(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-08
(45)【発行日】2023-05-16
(54)【発明の名称】マイクロヒータを備える薄膜ゲッタ構造及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
B81C 1/00 20060101AFI20230509BHJP
B81B 1/00 20060101ALI20230509BHJP
H01L 23/08 20060101ALI20230509BHJP
H01L 23/26 20060101ALI20230509BHJP
H05B 3/03 20060101ALI20230509BHJP
H05B 3/74 20060101ALI20230509BHJP
【FI】
B81C1/00
B81B1/00
H01L23/08 Z
H01L23/26
H05B3/03
H05B3/74
(21)【出願番号】P 2022064380
(22)【出願日】2022-04-08
【審査請求日】2022-04-08
(31)【優先権主張番号】202110414599.3
(32)【優先日】2021-04-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522143195
【氏名又は名称】上海新微技術研発中心有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】王詩男
(72)【発明者】
【氏名】魯涛
【審査官】正山 旭
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0228733(US,A1)
【文献】国際公開第2019/102872(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0158720(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/26
B81B 1/00
B81C 1/00
H01L 23/08
H05B 3/74
H05B 3/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロヒータを備える薄膜ゲッタ構造であって、
基板と、
前記基板の一方の主面の一側に形成されたヒータと、
前記ヒータの表面に形成されたゲッタ薄膜と、を含み、
前記ヒータが、
第1の絶縁薄膜と、
前記第1の絶縁薄膜の上表面に形成された薄膜抵抗と、
前記薄膜抵抗を覆う第2の絶縁薄膜と、を含み、
前記薄膜抵抗の両端は、前記第2の絶縁薄膜から露出された電極であ
り、
前記第2の絶縁薄膜は、第1の部分と第2の部分とを含み、前記第1の部分と前記第2の部分とが分離溝によって互いに分離されており、
前記第1の部分が前記薄膜抵抗の領域を覆っている、薄膜ゲッタ構造。
【請求項2】
前記第2の絶縁薄膜の前記第1の部分に形成された前記ゲッタ薄膜の面積が前記第2の絶縁薄膜の前記第1の部分の面積よりも小さい、請求項
1に記載の薄膜ゲッタ構造。
【請求項3】
2つ以上の前記ヒータと、2つ以上の前記ゲッタ薄膜とを含み、
各前記ゲッタ薄膜が、対応する前記ヒータの上表面に設けられている、請求項1に記載の薄膜ゲッタ構造。
【請求項4】
前記基板の前記一方の主面には空洞があり、
前記ヒータの前記ゲッタ薄膜を担持する部分が、前記空洞の上方に位置しており、
接続部によって前記空洞周囲の前記一方の主面に支持されている、請求項1に記載の薄膜ゲッタ構造。
【請求項5】
MEMSデバイスの真空パッケージ構造であって、
内部が真空チャンバに形成された真空パッケージケースと、
前記真空パッケージケース内部にパッケージングされるMEMSデバイスと、
一端が前記真空パッケージケースの内部に位置しており、他端が前記真空パッケージケースの外部に位置している導電端子と、
前記真空パッケージケースの内部にパッケージングされる、請求項1に記載の薄膜ゲッタ構造と、を含み、
前記薄膜ゲッタ構造の前記薄膜抵抗の電極が前記導電端子と電気的に接続されている、真空パッケージ構造。
【請求項6】
マイクロヒータを備える薄膜ゲッタ構造の製造方法であって、
基板の一方の主面にヒータが形成されるステップと、
前記ヒータの表面にゲッタ薄膜が形成されるステップと、を含み、
前記ヒータが形成されるステップが、
前記基板の一方の主面に第1の絶縁薄膜が形成されることと、
前記第1の絶縁薄膜の上表面に薄膜抵抗が形成されることと、
前記薄膜抵抗を覆う第2の絶縁薄膜が形成されることと、を含み、
前記薄膜抵抗の両端が、前記第2の絶縁薄膜から露出された電極に形成されて
おり、
前記ヒータが形成されるステップが、
前記第2の絶縁薄膜には、前記第2の絶縁薄膜の第1の部分と第2の部分とを互いに分離させる分離溝が形成されることを、さらに含み、
前記第1の部分が前記薄膜抵抗の領域を覆っている、薄膜ゲッタ構造の製造方法。
【請求項7】
前記第2の絶縁薄膜の前記第1の部分に形成された前記ゲッタ薄膜の面積が前記第2の絶縁薄膜の前記第1の部分の面積よりも小さい、請求項
6に記載の製造方法。
【請求項8】
前記ヒータの表面には前記ゲッタ薄膜が形成される前に、接続部と、前記ヒータの前記ゲッタ薄膜を担持するための部分のパターンとを形成するように、前記ヒータをエッチングするとともに、前記ヒータの前記ゲッタ薄膜を担持するための部分を吊るように、前記基板の前記主面を加工する、請求項
6に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体技術分野に関し、特に、マイクロヒータを備える薄膜ゲッタ構造及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
幾つかの半導体デバイス、特に、幾つかのMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)デバイスは、真空環境にパッケージングされて作動する必要がある。例えば、高速振動部品を有するMEMS加速度センサ、ジャイロスコープ、真空計は、振動部分を安定な真空にパッケージングする必要がある。また、例えば、真空チャンバを有するMEMS圧力センサを必要とし、真空チャンバ内に高い真空度を有する必要もあり、かつ、その真空度が安定となっている。幾つかの赤外線センサは、同様にデバイスを真空度の高い真空チャンバ内にパッケージングする必要がある。
【0003】
一方、高い真空度のパッケージングを図るそのものは、チャレンジがある。パッケージング中に、幾つかの残留ガスが真空チャンバ内に滞留することが多いからである。このため、常に真空チャンバ内にゲッタを封入する必要があり、パッケージングしつつ、ゲッタを活性化し、又は、パッケージングが完了した後にゲッタを活性化し、真空チャンバ内の残留ガスを吸収し、デバイスの動作に必要な高い真空を満たすことを図る。ゲッタ(Getter)は、ガス除去剤とも呼ばれ、真空科学技術分野において、幾つかのガス分子又はあるガス分子を効果的に吸着し固定することができる材料という。ゲッタ材料は一般的に多孔質構造であり、活性ガス分子が清浄用のゲッタ材料の表面に衝突すると、幾つかのガス分子が吸着され、これはゲッタ材料の物理吸着である。幾つかのガス分子は、ゲッタ材料と化学反応を行って安定した固溶物に形成されて、これはゲッタ材料の化学吸着である。また、ガス分子は、材料内部に拡散し続け、これにより、活性ガスを大量に抽出するという目的を達成する。ゲッタの活性化には、常に、ゲッタを数百度の高温で加温する必要がある。外部からパッケージングされたデバイス全体を加熱すると、MEMSデバイス自体、パッケージング方法及び材料はいずれもこのような高温に耐える必要があるため、大きく制限されてしまう。この問題を解決するために、ゲッタを抵抗線に塗布し、抵抗線の両端をパッケージケースの導電端子に接続し、パッケージングした後に抵抗線に通電することによりゲッタを加熱し、これによって、ゲッタを活性化する技術がある。
【0004】
ここで注意すべきなのは、以上の技術背景に対する紹介は、本発明の技術案に対してより明瞭かつ完全な説明を行うことに利便を図りながら、当業者が理解しやすいように供するものに過ぎない。それらの技術案が本発明の背景技術の部分に記載されていることだけで、上記の技術案が当業者により公知されたものであると認定してはならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の発明者は、従来のヒータ付きゲッタ構造において、活性化剤を抵抗線に塗布して、常に体積が大きく、パッケージング空間がコンパクトである状況に適せず、量産にも適しない、と考えた。
【0006】
本発明の実施例は、マイクロヒータを備える薄膜ゲッタ構造及びその製造方法を提供し、当該薄膜ゲッタ構造において、ゲッタ薄膜がヒータの表面に設けられており、ヒータが、積層された薄膜構造であり、また、ヒータの薄膜抵抗の厚さが小さくて、これによって、薄膜ゲッタ構造の厚さを薄くすることができ、小型化に役立つ。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施例の第1の態様によれば、マイクロヒータを備える薄膜ゲッタ構造であって、
基板と、
前記基板の一方の主面の一側に形成されたヒータと、
前記ヒータの表面に形成されたゲッタ薄膜と、を含み、
前記ヒータが、
第1の絶縁薄膜と、
前記第1の絶縁薄膜の上表面に形成された薄膜抵抗と、
前記薄膜抵抗を覆う第2の絶縁薄膜と、を含み、
前記薄膜抵抗の両端は、前記第2の絶縁薄膜から露出された電極である、薄膜ゲッタ構造を提供する。
【0008】
本発明の実施例の別の態様によれば、MEMSデバイスの真空パッケージ構造であって、
内部が真空チャンバに形成された真空パッケージケースと、
前記真空パッケージケース内部にパッケージングされるMEMSデバイスと、
一端が前記真空パッケージケースの内部に位置しており、他端が前記真空パッケージケースの外部に位置している導電端子と、
前記真空パッケージケースの内部にパッケージングされる、実施例の上記態様に記載の薄膜ゲッタ構造と、を含み、
前記薄膜ゲッタ構造の前記薄膜抵抗の電極が前記導電端子と電気的に接続されている、真空パッケージ構造を提供する。
【0009】
本発明の実施例の更なる態様によれば、マイクロヒータを備える薄膜ゲッタ構造の製造方法であって、
基板の一方の主面にヒータが形成されるステップと、
前記ヒータの表面にゲッタ薄膜が形成されるステップと、を含み、
前記ヒータが形成されるステップが、
前記基板の一方の主面に第1の絶縁薄膜が形成されることと、
前記第1の絶縁薄膜の上表面に薄膜抵抗が形成されることと、
前記薄膜抵抗を覆う第2の絶縁薄膜が形成されることと、を含み、
前記薄膜抵抗の両端が、前記第2の絶縁薄膜から露出された電極に形成されている、薄膜ゲッタ構造の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の実施例の有益な効果としては、当該薄膜ゲッタ構造において、ゲッタ薄膜がヒータの表面に設けられており、ヒータは、積層された薄膜構造であり、また、ヒータの薄膜抵抗の厚さが小さくて、これによって、薄膜ゲッタ構造の厚さを薄くすることができ、その小型化に役立つことにある。
【0011】
後述する説明と図面を参照して、本発明の特別な実施の形態は詳しく開示され、本発明の原理が使用されることも示された。理解すべきことは、本発明の実施の形態は、範囲上にそれによって限定されていない。添付される特許請求の範囲の精神及び請求項の範囲内において、本発明の実施の形態は多くの変更、修正及び均等物を含む。
【0012】
1つの実施の形態の記載及び/又は示された特徴に対して、同様又は類似する態様で1つ又は更に多くのその他の実施の形態に使用され、その他の実施の形態の特徴と組み合わせ、又はその他の実施の形態の特徴を切り替えることができる。
【0013】
用語である「含める/含む」が本明細書に記載されている場合に、特徴、部材全体、ステップ又は部品の存在を示すが、1つ又は更に多くのその他の特徴、部材全体、ステップ又は部品の存在又は付加が排除されるわけではない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
添付図面は本発明の実施例をさらに理解するために供されるもので、明細書の一部を構成し、本発明の実施形態を例示するとともに、文字記載と合わせて本発明の原理を説明するものである。後述する添付図面は本発明の幾つかの実施例に過ぎず、当業者にとって、創意工夫を払わないことを前提として、それらの添付図面に基づいて、他の添付図面を取得することができるのは、自明である。添付図面において、
【
図1】
図1は、本発明に係るゲッタ構造を示す図である。
【
図2】
図2は、本発明に係るゲッタ構造を示す別の図である。
【
図3】
図3は、本発明に係るゲッタ構を示す更なる図である。
【
図4】
図4は、本発明に係るゲッタ構を示す更なる図である。
【
図5】
図5は、本発明に係るゲッタ構の加工方法を示す図である。
【
図6】
図6は、本発明に係るゲッタ構の加工方法を示す別の図である。
【
図7】
図7は、本発明に係るゲッタ構の適用方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図面を参照して、下記の明細書によれば、本発明の前述した内容及びその他の特徴がより明瞭になるであろう。明細書及び図面において、本発明の特別な実施形態が具体的に開示されており、本発明の原理を採用可能な実施形態の一部が示されるが、本発明は記載される実施形態に限らないということにも注意すべきである。逆に、本発明には、添付される請求の範囲内に属するすべての修正、変形及び均等物を含むこととする。
【0016】
本発明の下記の各実施例の説明において、面積とは、薄膜の「横方向」における面積であり、「横方向」が、基板の表面と平行な方向であり、「縦方向」が基板の表面と垂直な方向である。「縦方向」において、基板からヒータへ指向する方向が「上」方向であり、「上」方向と逆なる方向が「下」方向であり、各層構造の「上」方向に沿う表面が「上表面」であり、各層構造における「上表面」に対向する表面が「下表面」である。前述した方向についての設定は、本発明の技術案を容易に理解するためのものであり、薄膜ゲッタ構造又は真空パッケージ構造の加工及び利用時の向きを示すものではない。
【0017】
〔実施例1〕
本発明の実施例1はゲッタ構造を提供する。このようなゲッタ構造は、自体にヒータを付ける。
図1が本実施例を示す図である。本実施例において、本発明の主な思想を強調するために、
図1の概略図が、最も基本的な要素のみを含む。
図1のa)は、ゲッタ構造100の平面図であり、
図1のb)は、
図1のa)においてAA’によって示された線に沿って切断されたゲッタ構造100の断面図であり、
図1のc)は、ゲッタ構造100の薄膜抵抗3の平面図である。
【0018】
図1のa)及び
図1のb)に示されたように、ゲッタ構造100が、基板1と、基板1の主面1aの上方に形成されたヒータ10と、ヒータ10の上方に形成されたゲッタ薄膜5と、を含む。ここで、ヒータ10が、基板1の主面1aの上方に形成された第1の絶縁薄膜2と、第1の絶縁薄膜2の上方に形成された導電性薄膜抵抗3と、薄膜抵抗3の上表面に形成された第2の絶縁薄膜4と、を含む。第2の絶縁薄膜4の熱伝導率が第1の絶縁薄膜2よりも高くてもよく、つまり、第2の絶縁薄膜4の伝熱能力が第1の絶縁薄膜2よりも優れた。導電性薄膜抵抗3の主な部分を覆う第2の絶縁薄膜4aが、分離溝4cによって他の領域の第2の絶縁薄膜4bと分離されている。また、ゲッタ薄膜5の面積が第2の絶縁薄膜4aの面積よりも小さい。ゲッタ構造100全体の面積が、吸気需要に応じて設計されている。例えば、ゲッタ構造100の表面は、
図1のa)に示されたような正方形であり、その一辺の辺長が、約0.5~5mmの範囲にある。本発明において、導電性薄膜抵抗3の主な部分を覆う第2の絶縁薄膜4aが第2の絶縁薄膜4aの第1の部分と呼ばれてもよく、他の領域の第2の絶縁薄膜4bが第2の絶縁薄膜4aの第2の部分と呼ばれてもよい。
【0019】
基板1は、2つの対応する主面、つまり、第1の主面1a及び第2の主面1bを有する。基板1は、例えば、シリコンウェハ、絶縁体上のシリコン(SOI:Silicon On Insulator)ウェハ、ゲルマニウムシリコンウェハ、ゲルマニウムウェハ又は窒化ガリウムウェハ、SiCウェハ等のような半導体製造分野で一般的に使用されるウェハであってもよく、石英、サファイア、ガラス等の絶縁性ウェハであってもよい。また、基板1は、半導体製造分野で一般的に使用されるウェハであってもよく、ウェハの表面に半導体デバイス、MEMSデバイスに必要な様々な薄膜及び様々な構造をさらに有する。本実施例は、これを制限するものではない。一つの具体例としては、基板1がシリコン基板であり、厚さが約700μmであり、直径が約200mmであることである。また、本願の各実施例において、いずれも基板1が半導体基板であることを例として説明したが、本願はこれに限定されず、基板1は非半導体基板に置き換えられてもよい。また、実施例1及び後述する実施例3、実施例5において、基板1は例えばガラス基板等のような絶縁基板であることが好ましい。
【0020】
基板1の主面1 aに形成された第1の絶縁薄膜2は、材料及び厚さがヒータ性能の需要に応じて設計されている。主な作用は、導電性薄膜抵抗3と基板1との間の電気的な絶縁を図ることと、薄膜抵抗3と基板1との間の熱絶縁を図ることにより、薄膜抵抗3に通電した後に発生した熱がゲッタ薄膜5の方向に効力的に流れることというような2つがある。例えば、基板1の熱絶縁性が十分ではないと、第1の絶縁薄膜2の熱絶縁性が基板1の熱絶縁性より十分に高ければよい。第1の絶縁薄膜2が単一の材料で構成された薄膜であってもよく、多種類の材料で構成された複合薄膜であってもよく、単一の材料の薄膜を複数積層した複合薄膜であってもよい。例えば、第1の絶縁薄膜2はシリコンの酸化物からなる単一薄膜である。第1の絶縁薄膜2の厚さが、例えば、0.1~2μmである。
【0021】
薄膜抵抗3の作用は、通電した後に十分に高い温度を生成してゲッタ薄膜5を活性化するものである。そのため、薄膜抵抗3の材料、形状等は、ゲッタ薄膜5を活性化する需要に応じて設計されることができる。薄膜抵抗3の材料は、ゲッタ薄膜5の活性化に必要な温度に耐えることができなければならず、その抵抗の大きさは、適切に通電した後に十分に高い温度を生成してゲッタ薄膜5を活性化することに適しなければならない。薄膜抵抗3の材料が金属であってもよい。例えば、薄膜抵抗3の材料が、Pt、W、Au、Al、Cu、Ni、Ta、Ti、Crのうちの1つ又は2つ以上を含有する金属である。薄膜抵抗3の材料が半導体であってもよい。例えば、薄膜抵抗3の材料が多結晶シリコンである。薄膜抵抗3の材料が多結晶シリコンである場合に、需要に応じて多結晶シリコンに対してドーピングを行うことで、その導電率を調整することができる。薄膜抵抗3の材料が金属化合物であってもよい。例えば、薄膜抵抗3の材料がTiN、TaAlNである。薄膜抵抗3の厚さが、例えば、0.1~1μmである。薄膜抵抗3が、1つの連続する薄膜であってもよく、
図1のa)、b、cに示されたようにパターン化された薄膜であってもよい。例えば、薄膜抵抗3が、
図1のc)の平面図に示されたような折れ線状の薄膜であってもよい。薄膜抵抗3の電極3a及び3bは、第2の絶縁薄膜4に開口されたウィンドウ4dから露出することで、外部電源(図示せず)に接続されて、例えば、薄膜抵抗3の両端が第2の絶縁薄膜4から露出された電極3a、3bである。
【0022】
薄膜抵抗3の上表面に形成された第2の絶縁薄膜4は、その材料及び厚さがヒータ性能に応じて設計されている。その主な作用は、導電性薄膜抵抗3とゲッタ薄膜5との間の電気的な絶縁を図ることと、薄膜抵抗3によって発生された熱を収集しゲッタ薄膜5へ伝達することで、ゲッタ薄膜5の温度が、活性化温度に達することと、薄膜抵抗3によって発生された熱をゲッタ薄膜5に均一に伝達することというような3つがある。第2の絶縁薄膜4の伝熱能力が第1の絶縁薄膜2よりも優れ、薄膜抵抗3に通電した後に発生した熱をゲッタ薄膜5に効力的に伝達することに役に立つ。第2の絶縁薄膜4が単一の材料で構成された薄膜であってもよく、多種類の材料で構成された複合薄膜であってもよく、単一の材料の薄膜を複数積層した複合薄膜であってもよい。例えば、第1の絶縁薄膜2が、シリコンの酸化物で構成された単一の薄膜であり、第2の絶縁薄膜4がシリコンの窒化物で構成された単一の薄膜である。この場合に、第1の絶縁薄膜2と第2の絶縁薄膜4との間の長膜条件を調整することで、第2の絶縁薄膜4の熱伝導が第1の絶縁薄膜2よりも高くなる。第2の絶縁薄膜4の厚さが、例えば、0.1~2μmである。導電性薄膜抵抗3の主な部分を覆う第2の絶縁薄膜4aが、分離溝4cによって他の領域の第2の絶縁薄膜4bと分離されており、薄膜抵抗3に発生された熱をゲッタ薄膜5に効力的に伝導させる。分離溝4cが、第2の絶縁薄膜4に形成されたトレンチであり、このトレンチが第2の絶縁薄膜4の上表面、下表面を貫通して下方の第1の絶縁薄膜2の表面に達する。分離溝4cが薄膜抵抗3の周辺に形成されている。
【0023】
第1の絶縁薄膜2と、第1の絶縁薄膜2に形成された薄膜抵抗3と、薄膜抵抗3の上方に形成された第2の絶縁薄膜4とは、ヒータ10となっている。
【0024】
ヒータ10の上方に形成されたゲッタ薄膜5は、ゲッタ材料からなる。ゲッタ薄膜5の材料、面積及び厚さは、吸着必要なガス種類及び数等の要因に応じて設計されている。ゲッタ薄膜5の面積が第2の絶縁薄膜4aの面積よりも小さいことで、ゲッタ薄膜5が第2の絶縁薄膜4aにより効力的に活性化されることができる。例えば、ゲッタ薄膜5が、ZrVFe、ZrAl、ZrC等の材料を含むようなZr基非蒸散型ゲッタであってもよい。ゲッタ薄膜5が、Ti-Mo等の材料を含むようなTi基非蒸散型ゲッタであってもよい。ゲッタ薄膜5の空孔の大きさ、占有率等が、適切に調整されてもよい。例えば、ゲッタ薄膜5の空孔の割合が40%以上である。ゲッタ薄膜5の厚さが例えば、0.1~5μm程度である。
【0025】
前述したゲッタ構造100によれば、ゲッタ薄膜5が活性化される中に達した最高温度が200℃~1000℃にあることができる。実際に必要な活性化温度に応じてゲッタ構造100の全体を最適化して設計することができ、特に、ヒータ10を設計することができる。ヒータ10及びゲッタ薄膜5からなる薄膜構造について、ゲッタ構造100が製造及び使用中に応力によって破損することがないように、設計において、薄膜全体の応力を適切に考慮する必要がある。
【0026】
また、本発明の幾つかの実施形態において、基板1の表面には、下に凹んだ空洞を有してもよく、当該空洞がヒータの下側に位置してもよく、これによって、ヒータに発生された熱がゲッタ薄膜5に集中的に伝達することができ、ゲッタ薄膜についての加熱効率を高めることができる。
【0027】
前述したように、本実施例は、体積が小さいヒータ付きの薄膜ゲッタ構造を提供する。このような構造は、微小な真空チャンバ体積に対する占用を減少することができる。このような構造は、半導体プロセスを用いて加工されることができるので、優れた量産性を有する。また、本実施例に係る薄膜ゲッタ構造は、自体がヒータを付けるので、必要であれば、薄膜ゲッタを随時に活性化することができ、真空チャンバ内の経時的に増加したガスを効力的に吸着することができ、真空チャンバ内に密封されたMEMSデバイスの耐用年数を延長することができる。
【0028】
〔実施例2〕
本発明の実施例2は、別のゲッタ構造を提供する。このようなゲッタ構造は、自体にヒータを付ける。
図2は、本実施例を示す図である。本実施例において、本発明の主な思想を強調するために、
図2の概略図が最も基本的な要素のみを含む。
図2のa)は、ゲッタ構造100の平面図であり、
図2のb)は、
図2のa)においてAA’によって示された線に沿って切断されたゲッタ構造100の断面図であり、
図2のc)は、ゲッタ構造100的薄膜抵抗3の平面図である。便宜のために、実施例1と類似的な内容が本実施例において贅言されない。
【0029】
図2のa)及び
図2bのb)に示されたように、ゲッタ構造100は、基板1と、基板1の主面1aの上方に形成されたヒータ10と、ヒータ10の上方に形成されたゲッタ薄膜5と、を含む。ヒータ10が、基板1の主面1aの上方に第1の絶縁薄膜2と、第1の絶縁薄膜2の上方に形成された導電性薄膜抵抗3と、薄膜抵抗3の上方に形成された第2の絶縁薄膜4と、を含む。ここで第2の絶縁薄膜4の伝熱能力が第1の絶縁薄膜2よりも優れた。また、ゲッタ薄膜5の面積が第2の絶縁薄膜4aの面積よりも小さい。ゲッタ構造100全体の面積は、吸気需要に応じて設計されている。例えば、ゲッタ構造100の表面は、
図1aに示されたような正方形であり、その一辺の辺長が0.5~5mmの範囲にある。実施例1と異なるのは、本実施例2において、ヒータ10の下方の基板1には空洞6があることにある。つまり、ヒータ10の主な部分(つまり、ゲッタ薄膜5を担持する部分)が空洞6の上方に吊られ、接続部により空洞6の周囲の基板1の主面に支持されている。ここで、当該接続部が、片持梁7(例えば、7a、7b、7c、7dを含む)であり、片持梁7が基板1の主面1aに接続されてもよい。片持梁7が2つの分岐を有してもよく、有2つ以上の分岐を有してもよい。例えば、本実施例において、片持梁7が7a、7b、7c、7dという4つの分岐を含む。このような構造において、ヒータ10の主な部分及びゲッタ薄膜5が、他の領域と分離されており、片持梁7だけで接続される。このように、薄膜抵抗3に通電することによって発生した熱は、固体伝導の点で、片持梁7を通過することによる損失のみがある。片持梁の幅、長さ及び厚さを適切に設計するだけで、片持梁7を通過することによる固体熱伝導損失が十分に小さくなることができる。その結果、実施例1に比べて、本実施例のゲッタ構造100がヒータによって発生された熱をゲッタ薄膜5の上方に集中的に伝導することができ、ゲッタ薄膜5の活性化に必要な加熱効率を高めて、加熱エネルギーの節約、加熱可能な最も高い温度の向上に役に立つ。
【0030】
基板1は、対応する2つの主面、つまり、第1の主面1a及び第2の主面1bを備える。基板1が実施例1の基板1と同じであってもよい。
【0031】
基板1の主面1aの上方に形成された第1の絶縁薄膜2は、その材料及び厚さがヒータ性能の需要に応じて設計されている。第1の絶縁薄膜2が実施例1の第1の絶縁薄膜2と同じであってもよい。
【0032】
第1の絶縁薄膜2の上方に形成された薄膜抵抗3は、ゲッタ薄膜5の活性化の需要に応じて設計されることができる。薄膜抵抗3は、実施例1の薄膜抵抗3と同じであってもよい。例えば、薄膜抵抗3が
図2のc)の平面図に示されたような折れ線状の薄膜である。薄膜抵抗3の一端が片持梁7aにより電極3aに接続されており、薄膜抵抗3の他端が片持梁7bにより電極3bに接続されている。薄膜抵抗3の電極3a、3bは、第2の絶縁薄膜4に開口されたウィンドウ4dから露出することで、外部電源(図示せず)に接続される。
【0033】
薄膜抵抗3の上方に形成された第2の絶縁薄膜4は、その材料及び厚さがヒータ性能の需要に応じて設計されている。第2の絶縁薄膜4の作用は、実施例1と同じである。第2の絶縁薄膜4が実施例1の第2の絶縁薄膜4と同じであってもよい。
【0034】
第1の絶縁薄膜2と、第1の絶縁薄膜2に形成された薄膜抵抗3と、薄膜抵抗3の上方に形成された第2の絶縁薄膜4とは、ヒータ10となっている。
【0035】
ヒータ10の上方に形成されたゲッタ薄膜5はゲッタ材料で構成されている。ゲッタ薄膜5の材料、面積及び厚さは、吸着必要なガス種類及び数等の要因に応じて設計されている。ゲッタ薄膜5が第2の絶縁薄膜4aにより効力的に活性化されるように、ゲッタ薄膜5の面積が第2の絶縁薄膜4aの面積よりも小さい。ゲッタ薄膜5が実施例1のゲッタ薄膜5と同じであってもよい。
【0036】
ヒータ10及びゲッタ薄膜5からなる薄膜構造は、ゲッタ構造100、特に、片持梁7が製造及び使用中に応力によって破損することないように、設計において全体の応力を考慮する必要がある。片持梁7は、ヒータ10及びゲッタ薄膜5からなる薄膜構造を支持してよく浮上させるための十分な強度がある必要がある。
【0037】
前述したように、本実施例は、体積が小さいヒータ付きの別の薄膜ゲッタ構造を提供する。このような構造は、実施例1の効果の他に、下記の効果もある。つまり、このような構造において、ヒータ10の主な部分及びゲッタ薄膜5が片持梁7だけで他の領域に接続されており、薄膜抵抗3に通電することにより発生された熱の固体伝導による損失が十分に小さくなる。その結果、本実施例に係るゲッタ構造が、ヒータによって発生された熱をゲッタ薄膜の上方に集中的に伝導して、ゲッタ薄膜の活性化に必要な加熱効率を高めて、加熱エネルギーの節約、加熱可能な最高温度の向上に役に立つ。
【0038】
〔実施例3〕
本発明の実施例3はゲッタ構造を提供する。このようなゲッタ構造は、自体にMEMSヒータを付ける。
図3は、本実施例の平面図である。本実施例において、本発明の主な思想を強調するために、
図3の概略図が最も基本的な要素のみを含む。本実施例3における実施例1と類似的な内容について、実施例1を参照することができ、ここで贅言されない。
【0039】
実施例3の特徴としては、ゲッタ構造100がヒータ10とヒータ10の上方に形成されたゲッタ薄膜5とからなるゲッタ構造ユニットを2つ以上備える。例えば、
図3に示されたように、ゲッタ構造100が、2つゲッタ構造ユニットを備える。各ゲッタ構造ユニットは、実施例1に係るゲッタ構造100と類似的な構造を有する。1番目のゲッタ構造ユニットのゲッタ薄膜5-1が1つのヒータ10-1に対応し、2番目のゲッタ構造ユニットのゲッタ薄膜5-2が1つのヒータ10-2に対応する。ヒータ10-1とヒータ10-2とが完全的に独立してもよい。ただし、電源入力端子を節約するために、ヒータ10-1とヒータ10-2とは、1つの電極3cを共用することができる。このような構造によって、ヒータ10-1が電極3-1a及び電極3cにより独立に通電することができ、ヒータ10-2が電極3-2a及び電極3cにより独立に通電することができる。つまり、ゲッタ薄膜5-1とゲッタ薄膜5-2とは、加熱によってそれぞれ、独立に活性化されることができる。
【0040】
ヒータ10とヒータ10の上方に形成されたゲッタ薄膜5とからなる2つ以上のゲッタ構造ユニットを1つの基板に集積して、ゲッタ構造100体積がコンパクトとなり、微小な真空チャンバの省スペース化を図ることができる。また、2つ以上の個別に活性化可能なヒータ付きの薄膜式ゲッタ構造を備えることにより、異なる時点で独立な薄膜式ゲッタをそれぞれ活性化することができ、真空チャンバ内の経時的に増加したガスを複数回に効力的吸着することができ、1つのゲッタ構造ユニットを備える構造に比べて、真空チャンバ内に密封されたMEMSデバイスの耐用年数をさらに延長することができる。
【0041】
〔実施例4〕
本発明の実施例4は、別のゲッタ構造を提供する。このようなゲッタ構造は、自体にMEMSヒータを付ける。
図4は、本実施例の平面図である。本実施例において、本発明の主な思想を強調するために、
図4の概略図が最も基本的な要素のみを含む。本実施例4は、前述した実施例2、3と類似的な内容について、実施例2、3を参照することができ、ここで贅言されない。
【0042】
実施例4の特徴としては、ゲッタ構造100がヒータ10とヒータ10の上方に形成されたゲッタ薄膜5とからなるゲッタ構造ユニットを2つ以上備えるものである。例えば、
図4に示されたように、ゲッタ構造100がゲッタ構造ユニットを2つ備える。各ゲッタ構造ユニットが実施例2のゲッタ構造100と類似的な構造を有する。1番目のゲッタ構造ユニットのゲッタ薄膜5-1が1つのヒータ10-1に対応する、2番目のゲッタ構造ユニットのゲッタ薄膜5-2がヒータ10-2に対応する。ヒータ10-1とヒータ10-2とは、完全的に独立してもよい。ただし、電源入力端子を節約するために、ヒータ10-1とヒータ10-2とは、1つの電極3cを共用することができる。このような構造によって、ヒータ10-1が電極3-1a及び電極3cにより独立して通電することができ、ヒータ10-2が電極3-2a及び電極3cにより独立して通電することができる。つまり、ゲッタ薄膜5-1とゲッタ薄膜5-2とは、加熱によってそれぞれ、独立に活性化されることができる。
【0043】
本実施例に係るゲッタ構造は、実施例2と実施例3との効果を総合して、異なる時点で独立な薄膜式ゲッタをぞれぞれ効力的に活性化することができ、真空チャンバ内に密封されたMEMSデバイスの耐用年数を延長することができる。
【0044】
〔実施例5〕
本発明の実施例5は、ゲッタ構造の製造方法を提供する。
図5は、本実施例の断面図である。本実施例の製造方法を用いるだけで、
図1に記載された実施例1及び
図3に記載された実施例3のゲッタ構造を製造することができる。本実施例において、本発明の主な思想を強調するために、
図5の概略図が最も基本的な要素のみを含む。本実施例5に係る構造、材料等の実施例1、3と同じの内容について、実施例1、3を参照することができ、ここで贅言されない。便宜のために、本実施例5は、実施例1のゲッタ構造100を例として製造方法を説明する。
【0045】
本実施例5に係るゲッタ構造100の製造方法は、基板1の一方の主面1aにヒータ10が形成され、ヒータ10の上方にゲッタ薄膜5が形成されることを含む。ここで、ヒータ10の製造方法は、基板1の一方の主面1aに第1の絶縁薄膜2が形成されて、第1の絶縁薄膜2の上方に導電性薄膜抵抗3が形成されて、薄膜抵抗3の上方に第2の絶縁薄膜4が形成されることをさらに含む。また、第2の絶縁薄膜4が加工されて、薄膜抵抗3の主な部分を覆う第2の絶縁薄膜4aが他の領域の第2の絶縁薄膜4bと分離させる。以下で本製造方法を段階的に説明する。
【0046】
まず、
図5のa)に示されたように、基板1の準備を行う。本実施例において、基板1は、2つの対応する主面、つまり、第1の主面1a及び第2の主面1bを有する。基板1が実施例1に記載の基板1であってもよい。便宜のために、本実施例は、基板1が半導体プロセスにおいて一般的に使用されるSi基板であるを例として説明する。
【0047】
そして、
図5のb)に示されたように、基板1の一方の主面1aに第1の絶縁薄膜2が形成される。第1の絶縁薄膜2が実施例1に記載の第1の絶縁薄膜2である。例えば、第1の絶縁薄膜2が酸化ケイ素薄膜であり、厚さが0.3μmであり、一般的なTEOS CVD(TEOS:Tetraethylorthosilicate。CVD:Chemical Vapor Deposition)及び該当プロセスで形成される。
【0048】
そして、
図5のc)に示されたように、第1の絶縁薄膜2の上方に導電性薄膜抵抗3が形成される。導電性薄膜抵抗3が実施例1に記載の導電性薄膜抵抗3である。例えば、導電性薄膜抵抗3が金属Wであり、厚さが0.2μmであり、一般的なマグネトロンスパッタリング及び該当プロセスで形成される。
【0049】
そして、
図5のd)に示されたように、導電性薄膜抵抗3が加工されて、
図1cに示されたように折れ線状導電性薄膜抵抗3、及び両端の電極3a、3bが形成される。導電性薄膜抵抗3についての加工は、一般的なフォトリソグラフィー、金属エッチング及び該当プロセスで行われてもよい。例えば、金属エッチングプロセスは、イオンビームエッチング(IBE:Ion Beam Etching)法を用いることができる。
【0050】
そして、
図5のe)に示されたように、薄膜抵抗3の上方に第2の絶縁薄膜4が形成される。第2の絶縁薄膜4は、実施例1に記載の第2の絶縁薄膜4である。例えば、第2の絶縁薄膜4が窒化ケイ素薄膜であり、厚さが0.4μmであり、一般的なPECVD(PECVD: Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition)方式で長膜を行うものである。
【0051】
そして、
図5のf)及び
図1のa)に示されたように、第2の絶縁薄膜4が加工されて、分離溝4c及びウィンドウ4dが形成される。第2の絶縁薄膜4の加工は、一般的なフォトリソグラフィー、窒化ケイ素エッチング及び該当プロセスで行われてもよい。分離溝4cは、第2の絶縁薄膜4に形成されたトレンチであり、このトレンチは、第2の絶縁薄膜4の上表面、下表面を貫通して下方の第1の絶縁薄膜2の表面に達する。分離溝4cが薄膜抵抗3の周辺に形成されており、導電性薄膜抵抗3主な部分を覆う第2の絶縁薄膜4aが分離溝4cにより他の領域の第2の絶縁薄膜4bと分離させる。ウィンドウ4dが、第2の絶縁薄膜4に形成されたウィンドウであり、このウィンドウは、第2の絶縁薄膜4の上表面、下表面を貫通して下方の電極3a及び3bの表面に達する。
【0052】
図5のb)~
図5のf)に示されたような加工によって、第1の絶縁薄膜2と、第1の絶縁薄膜2の上方に形成された導電性薄膜抵抗3と、導電性薄膜抵抗3の主な部分を覆う第2の絶縁薄膜4aとからなるヒータ10が形成されている。
【0053】
そして、
図5のg)に示されたように、ヒータ10の上方にゲッタ薄膜5が形成される。ゲッタ薄膜5は実施例1に記載のゲッタ薄膜5である。ゲッタ薄膜5の面積が第2の絶縁薄膜4aの面積よりも小さい。例えば、ゲッタ薄膜5が、ZrVFeを含むZr基非蒸散型ゲッタ材料であり、厚さが2μmである。ゲッタ薄膜5が、マグネトロンスパッタリング法で第2の絶縁薄膜4aの上方に堆積されてもよい。ゲッタ薄膜5堆積工程において、
図5のf)に示されたように加工が完成した後の基板の表面には1つの金属マスクで覆ってもよい(図示せず)。この金属マスクの
図5のg)に示されたゲッタ薄膜5に対する部分にウィンドウが開口されることで、マグネトロンスパッタリング時にゲッタ薄膜5が当該ウィンドウを通過して第2の絶縁薄膜4aの上方に堆積されることができる。金属マスクを用いる利点としては、ゲッタ薄膜5に対してエッチング加工を行う必要がなく、エッチング加工中にゲッタ薄膜5に対して発生可能な汚染を回避することができる。金属マスクを用いる別の利点としては、ゲッタ薄膜5の形成プロセスが簡単であり、金属マスクが繰り返し使用されることができ、製造コストを低減した。
【0054】
図5によって説明されたゲッタ構造5の製造方法を用いると、実施例1に示された単一のユニットのゲッタ構造5を製造できるだけでなく、実施例3に示された複数ユニットのゲッタ構造5の製造にも適されるのは、自明である。
【0055】
前述したように、本実施例は、ゲッタ構造の製造方法を提供し、実施例1及び実施例3に示されたゲッタ構造の製造に適する。製造方法が簡単であり、製造コストが低い。1つの半導体基板において、複数のゲッタ構造を同時に製造することができ、量産性がある。
【0056】
〔実施例6〕
本発明の実施例6は、別のゲッタ構造の製造方法を提供する。
図6は、本実施例の断面図である。本実施例の製造方法を用いて、
図2に記載された実施例2及び
図4に記載された実施例4のゲッタ構造100を製造することができる。本実施例において、本発明の主な思想を強調するために、
図6の概略図が最も基本的な要素のみを含む。本実施例6に係る構造、材料等の、実施例2、4と同じの内容について、実施例2、4を参照することができ、ここで贅言されない。便宜のために、本実施例6は、実施例5と共通する内容があってもよく、ここで、詳しく説明されない。便宜のために、本実施例6は、実施例2のゲッタ構造100を例として製造方法を説明する。
【0057】
本実施例6に係るゲッタ構造100の製造方法は、基板1的一方の主面1aにヒータ10が形成されて、ヒータ10の上方にはゲッタ薄膜5が形成されることを含む。また、当該製造方法は、ヒータの表面にゲッタ薄膜5が形成される前に、ヒータ10をエッチングすることで、接続部と、ヒータのゲッタ薄膜5を担持するための部分パターンとが形成されて、基板1の主面1aを加工することで、ヒータ10のゲッタ薄膜5を担持する部分を吊り、例えば、ヒータ10及び基板1を加工して、ヒータ10の下方が空洞が形成され、片持梁7(7a、7b、7c、7dを含む)により基板1に接続されることをさらに含む。以下で本製造方法を段階的に説明する。
【0058】
まず、
図6のa)に示されたように、基板1の準備を行う。本実施例において、基板1は、2つの対応する主面、つまり、第1の主面1a及び第2の主面1bを有する。基板1が実施例2に記載の基板1である。便宜のために、本実施例は、基板1が半導体プロセスにおいて一般的に使用されるSi基板であることを例として説明する。
【0059】
そして、
図6のb)に示されたように、基板1の一方の主面1aに第1の絶縁薄膜2が形成される。第1の絶縁薄膜2が実施例2に記載の第1の絶縁薄膜2である。例えば、第1の絶縁薄膜2が酸化ケイ素薄膜であり、厚さが0.4μmであり、一般的なTEOS CVD及び配套的プロセスで形成される。
【0060】
そして、
図6のc)に示されたように、第1の絶縁薄膜2の上方に導電性薄膜抵抗3が形成される。導電性薄膜抵抗3が、実施例2に記載の導電性薄膜抵抗3である。例えば、導電性薄膜抵抗3が金属Ptであり、厚さが0.2μmであり、一般的なマグネトロンスパッタリングプロセスで形成される。
【0061】
そして、
図6のd)に示されたように、導電性薄膜抵抗3が加工されて、
図2のc)に示された折れ線状導電性薄膜抵抗3と、両端の電極3a、3bとが形成される。導電性薄膜抵抗3についての加工は、一般的なフォトリソグラフィー及びイオンビームエッチング法を採用する。
【0062】
そして、
図6のe)に示されたように、薄膜抵抗3の上方に第2の絶縁薄膜4が形成される。第2の絶縁薄膜4が、実施例2に記載の第2の絶縁薄膜4である。例えば、第2の絶縁薄膜4が窒化ケイ素薄膜であり、厚さが0.4μmであり、一般的なPECVD方式で長膜を行う。
【0063】
そして、
図6のf)及び
図2のa)に示されたように、第2の絶縁薄膜4及びその下部の第1の絶縁薄膜2が加工されて、トレンチ8及びウィンドウ4dが形成される。トレンチ8が深さ方向に第2の絶縁薄膜4及びその下部の第1の絶縁薄膜2を貫通して、底部が基板1の第1の主面1aから露出する。ウィンドウ4dが深さ方向に第2の絶縁薄膜4を貫通して、底部が電極3a、3bの表面から露出するように形成される。第2の絶縁薄膜4及びその下部の第1の絶縁薄膜2についての加工は個別に行われてもよく、連続に行われてもよい。個別に行われると、一般的なフォトリソグラフィー、窒化ケイ素エッチング及び該当プロセスで第2の絶縁薄膜4がエッチングされた後に、フォトリソグラフィーが再度実行され、酸化ケイ素エッチング及び該当プロセスで第1の絶縁薄膜2がエッチングされる。連続に行われると、一般的なフォトリソグラフィーが一回だけ実行されて、それから、ドライエッチング及び該当プロセスで第2の絶縁薄膜4及び第1の絶縁薄膜2が連続的にエッチングされる。
【0064】
そして、
図6のg)及び
図2のa)に示されたように、基板1が加工されて、ヒータ10の下方に空洞6が形成されるとともに、片持梁7(7a、7b、7c、7dを含む)が形成される。このように、ヒータ10が空中に浮遊させ、片持梁7だけで基板1に接続される。基板1についての加工は、一般的なシリコン加工プロセスで行われてもよい。例えば、シリコンに対してエッチング作用を有するガス又はプラズマを用いてシリコンをエッチングする。この時に、ガス又はプラズマがトレンチ8を通過して基板1の表面に達してエッチングを行う。ガスは、例えば、XeF2、又は、SF6等である。プラズマは、例えば、SF6等のプラズマである。さらに、例えば、シリコンに対してエッチング作用を有する液体を用いてシリコンをエッチングする。この時に、ガス等は、トレンチ8を通過して基板1の表面に達してエッチングを行うものである。液体は、例えば、KOH、TMAH等である。
【0065】
図6のb)~
図6のg)に示されたような加工により、第1の絶縁薄膜2と、第1の絶縁薄膜2の上方に形成された導電性薄膜抵抗3と、導電性薄膜抵抗3の主な部分を覆う第2の絶縁薄膜4aとからなるヒータ10が形成される。ヒータ10が空中に浮遊させ、片持梁7だけで基板1に接続される。
【0066】
そして、
図6のh)及び
図2のa)に示されたように、ヒータ10の上方にゲッタ薄膜5が形成される。ゲッタ薄膜5が、実施例2に記載のゲッタ薄膜5である。ゲッタ薄膜5の面積が第2の絶縁薄膜4aの面積よりも小さい。例えば、ゲッタ薄膜5がTi-Moを含むTi基非蒸散型ゲッタ材料であり、厚さが約2μmである。ゲッタ薄膜5は、実施例5に記載の金属マスクを用いたマグネトロンスパッタリング法で第2の絶縁薄膜4aの上方に堆積されもよい。
【0067】
図6によって説明されたゲッタ構造5の製造方法は、実施例2に示された単一のユニットのゲッタ構造5を製造できるだけでなく、実施例4に示された複数のユニットのゲッタ構造5を製造ことにも適する。
【0068】
前述したように、本実施例は、別のゲッタ構造の製造方法を提供し、実施例2及び実施例4に示されたゲッタ構造を製造することに適する。製造方法が簡単であり、製造コストが低い。1つの半導体基板において、複数のゲッタ構造を同時に製造することができ、量産性がある。
【0069】
〔実施例7〕
本発明の実施例7は、MEMSデバイスの真空パッケージ構造を提供する。
図7は本実施例の断面図である。本実施例において、本発明の主な思想を強調するために、
図7の概略図が最も基本的な要素のみを含む。
【0070】
図7に示されたように、本発明の実施例に係るMEMSデバイスの真空パッケージ構造200は、真空パッケージケース30(30a及び30b)と、真空パッケージケース30b内部と外部とを連通する導電端子32(32a、32bを含む)と、真空パッケージケース30内部にパッケージングされるMEMSデバイス20と、ゲッタ構造100とを含む。ゲッタ構造10の電極(図示せず)は、導線31bにより導電端子32bと電気的に接続されている。真空パッケージケース30の内部が真空チャンバ40に形成される。
【0071】
真空パッケージケース30がケース30a、ケース30bと、真空パッケージケース30bの内部と外部とを連通する導電端子32(32a、32bを含む)からなる。真空パッケージケース30は、半導体デバイス及びMEMSデバイスの真空パッケージにおいて採用した基準部材であり、パッケージングされた後に、内部が真空チャンバ40に形成される。真空チャンバ40の初期真空度が、MEMSデバイス20の正常な作動に必要な真空度を満たす。導電端子32aが複数の導電端子であり、MEMSデバイス20の各電極にそれぞれ連通する。導電端子32bが複数の導電端子であり、ゲッタ構造100の各電極にそれぞれ連通する。
【0072】
MEMSデバイス20は、一定の真空雰囲気で作動必要なMEMSデバイスである。例えば、MEMSデバイス20が、MMEMS発振器、MEMS圧力センサ、MEMS共振式フィルタ、MEMS慣性センサ(MEMSジャイロスコープ和MEMS加速度計等)、MEMS赤外線撮像デバイス等というEMSデバイスの一種又は多種であってもよい。MEMSデバイス20の各電極が異なる導線31aを介して異なる導電端子32aに電気的に接続されている。
【0073】
ゲッタ構造100は、実施例1~4に記載のゲッタ構造100の1つである。ゲッタ構造100が1つであってもよく、複数であってもよい。各ゲッタ構造100が実施例1及び3に示された単一のゲッタ構造ユニットを含んでもよく、実施例2及び4に示された複数のゲッタ構造ユニットを含んでもよい。ゲッタ構造100の各電極が異なる導線31bを介して異なる導電端子32bに電気的に接続されている。
【0074】
ゲッタ構造100の少なくとも1つのゲッタ構造ユニットは、真空パッケージ構造200のパッケージングが完成した後に直ちに活性化されて、真空チャンバ40に残存しているガスを吸収し、真空チャンバ40の真空度がMEMSデバイス20の作動需要を満たすことができる。ゲッタ構造100の少なくとも1つゲッタ構造ユニットは、真空パッケージ構造200のパッケージング完成後の一定時間の後に活性化されて、真空チャンバ40に発生し、または、真空チャンバ40内に進入したガスを吸收し、劣化した真空チャンバ40の真空度がMEMSデバイス20の作動需要を再度満たす。ゲッタ薄膜5の活性化は、導電端子32bを介してヒータ10へ電気エネルギーを輸送して、ゲッタ薄膜5の温度をその活性化温度に上昇させることにより、実現される。少なくとも1つゲッタ構造ユニットは、複数のゲッタ構造ユニットをMEMSデバイス20とともに真空パッケージングするだけで、必要であれば、ゲッタ薄膜5をタイムリーに活性化することができる。このように、ゲッタを一回しか活性化しない状況と比べて、本実施例は、MEMSデバイス20をより長い時間で理想的な真空環境に位置させることができる。これはMEMSデバイスの性能安定性及び信頼性を向上させることができるだけでなく、MEMSデバイス及びMEMSデバイスを含む真空パッケージ構造の部品全体の耐用年数を数倍延長することができ、それにより、使用コストを低減することを意味している。また、各ゲッタ構造ユニットは自体にヒータ10を付けるため、そのゲッタ薄膜5はさらに数回活性化されることができる。二回目以降の活性化後に、ゲッタ薄膜5のゲッター効果は初回活性化された後よりも低下するが、真空チャンバ40内部の真空度を向上させる作用を果たすことができる。
【0075】
前述したように、本実施例に係るMEMSデバイスのパッケージ構造は、微小なヒータを含むため、必要であれば、ゲッタ構造を随時に活性化することができ、それにより、MEMSデバイスの性能安定性及び信頼性を向上させ、MEMSデバイスの耐用年数を延長し、その使用コストを低減することもできる。ヒータとゲッタ薄膜とが一体化され、体積が微小であるため、MEMSデバイスのパッケージ構造の空間を節約することができる。
【0076】
以上、具体的な実施の形態を組み合わせて本発明を説明した。ただし、当業者が理解すべきことは、それらの記載はいずれも例示するものに過ぎず、本発明の保護範囲に対する限定ではない。当業者は本発明の思想及び原理に基づいて、本発明に対して種々変形や修正を行うことができるが、それらの変形と修正も本発明の範囲内にある。