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特許7274593クラッチ装置、ドリルチャック、動力工具及びドリルチャックの2方向回動方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-08
(45)【発行日】2023-05-16
(54)【発明の名称】クラッチ装置、ドリルチャック、動力工具及びドリルチャックの2方向回動方法
(51)【国際特許分類】
   B23B 31/12 20060101AFI20230509BHJP
【FI】
B23B31/12 D
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021548644
(86)(22)【出願日】2019-05-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-13
(86)【国際出願番号】 CN2019088564
(87)【国際公開番号】W WO2020220420
(87)【国際公開日】2020-11-05
【審査請求日】2021-08-18
(31)【優先権主張番号】201910351537.5
(32)【優先日】2019-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】518429562
【氏名又は名称】柳 堯 亭
【氏名又は名称原語表記】LIU, YAOTING
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柳 堯 亭
【審査官】中川 康文
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第109365849(CN,A)
【文献】特開2015-080850(JP,A)
【文献】特表2018-529540(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0089127(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第108971536(CN,A)
【文献】中国実用新案第208662858(CN,U)
【文献】特開2010-260122(JP,A)
【文献】特表平11-506705(JP,A)
【文献】特表平09-509896(JP,A)
【文献】特開平09-234612(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B 31/00-33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
復帰弾性部材と、伝動アッセンブリと、回動部と、トリガー部材とを備え、前記伝動アッセンブリが2つの対向して設置される係合部を含み、前記係合部は、第1係合部と第2係合部とを含み、前記第1係合部がドリルチャックのフロント体と同期回動可能であり、前記第2係合部が前記ドリルチャックのバック体と同期回動可能であり、前記第1係合部および前記第2係合部の係合により、前記フロント体と前記バック体とを同期回動させることが可能であり、前記回動部の第1方向に沿う回動により、前記復帰弾性部材が圧縮されて、前記第1係合部および前記第2係合部が分離され、前記回動部の第2方向に沿う回動により、圧縮された前記復帰弾性部材が復帰して、前記第1係合部および前記第2係合部が互いに係合され、
前記トリガー部材は、前記回動部の回動により、前記トリガー部材が前記第1係合部または前記第2係合部を押して運動させて、したがって、前記復帰弾性部材が圧縮されたり復帰したりし、
前記トリガー部材はレバーを備え、前記回動部の第1方向に沿う回動により、前記レバーが前記第2係合部をこじて前記バック体の軸方向に沿って移動させまたは前記レバーが前記第1係合部をこじて前記フロント体の軸方向に沿って移動させて、前記第1係合部と前記第2係合部とを分離させる、
ことを特徴とするクラッチ装置。
【請求項2】
前記第1係合部および前記第2係合部が歯構造によって係合又は分離を実現し、前記第1係合部および前記第2係合部がシート状構造であり、前記歯構造が前記シート状構造のシート面に設けられた複数の歯であり、且つ前記複数の歯が円状に前記シート面に分布される、
ことを特徴とする請求項1に記載のクラッチ装置。
【請求項3】
前記クラッチ装置は後スリーブをさらに備え、前記後スリーブが前記バック体と固定接続され、前記後スリーブと前記バック体との接続方式として締まりばめ又はキー結合を用いる、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のクラッチ装置。
【請求項4】
前記復帰弾性部材が前記第1係合部または前記第2係合部の外側に位置し、前記第1係合部と前記第2係合部とは内側が対向している、
ことを特徴とする請求項に記載のクラッチ装置。
【請求項5】
前記復帰弾性部材が前記第2係合部の外側に位置、前記第1係合部が前記フロント体と固定接続し、前記第2係合部が前記バック体の軸方向に沿って移動可能である、
ことを特徴とする請求項に記載のクラッチ装置。
【請求項6】
前記レバーが、第1起こし部と、前記第1起こし部と接続する第2起こし部とを含み、前記第1起こし部と前記第2起こし部とが角度をなして設けられる、
ことを特徴とする請求項に記載のクラッチ装置。
【請求項7】
前記レバーがピン軸によって回動可能に前記第1係合部の周方向に取り付けられ、前記回動部がスリーブ状構造であり、前記スリーブ状構造の内面に、前記レバーを押して前記ピン軸回りに回動させるための凸状ブロックが設けられている、
ことを特徴とする請求項に記載のクラッチ装置。
【請求項8】
前記第1係合部に位置決め孔が開設され、前記レバーが挿着部とこじ部とを含み、前記挿着部と前記こじ部とは長手方向が角度をなすようにそれぞれ延在し、前記挿着部が前記位置決め孔内に挿着され、前記回動部がスリーブ状構造であり、前記スリーブ状構造の内面に、前記こじ部を運動させるように前記挿着部を押して前記位置決め孔内で揺動させるための凸状ブロックが設けられている、
ことを特徴とする請求項に記載のクラッチ装置。
【請求項9】
復帰弾性部材と、伝動アッセンブリと、回動部と、トリガー部材とを備え、前記伝動アッセンブリが2つの対向して設置される係合部を含み、前記係合部は、第1係合部と第2係合部との2つ係合部を含み、前記第1係合部がドリルチャックのフロント体と同期回動可能であり、前記第2係合部が前記ドリルチャックのバック体と同期回動可能であり、前記第1係合部および前記第2係合部の係合により、前記フロント体と前記バック体とを同期回動させることが可能であり、前記回動部の第1方向に沿う回動により、前記復帰弾性部材が圧縮されて、前記第1係合部および前記第2係合部が分離され、前記回動部の第2方向に沿う回動により、圧縮された前記復帰弾性部材が復帰して、前記第1係合部および前記第2係合部が互いに係合され、
前記トリガー部材は、前記回動部の回動により、前記トリガー部材が前記第1係合部または前記第2係合部を押して運動させて、したがって、前記復帰弾性部材が圧縮されたり復帰したりし、
前記復帰弾性部材が前記第1係合部の外側に位置し、前記第1係合部が前記フロント体の軸方向に沿って移動可能であり、前記第2係合部が前記バック体と固定接続し、
前記トリガー部材は、前記回動部に固定された連結バーを備え、前記連結バーが前記回動部の軸方向に沿って延在し、前記連結バーに接触ヘッドが設けられ、前記第1係合部の表面に接触ヘッド用凹部が設けられ、前記接触ヘッドが前記回動部の回動に従って前記接触ヘッド用凹部に対して進入したり、抜け出したりすることが可能である、
ことを特徴とするクラッチ装置。
【請求項10】
復帰弾性部材と、伝動アッセンブリと、回動部と、トリガー部材とを備え、前記伝動アッセンブリが2つの対向して設置される係合部を含み、前記係合部は、第1係合部と第2係合部との2つ係合部を含み、前記第1係合部がドリルチャックのフロント体と同期回動可能であり、前記第2係合部が前記ドリルチャックのバック体と同期回動可能であり、前記第1係合部および前記第2係合部の係合により、前記フロント体と前記バック体とを同期回動させることが可能であり、前記回動部の第1方向に沿う回動により、前記復帰弾性部材が圧縮されて、前記第1係合部および前記第2係合部が分離され、前記回動部の第2方向に沿う回動により、圧縮された前記復帰弾性部材が復帰して、前記第1係合部および前記第2係合部が互いに係合され、
前記トリガー部材は、前記回動部の回動により、前記トリガー部材が前記第1係合部または前記第2係合部を押して運動させて、したがって、前記復帰弾性部材が圧縮されたり復帰したりし、
前記復帰弾性部材が前記第1係合部の外側に位置し、前記第1係合部が前記フロント体の軸方向に沿って移動可能であり、前記第2係合部が前記バック体と固定接続し、
前記トリガー部材は、従動部と、前記従動部に固定された連結バーとを備え、前記連結バーが前記従動部の軸方向に沿って延在し、前記連結バーに接触ヘッドが設けられ、ねじによって前記従動部と前記回動部との間の伝動が実現され、前記フロント体の周方向に連結バーガイド溝が設けられ、前記連結バーガイド溝が、前記連結バーを前記連結バーガイド溝の長手方向に沿って運動させることに用いられる、
ことを特徴とするクラッチ装置。
【請求項11】
フロント体と、バック体と、挟持爪と、請求項1~10のいずれか1項に記載のクラッチ装置とを備え、前記バック体により前記挟持爪を駆動して運動させて、前記ドリルチャックに取り付けられる先端工具を締付、開放するように、前記バック体が前記フロント体に対して回動可能であり、前記第1係合部および前記第2係合部のうちの一方が前記フロント体と接続し、
前記第1係合部および前記第2係合部のうちの他方が前記バック体と接続する、
ことを特徴とするドリルチャック。
【請求項12】
駆動軸と請求項11に記載のドリルチャックとを備え、前記駆動軸が、前記バック体と接続して前記バック体の回動を駆動する、
ことを特徴とする動力工具。
【請求項13】
ドリルチャックの2方向回動方法であって、
前記ドリルチャックが、バック体と、フロント体と、挟持爪とを備え、
前記バック体と前記フロント体との間に、請求項1~10のいずれか1項に記載のクラッチ装置が設置され、
前記バック体を前記フロント体に対して回動させることにより、前記バック体により前記挟持爪の運動を駆動し、これによって、前記バック体と前記フロント体とを係合又は分離させる
ことを特徴とするドリルチャックの2方向回動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関係出願の相互参照
本出願は、2019年04月28日に中国専利局に提出された、出願番号が2019103515375であり、名称が「クラッチ装置、ドリルチャック、動力工具及びドリルチャックの2方向回動方法」である中国出願に基づいて優先権を主張し、その全ての内容が、参照により本出願に組み込まれる。
【0002】
本出願は、ドリルチャックの技術分野に属し、殊に、クラッチ装置、ドリルチャック、動力工具及びドリルチャックの2方向回動方法に関する。
【背景技術】
【0003】
現在、市販の自己締付ドリルチャックは、振動の作動状態又はアイドリング状態で突然に始動され、且つアイドリングの回動方向が先端工具の緩む方向となる場合、先端工具の緩みが発生しやすく、ドリルがドリルチャックから抜け出すことを招く恐れもある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本出願は、従来技術における、自己締付ドリルチャックが振動の作動状態又はアイドリング状態で突然に始動され、且つアイドリングの回動方向が先端工具の緩む方向である場合、先端工具の緩みが発生しやすく、ドリルがドリルチャックから抜け出すことを招く恐れもある技術問題を解決できる、クラッチ装置、ドリルチャック、動力工具及びドリルチャックの2方向回動方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本出願によるクラッチ装置は、復帰弾性部材と、伝動アッセンブリと、回動部とを備え、前記伝動アッセンブリが少なくとも2つの対向して設置される係合部を含み、1つの前記係合部がドリルチャックのフロント体と同期回動可能であり、他の前記係合部が前記ドリルチャックのバック体と同期回動可能であり、2つの前記係合部の係合により、前記フロント体と前記バック体とを同期回動させることが可能であり、前記回動部の第1方向に沿う回動により、前記復帰弾性部材が圧縮されて、2つの前記係合部が分離され、前記回動部の第2方向に沿う回動により、圧縮された前記復帰弾性部材が復帰して、2つの前記係合部が互いに係合される。
【0006】
任意選択で、2つの前記係合部が歯構造によって係合又は分離を実現し、前記係合部がシート状構造であり、前記歯構造が前記シート状構造のシート面に設けられた複数の歯であり、且つ前記複数の歯が円状に前記シート面に分布される。
【0007】
任意選択で、前記クラッチ装置は後スリーブをさらに備え、前記後スリーブが前記バック体と固定接続され、前記後スリーブと前記バック体との接続方式として締まりばめ又はキー結合を用いる。
【0008】
任意選択で、トリガー部材をさらに備え、前記回動部の回動により、前記トリガー部材が1つの前記係合部を押して運動させて、したがって、前記復帰弾性部材が圧縮されたり復帰したりする。
【0009】
任意選択で、前記復帰弾性部材が前記係合部のうちの1つの係合部の外側に位置し、2つの前記係合部の内側が対向している。
【0010】
任意選択で、前記係合部は、第1係合部と第2係合部との2つの係合部を含み、前記復帰弾性部材が第2係合部の外側に位置し、且つ前記第2係合部が前記復帰弾性部材と前記第1係合部との間に位置し、又は、前記復帰弾性部材が第1係合部の外側に位置し、且つ前記第1係合部が前記復帰弾性部材と前記第2係合部との間に位置する。
【0011】
任意選択で、前記復帰弾性部材が前記第2係合部の外側に位置する場合、前記第1係合部が前記フロント体と固定接続し、前記第2係合部が前記バック体の軸方向に沿って移動可能である。
【0012】
任意選択で、前記トリガー部材はレバーを備え、前記回動部の第1方向に沿う回動により、前記レバーが前記第2係合部をこじて前記バック体の軸方向に沿って移動させて、前記第1係合部と前記第2係合部とを分離させる。
【0013】
任意選択で、前記トリガー部材は、前記回動部に固定された連結バーをさらに備え、前記連結バーが前記回動部の軸方向に沿って延在し、前記連結バーに接触ヘッドが設けられ、前記レバーが、第1起こし部と、前記第1起こし部と接続する第2起こし部とを含み、前記第1起こし部と前記第2起こし部とが角度をなして設けられる。
【0014】
任意選択で、前記レバーがピン軸によって回動可能に前記第1係合部の周方向に取り付けられ、前記回動部がスリーブ状構造であり、前記スリーブ状構造の内面に、前記レバーを押して前記ピン軸回りに回動させるための凸状ブロックが設けられている。
【0015】
任意選択で、前記第1係合部に位置決め孔が開設され、前記レバーが挿着部とこじ部とを含み、前記挿着部と前記こじ部とは長手方向が角度をなすようにそれぞれ延在し、前記挿着部が前記位置決め孔内に挿着され、前記回動部がスリーブ状構造であり、前記スリーブ状構造の内面に、前記こじ部を運動させるように前記挿着部を押して前記位置決め孔内で揺動させるための凸状ブロックが設けられている。
【0016】
任意選択で、前記復帰弾性部材が前記第1係合部の外側に位置する場合、前記第1係合部が前記フロント体の軸方向に沿って移動可能であり、前記第2係合部が前記バック体と固定接続する。
【0017】
任意選択で、前記トリガー部材は、前記回動部に固定された連結バーを備え、前記連結バーが前記回動部の軸方向に沿って延在し、前記連結バーに接触ヘッドが設けられ、前記第1係合部の表面に接触ヘッド用凹部が設けられ、前記接触ヘッドが前記回動部の回動に従って前記接触ヘッド用凹部に対して進入したり、抜け出したりすることが可能である。
【0018】
任意選択で、前記トリガー部材は、従動部と、前記従動部に固定された連結バーとを備え、前記連結バーが前記従動部の軸方向に沿って延在し、前記連結バーに接触ヘッドが設けられ、ねじによって前記従動部と前記回動部との間の伝動が実現され、前記フロント体の周方向に連結バーガイド溝が設けられ、前記連結バーガイド溝が、前記連結バーを前記連結バーガイド溝の長手方向に沿って運動させることに用いられる。
【0019】
任意選択で、前記トリガー部材はレバーを備え、前記回動部の第1方向に沿う回動により、前記レバーが前記第1係合部をこじて前記フロント体の軸方向に沿って移動させて、前記第1係合部と前記第2係合部とを分離させる。
【0020】
任意選択で、前記第1係合部に位置決め孔が開設され、前記レバーが挿着部とこじ部とを含み、前記挿着部と前記こじ部とは長手方向が角度をなすようにそれぞれ延在し、前記挿着部が前記位置決め孔内に挿着され、前記回動部がスリーブ状構造であり、前記スリーブ状構造の内面に、前記こじ部を運動させるように前記挿着部を押して前記位置決め孔内で揺動させるための凸状ブロックが設けられている。
【0021】
本出願によるドリルチャックは、フロント体と、バック体と、挟持爪と、上記のクラッチ装置とを備え、前記バック体により前記挟持爪を駆動して運動させて、前記ドリルチャックに取り付けられる先端工具を締付又は開放するように、前記バック体が前記フロント体に対して回動可能であり、前記係合部のうちの1つの係合部が前記フロント体と接続し、他の前記係合部が前記バック体と接続する。
【0022】
本出願による動力工具は、駆動軸と上記のドリルチャックとを備え、前記駆動軸が、前記バック体と接続して前記バック体の回動を駆動する。
【0023】
本出願によるドリルチャックの2方向回動方法は、前記ドリルチャックが、バック体と、フロント体と、挟持爪とを備え、該方法が、前記バック体が前記挟持爪の運動を駆動できるように、前記バック体を前記フロント体に対して回動可能にし、前記バック体と前記フロント体とを係合又は分離するように、前記バック体と前記フロント体との間に復帰弾性部材と、伝動アッセンブリと、回動部とを備えるクラッチ装置を設置し、前記伝動アッセンブリが少なくとも2つの対向して設置される係合部を含み、1つの前記係合部がドリルチャックのフロント体と同期回動可能であり、他の前記係合部が前記ドリルチャックのバック体と同期回動可能であり、2つの前記係合部の係合により、前記フロント体と前記バック体とを同期回動させることが可能であり、前記回動部の第1方向に沿う回動により、前記復帰弾性部材が圧縮されて、2つの前記係合部が分離され、前記回動部の第2方向に沿う回動により、圧縮された前記復帰弾性部材が復帰して、2つの前記係合部が互いに係合されること、を含む。
【発明の効果】
【0024】
従来技術に比べて、本出願の有益効果は下記の通りである。
【0025】
本出願によるクラッチ装置、ドリルチャック、動力工具及びドリルチャックの2方向回動方法は、回動部に対する回動操作により、対向して設置される2つの係合部の係合又は分離を実現させ、このようにして、1つの係合部がドリルチャックのフロント体と同期回動可能に設置され、他の前記係合部がドリルチャックのバック体と同期回動可能に設置された場合、回動部を回動することによりフロント体とバック体との係合又は分離を実現でき、このようにすれば、フロント体とバック体とが係合する状態になる場合、ドリルチャックが、振動の作動状態又はアイドリング状態で突然に始動されるとき、ドリルチャックにおける先端工具が安定に取り付けられることを保証し、先端工具が緩んだり、抜け出したりすることを防ぐことができる。また、フロント体とバック体との係合により、ドリルチャックの2方向回動が実現されて、先端工具の2方向作動を駆動できるとともに、先端工具をより確実に、手軽で、簡単かつ素早く交換することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本出願の具体的な実施形態又は従来技術における技術案をより明瞭に説明するため、以下、具体的な実施形態又は従来技術に必要な図面を簡単に説明する。説明する図面は、本出願の一部の実施形態を示すものにすぎず、当業者にとって、発明能力を用いなくても、これらの図面をもとに他の図面を得ることも可能である。
図1】本出願の実施例による歯車自己締付ドリルチャックの組立図(後スリーブが取り付けられていない)である。
図2図1における歯車自己締付ドリルチャックの他の方向での模式的構成図である。
図3図2におけるA-A線に沿った断面図である。
図4図1における歯車自己締付ドリルチャックのフロント体の模式的構成図である。
図5図1におけるクラッチ装置の回動部の模式的構成図である。
図6図1におけるクラッチ装置の第2係合部の模式的構成図である。
図7図1におけるクラッチ装置のレバーの模式的構成図である。
図8】本出願の実施例による歯車自己締付ドリルチャックの分解図である。
図9】本出願の実施例による薄肉爪自己締付ドリルチャックの分解図である。
図10】本出願の実施例による薄肉爪自己締付ドリルチャックの組立図(後スリーブが取り付けられていない)である。
図11】本出願の実施例による雌ねじ自己締付ドリルチャックの組立図(後スリーブが取り付けられていない)である。
図12】本出願の実施例による歯車自己締付ドリルチャックの分解図である。
図13】本出願の実施例による歯車自己締付ドリルチャックの断面図である。
図14】本出願の実施例による歯車自己締付ドリルチャックの組立図(後スリーブが取り付けられていない)である。
図15図12におけるクラッチ装置のレバーの模式的構成図である。
図16】本出願の実施例による薄肉爪自己締付ドリルチャックの組立図(後スリーブが取り付けられていない)である。
図17】本出願の実施例による薄肉爪自己締付ドリルチャックの分解図である。
図18】本出願の実施例による雌ねじ自己締付ドリルチャックの分解図である。
図19】本出願の実施例による雌ねじ自己締付ドリルチャックの組立図(後スリーブが取り付けられていない)である。
図20】本出願の実施例による歯車自己締付ドリルチャックの組立図(後スリーブが取り付けられていない)である。
図21】本出願の実施例による歯車自己締付ドリルチャックの断面図である。
図22図20におけるクラッチ装置のレバーの模式的構成図である。
図23】本出願の実施例による歯車自己締付ドリルチャックの分解図である。
図24】本出願の実施例による薄肉爪自己締付ドリルチャックの分解図である。
図25】本出願の実施例による薄肉爪自己締付ドリルチャックの組立図(後スリーブが取り付けられていない)である。
図26】本出願の実施例による雌ねじ自己締付ドリルチャックの組立図(後スリーブが取り付けられていない)である。
図27】本出願の実施例による雌ねじ自己締付ドリルチャックの分解図である。
図28】本出願の実施例による歯車自己締付ドリルチャックの分解図である。
図29】本出願の実施例による歯車自己締付ドリルチャックの組立図(スリーブ体が取り付けられていない)である。
図30】本出願の実施例による歯車自己締付ドリルチャックの断面図である。
図31図28におけるクラッチ装置の第2係合部の模式的構成図である。
図32】本出願の実施例による歯車自己締付ドリルチャックの断面図である。
図33図33におけるクラッチ装置の第2係合部の模式的構成図である。
図34】本出願の実施例による歯車自己締付ドリルチャックの分解図である。
図35】本出願の実施例による薄肉爪自己締付ドリルチャックの分解図である。
図36】本出願の実施例による薄肉爪自己締付ドリルチャックの断面図である。
図37】本出願の実施例による雌ねじ自己締付ドリルチャックの断面図である。
図38】本出願の実施例による雌ねじ自己締付ドリルチャックの分解図である。
図39】本出願の実施例による歯車自己締付ドリルチャックの分解図である。
図40】本出願の実施例による歯車自己締付ドリルチャックの断面図である。
図41図39におけるクラッチ装置の回動部の模式的構成図である。
図42図39における歯車自己締付ドリルチャックの固定スリーブの模式的構成図である。
図43図39におけるクラッチ装置の第2係合部の模式的構成図である。
図44図39における固定スリーブと回動部との協働の第1の状態の模式図である。
図45図39における固定スリーブと回動部との協働の第2の状態の模式図である。
図46】本出願の実施例による雌ねじ自己締付ドリルチャックの断面図である。
図47】本出願の実施例による雌ねじ自己締付ドリルチャックの分解図である。
図48】本出願の実施例による雌ねじ自己締付ドリルチャックの分解図(後スリーブが取り付けられていない)である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照しながら、本出願における技術案を明瞭且つ完全に説明する。説明する実施例は、本出願の一部の実施例にすぎず、すべての実施例ではないことが無論である。本出願における実施例をもとに、当業者が発明能力を用いることなく得たすべての他の実施例も、本出願の保護範囲に属する。本出願の説明において、「中心」、「上」、「下」、「左」、「右」、「鉛直」、「水平」、「内」、「外」等の用語で表された方向又は位置関係は、図面に基づくものであり、本出願を簡単及び簡略に説明するためのものにすぎず、該当装置又は要素が、必ずしも特定の方向を有したり、特定の方向に構成、操作されたり、することを明示又は暗示するものではないため、本出願を限定するものではないと理解すべきである。また、用語である「第1」、「第2」及び「第3」は、説明するためのものにすぎず、相対重要性を明示又は暗示したりするものではない。本出願の説明において、明確な定義や限定がない限り、用語「取付」、「連係」、「接続」を、広義的に理解すべきである。例えば、固定接続でもよいし、取外し可能な接続でもよいし、一体的な接続でもよい。そして、機械的な接続でもよいし、直接接続してもよいし、中間物を介して間接的に接続してもよいし、2つの素子の内部が連通してもよい。当業者は、本出願における上記用語の具体的な意味を、具体的な状況に応じて理解することができる。
【0028】
図1図48に示すように、本出願の実施例は、自己締付ドリルチャックに適用できるクラッチ装置を提供し、自己締付ドリルチャックが、歯車自己締付ドリルチャック、薄肉爪自己締付ドリルチャック、雌ねじ自己締付ドリルチャック又は雄ねじ自己締付ドリルチャックであってもよい。該クラッチ装置は、復帰弾性部材216と、伝動アッセンブリと、回動部203とを備える。伝動アッセンブリが少なくとも2つの対向して設置される係合部とを含み、そのうち、1つの係合部がドリルチャックのフロント体101と同期回動可能であり、他の係合部がドリルチャックのバック体100と同期回動可能であり、そして、2つの係合部の係合により、フロント体101とバック体100とを同期回動させることが可能である。回動部203の第1方向に沿う回動により、復帰弾性部材216が圧縮されて、2つの係合部が分離され、回動部203の第2方向に沿う回動により、圧縮された復帰弾性部材216が復帰して、2つの係合部が互いに係合される。
【0029】
歯車自己締付ドリルチャックの動作原理として、バック体100における駆動傘歯車108がフロント体101に取り付けられる従動傘歯車105を駆動して回動させ、従動傘歯車105の回動により、挟持爪102を駆動してフロント体101における挟持爪スライド路103に沿って移動させ、よって、フロント体101の先端工具格納孔に挿着される先端工具に対する締付又は開放を実現させる。
【0030】
薄肉爪自己締付ドリルチャックの動作原理として、バック体100により雄ねじ構造を有する駆動部217回動させ、駆動部217が、それと接続する挟持爪102を駆動してフロント体101における挟持爪スライド路103に沿って移動させる。
【0031】
雌ねじ自己締付ドリルチャックの動作原理として、バック体100における駆動部217の雄ねじ構造と挟持爪102におけるねじ構造とが螺合して伝動を実現し、このようにして、バック体100が回動するとき、挟持爪102のフロント体101における挟持爪スライド路103に沿う移動を実現できる。
【0032】
例えば、2つの係合部が設けられる。復帰弾性部材216がウェーブワッシャーであってもよく、回動部203がスリーブ状構造である。伝動アッセンブリが2つの対向して設置される係合部を含む場合、2つの係合部が互いに係合したり分離したりすることが可能であり、2つの係合部が歯構造によって係合又は分離を実現する。係合部がシート状構造であってもよく、そのとき、歯構造がシート状構造のシート面に設けられた複数の歯206であり、且つ複数の歯が円状にシート面に分布され、歯がラチェット歯であってもよい。第1方向は、開放方向であり、開放方向がドリルチャックにおける先端工具を開放するときの回動部203の回動方向であり、第2方向は、締付方向であり、締付方向がドリルチャックにおける先端工具を締め付けるときの回動部203の回動方向である。2つの係合部は、それぞれ第1係合部201及び第2係合部202である。回動部203が締付方向に沿って規定角度回動すれば、第2係合部202が復帰弾性部材216の作用で、第1係合部201と係合して、ドリルチャックにおける先端工具の緩むことを防ぐことができる。回動部203が開放方向に沿って規定角度回動すれば、第2係合部202と第1係合部201とが分離して、ドリルチャックにおける先端工具の開放が実現される。復帰弾性部材216はウェーブスプリングワッシャーである。ドリルチャックの挟持爪102が先端工具を締め付けて、先端工具の作業端(例えば、先端工具がドリルビットである場合、ドリルビットの作業端により物体に孔をあけることができる)からドリルチャックの位置する方向に向かってドリルチャックを観察するとき、反時計方向の回動がドリルチャックの正転とされ、時計方向回動がドリルチャックの逆転とされた。バック体100がフロント体101に対して正転することにより、挟持爪102の先端工具に対する締付を実現し、バック体100がフロント体101に対して逆転することにより、挟持爪102の先端工具に対する開放を実現する。バック体100の正転方向及びフロント体101の正転方向はドリルチャックの正転方向と同じであり、バック体100の逆転方向及びフロント体101の逆転方向はドリルチャックの逆転方向と同じである。バック体100がフロント体101に対してバック体100の軸線回りに回動可能であり、バック体100とフロント体101とが同軸に設置される。回動部203の締付方向がドリルチャックの逆転方向と同じであり、スリーブ状構造(203)の開放方向がドリルチャックの正転方向と同じである。該実施例において、ドリルチャックのバック体100の正転により、挟持爪102の先端工具に対する締付を実現し、バック体100の逆転により、挟持爪102の先端工具に対する開放を実現することができる。バック体100を正転させることによって挟持爪102の先端工具に対する締付を実現した後、正常の正方向回転を実現することができ、このとき、バック体100とフロント体101とが共に正転する。挟持爪102が先端工具を締め付けた場合、バック体100とフロント体101とをクラッチ装置を介して係合した後、クラッチ装置によってバック体100とフロント体101とが相対的静止の固定接続状態に保たれ、このときバック体100とフロント体101とが共に逆転することができ、したがって、クラッチ装置によってドリルチャックの2方向回動が実現されて、先端工具の2方向作業を駆動することができ、ユーザーエクスペリエンスが良い。なお、復帰弾性部材216は、ばねなどであってもよく、ウェーブワッシャーの材質が金属であってもよい。
【0033】
任意選択で、クラッチ装置は後スリーブ121をさらに備え、後スリーブ121がバック体100と固定接続され、後スリーブ121とバック体100との接続方式として締まりばめ又はキー結合を用いる。使用するとき、後スリーブ121を回動することにより、バック体100を駆動して回動させることができる。
【0034】
該実施例によるクラッチ装置によれば、回動部203に対する回動操作により対向して設置された2つの係合部の係合又は分離が実現され、このようにして、1つの係合部がドリルチャックのフロント体101と同期回動可能に設置され、他の係合部がドリルチャックのバック体100と同期回動可能に設置された場合、回動部203を回動することによりフロント体101とバック体100との係合又は分離を実現でき、このようにすれば、フロント体101とバック体100とが係合する状態になる場合、ドリルチャックが、振動の作動状態又はアイドリング状態で突然に始動されるとき、ドリルチャックにおける先端工具が安定に取り付けられることを保証し、先端工具が緩んだり、抜け出したりすることを防ぐことができる。また、フロント体101とバック体100との係合により、ドリルチャックの2方向回動が実現されて、先端工具の2方向作動を駆動できる。
【0035】
任意選択で、クラッチ装置はトリガー部材をさらに備え、回動部203の回動により、トリガー部材が1つの係合部を押して運動させ、したがって、復帰弾性部材216が圧縮されたり復帰したりする。
【0036】
例えば、クラッチ装置とドリルチャックのフロント体101、バック体100とが接続されたときだけ、回動部203の回動により、復帰弾性部材216が圧縮されたり復帰したりすることができる。復帰弾性部材216が圧縮されるとき、対向して設置された2つの係合部の分離を実現し、圧縮された復帰弾性部材216が復帰するとき、対向して設置された2つの係合部の係合を実現する。
【0037】
任意選択で、復帰弾性部材216は前記係合部のうちの1つの係合部の外側に位置し、2つの係合部の内側が対向している。歯構造が係合部の内側に位置する。第1係合部201と第2係合部202がシート状構造である。
【0038】
該実施例はドリルチャックの2方向回動方法をさらに提供する。ドリルチャックはバック体100と、フロント体101と、挟持爪102とを備える。該方法は下記のことを含む。バック体100が挟持爪102の運動を駆動できるように、バック体100をフロント体101に対して回動可能にし、バック体100とフロント体101とを係合又は分離するように、バック体100とフロント体101との間に復帰弾性部材216と、伝動アッセンブリと、回動部203とを備えるクラッチ装置を設置し、伝動アッセンブリが少なくとも2つの対向して設置される係合部を含み、1つの係合部がドリルチャックのフロント体101と同期回動可能であり、他の係合部がドリルチャックのバック体100と同期回動可能であり、2つの係合部の係合により、フロント体101とバック体100とを同期回動させることが可能であり、回動部203の第1方向に沿う回動により、復帰弾性部材216が圧縮されて、2つの係合部が分離され、回動部203の第2方向に沿う回動により、圧縮された復帰弾性部材216が復帰して、2つの係合部が互いに係合される。
【0039】
一実施例において、復帰弾性部材216は第2係合部202の外側に位置し、且つ第2係合部202が復帰弾性部材216と第1係合部201との間に位置し、後スリーブ121がさらに復帰弾性部材216を位置制限するために用いられ、したがって、復帰弾性部材216が圧縮されたり復帰したりすることが可能である。
【0040】
任意選択で、復帰弾性部材216が第2係合部202の外側に位置する場合、第1係合部201とフロント体101とがねじ111によって固定接続され、第2係合部202がバック体100の軸方向に沿って移動可能であり、バック体100の後端116の周方向にその軸方向に沿って延在する長尺状溝133が設けられ、第2係合部202がバック体100の後端116に環装され、第2係合部202の軸孔の内壁にバック体100における長尺状溝133と合わせる位置決めキー134が設けられ、位置決めキー134と軸孔の孔壁とが一体構造であり、このようにして、バック体100と第2係合部202とが周方向において相対固定されるとともに、軸方向において変位可能である。後スリーブ121がさらに復帰弾性部材216を位置制限するために用いられ、後スリーブ121の復帰弾性部材216に対する位置制限により、復帰弾性部材216が圧縮されることを可能にすることと、圧縮された復帰弾性部材216が復帰するとき、第2係合部202と第1係合部201とが係合されるまで第2係合部202が第1係合部201の方向へ運動することとの2つの目的を実現できる。なお、バック体100と第2係合部202とを周方向において相対固定するとともに、軸方向において変位可能にするため、バック体100と第2係合部202とが異形孔構造によって接続されてもよく、異形孔が長孔又は正方形孔などであってもよい。
【0041】
図1図11図48に示すように、該実施例において、トリガー部材はレバー208を備え、回動部203の第1方向に沿う回動により、レバー208が第2係合部202をこじてバック体100の軸方向に沿って移動させて(即ち、レバー208により第2係合部202を第1係合部201から離間する方向へ運動させる)、第1係合部201と第2係合部202とを分離させる。回動部203の第2方向に沿う回動により、復帰弾性部材216が復帰し、第2係合部202を第1係合部201に接近する方向へ運動させて、第1係合部201と第2係合部202とを係合させる。
【0042】
任意選択で、トリガー部材は、回動部203に固定された連結バー205をさらに備え、連結バー205が回動部203の軸方向に沿って延在し、連結バー205に接触ヘッド204が設けられ、レバー208が、第1起こし部220と、第1起こし部220と接続する第2起こし部221とを含み、第1起こし部220と第2起こし部221とが角度をなして設けられる。
【0043】
例えば、第1起こし部220と第2起こし部221とがなした角度が90度より大きく、120度~170度などであってもよく、例えば150度又は160度である。レバー208が回動凸条209をさらに有し、回動凸条209が基本的に第1起こし部220と第2起こし部221との接続箇所に位置し、回動凸条209がフロント体101の後端116の端面と接触し、レバー208が3つある。連結バー205が3つある。接触ヘッド204は三角形構造308を有し、該三角形構造308の1つの角が第1起こし部220又は第2起こし部221に当接する。回動凸条209は少なくとも円弧面を有する柱状構造である。回動部203が第1方向に沿って回動するとき、接触ヘッド204における三角形構造の上記角が第1起こし部220から第2起こし部221まで移動し、回動凸条209の円弧面の作用で、第1起こし部220と第2起こし部221が回動凸条209回りに回動することができ、したがって、第2係合部202のバック体100の軸方向に沿う移動を実現して、第1係合部201と第2係合部202とを分離させる。
【0044】
本実施例は、フロント体101と、バック体100と、挟持爪102と、該実施例によるクラッチ装置とを備えるドリルチャックをさらに提供し、バック体100により挟持爪102を駆動して運動させて、ドリルチャックに取り付けられる先端工具を締付、開放するように、バック体100がフロント体101に対して回動可能であり、第1係合部201がフロント体101と接続し、第2係合部202がバック体100と接続する。先端工具は、ドリルビット、ホーニングヘッド又はボーリングヘッドなどであってもよい。フロント体101の周方向に、連結バー205を位置制限するための収容溝222が開設され、収容溝222の幅が連結バー205の幅より大きく、したがって、連結バー205が回動部203に伴って規定角度回動することにより、第1係合部201と第2係合部202とを分離させたり、係合させたりする。回動部203が第1方向に沿って回動することにより第1係合部201と第2係合部202とを分離させた後、回動部203の第2方向に沿う回動に寄与できるため、1つの収容溝222にばね溝223が開設され、ばね溝223に復帰ばね118が取り付けられ、復帰ばね118の一端がばね溝223の長手方向における一端に当接され、復帰ばね118の他端が連結バー205と当接し、復帰ばね118の伸びる方向が収容溝222の長手方向に垂直し、収容溝222の長手方向がフロント体101の軸方向に平行する。回動部203はスリーブ状構造であり、該スリーブ状構造がフロント体101に環装され、フロント体101における軸肩224に位置制限されることにより、スリーブ状構造のフロント体101からの抜け出しを防ぐ。バック体100の後端116が第1係合部201を穿通し、バック体100と第1係合部とが隙間を設けて設置され、バック体100の後端116が第1係合部201を穿通して第2係合部202と接続することにより、バック体100と第2係合部202とが周方向において相対固定されるとともに、軸方向において変位可能であり、バック体100の後端116が第2係合部202を穿通して後スリーブ121と固定接続する。バック体100は、バック体100の後端116が第1係合部201を穿通した後バック体100のフロント体101からの抜け出しを防ぐための軸肩224を有する。フロント体101の後端116の端面に、回動凸条209を中に配置するための回動溝210がさらに開設されている。
【0045】
例えば、ドリルチャックは、自己締付ドリルチャックであり、自己締付ドリルチャックが、歯車自己締付ドリルチャック、薄肉爪自己締付ドリルチャック又は雌ねじ自己締付ドリルチャックであってもよい。第1係合部201と第2係合部202とが分離する場合、バック体100の正転により、挟持爪102の先端工具に対する締付を実現し、バック体100の逆転により、挟持爪102の先端工具に対する開放を実現することができる。なお、該実施例における自己締付ドリルチャックのバック体100が挟持爪102を駆動して運動させる構成、及び挟持爪102をフロント体101に取り付けることは、従来技術を参照できるため、該実施例で詳細な説明を省略する。
【0046】
図12図19に示すように、該実施例において、トリガー部材はレバー208を備え、回動部203の第1方向に沿う回動により、レバー208が第2係合部202をこじてバック体100の軸方向に沿って移動させて(即ち、レバー208により第2係合部202を第1係合部201から離間する方向へ運動させる)、第1係合部201と第2係合部202とを分離させる。回動部203の第2方向に沿う回動により、復帰弾性部材216が復帰し、第2係合部202を第1係合部201に接近する方向へ運動させて、第1係合部201と第2係合部202とを係合させる。
【0047】
任意選択で、レバー208がピン軸225によって回動可能に第1係合部201の周方向に取り付けられ、回動部203がスリーブ状構造であり、スリーブ状構造の内面に、レバー208を押してピン軸225回りに回動させるための凸状ブロック231が設けられている。
【0048】
例えば、第1係合部201の周方向に複数の回避溝226を有し、ピン軸225が回避溝226の溝壁に位置し、ピン軸225の軸方向が回動部203の径方向と平行する。レバー208に、ピン軸225が穿通するピン孔227が開設される。レバー208は本体部228と付属部229とを有し、ピン孔227が本体部228に設けられている。付属部229は、第2係合部202に接触して第2係合部202をこじて運動させるためのものである。回動部203が、第1係合部201と第2係合部202とを分離させるための方向へ回動するとき、回動部203がレバー208の本体部228に力をかけ、レバー208がピン軸225回りに回動し、付属部229のエッジが第2係合部202と当接して、第2係合部202をこじる目的を達成する。回動部203が第1係合部201と第2係合部202とを係合させるための方向へ回動するとき、復帰弾性部材216の作用で、第2係合部202が第1係合部201の方向へ運動し、第2係合部202が付属部229に力をかけて、レバー208を復帰させるように回動させる。回避溝226の数と、レバー208の数と、凸状ブロック231の数とが同じであり、それぞれ3つであってもよい。
【0049】
本実施例は、フロント体101と、バック体100と、挟持爪102と、該実施例によるクラッチ装置とを備えるドリルチャックをさらに提供し、バック体100により挟持爪102を駆動して運動させて、ドリルチャックに取り付けられる先端工具を締付、開放するように、バック体100がフロント体101に対して回動可能であり、第1係合部201がフロント体101と接続し、第2係合部202がバック体100と接続する。先端工具は、ドリルビット、ホーニングヘッド又はボーリングヘッドなどであってもよい。フロント体101の周方向に、レバー208及び凸状ブロック231を収容するための収容溝222が開設され、収容溝222の幅がレバー208本体部228の幅と凸状ブロック231の幅との合計幅よりも大きく、したがって、回動部203が回動するとき、レバー208が収容溝222内で回動することにより、第1係合部201と第2係合部202とを分離させたり、係合させたりする。回動部203はスリーブ状構造であり、該スリーブ状構造がフロント体101に環装され、フロント体101における軸肩224に位置制限されることにより、スリーブ状構造のフロント体101からの抜け出しを防ぐ。バック体100の後端116が第1係合部201を穿通し、バック体100と第1係合部とが隙間を設けて設置され、バック体100の後端116が第1係合部201を穿通して第2係合部202と接続することにより、バック体100と第2係合部202とが周方向において相対固定されるとともに、軸方向において変位可能であり、バック体100の後端116が第2係合部202を穿通して後スリーブ121と固定接続する。バック体100は、バック体100の後端116が第1係合部201を穿通した後バック体100のフロント体101からの抜け出しを防ぐための軸肩224を有する。
【0050】
例えば、ドリルチャックは、自己締付ドリルチャックであり、自己締付ドリルチャックが、歯車自己締付ドリルチャック、薄肉爪自己締付ドリルチャック又は雌ねじ自己締付ドリルチャックであってもよい。第1係合部201と第2係合部202とが分離する場合、バック体100の正転により、挟持爪102の先端工具に対する締付を実現し、バック体100の逆転により、挟持爪102の先端工具に対する開放を実現することができる。なお、該実施例における自己締付ドリルチャックのバック体100が挟持爪102を駆動して運動させる構成、及び挟持爪102をフロント体101に取り付けることは、従来技術を参照できるため、該実施例で詳細な説明を省略する。
【0051】
図20図27に示すように、該実施例において、トリガー部材はレバー208を備え、回動部203の第1方向に沿う回動により、レバー208が第2係合部202をこじてバック体100の軸方向に沿って移動させて(即ち、レバー208により第2係合部202を第1係合部201から離間する方向へ運動させる)、第1係合部201と第2係合部202とを分離させる。回動部203の第2方向に沿う回動により、復帰弾性部材216が復帰し、第2係合部202を第1係合部201に接近する方向へ運動させて、第1係合部201と第2係合部202とを係合させる。回動部203はスリーブ状構造である。
【0052】
任意選択で、第1係合部201に位置決め孔234が開設され、レバー208が挿着部232とこじ部233とを含み、挿着部232とこじ部233とは長手方向が角度をなすようにそれぞれ延在し、挿着部232が位置決め孔234内に挿着され、回動部203がスリーブ状構造であり、スリーブ状構造の内面に、こじ部233を運動させるように挿着部232を押して位置決め孔234内で揺動させるための凸状ブロック231が設けられている。
【0053】
例えば、位置決め孔234が矩形孔であり、挿着部232が矩形孔に挿着した後、挿着部232が矩形孔内で揺動可能になるように、挿着部232と矩形孔とが隙間を設けて配置される。第2係合部202の運動を安定にするように、位置決め孔234及びレバー208をそれぞれ複数設置してもよく、例えば3つ設ける。回動部203が、第1係合部201と第2係合部202とを分離させるための方向へ回動するとき、回動部203がレバー208の挿着部232に力をかけて、こじ部233の端部を、第2係合部202と当接するまで上げて、第2係合部202をこじる目的を達成する。回動部203が第1係合部201と第2係合部202とを係合させるための方向へ回動するとき、復帰弾性部材216の作用で、第2係合部202が第1係合部201の方向へ運動し、第2係合部202がこじ部233に力をかけて、レバー208を復帰させる。
【0054】
本実施例は、フロント体101と、バック体100と、挟持爪102と、該実施例によるクラッチ装置とを備えるドリルチャックをさらに提供し、バック体100により挟持爪102を駆動して運動させて、ドリルチャックに取り付けられる先端工具を締付、開放するように、バック体100がフロント体101に対して回動可能であり、第1係合部201がフロント体101と接続し、第2係合部202がバック体100と接続する。先端工具は、ドリルビット、ホーニングヘッド又はボーリングヘッドなどであってもよい。フロント体101の周方向に、凸状ブロック231を収容するための収容溝222が開設され、収容溝222の幅が凸状ブロック231の幅より大きく、したがって、回動部203が回動するとき、凸状ブロック231が収容溝222内で運動することにより、第1係合部201と第2係合部202とを分離させたり、係合させたりする。回動部203はスリーブ状構造であり、該スリーブ状構造がフロント体101に環装され、フロント体101における軸肩224に位置制限されることにより、スリーブ状構造のフロント体101からの抜け出しを防ぐ。バック体100の後端116が第1係合部201を穿通し、バック体100と第1係合部とが隙間を設けて設置され、バック体100の後端116が第1係合部201を穿通して第2係合部202と接続することにより、バック体100と第2係合部202とが周方向において相対固定されるとともに、軸方向において変位可能であり、バック体100の後端116が第2係合部202を穿通して後スリーブ121と固定接続する。バック体100は、バック体100の後端116が第1係合部201を穿通した後バック体100のフロント体101からの抜け出しを防ぐための軸肩224を有する。
【0055】
例えば、ドリルチャックは、自己締付ドリルチャックであり、自己締付ドリルチャックが、歯車自己締付ドリルチャック、薄肉爪自己締付ドリルチャック又は雌ねじ自己締付ドリルチャックであってもよい。第1係合部201と第2係合部202とが分離する場合、バック体100の正転により、挟持爪102の先端工具に対する締付を実現し、バック体100の逆転により、挟持爪102の先端工具に対する開放を実現することができる。なお、該実施例における自己締付ドリルチャックのバック体100が挟持爪102を駆動して運動させる構成、及び挟持爪102をフロント体101に取り付けることは、従来技術を参照できるため、該実施例で詳細な説明を省略する。
【0056】
図28図31に示すように、該実施例において、復帰弾性部材216は第1係合部201の外側に位置し、且つ第1係合部201が復帰弾性部材216と第2係合部202との間に位置する。クラッチ装置は端蓋126をさらに備え、回動部203により、復帰弾性部材216の圧縮又は復帰を実現する。復帰弾性部材216が第1係合部201の外側に位置する場合、第1係合部201がフロント体101の軸方向に沿って移動可能であり、第2係合部202がバック体100と固定接続する。フロント体とバック体とが同軸に設置されるため、第1係合部のフロント体の軸方向に沿う移動と第1係合部のバック体の軸方向に沿う移動が同じである。
【0057】
例えば、端蓋126は円盤部301と、円盤部301と接続する軸凸部302とを含む。円盤部301がねじ111によってフロント体101と固定接続され、端蓋126にバック体100の後端116が穿通する軸孔が開設される。復帰弾性部材216が端蓋126の軸凸部302の外部に環装され、軸凸部302の外周面に、軸凸部302の軸方向に沿って延在する複数の長尺状溝133が設けられる。第1係合部201の軸孔の内壁に軸凸部302における長尺状溝133と合わせる位置決めキー134が設けられ、位置決めキー134と第1係合部201の軸孔の孔壁とが一体構造であり、このようにして、軸凸部302と第1係合部201とが周方向において相対固定されるとともに、軸方向において変位可能である。後スリーブはスリーブ体309とスリーブカバーとを含み、スリーブカバーとスリーブとが締まりばめによって固定接続される。第2係合部202と後スリーブ121のスリーブカバーとが一体構造であり、バック体100の後端116が軸凸部302の軸孔を穿通して第2係合部202の軸孔に挿入し、バック体100の後端116と第2係合部202とが締まりばめ、キー結合又はピン接続の方式によって固定接続される。復帰弾性部材216は、端蓋126の円盤部301と第1係合部201との間に位置する。
【0058】
該実施例において、トリガー部材はレバー208を備え、回動部203の第1方向に沿う回動により、レバー208が第1係合部201をこじてフロント体101の軸方向に沿って移動させて(即ち、レバー208により第1係合部201を第2係合部202から離間する方向へ運動させ、即ち、第1係合部をフロント体の後端に接近する方向へ運動させる)、第1係合部201と第2係合部202とを分離させる。回動部203の第2方向に沿う回動により、復帰弾性部材216が復帰し、第1係合部201を第2係合部202に接近する方向へ運動させて、第1係合部201と第2係合部202とを係合させる。回動部203はスリーブ状構造である。
【0059】
任意選択で、第1係合部201に位置決め孔234が開設され、レバー208が挿着部232とこじ部233とを含み、挿着部232とこじ部233とは長手方向が角度をなすようにそれぞれ延在し、挿着部232が位置決め孔234内に挿着され、回動部203がスリーブ状構造であり、スリーブ状構造の内面に、こじ部233を運動させるように挿着部232を押して位置決め孔234内で揺動させるための凸状ブロック231が設けられている。
【0060】
例えば、位置決め孔234が矩形孔であり、挿着部232が矩形孔に挿着した後、挿着部232が矩形孔内で揺動可能になるように、挿着部232と矩形孔とが隙間を設けて設置される。第1係合部201の運動を安定にするように、位置決め孔234及びレバー208をそれぞれ複数設置してもよく、例えば3つ設ける。回動部203が、第1係合部201と第2係合部202とを分離させるための方向へ回動するとき、回動部203がレバー208の挿着部232に力をかけて、こじ部233の一端が第2係合部202の表面と当接し、こじ部233の他端が第1係合部201の表面と当接する。第2係合部202とバック体100とが固定接続され、第1係合部201とフロント体とが相対的に軸方向において変位可能であり、第2係合部202が動かず、第1係合部201がこじ部233の他端の作用で第1係合部201を押圧するため、第1係合部がフロント体の後端の方向へ移動する。回動部203が第1係合部201と第2係合部202とを係合させるための方向へ回動するとき、復帰弾性部材216の作用で、第1係合部201が第2係合部202の方向へ運動し、第1係合部201がこじ部233に力をかけて、レバー208を復帰させる。
【0061】
本実施例は、フロント体101と、バック体100と、挟持爪102と、該実施例によるクラッチ装置とを備えるドリルチャックをさらに提供し、バック体100により挟持爪102を駆動して運動させて、ドリルチャックに取り付けられる先端工具を締付、開放するように、バック体100がフロント体101に対して回動可能であり、第1係合部201がフロント体101と接続し、第2係合部202がバック体100と接続する。先端工具は、ドリルビット、ホーニングヘッド又はボーリングヘッドなどであってもよい。フロント体101の周方向に、凸状ブロック231を収容するための収容溝222が開設され、収容溝222の幅が凸状ブロック231の幅と挿着部の幅との合計幅よりも大きく、したがって、回動部203が回動するとき、凸状ブロック231の収容溝222内での運動及び挿着部の収容溝内での揺動により、第1係合部201と第2係合部202とを分離させたり、係合させたりする。回動部203はスリーブ状構造であり、該スリーブ状構造がフロント体101に環装され、フロント体101における軸肩224に位置制限されることにより、スリーブ状構造のフロント体101からの抜け出しを防ぐ。バック体100の後端116が端蓋126の軸凸部302の軸孔を穿通し、バック体100と軸凸部302とが隙間を設けて設置され、バック体100の後端116が端蓋126の軸凸部302の軸孔を穿通して第2係合部202と接続することにより、バック体100と第2係合部202との固定接続が実現される。バック体100は、バック体100の後端116が軸凸部302の軸孔を穿通した後バック体100のフロント体101からの抜け出しを防ぐとともに、バック体100とフロント体101との相対的な軸方向における変位を防ぐための軸肩224を有する。端蓋126の円盤部301の周方向にレバーの挿着部を回避するための複数の回避溝226が設けられ、回避溝226の幅が収容溝222の幅とほぼ同じであり、このようにして、挿着部の揺動が影響されない。
【0062】
例えば、ドリルチャックが自己締付ドリルチャックであり、自己締付ドリルチャックが歯車自己締付ドリルチャック、薄肉爪自己締付ドリルチャック又は雌ねじ自己締付ドリルチャックであってもよい。該実施例において、自己締付ドリルチャックとして歯車自己締付ドリルビットを例にする。第1係合部201と第2係合部202とが分離する場合、バック体100の正転により、挟持爪102の先端工具に対する締付を実現し、バック体100の逆転により、挟持爪102の先端工具に対する開放を実現することができる。なお、該実施例における自己締付ドリルチャックのバック体100が挟持爪102を駆動して運動させる構成、及び挟持爪102をフロント体101に取り付けることは、従来技術を参照できるため、該実施例で詳細な説明を省略する。
【0063】
図32図38に示すように、該実施例において、復帰弾性部材216は第1係合部201の外側に位置し、且つ第1係合部201が復帰弾性部材216と第2係合部202との間に位置する。クラッチ装置は端蓋126をさらに備え、回動部203により、復帰弾性部材216の圧縮又は復帰を実現する。復帰弾性部材216が第1係合部201の外側に位置する場合、第1係合部201がフロント体101の軸方向に沿って移動可能であり、第2係合部202がバック体100と固定接続する。
【0064】
例えば、端蓋126は円盤部301と、円盤部301と接続する軸凸部302とを含む。円盤部301がねじ111によってフロント体101と固定接続され、端蓋126にバック体100の後端116が穿通する軸孔が開設される。復帰弾性部材216が端蓋126の軸凸部302の外部に環装され、軸凸部302の外周面に、軸凸部302の軸方向に沿って延在する複数の長尺状溝133が設けられる。第1係合部201の軸孔の内壁に軸凸部302における長尺状溝133と合わせる位置決めキー134が設けられ、位置決めキー134と第1係合部201の軸孔の孔壁とが一体構造であり、このようにして、軸凸部302と第1係合部201とが周方向において相対固定されるとともに、軸方向において変位可能である。後スリーブはスリーブ体309とスリーブカバーとを含み、スリーブカバーとスリーブとが締まりばめで固定接続される。第2係合部202と後スリーブ121のスリーブカバーとが一体構造であり、バック体100の後端116が軸凸部302の軸孔を穿通して第2係合部202の軸孔に挿入し、バック体100の後端116と第2係合部202とが締まりばめ、キー結合又はピン接続の方式によって固定接続される。復帰弾性部材216は、端蓋126の円盤部301と第1係合部201との間に位置する。
【0065】
任意選択で、トリガー部材は、回動部203に固定された連結バー205を含み、連結バー205が回動部203の軸方向に沿って延在し、連結バー205に接触ヘッド204が設けられ、第1係合部201の表面に接触ヘッド用凹部235が設けられ、接触ヘッド204が回動部203の回動に従って接触ヘッド用凹部235に対して進入したり、抜け出したりすることが可能である。
【0066】
例えば、回動部203がスリーブ状構造であり、連結バー205の延在方向とスリーブ状構造の軸方向とが平行する。連結バー205の一端がスリーブ状構造と接続し、連結バー205の他端に接触ヘッド204が設けられ、接触ヘッド204が少なくとも第1円弧面236を有し、接触ヘッド用凹部235が第1係合部201の内側面132に位置する。接触ヘッド用凹部235は接触ヘッド204における第1円弧面236と合わせる第2円弧面を有し、即ち、接触ヘッド用凹部235の底部が円弧面構造である。回動部203が、第1係合部201と第2係合部202とを分離させるための方向へ回動するとき、連結バー205が回動部203に伴って回動し、連結バー205における接触ヘッド204が接触ヘッド用凹部235から抜け出して、第1係合部201の内側面132と当接し、このようにして、接触ヘッド204により第1係合部201が運動して復帰弾性部材216を圧縮することにより、第1係合部201と第2係合部202とを分離させる。回動部203が第1係合部201と第2係合部202とを係合させるための方向へ回動するとき、連結バー205が回動部203に伴って回動し、連結バー205における接触ヘッド204が再度接触ヘッド用凹部235に進入し、復帰弾性部材216により第1係合部201が第2係合部202の方向へ移動することにより、第2係合部202と第1係合部201とを係合させる。
【0067】
本実施例は、フロント体101と、バック体100と、挟持爪102と、該実施例によるクラッチ装置とを備えるドリルチャックをさらに提供し、バック体100により挟持爪102を駆動して運動させて、ドリルチャックに取り付けられる先端工具を締付、開放するように、バック体100がフロント体101に対して回動可能であり、第1係合部201がフロント体101と接続し、第2係合部202がバック体100と接続する。先端工具は、ドリルビット、ホーニングヘッド又はボーリングヘッドなどであってもよい。フロント体101の周方向に、連結バー205を位置制限するための複数の収容溝222が開設され、収容溝222の幅が連結バー205の幅より大きく、したがって、回動部203が回動するとき、連結バー205が収容溝222内で規定角度回動することにより、第1係合部201と第2係合部202とを分離させたり、係合させたりする。回動部203がフロント体101に環装され、スリーブ状構造がフロント体101における軸肩224に位置制限されることにより、スリーブ状構造のフロント体101からの抜け出しを防ぐ。バック体100の後端116が第1係合部201を穿通して、第1係合部と隙間を設けて設置されて、バック体100が第1係合部201に対して回動可能であるように保証する。バック体100は、バック体100の後端116が第1係合部201を穿通した後バック体100のフロント体101からの抜け出しを防ぐための軸肩224を有する。
【0068】
例えば、ドリルチャックは、自己締付ドリルチャックであり、自己締付ドリルチャックが、歯車自己締付ドリルチャック、薄肉爪自己締付ドリルチャック又は雌ねじ自己締付ドリルチャックであってもよい。第1係合部201と第2係合部202とが分離する場合、バック体100の正転により、挟持爪102の先端工具に対する締付を実現し、バック体100の逆転により、挟持爪102の先端工具に対する開放を実現することができる。なお、該実施例における自己締付ドリルチャックのバック体100が挟持爪102を駆動して運動させる構成、及び挟持爪102をフロント体101に取り付けることは、従来技術を参照できるため、該実施例で詳細な説明を省略する。
【0069】
図39図47に示すように、該実施例において、復帰弾性部材216は第1係合部201の外側に位置し、且つ第1係合部201が復帰弾性部材216と第2係合部202との間に位置する。クラッチ装置は端蓋126をさらに備え、回動部203により、復帰弾性部材216の圧縮又は復帰を実現する。復帰弾性部材216が第1係合部201の外側に位置する場合、第1係合部201がフロント体101の軸方向に沿って移動可能であり、第2係合部202がバック体100と固定接続する。
【0070】
例えば、端蓋126は円盤部301と、円盤部301と接続する軸凸部302とを含む。円盤部301がねじ111によってフロント体101と固定接続され、端蓋126にバック体100の後端116が穿通する軸孔が開設される。復帰弾性部材216が端蓋126の軸凸部302の外部に環装され、軸凸部302の外周面に、軸凸部302の軸方向に沿って延在する複数の長尺状溝133が設けられる。第1係合部201の軸孔の内壁に軸凸部302における長尺状溝133と合わせる位置決めキー134が設けられ、位置決めキー134と第1係合部201の軸孔の孔壁とが一体構造であり、このようにして、軸凸部302と第1係合部201とが周方向において相対固定されるとともに、軸方向において変位可能である。後スリーブはスリーブ体309とスリーブカバーとを含み、スリーブカバーとスリーブとが締まりばめで固定接続される。第2係合部202と後スリーブ121のスリーブカバーとが一体構造であり、バック体100の後端116が軸凸部302の軸孔を穿通して第2係合部202の軸孔に挿入し、バック体100の後端116と第2係合部202とが締まりばめ、キー結合又はピン接続の方式によって固定接続される。復帰弾性部材216は、端蓋126の円盤部301と第1係合部201との間に位置する。バック体100は、バック体100の後端116が第1係合部201を穿通した後バック体100のフロント体101からの抜け出しを防ぐための軸肩224を有する。
【0071】
任意選択で、トリガー部材は、従動部310と、従動部310に固定された連結バー205とを備え、連結バー205が従動部310の軸方向に沿って延在し、連結バー205に接触ヘッド204が設けられ、ねじによって従動部310と回動部203との間の伝動が実現され、フロント体101の周方向に連結バーガイド溝が設けられ、連結バーガイド溝が連結バー205を連結バーガイド溝の長手方向に沿って運動させることに用いられる。
【0072】
例えば、回動部203がスリーブ状構造であり、連結バー205の延在方向とスリーブ状構造の軸方向とが平行する。従動部310はスリーブ状を呈する。回動部203の軸孔の内壁に雌ねじ303を有し、従動部310の外面に回動部203における雌ねじと螺合する雄ねじ304を有する。回動部203が、第1係合部201と第2係合部202とを分離させるための方向へ回動するとき、回動部203と従動部310との間をねじによって伝動し、従動部310における連結バー205の接触ヘッド204が第1係合部201に力をかけることにより、第1係合部201が復帰弾性部材216を圧縮し、第1係合部201と第2係合部202とを分離させる。回動部203が第1係合部201と第2係合部202とを係合させるための方向へ回動するとき、復帰弾性部材216により第1係合部201が第2係合部202の方向へ移動して、第2係合部202と第1係合部201とを係合させる。
【0073】
本実施例は、フロント体101と、バック体100と、挟持爪102と、該実施例によるクラッチ装置とを備えるドリルチャックをさらに提供し、バック体100により挟持爪102を駆動して運動させて、ドリルチャックに取り付けられる先端工具を締付、開放するように、バック体100がフロント体101に対して回動可能であり、第1係合部201がフロント体101と接続し、第2係合部202がバック体100と接続する。先端工具は、ドリルビット、ホーニングヘッド又はボーリングヘッドなどであってもよい。フロント体101の周方向に、連結バー205を位置制限するための複数の収容溝222が開設されて、従動部310をフロント体101の軸方向に沿って移動させ、このようにして、回動部203が回動するとき、従動部310がフロント体101の軸方向に沿って移動し、従動部310における接触ヘッド204により復帰弾性部材216に対する圧縮又は釈放を実現することにより、第1係合部201と第2係合部202とを分離させたり、係合させたりする。回動部203がフロント体101に環装され、フロント体101の前端115に固定スリーブ305が固定され、固定スリーブ305の、フロント体101の後端116に向かう面に第1円弧状突起306を有し、回動部203の軸孔の内壁に第1円弧状突起306と合わせる第2円弧状突起307が設けられることにより、回動部203の回動角度を制限し、即ち、回動部203の回動角度を所定の範囲内に収める。固定スリーブ305とフロント体101の前端115とが締まりばめ又はねじ111の接続方式によって固定接続され、固定スリーブ305が回動部203のフロント体101の前端115からの抜け出しを防ぐことにも用いられる。回動部203が第1方向に所定角度回動したとき、第2円弧状突起307の一端が第1円弧状突起306の一端に止められ、回動部203が第2方向に所定角度回動したとき、第2円弧状突起307の他端が第1円弧状突起306の他端に止められる。バック体100の後端116が第1係合部201を穿通して、第1係合部と隙間を設けて設置されて、バック体100が第1係合部201に対して回動可能であるように保証する。バック体100は、バック体100の後端116が第1係合部201を穿通した後バック体100のフロント体101からの抜け出しを防ぐための軸肩224を有する。
【0074】
例えば、ドリルチャックは、自己締付ドリルチャックであり、自己締付ドリルチャックが、歯車自己締付ドリルチャック、薄肉爪自己締付ドリルチャック又は雌ねじ自己締付ドリルチャックであってもよい。第1係合部201と第2係合部202とが分離する場合、バック体100の正転により、挟持爪102の先端工具に対する締付を実現し、バック体100の逆転により、挟持爪102の先端工具に対する開放を実現することができる。なお、該実施例における自己締付ドリルチャックのバック体100が挟持爪102を駆動して運動させる構成、及び挟持爪102をフロント体101に取り付けることは、従来技術を参照できるため、該実施例で詳細な説明を省略する。
【0075】
本出願の実施例は、駆動軸と、上記の実施例による任意の1種のドリルチャックドリルチャックとを備える動力工具を提供し、駆動軸が、バック体100と接続してバック体100の回動を駆動する。バック体100は、駆動軸と接続するための軸方向ねじ孔又は錐状孔をさらに有する。
【0076】
上記の各実施例は、本出願の技術案を説明するためのものにすぎず、それを限定するものではない。上記の各実施例を参照しながら本出願を詳細に説明したが、当業者は、上記の各実施例に記載された技術案を変更してもよく、その内の一部またはすべての技術的特徴に対して均等置換を行ってもよい。これらの変更または置換は、該当する技術案の本質を本出願の各実施例の技術案の範囲から逸脱させていない。本明細書において、多くの具体的な案を細部まで説明した。
【0077】
産業上の利用可能性
本出願によるクラッチ装置、ドリルチャック、動力工具及びドリルチャックの2方向回動方法は、ドリルチャックにおける先端工具が安定に取り付けられることが保証され、先端工具が緩んだり、抜け出したりすることを防ぎ、ドリルチャックの2方向回動により先端工具の2方向作動を駆動することができるとともに、先端工具をより確実に、手軽で、簡単かつ素早く交換することができる。
【符号の説明】
【0078】
100…バック体
101…フロント体
102…挟持爪
103…挟持爪スライド路
105…従動傘歯車
108…駆動傘歯車
111…ねじ
115…前端
116…後端
118…復帰ばね
121…後スリーブ
126…端蓋
127…先端工具収容孔
132…内側面
133…長尺状溝
134…位置決めキー
201…第1係合部
202…第2係合部
203…回動部
204…接触ヘッド
205…連結バー
206…歯
208…レバー
209…回動凸条
210…回動溝
216…復帰弾性部材
217…駆動部
220…第1起こし部
221…第2起こし部
222…収容溝
223…ばね溝
224…軸肩
225…ピン軸
226…回避溝
227…ピン孔
228…本体部
229…付属部
231…凸状ブロック
232…挿着部
233…こじ部
234…位置決め孔
235…接触ヘッド用凹部
236…第1円弧面
301…円盤部
302…軸凸部
303…雌ねじ
304…雄ねじ
305…固定スリーブ
306…第1円弧状突起
307…第2円弧状突起
308…三角形構造
309…スリーブ体
310…従動部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
図41
図42
図43
図44
図45
図46
図47
図48