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特許7274565角度付きイオンを使用した、層の選択的堆積のための技術、システムおよび装置
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  • 特許-角度付きイオンを使用した、層の選択的堆積のための技術、システムおよび装置 図1
  • 特許-角度付きイオンを使用した、層の選択的堆積のための技術、システムおよび装置 図2
  • 特許-角度付きイオンを使用した、層の選択的堆積のための技術、システムおよび装置 図3A-3C
  • 特許-角度付きイオンを使用した、層の選択的堆積のための技術、システムおよび装置 図4
  • 特許-角度付きイオンを使用した、層の選択的堆積のための技術、システムおよび装置 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-08
(45)【発行日】2023-05-16
(54)【発明の名称】角度付きイオンを使用した、層の選択的堆積のための技術、システムおよび装置
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/04 20060101AFI20230509BHJP
   C23C 16/04 20060101ALI20230509BHJP
【FI】
C23C14/04 Z
C23C16/04
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021501016
(86)(22)【出願日】2019-07-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-18
(86)【国際出願番号】 US2019040125
(87)【国際公開番号】W WO2020018262
(87)【国際公開日】2020-01-23
【審査請求日】2021-03-09
(31)【優先権主張番号】16/037,894
(32)【優先日】2018-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500324750
【氏名又は名称】バリアン・セミコンダクター・エクイップメント・アソシエイツ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】アングリン, ケヴィン
(72)【発明者】
【氏名】ハテム, クリストファー
【審査官】今井 淳一
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-529744(JP,A)
【文献】特開2018-006378(JP,A)
【文献】特開2009-235434(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/04
C23C 16/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元形状を有する基板表面を備える基板を用意することと、
層が前記基板表面の堆積領域上に堆積されるように、堆積種を堆積源から前記基板表面に導くことと、
導いている間または導いた後に基板スキャンを実行して、第1の位置から第2の位置へ前記基板を搬送することと、
前記層が前記堆積領域の第1の部分からスパッタエッチングされ、前記層が前記堆積領域の第2の部分に残るように、角度付きイオンを、前記層が存在している前記基板表面に導くことと、を含む、方法であって、
前記堆積源が、第1のイオン源を含み、前記第1のイオン源が、前記基板の平面に対する垂直線に対して第1の非ゼロの入射角で前記堆積種を導き、前記堆積領域が、前記基板表面の全体より小さく、前記基板表面が、陰の領域を含み、前記層が、前記陰の領域上に形成されない、方法。
【請求項2】
前記角度付きイオンが、前記基板の前記平面に対して第2の非ゼロの入射角で第2のイオン源から導かれる、請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記堆積源が、プラズマ源を含み、前記層が、前記基板表面上に等方的に堆積される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記基板表面が、第1の材料を含み、前記層が、第2の材料を含み、前記方法が、
前記角度付きイオンの目標角度を設定することを、さらに含み、前記目標角度が、前記基板の目標表面に対する垂直線に対して非ゼロの入射角であり、前記目標表面が、前記堆積領域内に配置されており、
前記目標角度において、前記角度付きイオンが、前記第1の材料で第1のスパッタ率を生成し、前記第2の材料で、前記第1のスパッタ率よりも大きい第2のスパッタ率を生成する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の材料および前記第2の材料のエネルギーの関数としてのスパッタ率挙動に基づいて、比が増加するような目標イオンエネルギーに、前記角度付きイオンのイオンエネルギーを調整することを、さらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項6】
三次元形状を有する基板表面を備える基板を用意することと、
層が前記基板表面の堆積領域上に堆積されるように、堆積種を堆積源から前記基板表面に導くことと、
導いている間または導いた後に基板スキャンを実行して、第1の位置から第2の位置へ前記基板を搬送することと、
前記層が前記堆積領域の第1の部分からスパッタエッチングされ、前記層が前記堆積領域の第2の部分に残るように、角度付きイオンを、前記層が存在している前記基板表面に導くことと、を含む、方法であって、
前記堆積源が、第1のイオン源を含み、前記第1のイオン源が、前記基板の平面に対する垂直線に対してゼロの入射角で前記堆積種を導き、前記堆積領域が、前記基板表面の全体より小さい、方法。
【請求項7】
基板を収容するためのプロセスチャンバであって、前記基板が、基板表面を備え、前記基板表面が、三次元形状を有する少なくとも1つの構造体を含む、プロセスチャンバ、
前記プロセスチャンバに隣接して配置され、堆積種を生成して前記基板上に層を形成するように構成された堆積源、
基板平面に対する垂直線に対してある入射角で角度付きイオンを前記プロセスチャンバに導くための角度付きイオン源、
第1の位置から第2の位置へ前記基板をスキャンするための、前記プロセスチャンバ内に配置された基板ステージ、および
前記角度付きイオン源に結合されたコントローラであって、前記少なくとも1つの構造体に関する構造情報に基づいて前記入射角を調整するための少なくとも1つの制御信号を送信するように構成されたコントローラ、
を備えるシステムであって、前記構造情報が、前記少なくとも1つの構造体の高さと、前記少なくとも1つの構造体の隣接する構造体間のピッチとの、少なくとも一方を含み、
前記堆積源が、第1のイオン源を含み、前記第1のイオン源が、前記基板の平面に対する垂直線に対して第1の非ゼロの入射角で前記堆積種を導き、堆積領域が、前記基板表面の全体より小さく、前記基板表面が、陰の領域を含み、前記層が、前記陰の領域上に形成されない、システム。
【請求項8】
前記堆積源が、角度付き堆積ビームを生成するように構成されている、請求項に記載のシステム。
【請求項9】
前記構造情報が、スパッタエッチングされる前記基板表面の目標領域、前記層の材料組成、または前記基板の材料組成をさらに含む、請求項に記載のシステム。
【請求項10】
プロセスチャンバに隣接して配置され、堆積種を生成して、前記プロセスチャンバ内に配置された基板上に層を形成するように構成された堆積源、
基板平面に対する垂直線に対してある入射角で角度付きイオンを前記プロセスチャンバに導くための角度付きイオン源、ならびに
前記角度付きイオン源に結合されたコントローラ、
を備える装置であって、前記コントローラが、
プロセッサ、および
選択的堆積制御ルーチンを含む、前記プロセッサに結合されたメモリユニット、
を備え、前記選択的堆積制御ルーチンが、前記角度付きイオン源を制御するように前記プロセッサ上で動作し、前記選択的堆積制御ルーチンが、
イオン曝露中に処理される基板の構造情報を受け取り、
前記構造情報に基づいて、前記角度付きイオンの前記入射角を計算する
スパッタ制御プロセッサを備え、前記構造情報が、少なくとも1つの構造体の高さと、前記少なくとも1つの構造体の隣接する構造体間のピッチとの、少なくとも一方を含み、
前記堆積源が、第1のイオン源を含み、前記第1のイオン源が、前記基板の平面に対する垂直線に対して第1の非ゼロの入射角で前記堆積種を導き、堆積領域が、基板表面の全体より小さく、前記基板表面が、陰の領域を含み、前記層が、前記陰の領域上に形成されない、装置。
【請求項11】
前記スパッタ制御プロセッサが、前記角度付きイオンの前記入射角を変更するように前記角度付きイオン源を調整するための制御信号を送信する、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記構造情報が、スパッタエッチングされる前記基板の目標領域、前記層の材料組成、または前記基板の材料組成をさらに含む、請求項10に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本実施形態は、デバイス処理、より具体的には、基板上への所与の材料の選択的堆積に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]今日、半導体および他のデバイスは、ますます小さなサイズにスケーリングされており、そのようなデバイスは、複雑な構造を有し、多くの場合、基板上の複数の異なる層に配置された、多くの異なる材料で形成され得る。材料およびデバイス構造の複雑化に対処するための1つのアプローチは、デバイス構造の選択された部分に特定の材料を選択的に形成することであり、このアプローチは、マイクロメートルレベルまたはナノメートルレベルでのデバイスのパターニングの問題に対処するのに特に役立つ。材料の選択的形成のための現在のアプローチは、複数のパターニング工程を伴う可能性があり、これらの工程は、過度の複雑さとコストを伴う可能性がある。
【0003】
[0003]これらおよび他の考慮事項に関して、本開示が提供される。
【発明の概要】
【0004】
[0004]一実施形態では、方法が提供される。この方法は、基板を用意することを含むことができ、基板は、基板表面を含み、基板表面は、三次元形状を有する。この方法は、堆積種を堆積源から基板表面に導くことを、さらに含むことができ、層が、基板表面の堆積領域上に堆積される。この方法は、第1の位置から第2の位置に基板を搬送するために、導いている間または導いた後に基板スキャンを実行することを、含むことができる。この方法はまた、層が存在している基板表面に角度付きイオンを導くことを含むことができ、層は、堆積領域の第1の部分からスパッタエッチングされ、層は、堆積領域の第2の部分に残る。
【0005】
[0005]別の実施形態では、システムは、基板を収容するためのプロセスチャンバを含むことができ、基板は、基板表面を備え、基板表面は、三次元形状を有する少なくとも1つの構造体を含む。このシステムは、プロセスチャンバに隣接して配置され、堆積種を生成して基板上に層を形成するように構成された堆積源、および基板平面に対する垂直線に対してある入射角で角度付きイオンをプロセスチャンバに導くための角度付きイオン源を含むことができる。このシステムは、第1の位置から第2の位置まで基板をスキャンするための、プロセスチャンバ内に配置された基板ステージと、角度付きイオン源に結合されたコントローラであって、少なくとも1つの構造体に関する構造情報に基づいて入射角を調整するために、少なくとも1つの制御信号を送信するように構成されたコントローラとを、さらに含むことができる。
【0006】
[0006]さらなる実施形態では、装置は、プロセスチャンバに隣接して配置され、堆積種を生成して、プロセスチャンバ内に配置された基板上に層を形成するように構成された堆積源を含むことができる。装置はまた、基板平面に対する垂直線に対してある入射角で角度付きイオンをプロセスチャンバに導くための角度付きイオン源を含むことができる。装置は、角度付きイオン源に結合されたコントローラであって、プロセッサ、および選択的堆積制御ルーチンを含む、プロセッサに結合されたメモリユニットを含むコントローラを、さらに含むことができる。選択的堆積制御ルーチンは、角度付きイオン源を制御するようにプロセッサ上で動作することができる。選択的堆積制御ルーチンは、イオン曝露中に処理されるべき基板のための構造情報を受け取り、構造情報に基づいて、角度付きイオンの入射角を計算するためのスパッタ制御プロセッサを含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示の実施形態による、選択的堆積システムを示す。
図2】本開示の他の実施形態による、別の選択的堆積システムを示す。
図3A-3C】タングステン/ケイ素系のKrイオンビーム処理のスパッタリング挙動の二次元マップを示す。
図4】本開示の実施形態によるブロック図または処理装置を示す。
図5】例示的なプロセスフローを示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[0012]図面は必ずしも縮尺どおりではない。図面は単なる表現であり、本開示の特定のパラメータを描写することを意図するものではない。図面は、本開示の例示的な実施形態を描写することを意図しており、したがって、範囲を限定するものと見なされるべきではない。図面では、同様の番号付けは、同様の要素を表す。
【0009】
[0013]さらに、説明を明快にするために、一部の図の特定の要素を省略したり、縮尺どおりに示していない場合がある。断面図は、「スライス」または「近視的(近くのものしか示されていない)」断面図の形式であり得、説明を明快にするために、「真の」断面図では見える特定の背景線を省略している。さらに、わかりやすくするために、特定の図面では一部の参照番号が省略されている場合がある。
【0010】
[0014]本実施形態は、いくつかの実施形態が示されている添付の図面を参照して、以下でより完全に説明される。本開示の主題は、多くの異なる形態で具体化することができ、本明細書に記載の実施形態に限定されると解釈されるべきではない。これらの実施形態は、本開示が徹底的かつ完全であり、主題の範囲を当業者に完全に伝えるように提供される。図面では、同様の番号は、全体を通して同様の要素を指す。
【0011】
[0015]いくつかの実施形態によれば、基板上に層を選択的に形成するための新しいアプローチ、詳細には、角度付きイオンによって促進される、層の選択的形成を使用してデバイス構造を構築するための新しいアプローチが提供される。様々な実施形態において、層の選択的形成は、層の堆積のための堆積源、および層の一部分の選択的除去のための角度付きイオン源を含む工程の組み合わせを使用して、達成される。以下の実施形態に詳述されるように、第1のイオン源および第2のイオン源に結合されたチャンバを通ってワークピースをスキャンすることによって、準選択的堆積プロセスが行われる。
【0012】
[0016]ここで図1に目を向けると、本開示の実施形態による、堆積システム100として示される選択的堆積システムが示されている。堆積システム100は、プロセスチャンバ101を含み、プロセスチャンバ101は、基板120を収容することができる。基板120は、図示のように、三次元形状を有する基板表面を有することができる。三次元形状を有する表面の例には、メサ、ライン、ピラー、半球などの、基板平面から盛り上がったフィーチャ、ビア、トレンチなどの、基板内に延びる空洞などを有する表面が含まれる。したがって、表面の所与の部分は、表面の別の部分とは異なる方向に延びることができる。図1の例では、基板表面は構造体122を含み、それらの構造体は、いくつかの実施形態では、ライン、ピラー、またはメサとして配置され得る。とりわけ、構造体122は、特にプロセスチャンバ101に対して、縮尺どおりに描かれていない場合がある。いくつかの例では、構造体122は、マイクロメートル、数百ナノメートル、数十ナノメートル、ナノメートルなどのオーダーの、X、Y、またはZ方向に沿った寸法を有し得る。したがって、当業者によって容易に理解されるように、ミリメートル、センチメートル、または数十センチメートルのオーダーの寸法を有する基板120は、非常に多数の構造体122を含み得る。
【0013】
[0017]堆積システム100は、堆積源102を含むことができ、堆積源102は、プロセスチャンバ101に隣接して配置される。他の実施形態では、堆積源102は、プロセスチャンバ101内に配置され得る。堆積源102は、堆積種として堆積ビーム112を生成するように構成され得る。様々な実施形態において、堆積源102は、ソース108に結合され得、ソース108は、液体蒸気源、単一のガス源、複数のガス源、ガスマニホールドなどを表す。ソース108は、少なくとも1つの種を堆積源102に提供するように、堆積源102に結合されている。堆積源102は、いくつかの実施形態では化学気相堆積源であってもよく、または当技術分野で知られている任意の適切なイオン源などの、イオン源であってもよい。堆積源102は、その中にプラズマを生成するプラズマ源であってもよい。実施形態は、この文脈に限定されない。
【0014】
[0018]堆積ビーム112は、イオン、中性種、励起種を含むことができ、堆積ビーム112の種は、所与の方向に沿って基板へ導かれ得る。いくつかの実施形態では、堆積ビーム112は、コリメートビームかつ角度付き堆積ビームであり得、堆積種は、基板平面に対する垂直線119に対して非ゼロの入射角(θとして示される)を規定する軌道に沿って導かれる。例えば、基板の平面は、X-Y平面であり得、上部123または構造体122間のトレンチ領域124などの、基板表面の特定の領域が、必ずしもそうである必要はないが、基板平面と整列し、または基板平面を定義することもできる。
【0015】
[0019]図1に示されるように、堆積ビーム112は、基板120上に層121を生成する。生成されるべき層121の性質に応じて、堆積ビーム112は、金属層、半導体層、窒化物層、酸化物層、炭素層などを生成するために、プラズマ種、ラジカル、イオンなどの既知の気相種を含み得る。いくつかの実施形態では、層121は、共形的に堆積することができるが、他の実施形態では、堆積領域124は、基板120の表面全体を覆わなくてもよい。基板120の表面の三次元表面の正確な性質、ならびに堆積ビーム112の入射角に応じて、堆積領域124の位置、形状、および範囲は変化し得る。図1の例では、堆積領域124は、構造体122の右側壁127、および構造体122の上部123を含むが、左側壁129を含まない。
【0016】
[0020]堆積システム100は、角度付きイオン源104をさらに含むことができ、角度付きイオン源104は、角度付きイオン114を基板120の基板表面に導くように配置される。角度付きイオン源104は、プロセスチャンバ101内に配置されてもよいし、またはプロセスチャンバ101の外側に配置されてもよい。角度付きイオン源104は、ガス源110に結合することができ、ガス源110は、不活性ガス源、酸素源、窒素源、または他のガス源などの少なくとも1つのガス源を表すことができる。角度付きイオン源104は、適切な種、イオンエネルギー、およびイオン流束のイオンを生成して、基板120が角度付きイオン114を遮るように配置されている場合、基板120から材料をスパッタエッチングするように構成することができる。様々な実施形態において、角度付きイオン源104は、角度付きイオン114が、適切な形状を有するイオンビームを形成することができるプラズマビーム源を含む、任意の適切なイオン源を表すことができる。例えば、いくつかの実施形態では、角度付きイオン114は、X軸に沿って延びる長軸を有するリボンビームとして構成され得る。角度付きイオン源104は、基板平面(この例では、X-Y平面)に対する垂直線119に対して非ゼロの入射角(θとして示される)によって規定される軌道で角度付きイオン114を生成するように構成され得る。
【0017】
[0021]堆積システム100は、基板120をスキャンするように構成された基板ステージ106を含み得る。いくつかの実施形態では、基板ステージ106は、示されているデカルト座標系のY軸に沿ってなど、少なくとも1つの方向に沿って基板をスキャンするように構成され得る。基板ステージ106は、堆積源102に隣接する第1の位置P1と、角度付きイオン源104に隣接する第2の位置P2との間などの、目標範囲にわたって基板をスキャンすることができる。したがって、基板120は、基板120の異なる部分が角度付きイオン114に順次曝露されるように、Y軸に沿ってスキャンされ得る。
【0018】
[0022]図1によって示唆されるように、基板120は、層121の堆積後、または層121の堆積と同時に、構造体122が角度付きイオン114に曝露されるように、スキャンされ得る。したがって、層121が、堆積領域124にわたって基板上に堆積されながら、角度付きイオン114が、層121をスパッタエッチングし得るので、層121は、堆積領域124の第1の部分124Aから除去され、堆積領域124の第2の部分124Bに残る。堆積源102および角度付きイオン源104を使用した基板120の処理の結果は、基板120の目標領域、この場合は第2の部分124Bにおける層121の選択的堆積である。
【0019】
[0023]様々な実施形態によれば、入射角を規定する角度付きイオン114の軌道は、構造体122の形状およびサイズ、ならびに第2の部分124Bなどの、基板120上に層を選択的に形成するための目標領域の位置およびサイズに従って選択することができる。角度付きイオン114の軌道はまた、層121の材料のスパッタ率挙動を考慮に入れるように選択されてもよい。例えば、角度付きイオン114の軌道は、スパッタ率が最大になる、所与の表面に対する入射角に従って選択することができる。設計された入射角において、角度付きイオンが、基板120の第2の材料の第2のスパッタ率よりも高い、層121の第1の材料の第1のスパッタ率を生成するような、角度付きイオン114の軌道が、さらに選択されてもよい。別の言い方をすれば、角度付きイオン114は、角度付きイオン114が基板120に対して層121を選択的にスパッタエッチングする入射角で、層121がエッチングされるべき表面に導かれてもよい。このようにして、角度付きイオン114は、たとえ不活性ガス(非反応性)イオンとして提供されたとしても、基板120に対して層121を選択的に除去することができる。
【0020】
[0024]さらなる実施形態では、角度付きイオンの軌道は、層121の初期の被覆範囲、すなわち堆積領域124の被覆範囲を考慮に入れるように、さらに選択されてもよい。逆に、堆積ビーム112の軌道は、層121が残るべき第2の部分124Bの位置および範囲、ならびに層121および基板120の材料などの材料のスパッタ率挙動を考慮に入れるように、調整されてもよい(すなわち、θの値)。言い換えれば、以下でさらに説明するように、層121の材料が除去されるべき第1の部分124Aが、基板120のエッチングを最小限に抑えながら層121を選択的にスパッタエッチングするのに適切な入射角で角度付きイオン114を導くことができる場所に配置されるように、堆積ビーム112の入射角が調整されてもよい。
【0021】
[0025]したがって、第2の部分124Bにおける層121の形成は、1つより多い別個の工程を伴い得るが、層121の堆積、基板120のスキャン、および第1の部分124Aにおける層121のスパッタ除去が、選択的堆積プロセスを規定するように協調して作用する。
【0022】
[0026]追加の実施形態では、角度付き堆積源は、堆積種が、基板平面に対する垂直線119に対してゼロの入射角(θとして示される)を規定する軌道に沿って導かれるような、すなわち堆積種が垂直線119に沿った軌道を有するようなコリメートビームとして、堆積種を導いてもよい。これらの追加の実施形態では、堆積領域は、最初は、上部123およびトレンチ125を覆っているが、左側壁129および右側壁127を覆っていない。次に、角度付きイオン114が、材料をトレンチ125などに残しながら、堆積領域の一部、例えば、上部123から材料を選択的に除去するように導かれる。
【0023】
[0027]ここで図2に目を向けると、本開示のさらなる実施形態による、堆積システム140として示される選択的堆積システムが示されている。堆積システム140は、同様の参照番号によって示される、堆積システム100と同様の特徴を含み得る。特に、堆積システム140は、堆積システム140が堆積源150を含み、堆積源150は、図1に示す層121の方向性のある堆積と比較して、層154のより等方性の堆積を生成するという点で、堆積システム100とは異なる。堆積源150は、プラズマ152がプロセスチャンバ101内で生成されるプラズマ堆積源であってもよい。堆積源150の構成は、既知のプラズマ堆積装置と同様であり得、基板120は、位置P1に配置されたときにプラズマ152中に浸漬される。したがって、プラズマ152からの凝縮種が、層154として示される共形コーティングを形成する傾向があり、層154は、堆積領域155における、構造体122の様々な表面をコーティングする。最初に、堆積領域155は、上部123、トレンチ125、左側壁129、および右側壁127を含む、構造体122の表面全体を覆うことができる。角度付きイオン114が基板120に衝突するように基板120がスキャンされるとき、層154の一部が、スパッタエッチングによって除去され得る。結果として、層154は、堆積領域155の第2の領域155Bに残りながら、第1の領域155Aで除去され得る。この例では、第1の領域は、構造体122の上部123に対応し、第2の領域155Bは、構造体122の他の表面に対応し得る。
【0024】
[0028]前述のように、角度付きイオン114は、基板120に対する層121または層154のスパッタエッチング選択性を高めるように、基板平面に対する垂直線に対して非ゼロの入射角を規定するように構成され得る。様々な実施形態によれば、堆積システム100および堆積システム140は、コントローラ130を含み得る。コントローラ130は、堆積されるべき層の材料、基板120の材料、層の選択的堆積のための目標領域、および他の要因に応じて、θの値、θの値を意味する値を調整することを含み、様々な構成要素の動作を調整するように構成され得る。この文脈において、層の「材料」または基板の「材料」は、少なくとも部分的に、層の成分などの材料組成を指すことができ、層および基板は、異なる材料:タングステンとケイ素、ケイ素と酸化ケイ素、などで一般に形成されている。
【0025】
[0029]図3A図3B、および図3Cに目を向けると、タングステン/ケイ素系のKrイオンビーム処理におけるスパッタリング挙動の二次元マップが示されている。二次元マップは、イオンエネルギーおよび基板平面に対する垂直線に対する入射角の関数としてスパッタ率を示している。各図において、スパッタ速度または相対的なスパッタ速度が、イオンエネルギー(Y軸)および材料の表面の平面に対する垂直線に対する入射角(X軸)の関数として、濃淡によって描かれている。グラフは、円で示されている実験データポイントに基づくシミュレーションである。タングステン(図3A)とケイ素(図3B)のスパッタ速度が、1xE16/cmイオンドーズあたりオングストロームでのエッチングされた層の厚さとして示されている。矢印で示すように、エッチング速度は、入射角の増加とイオンエネルギーの増加とともに増加する傾向があるが、W/Siスパッタ比(図3C)は、より複雑な挙動を示す。垂直入射(ゼロ度)またはその近くでは、W/Siスパッタ比は、比較的高く、2~4の範囲であるが、入射角が大きくなると減少する。W/Siスパッタ比は、大きい入射角(>60度)と低いイオンエネルギー(2keV未満)で最も低くなる。イオンエネルギーの関数としての挙動は、より複雑である。小さい入射角(<20度)では、W/Siスパッタ比は、イオンエネルギーが10keVまで増加するとともに、わずかに減少するが、大きい入射角(>30度)では、W/Siスパッタ比は、イオンエネルギーとともに増加する。図3Cはまた、W/Siの1/1エッチング比を表す中立線300を示し、これは、中立線300に沿った任意の点によって表されるイオンエネルギー/イオン角の下で、タングステンおよびケイ素が等しい速さでスパッタされる状況を意味する。したがって、図3A図3Cの情報を使用して、パターニングされた基板の表面上の材料、ならびに実際的な考慮事項に従って、パターニングされた基板上への選択的堆積を容易にするように、イオンエネルギーおよび入射角を調整することができる。このような考慮事項には、所与のイオン源から利用可能なイオンエネルギーの範囲、および所与のシステム構成で利用可能な実際の入射角範囲が含まれる。
【0026】
[0030]図3Cのデータなどの情報を使用して、上記のように、θで表される角度付きイオン114の目標入射角を調整または設定することができる。したがって、基板120がケイ素であり、層121がタングステンである例では、所与の表面からタングステンを選択的に除去するために、大きいW/Siスパッタ速度比を生成するようにθの値を設定することが、有用であり得る。この例では、図1図2のシナリオのように、上部123から材料を除去するためには、500eVのイオンエネルギーでθを0~5度の値に設定すると、W/Siスパッタエッチング比は約4/1になる。
【0027】
[0031]W/Si/Kr系について図3A図3Cに示されている図は、単なる例示である。堆積層材料/基板およびイオン種の他の組み合わせは、一般に、異なるスパッタエッチング選択性挙動をもたらすであろう。他の実施形態では、角度付きイオン114の入射角は、選択的堆積に使用される基板材料/堆積層材料/スパッタ種の系について経験的に決定された挙動に従って調整されてもよい。
【0028】
[0032]さらなる実施形態では、角度付きイオン114にとって目標とされる入射角およびイオンエネルギーは、処理される構造体の形状を考慮に入れることができる。例えば、再び図2を参照すると、いくつかの実施形態では、目標とされる最終的な構造体は、左側壁129および上部123の部分からの層154のスパッタ除去を必要とし得る。左側壁129および上部123が、互いに対して相互に直交(90)度である場合、それに応じて、θについて選択される角度は、左側壁129および上部123が、それぞれの表面に対して同じ相対入射角でイオンを受け取るのを確実にするように、45度であり得る。ケイ素の基板上に配置されたタングステンの層154をエッチングするためにKrイオンが使用される図3Cのデータを続けると、より高いW/Siスパッタエッチング比は、上部123および左側壁129からのタングステンの除去中に、構造体122内のケイ素の過度のスパッタリングが生じないことを保証するのに役立つ。図3Cのデータは、3kV未満では、ケイ素がタングステンよりも速い速度でスパッタされるので、クリプトンイオンのイオンエネルギーを比較的高い値に設定することを命じている。したがって、イオンエネルギーは、Wがケイ素よりも速くエッチングされるように、例えば、10kVに設定され得る。
【0029】
[0033]いくつかの実施形態によれば、堆積システム100などのシステムのコントローラ130を使用して、選択的堆積を容易にするためにプロセスパラメータを調整および制御することができる。ここで図4に目を向けると、コントローラ130、堆積源102、および角度付きイオン源104を含む堆積システム100のブロック図が、示されている。コントローラ130は、これらの構成要素に結合されて、例えば、制御信号を送信し、構成要素から信号を受信することができる。コントローラ130は、既知のタイプのマイクロプロセッサ、専用の半導体プロセッサチップ、汎用の半導体プロセッサチップ、または同様のデバイスなどのプロセッサ252を含み得る。コントローラ130は、プロセッサ252に結合されたメモリまたはメモリユニット254を、さらに含み得、メモリユニット254は、選択的堆積制御ルーチン256を含む。選択的堆積制御ルーチン256は、堆積源102および角度付きイオン源104を含む構成要素を監視および調整するために、プロセッサ252上で動作することができる。
【0030】
[0034]メモリユニット254は、製造品を含み得る。一実施形態では、メモリユニット254は、光学的、磁気的、または半導体ストレージなどの、任意の非一時的なコンピュータ可読媒体または機械可読媒体を含み得る。ストレージ媒体は、本明細書で説明される論理フローのうちの1つ以上を実施するための様々なタイプのコンピュータ実行可能命令を記憶することができる。コンピュータ可読または機械可読ストレージ媒体の例は、揮発性メモリまたは不揮発性メモリ、リムーバブルまたは非リムーバブルメモリ、消去可能または消去不可能なメモリ、書き込み可能または再書き込み可能メモリなどを含む、電子データを記憶することができる任意の有形媒体を含み得る。コンピュータ実行可能命令の例は、ソースコード、コンパイルされたコード、インタプリタされたコード、実行可能コード、静的コード、動的コード、オブジェクト指向コード、ビジュアルコードなどの任意の適切なタイプのコードを含み得る。実施形態は、この文脈に限定されない。
【0031】
[0035]図4にさらに示されるように、選択的堆積制御ルーチン256は、スパッタ制御プロセッサ258、ならびに堆積制御プロセッサ260を含み得る。いくつかの実施形態によれば、スパッタ制御プロセッサ258は、イオン曝露中に処理されるべき基板の構造情報を受け取ることができる。構造情報の例には、三次元(3D)構造体のフィーチャの高さ、隣接するフィーチャ間のピッチ、スパッタエッチングされるべき3D構造体の目標領域(例えば、第1の部分124Aを参照)、堆積されるべき層の材料、基板材料などが含まれる。スパッタ制御プロセッサ258は、構造情報に基づいて、角度付きイオン源104によって生成されるイオンビームなどの角度付きイオンの入射角を計算するように、構成することができる。スパッタ制御プロセッサ258は、堆積システム100の設定を調整するための制御信号を送信することができ、設定(パラメータ)の調整は、角度付きイオン114の入射角を変更する、角度付きイオン114のイオンエネルギーを変更する、または入射角とエネルギーの両方を変更する効果を有する。したがって、スパッタ制御プロセッサ258が、構造情報に基づいて、入射角またはイオンエネルギーを変更することを決定する場合、角度付きイオン114の入射角を変更するように角度付きイオン源104を調整するための制御信号が送信され得る。
【0032】
[0036]堆積制御プロセッサ260は、堆積プロセス情報の受信に基づいて、上記の堆積ビーム112の入射角を調整するために、堆積制御信号を送信するように構成され得る。例えば、堆積情報は、上記の構造情報の一部または全て、ならびに角度付きイオン114に使用されるべき好ましいイオン種、または角度付きイオン114の入射角の好ましい角度範囲などのイオンビーム情報を含み得る。
【0033】
[0037]図4にさらに示されているように、メモリユニット254は、データベース262を含むことができ、データベースは、構造情報または堆積情報、その他のデータを含むことができる。
【0034】
[0038]図5は、本開示の実施形態による、例示的なプロセスフロー500を示している。ブロック502において、三次元形状を有する表面を有する基板が用意される。様々な実施形態では、表面は、メサ、ライン、ピラー、半球などの、基板平面から盛り上がったフィーチャ、ビア、トレンチなどの、基板内に延びる空洞などを含み得る。
【0035】
[0039]ブロック504において、堆積種が、堆積源から基板表面に導かれ、層が、基板表面の堆積領域上に形成される。いくつかの実施形態では、堆積領域は、基板表面全体よりも少ない領域に制限され得るが、他の実施形態では、堆積領域は、基板表面全体を覆い得る。基板表面が三次元構造体を含むいくつかの実施形態では、堆積領域は、三次元構造体の第1の部分を覆い得るが、層は、三次元構造体の第2の部分上に形成されない。例えば、様々な実施形態において、堆積種は、三次元構造体の第2の部分が角度付きビームから遮られて、堆積種には第2の部分が「見えず」、陰の領域を形成するような入射角の角度付きビームで、導かれてもよい。他の実施形態では、基板全体が、プラズマ堆積チャンバ内などで堆積種に曝露されてもよく、堆積種は、基板表面上の三次元構造体全体を含む基板全体を覆うように基板表面に等方的に衝突し得る。
【0036】
[0040]ブロック506で、基板スキャンが実行されて、基板を第1の位置から第2の位置に搬送する。第1の位置では、基板は、堆積源からの堆積種を遮るように配置され、第2の位置では、基板は、角度付きイオン源からの角度付きイオンを遮るように配置され得る。いくつかの実施形態では、基板の第1の領域だけが、所与の段階で堆積種に曝露され、基板が第1の位置から第2の位置にスキャンされているときに、基板の異なる領域が、堆積種に順に曝露されてもよい。
【0037】
[0041]ブロック508において、角度付きイオンが、層が存在している基板表面に導かれる。したがって、層は、堆積領域の第1の部分から除去され得るが、堆積領域の第2の部分に残り得る。様々な実施形態において、角度付きイオンは、堆積領域の第1の部分で層をエッチングするためのスパッタリングイオンを生成するイオン源から提供され得る。(基板平面に対する垂直線に対する)入射角は、三次元構造体の形状およびサイズ、ならびに層の材料および基板の材料を考慮に入れるように配置することができる。様々な実施形態において、入射角は、層材料/基板材料スパッタ比を増加させて、堆積領域の第1の部分における層の除去を保証しながら、基板のエッチングを低減または最小化するように、調整され得る。
【0038】
[0042]要約すると、本実施形態は、マスクを使用せずに3D構造体上に材料の選択的堆積を実行する能力という利点を提供する。本実施形態はまた、複数の処理ツールを必要とする複雑なスキームを回避しながら、3D表面に材料を選択的に堆積するという追加の利点を提供する。
【0039】
[0043]本開示は、本明細書に記載の特定の実施形態によって範囲が限定されるべきではない。実際、本明細書に記載されているものに加えて、本開示の他の様々な実施形態および修正が、前述の説明および添付の図面から当業者には明らかであろう。したがって、そのような他の実施形態および修正が、本開示の範囲内に入ることが意図されている。さらに、本開示は、特定の目的のための特定の環境における特定の実施態様の文脈で本明細書に記載されている。当業者は、有用性がそれらに限定されず、本開示が、任意の数の目的のために任意の数の環境で有益に実施され得ることを、認識するであろう。したがって、以下に記載される特許請求の範囲は、本明細書に記載される本開示の最大限の範囲および精神を考慮して、解釈されるべきである。
図1
図2
図3A-3C】
図4
図5