(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-08
(45)【発行日】2023-05-16
(54)【発明の名称】ライトガイドを備えた自動車両用の照明装置
(51)【国際特許分類】
F21S 41/24 20180101AFI20230509BHJP
F21S 41/153 20180101ALI20230509BHJP
F21S 41/143 20180101ALI20230509BHJP
F21W 102/13 20180101ALN20230509BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20230509BHJP
【FI】
F21S41/24
F21S41/153
F21S41/143
F21W102:13
F21Y115:10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022018257
(22)【出願日】2022-02-08
(62)【分割の表示】P 2017187949の分割
【原出願日】2017-09-28
【審査請求日】2022-03-04
(32)【優先日】2016-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】391011607
【氏名又は名称】ヴァレオ ビジョン
【氏名又は名称原語表記】VALEO VISION
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100106655
【氏名又は名称】森 秀行
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンドル、イェルク
(72)【発明者】
【氏名】マリン、クルシエ
【審査官】安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-524600(JP,A)
【文献】特開2013-042009(JP,A)
【文献】特開2010-170806(JP,A)
【文献】特開2014-143200(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 41/24
F21S 41/153
F21S 41/143
F21W 102/13
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次光学素子(24)を備えた自動車両用の光学照明モジュール(10)であって、その一次光学素子(24)が、
- 第1の後方部分(24A)であって、当該第1の後方部分(24A)が、縦方向主軸の複数のライトガイド(26A,26B)を備え、それらのライトガイド(26A,26B)が、少なくとも1つの横方向の列に沿って配置されると共に、それぞれ二次光ビームのための出光前端面(30A,30B)を備えている、前記第1の後方部分(24A)と、
- 前記二次光ビームのための共通出光前面(32)を有した前方部分(24B)と、を具備している光学照明モジュールにおいて、
前記前方部分(24B)の前記前面(32)が、前記二次光ビームを少なくとも垂直方向へ広げるように適合されており、
前記前方部分(24B)の前記出光面(32)における2つの前記横方向端部分(42)それぞれが、各列の対応する端部のライトガイド(
26A,26B)によって放出された前記二次光ビームを横方向へ広げるように、垂直方向軸線回りの湾曲を有している、光学モジュール(10)。
【請求項2】
前記一次光学素子(24)における前記前方部分(24B)の前記出光面(32)は、関連するライトガイド(26A,26B)の列によって放出された前記二次光ビームを垂直方向へ広げるように横方向軸線回りに内側へ湾曲した、少なくとも1つの横向きの垂直方向端部ストリップ(38A,38B)を有していることを特徴とする、請求項1に記載の光学モジュール(10)。
【請求項3】
互いに平行な横方向のライトガイド(26A,26B)の列を少なくとも2列備え、前記一次光学素子(24)における前記前方部分(24B)の前記出光面(32)は、2つの横向きの垂直方向端部ストリップ(38A,38B)を有し、それらのストリップ(38A,38B)がそれぞれ、関連するライトガイド(26A,26B)の列によって放出された前記二次光ビームを垂直方向へ広げるように横方向軸線回りに内側へ湾曲していることを特徴とする、請求項1または2に一項に記載の光学モジュール(10)。
【請求項4】
前記前方部分(24B)の前記出光面(32)は、2つの前記垂直方向端部ストリップ(38A,38B)同士の間を垂直方向に広がる中央ストリップ(40)を備え、その中央ストリップ(40)が、垂直縦断面において、垂直な直線状の形状を有していることを特徴とする、請求項1から3のうちのいずれか一項に記載の光学モジュール(10)。
【請求項5】
前記前方部分(24B)の前記出光面(32)における2つの前記横方向端部分(42)同士の間を伸びる中央部分(44)が、半円筒形の形状を有していることを特徴とする、請求項1から4のうちのいずれか一項に記載の光学モジュール(10)。
【請求項6】
前記中央部分(44)は、2つの前記端部のライトガイド(26A,26B)を除く各列の前記ライトガイド(26A,26B)と向かい合って伸びていることを特徴とする、請求項5に記載の光学モジュール(10)。
【請求項7】
各発光ダイオード(18)がライトガイド(26A,26B)に関連付けられていることを特徴とする、請求項1から6のうちのいずれか一項に記載の光学モジュール(10)。
【請求項8】
アダプティブライティング機能を生じさせる光ビームを放出することができることを特徴とする、請求項1から7のうちのいずれか一項に記載の光学モジュール(10)。
【請求項9】
請求項1から8のうちのいずれか一項に記載の光学モジュールを備えた自動車両の照明装置。
【請求項10】
ロービームモジュールを更に備えたことを特徴とする、請求項9に記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一次光学素子を備えた自動車両用の光学照明モジュールであって、その一次光学素子が、
- 縦方向主軸の複数のライトガイドを備え、それらのライトガイドが、少なくとも1つの横方向の列に沿って配置されると共に、それぞれ二次光ビームのための出光前端面を備えている、第1の後方部分と、
- 二次光ビームのための共通出光前面を有した前方部分と、
を具備している光学照明モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
このタイプの光学照明モジュールは既に知られている。それらは、「マルチビーム」、或いは「ピクセルビーム」とさえ呼ばれる最終的な光ビームを縦方向の前方へ放出することができる。最終的な光ビームは、基本光源のマトリクスの像を前方へ投影する。基本光源のそれぞれを選択的に点灯したり消灯したりすることによって、車両前方の道路の特定区域を明確に照明しつつ他の区域を暗闇にしておく最終的な光ビームを作り出すことが可能となる。
【0003】
そのような光学照明モジュールは特に、「アダプティブドライビングビーム」の頭字語で「ADB」とも呼ばれるアダプティブライティング(配光可変照明)機能を生じさせるのに用いられる。そのようなADB機能は、ヘッドライトにてハイビームモードで放出される照明ビームにより眩惑させられそうな道路利用者を自動的に検出し、検出された利用者の位置する暗い区域を作り出しつつ、当該利用者の両側では長距離で道路を照らし続けるように、この照明ビームを修正するように企図されている。ADB機能は、多くの利点:使用の容易性、ロービームモードでの照明に比べてより良好な視認性、眩惑の危険性の大幅な減少、より安全な運転など、を提供してくれる。
【0004】
そのような光学モジュールは一般的に、通常は複数の発光ダイオード(LED)で形成される光源のマトリクスを備え、一次光学素子が複数のライトガイド(光導波路)と投射レンズとを具備している。各発光ダイオードは、平坦なプリント回路基板上に配置されており、その基板は最終的な光ビームの投射方向と直交する平面内に広がっている。一次光学素子の各ライトガイドは、全体として入光面から出光面まで縦方向に伸びている。各ライトガイドは、各発光ダイオードによって放出された光線をもっと細い光ビームへと適合させ、各ライトガイドの出光面がピクセルを形成するように企図されている。それらのライトガイドの出光面は、投射レンズによって映し出される基本ピクセルのマトリクスを形成する。各ピクセルは、各光源の作動ないし作動停止によって選択的に点灯させることができる。
【0005】
そのような一次光学素子は、カットオフラインの上を照らそうと考えられた長方形の形状の基本ピクセルを形成するように企図された第1ライトガイドの第1列を備えている。
【0006】
そのような一次光学素子はまた、カットオフラインの下を照らそうと考えられた正方形の形状の基本ピクセルを形成するように企図された第2ライトガイドの第2列をも備えている。
【0007】
かくして正方形ピクセルの像が車両に近い道路を照らすのに対して、長方形ピクセルはもっと遠距離まで道路を照らすのである。
【0008】
長方形ピクセルの像は、車両から近距離の所に位置する道路利用者を眩惑しがちである。アダプティブライティングは、そのような道路利用者を検出すること、および当該利用者を眩惑しそうなピクセルを形成する光源を消灯しつつ、他の光源は点灯し続けて車両の運転者に良好な視認性を保証することにある。
【0009】
光学照明モジュールが運転者にとって快適である最終的な光ビームを生じさせるために、長方形ピクセルの像が正方形ピクセルの像と垂直方向に重なり合う。運転者の快適性は、各長方形ピクセルの像が垂直方向に5°を超えるまでに広がるときに増大した、ということが見出されている。
【0010】
ここで目下のところ、単一のライトガイドでは、そのような垂直方向の広がりの長方形ピクセルを、横方向には比較的細いままで得るのを可能とすることはできない。
【0011】
さらに、より良好な視覚的快適性は、正方形ピクセルが減光された下縁部を有するときに得られた、ということも見出されている。
【0012】
その上、視覚的に快適な照明の光ビームは、道路の下方側部をも照らさねばならない。
ここで、一次光学素子の横方向端部に配置されたライトガイドの形状を修正することによってもなお、横方向端部のライトガイドによって生じるピクセルは、道路の側部を十分に照らすに足るほど広くはないのである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、道路を快適に照らすことのできるピクセル光ビーム(即ち「ピクセルビーム」)を生じさせるのを可能とする光学照明モジュールを提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明はかくして、前述したタイプの光学照明モジュールにおいて、前方部分の前面が、二次光ビームを少なくとも垂直方向へ広げるように適合されていることを特徴とする光学照明モジュールに関するものである。
【0015】
本発明のその他の諸特徴によれば:
- 一次光学素子における前方部分の出光面は、関連するライトガイドの列によって放出された二次光ビームを垂直方向へ広げるように横方向軸線回りに内側へ湾曲した、少なくとも1つの横向きの垂直方向端部ストリップを有しており、
- 当該光学モジュールは、互いに平行な横方向のライトガイドの列を少なくとも2列備え、一次光学素子における前方部分の出光面は、2つの横向きの垂直方向端部ストリップを有し、それらのストリップがそれぞれ、関連するライトガイドの列によって放出された二次光ビームを垂直方向へ広げるように横方向軸線回りに内側へ湾曲しており、
- 前方部分の出光面は、2つの垂直方向端部ストリップ同士の間を垂直方向に広がる中央ストリップを備え、その中央ストリップが、垂直縦断面において、垂直な直線状の形状を有しており、
- 前方部分の出光面における少なくとも1つの横方向端部分が、各列の対応する端部のライトガイドによって放出された二次光ビームを横方向へ広げるように、垂直方向軸線回りの湾曲を有しており、
- 前方部分の出光面における2つの横方向端部分それぞれが、各列の対応する端部のライトガイドによって放出された二次光ビームを横方向へ広げるように、垂直方向軸線回りの湾曲を有しており、
- 前方部分の出光面における2つの横方向端部分同士の間を伸びる中央部分が、半円筒形の形状を有しており、
- 中央部分は、2つの端部のライトガイドを除く各列のライトガイドと向かい合って伸びており、
- 各発光ダイオードがライトガイドに関連付けられており、
- 当該光学モジュールは、アダプティブライティング機能を生じさせる光ビームを放出することができる。
【0016】
本発明はまた、本発明の教示により造られたモジュールを備える自動車両の照明装置にも関する。
【0017】
当該照明装置は、ロービームモジュールを更に備える。
【0018】
本発明のその他の特徴および利点は、以下の詳細な説明を読み取ることより明らかとなるであろう。その詳細な説明の理解のためには、添付図面が参照されることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の教示により造られた光学照明モジュールを示す斜視図。
【
図2】発光ダイオードのマトリクスを備えた、
図1の光学モジュールのプリント回路基板を示す斜視図。
【
図3】複数のライトガイドを備えた、
図1の光学モジュールの一次光学素子の後部を示す斜視図。
【
図5】二次光ビームを垂直方向へ広げることのできる凸状出光前面を装備した一次光学素子を示す、
図6の切断面5-5に沿った垂直断面図。
【
図6】各列の端部のライトガイドによって放出された二次光ビームを横方向へ広げることのできる凸状出光前面を装備した一次光学素子を示す、
図5の切断面6-6に沿った横方向(水平)断面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以降、本明細書において、非限定的な方式で以下の各向きが採用される:
- 光学モジュールにおける投射レンズの光軸に沿って後方から前方を向いた、縦方向(の)/縦向き(の)「L」、
- 左方から右方を向いた、横方向(の)/横向き(の)「T」、
- 下方から上方を向いた、垂直方向(の)/垂直(な)「V」。
垂直方向(の)/垂直(な)「V」は、重力の方向とは関連しない幾何学的な基準として用いられる。
【0021】
以降、本明細書において、同一の構造および/または類似の機能を有した各要素は、同じ参照符号によって示されることとなる。
【0022】
図1は、最終的な光ビームを縦方向の前方へ放出するように企図された、自動車両用の光学照明モジュール10を示している。そのビームは、ここでは、重なり合う複数の基本ビームで構成されるアダプティブ光ビームである。そのような光学照明モジュール10は、特に「アダプティブドライビングビーム」の頭字語「ADB」でも知られるアダプティブハイビーム機能を実現できるものであり、或いは、「ダイナミックベンディングライト」の頭字語「DBL」でも知られる方向性照明ビーム機能を実現できるものでもある。
【0023】
光学モジュール10は、自動車両の前部照明装置を授けるように企図されている。前部照明装置は更に、カットオフのある単一のロー光ビームを放出するように企図された第2の光学モジュールを備えている。
【0024】
光学照明モジュール10は主に、発光手段12と、この発光手段12の縦方向の前方に距離を置いて配置された投射レンズ14とを備えている。投射レンズ14は、縦方向の光軸「A」を有している。
【0025】
図2に示すように、発光手段12は、ここでは一次基本光源18のマトリクス16を備えている。この場合、それらの光源は発光ダイオード18である。マトリクス16には、17個の発光ダイオード18の横方向列が少なくとも2列(ここでは2列)備え付けられている。光軸「A」は実質的に、マトリクス16の横方向の中央を通っている。マトリクスの全ての発光ダイオード18が、同一寸法の発光面を有している。この場合、それらは正方形の形状の発光面である。
【0026】
マトリクス16は、縦方向「L」と直交する平面内に広がっている。具体的には、各発光ダイオード18が、ここではプリント回路基板20の前面によって支持されている。
【0027】
これらの発光ダイオード18は、自らの稼働中に熱を放出しやすいものである。そこで、冷却フィンを備えたヒートシンク22が、熱を排出するようプリント回路基板20の背後に取り付けられている。
【0028】
各発光ダイオード18は、かなり開いた光円錐で光線を放出する。
図5に示す例においては、開口角が180°になっている。発光ダイオード18のマトリクス16の縦方向の前方には、放出された光線の分布を修正するよう、一次光学素子24が配置されている。
【0029】
図3に示すように、一次光学素子24はここでは、複数のライトガイド26A,26Bによって形成された第1の後方部分24Aを備えている。各ライトガイド26A,26Bは、光線のための入光面28A,28Bから出光前端面30A,30Bまで縦方向の主軸に沿って伸びている(特に、
図4および
図5で見ることができる)。各ライトガイド26A,26Bは、入光面28A,28Bを通じて進入する光線を、出光面30A,30Bへと案内するように設計されている。各出光面30A,30Bは、各発光ダイオード18の個別制御によって選択的に点灯することのできるピクセルを形成する。
【0030】
後方部分24Aは、少なくとも、マトリクス16が発光ダイオード18を備えるのと同じ数のライトガイド26A,26Bを備えている。各発光ダイオード18がライトガイド26A,26Bと関連付けられるのである。かくして、後方部分24Aは少なくとも、17個のライトガイド26A,26Bの列を2列備えている。
【0031】
各ライトガイド26A,26Bの入光面28A,28Bは、プリント回路基板20の平面と平行な共通平面内に配置されている。
図4に示すように、一次光学素子24が光学モジュール10内に配置されたとき、かくして各入光面28A,28Bは、関連する発光ダイオード18と縦方向に向かい合って近接して定置される。それは、各発光ダイオード18によって放出された光線の大部分が、関連するライトガイド26A,26内へと進入するようにである。
【0032】
図3で見ることができるように、各ライトガイド26A,26Bは、光学照明モジュール10の機能にとって望ましい形態の出力二次基本光ビームを生じさせるように適合された断面を有しているであろう。各二次基本光ビームは、光源18の開口角よりも小さな開口角を有している。
【0033】
各図に示すように、一次光学素子24は、ライトガイドの横方向列を2列備えている。
下方第1列の各ライトガイドが参照符号26Aによって示されることとなるのに対して、上方第2列の各ライトガイドは参照符号26Bによって示されることとなる。
【0034】
第1のタイプのライトガイド26A(以降、「第1ライトガイド26A」と呼ばれる)は、下方の列を占めている。それらのライトガイド26Aは、高さ方向へ伸長したピクセルを形成するように企図されている。具体的には、それらの伸長したピクセルは、自らの長さが垂直方向へ伸びた概して長方形の形状を有している。この目的のために、各第1ライトガイド26Aの出光面30Aは、対応した長方形の形状を有している。
【0035】
第2のタイプのライトガイド26B(以降、「第2ライトガイド26B」と呼ばれる)は、上方の列を占めている。それらのライトガイド26Bは、伸長したピクセルに比べて高さの低いピクセルを形成するように企図されている。具体的には、それらの低いピクセルは、概して正方形の形状を有している。この目的のために、各第2ライトガイド26Bの出光面30Bは、対応した正方形の形状を有している。
【0036】
ライトガイド26A,26Bのそれぞれについて、出光面30A,30Bは入光面28A,28Bと同様の形状の輪郭を有している。かくして、第1ライトガイド26Aの入光面28Aは、長方形の形状の輪郭を有している。同様に、第2ライトガイド26Bの入光面28Bは、正方形の形状の輪郭を有している。
【0037】
序文で説明したように、長方形ピクセルの像は、正方形ピクセルの像と垂直方向で重なり合うように企図されている。この目的のために、各第1ライトガイド26Aが並列の第2ライトガイド26Bと関連付けられ、その第2ライトガイド26Bは、当該関連付けられた第1ライトガイド26Aの上縁部に近接して、その正面に配置されている。
【0038】
各ライトガイド26A,26Bの出光面30A,30Bは、
図4に示すようにプリント回路基板20の平面と平行な、放出の共通平面「P」内に配置されている。このようにして、各ライトガイド26A,26Bは全て同じ長さを有している。
【0039】
各ライトガイド26A,26Bの出光面30A,30Bは、かくしてマトリクス、ここでは17個の第1ライトガイド26Aの出光面30Aの第1列、および17個の第2ライトガイド26Bの出光面30Bの第2列を形成する。出光面30A,30Bのそれぞれが、縦方向「L」と直交する放出の共通平面「P」から、縦向きの投射の主方向へ二次基本ビームを放出することができる。出光面30A,30B同士は、互いに直ぐ近くに(例えば、0.1mmの間隔で)配置されている。
【0040】
一次光学素子24はまた、各基本光源30によって放出された二次基本光ビームを成形するための前方部分24Bをも備えている。
【0041】
前方部分24Bは、一次光学素子の各光線のための共通出光前端面32を備えている。
【0042】
この前方部分24Bは、ここでは一次光学素子24が一塊で造られるよう、各ライトガイド26A,26Bとの一体部品にて製造される。
【0043】
一次光学素子24は、例えばシリコン、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、またはライトガイド26A,26Bの製造に適した任意の他の材料で造られる。
【0044】
変形例として、本発明の教示により製造される一次光学素子24は、シリコンで造られる。
【0045】
前方部分24Bの出光前面32は、二次基本光ビームを垂直方向および/または水平方向へ広げるように適合されている。
【0046】
前面32は、概して長方形の形状の輪郭を有しているが、その形状の長さはライトガイド26A,26Bの各列と平行に横方向へ伸びていて、その幅は垂直方向へ伸びている。
前面32はかくして、横向きの下縁部36Aと横向きの上縁部36Bとによって垂直方向に画定されている。前面32はまた、2つの垂直な縁部37によって横方向にも画定されることができる。
【0047】
以降、
図5に示すように、下方の列の各ライトガイド26Aによって放出された二次光ビームを受けるように企図された前面32の下方区域32Aと、上方の列の各ライトガイド26Bによって放出された二次光ビームを受けるように企図された前面32の上方区域32Bとの間で区別が成される。
【0048】
本発明の第1態様によれば、前方部分24Bの前面32は、二次光ビームを少なくとも垂直方向へ広げるように適合されている。
【0049】
この目的のために、一次光学素子の前方部分24Bの出光面32は、少なくとも1つの独立した横向きの垂直方向端部ストリップ38A,38Bを有している。この端部ストリップ38A,38Bと関連するライトガイド26A,26Bの列によって放出された二次光ビームを垂直方向へ広げるように、そのストリップ38A,38Bは横方向軸線回りに内側へ湾曲している。出光面32における当該横向きの端部ストリップ38A,38Bは、かくして凸形状を有している。
【0050】
図5に示す例においては、一次光学素子24が、互いに平行な横方向のライトガイド26A,26Bの列を2列備えている。これら2列それぞれのライトガイド26A,26Bによって放出された光ビームを垂直方向へ広げることを可能とするように、一次光学素子の前方部分24Bの出光面32を垂直方向に画定する2つの横向きの端部ストリップが、それぞれ横方向軸線回りに内側へ湾曲して、それぞれの関連するライトガイド26A,26Bの列によって放出された二次光ビームを垂直方向へ広げる
【0051】
具体的には、下方区域32Aは、前面32の下縁部36Aの境界を成す下端ストリップ38Aを有している。この下端ストリップ38Aは、垂直方向に5°を超えるまでに広がる光ビームを形成するよう、光線を垂直方向へ広げるように適合された凸状の漸進的な湾曲を有している。この目的のために、垂直縦断面において、下端ストリップ38Aの湾曲は、概して45°未満の角度を成す接線を、当該湾曲の大部分に渡って有している。かくして、各光線は、下端ストリップ38Aを通過することによる屈折によって、僅かに下方へ偏向させられる。但し、関連するライトガイド26Aのそれぞれによって放出されて面32を通じて出て行く二次光ビームは、比較的鮮明な下方境界を有している。
【0052】
明らかに、本発明はこの特定の湾曲に限定されるものではなく、当該湾曲は、光線に望まれる広がりに従って適合されることができるであろう、ということを理解されたい。
【0053】
上方区域32Bは、前面32の上縁部36Bの境界を成す上端ストリップ38Bを有している。この上端ストリップ38Bは、二次光ビームが不鮮明な上方境界を有したピクセルを形成するように、下端ストリップ38Aの曲率半径よりもっと著しい曲率半径の凸状湾曲を有している。この目的のために、垂直縦断面において、上端ストリップ38Bの湾曲は、概して45°を超える角度を成す接線を、当該湾曲の大部分に渡って有している。
かくして、二次光ビームの上部における各光線は、上端ストリップ38Bを通過することによる屈折によって、かなり大きな角度で上方へ偏向させられる。かくして、関連するライトガイド26Bのそれぞれによって放出されて面32を通じて出て行く二次光ビームは、不鮮明な上方境界を有している。
【0054】
鮮明な境界を有するよう互いに重なり合う各二次光ビームの部分のために、前方部分24Bの出光面32は、上端および下端のストリップ38A,38B同士の間を垂直方向に広がる中央ストリップ40を備えている。この中央ストリップ40は、垂直縦断面において、直線状の形状を有している。
【0055】
変形例として、中央ストリップの高さを改変することができる。
【0056】
本発明の別の変形例によれば、出光面は中央ストリップを備えていない。かくして、2つの湾曲したストリップ同士が、中央ストリップを介在させることなく互いに直接的に繋がっている。
【0057】
さらに、道路の側方に位置したライトガイド26A,26Bによって放出される二次光ビームを各列について横方向へ広げることを可能とするように、前方部分24Bの出光面32における少なくとも1つの横方向端の垂直な部分42が、各列の対応する端部のライトガイド26A,26Bによって放出された二次光ビームを横方向へ広げるように、垂直方向軸線回りの湾曲を有している。垂直な部分42は、この目的のために、縦横(水平)断面において凸状の形状を有している。
【0058】
図示に示す例において、当該一次光学素子24は、左側か右側かの取付け側とは無関係に車両に装備するよう企図されている有利性がある。
【0059】
かくして、全く同一の一次光学素子24を両側の取付けに適合させることを可能とするように、前方部分24Bの出光面32における2つの横方向の垂直な端部分42同士が、各列の対応する端部のライトガイドによって放出された二次光ビームを互いに逆向きに横方向へ広げるように、垂直方向軸線回りの湾曲を有している。
【0060】
変形例としては、出光面が単一の湾曲した端部分のみを有し、他方の端部分が削除されている。
図6を参照すると、光学モジュールの両端42のうちの一方が、かくして削除される。光学モジュールはかくして、垂直縦中央面に関して非対称となる。この場合、車両のそれぞれの側に異なる一次光学モジュールが配置される。
【0061】
各垂直方向端部ストリップ38A,38Bは、横方向端部分42と重なり合っている。
かくして、2つの端部分42は、横方向軸線回りと垂直方向軸線回りとの両方の湾曲を同時に有している。換言すれば、各横方向端部分42は、回転楕円面の形状を有している。
このようにして、端部の各ライトガイド26A,26Bによって放出された二次光ビームは、ベールの形状の光分布を形成するよう、垂直方向と横方向とに広げられる。
【0062】
対照的に、その他のライトガイド26A,26Bによって放出された二次光ビームは、出光面32によって垂直方向へのみ広げられるように企図されている。出光面の中央部分44は、2つ端部のライトガイドを除く各列のライトガイド26A,26Bと向かい合って伸びている。この点で、前方部分24Bの出光面32における、2つの横方向端部分42同士の間に伸びる中央部分44は、半円筒状の形状を有している。半円筒状というのは、
図5に示すように、3つの横向きのストリップ38A,38B,40の垂直方向輪郭によって形成される開曲線に沿った横方向直線の移動によって、出光前面32の中央部分44が生成されることを意味するものと理解されたい。出光面32は、かくして滑らかな外観を有している。図示しない変形例として、出光面は部分的にエンボス加工されることもできる。
【0063】
さらに、投射レンズ14が、放出の平面「P」から縦方向に距離を置いて前方へ配置されている。投射レンズ14は、出光面30A,30Bの像を無限遠へ投射して最終的な光ビームを形成することができる。遠距離(例えば25mの所)に位置した横向きの垂直スクリーン(図示せず)上への投射では、それぞれの照明された出光面30A,30Bが、スクリーンのある区域を照らすことを可能とする。それらの区域同士は、均一に照らすよう僅かに重なり合っている。各ダイオード18は、スクリーンのそれぞれの区域を選択的に照らせるように独立して制御される。
【0064】
投射レンズ14は、ここでは一塊に造られている。
【0065】
知られているように、投射レンズ14は、概して光軸「A」と直交して広がる物体焦点面「S」を備え、その焦点面「S」が物体焦点の所で光軸「A」と交差している。
【0066】
その用途に望まれる照明特性を有した最終的なビームを得るためには、出光面30A,30Bが実質的に鮮明な方式で映し出される必要がある。この目的のために、各基本光源30は、投射レンズ14の物体焦点面上に位置させられる。
【0067】
理論上は、投射レンズ14が、平坦で光軸「A」と完全に直交した物体焦点面を有するものと想定される。しかしながら、現実には、投射レンズ14は、凹形の球状湾曲の欠陥を持った物体焦点面を有している。そのような欠陥は、ペッツヴァール像面収差と呼ばれる。
【0068】
投射レンズ14を各基本光源30上に正確に焦点合わせするのを可能とするよう、放出の平面「P」と投射レンズ14との間に二次像面補正光学素子34が置かれている。この像面補正光学素子34は、特に投射レンズ14の像面湾曲収差を補正するように設計されている。像面補正光学素子34は、「フィールドフラットナーレンズ」としても知られる少なくとも1つの像面補正レンズによって形成される。図示の例において、像面補正光学素子34は単一の像面補正レンズを備えており、それ故に当該レンズが符号34で参照されることとなる。
【0069】
側方の両端部に位置した2つのライトガイド26A,26Bの入光面28A,28Bは、全く同一の垂直な横方向平面内には配置されていない。それらの面28A,28Bは例えば、各発光ダイオードの辺りに扇のように配置されている。これにより、ビームを横方向へ広げるのに関与することが可能となる。