IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本たばこ産業株式会社の特許一覧

特許7274672非燃焼加熱式香味吸引物品及び非燃焼加熱式香味吸引製品
<>
  • 特許-非燃焼加熱式香味吸引物品及び非燃焼加熱式香味吸引製品 図1
  • 特許-非燃焼加熱式香味吸引物品及び非燃焼加熱式香味吸引製品 図2
  • 特許-非燃焼加熱式香味吸引物品及び非燃焼加熱式香味吸引製品 図3
  • 特許-非燃焼加熱式香味吸引物品及び非燃焼加熱式香味吸引製品 図4
  • 特許-非燃焼加熱式香味吸引物品及び非燃焼加熱式香味吸引製品 図5
  • 特許-非燃焼加熱式香味吸引物品及び非燃焼加熱式香味吸引製品 図6
  • 特許-非燃焼加熱式香味吸引物品及び非燃焼加熱式香味吸引製品 図7
  • 特許-非燃焼加熱式香味吸引物品及び非燃焼加熱式香味吸引製品 図8
  • 特許-非燃焼加熱式香味吸引物品及び非燃焼加熱式香味吸引製品 図9
  • 特許-非燃焼加熱式香味吸引物品及び非燃焼加熱式香味吸引製品 図10
  • 特許-非燃焼加熱式香味吸引物品及び非燃焼加熱式香味吸引製品 図11
  • 特許-非燃焼加熱式香味吸引物品及び非燃焼加熱式香味吸引製品 図12
  • 特許-非燃焼加熱式香味吸引物品及び非燃焼加熱式香味吸引製品 図13
  • 特許-非燃焼加熱式香味吸引物品及び非燃焼加熱式香味吸引製品 図14
  • 特許-非燃焼加熱式香味吸引物品及び非燃焼加熱式香味吸引製品 図15
  • 特許-非燃焼加熱式香味吸引物品及び非燃焼加熱式香味吸引製品 図16
  • 特許-非燃焼加熱式香味吸引物品及び非燃焼加熱式香味吸引製品 図17
  • 特許-非燃焼加熱式香味吸引物品及び非燃焼加熱式香味吸引製品 図18
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-08
(45)【発行日】2023-05-16
(54)【発明の名称】非燃焼加熱式香味吸引物品及び非燃焼加熱式香味吸引製品
(51)【国際特許分類】
   A24D 1/20 20200101AFI20230509BHJP
   A24D 1/02 20060101ALI20230509BHJP
   A24F 40/465 20200101ALI20230509BHJP
【FI】
A24D1/20
A24D1/02
A24F40/465
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022552677
(86)(22)【出願日】2022-03-30
(86)【国際出願番号】 JP2022016005
(87)【国際公開番号】W WO2022210882
(87)【国際公開日】2022-10-06
【審査請求日】2022-09-01
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2021/014097
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2021/014098
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004569
【氏名又は名称】日本たばこ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川崎 玲二朗
(72)【発明者】
【氏名】山口 勝太
(72)【発明者】
【氏名】四分一 弘
【審査官】高橋 武大
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-512235(JP,A)
【文献】国際公開第2020/101203(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/213143(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/089084(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/177907(WO,A1)
【文献】特開2017-060406(JP,A)
【文献】国際公開第2020/250114(WO,A1)
【文献】国際公開第2021/002313(WO,A1)
【文献】中国実用新案第211185848(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24D 1/00-1/22
A24F 40/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁誘導加熱用のインダクタを備える電気加熱型デバイスと共に用いられる非燃焼加熱式香味吸引物品であって、
エアロゾル基材を含む香味生成セグメント充填物と、前記香味生成セグメント充填物を電磁誘導加熱するための板状のサセプターと、を含む香味生成セグメントと、
香味成分を吸引するためのマウスピースセグメントと、
前記香味生成セグメントに隣接して、香味吸引物品の吸口とは反対側に備えられる、先端セグメントと、
前記香味生成セグメントと前記マウスピースセグメントとの間に備えられる、支持セグメントと、
少なくとも前記香味生成セグメントの一部及び前記マウスピースセグメントの一部を巻装するライニングシートと、
を備え、
前記先端セグメントは、酢酸セルロース長繊維と可塑剤の固化物であり、多孔質状かつ中実に形成され、かつ、通気方向の長さが5mm以上、10mm以下であり、
前記マウスピースセグメントは、冷却セグメントとフィルターセグメントとを有し、
前記ライニングシートが、少なくとも、第1のシートと、前記第1のシートの外側に、かつ、下流側に配置される第2のシートと、を備え、
前記第1のシートは、前記先端セグメント、前記香味生成セグメント、前記支持セグメント、及び前記冷却セグメントの一部を巻装しており、前記第2のシートは、前記第1のシートで巻装された先端セグメント、前記香味生成セグメント、及び前記支持セグメントに、マウスピースセグメントを接続し、
前記冷却セグメント、前記第1のシート、及び第2のシートには、これらを貫通する開孔が設けられている、
非燃焼加熱式香味吸引物品。
【請求項2】
前記開孔は、前記冷却セグメントの通気方向における上流側に位置している、請求項1に記載の非燃焼加熱式香味吸引製品。
【請求項3】
前記可塑剤が、トリアセチンである、請求項1に記載の非燃焼加熱式香味吸引物品。
【請求項4】
前記先端セグメントの通気抵抗が0mmHO以上、15mmHO以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の非燃焼加熱式香味吸引物品。
【請求項5】
前記第1のシートの通気度が、0コレスタユニット超、15コレスタユニット以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の非燃焼加熱式香味吸引物品。
【請求項6】
前記第2のシートの通気度が、0コレスタユニット超、15コレスタユニット以下である、請求項1~5のいずれか1項に記載の非燃焼加熱式香味吸引物品。
【請求項7】
請求項1~のいずれか1項に記載の非燃焼加熱式香味吸引物品と、電気加熱型デバイスと、を備え、
前記電気加熱型デバイスは、
電磁誘導加熱用のインダクタと、
前記インダクタに作動電力を供給する電力源と
記非燃焼加熱式香味吸引物品を挿入口から挿入可能な加熱チャンバと、
を備える、非燃焼加熱式香味吸引製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非燃焼加熱式香味吸引物品及び非燃焼加熱式香味吸引製品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、サセプターのような加熱要素と、エアロゾル形成材を含むゲルが充填された多孔質媒体とを含むエアロゾル生成装置が提案されている(例えば特許文献1~6)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2020/127116号
【文献】国際公開第2020/025562号
【文献】国際公開第2019/197170号
【文献】国際公開第2020/216762号
【文献】国際公開第2020/216765号
【文献】国際公開第2020/249661号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、非燃焼加熱式香味吸引物品の性能を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の要旨は以下の通りである。
[1] 電磁誘導加熱用のインダクタを備える電気加熱型デバイスと共に用いられる非燃焼加熱式香味吸引物品であって、
エアロゾル基材を含む香味生成セグメント充填物と、前記香味生成セグメント充填物を電磁誘導加熱するための板状のサセプターと、を含む香味生成セグメントと、
香味成分を吸引するためのマウスピースセグメントと、
前記香味生成セグメントに隣接して、香味吸引物品の吸口とは反対側に備えられる、先端セグメントと、
を備え、
前記先端セグメントは、酢酸セルロース長繊維と可塑剤の固化物であり、多孔質状かつ中実に形成され、かつ、通気方向の長さが5mm以上、10mm以下である、
非燃焼加熱式香味吸引物品。
[2] 前記可塑剤が、トリアセチンである、[1]に記載の非燃焼加熱式香味吸引物品。
[3] 前記先端セグメントの通気抵抗が0mmHO以上、15mmHO以下である、[1]又は[2]に記載の非燃焼加熱式香味吸引物品。
[4] 前記香味生成セグメントと前記マウスピースセグメントとの間に備えられる、支持セグメントと、
少なくとも前記香味生成セグメントの一部及び前記マウスピースセグメントの一部を巻装するライニングシートと、
をさらに備え、
前記ライニングシートが、少なくとも、第1のシートと、前記第1のシートの外側に、かつ、下流側に配置される第2のシートと、を備え、前記第1のシートが前記先端セグメント、前記香味生成セグメント及び前記支持セグメントを巻装する、
請求項1~3のいずれか1項に記載の非燃焼加熱式香味吸引物品。
[5] 請求項1~4のいずれか1項に記載の非燃焼加熱式香味吸引物品と、電気加熱型デバイスと、を備え、
前記電気加熱型デバイスは、
電磁誘導加熱用のインダクタと、
前記インダクタに作動電力を供給する電力源と、
前記インダクタを制御するための制御ユニットと、
前記非燃焼加熱式香味吸引物品を挿入口から挿入可能な加熱チャンバと、
を備える、非燃焼加熱式香味吸引製品。
【0006】
なお、課題を解決するための手段に記載の内容は、本発明の課題や技術的思想を逸脱しない範囲で可能な限り組み合わせることができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、非燃焼加熱式香味吸引物品の性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本実施形態に係る非燃焼加熱式香味吸引製品の構成を模式的に示す図である。
図2図2は、本実施形態に係る非燃焼加熱式香味吸引製品の構成を模式的に示す図である。
図3図3は、非燃焼加熱式たばこの一例を示す図である。
図4図4は、板状のサセプターの一例を示す斜視図である。
図5図5は、板状のサセプターの製造方法を模式的に示す図である。
図6図6は、板状のサセプターの変形例を説明するための平面図である。
図7図7は、板状のサセプターの変形例を説明するための平面図である。
図8図8は、板状のサセプターの切断面を説明するための図である。
図9図9は、香味生成セグメントの変形例を説明するための図である。
図10図10は、被覆された板状のサセプターの製造方法を説明するための図である。
図11図11は、被覆層の変形例を説明するための図である。
図12図12は、被覆層の変形例を説明するための図である。
図13図13は、被覆層の変形例を説明するための図である。
図14図14は、非燃焼加熱式たばこの変形例を説明するための図である。
図15図15は、板状のサセプターの幅方向に沿って非燃焼加熱式たばこを切断した縦断面図の一例である。
図16図16は、ライニングシートの変形例を説明するための図である。
図17図17は、ライニングシートの糊付けパターンを説明するための図である。
図18図18は、ライニングシートの変形例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係る非燃焼加熱式たばこの実施形態について、図面に基づいて説明する。本実施形態に記載されている構成要素の寸法、材質、形状、それらの相対的な配置等は一例である。また、処理の順序も一例であり、本発明の課題や技術的思想を逸脱しない範囲で可能な限り入れ替
えたり並列に実行したりすることができる。したがって、特に限定的な説明がない限り、発明の技術的範囲は以下の例には限定されない。
なお、本明細書において「~」という表現を用いる場合、その前後の数値または物性値を含む表現として用いるものとする。
【0010】
<非燃焼加熱式香味吸引製品>
図1は、本実施形態に係る非燃焼加熱式香味吸引製品の構成の一例を模式的に示す図である。本実施形態に係る非燃焼加熱式香味吸引製品1は、非燃焼加熱式たばこ(非燃焼加熱式香味吸引物品)2と、非燃焼加熱式たばこ2の香味生成セグメント21を電磁誘導加熱により加熱する電気加熱型デバイス3とを備える。
【0011】
電気加熱型デバイス3は、ボディ31と、電磁誘導加熱用のインダクタ32と、インダクタ32に作動電力を供給して作動させる電池ユニット(電力源)33と、インダクタを制御する制御ユニット34とを備える。ボディ31は、筒状の凹部35を有し、凹部35の最奥部(換言すれば最深部)である底面からボディ31の通気方向端部の外側表面まで貫通する空気流路36を有し、凹部35の内側側面であって、凹部35に挿入される非燃焼加熱式たばこ2の香味生成セグメントと対応する位置に、インダクタ32が配置されている。この凹部35は、具体的には非燃焼加熱式香味吸引物品を挿入口から挿入可能な加熱チャンバである。なお、図1における電子加熱デバイス3における空気流路36は、凹部35の底面からボディ31の通気方向端部の外側表面まで直線で貫通する貫通口となっているが、凹部35の底面からボディ31の外側表面までを貫通していればその形状は特段制限されない。例えば、空気流路36は、L字形状であり、凹部35の底面からボディ31の側面端部まで貫通する態様であってもよい。電気加熱型デバイス3の作動は、ボディ31に配置された操作スイッチ等の手動操作をトリガとしてもよい。また、使用者による電気加熱型デバイス3の凹部35内への非燃焼加熱式たばこ2の挿入所作に応答して電気加熱型デバイス3が自動的に作動してもよい。また、非燃焼加熱式たばこの吸口とは反対側の先端と、該先端が突き当たる凹部35の箇所とを係合させて、通気抵抗を発生させるような態様としてもよい。
【0012】
電池ユニット33はDC電流を供給する。制御ユニット33はインダクタ32に高周波AC電流を供給するためのDC/ACインバータを含む。装置が作動する時、高周波の交流電流がインダクタ32の一部を形成する誘電コイルを通過する。これにより、インダクタ32が変動電磁場を生成する。電磁場の周波数は1MHz以上、30MHz以下、好ましくは2MHz以上、10MHz以下、例えば5MHz以上、7MHz以下変動することが好ましい。
【0013】
非燃焼加熱式たばこ2は、電気的に動作する電気加熱型デバイス3の使用と連動するように設計されている。非燃焼加熱式たばこ2は、充填物(香味生成セグメント充填物)211を含む香味生成セグメント21の内部に、充填物211等を電磁誘導により加熱する板状のサセプター(板状サセプター)212を有する。充填物211は、例えば、エアロゾル基材を含むたばこ刻である。板状のサセプター212は、例えば金属のように、電磁エネルギーを熱に変換するための任意の材料で形成される。
【0014】
非燃焼加熱式香味吸引製品1の使用時には、使用者は、板状のサセプター212を有する部位がインダクタ32に近接した位置になるように、非燃焼加熱式たばこ2を電気加熱型デバイス3に挿入する。電気加熱型デバイス3の凹部35の周囲には、インダクタ32が配設されている。非燃焼加熱式たばこ2が電気加熱型デバイス3の凹部35に挿入されると、非燃焼加熱式たばこ2が有する板状のサセプター212は、インダクタ32が生成する変動電磁場内に位置する。そして、変動電磁場が板状のサセプター212内に渦電流を生成し、その結果板状のサセプター212が加熱される。また、さらなる加熱が板状のサセプター212内の磁気ヒステリシス損失により提供される。
【0015】
そして、加熱された板状のサセプター212はエアロゾルを形成するのに十分な温度まで非燃焼加熱式たばこ2の充填物211を加熱する。この時の加熱温度として、充填物211が250℃以上、400℃以下に加熱される態様を挙げることができる。電気加熱型たばこ製品による加熱温度は特に限定されないが、400℃以下であることが好ましく、150℃以上400℃以下であることがより好ましく、200℃以上350℃以下であることがさらに好ましい。加熱により生成されたエアロゾルは、マウスピースセグメント22を通り、使用者に吸引される。
【0016】
電気加熱型デバイス3の凹部35の形状は、非燃焼加熱式たばこ2を挿入することができれば特段制限されず、例えば、円柱状であっても、4角柱や5角柱等の多角柱状であってもよいが、非燃焼加熱式たばこ2の保持の安定性から、円柱状であることが好ましい。凹部35の形状が円柱状である場合、該円柱の直径は、非燃焼加熱式たばこ2のサイズに合わせて適宜選択できるが、例えば5.5mm以上、8.0mm以下であり、6.0mm以上、7.7mm以下であることが好ましく、6.5mm以上、7.2mm以下であることがより好ましい。また、凹部35の形状及び非燃焼加熱式たばこ2の形状がともに円柱状である場合、凹部の直径は、非燃焼加熱式たばこ2の直径から0.5mm減じた値以上、非燃焼加熱式たばこ2の直径以下であることが好ましい。凹部の直径をこの範囲とすることにより、非燃焼加熱式たばこ2の保持の安定性を向上させるだけでなく、凹部35と非燃焼加熱式たばこ2との間の間隙を小さくすることができるために所望の通気抵抗を得ることができる。
【0017】
凹部35を形成する側壁(図1及び2においてはインダクタ32)には、図2に示すように、非燃焼加熱式たばこ2を固定するための突起37が設けられていてよい。凹部35を形成する側壁からの突起37の高さは、特段制限されないが、非燃焼加熱式たばこ2の保持の安定性の観点から、例えば、0.3mm以上、2.0mm以下であり、0.5mm以上、1.5mm以下であることが好ましく、0.5mm以上、1.0mm以下であることがより好ましい。また、凹部35の形状及び非燃焼加熱式たばこ2の形状がともに円柱状である場合、凹部の底面の直径は、非燃焼加熱式たばこ2の保持の安定性の観点から、非燃焼加熱式たばこ2の直径に0.5mm加えた値以上、非燃焼加熱式たばこ2の直径に1.5mm加えた値以下であることが好ましい。凹部の底面の直径をこの範囲とすることにより、非燃焼加熱式たばこ2の保持の安定性を向上させるだけでなく、凹部35と非燃焼加熱式たばこ2との間に所定の間隙を設けることができるため意図しない非燃焼加熱式たばこ2の変形を生じさせることを防止できる。さらに突起37による非燃焼加熱式たばこ2の断面積を変化させることができるために所望の通気抵抗を得ることができる。
【0018】
<非燃焼加熱式たばこ(非燃焼加熱式香味吸引物品)>
図3は、非燃焼加熱式たばこ(非燃焼加熱式香味吸引物品)の一例を示す図である。非燃焼加熱式たばこ2は、電磁誘導加熱用のインダクタを備える電気加熱型デバイスと共に用いられる非燃焼加熱式たばこであり、香味生成セグメント21と、マウスピースセグメント22とを備える。マウスピースセグメント22は、香味成分を吸引するための部材であり、冷却セグメント23と、フィルターセグメント24とを含む。香味生成セグメント21、冷却セグメント23及びフィルターセグメント24は、所定の方向に連設され、ライニングシート25で巻装されている。香味生成セグメント21で生成されるエアロゾルがマウスピースセグメント22を通過して使用者に吸引される方向を、通気方向と呼ぶ。非燃焼加熱式たばこ2はロッド状、特に柱状であり、その長手方向と通気方向とが一致している。
【0019】
非燃焼加熱式たばこの通気方向の長さは、特段制限されず、例えば、通常30mm以上であり、40mm以上であることが好ましく、45mm以上であることがより好ましい。また、通常100mm以下であり、85mm以下であることが好ましく、55mm以下であることがより好ましい。
非燃焼加熱式たばこの柱状体の底面の幅は、特段制限されず、例えば、通常5.5mm以上であり、6.8mm以上であることが好ましく、また、通常8.0mm以下であり、7.2mm以下であることが好ましい。
【0020】
非燃焼加熱式たばこの1本当たりの通気抵抗は、例えば20mmHO以上、110mmHO以下であり、好ましくは20mmHO以上、80mmHO以下であり、さらに好ましくは40mmHO以上、70mmHO以下である。このような範囲であると、使用者に適度な吸い応えを与えることができる。
非燃焼加熱たばこを電気加熱型デバイスの凹部(35)に挿入した際に、凹部形状と非燃焼加熱式たばこ外周形状との係合関係によって、非燃焼加熱たばこが圧縮されたり、非燃焼加熱たばこを凹部の突き当り位置まで差し込んだ際に、非燃焼加熱たばこ先端面と凹部突き当り部とが係合するため、使用時すなわち電気加熱型デバイスの凹部に差し込んだ際の非燃焼加熱たばこの通気抵抗は前述の凹部に差し込まない状態の通気抵抗から10~20mmHO上昇する場合がある。凹部に差し込んだ際に、例えば20mmHO以上、110mmHO以下であり、好ましくは20mmHO以上、80mmHO以下であり、さらに好ましくは40mmHO以上、70mmHO以下となるように非燃焼加熱たばこの通気抵抗を設計することで、使用者に適度な吸い応えを与えることができる。
非燃焼加熱式たばこの1本当たりの通気抵抗は、ISO標準法(ISO6565:2015)に従って、例えば、NCQA(JTトーシ株式会社製)を使用して測定される。非燃焼加熱式たばこのマウスピース端面から所定の空気流量(17.5cc/sec)の空気を吸引した際のマウスピース端面(負圧)と大気との気圧差を指す。マウスピース端面から吸気した際には、非燃焼加熱式たばこの先端部や側面から大気が非燃焼加熱たばこ内に導入される。
また、各セグメントの通気抵抗測定は、ISO標準法(ISO6565:2015)に従って、例えば通気抵抗測定器(商品名:SODIMAX、SODIM製)を使用して測定される。各セグメントの通気抵抗は、通気方向に対する各セグメントの側面(柱形状における側面)おける空気の透過が行なわれない状態で一方の端面(第1端面、柱形状におけるいずれか一方の底面)から他方の端面(第2端面、柱形状における第1端面の反対側の底面)に所定の空気流量(17.5cc/sec)の空気を流した際の、第1端面と第2端面との気圧差を指す。通気抵抗の単位は、一般的にはmmHOで表す。
【0021】
また、Borgwaldt法により非燃焼加熱たばこ及び/又は各セグメントの通気方向中央部を押して測定した、各セグメントの圧縮変化率は、硬さを表す指標の1つであり、特段制限されないが、例えば70%以上であり、好ましくは80%以上であり、さらに好ましくは85%以上である。上限は例えば95%以下である。このような範囲とすることで、例えば、非燃焼加熱式香味吸引物品を電気加熱型デバイスにスムースに挿入することができ挿入したときに、挿入および抜き取り時に非燃焼加熱式香味吸引物品の大きな変形や損傷を防ぐことができる。
Borgwaldt法は、たばこ製品のたばこ充填ロッド部やフィルター部の硬さ品質を評価するために広く使われている。例えば、ボルグワルド社製測定器DD60Aを用いて、水平方向に横並びで置かれた10本に対して、上方から下方に向けて2kg重の荷重Fを同時にかける。5秒間の荷重Fを負荷した後、ロッド部の直径の平均を測定する。圧縮変化率(%)は、以下の式で表される。
圧縮変化率(%)=100×(Dd(歪み後直径))/(Ds(歪み前直径)
上記の式中、Ddは、負荷Fをかけて減少したロッド部の直径であり、Dsは、負荷Fをかける前のロッド部の直径である。本方法では、1回10本ずつのサンプルについて、10回測定し(合計100本のサンプル)、この10回の測定結果の平均値を従来方法による測定結果とした。下部の円柱状ロッド2本および上部の円柱状ロッド2本は同じ間隔になっている。この2本の間隔よりも測定対象ロッドの長さが短い時は、測定サンプルは1回の測定で20本用いる。
また、上記の圧縮変化率は、非燃焼加熱式たばこの硬さを表す指標の一つであり、一般的には硬さと称されることもあるため、本明細書では、圧縮変化率を「硬さ」とも表す。
【0022】
<香味生成セグメント>
香味生成セグメント21は、充填物211と、板状のサセプター212とが、巻紙213で巻装されて形成される。充填物211は、例えばエアロゾル基材を含むたばこ葉、たばこ刻み、たばこシート、たばこ顆粒、ニコチンが担持されたイオン交換樹脂、及びたばこ抽出物より選択される少なくとも1つ以上を含んでいてよく、また、これらの成分であってもよい。充填物211を巻紙213内に充填する方法は特に限定されないが、例えば充填物211を巻紙213で包んでもよく、筒状に形成された巻紙213に充填物211を充填してもよい。たばこ充填物211の形状が長手方向を有する略直方体状である場合、たばこ充填物211は長手方向が巻紙213内でそれぞれ不特定の方向となるように充填されていてもよく、たばこ含有セグメントの軸方向又は該軸方向に対して垂直な方向となるように整列させて充填されていてもよい。また、例えば、たばこシートを用いる場合、たばこシートを0.5mm以上、2.0mm以下の幅に刻んだもの(長さは、例えば5mm以上、40mm以下)を板状のサセプター周辺の空隙にランダム配向で充填させてもよく、また、たばこシートを1.0mm以上、3.0mm以下の幅に刻んだもの(長さは、例えば5mm以上、40mm以下)を通気方向に並行に整列して充填させてもよく、また、たばこシートをクリンプ加工(縦目にスジを付ける加工)した後でギャザー充填させてもよい。香味生成セグメント21が加熱されることにより、充填物211に含まれるたばこ成分、エアロゾル基材及び水が気化し、吸引によりこれらはマウスピースセグメント22へ移行する。
【0023】
充填物211の態様及び香味生成セグメント21に充填物211を充填する態様をより具体的に説明する。下記の各態様における条件は、可能な範囲で組み合わせることができる。
(a)黄色種、バーレー種、オリエント種、在来種、その他のニコチアナ-タバカム系品種、及びニコチアナ-ルスチカ系品種等から選択される品種のたばこ植物の葉、葉脈、茎、根、又は花等の部位を採取した後、この採取したものを乾燥して水分を約10~15重量%としたものをベース基材として準備する。たばこ植物の品種や部位は、求められる香味に合わせて異なる種類をブレンドしてもよい。該ベース基材を幅0.5~1.5mm程度の刻形状となるようにカットし、円柱状の巻紙内にランダムに配向して充填するか、又は縦方向に略配向させて充填することができる。
【0024】
(b)黄色種、バーレー種、オリエント種、在来種、その他のニコチアナ-タバカム系品種、及びニコチアナ-ルスチカ系品種等から選択される品種のたばこ植物の葉、葉脈、茎、根、又は花等の部位を採取した後、この採取したものを粉砕し、水及びバインダーと混合して均一化したものをシート形状、顆粒形状、又は押出しロッド形状としたものをベース基材として準備する。たばこ植物の品種や部位は、求められる香味に合わせて異なる種類をブレンドしてもよい。ベース基材として顆粒形状(平均粒子径0.2~2.0mm)を用いた場合、これを円柱状の巻紙内に充填することができる。また、ベース基材としてシート形状(厚さ50~300μm、幅0.5~1.5mm、長さ5~40mm程度にカットした刻形状)のベース基材を用いた場合、円柱状の巻紙にランダムに配向して充填するか、もしくは縦方向に略配向させて充填するか、又はシート形状のまま円柱状の巻紙内にギャザー充填(縦方向に空気が流通する複数のチャネルを設ける態様であってもよい)することができる。
【0025】
(c)ミント、バジル、タイム、パクチー、ローズマリー、パセリ、フェンネル、レモングラス、シナモン等のハーブ植物、茶葉、コーヒー豆等から選択される品種の植物の葉、葉脈、茎、根、実、又は花等の部位を採取したもの、茶葉、又はコーヒー豆等を乾燥して水分を約10~15重量%としたものをベース基材として準備する。各種ハーブ植物、茶葉、コーヒー豆は、求められる香味に合わせてブレンドしてもよい。該ベース基材を幅0.5~1.5mm程度の刻形状となるようにカットし、円柱状の巻紙内にランダムに配向して充填するか、又は縦方向に略配向させて充填することができる。
【0026】
(d)木材パルプを主成分とする湿式不織布(wet laid non-woven fabrics)である紙(厚さ50~200μm、坪量30~200g/m)、又は天然繊維や合成繊維を主成分とする乾式不織布(dry laid non-woven fabrics)である不織布シート(厚さ200~2000μm、坪量30~200g/m)等の非たばこ植物の繊維を主原料とした多孔性部材(開細孔構造を有する部材)をベース基材として準備する。このようなベース基材では、孔の部分に香味源等の添加剤を外添することができ、孔構造であるため添加物は常温で安定して保持される。該ベース基材を幅0.5~1.5mm程度の刻形状となるようにカットし、円柱状の巻紙内にランダムに配向して充填するか、もしくは縦方向に略配向させて充填するか、又はシート形状のまま円柱状の巻紙内にギャザー充填(縦方向に空気が流通する複数のチャネルを設ける態様であってもよい)することができる。
【0027】
(e)ポリマーを主原料とした部材をベース基材として準備する。ポリマーを主原料とした部材の態様は特段制限されず、例えば、ジェランガム、カラギーナン、ペクチン、又は寒天等の増粘多糖類と水とその他添加剤を混合し、ホモジナイズした後、水分を飛ばしたものを用いることができる。増粘多糖類の種類によってはカルシウムイオンのようなカチオン存在により分子間の架橋構造が強化されてより強固なゲルを形成することがあるため、必要に応じてカルシウム塩やカリウム塩を混合することもできる。水分を飛ばす方法は特段制限されず、例えば、常温加熱、減圧加熱、又は凍結乾燥等の方法を利用することができる。また、該部材は、開細孔構造を有するものであっても、閉細孔構造を有するものであってもよい。開細孔構造を有するものとしては、例えば、ゲル化剤とゲル化促進剤と水とをホモジナイズし、有機分子間で架橋構造を有する湿性ゲルを作製した後、超臨界二酸化炭素処理又は凍結乾燥処理によって、架橋構造を残したまま水分を揮発させることで低密度の開細孔構造を有するゲル(有機エアロゲルとも称する。)を得ることができる。この際、フレーバー、たばこ抽出物、たばこ粉砕物等の香味源を他の原料とともにホモジナイズしてもよく、また、該香味源を有機エアロゾル製造後に孔構造における孔に外添してもよい。また、閉細孔を有するものとしては、多糖類と、水と、フレーバー又はたばこ抽出物等の香味源とをホモジナイズした後、常圧で加熱乾燥することで、多糖類中に香味源の液滴又は固体の塊が分散されているゲルを得ることができる。このゲルは、細孔構造は有しているが、常温では外部に対して孔が閉じた細孔構造となる。孔中に香味源を添加させる態様では、加熱や水分付与により細孔が開き、孔中の香味源が解放される。該ベース基材は、顆粒形状(平均粒子径0.2~2.0mm)に加工して円柱状の巻紙内に充填させることができる。また、シート形状(厚さ50~300μm)に加工した後、幅0.5~1.5mm程度の刻形状となるようにカットし、円柱状の巻紙内にランダムに配向して充填するか、もしくは縦方向に略配向させて充填するか、又はシート形状のまま円柱状の巻紙内にギャザー充填(縦方向に空気が流通する複数のチャネルを設ける態様であってもよい)することができる。
【0028】
香味生成セグメント21の周の長さは特に限定されないが、16~25mmであることが好ましく、20~24mmであることがより好ましく、21~23mmであることがさらに好ましい。
香味生成セグメント21の通気方向の長さは、特段制限されず、例えば、通常7mm以上であり、10mm以上であることが好ましく、12mm以上であることがより好ましい。また、通常60mm以下であり、30mm以下であることが好ましく、20mm以下であることがより好ましい。
香味生成セグメント21の全量に対する充填物211の充填率は、香味生成セグメント21の内側空隙体積を基準に、通常0.2mg/mm以上0.7mg/mm以下である。
【0029】
香味生成セグメント21の通気抵抗は、例えば5mmHO以上、60mmHO以下であり、好ましくは10mmHO以上、40mmHO以下であり、さらに好ましくは15mmHO以上、35mmHO以下である。また、香味生成セグメント21における充填物211の充填密度は、香味生成セグメント21の全量に対する充填物211の充填率(充填密度)は、香味生成セグメント21の内側空隙体積を基準に、通常0.2mg/mm以上0.7mg/mm以下であってよく、0.2mg/mm以上0.6mg/mm以下であってよい。このような範囲であることで、例えば、板状のサセプターによる熱が充填物211に十分に伝えることができ、かつ、吸引時に香味成分の不必要な濾過を抑えることができて良好な放出を確保できる。
【0030】
充填物211は、香味生成セグメント21の内部に板状のサセプター212を保持する。板状のサセプター212の材料は、例えば金属であり、具体的には、アルミニウム、鉄、鉄合金、ステンレス鋼、ニッケル、ニッケル合金のいずれか、又はこれら2以上の組合せを例示できる。金属以外では例えばカーボンを用いることもできるが、後述する連続する畝状の隆起部を形成しやすい観点、及び良好な電磁誘導加熱を可能とする観点から、金属であることが好ましい。板状のサセプター212は、例えば通気方向に延びる板状の部材である。板状のサセプター212は、インダクタ32が生成する変動電磁場により板状のサセプター212内に生じる渦電流によって加熱される。加熱された板状のサセプター212は、その周囲の充填物211を加熱し、エアロゾルを形成させる。なお、板状のサセプター212は、その厚さ方向に貫通する貫通孔を有していてもよい。また、板状のサセプター212は、その厚さ方向又は通気方向に突出する凸部や、厚さ方向又は通気方向に窪んだ凹部を有していてもよい。また、2以上の板状のサセプター212が、通気方向に対して並列に又は直列に配設されていてもよい。また、香味生成セグメント21は、板状のサセプター212に加えて、又は板状のサセプター212に代えて、例えばスレッド形状や粒状等のような他の形状のサセプターを有していてもよい。充填物211と接する板状のサセプター212の表面積を増加させることで、エアロゾルの生成効率を向上させることができる。
【0031】
なお、充填物211は、25℃において液状であるエアロゾル基材、又は25℃においてゲル状であるエアロゾル基材を含んでいてもよい。
25℃において液状であるエアロゾル基材としては、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、トリアセチン、1,3-ブタンジオール等からなる群から選択される1以上が挙げられる。充填物211の重量に対する液状であるエアロゾル基材の含有率は、通常5重量%以上、50重量%以下であり、好ましくは10重量%以上、35重量%以下であり、より好ましくは15重量%以上、30重量%以下である。
充填物211に液状エアロゾル基材を含ませると、製造時、輸送時に液体が巻紙やマウスピース部材へ移動することがある。25℃においてゲル状であるエアロゾル基材を充填物211に含ませることで前述の製造時、輸送時のエアロゾル基材の移動を防止することができる。
25℃においてゲル状であるエアロゾル基材としては、例えば、前述の25℃で液体状態であるエアロゾル基材(グリセリン、プロピレングリコール、トリアセチン、1,3-ブタンジオール)に多糖類(ジェランガム、寒天、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、でんぷん、修飾でんぷん、セルロース、修飾セルロース、ペクチン)やたんぱく質(コラーゲン、ゼラチン)を必要量混合することで作成することができる。たとえば、水を5~30重量%含むグリセリンに対して、ネイティブ型ジェランガムを0.2~1.0重量%配合することで25℃においてゲル状のエアロゾル基材とすることができる。他の増粘剤を使用する際も必要なゲル化特性に応じて配合量を決めていくこともできる。充填物211の重量に対するゲル状であるエアロゾル基材の含有率は、通常5重量%以上、50重量%以下であり、好ましくは10重量%以上、35重量%以下であり、より好ましくは15重量%以上、30重量%以下である。
【0032】
以下、充填物211に含まれ得る成分について詳細に説明するが、含まれる態様は特段制限されず、例えば、充填物211の製造途中で添加してもよく、製造後に添加してもよく、具体的には上記の(a)~(e)の具体的態様におけるベース基材に添加してもよい。
【0033】
充填物211は、香味料を含んでいてもよい。香味料の種類は特段制限されず、良好な喫味の付与の観点から、例えば、香料、呈味料等が挙げられる。さらに、その他の成分として、任意に、着色剤、湿潤剤、保存料を含んでいてもよい。香味料やその他の成分の性状は問わず、例えば液体であっても固体であってもよく、また、1種類を単独で用いても、2種類以上を任意の種類及び割合で併用してもよい。
【0034】
香料の好ましいフレーバーとしては、1種類を単独で用いても、2種類以上を任意の種類及び割合で併用してもよく、冷感や温感をもたらす成分であってもよい。香料の種類は、例えば、糖質および糖系のフレーバー、リコリス(甘草)、ココア、チョコレート、果汁およびフル-ツ、スパイス、洋酒、ハーブ、バニラ、又はフラワー系フレーバー等が挙げられる。また、香料として、例えば「周知・慣用技術シュウ(香料)」(2007年3月14日、特許庁発行)、「最新 香料の事典(普及版)」(2012年2月25日、荒井綜一ら編、朝倉書店)、又は「Tobacco Flavoring for Smoking Products」(1972年6月、R.J.REYNOLDS TOBACCO COMPANY)に記載される種類を使用することができる。
【0035】
香料の例として、より具体的には、イソチオシアネート類、インドールおよびその誘導体、エーテル類、エステル類、ケトン類、脂肪酸類、脂肪族高級アルコール類、脂肪族高級アルデヒド類、脂肪族高級炭化水素類、チオエーテル類、チオ-ル類、テルペン系炭化水素類、フェノールエーテル類、フェノール類、フルフラールおよびその誘導体、 芳香族アルコール類、芳香族アルデヒド類、ラクトン類等が挙げられる。
さらに具体的には、アセトアニソール、アセトフェノン、アセチルピラジン、2-アセチルチアゾール、アルファルファエキストラクト、アミルアルコール、酪酸アミル、トランス-アネトール、スターアニス油、リンゴ果汁、ペルーバルサム油、ミツロウアブソリュート、ベンズアルデヒド、ベンゾインレジノイド、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、フェニル酢酸ベンジル、プロピオン酸ベンジル、2,3-ブタンジオン、2-ブタノール、酪酸ブチル、酪酸、カラメル、カルダモン油、キャロブアブソリュート、β-カロテン、ニンジンジュース、L-カルボン、β-カリオフィレン、カシア樹皮油、シダーウッド油、セロリーシード油、カモミール油、シンナムアルデヒド、ケイ皮酸、シンナミルアルコール、ケイ皮酸シンナミル、シトロネラ油、DL-シトロネロール、クラリセージエキストラクト、コーヒー、コニャック油、コリアンダー油、クミンアルデヒド、ダバナ油、δ-デカラクトン、γ-デカラクトン、デカン酸、ディルハーブ油、3,4-ジメチル-1,2-シクロペンタンジオン、4,5-ジメチル-3-ヒドロキシ-2,5-ジヒドロフラン-2-オン、3,7-ジメチル-6-オクテン酸、2,3-ジメチルピラジン、2,5-ジメチルピラジン、2,6-ジメチルピラジン、2-メチル酪酸エチル、酢酸エチル、酪酸エチル、ヘキサン酸エチル、イソ吉草酸エチル、乳酸エチル、ラウリン酸エチル、レブリン酸エチル、エチルマルトール、オクタン酸エチル、オレイン酸エチル、パルミチン酸エチル、フェニル酢酸エチル、プロピオン酸エチル、ステアリン酸エチル、吉草酸エチル、エチルバニリン、エチルバニリングルコシド、2-エチル-3,(5または6)-ジメチルピラジン、5-エチル-3-ヒドロキシ-4-メチル-2(5H)-フラノン、2-エチル-3-メチルピラジン、ユ-カリプトール、フェネグリークアブソリュート、ジェネアブソリュート、リンドウ根インフュージョン、ゲラニオ-ル、酢酸ゲラニル、ブドウ果汁、グアヤコール、グァバエキストラクト、γ-ヘプタラクトン、γ-ヘキサラクトン、ヘキサン酸、シス-3-ヘキセン-1-オール、酢酸ヘキシル、ヘキシルアルコール、フェニル酢酸ヘキシル、ハチミツ、4-ヒドロキシ-3-ペンテン酸ラクトン、4-ヒドロキシ-4-(3-ヒドロキシ-1-ブテニル)-3,5,5-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-オン、4-(パラ-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノン、4-ヒドロキシウンデカン酸ナトリウム、インモルテルアブソリュート、β-イオノン、酢酸イソアミル、酪酸イソアミル、フェニル酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、フェニル酢酸イソブチル、ジャスミンアブソリュート、コーラナッツティンクチャー、ラブダナム油、レモンテルペンレス油、カンゾウエキストラクト、リナロール、酢酸リナリル、ロベージ根油、メープルシロップ、メンソール、メントン、酢酸L-メンチル、パラメトキシベンズアルデヒド、メチル-2-ピロリルケトン、アントラニル酸メチル、フェニル酢酸メチル、サリチル酸メチル、4’-メチルアセトフェノン、メチルシクロペンテノロン、3-メチル吉草酸、ミモザアブソリュート、トウミツ、ミリスチン酸、ネロール、ネロリドール、γ-ノナラクトン、ナツメグ油、δ-オクタラクトン、オクタナ-ル、オクタン酸、オレンジフラワー油、オレンジ油、オリス根油、パルミチン酸、ω-ペンタデカラクトン、ペパーミント油、プチグレインパラグアイ油、フェネチルアルコール、フェニル酢酸フェネチル、フェニル酢酸、ピペロナール、プラムエキストラクト、プロペニルグアエトール、酢酸プロピル、3-プロピリデンフタリド、プルーン果汁、ピルビン酸、レーズンエキストラクト、ローズ油、ラム酒、セージ油、サンダルウッド油、スペアミント油、スチラックスアブソリュート、マリーゴールド油、ティーディスティレート、α-テルピネオール、酢酸テルピニル、5,6,7,8-テトラヒドロキノキサリン、1,5,5,9-テトラメチル-13-オキサシクロ(8.3.0.0(4.9))トリデカン、2,3,5,6-テトラメチルピラジン、タイム油、トマトエキストラクト、2-トリデカノン、クエン酸トリエチル、4-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセニル)2-ブテン-4-オン、2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1,4-ジオン、4-(2,6,6-トリメチル-1,3-シクロヘキサジエニル)2-ブテン-4-オン、2,3,5-トリメチルピラジン、γ-ウンデカラクトン、γ-バレロラクトン、バニラエキストラクト、バニリン、ベラトルアルデヒド、バイオレットリーフアブソリュート、シトラール、マンダリン油、4-(アセトキシメチル)トルエン、2-メチル-1-ブタノール、10-ウンデセン酸エチル、ヘキサン酸イソアミル、1-フェニルエチル酢酸、ラウリン酸、8-メルカプトメントン、シネンサール、酪酸ヘキシル、植物粉末(ハーブ粉末、フラワー粉末、スパイス粉末、茶粉末:ココア粉末、キャロブ粉末、コリアンダー粉末、リコリス粉末、オレンジピール粉末、ローズピップ粉末、カモミールフラワ粉末、レモンバーベナ粉末、ペパーミント粉末、リーフ粉末、スペアミント粉末、紅茶粉末など)、カンファー、イソプレゴール、シネオール、ハッカオイル、ユ-カリプタスオイル、2-l-メントキシエタノール(COOLACT(登録商標)5)、3-l-メントキシプロパン-1,2-ジオール(COOLACT(登録商標)10)、l-メンチル-3-ヒドロキシブチレート(COOLACT(登録商標)20)、p-メンタン-3,8-ジオール(COOLACT(登録商標)38D)、N-(2-ヒドロキシ-2-フェニルエチル)-2-イソプロピル-5,5-ジメチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド(COOLACT(登録商標)370)、N-(4-(シアノメチル)フェニル)-2-イソプロピル-5,5-ジメチルシクロヘキサンカルボキサミド(COOLACT(登録商標)400)、N-(3-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)-2-イソプロピル-5,5-ジメチルシクロヘキサンカルボキサミド、N-エチル-p-メンタン-3-カルボアミド(WS-3)、エチル-2-(p-メンタン-3-カルボキサミド)アセテート(WS-5)、N-(4-メトキシフェニル)-p-メンタンカルボキサミド(WS-12)、2-イソプロピル-N,2,3-トリメチルブチラミド(WS-23)、3-l-メントキシ-2-メチルプロパン-1,2-ジオール、2-l-メントキシエタン-1-オール、3-l-メントキシプロパン-1-オール、4-l-メントキシブタン-1-オール、メンチルラクテート(FEMA3748)、メントングリセリンアセタール(Frescolat MGA、FEMA3807、FEMA3808)、2-(2-l-メンチルオキシエチル) エタノール、グリオキシル酸メンチル、2-ピロリドン-5-カルボン酸メンチル、コハク酸メンチル(FEMA3810)、N-(2-(ピリジン-2-イル)-エチル)-3-p-メンタンカルボキサミド(FEMA4549)、N-(エトキシカルボニルメチル)-p-メンタン-3-カルボキサミド、N-(4-シアノメチルフェニル)-p-メンタンカルボキサミド、又はN-(4-アミノカルボニルフェニル)-p-メンタン等が挙げられる。
【0036】
呈味料としては、例えば、甘味、酸味、塩味、旨味、苦味、渋味、又はこく味などを呈する成分が挙げられる。
甘味を呈する成分は、例えば、糖類、糖アルコール、又は甘味料などが挙げられる。糖類は、例えば、単糖類、二糖類、オリゴ糖、又は多糖類などが挙げられる。甘味料は、例えば、天然甘味料、又は合成甘味料などが挙げられる。
酸味を呈する成分は、例えば、有機酸(およびそのナトリウム塩)などが挙げられる。有機酸は、例えば、酢酸、アジピン酸、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、コハク酸、又は酒石酸などが挙げられる。
苦味を呈する成分は、例えば、カフェイン(抽出物)、ナリンジン、又はニガヨモギ抽出物などが挙げられる。
塩味を呈する成分は、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、酢酸ナトリウム、又は酢酸カリウムなどが挙げられる。
旨味を呈する成分は、例えば、グルタミン酸ナトリウム、イノシン酸ナトリウム、又はグアニル酸ナトリウムなどが挙げられる。
渋味を呈する成分は、例えば、タンニン、又はシブオールなどが挙げられる。
【0037】
着色剤は、例えば、天然色素、又は合成色素などが挙げられる。天然色素は、例えば、カラメル、ウコン、ベニコウジ、クチナシ、ベニバナ、カロテン、マリーゴールド、又はアナトーなどが挙げられる。合成色素は、例えば、タール色素、又は酸化チタンなどが挙げられる。
【0038】
湿潤剤は、例えば、ワックス、ろう、グリセリン、中鎖脂肪酸トリグリセリド、又は脂肪酸(短鎖、中鎖、又は長鎖脂肪酸)等の脂質などが挙げられる。
【0039】
充填物211中の香味料の合計の含有量は、特に限定されないが、良好な喫味の付与の観点から、例えば、通常10ppm以上であり、好ましくは10000ppm以上であり、より好ましくは50000ppm以上であり、また、通常250000ppm以下であり、好ましくは200000ppmであり、より好ましくは150000ppm以下であり、さらに好ましくは100000ppm以下である。
【0040】
充填物211は、香味調整剤を含んでいてもよく、香味調整剤としては例えば酸やアルカリが挙げられる。
香味調整剤として用い得る酸の種類は、可食性であれば特段制限されず、例えば有機酸が挙げられる。特に、酸は常温(15~25℃)で液体であると、香味調整剤を溶剤と混合してスプレー噴霧する場合に添加が容易である点で好ましい。酸としては、具体的には、ステアリン酸、イソステアリン酸、リノール酸、オレイン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ドデカン酸、カプリン酸、安息香酸、イソ酪酸、プロピオン酸、アジピン酸、酢酸、バニリルマンデル酸、マレイン酸、グルタル酸、フマル酸、コハク酸、乳酸、グリコール酸、又はグルタミン酸等が挙げられる。これらの酸は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の種類及び割合で併用してもよい。これらの中でも、15~25℃で液体の酸としては、例えばイソステアリン酸、リノール酸、オレイン酸、イソ酪酸、プロピオン酸、酢酸、又は乳酸等が好ましく、さらに、安価であり、臭いが少なく香味への影響が少ない観点から、乳酸が好ましい。
香味調整剤として用い得るアルカリの種類は、可食性であれば特段制限されず、例えば、炭酸のアルカリ金属塩、クエン酸のアルカリ金属塩、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、もしくはこれらの混合物でもよいし、又はこれらを適当な水に溶解させた水溶液でもよい。
【0041】
充填物211は、後述する粒状サセプターを含んでいてもよい。充填物211中の粒状サセプターの含有量は、エアロゾルを効率よく生成させることができる観点から、例えば1重量%以上、20重量%以下であってよく、1重量%以上、15重量%以下であることが好ましく、1重量%以上、10重量%以下であることがより好ましい。
【0042】
充填物211として、上述した(a)~(e)に示すようなベース基材を用いた場合、エアロゾル基材、香味料、香味調整剤、粒状サセプター又はその他の成分をベース基材へ含ませる方法は特段制限されず、例えば以下に示す方法で実施することができる。以下、エアロゾル基材、香味料、香味調整剤、粒状サセプター又はその他の成分を添加成分と称する。
(1)ベース基材を製造した後、添加成分をそのまま外添する。
(2)ベース基材を製造した後、溶剤に添加成分を溶解又は分散させて得られた液体を外添する。
(3)ベース基材を製造した後、溶剤に添加成分を溶解又は分散させ、さらに増粘剤を加えて粘度調整(高粘度液体状態~ゲル状態)した後に外添する。このような態様で添加剤を添加することにより、添加剤を大量に添加した際の染み出しを抑制することができる。
(4)ベース基材を製造した後、添加成分を担持体に担持させたものを外添する。
(5)ベース基材を製造する過程で、添加成分をそのまま外添する。
(6)ベース基材を製造する過程で、溶剤に添加成分を溶解又は分散させて得られた液体を外添する。
(7)ベース基材を製造する過程で、添加成分を担持体に担持させたものを外添する。
上記の(5)~(7)のように、ベース基材を製造する過程で添加剤を含ませる態様は、上記の充填物211の具体的態様(b)、(d)、及び(e)の場合において特に実施しやすい。
上記の担持体としては、例えば、デキストリン、サイクロデキストリン、炭酸カルシウム、活性炭、シリカゲル、イオン交換樹脂等が挙げられる。また、担持体の平均粒子径は、ハンドリング性の観点から、50~500μm程度であることが好ましい。
【0043】
また、板状のサセプター212の厚さは、例えば30μm以上、1000μm以下であり、好ましくは50μm以上、500μm以下であり、さらに好ましくは50μm以上、200μm以下である。また、板状のサセプター212の通気方向の長さは、例えば6mm以上、60mm以下であり、好ましくは香味生成セグメント21の通気方向の長さから4mm減じた値以上、香味生成セグメント21の通気方向の長さ以下である。通気方向と直交する、板状のサセプター212の幅方向の長さは、例えば1mm以上、7mm以下であり、好ましくは2mm以上、6mm以下であり、さらに好ましくは3mm以上、5mm以下である。
上記範囲とすることで、例えば、香味生成セグメント全体を効率良く加熱することができる。
香味生成セグメントに板状のサセプターを高速で挿入する際に板状のサセプターが破損しないような強度が必要となる。板状のサセプターの通気方向の両端を把持して引張試験に供した際に、破断強度が2N以上であることが好ましい。引張試験は、例えば、株式会社サン科学製のレオメーター、型式番号CR-3000EX-Lを用いて、引張速度50mm/minで行うことができる。板状のサセプターの材質や形状によるが、引張試験実施すると、最初に板状のサセプターの伸びが発生して、レオメーターのロードセルで測定される引張応力が増加していく。更に引っ張り続けると板状のサセプターが切断される。上記破断強度はレオメーターに記録された引張応力の最大値をさす。破断直前で引張応力が最大値を記録した後、引張応力は無くなる。
【0044】
巻紙213は、紙やポリマーフィルム等を用いることができ、また、一枚で構成されていてもよいが、複数枚以上で構成されていてもよく、さらに、外側又は内側にコーティングが施されていてもよい。例えば、紙及びポリマーフィルムが積層された積層シートと、内側、外側のどちらか一方または両方に耐水性コーティングが施された紙とから選択されるものであってもよい。巻紙213は通気性が低くてもよい。例えば通気度が15コレスタ未満であっても良い。好ましくは通気度が10コレスタ未満であることが好ましい。このような構成にすることで、使用前および使用時の香味生成セグメントからの揮発性香味源やエアロゾル基材の揮散や漏出に起因する染みの生成を防ぐことができる。
インダクタ32と板状のサセプターとの間に位置する巻紙213部分に金属を配置することで、使用時にインダクタ32が発生する変動電磁場が吸収されてしまい、変動電磁場を設計値通りに板状のサセプターに伝えることが妨げられるため、インダクタ32と板状のサセプターとの間に位置する巻紙213は、金属を含まないことが好ましい。
【0045】
<冷却セグメント>
【0046】
マウスピースセグメントは冷却セグメントを有していてよく、冷却セグメント23は筒状部材で構成される態様を挙げることができる。冷却セグメントは、香味セグメントよりも下流に位置する。加熱されて気化した、エアロゾル基材や香味源の蒸気が冷却セグメントに導入されて冷却されて、液化(エアロゾル化)される。冷却セグメントは香味セグメントで発生したエアロゾル基材や香味源の蒸気を大きく除去することなく温度を冷却することが好ましい。例えば、吸引時に冷却セグメント入口のセグメント内部温度と冷却セグメント出口部のセグメント内部温度との差が20℃以上となることもある。
冷却セグメントの一つの態様としては、1枚の紙もしくは複数枚の紙を貼り合わせた紙を円筒状に加工した紙管であってもよい。また、室温の外部空気を高温の蒸気と接触させて冷却効果を増大させるために、前記紙管の周囲に外部空気導入のための孔があることが好ましい。紙管の内側表面にポリビニルアルコール等のポリマーコーティング、または、ペクチン等の多糖類のコーティングを施すことで、コーティングの吸熱や相変化に伴う溶解熱を利用して冷却効果を増大することもできる。この筒状の冷却セグメントの通気抵抗はゼロmmHOとなる。
冷却セグメントの別の態様としては、円筒状に加工した紙管の内部に冷却用のシート部材を充填することも好ましい。この際は、流れ方向に一つまたは複数の空気流通チャネルを設けることで、冷却用のシート部材による冷却を行ないつつ、低いレベルの成分濾過を達成できる。この冷却シートを充填した際の冷却セグメントの通気抵抗は0~30mmHOであることが望ましい。
【0047】
冷却用のシート部材の全表面積は、300mm2/mm以上、1000mm2/mm以下を挙げることができる。この表面積は、冷却用のシート部材の通気方向の長さ(mm)当たりの表面積である。冷却用のシート部材の全表面積は、400mm2/mm以上であることが好ましく、450mm2/mm以上であることがより好ましく、一方、600mm2/mm以下であることが好ましく、550mm2/mm以下であることがより好ましい。
【0048】
冷却セグメント23は、その内部構造が大きい表面積を有することが望ましい。従って、好ましい実施形態において、冷却用のシート部材は、流れ方向にチャネルを形成するためにしわ付けされて、次に、ひだ付け、ギャザー付け、及び折り畳まれた薄い材料のシートによって形成されてもよい。要素の与えられた体積内の折り畳み又はひだが多いと、冷却用のシート部材の合計表面積が大きくなる。
【0049】
一部の実施形態において、冷却用のシート部材の構成材料の厚みは、5μm以上、500μm以下、例えば、10μm以上、250μm以下を挙げることができる。
【0050】
冷却用のシート部材は、比表面積が10mm2/mg以上、100mm2/mg以下である材料から形成することができる。一実施形態において、構成材料の比表面積は、約35mm2/mgとすることができる。
【0051】
比表面積は、既知の幅及び厚みを有する冷却用のシート部材の材料を考慮して決定することができる。例えば、冷却用のシート部材の材料は、平均厚みが50μmであって変動が±2μmであるポリ乳酸とすることができる。冷却用のシート部材の材料が、同じく例えば200mm以上、250mm以下の間の既知の幅を有する場合は、比表面積及び密度は、計算することができる。
【0052】
また、冷却用のシート部材の材料として紙を用いることも環境負荷低減の観点で望ましい。冷却シート用の材料としての紙は、坪量30~100g/m2、厚さ20~100umであることが望ましく。冷却セグメントにおける香味源成分とエアロゾル基材成分の除去を少なくするという観点では、冷却シート用の材料としての紙の通気度は低いことが望ましく、通気度は10コレスタ以下が好ましい。冷却シート用の材料としての紙にポリビニルアルコール等のポリマーポーティング、または、ペクチン等の多糖類のコーティングを施すことで、コーティングの吸熱や相変化に伴う溶解熱を利用して冷却効果を増大することもできる。
【0053】
筒状部材及びライニングシート25には、両者を貫通する開孔(ベンチレーションフィルター(Vf))231が設けられていてよい。開孔231の存在により、吸引時に外気が冷却セグメント23内に導入される。これにより、香味生成セグメント21が加熱されることで生成したエアロゾル気化成分が外気と接触し、その温度が低下するため液化し、エアロゾルが形成される。開孔231の径(差し渡し長さ)は特に限定されないが、例えば0.5mm以上、1.5mm以下であってもよい。開孔231の数は特に限定されず、1つでも2つ以上でもよい。例えば開孔231は冷却セグメント23の周上に複数設けられていてもよい。
【0054】
開孔231から導入される外気量は、使用者により吸引される気体全体の体積に対して85体積%以下が好ましく、80体積%以下がより好ましい。前記外気量の割合が85体積%以下であることにより、外気によって希釈されることによる香喫味の低減を十分に抑制することができる。なお、これを別の言い方ではベンチレーション割合ともいう。
ベンチレーション割合の範囲の下限は、冷却性の観点から、55体積%以上が好ましく、60体積%以上がより好ましい。ベンチレーション割合は、開孔231の孔径と孔数を適宜調整して調整を行なうことができる。
ベンチレーション割合は、ISO標準法(ISO6565:2015)に従って、例えば、NCQA(JTトーシ株式会社製)を使用して測定される。非燃焼加熱式たばこのマウスピース端面から所定の空気流量(17.5cc/sec)の空気を吸引した際に、非燃焼加熱式たばこの先端部、香味セグメント側面、および、開口231から大気が非燃焼加熱たばこ内に導入される。ベンチレーション割合は、マウスピース端面から吸引する空気流量(17.5cc/sec)に対する開口231から導入される空気流量の割合を示す。
【0055】
冷却セグメント23がたばこロッドを通過する空気に与える抵抗は小さいことが好ましく、冷却セグメント23の通気抵抗は、例えば0mmHO以上、30mmHO以下であり、好ましくは0mmHO以上、25mmHO以下であり、さらに好ましくは0mmHO以上、20mmHO以下である。
好ましくは、冷却セグメント23は、エアロゾル発生物品の吸引抵抗に実質的に影響しない。また、冷却セグメント23の上流端から冷却セグメント23の下流端までの圧力低下量は小さいことが好ましい。
【0056】
一部の実施形態において、生成したエアロゾルは、それが冷却セグメント23を通って使用者に吸引される際に、温度が10℃以上低下することがある。一部の実施形態において、生成したエアロゾルは、それが冷却セグメント23を通って使用者に吸引される際に、別の一態様では温度が15℃以上、さらに別の一態様では20℃以上低下することがある。冷却セグメント23は、他の手段によって形成することができる。例えば、冷却セグメント23は、縦方向延在チューブの束から形成することができる。冷却セグメント23は、適切な材料の押出し、成形、積層化、射出、又は細断によって形成することができる。
【0057】
冷却セグメント23は、例えば、ひだ付け、ギャザー付け、又は折り畳まれたシート材料を冷却セグメント巻取紙で巻装して形成することができる。一部の実施形態において、冷却セグメント23は、紙やポリマーフィルムが通気方向にクリンプ加工された後にロッド形状にギャザー付けされ、かつ冷却セグメント巻取シート、例えば、濾紙の冷却セグメント巻取紙によって成形されたしわ付き材料のシートを含むことができる。このような構成とすることにより、冷却セグメントの通気方向に複数の空気が流れるチャネルが形成されるため、通気抵抗が低くなる一方で、空気や気化した成分が複数のチャネルを通過する際に周りの紙やポリマーフィルムに熱が奪われて冷却される。
【0058】
上記の冷却用のシート部材、冷却セグメント巻取紙(特にその内側の表面)、筒状部材は、香味調整剤を含んでいてよい。香味調整剤は、例えば酸を挙げることができる。酸の種類は、特に限定されないが、可食性である酸を用いることができ、例えば有機酸であることができる。特に、酸は15~25℃、すなわち常温で液体であることが好ましい。酸が常温で液体であることにより、水等の溶媒に溶解させることなく、酸を巻取紙にそのまま塗布することができるためである。また、酸が液状のまま巻取紙内部に保持されることで、酸が均一に巻取紙内部に分布し、酸と香味成分との接触効率が向上するため、効率的に香味成分に作用できる。酸としては、具体的には、ステアリン酸、イソステアリン酸、リノール酸、オレイン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ドデカン酸、カプリン酸、安息香酸、イソ酪酸、プロピオン酸、アジピン酸、酢酸、バニリルマンデル酸、マレイン酸、グルタル酸、フマル酸、コハク酸、乳酸、グリコール酸、グルタミン酸等が挙げられる。これらの中でも、15~25℃で液体の酸としては、例えばイソステアリン酸、リノール酸、オレイン酸、イソ酪酸、プロピオン酸、酢酸、乳酸等が挙げられる。これらの酸は一種を用いてもよく、二種以上を併用してもよい。これらの中でも酸としては、安価であり、臭いが少なく香味への影響が少ない観点から、乳酸が好ましい。香味調整剤は、例えばアルカリを挙げることができる。具体的には、炭酸のアルカリ金属塩、クエン酸のアルカリ金属塩、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、およびこれらの混合物でもよいし、これらを適当な水に溶解した水溶液でもよい。
【0059】
冷却セグメント23は、その通気方向の長さが例えば10mm以上、40mm以下、好ましくは10mm以上、25mm以下のロッド形状に形成することができる。例えば、冷却セグメントの通気方向の長さは18mmとすることができる。
【0060】
冷却セグメント23の周方向断面一部の実施形態において、冷却セグメント23は、その通気方向断面形状として実質的に円形であり、直径が5.5mm以上、8.0mm以下とすることができる。例えば、冷却セグメント23の直径は、約7mmとすることができる。
【0061】
冷却セグメントが、外部の空気を導入するための開孔を有する場合、17.5cc/secで吸口端から吸引した際の、冷却セグメントへの空気の全流入量に対する、開孔を通じて流入された冷却セグメントへの空気の流入量の割合は、通常55%以上であり、好ましくは60%以上であり、より好ましくは65%以上であり、また、通常85%以下であり、好ましくは80%以下であり、より好ましくは75%以下である。このような範囲であると、エアロゾルの冷却と香味成分の希釈がバランスよく行われる。
【0062】
<フィルターセグメント>
マウスピースセグメントはフィルターセグメント24を有していてよく、フィルターセグメント24は、フィルター濾材を含み、一般的なフィルターとしての機能を有していれば特に制限されず、例えば、合成繊維からなるトウ(単に「トウ」とも称する)や、紙等の材料を円柱状に加工したものを用いることができる。フィルターの一般的な機能とは、例えば、エアロゾル等を吸引する際に混ざる空気量の調整や、喫味の軽減、ニコチンやタールの軽減等が挙げられるが、フィルターは、これらの機能を全て備えていることは要しない。また、紙巻きたばこ製品と比較して、生成される香味成分が少なく、また、たばこ充填物の充填率が低くなる傾向のある電気加熱型たばこ製品においては、濾過機能を抑えつつたばこ充填物の落下を防止する、ということも重要な機能の一つである。
【0063】
フィルターセグメント24の周の長さは特に限定されないが、16~25mmであることが好ましく、20~24mmであることがより好ましく、21~23mmであることがさらに好ましい。フィルターセグメント24の通気方向の長さは好ましくは4mm以上、より好ましくは7mm以上であり、また好ましくは30mm以下であり、より好ましくは20mm以下を選択可能であり、その通気抵抗が好ましくは10mmHO以上、より好ましくは15mmHO以上であり、また好ましくは60mmHO以下、より好ましくは40mmHO以下となるように選択される。フィルターセグメント24の通気方向の長さは5~9mmが好ましく、6~8mmがより好ましい。フィルターセグメント24の断面の形状は特に限定されないが、例えば円形、楕円形、多角形等であることができる。また、フィルターセグメント24は、後述の添加材放出容器又は香料ビーズを有していてよく、また香料を直接添加していてもよい。
なお、フィルターセグメント24の形状や寸法が上記範囲となるように、フィルター濾材の形状や寸法を適宜調整できる
【0064】
フィルターセグメントの構成は特に限定されず、単一のフィルターセグメントを含むプレーンフィルターや、デュアルフィルタ又はトリプルフィルタ等の複数のフィルターセグメントを含むマルチセグメントフィルターとすることができる。マルチセグメントとすることにより、各セグメントに別々の機能を付与することができる。また、充填層の外側は一枚または複数枚のフィルターセグメント巻取紙で巻装されてよい。
【0065】
フィルターセグメント24のセグメント当たりの通気抵抗は、前記通気抵抗は、フィルターセグメント24に充填される充填物の量、材料等により適宜変更することができる。例えば、充填物が酢酸セルロース繊維である場合、フィルターセグメント24に充填される酢酸セルロース繊維の量を増加させれば、通気抵抗を増加させることができる。充填物が酢酸セルロース繊維である場合、酢酸セルロース繊維の充填密度は0.13~0.18g/cmであることができる。なお、前記通気抵抗は例えば通気抵抗測定器(商品名:SODIMAX、SODIM製)により測定される値である。
【0066】
フィルターセグメント24は、公知のフィルターセグメントの製造方法により製造することができ、例えば、セルロースアセテートトウの等の合成繊維をフィルター濾材の材料として用いる場合、ポリマー及び溶媒を含むポリマー溶液を紡糸し、これを捲縮する方法により製造することができる。該方法としては、例えば、国際公開第2013/067511号に記載の方法を用いることができる。
フィルターセグメント24の製造において、通気抵抗の調整や添加物(公知の吸着剤や香料(例えばメンソール)、粒状の活性炭、香料保持材等)のフィルター濾材への添加を適宜設計できる。
【0067】
フィルターセグメント24に含まれるフィルター濾材の態様は特段制限されず、公知の態様を採用してよく、例えば、セルロースアセテートトウを円柱状に加工したものを挙げることができる。セルロースアセテートトウの単糸繊度、総繊度は特に限定されないが、円周22mmのマウスピース部材の場合は、単糸繊度は5g/9000m以上、15g/9000m以下、総繊度は8000g/9000m以上、25000g/9000m以下であることが好ましい。セルロースアセテートトウの繊維の断面形状は、円形、楕円形、Y字型、I字型、R字型等が挙げられる。セルロースアセテートトウを充填したフィルターの場合は、フィルター硬さを向上させるためにトリアセチン等の可塑剤をセルロースアセテートトウ重量に対して、5重量%以上、10重量%以下添加してもよい。また、該セルロースアセテートフィルターの代わりに、シート状のパルプ紙を充填したペーパーフィルターを用いる態様でもよい。また、フィルター濾材としては、紙や不織布をギャザー状にしたものを用いてもよい。また、フィルター濾材は上述の香味調整剤を含んでいてよい。
【0068】
フィルター濾材は、ゼラチン等の破砕可能な外殻を含む破砕可能な添加剤放出容器(例えば、カプセル)を含んでもよい。カプセル(当該技術分野では「添加剤放出容器」とも呼ばれる)の態様は特段制限されず、公知の態様を採用してよく、例えば、ゼラチン等の破砕可能な外殻を含む破砕可能な添加剤放出容器とすることができ、直径を2mm以上、4mm以下とすることができる。この場合、カプセルは、たばこ製品の使用者により使用前、使用中、または使用後に破壊されると、カプセル内に含まれる液体または物質(通常、香味剤)を放出し、次に、該液体または物質は、たばこ製品を使用する間はたばこの煙に伝達され、使用後においては周囲の環境へと伝達される。
【0069】
フィルターセグメント24は、強度及び構造剛性の向上の観点から、上述したフィルター濾材を巻装する巻取紙(フィルタープラグ巻取紙)を備えていてよい。巻取紙の態様は特段制限されず、接着剤で接着されてよい。該接着剤は、ホットメルト接着剤を含んでいてよく、さらに該ホットメルト接着剤は、ポリビニルアルコールを含み得る。また、フィルターが二以上のセグメントからなる場合、第一の巻取紙でそれぞれのセグメントを巻装し、その後、これら複数セグメントを併せて第二の巻取紙で巻装することが好ましい。
巻取紙の材料は特段制限されず、公知のものを用いることができ、また、炭酸カルシウム等の充填剤等を含んでいてよい。
巻取紙の厚さは、特段制限されず、通常20μm以上、140μm以下であり、30μm以上、130μm以下であることが好ましく、40μm以上、100μm以下であることがより好ましい。
巻取紙の坪量は、特段制限されず、通常20gsm以上、100gsm以下であり、22gsm以上、95gsm以下であることが好ましく、23gsm以上、90gsm以下であることがより好ましい。
また、巻取紙は、コーティングされていても、されていなくともよいが、強度や構造剛性以外の機能を付与できる観点からは、所望の材料でコーティングされることが好ましい。また、巻取紙、特にその内側(フィルター濾材と接する側)の表面に上述の香味調整剤が含まれてもよい。
【0070】
フィルターセグメント24は、1つまたは複数の中空部を有するセンターホールセグメントをさらに含んでいてもよい。センターホールセグメントは、通常、フィルター濾材よりも香味生成セグメント側に配置され、好ましくは冷却セグメントと隣接するように配置される。
【0071】
<板状のサセプターの変形例1>
板状のサセプター212は、凹凸を有する金属板であってもよい。図4は、板状のサセプター212の一例を示す斜視図である。なお、変形例の説明においては対応する構成要素に同一の符号を付し、説明を省略する。板状のサセプター212は、表裏の少なくとも一方に突出した凸部が通気方向に沿って連続する畝状の隆起部2121を有していてよく、図4におけるサセプター212は連続する畝状の隆起部2121を3つ有する。
【0072】
図5は、板状のサセプターの製造方法を模式的に示す図である。図5の上段に示すように、製造装置4は、複数のローラー41を備え、材料である金属板200を所定方向に送りつつ圧延加工する。また、製造装置4は、金属板200を切断して板状のサセプター212を作成するためのカッター42を備える。図5の中段は、上段の対応する位置における金属板の模式的な平面図を表す。図5の下段は、上段の対応する位置における金属板の模式的な断面図を表す。金属版200は、例えばローラー41の間において送り方向の前後に引張られ、送り方向に延伸すると共に、送り方向に対して垂直な金属板200の幅方向には収縮する。このとき、金属板200には、断面が波状の凹凸が形成される。金属板200は、さらにローラー41で圧延され、凹凸が潰されて畝状の隆起部2121が形成される。このような凸部によれば、香味生成セグメント21の内部において充填物211が板状のサセプター212を保持する位置がずれにくくなり、また、板状のサセプター212が後述する被覆層を有する場合、被覆層が板状のサセプター212に保持されやすくなる。また、板状のサセプター212の通気方向に沿って連続する畝状の隆起部2121が延在することで、充填物211に含まれるたばこ成分やエアロゾル基材などが気化することで生成された蒸気を通気方向に沿って円滑に流通させやすくなる。つまり、通気方向に沿って延在する各畝状の隆起部2121間を、上記たばこ成分やエアロゾル基材の蒸気を流通させる流路として好適に利用することができる。
【0073】
なお、隆起部2121は通気方向の一部において途切れていてもよいし、通気方向と略平行に形成されるものであってもよい。また、隆起部2121の数は、1以上であればよく、3つには限定されない。また、隆起部2121は、平面視において、直線状でなく蛇行形状を有するものであってもよい。
【0074】
<板状のサセプターの変形例2>
図6は、板状のサセプターの変形例を説明するための平面図である。図6の例では、板状のサセプター212はその表裏を貫通する貫通孔2122を複数有している。貫通孔2122は、例えば刃が設けられたローラー41で金属板200にスリットを形成し、ローラー41で圧延したり引っ張ることによりスリットを拡大して形成することができる。このような貫通孔によっても、香味生成セグメント21の内部において充填物211が板状のサセプター212を保持する位置がずれにくくなると共に、充填物211と接する板状のサセプター212の表面積を増加させることができ、エアロゾルの生成効率を向上させることができる。
【0075】
<板状のサセプターの変形例3>
図7は、板状のサセプターの変形例を説明するための平面図である。本変形例では、板状のサセプター212は、貫通孔2122の間に畝状の隆起部2121を有している。すなわち、図6に示した貫通孔2122を有する板状のサセプター212に、図5に示した製造方法により形成される隆起部2121が形成されている。図7の例では貫通孔2122の間に連続して隆起部2121が形成されているが、隆起部2121は長手方向の一部において途切れていてもよいし、長手方向と略平行に形成されるものであってもよい。また、隆起部2121の数も限定されない。
【0076】
<板状のサセプターの変形例4>
図8は、板状のサセプター212の端面を説明するための図である。板状のサセプター212の通気方向の端部に厚さ方向に突起部が形成されてもよい。図8の例では、板状のサセプター212の端面の表面の第一曲面部2123と、端面の表面の第2局面部2124と、裏面付近の第3局面部2125と、裏面側に突出した突起部2126とが示されている。このような突起によっても、香味生成セグメント21の内部において充填物211が板状のサセプター212を保持する位置がずれにくくなる。なお、厚さ方向ではなく、板状のサセプター212の幅方向の端部に突起部を形成しても充填物211が板状のサセプター212を保持する位置ずれ防止のために好ましい。したがって、金属板200は、通気方向の端部に、厚さ方向や幅方向等の通気方向に直交する方向に向かって突出する突起部を有していてよい。この突起によって後述の被覆層のずれ防止にも有効となる。
【0077】
<板状のサセプターの変形例5>
板状のサセプター212の表裏の少なくとも一方には、例えばエンボス加工や穿孔加工のようなテクスチャー加工がなされていてもよい。テクスチャー加工による表面の三次元形状や模様は特に限定されず、板状のサセプター212のエアロゾル生成効率向上や、香味生成セグメント21内における板状のサセプター212の位置ずれ防止等を目的として、様々なテクスチャー加工を採用することができる。テクスチャー加工を施すことで、後述の被覆層との接触面積が増大し、板状のサセプターから被覆層への伝熱が増大される。
【0078】
<香味生成セグメントの変形例>
図9は、香味生成セグメントの変形例を説明するための図である。香味生成セグメント21は、板状のサセプター212の表裏の一方を被覆する第1被覆層214と、他方を被覆する第2被覆層215とのどちらか一方、もしくは両方を備えていてもよい。第1被覆層214及び第2被覆層215は、例えばエアロゾル基材を含む香味源である。香味源は、例えばたばこ紛とエアロゾル基材とバインダーと水を含んでもよい。また、充填物211は、例えば木材パルプのような、たばこ刻を含まない植物繊維等でもよい。板状のサセプター212の周囲にこのような被覆層を積層させることにより、エアロゾルおよび香味成分の生成効率を向上させることができる。また、板状のサセプター212が上述の畝状の隆起部2121を有する場合、被覆層が板状のサセプター212に保持されやすくなる。なお、本明細書において、「被覆層」は、特段の断りがない限り、「第1被覆層」及び「第2被覆層」のいずれをも対象とする。
第1被覆層及び第2被覆層は、例えば、たばこ植物(葉肉、葉脈、幹、根、花等からなる群から選択される1以上)の粉砕物(平均粒径30μm以上、300μm以下)、バインダー(修飾セルロース、修飾でんぷん、たんぱく質、増粘多糖類等からなる群から選択される1以上)、エアロゾル基材(グリセリン、プロピレングリコール、トリアセチン、1,3-ブタンジオール等からなる群から選択される1以上)、水を均一に混合した混合物を板状のサセプターに被覆させて形成させることができ、さらに、香料、香味調整剤、たばこ植物以外の植物の繊維が添加されていてもよい。含まれ得るたばこ植物として、複数の異なる品種のたばこ植物をブレンドさせることにより、香味を調整することができる。また、被覆層は、1重量%以上、4重量%以下のニコチンを含んでいてよい。
また、第1被覆層及び第2被覆層にたばこ植物を含有させる場合、それぞれの被覆層の含有成分を異なるものとすることで、香味のバリエーションを拡大することができる。例えば、たばこ植物の粉砕物の粒度を変化させることにより、一方の被覆層に、加熱初期に香味成分をデリバリーさせることができる成分を含有させ、もう一方の被覆層に加熱後期に香味成分をデリバリーさせることができる成分を含有させる、といった態様をとることができる。
被覆層を構成する材料として、より具体的には、上述した充填物211の具体的態様(b)、(c)、又は(e)を用いることができ、香味の発現の観点からは(b)を用いることが好ましい。また、上述した充填物211に添加し得るエアロゾル基材、香味料、香味調整剤、粒状サセプター、又はその他の成分等の添加成分を同様の態様で被覆材に添加してもよい。さらに、これらの添加成分をベース基材に添加する方法についても、上述した充填物211の説明におけるベース基材への添加成分の添加方法を適用することができる。
【0079】
第1被覆層及び第2被覆層のいずれか一方の層の表面、又は両方の層の表面に凹凸加工処理を施すことができ、このような処理により表面積を増加させ、香味成分のデリバリーを向上させることができる。
【0080】
第1被覆層214及び第2被覆層215の厚さは、それぞれ独立に、例えば200μm以上、2000μm以下であり、好ましくは200μm以上、1000μm以下であり、さらに好ましくは300μm以上、800μm以下である。このような厚さの範囲とすることで、エアロゾルの生成と香味源の放出が良好に保たれる。
【0081】
図10は、被覆された板状のサセプターの製造方法を説明するための図である。図10の例では、製造装置4は、ローラー41と、コーティング部43と、オーブン44と、カッター42とを備える。ローラー41によって圧延された金属板200は、その表裏に対して順に、コーティング部43においてたばこ紛とエアロゾル基材とを含むスラリーが積層され、オーブン44において乾燥させられる。また、被覆された金属板200は、カッター42で切断され、第1被覆層214及び第2被覆層215が積層された板状のサセプター212が得られる。
【0082】
<被覆層の変形例1>
図11は、被覆層の変形例を説明するための図である。第1被覆層214及び第2被覆層215より選択される少なくとも1つの層は、それぞれ粒状のサセプター(粒状サセプター)216を含む。粒状サセプター216の材料は、例えば金属であり、具体的には、アルミニウム、鉄、鉄合金、ステンレス鋼、ニッケル、ニッケル合金のいずれか、又はこれら2以上の組合せを例示できる。金属以外では例えばカーボンを用いることもできるが、良好な電磁誘導加熱を可能とする観点から、金属であることが好ましい。粒状サセプター216は、例えば上述したスラリー内に分散して混合させられ、第1被覆層214及び第2被覆層215内に配設される。粒状サセプター216は、被覆層中に均一に分散していることが好ましい。粒状サセプター216も電磁誘導加熱により加熱され、第1被覆層214及び第2被覆層215がエアロゾル基材を含む場合、これらはエアロゾルを生成させる。このような構成により、エアロゾルがより効率よく生成する。
【0083】
粒状サセプターの粒径は、エアロゾルを効率よく生成させることができる観点から、通常30μm以上、300μm以下であり、好ましくは30μm以上、100μm以下であり、さらに好ましくは50μm以上、100μm以下である。
各被覆層中の粒状サセプターの含有率は、エアロゾルを効率よく生成させることができる観点から、それぞれ独立に、通常1重量%以上、20重量%以下であり、好ましくは1重量%以上、15重量%以下であり、さらに好ましくは1重量%以上、10重量%以下である。
また、粒状サセプター216の表面から板状のサセプター212の表面までの平均距離は、通常100μm以上、1000μm以下であり、250μm以上、1000μm以下であってよく、100μm以上、500μm以下であってよく、好ましくは150μm以上400μm以下である。被覆層中に均一に粒状サセプターを分散させることで、板状サセプター212と粒状サセプターとの過度な接触を防止できる。このような平均距離であることで、過度な加熱を防ぐことができる。
【0084】
また、粒状サセプター216は、板状サセプター212とは異なる金属で形成されるものであってもよい。例えば、粒状サセプター216の材質は、そのキュリー温度が、板状のサセプター212のキュリー温度よりも低くなるように選択されてもよい。そして、制御ユニット34は、粒状サセプター216の温度がキュリー温度に到達したことによる粒状サセプター216の磁性の変化を、インダクタ32に流れる電流の大きさに基づいて検出し、板状のサセプター212の温度制御を行うようにしてもよい。
【0085】
被覆層に含ませる粒状サセプター216の金属種を板状サセプター212の金属種と異ならせる場合は、板状サセプター212に被覆層を塗布する前に、粒状サセプター216を含まない被覆層を下地として塗布した後に、粒状サセプターを含む被覆層を塗布してもよい。そうすることで異なる金属種の直接の接触によるガルバニック腐食の発生を防止することができる。また、前述の粒状サセプターを含まない被覆層を下地として塗布する代わりに、絶縁性のポリマー、でんぷん類、セルロース類を板状サセプター212に下地としてコーティングしてもよい。
【0086】
<被覆層の変形例2>
図12は、被覆層の変形例を説明するための図である。図12の例では、第1被覆層214の通気方向の端部に面取り部2141が設けられている。なお、面取り部2141は、直方体形状の角が平面状に削られた平面取りがなされていてもよいし、角にアールが付けられた丸面取りがなされていてもよい。また、第1被覆層214に代えて、又は第1被覆層214に加えて、第2被覆層215の通気方向の端部に面取り部を設けるようにしてもよい。このような面取り部を設けると、香味生成セグメント21を高速製造する際に高速で被覆層が付与された板状のサセプター212が香味セグメント内に導入される際に被覆層の角部分が破損・脱落されることなく香味セグメント内に導入される。被覆層はたばこを含んでいるため、被覆層を脱落防止することは、消費者の満足感を安定的に実現するために好適である。
【0087】
<被覆層の変形例3>
図13は、被覆層の変形例を説明するための図である。図13の例では、板状のサセプター212にその表裏を貫通する貫通孔2122が設けられ、貫通孔2122の内部の少なくとも一部は第1被覆層214が充填されており、貫通孔2122の内部全体に第1被覆層214が充填されていてもよい。なお、充填される材料は第1被覆層214を構成する材料及び第2被覆層215を構成する材料の少なくとも一方であればよい。被覆層と接する板状のサセプター212の表面積を増加させることで、エアロゾルの生成効率を向上させることができる。また、貫通孔2122に被覆層の一部が充填されていることで板状のサセプター212と被覆層のせん断ズレを防止できる。
【0088】
<被覆層の変形例4>
第1被覆層214及び第2被覆層215は、同一の材料で形成されていてもよいし、異なる材料で形成されていてもよい。
【0089】
<板状のサセプターの変形例6>
板状のサセプター212は、その表裏で表面粗さが異なるものであってもよい。表面粗さを適切に設定することで、第1被覆層214及び第2被覆層215のサセプター212からの剥がれを抑制することができる。また、被覆層を設けない場合であっても、表面粗さの設定により、香味生成セグメント21内における板状のサセプター212の位置ずれを抑えることができる。裏表で表面粗さを変えることで、第1被覆層214及び第2被覆層215それぞれと板状のサセプターとの接触表面積が変わる。そのため熱伝導に差が発生するので第1被覆層214及び第2被覆層215に内在する香味成分およびエアロゾル基材の揮発生成のタイミングを変えることができる。
【0090】
<非燃焼加熱式たばこの変形例>
図14は、非燃焼加熱式たばこの変形例を説明するための図である。図14は、板状のサセプター212の厚さ方向に沿って非燃焼加熱式たばこ2を切断した縦断面図を表す。非燃焼加熱式たばこ2は、先端セグメント26と、香味生成セグメント21と、支持セグメント27と、マウスピースセグメント22とを備える。先端セグメント26は、香味生成セグメント21に隣接して、非燃焼加熱式たばこ2の吸口とは反対側に備えられ、また、支持セグメント27は、香味生成セグメント21とマウスピースセグメント22との間に備えられる。なお、先端セグメント26及び支持セグメント27の一方を備えていなくてもよい。
【0091】
<先端セグメント>
先端セグメント26は、一般的なフィルター材料で形成され、例えば通気方向に沿って1以上の貫通孔が設けられている。先端セグメント26の材料は、比較的耐熱性のある植物パルプ繊維、セルロース繊維、または再生セルロース繊維を主原料としてもよい。先端セグメント26は、酢酸セルロース長繊維を可塑剤(トリアセチン)で固化させたものであってもよい。先端セグメント26を設けることにより、香味生成セグメント21から充填物211がこぼれ落ちたり、板状のサセプター212が飛び出すことを抑制できる。なお、先端セグメント26は、多孔質状の中実なフィルター材料で形成してもよい。先端セグメント26の通気方向の長さは、例えば5mm以上、10mm以下である。また、先端セグメント26の通気抵抗は、例えば0mmHO以上、15mmHO以下である。先端セグメントの通気抵抗を低くすることで、非燃焼加熱たばこ全体の通気抵抗への影響を少なくすることができる。
【0092】
香味生成セグメント21は、板状のサセプター212と先端セグメント26との間に充填物211の一部を介在させていてよい。すなわち、板状のサセプター212は、先端セグメント26と接触してさせなくともよい。このような構成により、状のサセプター212が先端セグメント26を直接加熱することを抑えることができ、直接加熱されることによる先端セグメント26の劣化、変形などによる機能低下を防ぐことができる。
【0093】
図15は、板状のサセプターの幅方向に沿って非燃焼加熱式たばこを切断した縦断面図の一例である。板状のサセプター212は、先端セグメント26と対抗配置される端面の幅が小さくなるように面取り部2126が設けられている。このような構成によっても、板状のサセプター212が先端セグメント26を加熱することを抑えることができる。これにより、直接加熱されることによる先端セグメント26の劣化、変形などによる機能低下を防ぐことができる。
【0094】
<先端セグメントの変形例>
先端セグメント26は、当該先端セグメント26の先端セグメント充填物を先端セグメント巻紙によって巻装する構成であってもよい。先端セグメント26の先端セグメント充填物は、紙又はポリマーからなるギャザーシートを含むようにしてもよい。また、先端セグメント26の先端セグメント充填物は、不織布からなるギャザーシートを含むようにしてもよい。ここでは、折り畳んだ状態の不織布を「ギャザーシート」と呼ぶものとする。これらの態様では、通気方向に貫通する貫通孔(チャネル)が形成される。また、密度の低い不織布を圧縮しながら折りたたんだ状態で先端セグメントに充填してもよい、この場合は通気方向に貫通する貫通孔(チャネル)が形成されない。また、先端セグメント26の先端セグメント充填物は、いわゆる香味源を含むようにしてもよい。香味源は、例えば香料、たばこ抽出物又はたばこ紛であってもよい。また、先端セグメント26の先端セグメント巻紙は、紙-アルミ貼り合わせシートであってもよい。このような先端セグメント巻紙は、誘導電流により加熱したり、香味生成セグメント21の板状のサセプター212からの伝熱によって加熱したりすることができ、先端セグメント巻紙の熱によって先端セグメント26が香味源を含む場合に香味成分を揮発させることができる。
【0095】
<支持セグメント>
支持セグメント27も、一般的なフィルター材料で形成され、例えば通気方向に沿って1以上の貫通孔が設けられている。また、支持セグメント27も、酢酸セルロース長繊維を可塑剤(トリアセチン)で固化させたものであってもよい。支持セグメント27を設けることにより、香味生成セグメント21から板状のサセプター212が飛び出すことを抑制できる。なお、支持セグメント27も、多孔質状の中実なフィルター材料で形成してもよい。支持セグメント27の支持セグメント充填物は、紙又はポリマーからなるギャザーシートを含むようにしてもよい。また、支持セグメント27の支持セグメント充填物は、不織布からなるギャザーシートを含むようにしてもよい。これらの態様では、通気方向に貫通する貫通孔(チャネル)が形成される。また、支持セグメント27の支持セグメント充填物は、いわゆる香味源を含むようにしてもよい。香味源は、例えば香料、たばこ抽出物又はたばこ紛であってもよい。また、支持セグメント27の支持セグメント巻紙は、紙-アルミ貼り合わせシートであってもよい。支持セグメント27の通気方向の長さは、例えば5~10mmである。また、支持セグメント27の通気抵抗は、0~15mmHOである。支持セグメントの通気抵抗を低くすることで、非燃焼加熱たばこ全体の通気抵抗への影響を少なくすることができる。さらには、支持セグメントの通気抵抗を低くすることで、香味セグメントで生成された香味成分の蒸気やエアロゾル基材の蒸気が濾過吸着によって大きく減少することを防止する。
【0096】
<ライニングシートの変形例1>
図16(a)~(d)は、ライニングシートの変形例を説明するための図である。ライニングシートは、少なくとも香味生成セグメント21の一部及びマウスピースセグメント22の一部を巻装すれば特段制限されず、他のセグメントも併せて巻装することもでき、例えば、先端セグメント26及び支持セグメント27を有する態様の場合、図16(a)~(d)に示すように、1つのライニングシート25によって先端セグメント26、香味生成セグメント21、支持セグメント27、及びマウスピースセグメント22が巻装されていてよい。くわえ心地に優れていて、印刷適正のよいライニングシート25を用いることで、使用品質及び外観品質がよい非燃焼加熱式たばこ2を実現することができる。
ライニングシート25は、少なくとも香味生成セグメント21の一部及びマウスピースセグメント22の一部を巻装すれば特段制限されないが、十分なくわえ心地及び印刷適正を確保する観点から、少なくとも香味生成セグメント21の一部及びマウスピースセグメント22の全部を巻装することが好ましい。
ライニングシート25の態様は特段制限されず、例えば、パルプが主成分のものを挙げることができる。パルプとしては、針葉樹パルプや広葉樹パルプなどの木材パルプで抄造される以外にも、亜麻パルプ、大麻パルプ、サイザル麻パルプ、エスパルトなど一般的にたばこ物品用の巻紙に使用される非木材パルプを混抄して製造して得たものでもよい。これらのパルプは、単独の種類で用いてもよく、複数の種類を任意の割合で組み合わせて用いてもよい。
また、ライニングシート25は一枚で構成されていてもよいが、複数枚以上で構成されていてもよい。
パルプの態様としては、クラフト蒸解法、酸性・中性・アルカリ亜硫酸塩蒸解法、ソーダ塩蒸解法等による化学パルプ、グランドパルプ、ケミグランドパルプ、サーモメカニカルパルプ等を使用できる。
なお、ライニングシート25は、後述する製造方法により製造したものでも、市販品を用いてもよい。
ライニングシート25の形状は、特段制限されず、例えば、正方形または長方形とすることができる。
【0097】
ライニングシート25の厚さは、特段制限されないが、くわえ心地及び印刷適正の観点から、通常30μm以上、60μm以下であり、40μm以上、50μm以下であることが好ましい。
ライニングシート25の坪量は、特段制限されないが、くわえ心地及び印刷適正の観点から、通常30gsm以上、60gsm以下であり、35gsm以上、50gsm以下であることが好ましく、35gsm以上、40gsm以下であることがより好ましい。
ライニングシート25の通気度は、特段制限されないが、くわえ心地及び印刷適正の観点から、通常0コレスタユニット以上、30コレスタユニット以下であり、0コレスタユニット超、15コレスタユニット以下であることが好ましい。通気度は、ISO 2965:2009に準拠して測定される値であり、紙の両面の差圧が1kPaのときに、1分ごとに面積1cmを通過する気体の流量(cm)で表される。1コレスタユニット(1コレスタ単位、1C.U.)は、1kPa下においてcm/(min・cm)である。
ライニングシート25の平滑度は、特段制限されないが、くわえ心地及び印刷適正の観点から、通常200秒以上、1500秒以下であり、250秒以上、1000秒以下であることが好ましく、300秒以上、500秒以下であることがより好ましい。
【0098】
ライニングシート25の不透明度は、特段制限されないが、所望の外観品質を確保する観点から、通常70%以上、100%以下であり、75%以上、95%以下であることが好ましく、80%以上、90%以下であることがより好ましい。
不透明度はフォトボルト反射率計を用いJIS-P8138に準じて測定する。平滑度はJIS-P8117、JIS-P8119に準じて測定する。シートの坪量は、JIS-P8124に準じて測定する。
【0099】
香味生成セグメント21の充填物211に含まれる液体の漏れや染みをブロックすることができる観点から、ライニングシート25は液体不透過性のシートであることが好ましく、例えば、材質がポリオレフィンやポリエステル等を主成分とするポリマーフィルムと紙とを貼り合わせたものや、紙に修飾セルロース、修飾でんぷん、ポリビニルアルコール等のコート剤を塗布したものであるものが挙げられる。
【0100】
ライニングシート25は、上記のパルプ以外に、填料が含有されていてもよく、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどの金属炭酸塩、酸化チタン、二酸化チタン、酸化アルミニウムなどの金属酸化物、硫酸バリウム、硫酸カルシウムなどの金属硫酸塩、硫化亜鉛などの金属硫化物、石英、カオリン、タルク、ケイソウ土、石膏等が挙げられ、特に、白色度・不透明度の向上及び加熱速度の増加の観点から炭酸カルシウムを含んでいることが好ましい。また、これらの填料は1種を単独で、又は2種以上を併用してもよい。
【0101】
ライニングシート25は、上記のパルプや填料以外に、種々の助剤を添加してもよく、例えば、水分を含んだ時の紙力を向上させるために、耐水性向上剤を有することができる。耐水性向上剤には、湿潤紙力増強剤(WS剤)及びサイズ剤が含まれる。湿潤紙力増強剤の例を挙げると、尿素ホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ポリアミドエピクロルヒドリン(PAE)等である。また、サイズ剤の例を挙げると、ロジン石けん、アルキルケテンダイマー(AKD)、アルケニル無水コハク酸(ASA)、ケン化度が90%以上の高ケン化ポリビニルアルコール等である。
【0102】
ライニングシート25には、その表面及び裏面の2面うち、少なくとも1面にコーティング剤が添加されてもよい。コーティング剤としては特に制限はないが、紙の表面に膜を形成し、液体の透過性を減少させることができるコーティング剤が好ましい。
コーティング剤の一例として、ライニングシート25は、外側にリップリリース剤が塗布されていてよく、この態様ではくわえ心地が改善される。リップリリース剤としては、例えば、ニトロセルロース又はエチルセルロース等を用いることができる。リップリリース剤をライニングシート25の内側に塗布されていると、香味セグメントに含まれたエアロゾル基材等の液体成分のライニングシート25内部へのしみこみを防止することができる。
【0103】
ライニングシート25による複数のセグメントの固定は、ライニングシート25の片面(巻装したときの内側面)の全面的に又は部分的に、酢酸ビニルエマルジョン又はでんぷん糊等の糊を塗布した後に、又は塗布する前に複数のセグメントをライニングシート25の片面(巻装したときの内側面)に配置して巻装することで実施することができる。また、ライニングシート25は、巻装した際に1~3mmのラップ部を有していてよく、ラップ部も糊付けされて固定される。
ライニングシート25の糊付けパターンの例示を図17に示す。図17中の25aは糊付け部分を示し、25bは非糊付け部分を示す。
図17(a)は、ライニングシート2の全面に糊付けを行ったパターンである。
図17(b)は、ライニングシート2の一部分(縁部分全体)に糊付けを行ったパターンである。
図17(c)は、ライニングシート2の一部分(ライニングシート2の重なり部分を固定するための縁部分、及び複数のセグメントを固定するための内部部分)に糊付けを行ったパターンである。
図17(d)は、ライニングシート2の一部分(ライニングシート2の重なり部分を固定するための縁部分、及び複数のセグメントを固定するための内部部分)に糊付けを行ったパターンである。
【0104】
<ライニングシートの変形例2>
ライニングシート25は、複数のシート材料(単に「シート」とも称する。)を含んで構成されていてもよく、2枚のシート材料で構成されていても、3枚以上のシート材料で構成されていてもよいが製造コストの観点から2枚で構成されていることが好ましい。複数のシート材料を含んで構成される場合の態様は特段制限されず、例えば、各シート材料の一部が重なるように積層されていてもよく、全体が重なるように積層されていてもよいが、後述する第1のシート材料(単に「第1のシート」とも称する。)及び第2のシート材料(単に「第2のシート」とも称する。)を有するように形成されることが好ましい。なお、各シート材料の材質や形状、特性等の条件は上記の変形例1で説明した条件を適用することができる。また、各シート材料の材質や形状、特性は、同じであっても、異なってもよい。
具体的には、シート25は、少なくとも、第1のシートと、第1のシートの外側に、かつ、下流側に配置される第2のシートと、を備えるように構成されることが好ましい。
さらに、マウスピースセグメント22が冷却セグメント23及びフィルターセグメント24を有し、かつ、冷却セグメント23がフィルターセグメント24の上流に位置する態様においては、ライニングシート25は、図18(a)~(d)に示すように、少なくとも、香味生成セグメントの一部及び冷却セグメントの一部を巻装する第1のシートと、前記第1のシートの外側に配置され少なくともフィルターセグメントの全部及び冷却セグメントの一部を巻装する第2のシートと、を備えるように構成されることがより好ましい。この態様のように、短いセグメントを複数接続する際に1種類のライニングシートで接続する態様であると、各セグメントの整列の乱れが発生してしまうが、本態様のように段階的に各セグメントを接続することで各セグメントの整列の乱れを抑制することができる。また、第1のシートに求められる主要な要件として、液体透過性を失くして香味生成セグメント21の充填物211に含まれる液体の漏れや染みをブロックすることが挙げられ、第2のシートに求められる主要な要件として、くわえ心地や印刷適正が挙げられ、これらの要件に適したものを個別に選定できる点でも有利である。
さらに、非燃焼加熱式香味吸引物品1が先端セグメント26及び支持セグメント27を備える場合、先端セグメント26、香味生成セグメント21及び支持セグメント27を巻装する第1のシート28と、第1のシート28で巻装された先端セグメント26、香味生成セグメント21及び支持セグメント27に、マウスピースセグメント22を接続する第2のシート29と、を備えるによう構成されていてもよい。
第1のシート28には耐水性機能又は/及び液体不透過性を持たせ、第2のシートはくわえ心地に優れた表面適性のシートもしくは印刷適性に優れた表面適性のシートを使用してもよい。
【0105】
図18(a)~(d)に示すような位置に第2のシートを配置する場合、図2に示すように、チャンバの凹部35を形成する側壁に少なくとも2つ以上の突起を備えており、これらのうちの少なくとも2つの突起、好ましくは3つの突起が、非燃焼加熱式香味吸引物品を凹部の最深部である底面まで挿入したときに、第2のシートと接触するように設けられるように設計された電気加熱型デバイスとともに使用されることが好ましい。具体的には、このような態様であれば、非燃焼加熱たばこを電気加熱型デバイスの凹部に挿入する際に第2のシートの端面と電気加熱型デバイスの凹部との接触もしくは引っ掛かりを使用者が感じることができ、必要以上のたばこの差し込み動作をすることを防止でき、また、突起による非燃焼加熱式たばこの固定の強さを増大させることができる。また、図18(b)及び(d)のようにライニングシートが非燃焼加熱たばこの全体の周囲を巻装することで非燃焼加熱たばこのロッド強度が強化されて、加熱式デバイスの凹部への抜き差し時のたばこの座屈損傷を防止することができる。また、香味生成セグメント中の充填物に含まれる液体成分によるライニングシートの強度低下を抑制することができ、また、使用時の加熱による強度低下(セルロースベースのシートであれば焦げる、ポリマーベースのシートであれば溶ける)を抑制することができる。ライニングシートの強度が低いと、使用後に電気加熱型デバイスから非燃焼加熱式たばこ2を抜き取る際に破れてしまい、凹部35内に香味生成セグメント等の一部のセグメントが残存してしまうおそれがあるため、ライニングシートの強度を担保することは重要である。
【0106】
第1のシート28及び第2のシート29の材質や形状、特性等の条件は、特段制限されず、上記のライニングシート25の条件を提要できる範囲で同様に適用することができる。
【0107】
第1のシート28の厚さは、特段制限されないが、くわえ心地及び印刷適正の観点から、通常30μm以上、60μm以下であり、40μm以上、50μm以下であることが好ましい。
第1のシート28の坪量は、特段制限されないが、くわえ心地及び印刷適正の観点から、通常30gsm以上、60gsm以下であり、35gsm以上、50gsm以下であることが好ましく、35gsm以上、40gsm以下であることがより好ましい。
第1のシート28の通気度は、特段制限されないが、くわえ心地及び印刷適正の観点から、通常0コレスタユニット以上、30コレスタユニット以下であり、0コレスタユニット超、15コレスタユニット以下であることが好ましい。通気度は、ISO 2965:2009に準拠して測定される値であり、紙の両面の差圧が1kPaのときに、1分ごとに面積1cmを通過する気体の流量(cm)で表される。1コレスタユニット(1コレスタ単位、1C.U.)は、1kPa下においてcm/(min・cm)である。
第1のシート28の平滑度は、特段制限されないが、くわえ心地及び印刷適正の観点から、通常200秒以上、1500秒以下であり、250秒以上、1000秒以下であることが好ましく、300秒以上、500秒以下であることがより好ましい。
第1のシート28の不透明度は、特段制限されないが、所望の外観品質を確保する観点から、通常70%以上、100%以下であり、75%以上、95%以下であることが好ましく、80%以上、90%以下であることがより好ましい。
香味生成セグメント21の充填物211に含まれる液体の漏れや染みをブロックすることができる観点から、第1のシート25は液体不透過性のシートであることが好ましく、例えば、その材質としては、上述した液体不透過性の材質を同様に適用することができる。
【0108】
第2のシート29の厚さは、特段制限されないが、くわえ心地及び印刷適正の観点から、通常30μm以上、60μm以下であり、40μm以上、50μm以下であることが好ましい。
第2のシート29の坪量は、特段制限されないが、くわえ心地及び印刷適正の観点から、通常30gsm以上、60gsm以下であり、35gsm以上、50gsm以下であることが好ましく、35gsm以上、40gsm以下であることがより好ましい。
第2のシート29の通気度は、特段制限されないが、くわえ心地及び印刷適正の観点から、通常0コレスタユニット以上、30コレスタユニット以下であり、0コレスタユニット超、15コレスタユニット以下であることが好ましい。通気度は、ISO 2965:2009に準拠して測定される値であり、紙の両面の差圧が1kPaのときに、1分ごとに面積1cmを通過する気体の流量(cm)で表される。1コレスタユニット(1コレスタ単位、1C.U.)は、1kPa下においてcm/(min・cm)である。
第2のシート29の平滑度は、特段制限されないが、くわえ心地及び印刷適正の観点から、通常200秒以上、1500秒以下であり、250秒以上、1000秒以下であることが好ましく、300秒以上、500秒以下であることがより好ましい。
第2のシート29の不透明度は、特段制限されないが、所望の外観品質を確保する観点から、通常70%以上、100%以下であり、75%以上、95%以下であることが好ましく、80%以上、90%以下であることがより好ましい。
【0109】
<その他>
上述した実施形態及び変形例で説明した構成は、本発明の課題や技術的思想を逸脱しない範囲で可能な限り組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0110】
1 非燃焼加熱式香味吸引製品
2 非燃焼加熱式たばこ
200 金属板
21 香味生成セグメント
211 充填物
212 板状サセプター
2121 隆起部
2122 貫通孔
2123 せん断部
2124 破断部
2125 突起部
2126 面取り部
213 巻紙
214 第1被覆層
2141 面取り部
215 第2被覆層
216 粒状サセプター
22 マウスピースセグメント
23 冷却セグメント
231 開孔
24 フィルターセグメント
25 ライニングシート
25a 糊付け部分
25b 非糊付け部分
26 先端セグメント
27 支持セグメント
28 第1のシート
29 第2のシート
3 電気加熱型デバイス
31 ボディ
32 インダクタ
33 電池ユニット
34 制御ユニット
35 凹部
36 空気流路
37 突起
4 製造装置
41 ローラー
42 カッター
43 コーティング部
44 オーブン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18