(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-08
(45)【発行日】2023-05-16
(54)【発明の名称】表示切断レバーを装備したドラッギング式レトログラード時計表示機構
(51)【国際特許分類】
G04B 19/00 20060101AFI20230509BHJP
【FI】
G04B19/00 L
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021184493
(22)【出願日】2021-11-12
【審査請求日】2021-11-12
(32)【優先日】2020-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】594082512
【氏名又は名称】ブランパン・エス アー
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】メディ・デンデン
【審査官】菅藤 政明
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-62784(JP,A)
【文献】特開2006-226990(JP,A)
【文献】特開2020-60560(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04B 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドラッギング式レトログラード時計表示機構(1、80)であって、前記レトログラード時計表示機構(1、80)が埋め込まれている時計のムーブメントによって駆動され、前記レトログラード時計表示機構(1、80)は、少なくとも1つの最初の明確な指示および1つの最後の明確な指示を逆行式に連続的に表示するように配置されており、
- 表示車(28、88)と、
- 前記表示車(28、88)の両側に配置された表示ピニオン(14、82)および固定表示車(30、90)であり、前記表示ピニオン(14、82)は、前記表示車(28、88)に同軸状に自由に取り付けられており、前記固定表示車(30、90)は、前記表示車(28、88)および前記表示ピニオン(14、82)に同心円状に固定して取り付けられており、歯部(32、92)を備えている、表示ピニオン(14、82)および固定表示車(30、90)と、
- 前記固定表示車(30、90)の前記歯部(32、92)に係合された旋回保持要素(36、98)と、
- 前記時計ムーブメントによって動かされ、前記表示車(28、88)を駆動する駆動車(60、126)と、
- 前記表示ピニオン(14、82)を回転状態で束縛する傾向がある戻り要素(2、83)と、
- 前記表示ピニオン(14、82)に堅く接続され、前記表示車(28、88)と回転状態で結合された表示切断レバー(48、112)とを備え、前記表示切断レバー(48、112)は、前記表示車(28、88)に締結されたピン(56)に対して弾性的に支持された弾性ストリップ(54、116)を備えており、
- 前記保持要素および前記表示切断レバー(48、112)は、前記レトログラード時計表示機構(1、80)が最後の指示の表示から次の最初の指示の表示へ動くとき、前記保持要素が旋回するのに対して、前記表示切断レバー(48、112)がロックされるように配置され、したがって前記弾性ストリップ(54、116)は歪み、前記保持要素は前記固定表示車(30、90)の前記歯部(32、92)から解放され、したがって前記戻り要素によって前記レトログラード時計表示機構(1、80)に誘起される応力が弛緩し、前記レトログラード時計表示機構(1、80)を、前記最初の指示を表示する前記初期位置へ逆行方向に戻すことが可能になる、レトログラード時計表示機構(1、80)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの最初に表示される指示を前記少なくとも1つの最後に表示される指示から分離する持続時間が固定されている場合、前記レトログラード時計表示機構(1)は、前記少なくとも1つの最初の指示を前記少なくとも1つの最後の指示から分離する前記持続時間を決定する単一の支持面(124a)を備えた固定の期間制限要素(124)を備えることを特徴とする、請求項1に記載のレトログラード時計表示機構(1)。
【請求項3】
前記少なくとも1つの最初に表示される指示を前記少なくとも1つの最後に表示される指示から分離する前記持続時間が可変である場合、前記レトログラード時計表示機構(1)は、
- 前記少なくとも1つの最初の指示および前記少なくとも1つの最後の指示を分離する異なる値の少なくとも2つの持続時間を管理するように配置されており、前記レトログラード時計表示機構(1、80)が前記最後の指示から前記次の最初の指示へ動くたびに、前記戻り要素によって1刻みずつ駆動されるカム(64)と、
- 前記カム(64)のプロファイルを押圧する移動式のフィーラ・スピンドル(70)とを備え、前記フィーラ・スピンドル(70)はまた、前記少なくとも1つの最初の指示および前記少なくとも1つの最後の指示を分離する異なる値の前記2つの持続時間を決定する少なくとも1つの第1の支持面および1つの第2の支持面(70a、70b、70c、70d)を備えることを特徴とする、請求項1に記載のレトログラード時計表示機構(1)。
【請求項4】
前記フィーラ・スピンドル(70)は追従ビーク(72)を装備しており、前記フィーラ・スピンドル(70)は、前記追従ビーク(72)によって前記カム(64)の前記プロファイルを押圧することを特徴とする、請求項3に記載のレトログラード時計表示機構(1)。
【請求項5】
前記保持要素は、第1の脚部(40、104)を備えるフィンガ(36、98)であり、前記表示切断レバー(48、112)は、第2の脚部(58、122)を備えており、前記第1および第2の脚部(40、58、104、122)は、前記レトログラード時計表示機構(1、80)が前記最後の指示の表示から前記次の最初の指示の表示へ動くとき、前記第1および第2の脚部(40、58、104、122)が前記支持面(70a、70b、70c、70d、124a)に対向しており、次いで前記駆動車(60、126)が前記表示車(28、88)を引き続き駆動するとき、前記第1の脚部(40、104)は前記支持面(70a、124a)から離れる方へ動き、前記第2の脚部(58、122)は前記支持面(70a、124a)に当接するように配置され、それによって前記表示切断レバー(48、112)の旋回を防止し、前記弾性ストリップ(54、116)の引張りを引き起こし、前記保持要素は旋回し、前記固定表示車(30、90)の前記歯部(32、92)から解放されることが可能になり、したがって前記第2の脚部(58、122)が前記支持面(70a、124a)から逆行式に解放され、前記レトログラード時計表示機構(1、80)が前記最初の指示を表示する前記初期位置へ戻ることが可能になることを特徴とする、請求項2~4のいずれか一項に記載のレトログラード時計表示機構(1)。
【請求項6】
前記保持フィンガ(36、98)は、前記表示車(28、88)によって支承されたジャンパ(34、94)によって、前記固定表示車(30、90)の前記歯部(32、92)に弾性的に押し込まれることを特徴とする、請求項5に記載のレトログラード時計表示機構(1)。
【請求項7】
前記駆動車(60、126)は、弾性駆動フィンガ(62、128)を装備しており、前記駆動車(60、126)は、前記弾性駆動フィンガ(62、128)によって前記表示車(28、88)を駆動することを特徴とする、請求項2~6のいずれか一項に記載のレトログラード時計表示機構(1)。
【請求項8】
前記戻り要素は、弾性的に束縛された
戻しラック(2、83)であり、それによって前記戻しラック(2、83)が、前記表示ピニオン(14)を回転状態で束縛する機械的張力を生じさせることを特徴とする、請求項2~7のいずれか一項に記載のレトログラード時計表示機構(1)。
【請求項9】
前記戻
り要素は、第2の駆動フィンガ(68)を備えており、前記戻
り要素は、前記レトログラード時計表示機構(1)が前記最後の指示の表示から前記次の最初の指示の表示へ動くたびに、前記第2の駆動フィンガ(68)を介して、前記カム(64)に締結された星形車(66)を1刻みずつ駆動することを特徴とする、請求項3または
請求項3を引用する請求項8に記載のレトログラード時計表示機構(1)。
【請求項10】
前記レトログラード時計表示機構(1)が指示を表示しているとき、前記戻
り要素によって支承された前記第2の駆動フィンガ(68)は、次第に後退し、前記星形車(66)の所与の歯の後ろに漸進的に位置決めされ、したがって前記レトログラード時計表示機構(1)が前記最後の指示の表示から前記次の最初の指示の表示へ動くとき、前記レトログラード時計表示機構(1)の弾性張力が突然弛緩し、前記戻
り要素は、旋回し、それによって前記第2の駆動フィンガ(68)を駆動し、それにより前記星形車(66)
及び前記カム(64)を前方へ1刻みずつ動かすことによって、前記初期位置へ戻ることを特徴とする、請求項9に記載のレトログラード時計表示機構(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示切断デバイスを装備したドラッギング式レトログラード時計表示機構に関する。
【背景技術】
【0002】
レトログラードとは、終了位置に到達すると逆方向に動き始めて起点に戻る時計表示機構を指す。知られているレトログラード時計表示機構の中でも、特にレトログラード日付表示機構に言及することができ、その一例は、「1」~「31」の日付指示を特徴とする目盛りに対向して動く表示針によって与えられる。表示針は、日付指示「1」~「31」の各々を連続的に指し示し、次いで月の終わりに日付指示「31」に到達すると、日付指示「1」に対向するように逆方向に戻る。次いで、表示針は、再び日付指示「1」~「31」とは反対に動き始める。複数のこれらのレトログラード日付表示機構では、表示針が1つの日付指示から次の日付指示へ動くとき、表示針は、指し示すべき日付指示をわずかに越えて前進しなければ、この日付指示に対向して適切に位置決めされない。
【0003】
したがって、そのような時計表示機構がその起点へ逆戻りする際に、問題が生じる可能性がある。実際には、そのようなレトログラード時計表示機構が「ドラッギング」式であるとき、これはこれらの機構がその終了位置に到達すると、ある期間にわたってその起点への逆戻りが実行されることを意味し、その期間は数時間に及ぶ可能性がある。この時間間隔中に、表示針は、普通なら指し示すべき目盛りの最後の指示を越え、したがってそのようなレトログラード時計表示機構が埋め込まれている時計の所有者に誤った指示を与える。特にこのタイプの時計は高い価値があることが多く、レトログラード時計表示機構が誤った指示を与える数時間の期間が、時計の設計上の欠陥または動作不良の兆候であると所有者によって知覚されることが多いため、これは受け入れ難い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、特にその終了位置から初期位置への逆戻り中に正しい指示を連続的に表示するドラッギング式レトログラード時計表示機構を提供することによって、上述した問題を他の問題とともに改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的で、本発明は、ドラッギング式レトログラード時計表示機構に関し、ドラッギング式レトログラード時計表示機構は、このレトログラード時計表示機構が埋め込まれている時計のムーブメントによって駆動され、このレトログラード時計表示機構は、少なくとも1つの最初の明確な指示および1つの最後の明確な指示を逆行式に連続的に表示するように配置されており、
- 表示車と、
- 表示車の両側に配置された表示ピニオンおよび固定表示車であり、表示ピニオンが、表示車に同軸状に自由に取り付けられており、固定表示車が、表示車および表示ピニオンに同心円状に固定して取り付けられており、歯部を備えている、表示ピニオンおよび固定表示車と、
- 固定表示車の歯部に係合された旋回保持要素と、
- 時計ムーブメントによって動かされ、表示車を駆動する駆動車と、
- 表示ピニオンを回転状態で束縛する傾向がある戻り要素と、
- 表示ピニオンに堅く接続され、表示車と回転状態で結合された表示切断レバーとを備え、この表示切断レバーは弾性ストリップを備えており、保持要素は、弾性ストリップに押し付けられて配置されており、
- 保持要素および表示切断レバーは、レトログラード時計表示機構が最後の指示の表示から次の最初の指示の表示へ動くとき、保持要素が旋回するのに対して、表示切断レバーがロックされるように配置され、したがって弾性ストリップが歪み、保持要素が固定表示車の歯部から解放され、したがって戻り要素によってレトログラード時計表示機構に誘起される応力が弛緩し、このレトログラード時計表示機構を、最初の指示を表示するその初期位置へ逆行方向に戻すことが可能になる。
【0006】
これらの特徴のため、本発明は、ドラッギング式レトログラード時計表示機構を提供し、ドラッギング式レトログラード時計表示機構は、切断デバイスの存在のため、特にこの時計表示機構がその終了位置から初期位置へ逆戻りするとき、そのような機構が埋め込まれている時計の所有者に、表示された情報の正確な指示を一貫して与える。そのとき、実際に、その起点へ逆戻りする期間中に、普通なら指し示すべき目盛りの最後の指示を越え、したがって時計の所有者に誤った指示を与える従来技術のドラッギング式日付表示機構とは異なり、本発明によるドラッギング式レトログラード時計表示機構は、特にその起点へ戻る準備をしているとき、当該指示を一貫して正確に指し示す。したがって、本発明によるレトログラード時計表示機構が埋め込まれている時計の所有者は、自身の時計が設計上の欠陥または動作不良を抱えているという印象をまったく受けず、これは自身の時計に関する所有者の認識にとって非常に好ましい。
【0007】
本発明の特別な実施形態によれば、
- 少なくとも1つの最初に表示される指示を少なくとも1つの最後に表示される指示から分離する持続時間が固定されている場合、レトログラード時計表示機構は、少なくとも1つの最初の指示を少なくとも1つの最後の指示から分離する持続時間を決定する単一の支持面を装備した固定の期間制限要素を備え、
- 少なくとも1つの最初に表示される指示を少なくとも1つの最後に表示される指示から分離する持続時間が可変である場合、レトログラード時計表示機構は、
● 少なくとも1つの最初の指示および少なくとも1つの最後の指示を分離する異なる値の少なくとも2つの持続時間を管理するように配置されており、レトログラード時計表示機構が最後の指示から次の最初の指示へ動くたびに、戻り要素によって1刻みずつ駆動されるカムと、
● カムのプロファイルを押圧する移動式のフィーラ・スピンドルとを備え、フィーラ・スピンドルはまた、少なくとも1つの最初の指示および少なくとも1つの最後の指示を分離する異なる値の2つの持続時間を決定する少なくとも1つの第1の支持面および1つの第2の支持面を備えており、
- フィーラ・スピンドルは追従ビークを備えており、このフィーラ・スピンドルは、追従ビークによってカム・プロファイルを押圧し、
- 保持要素は、第1の脚部を備えるフィンガーピースであり、表示切断レバーは、第2の脚部を備えており、これら第1および第2の脚部は、レトログラード時計表示機構が最後の指示の表示から次の最初の指示の表示へ動くとき、これら第1および第2の脚部が支持面に対向しており、次いで駆動車が表示車を引き続き駆動するとき、第1の脚部は支持面から離れる方へ動き、第2の脚部は支持面に当接するように配置され、それによって表示切断レバーの旋回を防止し、弾性ストリップの引張りを引き起こし、保持要素は固定表示車の歯部から解放され、したがって第2の脚部が支持面から逆行式に解放され、レトログラード時計表示機構が最初の指示を表示するその初期位置へ戻ることが可能になり、
- 保持フィンガーピースは、表示車によって支承されたジャンパによって固定表示車の歯部に弾性的に押し込まれ、
- 駆動車は、弾性駆動フィンガーピースを装備しており、この駆動車は、弾性駆動フィンガーピースによって表示車を駆動し、
- 戻り要素は、弾性的に束縛されたラックであり、それによって戻しラックが、表示ピニオンを回転状態で束縛する機械的張力を生じさせ、
- 戻しラックは、第2の駆動フィンガーピースを備えており、戻しラックは、レトログラード時計表示機構が最後の指示の表示から次の最初の指示の表示へ動くたびに、第2の駆動フィンガーピースを介して、カムに締結された星形車を1刻みずつ駆動し、
- レトログラード時計表示機構が指示を表示しているとき、戻しラックによって支承された第2の駆動フィンガーピースは、次第に後退し、星形車の所与の歯の後ろに漸進的に位置決めされ、したがってレトログラード時計表示機構が最後の指示の表示から次の最初の指示の表示へ動くとき、レトログラード時計表示機構の弾性張力が突然弛緩し、戻しラックは、旋回し、それによって駆動フィンガーピースを駆動し、それにより星形車、したがってカムを前方へ1刻みずつ動かすことによって、その初期位置へ戻る。
【0008】
本発明のさらなる特徴および利点は、本発明によるドラッギング式レトログラード時計表示機構の一実施形態例の以下の詳細な説明からより明らかになり、この例は、添付の図面を参照して、純粋に限定ではなく例示のみを目的として与えられている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】表示された最初の指示と最後の指示との間に位置する状況における、本発明によるドラッギング式レトログラード時計表示機構の上面図である。
【
図2】
図1に示す本発明によるレトログラード時計表示機構の底面図である。
【
図3】固定表示車が取り除かれている、
図2に類似の図である。
【
図4】たとえば日付指示「1」~「31」を特徴とする目盛りの前を時計回り方向に動く表示針を示す詳細図である。
【
図5A】保持フィンガーピースおよび表示切断レバーがフィーラ・スピンドルに接触しているレトログラード時計表示機構の状況を示す上面図である。
【
図5B】固定表示車が存在している、保持フィンガーピースおよび表示切断レバーがフィーラ・スピンドルに接触しているレトログラード時計表示機構の状況を示す底面図である。
【
図5C】固定表示車が省略されている、保持フィンガーピースおよび表示切断レバーがフィーラ・スピンドルに接触しているレトログラード時計表示機構の状況を示す底面図である。
【
図6A】表示切断レバーが引っ張られて、保持フィンガーピースがジャンパの弾性力に逆らって前方へ動き、固定表示車との係合から解放されることが可能になるときのレトログラード時計表示機構の状況を示す上面図である。
【
図6B】固定表示車が存在している、表示切断レバーが引っ張られて、保持フィンガーピースがジャンパの弾性力に逆らって前方へ動き、固定表示車との係合から解放されることが可能になるときのレトログラード時計表示機構の状況を示す底面図である。
【
図6C】表示車が省略されている、表示切断レバーが引っ張られて、保持フィンガーピースがジャンパの弾性力に逆らって前方へ動き、固定表示車との係合から解放されることが可能になるときのレトログラード時計表示機構の状況を示す底面図である。
【
図7A】表示が最後に表示される指示から次の最初の指示の表示へ動く準備をしているときのレトログラード時計表示機構の状況を示す上面図である。
【
図7B】固定表示車が存在している、表示が最後に表示される指示から次の最初の指示の表示へ動く準備をしているときのレトログラード時計表示機構の状況を示す底面図である。
【
図7C】表示車が省略されている、表示が最後に表示される指示から次の最初の指示の表示へ動く準備をしているときのレトログラード時計表示機構の状況を示す底面図である。
【
図8A】最後に表示される指示から次の最初の指示の表示へ動くときのレトログラード時計表示機構の状況を示す上面図である。
【
図8B】最後に表示される指示から次の最初の指示の表示へ動くときのレトログラード時計表示機構の状況を示す底面図である。
【
図8C】最後に表示される指示から次の最初の指示の表示へ動くときのレトログラード時計表示機構の状況を示す上面図である。
【
図8D】最後に表示される指示から次の最初の指示の表示へ動くときのレトログラード時計表示機構の状況を示す底面図である。
【
図8E】最後に表示される指示から次の最初の指示の表示へ動くときのレトログラード時計表示機構の状況を示す上面図である。
【
図8F】最後に表示される指示から次の最初の指示の表示へ動くときのレトログラード時計表示機構の状況を示す底面図である。
【
図14】月の最初の日付指示を表示する状況における、本発明によるドラッギング式レトログラード時計表示機構の上面図である。
【
図15】月の最初の日付指示を表示する状況における、本発明によるドラッギング式レトログラード時計表示機構の底面図である。
【
図16】日付指示「1」と日付指示「2」との間のレトログラード時計表示機構の遷移を示す上面図である。
【
図17】日付指示「1」と日付指示「2」との間のレトログラード時計表示機構の遷移を示す底面図である。
【
図18】日付指示「1」と日付指示「2」との間のレトログラード時計表示機構の遷移を示す上面図である。
【
図19】日付指示「1」と日付指示「2」との間のレトログラード時計表示機構の遷移を示す底面図である。
【
図20】日付指示「1」と日付指示「2」との間のレトログラード時計表示機構の遷移を示す上面図である。
【
図21】日付指示「1」と日付指示「2」との間のレトログラード時計表示機構の遷移を示す底面図である。
【
図22】保持フィンガーピースおよび表示切断レバーがそれぞれの脚部によって期間制限要素の支持面に対向しているときのレトログラード時計表示機構の位置を示す上面図である。
【
図23】保持フィンガーピースおよび表示切断レバーがそれぞれの脚部によって期間制限要素の支持面に対向しているときのレトログラード時計表示機構の位置を示す底面図である。
【
図24】保持フィンガーピースおよび表示切断レバーが期間制限要素の支持面に当接しているときのレトログラード時計表示機構の位置を示す上面図である。
【
図25】保持フィンガーピースおよび表示切断レバーが期間制限要素の支持面に当接しているときのレトログラード時計表示機構の位置を示す底面図である。
【
図26】保持フィンガーピースが固定表示車の歯部から解放されたときのレトログラード時計表示機構の位置を示す上面図である。
【
図27】保持フィンガーピースが固定表示車の歯部から解放されたときのレトログラード時計表示機構の位置を示す底面図である。
【
図28】表示車の駆動の終了時のレトログラード時計表示機構の位置を示す上面図である。
【
図29】表示車の駆動の終了時のレトログラード時計表示機構の位置を示す底面図である。
【
図30】表示切断レバーの弾性ストリップによって及ぼされる保持力が解放され、表示車が瞬時に反時計回り方向に回転するときのレトログラード時計表示機構の位置を示す上面図である。
【
図31】表示切断レバーの弾性ストリップによって及ぼされる保持力が解放され、表示車が瞬時に反時計回り方向に回転するときのレトログラード時計表示機構の位置を示す底面図である。
【
図32】保持フィンガーピースが固定表示車の歯部の方へ戻されるときのレトログラード時計表示機構の位置を示す上面図である。
【
図33】保持フィンガーピースが固定表示車の歯部の方へ戻されるときのレトログラード時計表示機構の位置を示す底面図である。
【
図34】保持フィンガーピースがもう一度戻って狼歯歯部の歯に係合するときのレトログラード時計表示機構の位置を示す上面図である。
【
図35】保持フィンガーピースがもう一度戻って狼歯歯部の歯に係合するときのレトログラード時計表示機構の位置を示す底面図である。
【
図36】日付指示「1」を再び表示しているレトログラード時計表示機構の位置を示す上面図である。
【
図37】日付指示「1」を再び表示しているレトログラード時計表示機構の位置を示す底面図である。
【
図38】たとえば日付指示「1」~「31」を特徴とする目盛りの前を時計回り方向に動く表示針を示す詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、切断デバイスを有するドラッギング式レトログラード時計表示機構を提供することからなる一般的な発明の概念に基づいており、この切断デバイスにより、この機構は、特にその終了位置から初期位置へのこの時計表示機構の逆戻りが実行される数時間の期間中に、表示される情報の正確な指示を連続的に提供することが可能になる。実際には、いくつかの従来のドラッギング式レトログラード時計表示機構では、表示針が1つの日付指示から次の指示へ動くとき、針は、指し示すべき指示、たとえば日付をわずかに越えなければ、この日付指示に対向して適切に位置決めされない。これは、表示機構がその終了位置から初期位置への逆戻りを可能にする状況にある数時間の期間中には厄介である。実際には、この期間中、表示針は誤った指示を与え、それにより時計の所有者は、時計が設計上の欠陥を抱えており、または実際に動作不良が生じていると考える可能性があり、いずれにせよその結果、所有者が自身の時計に悪いイメージを有するようになる。
【0011】
本発明によれば、「直行」方向とは、レトログラード時計表示機構が表示された指示から次の指示の表示へ動くときに、レトログラード時計表示機構の様々な構成要素が回る方向を指し、「逆行」方向とは、レトログラード時計表示機構が最後に表示される指示から次の最初の指示の表示へ動くことによってその初期位置へ逆戻りするときに、レトログラード時計表示機構の様々な構成要素が回る方向を指す。
【0012】
本発明によるドラッギング式レトログラード時計表示機構は、全体として概略的な参照番号1によって示されており、
図1の上面図および
図2の底面図に表されている。本発明の説明の目的で、このレトログラード時計表示機構1は、たとえば日付指示「1」~「31」を表示するように配置されていると想定される。それにもかかわらず、この例は、限定ではなく例示のみを目的として与えられており、このレトログラード時計表示機構は、曜日、月、または実際には週数などの任意のタイプの時間量を表示するために使用することができることが理解されよう。
【0013】
図1に示すように、本発明によるレトログラード時計表示機構1は、非限定的であるが、戻しばね4によって弾性的に束縛された戻しラック2などの戻り要素を備える。その戻しばね4のため、戻しラック2は、歯車列6内に機械的張力を生じさせ、この機械的張力は、それぞれ第1の設定車8、第2の設定車10、および第3の設定車12を介して、表示ピニオン14を反時計回り方向に回転状態にする。
【0014】
より具体的には、
図2をよく見ると、戻しラック2が歯付き部分16を備えており、戻しラック2は、歯付き部分16によって第1のピニオン18に噛み合い、第1のピニオン18は、第1の設定車8とともに第1の移動体20を形成する。次いで、この第1の設定車8は、第2のピニオン22と噛み合い、第2のピニオン22は、第2の設定車10とともに第2の移動体24を形成する。この第2の設定車10は、次いで、第3の設定車12と噛み合う。最後に、第3の設定車12は、表示ピニオン14と噛み合う。ここで設定車の数は、例示のみを目的として与えられており、特に、レトログラード時計表示機構のサイズ、およびこのレトログラード時計表示機構1が埋め込まれている時計(図示せず)の場合に利用可能な空間に応じて変更することができることが明らかである。
【0015】
好ましくは、表示針23が、第2の設定車10の駆動などの任意の好適な手段によって締結される。レトログラード時計表示機構1が日付指示を表示するために使用される上述した状況では、表示針23は、日付指示「1」~「31」を特徴とする目盛り26に対向して時計回り方向に動く(
図4参照)。
【0016】
レトログラード時計表示機構1は、表示車28によって補足され、表示ピニオン14は、表示車28に自由に取り付けられており、表示車28に同軸状に結合される。レトログラード時計表示機構1は、固定表示車30をさらに備え、固定表示車30は、好ましくは狼歯状の歯部32を備えている。この固定表示車30は、ピニオン14および表示車28と同心円状に、時計ムーブメント(図示せず)のブリッジまたはプレートに固定して取り付けられる。
【0017】
弾性ストリップ35を備えるジャンパ34が、
図9に特に示されている。このジャンパ34は、表示車28によって支承されており、好ましくは保持フィンガーピース36などの保持要素を固定表示車30の歯部32に圧入する。表示車28によって支承されたこの保持フィンガーピース36は、旋回軸37の周りに旋回式に取り付けられており、ビーク38を装備し、ビーク38によって、固定表示車30の歯部32に係合される。したがって、この保持フィンガーピース36が、戻しばね4によってもたらされる張力下で、レトログラード時計表示機構1を連続的に保持する。この保持フィンガーピース36はまた、第1の脚部40を備えており(
図10参照)、第1の脚部40の役割については以下で詳述する。言い換えれば、上から見ると、歯部32により、反時計回り方向の弾性張力を保持することが可能になり、表示車28は、1つの日付指示から次の日付指示へ動くとき、時計回り方向に前方へ1刻みずつ動くことが可能になる。
【0018】
ジャンパ34および保持フィンガーピース36は、表示車28のプレート42の両側に配置される。ジャンパ34は、たとえば保持フィンガーピース36によって支承された第1のピン44を介して、保持フィンガーピース36に作用しており、第1のピン44は、表示車28のプレート42に設けられた開口46を通って突出する(
図12参照)。
【0019】
本発明の好ましい実施形態では、保持フィンガーピース36が2つの狼歯間の空間から次の空間へ動くことを可能にするために、歯部32の歯が傾斜した狼歯プロファイルを有することを考慮すると、レトログラード時計表示機構1は、この保持フィンガーピース36が落ちるべき2つの狼歯間の空間をわずかに越えることを可能にしなければ、その後に後方へわずかに戻ってこの空間に落ちることができない。この理由で、1つの日付指示から次の日付指示へ動くとき、表示針23は、指し示すべき日付指示をやや越えてから、この日付指示に対向して適切に位置決めされる。現在の月の間は、指し示すべき日付指示を越えて表示針23によってなされるムーブメントが短時間であり、時計の所有者にはほとんど感じ取れないため、これは特定の問題にならない。他方では、このように越えることは、現在の月の最後の日から次の月の最初の日へ動くときに、より問題となる。実際には、ドラッギング式レトログラード時計表示機構1からなるため、レトログラード時計表示機構1がその終了位置(日付指示「28」、「29」、「30」、または「31」)から初期位置(日付指示「1」)への逆戻りを可能にする状況にある期間は、数時間継続する。したがって、この期間中、表示針23は誤った指示を与え、それにより時計の所有者は、時計が設計上の欠陥を抱えており、または実際に動作不良が生じていると考える可能性があり、いずれにせよその結果、所有者が自身の時計に悪いイメージを有するようになる。この問題を改善するために、本発明は、次に説明する切断デバイスをレトログラード時計表示機構に装備することを提供する。
【0020】
固定表示車30が取り除かれたレトログラード時計表示機構1の底面図である
図3をより詳細に参照すると、切断デバイスはまず、たとえば駆動によって表示ピニオン14に堅く接続された表示切断レバー48を備えることが見て取れる。さらに、表示切断レバー48は、表示車28と回転状態で、この表示車28のプレート42に締結された第2のピン50によって結合される。
図11に特に見られるように、表示切断レバー48はまた、表示車28のプレート42に締結された第3のピン56に対して弾性的に支持された弾性ストリップ54を備える。第2のピン50は、表示切断レバー48に設けられた開口52へ突出する。最後に、表示切断レバー48は、第2の脚部58を備えており、第2の脚部58の役割については以下の説明で詳述する。
【0021】
1日1回、午前零時になる前(典型的に、日付が変わる約1時間から1時間半程度前)に、レトログラード時計表示機構1は、1つの日付指示から次の日付指示へ動き始める。この駆動を可能にするために、
図1では、駆動車60は、24時間で1回転する速度で時計ムーブメントによってそれ自体周知の方法で駆動されており、それによって駆動フィンガ62を駆動し、駆動フィンガ62は、次いで、表示車28を時計回り方向に1刻みだけ駆動することが見て取れる。この駆動中、保持フィンガ36は、固定の表示機構30の狼歯歯部32の2つの連続する歯同士の間の空間からすぐ次の空間へ動き、したがって全体的なレトログラード時計表示機構1の弾性張力下の維持を確実にする。有利には、駆動フィンガ62は弾性を有し、したがってレトログラード時計表示機構1がその初期位置へ戻るときに表示車28が逆行方向に回るとき、表示車28の歯の前から離れることができる。駆動フィンガ62によって提供されるさらなる利点は、その弾性によって、レトログラード時計表示機構1が駆動されてそれにより狂わされることなく、時計の所有者が、反時計回り方向に針回しを実行することが可能になることである。
【0022】
表示切断レバー48は、表示ピニオン14に堅く接続されており、第2のピン50を介して、固定表示車30に対して自由回転状態にある表示車28と回転状態で結合される。したがって、表示車28に同軸状に自由に取り付けられた表示ピニオン14は旋回し、第3の設定車12を介して第2の設定車10を駆動し、第2の設定車10には表示針23が締結されており、したがって表示は、1つの指示から次の指示へ動くことができる。同様に、第3のピン56は、表示切断レバー48の弾性ストリップ54に接触し、表示切断レバー48を回転状態で駆動する。
【0023】
本明細書に記載する本発明によるレトログラード時計表示機構1の好ましい実施形態によれば、駆動フィンガ62は、表示車28、したがって表示車28によって支承された保持フィンガ36を11.1°駆動し、固定表示車30の狼歯歯部32の2つの連続した歯を分離する角度は、ほんの8.57°である。したがって、狼歯歯部32の2つの連続した歯同士の間の空間からすぐ次の空間へ正確に動き、したがって表示される情報が正確に増分されることを確実にするために、保持フィンガ36は必要以上に前方へ動くことが理解されよう。それにもかかわらず、この実施形態は、特にレトログラード時計表示機構1の寸法設定に依存する角度値に関して制限的に解釈されるべきではないことを理解されたい。
【0024】
日付指示「1」~「31」の表示の例はまた、さらなる制限ではなく例示のみを目的として与えられており、本発明によるレトログラード時計表示機構1によって他の時間指示を表示することができ、したがって駆動車60の回転速度は、24時間とは異なることがあることも理解されよう。たとえば、本発明によるレトログラード時計表示機構1が週を表示するために使用される場合、駆動車60は7日で1回転を実行する。または、本発明による表示機構が月を表示することを意図している場合、駆動車60は31日で1回転を実行する。
【0025】
本明細書に記載する本発明によるレトログラード時計表示機構1は、万年日付式である。この目的で、この機構はカム64を備えており、第2の駆動フィンガ68によって駆動される12本の歯を有する星形車66が、カム64に締結される。この第2の駆動フィンガ68は、歯付き部分16を備えた戻しラック2によって支承されており、歯付き部分16は、第1の移動体20および第2の移動体24ならびに第3の設定車12を介して、表示ピニオン14、したがって時計ムーブメントに係合される。
図1をよく見ると理解することができるように、戻しラック2は、表示ピニオン14によって駆動されて、時計回り方向に1日1度ずつ旋回する。このムーブメント中、第2の駆動フィンガ68は次第に後退し、星形車66の所与の歯の後ろに漸進的に位置決めされる。月の終わりに到達し、レトログラード時計表示機構1が当該月の最後の日付指示「31」から次の月の最初の日付指示「1」へ動くとき、レトログラード時計表示機構1の弾性張力が突然弛緩する。そのとき、戻しラック2は、反時計回り方向に旋回し(
図1参照)、それによって第2の駆動フィンガ68を駆動し、それにより星形車66、したがってカム64を時計回り方向に前方へ1刻みずつ動かすことによって、その初期位置へ戻る。
【0026】
最後に、レトログラード時計表示機構1はフィーラ・スピンドル70によって補足され、フィーラ・スピンドル70は、4つの連続する支持面70a、70b、70c、および70dを備えており、各支持面は、28日、29日、30日、および31日の月の異なる持続時間に対応する。より具体的には、フィーラ・スピンドル70の最も外側の端部に位置する第1の支持面70aは、31日の月に対応する。すぐ次の第2の支持面70bは、30日の月に対応し、それに続く第3の支持面70cおよび第4の支持面70dは、29日(うるう年)か28日かに応じて、2月の月に対応する。
【0027】
フィーラ・スピンドル70は、追従ビーク72によってカム64のプロファイルを押圧する。本特許出願に添付の図に示す例では、本発明によるレトログラード時計表示機構1は、31日の月の日付指示の表示に対応する状況にある。したがって、
図5A乃至
図5Cに示すように、レトログラード時計表示機構1が当該月の日付指示「31」を表示しており、次の月の日付指示「1」へ動く準備をしているとき、保持フィンガ36および表示切断レバー48は、それぞれの脚部40および58を介して、フィーラ・スピンドル70の第1の支持面70aに対向している。この位置で、レトログラード時計表示機構1はまだ切断されていない。実際には、日付指示「31」から日付指示「1」への表示の遷移を分離する期間中、駆動フィンガ62は、表示車28に係合されて表示車28を旋回させる。旋回中、この表示車28は、第2のピン50によって表示切断レバー48を駆動し、次いで、表示切断レバー48は、表示ピニオン14を駆動する。同時に(
図6A乃至
図6C)、表示切断レバー48は、その脚部58によってフィーラ・スピンドル70の支持面70aに当接し、ロックされたままである。保持フィンガ36と同様に、表示切断レバー48は、その脚部40によってフィーラ・スピンドル70の同じ支持面70aに当接し、それによりこの保持フィンガ36は、その旋回軸37の周りを旋回する。したがって、旋回中、保持フィンガ36は、ジャンパ34の弾性力に逆らって進み、固定表示車30の狼歯歯部32から解放することが可能である。表示切断レバー48はロックされているため、弾性ストリップ54は、表示車28の旋回の作用を受けて、第3のピン56によって駆動されて引っ張られる。最後に、保持フィンガ36が固定表示車30の狼歯歯部32から解放されたとき、表示切断レバー48の弾性ストリップ54によって及ぼされる保持力が解放される。
【0028】
日付指示の表示は、表示切断レバー48に結び付けられており、実際には、駆動車60が表示車28を駆動し、次いで、表示車28が表示切断レバー48を駆動する。この表示切断レバー48は、表示ピニオン14で駆動されて、その旋回を誘起する。したがって、表示切断レバー48は、1つの月の終わりから次の月の始まりへの遷移に対応する期間中に移動しないため、日付指示はこの期間中に変化しない。駆動フィンガ62が表示車28の駆動を終了し、表示車28から解放されたとき、表示切断レバー48の弾性ストリップ54によって及ぼされる保持力が弛緩し、表示車28は、表示切断レバー48、表示ピニオン14、および歯車列6を介してこの表示車28に印加される戻しばね4の弾性力の作用を受けて、瞬時に反時計回り方向に回る。
【0029】
表示車28が回転を止めたとき、再位置決めカム74またはピン(図示せず)が、固定表示車30の狼歯歯部32に係合された保持フィンガ36を戻す。このとき、レトログラード時計表示機構1は、
図7A乃至
図7Cに示す位置にあり、次の月の日付指示「1」を表示する。
【0030】
レトログラード時計表示機構1の正常動作モードでは、保持フィンガ36のビーク38は、午前零時前後に、このレトログラード時計表示機構1が1つの日付指示から次の日付指示へ動き、保持フィンガ36が、ビーク38が狼歯歯部32の2つの歯同士の間の空間からすぐ次の空間へ動くことを可能にするために必要とされる量だけ旋回することを除いて、狼歯歯部32の歯に常に係合される。レトログラード時計表示機構1が現在の月の最後の日に到達し、次の月の最初の日へ逆戻りしなければならないとき、保持フィンガ36の脚部40は、フィーラ・スピンドル70の支持面70aから離れる方へ動き、したがって保持フィンガ36は傾斜し、そのビーク38は狼歯歯部32との係合から解放される。そのとき、レトログラード時計表示機構1の位置の保持は保証されなくなり、この機構は、新しい月の始まりを示す日付指示「1」へ逆戻りしようとし、次いで保持フィンガーピース36のビーク38は、再び戻って狼歯歯部32の歯に係合し、レトログラード時計表示機構1の位置の保持を再び確実にする。
【0031】
より具体的には、
図8A乃至
図8Eは、レトログラード時計表示機構1が1つの月の最後の日付指示から次の月の最初の日付指示へ動く正確な時間のレトログラード時計表示機構1の動作を示す。これらの
図8A乃至
図8Eで、再位置決めカム74と呼ばれる部品の存在が観察され、再位置決めカム74の役割は、レトログラード時計表示機構1が次の月の日付指示「1」へ戻る際に、保持フィンガ36のビーク38を狼歯歯部32に係合させることからなる。この目的で、この再位置決めカム74は、時計ムーブメントのブリッジまたはプレートに固定して取り付けられ、ノーズ76を備えており、保持フィンガ36に設けられた相手側付属物78が、ノーズ76に対して摺動する。
図8B、
図8D、および
図8Fからはっきりと分かるように、レトログラード時計表示機構1がその初期位置へ戻る際、表示車28は、上面
図8A、
図8C、および
図8Eでは反時計回り方向に回り、それにより保持フィンガ36を駆動し、保持フィンガ36はその旋回軸37の周りを旋回し、その相手側付属物78は、再位置決めカム74の固定ノーズ76に沿って摺動する。このノーズ76のプロファイルは、レトログラード時計表示機構1がその初期位置へ戻ったとき、言い換えれば新しい月の日付指示「1」を示すとき、保持フィンガ36が旋回を終了し、そのビーク38によって固定表示車30の狼歯歯部32ともう一度係合されるように配置される。このムーブメントは、保持フィンガ36とジャンパ34との間の協働によって支援される。実際には、
図8A、
図8C、および
図8Eを注意深く観察することによって、保持フィンガ36によって支承された第1のピン44が、ジャンパ34との接触面を次第に変化させていることが見て取れる。実際には、
図8Aで、保持フィンガ36は、第1のピン44を介してジャンパ34に当接しており、それにより保持フィンガ36が切断位置で保持されることが確実になる。
図8Cで、この第1のピン44は、ジャンパ34の下へ摺動し始めており、レトログラード時計表示機構1が日付指示「1」を指し示すその初期位置へ戻った状況に対応する
図8Eでは、第1のピン44はジャンパ34の下をもう一度完全に通過し、それによりジャンパ34が保持フィンガ36のビーク38を狼歯歯部32へ弾性的に圧入することが可能になる。
【0032】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、当業者であれば、添付の特許請求の範囲に定義される本発明の範囲を離れることなく、様々な修正形態および簡単な変形形態を想定することができることが明らかである。
【0033】
これらの図が示唆しうる内容に反して、駆動車60は、第2の設定車10とともに第2の移動体24を形成する第2のピニオン22に係合されないことに特に留意されたい。
【0034】
カム64のプロファイルのうちフィーラ・スピンドル70がその追従ビーク72を介して押圧する部分に応じて、これはこのフィーラ・スピンドル70の位置、したがって支持面70a、70b、70c、および70dの位置に影響を与えることも理解されよう。したがって、フィーラ・スピンドル70の追従ビーク72が、カム64のプロファイルのうち30日の月に対応する部分を押圧している場合、フィーラ・スピンドル70は、表示切断レバー48の第2の脚部58が、この第2の脚部58が31日の月に対応する第1の支持面70aに当接するときより1日早く、第2の支持面70bに当接する位置にくるように配置される。したがって、弾性張力が弛緩し、レトログラード時計表示機構1は、第2の脚部58が第1の支持面70aに当接する場合より1日早くリセットされる。
【0035】
上述した例では、支持面70a、70b、70c、および70dは合計4つであり、31日の月、30日の月、場合に応じて29日または28日となりうる2月の月にそれぞれ対応することも理解されよう。したがって、これらの4つの支持面70a、70b、70c、および70dにより、万年日付式のレトログラード時計表示機構1を提供することが可能になる。それにもかかわらず、これらの支持面を合計2つのみ、すなわち31日の月のための第1の支持面および30日の月のための第2の支持面のみにすることもできることが明らかであり、それにより従来の年間日付式のレトログラード時計表示機構1を提供することが可能になるはずであり、2月28日から3月1日への日付の変更は自動で実行されない。
【0036】
本発明によるドラッギング式レトログラード時計表示機構の簡略化された実施形態が、
図14乃至
図38に示されている。このドラッギング式レトログラード時計表示機構は、全体として全般的な参照番号80によって示されており、
図14の上面図および
図15の底面図にその簡略化された実施形態で表されている。以下の説明の目的で、このレトログラード時計表示機構1は、日付指示「1」~「31」を逆行式に表示するように配置された簡単な日付表示機構であると想定される。
【0037】
図14に示すように、レトログラード時計表示機構80は、表示ピニオン82を備える。この表示ピニオン82は、戻しラックなどの戻り要素83によって誘起される機械的張力によって、反時計回り方向に回転状態で束縛される。表示針84が、日付指示「1」~「31」を特徴とする目盛り86に対向して時計回り方向に動く(
図38参照)。
【0038】
レトログラード時計表示機構80は、表示車88によって補足され、表示ピニオン82は、表示車88に自由に取り付けられており、表示車88に同軸状に結合される。レトログラード時計表示機構80は、固定表示車90をさらに備え、固定表示車90は、好ましくは狼歯状の歯部92を備えている。この固定表示車90は、表示ピニオン82および表示車88と同心円状に、時計ムーブメント(図示せず)のブリッジまたはプレートに固定して取り付けられる。
【0039】
弾性ストリップ96を装備したジャンパ94が、
図39に特に示されている。このジャンパ94は、表示車88によって支承されており、好ましくは保持フィンガ98などの保持要素を固定表示車90の歯部92に圧入する。表示車88によって支承されたこの保持フィンガ98は、旋回軸100の周りに旋回式に取り付けられており、ビーク102を装備し、ビーク102によって、固定表示車90の歯部92に係合される。したがって、この保持フィンガ98が、表示ピニオン82が受ける機械的張力に逆らって、レトログラード時計表示機構80を連続的に保持する。この保持フィンガ98はまた、第1の脚部104を備えており(
図40参照)、第1の脚部104の役割については以下で詳述する。言い換えれば、歯部92により、反時計回り方向に表示ピニオン82に及ぼされる弾性張力を保持することが可能になり、表示車88は、1つの日付指示から次の日付指示へ動くとき、時計回り方向に前方へ1刻みずつ動くことが可能になる(
図16乃至
図21)。
【0040】
ジャンパ94および保持フィンガ98は、表示車88のプレート106の両側に配置される。ジャンパ94は、たとえば保持フィンガ98によって支えられた第1のピン108を介して、保持フィンガ98に作用しており、第1のピン108は、表示車88のプレート106に設けられた開口110を通って突出する(
図42参照)。
【0041】
制限ではないが好ましくは、保持フィンガ98が2つの狼歯同士の間の空間から次の空間へ動くことを可能にするために、歯部92の歯が傾斜した狼歯プロファイルを有することを考慮すると、レトログラード時計表示機構80は、この保持フィンガ98が落ちるべき2つの狼歯間の空間をわずかに越えることを可能にしなければ、その後に後方へわずかに戻ってこの空間に落ちることができない。この理由で、1つの日付指示から次の日付指示へ動くとき、表示針84は、指し示すべき日付指示をやや越えてから、この日付指示に対向して適切に位置決めされる。この月の間は、指し示すべき日付指示を越えて表示針84によってなされるムーブメントが短時間であり、時計の所有者にはほとんど感じ取れないため、これは特定の問題にならない。他方では、このように越えることは、日付指示「31」から日付指示「1」へ動くときに、より問題となる。実際には、ドラッギング式レトログラード時計表示機構80からなるため、レトログラード時計表示機構80が日付指示「31」に対応するその終了位置から日付指示「1」に対応する初期位置への逆戻りを可能にする状況にある期間は、数時間継続する。したがって、この期間中、表示針84は誤った指示を与え、それにより時計の所有者は、時計が設計上の欠陥を抱えており、または実際に動作不良が生じていると考える可能性があり、いずれにせよその結果、所有者が自身の時計に悪いイメージを有するようになる。この問題を改善するために、本発明は、切断デバイスをレトログラード時計表示機構に装備することを提供する。切断デバイスについては説明しない。
【0042】
組み立てられた表示車88の上面図である
図42および固定表示車90が取り除かれている、この同じ表示車88の底面図である
図43をより詳細に参照すると、切断デバイスはまず、たとえば駆動によって表示ピニオン82に堅く接続された表示切断レバー112を備えることが見て取れる。さらに、表示切断レバー112は、表示車88と回転状態で、この表示車88のプレート106に締結された第2のピン114によって結合される。
図43に特に見られるように、表示切断レバー112はまた、表示車88のプレート106に締結された第3のピン118に対して弾性的に支持された弾性ストリップ116を備える。第2のピン114は、表示切断レバー112に設けられた開口120へ突出する。最後に、表示切断レバー112は、第2の脚部122を備えており、第2の脚部122の役割については以下の説明で詳述する。
【0043】
図16乃至
図21に示すように、1日1回、午前零時になる前(典型的に、日付が変わる約1時間から1時間半程度前)に、レトログラード時計表示機構80は、1つの日付指示から次の日付指示へ動き始める。この駆動を可能にするために、表示車88は、時計ムーブメントによって時計回り方向に1日1刻みずつ駆動される。この駆動中、保持フィンガ98は、固定表示機構90の狼歯歯部92の2つの連続する歯同士の間の空間からすぐ次の空間へ動き、したがって全体的なレトログラード時計表示機構80の弾性張力下の維持を確実にする。この駆動を可能にするために、
図16、
図18、および
図20では、駆動車126は、24時間で1回転する速度で時計ムーブメントによってそれ自体周知の方法で駆動されており、それによって駆動フィンガ128を駆動し、駆動フィンガ128は、表示車88を時計回り方向に1刻みだけ駆動することが特に見て取れる。この駆動中、保持フィンガ98は、固定表示機構90の狼歯歯部92の2つの連続する歯同士の間の空間からすぐ次の空間へ動き、したがって全体的なレトログラード時計表示機構1の弾性張力下の維持を確実にする。有利には、駆動フィンガ128は弾性を有し、したがってレトログラード時計表示機構80がその初期位置へ戻るときに表示車88が逆行方向に回るとき、表示車88の歯の前から離れることができる。駆動フィンガ128によって提供されるさらなる利点は、その弾性によって、レトログラード時計表示機構80が駆動されてそれにより狂わされることなく、時計の所有者が、反時計回り方向に針回しを実行することが可能になることである。
【0044】
表示切断レバー112は、表示ピニオン82に堅く接続されており、第2のピン114を介して、固定表示車90に対して自由回転状態にある表示車88と回転状態で結合される。したがって、表示車88に同軸状に自由に取り付けられた表示ピニオン82は旋回し、表示針84を駆動し、したがって表示は、1つの日付指示から次の日付指示へ動くことができる。同様に、第3のピン118は、表示切断レバー112の弾性ストリップ116に接触し、表示切断レバー112を回転状態で駆動する。
【0045】
したがって、時計ムーブメントによって駆動される表示車88は、表示車88によって支えられた保持フィンガ98を11.1°駆動し、固定表示車90の狼歯歯部92の2つの連続した歯を分離する角度は、ほんの8.57°である。したがって、狼歯歯部92の2つの連続した歯同士の間の空間からすぐ次の空間へ正確に動き、したがって表示される情報が正確に増分されることを確実にするために、保持フィンガ98は必要以上に前方へ動くことが理解されよう。それにもかかわらず、この実施形態は、特にレトログラード時計表示機構80の寸法設定に依存する角度値に関して制限的に解釈されるべきではないことを理解されたい。
【0046】
日付指示「1」~「31」の表示の例はまた、さらなる制限ではなく例示のみを目的として与えられており、本発明によるレトログラード時計表示機構80によって他の時間指示を表示することができ、したがって最初の日付指示の表示へ2回連続して戻る間に表示車88によって実行される刻みの数は、31とは異なることがあることも理解されよう。たとえば、本発明によるレトログラード時計表示機構80が曜日を表示するために使用される場合、表示車88は、「月曜」日の指示の表示へ2回連続して戻る間に前方へ6刻み動く。または、本発明による表示機構が月を表示することを意図している場合、表示車88はひと月に1刻みずつ前方へ動く。
【0047】
この当該の例では、すなわち本発明によるレトログラード時計表示機構1を簡単な日付表示に適用する場合、このレトログラード時計表示機構80は最後に、31日の月の持続時間に対応する単一の支持面124aを装備した固定の期間制限要素124によって補足される。
【0048】
本特許出願に添付の図に示す例では、本発明によるレトログラード時計表示機構80は、31日の月の日付指示の表示に対応する状況にある。したがって、
図22および
図23に示すように、レトログラード時計表示機構80が日付指示「31」を表示するとき、保持フィンガ98および表示切断レバー112は、それぞれの脚部104および122を介して、期間制限要素124の支持面70aに対向している。次いで、レトログラード時計表示機構80が日付指示「1」へ戻る準備をしているとき、保持フィンガ98および表示切断レバー112の脚部104および122は、期間制限要素124の支持面124aに当接する(
図24および
図25参照)。この位置で、レトログラード時計表示機構80はまだ切断されていない。実際には、日付指示「31」から日付指示「1」への表示の遷移を分離する期間中、表示車88は旋回している。旋回中、この表示車88は、第2のピン114によって表示切断レバー112を駆動し、表示切断レバー112は、表示ピニオン82を駆動する。次いで(
図26乃至
図31)、表示切断レバー112は、その脚部122によって期間制限要素124の支持面124aに当接し、ロックされたままである(
図26および
図27参照)。保持フィンガ98と同様に、表示切断レバー112は、表示車88によって駆動されて、その脚部104によって期間制限要素124の同じ支持面124aに当接し、それによりこの保持フィンガ98は、その旋回軸100の周りを旋回する。したがって、旋回中、保持フィンガ98は、ジャンパ94の弾性力に逆らって進み、固定表示車90の狼歯歯部92から解放することが可能である。表示切断レバー112は阻止されているため、弾性ストリップ116は、表示車88の旋回の作用を受けて、第3のピン118によって駆動されて引っ張られる。最後に、
図26および
図27にもみられるように、保持フィンガ98が固定表示車90の狼歯歯部92から解放されたとき、表示切断レバー112の弾性ストリップ116によって及ぼされる保持力が解放される。
【0049】
日付指示の表示は、表示切断レバー112に結び付けられており、実際には、表示車88自体が表示切断レバー112を駆動する。この表示切断レバー112は、表示ピニオン82で駆動されて、その旋回を誘起する。したがって、表示切断レバー112は、日付指示「31」から日付指示「1」への遷移に対応する期間中に移動しないため、日付指示はこの期間中に変化しない。表示車88の駆動が終了すると(
図28および
図29参照)、表示切断レバー112の弾性ストリップ116によって及ぼされる保持力が弛緩し、表示車88は、表示切断レバー112および表示ピニオン82を介してこの表示車88に印加される弾性力の作用を受けて、瞬時に反時計回り方向に回る(
図30および
図31参照)。
【0050】
表示車88が回転を止めたとき、カムまたはピン(図示せず)が、固定表示車90の狼歯歯部92に係合された保持フィンガ98を戻す(
図32および
図33参照)。このとき、レトログラード時計表示機構80は、
図34および
図35に示す位置にあり、日付指示「1」を再び表示する。
【0051】
レトログラード時計表示機構80の正常動作モードでは、保持フィンガ98のビーク102は、午前零時前後に、このレトログラード時計表示機構80が1つの日付指示から次の日付指示へ動き、保持フィンガ98がそのビーク102が狼歯歯部92の2つの歯同士の間の空間からすぐ次の空間へ動くことを可能にするために必要とされる量だけ旋回することを除いて、狼歯歯部92の歯に常に係合される(
図16および
図17)。レトログラード時計表示機構80が日付指示「31」に到達し、日付指示「1」へ逆戻りしなければならないとき(
図22および
図23)、保持フィンガ98の脚部104は、期間制限要素124の支持面124aから離れる方へ動き、したがって保持フィンガ98は傾斜し、そのビーク102は狼歯歯部92との係合から解放される(
図26および
図27)。そのとき、レトログラード時計表示機構80の位置の保持は保証されなくなり、この機構は、日付指示「1」へ逆戻りしようとし(
図30および
図31)、次いで保持フィンガ98のビーク102は、再び戻って狼歯歯部92の歯に係合し、レトログラード時計表示機構1の位置の保持を再び確実にする(
図32および
図33)。
【0052】
より具体的には、
図24乃至
図31は、レトログラード時計表示機構80が日付指示「31」から日付指示「1」へ逆戻りする正確な時間のレトログラード時計表示機構80の動作を示す。このムーブメントは、保持フィンガ98とジャンパ94との間の協働によって支援される。実際には、
図26、
図28、
図30、
図32、
図34、および
図36を注意深く観察することによって、保持フィンガ98によって支えられた第1のピン108が、ジャンパ94との接触面を次第に変化させていることが見て取れる。
図24で、この第1のピン108は、ジャンパ94の下へ摺動し始めており、レトログラード時計表示機構80が日付指示「1」を指し示すその初期位置へ戻った状況に対応する
図36では、第1のピン108はジャンパ94の下をもう一度完全に通過し、それによりジャンパ94が保持フィンガ98のビーク102を狼歯歯部92へ弾性的に圧入することが可能になる。
【0053】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、当業者であれば、添付の特許請求の範囲に定義される本発明の範囲を離れることなく、様々な修正形態および簡単な変形形態を想定することができることが明らかである。
【符号の説明】
【0054】
1 レトログラード時計表示機構
2 戻しラック
4 戻しばね
6 歯車列
8 第1の設定車
10 第2の設定車
12 第3の設定車
14 表示ピニオン
16 歯付き部分
18 第1のピニオン
20 第1の移動体
22 第2のピニオン
23 表示針
24 第2の移動体
26 目盛り
28 表示車
30 固定表示車
32 歯部
34 ジャンパ
35 弾性ストリップ
36 保持フィンガ
37 旋回軸
38 ビーク
40 第1の脚部
42 プレート
44 第1のピン
46 開口
48 表示切断レバー
50 第2のピン
52 開口
54 弾性ストリップ
56 第3のピン
58 第2の脚部
60 駆動車
62 駆動フィンガ
64 カム
66 星形車
68 第2の駆動フィンガ
70 フィーラ・スピンドル
70a、70b、70c、および70d 支持面
72 追従ビーク
74 再位置決めカム
76 ノーズ
78 相手側付属物
80 レトログラード時計表示機構
82 表示ピニオン
83 戻り要素
84 表示針
86 目盛り
88 表示車
100 旋回軸
102 ビーク
104 第1の脚部
106 プレート
108 第1のピン
110 開口
112 表示切断レバー
114 第2のピン
116 弾性ストリップ
118 第3のピン
120 開口
122 第2の脚部
124 期間制限要素
124a 支持面
126 駆動車
128 駆動フィンガ