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特許7274573ファラデーの法則を利用した安全システムによる停止のための受動電気部品
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  • 特許-ファラデーの法則を利用した安全システムによる停止のための受動電気部品 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-08
(45)【発行日】2023-05-16
(54)【発明の名称】ファラデーの法則を利用した安全システムによる停止のための受動電気部品
(51)【国際特許分類】
   G21D 3/04 20060101AFI20230509BHJP
   H01H 69/01 20060101ALI20230509BHJP
   G05B 9/02 20060101ALI20230509BHJP
   H02H 3/087 20060101ALI20230509BHJP
【FI】
G21D3/04 D
H01H69/01
G05B9/02 A
H02H3/087
G21D3/04 A
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021515099
(86)(22)【出願日】2019-10-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-12
(86)【国際出願番号】 US2019058513
(87)【国際公開番号】W WO2020092332
(87)【国際公開日】2020-05-07
【審査請求日】2022-08-26
(31)【優先権主張番号】16/176,716
(32)【優先日】2018-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508177046
【氏名又は名称】ジーイー-ヒタチ・ニュークリア・エナジー・アメリカズ・エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】GE-HITACHI NUCLEAR ENERGY AMERICAS, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】ローウェン,エリック ピー.
(72)【発明者】
【氏名】ウィーバー,デイビッド ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】ストレージ,セス ライアン ポール
(72)【発明者】
【氏名】フェファー,マリア イー.
(72)【発明者】
【氏名】フェファー,スコット エル.
【審査官】右▲高▼ 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-118801(JP,A)
【文献】特開平5-94756(JP,A)
【文献】特開平7-49399(JP,A)
【文献】特表平10-506476(JP,A)
【文献】実開平5-87599(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21D 3/04
H01H 69/01
G05B 9/02
H02H 3/087
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検知された状態を表す電流を受け取るための第1のセンサに接続されるとともに第1の端部および第2の端部でアンカー固定されている第1のコイルと、
検知された状態を表す電流を受け取るための第2のセンサに接続されるとともに第1の端部および第2の端部でアンカー固定されている第2のコイルであって、同第2のコイルは、前記第1のコイルの前記第1の端部に隣接する前記第1の端部を有する、第2のコイルと、
を備え、前記第1のコイルおよび前記第2のコイルが前記第1のセンサおよび前記第2のセンサから増加した電流を受け取ると、前記第1のコイルおよび前記第2のコイルは、それぞれ互いに反発する磁束を発生させて、前記コイルのうちの少なくとも1つを破断させる、電気技術装置。
【請求項2】
前記第1のコイルは、前記第2の端部で前記第1のセンサに接続されるとともに前記第1の端部で第1の出力ラインに接続されている、請求項1に記載の電気技術装置。
【請求項3】
前記第2のコイルは、前記第2の端部で前記第2のセンサに接続されるとともに前記第1の端部で第2の出力ラインに接続されている、請求項2に記載の電気技術装置。
【請求項4】
前記第1のコイルおよび前記第2のコイルは、前記第1の端部および前記第2の端部において、対応する第1のプレートおよび第2のプレートによってアンカー固定されている、請求項1に記載の電気技術装置。
【請求項5】
検知された状態を表す電流を受け取るための第1のセンサに接続されるとともに第1の端部および第2の端部でアンカー固定されている第1のコイルと、
検知された状態を表す電流を受け取るための第2のセンサに接続され、かつ第1の端部および第2の端部でアンカー固定されるとともに前記第1のコイルに隣接する第2のコイルと、
検知された状態を表す電流を受け取るための第3のセンサに接続され、かつ第1の端部および第2の端部でアンカー固定されるとともに前記第1のコイルおよび前記第2のコイルに隣接している第3のコイルと、
検知された状態を表す電流を受け取るための第4のセンサに接続され、かつ第1の端部および第2の端部でアンカー固定されるとともに前記第1のコイル、前記第2のコイル、および前記第3のコイルに隣接している第4のコイルと、
を備え、前記第1のコイル、前記第2のコイル、前記第3のコイル、および前記第4のコイルのうちの少なくとも2つのコイルが、前記第1のセンサ、前記第2のセンサ、前記第3のセンサ、および前記第4のセンサのうちの少なくとも2つのセンサから増加した電流を受け取ると、前記第1のコイル、前記第2のコイル、前記第3のコイル、および前記第4のコイルのうちの少なくとも2つのコイルがそれぞれ磁束を発生させて互いに反発し、前記コイルのうちの少なくとも1つを破断させる、電気技術装置。
【請求項6】
前記第1のコイルは、前記第2の端部で前記第1のセンサに接続されるとともに前記第1の端部で第1の出力ラインに接続されている、請求項5に記載の電気技術装置。
【請求項7】
前記第2のコイルは、前記第2の端部で前記第2のセンサに接続されるとともに前記第1の端部で第2の出力ラインに接続されている、請求項6に記載の電気技術装置。
【請求項8】
前記第3のコイルは、前記第2の端部で前記第3のセンサに接続されるとともに前記第1の端部で第3の出力ラインに接続されている、請求項7に記載の電気技術装置。
【請求項9】
前記第4のコイルは、前記第2の端部で前記第4のセンサに接続されるとともに前記第1の端部で第4の出力ラインに接続されている、請求項8に記載の電気技術装置。
【請求項10】
前記第1のコイル、前記第2のコイル、前記第3のコイル、および前記第4のコイルは、前記第1の端部および前記第2の端部において、対応する第1のプレートおよび第2のプレートによってアンカー固定されている、請求項1に記載の電気技術装置。
【請求項11】
第1の端部および第2の端部でアンカー固定された第1のコイルを3D印刷する工程と、
検知された状態を表す電流を受け取るための第1のセンサを前記第1のコイルに接続する工程と、
第1の端部および第2の端部でアンカー固定されるとともに前記第1のコイルに隣接する第2のコイルを3D印刷する工程と、
検知された状態を表す電流を受け取るための第2のセンサを前記第2のコイルに接続する工程と、
を含み、前記第1のコイルおよび前記第2のコイルが前記第1のセンサおよび前記第2のセンサから増加した電流を受け取ると、前記第1のコイルおよび前記第2のコイルは、それぞれ互いに反発する磁束を発生させて、前記コイルの少なくとも1つを破断させる、電気技術装置を形成する方法。
【請求項12】
第1の端部および第2の端部にアンカー固定されるとともに前記第1のコイルおよび前記第2のコイルに隣接する第3のコイルを3D印刷する工程と、
検知された状態を表す電流を受け取るための第3のセンサを前記第3のコイルに接続する工程と、
第1の端部および第2の端部でアンカー固定されるとともに前記第1のコイル、前記第2のコイル、および前記第3のコイルに隣接する第4のコイルを3D印刷する工程と、
検知された状態を表す電流を受け取るための第4のセンサを前記第4のコイルに接続する工程と、
をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1のコイル、前記第2のコイル、前記第3のコイル、および前記第4のコイルの前記3D印刷に関する3D印刷機からのデータを格納する工程をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、システムパラメータを検知し、また、予め定められた設定点に達して、これによりシステム内のアクションを実行するための信号が送信された場合にトリップ状態になる受動電気部品を含む安全システムによる停止に関する。 受動電気部品は、ファラデーの法則の原理を利用している。
【背景技術】
【0002】
ここでは、必ずしも先行技術ではない本開示に関連する背景情報を提供する。
【0003】
現代の原子炉は、分散制御情報システム(DCIS)と呼ばれる制御および安全のための様々なデジタルシステムを使用する。これらのシステムは、冗長性があり、多様性があり、フォールトトレラント性があり、システムが動作している間に広範囲の自己診断を行う。一方、原子力デジタル産業では、一般的な原因であるソフトウェアの不具合が懸念されている。さらに被害が大きいのは、システムの安全システムへの、あるいはシステムの安全システムを介したサイバー攻撃である。デジタル産業では、コンポーネントサイズを小さくしながら計算能力を高めたいという願望から、ソフトウェアが埋め込まれた非常に小さなデジタルデバイスが生まれている。これらのシステムが一般的な原因である不具合を有し得ないことを規制機関に納得させることは非常に困難である。この小型のデジタルシステムがサイバー攻撃を受けた場合には、さらに大きな被害を受ける作動が生じる可能性がある。このような原子力発電所の安全システムの極端な未知の状態は、冗長性、独立性、決定性の原因となり、これらのすべてが相当な追加コストの原因となっている。
【0004】
図5は、制御パネル203がインターフェイスとなる、安全部202および非安全部204の両者を備える従来の分散制御情報システム(DCIS)200を示す概略図である。本開示は、図6に示すDCIS200の安全部202に向けられている。DCIS200の安全部202は、4つの独立して構成された部202A乃至202Dを含み、これらはそれぞれ、収集され、また、リモートマルチプレクサユニットRMU205から送信される測定されたシステム信号を受信する。リモートマルチプレクサユニットRMU205は、デジタルトリップモジュールDTM206に出力を行う。デジタルトリップモジュールDTM206はそれぞれトリップ論理ユニットTLU208に出力を行う。トリップ論理ユニットTLU208はそれぞれ出力論理ユニットOLU210に出力信号を提供する。従来の安全部202は、故障を判定するために、異なる4つの部202A乃至202Dのうちの少なくとも2つの部が同様の信号を受信するという投票ロジックを使用する(すなわち、圧力および温度は互いに比較されない)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
原子力発電所の制御システムの設計者、購入者、設置者、および操作者は、システムが確実に設計通りに機能するように、本質的な安全信号を確立するとともに追跡することがより困難になっている。人間が「信号の流れ」を変化させたり、「電子/データの流れを追跡して、システムがサイバー攻撃を受けないようにする」ことができる規模の装置および方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本項は、本開示の一般的な概要を提供するものであり、その完全な範囲またはすべての要素を包括的に開示するものではない。
【0007】
本開示は、制御システムに結合され、また、ファラデーの法則を利用して受動システム安全停止を行うことができる電気技術装置を提供する。これらの装置は、デジタル安全システムの固有の限界である共通の原因であるソフトウェア障害やサイバーセキュリティ攻撃の課題を解決する。ファラデーの法則接触器は、原子力発電所、または他の敏感なインフラストラクチャを保護するために複数の構成で設定することができる電気技術装置を提供する。ファラデーの法則接触器は、電気技術装置を確実に一貫して製造することができる金属およびプラスチックの3D印刷機を使用して製造することができ、これに関してその製造データをキャプチャするとともに保存して、装置の一貫した動作特性を確認することに利用することができる。この装置は、簡単な合否チェックやゴー/ノー・ゴーチェックを使用して、電気安全システムに伝達して、安全な停止に状態を変更する。プリントされた装置は、3つの基本的なタスクを実行するために安全システムに配置される。基本的なタスクとは、すなわち、システムパラメータ(例、温度、流量、圧力、電力、変化率など)を検知し、予め設定されたポイントに達した場合は「トリップ」状態になり、最後に、安全システムの論理が満たされた場合は、停止などのシステム内のアクションを実行するための信号を送信することである。通常の電源喪失時には、ファラデーの法則接触器は、ユーザの要求に応じて、そのまま故障したり、安全状態に故障し得る。システムは、停電によるデジタル機器の安全機能のいかなる喪失を防止する。装置は、さらに、ソフトウェアやデジタルサイバー攻撃による障害を解消する。
【0008】
電気技術装置は、検知された状態を表す電流を受け取るための第1のセンサに接続されるとともに第1の端部および第2の端部でアンカー固定されている第1のコイルを備える。第2のコイルは、検知された状態を表す電流を受け取るための第2のセンサに接続されており、第2のコイルは、第1の端部および第2の端部でアンカー固定されるとともに第1のコイルに隣接している。第1のコイルおよび第2のコイルが第1のセンサおよび第2のセンサから増加した電流を受け取ると、第1のコイルおよび第2のコイルはそれぞれ、コイルの少なくとも1つを破断させるように互いに反発する磁束を生成する。
【0009】
電気技術装置は、検知された状態を表す電流を受け取るための第1のセンサに接続されるとともに第1の端部および第2の端部でアンカー固定されている第1のコイルを備える。第2のコイルは、検知された状態を表す電流を受け取るための第2のセンサに接続され、かつ第1の端部および第2の端部でアンカー固定されるとともに第1のコイルに隣接する。第3のコイルは、検知された状態を表す電流を受け取るための第3のセンサに接続され、かつ第1の端部および第2の端部でアンカー固定されるとともに第1のコイルおよび第2のコイルに隣接している。第4のコイルは、検知された状態を表す電流を受け取るための第4のセンサに接続され、かつ第1の端部および第2の端部でアンカー固定されるとともに第1のコイル、第2のコイル、および第3のコイルに隣接している。第1のコイル、第2のコイル、第3のコイル、および第4のコイルのうちの少なくとも2つのコイルが、第1のセンサ、第2のセンサ、第3のセンサ、および第4のセンサのうちの少なくとも2つのセンサから増加した電流を受け取ると、第1のコイル、第2のコイル、第3のコイル、および第4のコイルのうちの少なくとも2つのコイルがそれぞれ磁束を発生させて互いに反発し、停止信号が送信されるようにコイルのうちの少なくとも1つを破断させる。
【0010】
適用可能なさらなる領域は、本明細書で提供される説明から明らかになるであろう。本課題を解決するための手段における説明および具体例は、例示のみを目的とするものであり、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の原理に従ったファラデーの法則接触器を示す概略図である。
図2図1に示すファラデーの法則接触器をトリップ状態で示した概略図である。
図3】原子力システム用のファラデーの法則接触器を示す概略的な斜視図である。
図4】原子力システムのファラデーの法則接触器をトリップ状態で示した斜視図である。
図5】原子炉用分散制御情報システムの従来のデジタルシステムを示す概略図である。
図6図5の分散制御情報システムの従来のデジタルシステムの安全部を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書に記載された図面は、選択された実施形態のみを例示する目的であり、すべての可能な実施形態を示すものではなく、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。
【0013】
対応する参照符号は、図面のいくつかの図にわたって対応する部分を示している。
【0014】
例示的な実施形態は、ここで添付の図面を参照して、より完全に説明される。
【0015】
例示的な実施形態が提供され、これにより、本開示は、本発明の範囲を徹底的に、当業者に十分に伝達することができる。本開示の実施形態が完全に理解されるように、特定の構成要素、装置、および方法の例のような多数の具体的な詳細が記載されている。特定の詳細を採用する必要の無いこと、例示的な実施形態が多くの異なる形態で具現化され得ること、およびいずれも本開示の範囲を限定するように解釈されるべきではないことは、当業者には明らかであろう。いくつかの例示的な実施形態では、周知のプロセス、周知のデバイス構造、および周知の技術は、詳細には記載されていない。
【0016】
本明細書で使用される用語は、特定の例示的な実施形態のみを説明する目的であり、限定することを意図していない。本明細書で使用されるように、単数形の「a」、「an」、および「the」は、文脈が明らかに別段のことを示さない限り、複数形も含むことを意図している。用語「comprises」、「comprising」、「including」、および「having」は包括的であり、したがって、記載された特徴、整数、ステップ、操作、要素、および/または構成要素の存在を特定するが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、操作、要素、構成要素、および/またはそれらのグループの存在または追加を排除するものではない。本明細書に記載された方法のステップ、プロセス、および操作は、具体的に所定の順序の性能として特定されない限り、議論または例示された特定の順序でのそれらの性能を必ずしも必要とするものとして解釈されるものではない。追加のステップまたは代替のステップが採用されてもよいことも理解されよう。
【0017】
図1および図2は、並んで配置され、それぞれが一対の対応する個別のセンサ14A,14Bに接続された一対のヘリカルコイル12A,12Bを含むファラデーの法則接触器10を示す説明図である。センサ14A,14Bはそれぞれ、温度、圧力、流量、またはその他の所望のパラメータの1つを検知することができる。センサが検知しているパラメータの増加を検知すると、センサはコイル12A,12Bに増加した電流を供給する。増加した電流の流れにより、各コイル12A,12Bには磁束が発生する。各コイル12A,12Bは同一方向に巻かれており、電流の流れも同一方向であるため、各コイルは同一方向の北極および南極を有している。コイル12A,12Bの共通の極が互いに反発するので、その反発力によってコイル12A,12Bの一方または両者が破断する。
【0018】
コイル12A,12Bは、3Dデジタル印刷法を用いて形成可能であり、磁化されたコイルの反発力によって実現できる破断点を有するように、脆弱な金属材料から形成することができる。電気技術装置を確実に一貫して製造するために3D印刷機を使用することができ、これに関してその製造データをキャプチャするとともに保存して、装置の一貫した動作特性を確認することに利用することができる。材料の一例としては、鉄-シリコン合金(Fe-Si)が挙げられる。このタイプの合金は、容易に磁化および消磁可能な軟質の強磁性材料である。コイル12A,12Bは、予め定められた設定点の温度、圧力、流量、またはその他のパラメータを超えたことをセンサが示す電流レベルに関連付けられる磁気反発力を受けたときに破断するように特別に構成された破断点を備えるように、任意に設計して形成することができる。コイル12A,12Bの一方または両者が破断すると、そのコイルを通る電流が遮断される。遮断された電流は、システムを停止するためのシステム緊急事態の信号として使用することができる。
【0019】
図3および図4は、ファラデーの法則を利用した原子力安全システム40を示す概略図である。原子力安全システム40は、各部の独立した4つの部42A乃至42Dを利用している。4つの個別のセンサ44A乃至44Dからの4つの論理の同様の信号(A,B,C,D)のうち2つの論理の信号を利用した4部の安全システムには、トリップ状態に至るまでにAB,AC,AD,BC,BD,CDを含む6つの状態がある。
【0020】
図3に示すように、複数のヘリカルコイル46A乃至46Dは、その一方の端部を互いに隣接させて配置されている。図の例では、4つのコイル46A乃至46Dがピラミッド状に配置されており、各コイルの共通の極端部がピラミッドの頂点に配置されている。コイル46A乃至46Dは、3Dデジタル印刷を用いて金属から形成することができ、それらの両端部を上下のプレート48,50でアンカー固定することができる。電界のカールと磁界の時間変化との関係を利用して、安全システムの保護を行っている。図3では、4つのコイル46A乃至46Dのそれぞれは、安全システムの対応する部42A乃至42Dに関連付けられており、安全システムの各部に関連付けられた4つのセンサ44A乃至44Dから電流を受け取る。コイル46A乃至46Dを3D印刷で製作すると、これらは上下のプレート48,50に電気的ではなく物理的にリンクさせることができる。センサ44A乃至44Dから変化する電界の信号が入力されると、変化する磁界が生成される。4つのコイル46A乃至46Dのうちの2つにトリップ信号(電流の流れ)があると、これにより共通の極の反発力が生じ、図4に示すように装置(例えばコイル46A)が故障または破損して、安全回路の安全な停止信号をもたらす必要な遮断が行われるようになる。
【0021】
これにより、電流はコイル46A乃至46Dのそれぞれを4部に分けて通過する。コイル46A乃至46Dに流れる電流の方向を工夫することで、北極と南極のどちらか一方がすべて同じ側になる。対向する誘導磁界により、一方または両者のコイルが磁気的に破壊され、電流が流れなくなることで安全信号が発生する。
【0022】
4つのコイル46A乃至46Dは、図5および図6で上述したDTM、TLUおよびOLUに代わるものである。
【0023】
装置の定常動作時には、センサ44A乃至44Dは低電流(4乃至20mA)を供給する。電流が、例えば、予め定められたレベルを越える温度、圧力、流量、または他のパラメータを検知したために、装置のベースラインを超える場合、安全システムの応答が作動する。ファラデーの法則の装置では、コイルが破断すると一生に一度の部品(ヒューズ)が反応する。
【0024】
上述した実施形態の説明は、図示および説明を目的として提供されている。網羅的に開示することを意図したものではなく、開示を限定するものでもない。特定の実施形態の個別の要素または特徴は、一般に、その特定の実施形態に限定されるものではないが、適用可能な場合には、特に示されていなくても、または説明されていなくても、交換可能であり、選択された実施形態で使用することができる。また、これらは様々に変形可能である。そのような変形は、本開示からの逸脱とみなされるものではなく、すべてのそのような変形は、本開示の範囲内に含まれることが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6