(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-08
(45)【発行日】2023-05-16
(54)【発明の名称】潤滑構造を有するリニアガイド
(51)【国際特許分類】
F16C 29/06 20060101AFI20230509BHJP
F16C 33/66 20060101ALI20230509BHJP
【FI】
F16C29/06
F16C33/66 Z
(21)【出願番号】P 2021196137
(22)【出願日】2021-12-02
【審査請求日】2021-12-03
(73)【特許権者】
【識別番号】596016557
【氏名又は名称】上銀科技股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【氏名又は名称】山口 真二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100220917
【氏名又は名称】松本 忠大
(72)【発明者】
【氏名】林建廷
【審査官】倉田 和博
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第02518349(EP,A2)
【文献】特開平03-292412(JP,A)
【文献】特開2014-142014(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 29/04-29/06
F16C 33/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レール、ブロック、循環部材、二組のボールおよび二つの片状潤滑部材を備え、
前記ブロックは前記レールに移動可能に配置され、底面に二つの相対する脚部を有し、二つの前記脚部は前記レールの相対する両側に位置し、
前記循環部材は前記ブロックに連結されたうえで前記レールに移動可能に配置され、前記循環部材、前記レールおよび前記ブロックの二つの前記脚部との間が二つの循環経路になり、
二組の前記ボールはそれぞれ一つの前記循環経路に配置され、
二つの前記片状潤滑部材はそれぞれ一つの前記循環経路に隣接するように配置され、一組の前記ボールに接触
し、
二つの前記片状潤滑部材はそれぞれ嵌合溝を有し、
前記ブロックの二つの前記脚部はそれぞれ前記片状潤滑部材の前記嵌合溝に嵌まり込み、
前記レールは二つの相互に平行する第一転動溝を有し、
前記ブロックの二つの前記脚部はそれぞれ二つの相互に平行する第二転動溝を有し、
前記循環部材は格納溝の周りに第三転動溝、二つの相対する第二還流溝および二つの相対する第一ハーフ還流部を有し、
それぞれの前記第二還流溝は前記第三転動溝の両端に繋がり、
それぞれの前記第一ハーフ還流部は一つの前記第二還流溝に繋がり、
二つの前記片状潤滑部材はそれぞれ二つの相対する第二ハーフ還流部を有し、
それぞれの前記第二ハーフ還流部は前記嵌合溝の一端に隣接し、
前記ブロックにおいて、それぞれの前記脚部は一つの前記第二転動溝が前記レールの一つの前記第一転動溝に対応し、別の一つの前記第二転動溝が前記循環部材の一つの前記第三転動溝に対応し、
前記循環部材において、それぞれの前記第一ハーフ還流部は前記片状潤滑部材の前記第二ハーフ還流部に繋がって第一還流溝を形成し、それぞれの前記第一還流溝は前記循環部材の前記第二還流溝に対応し、
一つの前記第一転動溝、二つの前記第二転動溝、一つの前記第三転動溝、二つの前記第一還流溝および二つの前記第二還流溝は結合して一つの循環経路になることを特徴とする、
潤滑構造を有するリニアガイド。
【請求項2】
二つの前記片状潤滑部材はそれぞれ前記ボールの頂部または底部に接触することを特徴とする請求項1に記載の潤滑構造を有するリニアガイド。
【請求項3】
二つの前記片状潤滑部材はそれぞれ前記嵌合溝に隣接する被覆部を有し、前記被覆部によって前記ボールの一部分を覆うことを特徴とする請求項
1に記載の潤滑構造を有するリニアガイド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リニアガイドに関し、詳しくは内蔵式潤滑構造を有するリニアガイドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ミニチュアリニアスライド(Miniature Linear Slide)において、ブロックの一端はオイルタンクの外部に位置付けられるため、ブロックの全体の長さを増大させるだけでなく、ブロックの行程に影響を与える。また行程の短い作動条件下で潤滑油によって潤滑効果を十分に発揮することが不可能であるため、製品の失効を招くリスクがある。
【0003】
特許文献1において、二つの多孔質潤滑チューブはブロックと循環部材との間に配置され、転動中のボールによって押し潰されて潤滑油を放出する。しかし、多孔質潤滑チューブと還流経路との間には段差があるため、ボールの転動に影響を与える。また多孔質潤滑チューブは非負荷エリアに位置するため、行程の短い作動条件下で非負荷エリアのボールを十分に潤すことが難しいだけでなく、製品の失効を招くことがよくある。
【0004】
特許文献2において、片状潤滑部はサイドキャップに増設されるため、ブロック全体の長さを増大させるだけでなく、ブロックの行程に影響を与える。また行程の短い作動条件下でレールに潤滑油を全面的に分布させ、負荷面を十分に潤すことが難しいだけでなく、早いうちに製品の失効を招くことがよくある。
【0005】
特許文献3において、U字型潤滑部材はブロックの腹部に配置され、二つの末端部がボールに接触することでボールを潤す。しかし、U字型潤滑部材は構造が比較的薄く、還流経路との間に段差があるため、ボールが衝撃を受けて損壊することが起こりやすい。また構造強度を増大させるために潤滑剤の含有量を減らせば使用寿命を縮減するという問題が発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】US8,783,951号公報
【文献】US6,290,394号公報
【文献】CN104024669号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は潤滑構造を有することによって行程の短い作動条件下で潤滑効果を十分に発揮し、作動中のボールをスムーズに維持することができるリニアガイドを提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するための、潤滑構造を有するリニアガイドは、レール、ブロック、循環部材、二組のボールおよび二つの片状潤滑部材を備える。ブロックはレールに移動可能に配置され、底面に二つの相対する脚部を有する。二つの脚部はレールの相対する両側に位置する。循環部材はブロックに連結されてレールに移動可能に配置され、二つの相対する格納溝を有する。循環部材の二つの格納溝はそれぞれブロックの脚部を支えることによってレール、ブロックの脚部および循環部材との間に循環経路を形成する。二組のボールはそれぞれ一つの循環経路に配置される。二つの片状潤滑部材は二つの循環経路に隣接するように配置され、二組のボールに接触して潤滑効果を生じる。
【0009】
上述した構造の特徴により、本発明による潤滑構造を有するリニアガイドにおいて、片状潤滑部材はブロックに内蔵されるため、ブロックの本来の長さを増大させることも、ブロックの行程に影響を与えることもない。またボールが転動する際、片状潤滑部材はボールに接触したうえで保持されるため、ボールの転動径路に段差が生じることなく、作動中のボールをスムーズに維持することができる。
【0010】
比較的好ましい場合、二つの片状潤滑部材はそれぞれボールの頂部または底部に接触するか、またはボールの頂部および底部に接触するように配置される。
【0011】
比較的好ましい場合、二つの片状潤滑部材はそれぞれ位置決め部を有する。循環部材は位置決め孔を有する。それぞれの片状潤滑部材の位置決め部は循環部材の位置決め孔に嵌まり込むため、片状潤滑部材を組み合わせる際の利便性を向上させることができる。
【0012】
比較的好ましい場合、二つの片状潤滑部材はそれぞれ嵌合溝を有する。それぞれの片状潤滑部材の嵌合溝にブロックの脚部を嵌め込めば組立作業が完了する。
【0013】
比較的好ましい場合、二つの片状潤滑部材はそれぞれ嵌合溝に隣接する被覆部を有する。それぞれの被覆部はボールの一部分を覆うため、二つの片状潤滑部材はボールに潤滑効果を確実に生じることができる。
【0014】
比較的好ましい場合、二つの片状潤滑部材はそれぞれ一つの平面がボールの底部に接触することによってボールに潤滑効果を生じる。
【0015】
比較的好ましい場合、レールは二つの相互に平行する第一転動溝を有する。ブロックの二つの脚部はそれぞれ二つの相互に平行する第二転動溝と、二つの相対する第一還流溝とを有する。それぞれの第一還流溝は第二転動溝の一端に繋がる。循環部材の二つの格納溝はそれぞれ周りに第三転動溝および二つの相対する第二還流溝を有する。それぞれの第二還流溝は第三転動溝の両端に繋がる。ブロックにおいて、それぞれの脚部は一つの第二転動溝が一つの第一転動溝に対応し、別の一つの第二転動溝が循環部材の一つの第三転動溝に対応し、それぞれの第一還流溝が循環部材の第二還流溝に対応する。上述した構造の特徴により、一つの第一転動溝、二つの第二転動溝、一つの第三転動溝、二つの第一還流溝および二つの第二還流溝は結合して一つの循環経路になる。
【0016】
比較的好ましい場合、レールは二つの相互に平行する第一転動溝を有する。ブロックの二つの脚部はそれぞれ二つの相互に平行する第二転動溝を有する。循環部材の二つの格納溝はそれぞれ周りに第三転動溝、二つの相対する第二還流溝および二つの相対する第一ハーフ還流部を有する。それぞれの第二還流溝は第三転動溝の両端に繋がる。二つの第一ハーフ還流部はそれぞれ第二還流溝に繋がる。二つの片状潤滑部材はそれぞれ二つの相対する第二ハーフ還流部を有する。それぞれの第二ハーフ還流部は嵌合溝の一端に隣接する。ブロックにおいて、それぞれの脚部は一つの第二転動溝がレールの一つの第一転動溝に対応し、別の一つの第二転動溝が循環部材の一つの第三転動溝に対応する。循環部材において、それぞれの第一ハーフ還流部はそれぞれの片状潤滑部材の第二ハーフ還流部に繋がって第一還流溝を形成する。それぞれの第一還流溝は循環部材の第二還流溝に対応する。上述した構造の特徴により、一つの第一転動溝、二つの第二転動溝、一つの第三転動溝、二つの第一還流溝および二つの第二還流溝は結合して一つの循環経路になる。
【0017】
比較的好ましい場合、二つの片状潤滑部材はそれぞれ多孔質材料から製作され、オイルの貯蔵量を良好に維持する。
【0018】
本発明による潤滑構造を有するリニアガイドの詳細な構造、特徴、組み立てまたは使用方法について、以下の実施形態の詳細な説明を通して明確にする。なお、以下の詳細な説明および本発明により開示された実施形態は本発明を説明するための一例に過ぎず、本発明の請求の範囲を限定できないことは、本発明にかかわる領域において常識がある者ならば理解できるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の第1実施形態による潤滑構造を有するリニアガイドを示す斜視図である。
【
図2】本発明の第1実施形態による潤滑構造を有するリニアガイドを示す分解斜視図である。
【
図6】本発明の第1実施形態による潤滑構造を有するリニアガイドにおいて片状潤滑部材が裏返された状態を示す斜視図である。
【
図7】本発明の第2実施形態による潤滑構造を有するリニアガイドにおいて片状潤滑部材がボールの頂部に接触する状態を示す断面図である。
【
図8】本発明の第2実施形態による潤滑構造を有するリニアガイドにおいて片状潤滑部材がボールの底部に接触する状態を示す断面図である。
【
図9】本発明の第2実施形態による潤滑構造を有するリニアガイドにおいて片状潤滑部材がボールの頂部および底部に接触する状態を示す断面図である。
【
図10】本発明の第3実施形態による潤滑構造を有するリニアガイドを示す斜視図である。
【
図11】本発明の第3実施形態による潤滑構造を有するリニアガイドを示す分解斜視図である。
【
図15】本発明の第4実施形態による潤滑構造を有するリニアガイドを示す斜視図である。
【
図16】本発明の第3実施形態による潤滑構造を有するリニアガイドを示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明による潤滑構造を有するリニアガイドを図面に基づいて説明する。なお、明細書および図面において、方向性用語は図面中の方向に基づいて表現される。同じ符号は同じ部品または類似した部品の構造の特徴を示す。
【0021】
(第1実施形態)
図1および
図2に示すように、本発明の第1実施形態による潤滑構造を有するリニアガイド10はレール20、ブロック30、循環部材40、二組のボール50および二つの片状潤滑部材60を備える。
【0022】
レール20は相対する両側に長さ方向に沿って伸びて形成された第一転動溝22を有する。
【0023】
ブロック30は底面に二つの相対する脚部32を有する。二つの脚部32はそれぞれ二つの相互に平行する第二転動溝34と、二つの相対する第一還流溝36とを有する。それぞれの第一還流溝36は二つの第二転動溝34の一端に繋がる。
図3および
図4に示すように、ブロック30はレール20に跨って配置される。ブロック30において、二つの脚部32はレール20の相対する両側に位置し、それぞれ一つの第二転動溝34がレール20の二つの第一転動溝22に対応する。
【0024】
循環部材40は頂面に二つの相対する格納溝41を有する。循環部材40の二つの格納溝41はそれぞれ周りに第三転動溝42および二つの相対する第二還流溝43を有する。第三転動溝42は格納溝41に隣接する突起部44に位置付けられる。二つの第二還流溝43は第三転動溝42の両端に繋がる。循環部材40はさらに頂面に四つの位置決め孔45(
図2参考)を有する。四つの位置決め孔45はそれぞれ第二還流溝43に隣接する。
図3から
図5に示すように、循環部材40はレール20に跨って配置され、前後の二つずつのねじ47によってブロック30に締結されてブロック30とともにレール20に沿って移動することができる。また循環部材40の二つの格納溝41はそれぞれブロック30の脚部32を支える。循環部材40の二つの第三転動溝42はブロック30の二つの脚部32の別の一つの第二転動溝22に対応する。循環部材40のそれぞれの第二還流溝43はブロック30の二つの脚部32の第一還流溝36に対応する。
上述した構造の特徴により、
図4に示すように、二つの循環経路52はそれぞれ一つの第一転動溝22、二つの第二転動溝34、一つの第三転動溝42、二つの第一還流溝36および二つの第二還流溝43から構成され、一組のボール50を格納して転動させる。
【0025】
二つの片状潤滑部材60は高分子材料、ポリオレフィン、パラフィンワックスまたは高密度繊維材などの多孔質材料から製作される。本実施形態において、二つの片状潤滑部材60はそれぞれ頂面および底面を貫通する嵌合溝62と、底面の両端に形成された位置決め部64とを有する。
図3から
図5に示すように、二つの片状潤滑部材60を二つの循環経路52に隣接させて二組のボール50の頂部に接触させ、二つの嵌合溝62とブロック30の二つの脚部32を嵌め合わせ、四つの位置決め部64を循環部材40の四つの位置決め孔45に差し込めば、片状潤滑部材60の組立作業が完了し、片状潤滑部材60によって二組のボール50に潤滑効果を生じる。
図6に示すように、二つの片状潤滑部材60はそれぞれ底面に嵌合溝62に隣接する円弧状の被覆部66を有する。二つの被覆部66はそれぞれボール50の一部分を覆うため、二つの片状潤滑部材60はボール50に潤滑効果を確実に生じることができる。
【0026】
(第2実施形態)
図7および
図8は本発明の第2実施形態による潤滑構造を有するリニアガイド12を示す断面図である。
第1実施形態との違いは循環部材80の構造にある。第2実施形態において、循環部材80は突起部44が配置されず、格納溝41の幅が増大する。片状潤滑部材60は実際の状況に応じてボール50の頂部または底部に接触することができる。上述した構造の特徴により、片状潤滑部材60をボール50の頂部に接触させるほかに、片状潤滑部材60を格納溝41内に配置してボール50の底部に接触させることができる。
図9に示すように、またボール50の頂部および底部に片状潤滑部材60を別々に配置し、接触させればよい。
【0027】
(第3実施形態)
図10および
図11は本発明の第3実施形態による潤滑構造を有するリニアガイド14を示す斜視図および分解斜視図である。
第1実施形態との違いは次のとおりである。ブロック30のそれぞれの脚部32に二つの第一還流溝36を配置する第1実施形態に対し、第3実施形態は循環部材40と二つの片状潤滑部材60との間に二つの第一還流溝36を配置するため、ブロック30を加工する際の利便性を向上させる。詳しく言えば、第3実施形態において、レール20は二つの相互に平行する第一転動溝22を有する。ブロック30の二つの脚部32はそれぞれ相互に平行する第二転動溝34を有する。循環部材40の頂面の二つの格納溝41はそれぞれ周りに第三転動溝42、二つの相対する第二還流溝43および二つの相対する第一ハーフ還流部46を有する。それぞれの第二還流溝43は第三転動溝42の両端に繋がる。二つの第一ハーフ還流部46はそれぞれ第二還流溝43に繋がる。二つの片状潤滑部材60はそれぞれ底面に二つの相対する第二ハーフ還流部68を有する。二つの第二ハーフ還流部68は嵌合溝62の両端に隣接する。
図12から
図14に示すように、ブロック30において、二つの脚部32はそれぞれ一つの第二転動溝34がレール20の一つの第一転動溝22に対応し、別の一つの第二転動溝34が循環部材40の一つの第三転動溝42に対応する。循環部材40において、それぞれの第一ハーフ還流部46はそれぞれの片状潤滑部材60の第二ハーフ還流部68に繋がって第一還流溝を36形成する。それぞれの第一還流溝36は循環部材40の第二還流溝43に対応する。
上述した構造の特徴により、一つの第一転動溝22、二つの第二転動溝34、一つの第三転動溝42、二つの第一還流溝36および二つの第二還流溝43は結合して一つの循環経路52になる。二組のボール50はそれぞれ一つの循環経路52を転動する。本実施形態において、二つの片状潤滑部材60をそれぞれ一つの循環経路52に隣接させて一組のボール50の頂部に接触させ、二つの嵌合溝62とブロック30の二つの脚部32とを嵌め合わせれば、ボール50に潤滑効果を発揮することができる。
【0028】
(第4実施形態)
図15および
図16は本発明の第4実施形態による潤滑構造を有するリニアガイド16を示す斜視図および分解斜視図である。
上述した実施形態との違いは片状潤滑部材70の構造および配置位置にある。上述した実施形態は片状潤滑部材60に嵌合溝62を配置し、嵌合溝62とブロック30の脚部32とを嵌め合わせる。それに対し、第4実施形態は嵌合溝62が配置されなかった片状潤滑部材70を循環部材40の格納溝41内に装着する。
上述した構造の特徴により、
図17に示すように片状潤滑部材70の頂面をブロック30の脚部32の底面に接触させ、同時に片状潤滑部材70の頂面をボール50の底面に接触させればボール50に潤滑効果を生じることができる。
【0029】
上述をまとめると、本発明による潤滑構造を有するリニアガイド10、12、14、16において、片状潤滑部材60、70はブロック30に内蔵されるため、ブロック30の本来の長さを増大させることも、ブロック30の行程に影響を与えることもない。従って、本発明による潤滑構造を有するリニアガイド10、12、14、16は行程の短い作動条件に適用できる。またボール50が転動する際、片状潤滑部材60、70はボール50の頂部または底部に接触したうえで保持されるため、ボール50の転動径路に段差が生じることなく、作動中のボール50をスムーズに維持することができる。
【符号の説明】
【0030】
10、12、14、16 潤滑構造を有するリニアガイド
20 レール
22 第一転動溝
30 ブロック
32 脚部
34 第二転動溝
36 第一還流溝
40、80 循環部材
41 格納溝
42 第三転動溝
43 第二還流溝
44 突起部
45 位置決め
46 第一ハーフ還流部
47 ねじ
50 ボール
52 循環経路
60、70 片状潤滑部材
62 嵌合溝
64 位置決め部
66 被覆部
68 第二ハーフ還流部
【要約】
【課題】潤滑構造を有するリニアガイドを提供する。
【解決手段】リニアガイドはレール、ブロック、循環部材、二組のボールおよび二つの片状潤滑部材を備える。ブロックおよび循環部材は相互に連結されてレールに移動可能に配置される。ブロックは二つの相対する脚部を有する。循環部材は二つの相対する格納溝を有する。循環部材は二つの格納溝によってブロックの二つの脚部を支え、レール、ブロックの二つの脚部および循環部材との間が二つの循環経路になる。二組のボールはそれぞれ一つの循環経路に転動可能に配置される。二つの片状潤滑部材は二つの循環経路に隣接するように配置され、二組のボールに接触して潤滑効果を生じる。上述した構造の特徴により、本発明によるリニアガイドにおいて、二つの片状潤滑部材はブロックに内蔵されるため、ブロックの本来の長さを増大させることも、ブロックの行程に影響を与えることもない。また片状潤滑部材とボールの転動径路との間には段差が発生しないため、作動中のボールをスムーズに維持することができる。
【選択図】
図2