(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-08
(45)【発行日】2023-05-16
(54)【発明の名称】非対称メタロセン触媒およびそれらの使用
(51)【国際特許分類】
C08F 4/6592 20060101AFI20230509BHJP
C08F 10/02 20060101ALI20230509BHJP
【FI】
C08F4/6592
C08F10/02
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022012294
(22)【出願日】2022-01-28
(62)【分割の表示】P 2018559373の分割
【原出願日】2017-05-10
【審査請求日】2022-02-18
(32)【優先日】2016-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】514163756
【氏名又は名称】エスシージー ケミカルズ カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】オヘア,ダーモット
(72)【発明者】
【氏名】ビュッフェ,ジャン‐シャルル
(72)【発明者】
【氏名】ラム,ジェシカ
(72)【発明者】
【氏名】カムナエン,トッサポル
(72)【発明者】
【氏名】チャレルンスク,マヌトサヴィン
(72)【発明者】
【氏名】パラワン,タウィサック
(72)【発明者】
【氏名】チャルーンチャイデット,スマテ
【審査官】堀内 建吾
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0119539(US,A1)
【文献】特表2017-535647(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 4/6592
C08F 10/02
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)i. 固体MAOおよび以下に示される式(II)の化合物を含む組成物
【化1】
(式中、Xはジルコニウムまたはハフニウムである)、および
ii. 水素
の存在下でエチレンを重合するステップを含み、
ステップa)での水素対エチレンのモル比が0.0365:1~0.3:1の範囲である、重合方法。
【請求項2】
ステップa)が、温度30~120℃で実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップa)が、圧力1~10バールで実施される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
固体MAO対式(II)の前記化合物のモル比が、125:1~400:1である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
Xがハフニウムであり、固体MAO対式(II)の前記化合物のモル比が125:1~250:1である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
Xがジルコニウムであり、固体MAO対式(II)の前記化合物のモル比が175:1~350:1である、請求項1~
4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
ステップa)が、トリエチルアルミニウム、メチルアルミノキサン、トリメチルアルミニウム、およびトリイソブチルアルミニウムから選択される1種または複数の化合物の存在下で実施される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非対称メタロセン触媒、それらを調製する方法、およびオレフィンの重合の
触媒作用におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
エチレン(および一般にα-オレフィン)は、ある種の遷移金属触媒の存在下で、低圧
または中圧で容易に重合できることが周知である。これらの触媒は、一般にチーグラー-
ナッタ型触媒として公知である。
【0003】
エチレン(および一般にα-オレフィン)の重合を触媒するこのチーグラー-ナッタ型
触媒の特定の群は、アルミノキサン活性剤およびメタロセン遷移金属触媒を含む。メタロ
センは、2個のη5-シクロペンタジエニル型配位子の間に金属結合を含む。一般に、η
5-シクロペンタジエニル型配位子は、η5-シクロペンタジエニル、η5-インデニル
、およびη5-フルオレニルから選択される。
【0004】
これらのη5-シクロペンタジエニル型配位子を、多様に修飾できることも周知である
。一つの特定の修飾には、2個のシクロペンタジエニル環の間の連結基を導入して、アン
サ-メタロセンを生成することが含まれる。
【0005】
遷移金属の、多くのアンサ-メタロセンは、当分野で既知である。しかし、ポリオレフ
ィンの重合反応で用いるための、改良されたアンサ-メタロセン触媒が依然として必要と
されている。特に、高い重合活性/重合効率の新規のメタロセン触媒は、依然として必要
である。
【0006】
特定の特徴を有したポリエチレンを製造することが可能な触媒もまた、必要である。例
えば、比較的狭い、高分子鎖長分布を有した直鎖状高密度ポリエチレン(LHDPE)を
製造することが可能な触媒が望まれている。さらに、ポリエチレンワックス等の、より低
い分子量のポリエチレンを製造することが可能な触媒も必要である。さらに、良好なコモ
ノマーの取り込み、および良好な、高分子特性の分子間均質性を有するポリエチレンコポ
リマーを製造することが可能な触媒が必要である。
【0007】
WO2011/051705には、エチレン基を介して連結された、2個のη5-イン
デニル配位子をベースにしたアンサ-メタロセン触媒が開示されている。
【0008】
WO2015/159073には、シリレン基を介して連結された、2個のη5-イン
デニル配位子をベースにしたアンサ-メタロセン触媒が開示されている。
【0009】
前述の技術によりもたらされた進展にもかかわらず、重合活性を改良したアンサ-メタ
ロセン触媒が依然として必要とされている。さらに、産業界がこうした材料に認める高価
値のために、ポリエチレンワックスなどの、より低い分子量のポリエチレンの調製を触媒
できるアンサ-メタロセン触媒も必要とされている。さらに、こうした触媒を容易に合成
できることも所望されている。
【0010】
本発明は、前述の事情を考慮してなされたものである。
【発明の概要】
【0011】
本発明の第1の態様によれば、本明細書で定めた式(I)の化合物が提供される。
【0012】
本発明の第2の態様によれば、本明細書で定めた式(I)の化合物および担体物質を含
む組成物が提供される。
【0013】
本発明の第3の態様によれば、本明細書で定めた式(I)の化合物または本明細書で定
めた組成物の、1種または複数のオレフィンの重合における使用が提供される。
【0014】
本発明の第4の態様によれば、
a)i. 本明細書で定めた組成物
の存在下で、1種または複数のオレフィンを重合するステップ
を含む、重合する方法が提供される。
【0015】
本発明の第5の態様によれば、
a)i. 固体MAOおよび本明細書で定めた式(II)の化合物を含む組成物、およ
び
ii. 水素
の存在下でエチレンを重合するステップであって、
ステップa)の水素対エチレンのモル比が0.0365:1~0.3:1の範囲である
、ステップ
を含む、重合する方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[定義]
単独で、または接頭語として用いられる用語「(m-nC)」または「(m-nC)基
」は、m~n個の炭素原子を有する、任意の基を示す。
【0017】
本明細書にて、用語「アルキル」は、典型的には1、2、3、4、5、または6個の炭
素原子を有する、直鎖状または分枝鎖状のアルキル部分を示すことを含む。この用語は、
メチル、エチル、プロピル(n-プロピルまたはイソプロピル)、ブチル(n-ブチル、
sec-ブチル、またはtert-ブチル)、ペンチル(ネオペンチルなど)、ヘキシル
などの基を示すことを含む。特に、アルキルは、1、2、3、または4個の炭素原子を有
することができる。
【0018】
本明細書にて、用語「アリール」は、6、7、8、9、または10個の環炭素原子含む
芳香環系を示すことを含む。アリールは、しばしばフェニルであるが、2個以上の環を有
し、その少なくとも一方が芳香族である、多環式環系であってもよい。この用語は、フェ
ニル、ナフチルなどの基を示すことを含む。
【0019】
用語「アリール(m-nC)アルキル」は、(m-nC)アルキレン基に共有結合した
アリール基を意味する。アリール-(m-nC)アルキル基の例には、ベンジル、フェニ
ルエチルなどが挙げられる。
【0020】
本明細書にて、用語「ハロゲン」または「ハロ」は、F、Cl、Br、またはIを示す
ことを含む。特に、ハロゲンはFまたはClであってもよく、そのなかでもClがより一
般的である。
【0021】
本明細書にて、部分に関する、用語「置換された」は、上記部分の水素原子の、1個ま
たは複数、特に5個以下、とりわけ1、2、または3個が、対応する数の記載された置換
基で、互いに独立して置き換わることを意味する。本明細書にて、用語「任意選択的に置
換された」は、置換または非置換を意味する。
【0022】
置換基は、当業者が、特定の置換が可能であるかどうか不適当な労力を費やすことなく
(実験的に、または理論的に)決定できる、化学的に可能な位置にのみ存在することは、
当然理解されよう。例えば、水素を含まない、アミノ基またはヒドロキシ基は、不飽和(
例えば、オレフィン)結合で炭素原子に結合される場合、不安定になることがある。さら
に、本明細書に記載の置換基は、それ自体、当業者に認識される、適切な置換への前述の
制限を受ける、任意の置換基によって置換されてもよいことも、当然理解されよう。
【0023】
[本発明に係る化合物]
前述のように、本発明は、以下に示す式(I)の化合物であって、
【化1】
式中、
R
1、R
2、R
3、およびR
4が、それぞれ独立して、水素および(1-4C)アルキ
ルから選択され、
R
aおよびR
bが、それぞれ独立して(1-4C)アルキルであり、
Xが、ジルコニウムまたはハフニウムであり、
Yそれぞれが、独立して、ハロ、フェニル、アリール(1-2C)アルキル、または(
CH
2)
zSi(CH
3)
3から選択され、そのいずれかが、任意選択的に、1種または
複数の(1-3C)アルキルまたはハロで置換され、
zが、1、2、または3であり、
但し、R
1、R
2、R
3、およびR
4の少なくとも1つが水素ではない、化合物を提供
する。
【0024】
上記で示された構造式(I)は、明確に置換基を示そうとするものであると認識されよ
う。その基の空間的配置のより代表的な図示を、以下に別の表現で示す。
【化2】
【0025】
置換基R1および置換基R2が、それぞれ置換基R3および置換基R4と同一ではない
場合、本発明に係る化合物は、メソ異性体またはラセミ異性体として存在することができ
、本発明は、その異性体の両方を含む。シクロペンタジエニル環が、1、2、または3個
の(1-4C)アルキル基(例えば、メチル)で置換される場合に存在するものなど、い
くつかの他の位置異性体が、式(I)によって想定されることも認識されよう。
【0026】
当業者は、本発明に係る化合物の異性体の混合物を触媒用途に用いることができる、ま
たは異性体を分離し、単独で用いることができること(例えば、分別結晶などの、当分野
で周知の技術を用いて)を認識するであろう。
【0027】
式(I)の化合物の構造が、ラセミ異性体およびメソ異性体が存在するようなものであ
る場合、化合物は、ラセミ体のみで、またはメソ体のみで存在することができる。
【0028】
現在入手可能な対称シクロペンタジエニル系メタロセン錯体と比較した場合、本発明に
係る非対称シクロペンタジエニル系アンサ-メタロセン化合物(unsymmetrical cyclopent
adienyl-based ansa-metallocene compounds)は、オレフィン、とりわけエチレンの重合
における触媒として特に有用である。特に、本発明に係る化合物は、産業界で高価値のポ
リエチレンワックスの調製に用いられる場合、改良された触媒特性を示す。さらに、本発
明に係る化合物は、エチレンおよび1種または複数の、他のα-オレフィンの重合から生
成される、コポリマーの調製で用いられる場合、改良された触媒特性を示す。また、この
ように製造されたコポリマーは、良好な分子間均質性を示す。
【0029】
一実施形態において、Yそれぞれは、独立して、ハロ、メチル、プロピル、ネオペンチ
ル、フェニル、ベンジル、およびCH2Si(CH3)3から選択される。好適には、Y
それぞれは、独立して、ハロ、メチル、プロピル、ネオペンチル、フェニル、およびベン
ジルから選択される。より好適には、Yそれぞれは、独立してハロ、メチル、およびプロ
ピルから選択される。
【0030】
別の実施形態において、Yそれぞれは、独立して、ハロ、(1-5C)アルキル(例え
ば、メチル、エチルプロピル、ブチル、またはペンチル)、フェニル、ベンジル、および
CH2Si(CH3)3から選択される。好適には、Yそれぞれは、独立して、ハロ、メ
チル、プロピル、ネオペンチル、フェニル、およびベンジルから選択される。より好適に
は、Yそれぞれは、独立して、ハロ、メチル、およびプロピルから選択される。
【0031】
別の実施形態において、両方のY基はメチルである。
【0032】
別の実施形態において、Yそれぞれは、独立してハロである。好適には、少なくとも一
方のY基はクロロである。より好適には、両方のY基はクロロである。
【0033】
別の実施形態において、RaおよびRbは、それぞれ独立して(1-3C)アルキルで
ある。
【0034】
別の実施形態において、RaおよびRbは、それぞれ独立して、メチルまたはプロピル
である。好適には、RaおよびRbの少なくとも一方はメチルである。より好適には、R
aおよびRbの両方はメチルである。あるいは、RaおよびRbの両方はエチルである。
【0035】
別の実施形態において、Xはジルコニウムである。
【0036】
別の実施形態において、R1、R2、R3、およびR4は、それぞれ独立して、水素、
メチル、n-ブチル、およびt-ブチルから選択される。
【0037】
別の実施形態において、式(I)の化合物は、以下に示された式(Ia)または式(I
b)の構造
【化3】
(式中、
R
a、R
b、およびYは、上記で列挙された定義のいずれかを有し、
mは1、2、3、または4であり、
Qはn-ブチルまたはt-ブチルである。)
を有する。
【0038】
式(Ia)または式(Ib)の化合物の一実施形態において、RaおよびRbは、それ
ぞれ独立して、メチルまたはプロピルである。好適には、RaおよびRbの少なくとも一
方はメチルである。より好適には、RaおよびRbの両方はメチルである。
【0039】
式(Ia)または式(Ib)の化合物の別の実施形態において、Yそれぞれは、独立し
て、ハロ、メチル、プロピル、ネオペンチル、フェニル、ベンジル、およびCH2Si(
CH3)3から選択される。好適には、Yそれぞれは、独立して、ハロ、メチル、プロピ
ル、ネオペンチル、フェニル、およびベンジルから選択される。より好適には、Yそれぞ
れは、独立して、ハロ、メチル、およびプロピルから選択される。
【0040】
式(Ia)または式(Ib)の化合物の別の実施形態において、Yそれぞれは、独立し
て、ハロである。好適には、少なくとも一方のY基はクロロである。より好適には、両方
のY基はクロロである。
【0041】
式(Ia)または式(Ib)の化合物の別の実施形態において、少なくとも一方のY基
はブロモである。より好適には、両方のY基はブロモである。
【0042】
式(Ia)または式(Ib)の化合物の別の実施形態において、両方のY基はベンジル
である。
【0043】
式(Ia)または式(Ib)の化合物の別の実施形態において、両方のY基はメチルで
ある。
【0044】
式(Ia)または式(Ib)の化合物の別の実施形態において、mは1、3、または4
である。好適には、mは1である。
【0045】
別の実施形態において、式(I)の化合物は、以下に示された式(Ic)または式(I
d)の構造
【化4】
(式中、
Yそれぞれは、独立して、本明細書に列挙された定義のいずれかを有し、
mは1、2、3、または4であり、
Qはn-ブチルまたはt-ブチルである。)
を有する。
【0046】
式(Ic)または式(Id)の化合物の一実施形態において、Yそれぞれは、独立して
、ハロ、メチル、プロピル、ネオペンチル、フェニル、ベンジル、およびCH2Si(C
H3)3から選択される。好適には、Yそれぞれは、独立して、ハロ、メチル、プロピル
、ネオペンチル、フェニル、およびベンジルから選択される。より好適には、Yそれぞれ
は、独立して、ハロ、メチル、およびプロピルから選択される。
【0047】
式(Ic)または式(Id)の化合物の別の実施形態において、Yそれぞれは、独立し
てハロである。好適には、少なくとも一方のY基はクロロである。より好適には、両方の
Y基はクロロである。
【0048】
式(Ic)または式(Id)の化合物の別の実施形態において、少なくとも一方のY基
はブロモである。より好適には、両方のY基はブロモである。
【0049】
式(Ic)または式(Id)の化合物の別の実施形態において、両方のY基はベンジル
である。
【0050】
式(Ic)または式(Id)の化合物の別の実施形態において、両方のY基はメチルで
ある。
【0051】
式(Ic)または式(Id)の化合物の別の実施形態において、mは1、3、または4
である。好適には、mは1である。
【0052】
別の実施形態において、式(I)の化合物は、以下に示された式(Ie)または式(I
f)の構造
【化5】
(式中、
mは1、2、3、または4であり、
Qはn-ブチルまたはt-ブチルである。)
を有する。
【0053】
式(Ie)または式(If)の化合物の一実施形態において、mは1、3、または4で
ある。好適には、mは1である。
【0054】
一実施形態において、式(I)の化合物は、以下の構造のいずれか1つを有する。
【化6】
【0055】
一実施形態において、式(I)の化合物は、以下の構造のいずれか1つを有する。
【化7】
【0056】
[本発明に係る組成物]
上述のように、本発明はまた、本明細書で定めた式(I)の化合物および担体物質を含
む組成物も提供する。
【0057】
現在入手可能な対称シクロペンタジエニル系メタロセン錯体と比較した場合、本発明に
係る、担持された非対称シクロペンタジエニル系アンサ-メタロセン化合物は、オレフィ
ン、とりわけエチレンの重合で、触媒として特に有用である。特に、本発明に係る組成物
は、産業界で高価値のポリエチレンワックスの調製で用いられる場合、改良された触媒特
性を示す。さらに、本発明に係る組成物は、エチレンおよび1種または複数の、他のα-
オレフィンの重合から生成される、コポリマーの調製で用いられる場合、改良された触媒
特性を示す。また、このように製造されたコポリマーは、良好な分子間均質性を示す。
【0058】
本発明に係る組成物において、式(I)の化合物は、担体物体で固定化される。式(I
)の化合物は、担体で直接固定化することができ、または好適な連結体を介して固定化す
ることができる。式(I)の化合物は、1種または複数の、イオン性相互作用または共有
結合性相互作用によって、担体に固定化することができる。
【0059】
オレフィンの重合で必要とされる条件において不溶であるという意味で、担体は、固体
担体であることが理解されよう。一実施形態において、担体は、シリカ、LDH(層状複
水酸化物)、固体MAO、または任意の他の無機担体物質から選択される。シリカ、LD
H、または固体MAOの担体を含む組成物は、オレフィン、とりわけエチレンの、スラリ
ー相重合または共重合の不均一系触媒として有用である。
【0060】
例示的なLDHには、AMO-LDH(水性混和性有機溶媒LDH)、例えば、式[M
g1-xAlx(OH)2]x+(An-)x/n.y(H2O).w(溶媒)のもの(
式中、0.1<x>0.9;A=アニオン、例えば、CO3
2-、OH-、F-、Cl-
、Br-、I-、SO4
2-、NO3
-、およびPO4
3-;wは、1未満の数であり;
yは0または0より大きい数である。)が挙げられ、アセトンなどの水性混和性有機溶媒
(AMO溶媒)の化学量論量、または非化学量論量で、任意選択的に水和された化合物を
もたらす。AMO溶媒は水と取り替えることができると認識されよう。
【0061】
シリカおよびAMO-LDHなどの担体は、使用する前に熱処理することができる。例
示的な熱処理には、窒素雰囲気で、担体を400~600℃(シリカ用)で、または10
0~150℃(AMO-LDH用)で加熱することが含まれる。
【0062】
シリカおよびAMO-LDHなどの担体は、一部のメチルアルミノキサン(MAO)を
含むこともできる。こうした材料は、シリカ担持MAOおよびLDH担持MAOと称する
ことができる。
【0063】
シリカおよびLDHなどの担体は、別の活性剤種と共に用いることができる。好適な活
性剤種には、有機アルミニウム化合物(例えば、アルキルアルミニウム化合物)が挙げら
れる。好適には、活性剤はトリイソブチルアルミニウム(TIBA)である。
【0064】
特に好適な一実施形態において、組成物で用いられる担体は、固体MAOである。固体
MAO担体を含む組成物は、産業界で高価値のポリエチレンワックスの調製において、触
媒として特に有用である。用語「固体MAO(solid MAO)」、「ポリメチルアルミノキサ
ン(polymethylaluminoxane)」および「固体ポリメチルアルミノキサン(solid polymethyl
aluminoxane)」は、本明細書にて、一般式-[(Me)AlO]n-(式中、nは10~
50の整数である。)を有する、固相材料を示すのと同義で用いられる。任意の好適な固
体MAOを用いることができる。
【0065】
固体MAOと他のMAO(非固体)との間には、多くの実質的な構造の違いおよび性質
の違いがある。恐らく、最も顕著には、固体MAOは、炭化水素溶媒に不溶であり、その
ため不均一担体系として作用するので、他のMAOとは異なる。本発明に係る組成物で有
用な固体MAOは、トルエンおよびヘキサンに不溶である。
【0066】
スラリー重合の活性剤種として、または別の固体担体物質(例えば、SiO2)の表面
を修飾するために、従来用いられる非固体(炭化水素可溶性)MAOとは対照的に、本発
明の一部として有用な固体MAOは、それ自体、追加の活性剤を必要とすることなく、固
相担体物質として用いるのに好適である。したがって、固体MAOを含む本発明に係る組
成物には、固体担体(例えば、SiO2、Al2O3、およびZrO2などの無機材料)
と考えられる、任意の他の化学種がない。さらに、(触媒担体および活性剤種として)固
体MAOの二元機能があるならば、固体MAOを含む本発明に係る組成物は、追加の触媒
活性剤種を含まない。
【0067】
一実施形態において、固体MAOは、固体MAOを沈殿させるように、MAOおよび炭
化水素溶媒(例えば、トルエン)を含む溶液を加熱することによって調製される。MAO
および炭化水素溶媒を含む溶液は、炭化水素溶媒(例えば、トルエン)中で、トリメチル
アルミニウムと安息香酸を反応させ、その後、得られた混合液を加熱することによって調
製することができる。
【0068】
一実施形態において、固体MAOは、以下の手順に従って調製される。
【化8】
固体MAOの性質は、その合成中に用いられる、1個または複数の工程変数を変えるこ
とによって調整することができる。例えば、上記で説明された手順において、固体MAO
の性質は、AlMe
3の量を固定し、安息香酸の量を変えることにより、Al:O比を変
化させることによって調整することができる。例示的なAl:O比は、1:1、1.1:
1、1.2:1、1.3:1、1.4:1、および1.6:1である。好適には、Al:
O比は1.2:1または1.3:1である。あるいは、固体MAOの性質は、安息香酸の
量を固定化し、AlMe
3の量を変えることによって調整することができる。
【0069】
別の実施形態において、固体MAOは、以下の手順に従って調製される。
【化9】
【0070】
上記の手順において、ステップ1およびステップ2を変えなくてもよく、ステップ2を
変えてもよい。ステップ2の温度は、70~100℃(例えば、70℃、80℃、90℃
、または100℃)であってもよい。ステップ2の継続時間は、12~28時間(例えば
、12、20、または28時間)であってもよい。ステップ2の継続時間は5分~24時
間であってもよい。ステップ3は、トルエンなどの溶媒中で実施してもよい。
【0071】
一実施形態において、固体MAOのアルミニウム含量は、36~41重量%の範囲内で
ある。
【0072】
本発明の一部として有用な固体MAOは、トルエンおよびn-ヘキサンにおける極端に
低い溶解度を特徴とする。一実施形態において、25℃のn-ヘキサン中の、固体MAO
の溶解度は、0~2モル%である。好適には、25℃のn-ヘキサン中の、固体MAOの
溶解度は、0~1モル%である。より好適には、25℃のn-ヘキサン中の、固体MAO
の溶解度は、0~0.2モル%である。あるいは、またはさらに、25℃のトルエン中の
、固体MAOの溶解度は、0~2モル%である。好適には、25℃のトルエン中の、固体
MAOの溶解度は、0~1モル%である。より好適には、25℃のトルエン中の、固体M
AOの溶解度は、0~0.5モル%である。溶媒中の溶解度は、JP-B(KOKOKU
)-H07 42301に記載の方法によって測定することができる。
【0073】
特に好適な一実施形態において、固体MAOは、US2013/0059990、WO
2010/055652、またはWO2013/146337に記載されたものであり、
東ソー・ファインケム株式会社、日本から入手可能である。
【0074】
一実施形態において、担体物質対式(I)の化合物のモル比が50:1~500:1で
ある。好適には、担体物質対式(I)の化合物のモル比は、75:1~400:1である
。
【0075】
別の実施形態において、(式(I)の化合物の)Xがハフニウムである場合、固体MA
O対式(II)の化合物のモル比は125:1~250:1である。
【0076】
別の実施形態において、(式(I)の化合物の)Xがジルコニウムである場合、固体M
AO対式(II)の化合物のモル比は175:1~350:1である。
【0077】
別の実施形態において、(式(I)の化合物の)Xがハフニウムである場合、固体MA
O対式(II)の化合物のモル比は50:1~250:1である。
【0078】
別の実施形態において、(式(I)の化合物の)Xがジルコニウムである場合、固体M
AO対式(II)の化合物のモル比は、50:1~350:1、あるいは50:1~25
0:1である。
【0079】
[本発明に係る化合物の合成]
一般に、本明細書に記載の本発明に係る化合物を調製する方法は、
(i)式Aの化合物を
【化10】
(式中、R
1、R
2、R
3、R
4、R
a、およびR
bはそれぞれ、上記で定めた通りであ
り、Mは、Li、Na、またはKである。)
式Bの化合物と、
X(Y’)
4
B
(式中、Xは上記で定めた通りであり、Y’はハロ(特に、クロロまたはブロモ)である
。)
好適な溶媒の存在下で反応させて、式I’の化合物を生成するステップと、
【化11】
任意選択的に、その後、
(ii)上記の式I’の化合物をMY’’(但し、Mは上記で定めた通りであり、Y’
’は、上記で定めた、ハロ以外のY基である)と、好適な溶媒の存在下で反応させて、以
下に示された式I’’の化合物を生成するステップと
【化12】
を含む。
【0080】
好適には、上記で定めた、方法のステップ(i)において、MはLiである。
【0081】
一実施形態において、式Bの化合物は、溶媒和物として与えられる。特に、式Bの化合
物は、X(Y’)4.THFp(式中、pは整数(例えば、2)である。)として与える
ことができる。
【0082】
任意の好適な溶媒を、上記で定めた、方法のステップ(i)で用いることができる。特
に好適な溶媒は、トルエン、ベンゼン、またはTHFである。
【0083】
Yがハロ以外である、式Iの化合物を必要とする場合、上記の式I’の化合物は、ステ
ップ(ii)で定めたように、さらに反応して式I’’の化合物をもたらすことができる
。
【0084】
任意の好適な溶媒を、上記で定めた、方法のステップ(ii)で用いることができる。
好適な溶媒は、例えば、ジエチルエーテル、トルエン、THF、ジクロロメタン、クロロ
ホルム、ヘキサン、DMF、ベンゼンなどであってもよい。
【0085】
当業者は、こうした合成の、好適な反応条件(例えば、温度、圧力、反応時間、撹拌な
ど)を選択することができるであろう。
【0086】
上記の式Aの化合物を調製することができる方法は、周知の技術である。例えば、式A
のエチレンビスヘキサメチルインデニル二ナトリウム配位子(di-sodium ethylene-bis-he
xamethylindenyl ligand)を合成する方法は、J.Organomet.Chem.、6
94(2009)、1059~1068に説明されている。
【0087】
式Aの化合物は、一般に、
(i)式Cの化合物を
【化13】
(式中、Mは、リチウム、ナトリウム、またはカリウムである。)以下に示された式D
の化合物1当量と反応させて、
Si(R
a)(R
b)(Cl)
2
D
(式中、R
aおよびR
bは上記で定めた通りである。)
以下に示された式Eの化合物を生成するステップと、
【化14】
(ii)式Eの化合物を以下に示された式Fの化合物
【化15】
(式中、R
1、R
2、R
3、およびR
4は、上記で定めた通りであり、Mはリチウム、
ナトリウム、またはカリウムである。)
と反応させるステップ
によって調製することができる。
【0088】
式Cおよび式Fの化合物は、当分野で周知の技術によって容易に合成することができる
。
【0089】
任意の好適な溶媒を、上記方法のステップ(i)で用いることができる。特に好適な溶
媒はTHFである。
【0090】
同様に、任意の好適な溶媒を、上記方法のステップ(ii)で用いることができる。好
適な溶媒は、例えば、トルエン、THF、DMFなどであってもよい。
【0091】
当業者は、こうした合成に好適な反応条件(例えば、温度、圧力、反応時間、撹拌など
)を選択することができるであろう。
【0092】
[本発明に係る使用]
前述のように、本発明はまた、本明細書で定めた式(I)の化合物、または本明細書で
定めた組成物の、1種または複数のオレフィンの重合における使用も提供する。
【0093】
本発明に係る化合物および組成物は、様々な、分子量およびコポリマーのポリアルキレ
ン(例えば、ポリエチレン)などの、様々なポリマーの調製で、触媒として用いることが
できる。こうしたポリマーおよびコポリマーは、(例えば、本発明に係る化合物を用いた
)均一系溶液相重合、または(例えば、本発明に係る組成物を用いた)不均一系スラリー
相重合によって調製することができる。
【0094】
一実施形態において、1種または複数のオレフィンはエチレンである。したがって、本
発明に係る化合物および組成物は、ポリエチレンホモポリマーの調製で有用である。
【0095】
別の実施形態において、1種または複数のオレフィンはエチレンであり、エチレンモノ
マーは、水素の存在下で重合される。本発明に係る化合物および組成物は、低分子量、特
にポリエチレンワックスの調製でとりわけ有用である。低分子量ポリエチレンは、100
0~30000Daの範囲の分子量を有することができる。あるいは、低分子量ポリエチ
レンは、1000~25000Daの範囲の分子量を有することができる。あるいは、低
分子量ポリエチレンは、1000~15000Daの範囲の分子量を有することができる
。
【0096】
低分子量のポリエチレンは、こうした材料が有する、特異な特性のために、産業界で高
価値である。結果として、低分子量ポリエチレンは、多様な産業用途で用いられている。
ポリエチレンワックスは、その分子量のためにワックスのような物性を示す低分子量ポリ
エチレンである。ポリエチレンワックスは、成長しているポリマーの分子量を制御可能な
化学種の存在下で、エチレンを重合することによって調製することができる。水素は、ポ
リエチレン分子量の有効な一制御要素である。その特異な高分子物性のために、ポリエチ
レンワックスは、産業界において、潤滑作用から表面修飾に及ぶ、多種多様な用途で用い
られる。典型的には、ポリエチレンワックスは、室温で、分子量Mw2000~1000
0Daの、固体または半固体である。本発明に係る組成物、特に固体MAOを担体物質と
して含む組成物は、水素の存在下でエチレンを重合することによる、ポリエチレンワック
スの調製において、触媒として特に有用である。
【0097】
水素、および本発明に係る化合物または組成物の存在下で、エチレンを重合することに
よって調製されたポリエチレンワックスは、密度0.96~0.97g/cm3を有する
ことができる。
【0098】
別の実施形態において、1種または複数のオレフィンは、エチレン、および1種または
複数の(3-8C)α-オレフィン(例えば、1-ブテンまたは1-ヘキセン)である。
したがって、本発明に係る化合物および組成物は、エチレン、および1種または複数の(
3-8C)α-オレフィンの重合から生成されるコポリマーの調製において、触媒として
有用である。例示的なコポリマーは、エチレンと1-ブテンを重合することによって調製
され、密度0.93~0.95g/cm3を有する。
【0099】
[本発明に係る方法]
前述のように、本発明はまた、
a)i. 本明細書で定めた化合物および組成物の存在下で、1種または複数のオレフ
ィンを重合するステップを含む、重合する方法も提供する。
【0100】
本発明に係る化合物および組成物は、様々な、分子量およびコポリマーのポリアルキレ
ン(例えば、ポリエチレン)などの、様々なポリマーの調製で、触媒として用いることが
できる。こうしたポリマーおよびコポリマーは、(例えば、本発明に係る化合物を用いた
)均一系溶液相重合、または(例えば、本発明に係る組成物を用いた)不均一系スラリー
相重合によって調製することができる。
【0101】
一実施形態において、1種または複数のオレフィンはエチレンである。したがって、本
発明に係る化合物および組成物は、ポリエチレンホモポリマーの調製で有用である。
【0102】
別の実施形態において、ステップa)は、本明細書に定めた組成物の存在下で、1種ま
たは複数のオレフィンを重合することを含む。好適には、組成物は、担体物質として固体
MAOを含む。
【0103】
別の実施形態において、ステップa)は、i)本明細書で定めた組成物、およびii)
水素の存在下でエチレンを重合することを含む。本発明に係る組成物、特に固体MAOを
担体物質として含む組成物は、ポリエチレンワックスなどの低分子量ポリエチレンの調製
において、触媒として特に有用である。本発明のこれらの実施形態において、水素は、成
長するポリエチレンの分子量を制御するように作用し、その結果、ポリエチレンワックス
で実測される範囲の粘度(および分子量)を有するポリマーをもたらす。前述されたよう
に、ポリエチレンワックスなどの低分子量ポリエチレンは、その特異な性質のために、産
業界で高価値であり、それによって、広範囲の用途の好適な候補となる。
【0104】
ステップa)が、i)本明細書で定めた組成物、およびii)水素の存在下でエチレン
を重合することを含む実施形態において、任意の好適な、水素対エチレンのモル比を用い
ることができる。一実施形態において、水素対エチレンのモル比は、0.001:1~0
.3:1(エチレン供給流中、水素0.1モル%~30モル%)の範囲である。あるいは
、水素対エチレンのモル比は、0.001:1~0.15:1の範囲である。あるいは、
水素対エチレンのモル比は、0.001:1~0.1:1の範囲である。あるいは、水素
対エチレンのモル比は、0.005:1~0.08:1の範囲である。あるいは、水素対
エチレンのモル比は、0.01:1~0.08:1の範囲である。特定の一実施形態にお
いて、水素対エチレンのモル比は、0.03:1~0.05:1の範囲である。特定の別
の実施形態において、水素対エチレンのモル比は、0.005:1~0.05:1の範囲
である。
【0105】
ステップa)が、i)本明細書で定めた組成物、およびii)水素の存在下でエチレン
を重合することを含む実施形態において、ステップa)は、温度30~120℃で実施す
ることができる。
【0106】
ステップa)が、i)本明細書で定めた組成物、およびii)水素の存在下でエチレン
を重合することを含む実施形態において、ステップa)は、圧力1~10バールで実施す
ることができる。
【0107】
ステップa)が、i)本明細書で定めた組成物、およびii)水素の存在下でエチレン
を重合することを含む実施形態において、ステップa)は、1分から5時間の間で実施す
ることができる。好適には、ステップa)は、5分から2時間の間で実施することができ
る。
【0108】
別の実施形態において、1種または複数のオレフィンは、エチレン、および1種または
複数のα-オレフィン(例えば、1-ブテンまたは1-ヘキセン)である。したがって、
本発明に係る化合物および組成物は、エチレン、および1種または複数の(3-8C)α
-オレフィンの重合から生成されるコポリマーの調製において、触媒として有用である。
【0109】
エチレンが、1種または複数のα-オレフィンと共重合される実施形態において、エチ
レンの量に対する、1種または複数の(3-8C)α-オレフィンの量は、0.05~1
0モル%である。好適には、エチレンの量に対する、1種または複数の(3-8C)α-
オレフィンの量は、0.05~5モル%である。より好適には、エチレンの量に対する、
1種または複数の(3-8C)α-オレフィンの量は、0.05~2モル%である。
【0110】
エチレンが、1種または複数のα-オレフィンと共重合される実施形態において、ステ
ップa)は、温度30~120℃で実施することができる。
【0111】
エチレンが、1種または複数のα-オレフィンと共重合される実施形態において、ステ
ップa)は、圧力1~10バールで実施することができる。
【0112】
エチレンが、1種または複数のα-オレフィンと共重合される実施形態において、ステ
ップa)は、1分から5時間の間で実施することができる。好適には、ステップa)は、
5分から2時間の間で実施することができる。
【0113】
一実施形態において、ステップa)は、トリエチルアルミニウム、メチルアルミノキサ
ン、トリメチルアルミニウム、およびトリイソブチルアルミニウムから選択される、1種
または複数の化合物の存在下で実施される。好適には、ステップa)は、トリイソブチル
アルミニウムまたはトリエチルアルミニウムの存在下で実施される。
【0114】
上記で説明したように、本発明は、
a)i. 固体MAOおよび以下に示された式(II)の化合物を含む組成物
【化16】
(式中、Xはジルコニウムまたはハフニウムである。)、および
ii. 水素
の存在下でエチレンを重合するステップであって、
ステップa)の水素対エチレンのモル比が0.0365~0.3:1の範囲である、ス
テップ
を含む、重合する方法も提供する。
【0115】
式(II)の非対称非置換シクロペンタジエニル系アンサ-メタロセンを用いる、本発
明の方法によって、ポリエチレンワックスなどの、特に有利な性質を有する低分子量ポリ
エチレンが生成される。特に、式(II)の化合物を用いる方法を用いて、とりわけ低い
分子量(2000~10000Daの範囲)のポリエチレンワックスを製造することがで
きる。
【0116】
式(II)の化合物を用いる方法によって製造されたポリエチレン(例えば、ポリエチ
レンワックス)は、5000Daよりもより低い分子量Mwを有することができる。ある
いは、式(II)の化合物を用いる方法によって製造されたポリエチレン(例えば、ポリ
エチレンワックス)は、3000Daよりもより低い分子量Mwを有することができる。
【0117】
一実施形態において、ステップa)の水素対エチレンのモル比は、0.0365:1~
0.1:1の範囲である。好適には、ステップa)の水素対エチレンのモル比は、0.0
365:1~0.08:1の範囲である。より好適には、ステップa)の水素対エチレン
のモル比は、0.038:1~0.06:1の範囲である。最も好適には、ステップa)
の水素対エチレンのモル比は、0.04:1~0.055:1の範囲である。
【0118】
別の実施形態において、ステップa)は、温度30~120℃で実施される。
【0119】
別の実施形態において、ステップa)は、圧力1~10バールで実施される。
【0120】
一実施形態において、ステップa)で、固体MAO対式(II)の化合物のモル比は、
50:1~400:1である。
【0121】
別の実施形態において、ステップa)で、固体MAO対式(II)の化合物のモル比は
、125:1~400:1である。好適には、(式(II)の化合物の)Xがハフニウム
である場合、固体MAO対式(II)の化合物のモル比は125:1~250:1である
。好適には、(式(II)の化合物の)Xがジルコニウムである場合、固体MAO対式(
II)の化合物のモル比は、175:1~350:1である。最も好適には、(式(II
)の化合物の)Xはジルコニウムであり、固体MAO対式(II)の化合物のモル比は、
175:1~225:1である。
【0122】
別の実施形態において、(式(II)の化合物の)Xがジルコニウムである場合、固体
MAO対式(II)の化合物のモル比は、250:1~350:1である。
【0123】
一実施形態において、ステップa)は、トリエチルアルミニウム、メチルアルミノキサ
ン、トリメチルアルミニウム、およびトリイソブチルアルミニウムから選択される、1種
または複数の化合物の存在下で実施される。好適には、ステップa)は、トリイソブチル
アルミニウムまたはトリエチルアルミニウムの存在下で実施される。
【0124】
ここで、本発明の実施例は、添付の図に関して例証のためだけに説明されることになる
。
【図面の簡単な説明】
【0125】
【
図1】
Me2SB(Cp
Me,I
*)ZrCl
2の
1HNMRスペクトル(298K、400MHz、クロロホルム-d
1)を示す図である。
【
図2】
Me2SB(Cp
nBu,I
*)ZrCl
2の
1HNMRスペクトル(298K、400MHz、クロロホルム-d
1)を示す図である。
【
図3】固体MAO担持/
Me2SB(Cp,I
*)ZrCl
2:[Al]
0/[Zr]
0=300(黒色四角)、[Al]
0/[Zr]
0=200(赤色丸)、[Al]
0/[Zr]
0=150(青色三角)、および[Al]
0/[Zr]
0=100(桃色逆三角)を用いた、エチレンの重合の活性対温度を示す図である。重合条件:触媒10mg、ヘキサン50mL、2バール、30分、およびTIBA150mg。
【
図4】固体MAO担持/
Me2SB(Cp,I
*)ZrCl
2:[Al]
0/[Zr]
0=300(黒色四角)、[Al]
0/[Zr]
0=200(赤色丸)、[Al]
0/[Zr]
0=150(青色三角)、および[Al]
0/[Zr]
0=300(桃色逆三角)を用いた、エチレンの重合の活性対時間を示す図である。重合条件:触媒10mg、ヘキサン50mL、2バール、70℃、およびTIBA150mg。
【
図5】固体MAO担持/
Me2SB(Cp,I
*)HfCl
2:[Al]
0/[Zr]
0=200(黒色四角)、[Al]
0/[Zr]
0=150(赤色丸)、および[Al]
0/[Zr]
0=100(青色三角)を用いた、エチレンの重合の活性対温度を示す図である。重合条件:触媒10mg、ヘキサン50mL、2バール、30分、およびTIBA150mg。
【
図6】固体MAO担持/
Me2SB(Cp,I
*)HfCl
2:[Al]
0/[Zr]
0=200(黒色四角)、[Al]
0/[Zr]
0=150(赤色丸)、および[Al]
0/[Zr]
0=100(青色三角)を用いた、エチレンの重合の活性対時間を示す図である。重合条件:触媒10mg、ヘキサン50mL、2バール、30分、およびTIBA150mg。
【
図7】固体MAO担持/
Me2SB(Cp,I
*)ZrCl
2:[Al]
0/[Zr]
0=300(黒色四角)、[Al]
0/[Zr]
0=200(赤色丸)、[Al]
0/[Zr]
0=150(青色三角)、および[Al]
0/[Zr]
0=100(桃色逆三角)の生産性対温度を示す図である。重合条件:触媒10mg、ヘキサン50mL、2バール、30分、およびTIBA150mg。
【
図8】固体MAO担持/
Me2SB(Cp,I
*)HfCl
2:[Al]
0/[Zr]
0=300(黒色四角)、[Al]
0/[Zr]
0=200(赤色丸)、[Al]
0/[Zr]
0=150(青色三角)、および[Al]
0/[Zr]
0=100(桃色逆三角)の生産性対温度を示す図である。重合条件:触媒10mg、ヘキサン50mL、2バール、30分、およびTIBA150mg。
【
図9】[Al]
0/[Zr]
0比が200(四角)、150(丸)、および100(三角)である固体MAO担持/
Me2SB(Cp,I
*)ZrCl
2を用いて、生産性(黒色、左の縦軸)および分子量(青色、右の縦軸)対同時供給物(co-feed)として用いられたH
2含量を示す図である。重合条件:触媒0.05mg、ヘプタン5mL、8バール、および80℃。
【
図10】様々な[Al]
0/[Zr]
0比を用いる固体MAO/
Me2SB(Cp,I
*)ZrCl
2触媒を用いた、単独重合およびPEワックス生成の分子量M
w(横軸)を示す図である。重合条件:触媒0.05mg、ヘプタン5mL、8バール、および80℃。
【
図11】[Al]
0/[Zr]
0比100(左)および150(右)を用いる固体MAO/
Me2SB(Cp,I
*)ZrCl
2触媒を用いた、水素反応性(hydrogen response)による、エチレン重合のエチレン取り込み速度(uptake rate)を示す図である。重合条件:触媒0.05mg、ヘプタン5mL、8バール、および80℃。
【
図12】[Al]
0/[Zr]
0比100(左)および150(右)を用いる固体MAO/
Me2SB(Cp,I
*)ZrCl
2触媒を用いた、水素反応性による、エチレン重合の分子量M
wを示す図である。重合条件:触媒0.05mg、ヘプタン5mL、8バール、および80℃。
【
図13】[Al]
0/[Zr]
0比100(左)および150(右)を用いる固体MAO/
Me2SB(Cp,I
*)ZrCl
2触媒を用いた、エチレンと1-ヘキセンとの共重合のエチレン取り込み速度を示す図である。重合条件:触媒0.05mg、ヘプタン5mL、8バール、および80℃。
【
図14】[Al]
0/[Zr]
0比100(左)および150(右)を用いる固体MAO/
Me2SB(Cp,I
*)ZrCl
2触媒を用いた、エチレンと1-ヘキセンとの共重合の分子量M
wを示す図である。重合条件:触媒0.05mg、ヘプタン5mL、8バール、および80℃。
【
図15】[Al]
0/[Zr]
0比100(左)および150(右)を用いる固体MAO/
Me2SB(Cp,I
*)ZrCl
2触媒を用いた、エチレンと1-ヘキセンとの共重合のCEFトレースを示す図である。重合条件:触媒0.05mg、ヘプタン5mL、8バール、および80℃。
【
図16】シクロペンタジエニル環にメチル基を有する、40:60比の、
Me2SB(Cp
Me,I
*)ZrCl
2の2つの異性体の
1HNMRスペクトル(298K、400MHz、ベンゼン-d
6)を示す図である。
【
図17】シクロペンタジエニル環にn-ブチル基を有する、
Me2SB(Cp
nB
u,I
*)ZrCl
2の一方の異性体の
1HNMRスペクトル(298K、400MHz、ベンゼン-d
6)を示す図である。
【
図18】シクロペンタジエニル環にn-ブチル基を有する、
Me2SB(Cp
nB
u,I
*)ZrCl
2の他方の異性体の
1HNMRスペクトル(298K、400MHz、ベンゼン-d
6)を示す図である。
【
図19】
Me2SB(Cp
Me,I
*)ZrBr
2の一方の異性体の
1HNMRスペクトル(298K、400MHz、ベンゼン-d
6)を示す図である。
【
図20】シクロペンタジエニル環にメチル基を有する、40:60比の、
Me2SB(Cp
Me,I
*)Zr(CH
2Ph)
2の2つの異性体の
1HNMRスペクトル(298K、400MHz、ベンゼン-d
6)を示す図である。
【
図21】シクロペンタジエニル環にメチル基を有する、40:60比の、
Me2SB(Cp
Me,I
*)ZrMe
2の2つの異性体の
1HNMRスペクトル(298K、400MHz、ベンゼン-d
6)を示す図である。
【
図22】
Me2SB(Cp
Me,I
*)ZrCl
2および
Me2SB(Cp
nBu,I
*)ZrCl
2の結晶構造を示す図である。
【
図23】固体MAO担持/
Me2SB(Cp
Me,I
*)ZrMe
2(丸)、固体MAO担持/
Me2SB(Cp
Me,I
*)Zr(CH
2Ph)
2(逆三角)、固体MAO担持/
Me2SB(Cp
Me,I
*)ZrCl
2(三角)を用いた、エチレンの重合の活性対温度を示す図である。重合条件:触媒10mg、ヘキサン50mL、2バール、30分、TIBA150mg、および[Al]
0/[Zr]
0=200。
【
図24】固体MAO担持/
Me2SB(Cp
Me,I
*)ZrMe
2(丸)、固体MAO担持/
Me2SB(Cp
Me,I
*)Zr(CH
2Ph)
2(逆三角)、固体MAO担持/
Me2SB(Cp
Me,I
*)ZrCl
2(三角)を用いた、エチレンの重合の活性対時間を示す図である。重合条件:触媒10mg、ヘキサン50mL、2バール、80℃、TIBA150mg、および[Al]
0/[Zr]
0=200。
【
図25】固体MAO担持/
Me2SB(Cp
Me,I
*)ZrMe
2(丸)、固体MAO担持/
Me2SB(Cp
Me,I
*)Zr(CH
2Ph)
2(逆三角)、固体MAO担持/
Me2SB(Cp
Me,I
*)ZrCl
2(三角)を用いた、エチレンの重合の生産性対温度を示す図である。重合条件:触媒10mg、ヘキサン50mL、2バール、30分、TIBA150mg、および[Al]
0/[Zr]
0=200。
【
図26】固体MAO担持/
Me2SB(Cp
Me,I
*)ZrMe
2(丸)、固体MAO担持/
Me2SB(Cp
Me,I
*)Zr(CH
2Ph)
2(逆三角)、固体MAO担持/
Me2SB(Cp
Me,I
*)ZrCl
2(三角)を用いた、エチレンの重合の生産性対時間を示す図である。重合条件:触媒10mg、ヘキサン50mL、2バール、80℃、TIBA150mg、および[Al]
0/[Zr]
0=200。
【
図27】固体MAO(四角)、MAO修飾LDH、LDHMAO/Mg
3AlCO
3(三角)、およびMAO修飾シリカ、ssMAO(丸)に担持された
Me2SB(Cp
Me,I
*)ZrCl
2を用いた、エチレンの重合の活性対温度(左)および活性対時間(右)を示す図である。重合条件:触媒10mg、ヘキサン50mL、2バール、TIBA150mg、および[Al]
0/[Zr]
0=200。
【
図28】固体MAO(四角)、MAO修飾LDH、LDHMAO/Mg
3AlCO
3(三角)、およびMAO修飾シリカ、ssMAO(丸)に担持された
Me2SB(Cp,I
*)ZrCl
2を用いた、エチレンの重合の活性対温度(左)および活性対時間(右)を示す図である。重合条件:触媒10mg、ヘキサン50mL、2バール、TIBA150mg、および[Al]
0/[Zr]
0=200。
【
図29】固体MAO担持/
Me2SB(Cp,I
*)ZrCl
2を用いて、エチレンを重合するための、活性対固定化錯体の量を示す図である。重合条件:触媒10mg、ヘキサン50mL、2バール、TIBA150mg、30分、および80℃。
【
図30】固体MAO担持/
Me2SB(Cp,I
*)ZrCl
2(四角)および固体MAO担持/
Me2SB(Cp
Me,I
*)Zr(CH
2Ph)
2(逆三角)を用いて、エチレンを重合するための、活性対TIBAの量を示す図である。重合条件:触媒10mg、ヘキサン50mL、2バール、30分、および80℃。
【
図31】固体MAO担持/
Me2SB(Cp,I
*)ZrCl
2および固体MAO担持/
Me2SB(Cp
Me,I
*)Zr(CH
2Ph)
2を用いて、エチレンを重合するための、活性対様々な活性剤を示す図である。重合条件:触媒10mg、ヘキサン50mL、2バール、30分、および80℃。
【
図32】固体MAO担持/
Me2SB(Cp,I
*)ZrCl
2、固体MAO担持/
Me2SB(Cp
Me,I
*)ZrCl
2、および固体MAO担持/
Me2SB(Cp,I
*)HfCl
2、ならびにMAO修飾LDH、LDHMAO/Mg
3AlCO
3担持された
Me2SB(Cp,I
*)ZrCl
2から製造されたポリエチレンのSEM画像を示す図である。重合条件:触媒10mg、ヘキサン50mL、2バール、30分、および80℃。
【
図33】[Al]
0/[Zr]
0比200の固体MAO/
Me2SB(Cp
Me,I
*)ZrCl
2触媒を用いた、水素反応性による、エチレン重合のエチレンの取り込み速度を示す図である。重合条件:触媒0.05mg、ヘプタン5mL、8バール、および80℃。
【
図34】[Al]
0/[Zr]
0比200の固体MAO/
Me2SB(Cp
Me,I
*)ZrCl
2触媒を用いた、水素反応性による、エチレン重合の分子量M
wを示す図である。重合条件:触媒0.05mg、ヘプタン5mL、8バール、および80℃。
【
図35】[Al]
0/[Zr]
0比200の固体MAO/
Me2SB(Cp
Me,I
*)ZrCl
2触媒を用いた、エチレンと1-ヘキセンとの共重合のエチレンの取り込み速度を示す図である。重合条件:触媒0.05mg、ヘプタン5mL、8バール、および80℃。
【
図36】[Al]
0/[Zr]
0比200の固体MAO/
Me2SB(Cp
Me,I
*)ZrCl
2触媒を用いた、エチレンと1-ヘキセンとの共重合の分子量M
wを示す図である。重合条件:触媒0.05mg、ヘプタン5mL、8バール、および80℃。
【
図37】[Al]
0/[Zr]
0比200の固体MAO/
Me2SB(Cp
Me,I
*)ZrCl
2触媒を用いた、エチレンと1-ヘキセンとの共重合のCEFトレースを示す図である。重合条件:触媒0.05mg、ヘプタン5mL、8バール、および80℃。
【
図38】固体MAO担持/
Me2SB(Cp
Me,I
*)ZrCl
2を用いた、エチレンの重合の分子量対温度を示す図である。重合条件:触媒10mg、ヘキサン50mL、2バール、30分、80℃、TIBA150mg、および[Al]
0/[Zr]
0=200。
【実施例】
【0126】
[実施例1]
<化合物の合成>
以下のスキーム1aは、本発明に係る、様々な非対称
Me2SB(Cp
R,I
*)Zr
Cl
2化合物(式中、「SB」はケイ素架橋を示し、「Cp
R」はRで置換されたシクロ
ペンタジエニルを示し、「I
*」はペルメチルインデニルを示す。)の合成を説明する。
全ての反応を、テトラヒドロフラン中で対応するアルカリ塩を用いた、クロロシランシン
トン、Ind
*SiMe
2Clからの疑似ワンポット合成で実施し、続いてテトラヒドロ
フラン中のリチオ化反応、最後にベンゼン中で四塩化ジルコニウムを用いて錯体形成する
ステップを実施した。
【化17】
【0127】
図1は、
Me2SB(Cp
Me,I
*)ZrCl
2の
1HNMRスペクトル(298K
、400MHz、クロロホルム-d
1)を示す。
図2は、
Me2SB(Cp
nBu,I
*
)ZrCl
2の
1HNMRスペクトル(298K、400MHz、クロロホルム-d
1)
を示す。
Me2SB(Cp
Me,I
*)ZrCl
2および
Me2SB(Cp
nBu,I
*
)ZrCl
2のバルク材の
1HNMRスペクトルによって、シクロペンタジエニル配位子
周辺に基づいて、2つの異性体の存在が示された。
【0128】
以下のスキーム1bは、本発明に係る、様々な非対称
Me2SB(Cp
R,I
*)Zr
Cl
2化合物(式中、「SB」はケイ素架橋を示し、「Cp
R」はRで置換されたシクロ
ペンタジエニルを示し、「I
*」はペルメチルインデニルを示す。)の合成を説明する。
全ての反応を、テトラヒドロフラン中で対応するアルカリ塩を用いた、クロロシランシン
トン、Ind
*SiMe
2Clからの疑似ワンポット合成で実施し、続いてテトラヒドロ
フラン中のリチオ化反応、最後にベンゼン中で四塩化ジルコニウムを用いて錯体形成する
ステップを実施した。
【化18】
【0129】
図16~
図21は、それぞれの錯体による共鳴を強調した、25℃、ベンゼン-d
6中
の、
Me2SB(Cp
Me,I
*)ZrCl
2、
Me2SB(Cp
nBu,I
*)、
Me
2SB(Cp
nBu,I
*)ZrCl
2、
Me2SB(Cp
Me,I
*)ZrBr
2、
M
e2SB(Cp
Me,I
*)Zr(CH
2Ph)
2および
Me2SB(Cp
Me,I
*)
ZrMe
2の
1HNMR分光法を示す。
図22は、
Me2SB(Cp
Me,I
*)ZrC
l
2および
Me2SB(Cp
nBu,I
*)ZrCl
2の分子構造を示す。
【0130】
[実施例2]
<エチレン単独重合の研究>
実施例1で合成された化合物に加えて、Me2SB(Cp,I*)ZrCl2およびM
e2SB(CpMe,I*)HfCl2(式中、以下に示すようにCp基は非置換である
。)も調製し、その後様々な添加量(アルミニウム対Hf/Zr比)で固体MAOと反応
させた。
【0131】
本実施例で用いられた固体MAOは、US8404880B2実施形態1(スキーム1
)の、Kajiらの最適化された方法を適合することによって調製することができる。簡
潔には、それぞれ合成された固体MAOは、固体MAO(ステップ1Al:O比/ステッ
プ2温度(℃)、時間(時間)/ステップ3温度(℃)、時間(時間))として表される
。したがって、以下のスキーム2で説明された合成条件により固体MAO(1.2/70
、32/100、12)が生成されることになる。
【化19】
【0132】
トリメチルアルミニウム(2.139g、2.967mmol)のトルエン(8mL)
中溶液を含んだRotafloアンプルを急速に撹拌しながら15℃まで冷却し、安息香
酸(1.509g、1.239mmol)をN2流の下、30分間かけて添加した。泡立
ち(推定上、メタンガス、MeH)を観測し、反応混合液が白色懸濁液としてあらわれ、
室温まで温めた。30分後、混合液が無色溶液としてあらわれ、油槽で、70℃で32時
間加熱した(撹拌速度500rpmを用いた)。得られた混合液は、ゲル状物質を含まな
い、無色の溶液であり、その後100℃で12時間加熱した。反応混合液を室温まで冷却
し、ヘキサン(40mL)を添加することによって、白色固体沈殿物をもたらし、濾過に
よって単離し、ヘキサン(2×40mL)で洗浄し、真空で3時間乾燥させた。全収量=
1.399g(Al40重量%に対して71%)。
【0133】
固体MAOを調製すると、異なる量の様々なメタロセン化合物が、固体MAO(アルミ
ニウム対Hf/Zr比を変えることによって表される)に担持された。グローブボックス
において、固体MAOおよび錯体をシュレンク管で計量した。トルエン(50mL)をシ
ュレンクに加え、反応混合液を60℃で1時間回転させた。着色した固体を、上澄みとし
て移した透明無色溶液から沈殿させ、その固体を真空で乾燥させる(40℃、1×10-
2ミリバール)。グローブボックス内で、定量的な収量の生成物をかき出す。
【0134】
固体MAO担持された
Me2SB(Cp,I
*)ZrCl
2メタロセンおよび
Me2S
B(Cp
Me,I
*)HfCl
2メタロセンの触媒特性を調べた。
【化20】
【0135】
図3は、エチレン単独重合における、様々な固体MAO担持
Me2SB(Cp,I
*)
ZrCl
2組成物の触媒活性を温度の関数として示す。
図4は、エチレン単独重合におけ
る、様々な固体MAO担持
Me2SB(Cp,I
*)ZrCl
2組成物の触媒活性を時間
の関数として示す。
図3および
図4より、アルミニウム対ジルコニウム比[Al]
0/[
Zr]
0300で、重合の時間および温度にわたって最も高い活性がもたらされることが
明らかである。
【0136】
図5は、エチレン単独重合における、様々な固体MAO担持
Me2SB(Cp,I
*)
HfCl
2組成物の触媒活性を温度の関数として示す。
図6は、エチレン単独重合におけ
る、様々な固体MAO担持
Me2SB(Cp,I
*)HfCl
2組成物の触媒活性を時間
の関数として示す。
図5および
図6によれば、固体MAO/
Me2SB(Cp,I
*)H
fCl
2を用いた場合、エチレンの重合の時間および温度にわたって、[Al]
0/[Z
r]
0150が、200:1、または100:1よりもより高い活性を示した。これは、
ハフニウム化合物の高い添加量で、触媒が一部不活性化されることを示唆する。
【0137】
図7は、エチレン単独重合における、様々な固体MAO担持
Me2SB(Cp,I
*)
ZrCl
2組成物の触媒生産性を温度の関数として示す。
図8は、エチレン単独重合にお
ける、様々な固体MAO担持
Me2SB(Cp,I
*)HfCl
2組成物の触媒生産性を
温度の関数として示す。
【0138】
固体MAO担持された
Me2SB(Cp,I
*)ZrCl
2メタロセンおよび
Me2S
B(Cp
Me,I
*)HfCl
2メタロセンの触媒特性を調べることに加え、スキーム1
aおよびスキーム1bに図示された固体MAO担持メタロセンの触媒特性も調べた。
図2
3~
図26は、スキーム1aおよびスキーム1bに図示された固体MAO担持メタロセン
を用いたエチレンのスラリー相重合の活性および生産性を示す。図によれば、
Me2SB
(Cp
Me,I
*)ZrMe
2が特に活性である。
【0139】
図27および
図28は、3種の異なる担体、すなわち固体ポリメチルアルミノキサン(
sMAO)、メチルアルミノキサン修飾層状複水酸化物(LDHMAO)、およびメチル
アルミノキサン修飾シリカ(ssMAO)に担持された
Me2SB(Cp
Me,I
*)Z
rCl
2および
Me2SB(Cp,I
*)ZrCl
2を用いた、エチレンのスラリー相重
合の活性を示す。これらのグラフによれば、sMAO担持錯体が最も高い活性を示し、L
DHMAOおよびssMAOがそれに続く。
【0140】
図29は、固体ポリメチルアルミノキサン(sMAO)上への
Me2SB(Cp,I
*
)ZrCl
2の様々な錯体添加量を示し、予想通り、表面上への錯体添加量が低いほど、
高い活性を得たことを示す。
【0141】
図30は、エチレンのスラリー相重合において、トリイソブチルアルミニウム(TIB
A)捕捉剤の量変化の、固体MAO担持された
Me2SB(Cp
Me,I
*)Zr(CH
2Ph)
2および
Me2SB(Cp,I
*)ZrCl
2の触媒特性に対する影響を示し、
ほんの少量のTIBAが、最も高い活性を得るのに必要とされることを示す。
【0142】
以下の表1に、重合がより大きな実験室規模で実施される、固体MAO担持されたMe
2SB(CpMe,I*)Zr(CH2Ph)2およびMe2SB(Cp,I*)ZrC
l2の、スラリー相エチレンの重合データを示す。データによれば、触媒活性は、反応体
積の増加に伴って高まるが、TIBA含量の増加による、活性および生産性の改善は無視
できるほどのものである。
【0143】
【0144】
図31は、エチレンのスラリー相重合において、捕捉剤変更の、固体MAOに担持され
た
Me2SB(Cp
Me,I
*)Zr(CH
2Ph)
2および
Me2SB(Cp,I
*)
ZrCl
2の触媒特性に対する影響を示し、トリエチルアルミニウムが、最も低い全体的
な活性をもたらすことが分かる。MAOを固体MAO担持
Me2SB(Cp,I
*)Zr
Cl
2と組み合わせて用いた場合、付着物が生じ、低活性になると考えられる。
【0145】
図32は、様々に担持されたメタロセンを用いて合成されたポリエチレンのSEM画像
を示す。固体MAO担持メタロセンが、最良のポリエチレンモルフォロジーがもたらすよ
うである。
【0146】
図38は、固体MAO担持
Me2SB(Cp
Me,I
*)ZrCl
2から製造されたポ
リエチレンの分子量を、重合温度の関数として示す。
【0147】
[実施例3]
<低分子量ポリエチレンの研究>
固体MAO担持
Me2SB(Cp,I
*)ZrCl
2(式中、以下に示すようにCp基
は非置換である。)を選択することにより、成長する高分子鎖の分子量を制御するために
水素を用いて、本発明に係る組成物が、エチレンをポリエチレンワックスを含めた低分子
量ポリエチレンに重合する触媒能力を調べた。
【化21】
【0148】
図9は、様々な固体MAO担持
Me2SB(Cp,I
*)ZrCl
2組成物の生産性(
左縦軸)およびポリエチレン分子量(右縦軸)を、エチレン供給流中の変化する水素濃度
の関数として示す。データを以下の表2にまとめる。
【0149】
【0150】
図10は、様々な[Al]
0/[Zr]
0比の固体MAO/
Me2SB(Cp,I
*)
ZrCl
2組成物を用いた、単独重合およびポリエチレンワックス生成の分子量(横軸)
を示す。
【0151】
図9および
図10、ならびに表2によれば、固体MAO/
Me2SB(Cp,I
*)Z
rCl
2組成物について、[Al]
0/[Zr]
0比が減少すると(触媒に固定化された
錯体の量が増加することを意味する)、一定の生産性と共に分子量(22000~130
00kg/モル)が減少する。
【0152】
図11は、[Al]
0/[Zr]
0比100(左)および150(右)を用いる固体M
AO/
Me2SB(Cp,I
*)ZrCl
2触媒を用いた、水素反応性による、エチレン
重合のエチレン取り込み速度を示す。
図12は、[Al]
0/[Zr]
0比100(左)
および150(右)を用いる固体MAO/
Me2SB(Cp,I
*)ZrCl
2触媒を用
いた、水素反応性による、エチレン重合の分子量M
wを示す。
図11および
図12に、固
体MAO/
Me2SB(Cp,I
*)ZrCl
2の、[Al]
0/[Zr]
0比が100
および150であるポリエチレンワックスを製造する能力が示される。
【0153】
以下の表3に、ポリエチレンワックスの調製において、共に[Al]0/[Zr]0比
200で固体MAOに担持された、Me2SB(Cp,I*)ZrCl2および商業規格
(nBuCp)2ZrCl2の触媒特性を比較する。
【0154】
【0155】
表3に示したデータによれば、同量の水素で用いる場合、固体MAO/Me2SB(C
p,I*)ZrCl2は、固体MAO/(nBuCp)2ZrCl2(商業規格)よりも
2倍速い。固体MAO/Me2SB(Cp,I*)ZrCl2では、特に低い分子量Mw
=2743Kg/モルを示し、こうした組成物の、ポリエチレンワックスの調製で有効な
触媒であるという能力が強調される。
【0156】
固体MAO担持Me2SB(Cp,I*)ZrCl2に関して上記で示されたデータに
加えて、固体MAO担持Me2SB(CpMe,I*)ZrCl2(スキーム1aに図示
)も選択することにより、成長する高分子鎖の分子量を制御するために水素を用いて、本
発明に係る組成物が、エチレンをポリエチレンワックスを含めた低分子量ポリエチレンに
重合する触媒能力を調べた。
【0157】
表4ならびに
図33および
図34に、固体MAO担持
Me2SB(Cp
Me,I
*)Z
rCl
2を用い、水素含量を変えた、エチレンのスラリー相重合のデータを示す。
【0158】
【0159】
表4ならびに
図33および
図34によれば、固体MAO担持
Me2SB(Cp
Me,I
*)ZrCl
2を用いた場合、取り込み速度および分子量は、水素供給が増加するにつれ
て減少し、ポリエチレンワックスの分子量の傾向の分子量を有するポリエチレンをもたら
す。
【0160】
[実施例4]
<共重合の研究>
固体MAO担持
Me2SB(Cp,I
*)ZrCl
2(式中、以下に示すようにCp基
は非置換である。)を選択し、本発明に係る組成物が、エチレンと(3-8C)α-オレ
フィン、特に1-ヘキセンとの共重合を触媒する能力を調べた。
【化22】
【0161】
下記表5に、固体MAOに担持されたMe2SB(Cp,I*)ZrCl2を用いた、
スラリー中の、エチレンの重合、およびエチレンと1-ヘキセンとの共重合の活性結果、
分子量、およびCEF値を示す。
【0162】
【0163】
図13は、[Al]
0/[Zr]
0比100(左)および150(右)を用い、固体M
AO/
Me2SB(Cp,I
*)ZrCl
2触媒を用いた、エチレンと1-ヘキセンとの
共重合の、エチレンの取り込み速度を示す。
図14は、[Al]
0/[Zr]
0比100
(左)および150(右)を用い、固体MAO/
Me2SB(Cp,I
*)ZrCl
2触
媒を用いた、エチレンと1-ヘキセンとの共重合の分子量M
wを示す。
図15は、[Al
]
0/[Zr]
0比100(左)および150(右)を用い、固体MAO/
Me2SB(
Cp,I
*)ZrCl
2触媒を用いた、エチレンと1-ヘキセンとの共重合のCEFトレ
ースを示す。
図13~
図15によれば、エチレンと1-ヘキセンとの共重合において、1
-ヘキセンの取り込みは、1-ヘキセンの量が増えるにつれて増加した。また、
図13~
図15によれば、コポリマーの分子量は1-ヘキセンの量が増えても変わらないが、溶出
温度は下がった。これは、両方の[Al]
0/[Zr]
0比の場合にみられる。
【0164】
固体MAO担持Me2SB(Cp,I*)ZrCl2に関して上記で示されたデータに
加えて、固体MAO担持Me2SB(CpMe,I*)ZrCl2(スキーム1aに図示
)も選択して、本発明に係る組成物が、エチレンと(3-8C)α-オレフィン、特に1
-ヘキセンとの共重合を触媒する能力を調べた。
【0165】
表6および
図35~
図37に、固体MAO担持
Me2SB(Cp
Me,I
*)ZrCl
2を用いた、エチレンと1-ヘキセンとのスラリー相共重合のデータを示す。
【0166】
【0167】
図35および
図36によれば、固体MAO担持
Me2SB(Cp
Me,I
*)ZrCl
2を用いた場合、コモノマー(1-ヘキセン)供給の増加に伴い、取り込み速度は増加し
(250μLで不活性化するまで)、分子量は同じである。同様に、
図37は、関連する
CEFトレースを示し、増加した1-ヘキセン供給により、溶出温度の低下がもたらされ
ることを示し、取り込みの増加が強調されている。表6はこれらのデータを裏付けるもの
である。
【0168】
本発明の特定の実施形態が、参照および例証のために本明細書に記載されているが、特許請求の範囲によって定めた本発明の範囲を逸脱することなく、多様な改変が当業者に明らかになるであろう。
なお、本願の出願当初の特許請求の範囲の請求項は以下の通りである。
[請求項1]
以下に示す式(I)の化合物。
【化1】
[式中、R
1
、R
2
、R
3
、およびR
4
が、それぞれ独立して、水素および(1-4C)アルキルから選択され、R
a
およびR
b
が、それぞれ独立して(1-4C)アルキルであり、Xが、ジルコニウムまたはハフニウムであり、Yそれぞれが、独立して、ハロ、フェニル、アリール(1-2C)アルキル、または(CH
2
)
z
Si(CH
3
)
3
から選択され、そのいずれも、任意選択的に、1種または複数の(1-3C)アルキルまたはハロで置換され、zが、1、2、または3であり、あるいは、Yそれぞれが、独立して、クロロ、メチル、プロピル、ネオペンチル、フェニル、ベンジル、および-CH
2
Si(CH
3
)
3
であり、但し、R
1
、R
2
、R
3
、およびR
4
の少なくとも1つが水素ではない。]
[請求項2]
Yそれぞれが、独立して、クロロ、メチル、プロピル、ネオペンチル、フェニル、ベンジル、および-CH
2
Si(CH
3
)
3
である、請求項1に記載の化合物。
[請求項3]
少なくとも一方のY基が、クロロ、メチル、またはベンジルである、請求項1または2に記載の化合物。
[請求項4]
両方のY基が、クロロ、メチル、またはベンジルである、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物。
[請求項5]
少なくとも一方のY基がクロロである、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物。
[請求項6]
両方のY基がクロロである、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物。
[請求項7]
両方のY基がメチルである、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物。
[請求項8]
両方のY基がベンジルである、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物。
[請求項9]
R
a
およびR
b
が、それぞれ独立して、メチルまたはプロピルである、請求項1~8のいずれか一項に記載の化合物。
[請求項10]
R
a
とR
b
の両方がメチルである、請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物。
[請求項11]
Xがジルコニウムである、請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物。
[請求項12]
R
1
、R
2
、R
3
、およびR
4
が、それぞれ独立して、水素、メチル、n-ブチル、およびt-ブチルから選択される、請求項1~11のいずれか一項に記載の化合物。
[請求項13]
式(I)の前記化合物が以下に示された式(Ia)または式(Ib)の構造
【化2】
(式中、R
a
、R
b
、およびYは、請求項1から12のいずれか1項に列挙された定義のいずれかを有し、mは1、2、3、または4であり、Qはn-ブチルまたはt-ブチルである。)を有する、請求項1~12のいずれか一項に記載の化合物。
[請求項14]
mが1、3、または4である、請求項13に記載の化合物。
[請求項15]
mが1である、請求項13または14に記載の化合物。
[請求項16]
前記化合物が、以下に示された式(Ie)または式(If)の構造
【化3】
(式中、mは1、2、3、または4であり、Qはn-ブチルまたはt-ブチルである。)を有する、請求項1~15のいずれか一項に記載の化合物。
[請求項17]
mが1、3、または4である、請求項16に記載の化合物。
[請求項18]
mが1である、請求項16または17に記載の化合物。
[請求項19]
前記化合物が、以下の構造のいずれか1つを有する、請求項1に記載の化合物。
【化4】
[請求項20]
請求項1~19のいずれか一項に記載の式(I)の化合物と担体物質を含む組成物。
[請求項21]
前記担体物質が固体MAOである、請求項20に記載の組成物。
[請求項22]
担体物質対式(I)の前記化合物のモル比が、50:1~500:1である、請求項20または21に記載の組成物。
[請求項23]
担体物質対式(I)の前記化合物のモル比が、75:1~400:1である、請求項20~22のいずれか一項に記載の組成物。
[請求項24]
請求項1~19のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、または請求項20~23のいずれか一項に記載の組成物の、1種または複数のオレフィンの重合における使用。
[請求項25]
前記1種または複数のオレフィンがエチレンである、請求項24に記載の使用。
[請求項26]
前記エチレンが、水素の存在下で重合される、請求項25に記載の使用。
[請求項27]
前記1種または複数のオレフィンが、エチレンおよび1種または複数の(3-8C)α-オレフィンである、請求項24に記載の使用。
[請求項28]
a)i.請求項20~23のいずれか一項に記載の組成物の存在下で、1種または複数のオレフィンを重合するステップを含む、重合方法。
[請求項29]
前記1種または複数のオレフィンがエチレンである、請求項28に記載の方法。
[請求項30]
ステップa)の間に、エチレンが、
i. 請求項20~23のいずれか一項に記載の組成物、および
ii.水素
の存在下で重合される、請求項29に記載の方法。
[請求項31]
ステップa)の水素対エチレンのモル比が、0.005:1~0.08:1の範囲である、請求項30に記載の方法。
[請求項32]
ステップa)が、温度30~120℃で実施される、請求項30または31に記載の方法。
[請求項33]
ステップa)が、圧力1~10バールで実施される、請求項30~32のいずれか一項に記載の方法。
[請求項34]
前記1種または複数のオレフィンが、エチレンおよび1種または複数の(3-8C)α-オレフィンである、請求項28に記載の方法。
[請求項35]
エチレンの量に対する、前記1種または複数の(3-8C)α-オレフィンの量が、0.05~10モル%ある、請求項34に記載の方法。
[請求項36]
ステップa)において、エチレンの量に対する、前記1種または複数の(3-8C)α-オレフィンの量が、0.05~2モル%である、請求項35に記載の方法。
[請求項37]
ステップa)が、温度30~120℃で実施される、請求項34~36のいずれか一項に記載の方法。
[請求項38]
ステップa)が、圧力1~10バールで実施される、請求項34~37のいずれか一項に記載の方法。
[請求項39]
ステップa)が、トリエチルアルミニウム、メチルアルミノキサン、トリメチルアルミニウム、およびトリイソブチルアルミニウムから選択される、1種または複数の化合物の存在下で実施される、請求項34~38のいずれか一項に記載の方法。
[請求項40]
a)i.固体MAOおよび以下に示される式(II)の化合物を含む組成物
【化5】
(式中、Xはジルコニウムまたはハフニウムである)、および
ii.水素
の存在下でエチレンを重合するステップを含み、
ステップa)での水素対エチレンのモル比が0.0365:1~0.3:1の範囲である、重合方法。
[請求項41]
ステップa)が、温度30~120℃で実施される、請求項40に記載の方法。
[請求項42]
ステップa)が、圧力1~10バールで実施される、請求項40または41に記載の方法。
[請求項43]
固体MAO対式(II)の前記化合物のモル比が、125:1~400:1である、請求項40~42のいずれか一項に記載の方法。
[請求項44]
Xがハフニウムであり、固体MAO対式(II)の前記化合物のモル比が125:1~250:1である、請求項40~43のいずれか一項に記載の方法。
[請求項45]
Xがジルコニウムであり、固体MAO対式(II)の前記化合物のモル比が175:1~350:1である、請求項40~44のいずれか一項に記載の方法。
[請求項46]
ステップa)が、トリエチルアルミニウム、メチルアルミノキサン、トリメチルアルミニウム、およびトリイソブチルアルミニウムから選択される1種または複数の化合物の存在下で実施される、請求項40~45のいずれか一項に記載の方法。