(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-08
(45)【発行日】2023-05-16
(54)【発明の名称】ＮＰＲロックボルト
(51)【国際特許分類】
E02D 5/80 20060101AFI20230509BHJP
【ＦＩ】
E02D5/80 Z
【請求項の数】
7
(21)【出願番号】P 2022519528
(86)(22)【出願日】2020-09-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-29
(86)【国際出願番号】 CN2020117971
(87)【国際公開番号】W WO2021082839
(87)【国際公開日】2021-05-06
【審査請求日】2022-03-25
(31)【優先権主張番号】201921859383.2
(32)【優先日】2019-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522120750
【氏名又は名称】何 満潮
(73)【特許権者】
【識別番号】522120761
【氏名又は名称】夏 敏
(74)【代理人】
【識別番号】110002158
【氏名又は名称】弁理士法人上野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】何 満潮
(72)【発明者】
【氏名】夏 敏
(72)【発明者】
【氏名】郭 洪燕
(72)【発明者】
【氏名】李 洪超
【審査官】湯本 照基
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第１０４３４３４６０（ＣＮ，Ａ）
【文献】中国実用新案第２０３００８２３７（ＣＮ，Ｕ）
【文献】中国特許出願公開第１０８７５４３３９（ＣＮ，Ａ）
(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)
Ｅ０２Ｄ ５／８０
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボルト本体（１）、トレイ（２）及び錠具（３）を含むＮＰＲロックボルトであって、前記ボルト本体（１）がＮＰＲ螺旋鉄筋であり、前記ＮＰＲ螺旋鉄筋の外面には、複数本の凸の螺旋リブが設けられており、前記螺旋リブが螺旋状構造をなし、
前記ＮＰＲ螺旋鉄筋の尾部が処理されておらず、前記トレイ（２）及び前記錠具（３）が前記ＮＰＲ螺旋鉄筋の尾部に直接に外装されており、
前記ＮＰＲ螺旋鉄筋の降伏強度が８００～９５０ＭＰａ、引張強度が９００～１０５０ＭＰａであり、前記ＮＰＲ螺旋鉄筋の変形変位が２００ｍｍ～３５０ｍｍ／ｍであり、
前記ボルト本体（１）は、最大力＞２１０ＫＮ、伸び＞２０％、アンカー力＞２００ＫＮ、アンカー長さ＞１ｍ、前記錠具（３）のベアリング力＞２１０ＫＮ、前記トレイ（２）のベアリング力＞２１０ＫＮである、
ことを特徴とするＮＰＲロックボルト。
【請求項2】
前記ＮＰＲロックボルトの呼び径が１４ｍｍ～２６ｍｍである、ことを特徴とする請求項１に記載のＮＰＲロックボルト。
【請求項3】
前記トレイ（２）が金属製のバタフライトレイである、ことを特徴とする請求項１に記載のＮＰＲロックボルト。
【請求項4】
前記錠具（３）が、互いに協働する金属製の錠片と錠カバーを含む、ことを特徴とする請求項１に記載のＮＰＲロックボルト。
【請求項5】
前記螺旋リブが前記ＮＰＲ螺旋鉄筋の軸方向に沿って延びるように設けられている、ことを特徴とする請求項１に記載のＮＰＲロックボルト。
【請求項6】
前記螺旋リブの数が３～６本である、ことを特徴とする請求項１に記載のＮＰＲロックボルト。
【請求項7】
複数本の前記螺旋リブが前記ＮＰＲ螺旋鉄筋の周方向に沿って均等に分布するように設けられている、ことを特徴とする請求項１に記載のＮＰＲロックボルト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート関連の新材料の技術分野に関し、具体的に、ＮＰＲロックボルトに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術において、炭鉱坑道及び隧道の支持保護には、ロックボルトが最も広く使用され、最も多く使用されている支持保護装置である。炭鉱採掘深度がますます深くなっていくうちに、坑道周辺の岩石は、大変形破壊の特徴、例えば、軟岩の大変形、岩破裂の大変形、衝撃の大変形、ガス爆発の大変形といった特徴を示すことがよくある。現在の支持保護ロックボルトの中で、ロックボルトは、ボルト本体の伸びが低く、深層坑道周辺の岩石の非線形大変形破壊の特徴に適応できなくなっており、衝撃荷重の作用下で、ロックボルトがその降伏強度に瞬時に達し、破断して無効になり、ベアリング能力及び保護能力が失われ、その結果、坑道が繰り返し修復され、鉄骨が歪んで変形し、キャストコンクリートがひび割れするなどの破壊現象をもたらしてしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の実施例は、伸びが低く、周辺の岩石の大変形のニーズを満たすことができないという従来技術における一般的なロックボルトに存在する問題を解決するためのＮＰＲロックボルトを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の目的を達成するために、本発明は、ＮＰＲロックボルトであって、ボルト本体、トレイ及び錠具を含み、前記ボルト本体がＮＰＲ螺旋鉄筋であり、前記ＮＰＲ螺旋鉄筋の外面には、複数本の凸の螺旋リブが設けられており、前記螺旋リブが螺旋状構造をなし、前記トレイ及び前記錠具が前記ＮＰＲ螺旋鉄筋の尾部に直接に外装されているＮＰＲロックボルトを提供する。
【0005】
さらに、前記ＮＰＲ螺旋鉄筋の尾部が処理されていない。
【0006】
さらに、前記ＮＰＲ螺旋鉄筋の降伏強度が８００～９５０ＭＰａ、引張強度が９００～１０５０ＭＰａであり、前記ＮＰＲ螺旋鉄筋の変形変位が２００ｍｍ～３５０ｍｍ／ｍである。
【0007】
さらに、前記ＮＰＲロックボルトの呼び径が１４ｍｍ～２６ｍｍである。
【0008】
さらに、前記トレイが金属製のバタフライトレイである。
【0009】
さらに、前記錠具が、互いに協働する金属製の錠片と錠カバーを含む。
【0010】
さらに、前記螺旋リブが前記ＮＰＲ螺旋鉄筋の軸方向に沿って延びるように設けられている。
【0011】
さらに、前記螺旋リブの数が３～６本である。
【0012】
さらに、複数本の前記螺旋リブが前記ＮＰＲ螺旋鉄筋の周方向に沿って均等に分布するように設けられている。
【発明の効果】
【0013】
本発明のＮＰＲロックボルトは、坑道周辺の岩石に大きな変形が発生した時に均一に伸びる（２００ｍｍ～３５０ｍｍ／ｍ）ことを実現できるとともに、基本的に安定した作動抵抗を維持できるため、横方向の抵抗と大きな変形により周辺の岩石のエネルギーを吸収でき、周辺の岩石が大きく変形した場合でも、坑道の安定性を保証するための良好な支持保護役割を果たせる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面及び具体的な実施例を参照して、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明を限定することを意図するものではない。
【0016】
図１及び図２を参照して、本発明の実施例によれば、一定の抵抗及び大きな変形を有するＮＰＲロックボルトであって、ボルト本体１、トレイ２及び錠具３を含み、ボルト本体１がＮＰＲ螺旋鉄筋であり、ＮＰＲ螺旋鉄筋の外面には、複数本の凸の螺旋リブが設けられており、螺旋リブが螺旋状構造をなし、トレイ２及び錠具３がＮＰＲ螺旋鉄筋の尾部に直接に外装されているＮＰＲロックボルトが提供されている。
【0017】
本発明のＮＰＲロックボルトは、坑道周辺の岩石に大きな変形が発生した時に均一に伸びる（２００ｍｍ～３５０ｍｍ／ｍ）ことを実現できるとともに、基本的に安定した作動抵抗を維持できるため、横方向の抵抗と大きな変形により周辺の岩石のエネルギーを吸収でき、周辺の岩石が大きく変形した場合でも、坑道の安定性を保証ための良好な支持保護役割を果たせる。
【0018】
好ましくは、ＮＰＲ螺旋鉄筋の尾部が処理されていない。例えば、ＮＰＲ螺旋鉄筋の尾部には、ねじ転造などの処理が一切行われない。このような構造の利点は、尾部ねじへの応力集中が回避されることにより、尾部ねじの破断が回避され、ロックボルトの伸びが効果的に向上されることである。
【0019】
図２に示す応力－ひずみ曲線の模式図を参照して、本実施例において、ＮＰＲ螺旋鉄筋の降伏強度が８００～９５０ＭＰａ、引張強度が９００～１０５０ＭＰａであり、ＮＰＲ螺旋鉄筋の変形変位が２００ｍｍ～３５０ｍｍ／ｍである。ボルト本体の最大力＞２１０ＫＮ、伸び＞２０％、ボルト本体のアンカー力＞２００ＫＮ、アンカー長さ＞１ｍ、ロックボルトの錠具のベアリング力＞２１０ＫＮ、トレイのベアリング力＞２１０ＫＮである。
【0020】
好ましくは、ＮＰＲロックボルトの呼び径が１４ｍｍ～２６ｍｍである。図１に示すように、トレイ２が金属製のバタフライトレイである。錠具３が、互いに協働する金属製の錠片と錠カバーを含む。トレイ２の中間部分に、ボルト本体１が通るための孔が設けられている。金属製の錠片がボルト本体の尾部に外装され、錠カバーと組み合わせて錠具３を構成する。
【0021】
そのうち、ボルト本体１の構造は、次の通りである。螺旋リブがＮＰＲ螺旋鉄筋の軸方向に沿って延びるように設けられている。螺旋リブの数が３～６本である。複数本の螺旋リブがＮＰＲ螺旋鉄筋の周向に沿って均等に分布するように設けられている。
【0022】
本発明のＮＰＲロックボルトは、一定の抵抗及び大きな変形を実現することができ、しかも、本発明のＮＰＲロックボルトを支持保護装置とした坑道において、坑道周辺の岩石に一定の変形が発生した時に、ＮＰＲロックボルトはそれに伴って均一に引張られ、周辺の岩石の変形が解放されることができ、引張り及び大変形と同時に、常に比較的安定した作業抵抗を維持しており、坑道の安定が実現され、天井の崩落、土砂の崩れなどの安全上の危険が排除される。
【0023】
なお、本明細書で使用される用語は、具体的な実施形態を説明するためだけのものであり、本願の例示的な実施形態を限定することを意図するものではないことに留意されたい。本明細書で使用される場合、文脈で別に明確に示されていない限り、単数形は複数形も含むことを意図している。さらに、「包含」及び／又は「含む」という用語が本明細書で使用される場合、それらは、特徴、ステップ、作業、デバイス、コンポーネント、及び／又はそれらの組み合わせがあることを示す。
【0024】
本願の明細書、特許請求の範囲及び上記図面における「第１」、「第２」という用語は、類似の対象を区別するために使用され、必ずしも特定の順序又は前後順序を説明するために使用されるわけではないことに留意されたい。このように使用されるデータは、適切な状況下で入れ替えることができ、このように、本明細書に記載された本願の実施形態は、本明細書に図示又は記載されたもの以外の順序で実施できることを理解されたい。
【0025】
むろん、以上は本発明の好ましい実施形態である。当業者にとって、本発明の基本原理から逸脱することなく、何らかの改良及び修正を行うことができ、これらの改良及び修正も本発明の保護範囲内と見なされることに留意されたい。
【図1】
【図2】
