(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-08
(45)【発行日】2023-05-16
(54)【発明の名称】プログラム及び工作機械システム
(51)【国際特許分類】
B23Q 11/10 20060101AFI20230509BHJP
B23Q 11/00 20060101ALI20230509BHJP
【FI】
B23Q11/10 E
B23Q11/00 N
B23Q11/00 L
B23Q11/10 D
(21)【出願番号】P 2023001468
(22)【出願日】2023-01-10
【審査請求日】2023-01-24
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】303058867
【氏名又は名称】ユアサネオテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094536
【氏名又は名称】高橋 隆二
(74)【代理人】
【識別番号】100129805
【氏名又は名称】上野 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100189315
【氏名又は名称】杉原 誉胤
(72)【発明者】
【氏名】石田 正樹
【審査官】山本 忠博
(56)【参考文献】
【文献】特許第7133736(JP,B1)
【文献】国際公開第2017/110219(WO,A1)
【文献】特開2010-105116(JP,A)
【文献】国際公開第2013/065097(WO,A1)
【文献】特開2019-76969(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 11/00,11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
CPU及びメモリを備えた制御基板を有する工作機械で実行されるプログラムであって、
前記工作機械には、クーラント装置が接続されており、
前記クーラント装置は、前記工作機械に対して、センタースルークーラントを供給するためのSPC用ポンプと、カッチングクーラントを供給するためのCUTC用ポンプと、ベッド洗浄クーラントを供給するためのBEDC用ポンプとが設けられ、前記制御基板から送られてくる制御信号に応じて各ポンプの動作が制御されるようになっており、
前記制御基板は、前記工作機械が行う加工プログラムに対応させて、予め定められている前記クーラント装置のデフォルト・制御設定に応じて制御信号を生成する制御部と、前記クーラント装置に該生成した制御信号を送信する通信処理部とを有し、
前記プログラムは、前記制御基板に、
前記クーラント装置の各ポンプの動作制御のカスタマイズ設定を受け付けさせる処理と、
前記カスタマイズ設定を受け付けた場合、前記制御部に、前記工作機械に前記センタースルークーラント及び前記カッチングクーラントのいずれかを供給させている最中には前記BEDC用ポンプの動作を停止させる内容を含む前記制御信号を生成させる処理と、を実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項2】
CPU及びメモリを備えた制御基板を有する工作機械で実行されるプログラムであって、
前記工作機械には、クーラント装置が接続されており、
前記クーラント装置は、前記工作機械に対して、センタースルークーラントを供給するためのSPC用ポンプと、カッチングクーラントを供給するためのCUTC用ポンプと、ベッド洗浄クーラントを供給するためのBEDC用ポンプとが設けられ、前記制御基板から送られてくる制御信号に応じて各ポンプの動作が制御されるようになっており、
前記制御基板は、前記工作機械が行う加工プログラムに対応させて、予め定められている前記クーラント装置のデフォルト・制御設定に応じて制御信号を生成する制御部と、前記クーラント装置に該生成した制御信号を送信する通信処理部とを有し、
前記プログラムは、前記制御基板に、
前記クーラント装置の各ポンプの動作制御のカスタマイズ設定として、前記工作機械の加工により発生する切粉量について、多い、中位及び少ないのうちのいずれかの切粉量の選択を受け付けさせる第1処理と、
前記カスタマイズ設定で切粉量の選択を受け付けた場合、前記制御部に、該受け付けた切粉量の多さに応じた制御信号を生成させる第2処理とを実行させ、
前記第2処理では、
前記切粉量が多いの設定を受け付けたときには、前記制御部に、前記デフォルト・制御設定に応じて制御信号を生成させ、
前記切粉量が中位の設定を受け付けたときには、前記制御部に、前記SPC用ポンプ及び前記CUTC用ポンプについては、前記デフォルト・制御設定が優先され、且つ前記BEDC用ポンプについては、前記工作機械に前記センタースルークーラント及び前記カッチングクーラントのいずれかを供給させている最中には動作を停止させる内容が含まれる制御信号を生成させ、
前記切粉量が少ないの設定を受け付けたときには、前記制御部に、前記SPC用ポンプについては、前記デフォルト・制御設定が優先され、且つ前記CUTC用ポンプについては、前記工作機械にセンタースルークーラントを供給させている最中には動作を停止させ、且つ前記BEDC用ポンプについては、前記工作機械に前記センタースルークーラント及び前記カッチングクーラントのいずれかを供給させている最中には動作を停止させる内容が含まれる制御信号を生成させるようになっていることを特徴とするプログラム。
【請求項3】
前記工作機械が行う加工プログラムでは、該加工プログラムで用いられる工具を特定するツール番号が定められており、
前記カスタマイズ設定では、前記切粉量の選択の受け付けた場合に、さらに、前記工作機械に搭載されている工具を特定するツール番号毎に、且つ前記クーラント装置の各ポンプ毎に、前記デフォルト・制御設定を優先させるか否かを示すデフォルト・優先設定情報を受け付けることができるようになっており、
前記第2処理では、
前記切粉量の選択に加えて、前記デフォルト・優先設定情報を受け付ている場合、前記受け付けたデフォルト・優先設定情報を用いて、前記工作機の対応する加工プログラムに定められているツール番号の各ポンプについて、それぞれ、前記デフォルト・制御設定が優先されているか否かを判定し、
前記デフォルト・制御設定が優先されている前記ポンプについては、前記デフォルト・制御設定が優先され、且つ前記デフォルト・制御設定が優先されていない前記ポンプについては、該受け付けた切粉量の多さに応じた前記制御信号を生成させるようになっていることを特徴とする請求項2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記カスタマイズ設定では、前記加工プログラム毎に、前記カスタマイズ設定を受け付けることができるようになっていることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のプログラム。
【請求項5】
クーラント装置と、該クーラント装置に接続され、且つ該クーラント装置に制御信号を送信して該クーラント装置の動作を制御する工作機械とを備えた工作機械システムであって、
前記クーラント装置は、前記工作機械に対して、センタースルークーラントを供給するためのSPC用ポンプと、カッチングクーラントを供給するためのCUTC用ポンプと、ベッド洗浄クーラントを供給するためのBEDC用ポンプとが設けられ、前記工作機械から送られてくる制御信号に応じて各ポンプの動作が制御されるようになっており、
前記工作機械は、
自身が行う加工プログラムに対応させて、予め定められている前記クーラント装置のデフォルト・制御設定に応じて制御信号を生成するクーラント制御部と、
前記クーラント装置に前記生成した制御信号を送信する通信処理部と、
前記クーラント装置の各ポンプの動作制御のカスタマイズ設定を受け付け可能に構成され、前記カスタマイズ設定を受け付けた場合、前記クーラント制御部に、前記工作機械に前記センタースルークーラント及び前記カッチングクーラントのいずれかを供給させている最中には前記BEDC用ポンプの動作を停止させる内容を含む前記制御信号を生成させるクーラント電力抑制部とを有していることを特徴とする工作機械システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラム及び工作機械システムであって、例えば、クーラント装置の動作を制御してクーラント装置の消費電力を削減させるためのプログラム、及び工作機械システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、工場等の製造現場では、マシニングセンタ等の工作機械(母機)に接続され、工作機械にクーラント液(クーラント)を供給するクーラント装置が用いられている。
【0003】
クーラント装置は、工作機械と電気的に接続されて各種信号を授受する制御部と、クーラントを貯留するタンクと、工作機械にクーラントを供給する供給管と、工作機械で使用された使用済みのクーラントを工作機械から回収する戻り液配管と、タンクに貯留されたクーラントを汲み上げて供給管を介して工作機械に供給するためのポンプ(複数のポンプ)と、戻り液配管を介して工作機械から回収した使用済みのクーラントに含まれた切屑や切粉等を洗浄を浄化してタンクに戻す浄化装置とを有している。
【0004】
上記のクーラント装置には、種々のタイプのものがある。例えば、クーラント装置に接続される工作機械が、
図4に示すように、主軸1と工具2の貫通穴を通して工具2の刃先にセンタースルークーラント(SPC)を供給するためのセンタースルークーラント用ノズル(図示せず)と、加工しているワークWにカッチングクーラント(CUTC)を噴射するためのカッチング用ノズル3と、使用済みのクーラントを貯留するベッドBを洗浄するベッド洗浄クーラント(BEDC)を供給するためのベッド洗浄用ノズル4とを備えているものとする。
上記のような場合、一般的に、クーラント装置は、接続される工作機械に対して、センタースルークーラント(SPC)を供給するためのポンプ(SPC用ポンプ)と、カッチングクーラント(CUTC)を供給するためのポンプ(CUTC用ポンプ)と、ベッド洗浄クーラント(BEDC)を供給するためのポンプ(BEDC用ポンプ)とを備えているものが用いられる。
【0005】
そして、クーラント装置は、工作機械から送信される制御信号に応じて、SPC用ポンプを駆動させて工作機械に対して、センタースルークーラント(SPC)を供給したり、CUT用ポンプを駆動させて工作機械に対してカッチングクーラント(CUTC)を供給したり、BEDC用ポンプを駆動させて工作機械にベッド洗浄クーラント(BEDC)を供給したりする。
なお、工作機械の接続されるクーラント装置の構成は、例えば、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、近年、地球温暖化の原因と考えられている二酸化炭素(CО2)の削減することが世界的なトレンドになっており、クーラント装置と、クーラント装置からクーラントが供給されるマシニングセンタ(machining center)とを備えた工作機械システムを用いて部品等の製品を製造している企業においても、二酸化炭素(CО2)の削減する取り組みが要求されている。
そして、本願発明者が、上記の工作機械システムにおける二酸化炭素(CО2)の削減の研究を進めているなかで、当該システムの稼働中の電力量を調査した結果、母機である工作機械が消費している電力量と比べて、工作機械にクーラントを供給しているクーラント装置側で消費している電力量が大きいことが判った。
【0008】
しかし、現状において、工作機械の付属品であるクーラント装置の消費電力量に着目して、その消費電力量を削減させるためのクーラント装置の制御方法やシステムは知られていない。
なお、上述した特許文献1は、クーラント装置の構成が開示されたものであり、その消費電力量を削減するための方法や構成の開示も、その示唆となる記載もない。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、制御基板を有する工作機械で実行されるプログラムであって、クーラント装置の動作を制御してクーラント装置の消費電力を削減させるためのプログラム、及び、クーラント装置と、該クーラント装置に接続され工作機械とを備えた工作機械システムであって、クーラント装置の消費電力を削減させる機能を備えた工作機械システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するためになされた本発明は、CPU及びメモリを備えた制御基板を有する工作機械で実行されるプログラムであって、前記工作機械には、クーラント装置が接続されており、前記クーラント装置は、前記工作機械に対して、センタースルークーラントを供給するためのSPC用ポンプと、カッチングクーラントを供給するためのCUTC用ポンプと、ベッド洗浄クーラントを供給するためのBEDC用ポンプとが設けられ、前記制御基板から送られてくる制御信号に応じて各ポンプの動作が制御されるようになっており、前記制御基板は、前記工作機械が行う加工プログラムに対応させて、予め定められている前記クーラント装置のデフォルト・制御設定に応じて制御信号を生成する制御部と、前記クーラント装置に該生成した制御信号を送信する通信処理部とを有し、前記プログラムは、前記制御基板に、前記クーラント装置の各ポンプの動作制御のカスタマイズ設定を受け付けさせる処理と、前記カスタマイズ設定を受け付けた場合、前記制御部に、前記工作機械に前記センタースルークーラント及び前記カッチングクーラントのいずれかを供給させている最中には前記BEDC用ポンプの動作を停止させる内容を含む前記制御信号を生成させる処理と、を実行させることを特徴とする。
【0011】
上記の構成を採用したのは以下の理由による。
従来技術の「クーラント装置及び工作機械(母機)を備えた工作機械システム」では、一般的に、工作機械が動作している最中は、常時、BEDC用ポンプが稼働して、工作機械にベッド洗浄クーラント(BEDC)が供給され続ける方法が採用されている。
そして、本願発明者が、従来技術の「クーラント装置及びマシニングセンタを備えた工作機械システム」の消費電力量を計測する計測調査では、工作機械システムの全体の消費電力のなかで、クーラント装置の各ポンプを動作させることにより発生する消費電力が、全体のなかで大きな割合を占めていることが判った。特に、クーラント装置の各ポンプのなかでも、BEDC用ポンプを動作させることによる消費電力量が大きいことがわかった。
また、本願発明者は、工作機械にセンタースルークーラント及びカッチングクーラントのいずれかが供給されている最中には、必ずしも、ベッド洗浄クーラント(BEDC)を供給しなくても、工作機械システムが正常に動作して、ワークWを加工できることを見出した。
【0012】
そのため、本願発明者は、工作機械の制御基板の制御部に対して、工作機械にセンタースルークーラント及びカッチングクーラントのいずれかを供給させている最中にはBEDC用ポンプを停止させる内容を含む制御信号を生成させる処理を実行させるプログラムを発明した。
この構成によれば、工作機械システムの全体の消費電力のなかで、大きな割合を占めるBEDC用ポンプの稼働時間を大幅に短縮させることができるため、効果的に工作機械システムの消費電力を削減させることができ、二酸化炭素(CО2)の削減に貢献できる。
また、本発明のプログラムは、既設の工作機械の制御基板に、後付けで、インストールさせることも可能であるため、既設の工作機械システムの消費電力の削減にも貢献することができる。
【0013】
また、本発明は、CPU及びメモリを備えた制御基板を有する工作機械で実行されるプログラムであって、前記工作機械には、クーラント装置が接続されており、前記クーラント装置は、前記工作機械に対して、センタースルークーラントを供給するためのSPC用ポンプと、カッチングクーラントを供給するためのCUTC用ポンプと、ベッド洗浄クーラントを供給するためのBEDC用ポンプとが設けられ、前記制御基板から送られてくる制御信号に応じて各ポンプの動作が制御されるようになっており、前記制御基板は、前記工作機械が行う加工プログラムに対応させて、予め定められている前記クーラント装置のデフォルト・制御設定に応じて制御信号を生成する制御部と、前記クーラント装置に該生成した制御信号を送信する通信処理部とを有し、前記プログラムは、前記制御基板に、前記クーラント装置の各ポンプの動作制御のカスタマイズ設定として、前記工作機械の加工により発生する切粉量について、多い、中位及び少ないのうちのいずれかの切粉量の選択を受け付けさせる第1処理と、前記カスタマイズ設定で切粉量の選択を受け付けた場合、前記制御部に、該受け付けた切粉量の多さに応じた制御信号を生成させる第2処理とを実行させ、前記第2処理では、前記切粉量が多いの設定を受け付けたときには、前記制御部に、前記デフォルト・制御設定に応じて制御信号を生成させ、前記切粉量が中位の設定を受け付けたときには、前記制御部に、前記SPC用ポンプ及び前記CUTC用ポンプについては、前記デフォルト・制御設定が優先され、且つ前記BEDC用ポンプについては、前記工作機械に前記センタースルークーラント及び前記カッチングクーラントのいずれかを供給させている最中には、動作を停止させる内容が含まれる制御信号を生成させ、前記切粉量が少ないの設定を受け付けたときには、前記制御部に、前記SPC用ポンプについては、前記デフォルト・制御設定が優先され、且つ前記CUTC用ポンプについては、前記工作機械にセンタースルークーラントを供給させている最中には動作を停止させ、且つ前記BEDC用ポンプについては、前記工作機械に前記センタースルークーラント及び前記カッチングクーラントのいずれかを供給させている最中には動作を停止させる内容が含まれる制御信号を生成させるようになっていることを特徴とする。
【0014】
このように、本発明のプログラムによれば、受け付けた切粉量の多さに応じて、BEDC用ポンプの動作を停止させる内容や、CUTC用ポンプの動作を停止させる内容が含まれている制御信号が生成されるようになる。すなわち、本発明によれば、従来技術のものと比べて、BEDC用ポンプ及びCUTC用ポンプの稼働時間を短縮させることができるため、効果的に消費電力を削減することができる。
【0015】
また、前記工作機械が行う加工プログラムでは、該加工プログラムで用いられる工具を特定するツール番号が定められており、前記カスタマイズ設定では、前記切粉量の選択の受け付けた場合に、さらに、前記工作機械に搭載されている工具を特定するツール番号毎に、且つ前記クーラント装置の各ポンプ毎に、前記デフォルト・制御設定を優先させるか否かを示すデフォルト・優先設定情報を受け付けることができるようになっており、前記第2処理では、前記切粉量の選択に加えて、前記デフォルト・優先設定情報を受け付ている場合、前記受け付けたデフォルト・優先設定情報を用いて、前記工作機の対応する加工プログラムに定められているツール番号の各ポンプについて、それぞれ、前記デフォルト・制御設定が優先されているか否かを判定し、前記デフォルト・制御設定が優先されている前記ポンプについては、前記デフォルト・制御設定が優先され、且つ前記デフォルト・制御設定が優先されていない前記ポンプについては、該受け付けた切粉量の多さに応じた前記制御信号を生成させるようになっていることが望ましい。
【0016】
上記の構成によれば、切粉量の多さに応じてクーラント装置を制御する設定にした場合であっても、ツール番号(工具)毎に、且つ各ポンプ(SPC用ポンプ、CUTC用ポンプ、BEDC用ポンプ)毎に、デフォルト・クーラント制御設定を優先させることができるようになっている。
そのため、本発明によれば、ワークを加工する工具や各ポンプ(SPC用ポンプ、CUTC用ポンプ、BEDC用ポンプ)に応じて、デフォルトのクーラント制御設定(デフォルトプログラム)で、工作機械にクーラントを供給したいケースにも対応することができる。
【0017】
また、前記カスタマイズ設定では、前記加工プログラム毎に、前記カスタマイズ設定を受け付けることができるようになっていることが望ましい。
この構成によれば、加工プログラム毎に、クーラント装置の制御を「消費電力量を削減する省エネルギー制御」に設定して動作させることできる。
【0018】
また、本発明は、クーラント装置と、該クーラント装置に接続され、且つ該クーラント装置に制御信号を送信して該クーラント装置の動作を制御する工作機械とを備えた工作機械システムであって、前記クーラント装置は、前記工作機械に対して、センタースルークーラントを供給するためのSPC用ポンプと、カッチングクーラントを供給するためのCUTC用ポンプと、ベッド洗浄クーラントを供給するためのBEDC用ポンプとが設けられ、前記工作機械から送られてくる制御信号に応じて各ポンプの動作が制御されるようになっており、前記工作機械は、自身が行う加工プログラムに対応させて、予め定められている前記クーラント装置のデフォルト・制御設定に応じて制御信号を生成するクーラント制御部と、前記クーラント装置に前記生成した制御信号を送信する通信処理部と、前記クーラント装置の各ポンプの動作制御のカスタマイズ設定を受け付け可能に構成され、前記カスタマイズ設定を受け付けた場合、前記クーラント制御部に、前記工作機械に前記センタースルークーラント及び前記カッチングクーラントのいずれかを供給させている最中には前記BEDC用ポンプの動作を停止させる内容を含む前記制御信号を生成させるクーラント電力抑制部とを有していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、制御基板を有する工作機械で実行されるプログラムであって、クーラント装置の動作を制御してクーラント装置の消費電力を削減させるためのプログラムを提供することができる。
また、本発明によれば、クーラント装置と、クーラント装置に接続され工作機械とを備えた工作機械システムであって、クーラント装置の消費電力を削減させる機能を備えた工作機械システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施形態のマシニングセンタ及びクーラント装置を備えた工作機械システムの構成を示した模式図である。
【
図2】本発明の実施形態のマシニングセンタが提供するクーラント装置のカスタマイズ設定を受け付けるための画面を示した模式図である。
【
図3】本発明の実施形態のマシニングセンタの制御部に設けられたデフォルト・優先設定データベースのデータ構成を示した模式図である。
【
図4】従来技術の工作機械の主軸に接続された工具と、クーラント装置から供給されるクーラントとの関係を示した模式図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態のマシニングセンタ及びクーラント装置を備えた工作機械システム及び、制御基板を有する工作機械で実行されるプログラムであって、クーラント装置の動作を制御してクーラント装置の消費電力を削減させるためのプログラムについて図面に基づいて説明する。
【0022】
《工作機械システムの概略構成》
先ず、本発明の実施形態の工作機械システムの概略構成について
図1を用いて説明する。
ここで、
図1は、本実施形態のマシニングセンタ及びクーラント装置を備えた工作機械システムの構成を示した模式図である。
【0023】
図示するように、本実施形態の工作機械システムは、マシニングセンタ(工作機械)100と、マシニングセンタ100に接続され、且つマシニングセンタ100からの制御信号に応じて動作してマシニングセンタ100にクーラント(クーラント液)を供給するクーラント装置200とを備えている。
マシニングセンタ100は、自動工具交換機能を有する工作機械であり、自動的に工具を交換し、フライス削りや中ぐり、穴あけ、ねじ立てなどの様々な加工を連続して行う。
【0024】
また、マシニングセンタ100は、CPU及びメモリを備えた制御基板や制御装置により構成された制御部101と、液晶ディスプレイ等により構成される表示部102と、操作ボタン等で構成される操作部103と、自動工具交換機能を備えた工作機械部104とを有している。
【0025】
なお、本実施形態のマシニングセンタ100の工作機械部104は、上述した
図4のものと同様、主軸1と工具2の貫通穴を通して工具2の刃先にセンタースルークーラント(SPC)を供給するためのセンタースルークーラント用ノズル(図示せず)と、加工しているワークWにカッチングクーラント(CUTC)を噴射するためのカッチング用ノズル3と、使用済みのクーラントを貯留するベッドBを洗浄するベッド洗浄クーラント(BEDC)を噴射するためのベッド洗浄用ノズル4とを備えている。
また、工作機械部104は、自動工具交換機能により、加工プログラムに応じて、主軸1に装着する工具2を自動交換できるようになっている。
【0026】
そして、制御部101が工作機械部104の動作を制御して、加工プログラムで定められてる工具2でワークWに加工を行う。また、制御部101は、工作機械部104にワークWを加工させる際に、クーラント装置200にクーラント・制御信号(制御信号)を送信し、クーラント装置200の動作を制御して、その加工の際に必要なクーラントの供給を受けるようになっている。
【0027】
また、本実施形態のマシニングセンタ100の制御部101は、工作機械部104の動作を制御する機械制御部110と、クーラント装置200の動作を制御する制御信号を生成するクーラント制御部111と、ユーザからの各種設定を受け付けるための設定処理部112と、クーラント装置200に制御信号を送信する通信処理部113と、クーラント制御部110と協働して動作するクーラント電力抑制部115と、記憶部121とを有している。また、記憶部121には、切粉量設定データベース121、デフォルト・優先設定データベース122が記憶されている。
なお、制御部110は、例えば、CPU、メモリ(主記憶装置、補助記憶装置)、I/Оインターフェース、通信インターフェースを備えた制御基板(コンピュータの機能を備えた制御基板)により構成されている。
【0028】
また、上記の制御部101の構成のうち、「機械制御部110、クーラント制御部111、設定処理部112、通信処理部113」は、既存のマシニングセンタ100に標準仕様で搭載されているものである。
そして、本実施形態では、マシニングセンタ100に標準仕様で搭載されている制御部の構成(機械制御部110、クーラント制御部111、設定処理部112、通信処理部113)に、後付けて、クーラント装置200の消費電力を抑制するクーラント電力抑制部115を追加するとともに、ユーザから受け付けたクーラント装置200を制御するための制御情報(切粉量設定データベース121、デフォルト・優先設定データベース122)を追加している。図中の破線部分(符号Aで示す部分)が、標準仕様のマシニングセンタ100に追加された構成になっている。
【0029】
すなわち、本実施形態の工作機械システムは、マシニングセンタ100に標準仕様で搭載されている制御部(機械制御部110、クーラント制御部111、設定処理部112、通信処理部113)に、クーラント装置200の消費電力を抑制するためのクーラント電力抑制部115の機能を実現するためのプログラム(アプリケーションプログラム)をインストールすることにより実現される。
このように、本実施形態では、既設の工作機械の制御部(制御基板や制御装置)に、後付けで、クーラント電力抑制部115の機能を実現するためのプログラム(アプリケーションプログラム)をインストールできるので、既設の工作機械システムの消費電力の削減にも貢献することができる。
【0030】
また、クーラント装置200は、マシニングセンタ100から送られてくる制御信号を受信して装置全体の動作を制御する制御基板201と、クーラント液を貯留するクーラントタンク206と、マシニングセンタ100にセンタースルークーラント(SPC)を供給するためのSPC用ポンプ203と、マシニングセンタ100にカッチングクーラント(CUTC)を供給するためのCUTC用ポンプ204と、マシニングセンタ100にベッド洗浄クーラント(BEDC)を供給するためのBEDC用ポンプ205と、SPC用ポンプ203を制御するためのインバータ制御基板220とを有している。
【0031】
上記のSPC用ポンプ203は、配管230によりマシニングセンタ100のセンタースルークーラント用ノズルに接続されている。そして、SPC用ポンプ203は、制御基板201からの命令信号を受けたインバータ制御基板220に制御されて動作して、クーラントタンク206に貯留されているクーラントを汲み上げ、配管230を介して、マシニングセンタ100にSPCを供給する。
【0032】
なお、本実施形態のクーラント装置200では、SPC用ポンプ203がОN/ОFF動作を頻繁に行うと故障する虞があるため、インバータ制御基板220を設け、ОN/ОFF制御ではなく、SPC用ポンプ203をインバータ制御で動作させている。具体的には、SPC用ポンプ203が接続されている配管(クーラント装置200内の配管)には、開閉バルブが設けられている。
SPC用ポンプ203からマシニングセンタ100にSPCを供給するときだけ、開閉バルブを開いて、インバータ制御基板220がSPC用ポンプ203に回転数を上げた動作をさせる。
一方、SPC用ポンプ203からマシニングセンタ100にSPCを供給しないときには、開閉バルブを閉じて、インバータ制御基板220がSPC用ポンプ203に回転数を遅くした動作をさせる。このとき、SPC用ポンプ203から汲み上げられたクーラントは、開閉バルブの先に流出できずに、クーラントタンク206に戻される。
【0033】
また、上記のCUTC用ポンプ204は、配管231によりマシニングセンタ100のカッチング用ノズル3に接続されている。
そして、CUTC用ポンプ204は、制御基板201からの命令信号(動作命令)に応じて動作をして、クーラントタンク206に貯留されているクーラントを汲み上げて、配管231を介して、マシニングセンタ100にCUTCを供給する。
また、動作中のCUTC用ポンプ204は、制御基板201からの命令信号(停止命令)を受けると、動作を停止して、マシニングセンタ100へのCUTCの供給を停止する。
【0034】
また、上記のBEDC用ポンプ205は、配管232によりマシニングセンタ100のベッド洗浄用ノズル4に接続されている。
そして、BEDC用ポンプ205は、制御基板201からの命令信号(動作命令)に応じて動作して、クーラントタンク206に貯留されているクーラントを汲み上げて、配管233を介して、マシニングセンタ100にBEDCを供給する。
また、動作中のBEDC用ポンプ205は、制御基板201からの命令信号(停止命令)を受けると、動作を停止して、マシニングセンタ100へのBEDCの供給を停止する。
【0035】
また、クーラントタンク206は、マシニングセンタ100の工作機械部104に設けられた「使用済みのクーラントが貯留されるベッドB」に戻り配管235を介して接続されており、戻り配管235を介してベットBに貯留されている使用済みクーラントが流入するようになっている。
なお、図中では、省略しているが、クーラント装置200には、マシニングセンタ100から流入している「使用済みクーラント」を浄化する浄化装置(例えば、浄化用ろ過装置)が設けられている。そして、ベットBから流入してくる使用済みクーラントは、浄化装置により切屑や切粉等の不純物が除去された上で、クーラントタンク206に戻されるようになっている。
【0036】
また、制御基板201は、ポンプ(SPC用ポンプ203、CUTC用ポンプ204、BEDC用ポンプ205)及びインバータ制御基板202を制御するための制御部211と、マシニングセンタ100と各種情報を授受する通信処理部213とを有している。
【0037】
制御部211は、通信処理部213を介して、マシニングセンタ100から送信される制御信号を受信し、制御信号に応じて、ポンプ(SPC用ポンプ203、CUTC用ポンプ204、BEDC用ポンプ205)及びインバータ制御基板202を制御する。
また、通信制御部213は、有線或いは無線によりマシニングセンタ100に接続されており、マシニングセンタ100との間で各種情報の授受を行うようになっている。
【0038】
《マシニングセンタ100の特徴的な構成の説明》
次にマシニングセンタ100の特徴的な構成について、上述した
図1と、
図2、3を参照しながら説明する。
ここで、
図2は、本実施形態のマシニングセンタが提供するクーラント装置のカスタマイズ設定を受け付けるための画面を示した模式図である。
図3は、本実施形態のマシニングセンタの制御部に設けられたデフォルト・優先設定データベースのデータ構成を示した模式図である。
【0039】
なお、本実施形態のマシニングセンタ100は、制御部101の構成のうちでクーラント装置200の動作を制御する構成(クーラント電力抑制部115、クーラント電力抑制部115と協働するクーラント制御部111、ユーザから受け付けた制御情報(切粉量設定データベース121、デフォルト・優先設定データベース122))に特徴があり、それ以外の構成(制御部111のなかの設定処理部112及び通信処理部113、表示部102、操作部103、工作機械部104)は、既存の技術のものと同じである。そのため、本実施形態の説明では、制御部101の構成のなかのクーラント装置200の動作を制御する構成について詳細に説明し、それ以外の構成については簡略化して説明(或いは説明を省略)する。
【0040】
なお、制御部101は、上述したように、例えば、CPU、主記憶装置、補助記憶装置、I/Оインターフェース、通信インターフェースを備えた制御基板(コンピュータの機能を備えた制御基板)や制御装置(コンピュータ)により構成されている。
また、上記の補助記憶装置には、各部(機械制御部110、クーラント制御部111、設定処理部112、通信処理部113)の機能を実現するための標準仕様プログラムと、クーラント電力抑制部115の機能を実現するための消費電力抑制プログラムとが記憶されている。また、補助記憶装置の所定領域には、記憶部121が形成されている。
【0041】
そして、制御部101の各部(機械制御部110、クーラント制御部111、設定処理部112、通信処理部113)の機能は、CPUが補助記憶装置に記憶された標準仕様プログラムを主記憶装置にロードして実行させることにより実現される。また、クーラント電力抑制部115の機能は、CPUが補助記憶装置に記憶された消費電力抑制プログラムを主記憶装置にロードして実行させることにより実現される。
すなわち、上記の各プログラムは、制御部(制御基板、あるいは制御装置)101に、各部(クーラント制御部110、機械制御部110、設定処理部112、通信処理部113、及びクーラント電力抑制部115)の機能を実現させるための処理を実行させるようになっている。
【0042】
具体的には、機械制御部110は、設定された加工プログラムに応じて、工作機械部104の動作を制御して、工作機械部104にワークWの加工させる。また、機械制御部110は、クーラント制御部111に、ユーザから設定された加工プログラムを通知して、クーラント制御部111に、クーラント装置200の動作を制御するための制御信号を生成させる。
なお、加工プログラムでは、その加工プログラムで用いられている工具2を特定するツール番号が定められている。機械制御部110は、工作機械部104に対応する工具2を主軸1に装着させて、加工プログラムに応じて、工作機械部104の動作を制御する。
【0043】
クーラント制御部111は、工作機械部104が行う加工プログラムに対応させて、予め定められている「クーラント装置200のデフォルトの制御設定(デフォルト・制御設定)」に応じてクーラント装置200の各ポンプ(SPC用ポンプ203、CUTC用ポンプ204、BEDC用ポンプ205)の動作を制御するための制御信号を生成する。
【0044】
また、本実施形態では、後述するクーラント電力抑制部115が、クーラント装置200の各ポンプ(SPC用ポンプ203、CUTC用ポンプ204、BEDC用ポンプ205)の動作について、ユーザからデフォルト以外のカスタマイズ設定を受け付けることができるようになっている。クーラント制御部111は、制御信号を生成する前に、クーラント電力抑制部115に「問合わせ要求」」を送信し、クーラント制御装置115から「問合わせ要求」に応答して送られてくる「制御信号・作成命令」に応じて、制御信号を生成する。
【0045】
設定処理部112は、表示部102に対して、工作機械部104の設定(搭載する工具を特定するツール番号の設定や加工プログラムの設定)等の各種設定を受け付けるための画面を表示して、操作部103を介して、ユーザから各種設定を受け付ける。また、設定処理部112は、受け付けた各種の設定は、メモリ(補助記憶装置、主記憶装置)に記憶される。
【0046】
また、クーラント電力抑制部115は、事前処理として、クーラント装置200の各ポンプ(SPC用ポンプ203、CUTC用ポンプ204、BEDC用ポンプ205)の動作のカスタマイズ設定を受け付ける機能を有している。
また、クーラント電力抑制部115は、上記の受け付けたカスタマイズ設定に応じた、各ポンプの制御信号を生成させるための「制御信号・作成命令」生成し、クーラント制御部111に「制御信号・作成命令」送信し、クーラント制御部111に、「制御信号・作成命令」に対応した制御信号を生成させる機能を有している。
【0047】
先ず、クーラント電力抑制部115の機能のうち、クーラント装置200の各ポンプ(SPC用ポンプ203、CUTC用ポンプ204、BEDC用ポンプ205)の動作のカスタマイズ設定を受け付ける機能について説明する。
具体的には、クーラント電力抑制部115は、液晶ディスプレイ等で構成される表示部102に、
図2に示すクーラント装置200のカスタマイズ設定画面400を表示し、操作ボタン、キーボード等で構成される操作部103を介して、クーラント装置200のデフォルト以外の動作制御のカスタマイズ設定を受け付ける。
【0048】
図示するカスタマイズ設定画面400は、加工プログラムの設定を受け付ける領域401と、マシニングセンタ100が行う加工により発生する切粉量の多さを受け付ける領域402と、工具2を識別するツール番号毎に、クーラント装置200の各ポンプ(SPC用ポンプ203、CUTC用ポンプ204、BEDC用ポンプ205)の動作について、デフォルトのクーラント制御設定(デフォルト・制御設定)を優先するか否かを示す情報を受け付ける領域403とが設けられている。
【0049】
カスタマイズ設定画面400の領域401は、加工プログラムを特定する情報(加工プログラム番号等の情報)の入力を受け付けるために設けられており、加工プログラム毎に、クーラント装置400の各ポンプの動作の制御設定を受け付けることができるようになっている。
なお、加工プログラム毎に、クーラント装置200を制御する必要がないときには、領域401は空欄のままにしておく。
【0050】
カスタマイズ設定画面400の領域402は、切粉量の多さ毎に、クーラント装置200の各ポンプの動作の制御設定を受け付けるために設けられている。
具体的には、領域402では、切粉量について、「多(多い)」、「中(中位)」及び「少(少ない)」の3種類の量のうちのいずれかの設定を選択的に受け付けることができるようになっている。
なお、後述するが、領域402で切粉量について、「多(多い)」、「中(中位)」及び「少(少ない)」のうちのいずれかの設定を受け付けたときには、受け付けた切粉量の多さ毎に、定められたクーラント制御が行われる。
【0051】
また、クーラント電力抑制部115は、カスタマイズ設定画面400の領域402で、切粉量の多さ(「多(多い)」、「中(中位)」及び「少(少ない)」の3種類の量のうちのいずれか)を受け付けたときには、受け付けた切粉量の多さ(「多」、「中」、「少」のいずれか)が登録された切粉量設定データベース121を生成して、記憶部120に記憶させる。
なお、クーラント電力抑制部115は、領域401で加工プログラムを特定する情報(加工プログラム番号等の情報)の入力を受け付けたときには、加工プログラムを特定する情報に対応付けた切粉量の多さ(「多」、「中」、「少」のいずれか)が登録された切粉量設定データベース121を生成して、記憶部120に記憶させる。
【0052】
また、カスタマイズ設定画面400の領域403は、上記の領域402で切粉量の多さ毎に、クーラント装置200の各ポンプの動作の制御設定を受け付けた場合において、さらに、ツール(工具2)毎に設定の変更を受け付けることができるようにしたものである。
【0053】
カスタマイズ設定画面400の領域403は、ツール番号(工具2)毎に、且つ各ポンプ(SPC用ポンプ203、CUTC用ポンプ204、BEDC用ポンプ205)毎に、デフォルトのクーラント制御設定(デフォルト・制御設定)を優先するか否かを示す情報が入力できるようになっている。
図示する例では、ツール番号(工具2)毎に、且つ各ポンプ(SPC用ポンプ203、CUTC用ポンプ204、BEDC用ポンプ205)毎に、「ОN」及び「ОFF」のいずれかを設定できるようになっており、「ОN」が設定されると、デフォルトのクーラント制御設定(デフォルト・制御設定)を優先され、「ОFF」が設定されると、切粉量の多さ毎に定められたクーラント制御設定が行われる。
なお、カスタマイズ設定画面400の領域403は、初期設定のときには、ツール番号(工具2)毎且つ各ポンプ(SPC用ポンプ203、CUTC用ポンプ204、BEDC用ポンプ205)毎に対応する情報は、全て「OFF」になっている。
【0054】
また、クーラント電力抑制部115は、カスタマイズ設定画面400の領域403で、ツール番号(工具2)毎に、且つ各ポンプ毎に、デフォルトのクーラント制御設定(デフォルトプログラム)を優先するか否かを示す情報の入力を受け付けると、その受け付けた情報が登録されたデフォルト・優先設定データベース122を生成して、記憶部120に記憶させる。
【0055】
デフォルト・優先設定データベース122は、例えば、
図3に示すように、ツール番号(工具2)毎に、且つ各ポンプ(SPC用ポンプ203、CUTC用ポンプ204、BEDC用ポンプ205)毎に、デフォルトのクーラント制御設定(デフォルトプログラム)を優先するか否かを示す情報(「ОN」及び「ОFF」のいずれか)が対応付けられて登録されている。
なお、クーラント電力抑制部115は、領域401で加工プログラムを特定する情報(加工プログラム番号等の情報)の入力を受け付けたときには、受け付けた加工プログラムを特定する情報毎に、
図3に示すデフォルト・優先設定データベース122を生成して、記憶部120に記憶させる。
【0056】
次に、クーラント電力抑制部115の機能のうち、受け付けたカスタマイズ設定に応じた、各ポンプの制御信号を生成させるための「制御信号・作成命令」を生成し、クーラント制御部111に「制御信号・作成命令」送信し、クーラント制御部111に、「制御信号・作成命令」に対応した制御信号を生成させる機能について説明する。
【0057】
クーラント電力抑制部115は、クーラント制御部111からの「問合わせ要求」を受信すると、クーラント装置200に対するカスタマイズ設定がされいるか否かを判定する。
【0058】
クーラント電力抑制部115は、例えば、記憶部120に切粉量設定データベース121が登録されていない場合、カスタマイズ設定処理を受け付けていないと判定し、クーラント制御部11に、その旨を示す応答を送信する。この場合、クーラント制御部111は、工作機械部104が行う加工プログラムに対応させて、予め定められている「クーラント装置200のデフォルト・制御設定」に応じてクーラント装置200の各ポンプ(SPC用ポンプ203、CUTC用ポンプ204、BEDC用ポンプ205)の動作を制御するための制御信号を生成する。
【0059】
一方、クーラント電力抑制部115は、例えば、記憶部120に切粉量設定データベース121が登録されている場合、カスタマイズ設定を受け付けている判定する。
以下、カスタマイズ設定処理を受け付けている場合について、いくつかのケースに分けて説明する。
【0060】
《切粉量の多さの設定だけ受け付けている場合》
まず、クーラント電力抑制部115が、事前に、切粉量の多さの設定だけを受け付けている場合の処理について、切粉量の多さ毎に説明する。
クーラント電力抑制部115は、カスタマイズ設定処理を受け付けたと判定した場合、記憶部120を参照し、切粉量設定データベース121の切粉量を読み出す。
【0061】
《切粉量:多(多い)の場合》
ここで、切粉量設定データベース121から読み出した切粉量が「多(多い)」の場合、すなわち、切粉量について「多(多い)」の設定だけを受け付けている場合には、クーラント電力抑制部115は、デフォルト・クーラント制御設定が優先されたクーラント制御を指定した「制御信号・作成命令」を生成し、クーラント制御部111に送信する。
【0062】
クーラント制御部111は、上記の「制御信号・作成命令」を受信すると、工作機械部104が行う加工プログラムに対応させて、予め定められている「クーラント装置200のデフォルト・制御設定」に応じて、クーラント装置200の各ポンプ(SPC用ポンプ203、CUTC用ポンプ204、BEDC用ポンプ205)の動作を制御するための制御信号を生成する。また、クーラント制御装置111は、通信処理部113を介して、クーラント装置200に制御信号を送信する。
クーラント装置200は、受信した制御信号に応じて、各ポンプ(SPC用ポンプ203、CUTC用ポンプ204、BEDC用ポンプ205)の動作を制御して、マシニングセンタ100の工作機械部104の動作に対応させて、クーラントを供給したり、クーラントの供給を停止したりする。
【0063】
《切粉量:中(中位)の場合》
切粉量設定データベース121から読み出した切粉量が「中(中位)」の場合、すなわち、切粉量について「中(中位)」の設定だけを受け付けている場合には、クーラント電力抑制部115は、「SPC用ポンプ203及びCUTC用ポンプ204については、デフォルト・クーラント制御設定が優先され、且つ「BEDC用ポンプ205」については、「SPCポンプ203及びCUTC用ポンプ204」からマシニングセンタ100に「SPC及びCUTC」のいずれかが供給されている最中には動作を停止させるクーラント制御を指定した「制御信号・作成命令」を生成し、クーラント制御部111に送信する。
【0064】
クーラント制御部111は、上記の「制御信号・作成命令」を受信すると、「SPC用ポンプ203及びCUTC用ポンプ204」については、工作機械部104が行う加工プログラムに対応させて、予め定められている「クーラント装置200のデフォルト・制御設定」に応じた制御信号であり、且つ「BEDC用ポンプ205」については、マシニングセンタ100に「SPC及びCUTC」のいずれかが供給されている最中には、動作を停止させる内容を含む制御信号を生成する。
なお、「BEDC用ポンプ205」についての制御信号は、「SPCポンプ203及びCUTCポンプ204」からマシニングセンタ100に「SPC及びCUTC」が供給されていないときについては、予め定められている「クーラント装置200のデフォルト・制御設定」に応じた内容になっている。
また、クーラント制御装置111は、通信処理部113を介して、クーラント装置200に制御信号を送信する。
クーラント装置200は、受信した制御信号に応じて、「SPC用ポンプ203及びCUTC用ポンプ204」については、デフォルト・制御設定に応じて動作を制御して、マシニングセンタ100の工作機械部104にクーラントを供給させたり、クーラントの供給を停止させたりする。
また、クーラント装置200は、受信した制御信号に応じて、「BEDC用ポンプ205」については、マシニングセンタ100に「SPC及びCUTC」のいずれかが供給されている最中には動作を停止させる。
【0065】
《切粉量:少(少ない)の場合》
切粉量設定データベース121から読み出した切粉量が「少(少ない)」の場合、すなわち、切粉量について「少(少ない)」の設定だけを受け付けている場合には、クーラント電力抑制部115は、「SPC用ポンプ203」についてはデフォルト・クーラント制御設定が優先され、且つ「CUTC用ポンプ204」については、SPCが供給されているときには動作を停止させ、且つ「BEDC用ポンプ205」については、「SPC及びCUTC」のいずれかが供給されているときには動作を停止させるクーラント制御を指定した「制御信号・作成命令」を生成し、クーラント制御部111に送信する。
【0066】
クーラント制御部111は、上記の「制御信号・作成命令」を受信すると、「SPC用ポンプ203」については、工作機械部104が行う加工プログラムに対応させて、予め定められている「クーラント装置200のデフォルト・制御設定」に応じた制御信号であり、且つ「CUTC用ポンプ204」については、「SPC用ポンプ203」からマシニングセンタ100に「SPC」が供給されている最中には、動作を停止させ、且つ「BEDC用ポンプ205」については、「SPC用ポンプ203及びCUTC用ポンプ204」からマシニングセンタ100に「SPC及びCUTC」のいずれかが供給されている最中には動作を停止させる制御信号を生成する。
なお、「CUTC用ポンプ204」についての制御信号は、「SPC用ポンプ203」からマシニングセンタ100にSPCが供給されていないときについては、予め定められている「クーラント装置200のデフォルト・制御設定」に応じた内容になっている。
また、「BEDC用ポンプ205」についての制御信号は、「SPCポンプ203及びCUTCポンプ204」からマシニングセンタ100に「SPC及びCUTC」が供給されいないときについては、予め定められている「クーラント装置200のデフォルト・制御設定」に応じた内容になっている。
また、クーラント制御装置111は、通信処理部113を介して、クーラント装置200に制御信号を送信する。
クーラント装置200は、受信した制御信号に応じて、「SPC用ポンプ203及」については、デフォルトの制御設定に応じて動作を制御して、マシニングセンタ100の工作機械部104にクーラントを供給しせたり、クーラントの供給を停止したりする。
また、クーラント装置200は、「CUTC用ポンプ204」については、SPCが供給(使用)されているときには動作を停止させる。
また、クーラント装置200は、受信した制御信号に応じて、「BEDC用ポンプ205」については、「SPC及びCUTC」のいずれかが供給されている最中には動作を停止させる。
【0067】
《切粉量の多さの設定と、ツール毎の設定の変更を受け付けている場合》
次に、クーラント電力抑制部115が、事前に、切粉量の多さの設定と、ツール(工具2)毎に設定の変更を受け付けている場合の処理について説明する。
この場合、クーラント電力抑制部115は、記憶部120を参照し、切粉量設定データベース121の切粉量を読み出すとともに、デフォルト・優先設定データベース122を読み出す。
【0068】
そして、クーラント電力抑制部115は、工作機械部104から対応する加工プログラムに定められている工具を特定するツール番号を取得し、読み出したデフォルト・優先設定データベース122及び取得したツール番号を用いて、そのツール番号の各ポンプ(SPC用ポンプ203、CUTC用ポンプ204、BEDC用ポンプ205)について、それぞれ、デフォルトのクーラント制御設定が優先されているか否かを判定する。
クーラント電力抑制部115は、各ポンプ毎に対応付けられたプログラム優先設定情報が「ОN」が設定されると、デフォルト・クーラント制御設定が優先され、「ОFF」が設定されると、切粉量の多さ毎に設定されたクーラント制御を指定した「制御信号・作成命令」を生成し、クーラント制御部111に送信する。
【0069】
例えば、設定された切粉量の多さが「少」であり、対応するツール番号が「T01」であり、読み出したデフォルト・優先設定データベース122が
図3に示す内容であったとする。
図3では、ツール番号の「T01」には、「SPCがОN、CUTCがОN、BEDCがОFF」に設定されている。
この場合、クーラント電力抑制部115は、「SPC用ポンプ203」についてはデフォルト・クーラント制御設定(デフォルトプログラム)が優先され、且つ「CUTC用ポンプ204」については、デフォルト・優先設定データベース122にしたがいデフォルト・クーラント制御設定が優先され、且つ「BEDC用ポンプ205」については、SPC及びCUTCが供給(使用)されているときには、動作を停止させるクーラント制御を指定した「制御信号・作成命令」を生成し、クーラント制御部111に送信する。
【0070】
このように、本実施形態によれば、ユーザが設定した切粉量に応じて、クーラント装置200の各ポンプ(SPC用ポンプ203、CUTC用ポンプ204、BEDC用ポンプ205)の動作を制御している。
【0071】
上記の構成を採用したのは以下の理由による。
従来技術の「クーラント装置及びマシニングセンタ(母機)を備えた工作機械システム」では、マシニングセンタが動作している最中は、常時、BEDC用ポンプが稼働して、マシニングセンタにBEDCが供給され続ける方法が採用されていた。
そして、本願発明者が、従来技術の「クーラント装置及びマシニングセンタを備えた工作機械システム」の1サイクル運転時の工作機械システム全体の消費電力量を計測する計測試験を行ったところ、下記の表1に示す計測結果が得られた。
表1の計測結果から、工作機械システムの全体の消費電力のなかで、クーラント装置の各ポンプを動作させることにより発生する消費電力が、全体の65%以上を占めていることがわかる。
なお、従来技術の「クーラント装置及びマシニングセンタを備えた工作機械システム」は、
図1に示すシステム構成図から、「クーラント電力抑制部115、切粉量データベース121、デフォルト・優先設定データベース122」と、「インバータ制御基板220」を除いたものである。
《表1》
【0072】
特に、上記の表1に示すように、クーラント装置の各ポンプのなかでも、BEDC用ポンプ205を動作させることによる消費電力量が大きいことがわかった。
また、本願発明者が、工作機械システムの消費電力削減の研究を進めるなかで、切粉量が多く発生しない場合には、センタースルークーラント(SPC)及びカッチングクーラント(CUTC)のいずれかが供給されている最中に、必ずしも、ベッド洗浄クーラント(BEDC)を供給しなくても、工作機械システムが正常に動作して、ワークWを加工できることを見出した。
【0073】
そこで、本実施形態の工作機械システムでは、例えば、ユーザが設定した切粉量が「中」である場合には、クーラント装置200の「SPC用ポンプ203及びCUTC用ポンプ204」については、デフォルト・制御設定に応じて動作を制御し、「BEDC用ポンプ205」については、SPC及びCUTCのいずれかが供給されているときには、動作を停止させる構成を採用している。
これにより、本実施形態の工作機械システムによれば、消費電力量が大きい「BEDC用ポンプ205」の稼働時間を減少させることができるため、従来技術のものと比べて、消費電力量を削減、すなわち、二酸化炭素(CО2)量を削減することができる。
【0074】
また、本願発明者が、工作機械システムの消費電力削減の研究を進めるなかで、切粉量の発生が少ない場合には、センタースルークーラント(SPC)が供給されている最中に、カッチングクーラント(CUTC)を供給しなくても、工作機械システムが正常に動作して、ワークを加工できることを見出した。
【0075】
そこで、本実施形態の工作機械システムでは、例えば、ユーザが設定した切粉量が「少」である場合には、クーラント装置200の「SPC用ポンプ203」については、デフォルト・制御設定に応じて動作を制御し、且つ「CUTC用ポンプ204」については、SPCが供給されているときには、動作を停止させ、かつ「BEDC用ポンプ205」については、「SPC及びCUTC」のいずれかが供給されているときには、動作を停止させる構成を採用している。
これにより、本実施形態の工作機械システムによれば、切粉量が少ない場合に、「CUTC用ポンプ204」の稼働時間を減少させることができるとともに、「BEDC用ポンプ205」の稼働時間を減少させることができ、従来技術のものと比べて、消費電力量を削減、すなわち、二酸化炭素(CО2)量を削減することができる。
【0076】
さらに、本実施形態では、切粉量の多さに応じてクーラント装置200の各ポンプの動作を制御する設定にした場合であっても、ツール番号(工具2)毎に、且つ各ポンプ(SPC用ポンプ203、CUTC用ポンプ204、BEDC用ポンプ205)毎に、デフォルト・クーラント制御設定(デフォルトプログラム)を優先させることができるようになっている。
そのため、本実施形態によれば、ワークを加工する工具2に応じて、デフォルト・クーラント制御設定(デフォルトプログラム)で、マシニングセンタ100にクーラントを供給したいケースにも対応することができる。
【0077】
また、本実施形態によれば、加工プログラム毎に、切粉量の多さに応じてクーラント装置200の動作を制御することができるようになっている。したがって、本実施形態によれば、加工プログラム毎に、クーラント装置200の制御を「消費電力量を削減する省エネルギー制御」に設定して動作させることできる。
【0078】
また、本実施形態によれば、加工プログラム毎に、切粉量の多さに応じてクーラント装置200の動作を制御する設定にした場合に、さらに、ツール番号(工具2)毎に、且つ各ポンプ(SPC用ポンプ203、CUTC用ポンプ204、BEDC用ポンプ205)毎に、デフォルト・クーラント制御設定(デフォルトプログラム)を優先させることができるようになっている。
したがって、本実施形態によれば、加工プログラム毎に、ツール番号(工具2)毎に、且つ各ポンプ(SPC用ポンプ203、CUTC用ポンプ204、BEDC用ポンプ205)毎に、クーラント装置200を「デフォルトのクーラント制御設定」で動作させたり、「消費電力量を削減する省エネルギー制御(切粉量の多さに応じてクーラント装置200の動作を制御)」に設定して動作させたりすることできる。
【0079】
また、本願発明者が、本実施形態の工作機械システムの1サイクル運転時の工作機械システム全体の消費電力量を計測試験を行ったところ、下記の表2の測定結果が得られた。
なお、作機械システムの動作条件(工具2、ワークW、加工プログラム)は、上述した表1の計測試験と同じであり、
また、本計測試験では、クーラント電力抑制部115が、切粉量が「中(中位)」の設定だけを受けている。
《表2》
【0080】
上記の表2に示すように、本実施形態によれば、上述した表1に示す試験結果と比べて、消費電力の合計が全体で、「33.5%」削減されており、本実施形態の工作機械システムによる、消費電力の削減効果が確認された。
【0081】
以上説明したように、本実施形態によれば、制御部10(制御基板)を有するマシニングセンタ100(工作機械)で実行される消費電力抑制プログラム(クーラント電力抑制部115の機能を実現するプログラム)であって、クーラント装置200の動作を制御してクーラント装置200の消費電力を削減させるための消費電力抑制プログラムを提供することができる。
すなわち、本実施形態の消費電力抑制プログラム(クーラント電力抑制部115の機能を実現するプログラム)によれば、工作機械システムの消費電力の削減、すなわち、二酸化炭素の削減に貢献することができる。
【0082】
また、本実施形態の消費電力抑制プログラム(クーラント電力抑制部115の機能を実現するプログラム)は、既設の工作機械の制御部(制御基板や制御装置)に、後付けで、インストールすることができるため、既設の工作機械システムの消費電力の削減、すなわち、二酸化炭素の削減にも貢献することができる。
【0083】
また、本実施形態によれば、クーラント装置200と、クーラント装置200に接続されマシニングセンタ(工作機械)100とを備えた工作機械システムであって、クーラント装置200の消費電力を削減させる機能を備えた工作機械システムを提供することができる。
【0084】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内において、種々の変更が可能である。
【0085】
具体的には、上述した実施形態では、クーラント電力抑制部115が、受け付けた切粉量の多さに応じてクーラント装置200の動作を制御しているが、特にこれに限定されるものではない。
例えば、クーラント電力抑制部115が、カスタマイズ設定画面上で、消費電力モードの「ОN/ОFF」だけの設定を受け付けるようにする。そして、クーラント電力抑制部115は、、消費電力モードが「ОN」の設定を受け付けている場合には、マシニングセンタ200にセンタースルークーラント及びカッチングクーラントのいずれかを供給させている最中にはBEDC用ポンプ205を停止させる内容を含む制御信号を生成させるようにしても良い。なお、消費電力モードの「ОFF」の設定を受け付けている場合には、デフォルト・クーラント制御設定(デフォルトプログラム)に応じて制御信号が生成される。
【符号の説明】
【0086】
1…主軸
2…工具
3…カッチング用ノズル
4…ベッド洗浄用ノズル
B…ベッド
W…ワーク
100…マシニングセンタ(工作機械)
101…制御部
110…機械制御部
111…クーラント制御部
112…設定処理部
113…通信処理部
115…クーラント電力抑制部
129…記憶部
121…切粉量設定データベース
122…デフォルト・優先設定データベース
102…表示部
103…操作部
104…工作機械部
200…クーラント装置
201…制御基板
211…制御部
213…通信処理部
203…SPC用ポンプ
204…CUTC用ポンプ
205…BEDC用ポンプ
206…クーラントタンク
220…インバータ制御基板
230、231、232…配管
235…戻り配管
【要約】
【課題】制御基板を有する工作機械で実行されるプログラムであって、クーラント装置の消費電力を削減させるプログラムを提供する。
【解決手段】制御基板101を有する工作機械100で実行されるプログラムであって、工作機械100には、制御基板101からの制御信号に応じて動作するクーラント装置200が接続され、制御基板101は、デフォルト・制御設定に応じて制御信号を生成するクーラント制御部を有し、プログラムは、制御基板101に、クーラント装置の各ポンプの動作制御のカスタマイズ設定を受け付けさせる処理と、カスタマイズ設定を受け付けた場合、制御部111に、クーラント装置200が工作機械100にセンタースルークーラント及びカッチングクーラントのいずれかを供給させている最中にはベッド洗浄クーラントを供給するためのポンプを停止させる制御信号を生成させる処理と、を実行させる。
【選択図】
図1