IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ フェルゾマート・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンデイトゲゼルシャフトの特許一覧

<>
  • 特許-自動及び手動装入可能な自動化セル 図1
  • 特許-自動及び手動装入可能な自動化セル 図2a
  • 特許-自動及び手動装入可能な自動化セル 図2b
  • 特許-自動及び手動装入可能な自動化セル 図3
  • 特許-自動及び手動装入可能な自動化セル 図4a
  • 特許-自動及び手動装入可能な自動化セル 図4b
  • 特許-自動及び手動装入可能な自動化セル 図5
  • 特許-自動及び手動装入可能な自動化セル 図6
  • 特許-自動及び手動装入可能な自動化セル 図7
  • 特許-自動及び手動装入可能な自動化セル 図8
  • 特許-自動及び手動装入可能な自動化セル 図9
  • 特許-自動及び手動装入可能な自動化セル 図10
  • 特許-自動及び手動装入可能な自動化セル 図11
  • 特許-自動及び手動装入可能な自動化セル 図12
  • 特許-自動及び手動装入可能な自動化セル 図13
  • 特許-自動及び手動装入可能な自動化セル 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-08
(45)【発行日】2023-05-16
(54)【発明の名称】自動及び手動装入可能な自動化セル
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/00 20060101AFI20230509BHJP
【FI】
B65G1/00 511B
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2022515661
(86)(22)【出願日】2020-07-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-10
(86)【国際出願番号】 EP2020070835
(87)【国際公開番号】W WO2021047810
(87)【国際公開日】2021-03-18
【審査請求日】2022-03-09
(31)【優先権主張番号】102019214007.6
(32)【優先日】2019-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】507195508
【氏名又は名称】フェルゾマート・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンデイトゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】キルシュ・ローガー
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2001/0022932(US,A1)
【文献】特開2004-353847(JP,A)
【文献】特開平03-287331(JP,A)
【文献】特開平02-152730(JP,A)
【文献】特開2017-001832(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00-1/20;
57/00-57/32;
60/00-61/10
B25J 1/00-21/02
B23P 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パーツキャリア(18)を取り扱う自動化セル(12,70,84)であって、
パーツキャリア(18)のための第一のスタック場所(34)、第二のスタック場所(36)及び第三のスタック場所(38)が内部に配置された筐体(22)であって、第一のスタック場所(34)のための装入開口部(26)を有する筐体(22)と、
スタック場所(34,36,38)の間でパーツキャリア(18)を入れ換える入換機器(40)と、
内側に対する第一のスタック場所(34)の仕切りと解放を選択的に実行する仕切り機器(42)と、
を備えた自動化セルにおいて、
この自動化セル(12,70,84)が、装入開口部(26)のアクセス領域(28)のための安全システム(30)を有し、この安全システムが、
全体監視動作において、アクセス領域(28)全体を監視し、
部分監視動作において、アクセス領域(28)の部分領域(58)、特に、外側の部分領域だけを監視し、
安全システム(30)がアクセスを検知した場合に、自動化セル(12,70,84)の動作を中断する、ように設計されていることと、
この自動化セル(12,70,84)が、
自動装入モードにおいて、事前に自動装入プロセスが通知された場合に、安全システム(30)を部分監視動作に切り換えて、自動装入プロセスの終了後に、安全システム(30)を全体監視動作に切り換え、
手動装入モードにおいて、仕切り機器(42)が第一のスタック場所(34)を仕切った場合に、安全システム(30)を非稼働状態にして、仕切り機器(42)が第一のスタック場所(34)を解放する前に、安全システム(30)を全体監視動作に切り換える、
ように設計されていることと、を特徴とする自動化セル。
【請求項2】
請求項1に記載の自動化セル(12,70,84)において、
この自動化セル(12,70,84)は、パーツキャリア(18)のスタック(16)が装入開口部(26)の直ぐ前に在る場合にのみ、安全システム(30)を部分監視動作に切り換えるように設計されていることを特徴とする自動化セル。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の自動化セル(12)において、
前記の安全システム(30)が、非接触式、特に、光学式に監視するように構成されていることを特徴とする自動化セル。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の自動化セル(70,84)において、
前記の安全システム(30)が、接触を検知するように構成され、特に、この安全システム(30)が、少なくとも一つの接触保護バー(78)を有することを特徴とする自動化セル。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の自動化セル(70,84)において、
前記の安全システム(30)が、装入開口部(26)のための閉鎖機器(72)を有することを特徴とする自動化セル。
【請求項6】
請求項5に記載の自動化セル(84)において、
前記の閉鎖機器(72)と仕切り機器(42)が、装入開口部(26)の閉鎖と第一のスタック場所(34)の仕切りを選択的に実行するように配置可能な共通の隔離部材(86)を有することを特徴とする自動化セル。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の自動化セル(12)において、
前記の装入開口部(26)が、筐体(22)の前方構造(24)に形成されていることを特徴とする自動化セル。
【請求項8】
請求項7に記載の自動化セル(12)において、
前記の前方構造(24)が、閉塞位置と開放位置に移行可能な屋根区画(54)を有することを特徴とする自動化セル。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の自動化セル(12,70,84)において、
前記の第一のスタック場所(34)に、パーツキャリア(18)のスタック(16)の向きを調整する方向調整機器(82)が配備されていることを特徴とする自動化セル。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の自動化セル(12,70,84)において、
前記のスタック場所(34,36,38)が、長手方向(68)に順番に配置されていることと、
前記の装入開口部(26)の向きが、長手方向(68)に装入するように設定されていることと、
を特徴とする自動化セル。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載の自動化セル(12,70,84)と、パーツキャリア(18)のスタック(16)を運搬する運転者の居ない運搬システム(14)とを備えた自動化システム(10)。
【請求項12】
請求項11に記載の自動化システム(10)において、
前記の安全システム(30)は、この安全システム(30)が装入開口部(26)へのアクセスを検知した場合に、運転者の居ない運搬システム(14)を停止するように設計されていることを特徴とする自動化システム。
【請求項13】
請求項11又は12に記載の自動化システム(10)において、
前記の運転者の居ない運搬システム(14)が、装入プロセスを自動化セル(12,70,84)に通知するように設計されていることを特徴とする自動化システム。
【請求項14】
請求項13に記載の自動化システム(10)において、
前記の運転者の居ない運搬システム(14)が、装入開口部(26)を介して搬入すべきパーツキャリア(18)のスタック(16)の大きさを自動化セル(12,70,84)に通知するように設計されていることと、
前記の安全システム(30)が、部分監視動作において監視されるアクセス領域(28)の部分領域(58)の大きさを通知されて来たパーツキャリア(18)のスタック(16)の大きさに適合させるように設計されていることと、を特徴とする自動化システム。
【請求項15】
請求項11~14のいずれか1項に記載の自動化システム(10)において、
前記の自動化システム(10)が、自動化セル(12,70,84)と運転者の居ない運搬システム(14)の間で安全に通信するように設計されていることを特徴とする自動化システム。
【請求項16】
請求項1~10のいずれか1項に記載の自動化セル(12,70,84)の手動装入方法(100)であって、
a)第一のスタック場所(34)を内側に対して仕切る工程(104)と、
b)安全システム(30)を非稼働状態にする工程(106)と、
c)装入開口部(26)を介してパーツキャリア(18)のスタック(16)を搬入及び/又は搬出する工程(108)と、
d)安全システム(30)を稼働状態にする工程と、
e)第一のスタック場所(34)を解放する工程(112)と、を有する方法。
【請求項17】
請求項11~15のいずれか1項に記載の自動化システム(10)の自動化セル(12,70,84)の自動装入方法(200)であって、
A)装入開口部(26)のアクセス領域(28)全体を監視する工程(204)と、
B)自動装入プロセスを自動化セル(12,70,84)に通知する工程と、
C)アクセス領域(28)の部分領域(58)、特に、外側の部分領域を監視する工程(208)と、
D)運転者の居ない運搬システム(14)を用いて、装入開口部(26)を介してパーツキャリア(18)のスタック(16)を搬入及び/又は搬出する工程(210)と、
E)アクセス領域(28)全体を監視する工程(212)と、を有する方法。
【請求項18】
請求項11~15のいずれか1項に記載の自動化システム(10)の動作方法(300)において、
請求項16に記載の方法(100)が少なくとも一回実行され、請求項17に記載の方法(200)が少なくとも一回の実行されることを特徴とする動作方法。
【請求項19】
請求項12に記載の自動化システム(10)の動作方法(400)であって、
K)自動化セル(12,70,84)を動作させる工程(402)及び運転者の居ない運搬システム(14)を自動化セル(12,70,84)の周囲に自律的に動かす、特に、運転者の居ない運搬システム(14)を用いて、装入開口部(26)を介してパーツキャリア(18)のスタック(16)を搬入及び/又は搬出する工程(404)と、
L)安全システム(30)を作動させる工程(406)と、
M)安全システム(30)によって、自動化セル(12,70,84)の動作を中断する工程(406)及び運転者の居ない運搬システム(14)を停止させる工程(410)と、を有する動作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、
パーツキャリアのための第一のスタック場所、第二のスタック場所及び第三のスタック場所が内部に配置された筐体であって、第一のスタック場所のための装入開口部を有する筐体と、
これらのスタック場所の間でパーツキャリアを入れ換えるための入換機器と、
内側に対する第一のスタック場所の仕切りと解放を選択的に実行する仕切り機器と、
を備えた、パーツキャリアを取り扱う自動化セルに関する。
【背景技術】
【0002】
そのような自動化セルは、特許文献1により周知である。
【0003】
自動化セルは、製造設備にパーツを送り込んで、取り出すために用いられる。パーツは、パーツキャリア上に準備される。パーツキャリアは、スタックの形で自動化セルに供給されて、自動化セルから搬出される。それは、「装入」と呼ばれる。自動化セルの内部で、パーツがパーツキャリアから取り出されて、処理後にパーツキャリアに戻される。その場合、パーツキャリアの各々にアクセスできるように、パーツキャリアは入換機器を用いて入れ換えられる。
【0004】
特許文献1により周知の自動化セルは、専ら手動装入のために設計されている。その自動化セルは、操作扉を有し、その扉を介して、装入開口部の閉鎖と解放を選択的に実行することができる。第一のスタック場所を仕切るために、第一のスタック場所の上方に移動可能なフードが配備されている。そのフードと操作扉の所のロック部材によって、フードが第一のスタック場所の上方に在る場合にのみ、操作扉を開放できることが保証されている。それによって、操作員が第一のスタック場所の上方から自動化セルの内部空間にアクセスできることが機械的な手法で防止されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】欧州特許登録第1125678号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、自動でも、手動でも装入できる、安全に操作可能な自動化セルを提示することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、本発明に基づき、自動化セルが、装入開口部のアクセス領域のための安全システムを有し、この安全システムが、
全体監視動作において、アクセス領域全体を監視し、
部分監視動作において、アクセス領域の部分領域、特に、外側の部分領域だけを監視し、
安全システムがアクセスを検知した場合に、自動化セルの動作を中断する、
ように設計されていることと、
この自動化セルが、
自動装入モードにおいて、事前に自動装入プロセスが通知された場合に、安全システムを部分監視動作に切り換えて、自動装入プロセスの終了後に、安全システムを全体監視動作に切り換え、
手動装入モードにおいて、仕切り機器が第一のスタック場所を仕切った場合に、安全システムを停止して、仕切り機器が第一のスタック場所を解放する前に、安全システムを全体監視動作に切り換える、
ように設計されていることと、
を特徴とする冒頭で述べた形式の自動化セルによって解決される。
【0008】
本発明による自動化セルは、パーツキャリアを取り扱う役割を果たす。この自動化セルには、動作時にパーツキャリアのスタックが装入される。ここでは、「装入」とは、装入開口部を介して、パーツキャリアのスタックを搬入することと搬出することの両方であると理解する。このスタックは、少なくとも一つのパーツキャリア、大抵は複数のパーツキャリアから成る。このスタックは、典型的には、スタックの運搬車上に配置される。特殊な場合、スタックは、(パーツキャリアの無い)運搬車だけから構成することもできる。パーツキャリアの各々は、典型的には、少なくとも一つのパーツを運ぶ。特殊な場合、空のパーツキャリアをセルに運び込んで、自動化セルから運び出すこともできる。
【0009】
この自動化セルは、パーツキャリアのための少なくとも三つのスタック場所、即ち、第一、第二及び第三のスタック場所を有する。典型的には、この自動化セルは、3を上回る数のスタック場所、特に、11個までのスタック場所を有する。スタック場所の各々には、それぞれパーツキャリアの一つのスタックが配置又は設置可能である。
【0010】
スタック場所は、自動化セルの筐体内に、即ち、自動化セルの内部空間内に配置されている。この筐体は、自動化セルの周囲から内部空間を隔離する作用を有する。それによって、特に、人が内部空間にアクセスできるか、或いは内部空間内に到達できることが防止される。
【0011】
この入換機器は、スタック場所の間でそれぞれ一つ又は複数のパーツキャリアを入れ換える役割を果たす。このことは、パーツキャリアの各々にアクセスできることを許容する。この入換機器は、パレット入換器から構成することができる。この入換機器は、自動化セルのフレーム又は筐体に移動可能な形で取り付けることができる。この入換機器は、自動化システム、例えば、ポータルとして、或いはアクセスユニットを備えたロボットとして実現することができる。
【0012】
この自動化セルは、特に、パーツをパーツキャリアの中の一つから取り出して、パーツキャリアの中の一つに戻すように、パーツを取り扱う取扱機器を備えることができる。この取扱機器を用いて、特に、自動化セルに繋がった製造機器にパーツを供給して、処理を行った後、製造機器からパーツキャリアの中の一つにパーツを戻すことができる。
【0013】
第一のスタック場所は、パーツキャリアのスタックを自動化セルに装入するための役割を果たす。従って、第一のスタック場所は、ロード場所とも呼ぶことができる。装入開口部を介して、外部から第一のスタック場所にアクセスできる。装入プロセス以外では、第一のスタック場所の所のパーツキャリアからパーツを取り出して、第一のスタック場所の所のパーツキャリアにパーツを戻すこともできる。
【0014】
この仕切り機器を用いて、第一のスタック場所を内側に対して仕切るか、或いは解放することができる。言い換えると、この仕切り機器は、第一のスタック場所を筐体のそれ以外の内部空間から、特に、第二及び第三のスタック場所と、場合によっては、別のスタック場所とから仕切る役割を果たす。それ故、第一のスタック場所が仕切られた状態では、装入開口部を介して、第一のスタック場所の上方から自動化セルの内部空間にアクセス又は到達することができない。更に、仕切られた状態では、入換機器が、第一のスタック場所にアクセスすることができない。それによって、人が危険に晒されることを防止できる。第一のスタック場所が解放された状態では、入換機器を用いて、第一のスタック場所と別のスタック場所の中の一つの間でパーツキャリアを入れ換えることができる。この仕切り機器は、スタック場所の上方、特に、第一と第二のスタック場所の上方をスライド可能なフードを備えることができる。
【0015】
本発明では、自動化セルが、装入開口部のアクセス領域のための安全システムを有すると規定される。この安全システムは、アクセス領域を監視して、アクセス領域へのアクセスが有った場合に、自動化セルの動作を中断する役割を果たす。言い換えると、この安全システムは、アクセス領域へのアクセスを検知した場合に、自動化セルを停止するか、或いは自動化セルをスイッチオフする。このアクセス領域は、少なくとも装入開口部を包含し、有利には、特に、筐体の装入開口部を取り囲む周辺領域を包含する。
【0016】
アクセス領域を監視するために、安全システムは、全体監視動作と部分監視動作に切り換えることができる。全体監視動作において、安全システムは、アクセス領域全体を監視する。安全システムは、通常全体監視動作に在る。
【0017】
部分監視動作において、安全システムは、アクセス領域の部分領域だけを監視する。部分監視動作において監視される部分領域は、有利には、外側の部分領域、言い換えると、アクセス領域の周縁領域である。アクセス領域のそれ以外の残る領域は、部分監視動作において監視されない。言い換えると、部分監視動作において、パーツスタックのための搬入領域(監視されていない残る領域)は、安全システムによる監視から除外される。この搬入領域は、典型的には、パーツキャリアのスタック及び/又はスタックを運搬する運転者の居ない運搬システムよりも僅かに大きい。この安全システムは、有利には、部分監視動作において監視される部分領域の大きさを搬入すべき、或いは搬出すべきパーツキャリアのスタック及び/又は運転者の居ない運搬システムの大きさに適合させるように、特に、装入プロセス中に変更するように構成されている。
【0018】
本発明では、更に、自動化セルが、自動装入モードにおいて、事前に自動装入プロセスが通知された場合に、安全システムを部分監視動作に切り換えるように設計されていると規定される。安全システムの部分監視動作において、自動的に、例えば、運転者の居ない運搬システムを用いて、パーツキャリアのスタックを装入開口部の(監視されていない)搬入領域を介して第一のスタック場所に運び込んで、第一のスタック場所から運び出すことができる。搬入領域以外、即ち、監視されている部分領域では、安全システムは、部分監視動作においても、アクセスを検知する。従って、自動装入プロセス中に誰かが誤って、或いは故意にパーツキャリアのスタックの傍のアクセス領域にアクセスした場合、安全システムは、負傷するのを防止するために、自動化セルの動作を中断する。
【0019】
装入プロセスの終了後に、自動化セルは、安全システムを再び全体監視動作に切り換える。それによって、通知された装入プロセス以外では、装入開口部のアクセス領域への如何なるアクセスも安全システムによって検知されて、場合によっては、生じたアクセスが、自動化セルの動作を中断することを実現できる。
【0020】
更に、本発明では、自動化セルは、手動装入モードにおいて、仕切り機器が第一のスタック場所を仕切った場合に、安全システムを非稼働状態にするように設計されていると規定される。それ故、この安全システムを非稼働状態にすることは、第一のスタック場所が仕切り機器によって自動化セルのそれ以外の内部空間から隔離された場合にのみ可能である。安全システムが非稼働状態に(スイッチオフ)された場合に、即ち、装入開口部が監視されない場合に、手動装入プロセスを実行することができる。安全システムが自動化セルの動作を中断すること無く、操作員によって、装入開口部を介して、パーツキャリアのスタックを第一のスタック場所に運び込んで、第一のスタック場所から運び出すことができる。この場合、仕切り機器によって、操作員が第一のスタック場所の上方から自動化セルの内部空間にアクセスできない、或いは進入できないことが保証される。このことは、操作員が負傷する虞を最小化して、自動化セルの誤操作と損傷を防止することに資する。
【0021】
仕切り機器が第一のスタック場所を解放する前に、安全システムが、再び全体監視動作に切り換えられる。言い換えると、自動化セルは、安全システムが全体監視動作に在る場合にのみ第一のスタック場所を解放するように設計されている。それによって、手動装入モードにおいて、第一のスタック場所が解放された場合、装入開口部のアクセス領域への如何なるアクセスも安全システムにより検知されて、自動化セルを停止させることを実現できる。それによって、操作員が負傷する虞が更に最小化される。
【0022】
仕切り機器と協力した安全システムの異なる監視モードによって、本発明による自動化セルに自動でも、手動でも装入することができる。この場合、自動化セルの装備の変更は不要である。第一のスタック場所が解放された場合に、安全システムがアクセス領域の少なくとも一つの部分領域を監視するので、負傷する虞が効果的に最小化される。
【0023】
この自動化セルは、安全システム、入換機器、仕切り機器、場合によっては、取扱機器を制御する電子制御部を備えることができる。この共通の制御部は、内部の通信を容易にする。この電子制御部は、自動装入モード及び手動装入モードと全体監視動作及び部分監視動作を実行するようにプログラミングすることができる。それに代わって、安全システムが、全体監視動作と部分監視動作を実行するようにプログラミングされた独自の電子制御機器を備えると規定することができる。この場合、自動化セルは、それ以外の点で自動化セルの動作を実行するようにプログラミングされた上位の電子制御システムを備えることができる。
【0024】
この自動化セルは、有利には、以下で述べる本発明による方法により手動で装入することができる。自動装入のために、自動化セルは、有利には、以下で述べる本発明による自動化システムに拡張して、以下で述べる本発明による方法により自動的に装入することができる。
【0025】
[有利な実施構成]
特に有利な実施構成では、自動化セルは、パーツキャリアのスタックが装入開口部の直ぐ前に在る場合にのみ、安全システムを部分監視動作に切り換えるように設計されていると規定される。それによって、パーツキャリアのスタックが監視されていない搬入領域にアクセスできないことを実現できる。パーツキャリアのスタックは、特に、装入開口部からのスタックの間隔が高々10センチメートル、有利には、高々5センチメートル、全く特に有利には、高々2センチメートルである場合に、装入開口部の直ぐ前に在るものとする。
【0026】
別の特に有利な実施構成は、安全システムが非接触式に、特に、光学式に監視するように構成されていることを特徴とする。非接触式に動作する安全システムでは、部分監視動作で監視すべき部分領域を柔軟に定義することができる。特に、自動装入プロセス毎に、監視すべき部分領域の大きさを、それ故、監視されない搬入領域の大きさを装入すると通知されたパーツキャリアのスタックの大きさに適合させることができる。それによって、監視されていない搬入領域への安全システムに気付かれない手動によるアクセスがパーツキャリアのスタックの傍で実行される可能性を効果的に防止できる。安全システムは、一つの、有利には、二つのレーザースキャナを備えることができる。安全システムは、ライトグリッドにより構成することができる。安全システムは、光学式監視に代わって、或いはそれに加えて、特に、超音波を用いて、音響式に監視するように構成することができる。
【0027】
非接触式監視に代わって、或いはそれに加えて、安全システムが接触を検知するように構成されていると規定することができ、その際、特に、安全システムが、少なくとも一つの接触保護バーを備えている。接触の検知によって、特に、指、手又は腕を挟み込む虞を更に低減することができる。この接触保護バーは、特に、予め定義された最小接触力を上回る接触時に、自動化セルの動作を中断する信号を発出するように構成される。この接触保護バーは、装入開口部の周縁に配置することができる。それに代わって、この接触保護バーは、装入開口部の前に、例えば、筐体から突き出た(飛び出た)側枠に配置することができる。この側枠には、パーツキャリアのスタックを装入開口部の方に案内するためのガイド部材を接触保護バーと装入開口部の間に配置することができる。
【0028】
有利な実施構成は、安全システムが、装入開口部のための閉鎖機器を備えることを特徴とする。安全システムの全体監視動作では、この閉鎖機器が、装入開口部を閉じる。閉じられた状態では、閉鎖機器は、装入開口部へのアクセスを防止する。安全システムは、全体監視動作中に閉鎖機器を開こうとする試みが有った場合に、自動化セルの動作を中断する信号を発出するように構成されている。部分監視動作では、装入開口部は、閉鎖機器によって、完全又は部分的に解放可能であるようにすることができる。安全システムの非稼働状態では、閉鎖機器は、装入開口部を完全に解放することができる。この閉鎖機器は、手動で、或いはモーターにより開放可能であるようにすることができる。この閉鎖機器は、回転扉又はシャッター式扉により構成することができる。
【0029】
この実施構成の有利な改善構成では、閉鎖機器と仕切り機器が、装入開口部の閉鎖と第一のスタック場所の仕切りを選択的に実行するように配置可能な共通の隔離部材を備えていると規定される。それによって、この隔離部材が装入開口部を閉じるか、或いは第一のスタック場所を内側に対して仕切ることを実現できる。それ故、装入開口部が開いている時に、第一のスタック場所の上方から自動化セルの内部空間、特に、第二又は第三のスタック場所、或いは入換機器の動作領域へのアクセスが不可能であることが機械的な手法により保証される。同時に、装入開口部が隔離部材を用いて閉じられている時に、隔離部材が、自動化セルの内部空間から離れており、その結果、入換機器の動きとスタック場所の間での、特に、第一のスタック場所からの、或いは第一のスタック場所へのパーツキャリアの入れ換えが妨害されなくなる。この隔離部材は、有利には、シャッター式扉の一部である。
【0030】
自動化セルの特に有利な実施構成は、装入開口部が筐体の前方構造に構成されていることを特徴とする。この前方構造は、第一のスタック場所からの装入開口部の間隔を生み出す。それにより、装入開口部への許可されていないアクセス時に、自動化セルの動作を中断するための多くの時間が残される。それにより、装入開口部を介して許可無く侵入する物体、特に、手又は速く動く対象物が第一のスタック場所に到達する前に、自動化セル、特に、入換機器を停止することを実現できる。それによって、自動化セルが負傷させる可能性及び/又は損傷する可能性が効果的に防止される。この前方構造は、典型的には、第一のスタック場所と境界を接する、特に、筐体の垂直の壁から突き出ている。言い換えると、この前方構造は、筐体に対して外側に飛び出している。この前方構造は、典型的には、側方に対して、有利には、上方に対しても装入開口部を取り囲む。
【0031】
この実施構成の全く特に有利な改善構成では、この前方構造が、閉塞位置と開放位置に移動可能な屋根区画を有すると規定される。自動装入モードでの第一のスタック場所の自動装入では、この屋根区画は閉塞位置に在る。この閉塞位置では、屋根区画は、第一のスタック場所への許可されていない侵入に対する保護に寄与する。手動装入モードでの第一のスタック場所への手動装入では、この屋根区画は、典型的には、開放位置に移行される。このことは、開かれた屋根区画が第一のスタック場所の傍への操作員の接近を可能にするので、自動化セルの手動装入を容易にする。仕切り機器が第一のスタック場所を内側に対して仕切った場合にのみ、この屋根区画が開放位置に移行可能であると規定することができる。この屋根区画は、閉塞位置と開放位置の間を旋回可能及び/又はスライド可能であるとすることができる。
【0032】
この自動化セルの有利な実施構成は、パーツキャリアのスタックの向きを調整する方向調整機器が第一のスタック場所に配備されていることを特徴とする。この方向調整機器を用いて、特に、入換機器を用いた、更なる処理のために好適な位置にパーツキャリアのスタックを据えることができる。この方向調整機器は、有利には、三つの並進自由度の全てと三つの回転自由度の全てに関して、パーツキャリアのスタックの向きを調整することができる。この方向調整機器は、スタックの運搬車によって間接的にパーツキャリアの向きを調整するように構成することができる。その際、運搬車が、方向調整機器のためのインタフェースを形成し、その結果、特に、異なる高さを有する可能性が有る異なる形式のパーツキャリアに対して方向調整機器を適合させる必要が無くなる。
【0033】
この自動化セルの特に有利な実施構成では、スタック場所が、長手方向に対して順番に配置されていることと、装入開口部の向きが長手方向に装入するために設定されていることとが規定される。そのような自動化セルは、特に、省スペース形態で製造設備に統合することができる。特に、長手方向に行われる装入によって、パーツキャリアのスタックを自動化セルに持ち込むか、或いは自動化セルから運び出すために、僅かな面積しか必要でなくなる。言い換えると、この実施構成では、スタック場所が直線上に順番に置かれる。装入開口部を介したパーツキャリアのスタックの通過は、この直線に沿って行われる。それを容易にするために、装入開口部は、典型的には、長手方向に対して直角に延びる。言い換えると、装入開口部により定義される平面は、有利には、長手方向に対して直角に延びる。
【0034】
[本発明による自動化システム]
本発明の範囲内には、上述した本発明による自動化セルと、パーツキャリアのスタックを運搬する運転者の居ない運搬システムとを有する自動化システムも存在する。自動装入モードでは、運転者の居ない運搬システムを用いて、特に効率的に自動化セルに装入することができる。この運転者の居ない運搬システム(所謂、自動的に案内される車両、略してAGV)は、有利には、パーツキャリアのスタックのための運搬車を降下させるとともに、持ち上げるように構成されている。この運転者の居ない運搬システムは、そのために昇降機器を備えることができる。
【0035】
この自動化システムは、有利には、以下で述べる本発明による方法により自動的に装入することができる。更に、この自動化システムは、以下で述べる本発明による手動装入と自動装入に関する動作方法を有利に実施することを可能にする。
【0036】
この自動化システムの特に有利な実施構成は、安全システムが装入開口部へのアクセスを検知した場合に、安全システムが運転者の居ない運搬システムを停止させるように設計されていることを特徴とする。それによって、人が自動化セルと運転者の居ない運搬システム又は運転者の居ない運搬システム上のパーツキャリアのスタックの間に挟み込まれることを防止できる。特に、安全システムが部分監視動作に在る自動装入プロセス中においても、監視されている部分領域へのアクセスが行われた場合に、運転者の居ない運搬システムが直ちに停止される。以下で述べる本発明による安全システムの発動に関する動作方法の範囲内において、この実施構成を安全に動作させることができる。
【0037】
有利な実施構成では、運転者の居ない運搬システムが、自動化セルに装入プロセスを通知するように設計されていると規定される。このことは、運転者の居ない運搬システムと自動化セルの間の通信を容易にする。この通知は、特に、運転者の居ない運搬システムが自動化セルの直ぐ前に、特に、装入開口部の直ぐ前に在る場合に行うことができる。それによって、簡単かつ効率的な手法で、装入プロセスが目前に迫った時まで安全システムの全体監視動作が設定されることを実現できる。この運転者の居ない運搬システムは、特に、運転者の居ない運搬システム又は運搬されているパーツキャリアのスタックと自動化セル又は装入開口部の間の間隔が高々10センチメートル、有利には、高々5センチメートル、全く特に有利には、高々2センチメートルである場合に、自動化セル又は装入開口部の直ぐ前に在るものとする。
【0038】
この実施構成の特に有利な実施構成は、運転者の居ない運搬システムが、装入開口部を介して搬入されるパーツキャリアのスタックの大きさを自動化セルに通知するように設計されていることと、安全システムが、部分監視動作時に監視されているアクセス領域の部分領域の大きさをパーツキャリアのスタックの通知されて来た大きさに適合させるように設計されていることとを特徴とする。言い換えると、この安全システムは、部分監視動作時に監視されていない搬入領域の大きさを搬入すべきスタックの大きさに適合させるように設計されている。それによって、小さいスタック、即ち、少ないパーツキャリア又は一つの運搬車だけから成るスタックを搬入する場合にも、体の一部、或いは人又は対象物全体が、安全システムにより気付かれずに装入開口部を介して侵入できないことを実現できる。そのために、運転者の居ない運搬システムの通常の偏差を考慮して、スタックが監視されていない搬入領域を通過するように、監視される部分領域の大きさを搬入すべきスタックの大きさに適合させることができる。スタックの外側輪郭に対する監視されている部分領域の境界の間隔は僅かである、特に、その間隔は高々10センチメートル、有利には、高々5センチメートル、特に有利には、高々2センチメートルである。
【0039】
有利には、この自動化システムは、自動化セルと運転者の居ない運搬システムの間で安全に通信するように設計されている。それによって、安全性の制限に繋がる可能性のある通信妨害を防止することができる。この安全な通信の安全レベルは、有利には、少なくともDIN EN ISO13849-1に基づく性能レベルC、カテゴリー3、特に有利には、性能レベルD、カテゴリー4に相当する。冗長的に動作する通信機器を自動化セルと運転者の居ない運搬システムに配備することができる。
【0040】
[本発明による手動装入方法]
本発明の範囲内には、更に、
a)第一のスタック場所を内側に対して仕切る工程と、
b)安全システムを非稼働状態にする工程と、
c)装入開口部を介してパーツキャリアのスタックを搬入及び/又は搬出する工程と、
d)安全システムを稼働状態にする工程と、
e)第一のスタック場所を解放する工程と、
を有する、上述した本発明による自動化セルの手動装入方法が存在する。
【0041】
この方法は、自動化セルの安全な手動装入を許容する。そのために、安全システムが、先ずは非稼働状態にされ、その後、第一のスタック場所が仕切られ、同じく、第一のスタック場所が、先ずは再び開放され、その後、安全システムが再び稼働状態にされる。この方法の工程は、所与の順番で実施される。自動化セルが、共通の隔離部材を備えた閉鎖機器と閉塞機器を有する場合、工程a)とb)並びにd)とe)を同時に実施することができる。
【0042】
この手動装入方法を実施する場合、自動化セルは基本的に手動装入モードに在る。それは、特に、工程a)を実施する前に、手動装入モードに切り換えることができる。工程b)の前又は工程d)の後におけるアクセス領域へのアクセス時に、自動化セルの動作が中断される。
【0043】
本方法の実施中において、特に、工程c)の実施中においても、自動化セルの動作は、典型的には、継続する、即ち、特に、パーツキャリアは、入換機器を用いて、第二と第三のスタック場所、場合によっては、別のスタック場所の間を入れ換えられる。このことは、自動化セルの効率を向上させる。場合によっては、パーツも、取扱機器を用いて、第二及び/又は第三のスタック場所、場合によっては、別のスタック場所のパーツキャリアから取り出されるか、或いはそこに戻される。
【0044】
自動化セルが、開放可能な屋根区画を備えた前方構造を有する場合、この屋根区画は、工程b)とc)の間に、その開放位置に移行され、工程c)とd)の間に、その閉塞位置に移行される。この屋根区画の開放は、手動装入を容易にし、屋根区画の閉鎖は、更なる動作時の安全性を向上させる。
【0045】
自動化セルが、装入開口部のための閉鎖機器を備えた安全システムを有する場合、この閉鎖機器は、工程b)において、手動で、或いはモーターにより開かれ、有利には、完全に開かれ、工程d)において、手動で、或いはモーターにより閉じられる。
【0046】
[本発明による自動装入方法]
本発明の範囲内には、更に、
A)装入開口部のアクセス領域全体を監視する工程と、
B)自動化セルに自動装入プロセスを通知する工程と、
C)アクセス領域の部分領域、特に、外側の部分領域を監視する工程と、
D)運転者の居ない運搬システムを用いて、装入開口部を介してパーツキャリアのスタックを搬入及び/又は搬出する工程と、
E)アクセス領域全体を監視する工程と、
を有する、上述した本発明による自動化システムの自動化セルの自動装入方法が存在する。
【0047】
この方法は、自動化セルの効率的で安全な自動装入を可能にする。そのために、アクセス領域の監視が、自動装入プロセスが自動化セルに通知された後に、漸く部分領域に限定されて、装入プロセスの終了後に、監視が再びアクセス領域全体に拡大される。この方法の工程は、所与の順番に実施され、工程A)によるアクセス領域全体の監視が、工程B)の実施中継続し、工程C)による部分領域の監視が、工程D)の実施中継続する。
【0048】
この自動装入方法を実施する場合、自動化セルは、基本的に自動装入モードに在る。これは、特に、工程A)の実施前に自動装入モードに切り換えられる。工程A)でのアクセス領域全体の監視は、安全システムの全体監視動作において行われる。
【0049】
工程B)での自動装入プロセスの通知は、有利には、運転者の居ない運搬システムにより行われる。工程C)への移行は、有利には、運転者の居ない運搬システムがパーツキャリアのスタックを装入開口部の直ぐ前に運び込むか、或いはそれ自体が装入開口部の直ぐ前に在る場合に漸く行われる。運転者の居ない運搬システム又はスタックは、特に、装入開口部からの運転者の居ない運搬システム又はパーツキャリアのスタックの間隔が高々10センチメートル、有利には、高々5センチメートル、全く特に有利には、高々2センチメートルである場合に、装入開口部の直ぐ前に在るものとする。
【0050】
工程C)での部分領域の監視は、安全システムの部分監視動作において行われる。工程C)を実施するために、安全システムが部分監視動作に切り換えられる。有利には、監視される部分領域の大きさが、搬入すべき、或いは搬出すべきパーツキャリアのスタックの大きさに適合される。搬入すべきスタックの大きさは、運転者の居ない運搬システムから自動化セルに通知することができる。特に、スタックの外側輪郭に対する監視される部分領域の境界の間隔が僅かである、特に、その間隔が高々10センチメートル、有利には、高々5センチメートル、特に有利には、高々2センチメートルであるように、監視される部分領域の大きさを適合させることができる。
【0051】
更に、監視される部分領域の大きさが搬入プロセス又は搬出プロセス中に変更されると規定することができる。特に、パーツキャリアのスタックを通過させる場合と運転者の居ない運搬システムの筐体部分を通過させる場合の監視される部分領域の大きさが異なるようにすることができる。このことは、特に、装入開口部が筐体の前方構造に形成されている場合に有効であり、その理由は、第一のスタック場所が装入開口部から離れており、それにより、パーツキャリアのスタックが装入開口部の直ぐ後に停止できないからである。この場合、運転者の居ない運搬システムは、むしろ一つの単位として前方構造に大きく運び込まなければならない。特に、スタック又は運転者の居ない運搬システムの装入開口部を介して真っ直ぐに搬入する部分の外側輪郭に対する監視される部分領域の境界の間隔が僅かである、特に、その間隔が高々10センチメートル、有利には、高々5センチメートル、特に有利には、高々2センチメートルであるように、監視される部分領域の大きさを変更することができる。
【0052】
本方法の実施中において、特に、工程D)の実施中においても、自動化セルの動作は、典型的には、継続する、即ち、特に、パーツキャリアは、入換機器を用いて、第二と第三のスタック場所、場合によっては、別のスタック場所の間を入れ換えられる。場合によっては、パーツも、取扱機器を用いて、第二及び/又は第三のスタック場所、場合によっては、別のスタック場所のパーツキャリアから取り出されるか、或いはそこに戻される。
【0053】
工程E)でのアクセス領域全体の監視は、安全システムの全体監視動作において行われる。工程E)を実施するために、安全システムは、全体監視動作に切り換えられる。アクセス領域又はその部分領域へのアクセス時に、自動化セルの動作が終了される。
【0054】
自動化セルが装入開口部のための閉鎖機器を有する場合、この閉鎖機器は、工程C)において、完全又は部分的に開かれる。工程E)を実施するために、この閉鎖機器は、再び閉じられる。
【0055】
[本発明による手動及び自動装入に関する動作方法]
本発明の範囲内には、上述した本発明手動装入方法が少なくとも一回実行され、上述した本発明による自動装入方法が少なくとも一回実行されることを特徴とする上述した本発明による自動化システムの動作方法も存在する。この動作方法は、自動化セルの自動装入と手動装入の間の効率的な切換を許容する。手動装入モードと自動装入モードでの本方法の実行中に、基本的に自動化セルの装備は変更されず、特に、自動化セルに対する構造的な変更が実施されないか、自動化セルのコンポーネントが交換されないか、取り外されないか、付加されないか、或いはその中の一つ以上である。
【0056】
[本発明による安全システムの作動に関する動作方法]
最後に、本発明の範囲内には、
K)自動化セルを動作させて、自動化セルの周囲に運転者の居ない運搬システムを自律的に走行させる、特に、運転者の居ない運搬システムを用いて、装入開口部を介してパーツキャリアのスタックを搬入及び/又は搬出する工程と、
L)安全システムを作動させる工程と、
M)安全システムによって、自動化セルの動作を中断して、運転者の居ない運搬システムを停止する工程と、
を有する、安全システムが、運転者の居ない運搬システムを停止するように設計された、上述した本発明による自動化システムの動作方法が存在する。
【0057】
この動作方法によって、操作員が負傷する虞、特に、自動化セルと運転者の居ない運搬システムの間に挟み込まれる虞が効果的に低減される。この方法の工程は、所与の順番で実施される。工程K)は、有利には、上述した本発明による自動装入方法の範囲内で実施することができる。安全システムを作動させる場合、これは、部分監視動作又は全体監視動作に在ることができる。安全システムの作動は、手動によるアクセス又は運転者の居ない運搬システムによって行うことができる。
【0058】
この方法の変化形態では、安全システムの全体監視動作中の運転者の居ない運搬システムの停止は、運転者の居ない運搬システムが近い周囲に、例えば、自動化セルから高々3メートル離れた所に在るとの追加条件の下で行われる。それによって、運転者の居ない運搬システムが自動化セルから十分に遠く離れた所に在って、その結果、特に、人が挟み込まれる可能性が無い場合に、そのような運搬システムの不要な停止を防止することができる。この変化形態では、基本的に、特に、安全システムを作動させるアクセスが続いている場合に、運搬システムが自動化セルの近い周囲に到達すると、直ちに運転者の居ない運搬システムが停止されると規定される。近い周囲内への運転者の居ない運搬システムの更なる進行は、有利には、作動させたアクセスの除去が確認された場合に漸く行うことができる。
【0059】
本発明の更なる利点は、本明細書と図面から明らかになる。本発明では、前記の更に詳述した特徴は、それぞれ個々に単独で、或いは本発明の目的に適う複数の任意の組合せ形態で使用することができる。図示され、記述された実施構成は、最終的に列挙されたものであると理解すべきではなく、むしろ本発明を記述するための例示的な特徴を有するものである。
【0060】
本発明を図面に図示して、実施例に基づき詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0061】
図1】本発明による自動化セルとパーツキャリアのスタックを運搬する運転者の居ない運搬システムを備えた本発明による自動化システムの模式的な概略図
図2a】光学式安全システムが、自動化セルの第一のスタック場所のための装入開口部のアクセス領域全体を監視する、自動化セルの筐体の一部を破断して表示した図1の自動化システムの模式的な斜視図
図2b図2aの自動化システムの模式的な平面図
図3】安全システムが装入開口部のアクセス領域の外側の部分領域だけを監視し、仕切り機器が第一のスタック場所を内部空間から仕切った、筐体の一部を破断して表示した図1の自動化システムの自動化セルの模式的な斜視図
図4a】自動化セルが図3の状態に在り、運転者の居ない運搬システムがパーツキャリアのスタックを装入開口部を介して搬入する、筐体の一部を破断して表示した図1の自動化システムの模式的な斜視図
図4b図4aの自動化システムの模式的な平面図
図5】安全システムが装入開口部のアクセス領域全体を監視し、第一のスタック場所が仕切り機器によって解放された、操作員が手動装入プロセスを実施する前の筐体の一部を破断して表示した図1の自動化システムの自動化セルの模式的な斜視図
図6】仕切り機器が第一のスタック場所を仕切って、安全システムが非稼働状態にされ、筐体の前方構造の屋根区画が閉塞位置に在る、筐体の一部を破断して表示した図5の自動化セルと操作員の模式的な斜視図
図7】屋根区画が開放位置に在り、操作員がパーツキャリアのスタックを装入開口部を介して第一のスタック場所に持ち込む、筐体の一部を破断して表示した図5の自動化セルと操作員の模式的な斜視図
図8】安全システムが装入開口部のための閉鎖機器と装入開口部の傍の側枠の所の接触保護バーを有し、閉鎖機器が装入開口部を閉じている、筐体の一部を破断して表示した本発明による自動化セルの模式的な斜視図
図9】閉鎖機器が開かれて、第一のスタック場所が仕切り機器によって仕切られた、筐体の一部を破断して表示した図8の自動化セルの模式的な斜視図
図10】装入開口部のための閉鎖機器と第一のスタック場所のための仕切り機器がここでは、装入開口部を閉じて、第一のスタック場所の仕切りに代わって配置可能である共通の隔離部材を有する、筐体の一部を破断して表示した本発明による自動化セルの模式的な斜視図
図11】本発明による自動化セルの手動装入方法の模式的なフロー図
図12】本発明による自動化システムの自動化セルの自動装入方法の模式的なフロー図
図13】自動化システムの自動化セルの手動及び自動装入に関する動作方法の模式的なフロー図
図14】装入開口部のための安全システムの作動に関する自動化システムの動作方法の模式的なフロー図
【発明を実施するための形態】
【0062】
図1は、本発明による自動化システム10を図示している。この自動化システム10は、本発明による自動化セル12と運転者の居ない運搬システム14を有する。この運転者の居ない運搬システム14は、運搬車20上に配置されたパーツキャリア18のスタック16を運搬する。
【0063】
自動化セル12は、筐体22を有する。この筐体22から、前方構造24が突き出ており、そこには、装入開口部26が形成されている。装入開口部26のアクセス領域28は、安全システム30によって監視されている。自動化セル12は、スイッチボックス32を備えることができ、このボックスは、ここでは、筐体22の後側に配置されている。自動化セル12のための詳しく図示されていない電子制御部をスイッチボックス32内に形成することができる。
【0064】
図2aは、図1の自動化システム10の一部を図示している。図2では、筐体22が部分的に取り除かれた、或いは破断された形で図示されている。筐体22内には、第一のスタック場所34、第二のスタック場所36、第三のスタック場所38及び複数の別のスタック場所39が構成されている。これらのスタック場所34,36,38,39には、それぞれパーツキャリア18の一つのスタック16を配置することが可能である。自動化セル12は、入換機器40を有する。この入換機器40を用いて、パーツキャリア18は、個別に、或いは複数でスタック場所34,36,38,39の間を入れ換えることができる。ここでは、入換機器40は、パレット入換器により構成されている。
【0065】
自動化セル12は、第一のスタック場所34のための仕切り機器42を有する。この仕切り機器42を用いて、第一のスタック場所34を内側に対して(筐体22のスタック場所36,38,39を有するそれ以外の内部空間44から)仕切るか、或いは解放することができる。ここでは、仕切り機器42は、スライド式フード46と隔壁48を有する。このフード46は、スタック場所34,36,38,39の上方をスライドし、特に、フード46は、第一のスタック場所34又は第二のスタック場所36の上方に配置することができる。この隔壁48は、第一のスタック場所34と第二のスタック場所36の間に固定的に配置されている。ここでは、フード46は、第二のスタック場所36の上方に在り(図2bも参照)、その結果、仕切り機器42は、第一のスタック場所34を解放している。
【0066】
図2bにおいて、更に、運転者の居ない運搬システム14が、スタック16の運搬車20を降下させるとともに、持ち上げるための昇降機器50を有することが分かる。
【0067】
筐体22の前方構造24は、二つの側枠52と屋根区画54を有する。図2aと2bに図示された構造では、屋根区画54は、閉塞位置に在る。二つの側枠52と屋根区画54が、装入開口部26を側方と上方から取り囲んでいる。
【0068】
自動化セル12の安全システム30は、装入開口部26のアクセス領域28を非接触式に、ここでは、光学式に監視するように構成されている。この安全システム30は、二つのレーザースキャナ56を有する。これらのレーザースキャナ56は、それぞれ装入開口部26の前方構造24の上方の隅に配置することができる。
【0069】
図2aでは、安全システム30は、全体監視動作に在る。この全体監視動作では、安全システム30は、アクセス領域28全体を監視する。全体監視動作において、レーザースキャナ56は、装入開口部26への如何なるアクセスも検知するように設計されている。安全システム30がアクセス領域28へのアクセスを検知すると、直ちに安全システム30が自動化セル12の動作を中断して、運転者の居ない運搬システム14に、その運搬システムの停止を強制するコマンドを送信する。自動化セル12の動作の中断時には、特に、入換機器40が停止される。自動化セル12のここでは詳しく図示されていない取扱機器も、それが存在する場合には、停止される。この取扱機器は、パーツキャリア18上に準備された、同じく詳しく図示されていないパーツを取り扱う役割を果たす。
【0070】
図2aと2bは、自動装入プロセスの最初の状態における自動化システム10を図示している。自動装入のために、自動化セル12は、自動装入モードに在る。運転者の居ない運搬システム14は、実施すべき装入プロセスを自動化セル12に通知する。スタック16を備えた運転者の居ない運搬システム14が装入開口部26の直ぐ前に(例えば、8センチメートル以内にまで)動かされた場合、安全システム30が、装入開口部26を介した第一のスタック場所34へのスタック16の搬入を許容する部分監視動作に切り換えられる。
【0071】
自動化セル12と運転者の居ない運搬システム14は、それぞれ詳しく図示されていない冗長的な通信機器を備えることができる。これらの冗長的な通信機器を用いて、自動化セル12と運転者の居ない運搬システム14の間の安全な通信を構築することができる。この(安全な)通信は、特に、自動化セル12に対する運転者の居ない運搬システム14からの装入プロセスの通知と、安全システム30が作動された場合の自動化セル12から運転者の居ない運搬システム14への停止コマンドの送信とを含む。
【0072】
図3には、安全システム30が部分監視動作に在る時の自動化セル12が図示されている。部分監視動作において、安全システム30は、アクセス領域28の(ここでは、外側の)部分領域58だけを監視する。(ここでは、内側の)搬入領域60は、監視から除外されている。監視されている部分領域58へのアクセスと監視されていない搬入領域60へのアクセスの区別は、安全システム30がアクセス領域28へのアクセス場所を決定することによって行うことができ、監視されている部分領域58へのアクセスは、安全システム30を作動させ、それに対して、監視されていない搬入領域60へのアクセスは、更なる反応無しに容認される。監視されている部分領域58又は監視されていない搬入領域60の大きさ、特に、高さ及び/又は幅は、スタック16又は運転者の居ない運搬システム14の大きさに合わせることができる。
【0073】
図3において、更に、フード46が第一のスタック場所34の上方に在り、その結果、仕切り機器42が第一のスタック場所34を仕切っていることが分かる。しかし、自動装入モードでは、安全システム30が装入開口部26を監視しているために、この仕切りは必ずしも必要ではない。
【0074】
図4aと4bは、装入開口部26を介したスタック16の搬入中における図1の自動化システム10を図示している。図示された構成では、運転者の居ない運搬システム14のスタック16は、ほぼ完全に装入開口部26を介して運び込まれている。そのため、安全システム30は、運転者の居ない運搬システム14の筐体62が装入開口部26を通過できて、安全システム30を作動させることが無いように、監視されている部分領域58の大きさと、それ故搬入領域60の大きさとを適合させている。
【0075】
装入プロセスが更に進行すると、運転者の居ない運搬システム14が、スタック16を第一のスタック場所34にまで運び込まれた後、再び自動化セル12から運び出される。運転者の居ない運搬システム14が装入開口部26から去った後、安全システム30が再び全体監視動作に切り換えられる。
【0076】
図5は、手動装入プロセスの最初の状態における図1の自動化セル12を図示している。この手動装入のために、自動化セル12は、手動装入モードに切り換えられる。これは、操作員64が自動化セル12の操作端末66への相応の入力を実行することによって行うことができる。
【0077】
図5では、安全システム30が全体監視動作に在り、その結果、装入開口部26への如何なるアクセスも検知されて、自動化セル12を停止させることとなる。この場合、仕切り機器42のフード46は、第二のスタック場所36の上方に在り、その結果、第一のスタック場所34が解放されている。
【0078】
操作員64が手動装入プロセスを通知した後、先ずは、第一のスタック場所34が仕切り機器42を用いて内側に対して仕切られる。そのために、フード46が、第一のスタック場所34の上方に動かされる。次に、安全システム30が非稼働状態にされる。この状態が図6に図示されている。
【0079】
前方構造24は、筐体22の(ここでは、垂直の)壁67から飛び出しているので、一方において、装入開口部26が第一のスタック場所34から間隔を空けて配置され、その結果、(安全システム30が稼働状態に在る場合の)アクセス時に、自動化セル12の動作を中断するために多くの時間が残されているとの作用を奏する。他方において、特に、屋根区画54が、第一のスタック場所34に装入する操作員64を妨害する。
【0080】
装入を容易にするために、操作員64は、安全システム30が非稼働状態にされた後、前方構造24の屋根区画54を閉塞位置(図5と6を参照)から開放位置(図7を参照)に動かすことができる。そのために、屋根区画54を内側に(第一のスタック場所34の上方を)スライドすることができる。安全システム30は、屋根区画54の位置を監視することができ、その結果、安全システム30が稼働状態に在る場合に、屋根区画54を開こうとする試みが、安全システム30を作動させる、従って、自動化セル12の動作を中断することとなる。屋根区画54を開くことは、操作員64がスタック16を第一のスタック場所34に持ち込むことを容易にする。運搬車20によりスタック16を第一のスタック場所34にスライドさせるために、操作員64は、屋根区画54が開かれている場合に、装入開口部26を介して、第一のスタック場所34の直ぐ前にまで立ち入ることができる。そのために、操作員64は、装入開口部26を通るために屈む必要も、背伸びする必要もない。
【0081】
前に図2a~7と関連して述べた、パーツキャリア18のスタック16を装入開口部26を介して第一のスタック場所34に搬入する手動又は自動装入プロセスは、相応に適合させた上で、第一のスタック場所34からパーツキャリア18のスタック16を搬出するためにも実施可能である。
【0082】
自動化セル12では、スタック場所34,36,38,39が、長手方向68(図1も参照)に順番に配置されている。言い換えると、スタック場所34,36,38,39は、直線上に置かれている。装入、即ち、装入開口部26を介したパーツキャリア18のスタック16の搬入と搬出は、長手方向68に沿って行われる。そのために、装入開口部26は、長手方向68に対して直角に延びる形で配置することができる。
【0083】
図8は、自動化セル70を図示している。この自動化セル70の構造と機能形態は、安全システム30を除いて、図1の自動化セル12と同じである。その点に関しては、上記の記述を参照されたい。
【0084】
この自動化セル70の安全システム30は、装入開口部26のための閉鎖機器72を有する。ここで、閉鎖機器72は、装入開口部の上側に配置されたボックス76内に巻き上げることが可能なロール式扉74により構成されている。図8では、閉鎖機器72が閉じられた位置に在り、ロール式扉74は、装入開口部26を閉じている。この閉鎖機器72の閉じられた位置は、安全システム30の全体監視動作において設定される。全体監視動作では、閉鎖機器72を開こうとする試みは、自動化セル70の動作を中断させて、場合によっては、自動化セル70と共に自動化システム10の運転者の居ない運搬システム14を停止させることとなる。
【0085】
安全システム30は、更に、二つの接触保護バー78を有する。ここでは、接触保護バー78は、装入開口部26の傍の側方に配置されている。接触保護バー78は、接触によって作動される。接触保護バー78が作動された場合、安全システム30は、自動化セル70の動作を中断して、場合によっては、運転者の居ない運搬システム14を停止する。それによって、操作員64(図5~7を参照)が自動化セル70と運転者の居ない運搬システム14の間に挟み込まれることを防止できる。
【0086】
接触保護バー78は、自動化セル70の筐体22の(ここでは、垂直に延びる)壁67から飛び出した側枠52に統合することができる。この側枠52には、装入開口部26へのパーツキャリア18のスタック16の搬入を容易にするためのガイド部材80を配置することができる。
【0087】
安全システム30により監視可能な(全体監視動作で監視される)アクセス領域28は、装入開口部26と接触保護バー78の領域を包含する。部分監視動作では、安全システム30により監視される部分領域は、接触保護バー78の領域と、(閉鎖機器72が部分的に閉じられている時の)装入開口部26の隠された部分とを包含する。
【0088】
図9は、安全システム30の部分監視動作における自動化セル70を図示している。部分監視動作では、自動化セル70に自動的に装入することができる。ここでは、閉鎖機器72は、部分監視動作のために開かれている。ロール式扉74(図8を参照)は、上方に動かされて、ボックス76内に収容されている。それによって、外側から第一のスタック場所34にアクセスできる。接触保護バー78は、部分監視動作においても、作動しており、接触時に自動化セル70と、場合によっては、運転者の居ない運搬システム14とを停止させる。
【0089】
手動装入のために、安全システム30の接触保護バー78を非稼働状態にすることができる。それによって、(危険の無い)接触が自動化セル70の動作を中断することが防止される。
【0090】
自動化セル70の手動装入モードでは、第一のスタック場所34が仕切り機器42を用いて筐体22のそれ以外の内部空間44から仕切られている場合に、漸く閉鎖機器72を開くことができる。そのために、(上述した通り)フード46を第一のスタック場所34の上方に動かすことができる。自動化セル70の自動装入モードでは、第一のスタック場所34が解放されている場合でも、運転者の居ない運搬システム14が装入開口部26の直ぐ前に在る時に、閉鎖機器72の開放を行うことができる。
【0091】
自動化セル70は、第一のスタック場所34の所に方向調整機器82を備えることができる。この方向調整機器82を用いて、第一のスタック場所34に運び込んだ後に、パーツキャリア18のスタック16の向きを精確に調整することができる。このことは、入換機器40を用いたパーツキャリア18の入れ換えを容易にする。この方向調整機器82は、方向調整のためにスタック16の運搬車20に作用する。図1の自動化セル70においても、方向調整機器82を配備することができる。
【0092】
図10は、自動化セル84を図示している。この自動化セル84では、閉鎖機器72と仕切り機器42が共通の隔離部材86を有する。この隔離部材86は、装入開口部26の閉鎖と第一のスタック場所34の仕切りを選択的に実行するように配置可能である。ここでは、隔離部材86は、シャッター式扉88の一部である。このシャッター式扉88の駆動部90は、装入開口部26の上側に配置することができる。図10では、閉鎖機器72が閉じられた形で図示されている。隔離部材86は、装入開口部26を閉じている。閉鎖機器72が開かれる場合、隔離部材86は、レール装置92を用いて、第一のスタック場所34の上方に、並びに後方に動かされる。第一のスタック場所34の側方には、仕切り機器42の詳しく図示されていない、特に、固定的な間仕切壁を配置することができる。第一のスタック場所34と第二のスタック場所36の間には、仕切り機器42の特に、固定的な隔壁48を配置することができる。
【0093】
その他の点に関して、自動化セル84の構造と機能は、図8の自動化セル70と同じである。それに関しては、上記の記述を参照されたい。
【0094】
図11は、自動化セルの手動装入方法100の模式的なフロー図を図示している。ここでは、この方法が、例えば、図1の自動化セル12に基づき記述されている。この方法100は、図8の自動化セル70又は図10の自動化セル84でも実施することができる。
【0095】
自動化セル12が、この方法100の開始時に、自動装入モードに在る場合には、自動化セル12は、工程102において、先ずは手動装入モードに切り換えられる。
【0096】
工程104で、第一のスタック場所34が仕切り機器42を用いて仕切られる。次に、工程106において、安全システム30が非稼働状態にされる。そのため、前方構造24の屋根区画54を開くことができる。ここで、工程108において、操作員64が、装入開口部26を介して第一のスタック場所34に装入することができる。操作員64は、先ずは処理されたパーツを有するパーツキャリア18の第一のスタック16を第一のスタック場所34から搬出し、次に、処理すべきパーツを有するパーツキャリア18の第二のスタック16を第一のスタック場所34に運び込むことができる。
【0097】
そのため、工程110において、安全システム30が再び稼働状態にされる。場合によっては、事前に屋根区画54が再び閉じられる。次に、工程112において、第一のスタック場所34が仕切り機器42によって解放される。
【0098】
それに続いて、別の手動装入プロセスを実施することができる(図11の破線の矢印を参照)。その後の方法の実行において第一のスタック場所34から搬出されるパーツキャリア18は、典型的には、直前の装入プロセスで第一のスタック場所34に運び込まれたパーツキャリア18ではなく、入換機器40を用いた入れ換えによって、第一のスタック場所34に到達した別のパーツキャリア18であることに留意されたい。第一のスタック場所34の運搬車20は、基本的にスタックと共に入れ換えられるのではなく、次の装入プロセスでの搬入後に再び搬出される。
【0099】
図12は、自動化システム10の自動装入方法200の模式的なフロー図を図示している。この方法は、ここでは、例えば、図1の自動化セル12を備えた自動化システム10に基づき記述される。この方法200は、図8の自動化セル70を備えた自動化システムでも、図10の自動化セル84を備えた自動化システムでも実施することができる。
【0100】
自動化セル12が、この方法200の開始時に、手動装入モードに在る場合には、自動化セル12は、工程202において、先ずは自動装入モードに切り換えられる。
【0101】
工程204で、先ずは、安全システム30の全体監視動作において、装入開口部26のアクセス領域全体が監視される。工程206において、全体監視動作中に、特に、運転者の居ない運搬システム14によって、自動装入プロセスが自動化セル12に通知される。
【0102】
運転者の居ない運搬システム14が装入開口部26の直ぐ前に在る場合、安全システム30が部分監視動作に切り換えられ、その結果、工程208において、アクセス領域28の部分領域58が監視される。工程210において、部分監視動作における部分領域58の監視中に、第一のスタック場所34が自動的に装入される。先ずは、運転者の居ない運搬システム14を用いて、パーツキャリア18の第一のスタック16を装入開口部26を介して第一のスタック場所34から搬出することができる。次に、同じ、或いは別の運転者の居ない運搬システム14を用いて、パーツキャリア18の第二のスタック16を装入開口部26を介して第一のスタック場所34に運び込むことができる。スタック16の搬入又は搬出のために、監視される部分領域58の大きさを各スタック16に適合させることができる。装入開口部26を介したスタック16の通過中においても、例えば、運転者の居ない運搬システム14の筐体62が装入開口部26を通過するようにする場合に、監視されている部分領域58の大きさを変更することができる。
【0103】
最後に、工程212において、安全システム30が再び全体監視動作に切り換えられ、その結果、アクセス領域28全体が監視される。それに続いて、別の自動装入プロセスを実施することができる(図12の破線の矢印を参照)。
【0104】
図13は、自動化システム10の動作方法300の模式的なフロー図を図示している。この自動化システム10は、例えば、図1の自動化セル12、図8の自動化セル70又は図10の自動化セル84を備えるように構成することができる。
【0105】
先ずは、図11に基づく手動装入方法100が一回又は複数回実行される。次に、図12に基づく自動装入方法200が一回又は複数回実行される。それに続いて、再び手動装入方法100が実行され得る、云々。
【0106】
図14は、自動化システム10の動作方法400の模式的なフロー図を図示している。この自動化システム10は、例えば、図1の自動化セル12、図8の自動化セル70又は図10の自動化セル84を備えるように構成することができる。
【0107】
自動装入方法200の範囲内において(図12を参照)、工程402で、自動化セル12が稼働されて、工程404で、運転者の居ない運搬システム14が自律的に自動化セル12の周囲に移動される。その期間中に、安全システム30によって、装入開口部26の少なくとも一つの部分領域58又はアクセス領域28全体の監視が行われる。工程406において、アクセス領域28又は監視されている部分領域58へのアクセスが起こることによって、安全システム30が作動される。そのため、工程408において、安全システム30によって、自動化セル12の動作が中断され、工程410において、安全システム30のコマンドに対応して、運転者の居ない運搬システム14が停止される。
【符号の説明】
【0108】
10 自動化システム
12,70,84 自動化セル
14 運転者の居ない運搬システム
16 スタック
18 パーツキャリア
20 運搬車
22 筐体
24 前方構造
26 装入開口部
28 アクセス領域
30 安全システム
32 スイッチボックス
34 第一のスタック場所
36 第二のスタック場所
38 第三のスタック場所
39 別のスタック場所
40 入換機器
42 仕切り機器
44 内部空間
46 フード
48 隔壁
50 昇降機器
52 側枠
54 屋根区画
56 レーザースキャナ
58 部分領域
60 搬入領域
62 筐体
64 操作員
66 操作端末
67 壁
68 長手方向
72 閉鎖機器
74 ロール式扉
76 ボックス
78 接触保護バー
80 ガイド部材
82 方向調整機器
86 隔離部材
88 シャッター式扉
90 駆動部
92 レール装置
100 手動装入方法
102 手動装入モードへの切換
104 第一のスタック場所34の仕切り
106 安全システム30の非稼働状態化
108 スタック106の手動による搬入及び/又は搬出
110 安全システム30の稼働状態化
112 第一のスタック場所34の解放
200 自動装入方法
202 自動装入モードへの切換
204 アクセス領域38全体の監視
206 自動装入プロセスの通知
208 部分領域58の監視
210 スタック106の自動的な搬入及び/又は搬出
212 アクセス領域28全体の監視
300 手動及び自動装入に関する動作方法
400 安全システム30の作動に関する動作方法
402 自動化セル12,70,84の稼働
404 運転者の居ない運搬システム14の移動
406 安全システム30の作動
408 自動化セル12,70,84の動作の中断
410 運転者の居ない運搬システム14の停止
図1
図2a
図2b
図3
図4a
図4b
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14