプレート支持ブロック2706に取り付けられる。ベルト3202は2個のベルトホルダ3208により位置決めされかつ保持される。
【0188】
一例として、モータ2302がオンすると、ギア3204が回転し、その結果、ギア3204と接触しているベルト3202が駆動される。このようにして第1軸1708に沿ってベルト3202が駆動され、ベルト3202は第1保持プレート534及び第2保持プレート1808を運動させ、その結果、第1タワー1702を第1軸に沿って運動させる。ギア3204の両側のベアリング3206はベルト3202のタレを除き、トルクも力も減少させずに、所要の張力を加える。
【0189】
他の例では、モータ2302がオンすると、ギア3204が回転し、その結果、ギア3204と接触しているベルト3202が駆動される。これにより、ベルト3202は第3軸1712に沿って駆動され、ベルト3202はプリントプレート支持ブロック2706を運動させ、その結果、プリントプレート528が第3軸1712に沿って運動する。
【0190】
図37は、実施例での、ベースプレート3702及びベースキャリッジシステム2702の分解図である。一例として、ベースプレート3702はH字状あるいはI字状で、積層造形装置100を支持すると共にその全荷重を受け止めるように構成されている。ベースプレートは複数の溝3710を備え、ベースキャリッジシステム2702を位置決めする。各溝3710はねじ切りをしたスルーホール3704を備え、ネジ3706を通す。ベースキャリッジシステム2702は複数のねじ切りをしたスルーホール3708を備え、スルーホール3708の軸はベースプレート3702の溝3710に設けられたねじ切りをしたスルーホール3704の軸と同一直線上にあり、ネジ3706を通す。ネジ3706は、ベースキャリッジシステム2702を第1タワー1706と共に、ベースプレート3702に取り付ける。さらにベースプレート3702は4個のねじ切りをしたスルーホール3712を備え、4個のねじ切りをしたスルーホール3712の軸はモータ台2008に設けた4個のねじ切りをしたスルーホール2216(図22参照)の軸と同一直線上に有り、ネジ2218(図22)を通す。ネジ2218は、モータ台2008,第2タワー1704及び第1タワー1702を、ベースプレート3702に取り付ける。
【0191】
一例として、ベースプレート3702は積層造形装置100の土台をなし積層造形装置100を安定に保つ。ベースプレート3702は軽量かつ剛性で、積層造形装置100を床面等に固定する。なお床面等とは、積層造形装置100が置かれるテーブルあるいは床の面である。ベースプレート3702は、作動中の積層造形装置100の振動を防止する。
【0192】
図38は、実施例での、ベースプレート3702の等角投影図である。ベースプレート3702の底面3802はプラスチックの垂直片3804を複数備えている。プラスチックの垂直片3804により、積層造形装置100の操作性と可搬性が向上する。プラスチックの垂直片3804は床の表面等と積層造形装置100のインターフェースとなり、積層造形装置100から伝搬されるエネルギーを減衰させ、またプリント中の積層造形装置100の振動を減衰させる。
【0193】
ベースプレート3702は第1タワー1702がオーバーハングした際の荷重を分散させる。他の例では、ベースプレート3702は、積層造形装置100のサイズに合わせて、サイズを変更する。
【0194】
一例として、第1タワー1702及び第2タワー1704は外装体を備えている。図39は、実施例での、第1タワー1702の外装体の分解図である。外装体は2個の1次外装体3902を含み、1次外装体3902の一端は複数のスルーホール3906を備え、ネジ3904を通す。第1保持プレート534は複数のスルーホール3906を備え、エッジ3904を通す。第1保持プレート534は複数の孔3908を備え、孔3908の軸は1次外装体3902のスルーホール3906の軸と同一直線上にある。
【0195】
一例として、1次外装体3902の他端はキャップ3910を用い第2保持プレート1808に取り付けられている。キャップ3910は第2保持プレート1808を囲み、端部の対向個所に2個のスルーホール3912を備え、ネジ3914を通す。さらに第2保持プレート1808は端部に2個の孔3914を備えネジ3914を通す。スルーホール3912,3916及び孔3918は、キャップ3910のスルーホール3902と、1次外装体3902の一端のスルーホール3916,及び第2保持プレート1808の孔3918が同軸であるように配置されている。キャップ3910及び1次外装体3902は、ネジ3914により、第2保持プレート1808に取り付けられている。
【0196】
図40は、実施例での、第2タワー1704の外装体の分解図である。外装体は2個の2次外装体4002を含み、2次外装体4002の一端は保持プレート2006にキャップ2010を用いて取り付けられている。キャップ2010は4個のスルーホール4008を含み、キャップ2010の両側に各2個のスルーホール4004が配置され、4個のネジ4006を通す。2次外装体4002の一端には各々2個のスルーホール4008が設けられ、ネジ4006を通す。スルーホール4004,4008及び孔4010は、キャップ2010のスルーホール4004が、第2外装体4002の一端のスルーホール4008、及び保持プレート2006の孔4010と、同軸であるように、配置されている。キャップ2010は及び2次外装体4002は、ネジ4006により、保持プレート2006に取り付けられている。
【0197】
一例として、2次外装体4002の他端はモータ台2008に取り付けられている。モータ台2008は複数の孔4012を備え、ネジ4014を通す。2次外装体4002の他端には、複数のスルーホール4012が設けられ、ネジ4014を通す。2次外装体4002の他端のスルーホール4016は、軸がモータ台2008の孔4012の軸と同一直線上にある。2次外装体4002の他端はネジ4006により保持プレート2006に取り付けられる。
【0198】
外装体(1次外装体3902及び2次外装体4002)は、囲まれた部材を外部要因から保護し、部材を安全に保つ。また外装体は、作業者が外装体内の運動部品に挟まれる等の事故を防止する。外装体は囲まれた部材をダストから保護する。
【0199】
他の例では、コントローラ110はモータ台2008に取り付けられる。
【0200】
一例として、1次ロッド1806,2次ロッド2002,ベースロッド2704、及びプリントプレート528のサイズは、プリント面積を広範囲に変更できるように、プリント面積に合わせて変更する。
【0201】
一例として、プリント後にプリントしたパーツを所望の位置へ搬送できるように、ベースタワー1706からプリントプレート528を取り出す機構を設けても良い。
【0202】
他の例では、積層造形装置100は、外装体内に配線のケーシングを設けても良い。配線のケーシングは積層造形装置100のパーツ間を相互接続する配線及びパーツをコントローラ100へ接続する配線を含む。
【0203】
上記の説明では、各プロセスをステップの列として説明したが、これは単に説明の便宜上のものである。従って、ステップを追加し、ステップを省略し、ステップの順番を変更し、あるいは複数のステップを同時に実行しても良い。
【0204】
具体的な実施例を説明したが、本発明のシステム及び方法の広義の精神及び範囲から逸脱せずに、実施例を修正あるいは変更できる。従って、明細書と図面は、限定的なものではなく、理解を助けるものであると見なされる。
【0205】
本発明の様々な修正及び変更が、本明細書を読むことにより、当業者に疑いもなく自明となるであろう。用いた用語法は説明のためで、限定ではない。明細書は多くの詳細な事項を含むが、これらは本発明の範囲を制限するものではなく、単に本発明の好ましい例を示すものである。このように、本発明の範囲は、上記の具体例ではなく、添付の請求項及びその均等物により定まる。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図6
図7A
図7B
図8
図9A
図9B
図9C
図10A
図10B
図10C
図10D
図11A
図11B
図12A
図12B
図13
図14A
図14B
図15
図16A
図16B
図17
図18
図19A
図19B
図20
図21
図22
図23A
図23B
図24A
図24B
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31A
図31B
図32
図33A
図33B
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40